明細書
2, 3—ジァミノピリジン誘導体の製造方法 技術分野
本発明は、 セフヱム系抗菌剤等の医薬の原料として有用な 2 , 3—ジァミノピリジン 誘導体の製造法に関する。 背景技術
本発明に係る後記の化合物 (Π) 等の 2, 3—ジァミノピリジン誘導体は、 例えば W 000/32606号、 参考例 29等に記載の通り、 セフエム系抗菌剤の 3位側鎖原料 として有用である。 該文献では、 化合物 (Π) は、 2, 3—ジァミノピリジンと N— t 一ブトキシカルボ二ルー N—メチル一アミノプロピオンアルデヒド (以下、 ボックアル デヒドともいう) とを、 ピリジン存在下に BH3と反応させて合成している。
しかし、 化合物 (II) を工業的に大量生産するためには、 さらに好ましい製法の開発 が要望されていた。
また 2, 3—ジァミノピリジン二塩酸塩は公知物質 (特開昭 59— 27875) である が、 その粉末 X線解析の結晶デ一夕に関しては文献未記載である。 発明の開示
本発明者らは化合物(Π)の工業的製法について鋭意検討した結果、従来、化合物(II) の側鎖原料として使用していたボックアルデヒド等のアルデヒド体は、 室温下でも保存 安定性が好ましくなく、 その結果、 2, 3—ジァミノピリジンから化合物 (II) を合成 する際の収率に悪影響を及ぼしていることが判明した。 そこでさらに検討した結果、 ボ ックアルデヒドを単離せずに、 その合成中間体であるァセタール保護体の段階で、 2, 3—ジァミノピリジンと反応させれば、 より高収率で反応が進行し、 通算収率も向上す ることを見出した。 また 2, 3—ジァミノピリジンの塩酸塩を結晶として単離すること にも成功し、 以下に示す本発明を完成した。
(1 ) 式
NH2
N ヽ N¾ で示される 2, 3—ジァミノピリジンまたはその酸付加塩と、 式:
(式中、 R1は置換されていてもよい低級アルキル; R2はァミノ保護基; R3および R4 はそれぞれ独立して低級アルキル)
で示される化合物 (I) とを、 水素および触媒存在下に反応させることを特徴とする、 式:
(式中、 各記号は前記と同意義) で示される化合物 (II) の製造方法。
(2) 触媒が Pd— Cである、 上記 1記載の製造方法。
(3) 2 , 3—ジァミノピリジンを酸存在下で反応させる、 上記 1または 2記載の製造 方法。
(4) 酸がハロゲン化水素酸、 硫酸、 カルポン酸、 スルホン酸、 リン酸またはルイス酸 である、 上記 1〜3のいずれかに記載の製造方法。
(式中、 Xは脱離基; R3および R<はそれそれ独立して低級アルキル)
で示される化合物 (III) に、 式: R
1— NH! (式中、 R
1は低級アルキル) で示される
化合物 (IV) を反応させて式
(式中、 各記号は前記と同意義) で示される化合物 (1') またはその塩を得た後、 アミ ノ保護試薬を反応させて化合物 (I) を得る工程を包含する、 上記 1〜4のいずれかに 記載の製造方法。
(6)化合物 (1') もしくはその塩、 および Zまたは化合物 (I) を精製または単離せず に反応させる、 上記 5記載の製造方法。
(7) R1がメチル; Riが t一ブトキシカルポニル; R 3および R 4がメチルまたはェチ ルである、 上記 1〜 6のいずれかに記載の製造方法。
(8) 上記 1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られる化合物 (II) を、 式: H C (OR) j (式中、 Rは低級アルキル) で示される化合物と反応させる工程を包含する、 式:
(式中、 各記号は前記と同意義) で示される化合物 (V) の製造方法。
(9) 上記 8記載の製造方法により得られる化合物 (V) を使用する工程を包含する、 式
(式中、 各記号は前記と同意義) で示される置換イミダゾ [4, 5— b]ピリジニゥムメ チル基 (VI) を 3位に有するセフエム化合物の製造方法。
(1 0) 2, 3—ジァミノピリジン二塩酸塩の結晶。
図面の簡単な説明
(図 1 )実施例 3で得られる結晶の粉末 X線回折のグラフである。縦軸はピーク強度(単 位: cps) 、 横軸は回折角 2 Θ (単位: ° ) を表わす。
発明を実施するための最良の形態
化合物 (I I) の製法
NH2
N 、冊 2 I)
(式中、 R 1は置換されていてもよい低級アルキル; R 2はアミノ保護基; R 3および はそれぞれ独立して低級アルキル)
化合物 (I) または (I I) における各置換基は以下の通りである。
R 1は置換されていてもよい低級アルキルである。該低級アルキルは、直鎖又は分枝状 の C 1 ~ C 6アルキルを包含し、 メチル、 ェチル、 n—プロピル、 i 一プロピル、 n— ブチル、 iーブチル、 s e c—ブチル、 tーブチル、 n—ペンチル、 i一ペンチル、 n e o—ペンチル、 t e r t—ペンチル、 n—へキシル等が例示される。 好ましくは、 C 1〜C 4アルキルであり、 特にメチルである。 置換されている場合の置換基としては、 例えば、 ァミノ、 ヒドロキシ、 C 3〜C 7シクロアルキル (例: シクロプロピル等) 等 から選択される 1または 2個の置換基が例示される。
R iで示されるァミノ保護基としては、 例えば、 低級アルコキシカルポニル (例:メ ト キシカルポニル、 t 一ブトキシカルポニル) 、 ァラルキル (例 : トリフエニルメチル) 、 ァラルキルォキシカルボニル (例:ベンジルォキシカルポニル) 、 低級アルカノィル (例 :ァセチル) 、 ハロゲン化低級アルコキシカルポニル (例 : トリクロ口エトキシカ ルポニル) 、 ハロゲン化低級アルカノィル (例 : トリフルォロアセチル) 、 フタロイル 、 ウレァ型保護基 (例 : フエノチアジニルカルボニル基) 、 リン酸型保護基 (例 : ジフ ェニルホスホリル基 ) 、 シリル型保護基 (例: t—プチルジフエニルシリル基) 、 ィ
ォゥ型保護基 (例:ベンゼンスルフエニル基) 、 イミン型保護基 (サリチリデン基) 等 が例示されるが、 好ましくは低級アルコキシカルポニル (特に t一ブトキシカルボニル ) である。
R3および R 'で示される低級アルキルとしては、 R1と同様のものが例示されるが、 好 ましくは C 1〜C 4アルキルであり、 特にメチルまたはェチルである。
化合物(I)として特に好ましくは、(3,3-ジェトキシプロピル)メチルカルバミン酸 t- ブチルエステル (以下、 ボックァセタールともいう) である。
化合物 (II) は、 2, 3—ジァミノピリジンまたはその酸付加塩と、 化合物 (I) と を、 水素および触媒存在下に反応させて還元的アルキル化を行うことにより得られる。 触媒としては、 Pd— C、 Pt— C、 ラネニッケルなどが例示されるが、 好ましくは P d - Cである。
触媒の使用量は、 2, 3—ジァミノピリジンに対して約 0.01〜10mol当量、 好ましく は約 l〜5mol当量である。
反応溶媒としては、 アルコール (例 :メタノール、 エタノール等) 、 テトラヒドロフ ラン、 1,2-ジクロロェタン、 水、 酢酸ェチル等が例示されるが、 好ましくはアルコール (特にメタノール) である。
反応温度は、 通常、 約一 20~100°Cである。 好ましくは、 塩酸、 メタンスルホン酸等 の存在下に行う場合は約 0〜5°Cであり、 また酢酸存在下の場合は約 25〜50°Cである。 反応時間は、 数十分〜数十時間、 好ましくは約 4〜10時間である。 本製法は、 好ましくは以下の態様を包含する。
(1) 原料として 2, 3—ジァミノピリジンを使用する場合
この場合、 上記反応は、 好ましくは反応促進剤として酸存在下に行われる。 酸として は、 ハロゲン化水素酸 (例: H C 1、 HB r、 H I) , 硫酸、 カルポン酸 (例: ギ酸、 酢酸) 、 スルホン酸 (例:メタンスルホン酸、 トルエンスルホン酸) 、 リン酸 (例 : H 3PO,、 (PhO)jP(O)jH) およびルイス酸 (例: A1 C 1〗、 T i C l SnC l,、 F e
C 13) 等が例示されるが、 好ましくはハロゲン化水素酸 (特に H C 1 ) である。塩酸と
しては、 好ましくは 36%塩酸が使用される。 塩酸は環境負荷 (廃液処理) 等の点で好 ましい。
酸の使用量は、 2, 3—ジァミノピリジンに対して、 通常約 1.5~5モル当量、 好まし くは約 2~3モル当量である。
(2) 原料として 2, 3—ジァミノピリジンの酸付加塩を使用する場合
酸付加塩の酸としては、 上記 ( 1) で例示した酸が使用される。 該酸付加塩は、 一ま たは二酸付加塩であるが、 好ましくは二酸付加塩である。
2, 3—ジァミノピリジンは、 周知の反応により容易に合成できるが、 酸付加塩、 好 ましくは二塩酸塩またはその結晶を使用すれば、 原料段階で^純物を除去した状態で反 応に付すことができるので、 工業的に大量生産を行う上で非常に有利である。 2, 3— ジァミノピリジンの酸付加塩は、 例えば 2, 3—ジァミノピリジン調製後の反応液に酸 (例:塩酸) と酢酸ェチルを加えて、 減圧濃縮により反応溶媒と水を酢酸ェチルに置換 し、 酸付加塩のスラリーを得、 ろ過によって酸付加塩を好ましくは結晶として単離でき る。 本発明で提供される 2, 3—ジァミノピリジン二塩酸塩の結晶は、 粉末 X線解析に よって確認することができる。 特に粉末 X線回折パターンにおいて、 面間隔 (d) =6 .26、 3.65、 3.61、 3.52、 3.45、 3.24、 3.1 1、 2.79、 2.39 および 2.36 (単位: A) に特徴的ピークを有する。 (X線測定条件:管球 Cu (波 長え = 1.5405 1 A) 、 管電圧 30Kv、 管電流 15 mA; d sin0 = n λ (ηは整 数、 0は回折角) )
該ニ塩酸塩結晶は、 安定であり、 取り扱いがよく、 製造中間体として有用である。
なお上記面間隔 (d)値は、 X線ピークのうち、 相対強度の強い主なピークを選択し たものであり、 結晶構造は必ずしもこれらの値だけによつて限定されるものではない。 即ち、 これら以外のピークが含まれていてもよい。 また一般に結晶を X線解析により測 定した場合、 そのピークは、 測定機器、 測定条件、 付着溶媒の存在等により、 多少の測 定誤差を生じることもある。 例えば、 面間隔 (d) の値として、 ±0.2程度の測定誤 差が生ずる場合があり、 非常に精密な設備を使用した場合でも、 ±0.01〜土 0.1程 度の測定誤差が生ずる場合がある。 よって、 結晶構造の同定に当たっては多少の誤差も
考慮されるべきであり、 実質的に上記と同様の X線パターンによって特徴付けられる結 晶はすべて本発明の範囲内である。
本製法によれば、 従来、 取扱い上不安定なボックアルデヒドを使用することなく、 そ の合成中間体であるより安定なボックァセタールを原料に用いて、 化合物 (I I ) を高収 率で得ることができる。 ボックァセタールは一旦単離してもよいし、 また単離 .精製せ ずに反応液またはその濃縮液の状態で、 2, 3—ジァミノピリジンまたはその酸付加塩 と反応させることができるが、 好ましくは濃縮液の状態で反応させる。 またボックァセ タールを、 前記のような酸付加塩として反応に使用することも可能である。 次に化合物 (I ) の製法について説明する。 化合物 (I ) は、 好ましくは以下の方法で 得られる。
(式中、 Xはハロゲン等の脱離基; R R 3および R まそれそれ独立して低級アルキル ; R 2はァミノ保護基)
(第 1工程)
化合物 (I I I) に化合物 (IV) を反応させて化合物 (1 ') またはその塩を得る。
化合物 (IV) の使用量は、 化合物 (I I I) に対して通常約 1〜50モル当量、 好ましくは 約 10〜25モル当量である。
反応溶媒としては、 水、 アルコール (例 :メタノール) 、 ジメチルホルムアミ ド等が 使用されるが、 好ましくは水である。
反応温度は、 通常約 0〜100° (:、 好ましくは約 40〜60°Cである。
化合物 (Ι') は、 ハロゲン化水素 (例: HC 1) 等の酸付加塩として得てもよい。 化 合物 (1') またはその塩は一旦、 精製、 単離してもよいが、 精製や単離をせずに、 反応 液、 濃縮液またはその抽出液の状態で次の反応に用いてもよい。
(第 2工程)
化合物 (1') またはその塩をァミノ保護試薬と周知の方法に準じて反応させることに より、 化合物 (I ) を得る。
ァミノ保護試薬としては、前記の で示されるァミノ保護基を導入するための試薬で あれば特に制限なく使用されるが、 好ましくは、 ジ低級アルコキシ炭酸エステル (例 : (Boc)20, Boc=t-フ、、トキシカルす、、、ニル) である。
前記化合物 (Π) は、 好ましくは上記の方法により得られた化合物 (I) を使用して 製造され得る。 その場合、 中間体である化合物 (1') および/または化合物 (I) は、 精 製や単離をすることなく、 次の反応に付すこともできる。 さらに本製法により得られる化合物 (Π) は、 以下に示す通り、 環化反応に付すこと により、 置換イミダゾ [4, 5— b]ピリジン環 (V) に誘導できる。
化合物 (V) は、 医薬、 例えば抗菌剤の合成原料として有用であり、. 好ましくは WO
00/32606号や 41st ICAAC (F-370,2001年 12月, シカゴ) に示されるように、 ィ匕 合物 (VII) と反応させた後、 所望により脱保護することにより、 3位に前記の置換ィ ミダゾ [4, 5— b]ピリジニゥムメチル基 (VI) を有するセフヱム化合物 (VIII) やそ
の塩 (例:塩酸塩、 硫酸塩等) 等の製造原料として使用される。
化合物 (Π) から化合物 (V) の反応は、 試薬兼溶媒として、 オルトぎ酸エステル H C (OR) 3 (例: R二 E t、 Me) を、 好ましくは酸 (例:パラ トルエンスルホン酸等 ) 存在下に反応させればよい。 反応温度は約 60°C~ 1 00°C、 好ましくは約 80〜95°C である。
化合物 (VII) において、 Rfは脱離基 (例:ハロゲン、 ヒ ドロキシ、 ァセチルォキシ 等) である。 R'はカルボキシ保護基等のエステル残基である。 Acylはセフエム系化合 物の 7位ァシル基として使用されるものであれば特に制限されないが、 好ましくは以下 に示されるァシル基等である。
式中、 R7は水素、 低級アルキル (例: メチル、 ェチル等) 、 ハロゲン化低級アルキ ル (例 : フルォロメチル、 2—フルォロェチル等) 等であるが、 特に好ましくはェチル である。
化合物 (V) は好ましくは、 1一 (N—メチルァミノプロピル) 一 1 H—ィ ミダゾ [4 , 5— b]ピリジンである。
化合物 (VII) は好ましくは、 7 ?— [2— (5—アミノー 1,2 , 4—チアジアゾ一ル —3—ィル) 一 2 (Z) 一エトキシイミノアセタミ ド]一 3—ハロゲノメチルー 3—セ フエムー 4 _カルボン酸のエステルである。
化合物 (VIII) は好ましくは、 WO 00/32606号等に記載の 7 ?— [ 2— (5 一アミノー 1 , 2, 4ーチアジアゾ一ルー 3—ィル) 一2 (Z) —エトキシイミノアセ夕 ミ ド]一 3— (1— (N—メチルァミノプロピル) 一 1 H—イミダゾ [4, 5— b]ピリ ジニゥムー 4一ィル) メチル一3—セフエムー 4一カルボキシレートまたはその塩 (例
、
:硫酸塩) である。
実施例
(略号)
Me : メチル E t :ェチル Boc=t -ブチルォキシカルポニル
実施例 1
(3, 3-ジエトキシプロピル)メチルカルバミン酸 t-ブチルエステル(4) (ボックァセタ ール)
(A) 3-クロ口- 1,1-ジエトキシプロパン(1) 48.93gと 40%メチルァミン水溶液
455.97gの混合物を 50°Cで 8時間攪拌した後、 メチルァミン水溶液を減圧留去し、 メチル アミノアセタール塩酸塩 2 を 55.15g得た。 次に、 得られた 2に室温で水 384ml、 Na2C03 31.16gを加えた後、 (Boc^O /アセトン (Boc=t -ブチルォキシカルボニル) 64.14g/77ml を滴下し、 4時間攪拌した。 その後、 酢酸ェチル 307ml、 水 154πι1を加えて、 上層を分 液し、 得られた上層に水 154mlを加え、 再び上層を分液した後、 酢酸ェチルを減圧留去 し、 ポックァセタール 4を濃縮液 82.94g (純度 70% )として得た(通算収率 76% )。
(B) 3-クロ口- 1,卜ジエトキシプロパン(1) 15.0gと 40%メチルァミン水溶液 139.8g の混合物を 50°Cで 6時間攪拌した後、 反応液を室温まで冷却し、 8N NaOH 11.3mlを加え た後、 トルエン 37.5mlで 5回抽出し、 得られたトルエン層に窒素ガスを 3時間吹き込ん で (75ml/分) メチルアミンを留去し、 メチルアミノアセタール 3のトルエン溶液を得た 。 次に、 得られた 3のトルエン溶液に室温で(Boc O 23.6gを滴下し、 2時間攪拌した後、 反応液を減圧濃縮し、 ポックァセタール 4を濃縮液 23.27g (純度 87%)として得た (通算 収率 86%) 。
(C) 3-クロ口- 1,1-ジエトキシプロパン(1) 15.0gと 40%メチルァミン水溶液 139.8g の混合物を 50°Cで 6時間攪拌した後、 反応液を室温まで冷却し、 8N NaOH 11.3mlを加え
た後、 トルエン 37·5πι1で 5回抽出し、 得られたトルエン層に窒素ガスを 3時間吹き込ん で (75ml/分) メチルアミンを留去し、 メチルアミノアセタール 3のトルエン溶液を得た 。 次に、 得られた 3のトルエン溶液に室温で水 37.5ml、 IN HC1 80m lを加えて下層を 分液し、 得られた下層に室温で NaiC03 9.54gを加えた後、 (Boc)^ 19.6gを滴下し、 4時 間攪拌した後、 上層を分液し、 得られた上層に水 47nilを加え、 再び上層を分液した後、 酢酸ェチル 47ml加えて上層を減圧濃縮し、 ボックァセタール 4を濃縮液 21.86g (純度 89 %)として得た(通算収率 82%)。
実施例 2
[3- (2-アミノビリジン- 3-ィルァミノ) プロピル] メチルカルパミン酸 t-ブチルエス テル (7) (ボックジァミノピリジン)
6 4
(A) 2, 3_ジァミノピリジン (5) 5,00gと 50%wetの 10%Pd-C5.00gの混合物にメ 夕ノール 64mlを加えた後、 氷冷下で、 36%HC1 9.28g、 実施例 1 (A) で得られたボッ クァセタール 4 20.41g (純度 70%) を加え、 水素加圧下 kgf/cn^) で 9時間攪拌し た。その後、氷冷下で 48%NaOH8.02gを加えた後、ろ過を行ない(洗浄:メタノール 25ml )、 得られたろ液を 51.40g まで減圧濃縮した。 次に、 この濃縮液を、 痕跡量のポヅクジァ ミノピリジン 7を添加した水 180mlに滴下し、室温 1時間、氷冷下 1時間攪拌した後、 析出した結晶をろ取し(洗浄:水 25ml)、 減圧乾燥して、 ボックジァミノピリジン 7 を 10.87g得た(収率 85%)。
(B) 2,3-ジァミノピリジン (5) 3.16gと 50%wetの 10%Pd_C 3.00gの混合物にメタノ
—ル 39ml を加えた後、 氷冷下で、 36%HC1 5.57g、 実施例 1 (A) と同様にして得ら
れたボックァセタール 4 11.55g (純度 76%) を加え、 水素加圧下 (4kgf/cm2) で 8時間 攪拌した。 その後、 氷冷下で 20%NaOH 11.55gを加えた後、 ろ過を行ない(洗浄: メタノ —ル 15ml)、 得られたろ液を 42.40gまで減圧濃縮し、 酢酸ェチル 23ml、 10 NaCl 15ml を加えて、 上層と下層に分液し、 上層は、 更に、 10%NaCl 15nilを加えて洗浄し、 各下 層は、 酢酸ェチル 15mlで逆抽出した。 得られた上層に、 氷冷下で 36%HC1 3.06gを滴下 し、 1時間攪拌した後、 析出した結晶をろ取し、 (洗浄:酢酸ェチル)、 未乾燥のポック ジァミノピリジン 7の塩酸塩を得た。 これに室温でメタノール 8m 1、 水 108m lを加 えた後、 20%NaOH 6.05gを滴下し、 室温 1時間、 氷冷下 1時間攪拌した後、 析出した結晶 をろ取し(洗浄:水 15ml)、 減圧乾燥してボックジァミノピリジン 7を 5.00g得た(収率 81 %)。
(C) 2,3-ジァミノピリジン二塩酸塩 (6) 1.82gと 50%wetの 10%Pd- C 1.09gの混合物 にメタノール 14mlを加えた後、 氷冷下で、 実施例 1 (A) と同様にして得られたポッ クァセ夕一ル 4 3.74g (純度 84%) を加え、 水素加圧下 (4kgf/cmり で 10時間攪拌した 後、 28%NaOMe/MeOHを 4.05g加えて、 ろ過を行い(洗浄:メタノール 6ml )、 得られたろ 液を 7.06gまで減圧濃縮した。 次に、 得られた濃縮液に、 室温で水 40mlを加えた後、 痕 跡量のポックジァミノピリジン 7を添加し、 室温 1時間、 氷冷下 1時間攪拌した後、 析出 した結晶をろ取し(洗浄:水 6nil)、 減圧乾燥して、 ボックジァミノピリジン 7を 2.18g得 た(収率 78%)。
実施例 3
2,3-ジァミノピリジン(5) 500mgを含むメタノール溶液 5ml に室温で 36%塩酸 1.02g を加えた後、 減圧濃縮し、 酢酸ェチル 5mlを加えて再び減圧濃縮を行い、 吏に酢酸ェチ ル 5mlを加えて減圧濃縮を行った後、 酢酸ェチル 5mlを加え、 析出している結晶をろ取 し、 2,3-ジァミノピリジン二塩酸塩 (6) 820mg を得た (収率 98%) 。 粉末 X線回 折パターンは図 1に示し、 その代表的なピークは表 1 に記載した。
2, 3-ジァミノピリジン二塩酸塩 (6) :
融点 185-210°C (dec.)
'H-NMR(d6-DMS0)d 7.83(brs, 2H), 7.26(d, J=8.3, 1H), 7.05(d, J=8.7, 1H), 6.71(dd,
J=8.7, 8.3, 1H)
元素分析 Calcd for CsHjNjCl,: C, 32.99; H, 4.98; CI, 38.95; N, 23.08. Found: C, 32.99; H, 4.90; Cl, 38.59; N, 23.05. (表 1 )
2 Θ (° )ノ d (A) 相対強度 (%)
1 A 1 6.26 1 9
1 « q A 5 3 6 1 4
1 o 7 ft 4 7 2 1 5
ώ ム , 3 Q R 7 1 5
· u o 3
R 1 4 Q
2 5.2 8 3.5 2 2 5
2 5.8 0 3.4 5 6 0
2 7.1 0 3.2 9 1 4
2 7.5 4 3.2 4 2 8
2 8.6 4 3.1 1 1 0 0
2 9.9 4 2.9 8 1 7
3 1.2 2 2.8 6 1 7
3 2.0 4 2.7 9 3 5
3 2.9 0 2.7 2 1 5
3 3.9 2 2.6 4 1 6
3 4.2 8 2.6 1 1 7
3 6.2 0 2.48 1 5
3 6.8 8 2.44 1 3
3 7.5 6 2.3 9 3 7
3 8.1 0 2.3 6 2 0
産業上の利用可能性
本発明は、 2 , 3—ジァミノピリジン誘導体の工業的に有利な製法を提供する。 本製 法を利用することにより、 例えばセフエム系抗菌剤を工業的に効率よく生産することが できる。