レーザ治療方法及ぴ該治療に用いられるレーザ光強吸収媒質
並びにこれらを用いたレーザ治療装置
技術分野
本発明は、 生体組織を確実に蒸散、 凝固壌死させるレーザ治療に係り、 特に、 悪 性腫瘍は勿論、 良性腫瘍に対しても使用可能なレーザ治療方法及ぴ該治療に用いら れるレーザ光強吸収媒質並びにこれらを用いたレーザ治療装置に関する。
背景技術
従来より、 レーザ光を病変部である患部組織に照射し、 該レーザ光のエネルギー で病変部の生体組織の凝固、 蒸散等の熱的損傷を起こすことにより治療を行うレー ザ治療装置が提供されている。
このレーザ治療装置を用いた従来の治療方法では、 大きな凝固壌死を得るために は、 レーザ光を拡散させるために、 フアイパーチップやディフユザ一を使用したり、 或は、 結合器により同時に複数本のファイバーでレーザ光を同時に照射して少しで も大きな凝固壌死を得るようにしているのが現状である。
しカゝしながら、 この従来のレーザ治療方法にあっては、 患部組織の色調や組成に よりレーザ光の吸収率が異なることから、 その熱的損傷程度も当然に異なってくる ため、 すべての騰器にこのレーザ治療施術を実施することが不可能であり、 また、 その効果も当然不確実なものであった。
本発明は、 上記問題点を解決するためになされたものであり、 その目的とすると ころは、 生体組織の色調や組成によるレーザ光の吸収率を考慮することなく、 熱的 損傷を与えたい対象組織に対して確実に蒸散、 凝固壌死という熱的損傷を与えるこ とができる画期的なレーザ治療方法及び該治療に用いられるレーザ光強吸収媒質並 ぴにこれらを用いたレーザ治療装置を提供しようとするものである。
発明の開示
上記目的を達成するために、 本発明は、 レーザ照射対象患部糸且織とレーザ光との 間にレーザ光強吸収媒質を注入し、 該レーザ光強吸収媒質にレーザ光を照射するこ とで、 上記レーザ照射対象患部組織に蒸散 ·凝固の熱的損傷を与えることを特徴と する。
また、 レーザ照射対象患部組織とレーザ光との間にレーザ光強吸収媒質を注入し、 該レーザ光強吸収媒質にレーザ光を照射することで、 上記レーザ照射対象患部組織 に蒸散 ·凝固の熱的損傷を与え、 この患部組織の蒸散による異常な圧力が生じた場 合に、 該圧力を外部に導出する。
前記レーザ光強吸収媒質は、 レーザ照射対象患部組織にワン 'ショット、 或いは 継続的に注入される。
前記レーザ光強吸収媒質は、 レーザ照射対象患部組織の大きさや形状に対応させ て、 その出力 ·投与熱量 ·注入速度がコントロールされる。
本発明のレーザ治療方法に用いられるレーザ光強吸収媒質は、 患者希釈血液、 ィ ンドシァニン 'グリーン、 インドシァニン ·グリーン水溶液に人血清を加えた生成 物、 蒸留水とインドシァニン 'グリーンとの溶解液等である。
また、 本発明は、 レーザ光強吸収媒質をレーザ光照射対象患部組織へ注入する媒 質注入手段と、 該レーザ光強吸収媒質が注入されたレーザ光照射対象患部組織に対 してレーザ光を照射するレーザ光照射手段とを備え、 上記媒質注入手段は、 レーザ 光照射対象患部組織にレーザ光強吸収媒質を注入する針と、 該針の後端部に設けら れた接続部を介して連通接続され、 内部にレーザ光強吸収媒質を収容するシリンジ ポンプとを備え、 上記レーザ光照射手段は、 レーザ光照射装置からのレーザ光をレ 一ザ光照射対象患部組織に導く導光体を備える。
針は、 その先端から後端にかけて軸方向に貫通して、 レーザ光照射手段の導光体 を揷通する挿通孔が設けられるとともに、 上記揷通孔の外周部と、 針の外周部との 間の厚み部分に、 針の先端から後端部にかけて軸方向に貫通する注入路を設け、 該 注入路を前記針の接続部を介してシリンジポンプに連通接続する。
また、 針は、 その先端から後端にかけて軸方向に貫通して設けられ、 上記レーザ 光照射手段の導光体を挿通する揷通孔と、 該挿通孔の外周で厚みを有する外筒とを 備えた筒形状に形成され、 上記外筒の厚み部分に、 外筒の先端から後端部にかけて 軸方向に貫通する注入孔を設け、 該注入孔を前記針の接続部を介してシリンジボン プに連通接続するとともに、 前記針の後端部において、 揷通孔と導光体との隙間を 塞ぐシール部材を設けた。
針は、 その先端から後端にかけて軸方向に貫通して設けられ、 上記レーザ光照射
手段の導光体を挿通する揷通孔を備えた内筒と、 該内筒の外周部に着脱自在に装着 される外筒とを備えた筒形状に形成され、 上記内筒の外周壁面に、 内筒の先端から 後端部にかけて軸方向に複数の溝を設け、 上記内筒を外筒に装着した状態で、 外筒 の内周壁面と内筒の外周壁面の溝とにより、 上記レーザ光強吸収媒質を注入する注 入路を形成し、 該注入路を前記針の接続部を介してシリンジポンプに連通接続する とともに、 前記針の後端部において、 揷通孔と導光体との隙間を塞ぐシール部材を 設けた。
針の後端部に、 前記揷通孔と連通して揷通孔内部の圧力を針の外部に導出する導 出部を備え、 前記挿通孔内部の圧力を検出する検出手段と、 検出手段により検出し た圧力に応じて前記導出部から圧力を外部に導出して揷通孔内部の圧力を調整する 圧力調整手段とを設けた。
針の先端から後端部にかけて軸方向に貫通する注入孔に連通接続され、 外部から 注入孔に気体を注入するための気体注入手段を設けた。
図面の簡単な説明
図 1は、 本発明にかかるレーザ治療装置の基本的な構成を示す構成図及びレーザ 治療装置に用いられる針の構成を示す図、
図 2は、 本発明にかかるレーザ治療装置の別の構成を示す構成図、
図 3は、 本発明にかかるレーザ治療装置のさらに別の構成を示す構成図、 図 4は、 従来のレーザ治療装置の基本的な構成を示す構成図、
図 5は、 従来のレーザ治療装置の針及ぴレーザフ了ィバが熱的損傷をうけたこと を表す説明図、
図 6は、 従来のレーザ治療装置を使用した場合において、 蒸散による異常な圧上 昇の結果、 熱的損傷をうけたことを表す説明図、
図 Ίは、 本発明にかかるレーザ治療装置の針の構成を示す構成図、
図 8は、 本発明にかかるレーザ治療装置の針の構成を示す構成図、
図 9は、 レーザ治療方法において、 レーザ光強吸収媒質を、 レーザファイバを挿 入した 1 8 G針によりレーザ光照射と同時に注入する状態を示す説明図、
図 1 0は、 同レーザ治療方法において、 1 0 Wの N d : YA Gレーザを 0 . 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠照射を行い、 総投与量 1 0 0 0 Jの条件下での肉
眼的所見を表す説明図、
図 11は、 一般的なレーザ治療方法において、 10WのNd : Y AGレーザを 0. 5 s e c間隔でオン ·オフさせての間欠照射では、 40 c c,h以上の生理食塩水 の注入をレーザ光と同時に行つた場合のレーザの熱的損傷を表す温度変化ダラフ、 図 12は、 生理食塩水注入下におけるレーザ出力による肉眼的熱損傷の疑いを表 す説明図、
図 13は、 レーザ治療方法において、 20 %希釈血液をワン 'ショットで患部,袓 織に 0. 5 c c、 或は、 1 c c注入後、 1 OWの Nd : YAGレーザを 0. 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠照射を行い、 総投与量 1000 Jを投与した後の肉 眼的所見を表す説明図、
図 14は、 レーザ治療方法に用いられる希釈血液の濃度による温度変化を表すグ ラフ、
図 15は、 レーザ治療方法において、 人血清に 0. 125 m g /m 1のインドシ ァニン.グリーン水激夜を、 1 c cと 2 c cづっワン 'ショットで患部組織に注入 した後、 半導体レーザ 10 Wを 0. 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠照射を行 レ、、 総投与量 1000 Jを投与した時の肉眼的所見を表す説明図、
図 16は、 レーザ治療方法において、 血清 +蒸留水で溶いた 0 · 125mg/m 1のィンドシァニン ·グリーン水溶液 l c cをワン'ショットで注入した後、 蒸留 水のみで溶いた 0· 125mg m 1のインドシァニン ·グリーン水溶液 40 c c を持続注入したときの半導体レーザ 10 Wを 0. 5 s e c間隔でオン ·オフさせて 間欠照射を行い、 総投与量 1000 J投与時の温度変化を表すグラフ、
図 17は、 図 16の条件下における実験データ、
図 18は、 インドシァニン .グリーン水溶液の半導体レーザの対する透過率を示 図 19は、 レーザ治療方法において、 血清 +蒸留水で溶いた 0. 125mgZm 1のィンドシァニン ·グリーン水溶液の持続注入の有無での半導体レーザを 0. 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠照射を行い、 総投与量 1000 J投与時の肉眼 的所見を表わす説明図、
図 20は、 レーザ治療方法において、 0. 125 m g / 1のィンドシァニン ·
グリーン水溶液を 2 0 c c持続注入下での半導体レーザ 4 0 Wを 0 . 5 s e c間 隔でオン ·オフさせて間欠照射を行レ、、 総投与量 5 0 0 J投与時の肉眼的所見を表 わす説明図、
図 2 1は、 レーザ治療方法において、 前立腺肥大症治療器インティゴによる施行 例と、 0 . 1 2 5 m g /m 1のインドシァニン 'グリーン水溶液を 2 0 c c持続注 入下での半導体レーザ 4 0 Wを 0 . 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠照射を 行レ、、 総投与量 5 0 0 J投与した場合との比較図である。
発明を実施するための最良の形態
以下に、 本発明にかかるレーザ治療方法及び該治療に用いられるレーザ光強吸収 媒質並びにこれらを用いたレーザ治療装置について、 その実施の形態を示した図面 に基づいて詳細に説明する。
(実施形態 1 )
この発明に係るレーザ治療方法は、 レーザ照射対象患部組織とレーザ光との間に レーザ光強吸収媒質を注入し、 該レーザ光強吸収媒質にレーザ光を照射することで、 上記レーザ照射対象患部組織に蒸散 ·凝固の熱的損傷を与えることを特徴とするも のである。
この発明において用いられるレーザ光は、 原則として N d : YAGレーザである 力 S、 半導体レーザ (Diode Laser) を用いることもできる。 勿論、 C O2 ( 1 0 . 6 M m) 、 H o : YAG (約 2 i m) 等の中 '遠赤外レーザを用いることもできる。 これらのレーザ光は、 照射開始から瞬間的にレーザ光による蒸散が起こり、 レー ザ照射対象患部組織に微少な空洞が形成される。
この空洞部にレーザ光強吸収媒質が流れ込むと、 レーザ光は該レーザ光強吸収媒 質に吸収され、 高温度の熱源に変わる。
そして、 上記レーザ光強吸収媒質は、 レーザ照射対象患部組織にワン 'ショット で注入し、 或は、 レーザ照射対象患部組織に対して継続的に注入することができる。 後者の場合、 レーザ光強吸収媒質が持続的に注入され、 患部組織とレーザファイバ との間の熱源となるので、 空洞拡大と周囲組織に熱的損傷を加えることが可能とな る。
このレーザ光強吸収媒質の注入は、 図 9に示すように、 レーザフアイバ 1を挿入
した 18 G針 2によりレーザ光照射と同時に注入して行われる。
ところで、 生理食塩水の持続的注入はレーザ光の冷却効果があることは知られて いる。 図 10は、 1 OWの Nd : YAGレーザを 0. 5 s e c間隔でオン .オフさ せて間欠照射を行い、 総投与量 1000 Jの条件下での肉眼的所見を示している。 この所見からも明らかなように、 生理食塩水の持続注入 40 c c/h以上では空洞 形成が認められなかった (図 10 (c) 参照) 。 また、 生理食塩水の注入がない場 合 (図 10 (a) )に比べ、 生理食塩水を 20 c cZh持続注入した場合 (図 10
(b) ) では炭化や凝固も比較的柔らかく、 生体に施術したときの修復過程におけ る強い繊維ィ匕を起こし難いことが解かる。
即ち、 図 11に示すレーザ光の熱的損傷に与える影響は、 l O^^^T^Nd YAG レーザを 0. 5 s e c間隔でオン .オフさせての間欠照射では、 40 c c Zh以上 の生理食塩水の注入をレーザ光と同時に行うと、 レーザ照射範囲に蒸散は起こらな い。 レーザファイバ先端から 3 mmの温度変化は、 生理食塩水の注入量が多いほど 冷却効果が大きいことが図 11からも理解することができる。 尚、 この温度測定は、 K—サーマルセンサで行った。
また、 図 12に示すように、 生理食塩水の注入量と注入速度が同じ条件下であつ ても、 レーザ光の出力の大小により、 蒸散と凝固の範囲をコントロールすることが できることが理解できる。
即ち、 10Wの Nd : YAGレーザを 0. 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠 照射を行い、 総投与量 1000 J時において、 生理食塩水 40 c c/hの持続注入 下で、 異なる出力のレーザ光を照射した。 図 12 (a) はレーザ光出力が 10Wの ケースを示しており、 図 12 (b) は 13W、 図 12 (c) は 15Wのケースを示 している。 この結果からも明らかなように、 レーザ光の出力の違いにより、 凝固や 空洞形成に違いが発生することが理解でき、 出力を上げると凝固や空洞形成が強く なる。
これらのことから、 本レーザ治療方法に係るレーザ光強吸収媒質の場合も、 その 注入濃度、 注入速度を制御することで、 レーザ光による熱的損傷をコント口ールで きることが理論的にも可能なことが理解できる。
そこで、 このレーザ治療方法にあっては、 上記レーザ光強吸収媒質を、 レーザ照
射対象患部糸且織の大きさや形状に対応させて、 その出力 ·投与熱量 ·注入速度をコ ントロールして注入することが可能であるため、 レーザ光照射対象患部組織に適応 する熱的損傷程度をコントロールすることができるようになり、 この種のレーザ治 療における画期的な施術を実現することができる。
尚、 このレーザ治療方法にあっては、 上記レーザ治療に用いられるレーザ光強吸 収媒質は、 患者希釈血液や、 インドシァニン 'グリーン水溶液 (I C G) 、 或は、 インドシァニン ·グリーン水溶液 ( I C G) に人血清を加えたものを用いることが できる。
このうち、 患者希釈血液は、 赤血球の数が多いため、 温度上昇が顕著であり、 患 者希釈血液の注入がないケースに比べ温度上昇が顕著に相違する。 N d : YA Gレ 一ザ光は、 照射開始から瞬間的にレーザ光による蒸散が起こり、 レーザ照射対象患 部組織に空洞が形成される。 この空洞部に患者希釈血液が流れ込むと、 レーザ光は この血液に吸収され、 高温度の熱源に変わる。 この患者希釈血液を持続的に注入す ることで、 患部組織とレーザファイバとの間の熱源となるので、 空洞拡大と周囲組 織に熱的損傷を加えることが可能となる。
図 1 3はこの施術例を示したものである。 即ち、 2 0 %希釈血液をワン ·ショッ トで患部組織に 0 . 5 c c (図 1 3 ( a ) )或は 1 c c (図 1 3 ( b ) ) 注入後、 1 0 Wの N d : YAGレーザを 0 . 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠照射を行い、 総投与量 1 0 0 0 Jを投与した後の肉眼的所見である。 この施術例からも明らかな ように、 注入した希釈血液はレーザ光照射後すベて蒸散しており、 強い凝固壌死と 大きな空洞形成が認められた。 2 c c注入した場合は、 約 2 c cの蒸散空洞と約 7 c cの凝固が認められた。 このことから、 レーザ光の投与条件と注入する希釈血液 量を変化させることで、 凝固と空洞の大きさを調整することが可能であることが解 かる。
また、 図 1 4は、 注入する希釈血液濃度による患部組織の温度変ィ匕を示しており、 その条件は、 1 0 "V^ON d : Y A Gレーザを 0 . 5 s e c間隔でオン ·オフさせて 間欠照射を行レ、、 総投与量 1 0 0 0 Jを投与した時の温度変化を表している。 この 温度測定も、 Kーサーマルセンサで行った。
この測定結果から、 レーザファイバから 3 mm先端における温度変ィ匕は、 2 0 °/0
希釈血液を持続注入した場合 (グラフ中符号 aで表す。 ) と、 生理食塩水の持続注 入なしの場合 (グラフ中符号 bで表す。 ) 、 10%希釈血液を持続注入した場合
(グラフ中符号 cで表す。 ) 、 そして生理食塩水を持続注入した場合 (グラフ中符 号 dで表す。 ) の順で高温を示しているのが解かる。 そして、 10%希釈血液の持 続注入の場合、 生理食塩水を持続注入しない場合より温度が低いのは、 注入による 冷却効果が大きいことを示しており、 また、 10 %希釈血液の注入と 20 %希釈血 液の注入の場合とを比較すると、 赤血球数の多いほうが温度が高く、 さらには、 2 0 %希釈血液の持続注入と生理食塩水を持続注入しない場合とを比較すると、 注入 時における冷却効果以上に温度上昇するのが認められる。
これらを総合的に勘案すると、 Nd : YAGレーザが赤血球に吸収され、 レーザ 光が熱エネルギーに変換されていること、 即ち、 レーザファイバと患部組織の間に 介在する赤血球が熱源になっていると考えられる。
また、 他のレーザ光強吸収媒質であるインドシァニン'グリーン水溶液の吸収波 長は 785 nmであることは知られているが、 このインドシァニン ·グリーン水溶 液は、 血清蛋白と急速に結合して吸収波長が 805 nmとなり、 発振波長が略 80 5 nmの半導体レーザの吸収が増加する。 従って、 このインドシァニン'グリーン 水溶液に人血清を加えて注入した場合には、 患者希釈血液を注入した場合と同様に、 レーザ光とレーザ光照射患部組織との間の強力な熱源となる。
図 1 5は、 人血清に 0. 1 25 m g /m 1のィンドシァニン ·グリーン水溶液を、 1 c c (図 1 5 (a) ) と 2 c c (図 1 5 (b) ) づっワン .ショットで患部組織 に注入した後、 半導体レーザ 10^¥を0. 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠照 射を行い、 総投与量 1 000 Jを投与した時の肉眼的所見である。
また、 蒸留水で溶解したィンドシァニン 'ダリーン水溶液を注入した場合のレー ザファイバ 3 mm先端の温度は、 レーザ光照射開始直後に非常な高温度を瞬間的に 示すが、 その後、 74〜1 10°Cを示す。 この状態は図 1 6及ぴ図 1 7からも明ら かである。
図 1 6及ぴ図 1 7は、 血清 +蒸留水で溶いた 0. 125mgZmlのインドシァ ニン ·グリーン水溶液 1 c cをワン'ショットで注入した後、 蒸留水のみで溶いた 0. 1 25 mg/m 1のィンドシァニン ·グリーン水溶液 40 c cを持続注入した
ときの半導体レーザ 1 0 Wを 0 . 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠照射を行い、 総投与量 1 0 0 0 J投与時の温度変化を表す図である。 この温度測定も、 Kーサー マノレセンサで行つた。
この図からも明らかなように、 血清 +蒸留水で溶いた 0 . 1 2 5 m g Zm lのィ ンドシァニン ·グリーン水溶液 1 c cをワン'ショットで注入した後に半導体レー ザ光を照射した場合と、 2 0 %希釈血液を持続注入した後に半導体レーザを照射し た場合は、 ともに徐々にレーザファイバから 3 mm先端における温度の上昇が認め られる。
しかし、 蒸留水のみで溶いた 0 . 1 2 5 m g /m 1のインドシァニン'グリーン 水溶液 4 0 c cを持続注入した後に同レーザ光を照射した場合には、 0 . 5秒のレ 一ザ光照射時に瞬間的な温度上昇を認めることができるが、 その後のレーザ光照射 休止時には一旦上昇した温度は急激に低下し、 実際には、 鋸歯状の変化を示し、 6 2 °Cと 1 0 5 °Cを上下した温度変ィヒを示した。
このように、 レーザファイバから 3 mm先端の温度を測定する定点における温度 測定にも関わらず、 上記一定の温度幅を示した理由としては、 レーザ光吸収媒質で あるインドシァニン'グリーンがレーザ光を吸収して、 安定した熱源になっている からである。
さらに、 半導体レーザ照射後に形成された空洞が大きくなる理由としては、 半導 体レーザ光の照射直後のごく初期に、 半導体レーザによる蒸散が起こり、 空洞が形 成されて組織破壊を生じ、 患部組織内グロプリンが空洞内に出てィンドシァユン · グリーンと結合し、 或は、 患部組織内にインドシァニン ·グリーンが浸透して同組 織内のグロブリンを素早く反応して、 吸収波長 8 0 5 n mのインドシァニン ·ダリ ーンが最大限に半導体レーザの光エネルギーを吸収して、 熱的に組織を破壌させ、 空洞を大きくしてレーザ光の照射面が後退し拡大して、 さらに同様の変ィヒが繰り返 されることにより大きな空洞形成と凝固巣を形成するため、 と考えられる。
なお、 図 1 8に示すように、 蒸留水のみで溶いた 0 . 1 2 5 m g /m 1のインド シァニン .グリーンのダイォードレーザに対する透過率は、 約 1 2 %であり、 ダイ ォードレーザのレーザ光は、 空洞内に注入されたィンドシァニン'グリーンを透過 し、 該レーザ光の光エネルギーは空洞に接した組織表面のィンドシァニン 'ダリー
ンに吸収される。 これにより、 熱的に組織を破壊させ、 空洞を大きくする。
図 19は、 血清 +蒸留水で溶いた 0. 125 m g /m 1のィンドシァニン .グリ ーン水溶液の持続注入の有無での半導体レーザを 0. 5 s e c間隔でオン ·オフさ せて間欠照射を行い、 総投与量 1000 J投与時の肉眼的所見を示している。 図 1 9 (a) は注入を施行していない場合で、 2 X 6mmの炭ィ匕を伴った空洞と 9 X 1 6 mmの凝固、 図 19 ( b ) は蒸留水で溶レヽた 0. 125 m g /m 1のィンドシァ ニン ·グリーン水溶液を 10 c c/hの持続注入施行例であるが、 炭化のない 3 X 8 mmの空洞形成と、 10X 18 mmの凝固、 図 19 ( c ) はインドシァニン ·グ リーン水溶液 15 c c/hの持続注入した施行例では炭ィ匕を伴わない 6 X 9 mmの 空洞と 14X 14 mmの凝固を認めた。
図 20は、 0. 125mgZm 1のインドシァニン'グリーン水溶液を 20 c c 持続注入下での半導体レーザ 40 を0. 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠 照射を行い、 総投与量 500 J投与時の肉眼的所見を示している。 この図から明ら かなように、 2. 3X3. 7 mmの大きな空洞が示されており、 その周囲に 2〜 5 mmの薄い凝固が認められ、 炭ィ匕はあるもごく薄く、 固くない。 このことは、 レー ザ照射による蒸散で、 組織内グロブリンと素早く結合して、 吸収波長 805 nmの インドシァニン'グリーン水溶液が効率よくレーザを吸収して、 組織に熱的損傷を 弓 Iき起こすことを示唆している。
図 21は、 前立腺肥大症治療器インディゴ (商標名) による施行例と、 0. 12 5 m g Zm 1のインドシァニン · グリーン水溶液を 20 c c持続注入下での半導体 レーザ 40 を0. 5 s e c間隔でオン ·オフさせて間欠照射を行い、 総投与量 500 J投与した場合との比較である。 半導体レーザを使用した前立腺肥大症治療 器ィンディゴは、 豚肉を使ったデータは 1回の照射で約 5 c cの凝固を引き起こす と言われている。 図 21 (a) は、 このインディゴで鶏胸肉に対して 1729 J投 与したものであるが、 殆ど変化を認めない。 もっともこのレーザ.プローブは楕円 形にレーザが照射される設計となっている。 図 21 (b) は図 20の条件での肉眼 的所見である。
以上の説明からも明らかなように、 このレーザ治療方法によれば、 患部組織の色 調等によるレーザ光の吸収率を考えることなく、 熱的損傷を加えたい対象組織に対
して、 レーザ出力、 投与熱量、 レーザ光強吸収媒質の注入速度及び注入量をコント ロールしてレーザ光を照射すれば、 所望の空洞と凝固を得ることができる。
なお、 上述したレーザ治療方法において、 レーザの発振波長とレーザ光吸収媒質 のレーザ光吸収波長が略近いものであれば、 用いるレーザ及ぴレーザ光吸収媒質の 種類は特に限定されるものではなく、 レーザの発振波長及ぴレーザ光吸収媒質の最 大吸収波長が互いに近似するのであれば、 どのようなものを用いても構わない。 以下、 図 4を用いて、 上記レーザ治療方法を実施するためのレーザ治療装置につ いて説明する。
同図に示すように、 レーザ治療装置 Dは、 レーザ光吸収媒質を患部組織へ注入す る媒質注入手段としての媒質注入装置 Tと、 該レーザ吸収媒質が注入された患部組 織に対してレーザ光を照射するレーザ光照射手段としてのレーザ光照射装置 Lとか ら構成されている
上記媒質注入装置 Tは、 患部組織にレーザ光を吸収するレーザ光吸収媒質を注入 する針 5 0と、 該針 5 0の後端部に設けられた接続部 5 5を介して連通接続された シリンジポンプ 6 0とから構成されており、 該シリンジポンプ 6 0に前記レーザ光 吸収媒質が収容されている。
一方、 レーザ光照射装置 Lは、 レーザ光線を発射するレーザ光照射装置 7 0と、 該レーザ光照射装置 7 0から発射されるレーザ光を患部組織に導く導光体 8 0とか ら構成されており、 具体的には、 レーザ光照射装置としてダイオードレーザ装置、 或いは N d : Y A Gレーザ装置が、 また導光体としてレーザファイバが使用されて いる。
上記のように構成されたレーザ治療装置 Dにおいて、 レーザ光吸収媒質の注入は、 レーザファィバ 8 0を揷通した針 5 0によりレーザ光照射と同時に行う。
具体的には、 針 5 0の内筒内にレーザファイバ 8 0が揷通されており、 外部のシ リンジポンプ 6 0から針 5 0の後端部に設けられた接続部 5 5を介して針 5 0内筒 の内部空間にレーザ光吸収媒質を流入し、 レーザ光照射と同時にレーザ光吸収媒質 をレーザ光照射の対象となる患部組織に注入する構成となっている。
このようにレーザ治療装置を構成することで、 生体組織の色調や組成によるレー ザ光の吸収率を考慮することなく、 熱的損傷を与えたい対象組織に対して確実に蒸
散、 凝固壌死という熱的損傷を確実に与えることができる。
以上説明したように、 本発明にかかるレーザ治療方法及びレーザ治療装置は、 熱 的損傷を与えたい対象組織に対して確実に蒸散、 凝固壊死という熱的損傷を与える ことができるという点で非常に有効である。
しかしながら、 上記レーザ治療方法及びレーザ治療装置においては、 レーザ光の 照射による生体組織の蒸散により高温度の蒸気が発生し、 図 5に示すように、 針 5 0やレーザファイバ 8 0が熱的な損傷を受ける恐れがある。
また、 図 6 ( a ) 、 ( b ) の記号 X 2に示すように、 高温度の蒸気が針 5 0の内 筒内、 或いは針 5 0に沿って逆流し、 該針 5 0の周囲の生体組織に熱的損傷を発生 する可能性がある。
なお、 図中、 記号 X Iは、 レーザ治療を施した場合の生体組織の通常の熱的損傷 を示す。
また、 癌等にレーザ治療を施す場合には、 蒸散による異常な圧力の上昇により癌 細胞が拡散する恐れがあり、 さらに、 場合によっては、 針 5 0の周囲でレーザ光照 射により生体組織の強レヽ凝固を生じると、 蒸散による高温度の蒸気が生体組織の弱 い部分を探してそこから漏れ、 予想のつかない生体組織に熱的損傷が発生し、 最悪 では、 爆発を伴う生体組織の損傷を生じる恐れがある。
ここで、 上記レーザ光照射時の異常高温度蒸気による正常な生体組織の熱的損傷 を防ぐためには蒸気の圧力を抜く必要があるが、 単に針 5 0に圧抜き用の孔を設け る構成とすれば、 該圧抜き用の孔からレーザ光強吸収媒質が漏れ落ちてしまう。 また、 上記以外にも、 蒸散による圧力により患部組織の熱的損傷を拡大する場合 や、 光音響効果による患部組織の損傷程度を確認するために、 ある程度の圧力を確 保する必要がある。
また、 上述したレーザ治療において、 レーザ照射対象患部組織とレーザ光との間 にレーザ光強吸収媒質を注入し、 該レーザ光強吸収媒質にレーザ光を照射すること で、 上記レーザ照射対象患部組織に蒸散 ·凝固の熱的損傷を与えるだけではなく、 蒸散により上記異常な圧力が発生した場合に、 この圧力を患部組織外部に導出する ことが必要となる。
このため、 以下に述べる実施形態においては、 レーザ光照射時の蒸散による異常
高温度蒸気の逆流から正常な生体組織及びレーザ治療装置を保護するために、 また、 患部組織の蒸散による異常な高圧により癌細胞の拡散等の弊害を防止するために、 異常な圧力を外部に導出する構成としている。
なお、 以下の説明において、 本実施形態のレーザ治療方法及ぴレーザ治療装置の 基本的な原理及び構成は、 上述したレーザ治療方法及びレーザ治療装置の構成と同 —であるので、 同一の部分については同じ符号を付して説明を省略し、 本実施形態 における発明の要旨となる部分についてのみ詳細に説明することとする。
(実施形態 2 )
本実施形態におけるレーザ治療方法は、 レーザ照射対象患部組織とレーザ光との 間にレーザ光強吸収媒質を注入し、 該レーザ光強吸収媒質にレーザ光を照射するこ とで、 上記レーザ照射対象患部組織に蒸散 ·凝固の熱的損傷を与え、 この患部組織 の蒸散による異常な圧力が生じた場合に、 該圧力を外部に導出することを特徴とす るものである。
以下、 上記レーザ治療方法を実施するための形態例を図面に基づいて説明する。 図 1 ( a ) は、 レーザ治療装置の基本的な構成を示した構成図で、 同図に示すよ うに、 レーザ治療装置 Aは、 レーザ光強吸収媒質を患部組織に注入する針 1 0の構 成が前述したレーザ治療装置 Dの針 5 0のそれと大きく異なる。
すなわち、 上記針 1 0は、 図 1 ( a ) , ( b ) に示すように、 その先端から後端 にかけて軸方向に貫通して設けられる揷通孔 1 1と、 該揷通孔 1 1の外周で厚みを 有する筒状に形成された外筒 1 2とを備えて筒形状に構成されている。
そして、 この針 1 0の揷通孔 1 1内には、 レーザ光照射装置 Lの導光体としてレ 一ザファイバ 8 0が挿通されており、 本実施形態においては、 この針 1 0として 1 4〜1 8 Gの穿刺針が、 レーザファイバ 8 0として 4 0 0 μ πι、 或いは 6 0 0 μ ΐα のレーザファイバが使用されている。
なお、 上記 4 0 0 i m, 或いは 6 0 0 μ mのいずれのレーザファイバを選択する かについては、 レーザ光照射の対象となる患部組織の大きさや形態によって選択す る。
また、 針 1 0の外筒 1 2には、 その先端から後端部にかけて軸方向に貫通する複 数の注入孔 1 2 aが設けられており、 該注入孔 1 2 aの後端部が針 1 0の後端部に
設けられた接続部 1 5と連通して構成されている。
これにより、 上記注入孔 1 2 aは、 接続部 1 5を介してシリンジポンプ 6 0に連 通接続され、 レーザ光照射時には該シリンジポンプ 6 0内に収容されたレーザ光強 吸収媒質が注入孔 1 2 a内に流入し、 患部組織に注入される構成となっている。 また、 上記針 1 0の後端部には、 前記揷通孔 1 1と、 該揷通孔 1 1内に挿通され たレーザファイバ 8 0との隙間を塞ぐシール部材 2 0が着脱自在に設けられている。 このシーレ部材 2 0は、 ゴム製又はシリコン製のストッパー (キャップ) で、 その 軸方向にレーザファイバ 8 0を挿入するための揷入孔 2 0 aを備えている。
而して、 レーザファイバ 8 0は、 上記シール部材 2 0の挿入孔 2 0 aに挿入され て、 針 1 0の揷通孔 1 1内に配設されており、 これにより、 揷通孔 1 1とレーザフ アイパ 8 0との隙間がシール部材 2 0によりシー^^されている。
上記のように構成された針 1 0を備えたレーザ治療装置 Aを用いてレーザ光を照 射する場合には、 先ず、 図 1 ( c ) に示すように、 針 1 0の揷通孔 1 1内に内筒 3 0を挿入し、 この状態で生体組織に穿刺する。 そして、 針 1 0がレーザ光を照射す る対象となる患部組織に到達すると、 今度は該針 1 0の揷通孔 1 1内にレーザファ ィバ 8 0を揷通し、 患部組織にレーザ光強吸収媒質を注入すると同時にレーザ光を 照射する。
このとき、 上述したように、 レーザ光の照射による蒸散により異常な高圧の蒸気 が発生した場合に、 針 1 0の揷通孔 1 1を介してシール部材 2 0の揷入孔 2 0 aか ら該蒸散による高圧を逃すことができ、 これにより生体組織内に例えば癌細胞等が 拡散することを防ぐことができる。
また、 針 1 0の挿通孔 1 1内を高温度の蒸気が逆流した場合でも、 該針 1 0の注 入孔 1 2 aにはレーザ光強吸収媒質が持続的に流入しているため、 針 1 0自体が冷 却され、 高温度の蒸気による針 1 0やレーザファイバ 8 0の熱的損傷を防止するこ とができるという効果がある。 さらにまた、 これにより、 針 1 0の周囲の生体組織 に発生する熱傷を防ぐことができる。
また、 このレーザ光の照射時に生体組織の局所に凝固壌死が生じた場合、 該個所 でレーザ光強吸収媒質の注入の不良を生じる恐れがあるが、 上記針 1 0には複数個 の注入孔 1 2 aが設けられているため、 レーザ光強吸収媒質の注入不良を防ぐこと
ができるとともに、 注入孔がーつの場合と比較して、 よりレーザ光強吸収媒質を生 体組織内に拡散させ、 また効率的にレーザ光強吸収媒質を注入することができる。 上記実施形態のレーザ治療装置 Aは、 生体組織が軟らかく、 レーザ光の吸収が良 い場合に特に有効である。 すなわち、 この場合において、 レーザ光照射による生体 組織の蒸散により形成される空洞が大きくなり、 針 1 0内に逆流する蒸気が減少す るからである。
しかしながら、 生体組織が密で固く、 レーザ光の吸収が悪い場合には、 生体組織 の蒸散により形成される空洞が小さくなり、 蒸散による蒸気の圧力が上昇する。 ま た、 レーザ光の照射の対象となる患部組織ごとに、 より大きい患部組織の熱的損傷 を得るために必要な圧力はそれぞれ異なり、 これらの問題を解決するためにレーザ 光照射時に圧調整を行う必要がある。
このため、 以下に述べる実施形態においては、 レーザ光照射時に必要な圧力を調 整し、 また、 蒸散による蒸気圧の異常な上昇が発生した場合には、 外部に圧力を導 出して圧力を調整する圧力調整手段を設けている。
本実施形態におけるレーザ治療装置 Bにおいては、 図 2に示すように、 上述した レーザ治療装置の針 1 0の後端部に圧抜き用の導通孔 1 3を設け、 さらに該導通孔 1 3に連通接続される圧調整手段 4 0を備えて構成されている。
上記導通孔 1 3は、 針 1 0の後端部で、 針 1 0の挿通孔 1 1と連通して設けられ ており、 該導通孔 1 3には、 チューブ 1 4を介して圧力調整手段 4 0が連通接続さ れている。
上記圧力を調整する圧力調整手段 4 0として、 本実施形態においては、 内部に水 が充填されたピストン式の調圧器が用いられており、 該調圧器 4 0、 チューブ 1 4 及び針 1 0の揷通孔 1 1は、 それぞれ連通して水が充填されている。
上記調圧器 4 0は、 図 2に示すように、 ほぼ U字形状に形成され、 内部に水が充 填された本体部 4 0 aと、 該本体部 4 0内に充填された水を受ける水受け部 4 0 b とから構成されている。
上記本体部 4 0 aは、 一方の端部が前記チューブ 1 4に連通接続され、 他方の端 部が水受け部 4 0 bにより水が受けられて構成されており、 さらに、 本体部 4 0 a の両脚部分は上下方向にスライド可能で、 常時内部に充填された水に圧力をカロえ、
チューブ 1 4を介して針 1 0内に水を供給する構成となっている。
而して、 この調圧器 4 0は、 蒸散等による圧力の変ィ匕を針 1 0の揷通孔 1 1内に 充填された水に加わる圧力の変ィヒとしてとらえ、 水受け部 4 0 bに水を排出して揷 通孔 1 1内に加わる圧力を調整する。
ここで、 上記蒸散による圧力は、 揷通孔 1 1内部の圧力よりも高い圧力 (陽圧) であるため、 水受け部 4 0 b内に水を排出して圧力を調整するが、 例えば、 レーザ 光強吸収媒質の持続的注入により、 空洞内の蒸気が瞬間的に冷却されて液化し、 空 洞内の圧力が揷通孔 1 1内部の圧力よりも低い圧力 (陰圧) となる場合は、 水受け 部内 4 0 b内に充填された水を本体部 4 0 aに吸引してレーザ光照射時の圧力を調 整する。
これにより、 レーザ光の照射時に必要な患部組織ごとの圧力を調節することがで き、 また、 蒸散による蒸気圧の異常な上昇が発生した場合には導通孔 1 3を介して 外部に導出し、 生体組織の異常な熱的損傷を防ぐことができるという効果がある。 また、 図 3に示すように、 上記圧調整手段 4 0を、 圧力センサ 4 1及ぴ圧力吸引 装置 4 2とから構成してもよい。
この場合において、 圧力センサ 4 1の一端はチューブ 1 4を介して前記針 1 0の 導通孔 1 3に連通接続されており、 他端は圧力吸引装置 4 2に連通接続されている。 而して、 圧力センサ 4 1でチューブ 1 4内の圧力を検出することにより針 1 0の 揷通孔 1 1内の圧力を検出し、 該圧力センサ 4 1の検出値が所定の値を越えた際に、 圧力吸引装置 4 2がオンし、 チューブ 1 4を介して揷通孔 1 1内の圧力を吸引する とともに、 揷通孔 1 1内の圧力が一定の値以下になると停止する。
この結果、 上記実施形態と同様に、 レーザ光照射時に必要な患部組織ごとの圧力 を調整することができ、 また、 図 6 ( c ) に示すように、 蒸散による蒸気圧の異常 な上昇が発生した場合に、 予想不能な生体組織の熱的損傷を防ぐことができる。 なお、 図 6 ( c ) は、 レーザ治療を施した場合の生体組織の通常の熱的損傷であ る X 1のみが存在し、 高温度の蒸気が逆流することによる生体組織に熱的損傷 X 2 は発生していないことを示している。
さらにまた、 レーザ光強吸収媒質を患部組織に注入する針を、 図 7に示す構成と することも可能である。
すなわち、 上述した実施形態においては、 上記針は、 その先端から後端にかけて 軸方向に貫通して設けられる揷通孔 1 1と、 該揷通孔 1 1の外周で厚みを有する筒 状に形成された外筒 1 2とを備えて筒形状に構成され、 外筒 1 2にレーザ光強吸収 媒質を注入するための複数の注入孔 1 2 aが設けられていたが、 本実施形態におけ る針 9 0は、 図 7 ( a ) に示すように、 レーザ光照射手段のレーザファイバ 8 0が 挿通される挿通孔 9 1 aを備えた内筒 9 1と、 この内筒 9 1に着脱自在に装着され る外筒 9 2とを備えて構成されている。
上記内筒 9 1は、 その略中央部に上述した揷通孔 9 l aを備えるとともに、 その 外周壁面にその内筒の先端から後端部にかけて軸方向に複数本の溝 9 1 bが設けら れて形成されており、 これにより、 內筒 9 1は、 前記溝 9 l bに隣接して、 その外 周壁面に複数の凸部 9 1 cを備えた断面略歯車の形状に形成されている。
また、 この内筒 9 1に装着される外筒 9 2は、 内筒 9 1を装着した状態で、 その 内周壁面が、 上述した内筒 9 1の外周壁に設けられた凸部 9 1 cの外周壁面に当接 する円径を備えた円筒形状に形成されており、 その後端部には、 上記内筒 9 1の装 着時に、 上記内筒 9 1の後端部の外周壁、 及ぴ外筒 9 2の後端部の内周壁との間の 隙間を密封してロックするロック機構 (図示せず) が設けられている。
上記のように構成された針 9 0を使用する場合、 まず、 外筒 9 2内に、 生体組織 に穿刺するための針 (図示せず) を装着する。 ここで、 この穿刺用の針は、 上述し た実施形態における内筒 3 0に該当するものである。
これにより、 この穿刺用の針を装着した状態で、 生体組織中に針を穿刺して針 9 0を患部糸且織に到達させ、 今度は針 9 0の外筒 9 2内に内筒 9 1を装着するととも に、 該内筒 9 1の揷通孔 9 1 a内にレーザファイバ 8 0を揷通し、 レーザ光をレー ザ光照射対象患部組織に照射する。
この場合において、 上記針 9 0は、 内筒 9 1及ぴ外筒 9 2との間に、 内筒 9 1の 外周壁面に設けられた溝 9 1 b及び外筒 9 2の内周壁面とにより構成される複数の 注入路 9 3が形成されるため、 該注入路 9 3にレーザ光強吸収媒質を注入すること により、 レーザ光照射対象患部組織にレーザ光強吸収媒質を注入することができる。 この結果、 上述した実施形態の場合と同様に、 レーザ光の照射による蒸散により 高圧の蒸気が発生した場合に、 針 9 0の後端部に設けられたシール部材 2 0の挿入
孔 2 0 aから蒸散による高圧を逃すことができ、 また、 針 9 0の揷通孔 9 l a内を 高温度の蒸気が逆流した場合でも、 該針 9 0の注入路 9 3にはレーザ光吸収媒質が 持続的に流入しているため、 針 9 0自体が冷却され、 蒸気による針 9 0或いはレー ザファイバ 8 0の熱的損傷を防止することができる。 また、 これにより、 針 9 0の 周囲の生体組織に熱傷を発生することを防ぐことができるとレヽぅ効果がある。 また、 このとき、 上記内筒 9 1及び外筒 9 2は、 それぞれその外周壁及び内周壁 の間の隙間を密封した状態で、 ロックして装着されているため、 蒸散による蒸気が 内筒 9 1及ぴ外筒 9 2の隙間から漏れることがなく、 さらにまた、 内筒 9 1には外 筒 9 2がロックして装着されているため、 内筒 9 1の揷通孔 9 1 a内に揷通された レーザファイバ 8 0は安定して揷通孔 9 1 a内に配設される。
さらにまた、 上記実施形態において、 外筒 1 2にレーザ光強吸収媒質を注入する ための複数の注入孔 1 2 aを設ける場合と比較して、 針の成型が容易であり、 コス トを低く抑えることができるという効果がある。
また、 ここで、 上記実施形態においては、 内筒 9 1の外周壁面に複数の溝を設け ていたが、 図 7 ( b ) に示すように、 外筒 9 2の内周壁面に複数の溝 9 2 bを設け ることにより、 その内周壁面の溝 9 2 bに隣接して複数の凸部 9 2 cを備えた形状 に形成し、 該外筒 9 2の内周壁面を内筒 9 1の外周壁に当接させることにより、 レ 一ザ光強吸収媒質を注入するための注入路 9 3を形成する構成とすることも可能で ある。
この場合においても、 上述した実施形態における場合と同様に、 レーザ光の照射 による蒸散により高圧の蒸気が発生した場合に、 前記針 9 0のシール部材 2 0の挿 入孔 2 0 aから蒸散による高圧を逃すことができ、 また、 針 9 0の揷通孔 9 l a内 を高温度の蒸気が逆流した場合でも、 該針 9 0の注入路 9 3にはレーザ光吸収媒質 が持続的に流入しているため、 針 9 0自体が冷却され、 蒸気による針 9 0或いはレ 一ザファイバ 8 0の熱的損傷を防止することができる。 また、 これにより、 針 9 0 の周囲の生体組織に熱傷を発生することを防ぐことができるとレヽぅ効果がある。 また、 レーザ治療装置は、 上述した実施形態に限定されるものでは決してなく、 請求の範囲に記載の範囲内において種々に変更可能である。 すなわち、 導光体を挿 通するための揷通孔を備えるとともに、 レーザ光強吸収媒質を注入するための注入
路が設けられた針であって、 前記揷通孔の外周部と針の外周部との間の厚み部分に 前記注入路が設けられ、 この注入路が針の接続部を介してシリンジポンプに接続さ れていれば、 針はどのように構成されていても構わない。
例えば、 針の構成を図 7 ( c ) に示す構成とすることも可能である。 この場合に おいて、 上述した実施形態の場合と同様に、 針 9 0は、 挿通孔 9 1 aを備えた内筒 9 1及びこの内筒 9 1に着脱自在に装着することができる外筒 9 2とから構成され ている。
上記内筒 9 1の外周壁及ぴ外筒 9 2の内周壁の円径は、 それぞれ外筒 9 2内に内 筒 9 1を装着した状態で所定の厚み間隔 dだけ隙間が生じる寸法に形成されている。 そして、 この厚み間隔 dが、 レーザ光強吸収媒質を注入する際の注入路となる。 これにより、 上述した実施形態と同様に、 上記厚み間隔 dの注入路からレーザ光 強吸収媒質をレーザ光照射対象患部組織に注入してレーザ光を照射することにより、 上述した実施形態におけるものと同様の効果を得ることができる。
また、 上記のように内筒 9 1と外筒 9 2との間に所定の厚み間隔 dを設けた針で、 外筒 9 2の先端部が円筒の中心部に向かって折り曲げられ、 その先端部が上記厚み 間隔 dを介して内筒 9 1の先端部に覆い被さる構成とし、 この外筒 9 2の折り曲げ られた部分に、 複数からなる小孔を形成することにより、 上述した内筒 9 1と外筒 9 2との間に形成される厚み間隔 d及び前記小孔により、 レーザ光強吸収媒質注入 用の注入路を形成する構成とすることも可能である。
なお、 この場合において、 生体組織に穿刺する際に外筒 9 2内に装着される穿刺 用の針は、 それぞれ外筒 9 2に装着可能な円径及ぴ構成を有している。
この場合においても、 上記実施形態における場合と同様の効果を得ることができ る。
さらにまた、 図 7 ( d ) に示すように、 揷通孔 9 1 aを備えた針 9 0の外筒 9 2 の外周壁面に、 別途、 レーザ光強吸収媒質注入用の注入孔を備えた複数からなる媒 質注入用針 9 5を取り付け、 本発明のレーザ治療装置用の針とすることも可能であ る。
この場合においては、 針とは、 媒質注入用針 9 5が取り付けられた状態での針全 体を意味し、 針の外周部とは、 媒質注入用の針 9 5の外周部を含んだ針 9 0の外筒
9 2の外周部を意味する。
これにより、 上記のように構成された針を備えたレーザ治療装置においても、 媒質注入用針 9 5に備わった注入孔からレーザ光強吸収媒質をレーザ光照射対象患 部組織に注入し、 揷通孔 9 1 a内に挿通されたレーザファイバ 8 0によりレーザ光 を照射して、 上述した実施形態におけるものと同様の効果を得ることができる。 また、 図 8に示すように、 本発明の針 1 0の接続部 1 5にチューブ 1 5 aを連通 接続して、 気体注入用の気体注入手段を構成し、 針 1 0の先端から後端部にかけて 軸方向に貫通する注入孔 1 2 aに、 レーザ光強吸収媒質とともに外部から気体を注 入する構成とすることも可能である。 この場合、 上記注入される気体として、 例え ば、 二酸化炭素、 窒素、 ヘリウム等を用いる
上記のように構成された針 1 0を用いて、 レーザ光照射の対象となる患部組織に レーザ光を照射すると、 患部組織に注入されるレーザ光強吸収媒質が、 別途注入さ れた気体の圧力により霧状に拡散して噴出され、 レーザ光吸収媒質がより遠く、 か つ広範囲の患部組織に到達することができる。
この結果、 患部組織に到達せず、 レーザ光の照射対象患部組織の蒸散に寄与しな いレーザ光強吸収媒質を減少させ、 効率よく、 カゝっ確実に患部組織を蒸散させるこ とができ、 これにより、 レーザ光照射時の出力を挙げることなく、 患部組織の大き い蒸散を得ることができる。
なお、 上記気体注入用の注入路 1 5 aは、 接続部 1 5に連通接続されて構成され ていたが、 針 1 0の注入孔 1 2 aに連通接続されるのであれば、 針 1 0のどの部分 に設けても構わない。
また、 上記気体注入用のチューブ 1 5 aは、 上述した注入路を備えた針 9 0に設 ける構成とすることも可能である。
産業上の利用可能性
本発明にかかるレーザ治療方法は、 レーザ照射対象患部組織とレーザ光との間に レーザ光強吸収媒質を注入し、 該レーザ光強吸収媒質にレーザ光を照射することで、 上記レーザ照射対象患部組織に蒸散 ·凝固の熱的損傷を与えるように構成されてい るので、 生体組織の色調や組成によるレーザ光の吸収率を考慮することなく、 熱的 損傷を与えたい対象組織に対して確実に蒸散、 凝固壌死という熱的損傷を確実に与
えることができる。
また、 本発明にかかるレーザ治療方法は、 患部組織の蒸散による異常な圧力が生 じた場合に、 該圧力を外部に導出するように構成されているので、 これによる癌細 胞の拡散等の弊害を防止することができる。
本発明にかかるレーザ治療方法においては、 レーザ光強吸収媒質は、 レーザ照射 対象患部組織にワン 'ショットで注入し、 或は、 レーザ照射対象患部組織に対して 継続的に注入することができるので、 患部組織に対応したレーザ光強吸収媒質の注 入を実施することができる。 特に、 持続注入の場合、 レーザ光強吸収媒質が持続的 に注入され、 患部組織とレーザファイバとの間の熱源となるので、 空洞拡大と周囲 組織に熱的損傷を加えることが可能となる。
さらに、 本発明にかかるレーザ治療方法においては、 レーザ光強吸収媒質を、 レ 一ザ照射対象患部組織の大きさや形状に対応させて、 その出力 ·投与熱量 ·注入速 度をコントロールして注入するように構成したので、 レーザ光照射対象患部組織に 適応する熱的損傷程度をコント口ールすることができるようになる。
そして、 上記レーザ治療に用いられるレーザ光強吸収媒質は、 患者希釈血液や、 ィンドシァニン ·グリーン水溶液 ( I C G) 、 或は、 ィンドシァニン 'グリーン水 溶液 (I C G) に人血清を加えたもの、 または、 蒸留水とインドシァニン ·グリー ンとの溶解液を用いることができるので、 熱投与量をコントロールすることができ、 施術目的に適合するより有効なレーザ治療を行うことが可能となる。
本発明にかかるレーザ治療装置は、 シリンジポンプに収容されたレーザ光吸収媒 質をレーザ光照射対象患部組織に針で注入し、 該レーザ光球種媒質に導光体により 導力ゝれたレーザ光を照射して、 上記レーザ照射対象患部組織に蒸散 ·凝固の熱的損 傷を与えるように構成されているので、 生体組織の色調や組成によるレーザ光の吸 収率を考慮することなく、 熱的損傷を与えたい対象組織に対して確実に蒸散、 凝固 壌死という熱的損傷を確実に与えることができる。
さらに、 本発明にかかるレーザ治療装置は、 針の揷通孔内に導光体を挿通すると ともに、 針に設けられた注入路よりレーザ光吸収媒質をレーザ光照射対象患部組織 に注入して、 レーザ光を照射することにより、 レーザ光の照射による蒸散により高 圧の蒸気が発生した場合に、 この揷通孔内に該高圧の蒸気を逃し、 また、 針の挿通
孔内を高温度の蒸気が逆流した場合でも、 該針の挿通孔とは別に設けられた注入路 にはレーザ光吸収媒質が流入しているため、 針自体が冷却され、 蒸気による針或い は導光体の熱的損傷を防止することができる。
さらにまた、 これにより、 針の周囲の生体組織に熱傷を発生することを防ぐこと ができるという効果がある。
本発明にかかるレーザ治療装置は、 シール部材には、 導光体を挿入するための挿 入孔が設けられ、 該挿入孔を介して導光体が針の揷通孔に挿通されているため、 該シール部材により針の揷通孔内である程度の圧力を保つことができ、 レーザ光 の照射による蒸散により高圧の蒸気が発生した場合に、 前記針のシール部材の揷入 孔から蒸散による高圧を逃すことができる。
本発明にかかるレーザ治療装置は、 外筒の内周壁面と内筒の外周壁面の溝とによ り、 上記レーザ光吸収媒質を注入する注入路を形成しているため、 針の成型が容易 であり、 コストを低く抑えることができるという効果がある。
本発明にかかるレーザ治療装置は、 レーザ光の照射による蒸散により高圧の蒸気 が発生した場合に、 これを検出して導出部から蒸散による高圧を逃すことができ、 予想不能な生体組織の熱的損傷を防ぐことができるという効果がある。
また、 レーザ光照射時に必要な患部組織ごとの圧力を調整することができる。 さらに、 患部組織に注入されるレーザ光吸収媒質が、 別途注入された気体の圧力 により霧状に拡散して噴出され、 レーザ光吸収媒質がより遠く、 カゝっ広範囲の患部 組織に到達することができ、 これにより、 患部組織に到達せず、 レーザ光の照射対 象患部組織の蒸散に寄与しないレーザ光吸収媒質を減少させ、 効率よく、 かつ確実 に患部組織を蒸散させることができる。 また、 これにより、 レーザ光照射時の出力 を挙げることなく、 患部組織の大きい蒸散を得ることができる。