明 細 書 細胞活性促進外用剤 技術分野
本発明は、 細胞活性促進外用剤に係り、 主に花粉症や口内炎などの諸 疾患に優れた改善効果を有すると共に、 細胞に対しての電解質バラ ンス、 浸透圧バランスを応用して細胞を活性化し、 膚細胞の細胞機能低下によ る諸疾患を改善する細胞活性促進外用剤に関するものである。 背景技術
従来、 塩化ナ ト リゥム等の無機塩や、 ブドウ糖等の天然糖、 或いは血 漿などは、 夫々化粧品や医薬外用剤の配合剤と して広く使用されている。 例えば、 塩化ナ ト リゥム等を含んだ肌を和らげるク リームに関するもの が、 U . S . P . 3574854号公報に記載され、 一方、 ミネラル塩類を含んだ皮膚 を衛生的にする出願は、 西独国特許出願公開第 3327840号明細書に見られ る。 更に、 グルコース等を混合した肌を滑らかにする糖の成分に関する 出願として、 U . S . P . 3859436号公報に記載され、 また、 シェービング用デ キス トラン水溶液に関する出願は、 U . S . P . 3777597号公報に記載されてい る。
ところが、 これら従来の外用剤では、 皮膚殺菌及び皮膚の保護の目的 が達せられても、 皮膚の毛細血管の循環及び機能低下による皮膚疾患、 すなわち色素沈着症、 水虫、 イ ンキン、 夕ムシ、 ヮキガ、 脱毛症、 フケ、 かゆみ等の皮膚細胞分裂機能低下による諸疾患を改善するこ とは困難で あった。
そこで、 当発明者は、 皮膚細胞を活性化し、 皮膚細胞の細胞機能低下 による諸疾患を改善するものとして、 皮膚細胞間質液と同様な環境を皮
膚表面に作り出し、 電解質バランス、 浸透圧パランスを応用することで、 皮膚の表面からも障害細胞の正常化を促進することが可能になった水性 皮膚及び毛髪化粧料を発明している (特許第 1597430号) 。
そして、 この水性皮膚及び毛髪化粧料にあっては、 シミ、 赤ら顔の場 合は皮下細胞を刺激、 分裂させ、 治癒に導びき、 また、 頭皮、 ヮキガ等 に対しては浸透圧作用によ り毛母細胞を刺激し、 発毛及び脱臭作用を促 進させる効果が見られた。 すなわち、 この水性皮膚及び毛髪化粧料では、 脱毛症に対する治癒率が 83 %、 色素沈着症に対する治癒率が 95 %、 赤ら 顔の治療率が 53 %といつた効能結果が得られている。
ところが、 これらの効能は、 主に皮膚や毛髪に対して顕著な効果が認 められたものであり、 当発明者は、 皮膚細胞等の活性化の如く、 副作用 なしで粘膜細胞をも活性化させ得るなら、 口腔の粘膜疾患による口内炎 や、 鼻粘膜の障害による花粉症などの疾患にもその効能が及ぶ可能性に 着眼した。
そこで当発明者は、 更に、 口腔や鼻粘膜用の外用剤として使用しても 副作用の虞が全く無く、 例えば、 口内炎や花粉症などといった、 よ り広 範囲な細胞レベルにおける諸疾患にも適用することが可能な細胞活性促 進外用剤を発明している (特許第 2681527号) 。 この細胞活性促進外用剤 は、 デキス トラン等の多糖類ゃブドウ糖、 ムタン、 レンチナンなどを添 加したものである。 この細胞活性促進外用剤では、 口内炎に対する治癒 率が 100 %、 花粉症に対する治癒率が 100 %といった優れた結果が得られ ている。
ところが、 先の細胞活性促進外用剤において示された花粉症に対する 治癒率は、 当時、 対象人数を 4 0人とした場合に示されたものであり、 その後、 花粉症の患者が急増するにつれて、 花粉症の治癒率が次第に低 下する傾向にあった。 すなわち、 前回 (平成 2年) の効能試験において、 花粉症で 100 %を示していた有効率は、 その後、 十数年を経過した今日、
発症率の爆発的増加に反比例するように、 有効率が急激に下降している ことが分かった。 そもそも、 花粉症が発症する原因は未だ明らかになつ ていないが、 個人的な要因が口腔や鼻粘膜等の細胞レベルに何等かの影 響を与えて発症を誘発すると考えられている。 したがって、 口腔や鼻粘 膜等の免疫力や治癒力を高め、細胞組織を健康な状態に保つことで、個々 の要因による悪影響を防止することが可能になり、 急増する花粉症の発 症を抑止すると共に、 治癒効果も生じると考えられる。
そこで本発明は、 先に発明した細胞活性促進外用剤に更に改良を加え ることで、 口腔や鼻粘膜等の細胞組織の免疫力や治癒力を高め、 しかも 副作用の虞が全く無く、 花粉症や口内炎は勿論、 皮膚や頭皮等の広範囲 な細胞レベルにおける諸疾患にも適用することが可能な細胞活性促進外 用剤の提供を目的とする。 発明の開示
本発明は、 多糖類を水溶液中に溶解した細胞活性促進外用剤であって、 全体の重量比で、 1 ~ 50 %のキシログルカンと、 1〜50 %のラ ミ ラナン と、 1〜50 %のクレスチンとを添加する。
また、 多糖類を溶解した水溶液中に、 全体の重量比で、 1〜50 %のぺ クチンと、 1〜 30 %のデキス トランと、 1〜 30 %のブドウ糖と、 1〜40% のプルランと、 1〜30 %のレンチナンと、 1〜50 %の ト レハロースとを 含有する。
更に、 多糖類を溶解した水溶液中に、 全体の重量比で、 0. 1〜1 %の塩 化ナ ト リウムと、 0. 1〜1 %の塩化カルシウムと、 0. 1 ~ 1 %の塩化力 リ ゥ ムとを添加する。
人間の皮膚における病変である炎症、 色素沈着、 脱毛症等の各種症状 の原因は、 紫外線、 化学物質等の種々の因子が関連したものとなってお り、 その細胞レベルでの変化が限られているその根本は、 細胞内小器官
の一つであるミ トコン ド リァの膜や細胞膜の障害といえるものである。 つま り、 ミ トコン ドリアの膜の障害によって細胞内呼吸の阻害が生じ、 これによつて、 細胞の活動源たる ATP (アデノシン 3 リ ン酸) の産生が低 下する。 このような ATPの不足によって細胞膜の能動輸送の機能が低下し、 細胞と間質液との間において物質の輸送能力の低下が起る。 する と、 細 胞内におけるグルコース等の栄奏物質の不足を生じさせ、 ひいては ATP の酸性の低下につながるといつた悪循環をなすものである。
以上のような細胞レベルでの変化を生じさせる原因は多様なものがあ り、 特に、 口腔や鼻粘膜等の細胞においては、 浸透圧作用で細胞問質液 を引き上げることで、 疾患部分の細胞を活性化することができる。 更に、 キシログルカンと、 ラ ミラナンと、 クレスチンとを添加することによ り、 口腔や鼻粘膜等の細胞組織の免疫力や治癒力を高めることが可能になる と考えられる。 発明を実施するための最良の形態
本発明の基本的な配合は、 多糖類を溶解した水溶液中に、 全体の重量 比で、 1〜50 %のキシログルカンと、 1〜50 %のラ ミラナンと、 1〜50 % のクレスチンとを添加するものである。
キシログルカンは、 伸長 · 肥大している植物細胞の壁 (一次壁) に普 遍的に存在する構成糖鎖である。 植物種特異性は、 キシロース残基にガ ラク トースまたはフコシルーガラク トースが結合することによって生じ る。 このガラク トース残基及びフコース残基にはそれそれレクチンが結 合できるが、 これら分岐糖鎖の機能は分かっていない。 植物細胞の成長 は、 細胞の持っている浸透圧に由来する吸水現象によって生じ、 吸水力 は、 細胞壁のゆるみによる壁圧の減少によって生じる。 この細胞壁のゆ るみは、 未だ解明されていないが、 細胞伸長は常にキシログルカンの分 解と可溶化を伴って生じており、 細胞の生理活性をつかさどる多糖類の
ひとつとして注目されている。
ラ ミ ラナンは、 炭水化物の一で /?グルカンのラミ ラナンと して分類さ れる。 椎茸をはじめとした茸類や昆布などの海草類に含まれるもので、 免疫力を高める効果がある。 単独では吸収され難く、 たんぱく質と一緒 に摂取するとよいことが知られている。
クレスチンは、 ヒ ト癌細胞の H L Aクラス I抗原の発現を増強する免 疫治療医薬品と して使用されるもので、 かわらたけ菌糸体よ り抽出され る。 このクレスチンは、 胃癌、 結腸 , 直腸癌、 小細胞肺癌等の腫瘍性疾 患に免疫治療作用が認められている。
発明者は、 数多くの多糖類の中から、 外用剤に適した成分を研究した 結果、 これらのキシログルカン、 ラ ミラナン、 クレスチンを組合せるこ とで、 口腔や鼻粘膜等の細胞組織の免疫力や治癒力を高める外用剤を調 製したものである。
これらの多糖類を溶解した水溶液中には、 予め、 全体の重量比で、 1 〜 50 %のべクチンと、 1 〜 30 %のデキス トランと、 1 〜 30%のブドウ糖 と、 1 〜30 %のレンチナンと、 1 〜50 %の ト レハロースとを含有せしめ し め 0
ぺクチンは、 植物の細胞壁の構成成分としてセルロース等、 他の成分 と結合することで植物細胞をつなぎ合わせる働きをしている。 ゲル化作 用を持つ成分であり、 本発明外用剤の添加剤として好適である。
また、 多糖類を溶解した水溶液中に、 塩化ナ ト リ ウムと、 塩化カルシ ゥムと、 塩化カ リ ウムとを添加している。 塩化ナ ト リ ゥムの配合量は、 皮膚に対する浸透圧バランス、 電解質バランスの有効性、 すなわち、 皮 膚細胞を活性化できるよう、 全体の重量比で 0 . 1 ~ 1 %と し、 同様に、 塩 化カルシウムと、 塩化カ リ ウムにおいても 0 . 1〜1 %の各成分を水相成分 に溶解する。
実施例
次に、 処方例及び薬理試験例を挙げて本発明の外用剤を具体的に説明 する。
一処方例 1一
デキス ト ラン 1 8
ブドウ糖 1 0
サイ クロデキス ト リ ン 2
ト レハロース 3
プルラン 7
レンチナン 7
ラ ミ ナラ ン 2
ク レスチン 1
ぺクチン 3
キシログルカン 1
塩化ナ ト リウム 0 9
塩化カルシウム 0 3
塩化力 リ ウム 0 3
精製水 4 4 5
計 重量比 (%) 1 0 0
水相成分 (精製水) は、 純水のみで製造するノ ンオイルのもので、 化 粧品等、 通常の外用剤の製造時に使用されている水溶性石油系の界面活 性剤等は一切含有しない。 そして、 これらの各成分と水相成分との混合 に際しては、 各成分の溶解を完全にするために、 50〜: 100°Cの温度で実施 する。
次に、 処方例 1の効果を表 1 に示す。
表 1
表 1 は、 処方例 1の薬理試験による結果を示すものである。 このとき の有効性とは、 本発明外用剤の使用によ り、 変化なしを 0ポイ ン ト、 治 癒に向う変化があったものを 1ポイ ン ト、 効果が確認されたものを 2ポ イ ン ト とした各人の合計点を出し、 次の式で算出したものである。 尚、 今回の試験は、 特に花粉症の治癒効果を確認するために、 疾患者 1 0 0 人を対象として有効率を算出した。
数 1
合計点
有効率 x l 0 0
対象人数 χ 2
この結果、 1 0 0人の花粉症を対象にしても 98%の有効率が得られた。 前回 (平成 2年) の試験において、 花粉症で 100 %を示していた有効率は、 その後、 十数年を経過した今日、 発症率の爆発的増加に反比例するよう に、 有効率が急激に下降していたが、 本発明によって 98 %の有効率を維 持できるようになつていることは特筆すべき効果であるといえる。 また、 600症例中、 ただの一例も副作用が認められず、 しかも、 男性型脱毛症や 二キビ、 水虫、 脂漏性皮膚炎など、 治癒改善が困難な疾患に対しても極
めて有効である。
更に、 処方例 2の混合比からなる本発明外用剤を調合した
一処方例 2—
デキス トラン 4
ブドウ糖 3
サイ クロデキス ト リ ン 2
ト レノヽロース 3
プルラン 3
レンチナン 3
ラミナラン 2
クレスチン 1
ぺクチン 3
キシログルカン 5 0
塩化ナ ト リ ウム 0 4
塩化カルシウム 0 3
塩化カ リウム 0 3
精製水 2 5
計 重量比 (%) 1 0 0
この結果、 処方例 2以上にキシログルカンの濃度を上げる と、 溶解後 分離するようになって しまい、 処方として不適当になった。 また、 キシ ログルカンの他、 ラ ミナラン、 クレスチンのいずれにおいても有効性が 認められるのは少なく とも夫々 1 %以上の濃度が必要であり、 また夫々 の濃度が 5 0 %を超えると処方できなくなることが分かった。 産業上の利用可能性
本発明によると、 全体の重量比で、 1〜50 %のキシログルカンと、 1 〜50 %のラ ミラナンと、 1〜50 %のクレスチンとの各成分を、 水相成分
に添加したことによ り、 口腔や鼻粘膜等の細胞組織の免疫力や治癒力を 高めることが可能になり、 花粉症などの個人的要因が作用する疾患でも 有効な治癒効果が得られる。
また、 細胞組織の免疫力や治癒力を高めながら皮膚細胞間質液と同様 な環境を作り出すことができるので、 ミ トコン ド リ アの膜の障害によつ て生じる、 細胞内呼吸の阻害や、 細胞の活動源たる ATP (アデノシン 3 リ ン酸) の産生の低下を防止することができ、 電解質バランス、 浸透圧バ ランスを保ち、 皮膚細胞や粘膜細胞の表層からも障害細胞の正常化を促 進することが可能になり、 男性型脱毛症や二キビ、 水虫、 脂漏性皮膚炎 など、 治癒改善が困難な疾患に対しても極めて有効であり、 本発明の意 義は極めて大きく、 人類に大きく貢献するものである。
この外の利用可能性として、 本発明外用剤をパーマネン ト ウェーブ剤 に配合することで、 毛髪や頭皮を傷めることなく使用するこ とが可能に なり、 既に傷んだ毛髪や頭皮を治癒する効果もある。 例えば、 還元剤と してチォグリコール酸又はシスティ ン又はこれらの塩類を主成分と して 単独または他の還元剤と混合して含有するパーマネン トゥエーブ剤や、 コール ドニ浴式パーマネン ト ウェ一ブ剤、 加温二浴式パーマネン トウェ ープ剤、 コール ド一浴式パ一マネン トウヱーブ剤、 第 1剤用時調整発熱 式パーマネン トウェーブ剤、 コール ド二浴式縮毛矯正剤、 加温二浴式縮 毛矯正剤、 高圧整髪用アイ ロンを使用するコールド二浴式縮毛矯正剤、 高圧整髪用アイ ロンを使用する加温二浴式縮毛矯正剤に配合することが 可能である。
更に、 本発明外用剤を染毛剤に配合することも可能である。 例えば、 ジァミ ン系酸化染料を第 1液の主剤とする酸化染毛剤、 ヘアブリーチ、 ヘアライ トナー、 ダカラライザ一などの脱色剤 ·脱染剤や、 オハグロ式 の非酸化染毛剤、 あるいはへアマ二ユキユア、 酸性ヘアカラー、 カラ一 リ ンスなどの半永久染毛料、 カラ一スプレー、 カラーフォーム、 カラー
スティ ックなどの一時染毛料などに配合することで、 毛髪や頭皮を傷め ることなく使用することが可能であ り、 既に傷んだ毛髪や頭皮を治癒す る効果もある。