明 細 書 ジブ口ック共重合体およびそれを用いた粘着剤組成物 技術分野
本発明は、 ジブロック共重合体およびそれを用いた粘着剤組成物に関し、 より 具体的には、 耐熱性および耐候性を損なわずに、 凝集力、 粘着力等の各種粘着性 能に優れたアクリル系粘着剤、 特にホットメルト塗工性に優れるアクリル系粘着 剤を提供するために有用なァクリル系ジブロック共重合体、 該ジブロック共重合 体を含む粘着剤組成物、 および該粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着材 に関する。 背景技術
ァクリル系粘着剤 (なお、 「粘着剤」 とは 「感圧接着剤 (p r e s s u r e— s en s i t i ve adhe s i ve) 」 を意味する) は、 ゴム系粘着剤に比 ベ、 その構造に由来する優れた耐熱性および耐候性の特徴をいかして、 粘着テ一 プ、 粘着シート等の粘着材に近年広く用いられている。 一般にアクリル系粘着剤 は、 その形態に基づき、 主として溶液型粘着剤、 ェマルジヨン型粘着剤、 および 、 ホットメルト型粘着剤に分類される。 このうち、 溶液型粘着剤は、 有機溶剤に 溶解してなる粘着剤であって、 基材に塗布し有機溶剤を蒸発させることによって 基材上に粘着剤層を設けるため、 使用される有機溶剤の環境への影響が問題とさ れている。 また、 ェマルジヨン型粘着剤は、 粘着剤をェマルジヨン状態で基材に 塗布し水を蒸発させることによって基材上に粘着剤層を設けるため、 排水処理や 乾燥エネルギーが大きいことが問題とされている。 一方、 ホットメルト型粘着剤 は、 粘着剤を熱溶融状態で基材に塗布し基材上に粘着剤層を設けるため、 環境負 荷が小さく、 安全性に優れる特徴を有し、 また、 溶液型粘着剤ゃェマルジヨン型 粘着剤に比べ、 有機溶剤や水の乾燥工程を必要としないため、 粘着材の生産性が
高いうえ、 省エネルギー、 省資源の観点からも多くの利点を有する。 しかしなが ら、 ホットメルト型粘着剤は、 ホットメルトであるがゆえに高温条件下での凝集 力が低いという欠点も有している。
このため、 アクリル系のホットメルト型粘着剤の性能としては、 耐熱性、 耐候 性に加え、 凝集力、 粘着力等の各種粘着性能とホットメルト塗工性の両方に優れ ることが好ましい。 一般に、 粘着剤をホットメルト塗工するためには、 粘着剤の 溶融粘度が低いこと、 溶融時と常温下での体積変化が小さいこと、 および、 熱安 定性に優れること等が必要となる。 そのなかで、 粘着剤の溶融粘度は、 可塑剤、 軟化温度の低い粘着付与樹脂等を配合することにより低くすることができるが、 同時に、 著しい凝集力の低下を招くことが問題となる。
近年、 粘着剤の性能に対する要求レベルがますます高度化するなか、 凝集力、 粘着力等の粘着性能とホットメルト塗工性の両方を兼ね備えたアクリル系のホッ トメルト型粘着剤の提供が強く望まれており、 その達成は極めて意義が高い。 上 記特徴を具備したアクリル系のホットメルト型粘着剤を得るための過去の検討と しては、 例えば、 以下のような報告がある。
( 1 ) 特開平 2— 1 0 3 2 7 7号公報 (対応欧州公開特許第 0 3 4 9 2 7 0号明 細書) では、 キシリレン—ビス (N, N—ジェチルジチ才力ルバメート) 、 キシ リレン—ビス (N _力ルバゾリルジチォカルバメ一ト ) 等のィニファーターを使 用するィニファータ一重合法によりメタクリル酸エステルからなる重合体ブ口ッ クとァクリル酸アルキルエステルからなる重合体プロックとを有するプロック共 重合体を得、 該ブロック共重合体を粘着剤用ベースポリマ一として使用すること を提案している。
( 2 ) 特公昭 5 9 - 3 3 1 4 8号公報、 特開平 9一 1 2 5 0 1 9号公報および特 開平 9— 3 2 4 1 6 5号公報では、 耐候性に優れた粘着剤用べ一スポリマーとし て、 アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルからなる 重合体プロックとビニル系モノマーからなる重合体ブロックとを有するブロック
共重合体を提案している。
( 3 ) 特開平 1 1一 3 0 2 6 1 7号公報では、 主としてメタクリル酸アルキルェ ステルからなり、 ガラス転移温度が + 1 1 0 °C以上で、 かつ、 シンジオタクチシ チ一が 7 0 %以上である重合体ブロックと、 主としてアクリル酸アルキルエステ ルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルからなり、 ガラス転移温度が + 3 0 :以下である重合体プロックとを有するプロック共重合体を粘着剤用ベース ポリマーとして提案している。 さらに特開平 1 1一 3 2 3 0 7 2号公報では、 こ れにァクリル酸アルキルエステルおよび Zまたはメ夕クリル酸アルキルエステル からなるジブ口ック共重合体の配合することで、 粘着特性をバランスよく調節し 粘着特性の総合性能を向上させることや、 またホットメルト塗工性も向上するこ とが開示されている。
( 4 ) 特開 2 0 0 1— 1 3 9 6 4 6号公報および特開 2 0 0 1— 2 8 8 4 3 9号 公報 (対応米国公開特許第 2 0 0 1— 0 0 4 4 0 2 4号明細書) では、 多段階ラ ジカル重合によって得られるアクリル系星形ブロック重合体を粘着剤用べ一スポ リマ一として提案している。
しかしながら、 上記公報で提案されているアクリル系粘着剤では、 必ずしも凝 集力、 粘着力等の粘着特性、 ホットメルト塗工性等において十分な性能を発現す るに至つておらず、 粘着剤の配合の自由度を高める点からも上記特徴を具備した 粘着剤組成物を得るために有用なアクリル系重合体が市場で要求されているとい うのが実状であった。
また、 特開平 9一 3 2 4 1 6 5号公報、 特開平 1 1一 3 2 3 0 7 2号公報など で提案されているジブロック共重合体は、 これ自体が粘着性を有するため、 通常 の合成樹脂の製品荷姿であるペレット、 粉体、 液体 (水飴状を含む) の形態をと り難く、 取扱性に劣るものであり、 また、 溶融粘度の改良も不十分であるなどと いう問題があった。
したがって、 本発明の目的は、 耐熱性、 耐候性を損なうことなく、 凝集力、 粘
着力等の各種粘着物性に優れ、 また、 ホットメルト塗工性に優れるアクリル系粘 着剤を得るのに有用なアクリル系ジブロック共重合体、 該ジブロック共重合体を 含む粘着剤組成物、 および該粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着材を提 供することにある。
本発明者らは、 上記問題点について鋭意検討を行った結果、 特定の構造を有す るアクリル系ブロック共重合体が、 耐熱性、 耐候性を損なうことなく、 凝集力、 粘着力等の各種粘着物性にも優れ、 かつ、 ホットメルト塗工性に優れるアクリル 系粘着剤を得るのに有用であることを見いだし、 本発明を完成するに至った。 発明の開示
本発明は、
( 1 ) 下記一般式 ( I )
X - Y ( I )
(式中、 Xは、 炭素数が 1〜4のアルキル基、 または環構造を有するアルキル基 を有するメ夕クリル酸アルキルエステル単位から主としてなる重合体プロックを 表し; Yは、 炭素数が 1〜2 0のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステ ルおよび Zまたは炭素数が 5〜 2 0のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル エステル単位から主としてなる重合体プロックを表す) で示されるジブ口ック共 重合体であつて、 重合体ブロック Xの重量平均分子量 (Mw) が 1, 0 0 0〜 8 , 0 0 0であり、 重合体ブロック Xの質量と重合体ブロック Yの質量との割合が X/Yの質量比において 1 Z 9 9〜1 0 / 9 0の範囲内であることを特徴とする ジブロック共重合体である。
また、 本発明は、
( 2 ) 重合体プロック Xが炭素数 1〜 4のアルキル基を有するメタクリル酸 アルキルエステル単位から主としてなり、 かつ、 重合体ブロック Yが炭素数 1〜
2 0のアルキル基を有するァクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる上
記 (1) 記載のジブロック共重合体;
(3) 重合体ブロック Xの重量平均分子量 (Mw) と数平均分子量 (Mn) との比 (Mw/Mn) が 1. 5以下である上記 (1) または (2) 記載ジブロッ ク共重合体;および
(4) 80°C以上 120°C以下の温度条件下における粘度が 1〜1, 000 P a - sの範囲である上記 (1) 〜 (3) いずれかに記載のジブロック共重合体 を好ましい態様として包含する。
そして、 本発明は、
(5) 上記 (1) 〜 (4) のいずれかに記載のジブロック共重合体を含む粘 着剤組成物である。
また、 本発明は、
(6) さらに、 (1) 〜 (4) のいずれかに記載のジブロック共重合体とは 異なり、 かつ、 式 (A— B) a、 式 (A— B— C) b、 式 (A— B) c - A、 およ び、 式 (A— B) m-Z 〔式中、 A、 Bおよび Cはそれぞれ構造の異なる重合体ブ ロックを表し、 それぞれのうち少なくとも 1つはアクリル酸アルキルエステルお よび/またはメタクリル酸アルキルエステル単位からなり、 また、 a、 b、 cは 同一あるいは異なっていてもよい 1〜10の整数を表し、 mは 3〜30の整数を 表し、 Zは複数個の共重合体 (A— B) を結合することのできる化合物残基を表 す〕 で表されるブロック共重合体より選択される少なくとも 1種以上のブロック 共重合体を含む上記 (5) の粘着剤組成物;
(7) ブロック共重合体が、 式 A— B— Aまたは式 A— B— C (式中、 A、 B および Cはそれぞれ異なる重合体プロックを表し、 Aはメタクリル酸アルキルェ ステル単位からなり、 Bはアクリル酸アルキルエステル単位からなり、 Cはァク リル酸アルキルエステル単位またはメタクリル酸アルキルエステル単位からなる ) で表される卜リブロック共重合体である上記 (6) 記載の粘着剤組成物;
(8) さらに粘着付与樹脂を含む上記 (5) 〜 (7) のいずれかに記載の粘着
剤組成物;および
( 9 ) ホットメルト型粘着剤である上記 (5 ) 〜 (8 ) のいずれかに記載の粘 着剤組成物
を好ましい態様として含む。
そしてさらに、 本発明は、
( 1 0 ) 上記 (5 ) 〜 (9 ) のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着剤 層を有する粘着材である。 発明を実施するための最良の形態
本発明のジブロック共重合体は上記一般式 (I ) で示される X— Y型のジブ口 ック共重合体であり、 一般式 (I ) 中、 Xは、 炭素数が 1〜4のアルキル基、 ま たは環構造を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から 主としてなる重合体ブロックを表し、 また Yは、 炭素数が 1〜2 0のアルキル基 を有するァクリル酸アルキルエステルおよび/または炭素数が 5〜 2 0のアルキ ル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる重合体プロッ クを表すが、 粘着性能、 ホットメルト塗装性などの観点から、 重合体ブロック X が炭素数 1〜 4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主 としてなり、 かつ、 重合体ブロック Yが炭素数 1〜2 0のアルキル基を有するァ クリル酸アルキルエステル単位から主としてなる上記一般式 (I) 記載のジブロッ ク共重合体であることが好ましい。
上記重合体ブロック Xにおいて、 炭素数が 1〜4のアルキル基としては、 例え ば、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピル基、 イソプロピル基、 n—ブチル基、 s e c—プチル基、 イソブチル基、 t e r t —ブチル基等を挙げることができ、 ま た、 環構造を有するアルキル基としては、 例えば、 シクロプロピル基、 シクロブ チル基、 シクロペンチル基、 シクロへキシル基、 シクロへプチル基、 イソポル二 ル基等を挙げることができる。 これらの基は置換基を有していてもよく、 かかる
置換基の例としては、 例えば、 メトキシ基、 エトキシ基、 n—プロポキシ基、 ィ ソプロポキシ基、 t e r t —ブトキシ基等のアルコキシ基; N, N—ジメチルァ ミノ基、 N, N—ジェチルァミノ基等のアミノ基;塩素、 臭素、 フッ素等の八口 ゲン原子等を挙げることができる。
上記炭素数が 1〜4のアルキル基、 または環構造を有するアルキル基を有する メタクリル酸アルキルエステル単位を構成する単量体としては、 必ずしも限られ るものではないが、 例えば、 メタクリル酸メチル、 メタクリル酸ェチル、 メ夕ク リル酸ィソプロピル、 メタクリル酸 s e c -ブチル、 メタクリル酸ィソブチル、 メタクリル酸 t e r t -プチル、 メタクリル酸シク口へキシル、 メタクリル酸ィ ソポルニル、 メ夕クリル酸 2—メトキシェチル、 メ夕クリル酸 2— (N, N—ジ メチルァミノ) ェチル、 メ夕クリル酸トリフルォロメチル等を挙げることができ 、 これらは 1種または 2種以上で使用することができる。
重合体ブロック Xが、 炭素数が 5以上であり、 環構造を有しないアルキル基を 有するメタクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックである場合に は、 重合体ブロック Xのガラス転移温度 (T g ) が低くなるため、 粘着剤配合成 分として用いる場合、 凝集力、 耐熱性を損なうため好ましくない。 このため、 重 合体ブロック Xのガラス転移温度 (T g ) としては、 + 5 0 °C以上であることが 好ましく、 + 7 0 以上であることがより好ましい。
上記一般式 ( I ) 中の Xで示される重合体ブロックは、 上記メ夕クリル酸アル キルエステル単位のみを含有することができるが、 本発明の効果を損なわない範 囲の少割合 (重合体ブロック Xの総量に対して通常 2 0質量%以下) であれば、 炭素数が 1〜 4のアルキル基または環構造を有するアルキル基を有するメタクリ ル酸アルキルエステル単位以外の他の単量体単位を含有することがでる。 かかる 他の単量体単位としては、 例えば、 メタクリル酸 2—エヂルへキシル、 メタクリ ル酸ドデシル等の炭素数が 5以上のメタクリル酸アルキルエステル;ァクリル酸 メチル、 アクリル酸 n—プチル、 アクリル酸 t 一ブチルなどのアクリル酸アルキ
クリル酸エステル;ァクリル酸トリメチルシリルなどのアルキルエステル以外の アクリル酸エステル;メタクリルアミド、 N—メチルメ夕クリルアミド、 N—ェ チルメタクリルアミド、 N—イソプロピルメタクリルアミド、 N, N—ジメチル メタクリルアミド、 N, N—ジェチルメタクリルアミド等のメ夕クリルアミド類 ;アクリルアミド、 N—メチルアクリルアミド、 N—ェチルアクリルアミド、 N 一^ Γソプロピルアクリルアミド、 N, N—ジメチルアクリルアミド、 N, N—ジ ェチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;メ夕クリル酸、 アクリル酸、 クロ トン酸、 マレイン酸、 無水マレイン酸、 フマル酸等のカルボキシル基を有するビ ニル系モノマー;スチレン、 α—メチルスチレン、 ρ—メチルスチレン等の芳香 族ビニル系モノマー;ブタジエン、 イソプレン等の共役ジェン系モノマ一;ェチ レン、 プロピレン等のォレフィン; ε—力プロラクトン、 バレロラクトン等のラ クトンなどのモノマーに由来する構成成分を含有していてもよい。
また、 重合体ブロック Υにおいて、 上記炭素数が 1〜2 0のアルキル基として は、 例えば、 メチル基、 ェチル基、 η—プロピル基、 イソプロピル基、 η—プチ ル基、 イソブチル基、 s e c 一ブチル基、 t e r t —ブチル基、 2—メチルプチ ル基、 3—メチルブチル基、 n—ォクチル基、 2—ェチルへキシル基、 イソノニ ル基、 ドデシル基、 トリデシル基、 ステアリル基等を挙げることができる。 また 、 炭素数が 5〜 2 0のアルキル基としては、 例えば、 n—ペンチル基、 2—メチ ルブチル基、 3—メチルブチル基、 n—才クチル基、 2—ェチルへキシル基、 ド デシル基、 ステアリル基等を挙げることができる。 これらの基は置換基を有して いてもよく、 かかる置換基の例としては、 メトキシ基、 エトキシ基、 n—プロボ キシ基、 イソプロポキシ基、 t e r t —ブトキシ基等のアルコキシ基; N, N— ジメチルァミノ基、 N, N—ジェチルァミノ基等のアミノ基;塩素、 臭素、 フッ 素等のハロゲン原子等を挙げることができる。
上記炭素数が 1〜 2 0のアルキル基を有するァクリル酸アルキルエステル単位
を構成する単量体としては、 必ずしも限られるものではないが、 例えば、 ァクリ ル酸メチル、 アクリル酸ェチル、 アクリル酸 n—プロピル、 アクリル酸イソプロ ピル、 アクリル酸 n—プチル、 アクリル酸イソプチル、 アクリル酸 s e c—プチ ル、 アクリル酸 t e r t—プチル、 アクリル酸 n—へキシル、 アクリル酸 2—ェ チルへキシル、 アクリル酸ドデシル、 アクリル酸トリデシル、 アクリル酸ステア リル、 アクリル酸 2—メトキシェチル、 アクリル酸 2 _ (N, N—ジメチルアミ ノ) ェチル、 アクリル酸トリフルォロメチル、 アクリル酸トリメトキシシリルプ 口ピル等を挙げることができ、 これらは 1種または 2種以上で使用することがで きる。 また、 上記炭素数が 5〜2 0のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル エステル単位を構成する単量体としては、 必ずしも限られるものではないが、 例 えば、 メタクリル酸 n—ペンチル、 メタクリル酸 n—へキシル、 メ夕クリル酸 2 ——ェチルへキシル、 メタクリル酸ドデシル、 メタクリル酸トリデシル、 メタクリ Jレ酸ステアリル、 メ夕クリル酸 2—メトキシペンチル、 メタクリル酸 2— (N, N—ジメチルァミノ) ペンチル、 メタクリル酸パーフルォロペンチル、 メタクリ ル酸 2—トリメトキシシリルペンチル等を挙げることができ、 これらは 1種また は 2種以上で使用することができる。
重合体プロック γが、 炭素数が 1〜 4のアルキル基を有するメ夕クリル酸アル キルエステル単位からなる重合体プロックである場合には、 重合体プロック Yの ガラス転移温度 (T g ) が高くなるため、 粘着剤配合成分として用いる場合、 硬 質化して粘着力が低下し、 また、 ホットメルト塗工性を損なうため好ましくない 。 このため、 重合体ブロック Yのガラス転移温度 (T g ) としては、 + 5 0 °C未 満であることが好ましく、 + 1 0 °C以下であることがより好ましく、 一 2 0 以 下であることがさらに好ましい。
上記一般式 ( I ) 中の Yで示される重合体ブロックは、 炭素数が 1〜2 0のァ ルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび Zまたは炭素数が 5〜2 0 のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位のみを含有することが
できるが、 本発明の効果を損なわない範囲の少割合 (重合体ブロック Yの総量に 対して 2 0質量%以下) であれば、 炭素数が 1〜2 0のアルキル基を有するァク リル酸アルキルエステルおよび Zまたは炭素数が 5〜 2 0のアルキル基を有する メ夕クリル酸アルキルエステル単位以外の他の単量体単位を含有することができ る。 かかる単量体単位としては、 例えば、 炭素数が 2 1以上のアルキル基を有す るァクリル酸アルキルエステル、 炭素数が 1〜 4のアルキル基を有するメタクリ ル酸アルキルエステル;炭素数が 2 1以上のアルキル基を有するメタクリル酸ァ ルキルエステル;メタクリル酸トリメチルシリルなどのアルキルエステル以外の メタクリル酸エステル;ァクリル酸トリメチルシリルなどのアルキルエステル以 外のアクリル酸エステル;メタクリルアミド、 N—メチルメタクリルアミド、 N —ェチルメタクリルアミド、 N—イソプロピルメタクリルアミド、 N, N—ジメ チルメタクリルアミド、 N, N—ジェチルメタクリルアミド等のメタクリルアミ ド類;アクリルアミド、 N—メチルアクリルアミド、 N _ェチルアクリルアミド 、 N—イソプロピルアクリルアミド、 N, N—ジメチルアクリルアミド、 N, N —ジェチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;メタクリル酸、 アクリル酸、 クロトン酸、 マレイン酸、 無水マレイン酸、 フマル酸等の力ルポキシル基を有す るビニル系モノマー;スチレン、 α—メチルスチレン、 ρ—メチルスチレン等の 芳香族ビニル系モノマー;ブタジエン、 イソプレン等の共役ジェン系モノマー; エチレン、 プロピレン等のォレフィン; ε—力プロラクトン、 バレロラクトン等 のラクトンなどのモノマーに由来する構成成分を含有していてもよい。
上記一般式 (I ) で示されるジブロック共重合体は、 本発明の効果を損なわな い限りにおいて、 必要に応じて、 分子側鎖中または分子主鎖末端に水酸基、 カル ポキシル基、 酸無水物基、 アミノ基、 トリメトキシシリル基などの官能基を有し ていてもよい。
上記のような X— Υで示されるジブロック共重合体は、 「硬質ブロック」 と 「 軟質ブロック」 とから構成されるジブロック共重合体であり、 従来から餅状の形
態を有するものが用いられてきたが、 取扱性などの点で問題があった。 本発明は この点に着目して、 ジブロック共重合体自体の製造性や他成分との配合工程にお ける取扱性の観点から検討した結果、 例えば 1 0 0で以上の温度域で流動性を有 する液体状であるものが取扱性が非常に良好であることを見出し、 しかも該ジブ 口ック共重合体は粘着用途に有用であることも判明した。
このため、 本発明において、 上記一般式 (I ) を満足するジブロック共重合体 中、 重合体ブロック Xの重量平均分子量 (Mw) は 1, 0 0 0〜8 , 0 0 0であ ることが必要であり、 粘着物性とホットメルト塗工性の両方に優れた粘着剤組成 物を得るという観点から、 2 , 0 0 0〜6, 0 0 0であることが好ましく、 3, 0 0 0〜5, 0 0 0であることがより好ましい。 重合体ブロック Xの重量平均分 子量 (Mw) が 8, 0 0 0より大きい場合には、 得られるジブロック共重合体は 、 餅状の形態となるため製造上の取扱性が低下したり、 卜リブロック共重合体な どの他成分との配合工程において取り扱い性が悪化するため好ましくない。 また ジブロック共重合体を含有する組成物の溶融時の粘度が高くなるため、 粘着剤組 成物、 特にホットメル卜型粘着剤の配合成分として用いる上でも好ましくない。 一方、 重合体ブロック Xの重量平均分子量 (Mw) が 1, 0 0 0より小さい場合 には、 凝集力が大きく低下するため、 粘着剤の配合成分として用いるのに好まし くない。
また、 上記一般式 ( I ) で示されるジブロック共重合体では、 重合体ブロック の総質量を基準とした場合における Xで示される重合体ブロックの総質量の割合 が小さすぎると、 得られるブロック共重合体の凝集力が小さくなり、 粘着剤成分 として用いる場合、 得られる粘着剤組成物は保持力 (せん断クリープ強度) 等の 粘着特性が低下する傾向がある。 逆に Xで示される重合体プロックの総質量の割 合が大きすぎると、 粘着剤組成物として用いた場合、 得られるブロック共重合体 は粘着特性 (特に粘着力) が不足気味となる傾向がある。 これらの点から、 本発 明のジブ口ック共重合体中に含まれる重合体プロック Xの質量と重合体ブロック
Yの質量との割合は、 Χ/Υの質量比において 1Z99〜10Ζ90の範囲内で あることが必要であり、 好ましくは 5Ζ95〜10Ζ90の範囲内である。 本発明のジブ口ック共重合体において、 粘着剤配合成分として用いた場合に凝 集力に優れたものとする観点から、 重合体ブロック Xの重量平均分子量 (Mw) と数平均分子量 (Mn) との比 (MwZMn) は 1. 5以下であることが好まし く、 1. 01〜1. 3であることがより好ましい。
また、 本発明のジブロック共重合体全体の重量平均分子量 (Mw) は、 特に限 定されるものではないが、 粘着剤配合成分として用いた塲合に凝集力とホットメ ルト塗工性を両立し得る観点から、 10, 000〜500, 000であることが 好ましく、 10, 000〜200, 000であることがより好ましい。
本発明のジブ口ック共重合体の流動性は、 重合体プロック Xの重量平均分子量 (Mw) と XZYの質量比に影響をうけるため、 重合体ブロック Xの重量平均分 子量 (Mw) が大きくなるほど、 また XZYの質量比が大きくなるほど、 流動性 が低下する傾向がある。 このため、 本発明の前記要件を満足する、 重合体ブロッ ク Xの重量平均分子量 (Mw) が 1, 000〜8, 000であり、 XZYの質量 比が 1ノ99〜10Z90である場合には、 製造時の取扱性や他の成分との配合 工程における取扱性に優れる流動性を確保することができるが、 製造時の取扱性 や他の成分との配合工程における取扱性をより向上させる観点から、 ジブロック 共重合体の粘度は、 80 以上 120 °C以下の温度条件下において 1〜 1 , 00 0 P a■ sの範囲であることが好ましく、 1〜500 P a · sの範囲であること がより好ましい。
上記本発明のジブロック共重合体を製造する方法は、 上記条件を満足するプロ ック共重合体が得られる限りにおいて特に限定されることはなく、 公知の手法に 準じた方法を採用することができる。 一般に、 ブロック共重合体を得る方法とし ては、 各ブロックを構成するモノマーをリビング重合する方法が取られる。 この ようなリビング重合の手法としては、 例えば、 有機アルカリ金属化合物を重合開
始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩の存在下でァニ オン重合する方法 (特公平 7— 25859号公報、 対応米国特許第 5, 264, 527号明細書参照) 、 有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミ二 ゥム化合物の存在下でァニオン重合する方法 (特開平 11一 335432号公報 、 対応米国特許第 6, 329, 480号明細書参照) 、 有機希土類金属錯体を重 合開始剤として重合する方法 (特開平 6— 93060号公報参照) 、 α—八ロゲ ン化エステル化合物を開始剤として銅化合物の存在下ラジカル重合する方法 [マ クロモレクラ ケミカル フィジックス (Ma c r omo l . Chem. P hy s. ) 201巻, 1108〜 11 14頁 (2000年) 参照] などが挙 げられる。 また、 多価ラジカル重合開始剤や多価ラジカル連鎖移動剤を用いて、 各プロックを構成するモノマーを重合させ、 本発明のジブ口ック共重合体を一部 含有する混合物として製造する方法なども挙げられる。
重合工程以降のポリマー回収方法は特に限定されないが、 本発明のジブ口ック 共重合体が高められた温度で高い流動性を有する液状物質であることから、 比較 的、 トルク容量の小さい装置でも取扱が可能であり、 例えば、 攪拌機付きの槽型 反応機を加熱し、 重合に使用した溶媒を除去し、 低い位置にある弁からジブロッ ク共重合体を回収する方法などを採用することができる。
本発明のジブロック共重合体の輸送の形態や手段についても特に限定されない が、 本発明のジブ口ック共重合体が高められた温度で高い流動性を有する液状物 質であることから、 例えば、 加熱された液状のジブロック共重合体をドラム缶な どの小容量の容器に充填し、 これを冷却して該容器を移送した後、 容器を再加熱 することにより、 所望の装置にジブ口ック共重合体を操作性良く移送することが できる。
本発明のジブロック共重合体は、 他の重合体など所望に応じて使用される他の 配合成分と混合して得られる組成物が、 高められた温度条件下での保持力を始め とする各種の優れた粘着特性を示すことから、 粘着剤の配合成分として好適に使
用される。 さらに、 本発明のジブロック共重合体が配合された粘着剤組成物は、 加熱下に容易に溶融して高い流動性を有するようになるので、 ホットメルト型粘 着剤として特に好適に使用される。
本発明の粘着剤組成物は、 上記本発明のジブロック共重合体のみからなってい てもよいが、 所望に応じ適宜他の成分が配合されていてもよい。 本発明の粘着剤 組成物に任意に配合されていてもよい成分としては、 特に制限されないが、 例え ば、 他の重合体、 粘着付与樹脂などが挙げられる。
上記他の重合体としては、 特に制限されず使用することができ、 例えば、 熱可 塑性重合体であれば上記ジブロック共重合体以外の重合体が使用可能である。 か かる重合体の具体例としては、 上記ジブロック共重合体以外のブロック共重合体 、 ポリ n _ブチルァクリレート、 E P R、 E P DM、 エチレン一アクリル酸ェチ ル共重合体、 エチレン—酢酸ビニル共重合体、 ポリ酢酸ビニルなどを挙げること ができる。 これらの重合体のうち、 1種または 2種以上を使用することができる 上記ジブロック共重合体以外のブロック共重合体としては、 必ずしも限定され るものではないが、 たとえば、 上記一般式 ( I ) で示されるジブロック共重合体 とは異なり、 かつ、 式 (A— B) a、 式 (A— B— C) b、 式 (A— B) 。一 A、 および、 式 (A _ B) m—Zなどで示されるブロック共重合体 (式中、 重合体プロ ック A、 Bおよび Cは、 それぞれ異なる重合体ブロックを表し、 それぞれのうち 少なくとも 1つはアクリル酸アルキルエステル単位および Zまたはメ夕クリル酸 アルキルエステル単位からなり、 また a、 b、 cは同一あるいは異なっていても よい 1〜1 0の整数を表し、 mは 3〜3 0の整数を表し、 Zは複数個の共重合体 (A - B ) を結合することのできる化合物残基を表す) を挙げることができ、 ァ クリル系のブロック共重合体であることが好ましい。 上記重合体ブロック A、 B および Cを構成する単量体としては、 必ずしも限られるものではないが、 例えば 、 メ夕クリル酸メチル、 メ夕クリル酸ェチル、 メ夕クリル酸 n—プロピル、 メタ
クリル酸イソプロピル、 メ夕クリル酸 n _プチル、 メ夕クリル酸イソプチル、 メ タクリル酸 s e c—プチル、 メタクリル酸 t一プチル、 メタクリル酸ァミル、 メ タクリル酸イソアミル、 メ夕クリル酸 n—へキシル、 メタクリル酸 2—ェチルへ キシル、 メ夕クリル酸ドデシル等のメ夕クリル酸アルキルエステル;アクリル酸 メチル、 アクリル酸ェチル、 アクリル酸 n—プロピル、 アクリル酸イソプロピル 、 アクリル酸 n _プチル、 アクリル酸イソプチル、 アクリル酸 s e c—ブチル、 アクリル酸 t一プチル、 アクリル酸ァミル、 アクリル酸イソアミル、 アクリル酸 n—へキシル、 アクリル酸 2—ェチルへキシル、 アクリル酸ドデシル等のァクリ ル酸アルキルエステル;スチレン、 ひーメチルスチレン、 ρ—メチルスチレン等 の芳香族ビニル系モノマー;ブタジエン、 イソプレン等の共役ジェン系モノマー 等を挙げることができる。 また共役ジェン系モノマ一によって構成される重合体 ブロックの二重結合は水素添加されていてもよい。
上記他の重合体は、 凝集力に優れた粘着剤組成物を得るという観点から、 ァク リル系ブロック共重合体であることが好ましい。 さらに本発明のジブロック共重 合体との相容性がよく、 均一性を向上させ、 耐熱性および耐候性に優れた粘着剤 組成物を得るという観点から、 上記アクリル系ブロック共重合体において重合体 ブロック A、 Bおよび Cのうち少なくとも 1つは前記アクリル酸アルキルエステ ル単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位からなることがより好 ましく、 重合体ブロック A、 Bおよび Cの全てがアクリル酸アルキルエステルお よび Zまたはメタク、 Jル酸アルキルエステル単位からなることがさらに好ましく 、 特に重合体ブロック Aがメタクリル酸アルキルエステルからなり、 重合体プロ ック Bがアルキル酸アルキルエステルからなり、 重合体プロック Cがメタクリル 酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステルからなることが好ましい 。 これらの特に好ましいアクリル系ブロック共重合体の具体例としては、 ポリメ タクリル酸メチルー b—ポリアクリル酸 n—プチルー b—ポリメ夕クリル酸メチ ル、 ポリメタクリル酸メチル _ b—ポリアクリル酸 n—プチルー b—ポリアクリ
ル酸メチル、 ポリメタクリル酸メチル— b—ポリアクリル酸 n—ブチル一 b—ポ リアクリル酸ェチルなどの式 A—B—Aまたは A—B— Cの構造で示されるトリ ブロック共重合体を挙げることができる。 これらのうち、 ポリメタクリル酸メチ ル— b—ポリアクリル酸 n—プチル— b—ポリメタクリル酸メチルの構造で示さ れるトリブロック共重合体であることがより望ましい。
上記プロック共重合体中の重合体ブロック A、 重合体プロック Bおよび重合体 ブロック Cの重量平均分子量は、 必ずしも限定されないが、 一般的にはそれぞれ 3 , 0 0 0〜5 0 0 , 0 0 0の範囲であることが好ましく、 3, 0 0 0〜3 0 0 , 0 0 0の範囲であることが好ましい。 またブロック共重合体全体の重量平均分 子量は、 必ずしも限定されないが、 一般的には 1 0 , 0 0 0〜1, 0 0 0, 0 0 0の範囲であることが好ましく、 3 0 , 0 0 0〜 5 0 0, 0 0 0の範囲であるこ とがより好ましく、 4 0, 0 0 0〜2 0 0 , 0 0 0の範囲であることがさらに好 ましい。
'本発明の粘着剤組成物は、 粘着付与樹脂を配合させることにより、 タック、 粘 着力、 保持力などの向上,調節が容易となる場合がある。 配合可能な粘着付与樹 脂としては、 特に限定されないが、 例えば、 ロジンエステル、 ガムロジン、 トー ル油ロジン、 水添ロジンエステル、 マレイン化ロジン、 不均化ロジンエステルな どのロジン誘導体;テルペンフエノール樹脂、 一ビネン、 j3—ビネン、 リモネ ンなどを主体とするテルペン系樹脂; (水添) 石油樹脂、 クマロン一インデン系 樹脂、 水素化芳香族コポリマー、 スチレン系樹脂、 フエノール系樹脂、 キシレン 系樹脂等を挙げることができ、 これらは 1種または 2種以上で使用することがで きる。
本発明の粘着剤組成物の主たる構成成分である本発明のジブロック共重合体、 他の重合体および粘着付与樹脂の配合比は、 粘着剤の用途、 被着体の種類などに 応じて適宜選択することができ特に制限されないが、 凝集力、 粘着力に優れ、 ま た、 塗工性が良好となる点から、 本発明のジブロック共重合体 1 0 0質量部に対
し、 他の重合体が 1 0〜1 0 , 0 0 0質量部、 粘着付与樹脂が 0〜 1 0, 0 0 0 質量部であることが好ましく、 本発明のジブロック共重合体 1 0 0質量部に対し 、 他の重合体が 1 0〜 5, 0 0 0質量部、 粘着付与樹脂は 0〜 5, 0 0 0質量部 であることがより好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、 さらに必要に応じて各種の可塑剤を含有してもよい かかる可塑剤の例としては、 例えば、 ジブチルフ夕レー卜、 ジ n—ォクチルフ 夕レート、 ビス (2—ェチルへキシル) フタレ一卜、 ジ n—デシルフタレ一卜、 ジィソデシルフ夕レート等のフ夕ル酸エステル類;ビス ( 2—ェチルへキシル) アジペート、 ジ n—ォクチルアジべ一ト等のアジピン酸エステル類;ビス ( 2— ェチルへキシル) セバゲート、 ジ n—ブチルセバケ一ト等のセバシン酸エステル 類;ビス (2—ェチルへキシル) ァゼレート等のァゼライン酸エステル類;塩素 化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコ一ル-類; エポキシ化大豆油、 エポキシ化アマ二油等のエポキシ変性植物油類; トリオクチ ルホスフエ一ト、 トリフエニルホスフェート等のリン酸エステル類; トリフエ二 ルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と 1, 3—ブチレングリコ —ルとのエステル化物等のエステルオリゴマ一類;低分子量ポリブテン、 低分子 量ポリイソプチレン、 低分子量ポリイソプレンなどの低分子量重合体;プロセス オイル、 ナフテン系オイル等のオイル類などが挙げられ、 これらは単独でまたは 2種以上混合して用いられる。 可塑剤の使用量は、 可塑剤以外の粘着剤配合成分 の合計 1 0 0質量部に対して、 0〜1 , 0 0 0質量部の範囲であるのが一般的で ある。
また、 本発明の粘着剤組成物は、 必要に応じて各種の添加剤を含有していても よい。 かかる添加剤の具体例としては、 耐候性、 耐熱性、 耐酸化性などをさらに 向上させるための酸化防止剤や紫外線吸収剤;炭酸カルシウム、 酸化チタン、 マ イカ、 タルクなどの無機粉末充填剤;ガラス繊維、 有機補強用繊維などの繊維状 充填剤などを挙げることができる。
本発明の粘着剤組成物を製造する方法としては、 特に制限されず、 例えば、 粘 着剤組成物を構成する成分を、 二一ダール一ダー、 押出機、 ミキシングロール、 バンバリ一ミキサーなど既知の混合 '混練装置を使用して、 通常 1 0 0 ° (:〜 2 5 0 °Cの範囲内の温度で混合混練することにより得ることができる。 また本発明の 粘着剤組成物は、 各成分を有機溶媒に溶解して混合した後、 該有機溶媒を留去す ることによつても得ることもできる。
本発明のジブロック共重合体を含む粘着剤組成物を溶融状態にして、 フィルム 状、 シート状、 テープ状またはその他の所望の形状を有する紙、 紙ボード、 セロ ハン、 樹脂、 布、 木材、 金属などの基材に塗工した後、 冷却することにより、 本 発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着材を製造することができる。 また、 本発明の粘着剤組成物は、 トルエンなどの溶剤に溶かして溶液状にして溶 剤型粘着剤として使用することも可能であり、 かかる場合には、 基材に該溶剤型 粘着剤を塗布後、 溶剤を蒸発させることによって上記のような粘着材を製造して もよい。
本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材上に形成させることによって得 られる粘着材としては、 粘着シート、 粘着フィルム、 粘着テープ、 感圧性テープ 、 マスキングテープ、 電気絶縁用テープ、 ラミネート物などが挙げられる。
上記の粘着材の中でも、 特に代表的なものとしては、 例えば、 基材フィルムの 少なくとも一部の表面上に本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を形成させた 粘着フィルム、 粘着テ一プ等を挙げることができる。
以下、 実施例などにより本発明を具体的に説明するが、 本発明はそれらに限定 されるものではない。
なお、 以下に示す合成例においては、 化合物は常法により乾燥精製し、 窒素に て脱気したものを使用した。 また、 化合物の移送および供給はアルゴン雰囲気下 で行った。
重合体およびブロック共重合体の重量平均分子量 (Mw) および分子量分布 (
Mw/Mn) は GPC (ゲル ·パ一ミエ一シヨン 'クロマトグラフィー) により ポリスチレン換算分子量で求めた。 また、 ブロック共重合体における各重合体ブ ロックの構成割合は1 H— NMR —核磁気共鳴) 測定によって求めた。
上記で用いた測定装置および条件は、 以下のとおりである。
(1) GPC :
•装置:東ソ一株式会社製 GPC装置 「HLC— 8020J
'分離カラム:東ソー株式会社製の 「TS Kg e 1 GMHXL」 、 「G400 0HXL」 および 「G5000HXL」 を直列に連結
•溶離剤:テトラヒドロフラン
·溶離剤流量: 1. OmlZ分
•カラム温度: 40°C
•検出方法:示差屈折率 (R I)
(2) Ή一 NMR:
•装置: 日本電子株式会社製核磁気共鳴装置 「JNM— LA400J
·重溶媒:重水素化クロ口ホルム
ジブロック共重合体の取扱性の指標として、 各温度 (80° (:、 120°C) にお ける溶融粘度を測定し評価した。 測定装置は、 ブルックフィールド型粘度計 ( BROOKFIELD ENGINEERING LABS. IN 製) またはフローテスタ C F T— 500形キ ャピラリー型粘度計 (島津製作所製、 条件:プランジャー断面積: l cm2、 ダイ (ノズル) 寸法:直径 lmm、 長さ 10mm、 試験荷重 10 k gZ c m2) を用い た。
また、 表 1記載の各種粘着物性等の評価のため、 粘着剤組成物および粘着テ一 プを以下に示す方法によって調製 ·作成した。
( a ) 粘着剤組成物の調製方法および粘着テープ作製方法:
表 1記載の配合質量比のジブロック共重合体、 ブロック重合体、 重合体及び粘 着付与樹脂をトルエンに溶解して 35質量%濃度の粘着剤トルエン溶液を作製し
、 これを減圧下溶媒留去して粘着剤組成物を得た。
また、 上記粘着剤トルエン溶液をコ一夕一によってポリエチレンテレフタレ一 ト製フィルム上に厚さ 254 mでコーティングを行い、 160° (、 30分で乾 燥 ·熱処理して粘着物性評価用のテープを得た。
さらに上記で得られた粘着剤組成物の溶融粘度、 ホットメルト塗工性、 および 各種粘着物性 〔粘着性 (ポールタック) 、 保持力および粘着力〕 の測定,評価は 以下のようにして実施した。
(b) 溶融粘度:
フローテス夕 CFT— 500形 (島津製作所製) キヤピラリー型粘度計を用い 、 プランジャ一断面積: l cm2、 ダイ (ノズル) 寸法:直径 lmm、 長さ 10m m、 試験荷重 10 kgZcm2の条件で、 180°Cで測定した。 適度な溶融粘度を 有することは、 ホットメルト塗工性が良好であることの目安となる。
(c) ホットメルト塗工性:
粘着剤を 180°Cの温度でコ一夕一を用いてポリエステルフィルム上に 40 mの塗工厚みにコーティングする際における塗工性を、 「極めて良好」 (◎) 、 「良好」 (〇) 、 「やや不良」 (△) 、 「不良」 (X) 、 「極めて不良」 (XX ) の 5ランクに分けて判定した。
(d) 粘着性 (ポールタック) :
J I S Z 0237に準拠して 25°Cにおけるポールタック値を調べた。 ここ で、 ポールタック値は数字の大きいほど粘着性 (タック性) が良好であることを 示す。
(e) 保持力:
J I S Z 0237に準じて評価した。 すなわち、 作製した粘着テープ (幅 2 5mm、 長さ 25mm) をステンレス (SUS 304) 板に接着し、 環境温度 4 0 或いは 80°Cで荷重 1 kgを吊り下げ、 落下時間を求めた。 落下せずに保持 している時間 (保持時間) が長いほど保持力 (クリープ性能) が良好であること
を示す。
(f) 接着力:
J I S Z 0237に準じて 180° 剥離試験により評価した。 すなわち、 作 製した粘着テープ (幅 25 mm、 長さ 100mm) をステンレス (SUS 304 ;) 板およびポリエチレン製の厚さ約 lmmのシートに貼り付け、 25°Cにおいて 30 cm/分の速度で 180° の方向に剥離して測定した。
合成例 1 (ジブ口ック共重合体 A 1の合成)
1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、 アルゴンで置換 した後、 室温にてトルエン 291 g、 N, N, N, , N, , , N, , —ペンタメ チルジェチレントリアミン 2. 02 g、 イソブチルビス (2, 6—ジー t—ブチ ル—4—メチルフエノキシ) アルミニウム 8. 18mmo 1を含有するトルエン 溶液 12. 2 gを加え、 さらに、 s e c—ブチルリチウム 3. 38mmo 1を含 有するシクロへキサンと n—へキサンの混合溶液 1. 98 gを加えた。 これにメ タクリル酸メチル 1 1. 0 gを加えた。 反応液は当初、 黄色に着色していたが、 室温 (25°C) にて 1時間攪拌後、 無色となった。 この時点で、 反応液 l gを採 取した。 これをサンプリング試料 1とする。 引き続き、 重合液の内部温度を一 2 に冷却し、 アクリル酸 n—ブチル 143 gを 5時間かけて滴下した。 滴下終了 後、 反応液 l gを採取した。 これをサンプリング試料 2とする。 続いて反応液に メタノールを 1 g添加して重合を停止した。 この重合停止後の反応液を大量のメ タノールと水の混合溶液 (メタノールの割合は 70質量%) 中に注ぎ、 析出した 油状の沈殿物を得た。 これをサンプリング試料 3とする。
サンプリング試料 1〜3について1 H— NMR測定、 G PC測定を行い、 その結 果に基づいて、 Mw (重量平均分子量) 、 MwZMn (分子量分布) 、 メタクリ ル酸メチル重合体 (PMMA) ブロックとアクリル酸 n—ブチル重合体 (PnB A) ブロックの質量比等を求めたところ、 最終的に得られた上記油状沈殿物は、 P MM Aブロックー P n B Aブロックのジブ口ック共重合体 A 1 (P MMA— b
-PnBA) であり、 その PMMAブロック部の Mw (重量平均分子量) は 4, 700であり、 Mw/Mn (分子量分布) は 1. 12であり、 また、 ジブロック 共重合体全体の Mw (重量平均分子量) は 92, 400であり、 MwZMn (分 子量分布) は 1. 25であり、 各重合体ブロックの割合は PMMA (7. 1質量 %) -PnBA (92. 9質量%) であることが判明した。
得られたジブロック共重合体は室温 (25°C) で液状 (高粘度液体) であり、 その溶融粘度は、 ブルックフィールド型粘度計で測定した結果、 80 で126 P a · s ( 1 , 260ボイズ) 、 120 °Cで 19 P a · s ( 190ボイズ) と流 動性の高い液体状であり、 材料移送などの取扱性に優れていることが判つた。 合成例 2 (ジブロック共重合体 A 2の合成)
メタクリル酸メチルおよびアクリル酸 n—ブチルの使用量を変える以外は合成 例 1と同様にして、 PMMAブロックー P n B Aブロックのジブ口ック共重合体 A2 (PMMA— b— PnBA) を合成した。
得られたジブロック共重合体 A 2の PMMAブロック部の Mw (重量平均分子 量) は 3, 000であり、 Mw/Mn (分子量分布) は 1. 15であり、 また、 ジブロック共重合体全体の Mw (重量平均分子量) は 43, 000であり、 Mw /Mn (分子量分布) は 1. 02であり、 各重合体ブロックの割合は PMMA (
7. 0質量%) -PnBA (93. 0質量%) であった。
また、 得られたジブ口ック共重合体 A 2の溶融粘度をフローテス夕一キヤビラ リー型粘度計にて測定した結果、 80°Cで 23 P a ' s (230ボイズ) 、 12 0°Cで 2P a * s (20ボイズ) であった。
合成例 3 (プロック共重合体 B 1の合成)
1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、 アルゴンで置換 した後、 室温にてトルエン 278 g、 1, 2—ジメトキシェタン 13. 9g、 ィ ソブチルビス (2, 6—ジー t一プチルー 4ーメチルフエノキシ) アルミニウム
8. 05mm o 1を含有するトルエン溶液 12. 0 gを加え、 さらに、 s e c—
ブチルリチウム 2. 35mmo 1を含有するシクロへキサンと n—へキサンの混 合溶液 1. 38 gを加えた。 これにメタクリル酸メチル 15. 0 gを加えた。 反 応液は当初、 黄色に着色していたが、 室温 (25°C) にて 1時間攪拌後、 無色と なった。 この時点で、 反応液 l gを採取した。 これをサンプリング試料 4とする 。 引き続き、 重合液の温度を _ 30°Cに冷却し、 アクリル酸 n—ブチル 90. 0 gを 5時間かけて滴下した。 滴下終了後、 反応液 l gを採取した。 これをサンプ リング試料 5とする。 続いて、 反応液にメタクリル酸メチル 15. 0 gを加えた 。 反応液は当初、 黄色に着色していたが、 室温にて 10時間攪拌後、 無色となつ た。 この時点で、 反応液 l gを採取した。 これをサンプリング試料 6とする。 続 いて、 反応液にメタノール 1 gを添加して重合を停止した。 この重合停止後の反 応液を大量のメタノールと水の混合溶液 (メタノールの割合は 90質量%) 中に 注ぎ、 析出した白色沈殿物を得た。 これをサンプリング試料 7とする。
サンプリング試料 4〜7について1 H— NMR測定、 GPC測定を行い、 その結 果に基づいて、 Mw (重量平均分子量) 、 Mw/Mn (分子量分布) 、 メタクリ ル酸メチル重合体 (PMMA) ブロックとアクリル酸 n_ブチル重合体 (PnB A) ブロックの質量比等を求めたところ、 最終的に得られた上記白色沈殿物は、 P MM Aブロック— P n B Aブロック— P MM Aブロックのトリブロック共重合 体 B 1 (PMMA-b-PnBA-b-PMMA) であり、 片側の PMMAブロ ック部の Mw (重量平均分子量) は 7, 300であり、 Mw/Mn (分子量分布 ;) は 1. 09であり、 また、 トリブロック共重合体全体の Mw (重量平 分子量 ) は68, 000であり、 MwZMn (分子量分布) は 1. 05であった。 また 、 各重合体ブロックの割合は PMMA (12. 5質量%) — PnBA (75. 3 質量%) -PMMA (12. 2質量%) であることが判明した。
合成例 4 (ブロック共重合体 B 2の合成)
1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、 アルゴンで置換 した後、 室温にてトルエン 278 g、 1, 2—ジメトキシェタン 13. 9 g、 ィ
ソブチルビス (2, 6—ジー tーブチルー 4—メチルフエノキシ) アルミニウム 8. 18 mm o 1を含有するトルエン溶液 12. 2 gを加え、 さらに、 s e c— ブチルリチウム 1. 68mmo 1を含有するシクロへキサンと n—へキサンの混 合溶液 0. 99 gを加えた。 これにメタクリル酸メチル 17. 0 gを加えた。 反 応液は当初、 黄色に着色していたが、 室温 (25°C) にて 1時間攪拌後、 無色と なった。 この時点で、 反応液 l gを採取した。 これをサンプリング試料 8とする 。 引き続き、 重合液の内部温度を一 30°Cに冷却し、 アクリル酸 n—ブチル 10 2. 0 gを 5時間かけて滴下した。 滴下終了後、 反応液 l gを採取した。 これを サンプリング試料 9とする。 続いて、 反応液にメタクリル酸メチル 17. 0 gを 加えた。 反応液は当初、 黄色に着色していたが、 室温にて 10時間攪拌後、 無色 となった。 この時点で、 反応液 l gを採取した。 これをサンプリング試料 10と する。 続いて、 反応液にメタノール 1 gを添加して重合を停止した。 この重合停 止後の反応液を大量のメタノールと水の混合溶液 (メタノールの割合は 90質量 ) 中に注ぎ、 析出した白色沈殿物を得た。 これをサンプリング試料 11とする 。
サンプリング試料 8〜11について1 H— NMR測定、 GPC測定を行い、 その 結果に基づいて、 Mw (重量平均分子量) 、 MwZMn (分子量分布) 、 メタク リル酸メチル重合体 (PMMA) ブロックとアクリル酸 n—ブチル重合体 (Pn BA) ブロックの質量比等を求めたところ、 最終的に得られた上記白色沈殿物は 、 PMMAブロック一 PnB Aブロック— PMMAブロックのトリブロック共重 合体 B2 (PMMA- b-PnBA-b -PMMA) であり、 片側の PMMAブ ロック部の Mw (重量平均分子量) は 11, 400であり、 MwZMn (分子量 分布) は 1. 07であり、 また、 トリブロック共重合体全体の Mw (重量平均分 子量) は 107, 000であり、 MwZMn (分子量分布) は 1. 04であった 。 また、 各重合体ブロックの割合は PMMA (12. 5質量%) — PnBA (7 5. 2質量%) -PMMA (12. 3質量%) であることが判明した。
合成例 5 (ジブロック共重合体 C 1の合成)
1リツトルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、 アルゴンで置換 した後、 室温にてトルエン 278 g、 N, N, N, , N, , , N, , —ペンタメ チルジェチレントリアミン 1. 29 g、 イソブチルビス (2, 6—ジ— t一プチ ルー 4—メチルフエノキシ) アルミニウム 7. 46 mm 01を含有するトルエン 溶液 11. l gを加え、 さらに、 s e c—ブチルリチウム 2. 49mmo lを含 有するシクロへキサンと n—へキサンの混合溶液 1. 46 gを加えた。 これにメ タクリル酸メチル 22. 4 gを加えた。 反応液は当初、 黄色に着色していたが、 室温 (25°C) にて 1時間攪拌後、 無色となった。 この時点で、 反応液 l gを採 取した。 これをサンプリング試料 12とする。 引き続き、 重合液の内部温度を— 5°Cに冷却し、 アクリル酸 n—ブチル 133. 1 gを 5時間かけて滴下した。 滴 下終了後、 反応液 l gを採取した。 これをサンプリング試料 13とする。 続いて 、 反応液にメタノール 1 gを添加して重合を停止した。 この重合停止後の反応液 を大量のメタノールと水の混合溶液 (メタノールが 80質量%) 中に注ぎ、 析出 した白色沈殿物を得た。 これをサンプリング試料 14とする。 サンプリング試 料 12〜14について1 H— NMR測定、 GPC測定を行い、 その結果に基づいて 、 Mw (重量平均分子量) 、 MwZMn (分子量分布) 、 メタクリル酸メチル重 合体 (PMMA) ブロックとアクリル酸 n—ブチル重合体 (PnBA) ブロック の質量比等を求めたところ、 最終的に得られた上記白色沈殿物は、 PMMAプロ ックー P nBAブロックのジブロック共重合体 C 1 (PMMA— b— P n B A) であり、 サンプリング試料 12の PMMAブロック部の Mw (重量平均分子量) は 11, 200であり、 MwZMn (分子量分布) は 1. 07であり、 また、 ジ ブロック共重合体全体の Mw (重量平均分子量) は 89, 500であり、 MwZ Mn (分子量分布) は 1. 25であった。 また、 各重合体ブロックの割合は PM MA (14. 1質量%) -PnBA (85. 9質量%) であることが判明した。 得られたジブロック共重合体は、 室温 (25°C) で餅状であり、 その溶融粘度
はブルックフィールド型粘度計で測定した結果、 120°(:で1, O O O P a ' s 以上 (10, 000ボイズ以上) であり、 極めて流動性が乏しいことが判った。 合成例 6〜8 (ジブロック共重合体 C 2〜C 4の合成)
メタクリル酸メチルおよびァクリル酸 n一ブチルの使用量を変える以外は合成 例 5と同様にして、 PMMAブロック一 P nB Aブロックのジブロック共重合体 (PMMA— b— P nBA) C2〜C4を合成した。
(1) 得られたジブロック共重合体 C 2の PMMAブロック部の Mw (重量平均 分子量) は 4, 300であり、 Mw/Mn (分子量分布) は 1. 13であり、 ま た、 ジブロック共重合体全体の Mw (重量平均分子量) は 46, 900であり、 Mw/Mn (分子量分布) は 1. 07であり、 各重合体ブロックの割合は PMM A (12. 7質量%) — PnBA (87. 3質量%) であった。
また、 得られたジブロック共重合体 C 2は、 室温 (25°C) で液状と餅状の中 間の状態 (液状に近い状態) であった。
(2) 得られたジブロック共重合体 C 3の PMMAブロック部の Mw (重量平均 分子量) は 4, 300であり、 MwZMn (分子量分布) は 1. 13であり、 ま た、 ジブロック共重合体全体の Mw (重量平均分子量) は 26, 700であり、 Mw/Mn (分子量分布) は 1. 07であり、 各重合体ブロックの割合は P MM A (19. 5質量%) -PnBA (80. 5質量%) であった。
また、 得られたジブロック共重合体 C 3は、 室温 (25°C) で液状と餅状の中 間の状態 (餅状に近い状態) であった。
(3) 得られたジブロック共重合体 C 4の PMMAブロック部の Mw (重量平均 分子量) は 10, 000であり、 MwZMn (分子量分布) は 1. 09であり、 また、 ジブロック共重合体全体の Mw (重量平均分子量) は 137, 000であ り、 Mw/Mn (分子量分布) は 1. 07であり、 各重合体ブロックの割合は P MMA (7. 7質量%) -PnBA (92. 3質量%) であった。
また、 得られたジブロック共重合体 C 3は、 室温 (25°C) で液状であった。
実施例 1〜 5
合成例 1および 2で得られたジブ口ック共重合体 A 1および A 2、 合成例 3お よび 4で得られたブロック共重合体 B 1およびは B 2、 および粘着付与樹脂を用 いて、 表 1で示す配合の粘着剤組成物を調整した。 次いで、 この粘着剤組成物を もちいて、 上記試験方法に従って、 溶融粘度、 ホットメルト塗工性、 および各種 粘着物性 〔粘着性 (ポールタック) 、 保持力、 および、 粘着力〕 の測定 ·評価を 実施した。 得られた結果を表 2に示す。 なお、 実施例 2の粘着付与樹脂としては 、 水添ロジングリセリンエステルである荒川化学社製の粘着付与樹脂 K E— 3 1 1を用いた。
比較例 1
合成例 3で得られたブロック共重合体 B 1を用いて、 実施例 1と同様にして、 各種測定 ·評価を実施した。 得られた結果を表 2に示す。
比較例 2
合成例 4で得られたブロック共重合体 B 2を用いて、 実施例 1と同様にして、 各種測定 ·評価を実施した。 得られた結果を表 2に示す。
比較例 3
通常のラジカル重合法によって得られた、 Mw (重量平均分子量) が 5 9, 0 0 0であり、 MwZM n (分子量分布) が 2 . 9 1であるアクリル酸 n—ブチル 重合体 (P n B A) と合成例 3で得られたブロック共重合体 B 1を用いて、 実施 例 1と同様にして、 各種測定 ·評価を実施した。 得られた結果を表 2に示す。 比較例 4〜 7
ジブロック共重合体 C 1〜C 4とブロック共重合体 B 2を用いて、 実施例 1と 同様にして、 各種測定 ·評価を実施した。 得られた結果を表 2に示す。
表 1 構 成 成 分 ( 質 量 部 ) 重合体 ブロック共重合 粘着付与樹脂 体 Β 1又は Β 2
実施例 1 ジブロック共重合体 重合体 Β 1 0
A 1 100 100
実施例 2 ジブロック共重合体 重合体 Β 1 60
A1 50 100
実施例 3 ジブロック共重合体 重合体 Β 2 0
A 1 100 100
実施例 4 ジブロック共重合体 重合体 Β 2 0
A 1 200 100
実施例 5 ジブロック共重合体 重合体 Β 2 0
A2 100 100
比較例 1 0 重合体 Β 1 0
100
比較例 2 0 重合体 Β 2 0
100
比較例 3 PnBA 重合体 Β 1 0
100 100
比較例 4 ジブロ ク共重合体 重合体 Β 2 0
C 1 100
100
比較例 5 ジブロック共重合体 重合体 Β 2 0
C 2 100
100
比較例 6 ジブロック共重合体 重合体 Β 2 0
C 3 100
100
比較例 7 ジブロック共重合体 重合体 Β 2 0
C 4 100
100
表 2 粘 着 物 性 の 測 定 · 評 価 結 果 溶融粘度 ホッ ポ 保持力 保持 粘着力対 粘着力対ポ 1 80°C 卜メ 40°C 力 8 ステンレ リエチレン (mP a · s; ル卜 ル (分) 0°C ス (gZc
夕 (分 (g/c m) 性 ッ ) m)
ク
実施例 5, 60 0 ◎ 1 240 1 0 3 1 0 1 0 0
1 1 以上 8
実施例 3, 5 00 ◎ 3 240 1 5 7 0 0 43 0
2 以上 4
実施例 24, 0 00 〇 1 240 2 0 2 9 0 5 0 3 2 以上 0
実施例 7, 1 0 0 ◎ 1 1 6 1 5 0 3 9 0 1 50 4 4
実施例 14, 0 00 〇 1 240 1 9 47 0 1 7 0 5 5 以上 0 比較例 5 6, 0 00 △ 6 240 24 9 0 2 0 1 以上 0以
上
比較例 2, 8 0 0, 0 X 5 240 24 7 0 1 0未満 2 00 以上 0以
上
比較例 3, 2 0 0 ◎ 8 1 1 0 2 2 3 0 3 0 3
比較例 140, 000 X 1 240 24 42 0 7 0 4 2 以上 0以
上
比較例 8 5 0, 0 0 0 X 1 240 24 480 1 80 5 4 以上 0以
上
比較例 3 8 0, 000 X 1 240 24 530 250 6 5 以上 0以
上
比較例 1, 0 80, 0 X 1 240 24 430 1 60 7 0 0 6 以上 0以
上
上記の結果から、 本発明のジブロック共重合体は、 高められた温度で高い流動 性を有する液状物質であり、 製造時の取扱性 ·移送取扱性などの取扱性に優れる ことが分かる。 さらにこれを含有する接着剤組成物は、 ホットメルト塗工性、 保 持力等に優れ、 また粘着付与樹脂を配合して使用する場合には、 さらにポール夕 ックおよび粘着力を向上させる効果があることが分かる。 また、 比較例 3の結果 から、 上記一般式 ( I ) 中の Xで示される重合体ブロックがないアクリル酸 n— ブチル重合体単独の場合には、 ホットメルト塗工性の改良に効果があるものの、 保持力および粘着力が低く、 また比較例 4〜 7の結果から、 Xで示される重合体 ブロックの重量平均分子量 (Mw) および Zまたは X/Yの質量比が大きい場合 には、 保持力および粘着力は良好であるもホットメルト塗工性が悪いことが分か る。
以上から、 本発明のジブロック共重合体は、 粘着剤成分と配合して用いた場合 に、 ホットメルト塗工性と保持力、 粘着力等の粘着物性との両方に優れた性能を 発現することが分かる。 産業上の利用可能性
本発明のジブロック共重合体は、 粘着剤組成物、 特にホットメルト型粘着剤の 成分として用いた場合、 粘着剤組成物の溶融粘度を低下させ、 基材へのホットメ ルト塗工性を改良し、 かつ、 凝集力を保ちつつ、 粘着性、 粘着力を改良すること ができるので有用である。 また、 本発明のジブロック共重合体は、 高温で高い流 動性を有する液状物質であり、 製造時の取扱性 ·移送時の取扱性などの取扱性に 優れる。
また、 本発明のジブロック共重合体を含有する粘着剤組成物は、 粘着テープ、 粘着シートなどの高品質の粘着材を円滑に製造することが可能となり、 また、 そ の製造工程における環境への負荷を低減することができる。 さらに、 本発明のジ ブロック共重合体は、 その構造に由来して耐熱性、 耐候性等にも優れるため、 こ
れを用いた粘着剤組成物及び粘着材は長期間、 高温下や紫外線に晒される環境下 での使用に好適である。