明 細 書
TNF—ひプロモーターが関与する疾患の遺伝子診断 技術分野
本発明は遺伝子診断に関するものであり、 詳しくは腫瘍壊死因子一 α (以 下 TNF— αと言う)が関与する疾患の遺伝子診断に関する。 背景技術
TNF— は、 Τ細胞、 マクロファージ、 ナチュラルキラー細胞等の細 胞から、 細菌、 ウィルス、 各種マイ トージヱン、 その他の起炎物質による 誘導によって産生されるタンパク質であって、 以下のような生物活性を有 する。
1)腫瘍に出血性壊死を誘導する因子(in vivo)
2)がん細胞にアポト一シスを誘導(in vitro)
3)プロスタグランジンゃコラゲナーゼの産生
4)接着分子(1 CAM— 1, ELAM— 1)の発現
5) HLAクラス I Iの発現
6)炎症性サイ トカイン(I L一 1, I L— 6)の産生
7 )ケモカイン(I L一 8, R ANTES)の産生
8)骨、 軟骨吸収の亢進
TNF— αは各種炎症性疾患の病態形成のサイ トカインカスケ一ドの最 上流に位置する重要な物質であると考えられる。
従来より TNF— α産生量の個人差が指摘されている。 また TNF— は血管障害に関与する重要なサイ トカインである。 川崎病急性期の血清中 T N F—ひは異常な高値を示し、 同時期の末梢血単核球では T N F— α産
生が亢進しているといわれている。 これらのことより、 全身の血管障害を 主病変とする川崎病の発症において、 TNF— が重要な役割を果たして いると考えられる(M. S akaguchi, H. Kato, A. Nishiyori, K. S agawsおよび K- I toh. Production of tumor necrosis factor-alpha b y V/52— or V y38 " CD 4+ T cells in Kawasaki disease. In " Kawasaki disease" (H. Kato, Ed. ), pp. 206-213, Elsevier, Amst erdam(1995))。 そこで、 川崎病の発症および重症度には遺伝的要因に基づ く TNF—ひ高産生性が関与していることが予想される。
同様にリゥマチにおいても TNF— の産生が亢進している(M. Sebb ag, S . L. Parry, F. M. Bren腿および M. Feldmann. Cytokine stimulation of T lymphocytes regulates their capacity to induce monocyte production of tumor necrosis factor-alpha, but not interl eukin— 10: possible relevance to pathophysiology of rheumatoid art hritis. Eur. J. Immunol. 27: 624-632(1997))。
—方 S LE腎症では TNF産生能が低いとされる(C. 0. Jacob, Z.
F ronek, G. D. Lewis, M. Koo, J. A. Hansenおよび H. 0. McDevitt. Heritable major histocompatibility complex class II - a ssociated differences in production of tumor necrosis factor a: R elevance to genetic predisposition to systemic lupus erythmatosus.
Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 87 : 1233— 1237(1990))。 発明の開示
このようにある種の病気の発生や重症度には、 個人の持つ T N F— α産 生能が関係していることが予想される。
従って遺伝的要因に基づく個体の TNF— α産生能を予め客観的に測定
できれば、 TNF— が関与する疾患の事前診断 (病気になり易さ、 病気 になった場合の重症度、 治療に対する反応性等)や予後の判定を行うこと ができる。
このような目的の達成のため発明者等は鋭意検討を行った。 その結果 T NF— α遺伝子の 5'フランキング(プロモータ一)領域にヌクレオチド変 化の遺伝子多型が存在すること、 該ヌクレオチド変化によって TNF—ひ の産生能が顕著に変化することを見出したことに基づいて本発明を完成さ せた。
すなわち本願発明は、 TNF— α遺伝子の 5'フランキング領域内のヌ クレオチド変化であって、
1)— 857位 (配列番号 9の 373位) のシ トシン (C) からチミン (Τ)への変化、
2)— 863位 (配列番号 9の 367位) のシトシン (C) からアデ二 ン(Α)への変化、
3)— 1031位 (配列番号 9の 199位) のチミ ン (Τ) からシ トシ ン(C)への変化、
および
4)それらの相補鎖における対応する各々の変化
から選択される 1または 2以上の変化の有無を検出することよりなる、 Τ N F—ひが関与する疾患判定の為の遺伝子多型のスクリーニング方法を要 旨とするものである。
本明細書において「TNF— が関与する疾患」とは TNF—ひの産生量 の多少によって疾患の発生や重症度、 治療に対する反応性が左右される疾 患を意味する。 このような疾患には例えば、 若年性関節リウマチ、 慢性関 節リウマチ、 SLE腎症ゃ川崎病、 さらにはまたインシュリ ン依存性およ
びインシュリ ン非依存性糖尿病、 レブチン関連疾患、 例えば肥満症等 (D— IABETES、 第 46巻 1468— 1472頁(1997)) が挙げられ る。 TNF— αが関与する疾患には HL A 4または 9に関連する疾患、 例 えば慢性関節リウマチ、 尋常性天疱瘡、 糖尿病、 原田病、 C r 0 h n病等 も含まれる。 図面の簡単な説明
図 1は、 TNF— α産生量の個体差を示す。
図 2は、 TNF—び遺伝子のプロモーター領域の多型を示す。
図 3は、 TNF—ひ産生量と TNF— 遺伝子のプロモータ一領域の多 型との関係を示す。
図 4は、 プロモータ一活性の解析方法を示す。
図 5は、 TNF— α遺伝子の染色体における位置を示す。
図 6は、 TNF—ひプロモーター領域の ASOハイプリダイゼーション 解析の電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
図 7は、 TNF— α遺伝子のプロモーター領域の塩基配列である。 発明の実施の形態
遺伝子を取り出す試料としてはあらゆる生検試料を使用することができ るが、 典型的には白血球であり、 肝組織バイオプシーも使用できる。
得られた試料をプロティナーゼ K—SDSによりタンパク質分解 ·変性 後、 フエノール/クロ口ホルム抽出によりゲノムDNA(+RNA)が得ら れる。 所望により、 RNAは RNァーゼにより除去することができる。 次いで、 得られたゲノム DNAを、 以下に記載のプライマーを用いて Ρ CR法により増幅させる。
センスプライマー (1〜20番目の塩基に相当)
5 '一 GCTTGTGTGTGTGTGTCTGG- 3 ' (配列番号 1 )
アンチセンスプライマ一 (1024〜 1042番の相補鎖に相当)
5 ' - GGACACACAAGCATCAAGG- 3 ' (配列番号 2 )
次いで、 以下に記載する核酸変異検出手法によりヌクレオチド変化の有 無を確認する。
1) RFLP法 (制限断片長多型)
2) PCR-S SC P法 (一本鎖 D N A高次構造多型解析)
3 )A S 0ノヽイブリダイゼ一ション法 (allele specific oligonucleotid e hybridization)
P CR産物をナイロンフィルターなどの支持体にドッ トブロッ トし、 検 索する変異部位に対応した塩基配列をもつ、 18mer程度の合成オリゴヌ クレオチドプローブ(シグナルを得るにはラジォアイソトープあるいはビ ォチン標識が必要)とのハイブリダィゼーション後、 そのプローブの Tm値 に準じたボスト洗浄により、 1塩基ミスマッチの検出(ミスマッチがあれ ばハイブリッ ドが外れる)が可能となる。 これは、 PCRを用いた特定の 塩基置換の検出法としては最も典型的な方法である。
4)シークェンス法
得られた領域の全塩基配列を決定し、 ヌクレオチド変化の有無を直接調 ベる。
5)サザンプロッティング法
DNAを制限酵素処理し、 電気泳動で展開し、 プローブとハイブリダィ ゼ一シヨンをする一般的方法である。 ゲノ ミックサザン法、 PCRサザン 法のいずれも使用できる。 後者は、 上記(3)と原理は同じであるが、 移動 度の情報が得られる点で、 精度上の利点を有している。
6 ) A RM S (amplification refracting mutation system)
PCRでは、 铸型 DNAにプライマーがァニールした後、 DNAポリメ ラーゼにより 5'から 3'に相補鎖 DNAが合成される。 プライマーの 3'- 末塩基にミスマッチがあると、 PCRの効率が低下する、 即ち電気泳動的 に観察不可能になる。 ARMSは本原理を利用するものであり、 プライマ 一の 3 '末塩基が検出したい変異塩基に相補的なものを用いて P CRを行 い、 増幅産物の有無を検出できる。
7) DGGE(denaturing gradient gel electrophoresis^変性斉 ij濃度 勾配ゲル電気泳動法)
PCR産物中のミスマッチを待つヘテロデュプレックスが、 ホモデュプ レックスよりもその解離が容易であることを利用した方法である。 解離が 進むにつれ、 ゲル電気泳動の移動度が落ちるので、 展開するポリアクリル アミ ドゲルに尿素およびホルムアミ ドの密度勾配をつけることによりそれ がさらに強調され、 ミスマッチを含む 2本鎖 DN Aの存在、 即ち変異の存 在が検出される。
8) RNase切断法
RNaseA(RNA分解酵素)は 2本鎖の RNAもしくは RNA/DNA コンプレックスを分解せず、 1本鎖の RNAのみを分解する特性を有する 従って、 例えば 32 Pにより標識した RNAプローブを 1本鎖変性したサ ンプル DNAとハイブリダィズさせ、 RNaseA処理後、 電気泳動により 展開すれば、 変異型とハイブリダィズした R N Aプロ一ブはミスマッチ部 位で切断されるので、 2本のバンドとして検出できる。
9)化学切断(chemical cleavage)法
2本鎖 DNAのミスマッチ部位の「 (:」に対してはヒドロキシルァミン、 「T」に対してはォスミゥムテトラォキシドで別個に修飾した後、 ピペリジ
ン処理をすると糖が切断される。 標識プローブを用いて 2本鎖を形成させ, 本処理後、 電気泳動し、 プローブのサイズが短くなれば変異が検出された ことになる。
10)リガーゼ法
2つのオリゴヌクレオチドを DN Aリガーゼで連結するとき、 結合位置 に铸型 D N Aとの間にミスマッチがあると、 結合できないことが原理であ i) LMG D (ligase— mediated gene detection)法
一方のオリゴ DNAは例えば 32P標識、 他方はピオチン標識し、 ライ ゲーシヨン後、 ストレプトアビジン吸着による回収を行なう。 これらが連 結する(即ち、 ミスマッチしない)ならば、 32 Pの放射線量が高値を示す ので、 検出することができる。
ii) L C R (ligase chain reaction)
上記のライゲ一ション反応を、 耐熱性のリガ一ゼを用いて繰り返し行な うことで、 P CRと同様に DNA鎖に対してもオリゴ DNAがァニールす るので、 高感度に変異の検出が可能となる。 実施例
実施例 1
TNF— α産生能の比較:
日本人の健常人 9名より分離した PBMC (末梢血単核球) 1 X 106を 培地(RPMI 1640 + 5%FCS)lmlに浮遊し、 ConA (コンカナバ リン(Concanavaline)A: 10 /gZml)により刺激し、 37°Cで 20時間 培養後、 上清中の産生された TNF— 濃度を EL I SA法にて測定した 結果を図 1に示す。
ConA刺激による PBMCの TNF— α産生量は日本人健常人 9名で著 しい差があることを見出した。
実施例 2
TNF— α遺伝子プロモーター領域における多型の解析:
実施例 1と同様に分離した PBMCによりゲノム DNAを分離し、 PC R法にて TNF— α遺伝子プロモータ一領域 (約 1.3Kbp)を増幅したあ と、 さらに TAクローニング法にて増幅し全塩基配列の決定を行ない、 多 型の有無を解析した。 結果を図 2及び図 7に示す。 図 7は、 独自に構築し たコンセンサス配列 (配列番号 9) に対してケース 2Xおよび 2 Yをァラ ィメン卜させた図である。
上記 9名の配列比較により、 T N F— 遺伝子プロモータ一領域に現在 までに報告されていない多型が 3力所存在することを見出した。
実施例 3
多型プロモーターの活性:
これらの TNF— 遺伝子プロモータ一領域の一 857、 一863、 お よび一 1031位における多型は、 TNF—ひ高産生者に高頻度にみられ た。
そこで、 —857、 —863、 — 1031位のいずれかに多型を認める ものといずれにも認めないもので TNF— 産生能を比較した。 その結果、 前者において有意に TNF— α産生能が高いことが統計的に認められた(p 値 =0.05:Mann Whitneyの U検定)(図 3 )。
次にこれら多型のうちの一 857位に多型をもつものと一 863および -1031位に多型をもつものと 2種類について、 そのプロモータ一活性 をレポ一夕一遺伝子を用いて次のように測定し、 比較した。
TNF— 遺伝子プロモーター領域を、 レポーターベクター(PGL—
3:ホタルルシフヱラ一ゼ遺伝子を含む)に挿入し、 対照べクタ一(PRL— TK:レニラルシフヱラーゼ遺伝子を含む)とともにヒ ト T細胞白血病株 J urkatにエレク トロポレーションにて同時トランスフエクションし、 18, 時間培養した。 その後 Ficoll比重遠心法にて生細胞のみ分離し、 細胞溶 解したあと 2種類のルシフヱラーゼ活性をルミノメーターで測定した(図 4)。 プロモーター活性は、 対照ベクターのルシフヱラーゼ活性に.対する 比より決定した。
結果を表 1に示す。 一 857位に多型を有する TNF— 遺伝子プロモ 一ター (pGL— TNFp2X) 、 および一 863と _ 1031位に多型を 有するプロモーター (pGL— TNFp2Y) は保存配列より約 2倍強いプ 口モーター活性を有する。
ーフ 2.7.8 ーおける TN F-αプロモーター領域の多型と転写活性の関係
AS 0ハイブリダイゼ一ション法による TNF— 遺伝子プロモーター 領域多型の解析:
— 857、 —863および一 1031位の多型について、 ASOハイブ リダイゼーシヨン法により解析した。 実施例 2と同様にゲノム DNAより、 P CR法にて TNF—ひ遺伝子プロモータ一領域を増幅したのち、 ナイ口 ンフィルターにドッ トスポッ トし、 UVクロスリ ンカ一で固定した。 AS 0プローブの塩基配列を以下に示す。
5' - CTTAACGAAGACAGGGCC - 3'
(一 857位の Cに特異的に反応する。 配列番号 3。 以下、 H— 857 C と呼ぶ。 )
5' - CTTAATGAAGACAGGGCC - 3'
(-857位の Tに特異的に反応する。 配列番号 4。 以下、 H— 857 T と呼ぶ。 )
5' - ATGGGGACCCCCCCTTAA - 3'
(一 863位の Cに特異的に反応する。 配列番号 5。 以下、 H— 863 C と呼ぶ。 )
5' - ATGGGGACCCCCACTTAA - 3'
(-863位の Aに特異的に反応する。 配列番号 6。 以下、 H— 863 A と呼ぶ。 )
5' - CTGAGAAGATGAAGGAAA - 3'
(一 1031位の Tに特異的に反応する。 配列番号 7。 以下、 H—103 1Tと呼ぶ。 )
5' - CTGAGAAGACGAAGGAAA - 3'
(一 1031位の Cに特異的に反応する。 配列番号 8。 以下、 H—103
1 cと呼ぶ。 )
これらをァ 32— P— ATPで末端標識して用いた。 ハイプリダイゼーショ ンは、 TMAC (テトラメチルアンモニゥムクロライド) 存在下で行った。 結果を図 6および表 2に示す。 図 2に示した塩基配列の結果と完全に一致 する結果が得られた。
表 2
AS〇-Hybn'dization法による健常人 9名の
TNF- 遺伝子プロモーター領域の 3種の多型の確認
実施例 5
健常人の T N F— α遺伝子 5 'フランキング領域多型
日本人の健常人 575人について、 —238、 一 308、 —857、 - 863、 および— 1031位の多型について、 実施例 4と同様にして AS 〇ハイブリダィゼーション法により解析した。 結果を表 3に示す。 表 3
TNF- αのプロモーター領域のヌクレオチド 頻度 )
-1031 -863 -857 -308 -238 (健常人 n=575) ァレル A T C C G G 64.5 ァレル B C A C G G 14.0 ァレノレ C C C C G G 2.0 ァレル D T C T G G 17.7 ァレノレ E T C C A G 1.7 健常人ではアレル A (— 1031位が T、 一 863位が (:、 —857位 が (:、 一 308位が G、 一 238位が Gであるアレル) を有する人が多い ことがわかる。 実施例 6
若年性関節リウマチと TNF— 遺伝子 5'フランキング領域多型との 関係
112人の若年性関節リウマチ (J RA) 患者 (全身性および非全身性) における一 857位および一 1031位の多型を、 健常人の場合と比較し た (表 4)。
表 4
J RAと多型との関係
-857/T+ -857/T - P値 ォッヅ比
N(%) N(%)
健常人 186(32.3) 389(67.6)
J RA (n=112) 41(36.6) 71(63.4) 有意差なし 1.208 全身性 (n=51) 26(51.0) 25(49.0) 0.011 2.175 非全身性 (n=61) 15(24.6) 46(75.4) 有意差なし 0.682
-1031/C+ -1031/C- P値 ォッヅ比
N(%) N(%)
健常人 170(29.6) 405(70.4)
J RA (n=112) 43(38.4) 69(61.6) 0.0825* 1.485 全身性 (n=51) 22(43.1) 29(56.9) 0.0635* 2.175 非全身性 (π=61) 21(34.4) 40(65.6) 有意差なし 1.251
*p=0.043(Fisher exact test)
**P=0.034(Fisher exact test) 表 4中、 一 857/T +とは一 857位が Tに変化しているもの、 一 8 57 /Τ—とは同位が Τに変化していないもの (すなわち Cであるもの) を示す。 同様に一 1031ZC +とは一 1031位が Cに変化しているも の、 — 1031/C—とは同位が Cに変化していないもの (すなわち丁で あるもの) を示す。
全身性リウマチ患者では、 健常人と比較して一 857ΖΤ+と一 857 Τ一との比、 および— 1031/C +と一 1031ZC—との比が有意に
異なることがわかる。 このことは、 -857位または一 1031位におけ るヌクレオチドの変化を調べることによって若年性全身性関節リゥマチが 診断できることを示唆するものである。 実施例 7
慢性関節リウマチと TNF— 遺伝子 5'フランキング領域多型との関 慢性関節リウマチ(RA)患者(387人)および健常者(575人)につい て、 TNF— 3遺伝子の一 1031位、 —863位、 — 857位、 —30 8位および一 238位における多型を分析した。 結果を表 5に示す。
表 5 R A患者と健常ドナーにおける TNF— 遺伝子の 5'フランキ—— ング領域の多型の遺伝子型およびァレル頻度
多型の位置 — 1, 031
マ
レノレ j 3fs¾皮
N TT TC CC T C ォッズ比1)
RA 387 260 115 12 0.820 0.180 1.15
(67.2) (29.7) (3.1)
健常ドナー 575 405 156 14 0.840 0.160 - (70.4) (27.3) (2.4) 多型の位置 -863
遺伝子型 (¾0 アレル頻度
N CC CA A A C A ォッズ比
RA 387 270 107 10 0.836 0.164 1.21
(69.8) (27.6) (2.6)
健常ドナー 575 424 141 10 0.860 0.140 - (73.7) (24.5) (1.7) 多型の位置 -857
遺伝子型 (¾0 アレル頻度
N CC CT TT C T ォッズ比
RA 387 199 165 23 0.727 0.273 1.742)
(51.4) (42.6) (5.9)
健常ドナー 575 389 168 18 0.823 0.177 - (67.7) (29.2) (3.1)
多型の位置 -308
遺伝子型 (« アレル頻度
N GG GA A A G A ォッズ比 r> Λ 07
A 00/ οο4 ο U U. ί)ί)ο U. UU4 U. LL
(99.2) (0.8) (0.0)
健常ドナー 575 556 18 1 0.983 0.017
(96.7) (3.1) (0.2) 多型の位置 -238
遺伝子型(%) アレル頻度
N GG GA A A G A ォッズ比
RA 387 376 11 0 0.986 0.014 0.71
(97.2) (2.8) (0.0)
健常ドナー 575 552 23 0 0.980 0.020
(96.0) (4.0) (0.0)
n ォッズ比: 多型アレル(― 1031 C、 — 863A、 — 857T、 - 308 Αまたは— 238 A)のォッヅ比は対照の健常ドナーと比較して計 算した。
2> pく 10-4、 3> p= 0. 014 (Yates collectionを用いる chi— squa re検定による)
上表に示すように、 —1031での Tから Cへの変化 (以下「一 1031 C」と言う)、 一 863位での Cから Aへの変化 (以下「一 863 A」と言う)、 -857位での Cから Tへの変化(以下、 「一 857TJと言う)、 -308 位での Gから Aへの変化(以下、 「― 308AJと言う)、 および一 238位 での Gから Aへの変化(以下、 「一 238 A」と呼ぶ)の割合は、 RA患者に
おいては、 それぞれ 18.0%, 16.4%、 27.3%、 0.4%、 1.4 %であった。 一方健常者においては、 それぞれ 16.0%、 14.0%、 1 7.7%、 1.7%、 2.0%であった。 一 857Tおよび— 308 Aの割- 合は、 R A患者と健常者との間で統計的に有意差があり、 R A患者では健 常者に比べて、 —857位が Tに変化している割合が大きく、 — 308位 が Gから Aに変化している割合が低い。 このことは TNF—な遺伝子の一 857位および— 308位における多型は RA感受性に関与していること を示すものである。 実施例 8
慢性リゥマチ患者の臨床的特徴と T N F—ひ遺伝子 5 'フランキング領 域の多型との関係
慢性リウマチ(RA)患者において、 — 1031C、 _863A、 —85 7 Tの有無と、 その患者の臨床的特徴(関節点数(Lansbury評価法), 腫膿 関節数、 疼痛関節数、 顕微鏡下血尿)との関係を調べた。 結果を表 6に示 す。
表 6 R A患者における、 臨床的特徴、 TNF— α遺伝子および HLA DRB 1 * 0405の研究
n その HLA DRB 1の遺伝子型が与えられているサンプル(19)を 本研究で用いた。
2)、 3\ 4) 関節点数(Lansbury評価法)の平均値、 および腫膿関節数また は疼痛関節痛の平均数を示した。 各アレルの陽性群および陰性群間に stud ent t検定により有意差は認められなかった。
55 顕微鏡下血尿( 1+, 2+, 3 +)を有する患者の頻度を示した。
6)、 7)ォッヅ比 =8.80,p= 0.034 (Fisherのイクザク ト検定)
RA患者であって、 HLA DRB 1 * 405陰性の患者においては、 一 1031 C、 または一 863 Aが陽性である場合には、 Microhematuri aを有している場合が有意に多いことが認められる。 このことは TNF— α遺伝子の一 1031位および— 863位における多型は R Αの腎臓合併 症に関与していることを示唆するものである。
実施例 9
インシユリン依存性糖尿病と TNF— α遺伝子 5'フランキング領域多 型との関係
インシユリン依存性糖尿病( I D DM)患者(140人)および健常者(5 75人)について、 TNF—ひ遺伝子の一 857位、 —863位および— 1031位置における多型を分析した。 結果を表 7に示す。 表 7 I D DM患者と健常ドナーにおける TNF—ひ遺伝子の 5'フラン キング領域の多型の遺伝子型およびアレル頻度
-857遺伝子型 ァレル
CC CT TT -857C -857T iv i P Pc 健常ドナ- 575 389 168 18 946 204
(67.7) (29.2) (3.1)1(82 3) (17.7)
IDDM 140 69 61 10 199 81 1.888 く 10— 4 く 10— 4
(49.3) (43.6) (7.1)1(71.1) (28.9)
N TT TC CC -1031T -1031C ォツズ比 P Pc 健吊トナ- 575 40ο 156 14 966 184 一 一 一 - (70.4) (27.1) (2.4) (84.0) (16.0)
IDD 140 81 47 12 209 71 1.784 0.0002 0.0003
(57.9) (33.6) (8.6) (74.6) (25.4) 上表に示すように、 I DDM患者における— 1031 C、 一 863A、 -857 Tの割合は、 それぞれ 25.4%、 25.0%、 28.9%であり、 一方健常者においては 16.0%、 14.0%、 17.7%であった。 両者 のこれらの値の差異は統計的に有意であり、 TNF— 遺伝子の一 103
1位、 一 863位、 一 857位における多型はインシュリン依存性糖尿病 感受性に関与していることを示す。 実施例 10
インシュリン非依存性糖尿病と TNF—ひ遺伝子 5'フランキング領域 多型との関係 (1)
肥満しているインシユリン非依存性糖尿病患者(N I DDM + )(59人) および健常者(N I D DM— )(96人)について、 TNF— 遺伝子の一 8 57位における多型を分析した。 結果を表 8に示す。
表 8 肥満者における N I DDMおよび非 N I DDM間の TNF— α遺伝 子の 5'フランキング領域の一 857位における遺伝子型およびアレルの
上表に示すように、 一 857 Tの割合は DM患者では 28.0%である のに対し、 健常者では 14.0%であり、 これらの値は統計的に有意差が あった。
このことは肥満している人では、 TNF—ひ遺伝子の一 857位におけ る多型が糖尿病に関与していることを示すものである。 実施例 11
インシユリン非依存性糖尿病と T N F—ひ遺伝子 5 'フランキング領域 多型との関係 (2)
肥満していない、 インシュ リ ン非依存性糖尿病患者(N I DDM + X1 54人)および健常者(N I DDM— )(195人)について、 TNF— α遺 伝子の一 1031位および— 863位における多型を調べた。 結果を表 9 に示す。
表 9 非肥満者における N I D DMおよび非 N I DDM間のTNF— 遺 伝子の 5'フランキング領域における一 863および一 1031における 遺伝子型およびァレルの頻度
上表に示すように、 —1031 ぉょびー863八の割合は、 NI DD M患者では、 それぞれ 12.0%、 10.7%であるのに対し、 健常者では、 それぞれ 18.5%、 17.4%であった。 これらの値の差異は統計的に有 意である。
このことは肥満していない人では、 TNF— α遺伝子の一 1031位、 -863位における多型が糖尿病に関与していることを示す。
実施例 12
HLAの DRB 1アレルと TNF— αの遺伝子 5'フランキング領域多 型との関係
ヒト白血球抗原 (HLA) の DRB 1には多数の多型が存在することが 知られている。 そこで HLAの DRB 1アレルと本願発明に係る TNF— 遺伝子 5'フランキング領域における多型との関係を調べた。 . 表 10
DRB 1 0901アレルとアレル Βとの相関
DRB1 Hf p値 * ォッヅ比
0901+ 0901- アレル B+ 63 58
0.0386 5.279 0.0636 〈10-8 3.513 アレル B— 78 249
DRB1 0405アレルとアレル Dとの相関
DRB1 △ t Hf p値 * ォッヅ比
0405+ 0405- アレル D+ 69 76
0.0508 6.937 0.0741 く 10- 10 5.947 アレル D— 40 262
*統計的有意差は chi- square検定により評価 表 10において 0901+とは DPB 1 0901アレルを言い、 09 01—とは DPB 1 0901アレルでないものを言う。 同様に 0405
+とは DPB 1 0405アレルを指し、 0405—とは DPB1 040 5アレルでないものを言う。
またァレル B +とはァレル Bを言い、 了レル B—とはァレル Bではない もの (すなわちアレル A、 C、 Dまたは E) を言う。 同様にアレル D +と はアレル Dを指し、 アレル D—とはアレル Dでないもの (すなわちアレル A、 B、 Cまたは E) を言う。 アレル A、 B、 C. Dおよび Eについては 実施例 5を参照。
表から明らかなように、 HLAの DRB 1 0901—とアレル B―、 および HLAの DRB 1 0405—とアレル D—には強い相関性が認め られる。 図 5に示すように、 TNF— の 5'フランキング領域は、 染色 体上 HL Aクラス Iとクラス IIとの間に位置しているので、 HL Aと TN F—ひプロモーターは連鎖している可能性がある。
—方、 従来から HLAと疾患感受性との関係が指摘されている (「医科 免疫学」 改訂第 4版、 107頁、 菊地浩吉編、 南江堂)。 例えば HLAの DRB 1 405を有する人は、 慢性関節リウマチ、 尋常性天疱瘡、 糖尿 病、 原田病、 C r 0 h n病等に対する感受性が強いとされる。 従って、 T NF— α遺伝子 5'フランキング領域の多型を調べることによってこれら の病気の事前診断を行うことのできる可能性が示唆される。
以上のように、 本発明の TNF— が関与する疾患遺伝子多型のスクリ 一二ング方法により、 或る個体の TNF—ひ遺伝子 5'フランキング領域 内の特定の位置でのヌクレオチド変化を測定すれば、 その個体の TNF— α産生能、 ひいては TNF—ひが関与する疾患の事前診断や予後の判定を 行うことができる。
配列表
配列番号: 1
配列の長さ : 2 0
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
GCTTGTGTGT GTGTGTCTGG 20 配列番号: 2
配列の長さ : 1 9
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
GGACACACAA GCATCAAGG 19 配列番号: 3
配列の長さ : 1 8
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
CTTAACGAAG ACAGGGCC 18 配列番号: 4
配列の長さ : 1 8
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
CTTAATGAAG ACAGGGCC 18 配列番号: 5
配列の長さ : 1 8
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
ATGGGGACCC CCCCTTAA 18 配列番号: 6
配列の長さ : 1 8
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
ATGGGGACCC CCACTTAA 18 配列番号: 7
配列の長さ : 1 8
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
CTGAGAAGAT GAAGGAAA 18 配列番号: 8
配列の長さ : 1 8
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
CTGAGAAGAC GAAGGAAA 18 配列番号: 9
配列の長さ : 1 3 5 7
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類: Genomic D N A
起源
生物名: ヒ ト
配列
GCTTGTGTGT GTGTGTCTGG GAGTGAGAAC TTCCCAGTCT 40
ATCTAAGGAA TGGAGGGAGG GACAGAGGGC TCAAAGGGAG 80 CAAGAGCTGT GGGGAGAACA AAAGGATAAG GGCTCAGAGA 120 GCTTCAGGGA TATGTGATGG ACTCACCAGG TGAGGCCGCC 160
AGACTGCTGC AGGGGAAGCA AAGGAGAAGC TGAGAAGATG 200
AAGGAAAAGT CAGGGTCTGG AGGGGCGGGG GTCAGGGAGC 240
TCCTGGGAGA TATGGCCACA TGTAGCGGCT CTGAGGAATG 280
GGTTACAGGA GACCTCTGGG GAGATGTGAC CACAGCAATG 320
GGTAGGAGAA TGTCCAGGGC TATGGAAGTC GAGTATGGGG 360
ACCCCCCCTT AACGAAGACA GGGCCATGTA GAGGGCCCCA 400
GGGAGTGAAA GAGCCTCCAG GACCTCCAGG TATGGAATAC 440
AGGGGACGTT TAAGAAGATA TGGCCACACA CTGGGGCCCT 480
GAGAAGTGAG AGCTTCATGA AAAAAATCAG GGACCCCAGA 520
GTTCCTTGGA AGCCAAGACT GAAACCAGCA TTATGAGTCT 560
CCGGGTCAGA ATGAAAGAAG AAGGCCTGCC CCAGTGGGGT 600
CTGTGAATTC CCGGGGGTGA TTTCACTCCC CGGGGCTGTC 640
CCAGGCTTGT CCCTGCTACC CCCACCCAGC CTTTCCTGAG 680
GCCTCAAGCC TGCCACCAAG CCCCCAGCTC CTTCTCCCCG 720
οε
χοχοχχ 90V300V330 I39VV3V9I3 3331V3V330
0221 3V0V3I303V V3VVVV0I33 D3303V9V0V I3VV33VV0V o 39VO3VO0VO V30V3V00VV 39V3X330I3 o 03V0V39V33 9VDD3V3V30 OXIDII9VO0 0VVVIVIV3V
002ΐ V0IVV0II93 09Π VV30VV33V3 V3I39V9IV9 om V30I33IX30 33V13V3330 99V39133VV 0V3VDV033V
080ΐ VV0VV0V90I 03001VVV33 II13VV3033 o χχο IV31I33IV1 V03991V30V
ΟΟΟΐ 900V30VD03 IVV003I330 333V9VV0V3 3300I0V3I3 096 V3IVVV3V3V 3VI33I330V 30I330V31X 026 IV39009V9I III00VIVV3 30V90IVVV3 VVVV3333I0 088 D103V9V3VO 0V3V0VVV00 VV9VII9VV9 0I3191331V θί^δ O X X 0IVI3II3VI 3II9V300I3 3330VV0I31
008 II00V3I3V0 9VV3I333I3 Ο X 000 3VV331300I 09Α III30V0V3V V0I3V09V3I 3330V3V3VV V333V000V3 /,ZZO/86df/X3d 19ひ S/86 OAV