明 細 書
ビスハロフエニルジスルフィ ド類の製造方法
技 術 分 野
本発明は、 ビスハロフエニルジスルフィ ド類の製造方法に関する。 ビスハロフ ェニルジスルフイ ド類は、 医薬、 農薬、 機能性材料等の種々の用途に用いられて いる有用な化合物である。
背 景 技 術
従来、 ビスハロフエニルジスルフイ ド類を製造する方法としては、 ハロチオフ エノ一ル類を酸化する方法が挙げられる。 このハロチオフエノール類は、 例えば、 特開平 9一 4 0 6 3 6号公報に記載された方法により、 ハロベンゼン類を、 メチ ルメル力プチドアル力リ金属塩によりメチルチオハ口ベンゼン類となし、 さらに ハ口ゲン化剤によりハロメチルチオハ口ベンゼン類とした後、 加水分解して得ら れる。
ビスハロフエニルジスルフィ ド類を製造する場合、 原料とするハロチオフエノ ール類が不純物を含まなければ、 通常の酸化により高純度のビスハロフエニルジ スルフィ ド類が得られる。 しかしながら、 ハロチオフエノ一ル類中にハロベンゼ ン類、 ハロメチルチオハ口ベンゼン類、 ビスハロチオフェニルメタン等の不純物 が含まれているような純度の低いハロチォフエノ一ル類を酸化してジスルフィ ド 化する場合には、 不純物に由来する酸化物と目的生成物のジスルフィ ドとを分離 するのが困難となり、 ビスハロフエニルジスルフイ ド類を高純度、 高収率で得る ことができないという問題があった。
発 明 の 開 示
本発明の主な目的は、 純度の低いハロチオフエノ一ル類を原料として用いる場 合でも、 ビスハロフエニルジスルフイ ド類を工業的に、 かつ高収率、 高純度で製 造することができる方法を提供することにある。
本発明者らは、 前記の目的を達成するために鋭意検討した結果、 八ロチォフエ ノール類とアル力リ金属水酸化物とを反応させて得られるハロチオフエノラート アルカリ金属塩類が、 アルカリ金属水酸化物の水溶液に容易に溶解すること、 一 方、 ハロチォフエノール類に含まれる不純物が水不溶性であることを見出し、 本
発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、 下記に示すとおりのビスハロフエニルジスルフイド類の 製造方法および原料のハロチオフエノ一ル類の製造方法を提供するものである。 1. 一般式 ( 1 ) ;
(式中、 X1はハロゲン原子を、 X2はハロゲン原子または水素原子を示す。 ) で表されるハロチオフエノ一ル類とアルカリ金属水酸化物とを反応させて一般式 (2) ;
(式中、 X'、 X2は前記と同様である。 Mはアルカリ金属原子を示す。 ) で表されるハロチオフエノラートアルカリ金属塩類となし、 次いで、 鉱酸の存在 下に酸化剤を用いてジスルフイド化することを特徴とする一般式 (3) ;
(式中、 X1、 X2は前記と同様である。 )
で表されるビスハロフエニルジスルフィド類の製造方法。
2. アルカリ金属水酸化物が、 水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムである 上記項 1に記載の方法。
3. 鉱酸が、 塩酸である上記項 1に記載の方法。
4. 酸化剤が、 過酸化水素である上記項 1に記載の方法。
5. ハロチォフエノール類が、 2—クロロチオフエノ一ル、 3—クロロチオフ
エノ一ル、 4 _クロロチォフエノール、 2—ブロモチオフエノ一ル、 3—ブロモ チォフエノール、 4ーブロモチォフエノール、 2, 3—ジクロロチオフエノ一ル、 2, 4—ジクロロチオフエノ一ル、 2, 5—ジクロロチオフエノ一ル、 3, 4一 ジクロロチオフエノ一ル、 3, 5—ジクロロチォフエノール、 2, 3—ジブロモ チオフエノ一ル、 2, 4—ジブ口モチォフエノール、 2, 5—ジブ口モチォフエ ノール、 3, 4一ジブ口モチォフエノールまたは 3, 5—ジブロモチオフエノー ルである上記項 1に記載の方法。
6. 一般式 (1) で表されるハロチオフエノ一ル類が、 一般式 (4) ;
X1
人-l2 (4)
Λχ3
(式中、 X1、 X3はハロゲン原子を、 X2はハロゲン原子または水素原子を示 す。 )
で表されるハロベンゼン類とナトリウムチオメトキサイドとを、 第 4級ホスホニ ゥム塩の存在下に反応させて一般式 (5) ;
(式中、 X X2は前記と同様である。 )
で表されるメチルチオハロベンゼン類となし、 次いで、 得られたメチルチオハロ
'類を塩素を用いて塩素化して一般式 (6) ;
(式中、 X1、 X2は前記と同様である。 nは 1〜3の整数を示す。 )
で表されるクロロメチルチオハロベンゼン類となし、 さらに、 得られたクロロメ
チルチオハロベンゼン類を低級アルコールまたは塩基の存在下に加水分解する とによって得られることを特徴とする上記項 1に記載の方法。
7. 一般式 (4) ;
(式中、 X X3はハロゲン原子を、 X2はハロゲン原子または水素原子を示 す。 )
で表されるハロベンゼン類とナトリウムチオメトキサイドとを、 第 4級ホスホニ ゥム塩の存在下に反応させて一般式 (5) ;
(式中、 X1、 X2は前記と同様である。 )
で表されるメチルチオハロベンゼン類となし、 次いで、 得られたメチルチオハロ Iン類を塩素を用いて塩素化して一般式 (6) ;
(式中、 X1、 X2は前記と同様である。 nは 1〜3の整数を示す。 )
で表されるクロロメチルチオハロベンゼン類となし、 さらに、 得られたクロロメ チルチオハロベンゼン類を低級アルコールまたは塩基の存在下に加水分解するこ とを特徴とする一般式 (1) ;
(式中、 X
1、 X
2は前記と同様である。 )
で表されるハロチオフエノ一ル類の製造方法。
[ビスハロフエニルジスルフィ ド類の製造]
本発明においては、 まず、 上記一般式 (1) で表されるハロチオフエノ一ル類 とアルカリ金属水酸化物とを反応させて、 上記一般式 (2) で表される八ロチォ フエノラートアル力リ金属塩類を製造する。
上記一般式 (1) で表されるハロチオフエノ一ル類における X1、 X2のハロゲ ン原子としては、 C l、 B r、 Iが挙げられ、 C l、 B rが好ましい。 本発明に 用いられる八ロチォフエノール類の具体例としては、 例えば、 2 _クロロチオフ エノ一ル、 3—クロロチォフエノール、 4_クロロチオフエノ一ル、 2—ブロモ チォフエノール、 3—ブロモチォフエノール、 4—ブロモチオフエノ一ル、 2— ョードチオフエノ一ル、 3—ョードチォフエノール、 4—ョードチォフエノール、
2, 3—ジクロロチオフエノ一ル、 2, 4ージクロロチオフエノ一ル、 2, 5— ジクロロチォフエノール、 3, 4—ジクロロチオフエノ一ル、 3, 5—ジクロ口 チオフエノ一ル、 2, 3—ジブ口モチォフエノール、 2, 4—ジブ口モチォフエ ノール、 2, 5—ジブロモチオフエノ一ル、 3, 4—ジブロモチオフエノ一ル、
3, 5—ジブ口モチォフエノール、 2, 3—ジョ一ドチォフエノール、 2, 4_ ジョードチォフエノール、 2, 5—ジョ一ドチオフエノ一ル、 3, 4—ジョ一ド チォフエノール、 3, 5—ジョードチオフエノ一ル等が挙げられる。 中でも、 2 —クロロチォフエノール、 3—クロロチオフエノ一ル、 4—クロロチオフエノー ル、 2—ブロモチォフエノール、 3—ブロモチォフエノール、 4 _ブロモチオフ エノ一ル、 2, 3—ジクロロチォフエノール、 2, 4—ジクロロチォフエノール、 2, 5—ジクロロチオフエノ一ル、 3, 4ージクロロチォフエノール、 3, 5— ジクロロチォフエノール、 2, 3—ジブロモチオフエノ一ル、 2, 4—ジブロモ チォフエノール、 2, 5—ジブ口モチォフエノール、 3, 4_ジブ口モチォフエ
ノール、 3 , 5—ジブ口モチォフエノールが好適に用いられる。
本発明に用いられるハロチォフエノール類は、 高純度品に限られない。 純度が 3 0〜9 7 %、 好ましくは 5 0〜 9 1 %のハロチオフエノール類を使用すること もできる。 従って、 例えば、 ハロベンゼン類を原料として用いて製造した粗ハロ チオフエノ一ル類を、 精製せずに使用することもできる。
本発明に用いられるアルカリ金属水酸化物としては、 特に限定されず、 例えば 水酸化リチウム、 水酸化カリウム、 水酸化ナトリウム等が挙げられる。 中でも、 経済的見地から、 水酸化力リゥムまたは水酸化ナトリゥムが好適に用いられる。 アルカリ金属水酸化物の使用量は、 ハロチオフエノ一ル類に対して、 通常、 1〜 3倍モル、 好ましくは 1〜 2倍モルである。 アルカリ金属水酸化物の使用量が 1 倍モル未満の場合には、 使用する効果が充分に現れにくいおそれがある。 一方、 アルカリ金属水酸化物の使用量が 3倍モルを超える場合には、 使用量に見合う効 果が得られず経済的でないおそれがある。 なお、 アルカリ金属水酸化物は、 通常、 水溶液で用いられ、 その水溶液濃度は 1 0〜4 0重量%程度であるのが好ましい。 ハロチオフエノ一ル類とアルカリ金属水酸化物との反応における反応温度は、 特に限定されないが、 通常、 — 1 0〜1 0 0 °C、 好ましくは 0〜4 0 °Cである。 反応時間は、 反応温度により異なるが、 通常、 5分〜 1時間である。
ハロチオフエノ一ル類とアルカリ金属水酸化物とを反応させて得られるハロチ オフエノラートアル力リ金属塩類は、 アル力リ金属水酸化物の水溶液に容易に溶 解する。 一方、 ハロチオフエノ一ル類に含まれる不純物は、 水不溶性である。 従 つて、 たとえ純度の低いハロチオフエノール類を原料として用いた場合でも、 反 応後に分液等の操作を行うことにより、 容易にハロチォフエノラ一トアルカリ金 属塩類を高純度で水層に回収できる。 そこで、 この水層に回収されたハロチオフ エノラートアルカリ金属塩類を、 水溶液の状態で、 酸化剤を用いてジスルフイド 化することにより、 ビスハロフエニルジスルフイド類を高収率、 高純度で得るこ とができる。
上記一般式 (1 ) で表される八ロチォフエノール類とアルカリ金属水酸化物と を反応させて上記一般式 (2 ) で表されるハロチオフエノラートアルカリ金属塩 類となし、 次いで、 この水溶液を、 鉱酸の存在下に酸化剤を用いてジスルフイド
化することにより、 上記一般式 (3 ) で表されるビス八口フエニルジスルフイド 類を製造することができる。
前記鉱酸としては、 特に限定されず、 例えば、 塩酸、 硫酸、 硝酸、 リン酸等が 挙げられる。 中でも、 経済的見地から、 塩酸が好適に用いられる。 鉱酸の使用量 は、 ハロチオフエノ一ル類に対して、 通常、 0 . 0 1〜1倍モルである。 鉱酸の 使用量が 0 . 0 1倍モル未満の場合には、 反応が進行しにくいおそれがある。 一 方、 鉱酸の使用量が 1倍モルを超える場合には、 使用量に見合う効果が得られず 経済的でないおそれがある。
前記酸化剤としては、 特に限定されず、 例えば、 過酸化水素、 酸素、 過マンガ ン酸カリウム、 ジメチルスルホキシド等が挙げられる。 中でも、 経済的見地から、 過酸化水素が好適に用いられる。 酸化剤の使用量は、 ハロチオフエノ一ル類に対 して、 通常、 0 . 0 1〜 1 0倍モル、 好ましくは 0 . 1〜2倍モルである。 酸化 剤の使用量が 0 . 0 1倍モル未満の場合には、 収率が低下するおそれがある。 一 方、 酸化剤の使用量が 1 0倍モルを超える場合には、 使用量に見合う効果が得ら れず経済的でないおそれがある。
前記ジスルフィド化反応は、 アルカリ金属水酸化物の水溶液中で行うことが可 能であるが、 有機溶媒を用いて反応させることもできる。 有機溶媒としては、 例 えば、 へキサン、 シクロへキサン、 ヘプタン等の炭化水素類、 ジクロロエタン、 ジクロロメタン、 クロ口ホルム等のハロゲン化炭化水素類、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン、 モノクロ口ベンゼン、 ジクロロベンゼン、 トリクロ口ベンゼン等の芳 香族炭化水素類、 メタノ一ル等のアルコール類、 アセトン等のケトン類等を用い ることができる。 有機溶媒を用いる場合、 その使用量は、 特に限定されないが、 通常、 ハロチオフエノラートアルカリ金属塩類に対して、 0 . 0 1〜1 0倍重量 である。 有機溶媒の使用量が 1 0倍重量を超える場合には、 容積効率が悪化して 好ましくないおそれがある。
前記ジスルフィド化反応における反応温度は、 通常、 一 1 0〜1 0 Ο Τ 好ま しくは 0〜5 0 である。 反応温度が一 1 0 °C未満の場合には、 反応速度が遅く 反応に長時間を要するおそれがある。 一方、 反応温度が 1 0 0 °Cを超える場合に は、 副反応が起こりやすく収率低下の原因となり好ましくないおそれがある。 反
応時間は、 反応温度により異なるが、 通常、 0 . 5〜2 0時間である。
前記ジスルフイ ド化反応は、 水溶液の均一系で行われるが、 反応が進行するに したがい、 生成したビスハロフエニルジスルフィ ド類が固体として析出するため、 最終的には固—液系で反応は終了する。 反応終了後、 生成したビスハロフエニル ジスルフイ ド類をろ別し、 洗浄、 乾燥することにより、 高純度のビスハロフエ二 ルジスルフィ ド類を得ることができる。
かくして得られるビスハロフエニルジスルフィ ド類の具体例としては、 ビス ( 2—クロ口フエニル) ジスルフイ ド、 ビス (3—クロ口フエニル) ジスルフィ ド、 ビス (4一クロ口フエニル) ジスルフイ ド、 ビス (2—ブロモフエニル) ジ スルフイ ド、 ビス (3—ブロモフエニル) ジスルフイ ド、 ビス (4—ブロモフエ ニル) ジスルフイ ド、 ビス (2—ョ一ドフエニル) ジスルフイ ド、 ビス (3—ョ —ドフエニル) ジスルフイ ド、 ビス (4一ョ一ドフエニル) ジスルフイ ド、 ビス
( 2 , 3—ジクロ口フエニル) ジスルフイ ド、 ビス (2, 4—ジクロロフエ二 ル) ジスルフイ ド、 ビス (2, 5—ジクロ口フエニル) ジスルフイ ド、 ビス (3, 4—ジクロロフエニル) ジスルフイ ド、 ビス (3 , 5—ジクロロフエニル) ジス ルフイド、 ビス (2, 3—ジブロモフエニル) ジスルフイ ド、 ビス (2 , 4—ジ ブロモフエニル) ジスルフイ ド、 ビス (2, 5—ジブロモフエニル) ジスルフィ ド、 ビス (3, 4 _ジブロモフエニル) ジスルフイ ド、 ビス (3, 5—ジブロモ フエニル) ジスルフイ ド、 ビス (2, 3—ジョードフエニル) ジスルフイ ド、 ビ ス (2 , 4—ジョ一ドフエ二ル) ジスルフイ ド、 ビス (2, 5—ジョードフエ二 ル) ジスルフイ ド、 ビス (3, 4一ジョ一ドフエ二ル) ジスルフイ ド、 ビス (3 , 5—ジョードフエニル) ジスルフィ ド等が挙げられる。
[八ロチオフエノール類の製造]
上記ビスハロフエニルジスルフィ ド類の製造において用いられるハロチォフエ ノール類の製造方法は、 特に限定されないが、 本発明においては、 ハロベンゼン 類とナトリウムチオメトキサイドとを第 4級ホスホニゥム塩の存在下に反応させ てメチルチオハロベンゼン類となし、 次いで、 得られたメチルチオハロベンゼン 類を塩素を用いて塩素化してクロロメチルチオハロベンゼン類となし、 さらに、 得られたクロロメチルチオハロベンゼン類を低級アルコールまたは塩基の存在下
に加水分解する方法が好適に用いられる。
上記ハロチオフエノール類の製造方法においては、 まず、 上記一般式 (4) で 表されるハロベンゼン類とナトリウムチオメトキサイド (すなわち、 ナトリウム メチルスルフィド) とを第 4級ホスホニゥム塩 (相間移動触媒) の存在下に反応 させて、 上記一般式 (5) で表されるメチルチオハロベンゼン類を製造する。 上記一般式 (4) で表されるハロベンゼン類における X1、 X2、 X 3のハロゲ ン原子としては、 C l、 B r、 Iが挙げられ、 Cし B rが好ましい。 本発明に 用いられるハロベンゼン類の具体例としては、 例えば、 1, 2—ジクロロべンゼ ン、 1, 3—ジクロ口ベンゼン、 1, 4—ジクロロベンゼン、 1, 2—ジブロモ ベンゼン、 1, 3 _ジブロモベンゼン、 1, 4—ジブロモベンゼン、 1, 2—ジ ョードベンゼン、 1, 3—ジョ一ドベンゼン、 1, 4一ジョ一ドベンゼン、 1, 2, 3—トリクロ口ベンゼン、 1, 2, 4一トリクロ口ベンゼン、 1, 2, 5 - トリクロ口ベンゼン、 1, 3, 4—トリクロ口ベンゼン、 1, 3, 5—トリクロ 口ベンゼン、 1, 2, 3—トリブロモベンゼン、 1, 2, 4_トリブロモベンゼ ン、 1, 2, 5 _トリブロモベンゼン、 1, 3, 4—トリブロモベンゼン、 1, 3, 5—トリブロモベンゼン、 1, 2, 3—トリョードベンゼン、 1, 2, 4— トリョードベンゼン、 1, 2, 5—トリョードベンゼン、 1, 3, 4—トリヨ一 ドベンゼン、 1, 3, 5—トリョードベンゼン等が挙げられる。 中でも、 1, 2 ージクロ口ベンゼン、 1, 3—ジクロロベンゼン、 1, 4ージクロ口ベンゼン、 1, 2—ジブロモベンゼン、 1, 3 _ジブロモベンゼン、 1, 4一ジブロモベン ゼン、 1, 2, 3 _トリクロ口ベンゼン、 1, 2, 4一トリクロ口ベンゼン、 1, 2, 5 _トリクロ口ベンゼン、 1, 3, 4一トリクロ口ベンゼン、 1, 3, 5 - トリクロ口ベンゼン、 1, 2, 3—トリブロモベンゼン、 1, 2, 4—トリブロ モベンゼン、 1, 2, 5—トリブロモベンゼン、 1, 3, 4—トリブロモベンゼ ン、 1, 3, 5—トリブロモベンゼンが好適に用いられる。
前記ナトリウムチオメトキサイドの使用量は、 特に限定されないが、 ハロベン ゼン類に対して、 通常、 0. 1〜3倍モル、 好ましくは 0. 5〜 2倍モルである。 ナトリウムチオメトキサイドの使用量が 0. 1倍モル未満の場合には、 反応が完 結しにくいおそれがある。 一方、 ナトリウムチオメトキサイドの使用量が 3倍モ
ルを超える場合には、 使用量に見合う効果がなく経済的でないおそれがある。 前記第 4級ホスホニゥム塩としては、 例えば、 テトラ— n—ブチルホスホニゥ ムブロマイド、 へキサデシルトリブチルホスホニゥムブロマイド等が挙げられる。 中でも、 経済的見地から、 テトラ— n—ブチルホスホニゥムブロマイドが好適に 用いられる。 第 4級ホスホニゥム塩の使用量は、 特に限定されないが、 ハロベン ゼン類に対して、 通常、 0 . 0 0 0 1〜5倍モル、 好ましくは 0 . 0 0 5〜2倍 モルである。 第 4級ホスホニゥム塩の使用量が 0 . 0 0 0 1倍モル未満の場合に は、 相間移動触媒としての効果が得られにくいおそれがある。 一方、 第 4級ホス ホニゥム塩の使用量が 5倍モルを超える場合には、 使用量に見合う効果がなく経 済的でないおそれがある。 第 4級ホスホニゥム塩は、 そのままあるいは水溶液で 用いられる。 水溶液として用いる場合、 その濃度は、 通常、 1 0〜6 0重量%で ある。
前記反応においては、 反応終了後、 第 4級ホスホニゥム塩が、 水から遊離する ため、 分液等の方法により容易に回収することができる。 回収された第 4級ホス ホニゥム塩は、 再び使用することができる。
前記反応においては、 無溶媒またはハロベンゼン類自身を溶媒として用いて反 応させることも可能であるが、 溶媒を用いて反応させることもできる。 このよう な溶媒としては、 特に限定されず、 例えば、 へキサン、 シクロへキサン、 ヘプ夕 ン等の炭化水素類、 ジクロロェタン、 トリクロ口ェ夕ン等のハロゲン化炭化水素 類、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン、 モノクロ口ベンゼン、 ジクロロベンゼン、 トリクロ口ベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。 溶媒を用いる 場合、 その使用量は、 特に限定されないが、 通常、 ハロベンゼン類に対して、 0 . 0 1〜1 0倍重量である。 溶媒の使用量が 1 0倍重量を超える場合には、 容積効 率が悪化するため好ましくないおそれがある。
前記反応における反応温度は、 通常、 3 0〜2 0 0 °C、 好ましくは 5 0〜1 5 0 である。 反応温度が 3 0 °C未満の場合には、 反応速度が遅く反応に長時間を 要するおそれがある。 一方、 反応温度が 2 0 0 °Cを超える場合には、 副反応が起 こりやすく収率低下の原因となり好ましくないおそれがある。 反応時間は、 反応 温度により異なるが、 通常、 1〜3 0時間、 好ましくは 3〜 1 0時間である。
次いで、 前記反応により得られた上記一般式 (5 ) で表されるメチルチオハロ ベンゼン類を塩素を用いて塩素化して、 上記一般式 (6 ) で表されるクロロメチ ルチオハロベンゼン類を製造する。
前記塩素の使用量は、 メチルチオハロベンゼン類に対して、 通常、 1〜 1 0倍 モル、 好ましくは 2〜 3倍モルである。 塩素の使用量が 1倍モル未満の場合には、 反応が完結しにくいおそれがある。 一方、 塩素の使用量が 1 0倍モルを超える場 合には、 使用量に見合う効果がなく経済的でないおそれがある。
前記塩素化反応においては、 無溶媒反応も可能であるが、 溶媒を用いて反応さ せることもできる。 このような溶媒としては、 例えば、 へキサン、 シクロへキサ ン、 ヘプタン等の炭化水素類、 ジクロロェタン、 ジクロロメタン、 クロ口ホルム 等のハロゲン化炭化水素類、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン、 モノクロ口べンゼ ン、 ジクロロベンゼン、 トリクロ口ベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ る。 溶媒を用いる場合、 その使用量は、 通常、 メチルチオハロベンゼン類に対し て、 0 . 1〜 1 0倍重量である。 溶媒の使用量が 1 0倍重量を超える場合には、 容積効率が悪化し好ましくないおそれがある。
前記塩素化反応における反応温度は、 通常、 0〜 1 2 0 °C、 好ましくは 2 0〜 8 0 である。 反応温度が 0 °C未満の場合には、 反応速度が遅く反応に長時間を 要するおそれがある。 一方、 反応温度が 1 2 0 °Cを超える場合には、 副反応が起 こりやすく収率低下の原因となり好ましくないおそれがある。 反応時間は、 反応 温度により異なるが、 通常、 0 . 5〜2 0時間である。
かくして得られたクロロメチルチオハロベンゼン類は、 常法の蒸留、 晶析によ り単離することができるが、 単離することなく、 塩素化した反応液を次の加水分 解反応に用いることもできる。
次に、 前記方法により得られた上記一般式 (6 ) で表されるクロロメチルチオ ハロベンゼン類を、 低級アルコールまたは塩基の存在下に加水分解することによ り、 上記一般式 (1 ) で表されるハロチオフエノール類を得ることができる。 前記低級アルコールとしては、 メタノール、 エタノール、 イソプロパノ一ル、 n—プロパノール、 イソブ夕ノ一ル、 n—ブ夕ノール、 s e c—ブタノール等が 挙げられる。 中でも、 経済的見地からメタノールが好適に用いられる。 低級アル
コールの使用量は、 クロロメチルチオハロベンゼン類に対し、 通常、 0 . 5〜1 0倍重量である。 低級アルコールの使用量が 0 . 5倍重量未満の場合には、 反応 が完結しにくいおそれがある。 一方、 低級アルコールの使用量が 1 0倍重量を超 える場合には、 使用量に見合う効果がなく経済的でないおそれがある。
前記塩基としては、 特に限定されず、 例えば、 水酸化ナトリウム、 炭酸ナトリ ゥム、 炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、 ジメチルァミン、 トリェチルァミン等 のァミン類、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N—メチルピロリドン等のアミド 類、 ピリジン等が挙げられる。 中でも、 ジメチルァミン、 トリェチルァミン等の アミン類または N, N—ジメチルホルムアミド、 N—メチルピロリドン等のアミ ド類が好適に用いられる。 塩基の使用量は、 クロロメチルチオハロベンゼン類に 対して、 通常、 0 . 0 1〜1倍重量である。 塩基の使用量が 0 . 0 1倍重量未満 の場合には、 反応が完結しにくいおそれがある。 一方、 塩基の使用量が 1倍重量 を超える場合には、 使用量に見合う効果がなく経済的でないおそれがある。
前記加水分解反応においては、 無溶媒反応も可能であるが、 溶媒を用いて反応 させることもできる。 このような溶媒としては、 特に限定されないが、 例えば、 へキサン、 シクロへキサン、 ヘプタン等の炭化水素類、 ジクロロエタン、 ジクロ ロメタン、 クロ口ホルム等のハロゲン化炭化水素類、 ベンゼン、 トルエン、 キシ レン、 モノクロ口ベンゼン、 ジクロロベンゼン、 トリクロ口ベンゼン等の芳香族 炭化水素類等を挙げることができる。 溶媒を用いる場合、 その使用量は、 クロ口 メチルチオハロベンゼン類に対して、 通常、 0 . 1〜 1 0倍重量である。 溶媒の 使用量が 1 0倍重量を超える場合には、 容積効率が悪化し好ましくないおそれが ある。
ここで、 前記塩素化反応において用いた溶媒と同様の溶媒を用いることにより、 ワンポッ卜で反応することも可能である。
前記加水分解反応における反応温度は、 通常、 3 0〜2 0 0 °C、 好ましくは 6 0〜1 1 0 である。 反応温度が 3 0 °C未満の場合には、 反応速度が遅く反応に 長時間を要するおそれがある。 一方、 反応温度が 2 0 0 °Cを超える場合には、 副 反応が起こり収率低下の原因となり好ましくないおそれがある。 反応時間は、 反 応温度により異なるが、 通常、 0 . 5〜2 0時間である。
本発明によれば、 医薬、 農薬、 機能性材料等の種々の用途に用いられている有 用な化合物であるビスハロフエニルジスルフイド類を、 工業的に、 かつ高収率、 高純度で製造することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に、 実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、 本発明はこれらの実 施例に何等限定されるものではない。
実施例 1
撹拌機、 温度計および冷却管を備え付けた 1 L容の四つ口フラスコに、 1, 3, 5—トリクロ口ベンゼン 181. 5 g (1. 00モル) および 50重量%テトラ —n—ブチルホスホニゥムブロマイド水溶液 67. 9 g (0. 10モル) を仕込 み、 撹拌下、 30重量%ナトリウムチオメトキサイド水溶液 233. 6 g (1. 00モル) を 80 で 6時間かけて滴下した。 滴下終了後、 さらに同温度で 10 時間反応させた。 反応終了後、 分液して粗 1—メチルチオ— 3, 5—ジクロロべ ンゼン 191. 9 gを得た。
得られた粗 1ーメチルチオ— 3, 5—ジクロ口ベンゼンに 5 で 8時間かけ て塩素 99. 4g (1. 40モル) を吹き込み、 同温度で 1時間塩素化反応させ た。 さらに、 N, N—ジメチルホルムアミド 120 gおよび水 240 gを仕込み、 100でで 3時間加水分解反応させた。
反応終了後、 60 :で分液し、 粗 3, 5—ジクロロチオフエノ一ル 163. 1 g (純度 90. 4%) を得た。 得られた粗 3, 5—ジクロロチォフエノール中の 3, 5—ジクロロチォフエノールは 147. 5 g (0. 824モル) であり、 1, 3, 5 _トリクロ口ベンゼンに対する収率は、 82. 4%であった。
実施例 2
撹拌機、 温度計および冷却管を備え付けた 1 L容の四つ口フラスコに、 1, 4 —ジクロ口ベンゼン 147. 0 g (1. 00モル) および 50重量%テトラ— n 一ブチルホスホニゥムブロマイド水溶液 67. 9 g (0. 10モル) を仕込み、 撹拌下、 30重量%ナトリウムチオメトキサイド水溶液 233. 6 g (1. 00 モル) を 80でで 6時間かけて滴下した。 滴下終了後、 さらに同温度で 10時間 反応させた。 反応終了後、 分液して粗 1ーメチルチオ _4_クロ口ベンゼン 15
7. 4gを得た。
得られた粗 1—メチルチオ— 4—クロ口ベンゼンにモノクロ口ベンゼン 150 gを添加し、 50 で 3時間かけて塩素 134. 9 g (1. 9モル) を吹き込み、 同温度で 1時間塩素化反応させた。 さらに、 メタノール 240 gおよび水 50 g を仕込み、 7 O :で 5時間加水分解反応させた。
反応終了後、 反応液に水 500 gを添加して分液し、 4一クロロチオフエノー ル (不純物を 13. 3%含有) のモノクロ口ベンゼン溶液を得た。 得られたモノ クロ口ベンゼン溶液中の 4_クロロチォフエノールは 125. 9 g (0. 871 モル) であり、 1, 4—ジクロロベンゼンに対する収率は、 87. 1%であった。 実施例 3
撹拌機、 温度計、 滴下ロートおよび冷却管を備え付けた 1 L容の四つロフラス コに、 実施例 1の方法により得られた粗 3, 5—ジクロロチォフエノール (純度 90. 4%) 163. 1 g (3, 5—ジクロロチォフエノール含量 0. 824モ ル) および 10重量%水酸化ナトリウム水溶液 370 g (0. 925モル) を仕 込み、 25 で 15分間反応させた後、 分液して 3, 5—ジクロロチォフエノラ 一トのナトリゥム塩水溶液を得た。
得られた水溶液に 35重量%塩酸水 50 g (0. 479モル) を添加し、 35 重量%過酸化水素水 49. 5 g (0. 51モル) を 20 で 1時間かけて滴下し、 滴下終了後、 1時間反応させた。
反応終了後、 結晶をろ別し、 洗浄、 乾燥してビス (3, 5—ジクロ口フエ二 ル) ジスルフイド 141. 2 g (0. 396モル) を得た。 得られたビス (3, 5—ジクロロフエニル) ジスルフイドの純度は、 高速液体クロマトグラフィーに より測定した結果、 99. 9%であった。 3, 5—ジクロロチオフエノ一ルに対 する収率は、 96. 1 %であった。
実施例 4
撹拌機、 温度計、 滴下ロートおよび冷却管を備え付けた 1 L容の四つロフラス コに、 実施例 2の方法により得られた 4一クロロチォフエノール (不純物を 13. 3%含有) のモノクロ口ベンゼン溶液 (4 _クロロチオフエノ一ル含量 0. 87 1モル) および 10重量%水酸化カリウム水溶液 520 g (0. 929モル) を
仕込み、 25 で 15分間反応させた後、 分液して 4—クロロチオフエノラート のカリウム塩水溶液を得た。
得られた水溶液に 35重量%塩酸水 50 g (0. 479モル) を添加し、 35 重量%過酸化水素水 51. 5 g (0. 53モル) を 2 Ot:で 1時間かけて滴下し、 滴下終了後、 1時間反応させた。
反応終了後、 結晶をろ別し、 洗浄、 乾燥してビス (4—クロ口フエエル) ジス ルフイド 120. 1 g (0. 418モル) を得た。 得られたビス (4—クロロフ ェニル) ジスルフイドの純度は、 高速液体クロマトグラフィーにより測定した結 果、 99. 9%であった。 4一クロロチオフエノ一ルに対する収率は、 96. 0 %であった。
比較例 1
撹拌機、 温度計、 滴下ロートおよび冷却管を備え付けた 1 L容の四つロフラス コに、 実施例 1の方法により得られた粗 3, 5—ジクロロチォフエノール (純度 90. 4%) 163. 1 g (3, 5—ジクロロチオフエノ一ル含量 0. 824モ ル) およびメタノール 300 gを仕込み、 35重量%過酸化水素水 49. 5 g (0. 51モル) を 20 で 1時間かけて滴下し、 滴下終了後、 1時間反応させ た。
反応終了後、 5°Cで晶析して結晶をろ別し、 洗浄、 乾燥してビス (3, 5—ジ クロ口フエニル) ジスルフイド 156. 1 g (0. 395モル) を得た。 得られ たビス (3, 5—ジクロ口フエニル) ジスルフイドの純度は、 高速液体クロマト グラフィ一により測定した結果、 90. 1 %であった。 3, 5—ジクロロチオフ ェノールに対する収率は、 95. 9%であった。