明 糸田 書 易氷雪剥離性の表面構造 技術分野
本発明は、 易氷雪剥離性に優れた表面特性を付与し得る物品の表面構造 に関する。 背景技術
屋外に設置される各種器具、 装置、 建造物やそれらの部品などは、 冬期 に着氷や着雪が生じ、 本来の機能が低下したり、 破損が生じたり、 場合に よっては負傷の原因になることもある。 そうした着氷や着雪を防止するた め、 従来、 各種の表面処理がなされている。
たとえば、 表面に微細な凹凸を形成する方法、 着氷 (雪) 防止剤を表面 に散布する方法、 着氷 (雪) 防止層を表面に設ける方法などが知られてい る。
これらのうち着氷 (雪) 防止層を表面に設ける方法は、 主として表面の 撥水性を大きくする (対水接触角を大きくする) ことで着氷 (雪) を防止 する方向で検討され実施されている。 たとえば特開平 8— 3 4 7 7号公報 には、 分子量 5 0 0〜2 0 0 0 0の末端フッ素化されたポリテトラフルォ 口エチレン (P T F E) 粉末を非フッ素系樹脂中に混入させた撥水性水性 塗料を用いて着雪を防止することが記載されている。 また特開平 8— 3 4 7 9号公報には、 分子量 5 0 0〜2 0 0 0 0の末端フッ素化された P T F E粉末を液状樹脂 (たとえばフッ素樹脂やシリコーン系樹脂、 ポリエステ ル樹脂) 中に配合した着雪防止塗料を用いて着雪を防止することが記載さ れている。
しかしながら、 P T F E粉末を樹脂中に均一に分散させることは困難で あり、 表面に撥水性の小さい部分が残ってしまい、 着雪防止効果が損なわ れることがあった。
また、 着氷 (雪) 防止剤などによっても着氷 (雪) が生ずることがある。 そのような場合、 容易に着氷 (雪) した氷や雪が除去できれば機能の回復 を迅速に行なうことができ、 被害を最小限に止めることができる。
しかし、 着氷 (雪) 防止を課題とした開発は種々行なわれていたが、 除 氷や除雪を容易に行なうことを課題とする開発は未だ充分とはいえない。 除氷や除雪は、 通常、 振動や衝撃などの機械的エネルギーまたは加熱な どの熱エネルギーを外部から加えて行なっている。 しかし、 機械的ェネル ギ一を加える方法では物品の表面に氷や雪が残つてしまい、 その後の着氷 や着雪を容易にしてしまう。 熱エネルギーを加える方法は物品の表面に氷 や雪が残ることは少ないが、 表面に接する全ての氷や雪を解かすには多大 なエネルギーが必要になるほか温度も高くなり、 熱に敏感な装置などには 適用できない。
本発明の目的は、 物品の表面に着氷 (雪) した氷または雪が容易に自重 によって表面から離脱 (剥離) 可能な表面構造を提供することを目的とす る。 発明の開示
すなわち本発明は、 つぎの特性 (1 ) を満たす自由表面を有する物品の 易氷雪剥離性の表面構造に関する。
( 1 ) 温度が空気の露点以下に維持されている物品の自由表面に形成され る氷の結晶が綿状に繋がっている。
また本発明は、 つぎの特性 (2 ) を満たす自由表面を有する物品の易氷 雪剥離性の表面構造にも関する。
( 2 ) 物品の自由表面に着氷または着雪した氷または雪の結晶が、 氷もし くは雪および/または物品に熱エネルギーまたは機械的エネルギーが加わ ることにより自重で自由表面から剥離する。
これらの表面構造においては、 物品の自由表面が表面特性の異なる少な くとも 2種類の表面部分を含むものが好ましく、 またさらに、 少なくとも 1種類の表面部分が撥水性であることが好ましい。
本発明はまた、 表面特性の異なる 2種類の表面部分 (A) および表面部 分 (B) を含む自由表面を有する物品の表面構造であって、 該自由表面が つぎの特性 (3 ) および (4 ) で定義される表面特性を満たす物品の易氷 雪剥離性の表面構造にも関する。
( 3 ) 前記物品の自由表面全体に氷結または着雪させたのちに該自由表面 を加熱した場合、 表面部分 (A) と接した氷または雪の界面部分の融解が 表面部分 (B) と接した氷または雪の界面部分の融解に先じて生じる。
( 4 ) 前記物品の自由表面全体に氷結または着雪させたのちに該自由表面 を加熱した場合、 表面部分 (A) 上の氷または雪の結晶の少なくとも一部 と表面部分 (B ) 上の氷または雪の結晶の少なくとも一部とが連なって自 重により自由表面から剥離する。
本発明が対象とする物品としては特に限定されず、 基材と被覆層とから なる積層体であり前記自由表面が該被覆層の自由表面であるような物品で も、 単一の成形品であり前記自由表面が該成形品の自由表面であるような 物品でもよい。
物品が積層体の場合、 被覆層が被覆組成物を塗工して得られる層であつ ても、 被覆層がフィルムまたはシートを積層して得られる層であってもよ い。
物品が成形品である場合、 フィルムまたはシートであっても、 成形品が 輪郭を有する製品であってもよい。
易氷雪剥離性の表面は種々の方法により形成でき、 たとえば基材に被覆 組成物を塗工することにより形成してもよいし、 物品の自由表面を物理的 または化学的に加工して形成してもよい。
本発明において 「易氷雪剥離性」 とは、 物品の表面に着氷または着雪し た氷または雪が、 自重により表面から剥離 (離脱) する性質をいう。 その 結果、 氷または雪が剥離した後の物品表面には氷や雪はほとんど残存せず、 さらにそれらが融解した水滴もほとんど残存しない。 この点で表面に氷ま たは雪が残存する従来の除氷および除雪と異なる。 その現象は、 後述する 図面に示す写真により明確に把握できるであろう。
除氷 (雪) と着氷 (雪) が繰り返される場合、 除氷 (雪) 後の物品の表 面に氷 (雪) や水滴が残存すると、 つぎの着氷 (雪) 時に氷結や着雪の核 になり、 次第に除氷 (雪) が困難になる。 本発明の表面構造では、 こうし た除氷 (雪) 後に物品の表面に氷 (雪) や水滴の残存がほとんどなく、 易 氷雪剥離効果を長期に持続させることができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 1で形成した本発明の表面構造を有する試料板表面に着 氷する状況を説明するための写真であり、 フロストーデフロスト試験の第 1サイクルにおけるフロスト開始 1 0分後の C C D写真 (全体) である。 図 2は、 図 1の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 3は、 実施例 1で形成した本発明の表面構造を有する試料板表面に着 氷する状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロスト試験の第 1サイクルにおけるフロスト運転終了時の C C D写真 (全体) である。 図 4は、 図 3の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 5は、 実施例 1で形成した本発明の表面構造を有する試料板表面から 着氷が剥離する状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロスト
試験の第 1サイクルにおけるデフロスト開始直後の C C D写真 (全体) で ある。
図 6は、 図 5の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 7は、 実施例 1で形成した本発明の表面構造を有する試料板表面から 着氷が剥離する状況を説明するための写真であり、 フロスト—デフロスト 試験の第 1サイクルにおけるデフロスト運転終了時の C C D写真 (全体) である。
図 8は、 図 7の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 9は、 実施例 1で形成した本発明の表面構造を有する試料板表面に着 氷する状況を説明するための写真であり、 フロスト—デフロスト試験の第 2サイクルにおけるフロスト終了時の C C D写真 (全体) である。
図 1 0は、 図 9の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 1 1は、 実施例 1で形成した本発明の表面構造を有する試料板表面か ら着氷が剥離する状況を説明するための写真であり、 フロストーデフロス ト試験の第 2サイクルにおけるデフロスト開始直後の C C D写真 (全体) である。
図 1 2は、 実施例 1で形成した本発明の表面構造を有する試料板表面か ら着氷が剥離する状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロス ト試験の第 2サイクルにおけるデフロスト開始 3 0秒後の C C D写真 (全 体) である。
図 1 3は、 実施例 1で形成した本発明の表面構造を有する試料板表面か ら着氷が剥離する状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロス ト試験の第 2サイクルにおけるデフ口スト運転終了時の C C D写真 (全体 ) である。
図 1 4は、 図 1 3の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 1 5は、 比較例 1で形成した比較用の表面構造を有する試料板表面に
着氷する状況を説明するための写真であり、 フロストーデフロスト試験の 第 1サイクルにおけるフロスト開始 1 0分後の C C D写真 (全体) である。 図 1 6は、 図 1 5の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 1 7は、 比較例 1で形成した比較用の表面構造を有する試料板表面に 着氷する状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロスト試験の 第 1サイクルにおけるフロスト運転終了時の C C D写真 (全体) である。 図 1 8は、 図 1 7の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 1 9は、 比較例 1で形成した比較用の表面構造を有する試料板表面で 着氷が融ける状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロスト試 験の第 1サイクルにおけるデフロスト開始直後の C C D写真 (全体) であ る。
図 2 0は、 図 1 9の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 2 1は、 比較例 1で形成した比較用の表面構造を有する試料板表面で 着氷が融ける状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロスト試 験の第 1サイクルにおけるデフロスト運転終了時の C C D写真 (全体) で ある。
図 2 2は、 図 2 1の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 2 3は、 比較例 1で形成した比較用の表面構造を有する試料板表面に 着氷する状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロスト試験の 第 2サイクルにおけるフロスト終了時の C C D写真 (全体) である。
図 2 4は、 図 2 3の拡大 (1 . 2倍) 写真である。
図 2 5は、 比較例 1で形成した比較用の表面構造を有する試料板表面で 着氷が融ける状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロスト試 験の第 2サイクルにおけるデフロスト開始直後の C C D写真 (全体) であ る。
図 2 6は、 比較例 1で形成した比較用の表面構造を有する試料板表面で
着氷が融ける状況を説明するための写真であり、 フロスト—デフロスト試 験の第 2サイクルにおけるデフロスト開始 1分後の C C D写真 (全体) で ある。
図 2 7は、 比較例 1で形成した比較用の表面構造を有する試料板表面で 着氷が融ける状況を説明するための写真であり、 フロスト一デフロスト試 験の第 2サイクルにおけるデフロスト運転終了時の C C D写真 (全体) で ある。
図 2 8は、 図 2 7の拡大 ( 1 . 2倍) 写真である。
図 2 9は、 実施例 2で形成した本発明の表面構造を有する試料板表面か ら着氷が融ける状況を説明するための写真であり、 フロスト—デフロスト 試験の第 2サイクルにおけるデフロスト開始直後の C C D写真 (全体) で め 発明を実施するための最良の形態 まず、 本発明の表面構造の上記 (1 ) 〜 (2 ) について説明する。 特性 ( 1 ) :
「温度が空気の露点以下に維持されている物品の自由表面に形成される氷 の結晶が綿状に繋がっている。 」
この特性は、 表面に形成される氷が綿状に連なった形態をとることによ つて、 氷と物品の表面との接触を最小限とする性質である。
通常、 冷却された平面に氷が形成される場合、 氷は表面に沿って 2次元 的に成長していき、 最終的には表面を氷の膜で覆う形態となる (冬期に路 上に駐車している自動車の窓に張り付いた氷など) 。 このように表面に面 的に密着した氷の膜を取り除くことは容易ではない。
本発明の表面構造によれば、 物品の表面に形成される氷を物品の表面に 面的に密着した膜状ではなく、 物品の表面に最初に形成された氷の結晶か
ら 3次元的につぎの結晶が針状に繋がっていき、 全体として綿状の氷の層 が形成される。 この綿状の氷の層は、 物品の表面とは最小限の面積で接し ている (たとえば点接触している) 。 なお、 氷の層が綿状であることは、 顕微鏡による観察で容易に確認できる。
その結果、 物品の表面と綿状の氷との結合力が最小限に抑えられ、 氷は 物品の表面に残存することなく容易に剥離することができる。
本発明の表面構造によれば、 綿状の氷の層は、 空気中の水分量 (湿度) に拘わらず、 物品の表面が空気の露点以下に維持されているときに生ずる。 冷却速度は冬期に屋外に放置したときの徐冷から、 冷凍機などによる急冷 であってもよい。
実験的には、 表面温度一 7土 1 に維持された物品の自由表面に平行に 相対湿度 8 7 ± 3 %で温度 7 ± 0 . 2 °Cの空気を風速 1 mZ秒で流したと き、 物品の自由表面に形成される氷の結晶が綿状に繋がっていればよい。 特性 ( 2 ) :
「物品の自由表面に着氷または着雪した氷の結晶が、 氷もしくは雪および /または物品に熱エネルギーまたは機械的エネルギーが加わることにより 自重で自由表面から剥離する。 」
この特性は、 氷が物品の表面から除かれるときに、 氷が実質的に物品の 表面に残存することなく、 しかも自重により剥離 (離脱) する性質である。 この特性により、 それ以降の着氷や着雪の核になる氷が物品の表面に残存 せず、 着氷 (雪) を繰返し効果的かつ長期間防止することができる。
かかる特性を有する表面構造の一例としては、 特性 (1 ) を満たす構造 のものが好ましくあげられる。
加えるエネルギーは熱エネルギーでも機械的エネルギー (風力エネルギ —や振動エネルギー、 衝撃エネルギー) でもよいが、 物品に与える破損や 障害の危険性が少ない点および物品の表面からの氷の剥離状態が良好な点
から熱エネルギーが好ましく、 またエネルギーコストゃ維持管理が容易な 点から風力エネルギーも好ましい。 もちろん併用してもよい。 熱エネルギ —を加える方法としては、 物品を加熱または加温する方法や外部から熱線 を照射する方法などの積極的にエネルギーを加える方法でも、 太陽光に曝 露する方法などの自然エネルギーを利用する方法でもよい。 機械的ェネル ギ一においても自然エネルギーである風力エネルギーは有用である。
特性 (1 ) または (2 ) を満たす物品の自由表面は、 表面特性が異なる 少なくとも 2種類の表面部分を有していることが望ましい。 表面特性が異 なる表面とすることにより着氷 (雪) 状態を不均一にでき、 特性 (1 ) お よび (2 ) の達成が容易になる。
また、 少なくとも 1種類の表面部分を撥水性とすることが好ましい。 撥 水性表面部分では着氷 (雪) を遅らせることができるとともに、 着氷 (雪 ) 後にも物品の表面と氷 (雪) との結合力を小さくすることができる。 本発明の表面構造の別の形態は、 前記特性 (3 ) と (4 ) を満たす表面 部分 (A) と (B ) を有する。 これらの特性について説明する。 なお以下、 着氷の場合を主として説明するが、 着雪の場合も同様である。
特性 ( 3 ) :
「物品の自由表面全体に氷結させたのちに該自由表面を加熱した場合、 表 面部分 (A) と接した氷の界面部分の融解が表面部分 (B ) と接した氷の 界面部分の融解に先じて生じる。 」
特性 (4 ) :
「物品の自由表面全体に氷結させたのちに該自由表面を加熱した場合、 表 面部分 (A) 上の氷の結晶の少なくとも一部と表面部分 (B) 上の氷の結 晶の少なくとも一部とが連なって自重により自由表面から剥離する。 」 特性 (3 ) は、 表面部分 (A) と氷との密着結合関係をまず解くことに より、 氷全体の離脱を容易にするための特性である。 従来は着氷した界面
全体の氷を表面特性に関係なく融解しようとしていたため、 界面面積の大 きい部分で融解が生じなければ氷の離脱現象は生じなかつたが、 本発明に よれば表面部分 (A) のみの融解で氷全体の離脱が生ずる状態となる。 氷の離脱をさらに容易にするためには、 表面部分 (B) が氷 (水) に対 して結合しにくい特性、 たとえば撥水性または粗い表面などを有している ことが好ましい。 この場合、 表面部分 (A) の界面で氷の融解が生ずれば 表面部分 (B) の融解の有無に関係なく特性 (4) が生じ得る。
特性 (4) は、 表面部分 (B) 上の氷が必ずしも融解しなくても物品の 自由表面から剥離することを示す特性である。 この場合の特徴は、 表面部 分 (A) から先に離脱した氷の結晶と一体に表面部分 (B) の氷の結晶が 剥離する点にある。 通常は、 剥離する前に表面部分 (B) 上の氷も融解し てしまう。
これらの特性 (3) および (4) を満たす表面構造をとるとき、 着氷箇 所に少ない熱エネルギーを加えるだけで容易に氷を除去できる。
自由表面は表面部分 (A) および (B) 以外の表面部分を有していても よいが、 自由表面の上記特性 (3) および (4) を損なうものであっては ならない。
加熱は物品に加えてもよい (すなわち物品側を暖める) し、 着氷表面を 外部から加熱してもよい (たとえば熱線照射や太陽光) 。 いずれの加熱方 法によっても時間の長短はあるが、 本発明の表面構造を有する物品では着 氷の剥離が生ずる。
表面部分 (A) と表面部分 (B) の面積割合や平面形状、 配置、 表面部 分の立体形状などは、 上記特性 (3) と (4) を満たす限り限定されない が、 つぎのようなものが好ましい。
(A) / (B) の面積割合:
1Z99〜99Z1の広い範囲で選択できるが、 エネルギー面から表面
部分 (A) の割合が少ない方が望ましい。
表面部分の平面形状と配置:
どのような形状や配置でもよい。 限定されない例としては、 (A) と ( B ) とが縞状に並んだもの; (A) と (B) とが海島状に配置されている もの; (A) が (B ) 中に点状または水玉状に分散しているもの (または その逆) ; (A) が (B ) 上に格子状に配置されているもの (またはその 逆) ; (A) が (B) 上にリング状に配置されているもの (またはその逆 ) など。
表面部分の立体形状:
特に限定されず、 平面状でも突起状でも異形でもよい。 また、 一方が他 方表面より高いテラス状 (角台状または円台状など) であってもよい。 表面部分 (A) と (B) に上記表面特性を付与する方法としては、 表面 を形成する材質を選定する方法、 表面粗さを選定する方法、 表面加工を部 分的に加える方法、 表面処理を部分的に施す方法などがあり、 物品の目的、 使用場所、 サイズなどにより、 1つまたは 2つ以上の方法を組合わせて付 与すればよい。
つぎに本発明の表面構造の形成方法について説明する。
形成方法は特に限定されず、 公知の方法を適用することができる。 たと えば、 (1 ) 塗装による方法、 (2 ) 各種成形 (モールディング) による 方法、 (3 ) 各種化学的表面加工による方法、 (4 ) 各種物理的表面加工 による方法、 (5 ) 積層体などの複合体とする方法などがあげられる。
( 1 ) 塗装による方法:
つぎの表面処理用組成物を物品に塗装し、 本発明の特定の自由表面を形 成する。
使用する表面処理用組成物としては、 たとえば、
( a ) 撥水性のバインダー樹脂、
(b) ポリテトラフルォロエチレン (PTFE) 粒子、
(c) 分散剤、
(d) 低熱容量の粒子、 および
(e) 溶媒
とからなる表面処理用組成物が好ましい。
この表面処理用組成物で形成された塗膜の自由表面において、 表面部分 (A) は低熱容量の粒子 (d) が形成し、 表面部分 (B) は撥水性バイン ダー樹脂 (a) と PTFE粒子 (b) が形成しているものと推定される。 撥水性バインダー樹脂 (a) としては、 撥水性であって、 かつ PTFE 粒子 (b) と低熱容量粒子 (d) を均一な分散状態で保持できるものであ ればよい。 また、 撥水性の程度としては対水接触角が大きい方が望ましく、 表面部分 (B) の対水接触角を 140度以上とするものが好ましい。 ただ、 樹脂 (a) の単独塗膜表面の対水接触角が 140度以上である必要はない が、 100度以上であるのが、 目的とする撥水性を処理された表面に付与 しゃすい点から好ましい。 上限は理論上 180度である。
そうしたバインダー樹脂 (a) としては、 たとえばフッ素樹脂、 シリコ —ン樹脂、 ウレタン樹脂などがあげられるが、 PTFE粒子の分散性など が優れる点からフッ素樹脂が好ましい。
フッ素樹脂としては、 従来公知のフッ素樹脂の中から選択できるが、 耐 候性、 塗料化、 溶剤溶解性などに有利なことから、 テトラフルォロェチレ ン (TFE) 、 クロ口トリフルォロエチレン (CTFE) 、 へキサフリレオ 口プロピレン (HFP) を主体とする共重合体が好ましい。
これらのフッ素樹脂としては、 たとえば特開昭 57- 34107号公報、 特開昭 62 - 7767号公報、 特開昭 62— 174213号公報、 特開平 2- 265979号公報、 特開平 2 _ 298645号公報、 特開平 4一 2 79612号公報などに記載の含フッ素共重合体が好ましくあげられ、 特
に特開平 4— 279612号公報記載の
式 (I) :
-CF2-CFX- (I)
(式中、 Xはフッ素原子、 塩素原子、 水素原子またはトリフルォロメチル 基である) で表わされるフルォロォレフイン構造単位(1)、
(2) 式 (II) :
-CH2-CR (CH3) - (II)
(式中、 Rは炭素数 1〜8のアルキル基である) で表わされる /3—メチル 置換 ーォレフィン構造単位(2)、
(3) 化学的硬化性反応性基を有する単量体に基づく構造単位 (3) 、
(4) エステル基を側鎖に有する単量体に基づく構造単位 (4) 、 および
(5) 他の共重合可能な単量体に基づく構造単位 (5)
からなり、 構造単位 (1) が 20〜60モル%、 構造単位 (2) が 5〜2 5モル%、 構造単位 (3) が 1〜45モル%、 構造単位 (4) が 1〜45 モル%および構造単位 (5) が 0〜45モル% (ただし、 構造単位 (1) + (2) の合計が 40〜90モル%である) 含まれてなる数平均分子量 1 000〜 500000の含フッ素共重合体が有用である。
化学的硬化性反応性基を有する単量体に基づく構造単位 (3) の代表例 としては、 硬化反応性基が水酸基、 力ルポキシル基、 エポキシ基、 シリル 基などであるビニル単量体などがあげられる。
硬化反応性基が水酸基であるビエル単量体としては、 たとえばヒドロキ シアルキルビニルエーテル、 ヒドロキシアルキルビニルエステルなどをあ げることができる。
力ルポキシル基含有ビニル単量体としては、 たとえばクロトン酸、 マレ イン酸、 アクリル酸、 メタクリル酸、 ィタコン酸、 ビニル酢酸、 またはこ れらに由来する単量体をあげることができる。
エポキシ基含有ビニル単量体としては、 たとえば特開平 2— 23225 0号公報、 特開平 2— 232251号公報などに記載されているものがあ げられ、 たとえばつぎの式で示されるエポキシビニルまたはエポキシビニ ルエーテルなどが例示できる。
CH2 = CH-R5-R6 H
(式中、 R5は、 _CH2—〇— R7、 — CH2— O— R7— C一、
OH
— O— R7—、 または一 R7— (ただし、 R7は、 アルキレン基) 、
R8
R6は、 _C— CH2 (ただし、 R8は、 水素原子またはアルキル基) 、
\ /
-れらの具体例としては、 たとえばつぎの単量体があげられる (
CH.
CH2 = CHCH20-CH2-C-CH.
\ /
〇 、
CH2 = CHO- -CH2--^C-CH2
O 、
CH2 = CH— CH2— CH— CH2
\ /
、
シリル基含有ビニル単量体としては、 たとえば特開昭 61 - 141 71 3号公報に記載されたものがあげられ、 たとえばピエルトリメトキシシラ ン、 ビニルトリエトキシシラン、 ビニルトリプロポキシシラン、 ビニルメ チルジメトキシシラン、 ビニルジメチルメトキシシラン、 ビニルメチルジ エトキシシラン、 ビニルトリス (ァーメトキシ) シラン、 トリメトキシシ リルェチルビニルエーテル、 トリエトキシシリルェチルビニルエーテル、 トリメトキシシリルプチルビニルエーテル、 トリエトキシシリルプチルビ ニルエーテル、 トリメトキシシリルプロピルビエルエーテル、 トリェトキ
W
16 シシリルプロピルビニルエーテル、 ビニルトリイソプロべ二ルォキシシラ ン、 ビニルメチルジイソプロぺニルォキシシラン、 トリイソプロぺニルォ キシシリルェチルビニルエーテル、 トリイソプロべニルォキシシリルプロ ピルビニルエーテル、 トリイソプロべニルォキシシリルブチルビニルエー テル、 ビニルトリス (ジメチルイミノォキシ) シラン、 ビニルトリス (メ チルェチルイミノォキシ) シラン、 ビニルメチルビス (メチルジメチルイ ミノォキシ) シラン、 ビニルジメチル (ジメチルイミノォキシ) シラン、 トリス (ジメチルイミノォキシ) シリルェチルビニルエーテル、 メチルビ ス (ジメチルイミノォキシ) シリルェチルビニルエーテル、 トリス (ジメ チルイミノォキシ) シリルプチルビニルエーテル、 7- (メタ) ァクリロ ィルォキシプロピルトリメトキシシラン、 Ύ一 (メタ) ァクリロイルォキ シプロピルトリエトキシシラン、 r- (メタ) ァクリロイルォキシプロピ ルメチルジメトキシシラン、 r- (メタ) ァクリロイルォキシプロビルト リイソプロべニルォキシシラン、 τ一 (メタ) ァクリロイルォキシプロピ ルトリス (ジメチルイミノォキシ) シラン、 ァー (メタ) ァクリロイルォ キシプロピルトリス (ジメチルイミノォキシ) シラン、 ァリルトリメトキ シシランなどがあげられる。
具体例としては、 CTFE/イソブチレン (IB) ZHBVEZプロピ オン酸ビニル (VP i) 共重合体、 CTFE/I BZヒドロキシェチルァ リルエーテル (HEAE) ZVAc共重合体、 TFE/ I B/HB VE/ V P i共重合体、 CTFEZ I BZHBVEZべォバ 9 (シェル化学社製。 商品名) 共重合体、 TFEZ I BZHBVEZVB z共重合体、 CTFE /I B/HBVE/マレイン酸ジェチル (DEM) 共重合体、 TFEZI B/HBVE/べォバ 9/マレイン酸ジブチル (DBM) 共重合体、 CT FEZ I BZHBVE/フマル酸ジェチル (DEF) 共重合体、 CTFE Z I B/ヒドロキシェチルビニルエーテル (HEVE) Zフマル酸ジブチ
ル (DBF) 共重合体、 HFPZI BZHBVE/VB z共重合体、 TF EZ2—メチル _ 1一ペンテン (MP) ZHBVEZVP i共重合体、 T FEZ I B/HB VE/VP i ZCH2 = CH (CF2) PCF3 (p= 1 〜5) 共重合体、 TFE/I BZHBVEZVP iZVB z共重合体、 C TFE/ I B/HB VEZVAc共重合体、 TFE/ I B/HB VE/ t 一ブチル安息香酸ビニル (V t B z) 共重合体、 TFE/I B/HB VE /VP i /DEM共重合体、 CTFE/ I B/HB VE/VB z /DE F 共重合体、 CTFE/ I B/HBVEZVP i ZCH2=CH (CF2) p CF3 (p= l〜5) 共重合体、 CTFEZMP/HEVE/VP i共重 合体、 TFEZ I Bノ HBVEZVP i /ピニル酢酸 (VAA) 共重合体、 TFE/ I BZHE VEZVAc /VAA共重合体、 TFE/ I B/HB VE/VP iZVB zZクロトン酸 (CA) 共重合体、 TFE/I B/H BVE べォバ 9 C A共重合体、 TFE/ I B/HBVE/べォバ 9Z VB z/CA共重合体、 TFE/ I BZHBVE/べォバ 10/V t B z /C A共重合体、 TFEZI BZHB VEZV t B z/CA共重合体、 T FEZ I BZHBVE/DEMZCA共重合体、 TFE/ I B/HBVE ZDFMZCA共重合体、 TFE/MP/HB VE/VP i/VAA共重 合体などがあげられる。
以上のフッ素樹脂の市販の商品としては、 たとえばゼッフル (ダイキン 工業 (株) 製、 ルミフロン (旭硝子 (株) 製)、 フルォネート (大日本イン キ (株) 製) 、 セフラルコート (セントラル硝子 (株) 製) などがあげら れる。
P T F E粒子 ( b ) としては、 重量平均分子量が 500以上で 500, 000以下のものが好ましい。 通常 PTFEは重量平均分子量が 100万 〜1000万のものであるが、 この範囲の PTFEは剪断力が加わるとフ ィブリル化するので、 本発明で用いる P T F Eは上記の範囲の分子量の P
TFEを使用することが好ましい。 好ましい重量平均分子量は 600以上、 特に 5, 000以上であり、 また 500, 000以下、 好ましくは 200 , 000以下、 さらに好ましくは 12, 000以下である。
また、 平均粒子径としては、 0. 05 m以上で 10 以下の範囲の ものが好ましい。 平均粒子径は、 好ましくは 0. 1 xm以上、 さらに好ま しくは 0. 2 m以上であり、 また好ましくは 7 m以下、 さらには 5 m以下である。
さらに PTFEはテトラフルォロエチレン (TFE) の単独重合体であ つてもよいし、 公知の変性剤で変性されている変性 PTFEであってもよ い。
また、 P T F E粒子は重合開始剤などに起因して分子末端に不安定基が 存在するが、 そうした末端基を完全にフッ素化して安定化した P T F E粒 子が好ましい。 特に好ましい PTFE粒子は、 末端基が完全にフッ素化さ れた重量平均分子量 500〜 20, 000で平均粒子径が 2〜 10 X の ものである。
PTFE粒子 (b) の市販品としては、 たとえばダイキン工業 (株) 製 のルブロン、 セントラル硝子 (株) 製のセフラルル一ブなどがあげられる。 分散剤 (c) は PTFE粒子 (b) を撥水性バインダー (a) 中に均一 に分散させる作用を有する。 ここで使用する分散剤は、 たとえば溶媒を使 用する場合に PTFE粒子 (b) を溶媒に分散させる作用だけでは足らず、 塗膜中で撥水性バインダー樹脂に均一に PTFE粒子 (b) を分散させる 作用をもつことが必要である。 したがって、 好適な分散剤は、 PTFE粒 子 (b) および撥水性バインダー樹脂 (a) の種類、 さらには溶媒 (e) の種類を考慮して選択する。
撥水性バインダー (a) としてフッ素樹脂を選択し、 後述する溶媒 (e ) として有機溶媒を選択する場合、 分散剤としては、 フルォロアルキル基
を有するビニルモノマーから誘導された繰返し単位を含む重合体 (c 1) が好ましい。 さらに好ましくは、 フルォロアルキル基を有するビニルモノ マーと非フッ素系ビニルモノマーとの共重合体があげられる。
フルォロアルキル基を有するビニルモノマーは、 フルォロアルキル基含 有 (メタ) ァクリレートであってもよく、 さらにフルォロアルキル基含有 (メタ) ァクリレートは、 つぎの一般式で表わされるものであってもよい。
R f -A1 -OC (=0) CB1 =CH2
(式中、 R f は炭素数 1〜21のフルォロアルキル基、 B1 は水素または メチル基、 A1 は 2価の有機基である。 )
フルォロアルキル基含有 (メタ) ァクリレートとしては、 例えば以下の ものが例示できる。
Rf-(C )nO COC = CH2 R1
Rf- CON OCOCR3= C¾ OH
Rf-CH2CHCH2OCOCR3=CH2
OCOR3
I 3
Rf-CH2CHCH2OCOCR3=CH2
Rf-0-Ar-CH2OCOCRJ=CH2
(式中、 R f は炭素数 1〜21のフルォロアルキル基、 R1 は水素または
炭素数 1〜10のアルキル基、 R2 は炭素数 1〜10のアルキレン基、 R 3 は水素またはメチル基、 A rは置換基を有することもあるァリ一レン基、 nは 1〜10の整数である。 )
限定されないフルォロアルキル基含有 (メタ) ァクリレートの具体例を つぎに示す。
CF3(CH2)OCOCH=CH2、
CF3CF2(CH2)OC〇CH=CH2、
CF3(CF 2)3(CH2)OCOCH=CH2、
CF3(CF2)4(CH2)OCOCH=CH2、
CF3(CF2)5(CH2)OCOCH=CH2、 .
CF3(CF2)6(CH2)OCOCH=CH2、
CF3(CF2)7(CH2)OCOCH=CH2、
CF3(CH2)2〇COCH=CH2、
CF3CF2(CH2)2〇C〇CH=CH2、
CF3(CF2)3(CH2)2OCOCH=CH2、
CF3(CF2)4(CH2)2OCOCH=CH2、
CF3 (CF2)5(CH2)2〇C〇CH=CH2、
CF3(CF2)6(CH2)2OC〇CH=CH2、
CF3(CF2)7(CH2)2OCOCH=CH2、
CF3(CH2)3OCOCH=CH2、
CF3CF2(CH2)3OCOCH=CH2,
CF3 (CF2)3(CH2)3OC〇CH=CH2、
CF3(CF2)4(CH2)3OC〇CH=CH2、
CF3(CF2)5(CH2)3〇C〇CH=CH2、
CF3(CF2)6(CH2) 3〇C〇CH=CH2、
CF3(CF2)7(CH2)3OCOCH=CH2、
CF3(CH2)6OCOCH=CH2、
CF3CF2(CH2)6〇C〇CH=CH2、
CF3(CF2)3(CH2)6OCOCH=CH2、
CF3(CF2)4(CH2)6OCOCH=CH2、
CF3(CF2)5(CH2)6〇COCH=CH2、
CF3(CF2)6(CH2)6OCOCH=CH2、
CF3(CF2)7 (CH2)6〇C〇CH=CH2、
CF3CH=CHCH2OC〇CH=CH2、
CF3CF2CH=CHCH2〇COCH=CH2、
CF3(CF2)3CH = CHCH2〇COCH=CH2、
CF3(CF2)4CH=CHCH2OC〇CH=CH2、
CF3(CF2)5CH=CHCH2OC〇CH=CH2、
CF3(CF2)6CH=CHCH2〇COCH=CH2、
CF3(CF2)7CH=CHCH2〇C〇CH=CH2、
(CF3)2CF (CH2)2OCOCH=CH2、
(CF3)2CF(CF2) (CH2)2OC〇CH=CH2、
(CF3)2CF (CF2)2(CH2)2OCOCH=CH2.
(CF3)2CF (CF2)3(CH2)2OCOCH=CH2.
(CF3)2CF (CF2)4(CH2)2OCOCH=CH2.
(CF3)2CF(CF2)5(CH2)2OCOCH=CH2.
(CF3)2CF (CF2)6(CH2)2OCOCH-CH2.
H(CF2) (CH2)OCOCH=CH2、
H(CF2)2(CH2)OC〇CH=CH2、
H(CF2)4(CH2)OCOCH=CH2、
H(CF2)6(CH2)〇COCH = CH2、
H(CF2)8(CH2)OC〇CH=CH2、
CF3CHFCF2(CH2)〇COCH=CH2、 CF3(CH2)OCOC (CH3) = CH2、
CF3CF2(CH2)OCOC(CH3) = CH2、
CF3 CF2)3(CH2)OCOC(CH3) = CH2、 CF3 CF2)4(CH2)OCOC(CH3) = CH2、 CF3 CF2)5(CH2)OCOC(CH3) = CH2、 CF3 CF2)6(CH2)OCOC(CH3) = CH2、 CF3 CF2)7(CH2)OCOC(CH3) = CH2、 CF3 CH2)〇COCH=CH2、
CF3 CH2)2OCOC(CH3) = CH2、
CF,CF?(CH 2)ノ 2OCOC(CHj = CH ,
CF3 CF2)3(CH2)2OCOC(CH3) = CH2. CF3 CF2)4(CH2)2OCOC (CH3) = CH2. CF3 CF2)5(CH2)2OCOC (CH3) = CH2, CF3 CF2)6(CH2)2OCOC (CH3) = CH2. CF3 CF2)7(CH2)2OCOC (CH3) = CH2. CF3 CH2)3〇C〇C(CH3) = CH2、
CFsCF?(CH2)3OCOC(CH3) = CH;
CF3 CF2)3(CH2)3〇COC (CH3) = CH2, CF3 CF2)4(CH2)3OCOC(CH3) = CH2. CF3 CF2) 5(CH2)3OC〇C(CH3) = CH2, CF3 CF2)6(CH2)3OCOC(CH3) = CH2. CF3 CF2)7(CH2)3OCOC(CH3) = CH2. CF3 CH2)6OC〇C(CH3) = CH2、
CF3CF2(CH2)6OCOC(CH3) = CH2、 CF3(CF2)3(CH2)6OCOC(CH3) = CH2.
CF3(CF2)4(CH2)6OCOC (CH3) = CH2、
CF3(CF2)5(CH2)6OCOC(CH3) = CH2、
CF3(CF2)6(CH2)6OCOC (CH3) = CH2、
CF3(CF2)7(CH2)6〇C〇C(CH3) = CH2、
CF3CH=CHCH2OCOC(CH3) = CH2、
CF3CF2CH=CHCH2〇COC(CH3) = CH2、 CF3(CF2)3CH=CHCH2〇COC(CH3) = CH2、 CF3(CF2)4CH=CHCH2OCOC(CH3) = CH2、 CF3(CF2)5CH=CHCH2〇C〇C(CH3) = CH2、 CF3(CF2)6CH=CHCH2OCOC (CH3) = CH2、 CF3(CF2)7CH=CHCH2〇C〇C(CH3) = CH2、 (CF3)2CF (CH2)2OCOC(CH3) = CH2、
(CF3)2CF (CF2) (CH2)2OCOC(CH3) = CH2、 (CF3)2CF (CF2)2(CH2)2OC〇C(CH3) = CH2、 (CF3)2CF (CF2)3(CH2)2OCOC(CH3) = CH2、 (CF3)2CF (CF2)4(CH2)2〇C〇C(CH3) = CH2、 (CF3)2CF (CF2)5(CH2)2OCOC (CH3) = CH2、 (CF3)2CF (CF2)6(CH2)2〇COC(CH3) = CH2、 H(CF2) (CH2)〇C〇C(CH3) = CH2、
H(CF2)2(CH2)〇C〇C (CH3) = CH2、
H(CF2)4(CH2)〇COC(CH3) = CH2、
H(CF2)6(CH2)〇C〇C(CH3) = CH2、
H(CF2)8(CH2)〇C〇C (CH3) = CH2、
CF3CHFCF2(CH2)OC〇C(CH3) = CH2、
CF3S〇2N(CH3) (CH2)2〇COCH=CH2、
CF3(CF2) S〇2N(CH3) (CH2)2OCOCH=CH2、
CF3(CF2)2S02N(CH3) (CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)3S02N(CH3) (CH2)2〇COCH CH2
CF3(CF2)4S02N(CH3) (CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)5S〇2N(CH3) (CH2)2〇COCH=CH2
CF3(CF2)6S02N(CH3) (CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7S〇2N(C2H5) (CH2)2〇C〇C (CH3) = CH2 CF3C6F10(CF2)2SO2N(CH3) (CH2)2OCOCH=CH2, (CF3)2CFCH2CH(〇C〇CH3)CH2〇C〇C(CH3) = CH2 (CF3)2CF(CF2)CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3) = CH2
(CF3)2CF (CF2)2CH2CH(〇C〇CH3) CH2〇C〇C(CH3) = CH2,
(CF3)2CF (CF2) 3CH2CH(OCOCH3) CH2OCOC(CH3) = CH2
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH(OC〇CH3)CH2OCOC(CH3) = CH2,
(CF3)2CF(CF2)5CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3) = CH2,
(CF3)2CF (CF2)6CH2CH(〇C〇CH3) CH2OC〇C(CH3) = CH2,
(CF3)2CFCH2CH(〇H)CH2OC〇CH=CH2
(CF3)2CF(CF2) CH2CH(〇H) CH2〇COCH=CH2
(CF3)2CF (CF2)2CH2CH(〇H) CH2OCOCH=CH2 (CF3)2CF (CF2)3CH2CH(OH) CH2〇COCH=CH2 (CF3)2CF (CF2)4CH2CH(OH) CH2〇COCH=CH2 (CF3)2CF (CF2) 5CH2CH(OH) CH2〇COCH=CH2
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH) CH2OCOCH=CH2、
(CF3)2CF (CF2)7CH2CH(OH) CH2〇COCH=CH2、
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH(OH) CH2OCOCH = CH2、
C
8F
17-0→^^- CH
20-COCH=CH
2
C8F17-0^^>- COOCH2CHCH2OCOC(CH3)=CH2
OH
上記のフルォロアルキル基含有 (メタ) ァクリレ一トは 2種以上を混合 して用いることももちろん可能である。
非フッ素系モノマーとしては、 例えば、 (メタ) ァクリレートエステル が挙げられる。 (メタ) ァクリレートエステルは、 (メタ) アクリル酸と、 脂肪族アルコール、 例えば、 一価アルコールまたは多価アルコール (例え ば、 2価アルコール) とのエステルであってもよい。
非フッ素系モノマーとしては、 例えば以下のものを例示できる。
2一ェチルへキシル(メタ)ァクリレート、 シクロへキシル(メタ)ァクリ レ一ト、 ラウリル (メタ) ァクリレート、 ステアリル(メタ)ァクリレート、 ヒドロキシアルキル(メタ)ァクリレート、 テトラヒドロフルフリル (メタ ) ァクリレート、 ポリオキシアルキレン(メタ)ァクリレート、 アルコキシ ポリオキシアルキレン(メタ)ァクリレート、 3—クロロー 2—ヒドロキシ プロピル(メタ)ァクリレート、 グリシジル(メタ)ァクリレート、 N,N— ジメチルアミノエチル(メタ)ァクリレート、 N,N—ジェチルアミノエチ ル(メタ)ァクリレート、 ベンジル (メタ) ァクリレートグリシジルメタク リレート、 ヒドロキシプロピルモノメタクリレート、 2—ヒドロキシー 3 一フエノキシプロピルァクリレート、 2—ヒド口キシェチルァクリレ一ト、
グリセ口一ルモノメタクリレート、 j3—ァクリロイルォキシェチルハイド ロジェンサクシネート、 i3—メタクリロイルォキシェチルハイドロジェン フタレート、 2—ァクリロイ口キシェチルへキサヒドロフ夕ル酸、 2—ァ クリロイ口キシェチルフタル酸、 2—ァクリロイロキシェチルー 2—ヒド 口キシェチルフタル酸、 メタクリル酸ヒドロキシプロピルトリメチルアン モニゥムクロライド、 ジメチルアミノエチルメタクリレート、 ジェチルァ ミノェチルメタクリレート、 2—ァクリロイロキシェチルァシッドホスフ エー卜、 ダルコシルェチルメタクリレート、 メタクリルアミド、 2—ヒド 口キシー 3—ァクリロイロキシプロピルメタクリレート、 2—メタクリロ イロキシェチルァシッドホスフェート、 ヒドロキシピバリン酸ネオペンチ ルグリコ一ルジァクリレート等の(メタ)ァクリレート類;スチレン、 p— イソプロピルスチレン等のスチレン類; (メタ)アクリルアミド、 ジァセト ン(メタ)アクリルアミド、 N—メチロール(メタ)アクリルアミド、 N—ブ トキシメチルアクリルアミド、 2—アクリルアミドー 2—メチルプロパン スルホン酸等の (メタ) アクリルアミド類; ビニルアルキルエーテル等の ビニルエーテル類。
さらに、 エチレン、 ブタジエン、 酌酸ビニル、 クロ口プレン、 塩^:ビニ ルなどのハロゲン化ビニル、 ハロゲン化ビニリデン、 アクリロニトリル、 ビニルアルキルケトン、 無水マレイン酸、 N—ビニルカルバゾール、 ビニ ルピロリドン、 (メタ) アクリル酸等が挙げられる。
また、 非フッ素系モノマーは、 ケィ素系モノマー (例えば、 (メタ) ァ クリロイル基含有アルキルシラン、 (メタ) ァクリロイル基含有アルコキ シシラン、 (メタ) ァクリロイル基含有ポリシロキサン) であってよい。 重合体 ( c 1 ) は、 ラジカル重合法で製造できる。
重合体 ( c 1 ) の重量平均分子量は比較的小さいものであり、 3, 0 0 0以上、 さらには 5, 0 0 0以上、 特に 7, 0 0 0以上であり、 また 3 0
, 000以下、 さらには 20, 000以下、 特に 15, 000以下である ことが好ましい。
低熱容量の粒子 (d) の熱容量としては、 モル熱容量で 7CaZJK一 I—1以下が好ましい。 下限は通常 eCaZJK^mo }— 1である。 かかる低熱容量粒子 (d) としては、 特に炭素の単体であるカーボンブ ラック、 とりわけ結晶性のカーボンブラックが好ましい。
低熱容量粒子 (d) の平均粒子径としては、 分散性の点から 2 im以上、 12 j m以下が好ましい。
溶媒 (e) は、 表面処理用組成物の各成分の均一な混合を容易にし、 塗 膜の形成を容易にし、 さらに各種成分を撥水性バインダー樹脂 (a) 中に 均一分散させる観点から有用である。 したがって、 溶媒 (e) は他の成分 (a) 、 (b) 、 (c) および (d) を考慮して選択される。
溶媒 (e) としては水などの無機溶媒系でもよいが、 上記観点から有機 溶媒系が好ましい。 有機溶媒系としては単一の溶媒でも 2種以上の混合溶 媒系でもよい。 2種以上使用する場合は、 極性有機溶媒と非極性有機溶媒 を含むことが他の各成分をより一層均一に分散させ得る点から望ましい。 極性有機溶媒としては、 たとえば酢酸プチル、 酢酸ェチル、 アセトン、 メチルイソプチルケトン、 エタノール、 イソプロパノール、 ブタノール、 エチレングリコ—ルモノアルキルエーテルなどがあげられる。
非極性有機溶媒としては、 たとえばトルエン、 キシレン、 n—へキサン、 シクロへキサン、 ヘプタンのほか、 石油スピリッツであるターペンなどが あげられる。
特に酢酸ブチルと石油系溶剤 (トルエン、 キシレン、 n—へキサン、 シ クロへキサン、 ヘプタン、 夕一ペンなど) とを混合使用することにより、 得られる塗膜の滑水性を調節できる。 混合割合は組み合わせる溶剤の種類 によつて異なり任意であるが、 同じ重量か酢酸ブチルが多い方が滑水性が
良好な点から好ましい。
本発明の表面処理用組成物における好ましい配合割合は、 撥水性のバイ ンダ一樹脂 (a ) 1 0 0重量部に対して (以下、 特に断らない限り同じ) 、 P T F E粒子 (b ) は 1 0 0重量部以上で 2 0 0重量部以下であり、 分散 剤 (c ) は 5重量部以上で 3 0重量部以下である。 低熱容量の粒子 ( d ) は 2 5重量部以上で 2 0 0重量部以下、 また溶媒 (e ) は 4 0 0重量部以 上で 2 0 0 0重量部以下とすることが好ましい。
ゾーラ一パネル力パーなど屋外で寒暖、 日照の差により着氷と除氷が繰 り返される用途の場合、 塗膜の強度を高め長期に亘つて滑落性を維持する ことが望まれる。 そのためには、 樹脂を架橋することが望ましい。 架橋は 、 架橋剤を用いずに高エネルギー線などを照射しても達成できるが、 バイ ンダ一樹脂 (a) として化学的硬化性反応性基を有する樹脂を使用し、 か つ架橋剤 (f ) を配合することが好ましい。
化学的硬化性反応性基を有するバインダ一樹脂としては、 前記の化学的 硬化性反応性基を有するフッ素樹脂のほか、 化学的硬化性反応性基を有す るシリコーン樹脂、 ポリエステル樹脂、 ポリオレフイン樹脂、 アクリル樹 脂、 ポリウレタン樹脂などがあげられるが、 これらに限定されるものでは ない。
架橋剤としては、 硬化反応性基を有する樹脂の硬化反応性基と反応して 樹脂を硬化させるものであればよく、 たとえばイソシァネート化合物、 ァ ミノ樹脂、 酸無水物、 ポリシラン化合物、 ポリエポキシ化合物、 イソシァ ネート基含有シラン化合物などが通常用いられる。
イソシァネート化合物としては、 たとえば 2, 4一トリレンジイソシァ ネート、 ジフエニルメタン一 4 , 4ージイソシァネー卜、 キシリレンジィ
ン夕ン一 1, 4—ジイソシァネート、 これらの三量体、 これらのァダクト 体ゃビュレツト体、 これらの重合体で 2個以上のイソシァネート基を有す るもの、 そのほかブロック化されたイソシァネ一ト類などがあげられるが、 これらに限定されるものではない。
ァミノ樹脂としては、 たとえば尿素樹脂、 メラミン樹脂、 ベンゾグアナ ミン樹脂、 グリコールゥリル樹のほか、 メラミンをメチロール化したメチ ロール化メラミン樹脂、 メチ口一ル化メラミンをメ夕ノ一ル、 エタノール、 ブタノ一ルなどのアルコール類でエーテル化したアルキルエーテル化メラ ミン樹脂などがあげられるが、 これらに限定されるものではない。
酸無水物としては、 たとえば無水フタル酸、 無水ピロメリット酸、 無水 メリット酸などがあげられるが、 これらに限定されるものではない。
ポリシラン化合物としては、 ケィ素原子に直接結合した加水分解性基お よび S i OH基から選ばれる 2個以上の基を有する化合物またはそれらの 縮合物であり、 たとえば特開平 2— 2 3 2 2 5 0号公報、 特開平 2— 2 3 2 2 5 1号公報などに記載されている化合物が使用できる。 具体例として は、 たとえばジメチルジメトキシシラン、 ジブチルジメトキシシラン、 ジ イソプロピルジプロボキシシラン、 ジフエニルジブトキシシラン、 ジフエ ニルエトキシシラン、 ジェチルジシラノール、 ジへキシルジシラノール、 メチルトリメトキシシラン、 メチルトリエトキシシラン、 ェチルトリエト キシシラン、 プロピルトリメトキシシラン、 フエニルトリエトキシシラン、 フエニルトリブトキシシラン、 へキシルトリァセトキシシラン、 メチルト リシラノール、 フエニルトリシラノール、 テトラメトキシシラン、 テトラ イソプロボキシジバレロキシシラン、 テトラシラノールなどがあげられる。 ポリエポキシ化合物ゃィソシァネ一ト基含有シラン化合物としては、 た
P T/JP03/05317
30 とえば特開平 2— 232250号公報、 特開平 2— 232251号公報な どに記載されている化合物が使用できる。 好適な具体例としては、 たとえ ばつぎの化合物が例示できる。
CH9— CH— CH9— 0— CH,CH9— 0—CH9— CH— CH,、
〇 O
〇
Nccc IlllI
,c、 , H H H
2 \ /
CH,-CH-CH,-N N- H,-CH-CH.
O C C 〇
O 〇
〇
CH2— CH— CH2— H2、
OCNC3H6S i (OC2H5) 3 、
OCNC2H4S i (〇CH3) 3
架橋剤 ( の配合量は、 硬化反応性基含有バインダー樹脂中の硬化反 応性基 1当量に対して、 0. 1当量以上、 好ましくは 0. 5当量以上、 ま た 5当量以下、 好ましくは 1. 5当量以下である。
本発明において、 硬化促進剤を使用することもできる。 硬化促進剤とし ては、 たとえば有機スズ化合物、 酸性リン酸エステル、 酸性リン酸エステ ルとァミン化合物との反応生成物、 アミン系化合物、 ォクチル酸鉛などが あげられる。 硬化促進剤は単独でも 2種以上併用してもよい。
硬化促進剤の配合量は、 バインダー樹脂 100重量部に対して、 1. 0
X I 0— 6重量部以上、 好ましくは 5. 0 X 10— 5重量部以上、 また 1. 0 X 10— 2重量部以下、 好ましくは 1. 0X 10—3重量部以下である。 かかる表面処理組成物は、 塗膜を形成できる形態であれば種々の形態に 調製できるが、 塗膜の形成が容易な点から溶媒型塗料に調製するのが好ま しく、 塗装性や分散性の点から固形分濃度を 5〜 40重量%、 特に 15〜 30重量%とするのが好ましい。 また、 本発明の目的を損なわない限り、 顔料、 他の樹脂類、 流動調整剤、 色分かれ防止剤、 酸化防止剤、 紫外線吸 収剤などの各種添加剤を配合してもよい。
溶媒型塗料としての表面処理用組成物の調製は、 溶剤 (e) に各成分を 投入し、 充分攪拌して行なう。 攪拌方法としては特に限定されないが、 超 音波攪拌法や強制攪拌法などが PTFE粒子 (b) や低熱容量粒子 (d) などの粒子成分を容易に均一に分散できる点から好ましい。
塗装方法としては特に限定されず、 たとえばディップコート法、 パ一コ —ト法、 口一ルコ一ト法、 スプレー法などの方法が採用できる。 塗布後、 室温で乾燥するか、 必要に応じて加熱乾燥させて硬化被膜を形成する。 塗膜の膜厚は適用部分によって適宜選定すればよいが、 通常 10 am以 上、 さらには 30 m以上、 また 2mm以下、 さらには 0. 1 mm以 下が好ましい。
塗布する基材は特に限定されず、 着氷 (雪) が問題となる器具、 装置、 設備、 部品などによって決まる。 たとえばアルミニウム、 ステンレススチ ール、 銅、 各種合金、 セラミックスなどがあげられる。
かくして得られる塗膜は、 物品に表面部分 (A) と (B) を与え、 易氷 雪剥離性を有するものである。
さらにこの塗膜は、 物品の自由表面の滑落角 ( 4 Xリットル水滴) を 1 0度以下、 さらに好ましくは 5度以下にすることができ、 また、 塗膜表面 の対水接触角を 140度以上、 さらには 145度以上、 特に 150度以上
にし、 撥水性表面に形成された微小な水滴も容易に滑落し、 着氷 (雪) の 核を形成させず、 着氷 (雪) を防止する効果を向上させるものである。 本発明の表面構造を採用する物品としては、 着氷や着雪により損害が生 じたり機能が低下したり、 人に傷害を及ぼす恐れのある器具、 装置、 設備、 建造物、 それらの部分などがあげられる。
具体的には、 つぎの物品に適用するときに優れた効果を発揮する。 パラボラアンテナなどの各種アンテナ;通信用鉄塔;通信ケ一ブル;電 線;送電用鉄塔
輸送車両関係:
船舶や列車などのデッキ;各種車両の乗降ステップ;パンタグラフ、 ト 口リー線などの車両の外部突起物;航空機の翼;各種車両の外装
建造物関係:
屋根瓦、 タイルなどのエクステリア類
その他:
ソーラーパネルカバー等
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、 本発明はかかる実施例の みに限定されるものではない。
実施例 1
撥水性バインダー樹脂 (a) としてダイキン工業 (株) 製のゼッフル G K一 510を 4. 0 g、 PTFE粒子 (b) としてセントラル硝子 (株) 製のセフラルループ (商品名。 平均粒子径 5〜10 zmの変性 PTFE。 重量平均分子量 1 500〜 20000) を 4. 0 g、 分散剤 ( c ) として ダイキン工業 (株) 製のュニダイン TG— 656を 4. 0 g、 低熱容量粒 子 (d) としてカーポンプラック (シグマ,アルドリッチ製。 平均粒子径 2〜12 m) を 2. 0 g用い、 酢酸ブチル 20 gとヘプタン 20 gの混
合溶媒に投入し、 超音波攪拌により攪挣混合して表面処理用組成物を調製 した。
得られた表面処理用組成物をアルミニウム板 (J I S H4000の A 1200系。 10 OmmX 10 Omm) 上にスプレー法で塗装し、 室温で 1日間放置して硬化させた後、 塗膜表面を洗浄ぜすに乾燥して試験用の塗 板 (塗膜の膜厚 20〜30 ΠΙ) を作製した。
この塗板について対水接触角および滑落角 (4^リットル) を調べた。 (対水接触角測定)
J I S R3257に準じ、 協和界面科学 (株) 製の接触角計 (CA— V P、 商品名) により、 温度 15〜 20 °C、 相対湿度 50〜 70 %で測定 したところ、 152. 1度であった。
(滑落角測定法)
塗板を協和界面科学 (株) 製の接触角計 (CA— VP、 商品名) に水平 に固定し、 温度 15〜20°Cで相対湿度 50〜70%の環境下に水平に載 置された試料板上に蒸留水を 4 リットル滴下して水滴を形成し、 ついで 試料板を角度 0. 1度ずつ傾斜させていき、 水滴が転がり始めたときの試 料板の角度 (滑落角) を測定したところ、 4. 6度であった。
つぎに着氷 (フロスト) 一除氷 (デフロスト) 試験をつぎの要領で行な つた。 風洞内に試料板を鉛直に固定し、 試料板の表面温度を一 7 ± 2 に維持 する。 この風洞内に相対湿度 87 ± 3 %の湿気を含んだ空気 (温度 7土 0 - °C) を試料板の自由表面に平行に風速 lm/秒で流し、 試料板表面に 強制的に着氷させる。 フロスト運転は 20分間続ける。
(デフロスト運転)
フロスト運転後直ちに試料表面温度を 5 °Cに加熱しデフロスト運転を開
始する。 空気はフロスト運転時と同じものを同じ条件で流す。 デフロスト 運転は 2分間続ける。
フロスト運転とデフロスト運転を 1サイクルとし、 これを連続して 2サ ィクル行なう。
上記で得られた試料板についてフロストーデフロスト試験を行なったと ころ、 第 1サイクルのフロスト運転開始から 1 0分後に着氷が始まった。 その状態を C C Dカメラ (E L MO社製の C N 4 0 1。 商品名) で撮影し た写真を図 1 (全体) および図 2 (拡大。 倍率 1 . 2倍。 以下同様) に示 す。 また、 フロスト運転終了時の着氷状態の C C D写真を図 3 (全体) お よび図 4 (拡大) に示す。 形成された氷は綿状 (針状結晶の集合体) であ つた。
第 1サイクルのデフロスト開始後直後から着氷している氷が剥離し始め た。 図 5に全体写真を、 図 6に拡大写真を示す。 2分後には完全に氷が試 料表面から剥がれ落ちてしまった。 また、 デフロスト運転終了後の試料板 表面には肉眼で観察できる水滴は認められなかった (全体写真の図 7およ び拡大写真の図 8参照) 。
引き続く第 2サイクルの運転開始 6分後に着氷が始まつた。 第 2サイク ルのフロスト運転 (2 0分間) 終了後の試料板表面の C C D写真を図 9 ( 全体) および図 1 0 (拡大) に示す。 ついで行なった第 2サイクルのデフ ロスト運転ではデフロスト運転開始直後から氷が剥離し始め (全体写真の 図 1 1 ) 、 3 0秒後にはほぼ完全に剥離した (全体写真の図 1 2 ) 。 第 2 サイクルのデフロスト終了時の写真 (全体写真の図 1 3および拡大写真の 図 1 4 ) に示すように、 第 2サイクル後にも試料板表面には肉眼で観察で きる水滴は認められなかった。
比較例 1
実施例 1において、 低熱容量粒子 (d ) を配合しなかったほかは同様に
して調製した表面処理用組成物を用いて試料板を作製し、 同様にしてフロ スト→デフロスト試験 (2サイクル) を行なった。
その結果、 第 1サイクルのフロスト運転開始から約 5分後から着氷が始 まり、 10分後にはほぼ全面が氷結した (全体写真の図 15および拡大写 真の図 16) 。 また、 フロスト運転終了時の着氷状態の CCD写真を図 1 7 (全体) および図 18 (拡大) に示す。
第 1サイクルのデフロスト開始直後から着氷している氷が融解し始め ( 全体写真の図 19および拡大写真の図 20) 、 2分後には完全に氷が融け た。 また、 デフロスト運転終了後の試料板表面には肉眼で観察できる大小 の水滴が多数認められた (全体写真の図 21および拡大写真の図 22) 。 引き続き行なった第 2サイクルの運転開始 6分後に着氷が始まり、 大き な水滴も氷結した。 第 2サイクルのフロスト運転 (20分間) 終了後の試 料板表面の CCD写真を図 23 (全体) および図 24 (拡大) に示す。 水 滴が氷結していることがわかる。 ついで行なった第 2サイクルのデフロス ト運転ではデフロスト運転開始直後から氷が融解し始め (全体写真の図 2 5) 、 1分後にはほぼ完全に融けたが、 図 26 (全体) に示すようにさら に多くの大小の水滴が表面に残存していた。 第 2サイクルのデフロスト終 了時の写真を図 27 (全体) および図 28 (拡大) として示す。
実施例 2
化学的硬化性反応性基を含有するバインダー樹脂 (ゼッフル GK— 51 0) を 4. 0 g、 PTFE粒子 (セフラルループ) を 4. 0 g、 分散剤 ( c) としてュニダイン TG— 656を 4. 0 g、 カーボンブラック粒子 ( シグマ 'アルドリッチ社製) を 2. 0 g、 架橋剤 (f) として旭化成 (株 ) 製のデユラネート 24A— 100 (イソシァネート系架橋剤。 商品名) を 0. 073 g用い、 酢酸ブチルノヘプタン混合溶媒 40 g (1/1重量 比) に投入し、 超音波攪拌法により攪拌混合して表面処理用組成物を調製
した。
得られた表面処理用組成物をアルミニウム板 (J I SH4000の A1 200系。 10 OmmX 10 Omm) 上にスプレー法で塗装し、 室温で 2 4時間放置して硬化させた後、 塗膜表面を洗浄せずに乾燥して試験用の塗 板 (塗膜の膜厚 20 m) を作製した。
この塗板について、 対水接触角および滑落角 (4 / リットル) を実施例 1と同様にして調べたところ、 対水接触角 =157. 9度および滑落角 ( 4 ^リットル) =3. 5度であった。 .
さらに鉛筆硬度を J I S K5600-5-4 (1999) に従って調 ベたところ、 3 Bであった。 なお、 参考までに測定した実施例 1で得た塗 膜の鉛筆硬度は 5 Bであつた。
また、 実施例 1と同様にしてフロスト一デフロスト試験に供したところ、 第 2サイクルのデフロスト運転開始直後から氷が剥離し始め (全体写真の 図 29) 、 30秒後にはほぼ完全に剥離し、 第 2サイクル後にも試料板表 面には肉眼で観察できる水滴は認められなかった。 産業上の利用可能性
本発明の表面構造によれば、 少ないエネルギーで表面に着氷 (雪) した 氷または雪が容易に自重によつて剥離可能な物品を提供することができる。