JP4119490B2 - TNF−αプロモーターが関与する疾患の遺伝子診断 - Google Patents

TNF−αプロモーターが関与する疾患の遺伝子診断 Download PDF

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    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/156Polymorphic or mutational markers

Description

技術分野
本発明は遺伝子診断に関するものであり、詳しくは腫瘍壊死因子−α(以下TNF−αと言う)が関与する疾患の遺伝子診断に関する。
背景技術
TNF−αは、T細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞等の細胞から、細菌、ウイルス、各種マイトージェン、その他の起炎物質による誘導によって産生されるタンパク質であって、以下のような生物活性を有する。
1)腫瘍に出血性壊死を誘導する因子(in vivo)
2)がん細胞にアポトーシスを誘導(in vitro)
3)プロスタグランジンやコラゲナーゼの産生
4)接着分子(ICAM−1,ELAM−1)の発現
5)HLAクラスIIの発現
6)炎症性サイトカイン(IL−1,IL−6)の産生
7)ケモカイン(IL−8,RANTES)の産生
8)骨、軟骨吸収の亢進
TNF−αは各種炎症性疾患の病態形成のサイトカインカスケードの最上流に位置する重要な物質であると考えられる。
従来よりTNF−α産生量の個人差が指摘されている。またTNF−αは血管障害に関与する重要なサイトカインである。川崎病急性期の血清中TNF−αは異常な高値を示し、同時期の末梢血単核球ではTNF−α産生が亢進しているといわれている。これらのことより、全身の血管障害を主病変とする川崎病の発症において、TNF−αが重要な役割を果たしていると考えられる(M.Sakaguchi,H.Kato,A.Nishiyori,K.SagawaおよびK.Itoh.Production of tumor necrosis factor-alpha by Vβ2-or Vβ8-CD4+T cells in Kawasaki disease.In“Kawasaki disease”(H.Kato,Ed.),pp.206-213,Elsevier,Amsterdam(1995))。そこで、川崎病の発症および重症度には遺伝的要因に基づくTNF−α高産生性が関与していることが予想される。
同様にリウマチにおいてもTNF−αの産生が亢進している(M.Sebbag,S.L.Parry,F.M.BrennanおよびM.Feldmann.Cytokine stimulation of T lymphocytes regulates their capacity to induce monocyte production of tumor necrosis factor-alpha,but not interleukin−10:possible relevance to pathophysiology of rheumatoid arthritis.Eur.J.Immunol.27: 624-632(1997))。
一方SLE腎症ではTNF産生能が低いとされる(C.O.Jacob,Z.Fronek,G.D.Lewis,M.Koo,J.A.HansenおよびH.O.McDevitt.Heritable major histocompatibility complex class II-associated differences in production of tumor necrosis factor a: Relevance to genetic predisposition to systemic lupus erythmatosus.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.87:1233−1237(1990))。
発明の開示
このようにある種の病気の発生や重症度には、個人の持つTNF−α産生能が関係していることが予想される。
従って遺伝的要因に基づく個体のTNF−α産生能を予め客観的に測定できれば、TNF−αが関与する疾患の事前診断(病気になり易さ、病気になった場合の重症度、治療に対する反応性等)や予後の判定を行うことができる。
このような目的の達成のため発明者等は鋭意検討を行った。その結果TNF−α遺伝子の5’フランキング(プロモーター)領域にヌクレオチド変化の遺伝子多型が存在すること、該ヌクレオチド変化によってTNF−αの産生能が顕著に変化することを見出したことに基づいて本発明を完成させた。
すなわち本願発明は、TNF−α遺伝子の5’フランキング領域内のヌクレオチド変化であって、
1)−857位(配列番号9の373位)のシトシン(C)からチミン(T)への変化、
2)−863位(配列番号9の367位)のシトシン(C)からアデニン(A)への変化、
3)−1031位(配列番号9の199位)のチミン(T)からシトシン(C)への変化、
および
4)それらの相補鎖における対応する各々の変化
から選択される1または2以上の変化の有無を検出することよりなる、TNF−αが関与する疾患判定の為の遺伝子多型のスクリーニング方法を要旨とするものである。
本明細書において「TNF−αが関与する疾患」とはTNF−αの産生量の多少によって疾患の発生や重症度、治療に対する反応性が左右される疾患を意味する。このような疾患には例えば、若年性関節リウマチ、慢性関節リウマチ、SLE腎症や川崎病、さらにはまたインシュリン依存性およびインシュリン非依存性糖尿病、レプチン関連疾患、例えば肥満症等(DIABETES、第46巻1468−1472頁(1997))が挙げられる。TNF−αが関与する疾患にはHLA4または9に関連する疾患、例えば慢性関節リウマチ、尋常性天疱瘡、糖尿病、原田病、Crohn病等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
図1は、TNF−α産生量の個体差を示す。
図2は、TNF−α遺伝子のプロモーター領域の多型を示す。
図3は、TNF−α産生量とTNF−α遺伝子のプロモーター領域の多型との関係を示す。
図4は、プロモーター活性の解析方法を示す。
図5は、TNF−α遺伝子の染色体における位置を示す。
図6は、TNF−αプロモーター領域のASOハイブリダイゼーション解析の電気泳動の結果を示す図面に代わる写真である。
図7は、TNF−α遺伝子のプロモーター領域の塩基配列である。
発明の実施の形態
遺伝子を取り出す試料としてはあらゆる生検試料を使用することができるが、典型的には白血球であり、肝組織バイオプシーも使用できる。
得られた試料をプロテイナーゼK−SDSによりタンパク質分解・変性後、フェノール/クロロホルム抽出によりゲノムDNA(+RNA)が得られる。所望により、RNAはRNアーゼにより除去することができる。
次いで、得られたゲノムDNAを、以下に記載のプライマーを用いてPCR法により増幅させる。
センスプライマー(1〜20番目の塩基に相当)
Figure 0004119490
アンチセンスプライマー(1024〜1042番の相補鎖に相当)
Figure 0004119490
次いで、以下に記載する核酸変異検出手法によりヌクレオチド変化の有無を確認する。
1)RFLP法(制限断片長多型)
2)PCR−SSCP法(一本鎖DNA高次構造多型解析)
3)ASOハイブリダイゼーション法(allele specific oligonucleotide hybridization)
PCR産物をナイロンフィルターなどの支持体にドットブロットし、検索する変異部位に対応した塩基配列をもつ、18mer程度の合成オリゴヌクレオチドプローブ(シグナルを得るにはラジオアイソトープあるいはビオチン標識が必要)とのハイブリダイゼーション後、そのプローブのTm値に準じたポスト洗浄により、1塩基ミスマッチの検出(ミスマッチがあればハイブリッドが外れる)が可能となる。これは、PCRを用いた特定の塩基置換の検出法としては最も典型的な方法である。
4)シークエンス法
得られた領域の全塩基配列を決定し、ヌクレオチド変化の有無を直接調べる。
5)サザンブロッティング法
DNAを制限酵素処理し、電気泳動で展開し、プローブとハイブリダイゼーションをする一般的方法である。ゲノミックサザン法、PCRサザン法のいずれも使用できる。後者は、上記(3)と原理は同じであるが、移動度の情報が得られる点で、精度上の利点を有している。
6)ARMS(amplification refracting mutation system)
PCRでは、鋳型DNAにプライマーがアニールした後、DNAポリメラーゼにより5’から3’に相補鎖DNAが合成される。プライマーの3’末塩基にミスマッチがあると、PCRの効率が低下する、即ち電気泳動的に観察不可能になる。ARMSは本原理を利用するものであり、プライマーの3’末塩基が検出したい変異塩基に相補的なものを用いてPCRを行い、増幅産物の有無を検出できる。
7)DGGE(denaturing gradient gel electrophoresis、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法)
PCR産物中のミスマッチを待つヘテロデュプレックスが、ホモデュプレックスよりもその解離が容易であることを利用した方法である。解離が進むにつれ、ゲル電気泳動の移動度が落ちるので、展開するポリアクリルアミドゲルに尿素およびホルムアミドの密度勾配をつけることによりそれがさらに強調され、ミスマッチを含む2本鎖DNAの存在、即ち変異の存在が検出される。
8)RNase切断法
RNaseA(RNA分解酵素)は2本鎖のRNAもしくはRNA/DNAコンプレックスを分解せず、1本鎖のRNAのみを分解する特性を有する。従って、例えば32Pにより標識したRNAプローブを1本鎖変性したサンプルDNAとハイブリダイズさせ、RNaseA処理後、電気泳動により展開すれば、変異型とハイブリダイズしたRNAプローブはミスマッチ部位で切断されるので、2本のバンドとして検出できる。
9)化学切断(chemical cleavage)法
2本鎖DNAのミスマッチ部位の「C」に対してはヒドロキシルアミン、「T」に対してはオスミウムテトラオキシドで別個に修飾した後、ピペリジン処理をすると糖が切断される。標識プローブを用いて2本鎖を形成させ、本処理後、電気泳動し、プローブのサイズが短くなれば変異が検出されたことになる。
10)リガーゼ法
2つのオリゴヌクレオチドをDNAリガーゼで連結するとき、結合位置に鋳型DNAとの間にミスマッチがあると、結合できないことが原理である。
i)LMGD(ligase−mediated gene detection)法
一方のオリゴDNAは例えば32P標識、他方はビオチン標識し、ライゲーション後、ストレプトアビジン吸着による回収を行なう。これらが連結する(即ち、ミスマッチしない)ならば、32Pの放射線量が高値を示すので、検出することができる。
ii)LCR(ligase chain reaction)
上記のライゲーション反応を、耐熱性のリガーゼを用いて繰り返し行なうことで、PCRと同様にDNA鎖に対してもオリゴDNAがアニールするので、高感度に変異の検出が可能となる。
実施例
実施例1
TNF−α産生能の比較
日本人の健常人9名より分離したPBMC(末梢血単核球)1×106を培地(RPMI1640+5%FCS)1mlに浮遊し、ConA(コンカナバリン(Concanavaline)A:10μg/ml)により刺激し、37℃で20時間培養後、上清中の産生されたTNF−α濃度をELISA法にて測定した。結果を図1に示す。
ConA刺激によるPBMCのTNF−α産生量は日本人健常人9名で著しい差があることを見出した。
実施例2
TNF−α遺伝子プロモーター領域における多型の解析
実施例1と同様に分離したPBMCによりゲノムDNAを分離し、PCR法にてTNF−α遺伝子プロモーター領域(約1.3Kbp)を増幅したあと、さらにTAクローニング法にて増幅し全塩基配列の決定を行ない、多型の有無を解析した。結果を図2及び図7に示す。図7は、独自に構築したコンセンサス配列(配列番号9)に対してケース2Xおよび2Yをアライメントさせた図である。
上記9名の配列比較により、TNF−α遺伝子プロモーター領域に現在までに報告されていない多型が3カ所存在することを見出した。
実施例3
多型プロモーターの活性
これらのTNF−α遺伝子プロモーター領域の−857、−863、および−1031位における多型は、TNF−α高産生者に高頻度にみられた。
そこで、−857、−863、−1031位のいずれかに多型を認めるものといずれにも認めないものでTNF−α産生能を比較した。その結果、前者において有意にTNF−α産生能が高いことが統計的に認められた(p値=0.05:Mann WhitneyのU検定)(図3)。
次にこれら多型のうちの−857位に多型をもつものと−863および−1031位に多型をもつものと2種類について、そのプロモーター活性をレポーター遺伝子を用いて次のように測定し、比較した。
TNF−α遺伝子プロモーター領域を、レポーターベクター(PGL−3:ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含む)に挿入し、対照ベクター(pRL−TK:レニラルシフェラーゼ遺伝子を含む)とともにヒトT細胞白血病株Jurkatにエレクトロポレーションにて同時トランスフェクションし、18時間培養した。その後Ficoll比重遠心法にて生細胞のみ分離し、細胞溶解したあと2種類のルシフェラーゼ活性をルミノメーターで測定した(図4)。プロモーター活性は、対照ベクターのルシフェラーゼ活性に対する比より決定した。
結果を表1に示す。−857位に多型を有するTNF−α遺伝子プロモーター(pGL−TNFp2X)、および−863と−1031位に多型を有するプロモーター(pGL−TNFp2Y)は保存配列より約2倍強いプロモーター活性を有する。
Figure 0004119490
実施例4
ASOハイブリダイゼーション法によるTNF−α遺伝子プロモーター領域多型の解析
−857、−863および−1031位の多型について、ASOハイブリダイゼーション法により解析した。実施例2と同様にゲノムDNAより、PCR法にてTNF−α遺伝子プロモーター領域を増幅したのち、ナイロンフィルターにドットスポットし、UVクロスリンカーで固定した。ASOプローブの塩基配列を以下に示す。
Figure 0004119490
(−857位のCに特異的に反応する。配列番号3。以下、H−857Cと呼ぶ。)
Figure 0004119490
(−857位のTに特異的に反応する。配列番号4。以下、H−857Tと呼ぶ。)
Figure 0004119490
(−863位のCに特異的に反応する。配列番号5。以下、H−863Cと呼ぶ。)
Figure 0004119490
(−863位のAに特異的に反応する。配列番号6。以下、H−863Aと呼ぶ。)
Figure 0004119490
(−1031位のTに特異的に反応する。配列番号7。以下、H−1031Tと呼ぶ。)
Figure 0004119490
(−1031位のCに特異的に反応する。配列番号8。以下、H−1031Cと呼ぶ。)
これらをγ32−P−ATPで末端標識して用いた。ハイブリダイゼーションは、TMAC(テトラメチルアンモニウムクロライド)存在下で行った。結果を図6および表2に示す。図2に示した塩基配列の結果と完全に一致する結果が得られた。
Figure 0004119490
実施例5
健常人のTNF−α遺伝子5’フランキング領域多型
日本人の健常人575人について、−238、−308、−857、−863、および−1031位の多型について、実施例4と同様にしてASOハイブリダイゼーション法により解析した。結果を表3に示す。
Figure 0004119490
健常人ではアレルA(−1031位がT、−863位がC、−857位がC、−308位がG、−238位がGであるアレル)を有する人が多いことがわかる。
実施例6
若年性関節リウマチとTNF−α遺伝子5’フランキング領域多型との関係
112人の若年性関節リウマチ(JRA)患者(全身性および非全身性)における−857位および−1031位の多型を、健常人の場合と比較した(表4)。
Figure 0004119490
表4中、−857/T+とは−857位がTに変化しているもの、−857/T−とは同位がTに変化していないもの(すなわちCであるもの)−を示す。同様に−1031/C+とは−1031位がCに変化しているもの、−1031/C−とは同位がCに変化していないもの(すなわちTであるもの)を示す。
全身性リウマチ患者では、健常人と比較して−857/T+と−857T−との比、および−1031/C+と−1031/C−との比が有意に異なることがわかる。このことは、−857位または−1031位におけるヌクレオチドの変化を調べることによって若年性全身性関節リウマチが診断できることを示唆するものである。
実施例7
慢性関節リウマチとTNF−α遺伝子5’フランキング領域多型との関係
慢性関節リウマチ(RA)患者(387人)および健常者(575人)について、TNF−β遺伝子の−1031位、−863位、−857位、−308位および−238位における多型を分析した。結果を表5に示す。
Figure 0004119490
Figure 0004119490
上表に示すように、−1031でのTからCへの変化(以下「−1031C」と言う)、−863位でのCからAへの変化(以下「−863A」と言う)、−857位でのCからTへの変化(以下、「−857T」と言う)、−308位でのGからAへの変化(以下、「−308A」と言う)、および−238位でのGからAへの変化(以下、「−238A」と呼ぶ)の割合は、RA患者においては、それぞれ18.0%、16.4%、27.3%、0.4%、1.4%であった。一方健常者においては、それぞれ16.0%、14.0%、17.7%、1.7%、2.0%であった。−857Tおよび−308Aの割合は、RA患者と健常者との間で統計的に有意差があり、RA患者では健常者に比べて、−857位がTに変化している割合が大きく、−308位がGからAに変化している割合が低い。このことはTNF−α遺伝子の−857位および−308位における多型はRA感受性に関与していることを示すものである。
実施例8
慢性リウマチ患者の臨床的特徴とTNF−α遺伝子5’フランキング領域の多型との関係
慢性リウマチ(RA)患者において、−1031C、−863A、−857Tの有無と、その患者の臨床的特徴(関節点数(Lansbury評価法),腫膿関節数、疼痛関節数、顕微鏡下血尿)との関係を調べた。結果を表6に示す。
Figure 0004119490
RA患者であって、HLA DRB1*405陰性の患者においては、−1031C、または−863Aが陽性である場合には、Microhematuriaを有している場合が有意に多いことが認められる。このことはTNF−α遺伝子の−1031位および−863位における多型はRAの腎臓合併症に関与していることを示唆するものである。
実施例9
インシュリン依存性糖尿病とTNF−α遺伝子5’フランキング領域多型との関係
インシュリン依存性糖尿病(IDDM)患者(140人)および健常者(575人)について、TNF−α遺伝子の−857位、−863位および−1031位置における多型を分析した。結果を表7に示す。
Figure 0004119490
上表に示すように、IDDM患者における−1031C、−863A、−857Tの割合は、それぞれ25.4%、25.0%、28.9%であり、一方健常者においては16.0%、14.0%、17.7%であった。両者のこれらの値の差異は統計的に有意であり、TNF−α遺伝子の−1031位、−863位、−857位における多型はインシュリン依存性糖尿病感受性に関与していることを示す。
実施例10
インシュリン非依存性糖尿病とTNF−α遺伝子5’フランキング領域多型との関係(1)
肥満しているインシュリン非依存性糖尿病患者(NIDDM+)(59人)および健常者(NIDDM−)(96人)について、TNF−α遺伝子の−857位における多型を分析した。結果を表8に示す。
Figure 0004119490
上表に示すように、−857Tの割合はDM患者では28.0%であるのに対し、健常者では14.0%であり、これらの値は統計的に有意差があった。
このことは肥満している人では、TNF−α遺伝子の−857位における多型が糖尿病に関与していることを示すものである。
実施例11
インシュリン非依存性糖尿病とTNF−α遺伝子5’フランキング領域多型との関係(2)
肥満していない、インシュリン非依存性糖尿病患者(NIDDM+)(154人)および健常者(NIDDM−)(195人)について、TNF−α遺伝子の−1031位および−863位における多型を調べた。結果を表9に示す。
Figure 0004119490
上表に示すように、−1031Cおよび−863Aの割合は、NIDDM患者では、それぞれ12.0%、10.7%であるのに対し、健常者では、それぞれ18.5%、17.4%であった。これらの値の差異は統計的に有意である。
このことは肥満していない人では、TNF−α遺伝子の−1031位、−863位における多型が糖尿病に関与していることを示す。
実施例12
HLAのDRB1アレルとTNF−αの遺伝子5’フランキング領域多型との関係
ヒト白血球抗原(HLA)のDRB1には多数の多型が存在することが知られている。そこでHLAのDRB1アレルと本願発明に係るTNF−α遺伝子5’フランキング領域における多型との関係を調べた。
Figure 0004119490
表10において0901+とはDPB1 0901アレルを言い、0901−とはDPB1 0901アレルでないものを言う。同様に0405+とはDPB1 0405アレルを指し、0405−とはDPB1 0405アレルでないものを言う。
またアレルB+とはアレルBを言い、アレルB−とはアレルBではないもの(すなわちアレルA、C、DまたはE)を言う。同様にアレルD+とはアレルDを指し、アレルD−とはアレルDでないもの(すなわちアレルA、B、CまたはE)を言う。アレルA、B、C、DおよびEについては実施例5を参照。
表から明らかなように、HLAのDRB1 0901−とアレルB−、およびHLAのDRB1 0405−とアレルD−には強い相関性が認められる。図5に示すように、TNF−αの5’フランキング領域は、染色体上HLAクラスIとクラスIIとの間に位置しているので、HLAとTNF−αプロモーターは連鎖している可能性がある。
一方、従来からHLAと疾患感受性との関係が指摘されている(「医科免疫学」改訂第4版、107頁、菊地浩吉編、南江堂)。例えばHLAのDRB1 405を有する人は、慢性関節リウマチ、尋常性天疱瘡、糖尿病、原田病、Crohn病等に対する感受性が強いとされる。従って、TNF−α遺伝子5’フランキング領域の多型を調べることによってこれらの病気の事前診断を行うことのできる可能性が示唆される。
以上のように、本発明のTNF−αが関与する疾患遺伝子多型のスクリーニング方法により、或る個体のTNF−α遺伝子5’フランキング領域内の特定の位置でのヌクレオチド変化を測定すれば、その個体のTNF−α産生能、ひいてはTNF−αが関与する疾患の事前診断や予後の判定を行うことができる。
配列表
配列番号:1
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
Figure 0004119490
配列番号:2
配列の長さ:19
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
Figure 0004119490
配列番号:3
配列の長さ:18
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
Figure 0004119490
配列番号:4
配列の長さ:18
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
Figure 0004119490
配列番号:5
配列の長さ:18
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
Figure 0004119490
配列番号:6
配列の長さ:18
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
Figure 0004119490
配列番号:7
配列の長さ:18
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
Figure 0004119490
配列番号:8
配列の長さ:18
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸
配列
Figure 0004119490
配列番号:9
配列の長さ:1357
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
起源
生物名:ヒト
配列
Figure 0004119490
Figure 0004119490

Claims (4)

  1. ヒトTNF−α遺伝子の5’フランキング領域内のヌクレオチド変化であって、−857位のシトシン(C)からチミン(T)への変化の有無を検出し、変化があった場合は慢性関節リウマチ、またはインシュリン非依存性糖尿病の感受性であると判断する、遺伝子多型のスクリーニング方法。
  2. ヒトTNF−α遺伝子の5’フランキング領域内のヌクレオチド変化であって、−863位のシトシン(C)からアデニン(A)への変化、および−1031位のチミン(T)からシトシン(C)への変化の有無を検出し、変化があった場合はHLA DRB1*0405陰性の慢性関節リウマチの腎臓合併症の感受性であると判断する、遺伝子多型のスクリーニング方法。
  3. ヒトTNF−α遺伝子の5’フランキング領域内のヌクレオチド変化であって、−857位のシトシン(C)からチミン(T)への変化、および−1031位のチミン(T)からシトシン(C)への変化の有無を検出し、変化があった場合は若年性全身性関節リウマチの感受性であると判断する、遺伝子多型のスクリーニング方法。
  4. ヒトTNF−α遺伝子の5’フランキング領域内のヌクレオチド変化であって、−857位のシトシン(C)からチミン(T)への変化、−863位のシトシン(C)からアデニン(A)への変化、および−1031位のチミン(T)からシトシン(C)への変化の有無を検出し、変化があった場合はインシュリン依存性糖尿病の感受性であると判断する、遺伝子多型のスクリーニング方法。
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