明 細 書
三角錐型キューブコーナ一再帰反射シ一ト 技術分野
本発明は新規な構造の三角錐型キューブコーナー再帰反射シー 卜に関 する。 より詳しくは、 本発明は新規な構造の三角錐型反射素子が最密充 填状に配置された三角錐型キューブコーナ一再帰反射シー 卜に関する。 詳しくは、 本発明は、 道路標識、 工事標識等の標識類、 自動車、 ォ一 ドバイ等の車両のナンバープレート類、 衣料、 救命具等の安全資材類、 看板等のマ一キング、 可視光、 レーザ一光あるいは赤外光反射型センサ 一類の反射板等において有用な三角錐型キューブコーナー再帰反射素子 (以下、 三角錐型反射素子又は単に素子ともいう) によって構成される 三角錐型キューブコーナー再帰反射シー卜に関する。
さらに詳しくは、 本発明は、 共通する一底面 (X— X') 上に突出し た三角錐型キューブコーナー再帰反射素子が、 互いに該底面 (X— X') 上の一つの底辺を共有して、 相対峙して該底面上に最密充填状に配置さ れており、 該底面 (X— X') は該三角錐型反射素子が共有する多数の 該底辺 (x、 x、 ....) を包含する共通の一平面であり、 相対峙する二 つの該三角錐型反射素子は該底面 (X— X') 上の共有する底辺 (x、 x、 ....) を含む該底面に垂直な平面 (Y— Y'、 Υ— Υ'、 ....) に対 してそれぞれ実質的に対称となるように向き合った実質的に同一形状の 素子対をなしており、 該三角錐型反射素子は該共有する底辺 (χ、 χ、 . ...) を一辺とする実質的に同一の五角形状又は三角形状の傾斜面 (d 面、 c 2面) と、 該三角錐型反射素子の頂点 (Hi、 H2) を起点とする
前記 C ,面又は C 2面の上部の二辺をそれぞれ一辺とし、 該三角錐型反射 素子の一つの稜線を共有して、 これを一辺とする該 C i面又は C 2面と実 質的に直角に交差する実質的に同一の四角形状の傾斜面 (a t面、 b ,面 ; a 2面、 b 2面) から成り、 該三角錐型反射素子の頂点 (H,、 H2) か ら、 該三角錐型反射素子の五角形状又は三角形状の傾斜面 ( c ,面、 c 2 面) の底辺 (x、 x、 ....)を含む該底面 (Χ_Χ') までの高さを (h) とし、 該三角錐型反射素子の頂点 (Η^ H2) から、 該三角錐型反射素 子の他の傾斜面 (a ,面、 b ,面; a 2面、 b 2面) の底辺 ( z、 w) を包 含する実質的に水平の面 (Z— Ζ') までの高さを (ho) とし、 該三角 錐型反射素子の頂点 (Η^ H2) から該底面 (X— X') に対する垂線 と底面 (X— X') との交点を Pとし、 かつ該頂点 (H!、 H2) を通る 光学軸と該底面 (X— X') との交点を Qとし、 さらに上記の交点 (P) 及び交点 (Q) から、 該三角錐型反射素子の共有する底辺 (x、 x、 ... . ) を含み且つ該底面 (Χ_Χ') に垂直な平面 (Υ— Υ'、 Υ— Υ'、 ··· ·) までの距離をそれぞれ ρ及び qで表し、 該光学軸と該垂直な平面 (Y - Y* ) とのなす角を (0 ) とした場合に、 hと h Qは実質的に同一でな く、 かつ下記式(1)を満足する
0. δ R≤ —^― ≤ 1.5R (1) (但し、 Rは下記式で定義したとおりである。 ) sin (35.2644'一 0 ) + 1.2247sin Θ
R
sin(35.2644° - θ )
(但し、 上記 (q— Ρ) の値がマイナス (一) の時、 Sはマイナス (一) の値を取るものとする。 )
ことを特徴とする三角錐型キューブコーナ一再帰反射シー卜に関する。 背景技術
従来、 入射した光を光源に向かって反射する再帰反射シートはよく知 られており、 その再帰反射性を利用した該シー トは上記のごとき利用分 野で広く利用されている。 中でも三角錐型反射素子などのキューブコー ナー型再帰反射素子の再帰反射原理を利用した再帰反射シートは、 従来 のマイク口硝子球を用いた再帰反射シー トに比べ光の再帰反射効率が格 段に優れており、 その優れた再帰反射性能により年々用途が拡大しつつ あ 。
しかしながら従来公知の三角錐型再帰反射素子は、 その反射原理から 素子の持つ光学軸 (三角錐型キューブコーナー再帰反射素子を構成する 互いに 90°の角度 で交差する 3個の傾斜面(a面、 b面、 c面) から等 しい距離にある該三角錐の頂点を通る軸) と入射光線とがなす角度 (以 下これを入射角という) が小さい角度の範囲では良好な再帰反射効率を 示すが、 入射角が大きくなるに連れて再帰反射効率は急激に低下する (すなわち入射角特性が劣る) 。
また三角錐型再帰反射素子の反射原理は、 光がある特定の角度 〔臨界 角度 (a c ) 〕 以上で、 その三角錐型反射素子を構成する透明媒体から 空気中に透過しよ うとするときに、 その界面で起こる内部全反射によ るものである。 この臨界角度 (a c ) は、 三角錐型反射素子を構成する 光透過性媒体の屈折率 (n ) 及び空気の屈折率 (n o ) によって次のよ うに表わされる。
. n 0
s i nひ e = ここで、 空気の屈折率 (n o ) はほぼ 1に等しく一定と考えてよいか
ら、 光透過性媒体の屈折率 (n ) の値いが大きくなるほど臨界角度 ( a は小さくなり、 光 はこの光透過性媒体と空気との界面で全反射 し易くなる。 光透過性媒体として合成樹脂を用いた場合一般に合成樹脂 は、 その屈折率が 1. 5程度のものが多いので、 臨界角度 (a j は 42°程 度と比較的大きな値になる。
このような三角錐型反射素子を用いた再帰反射シー 卜の表面に大きな 入射角で入射した光は、 該三角錐型反射素子の内部を通って該素子と空 気との界面に到達するときには、 該反射素子の傾斜面 (反射面) に対し て比較的小さな角度で到達することになり、 この角度が上記臨界角度 ( a 未満であるときには、 この光はこの界面で全反射する ことなく 該素子の背面に透過してしまう。 このため三角錐型反射素子を用いる再 帰反射シートは、 一般に入射角特性が劣るという欠点があった。
他方、 三角錐型再帰反射素子は、 該素子のほぼ全面にわたって光の入 射した方向に光を反射させることができるために、 マイク口硝子球型反 射素子のように球面収差などの原因によって反射光が広い角度に発散し て反射することはない。 しかしながら、 再帰反射光のこの狭い発散角度 は実用面においては、 たとえば自動車のへッ ドランプから発せられた光 が交通標識で再帰反射したとき、 その光軸から離れた位置にいる者、 例 えば運転者の目には達しにくいという不都合が生じ易い。 このような不 都合は、 特に自動車と交通標識との距離が近接したときに、 光線の入射 軸と、 運転者と反射点を結ぶ軸 (観測軸) とがなす角度 (観測角) が増 大するためにますます増大する (すなわち観測角特性が劣る) 。
このようなキューブコーナー型再帰反射シ一ト、 特に三角錐型キュー ブコーナー再帰反射シー卜に関しては、 古くから多くの提案が知られて
おり、 種々の改良検討がなされている。
例えば、 ユンゲルセン (Jungersen) の米国特許第 2, 481, 757号におい ては、 薄いシー卜の上に様々な形の再帰反射素子を設置してなる再帰反 射シート及びそれらシー卜の製造方法について述べられている。 上記米 国特許に例示されている三角錐型反射素子は、 頂点を底面三角形の中心 に位置した光学軸の傾斜のない三角錐型反射素子や、 頂点の位置が底面 三角形の中心に位置していない傾斜三角錐型反射素子が例示されており、 接近してくる自動車に対して効率的に光を反射させることが記載されて いる。 また、 三角錐型反射素子の大きさとしては素子の深さとして 1 Z 10インチ (2,540〃m) 以内であることが記載されている。 さらに、 この 米国特許の Fig 15には、 プラス (+ ) となる方向に傾斜している三角錐 型反射素子対が図示されており、 その光学軸の傾斜角 (0 ) は、 図示さ れている三角錐型反射素子の底面三角形の長辺と短辺の長さの比率から 求めると、 約 6. 5°であると推定される。
しかしながら、 上記 Jungersen の米国特許には、 本発明に示される ような極 めて小さい三角錐型反射素子についての具体的な開示は存在 せず、 また、 優れた観測角特性や入射角特性を与えるために、 三角錐型 反射素子がどのような大きさ及び光学軸傾斜を有することが必要かなど については、 何らの記載も示唆もされていない。
また、 スタム (Stamm) の米国特許第 3, 712, 706号においては、 薄いシ 一卜上に、 底面の三角形の形状が正三角形で他の三面が直角二等辺三角 形である、 所謂、 正規三角錐型キューブコーナー再帰反射素子を、 その 底面が共通面上に最密充填状となるように並べられた再帰反射シー卜に ついて述べられている。 この Stamm の米国特許では、 反射素子の反射
面を、 例えばアルミニウムなどの金属で蒸着処理を行い鏡面反射させて、 入射角の増大に伴う再帰反射効率の低下という問題や、 内部全反射条件 未満の角度で入射した光が素子の界面を透過してしまい再帰反射しない という前記不具合の改善を行っている。
しかしながら上記 Stanun の提案では、 広角性の改善手段として鏡面 反射原理 を採用しているために、 得られる再帰反射シートの外観が暗 くなつたり、 鏡面層に採用されているアルミニウム、 銀などの金属が使 用中に水や空気の浸入により酸化されてしまい、 反射輝度の低下を起し がちであるなどの不具合を起しやすい。 さらに、 光学軸の傾斜により広 角性を改善する手段に関しては全く記載されていない。
さらに、 ホープマン (Hoopman) のヨーロッパ特許第 137, 736(B1)号に おいては、 薄いシート上に、 底面の三角形の形状が二等辺三角形である 傾斜三角錐型キューブコーナー再帰反射素子が、 その底面が共通面上に 最密充填状となるように並べられた再帰反射シートについて述べられて いる。 この特許に記載の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子の光学 軸は、 マイナス (一) 方向に傾斜しており、 その傾斜角は約 7 °〜13°で あることが示されている。
しかしながら、 本発明者等が試みた光追跡法による反射輝度と光学軸 傾斜との関係によれば、 光学軸の傾斜角がマイナス方向に 4 °を超えて 大きくなるにつれて反射輝度は低下し、 特に光学軸の傾きがマイナス方 向に 6 °を超えるような三角錐型反射素子においては、 その低下量が特 に著しいことがわかった。 その理由は、 光学軸の傾斜のない素子では、 三角錐型反射素子を形成する三つのプリズム面である a面、 b面及び c 面の面積が全て等しいのに対して、 光学 由がマイナス方向に傾斜してい
る素子では、 その傾斜角が大きくなるに従って、 a面及び b面の面積が c面の面積に比べて次第に小さくなるためであろうと考えられる。
さらにまた、 スチヱツチ (Szczech) の米国特許第 5, 138, 488号におい ても、 同様に薄いシート上に、 底面の三角形の形状が二等辺三角形であ る傾斜三角錐型キューブコーナー再帰反射素子が、 その底面が共通面上 に最密充填状となるように並べられた再帰反射シートについて開示され ている。 この米国特許においては、 該三角錐型反射素子の光学軸は、 お 互いに向き合って対を成す二つの三角錐型反射素子が互いに共有する辺 の方向に傾斜しており、 その傾斜角は約 2 °〜5 °であり、 素子の大きさ が 25 mから 100 mであることが規定されている。
また、 上記米国特許に対応するヨーロッパ特許第 548, 280 (B1)号にお いては、 対をなす二つの三角錐型キューブコーナー再帰反射素子の共 通の辺を含みかつ共通平面に垂直な面と該素子の頂点との距離が、 素子 の光学軸の共通平面との交点と前記垂直な面との距離に等しくなく、 即 ち、 光学軸の傾きの方向がプラス (+ ) 又はマイナス (一) の何れでも よく、 その傾斜角は約 2 °〜5 °であり、 かつ素子の大きさが 25 ^ 111から 1 OO ^ mであ ることが記載されている。
上記の様に、 Szczech のヨーロッパ特許第 548, 280 (B1 )号においては、 光学軸 の傾きがプラス (+ ) 及びマイナス (一) の両方を含む約 2〜 5 °の範囲となつ ている。 しかしながら、 この Szczech の発明の範囲 の光学軸の傾斜量では、 十分な広角性の改善、 特に入射角特性の改善が 得られない。
以上述べた従来公知の Jungersen の米国特許第 2, 481, 757号; Stamm の米国 特許第 3. 712, 706号; Hoopman のョ一ロッパ特許第 137, 736 (B1 )
号; Szczech の米国特許第 5, 138, 488号、 ヨーロッパ特許第 548, 280(B1) 号等の三角錐型キューブコーナ一再帰反射素子は、 いずれも、 光の入射 及び反射の中核をなす多数の三角錐型反射素子の底面が同一平面上にあ る点で共通しており、 かように底面が同一平面にある三角錐型反射素子 で構成された再帰反射シー トはいずれも入射角特性が劣る、 すなわち光 線の該三角錐型反射素子に対する入射角が増大すると、 再帰反射輝度が 急激に減少するという欠点を有している。
発明の開示
一般に三角錐型キューブコーナー再帰反射シートに望まれる基本的な 光学特性として、 高輝度性、 即ち、 該シート正面から入射した光の反射 輝度に代表される反射輝度の高さ (大きさ) のみならず、 広角性が要求 され、 さらに広角性に関しては、 観測角特性、 入射角特性、 回転角特性 の三性能が要求される。
前述したとおり、 従来公知の三角錐型キュ一ブコーナー再帰反射素子 から構成された再帰反射シートは、 いずれも、 入射角特性が劣りかつ概 して観測角特性も満足すべきものではなかったのに対して、 本発明者ら は、 光追跡シュミ レーションにより、 互いに対称の位置に設けられてい る該三角錐型反射素子が共有する多数の底辺 (X、 X、 · · · ·) を含む平 面 (X— X ' ) から該素子の頂点 (Η ^ H 2) までの高さ (h ' ) を、 該 三角錐型反射素子の前記の共有する一底辺を一辺として有する c面と実 質的に直角に交差する 2面 (a面、 b面) の底辺 ( z、 w ) を包含する 面 (Z— Ζ ' ) から該反射素子の頂点までの高さ (h ) より実質的に大 とすることにより、 かような三角錐型反射素子から構成された再帰反射 シー 卜の入射角特性を改善することができることを発見し、 特許出願を
行った。 (特願平 8— 295907号)
さらに本発明者らは、 引き続き光追跡シュ ミ レーショ ンによる検討を 継続して、 相対峙する二つの該三角錐型反射素子の共有する底辺 (x、 x、 ····) を一辺として有する傾斜面 (c !面、 c 2面) の底辺 (x、 x、 ....) を含む該第一の平面 (X— X') から、 該三角錐型反射素子の頂 点 (Η^ H2) までの高さ (h') が、 該三角錐型反射素子の他の傾斜 面 (a i面、 b ,面; a 2面、 b2面) の底辺 (z、 w) を包含する実質的 に水平の第二の底面 (Z— Ζ') から、 該三角錐型反射素子の頂点 (Hh H2) までの高さ (h ) よりも実質的に小となるようにすることによつ ても、 このような三角錐型反射素子から構成された再帰反射シー トの入 射角特性を改善することができることを発見して、 特許出願を行った。
(特願平 9一 330836号)
本発明者らは、 さらに検討を継続した結果、 上記 2つの特許出願にお ける改善は、 従来光学軸の傾斜に伴って必然的に生じていた、 傾斜面 (c !面、 c 2面) の大きさが他の傾斜面 (a i面、 面; a 2面、 b 2面) に比較して相対的に拡大又は縮小するという問題点を、 極力小さくする ことによって達成されたことを検討した結果、 該素子対の相対峙する傾 斜面 c ,及び c 2の共通の底辺 (x、 x、 ····) を含む該底面 (X— X') から三角錐型反射素子対の頂点 (H,、 H2) からまでの高さ (h) と、 該素子対の実質的に同一形状の二つの傾斜面 (a !面、 面; a 2面、 b2面) の底辺 (z、 w) を含む 1つの水平の面 (Z— Ζ') から、 素子 対の頂点 (Ht、 H2) までの高さ (h0) との比が、 光学軸の傾斜角 と特定の関係式により表される特定の範囲内である必要があることを見 いだし、 本発明を完成した。
従って本発明は、 共通する一底面 (X— X') 上に突出した三角錐型 キューブコーナー再帰反射素子が、 互いに該底面 (X— X') 上の一つ の底辺を共有して、 相対峙して該底面上に最密充填状に配置されており、 該底面 (X— X') は該三角錐型反射素子が共有する多数の該底辺 (χ、 x、 ....) を包含する共通の一平面であり、 相対峙する二つの該三角錐 型反射素子は該底面 (X— X') 上の共有する底辺 (χ、 X ) を 含む該底面に垂直な平面 (Υ_Υ'、 Υ— Υ'、 ....) に対してそれぞれ 実質的に対称となるように向き合った実質的に同一形状の素子対をなし ており、 該三角錐型反射素子は該共有する底辺 (χ、 χ、 ....) を一辺 とする実質的に同一の五角形状又は三角形状の傾斜面 (c ,面、 c 2面) と、 該三角錐型反射素子の頂点 (Hi、 H2) を起点とする前記 C l面又 は c 2面の上部の二辺をそれぞれ一辺とし、 該三角錐型反射素子の一つ の稜線を共有して、 これを一辺とする該じ i面又は c 2面と実質的に直角 に交差する実質的に同一の四角形状の傾斜面 (a!面、 面; a 2面、 b2面) から成り、 該三角錐型反射素子の頂点 (H,、 H2) から、 該三 角錐型反射素子の五角形状又は三角形状の傾斜面 ((^面、 c 2面) の底 辺 (x、 x、 ....) を含む該底面 (X— X') までの高さを (h) とし、 該三角錐型反射素子の頂点 (H!、 H2) から、 該三角錐型反射素子の他 の傾斜面 ( a!面、 b ,面 ; a 2面、 b 2面) の底辺 ( z、 w) を包含する 実質的に水平の面 (Z— Ζ') までの高さを (h ) とし、 該三角錐型反 射素子の頂点 (H,、 H2) から該底面 (X— X') に対する垂線と底面 (X— X') との交点を Pとし、 かつ該頂点 (H!、 H2) を通る光学軸 と該底面 (X— X') との交点を Qとし、 さらに上記の交点 (P) 及び 交点 (Q) から、 該三角錐型反射素子の共有する底辺 (x、 x、 ....)
を含み且つ該底面 (X— X') に垂直な平面 (Y— Υ'、 Υ— Υ'、 ····) までの距離をそれぞれ Ρ及び qで表し、 該光学軸と該垂直な平面 (Y— Υ') とのなす角を (Θ) とした場合に、 hと h Qは実質的に同一でなく、 かつ下記式(1)を満足する h
0.5R 1.5R (1)
ho
(但し、 Rは下記式で定義したとおりの数値である。 ) sin(35.2644' - Θ ) + 1.2247sin θ
R =
sin(35.2644°一 θ ) (但し、 上記 (q— Ρ) の値がマイナス (一) の時、 Sはマイナス
(一) の値を取るものとする。 )
ことを特徴とする三角錐型キューブコーナ一再帰反射シー 卜に関する。 以下本発明を適宜図面を参照しつつさらに詳細に説明する。
図面の簡単な説明
図 1は従来技術による、 プラス傾斜の三角錐型キューブコーナー再帰 反射素子群の平面図である。
図 2は従来技術による、 図 1で示されるプラス傾斜の三角錐型キュー ブコーナー再帰反射素子群を断面線 (L一 L') で切断したときの断面 図である。
図 3は従来技術による、 マイナス傾斜の三角錐型キューブコーナー再 帰反射素子群の平面図である。
図 4は従来技術による、 図 2で示されるマイナス傾斜の三角錐型キュ ーブコーナー再帰反射素子群を断面線 (L一 L') で切断したときの断 面図である。
図 5は本発明を説明する、 プラス傾斜の三角錐型キューブコーナー再 帰反射素子群の平面図である。
図 6は本発明を説明する、 図 5で示されるプラス傾斜の三角錐型キュ ーブコーナー再帰反射素子群を断面線 (L一 L ' ) で切断したときの断 面図である。
図 7は本発明を説明する一対のプラス傾斜の三角錐型反射素子を拡大 して示した平面図である。
図 8は本発明を説明する図 7に示される一対のプラス傾斜の三角錐型 反射素子を線 (L一 L ' ) 方向から見たときの側面図である。
図 9は本発明を説明する、 マイナス傾斜の三角錐型キューブコーナー 再帰反射素子群の平面図である。
図 1 0は本発明を説明する、 図 9で示されるマイナス傾斜の三角錐型 キューブコーナー再帰反射素子群を断面線 (L一 L ' ) で切断したとき の断面図である。
図 1 1は本発明を説明する一対のマイナス傾斜の三角錐型反射素子を 拡大して示した平面図である。
図 1 2は本発明を説明する図 1 1に示される一対のマイナス傾斜の三 角錐型反射素子を線 (L一 L ' ) 方向から見たときの側面図である。 図 1 3は本発明の三角錐型キューブコーナー再帰反射シー卜の一態様 であるマイナス傾斜の再帰反射シー卜の構造を示す断面図である。 発明の詳細な説明
本発明を説明する前に、 先ず従来公知の技術について説明する。 図 1〜図 4には、 本発明の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子と 対比するために、 従来技術に基づく三角錐型キューブコーナー再帰反射
素子を説明する平面図と断面図を示した。
図 1及び図 3においては、 共通する一平面上に突出した三角錐型キュ ーブコーナー再帰反射素子が、 互いに一つの底辺 (x、 x、 ....) を共 有し、 かつ多数の該再帰反射素子の該共有する底辺 (x、 x、 ....) を 含む底面 (X— X') に垂直な平面 (Υ— Υ') に対して実質的に対称と なるように向き合った一対の三角錐型反射素子として、 該素子の底面が 該共通する一平面 (X— X') 上に最密充填状に配置されている。
また、 図 2及び図 4には、 それぞれ図 1及び図 3に示されている素子 群の断面線 (L一 L') で切断した 該三角錐型反射素子の断面図を示す。 これら素子対の有している光学轴は、 互いに正反対の方向に傾いている 傾斜三角錐型キューブコーナー再帰反射シー トであり、 該素子の頂点 (Η) から底面 (X— X') に下された垂線と該底面 (X— X') との交 点 (Ρ) から該素子対が共有する底辺 (x、 x、 ....) までの距離を (P) とし、 光学軸と該底面との交点 (Q) から該素子対が共有する底 辺 (x、 x、 ....) までの距離をまでの距離を (q) とするとき、 その 差 (q_p) が図 2ではプラス (+ ) となるような方向に、 また図 4で はマイナス (一) となるような方向に、 該光学軸が前記垂直な平面 (Y — Υ') に対して傾いている。
これに対して図 5と図 6には、 光学軸がプラス (+ ) となるような方 向に前記垂直な平面 (Υ— Υ') に対して傾いている、 本発明の三角錐 型キューブコーナー再帰反射素子を説明する平面図と断面図が示されて いる。
図 5においては、 互いに実質的に直角に交差する 3つの傾斜面を有し、 共通する一底面 (X— X') 上に突出しているプラス傾斜の三角錐型キュ
ーブコーナー再帰反射素子が、 互いに該底面 (X— X' ) 上の 1つの底 辺 (x、 X ) を共有して、 相対峙して 1つの基盤上に最密充填状 に配置されていることが示されている。
また、 図 6には、 図 5に示されている素子群の断面線 (L一 L') で 切断した本発明のプラス傾斜の三角錐型反射素子の断面図を示す。 図 5 に示されているように、 本発明のプラス傾斜の三角錐型反射素子は、 底 面 (X— X' ) 上の一つの底辺 (X ) を互いに共有して相対峙している 5角形状の傾斜面 (C i面、 c 2面)と、 該三角錐型反射素子の頂点 (Hい H2) を起点とする前記 c i面又は c 2面の上部の二辺をそれぞれ一辺と して、 該三角錐型反射素子の一つの稜線を共有して、 これを一辺とする 該じ ,面又は c 2面と実質的に直角に交差する実質的に同一の四角形状の 傾斜面 (a t面、 面及び a 2面、 b2面) からなつている。
本発明の一態様であるプラス傾斜の三角錐型反射素子は、 図 5に示さ れているとおり、 底面 (X— X' ) 上の一つの底辺 (X ) を共有して、 相対峙して、 それぞれ実質的に対称となるように向き合った実質的に同 一の形状の素子対をなして、 繰り返しのパターンで 1つの基盤上に最密 充填状に配置されているために、 該共有の底辺 (X ) は一つの連続した 直線を構成している。 また、 隣接した他の三角錐型反射素子対の群が共 有する多数の底辺 (X ) は、 前記の多数の底辺 (X ) を構成する直線と 平行で、 等しい繰り返しピッチをもつ平行直線群を形成する。
従って、 本発明のプラス傾斜の三角錐型反射素子の該傾斜面 (C 面、 c 2面) は、 底辺 (X ) を共有して相対峙しており、 底辺 (X ) は一つ の連続した直線を構成しているために、 c ,面は一つの連続した平面を 形成し、 同様に c 2面も連続した平面を形成している。 さらに、 図 5の
x線に沿って見られる四角形状の傾斜面 (a !面、 面と 2つの c 2面 にはさまれた小さな四角形状の傾斜面) も、 同様に c!面又は c 2面によ り形成された X線上の平面上に位置している。 この結果、 上記 面又 は c 2面と上記小さな四角形状をもつ傾斜面により形成される面は、 底 辺が上記連続した直線上にあり、 断面が V字状の溝を形成している c面 と同じ傾斜面をなす。
なお本明細書における 「実質的」 なる用語は、 極く僅かな相違をも包 含する表現であり、 例えば 「実質的に対称」 及び 「実質的に同一の形状」 とは、 対応する辺及び/又は角が完全に同一であるものと共に、 その辺 又は角の大きさが、 極く僅かに、 相違する場合を包含する表現である。 本発明の理解を容易にするために、 図 5において、 '
; / C 2 及ひ c
a b 1 として示されている一対のプラス傾斜の三角錐型反射素子の拡大平面図 を図 7として、 またその図 7において L— L '線で示した矢印方向から の側面図を図 8として示した。 図 7及び図 8について説明すると、 本発明の一対のプラス傾斜の三角 錐型反射素子の右側の素子 R , (すなわち前記図 5の cく 1 で表わされる素子) の 面は、 点 Η ,— D t— A— B— で囲まれる五 角形状の面であり、 a ,面は点 Η ,— J ,一 F^— で囲まれる四角形状 の面であり、 また 面は点 — J !— G ! _ で囲まれる四角形状の 面であり、 a t面と b t面は実質的に同一形状であり、 面、 面及び
bt面は互いに実質的に直角に交差している。 また、 面 A— B— Ktで表 わされる右側の三角錐型反射素子 の底面は、 共通の底面 (X— X') の一部をなす。
図 7及び図 8において、 R2で表わされる左側の三角錐型反射素子は、 図 5において
卜 で表わされる一対の前記素子の左側の三角錐型反射素子に該当し、 その 底面は A— B— Κ2で表わされ、 底面が A— Β— Κ2で表わされる左側の 三角錐型反射素子 R 2は、 底面が Α— Β で表わされる右側の反射素 子 と同一形状であって、 両素子が共有する底辺 (A— B) (これは 図 5の共通する底辺 X上にある) の左右に位置し、 左側の素子 R2は、 右側の素子 1^が、 両者の共有する底辺 (A— B) の中点 (0) を中心 として底面 (X— X') 上を 180°左側に回転した形となっている。
従って、 図 7において左側の素子 R 2の点 H 2— D 2— B— A— E2で表 わされる c 2面、 点 H2— J 2— F2— D2で表わされる a 2面及び点 H2 — J 2-G2- E 2で表わされる b 2面は、 右側の素子 の前記 c ,面、 a , 面及び b t面とそれぞれ実質的に同一の形状をなしており、 c 2面、 a 2 面及び b 2面も互いに実質的に直角 (90° ) に交差している。
それ故、 図 7の線 L— L'方向からの側面図である図 8において、 点 B— H!— J ,— で表わされる右側の素子 Riの側面図と、 点 B— H2 - J 2_K2で表わされる左側の素子 R2の側面図とは、 実質的に左右対 称で同一形状をなしている。
図 8に示したように、 本発明のプラス傾斜の三角錐型反射素子 (Ri、 R2) の頂点は、 それぞれ 及び H2で表わされており、 頂点 (Hh
H2) の共通する底辺 xを含む底面 (X— X') からの高さは hで表わさ れる。
この高さ hは、 図 7及び図 8から明らかなように、 本発明のプラス傾 斜の三角錐型反射素子 及び R2の相対峙する c!面と c 2面がなす V字 状の谷の、 該素子の頂点 及び H2を含む面 (仮想面) からの深さに該 当する。
また、 図 7と図 8から明瞭に理解できるように、 本発明のプラス傾斜 の三角錐型反射素子 Ri及び R2の四角形状の斜面 a b i及び a 2、 b 2 は全て実質的に同一形状で、 素子 の斜面 a ,、 の底辺 — 及 び d— 及び素子 R2の斜面 a 2面、 b 2面の底辺 F 2— D2及び G2— E2は、 それぞれ、 同一平面をなす水平の面 (Z— Ζ') 上にあり、 この 水平の面 Ζ— Z'から該素子 及び R 2の頂点 及び Η 2を含む面 (仮 想面) までの高さは第 8図において h nで示されている。
従って、 本発明のプラス傾斜の三角錐型反射素子 及び R2の傾斜面 a ,面、 bi面及び a 2面、 b 2面がそれぞれ隣接する他の素子の対応する 斜面となす谷の、 頂点 H!、 H2を含む面からの深さ (その谷の底部は前 記傾斜面 a ,面、 b 面及び a 2面、 b 2面の底辺である) は h。で表わさ れる。
本発明のブラス傾斜の三角錐型反射素子は、 図 5及び図 7に示すとお り、 該素子 Ri及び R2の a ,面、 a 2面の底辺は共通の線 z上にあり、 ま た 面、 b 2面の底辺は共通の線 w上に位置し、 そして 面、 c 2面の 底辺は共通の線 X上に位置する。
また図 5〜図 8に示すとおり、 本発明の多数のプラス傾斜の三角錐型 反射素子は、 既に説明したとおり、 多数の該素子の対応する 2つの c面
が共有する底辺 (χ、 χ、 ....) を共有して、 相対峙して、 1つの基盤 上に最密充填状に配置されている。
本発明のプラス傾斜の三角錐型キューブコーナ一再帰反射シートは、 図 5〜図 8を参照して説明すると、 共通する一底面 (X— X') 上に突 出した三角錐型キューブコーナー再帰反射素子が、 互いに該底面 (X— X') 上の一つの底辺を共有して、 相対峙して該底面上に最密充填状に 配置されており、 該底面 (χ_χ') は該三角錐型反射素子が共有する 多数の該底辺 (χ、 χ、 ....) を包含する共通の一平面であり、 相対峙 する二つの該三角錐型反射素子は該底面 (X— X') 上の共有する底辺 (χ、 χ、 ....) を含む該底面に垂直な平面 (Υ— Υ'、 Υ— Υ'、 ....) に対してそれぞれ実質的に対称となるように向き合った実質的に同一形 状の素子対をなしており、 該三角錐型反射素子は該共有する底辺 (χ、 χ、 ....) を一辺とする実質的に同一の五角形状の傾斜面 (c ,面、 c 2 面) と、 該三角錐型反射素子の頂点 (Hi、 H2) を起点とする前記 C l 面又は c 2面の上部の二辺をそれぞれ一辺とし、 該三角錐型反射素子の 一つの稜線を共有して、 これを一辺とする該 c ,面又は c 2面と実質的に 直角に交差する実質的に同一の四角形状の傾斜面 (a ,面、 b,面 : a 2 面、 b2面) から成り、 該三角錐型反射素子の頂点 (ΗΐΛ Η2) から、 該三角錐型反射素子の五角形状の傾斜面 (c ,面、 c 2面) の底辺 (x、 x、 ....) を含む該底面 (X— X') までの高さを (h) とし、 該三角 錐型反射素子の頂点 (H,、 H2) から、 該三角錐型反射素子の他の傾斜 面 (a ,面、 b,面; a 2面、 b2面) の底辺 (z、 w) を包含する実質的 に水平の面 (Z— Ζ') までの高さを (h0) とし、 該三角錐型反射素子 の頂点 (H!、 H2) から該底面 (X— X') に対する垂線と底面 (X—
Χ') との交点を Pとし、 かつ該頂点 (H!、 H2) を通る光学軸と該底 面 (X— X') との交点を Qとし、 さらに上記の交点(P)及び交点 (Q) から、 該三角錐型反射素子の共有する底辺 (x、 x、 ....) を含み且つ 該底面 (X— X') に垂直な平面 (Y— Υ'、 Υ— Υ'、 ♦···) までの距 離をそれぞれ ρ及び qで表した場合に、 (Q— P) がプラス (+ ) とな るような方向に該光学軸が傾き、 かつ上記 hと hoは実質的に同一でな いことを特徴とする三角錐型キューブコーナー再帰反射シートである。 次に、 光学軸がマイナス (一) となるような方向に前記垂直な平面(Y - Υ') に対して傾いている、 本発明の三角錐型キューブコーナ一再帰 反射素子について説明する。
図 9と図 10には、 本発明のマイナス傾斜の三角錐型キューブコーナ 一再帰反射素子を説明する平面図と断面図が示されている。 図 9におい ては、 共通する一底面 (X— X') 上に突出した三角錐型キューブコー ナー再帰反射素子が、 互いに該底面上の一つの底辺 (X ) を共有して、 相対峙して該底面上に最密充填状に配置されていることが示されている。 また、 図 10には、 図 9に示されている素子群の断面線 (L一 L') で 切断した本発明のマイナス傾斜の三角錐型反射素子の断面図を示す。 図 9に示されているように、 本発明のマイナス傾斜の三角錐型反射素子は、 該共有する底辺 (χ、 χ、 ....) を一辺とする実質的に同一の三角形状 の傾斜面 ( C i面、 c 2面) と、 該三角錐型反射素子の頂点 (Hi、 H2) を起点とする前記三角形状の傾斜面 ( C l面、 c 2面) の上部の二辺をそ れぞれ一辺とし、 該三角錐型反射素子の一つの稜線を共有してこれを一 辺とする、 前記傾斜面 ( C i 面、 c 2面) と実質的に直角に交差する実 質的に同一の四角形状の二つの傾斜面 ( a i面、 面 ; a 2面、 b 2面)
からなつている。
本発明のマイナス傾斜の三角錐型反射素子は、 図 9に示されていると おり、 底面 (X— X') 上の一つの底辺 (χ、 x、 .... ) を共有して、 相対峙して、 それぞれ実質的に対称となるように向き合った実質的に同 一の形状の素子対をなして、 繰り返しのパターンで最密充填状に配置さ れているが、 該底面 (X— X') が共通の平面である水平の面 (Z— ζ') よりも実質的に上方に位置しているため、 該共有する底辺 (χ、 χ、 ... . ) は一つの直線上にはあるものの連続した直線を構成することはなく、 一定間隔をおいて断続した破線状となっている。 また、 隣接した他の三 角錐型反射素子対の群が共有する多数の底辺 (χ、 χ、 ....) は、 前記 の多数の底辺 (χ、 X、 ....) を構成する破線状の直線と平行で、 等し い繰り返しピツチをもつ破線状の平行直線群を形成する。 従って、 本発明のマイナス傾斜の三角錐型反射素子の該傾斜面 (C , 面、 c 2面) は、 底辺 (x、 X、 ....) を共有して相対峙しているが、 底辺 (x、 X、 ....) は、 上記のとおり連続した直線を構成することは なく、 一定間隔をおいた破線状態となっており、 また 面は一つの仮 想平面上にはあるが、 連続した平面を形成することはなく、 一定間隔を おいて同一パターンで並ぶ、 それぞれ独立した実質的に二等辺三角形状 の列をなしており、 C 2面も同様である。 C i面の列を包含する仮想平面 と c 2面の列を包含する仮想平面とは、 底辺 (x、 x、 ····) において 交差して断面が V字状の溝を形成して、 相対峙している。 本発明の理解を容易にするために、 図 9において、
1
c: 及び c I
として示されている一対のマイナス傾斜の三角錐型反射素子の拡大平面
図を図 1 1として示し、 また図 1 1において L—じ線で示した矢印方 向からの側面図を図 12として示した。
図 1 1及び図 12について説明すると、 本発明の一対のマイナス傾斜 の三角錐型反射素子の右側の素子 (すなわち前記図 9の
で表わされる素子) の 面は、 点 Hi_D— Eで囲まれる三角形の面で あり、 a
t面は点 H,_ F !— A— Dで囲まれる四角形状の面であり、 ま た 面は点 Η,— F,— Β— Εで囲まれる四角形状の面であり、 a,面 と 面は実質的に同一形状 であり、 c !面、 a !面及び b ,面は互いに 実質的に直角に交差している。 また、 面 A— B— F,で表わされる右側 の三角錐型反射素子 の底面は、 共通面である前記水平の面 (Z— Ζ') の一部をなす。
図 12において、 R2で表わされる左側の三角錐型反射素子は、 図 9 において b
一 C 2
a 2
で表わされる一対の前記素子の左側の三角錐型反射素子に該当し、 その 底面は A— B— F 2で表わされ、 底面が A— B - F 2で表わされる左側の 三角錐型反射素子 R 2は、 底面が A— B— で表わされる右側の反射素 子 と実質的に同一形状 であって、 両素子の c ,面及び c 2面が共有す る底辺 (D— E) (これは図 3における共有の底辺 X上にある) の左右 に位置し、 左側の素子 R2は、 右側の素子 が、 両者の共有する底辺(D — E) の中点 (0) を中心として底面 Χ_Χ'上を 180°左側に回転した 形となっている。
従って、 図 11において左側の素子 R 2の点 H 2— D— Eで表わされる c 2面、 点 H2_ F 2— A— Dで表わされる b 2面及び点 H 2 _ F 2 - B - E で表わされる a 2面は、 右側の素子 の前記 c!面、 a i面及び 面と それぞれ実質的に同一の形状をなしており、 c 2面、 a 2面及び b 2面も 互いに実質的に直角に交差している。
それ故、 図 11の線 L一じ方向からの側面図である図 12において、 点 B— E— H!— Fiで表わされる右側の素子 R!の側面と、 点 B_E— H2— F2で表わさ れる左側の素子 R2の側面とは、 実質的に左右対称で 同一形状をなしている。
図 12に示したように、 本発明のマイナス傾斜の三角錐型反射素子 (Ri, R2) の頂点は、 それぞれ 及び H2で表わされており、 頂点 (Hi. H2) の底面 (X— X') からの高さは hで表わされる。
また、 図 11と図 12から明瞭に理解できるように、 本発明のマイナ ス傾斜の三角錐型反射素子 及び R 2の四角形状の斜面 a i面、 b ,面及 び a 2面、 b 2面はすべて実質的に同一形状で、 素子 R,の斜面 a!面、 b i面の底辺 F ,— A及び F i_ B及び素子 R2の斜面 a 2面、 b 2面の底辺 F2— B及び F2_Aは、 それぞれ、 共通の底面である水平の面(Z— Z' ) 上にある。
従って、 本発明のマイナス傾斜の三角錐型反射素子 及び R2の傾斜 面 a t面、 bi面及び a 2面、 b 2面がそれぞれ隣接する他の素子の対応す る斜面となす谷から、 頂点 Hi、 H2までの高さは hoで表わされる。 さらに、 図 11及び図 12から明らかなように、 本発明のマイナス傾 斜の三角錐型反射素子 及び R2の相対峙する c i面と c 2面とが共有す る底辺 D— Eは、 底面 (X— X') 上にあり、 この底面 (Χ_Χ') から
該素子 Ri及び R 2の頂点 Hi及び H2までの高さは、 図 12において hで 示されている。 そしてこの高さ hは、 これら c!面と c 2面がなす V字状 の谷の、 該素子の頂点 H!、 H2からの深さに該当する。
本発明のマイナス傾斜の三角錐型反射素子においては、 図 9及び図 1 1に示すとおり、 該素子 及び R2の a ,面、 a 2面の底辺は共通の線 z 上にあり、 また 面、 b 2面の底辺は共通の線 w上に位置し、 そして c t面、 c 2面の底辺は共通の線 X上に位置する。
また図 9〜図 12に示すとおり、 本発明の多数のマイナス傾斜の三角 錐型反射素子は、 既に説明したとおり、 多数の該素子の対応する 2つの c面が底辺 (x、 x、 ....) を共有して、 相対峙して 1つの基盤上に最 密充填状に配置されている。
本発明のマイナス傾斜の三角錐型キューブコーナ一再帰反射シートは、 図 9〜図 12を参照して説明すると、 共通する一底面 (X— X') 上に 突出した三角錐型キューブコーナー再帰反射素子が、 互いに該底面 (X -X') 上の一つの底辺を共有して、 相対峙して該底面上に最密充填状 に配置されており、 該底面 (X— χ') は該三角錐型反射素子が共有す る多数の該底辺 (χ、 χ、 ....) を包含する共通の一平面であり、 相対 峙する二つの該三角錐型反射素子は該底面 (X— X') 上の共有する底 辺 (x、 x、 ....) を含む該底面に垂直な平面 (Y— Y'、 Υ— Υ'、 ... .) に対してそれぞれ実質的に対称となるように向き合った実質的に同 一形状の素子対をなしており、 該三角錐型反射素子は該共有する底辺 (χ、 χ、 ....) を一辺とする実質的に同一の三角形状の傾斜面 (d 面、 c 2面) と、 該三角錐型反射素子の頂点 (Hi、 H2) を起点とする 前記 c i面又は c 2面の上部の二辺をそれぞれ一辺とし、 該三角錐型反射
素子の一つの稜線を共有して、 これを一辺とする該 C ,面又は C 2面と実 質的に直角に交差する実質的に同一の四角形状の傾斜面 (a t面、 b 面 ; a 2面、 b2面) から成り、 該三角錐型反射素子の頂点 (H H2) か ら、 該三角錐型反射素子の三角形状の傾斜面 ( 面、 c 2面) の底辺 (x、 x、 ....) を含む該底面 (X— X') までの高さを (h) とし、 該三角錐型反射素子の頂点 (H!、 H2) から、 該三角錐型反射素子の他 の傾斜面 (at面、 面 ; a 2面、 b2面) の底辺 (z、 w) を包含する 実質的に水平の面 (Z— Ζ') までの高さを (h0) とし、 該三角錐型反 射素子の頂点 (H,、 H2) から該底面 (X— X') に対する垂線と底面 (X— X') との交点を Pとし、 かつ該頂点 (Η^ H2) を通る光学軸 と該底面 (X— X') との交点を Qとし、 さらに上記の交点 (P) 及び 交点 (Q) から、 該三角錐型反射素子の共有する底辺 (x、 x、 ....) を含み且つ該底面 (X— X') に垂直な平面 (Y— Υ'、 Υ— Υ'、 ····) までの距離をそれぞれ Ρ及び qで表した場合に、 (q— P) がマイナス (―) となるような方向に該光学軸が傾き、 かつ上記 hと hnは実質的 に同一でないことを特徴とする三角錐型キューブコーナー再帰反射シー 卜である。
本発明者らは、 以上述べたプラス (+ ) 又は (一) に傾斜した三角錐 型キューブコーナー再帰反射素子から構成された再帰反射シ一 トについ て、 その傾斜角度 (0) 、 及び素子の頂点 (H!、 H2) から上記水平の 面 (Z— Ζ') までの高さ (h0) と上記底面 (X— X') までの高さ (h) との関係を特定して、 前述のとおり特許出願を行った。 (特願平 8 - 295907号及び特願平 9一 330836号)
本発明者らは、 さらに検討を継続した結果、 これら 2つの特許出願に
おける改善だけでは、 必ずしも十分ではなく、 これらの出願において着 目した、 光学軸の傾斜に伴って必然的に生じる、 傾斜面 ( C ,面、 c 2面) の大きさが他の傾斜面 ( a !面、 面; a 2面、 b 2面) に比較して、 相 対的に拡大し又は縮小する程度を極力小さくするという着想をさらに発 展させて、 本発明に到達した。 しかしながら、 以上の発想に基づき、 本発明者らは、 三角錐型反射素 子の頂点 (H!、 H2) から、 これらの 2つの素子の相対峙する 2つの傾 斜面 (C ,面、 c 2面) の共通の底辺 (x、 x、 .... ) を含む底面 (X— X') までの高さを (h) と、 該三角錐型反射素子の頂点 (Hi、 H2) から該三角錐型反射素子の他の傾斜面 ( a ,面、 131面 : & 2面、 b 2面) の底辺 ( z、 w) を包含する実質的に水平の面 (Z— Ζ' ) までの高さ (ho) との比 (hZho) が、 以下に述べるように、 光学軸の傾斜角 0 と特定の関係式を満足する場合に、 特に入射角特性が改善された、 優れ た反射輝度を有する三角錐型キューブコーナ一再帰反射シー卜が得られ ることが分った。 本発明の三角錐型キューブコーナー再帰反射シー 卜は、 上記の高さの 比 (hZh0) が光学軸の傾斜角 (0) と、 下記式(1)の関係を満足する ことを特徴とする。 h
0.5R ≤ 1.5R (1)
(但し、 Rは下記式で定義したとおりの数値である。 )
― sin (35.2644' - Θ ) + 1.2247sin θ
― sin(35.2644' - θ )
(但し、 上記 (q— Ρ) の値がマイナス (一) の時、 0はマイナ
ス (一) の値を取るものとする。 ) 前記式(1)において、 (hZh
0) の値が 0.5R未満と小さすぎては、 c面と、 a面及び b面との面積のアンバランスの改善が不十分となり、 得られる再帰反射シー卜の正面輝度が低く、 また入射角特性の改善も不 十分なものとなるので好ましくない。 一方、 (hZh o) の値が 1.5Rを 超えて大きすぎては、 c面と、 a面及び b面との面積のアンバランスの 改善の意図が行き過ぎて、 プラス傾斜の場合には c面が、 a面及び b面 に比べて過大になり、 またマイナス傾斜の場合には c面が、 a面及び b 面に比べて過小になって、 0.5R未満の場合と同様に、 得られる再帰反 射シートの正面輝度が低く、 また入射角特性の改善も不十分なものとな るので好ましくない。 前記式(1)において、 (hZh
0) は、 好ましくは、
より好ましくは、
特に好ましくは、 h
0.85 R 1.15R (4)
h である。 なお上記式(2)〜(4)における Rは、 前記式(1) (または請求の 範囲 1 ) で定義したとおりのものである。 また本発明者らは、 (h— ho) /h Qの値、 すなわち、 三角錐型反射 素子対の頂点 (H H2) から水平の面 (Z— Ζ' ) までの高さ (h0)
と底面 (X— Χ') までの高さ (h) との差の、 該高さ (h0) に対する 割合、 言い換えれば、 深溝又は浅溝の度合いと傾斜角 (0) との関係が 次式(5)を満足することがさらに好ましく、 次式(6)を満足することが特 に好ましいことを知った。 0.3(R- D≤ h7h° ≤ 1.5(R— 1 ) (δ)
0.4(R- D≤- h7h° ≤ 1.2 (R - 1 ) (6)
Π o
〔但し、 式(5)及び(6)において、 Dは下記式で定義したとおりの数値で ある。 〕
_ 1.2247sin Θ
D ― 1 sin(35.2644' ― Θ )
本発明のプラス又はマイナスに傾斜した三角錐型キューブコーナー再 帰反射シートにおいては、 三角錐型反射素子対の頂点 (H!、 H2) から 水平の面 (Z— Ζ') に下された垂線と該水平の面 (Ζ— Ζ') との交点 (Ρ) から、 該素子対が共有する底辺 (χ、 χ、 ....) を含む該底面 (X -X' ) に垂直な平面 (Υ— Υ'、 Υ— Υ'、 ····) までの距離 (ρ) と、 該三角錐型反射素子の光学軸と該水平の面 (Ζ— Ζ') との交点 (Q) から、 該素子対が共有する底辺 (x、 X ) を含む該底面(X— Χ') に垂直な平面 (Υ— Υ'、 Υ— Υ'、 ····) までの距離 (q) との差 (Q 一 P) がプラス又はマイナスとなるような方向に該光学軸が前記垂直な 平面 (Υ_Υ') と 3〜15°の角度をなすように傾いているキューブコ一 ナー型反射シー卜が好適である。
本発明においては、 図 8及び図 12を参照して説明すると、 例えば三
角錐型反射素子 の頂点 を通る光学軸が、 頂点 から上記水平の 面 (Z— Ζ') に対する垂線 (Η,— Ρ) 〔これは前記の底面 (X— X') に垂直な平面 (Υ— Υ') と考えてもよい〕 に対する角度 (Θ) を光学 軸傾斜角といい、 前記の (Q— Ρ) がプラス又はマイナスとなる方向に 光学軸傾斜角 (Θ) を 4°〜12°の角度をなすように傾いているキューブ コーナ一型再帰反射シート、 特に上記の (q— Ρ) がプラス又はマイナ スとなるような方向に該光学軸が該垂直な平面 (Y— Υ') と 5〜10°の 角度をなすように傾いている三角錐型キューブコーナ一再帰反射シート が好適である。
本発明のプラス傾斜の三角錐型反射素子においては、 該反射素子の頂 点 (Hi、 H2) から素子対が共有する底辺 (x、 x、 ....) を含む底面 (X— X') までの高さ (h) は、 図 8より明らかなように、 該三角錐 型反射素子の頂点 (Η^ H2) から底辺 ( z、 w) を包含する実質的に 水平な面 (Z— Ζ') までの高さ (ho) よりも実質的に大であるために、 種々の光学的特性の改善が得られる。
この改善は、 hが h。よりも実質的に大であるために、 hと h。が等し い従来技術の c ,の傾斜面に比べて、 c!面の面積を大きくすることがで きるために達成することができる。 特に、 c t面に対して垂直に近い角 度で入射した光、 言い換えれば、 大きな入射角の場合には、 c ,面の面 積が増大されているために、 入射角特性の改善が顕著である。
一方、 本発明のマイナス傾斜の三角錐型反射素子においては、 該反射 素子の頂点 (H,、 H2) から素子対が共有する底辺 (x、 x、 ....) を 含む底面 (X— X') までの高さ (h) は、 図 1 2より明らかなように、 該三角錐型反射素子の頂点 (H!、 H2) から底辺 (z、 w) を包含する
実質的に水平な面 (Z— Ζ ' ) までの高さ (h o) よりも実質的に小であ るために、 種々の光学的特性の改善が得られる。
この改善は、 hが h。よりも実質的に小であるために、 hと h eが等し い従来技術の c!の傾斜面に比べて、 c!面の面積を小さくすることがで きるために、 言い換えれば、 相対的に a!面及び b t面の面積を大きくす ることができるために達成することができる。 特に、 a!面及び b ,面に 対して垂直に近い角度で入射した光、 言い換えれば、 大きな入射角の場 合には、 a ,面及び b ,面の面積が増大されているために、 入射角特性の 改善が顕著である。
本発明においては、 上記のように (q— P ) がプラス又はマイナスと なるように光学軸が傾斜していることによって入射角特性が改善される 従来技術による光学軸の傾斜した三角錐型反射素子においては、 光学軸 の傾斜のない正規三角錐型反射素子が、 前述した (q— P ) がプラス又 はマイナスとなるようにその素子の持つ光学軸を傾斜させることにより、 共有の底辺 (X ) をもつ傾斜面 ( c t面、 c 2面) の面積が、 傾斜前の面 積に比べてプラス傾斜では小さくなり、 またマイナス傾斜では大きくな て、 それぞれ他の 2つの面 a ,面及び b t面との大きさの違いが顕著にな り、 三面反射して再帰反射する確率が低下するという欠点がある。 入射 した光線が三つの傾斜側面で反射して効率的に再帰反射するためには、 前記のとおり三つの傾斜面の面積が等しいことが好ましい。 しかしなが ら、 従来技術における傾斜三角錐型反射素子では、 傾斜角度の増大に伴 い共有の底辺ももつ傾斜面 (c ,面、 c 2面) の面積が他の 2面 (a i面、 b ,面及び a 2 面、 b 2面) に比べてその大きさの違いが顕著となるため に、 上記で説明した三面反射して再帰反射する確率が低下してしまう。
この為に、 正面から入射した光の再帰反射性能 (正面反射輝度) の低下 のみならず、 入射角が増大した時の再帰反射性能 (入射角特性) も低下 する。
(q- p) がプラス (+ ) となるように光学軸が傾斜すると、 三角錐 型反射素子の傾斜面 (C 面、 c 2面) の面積は、 光学轴が傾斜する前の 面積に比較すると、 光学軸傾斜角 (0) が + 3°の場合は約 91%、 + 4° の場合には約 86%、 +12°の場合には約 62%に減少し、 また (q— p) がマイナス (一) となるように光学軸が傾斜すると、 三角錐型反射素子 の傾斜面 ( a ,面、 面; a 2面、 b2面) の面積は、 光学軸が傾斜する 前の面積に比較すると、 光学軸傾斜角 ( ) がー 3°の場合は約 90%、 一 4°の場合には約 87%、 —12°の場合には約 65%に減少し、 いずれの場 合もこのような面積減少に伴い、 正面反射輝度と入射角特性は低下する ことになる。
これに対して、 本発明におけるプラス傾斜の三角錐型反射素子におい ては、 頂点 (H!、 H2) から底面 (X— X') までの高さ (h) が、 水 平の面 (Z— Ζ') までの高さ (h0) よりも実質的に大であるように設 計されているために、 傾斜面 ( c ,面、 c 2面) の面積を従来技術で形成 された三角錐型反射素子の傾斜側面に比べて、 大きくすることが可能で ある。 一方、 本発明におけるマイナス傾斜の三角錐型反射素子において は、 頂点 (Hi、 H2) から底面 (X— X') までの高さ (h) が、 水平 の面 (Z— Ζ') までの高さ (h0) よりも実質的に小であるように設計 されているために、 二つの傾斜面 (ai面、 bi面; a 2面、 b2面) の面 積を従来技術で形成された三角錐型反射素子の傾斜側面に比べて、 大き くすることが可能である。
このように、 本発明による三角錐型反射素子は、 特に、 光学軸傾斜角
(Θ を (q— P) がマイナス (一) 又はプラス (+ ) となる方向に 3 °〜15°傾斜させることによって生ずる、 三角錐型反射素子の a面及び b 面と c面との面積のアンバランスによる輝度低下という欠点を改善する ことができる。
以上の理由により、 本発明においては、 光学軸傾斜角 (0) を (q— p) がマイナス (一) 又はプラス (+ ) となる方向に 4°〜12°、 特に 5 〜10°となるように光学軸を傾斜させるのが好ましい。 なお、 光学軸傾 斜角 (Θ) がマイナス (一) 又はプラス (+ ) となる方向に 15°を超え るような角度で傾いた三角錐型反射素子においては、 素子の変形が過大 となり、 素子のどの方向から光が入るか (回転角) により反射輝度が大 きく依存するために、 回転角特性が低下する傾向がある。
本発明による三角錐型反射素子の頂点 (H!、 H2) から水平の面 (Z - Z' ) までの高さ (ho) は、 好ましくは 50~400〃 、 さらに好ましく は 60〜200/ mが推奨されうる。 高さ (h0) が 50 m未満の場合は、 素子 の大きさが小さくなり過ぎるために、 素子の底面開口面積により定まる 回折効果により、 再帰反射光の発散が過大となり、 正面輝度特性が低下 する傾向にある。 また、 高さ (ho) が 400〃mを超える場合には、 シ一 卜の厚さが過大となり、 柔軟なシー 卜が得られにく
い難点がある。
また本発明における三角錐型反射素子のプリズム面である三つの傾斜 面 ( a i面、 b i面、 c i面) 又は ( a 2面、 b 2面、 c 2面) が互いに交差 することによって形成される三つのプリズム面角は、 実質的に直角とな るが、 必ずしも厳密な意味で直角 (90°) でなくてもよく、 必要に応じ
て直角から極く僅かに角度偏差を与えるようにすることも可能である。 該プリズム面角に極く僅かに角度偏差を与えることによって、 得られる 三角錐型反射素子からの反射光を適度に発散させることができる。 しか しながらこの角度偏差を大きく し過ぎると、 得られる三角錐型反射素子 からの反射光が発散し過ぎて再帰反射性能が低下するので、 これら三つ の傾斜面 ( a !面、 b !面、 面) 又は (a 2面、 b 2面、 c 2面) が互い に交差することによって形成される少なく とも一つプリズム面角の大き さは、 一般に 89. 5°〜90. 5°、 好ましくは 89. 7° ~90. 3°の範囲内となるよ うにするのがよい。
本発明の三角錐型キューブコーナー再帰反射シー トは、 一般に、 以上 述べたような三角錐型反射素子の形状が、 反転された凹形状として金属 製のベルト上に最密充填状に配置されたキューブコーナー成形用金型を 用い、 この成形用金型に、 後記するような柔軟で且つ光学的透明性、 均 一性に優れた適宜の樹脂シートを加熱押圧して、 該金型の形状を樹脂シ 一卜に反転 ·転写させて製造することができる。
上記のキューブコーナー成形用金型の代表的な製造方法については、 例えば前記 Stamm の米国特許第 3, 712, 706号に詳細に記載されており、 本発明においてもこの方法に準じた方法を採用することができる。
具体的には、 表面を平坦に研削した基材の上に、 例えば、 プラス傾斜 の場合には先端角度が 73. 4〜81. 0°程度、 マイナス傾斜の場合には先端 角度が 66. 4〜53. 7°程度の超硬質のバイ ト (例えばダイアモンドバイ ト、 タングステンカーバイ ド製バイ ト等) を用いて、 2つの方向 (図 3の z 方向及び w方向) に、 目的の三角錐型反射素子の形状に即して、 それぞ れの方向の繰り返しピッチ及び溝の深さ (h o ) 、 並びに相互の交差角
度を定めて、 その溝の深さ (h o ) が同じで断面形状が V字型の平行溝 を切削し、 次いで、 第 3方向 (X方向) を、 例えば、 プラス傾斜の場合 には先端角度が 64. 5~46. 5°程度、 マイナス傾斜の場合には先端角度が 7 8. 5〜100. 5°程度の同様の超硬質バイ トを用いて、 形成されている z方 向溝と w方向溝との交点を通り、 これら二方向の交差角度 (ここでは鋭 角の方を 「交差角度」 という) の補角を二等分するような繰り返しピッ チ (図 3の線 Xの繰り返しピッチ) で V字型平行溝を切削することによ り、 凸状の微小な三角錐が最密充填状に配置されたマイクロプリズム母 型を作成する。 本発明においてはこの時、 X方向溝の深さ (h ) は、 プ ラス傾斜の場合 z方向及び w方向の溝の深さ (h 0 ) よりも深くなるよ うに、 またマイナス傾斜の場合 z方向及び w方向の溝の深さ (h o ) よ りも浅くなるように加減して切削する。
本発明のプラス傾斜の反射素子の好適な態様では、 z方向及び w方向 の繰り返しピッチ 100~810 i m、 溝の深さ (h 0) 50〜400 i m、 相互の交 差角度 43〜55° ; そして X方向溝の深さ (h ) 75〜600 m程度の範囲で ある。 また、 マイナス傾斜の反射素子の好適な態様では、 z方向及び w 方向の繰り返しピッチ 104〜992 /z m、 溝の深さ (h 0) 50~ 400 m、 相互 の交差角度 64. 7〜75. Γ ; そして X方向溝の深さ (h ) 33〜380 m程度 の範囲である。
これら X方向、 w方向及び z方向の溝の切削に際しては、 一般に、 そ れぞれの溝の断面が二等辺三角形状となるように行うが、 必要に応じて、 これらの三方向の溝のうち少なく とも一つの方向の溝の断面が、 二等辺 三角形状から僅かにずれるように切削することも可能である。 その具体 的方法としては、 先端の形状が左右非対称のバイ トを用いて切削したり、
左右対称のバイ トを僅かに傾けて切削するなどの方法を例示することが できる。 このように溝の断面を二等辺三角形状から僅かにずらすことに より、 得られる三角錐型反射素子の三つの傾斜面 (a t面 、 面、 d 面) 又は ( a 2面、 b 2面、 c 2面) のそれぞれのプリズム面角のう ち少 なく とも一つのプリズム面角に、 直角 (90° ) から極く僅かに角度偏差 を与 えることができ、 これによつて三角錐型反射素子からの反射光を 完全な再帰反射の方向から適度に発散させることが可能となる。
前記マイクロプリズム母型の作成に好適に用いることのできる基材と しては、 ビッカース硬さ (JIS Z 2244) が 350以上、 特に 380以上の金属 材料が好ましく、 具体的には、 例えば、 アモルファス鋦、 電析ニッケル、 アルミニウム等を挙げることができ、 合金系材料としては、 例えば、 銅 一亜鉛合金 (真鍮) 、 鋦ー錫一亜鉛合金、 ニッケル一コバルト合金、 ニッ ケルー亜鉛合金、 アルミニウム合金等を挙げることができる。
また前記基材としては、 合成樹脂材料の使用も可能であり、 切削加工 時に軟化して高精度の切削が困難となるなどの不都合が生じにくい等の 理由から、 そのガラス転移点が 150°C以上、 特に 200°C以上で且つロック ゥエル硬さ (JIS Z 2245) が 70以上、 特に 75以上の合成樹脂からなる材 料であるのが好ましく、 具体的には、 例えば、 ポリエチレンテレフタレ ート系樹脂、 ポリブチレンフタレー ト系樹脂、 ポリカーボネート系樹脂、 ポリメチルメタクリ レート系榭脂、 ポリイ ミ ド系樹脂、 ポリアリ レート 系樹脂、 ポリエーテルサルフォン系樹脂、 ポリエーテルイ ミ ド系樹脂及 びセルローストリアセテート系樹脂等を挙げることができる。
上記の如き合成樹脂からの平板の作成は、 通常の樹脂成形法、 例えば、 押出成形法、 カレンダー成形法、 溶液キャス ト法等により行うことがで
き、 必要に応じてさらに加熱処理、 延伸処理等の処理を行うことができ る。 かく して作成される平板の平面には、 上記の方法によって製造され るプリズム母型から電铸金型を作成する際の導電処理及び Z又は電铸加 ェを容易にするため、 予備導電処理を施すことができる。 予備導電処理 としては、 金、 銀、 銅、 アルミニウム、 亜鉛、 クロム、 ニッケル、 セレ ン等の金属を蒸着する真空蒸着法、 これらの金属を用いる陰極スパッタ リ ング法、 銅やニッケルを用いる無電解メ ツキ法等が挙げられる。 また、 合成樹脂にカーボンブラック等の導電性微粉末や有機金属塩等を配合し、 平板それ自体に導電性をもたせるようにしてもよい。
次に得られたマイクロプリズム母型は、 その表面に電铸加工が施され て金属被膜が形成される。 この金属被膜を母型表面から取り外すことに より、 本発明の三角錐型コーナーキューブ型再帰反射シー卜の成形に用 いるための金属製金型を作成することができる。
金属製マイクロプリズム母型の場合には、 必要に応じてその表面を洗 浄した後、 直ちに電铸加工を行うことができるが、 合成樹脂製マイクロ プリズム母型の場合には、 電铸加工を行うに先だって、 先ず母型のプリ ズム表面に導電性を付与させるための導電処理を施す必要がある。 この 導電処理としては、 例えば、 銀鏡処理、 無電解メ ツキ処理、 真空蒸着処 理、 陰極スパッタリ ング処理などが採用可能である。
上記の銀鏡処理としては、 具体的には、 前述の方法で形成した母型の 表面をアル力リ洗剤などにより洗浄してその油成分などの汚れを除去し た後、 タンニン酸などの表面活性化剤を用いて活性化処理を行い、 次い で速やかに硝酸銀溶液を用いて銀鏡化する方法が挙げられる。 この銀鏡 化は硝酸銀水溶液と還元剤 (ブドウ糖ゃグリオキザール等) 水溶液の二
筒式ノズルガンを用いたスプレー法、 硝酸銀水溶液と還元剤水溶液との 混合液中に浸漬する浸漬法などが採用しうる。 また、 銀鏡被膜の厚さは 電铸時の導電性が満足される範囲で薄い方が好ましく、 例えば、 0. Ι ^ πι 以下の厚さを例示しうる。
無電解メ ツキ処理には、 銅やニッケルがなど用いられる。 無電解ニッ ケルメ ッキ液においては、 二ッゲルの水可溶性金属塩として硫酸二ッケ ルゃ塩化二ッゲルなどを用いることができ、 これに錯化剤としてクェン 酸塩ゃリ ンゴ酸塩を主成分とした溶液、 及び還元剤として次亜リ ン酸ナ トリウム、 ホウ素化水素ナトリウム、 ァミ ンボランなどを加えたものが メ ッキ液として用いられる。
真空蒸着処理は、 銀鏡処理と同様に母型表面の洗浄を行った後、 真空 装置に入れ、 金、 銀、 銅、 アルミニウム、 亜鉛、 ニッケル、 クロム、 セ レン等の金属を加熱気化させて、 冷却されている該母型表面に析出させ て導電被膜を形成させることによって行うことができる。 また、 陰極ス パッター処理は、 平滑で所望の金属箔を装着できる陰極板と被処理材料 を載せるアルミニウム又は鉄など金属製の陽極台が内部に設けられてい る真空装置に、 真空蒸着処理と同様に処理した母型を入れて陽極台上に 置き、 真空蒸着の場合に用いたと同様の金属の箔を陰極に取り付けて荷 電してグロ一放電を起こさせ、 これにより発生する陽イオン流を陰極の 金属箔に衝突させることにより金属原子又は微粒子を蒸発させ、 これを 該母型表面に析出させて導電被膜を形成させることにより行うことがで きる。 これらの方法において形成される導電被膜の厚さとしては、 例え ば、 30nmの厚さが例示される。
合成樹脂製プリズム母型に、 電铸加工に際して平滑で均一な電铸層を
形成するためには、 上記の導電処理は該母型の全面にわたって均一に施 す必要がある。 導電処理が不均一な場合には、 導電性の悪い部分の電铸 層表面の平滑性が低下したり、 又は電铸層が形成されず欠損部分となつ てしまうなどの不具合を生じる可能性がある。
この不具合を回避するためには、 例えば、 銀鏡処理の直前に処理面を アルコールなどの溶剤で処理することにより銀鏡液の濡れを改善する方 法を採用しうるが、 本発明において形成される合成樹脂製プリズム母型 は凹部分が非常に深く鋭角なために、 濡れの改善が不十分となりがちで ある。 この凹形状に基づく導電被膜の不具合は蒸着処理などにおいても 起こり易い。
電铸加工により得られる電铸層の表面を均一なものとするために、 し ばしば活性化処理が行われる。 この活性化処理としては、 例えば、 10重 量%スルファ ミ ン酸水溶液に浸漬する方法等を採用することができる。 銀鏡処理が行われた合成樹脂製の母型に電铸加工を行った場合には、 銀の層は電铸層と一体化されて合成樹脂製の母型から容易に剥離される 力 無電解メ ツキや陰極スパッタリ ング処理でニッケルなどの導電被膜 を形成した場合は、 合成樹脂表面と該導電被膜との密着が良いために、 電铸加工後の電铸層と合成樹脂層との剥離が困難となる場合がある。 そ のようなときには、 電铸加工に先だって導電被膜層の上にクロメート処 理などの所謂剥離処理を行うのがよい。 その場合、 導電被膜層は剥離後 に合成樹脂層上に残留する。
表面に導電被膜層が形成された合成樹脂製プリズム母型は、 このよう な各種の前処理を行った後、 電铸加工により該導電被膜層の上に電铸層 が形成される。 また、 金属製プリズム母型は、 前記のように必要に応じ
てその表面を洗浄した後、 該金属上に直接電铸層が形成される。
電铸加工は、 一般に、 例えば、 スルファ ミ ン酸ニッケル 60重量%水溶 液中、 40°C、 電流条件 lOAZdm 2程度の条件下で行われる。 電铸層の形成 速度としては、 例えば、 48時間 隱以下程度とすることにより均一な電 铸層が得られやすく、 それ以上の形成速度においては表面の平滑性の欠 如ゃ電铸層の中に欠損部分が生じるなどの不具合が起こりやすい。 また、 電铸加工においては、 金型の表面摩耗性の改善を目的として、 コバルトなどの成分を加えたニッケル · コバルト合金電铸を行うことも できる。 コバルトを 10〜15重量%加えることにより、 得られる電铸層の ビッカース硬度 H vを 300〜400にまで硬くすることが可能であるので、 得られる電铸金型を用いて合成樹脂 を成形し、 本発明の三角錐型キュ ーブコーナ一型再帰反射シートを製造するに際して、 該金型の耐久性を 改善することが可能となる。
このようにしてプリズム母型から作成した第 1世代の電铸金型は、 さ らに第 2世代の電铸金型を作成するのに用いる電铸マスターとして、 繰 り返し用いることができる。 従って、 一つのプリズム母型から幾つもの 電铸金型を作成することが可能である。
作成された複数個の電铸金型は、 精密に切断された後に、 合成樹脂に よるマイクロプリズムシー卜の成形を行うための最終的な金型の大きさ まで組み合せ接合して用いることができる。 この接合の方法としては、 切断端面を単に突き合わせる方法や組み合わせた接合部分を、 例えば電 子ビーム溶接、 Y A Gレーザー溶接、 炭酸ガスレーザ一溶接などの方法 で溶接する方法などが採用可能である。
組み合わされた電铸金型は、 合成樹脂成形用金型として合成樹脂の成
形に用いられる。 この合成樹脂成形の方法としては圧縮成形や射出成形 を採用することができる。
圧縮成形は、 例えば、 形成した薄肉状のニッケル電铸金型、 所定の厚 さの合成樹脂シート及びクッション材として厚さ 5 mm程度のシリコーン ゴム製シートを、 所定の温度に加熱された圧縮成形プレスに挿入した後、 成形圧の 10〜20%の圧力下で 30秒予熱を行った後、 180〜250°C、 10〜30 kgZcm 2程度の条件下で約 2分間 加熱加圧することにより行うことがで きる。 しかるのち、 加圧状態のままで室温まで冷却して圧力を開放する ことにより、 プリズム成形品を得ることが可能である。
さらに、 例えば、 上記方法で形成した厚さ約 0. 5mmの薄肉電铸金型を、 前記溶 接法により接合してエン ドレスベルト金型を作成し、 このベル ト金型を加熱ロールと冷却ロールとからなる 1対のロール上に設置して 回転させ、 加熱ロール上にあるベルト金型に、 溶融した合成樹脂をシー ト状の形状で供袷し、 1個以上のシリコーン製ロールで加圧成形を行つ た後、 冷却ロール上でガラス転移点温度以下に冷却して、 ベルト金型か ら引き剥がすことにより連続したシ一 ト状の製品を得ることが可能であ o
次に本発明の三角錐型キューブコーナー再帰反射シー卜の好適な構造 の一態様であるマイナス傾斜の三角錐型キューブコーナ一再帰反射シー 卜について、 その断面図である図 1 4を参照しながら説明する。
図 1 3において、 (1) は本発明の三角錐型反射素子 (R i、 R 2) が 最密充填状に配置された反射素子層、 (2) は反射素子を保持する保持 体層であり、 (10) は光の入射方向である。 反射素子層 (1) 及び保持 体層(2) は一体であるのが普通であるが、 別々の層を積層しても構わな
い。 本発明における再帰反射シートの使用目的、 使用環境に応じて表面 保護層 (4) 、 観測者に情報を伝達したりシー 卜の着色のための印刷層 (5) 、 反射素子層の裏面に水分が侵入するのを防止するための封入密 封構造を達成するための結合材層 (6) 、 反射素子層 (1) と結合材層 (6) に囲まれて、 反射素子の界面での再帰反射を保証するための空気 層 (3) 、 結合材層 (6) を支持する支持体層 (7) 、 及び、 該再帰反射 シートを他の構造体に貼付するために用いる接着剤層 (8) と剥離材層 (9) とを設けることができる。
表面保護層 (4) には再帰反射素子層 (1) に用いたのと同じ樹脂を用 いることが出来るが耐候性を向上する目的で紫外線吸収剤、 光安定剤及 び酸化防止剤などをそれぞれ単独あるいは組み合わせて用いることが出 来る。 さらに、 着色剤としての各種の有機顔料、 無機顔料及び染料など を含有させることが出来る。
印刷層 (5) は通常、 表面保護層 (4) と保持体層 (2) の間、 あるい は、 表面 保護層 (4) の上や反射素子 (1) の反射面上に設置すること が出来、 通常グラビア印刷、 スクリーン印刷及びィンクジエツ ト印刷な どの手段により設置可能である。
上記反射素子層 (1) 及び保持体層 (2) を構成する材料としては本発 明の一つの目的である柔軟性を満足するものであれば特に限定されるも のではないが、 光学的透明性、 均一性のあるものが好ましい。 本発明に おいて使用し得る材料の例としては、 ポリカーボネー ト樹脂、 塩化ビニ ール樹脂、 (メタ)アクリル樹脂、 エポキシ樹脂、 スチレン樹脂、 ポリエ ステル樹脂、 フッ素樹脂、 ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂など のォレフィ ン樹脂、 セルロース系樹脂及びウレタン樹脂などを例示でき
る。
本発明における反射素子層 (1) は内部全反射条件を満足する臨界角 度を大き くする目的でキューブコーナ一再帰反射素子背面に空気層 (3) を設置するのが 一般的である。 使用条件下において水分の侵入による 臨界角の低下及び金属層の腐食などの不具合を防止するために反射素子 層 (1) と支持体層 (7) とは結合剤層 (6) によって密封封入されるの が好ましい。 この密封封入の方法としては米 国特許第 3, 190, 178号、 第 4, 025, 159号、 日本公開実用新案昭和 50— 28669号等に 示されている方 法が採用できる。 結合剤層 (6) に用いる樹脂としては(メタ)アクリル 樹脂、 ポリエステル樹脂、 アルキッ ド樹脂、 エポキシ樹脂などがあげら れ、 接合の方法としては公知の熱融着性樹脂接合法、 熱硬化性樹脂接合 法、 紫外線硬化性樹脂接合法、 電子線硬化性樹脂接合法などが適宜採用 可能である。
本発明に用いる結合剤層 (6) は支持体層 (7) の全面にわたって塗布 しうるし、 再帰反射素子層との接合部分に印刷法などの方法により選択 的に設置することも可能である。
支持体層 (7) を構成する材料の例としては再帰反射素子層を構成す る樹脂や 一般のフィルム成形可能な樹脂、 繊維、 布、 ステンレスゃァ ルミ二ゥムなどの金属箔又は板をそれぞれ単独又は複合して用いること が出来る。
本発明の再帰反射シートを金属板、 木板、 ガラス板、 プラスチック板 などに貼付するために用いる接着層 (8) 及び該接着剤のための剥離層 (9) は、 適宜、 公知のものを選択することができる。
以下、 実施例及び比較例を挙げて本発明を一層詳細に説明する。
実施例 1
表面を平坦に研削した 50mm角の真鍮板の上に、 第 1方向 (図 5の z方 向) と第 2方向 (図 5の w方向) を、 先端角度が 77.04°のダイアモンド バイ トを用いて、 第 1方向と第 2方向の繰り返しピッチが 169.70〃m、 溝の深さ (h0) が 80.00〃 mであって、 図 7のく A— Ki— Bで表わされ る線 zと線 wとの交差角度が 50.68°となるように、 断面形状が V字の平 行溝を繰り返しのパターンでフライ力ッティ ング法によって切削した。 しかる後に、 第 3方向 (X方向) を、 先端角度が 56.53°のダイアモン ドバイ トを用いて、 繰り返しピッチ (図 3の線 Xの繰り返しピッチ) が 198.26 ^m, 溝の 深さ (h) が 92.00//m、 第 1方向及び第 2方向と第 3 方向との交差角度が 64.66°となるように V字平行溝を切削して、 真鍮板 上に三角錐型反射素子の水平の面 (Z - Ζ' ) から三角錐型反射素子の 頂点 (Hh H2) までの高さ (h0) が 80.00//m、 底面 (X— X') から 三角錐型反射素子の頂点 (Η^ H2) までの高さ (h) が 92.00^πιの凸 形状の多数のプラス傾斜の三角錐型再帰反射素子が最密充填状に配置さ れた母型を形成した。 この三角錐型反射素子の光学軸傾斜角 は + 7° であった。 また h/h。は、 92/80= 1.15であるから (h— h0) /h 0 は 0.15となる。 また、 sin (35.2644' - Θ ) + 1.2247sin θ
~~ sin(35.2644" - θ ) ' ^ となり、 従って D = R— 1 =0.315となった。 これらのことから、 得ら れた三角錐型反射素子は、 hZhn = 0.875Rで、 (h_h0) /h。 = 0. 476Dとなった。 この真緣製母型を用いて電铸法により、 材質がニッケルであって、 形
状が反転された凹形状のキューブコーナー成形用金型を作成した。 この 成形用金型を用いて、 厚さ 230^mのポリカーボネート樹脂シート (三菱 エンジニアリ ングプラステイ ツ クス株式会社製 「ユーピロン E2000J ) を成形温度 200て、 成形圧力 50kgZcm2の条件で圧縮成形下後に、 加圧下 で 30°Cまで冷却してから樹脂シートを取り出して、 表面に支持体層の厚 さが約 150 zmで、 h。 = 80;«m、 h=92 m、 且つ三角錐を構成する三面 のプリズム面角に角度偏差を与えていないプラス傾斜の三角錐型再帰反 射素子を最密充填状に配置したポリカーボネート樹脂製の三角錐型キュ —ブコーナー再帰反射シートを作成した。
実施例 2
実施例 1において、 第 1方向 ( z方向) と第 2方向 (w方向) を、 先 端角度が 77.04°のダイアモンドバイ トを用いて、 第 1方向と第 2方向の 繰り返しピッチが 169.70 /πι、 溝の深さ (h0) が 80.00 mであって、 第 1方向と第 2方向の交差角度が 50.68°となるようにフライ力ッティ ング 法によって切削する代わりに、 第 1方向 ( z方向) と第 2方向 (w方向) を先端角度が 63.11°のダイアモンドバイ トを用い、 第 1方向と第 2方向 との繰り返しピッチが 149.33 m、 切削溝の深さ (h0) 力 80.00 m、 第 1方向と第 2方向との交差角度力 67.85°となるようにフライ力ッティ ン グ法によって切削し、 また、 第 3方向 (X方向) の先端角度が 56.53°の ダイアモンドバイ トを用い、 繰り返しピッチが 198.26〃 m、 溝の深さ(h) が 92.00 ro、 第 1方向及び第 2方向と第 3方向との交差角度が 64.66°と なるように V字平行溝を切削する代わりに、 第 3方向 (X方向) の先端 角度が 84.53°のダイアモン ドバイ 卜を用い、 繰り返しピッチが 146.19 m、 切削溝の深さ (h) が 64.00 zm、 第 1方向及び第 2方向と第 3方向
との交差角度が 56.08°となるように切削する以外は実施例 1と同様にし て、 真緣板上に三角錐型反射素子の水平の面 (Z— Ζ')からの高さ(ho) が 80.00 m、 底面 (X— X') から三角錐型反射素子の頂点 (Η,、 Η2) までの高さ (ho) が 64.00)C/mの凸形状の多数の三角錐型キューブコー ナ一が最密充填状に配置された母型を形成した。 この三角錐型反射素子 の光学軸傾斜角 6は一 7。であった。 また hZh Q = 64Z80 = 0.80、 (h -ho) /h Q=— 0.20であり、 R = 0.7781、 D = R— 1 =- 0.2219であつ た。 これらのことから、 得られた三角錐型反射素子は、 hZhn = 1.028 尺で、 (h— ho) ノ h。 = 0.901Dとなった。
以下実施例 1と同様に、 材質がニッケルの凹形状のキューブコーナ一 成形用金型を作成し、 これを用いて実施例 1と同様のポリカーボネート 榭脂シ一卜を同様の成形条件で圧縮成形して、 表面に支持体層の厚さが 約 150^mで、 he = 80t/m、 h=64/zm、 且つ三角錐を構成する三面のプ リズム面角に角度偏差を与えていないマイナス傾斜の三角錐型再帰反射 素子を最密充填状に配置したポリカ一ボネート樹脂製の三角錐型キュー ブコーナー再帰反射シ一トを作成した。
比較例 1
実施例 1において、 第 1方向と第 2方向の繰り返しピッチが 169.70 / mとなるようにフライカツティ ング法によって切削する代わりに、 第 1 方向と第 2方向との繰り返しピッチが 164. となるようにフライカツ ティ ング法によって切削し、 また、 第 3方向 (X方向) の繰り返しピッ チが 198.26 zm、 溝の深さ (h) が 92.00;t/mとなるように V字平行溝を 切削する代わりに、 第 3方向 (X方向) の繰り返しピッチが 191.81 m、 切削溝の深さ (h) が 80.00 zraとなるように切削する以外は実施例 1と
同様にして、 真鍮板上にキューブコーナー再帰反射素子の高さ (h0 = h) 力 0.00〃mの凸形状の多数の三角錐型キューブコーナーが最密充填 状に配置された母型を形成した。 この反射素子の光学軸傾斜角 0は + 7 。で、 三角錐を構成する三面のプリズム面角はいずれも 90°あった。
以下実施例 1と同様に、 材質がニッケルの凹形状のキューブコーナー 成形用金型を作成し、 これを用いて実施例 1と同様のポリカーボネート 樹脂シ一トを同様の成形条件で圧縮成形して、 表面に支持体層の厚さが 約 で、 h D= h =80 /mで且つ三角錐を構成する三面のプリズム面 角に角度偏差を与えていないプラス傾斜の三角錐型再帰反射素子を最密 充填状に配置したポリカーボネート樹脂製の三角錐型キューブコーナー 再帰反射シートを作成した。
比較例 2
実施例 1において、 第 1方向 (z方向) と第 2方向 (w方向) を、 先 端角度が 77.04°のダイアモンドバイ トを用いて、 第 1方向と第 2方向の 繰り返しピッチが 169.70 m、 第 1方向と第 2方向の交差角度が 50.68° となるようにフライカツティ ング法によって切削する代わりに、 先端角 度が 63.11°のダイアモンドバイ トを用いて、 第 1方向と第 2方向の繰り 返しピッチが 179.40 / m、 第 1方向と第 2方向の交差角度が 67.85°とな るようにフライカツティ ング法によって切削し、 また、 第 3方向 (X方 向) の先端角度が 56.53°のダイアモン ドバイ トを用い、 繰り返しピッチ が 198.26 im、 溝の深さ (h) が 92.00 /m、 第 1方向及び第 2方向と第 3方向との交差角度が 64.66°となるように V字平行溝を切削する代わり に、 第 3方向 (X方向) の先端角度が 84.53°のダイアモンドバイ トを用 い、 繰り返しピッチが 160.73 m、 切削溝の深さ (h) が 80.00^m、 第
1方向及び第 2方向と第 3方向との交差角度が 56. 08°となるように切削 する以外は実施例 1と同様にして、 真鍮板上にキューブコーナー再帰反 射素子の高さ (h。= h ) が 80. 00 / mの凸形状の多数の三角錐型キュー ブコーナーが最密充填状に配置された母型を形成した。 この反射素子の 光学軸傾斜角 0は一 7 °で、 三角錐を構成する三面のプリズム面角はい ずれも 90°あった。
以下実施例 1と同様に、 材質がニッゲルの凹形状のキューブコーナー 成形用金型を作成し、 これを用いて実施例 1と同様のポリカーボネート 樹脂シートを同様の成形条件で圧縮成形して、 表面に支持体層の厚さが 約 150〃mで、 h。= h = 80〃πιで且つ三角錐を構成する三面のプリズム面 角に角度偏差を与えていないマイナス傾斜の三角錐型再帰反射素子を最 密充填状に配置したポリカーボネート樹脂製の三角錐型キューブコーナ 一再帰反射シートを作成した。
表 1に上記実施例 1〜 2及び比較例 1〜 2で作成した三角錐型キュ一 ブコーナー再帰反射シー卜の再帰反射輝度の測定データーを示した。 実 施例 1及び実施例 2の再帰反射シートは広範な範囲で高い反射輝度を示 したが、 比較例 1の反射シー卜は特に入射角が 5 °〜10°での輝度変化が 大きく、 比較例 2の反射シートにおいては入射角 30°における輝度低下 が大きく、 従って、 いずれの比較例におい ても入射角特性が劣ってい る。
表 1
本発明は、 共通する一底面 (X— X') 上に突出した三角錐型キュー ブコーナー再帰反射素子が、 互いに該底面上の一つの底辺 (X) を共有 して、 相対峙して該底面上に最密充填状に配置されており、 相対峙する 二つの該三角錐型反射素子は該底面上の共有する底辺 (X) を含む該底 面に垂直な平面 (Y— Υ'、 Υ— Υ'、 ....) に対してそれぞれ実質的に 対称となるように向き合った実質的に同一形状の素子対をなしており、 該三角錐型反射素子は該共有する底辺 (X ) を一辺とする実質的に同一 の五角形状又は三角形状の傾斜面 (c面) と、 該三角錐型反射素子の頂 点 (Η) を起点とする前記 c面の上部の二辺をそれぞれ一辺とし、 該三 角錐型反射素子の一つの稜線を共有して、 これを一辺とする該 c面と実 質的に直角に交差する実質的に同一の四角形状の傾斜面 (
a面、 b面) から成り、 該三角錐型反射素子の頂点 (H) から、 該底面 (X— X') までの高さを (h) とし、 傾斜面 (a面、 b面) の底辺 (z、 w) を包 含する実質的に水平の面 (Z— Ζ') までの高さを (ho) とし、 該三角 錐型反射素子の光学軸と該垂直な平面 (Υ— Υ') とのなす角を (0) とした場合に、 hと h Qは実質的に同一でなく、 かつ h/hnと 0とが特 定の関係式を満足することを特徴とする三角錐型キューブコーナ一再帰
反射シートである。
これにより本発明の再帰反射シートは、 一般に三角錐型キューブコー ナー再帰反射シートに望まれる基本的な光学特性である、 高輝度性、 即 ち、 該シート正面から入射した光の反射輝度に代表される反射輝度の高 さ (大きさ) のみならず、 観測角特性、 入射角特性、 回転角特性等の広 角性の改善を可能とする。