WO1999034406A1 - Tube a decharge gazeuse - Google Patents

Description

明糸田書 ガス放電管 技術分野

本発明は、 ガス放電管に関し、 特に、 分光器やクロマトグラフィなどの光源と して利用するためのガス放電管に関する。 背景技術

従来、 このような分野の技術として、 特開平 7— 3 2 6 3 2 4号公報ゃ特開平 8 - 2 2 2 1 8 5号公報に開示されている技術がある。 これら公報に記載された ガス放電管は、 ガラス製の側管とガラス製のステムとで密封容器を構成し、 ステ ムにはステムピンが固定され、 各ステムピンには陽極部及び陰極部がそれぞれ固 定され、 密封容器内には、 重水素ガスが数 T o r r程度封入されている。 このよ うなガス放電管は、 重水素ランプとして構成され、 安定した紫外線光源として利 用されている。 発明の開示

しかしながら、 従来のガス放電管は、 上述したように構成されているため、 次 のような課題が存在していた。

すなわち、 前述した密封容器は、 加工の自由度の観点から全てガラスで作られ ていたが、 ガラス製の側管とガラス製のステムとを熱融着させる際、 その接合温 度は 1 0 0 0 °Cを越え、 その対策として、 陽極部及び陰極部を接合部分から離す ようにしたフローティング構造を採用しなければならず、 その結果として、 密封 容器が大型化し、 ガス放電管自体が大きくならざるを得なかった。

本発明は、 上述の課題を解決するためになされたもので、 小型化と加工の自由 度を両立させたガス放電管を提供することを課題とする。

本発明者らは、 ガス放電管の小型化に向けてステム、 側管に様々な材質を用い る実験を試みた。 その結果、 側管自体をコバール金属等の材質とし、 その壁面に ガラス材あるいはセラミックスをコ一ティングした材質を用いた場合、 密封容器 の接合時にも陽極部及び陰極部の昇温は数十度程度にすぎず、 側管を小さくして 側管本体に陰極部及び陽極部を近づけた構造であっても、 陽極部及び陰極部への 熱ダメージがないことを見出した。

本発明はこの知見に基づいてなされたものである。 すなわち、 上記課題を解決 するため、 本発明のガス放電管は、 少なくとも一部が光を透過する密封容器内に ガスを封入し、 密封容器内に配置した陽極部と陰極部との間で放電を発生させる ことにより、 密封容器の光透過部から外部に所定の光を放出させるガス放電管に おいて、 この密封容器は、 陰極部及び陽極部をそれぞれ独立のステムピンを介し て固定させるステムと、 陰極部及び陽極部を包囲すると共に、 ステムに固定され ている側管と、 側管に固定されている光を透過する材質で形成された投光窓と、 により形成され、 側管の壁面にガラス材あるいはセラミックスがコーティングさ れていることを特徴とする。

本発明によれば、 ガス放電管の側管をガラス以外の材料 （例えば、 コバール金 属） で形成することができ、 側管を小さくして側管本体に陰極部及び陽極部を近 づけた構造であつても、 側管とステムの接合時の陽極部及び陰極部への熱ダメ一 ジがないため、 小型化が容易である。 さらに、 金属等を側管材料として使用する ことで加工の自由度、 安定性も高まる。 そして、 管壁面にガラス材ゃセラミック スをコ一ティングしているので、 管材料として容器内に封入されるガスと反応し たり、 ガスを吸蔵し得る材料であっても、 こうした反応、 吸蔵を起こすことなく 使用することができるので、管材料の選択の範囲が広がり、コストダウンが図れ、 加工の容易性が高まり、 好ましい。

この側管壁面のコーティングは、 結晶化ガラスであることが好ましい。 この結 晶化ガラスは、 結晶を析出させたガラスであり、 結晶とガラスが混在した状態に なっているから、 側管のコーティングとして極めて好ましいものである。

本発明は以下の詳細な説明および添付図面によりさらに十分に理解可能となる これらは単に例示のために示されるものであって、 本発明を限定するものと考え るべきではない。

本発明のさらなる応用範囲は、 以下の詳細な発明から明らかになるだろう。 し かしながら、 詳細な説明および特定の事例は本発明の好適な実施形態を示すもの ではあるが、 例示のためにのみ示されているものであって、 本発明の思想および 範囲における様々な変形および改良はこの詳細な説明から当業者には自明である ことは明らかである。 図面の簡単な説明

図 1は、 本発明に係るガス放電管の一実施形態を示す断面図であり、 図 2はそ の側管の壁部分の拡大図である。 発明を実施するための最良の形態

以下、 添付図面を参照して本発明に係るガス放電管の好適な実施形態について 詳細に説明する。 説明の理解を容易にするため、 各図面において同一の構成要素 に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、 重複する説明は省略する。

図 1は、 本発明に係るガス放電管を示す断面図である。 同図に示すガス放電管 1はヘッドオン型の重水素ランプであり、 この放電管 1は、 重水素ガスが数 T o r r程度封入された密封容器 2を有し、 この密封容器 2内には発光部組立体 3が 収容されている。 発光部組立体 3は、 ステム 4上に配置させるセラミックス製の 陽極支持板 5を有し、 この陽極支持板 5上に陽極板 6を配置させることで、 ステ ム 4に対して陽極板 6を離間させている。 この陽極板 6は、 ステム 4を貫通する ように固定させたステムピン 1 0 aの上端に対して溶接固定させている。 また、 陽極支持板 5上にはセラミックス製のスぺーサ 7が配置され、 このスぺ一サ 7上 には収束電極板 8が配置され、 この収束電極板 8に設けられた収束開口 8 aをス ぺーサ 7の開口 7 aに臨むようにして配置することで、 収束電極板 8を陽極板 6 に対峙させている。

さらに、 収束開口 8 aの側方には、 スぺーサ 7の上方に位置する陰極部 9が設 けられ、 この陰極部 9は、 ステム 4を貫通するように固定させたステムピン 1 0 bの上端に対して溶接固定されて、 電圧印加に伴い熱電子を発生する。 そして、 陰極部 9と収束開口 8 aとの間には、 光路 （図中で収束開口 8 aの直上方向、 す なわち矢印 A方向） から外れた位置に放電整流板 1 1が設けられ、 この放電整流 板 1 1には、 陰極部 9で発生した熱電子を通過させるための矩形開口の電子放出 窓 1 l aが設けられている。 そして、 放電整流板 1 1は収束電極板 8の上面に溶 接固定され、 この放電整流板 1 1には、 陰極部 9の上方及び電子放出窓 1 l aの 反対側にあたる後方を囲むようにして断面 L字形のカバ一板 1 2が設けられてい る。 このカバー板 1 2は、 陰極部 9から出るスパッ夕物あるいは蒸発物が、 石英 ガラス又は紫外線透過ガラス製の投光窓 1 9に付着しないようにしている。 このような構成の発光部組立体 3は密封容器 2内に設けられるが、 この密封容 器 2内を数 T 0 r rの重水素ガスで満たす必要性から、 ステム 4には、 排気管 1 3が固定され、 この排気管 1 3を利用することで、 密封容器 2内の空気を一旦抜 いた後、 所定圧の重水素ガスを適切に充填させることが可能になる。 充填後は、 排気管 1 3を封止することにより、 密封容器 2を密封する。

ここで、 密封容器 2は、 コバール金属やステンレス等からなる金属製の側管 2 0を有し、 この側管 2 0は、 両端が開放された円筒状に形成され、 ガラス製の投 光窓 1 9は、 側管 2 0の頂部に形成した円形の開口部 2 0 aを塞ぐように、 側管 本体 2 2の外壁面 2 2 Bに固定されている。 また、 ステム 4は、 ガラス （例えば コバールガラス） によって円柱状に形成され、 ステム 4には、 その周縁部に金属 (例えばコバール金属） 製の接合部材 1 5が設けられ、 この接合部材 1 5は、 円 筒状の胴部 1 5 aと、 この胴部 1 5 aの下端から径方向に鍔状に延びる第 1のフ ランジ部 1 5 bとからなる。 なお、 接合部材 1 5の胴部 1 5 aは、 ステム 4の外 壁面と融着あるいは接着により固定されている。

これに対して、 側管 2 0の他方の開放端側には、 側管 2 0の一体成形により、 その下端から径方向に鍔状に延びる第 2のフランジ部 1 6が設けられている。 そ こで、 ステム 4上に発光部組立体 3を固定させた状態で、 ステム 4を側管 2 0内 に挿入させながら、 ステム 4の金属製フランジ部 1 5 bと側管 2 0の金属製フラ ンジ部 1 6とを密着させ、 その状態を維持しつつ、 その合わせ部分に、 電気溶接 やレーザ溶接等の溶接作業を施し、 密封容器 2の気密シールを行う。 そして、 そ の溶接作業後、 排気管 1 3から密封容器 2内の空気を抜き、 密封容器 2内に数 T o r r程度の重水素ガスを充填させ、 その後、 排気管 1 3を封止して組立て作業 を完了させる。 なお、 第 1のフランジ部 1 5 bは、 放電管 1の発光部分 （収束開 口 8 aの前方でアークボールが発生する部分） に対する基準位置として利用され る。 すなわち、 放電管 1を組み立てるにあたり、 第 1のフランジ部 1 5 bと発光 部分との位置関係を一定に保っておくことで、発光部分の位置出しが容易になり、 その結果、 放電管を駆動させるための装置 （図示せず） に対する組付け作業性や 位置決め精度の向上が望める。

さらに、 側管 2 0の側管本体 2 2の内壁面 2 2 Aには、 その略全面に亙って、 図 2に示されるように、 コバ一ルガラス材 2 1がコ一ティングされている。 この ような側管 2 0は、 まず、 金属製の側管本体 2 2をプレスによって所定の形状に 成形する。その後、密封容器 2内に封入されるガスが側管本体 2 2を透過したり、 側管本体 2 2に吸蔵されたり、 側管本体 2 2と化学反応を起こしたりするような 不都合、 すなわち、 側管本体 2 2自体の材料と、 密封容器 2内に封入させるガス との組合わせによって引き起こされる様々な不都合を回避させるために、 側管本 体 2 2の内壁面 2 2 Aにガラス材 2 1を塗布又は C V Dによってコーティングす る。 その結果、 ガス放電管 1の寿命の低下を阻止できるばかりでなく、 側管本体 2 2を、 プレス成形容易な材質にすることで、 側管 2 0の加工形状の多様化を促 進させ、 大量生産への展望が確実に図られることになる。

また、 ガラス材 2 1として、 シリカ系ガラスや結晶化ガラスを採用することも できる。 結晶化ガラスは、 結晶を析出させたガラスであるから、 側管本体 2 2に 対して起こり得るであろう透過、 吸蔵又は化学反応といった現象を確実に阻止す ることができる。 この結晶ガラスの例としては、 M g F ₂ガラス， サファイアガ ラス， S i 0₂ガラス， C a F ₂ガラスなどがある。

なお、 ガス放電管 1の組み立て中又は使用中において、 ガラス材 2 1に含まれ ている不純物質が密封容器 2内に排出されて、 ガス放電管 1の特性に悪影響を与 えるような場合、 ガラス材 2 1を、側管本体 2 2の外壁面 2 2 Bに設けても良い。 また、 ガラス材 2 1を、 内壁面 2 2 Aと外壁面 2 2 Bとの両方に設けてもよいこ とは言うまでもない。

次に、 このような構成の放電管 1の動作について、 簡単に説明すると、 先ず、 2 0秒程度、 外部電源から陰極部 9に 1 0 W程度の電力を供給し、 陰極部 9を予 熱する。 その後、 陰極部 9と陽極板 6との間に 1 5 0 V程度の直流開放電圧を印 加して、 アーク放電の準備を整える。

その準備が整った状態で、 陰極部 9と陽極板 6との間に 3 5 0 V〜5 0 0 V程 度のトリガ電圧を印加する。 このとき、 陰極部 9から放出された熱電子は、 放電 整流板 1 1で整流させられながら、 収束電極板 8の収束開口 8 aで収斂し、 陽極 板 6に至る。 そして、 収束開口 8 aの前方にアーク放電が発生し、 このアーク放 電によるアークボールから取り出される紫外線は、 投光窓 1 9を透過して外部、 つまり矢印 A方向へと放出される。

本発明は、 前述した実施形態に限定されるものではない。 例えば、 側管本体 2 2の内壁面 2 2 Aと外壁面 2 2 Bとの何れか一方、 又はその両方において、 ガラ ス材 2 1に代えてセラミックス （アルミナ， 窒化ケィ素など） をコ一ティングし ても、 前述したガラス材 2 1と同様の目的を達成させることができる。 また、 側 管本体 2 2の材質としては、 非金属のもの例えばセラミックスであってもよい。 そして、 例えば、 密封容器 2に封入されるガスとしては、 重水素ガス以外に水銀 蒸気やヘリウムガス、 ネオンガス等があり、 これらガスは、 製品の寿命や信頼性 との関係上、 金属製の側管本体 2 2との組合わせが好ましくないガスである。 ま た、 本発明は、 サイ ドオン型の放電管にも適用できることは言うまでもない。 本発明によるガス放電管は、 以上のように構成されているため、 ガス放電管自 体の小型化と加工の自由度の両立を可能にしている。 産業上の利用可能性

本発明は、 ガス放電管、 特に、 分光器やクロマトグラフィなどの光源として利 用するためのガス放電管に好適に適用可能であり、 例えば、 重水素ランプ、 水銀 ランプ、 ヘリウムガスランプ、 ネオンガスランプ等に適用可能である。

Claims

言青求の範囲

1 . 少なくとも一部が光を透過する密封容器内にガスを封入し、 前記 密封容器内に配置した陽極部と陰極部との間で放電を発生させることにより、 前 記密封容器の光透過部から外部に所定の光を放出させるガス放電管において、 前記密封容器は、

前記陰極部及び前記陽極部をそれぞれ独立のステムピンを介して固定させる ステムと、

前記陰極部及び前記陽極部を包囲すると共に、 前記ステムに固定されている 側管と、

前記側管に固定されている光を透過する材質で形成された投光窓と、 により 形成され、

前記側管の壁面にガラス材あるいはセラミヅクスがコ一ティングされているこ とを特徴とするガス放電管。

2 . 前記側管壁面のコーティングは、 結晶化ガラスであることを特徴 とする請求項 1記載のガス放電管。