明 細 書
技術分野
本発明は、 エイリアシングによる特性劣化を防止可能な受信装置に関するもの であり、 特に、 エイリアシングが発生した場合であっても、 低消費電力化および 小回路規模ィヒを実現可能な受信装置に関するものである。 背景技術
以下、 従来の受信装置について説明する。 第 9図は、 スペク トラム拡散用の従 来の送受信装置の構成を示す図である。 第 9図において、 2 0 1は送信機であり、 2 1 1は受信機である。 ま,た、 送信機 2 0 1において、 2 0 2は変調部であり、 2 0 3は拡散符号発生器であり、 2 0 4は乗算器であり、 2 0 5は拡散部であり、 2 0 6はロールオフフィルタであり、 2 0 7は D/ A変換器であり、 2 0 8は周 波数変換部であり、 2 0 9は送信アンテナである。 また、 受信機 2 1 1において、 2 1 2は周波数変換部であり、 2 1 3は A//D変換器であり、 2 1 4は逆拡散部 であり、 2 1 5は復調部であり、 2 1 6は受信アンテナである。
ここで、 上記のように構成される従来の送受信装置の動作について説明する。 まず、 送信機 2 0 1では、 変調部 2 0 2力 伝送する情報に対して所定の変調処 理を施し、 変調信号を出力する。 拡散部 2 0 5では、 変調信号と拡散符号発生器 2 0 3から出力される拡散符号とを乗算器 2 0 4にて乗算することで、 変調信号 に対してスぺク トル拡散を実行する。 ロールオフフィルタ 2 0 6では、 拡散部 2 0 5出力に対して帯域制限のための波形整形を行う。 D/A変換器 2 0 7では、 波形整形後の信号を、 ディジタル信号からアナログ信号に変換する。 周波数変換 部 2 0 8では、 受け取ったアナログ信号を R Fに変換し、 送信アンテナ 2 0 9を 介して出力する。
つぎに、 受信機 2 1 1では、 周波数変換部 2 1 2が、 受信アンテナ 2 1 6で受 信した信号をベースバンド信号に変換する。 0変換器2 1 3では、 ベースバ ンド信号を、 アナログ信号からディジタル信号に変換する。 その後、 逆拡散部 2 14では、 受け取ったディジタノレ信号に対して逆拡散を行ない、 復調部 2 1 5で は、 逆拡散後の出力を復調する。
また、 第 1 0図は、 上記逆拡散部 2 14の構成を示す図であり、 このように、 マッチドフィルタを用いた方式がよく用いられる。 第 1 0図において、 22 1は マッチドフィルタであり、 222は補間部である。 マッチドフィルタ 22 1では、 受信信号と参照信号 (拡散符号) との相関演算を行うことで、 受信信号を逆拡散 する。 補間部 222では、 マッチドフィルタ 22 1の相関出力波形を補間し、 検 出タイミングの精度を向上させる。
標本化定理によれば、 W [H z] に帯域制限された信号を 2W [Hz] 以上の サンプリング周波数でサンプリングすると、 元の信号を正確に再現できる。 一方、 2W [Hz] 以下のサンプリング周波数でサンプリングすると、 周波数 W以上の 成分が周波数 W [Hz] 以下に折り返されるため、 元の信号を正確に再現できな くなる。 この現象を 「エイリアシング」 と呼ぶ。
ロールオフフィルタ 206の出力の周波数帯域は、 拡散符号のチップレートを R [Hz] とし、 ロールオフフィルタ 206のロールオフファクタを α (0≤ a≤ l) とした場合、 (1 + ) RZ 2で与えられる。 たとえば、 W— CDMA (Wideband - Code Division Multiple Access) 方式では CK = 0. 22が用いら れる。
したがって、 標本化定理より、 A/D変觸2 1 3のサンプルレートが (1 + a) R以上であれば、 元の信号を正確に再現できる。 通常は、 回路の作り易さか ら、 サンプルレートを拡散符号のチップレートの整数倍に設定する。 特性の劣化 を避ける場合には、 サンプルレート 2 が、 回路規模削減を優先する場合には、 サンプルレート Rがよく用いられる。
マッチドフィルタ回路のサンプリング周波数としては、 以下の 2種類の選択肢
がある。
( 1 ) 標本ィ匕定理を満たすように、 拡散符号のチップレートに対して 2倍以上の 周波数でオーバサンプリングを行う。
( 2 ) エイリアシングによる劣化を受け入れ、 拡散符号のチップレートと同じ周 波数でサンプリングを行う。
し力、しな力 ら、 従来のスペク トラム拡散受信装置においては、 AZD変 m¾の サンプルレートを拡散符号のチップレートの 2倍とすると、 標本化定理を満足す るので、 特性劣化はないものの、 一般にチップレートが高速であるため、 回路規 模ゃ消費電力が大きくなる、 という問題があった。
また、 A/D変 のサンプルレートをチップレートとすると、 回路規模や消 費電力は削減できるが、 エイリアシングによって特性が劣化してしまう、 という 問題があった。
ここで、 ロールオフフィルタを通過したスぺク トル拡散信号の周波数スぺク ト ルに着目する。 スぺク トラム拡散信号のロールオフフィルタ (ロールオフファタ タ α ) 通過後の周波数帯域は (1 + α ) RZ 2である。 標本化定理によれば、 帯域の 2倍以上の周波数でサンプリングした場合に原信号を忠実に再現できるの で、 サンプリング周波数は R ( ΐ + α ) でよい。
たとえば a = 0 . 2 2の場合、 チップレートの 1 . 2 5倍の周波数でオーバ サンプリングを行うと、 原信号を正確に再現できるため、 特性劣化がなく、 かつ 受信回路の動作速度を 2倍オーバサンプリングよりも下げることができる。 しか しながら、 1 . 2 5倍という半端なオーバサンプノレ数によって、 マッチドフィノレ タ回路は参照信号が多値となり、 回路規模が大きくなつてしまう。 このため、 動 作速度が下がったにもかかわらず、 回路規模, 消費電力ともに増大する結果とな る。
従って、 本発明は、 エイリアシングによる特性の劣化を引き起こすことなく、 受信回路の低消費電力化および小回路規模化を実現可能な受信装置を提供するこ とを目的としている。
図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明にかかるスぺクトラム拡散用受信装置の実施の形態 1の構成 を示す図であり、 第 2図は、 本発明にかかるスペク トラム拡散用受信装置の実施 の形態 2の構成を示す図であり、 第 3図は、 本発明にかかるスペクトラム拡散用 受信装置の実施の形態 3の構成を示す図であり、 第 4図は、 本発明にかかるスぺ クトラム拡散用受信装置の実施の形態 4の構成を示す図であり、 第 5図は、 本発 明にかかる受信装置の実施の形態 5の構成を示す図であり、 第 6図は、 記憶回路 の一例を示す図であり、 第 7図は、 本発明にかかる受信装置の実施の形態 6の構 成を示す図であり、 第 8図は、 マルチキヤリャ C DMAや O F DMで一般的に使 用される回路の一例を示す図であり、 第 9図は、 スペク トラム拡散用の従来の送 受信装置の構成を示す図であり、 第 1 0図は、 逆拡散部の構成を示す図である。 発明の開示
本発明にかかる受信装置にあっては、 入力信号から、 エイリアシングが発生す る周波数にダウンサンプルした信号を生成し、 さらに、 当該ダウンサンプル後の 信号に含まれるエイリァシング雑音成分を抽出する信号生成 Z雑音抽出手段と、 前記ダウンサンプル後信号および前記エイリアシング雑音成分に対して個別に逆 拡散処理を行う逆拡散手段と、 前記 2つの逆拡散結果を合成してエイリアシング 雑音成分をキャンセルする雑音キャンセル手段と、 を備えることを特徴とする。 つぎの発明にかかる受信装置において、 信号生成/雑音抽出手段は、 入力信号 に対してエイリァシングが発生しない周波数でサンプルする AZD変換手段と、 前記 A/D変換後の信号をエイリァシングが発生する周波数でサンプノレすること によって、 2系統のダウンサンプル後信号を生成する信号生成手段と、 一方のダ ゥンサンプル後信号から他方のダゥンサンプル後信号を推定する信号推定手段と、 前記信号生成手段にて生成した他方のダウンサンプル後信号と前記信号推定手段 にて推定した他方のダウンサンプル後信号との差を計算することによって、 前記
エイリアシング雑音成分を抽出する雑音抽出手段と、 を備えることを特徴とする。 つぎの発明にかかる受信装置において、 信号生成 Z雑音抽出手段は、 前記エイ リァシング雑音成分の周波数をさらに低域に変換する低域周波数変換手段と、 前 記周波数変換結果をエイリァシング雑音成分の周波数帯域以上の周波数でサンプ ルする雑音サンプル手段と、 を備えることを特徴とする。
つぎの発明にかかる受信装置において、 信号生成/雑音抽.出手段は、 入力信号 に対してエイリァシングが発生しない周波数でサンプルする AZD変換手段と、 前記 A/D変換後の信号をエイリァシングが発生する周波数でサンプルすること によって、 第 1のダウンサンプノレ後信号を生成する第 1の信号生成手段と、 前記 AZD変換後の信号をエイリァシング雑音成分の周波数帯域以上の周波数でサン プルすることによって、 第 2のダウンサンプル後信号を生成する第 2の信号生成 手段と、 前記第 1のダウンサンプル後信号から前記第 2のダウンサンプル後信号 を推定する信号推定手段と、 前記第 2の信号生成手段にて生成した第 2のダウン サンプル後信号と前記信号推定手段にて推定した第 2のダゥンサンプル後信号と の差を計算することによって、 前記エイリアシング雑音成分を抽出する雑音抽出 手段と、 を備え、 前記第 2の信号生成手段は、 前記第 1の信号生成手段が間引い た信号をサンプルすることを特徴とする。
つぎの発明にかかる受信装置において、 信号生成/雑音抽出手段は、 入力信号 をエイリアシングが発生する周波数でサンプルすることによって、 第 1のダウン サンプル後信号を生成する第 1の A/D変換手段と、 入力信号をエイリァシング 雑音成分の周波数帯域以上の周波数でサンプルすることによって、 第 2のダウン サンプル後信号を生成する第 2の A/D変換手段と、 前記第 1のダウンサンプル 後信号から前記第 2のダウンサンプル後信号を推定する信号推定手段と、 前記第 2の A/D変換手段にて生成した第 2のダウンサンプル後信号と前記信号推定手 段にて推定した第 2のダウンサンプル後信号との差を計算することによって、 前 記エイリアシング雑音成分を抽出する雑音抽出手段と、 を備え、 前記第 2の A/ D変換手段は、 前記第 1の A/D変換手段におけるサンプル点の中間時刻をサン
プルすることを特徴とする。
つぎの発明にかかる受信装置において、 雑音キャンセル手段は、 逆拡散後のダ ゥンサンプル後信号の隣り合うサンプル点の中間時刻における値を推定するサン プル点推定手段と、 逆拡散後のエイリアシング雑音成分の周波数を高域 (前記ェ ィリアシングが発生する周波数) に変換する高域周波数変換手段と、 前記推定後 のサンプル点と前記周波数変換後の信号のサンプル点とを加算する加算手段と、 を備えることを特徴とする。
つぎの発明にかかる受信装置にあっては、 入力信号から、 エイリアシングが発 生する周波数にダウンサンプルした信号を生成し、 さらに、 当該ダウンサンプノレ 後の信号に含まれるエイリァシング雑音成分を抽出する信号生成/雑音抽出手段 と、 前記ダウンサンプル後信号および前記エイリアシング雑音成分を一時的に記 憶する記憶手段と、 前記記憶手段から読み出した信号を合成してエイリアシング 雑音成分をキャンセルする雑音キヤンセル手段と、 を備えることを特徴とする。 つぎの発明にかかる受信装置にあっては、 入力信号から、 エイリアシングが発 生する周波数にダウンサンプルした信号と、 エイリアシング雑音成分の周波数帯 域以上の周波数にダウンサンプルした信号と、 を生成する信号生成手段と、 前記 サンプル後の 2系統の信号を個別にフーリェ変換するフーリェ変換手段と、 前記 各フーリエ変換出力を周波数領域で演算することによって、 エイリアシング雑音 成分をキャンセルする雑音キャンセル手段と、 を備えることを特徴とする。 発明を実施するための最良の形態
以下に、 本発明にかかる受信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明す る。 なお、 この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態 1 .
第 1図は、 本発明にかかるスぺクトラム拡散用受信装置の実施の形態 1の構成 を示す図である。 第 1図において、 1は A/D変換器であり、 2はスィッチであ り、 3はフィルタであり、 4は減算器であり、 5は発振器であり、 6は乗算器で
あり、 7はスィッチであり、 8は 1 /n倍オーバサンプルマッチドフィルタであ り、 9はフィルタであり、 1 0は乗算器であり、 1 1は 1倍オーバサンプルマツ チドフィルタであり、 1 2は加算器であり、 1 3はスィッチである。
ここで、 上記のように構成される実施の形態 1の受信装置の動作について説明 する。 なお、 入力信号は、 チップレート Rの拡散符号で拡散されたスペク トル拡 散信号がロールオフ率 αのロールオフフィルタを通過した状態の信号とする。 また、 入力信号の周波数帯域は (1 +ひ) RZ 2である。
A/D変換器 1では、 入力信号をサンプルレート 2 Rでサンプリングする。 ス イッチ 2では、 AZD変換器 1出力 (サンプルレート 2 R) に対してシリアル Ζ パラレル変換を行い、 サンプルレート Rにダウンサンプルされた 2つの信号を出 力する。 2つのサンプルレート Rの信号のうち、 第 1図中の Α地点における信号 をフィルタ 3に入力する。 フィルタ 3の出力は、 A地点の信号から B地点の信号 を推定したものである。 減算器 4では、 B地点の信号とその推定値との誤差 (ェ ィリアシング雑音成分) を出力する。
この誤差は、 帯域 ( 1 + a ) R/ 2の信号をサンプルレート Rでサンプルした ことによって、 周波数 R/ 2以上の成分が R/ 2以下に折り返されたものである から、 その周波数成分は、 周波数 (1—ひ) R/ 2〜RZ 2の範囲に集中してい る。 そこで、 乗算器 6では、 この誤差信号に対して発振器 5から出力される信号 を乗算し、 誤差信号の周波数を直流近傍の周波数に変換する。 発振器 5の出力は、 1 , —1 , 1 , —1…の繰り返しで、 サンプノレレートは Rである。
スィツチ 7では、 周波数変換後の乗算器 6出力をサンプルレート; /nでサン プルする。 ここで、 nは n≤ 1 / α の条件を満たす正の整数である。
1 / η倍オーバサンプルマッチドフィルタ 8では、 レート変換後のスィツチ 7 出力を逆拡散する。 フィルタ 9では、 逆拡散結果のサンプルレートを R/ nから Rに変換する。 乗算器 1 0では、 レート変換後のフィルタ 9出力に発振器 5の出 力を乗算し、 周波数 R/72近傍に周波数を変換する。
一方、 1倍オーバサンプルマッチドフィルタ 1 1では、 A地点における信号を
逆拡散する。 フィルタ 3では、 逆拡散信号のサンプル点同士の中間点における値 を推定する。
加算器 1 2では、 補間後のフィルタ 3出力と周波数変換後の乗算器 1 0出力と を加算する。 スィッチ 1 3では、 1倍オーバサンプノレマッチドフイノレタ 1 1出力 と加算器 1 2出力とを交互に出力し、 2倍オーバサンプルの逆拡散信号を出力す る。
このように、 本実施の形態においては、 2倍オーバサンプルマッチドフイノレタ を使用するかわりに 1倍オーバサンプルマッチドフィルタと 1 / n倍オーバサ ンプノレマッチドフィルタを組み合わせて使用する構成とした。 これにより、 2倍 オーバサンプノレマッチドフィルタを使用する場合と比較してより小規模のハード ウェアによる実装が可能となる。
また、 逆拡散出力 (o u t p u t ) にはエイリアシングによる歪みが含まれな いので、 たとえば、 1倍オーバサンプルマッチドフィルタのみを用いる場合と比 較して、 より良好な受信特性を得ることができる。
また、 同期検出等に使用する場合は、 1倍オーバサンプルマッチドフィルタの みを用いる場合と比較して同期検出特性が良好となるため、 同期検出時間が短縮 され、 動作時間短縮, 消費電力削減を実現できる。 また、 ( 1 + 1八) 倍ォー バサンプルによる受信機を構成する場合と比べて、 参照信号 (拡散符号) が多値 にならないため、 回路規模が大幅に削減できる。
なお、 第 1図では、 A/D変換器 1の出力が直接スィッチ 2に入力されている
1S これに限らず、 これらの間に別のディジタル処理回路が揷入されている場合 であっても上記と同様の効果を得ることができる。
また、 本実施の形態では、 ベースパンド信号を A/D変換した場合の説明を行 つたが、 たとえば、 I F帯オーバサンプリングゃ I F帯アンダーサンプリングを 行った場合であってもよい。 I F帯サンプリングの場合も、 サンプリングによる 周波数スぺクトラムの折り返しを考慮し、 エイリアシング部分の帯域に応じて n の値を決定する。
なお、 本実施の形態においては、 1倍オーバサンプルマッチドフィルタ 1 1お ょぴ 1 / n倍オーバサンプルマッチドフィルタ 8の出力を用いる構成としたが、 各マッチドフィルタの後段に巡回積分器を挿入し、 マッチドフィルタ出力信号の S ZNを改善した後に、 前述と同様の手順で 2倍オーバサンプノレの逆拡散信号を 出力する構成とした場合であっても同様の効果を得ることができる。
実施の形態 2 .
第 2図は、 本発明にかかるスぺクトラム拡散用受信装置の実施の形態 2の構成 を示す図であり、 1 4, 1 5はスィッチである。 実施の形態 1の第 1図との相違 点は、 nは正の偶数であること, 発振器 5の出力を乗算する箇所が 1箇所である こと, 減算器 4の動作速度が RZnであること、 の 3点である。
ここで、 実施の形態 2の動作を説明する。 なお、 ここでは、 前述した実施の形 態 1と異なる動作についてのみ説明する。
スィツチ 1. 4では、 サンプルレート 2 Rで A/D変換後の信号をサンプルレー ト Rでサンプノレする。 一方、 スィッチ 1 5では、 サンプルレート 2 Rで A/D変 換後の信号をサンプルレート R/ nでダウンサンプルする。 ただし、 スィッチ 1 5におけるレート変換後の出力タイミングは、 スィッチ 1 4が間引いた点とする。 フィルタ 3では、 レート変換後のスィッチ 1 4出力から、 スィッチ 1 4が間引 いた点の値を推定する。
なお、 本実施の形態では、 nを偶数としたので、 スィッチ 7出力は、 常に同じ 値が乗算され、 以下の説明のように簡略化できる。 スィッチ 7では、 フィルタ 3 出力の推定値をサンプルレート RZ nでサンプルする。 ?咸算器 4では、 サンプル レート R/ nにレート変換後の、 スィツチ 1 5出力とスィッチ 7出力との差を計 算する。 ここでは、 nが偶数であるため、 前述の乗算器 6が省略でき、 また、 減 算器 4の動作速度が R/ nと遅くなる。
また、 1倍オーバサンプルマッチドフィルタ 1 1では、 スィッチ 1 4出力の信 号を逆拡散する。
このように、 本実施の形態においては、 前述の実施の形態 1と比較して、 減算
器の動作速度が R/ nと遅くなっており、 力つ発振器 5の出力を乗算する箇所が 1箇所と減っている。 そのため、 前述の実施の形態 1と同様の効果が得られると ともに、 さらなる回路規模の縮小化および低消費電力化を実現できる。
なお、 第 2図では、 A/D変換器 1の出力が直接スィッチ 1 4に入力されてい るが、 これに限らず、 これらの間に別のディジタル処理回路が揷入されている場 合であっても上記と同様の効果を得ることができる。
また、 本実施の形態においては、 1倍オーバサンプノレマッチドフィルタ 1 1お ょぴ 1 / n倍オーバサンプルマッチドフィルタ 8の出力を用いる構成としたが、 各マッチドフィルタの後段に巡回積分器を挿入し、 マッチドフィルタ出力信号の S /Nを改善した後に、 前述と同様の手順で 2倍オーバサンプルの逆拡散信号を 出力する構成とした場合であっても同様の効果を得ることができる。
実施の形態 3 .
第 3図は、 本発明にかかるスぺクトラム拡散用受信装置の実施の形態 3の構成 を示す図であり、 1 6は発振器である。 前述の実施の形態 2との相違点は、 nが 正の奇数であること, 発振器 1 6の動作速度が R/ nであること, 乗算器 6を用 いること、 の 3点である。
ここで、 実施の形態 3の動作を説明する。 なお、 ここでは、 前述した実施の形 態 1または 2と異なる動作についてのみ説明する。
本実施の形態では、 nを奇数としたので、 スィッチ 7出力を以下の説明のよう に簡略化できる。 スィッチ 7では、 フィルタ 3出力をサンプルレート R/ nでサ ンプルする。 減算器 4では、 レート変換後のスィッチ 1 5出力とスィッチ 7出力 との差を計算する。 乗算器 6では、 誤差信号に対して発振器 1 6から出力される 信号を乗算する。 nが奇数であるため、 乗算器 6をサンプルレート R/ nの部分 に配置できる。 また、 減算器 4の動作速度を RZ 11と遅くできる。
このように、 本実施の形態においては、 減算器 4, 乗算器 6 , 発振器 1 6の動 作速度が RZ nであり、 実施の形態 1よりも低速な動作となる。 これにより、 さ らなる回路規模の縮小化および低消費電力化を実現できる。
実施の形態 4 .
第 4図は、 本発明にかかるスぺクトラム拡散用受信装置の実施の形態 4の構成 を示す図であり、 1 7 , 1 8は A/D変 m¾である。 前述した実施の形態 2との 相違点は、 サンプルレートが Rと R/nの、 2個の A/D変換器を用いる点であ る。
ここで、 実施の形態 4の動作を説明する。 なお、 ここでは、 前述した実施の形 態 1、 2または 3と異なる動作についてのみ説明する。
AZD変換器 1 7では、 入力信号をサンプルレート Rでサンプルする。 一方、 A/D変換器 1 8では、 入力信号をサンプルレート R/ nでサンプルする。 ただ し、 A/D変換器 1 8は、 サンプル点が AZD変換器 1 7のサンプル点の中間と なるようにサンプルする。 フィルタ 3では、 サンプルレート Rで A/D変換後 の信号を受け取り、 隣り合うサンプル点の中間点における値を推定する。
このように、 本実施の形態においては、 サンプルレートが 2 Rの A/D変換器 を用いずに、 サンプルレートが Rと R/nの 2個の A/D変換器を用いる構成と した。 これにより、 前述した実施の形態 2と同様の効果が得られるとともに、 さ らなる回路規模の縮小化を実現できる。
また、 AZD変換器のサンプルレートが Rと R/nであるため、 サンプルレー ト 2 Rの AZD変換器を使用する場合と比較して A/D変換器の動作率が低くな り、 さらなる低消費電力化を実現できる。
なお、 本実施の形態では、 nが偶数の場合について記述したが、 たとえば、 n が奇数の場合には、 前述した実施の形態 3の構成を適用する。
実施の形態 5 .
第 5図は、 本発明にかかる受信装置の実施の形態 5の構成を示す図であり、 1 9は AZD変換器であり、 2 0, 2 1はメモリである。 前述した実施の形態 1と の相違点は、 マッチドフィルタをメモリに置き換えた点である。
ここで、 実施の形態 5の動作を説明する。 なお、 ここでは、 前述した実施の形 態 1と異なる動作についてのみ説明する。 また、 本実施の形態では、 入力信号を
4ビット A/D変換し、 2 XRXN個のメモリに記憶する回路を想定する。
第 6図は、 上記記憶回路の一例を示す図である。 第 6図において、 22はメモ リである。 この場合、 メモリ容量は 4 X 2 XRXNビット分だけ必要である。 一 方、 第 5図の回路を用いることにより、 情報量を落とすことなく、 第 6図と同等 の記憶回路を実現できる。
第 5図を用いて具体的に説明すると、 まず、 A/D変換器 19では、 入力信号 をサンプルレート 2R、 量子化ビット数 4ビットで、 AZD変換を実施する。 そして、 A地点における信号がメモリ 20に入力され、 また、 スィッチ 7の出 力がメモリ 21に入力される。 メモリ 21への入力信号は、 エイリアシングによ る誤差成分であり、 一般に入力信号よりもレベルが低いので、 1サンプルあたり のビット数は、 メモリ 20のビット数よりも少なくて済む。 一例として、 第 5図 では、 メモリ 21における 1サンプルあたりのビット数を 2ビットとした。 した がって、 第 5図のメモリ容量は、 4 XRXN+ 2 XRXN/n [ビット] となる。 すなわち、 n = 4の場合は、 4. 5 RN [ビット] となる。 このように、 第 6図 では、 8 RNであるから、 メモリ容量はほぼ半分に削減される。
つぎに、 フィルタ 9では、 メモリ 21から読み出した信号のサンプルレート R /nを Rに変換する。 一方、 フィルタ 3では、 メモリ 20から読み出したデータ の隣り合うサンプル同士の中間点における値を推定する。
このように、 本実施の形態においては、 2倍オーバサンプル用の容量を持つメ モリを使用するかわりに、 1倍オーバサンプル用のメモリと lZn倍オーバサン プル用のメモリとを組み合わせて使用する構成とした。 これにより、 特性を劣化 させることなく、 メモリ容量を大幅に削減できる。
なお、 本実施の形態のような 2つのメモリを備える構成は、 nが偶数の場合や 奇数の場合、 前述した実施の形態 2や実施の形態 3における回路の簡略ィ匕を適用 できる。
また、 本実施の形態の構成は、 上記に限らず、 帯域制限されたディジタル信号 を伝送し、 伝送するサンプル数を、 標本ィ匕定理を満たす限界まで削減したい場合
においても、 回路を複雑ィ匕することなく実現できる。 たとえば、 基地局のように、 多数のモデムを並列に使用するような環境で、 かつ AZD変換器から各モデムへ の伝送容量 (配線数) を削減するような用途、 に適用してもよい。
実施の形態 6. .
第 7図は、 本発明にかかる受信装置の実施の形態 6の構成を示す図である。 第 7図において、 24, 25はスィッチであり、 26, 27はメモリであり、 28, 29は F FT (fast fourier transform) 演算部であり、 30は周波数軸上演算 処理部であり、 3 1はメモリである。
ここで、 実施の形態 6の動作を説明する。 なお、 ここでは、 前述した実施の形 態 1〜5と異なる動作についてのみ説明する。 入力信号は、 周波数帯域が (1 + a) R/2以下に制限されているものとし、 0≤ ≤ 1である。 本実施の形態で は、 入力信号に対して 4ビット A/D変換を行レ、、 さらに、 2 X N点 F F T処理 を行い、 その結果をメモリに格納する回路を想定する。
このような回路は、 マルチキヤリャ CDMAや OFDM (orthogonal frequen cy division multiplex) などで一般的に使用されるものである。 第 8図は、 マ ルチキヤリャ CDMAや OF DMで一般的に使用される回路の一例を示す図であ る。 第 8図において、 32はメモリであり、 3 3は FFT演算部であり、 34は メモリであり、 メモリ容量は入出力合わせて ( 4 + 8 ) X 2 X Nビットだけ必要 である。
第 7図を用いて具体的に説明すると、 まず、 AZD変換器 1 9では、 入力信号 をサンプルレート 2 R、 量子化ビット数 4ビットで、 A/D変換を実施する。 スィッチ 24では、 A/D変換後の信号のサンプルレートを Rに変換する。 一 方、 スィッチ 25では、 A/D変換後の信号のサンプルレートを R / nに変換す る。 ただし、 スィッチ 25では、 レート変換出力のタイミングがスィッチ 24が 間引いた点になるように動作する。 メモリ 26, 27では、 スィッチ 24, 25 の出力をそれぞれ Nサンプル, N/nサンプル毎に格納する。 なお、 nを、 n≤ l/αを満たす正の整数とする。 たとえば、 第 8図が 1 024点 FFTを実現
する回路であり、 α
2 8と なる。
F F T演算部 2 8 , 2 9では、 それぞれメモリ 2 6 , 2 7の内容を読み出し、 読み出したデータを周波数領域に変換する。 周波数軸上演算処理部 3 0では、 ェ ィリアシングによる誤差のキャンセル処理を周波数軸上で行う。 そして、 誤差キ ヤンセル後の周波数軸上演算処理部 3 0の出力をメモリ 3 1に格納する。
このように、 本実施の形態においては、 2 X N点 F F Tのかわりに N点 F F T と NZ n点 F F Tを用いる構成とした。 これにより、 特性を劣化させることなく メモリ使用量を削減できる。 また、 F F T演算量の削減, 消費電力の削減を実現 できる。
以上、 説明したとおり、 本発明によれば、 逆拡散手段として、 たとえば、 1倍 組み合わせて使用する構成とした。 これにより、 2倍オーバサンプルマッチドフ ィルタを使用する場合と比較して、 より小規模のハードウェアによる実装が可能 となる、 という効果を奏する。 また、 上記組み合わせによれば、 装置出力にエイ リアシングによる歪みが含まれないので、 たとえば、 1倍オーバサンプルマッチ ドフィルタのみを用いる場合と比較して、 より良好な受信特性を得ることができ る、 という効果を奏する。 また、 たとえば、 同期検出等に使用する場合には、 1 倍オーバサンプルマッチドフィルタのみを用いる場合と比較して同期検出特性が 良好となるため、 同期検出時間が短縮され、 動作時間短縮, 消費電力削減を実現 できる、 という効果を奏する。
つぎの発明によれば、 2系統のうちの一方のダウンサンプル後信号から他方の ダゥンサンプル後信号を推定し、 2系統のうちの他方のダゥンサンブル後信号と 推定ダウンサンプル後信号との差を計算する構成とした。 これにより、 簡易な構 成でエイリアシング雑音成分を抽出できる、 という効果を奏する。
つぎの発明によれば、 雑音サンプル手段が、 受け取った信号を、 エイリアシン グ雑音成分の周波数帯域以上の周波数でサンプルする構成とした。 これにより、
動作速度が遅くなるため、 低消費電力化を実現できる、 という効果を奏する。 つぎの発明によれば、 雑音抽出手段の動作速度がさらに遅くなつているため、 さらなる回路規模の縮小化および低消費電力化を実現できる、 という効果を奏す る。
つぎの発明によれば、 エイリアシングが発生しない周波数でサンプルする A/ D変換器を用いずに、 エイリアシングが発生する周波数 Rでサンプルする第 1の A/D変換手段と、 エイリアシング雑音成分の周波数帯域以上の周波数でサンプ ルする第 2の A/D変換手段と、 を用いる構成とした。 これにより、 さらなる回 路規模の縮小化を実現できる、 という効果を奏する。 また、 エイリアシングが発 生しない周波数でサンプルする A/D変換器よりもサンプルレートが遅くなるた め、 A/D変 の動作率が低くなり、 さらなる低消費電力化を実現できる、 と レヽぅ効果を奏する。
つぎの発明によれば、 逆拡散後のダゥンサンプノレ後信号の隣り合うサンプル点 の中間時刻における値を推定する。 一方で、 逆拡散後のエイリアシング雑音成分 の周波数を高域に変換する。 そして、 補間後の信号と周波数変換後の信号とを加 算する。 これにより、 簡易な構成でエイリアシング雑音成分をキャンセルできる、 という効果を奏する。
つぎの発明によれば、 記憶手段として、 たとえば、 1倍オーバサンプル用のメ モリと l Z n倍オーバサンプル用のメモリとを組み合わせて使用する構成とした。 これにより、 2倍オーバサンプル用のメモリを用いる場合と比較して、 特性を劣 化させることなくメモリ容量を大幅に削減できる、 という効果を奏する。
つぎの発明によれば、 フーリエ変換手段として、 たとえば、 N点 F F Tと NZ n点 F F Tを用いる構成とした。 これにより、 2 X N点 F F Tを用いた場合と比 較して、 特性を劣化させることなくメモリ使用量を削減できる、 という効果を奏 する。 また、 F F T演算量の削減, 消費電力の削減を実現できる、 という効果を 奏する。
産業上の利用可能性
以上のように、 本発明にかかる受信装置は、 スペクトラム拡散方式を用いた無 線通信に有用であり、 特に、 エイリアシングによる特性劣化を防止するための装 置として適している。