糸田 »
実装方法および装置
技 術 分 野
本発明は、 ウェハ一等からなる複数の被接合物同士を接合する実装方法および 装置に関する。
背 景 技 術
ウェハーゃチップ、 基板等からなる複数の被接合物同士を接合するに際しては、 接合直前や接合時に、 接合すべき両被接合物間に高精度の平行度が要求されるが、 その精度要求が近年益々高まっており、 サブミ クロン単位の高精度が要求される ようになってきた。 従来から、 高精度のァライメントを達成するために、 各種.の 方法が提案されているが、 その大半は、 接合直前に被接合物間の平行度を所定精 度内に納めようとするものであり、 接合中に高精度の平行度への調整や修正を行 うものは見当たらない。
一方、 被接合物同士の接合方法として、 特許第 2 7 9 1 4 2 9号公報には、 両 シリコンウェハーの接合面を接合に先立って室温の真空中で不活性ガスイオンビ —ムまたは不活性ガス高速原子ビームで照射してスパッタエッチングする、 シリ コンウェハーの常温接合法が開示されている。 この常温接合法では、 シリコンゥ ェハ一の接合面における酸化物や有機物等が上記のビームで飛ばされて活性化さ れたシリコンの原子で表面が形成され、 その表面同士が、 原子間の高い結合力に よって接合される。 したがって、 この方法では、 基本的に、 接合のための加熱を 不要化でき、 活性化された表面同士を単に接触させるだけで、 常温での接合が可 能になる。
しかしこの常温接合法においても、 接合すべき被接合物間の平行度を所定精度 内に納めることは必要である。 また、 上記の如く、 活性化された表面同士を単に 接触させるだけで常温接合が可能であるが、 被接合物の表面に微細な凹凸が存在 する場合、 とくに凹部同士が重ねられた場合、 原子間の高い結合力の作用範囲外 となって局部的な微細間隙が生じるおそれがある。 このような微細間隙の存在は、 接合の信頼性を損なうおそれがある。
発 明 の 開 示 .
そこで、 本発明の目的は、 最終的に極めて高精度で信頼性の高い接合状態を得 ることができ、 とくに、 前記公報に記載の優れた常温接合法に好適に適用できる、 実装方法および装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、 本発明に係る実装方法は、 複数の被接合物同士を 接合する実装方法であって、 第 1の被接合物と、 第 2の被接合物およびその保持 手段と、 位置決め基準面を有するバックアップ部材とをこの順に互いに離間させ て配置し、 第 2の被接合物またはその保持手段のバックアツプ部材の位置決め基 準面に対する平行度を調整するとともに、 第 1の被接合物またはその保持手段の 第 2の被接合物またはその保持手段に対する平行度を調整し、 第 1の被接合物を 第 2の被接合物に接触させて両被接合物を仮接合した後、 第 2の被接合物の保持 手段をバックアップ部材の位置決め基準面に接触させ、 両被接合物を加圧して本 接合することを特徴とする方法からなる。
なお、 以下の説明においては、 バックアップ部材が固定され、 第 2の被接合物 の保持手段が移動される形態を主体に説明するが、 本発明においては、 第 2の被 接合物の保持手段が固定され、 バックアップ部材が移動される形態とすることも 可能である。
すなわち、 本発明に係る実装方法においては、 予め設定されたバックアップ部 材の位置決め基準面が平行度調整のための絶対基準面とされ、 その位置決め基準 面に対して第 2の被接合物またはその保持手段の平行度が調整され、 その第 2の 被接合物またはその保持手段に対して第 1の被接合物またはその保持手段の平行 度が調整される。 したがってまず、 第 1の被接合物、 第 2の被接合物、 バックァ ップ部材の位置決め基準面のそれぞれの間が、 目標とする高精度の範囲内の平行 度に調整される。 この状態で最初に、 第 1の被接合物と第 2の被接合物が接触さ れて仮接合される。 仮接合の段階では、 第 1の被接合物と第 2の被接合物が、 と くに第 2の被接合物の保持手段が、 バックアツプ部材の位置決め基準面に対して は未だ浮いた状態 (離間している状態) にあり、 仮接合後に、 仮接合された第 1 の被接合物と第 2の被接合物が位置決め基準面方向に、 第 2の被接合物の保持手 段がバックアップ部材の位置決め基準面に接触するまで移動される。 そして、 第 2の被接合物の保持手段を位置決め基準面に接触させた状態で、 仮接合状態にあ
つた第 1の被接合物と第 2の被接合物が加圧により本接合される。 このバックァ ップ部材の位置決め基準面は平行度調整のための絶対基準面として設定されてい るから、 上記加圧段階では、 第 1の被接合物と第 2の被接合物間の平行度はこの 絶対基準面に沿ったより高精度の平行度に強制的に修正されることになる。 同時 に、 仮接合状態にあった第 1の被接合物と第 2の被接合物間に、 たとえ表面の微 細凹凸に起因する微細間隙が存在していたとしても、 その微細間隙は適切な加圧 によって埋められる'ことになり、 実質的に微細間隙の全く存在しない、 極めて信 頼性の高い接合状態が得られることになる。
上記本発明に係る実装方法においては、 平行度調整後の第 2の被接合物の保持 手段とバックアップ部材の位置決め基準面との隙間は、 たとえば 2〜1 5 m程 度の範囲に調整されることが好ましく、 平行度調整後仮接合前の第 1の被接合物 と第 2の被接合物との隙間は、 たとえば 1〜 1 0 ja m程度の範囲に調整されるこ とが好ましい。
また、 平行度調整のためのァライメント方法としては、 たとえば、 バックアツ プ部材の位置決め基準面に付された認識マークを認識手段により読み取るととも に、 第 2の被接合物またはその保持手段に付された認識マークを認識手段により 読み取り、 読み取り結果に基づいて第 2の被接合物またはその保持手段のバック アツプ部材の位置決め基準面に対する平行度を調整し、 第 1の被接合物またはそ の保持手段に付された認識マ一クを認識手段により読み取り、 読み取り結果に基 づいて第 1の被接合物またはその保持手段の第 2の被接合物またはその保持手段 に対する平行度を調整する方法を探用できる。 認識手段としては特に限定されな いが、 たとえば、 認識手段による認識マーク読み取り用の測定波として赤外線を 用いることができる。
たとえば、 近接した被接合物間の平行度を調整するに際し、 外部から赤外線認 識手段により両被接合物上の複数の認讖マークまでの距離をォートフォーカス機 能を用いて測定し、 両認識マークまでの距離の差から平行度を調整することがで きる。 このとき、 赤外線を透過させて認識マークまでの距離を測定する。
また、 前記仮接合および本接合は、 大気圧中で行うことも可能であり、 減圧ガ ス雰囲気中で行うこともできる。 さらに、 仮接合および本接合を特殊ガス雰囲気
中で行うこともできる。 本発明における特殊ガスとは、 たとえば、 アルゴンガス 等の不活性ガスや、 窒素ガス等の被接合物と反応しないガス、 被接合物の表面に おいて表面酸化物をフッ素基等に置換可能なガス、 水素を含み被接合物の表面に おいて還元反応が可能なガス、 酸素を含み被接合物の表面において炭素 (有機成 分) 等を除去可能なガス、 等を言う。 このような特殊ガス雰囲気中で仮接合およ び本接合を行えば、 被接合物の接合部の酸化を抑制すること、 接合の妨げとなる 金属表面での反応およびコンタミ付着を防止することができる。
上記のような本発明に係る実装方法は、 前述した常温接合法に対しても、 好適 に適用できる。 すなわち、 接合すべき両被接合物の表面を、 エネルギー波ないし エネルギー粒子を照射することにより洗浄した後、 洗浄した両被接合物の表面同 士を上記方法で常温接合することができる。 使用するエネルギ一波ないしエネル ギー粒子としては、 たとえば、 プラズマ (大気圧プラズマを含む。 ) 、 イオンビ ーム、 原子ビーム、 ラジカルビーム、 レーザのいずれかを用いることができる。 このように常温接合法に適用する場合には、 上記洗浄を減圧ガス雰囲気中で行い、 洗浄の効果を高めることもできる。 ただし、 大気圧下での洗浄で十分な場合には、 減圧は不要である。
このような本発明に係る実装方法は、 複数の被接合物の少なく とも一つがゥェ ハーである場合、 とくにウェハー同士の接合の場合に有効であるが、 その他のチ ップゃ基板等、 あらゆる形態の被接合物同士の接合、 あらゆる形態の被接合物の 組み合わせの接合の場合にも適用できることは言うまでもない。 さらに、 被接合 物同士を接合した後に、 その上に順次さらに被接合物を積層接合していく場合に も適用でき、 その場合には、 上述した工程を繰り返せばよい。
本発明に係る実装装置は、 複数の被接合物同士を接合する実装装置であって、 第 1の被接合物を保持する手段と、 該第 1の被接合物と離間可能に第 2の被接合 物を保持する手段と、 該第 2の被接合物の保持手段と離間可能な位置決め基準面 を有するバックアップ部材とをこの順に設け、 かつ、 第 2の被接合物またはその 保持手段のバックアツプ部材の位置決め基準面に対する平行度および、 第 1の被 接合物またはその保持手段の第 2の被接合物またはその保持手段に対する平行度 を調整する平行度調整手段と、 第 1の被接合物を第 2の被接合物に接触させて両
被接合物を仮接合し、 続いて第 2の被接合物の保持手段をバックアツプ部材の位 置決め基準面に接触させ、 両被接合物を本接合する加圧手段を設けたことを特徴 とするものからなる。
上記本発明に係る実装装置においては、 平行度調整手段として、 第 1の被接合 物またはその保持手段、 第 2の被接合物またはその保持手段、 バックアップ部材 の位置決め基準面にに付された認識マ一クを読み取る認識手段を有するものに構 成できる。 認識手段としては、 2視野カメラを備えたもの、 赤外線カメラを傭え たもの等に構成できる。
前記バックアップ部材として、 認識マーク読み取り用測定波を透過する材料で 構成すれば、 認識手段をバックアツプ部材の外側に設けることが可能になる。 こ のような構成は、 とくに接合が減圧ガス雰囲気中や不活性ガス等の特殊ガス雰囲 気中で行われる場合に有効である。 外部に設置する認識手段としては、 前述の赤 外線カメラが好ましい。 もちろん、 認識手段として、 接合前の被接合物間に進退 可能に設けられた手段、 たとえば 2視野カメラを使用することも可能である。 ま た、 第 1の被接合物側と第 2の被接合物側をそれぞれ別々に認識する手段を使用 することも可能である。
また、 上記実装装置においては、 少なく とも、 第 1の被接合物の保持手段、 第 2の被接合物の保持手段、 バックアップ部材の位置決め基準面が、 密閉可能な接 合チャンバ一内に設けられている構成を採用することもできる。 この場合、 接合 チャンバ一に、 該チャンパ一内を減圧する真空ポンプを付設したり、 該チャンバ 一内を特殊ガス雰囲気、 たとえば不活性ガス雰囲気または被接合物と反応しない ガス雰囲気にするガス置換手段を付設したりすることもできる。
さらに、 上記実装装置には、 接合すべき両被接合物の表面に洗浄のためのエネ ルギ一波ないしエネルギー粒子を照射する手段を備えた洗浄チヤンバーを設けて もよい。 このようにすれば、 前述の常温接合が可能になる。 また、 常温接合が要 求されない場合にあっても、 エネルギー波ないしエネルギー粒子の照射により被 接合物の表面から酸化物や有機物を飛ばすことが可能になるので、 接合前の被接 合物の表面を清浄な状態に保つことが可能になり、 より信頼性の高い接合が可能 になる。 使用するエネルギー波ないしエネルギー粒子としては、 たとえば、 ブラ
ズマ、 イオンビーム、 原子ビーム、 ラジカルビーム、 レーザのいずれかを用いる ことができる。 この洗浄チャンバ一に対しても、 該チャ ンバ一内を減圧する真空 ポンプを付設することができ、 減圧下での洗浄により、 一層効果的な洗浄が可能 になる。 また、 洗浄チャンバ一に、 該チャ ンバ一内を特殊ガス雰囲気にするガス 置換手段、 たとえば不活性ガス雰囲気にする不活性ガス置換手段を付設し、 その ガス雰囲気下での洗浄も可能である。 洗浄チヤンバーと接合チヤンバ一を設ける 場合には、 両チヤンバ一の間に開閉可能なシャッタ一手段を設けておく ことが好 ましい。
上記のような本発明に係る実装方法および装置によれば、 平行度を調整した状 態で仮接合を行い、 続いてバックアツプ部材の位置決め基準面に対し仮接合した 両被接合物を加圧して本接合を行うことにより、 最終的に極めて高精度で信頼性 の高い接合状態を達成できる。 また、 この実装方法および装置は、 事前にェネル ギ一波ないしエネルギー粒子を照射することによる洗浄を行う常温接合法に対し ても好適に適用することができる。
また、 両被接合物の表面が十分に洗浄されている場合においても、 加熱を行う ことにより両被接合物の界面の微少な隙間や残留応力を除去することができるた め、 加熱を併用することもある。
図 面 の 簡 単 な 説 明
図 1は、 本発明の一実施態様に係る実装装置の全体構成図である。
図 2は、 図 1の装置における仮接合を示す拡大部分側面図である。
図 3は、 図 1の装置における本接合を示す拡大部分側面図である。
図 4は、 仮接合の段階で生じるおそれのある被接合物間の間隙を示す拡大部分 断面図である。
発明 を実施す る た め の最良の形態
以下に、 本発明の望ましい実施の形態を、 図面を参照しながら説明する。 図 1は、 本発明の一実施態様に係る実装装置を示している。 図 1において、 1 は実装装置全体を示しており、 被接合物としてのウェハ一同士を接合する場合を 示している。 本実施態様では、 実装装置 1は、 接合すべき被接合物としてのゥェ ハ一 2の表面を洗浄するために、 その表面にエネルギー波 3を照射するエネルギ
一波照射手段 4 (またはエネルギー粒子の照射手段) を備えた洗浄チャ ンバ一 5 と、 第 1の被接合物 2 aと第 2の被接合物 2 bとを接合するための接合チヤ ンバ 一 6 と、 洗浄された第 1の被接合物 2 aまたは、 第 1の被接合物 2 aおよび箄 2 の被接合物 2 bを洗浄チヤンバ一 5内から接合チヤンバ一 6内へと搬送する搬送 ロボッ ト 7を備えた搬送路 8または搬送チヤンバ一を有している。
上記エネルギー波ないしエネルギー粒子 3としては、 前述の如く、 プラズマ、 イオンビーム、 原子ビーム、 ラジカルビーム、 レーザのいずれかが用いられる。 本実施態様では、 エネルギー波ないしエネルギー粒子 3による洗浄をより効果的 に行うために、 洗浄チヤンバ一 5内を所定の真空度に減圧するために真空ポンプ 9が付設されている。 真空ポンプ 9の代わりに、 あるいは真空ポンプ 9とともに、 洗浄チャンバ一 5内を不活性ガス (たとえば、 アルゴンガス) 雰囲気にする不活 性ガス置換手段が設けられていてもよい (図示略) 。 このようなエネルギー波な いしエネルギー粒子照射による被接合物の表面洗浄により、 前述したような常温 接合まで可能となる。
本実施態様では、 接合チャンバ一 6にも真空ポンプ 1 0が付設されており、 接 合チヤンバー 6内を所定の真空度に減圧できるようになつている。 この真空ポン プ 1 0の代わりに、 あるいは真空ポンプ 1 0とともに、 接合チヤンバー 6内を不 活性ガス雰囲気または被接合物と反応しないガス (たとえば、 窒素ガス) 雰囲気 にするガス置換手段が設けられていてもよい (図示略) 。 減圧下での被接合物同 士の接合、 とくに不活性ガス雰囲気中での接合により、 接合されるまでの被接合 物の被接合部の酸化を効果的に防止でき、 より信頼性の高い接合状態を得ること ができる。
洗浄チャンバ一 5と接合チャ ンバ一 6との間には、 本実施態様では、 洗浄チヤ ンバ一 5と搬送路 8 との間および搬送路 8と接合チヤンバー 6 との間に、 両者間 を連通および連通遮断できる、 開閉可能なシャッター手段 1 1、 1 2が設けられ ている。 搬送ロボッ ト 7により搬送時のみにシャッタ一手段 1 1または 1 2を開 き、 その他の時には閉じておくことにより、 洗浄チヤンバー 5および接合チヤン バー 6内を迅速に所望のガス雰囲気に形成できるとともに、 それぞれの処理時に 所定のガス雰囲気に保つことができる。 .
接合チャンバ一 6を含む、 被接合物同士の接合部は、 次のように構成されてい る。
第 1の被接合物 2 aを直接的に保持する手段は、 静電チヤ ック 2 1から構成さ れており、 静電チヤック 2 1は昇降可能なへッ ド 2 2の下端に取り付けられてい る。 ヘッ ド 2 2の下部には、 複数の伸縮制御可能な支柱 2 3が配設されており、 各支柱 2 3の伸縮量を制御することにより、 静電チヤック 2 1の下部側静電チヤ ック 2 4に対する平行度、 ひいては、 上部側静電チャック 2 1に保持されている 第 1,の被接合物 2 aの下部側静電チヤック 2 4に保持されている第 2の被接合物 2 bに対する平行度を調整できるようになつている。 伸縮制御可能な支柱 2 3は、 たとえば圧電素子を組み込んだものからなる。
また、 へッ ド 2 2の下部には、 後述の赤外線カメラの方向に向けて照射される 光を導くライ トガイ ド 2 5が設けられている。 ライ トガイ ド 2 5は、 光源 (図示 略) から光ファイバ一等を介して導光されてきた光を、 垂直下方に向けて照射す るようになっている。 ライ トガイ ド 2 5からの光が透過される、 静電チヤック 2 1、 2 4の部位は、 光透過が可能な透明体から構成されているか、 または、 光透 過用の穴が開けられている。
へッ ド 2 2の上方には、 昇降機構 2 6が設けられており、 その上方に、 エアシ リ ンダ等の加圧シリンダ 2 7を有する加圧手段 2 8が設けられている。 加圧シリ ンダ 2 7には、 下方に向かう加圧カをコントロールするための加圧ポート 2 9と、 加圧力を制御するとともに上方への移動力を生じさせるバランスポート 3 0が設 けられている。 昇降機構 2 6は、 ヘッ ド 2 2、 静電チヤック 2 1に保持されてい る第 1の被接合物 2 aを下方に移動させるとともに、 移動および平行度調整後に、 第 1の被接合物 2 aを第 2の被接合物 2 に接触させて仮接合することができる c また、 加圧手段 2 8は、 仮接合時に昇降機構 2 6を介して押圧力を加えることが できるとともに、 仮接合後に、 さらに下降された第 1の被接合物 2 aを第 2の被 接合物 2 bにさらに押圧して、 加圧により本接合することができるようになって いる。
第 2の被接合物 2 bは、 下部側の静電チヤック 2 4上に保持されている。 静電 チャック 2 4は、 ステージ 3 1上に設けられており、 ステ一ジ 3 1は、.位置調整
手段としての位置調整テーブル 3 2上に、 スプリング手段 3 3を介して保持され ている。 スプリング手段 3 3は、 上方から加圧力が作用しない時には、 一定長を 呈する手段からなる。 位置調整テ一プル 3 2は、 水平面に対し、 .ステージ 3 1お よびその上に保持された静電チヤック 2 4の平行度と高さ方向の位置を調整でき るようになっており、 それによつて静電チヤック 2 4上に保持された第 2の被接 合物 2 bの第 1の被接合物 2 aに対する平行度および高さ方向位置を調整できる ようになっている。
静電チヤック 2 4の下方には、 バックアップ部材としての、 後述の赤外線カメ ラ用の測定波を透過するガラスからなるバックアップガラス部材 3 が設けられ ている。 バックアツプガラス部材 3 4の上面は、 静電チヤック 2 4の下面に対向 しており、 このバックアップガラス部材 3 4の上面は、 本発明で言う位置決め基 準面 3 4 aを構成している。 前述のスプリング手段 3 3を介して浮動支持された 静電チヤック 2 4は、 上方からの加圧によりこの位置決め基準面 3 4 aまで平行 移動されるようになっている。
バックアップガラス部材 3 4の下方には、 接合チヤンバー 6外の位置に、 認識 手段としての赤外線カメラ 4 1が設けられている。 赤外線カメラ 4 1は、 プリズ ム装置 4 2を介して、 ライ トガイ ド 2 5からの照射光を用いて、 第 1の被接合物 2 aまたは静電チヤック 2 1に付されたァライメント用の認識マーク、 および、 第 2の被接合物 2 bまたは静電チャック 2 4に付された認識マーク、 および、 バ ックアップガラス部材 3 4の位置決め基準面 3 4 aに付された認識マークを、 そ れぞれ読み取ることができるようになっている。 この赤外線カメラ 4 1およびプ リズム装置 4 2の位置も、 位置調整手段 4 3を介して調整、 制御できるようにな つている。
上記のように構成された実装装置 1を用いて、 本発明に係る実装方法は次のよ うに実施される。
洗浄チャンバ一 5内で表面洗浄された第 1の被接合物 2 aが、 場合によっては 第 2の被接合物 2 bも、 搬送ロボッ ト 7により接合チヤンバ一 6内に搬送され、 第 1の被接合物 2 aは反転された後静電チヤック 2 1の下面に保持され、 第 2の 被接合物 2 bは静電チヤック 2 4の上面に保持される。 シャッター手段 1 2が閉
じられ、 接合チヤンバー 6内が真空ポンプ 1 0によって所定の真空度とされる。 静電チヤック 2 4の下面とバックアップガラス部材 3 4の位置決め基準面 3 4 aとの間の平行度が位置調整手段 3 2によって調整され、 両者間の隙間が 2〜 1 5 / mの範囲に調整される。 次に、 調整された第 2の被接合物 2 bに対する、 第 1の被接合物 2 aの平行度が各支柱 2 3の伸縮制御によって調整され、 両者間の 隙間が 1〜 1 0 〃mの範囲に調整される。
これら平行度の調整においては、 まず最初に、 バックアップガラス部材 3 4の 位置決め基準面 3 4 aに付された認識マークの位置が赤外線カメラ 4 1で読み取 られ、 続いて静電チヤック 2 4の下面に付された認識マーク (場合によっては第 2の被接合物 2 bに付された認識マーク) が同様に読み取られ、 位置決め基準面 3 4 aに対する静電チヤック 2 4およびそれに保持された第 2の被接合物 2 の 位置が所定の位置に合わされるとともに両者間の平行度が調整される。 次に、 第 1の被接合物 2 aあるいは静電チヤック 2 1に付された認識マークが読み取られ、 調整された第 2の被接合物 2 bあるいは静電チヤ ック 2 4に対する第 1の被接合 物 2 aあるいは静電チヤック 2 1の平行度が調整されるとともに位置合わせが行 われる。 上記各認識マークを読み取る際には、 周知のオートフォーカス機能を利 用することができ、 赤外線カメラ 4 1も位置調整手段 4 3を介して適宜移動させ ればよい。
上記平行度調整後、 図 2に示すように、 加圧手段 2 8を作動させてへッ ド 2 2 を下降させ、 第 1の被接合物 2 aを第 2の被接合物 2 bに接触させて両被接合物 を仮接合する。 この仮接合の段階では、 第 2の被接合物 2 bを保持している静電 チャック 2 4の下面とバックアップガラス部材 3 の位置決め基準面 3 4 aとの 間には、 前述の如き隙間が存在する状態にあり、 静電チャック 2 4は浮いた状態 にある。 また、 接合される第 1の被接合物 2 aと第 2の被接合物 2 との間には、 図 4に示すように、 接合表面にたとえば微細な凹凸が存在しているような場合、 両被接合物間には接合されない微細な間隙 5 1が生じることになる。 前述の如く、 エネルギー波ないしエネルギー粒子を照射することによる洗浄により基本的には、 両表面間は接触させるだけで常温接合が可能な状態となっているが、 原子間結合 力が及ばない程度の間隙 5 1が生じると、 その間隙部分では常温接合は達成され
ないことになる。 たとえば約 1 0 n mあるいはそれ以上の間隙 5 1が生じると、 このようなおそれが生じる。
しかし本発明に係る方法においては、 仮接合後の本接合によって、 上記のよう な間隙 5 1は実質的に完全に埋められる。 上記仮接合の後、 図 3に示すように、 加圧手段 2 8を作動させてへッ ド 2 2がさらに下降され、 仮接合状態にある第 1 の被接合物 2 aと第 2の被接合物 2 bが、 スプリ ング手段 3 3により弾性浮動支 持されているステージ 3 1および下部側の静電チヤック 2 4 とともに、 下方に押 圧され、 静電チヤック 2 4の下面がバックアップガラス部材 3 4の位置決め基準 面 3 4 aに当接する。 この状態で、 加圧手段 2 8により、 第 1の被接合物 2 aと 第 2の被接合物 2 bの接合面が所定の加圧力をもって加圧される。 適当な加圧力 を加えることにより、 図 4に示したような間隙 5 1は完全に埋められ、 第 1の被 接合物 2 aと第 2の被接合物 2 bは、 望ましい形態で、 つまり極めて信頼性の高 い形態で互いに本接合されることになる。
上記仮接合においては、 その直前に既に第 1の被接合物 2 aと第 2の被接合物 2 b間の平行度は高精度に調整されているから、 精度の高い仮接合が行われるこ とになり、 上記本接合に際しては、 高精度で仮接合された両被接合物がそのまま 平行移動されるだけであり、 かつ、 静電チヤック 2 4と位置決め基準面 3 4 a間 の平行度も既に高精度に調整されているから、 加圧による本接合も高精度の平行 度をもって行われることになる。 しかも、 このバックアップガラス部材 3 4の位 置決め基準面 3 4 aは、 初期設定により、 位置決め用の絶対基準面として設定さ れているものであり、 かつ、 静電チャック 2 4の下面が強制的にこの位置決め基 準面 3 4 aに沿うように (密着するように) 押圧されるのであるから、 最終的に、 位置決め基準面 3 4 aに対し極めて高精度の平行度をもって本接合されることに なる。 高精度の本接合により、 極めて信頼性の高い接合状態が達成される。
通常のァライメ ン トテーブル上で被接合物が加圧を受けると、 たとえばボール 摺動ガイ ド部等に撓みが生じるため、 十分な剛性をもって所定の位置精度を保ち ながら支えることが困難である。 し力、し、 本発明においては、 位置決め基準面 3 4 aを有するバックアップガラス部材 3 4を分離された部材として構成し、 それ に十分に高い剛性を持たせることにより、 撓み等の生じない高精度の位置決め基
準面 3 4 aが、 バックアップ位置決め基準面として維持、 形成されることになり、 極めて高精度の接合が可能になる。
なお、 上記実施態様では、 ァラ メ ン卜とともに平行度調整に、 赤外線カメラ を用いるようにしたが、 平行度調整には可視光線を用いることもできるので、 通 常の可視光カメラを用いてもよい。
産 業 上 の 利 用 可 能 性
本発明に係る実装方法および装置は、 ウェハー同士の接合に代表される、 あら ゆる被接合物同士の接合に適用でき、 本発明を適用することにより極めて高精度 で信頼性の高い接合状態を達成できる。 また、 本発明に係る実装方法および装置 は、 事前にエネルギ一波ないしエネルギ一粒子を照射することによる洗浄を行う 常温接合法に対しても好適に適用できる。