JP3826033B2 - 芳香族ジスルフィド類の製造方法 - Google Patents

芳香族ジスルフィド類の製造方法 Download PDF

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山口  努
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Description

技術分野
本発明は、芳香族チオエーテル類から芳香族ジスルフィド類を製造する方法に関し、さらに詳しくは、芳香族チオエーテル類を、ハロゲンまたはその前駆物質と反応させることを特徴とする、芳香族ジスルフィド類の製造方法に関する。
背景技術
芳香環に結合した電子吸引性基を有する芳香族ジスルフィド類、特に、一般式(II′):
Figure 0003826033
式中、
Yは、たがいに同一でも異なっていてもよい1価の電子吸引性基を表し;
nは、1〜5の整数である、
で示される芳香族ジスルフィド類は、医薬および農薬の中間体として、広く用いられている。
このような置換基を有する芳香族ジスルフィド類は、通常、相当する芳香族チオール類の酸化によって製造される。該芳香族チオール類の製造方法として、いくつかの方法が提案されている。
たとえば、多塩化ベンゼンを、液体アンモニアに溶解した硫化ナトリウムによって、オートクレーブ中でメルカプト化する方法(工業化学雑誌、70巻114〜118頁(1967));アミノ基含有芳香族ハロゲン化物を亜硝酸ナトリウムでジアゾニウム化し、ついでO−エチルジチオ炭酸カリウムと反応させた後、アルカリによってハロゲン化芳香族チオール類を得る方法(特公昭44−26100号公報);4−ハロベンゼンスルフィン酸を、鉱酸の存在下に亜鉛末の存在下に還元して、ハロゲン化チオフェノール類を得る方法(特開平2−295968号公報)などが提案されている。
しかしながら、これらの方法は、液体アンモニアを用いる高圧反応であるための制約、ジアゾニウム塩を経由するための危険性、鉱酸の存在下に還元反応を行うための特殊な装置の必要などの制約があるうえ、いずれも収率が低く、目的物の精製が困難である。
さらに、特開平8−143533号公報には、チオアニソール類の硫黄原子に結合したメチル基を、塩素ガスにより塩素化してハロゲン化チオアニソールとし、これを鉱酸の存在下で加水分解して芳香族チオール類を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法では、チオアニソール類を得るために揮発性で臭気のあるメチルメルカプタンを用いるうえに、メチル基を塩素化するために塩素ガスを導入するという煩雑な工程が必要である。
これらの方法で得られる芳香族チオール類を、酸化剤によって酸化二量化することにより、目的物である芳香族ジスルフィド類が得られる。しかしながら、これらの方法では、いったん芳香族チオール類を得て、二量化反応によって芳香族ジスルフィド化合物とする多段階反応であることに加えて、芳香族チオール類の多くは昇華性であるため、乾燥、精製工程が煩雑になり、また刺激性があるので取扱いに注意を要する。したがって、芳香族チオール類を経由せずに芳香族ジスルフィド類を得る方法が望まれている。
Synthesis,1993年6月,573〜574頁(D.A.Dickmanら)には、一般式:
Figure 0003826033
式中、R′は非置換もしくはホルミル基で置換されたフェニル基、ベンジル基またはn−ブチル基を表す、
で示されるチオエーテル類を、ジメチルスルホキシドの存在下に、臭化水素酸の酢酸溶液と反応させて、一般式:
R′−S−S−R′
式中、R′は上記のとおりである、
で示されるジスルフィド類を得る方法を開示している。しかしながら、この方法では、ジメチルスルホキシドの反応により著しい悪臭のあるジメチルスルフィドを生成するので、これを大気中に放出しないで回収するための処理が必要である。また、R′の種類によっては、開示された条件では反応がほとんど進行せず、目的物が得られない。
発明の開示
本発明の目的は、比較的容易に合成できる芳香族チオエーテル類より、簡単な方法で、純度よく、かつ取扱いが煩雑な副生物を生ずることなく、電子吸引性基を有する芳香族ジスルフィド類を製造することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために研究を重ねた結果、特定範囲の炭化水素基および置換芳香環を有する芳香族チオエーテル類を、臭素のようなハロゲンと反応させることによって、その目的を達成し得ることを見出し、さらに、該ハロゲンの前駆物質としてハロゲン化水素と過酸化水素を用いても、同様の結果が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)一般式(I):
−Ar−S−R (I)
式中、
Arは、炭化水素芳香環残基を表し;
Rは、1価の第三級炭化水素基、ならびにベンジル基およびベンジル基から誘導される1価の第二級炭化水素基からなる群より選ばれた1価の炭化水素基を表し;
Yは、1価の電子吸引性基を表し、nが2以上のときは、複数のYは、たがいに同一でも異なっていてもよく;
nは、1〜12の整数である、
で示される芳香族チオエーテル類を、
(B)下記の(1)〜(4)の少なくとも1種:
(1)臭素;
(2)(a)臭化水素および(b)過酸化水素;
(3)触媒量のヨウ素および/またはヨウ化水素の存在下において、(c)塩素;
(4)触媒量のヨウ素および/またはヨウ化水素の存在下において、(d)塩化水素および(b)過酸化水素
と反応させることを特徴とする、一般式(II):
−Ar−S−S−Ar−Y (II)
式中、Ar、Yおよびnは、前述のとおりである、
で示される芳香族ジスルフィド類を製造する方法に関する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の製造方法を化学式で示すと以下のようになる。
2Y−Ar−S−R+X → Y−Ar−S−S−Ar−Y+2RX
式中、Xはハロゲン原子であり、Ar,R,Yおよびnは前記と同義である。
本発明に用いられる(A)芳香族チオエーテル類は、芳香環の炭素原子に結合した1個の−SRと、少なくとも1個のYとを有するチオエーテル誘導体である。
Arは、炭化水素芳香環残基である。Arとしては、ベンゼン環、ビフェニル環、テルフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環などの芳香環の残基が挙げられる。(B)との反応性、および得られるジスルフィド類の有用性から、ベンゼン環残基が特に好ましい。
Yは、芳香環残基Arの炭素原子に結合し、目的物である芳香族ジスルフィド類に置換基として導入される1価の電子吸引性基である。Yの存在によって、(A)と(B)との反応が促進されるとともに、芳香環の水素原子へのハロゲンの置換反応が抑制される。Yとしては、代表的には、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、スルホン基、スルファモイル基またはヒドロカルビルスルホニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、ヒドロカルビルスルホニル基としては、メチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルイルスルホニルなどが例示される。Yが複数個存在するとき、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよい。
nは、1〜12の整数であり、例えば、Arがベンゼン環残基の場合、1〜5の整数であり、テルフェニル環環残基の場合、1〜12の整数である。同一のYに関していえば、nが大きいほど(A)と(B)との反応が容易に進行する。
Rは、硫黄原子に結合する特定範囲の1価の炭化水素基であり、具体的には、1価の第三級炭化水素基、ならびにベンジル基およびベンジル基から誘導された1価の第二級炭化水素基から選ばれる。第三級炭化水素基としては、t−ブチル、t−ペンチル、t−ヘキシル、t−オクチル、t−デシル、t−ドデシル、1−メチル−1−エチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、1,1,4−トリメチルペンチルのような第三級アルキル基;1−メチル−1−フェニルエチル、1,1−ジフェニルエチル、トリチルのような芳香環含有第三級炭化水素基などが例示され;ベンジル基およびベンジル基から誘導される第二級炭化水素基としては、ベンジル、1−メチルベンジル、1−エチルベンジル、1−プロピルベンジル、ベンズヒドリルなどが例示される。これらのうち、Rが容易に脱離して芳香族ジスルフィド類が生成することと、取扱いが容易なことから、t−ブチル、ベンジルおよびベンズヒドリルが好ましく、t−ブチルが特に好ましい。
本発明において、反応が容易に、かつ他の方法に比べて有利に進行し、生成物の有用性が高いことから、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィドを得るために、(A)として3,5−ジクロロフェニルt−ブチルチオエーテルを用いることが特に好ましい。
本発明に用いられる(B)は、(A)と反応させることにより、芳香族ジスルフィド類を得るための反応剤である。(B)としては、下記の(1)〜(4)の少なくとも1種が用いられる。
(1)は、臭素である。該臭素は、分液漏斗によって反応系中に滴下するなど、任意の方法によって反応系に導入される。(1)の量は、(A)芳香族チオエーテル1モルに対して、通常0.5〜5モルの範囲であり、反応を効果的に進めるために1〜3モルが好ましい。
(2)は、(1)の前駆体である(a)臭化水素と(b)過酸化水素の組合せであり、反応系中で臭素を生じて、該臭素が(A)と反応して芳香族ジスルフィドを生成する。(a)は無水の状態で反応系に導入しても、臭化水素酸のような水溶液の形で用いてもよく、水溶液の形で反応系に存在させることが、取扱いの点から好ましい。(b)は通常、10〜50重量%の水溶液を用い、反応系中で徐々に臭素を生ずるように、反応系中に滴下するのが好ましい。(a)の量は、(A)1モルに対して、通常1〜10モルの範囲であり、2〜5モルが好ましい。一方、(b)の量は、(A)1モルに対して、通常0.5〜5モルの範囲であり、1〜3モルが好ましい。
(3)は、(c)塩素であり、(A)との反応を促進するための触媒として寄与するヨウ素および/またはヨウ化水素の存在下で(A)と反応させる。(c)は、単独では芳香族ジスルフィド類を形成する反応がきわめて遅く、上記触媒の存在下で、はじめて満足しうる反応速度で芳香族ジスルフィド類が得られる。(c)は、ガス状で供給するなど、任意の方法によって反応系に導入される。(c)の量は、(A)1モルに対して、通常0.5〜5モルの範囲であり、1〜3モルが好ましい。一方、触媒の量は、(A)1モルに対して、該触媒としてヨウ素を用いるときは通常0.01〜0.1モルの範囲であり、0.02〜0.05モルが好ましく、ヨウ化水素を用いるときは通常0.02〜0.2モルの範囲であり、0.04〜0.1モルが好ましい。
(4)は、(3)の前駆体である(d)塩化水素と、(2)で用いたのと同様の(b)過酸化水素との組合せである。反応は、(3)と同様の触媒の存在下に行われる。(d)の場合も、単に(b)と組み合わせただけでは、満足しうる反応速度で芳香族ジスルフィド類を得ることができず、触媒の存在下で、はじめて、満足しうる反応速度で芳香族ジスルフィド類が得られる。反応は、(2)と同様の方法によって実施することができる。(d)の量は、(A)1モルに対して、通常1〜10モルの範囲であり、好ましくは2〜5モルである。(b)の量は、(2)の組合せに用いる場合と同様であり、触媒の量は、(3)の組合せに用いる場合と同様である。
(B)としては、優れた収率で純度よく目的の芳香族ジスルフィド類が得られることから、(1)または(2)のように臭素系を用いることが好ましい。一方、取扱いが容易なことからは、(2)または(4)の組合せを用いることが好ましいので、総合的に、(2)が特に好ましい。
反応は、水相から分離して有機相を形成するような有機溶媒の存在下に行うことが好ましい。たとえば、(B)として(2)または(4)を用いる場合、(A)を有機溶媒に溶解して(a)臭化水素か、または(c)塩化水素と触媒とを加え、(b)過酸化水素の水溶液を滴下すると、発生したハロゲンが有機相に溶解して(A)と反応する。
有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;およびトルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類が例示される。炭化水素類を用いる際は、遮光しないと副反応として(B)による炭化水素類のハロゲン化が行われるので、ハロゲン化炭化水素類が好ましい。
有機溶媒の量は、(A)芳香族チオエーテル類100重量部に対して、通常50〜1,000重量部であり、100〜500重量部が好ましい。
反応温度は、−30〜60℃が好ましく、副反応を抑制して収率よく芳香族ジスルフィド類が得られることから、−10〜30℃がさらに好ましい。
反応によって得られた芳香族ジスルフィド類は、たとえば、系より分液して有機相をとり、チオ硫酸ナトリウムのような還元性物質の水溶液によって洗浄した後、溶媒を留去して、再結晶などの方法により、精製物として得ることができる。
本発明によって、芳香環に電子吸引性基を有する芳香族チオエーテル類より、相当する芳香族ジスルフィド類を、一段階の反応によって直接に、優れた収率と高い純度で、かつジメチルスルフィドのような回収が煩雑な生成物の生成なしに得ることができる。本発明の方法は、特に他の方法では収率よく得られない二置換芳香族ジスルフィド類の製造に、特に有用性が高い。
本発明によって得られる芳香族ジスルフィド類は、医薬、農薬などの中間体として有用である。
以下、実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。実施例中、部は重量部を表し、組成の%は重量%を表す。以下の反応式において、t−Buはt−ブチル基を、Bzlはベンジル基を、またDMSOはジメチルスルホキシドを表す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
Figure 0003826033
撹拌機、温度計および滴下漏斗を備えた反応器に、塩化メチレン13.3部および3,5−ジクロロフェニルt−ブチルスルフィド4.70部を仕込んだ。撹拌して、液温を10℃に保ちながら、臭素3.20部を10分かけて滴下したところ、反応は速やかに終了した。
反応終了後、生成物から減圧で塩化メチレンを留去し、生成物を乾固させた。残留物をアセトン−メタノールにより再結晶して、無色針状結晶2.93部を得た。
融点:65℃;
H−NMR(CDCl):δ 7.33(d,J=1.7Hz,4H),7.23(t,J=1.7Hz,2H).
この結果、得られた生成物は、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィドであることを確認した。収率は、理論量に対して82%であった。
実施例2
Figure 0003826033
撹拌機、温度計および滴下漏斗を備えた反応器に、塩化メチレン66.7部、3,5−ジクロロフェニルt−ブチルスルフィド23.5部および48%臭化水素酸50.5部を仕込んだ。撹拌して液温を10℃に保ちながら、34%過酸化水素10.0部を40分かけて滴下した。滴下終了後、その温度で撹拌をさらに1時間続けて、反応を完結させた。
反応終了後、さらに塩化メチレン66.7部を加えて撹拌した後、分液により有機相をとり、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液10.8部によって3回洗浄し、ろ過し、ついで減圧にして塩化メチレンを留去した。得られた残留物をアセトン−メタノールにより再結晶して、無色針状結晶15.1部を得た。
融点:65℃;
H−NMR(CDCl):δ 7.33(d,J=1.7Hz,4H),7.23(t,J=1.7Hz,2H).
この結果、得られた生成物は、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィドであることを確認した。収率は、理論量に対して85%であった。
実施例3
Figure 0003826033
実施例1に用いたのと同様の反応器に、塩化メチレン13.3部、3,5−ジクロロフェニルt−ブチルスルフィド4.70部、36%塩酸6.0部およびヨウ素0.25部を仕込んだ。撹拌して、液温を10℃に保ちながら、34%過酸化水素水溶液2.00部を10分かけて滴下した。滴下終了後、その温度で撹拌をさらに6時間続けて、反応を完結させた。反応終了後、塩化メチレンの添加量を13.3部とした以外は実施例2と同様にして精製を行い、無色針状結晶2.89部を得た。
融点:65℃;
H−NMR(CDCl):δ 7.33(d,J=1.7Hz,4H),7.23(t,J=1.7Hz,2H).
この結果、得られた生成物は、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィドであることを確認した。収率は、理論量に対して81%であった。
比較例1
Figure 0003826033
ヨウ素を用いず、36%塩酸の量を12.0部とし、34%過酸化水素水溶液の量を4.04部、その滴下時間を20分とした以外は実施例3と同様にして反応を行った。反応終了後、実施例3と同様にして精製を行い、無色針状結晶1.07部を得た。
融点:65℃;
H−NMR(CDCl):δ 7.33(d,J=1.7Hz,4H),7.23(t,J=1.7Hz,2H).
この結果、得られた生成物は、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィドであることを確認した。収率は、理論量に対して30%に過ぎなかった。
実施例4
Figure 0003826033
実施例1に用いたのと同様の反応器に、実施例3と同じ量の塩化メチレン、3,5−ジクロロフェニルt−ブチルスルフィドおよび36%塩酸を仕込み、ヨウ素の代わりに55%ヨウ化水素酸0.47部を加えた。以下、過酸化水素を滴下した後の撹拌時間を12時間とした以外は実施例3と同様にして、反応を進めた。反応終了後、実施例3と同様にして精製を行い、無色針状結晶2.63部を得た。
融点:65℃;
H−NMR(CDCl):δ 7.33(d,J=1.7Hz,4H),7.23(t,J=1.7Hz,2H).
この結果、得られた生成物は、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィドであることを確認した。収率は、理論量に対して74%であった。
比較例2
Figure 0003826033
実施例1に用いたのと同様の反応器に、酢酸8.9部、3,5−ジクロロフェニルt−ブチルスルフィド4.0部および48%臭化水素酸12.6部を仕込んだ。撹拌して、液温を10℃に保ちながら、ジメチルスルホキシド1.33部を加え、さらに室温で一夜撹拌を続けた。溶液は淡黄色に変化し、発生したジメチルスルフィドの臭いを確認したが、反応はほとんど進行せず、原料がほぼ回収された。
実施例5
Figure 0003826033
実施例1に用いたのと同様の反応器に、塩化メチレン13.3部、3,5−ジクロロフェニルベンジルスルフィド5.38部および48%臭化水素酸10.1部を仕込んだ。撹拌して液温を10℃に保ちながら、34%過酸化水素2.00部を10分かけて滴下した。滴下終了後、その温度で撹拌をさらに4時間続けて、反応を完結させた。
反応終了後、さらに塩化メチレン13.3部を加えて撹拌した後、分液により有機相をとり、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液10.8部によって3回洗浄し、ろ過し、ついで減圧にして塩化メチレンを留去した。得られた残留物をアセトン−メタノールにより再結晶して、無色針状結晶1.95部を得た。
融点:65℃;
H−NMR(CDCl):δ 7.33(d,J=1.7Hz,4H),7.23(t,J=1.7Hz,2H).
この結果、得られた生成物は、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィドであることを確認した。収率は、理論量に対して55%であった。
実施例6
Figure 0003826033
3,5−ジクロロフェニルベンジルスルフィドの代わりに3−クロロフェニルt−ブチルスルフィド4.01部を用い、滴下終了後の反応時間を2時間としたほかは実施例5と同様にして反応を行った。反応終了後、実施例5と同様にして分液から塩化メチレンの留去までを行い、淡黄色油状物2.78部を得た。
H−NMR(CDCl):δ 7.47(m,2H),7.35(dt,J=2.1,7.0Hz,2H),7.22(t,J=7.0Hz,2H),7.20(dt,J=2.1,7.0Hz,2H).
この結果、得られた生成物は、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィドであることを確認した。収率は、理論量に対して97%であった。
実施例7
Figure 0003826033
実施例1に用いたのと同様の反応器に、塩化メチレン20.0部、4−ニトロフェニルt−ブチルスルフィド2.11部および48%臭化水素酸5.04部を仕込んだ。撹拌して液温を10℃に保ちながら、34%過酸化水素10.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、その温度で撹拌をさらに15分間続けて、反応を完結させた。
反応終了後、析出した結晶をろ別して、淡黄色結晶0.94部を得た。さらに、ろ液を静置した後、分液して有機相をとり、以下、実施例4と同様にして、チオ硫酸ナトリウム水溶液による洗浄から塩化メチレンの留去までを行い、残留物をメタノールで洗浄して、淡黄色結晶0.28部を得た。得られた両方の結晶の融点およびNMRスペクトルは一致しており、両者は同じ化合物であった。
融点:182.5〜183.5℃;
H−NMR(CDCl):δ 8.20(d,J=8.9Hz,4H),7.82(d,J=8.9Hz,4H).
この結果、得られた生成物は、ビス(4−ニトロフェニル)ジスルフィドであることを確認した。収率は、理論量に対して79%であった。

Claims (12)

  1. (A)一般式(I):
    −Ar−S−R(I)
    式中、
    Arは、炭化水素芳香環残基を表し;
    Rは、1価の第三級炭化水素基、ならびにベンジル基およびベンジル基から誘導される1価の第二級炭化水素基からなる群より選ばれた1価の炭化水素基を表し;
    Yは、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、スルホン基、スルファモイル基およびヒドロカルビルスルホニル基からなる群より選ばれる1種以上の1価の電子吸引性基を表し、nが2以上のときは、複数のYは、たがいに同一でも異なっていてもよく;
    nは、1〜12の整数である、
    で示される芳香族チオエーテル類を、
    (B)下記の(2)、(4)の少なくとも1種
    2)(a)臭化水素および(b)過酸化水素
    4)触媒量のヨウ素および/またはヨウ化水素の存在下において、(d)塩化水素および(b)過酸化水素
    と反応させることを特徴とする、一般式(II):
    −Ar−S−S−Ar−Y(II)
    式中、Ar、Yおよびnは、前述のとおりである、
    で示される芳香族ジスルフィド類を製造する方法
  2. 反応が、臭化水素酸を(A)芳香族チオエーテル1モルに対して、1〜10モルの範囲で(A)芳香族チオエーテルと混合し、過酸化水素を(A)芳香族チオエーテル1モルに対して、0.5〜5モルの範囲で滴下することにより行われる、請求の範囲第1項記載の方法
  3. 触媒として、ヨウ素を(A)芳香族チオエーテル1モルに対して、0.01〜0.1モルの範囲で、またはヨウ化水素を(A)芳香族チオエーテル1モルに対して、0.02〜0.2モルの範囲で使用する、請求の範囲第項記載の方法。
  4. 反応が、塩化水素を(A)芳香族チオエーテル1モルに対して、1〜10モルの範囲で(A)芳香族チオエーテルと混合し、触媒の存在下、過酸化水素を(A)芳香族チオエーテル1モルに対して、0.5〜5モルの範囲で滴下することにより行われる、請求の範囲第1項記載の方法。
  5. 触媒として、ヨウ素を(A)芳香族チオエーテル1モルに対して、0.01〜0.1モルの範囲で、またはヨウ化水素を(A)芳香族チオエーテル1モルに対して、0.02〜0.2モルの範囲で使用する、請求の範囲第項記載の方法。
  6. Arが、ベンゼン環残基である、請求の範囲第1項記載の方法
  7. Yが、塩素原子である、請求の範囲第項記載の方法。
  8. Rが、t−ブチル基である、請求の範囲第1項記載の方法。
  9. 3,5−ジクロロフェニルt−ブチルチオエーテルよりビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィドを得る、請求の範囲第項記載の方法。
  10. (B)として(2)を用いる、請求の範囲第1項記載の方法。
  11. 反応を、ハロゲン化炭化水素溶媒中で行う、請求の範囲第1項記載の方法。
  12. 反応を、温度−30〜60℃で行う、請求の範囲第1項記載の方法。
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