WO1997033703A1 - Appareil de traitement, systeme de traitement et procede de traitement - Google Patents

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Teruhisa Ogihara
Koichi Teshima
Tomohiro Todoroki
Terunobu Hayata
Fuminobu Tezuka
Masao Koyama
Naohiko Oyasato
Tomiaki Furuya
Kaichiro Ogihara
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Description

明 細 書 処理装置、 処理システムおよび処理方法
技術分野
本発明は処理装置、 処理システムおよび処理装置に関する。 特に本発 明は鉛などの有害物質を含有する物体から鉛を除去する処理装置、 処理 システ-ムおよび処理方法に関する、 また、 本発明は金属、 合金により接 合された物体の接合を解除する処理装置、 処理システムおよび処理方法 に関する、 さらに本発明は金属と樹脂を有する物体の処理装匱、 処理シ ステムおよび処理方法に関する。 背景技術
現代社会が抱える膨大な量の廃棄物は日々増え続けており、 その効果 的な処理技術の確立が急務である。
廃棄物中には様々な有用な物質も含まれているが、 分離の困難さなど から廃棄物から分離されず、 ほとんどの廃棄物はそのまま埋め立や焼却 により処分されている。 廃棄物中の有用物質は、 エネルギー問題や資源 枯渴問題もあり、 できるかぎり分離 ·回収して再利用することが求めら れている。
—方、 廃棄物中には有害な物質も含まれており、 このような有害物質 は環境破壌の原因になるだけでなく、 廃棄物の再利用を困難にしている 大きな原因の一つである。 したがって、 廃棄物中の有害物質を効果的に 取り除く ことができれば、 廃棄物を資源の宝庫として積極的に再利用す ることが可能になるとともに、 環境や生物への影響も最小限にとどめる ことができる。
このように、 有害物質による環境汚染、 資源の枯渴、 エネルギー源の 不足といつた現代社会を取り巻く深刻な問題を解決するために、 廃棄物 を効果的に処理する技術は是非とも確立されなければならない。
しかしながら、 近年廃棄物の形態は複雑多岐にわったつており、 複数 の異なった素材が一体化した複合的な廃棄物も多く、 さらに有害物質が 含まれている廃棄物もある。 このような複合廃棄物を資源として再利用 するためには、 複数の異なった素材が一体化した廃棄物から、 有用な物 質、 有害な物質を選択的に分離,回収しなければならないが、 このよう な処理技術は未だ確立されていない。
例えば、 樹脂フィルムとアルミニウム箔を積層した樹脂被覆アルミ二 ゥム箔は安価で加工性がよいことなどから、 レトルト食品の包装容器な ど、 食品や医薬品をの包装容器等をはじめとして様々な分野で大量に用 いられている。
また、 樹脂フィルムと銅箔を積層した樹脂被覆銅箔も同じように大量 に用いられており、 特にいわゆる回路基板、 フレキシブル基板、 T A B のフィルムキャ リアをはじめとして電子機器の構成部品として大量に用 いられている。
しかし使用後の樹脂被覆アルミニウム箔ゃ樹脂被覆銅箔は、 それらが 複数の異なった素材から一体的に形成された複合的な廃棄物であること から効果的な処理技術が確立されていないのが現状である。
従来、 榭脂被覆アルミニウム箔ゃ樹脂被覆銅箔などの廃棄物は、 埋め 立てや焼却により処理されていたが、 埋め立てはかさばること、 場所の 確保も困難であること等の問題があり、 一方焼却は炉を痛めたり、 アル ミ二ゥムゃ銅などが酸化物になってしまうという問題がある。
アルミ二ゥ厶ゃ銅の精練には大量の電力が使われており、 せっかく金 属に精練したアルミニゥムゃ鋦を焼却により再び酸化物にしてしまうの はエネルギーの浪費であり、 金属状態のまま資源として再利用する技術 を確立することが望まれている。
一方、 例えば上述した電子機器の回路基板などの複合廃棄物は鉛など の有害物質を大量に含んでいる。 従来から、 各種電子機器のハンダ接続 には融点が低く、 酸化棼囲気中でもぬれ性がよいことなどから、 鉛一錫 系合金などのハンダ合金が多用されている。
ところで、 鉛は強い毒性を有し、 体内に摂取すると神経系や生殖機能 を障害することから、 鉛や鉛含有合金の取扱いについては規制がなされ ている。
また、 最近の環境破壊に対する関心の高まりによって、 鉛を含むハン ダ合金を用いた電子機器、 構成部品の廃棄物処理についても社会問題と なっている。
すなわち、 鉛を含むハンダ合金を大量に使用した廃電子機器などの複 合廃棄物は、 従来産業廃棄物や一般廃棄物と同様に主として埋め立て処 理されることが一般的であった。
しかし、 廃電子機器のような鉛などの有害物質を含む複合廃棄物を埋 め立て処理した場合、 降雨などにより鉛成分が溶出し、 土壌や地下水を 汚染し環境に深刻な打撃を与えてしまうという問題がある。 特に酸性雨 によりハンダ合金からの鉛の溶出量は急激に増大し、 環境や生物に対し 深刻な影響を及ぼすことが懸念されている。
このようなことから、 鉛などの有害物質を含廃電子機器などの廃棄物 を処理する際には、 鉛を分離 ·回収した後に処理することが必要である。
しかしながら、 現状では効果的に鉛を回収する技術が見出だされてい ない。
—方、 鉛の回収コス卜が製品コス卜の増大を招く恐れがあることから、 鉛を用いない鉛フリ一ハンダの開発が望まれており一部実用化されてい るが、 性能、 コス トの面で未解決の問題点も多く、 鉛を含むハンダ合金 は現在も大量に用いられている。 また、 現在までに膨大な量の鉛を含む 廃棄物が生じており、 効率的で安全な処理技術が見出だされていないた めに、 一部では大量に蓄積保管されているのが現状である。
また見方を変えれば、 上述した電子機器の回路基板などの複合廃棄物 は有害物質を分離できれば資源の宝庫ともなる。 いわゆる廃棄物は相対 的価値判断によりそのように呼ばれるものである。 資源化技術を確立し、 資源化に必要なコストを低減できればそれは資源であつて廃棄物ではな くなる。
回路基板には I C、 L S I、 抵抗器、 コンデンサ等の各種電子部品が 搭載されているが、 銅、 ニッケル、 アルミニウム、 金、 プラチナ、 タン タル、 タングステン、 モリブデン、 コバルト、 クロムをはじめ有用な金 属、 そして樹脂が含まれており資源として枯渴が心配されているものも 多い。
しかし電子部品は基板上に数多く搭載されており、 また近年の高集積 化にともなって接合箇所数は増大し接合ピッチはますます細かくなる傾 向にあるから、 基板と電子部品とを有効に分離することはかなり困難で ある。 そして回路基板と電子部品とは前述のようにハンダ合金で接合さ れている部分が多くあり、 有毒な鉛が用いられていることも、 廃電子機 器などの効果的処理を阻んでいる大きな原因である。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。 すな わち本発明は金属と樹脂とを構成材として有する物体を効果的、 経済的 に処理できる処理装置、 処理システム及び処理方法を提供することを目 的とする。
本発明は鉛を含む物体から鉛を分離 ·回収することができる処理装置、 処理システム及び処理方法を提供することを目的とする。
また本発明は鉛と樹脂とを含む物体から鉛を分離 ·回収するとともに 樹脂成分も分離 ·回収することができる処理装置、 処理システム及び処 理方法を提供することを目的とする。
また、 本発明は合金により接合された物体の接合を解除することがで きる処理方法、 処理システム及び処理方法を提供することを目的とする。 また、 本発明は鉛を含む合金により接合された物体の接合を解除する ことができる処理装置、 処理システム及び処理方法を提供することを目 的とする。
また、 本発明は鉛を含む合金により接合された樹脂を構成材として有 する物体の接合を解除するとともに、 樹脂成分も分離回収することがで きる処理装置、 処理システム及び処理方法を提供することを目的とする。 また、 本発明は樹脂と金属とを構成材として有する物体から、 樹脂成 分と金属とを効果的に分離、 回収することができる処理装置、 処理シス テム及び処理方法を提供することを目的とする。
また、 本発明は樹脂と複数の金属とが一体化した物体から樹脂成分と 金属とを効果的に分離するとともに、 樹脂と複数の金属とをそれぞれ分 離回収することができる処理装置、 処理システム及び処理方法を提供す ることを目的とする。 発明の開示
本発明は、 樹脂と金属とを構成材として有する処理対象物体を処理す るために、 樹脂を分解して回収する手段と、 金属を気化して回収する手 段とを備えたものである。
本発明の処理装置は、 樹脂と金属とを構成材として有する処理対象物 体を処理する処理装置であつて、 前記処理対象物体の前記樹脂が選択的 に熱分解するように温度と圧力とを調節する温度調節手段および圧力調 節手段とを備えた第 1の気密領域と、 前記第 1の気密領域と開閉可能な 隔壁によつて隔てられ、 前記処理対象物体中の金属を選択的に気化する ように温度と圧力とを調節する温度調節手段と圧力調節手段とを備えた 第 2の気密領域と、 前記第 1の気密領域に接続され、 前記樹脂の熱分解 により生じたガスを回収する第 1の回収手段と、 前記第 2の気密領域に 接続され、 前記処理対象物体から気化した金属を回収する第 2の回収手 段とを具備したことを特徴とする。
第 1の気密領域は、 処理対象物体中の金属 (水銀を除く) が気化しな いように樹脂を選択的に熱分解するものである。 一般に処理対象物が複 雑である場合には、 処理中に、 処理対象物体が部分的に酸化されたり、 還元されたり、 あるいは相平衡状態が変化することがあり得るが、 処理 対象物体の構成金属 (ただし水銀を除く) が処理対象物体内あるいは第 1の気密領域に気化せずに残っていればよい。 また処理対象物体の構成 金属が実質的に酸化しないように維持しながら樹脂を分解する温度調節 手段と圧力調節手段とを備えるようにしてもよい。
温度調節手段としては、 加熱手段と温度測定手段を用いるようにすれ ばよい。 加熱手段としては、 各種対流加熱、 輻射加熱などを必要に応じ て選択し、 又は組合わせて用いるようにすればよい。 例えばシーズヒ一 ターなどの抵抗加熱を用いるようにしてもよいし、 ガス、 重油や軽油な どを燃焼させるようにしてもよい。 さらに誘導加熱手段を用いるように してもよい。 温度測定手段としては各種温度センサを用いるようにすれ ばよい。
第 1の気密領域では処理対象物体中の金属があまり酸化したり気化し ないような温度圧力条件で樹脂は選択的に分解し、 気化 (油化してから 気化したものも含む) あるいは炭化する。 そして気化した樹脂の分解生成ガスは第 1の回収系で回収されるが、 この回収した樹脂の分解生成物を燃焼させて加熱手段として用いるよう にしてもよい。 前述のように、 一般に処理対象物が複雑であり、 また大 量である場合には、 処理中に、 処理対象物体が部分的に酸化されたり、 還元されたり、 あるいは相平衡状態が変化することがあり得る。 例えば 樹脂の分解生成物を回収する第 1の回収系に、 処理対象物体の構成金属 が混入した場合には、 後工程で分離回収するようにすればよい。
圧力調節手段としては、 排気手段または加圧手段と圧力測定手段を用 いるようにすればよい。 排気手段は例えばロータリ一ポンプ、 油拡散ポ ンプ、 ブースターポンプなど各種真空ポンプを用いるようにすればよい。 加圧手段としては例えばガスリザバーから気体を系内に導入するように してもよい。 圧力測定手段はブルドン管やビラ二一ゲージなどを測定す る真空度などに応じて用いるようにすればよい。
また、 第 1の気密領域に隣接してバ一ジ領域を設けるようにしてもよ い。 パージ領域には排気系または加圧系などの圧力調節手段、 処理対象 物体の予熱または冷却のための温度調節手段を設けるようにしてもよい。 さらに、 系内のガス置換のためのキヤ リァガス導入系を設けるようにし てもよく、 このキヤリアガス導入系は加圧系と兼ねるようにしてもよい。 処理対象物体は装置外部からパージ領域を経て第 1の気密領域に導入 される。
パージ領域を設けることにより、 第 1の気密領域への処理対象物体の 導入の際に、 第 1の気密領域は装置外部から隔離される。 また、 第 1の 気密領域内を常に排気し減圧状態を保てるため真空ポンプの負担が軽減 される。
同じように第 2の気密領域に隣接してパージ領域を設けるようにして もよい。 処理対象物体は第 2の気密領域からパージ領域を経て装置外部 へ取り出される。
第 2の気密領域の後段にパージ領域を設けることにより、 処理対象物 体を第 2の気密領域から取り出す際に、 第 2の気密領域は装置外部から 隔離される。 したがって、 第 2の気密領域内を常に排気し減圧状態を保 てるため真空ポンプの負担が軽減される。 また、 加熱した処理対象物体 の温度が、 大気圧下でも酸化されない温度に冷却されるまで、 処理対象 物体を外気から遮断して保持することもできる。
すなわちパージ領域は装置保全の観点からも処理対象物保全の観点か らも、 装置外部と第 1および第 2の気密領域とのバッファ領域として機 能する。
この処理装置の第 1の気密領域と第 2の気密領域とは開閉可能な隔壁 によって隔てられている。 この隔壁はそれぞれの領域の気密性を保つと ともに、 それぞれの領域の断熱性を保つものである。 例えば気密性を保 つ真空扉と、 断熱性を保つ断熱扉を組合わせて用いるようにしてもよい。 第 1のおよび第 2の気密領域を、 断熱扉一真空扉一断熱扉といった隔壁 で隔てるようにすれば、 それぞれの領域の気密性と断熱性とが保たれる。 このように真空扉と、 この真空扉が隔てる領域との間に断熱扉を配設す ることにより、 真空扉に大きな熱的負荷がかかる場合であつても真空扉 を熱的負荷から保護することができる。 この場合には第 1および第 2の 気密領域の熱から真空扉が保護される。
このような隔壁は当然ながら装置外部とパージ領域との間、 パージ領 域と第 1の気密領域との間、 第 2の気密領域とパージ領域との間にも配 設されが、 それぞれどのような隔壁を配設するかは必要に応じて設計す るようにすればよい。 例えばパージ室の熱的負荷が小さい場合には真空 扉を配設するようにすればよい。
処理対象物体が導入された第 1の気密領域内は、 処理対象物体中の金 属の状態は保持され、 樹脂は分解するように温度圧力条件が調節される。 この温度圧力条件はあらかじめ設定しておくようにしてもよいし、 温度 や圧力の測定値を加熱手段、 圧力調節手段などにフィ一ドバック して制 御するようにしてもよい。 第 2の気密領域についても同様である。
また第 1の気密領域内を減圧すると、 酸素濃度も低下し加熱により処 理対象物体が急激に酸化されることはない。 また加熱により樹脂から大 量の分解生成ガスが発生するが、 一般的に樹脂は分解してもほとんど酸 素を発生しない。 さらに、 樹脂の分解生成物も容易に気化される。
—方 減圧すると気密領域内の熱伝導率は低下する。 しかし第 1の気 密領域内が非酸化棼囲気であれば、 大気圧下または加圧下でも処理対象 物体実質的に酸化されない。 したがって第 1の気密領域内が非酸化棼囲 気であれば、 加圧が可能であり系内の熱伝導率が向上する。
第 1の回収手段は処理対象物体を構成する樹脂の分解生成ガスを回収 するものである。 ここで、 樹脂は合成樹脂でもよいし天然樹脂でもよく、 またこれらの混合物でもよい。
この第 1の回収手段としては、 ガスを凝縮させて油化する油化装置を 用いるようにしてもよい。 また樹脂の分解生成ガス中にハロゲン、 ハロ ゲン化炭化水素などのガスが含まれる場合には、 例えば触媒などを用い て分解するようにしてもよい。
前述のように、 第 1の回収手段で回収した重油や軽油などを第 1また は第 2の気密領域の加熱に用いるようにしてもよい。
また、 第 1の回収手段は複数系統備えるようにしてもよいし、 多段に 接続するようにしてもよい。
第 1の気密領域で処理対象物体の樹脂成分はほとんど分解し、 分解生 成ガスは回収される。 したがって、 処理対象物体中の金属は気化せずに 処理対象物体中に存在している。 一方、 処理対象物体の樹脂の多くは炭 化物として存在している。 そしてこの状態で処理対象物体を第 1の気密 領域から第 2の気密領域へ移送する。
本発明の処理装置では、 第 1の気密容器内で加熱された処理対象物体 は、 冷却されることなく第 2の気密領域に導入される。 したがって、 第 2の気密領域での投入エネルギーは大幅に節約され、 加熱時間も短縮さ れる。
処理対象物体が導入された第 2の気密領域内は、 処理対象物体中の金 属が気化するように温度圧力条件が調節される。 第 2の気密領域内を減 圧すると、 処理対象物体中の金属は、 常圧下よりも低い温度で蒸発する。 また、 酸素濃度も低下し第 2の気密領域内は非酸化棼囲気になるから、 気化した金属の金属状態は保たれる。
例えば、 Z nの 7 6 0 T 0 r rにおける沸点は 1 2 0 3 Kであるが、 1 T 0 r rでの沸点は 7 4 3 K、 1 0 " T o r rでの沸点は 5 3 3 で ある。
また、 例えば P bの 7 6 0 T o r r ( 1 a t m) における沸点は 2 0 1 7 Kであるが、 1 Ο ^ Τ ο r rでの沸点は 1 1 0 0 K、 1 0 " T o r rでの沸点は 9 0 0 Kである。
このように第 2の気密領域内で金属は温度圧力条件にしたがって選択 的に気化する。
また、 第 2の気密領域に導入されたとき、 処理対象物体の樹脂のほと んどは炭化物となっているから、 処理対象物体から金属を気化させても 分解生成ガスはほとんど発生しない。 したがって気化した金属は金属状 態のまま高い純度で回収され、 また真空ポンプの負荷も軽減される。 第 2の回収手段は、 このように第 2の気密領域で気化した金属を回収 するものである。
例えば第 2の気密領域に排気系を有する回収チヤンバを接続し、 この チヤンバ内で気化した金属を融点以下に冷却して凝縮させ回収するよう にしてもよい。 回収チヤンバ内を例えば向流構造や螺旋構造にするよう にしてもよい。 あるいは回収チャ ンバと第 2の気密領域との間、 回収チ ャンバと排気系との間にバルブや開閉可能な隔壁を設けるようにしても よい。 すなわち処理対象物体から気化した金属が回収チヤ ンバ内に導入 されたら、 回収チャンバを閉鎖して冷却し、 金属を凝縮させて回収する ようにしてもよい。
気化した金属を連続的に凝縮、 回収する場合でも、 バッチ処理で凝縮、 回収する場合でも、 回収チヤンバ内の気化した金属の滞留時間が長くな れば回収効率は高まる。
また、 第 2の気密領域内に N 2 や希ガスをキヤリァガスとして導入す るようにしてもよい。 気化した金属はキヤ リアガスにより回収チャンバ に効率的に導入される。
第 2の回収手段は複数系統備えるようにしてもよい。 複数の第 2の回 収手段で同じ金属を回収するようにしてもよいし、 第 2の気密領域内の 温度と圧力を段階的に調節して複数の金属をそれぞれ選択的に気化させ、 複数系統の第 2の回収手段を切り換えて回収するようにしてもよい。
また第' 2の回収手段は多段に接続するようにしてもよい。
このように本発明の処理装置は樹脂と金属とを構成材として有する処 理対象物体を処理するものである。 本発明の処理装置は、 処理対象物体 の構成樹脂を分解する第 1の気密領域を、 処理対象物体の構成金属を気 化する第 2の気密領域の前段に備えることにより、 樹脂と金属とを構成 材として有する処理対象物体の処理を可能にしたものである。 気密領域 内で大量に発生する処理対象物体の樹脂の分解生成ガスは、 第 1の気密 領域に接続した第 1の回収装置で回収される。 したがって、 第 2の気密 領域で、 金属が気化するような十分な加熱と減圧を行うことができる。 また、 第 1の気密領域内では、 処理対象物体の金属があまり酸化した り気化しないような条件で樹脂を選択的に熱分解するから、 金属は金属 状態で処理対象物体から分離回収される。
また本発明の処理装置は、 第 1の気密領域の酸素濃度を調節する酸素 濃度調節手段をさらに具備するようにしてもよい。
酸素濃度調節手段を備えることにより、 より選択的に処理対象物体の 構成樹脂を熱分解することができる。 また、 第 1の気密領域には、 金属 が実質的に酸化しないように維持しながら樹脂を選択的に熱分解する温 度調節手段と圧力調節手段と酸素濃度調節手段とを備えるようにしても よい。
この処理装置の特徴は、 第 1の気密領域に酸素濃度調節手段を備えた ことにある。 この酸素濃度調節手段により、 第 1の気密領域内の酸素澳 度は第 1の気密領域内の全圧とは独立に調節することができる。
第 1の気密領域内の酸素濃度を調節することにより、 第 1の気密領域 内での処理の自由度が大きくなる。 例えば第 1の気密領域内の熱伝導率 を低下させずに、 処理対象物体の構成金属の状態を維持できる。 また加 圧条件下でより積極的に樹脂を分解することができる。
酸素濃度調節手段は例えば酸素濃度測定手段である酸素濃度センサと キヤリアガス導入系とを用いるようにしてもよい。
酸素濃度センサは例えばジルコニァ (酸化ジルコニウム) を採用した いわゆるジルコニァセンサを用いるようにしてもよいし、 赤外分光法で 例えば C Oと C 0 2 の吸収を測定するようにしてもよい。 さらに、 G C 一 M Sを用いるようにしてもよく、 必要に応じて選択し、 あるいは組合 わせて用いるようにすればよい。
キヤ リァガスガスとしては例えば N 2 や、 A rなどの希ガスを用いる ようにしてもよい。 また、 このキャ リアガスにより、 第 1の気密領域内 の酸素澳度が調節されるだけでなく、 樹脂の分解生成ガスを効率的に第
1の回収手段へ導かれる また、 圧力調節手段と兼ねるようにしてもよ い 0
また、 第 2の気密領域は複数備えるようにしてもよい。 すなわち、 樹 脂と第 1の金属と第 2の金属とを構成材として有する処理対象物体を処 理する処理装置であって、 前記樹脂を選択的に熱分解する温度調節手段 と压カ調節手段と酸素濃度調節手段とを備えた第 1の気密領域と、 第 1 の気密領域と開閉可能な隔壁によって隔てられた前記処理対象物体中の 第 1の金属を選択的に気化する温度調節手段と圧力調節手段とを備えた 第 2の気密領域と、 第 2の気密領域と開閉可能な隔壁によって隔てられ た処理対象物体中の第 2の金属を選択的に気化する温度調節手段と圧力 調節手段とを備えた第 3の気密領域と、 第 1の気密領域に接続された樹 脂が分解して生成したガスを回収する第 1の回収手段と、 第 2の気密領 域に接続された処理対象物体から気化した第 1の金属を回収する第 2の 回収手段と、 第 3の気密領域に接続された処理対象物体から気化した第 2の金属を回収する第 3の回収手段とを具備するようにしてもよい。
この処理装置の形態の特徵は、 第 2の気密領域を複数備えたことにあ る。 第 2の気密領域を複数備えることにより、 処理対象物体中に含まれ る複数の金属はそれぞれ選択的に気化され、 回収される。
また本発明の処理装置は、 樹脂と金属とを構成材として有する処理対 象物体を処理する処理装置であって、 前記処理対象物体を保持する、 温 度調節手段と圧力調節手段と酸素濃度調節手段とを備えた気密容器と、 前記気密容器に接続して配設され、 前記処理対象物体の前記樹脂が熱分 解するように気密容器内の温度と酸素濃度とを調節したとき前記樹脂の 熱分解により生じたガスを回収する第 1の回収手段と、 前記気密容器に 接続して配設され、 前記処理対象物体中の第 1の金属が選択的に気化す るように前記気密容器内の温度と圧力とを調節したとき前記処理対象物 体から気化した金属を回収する第 2の回収手段とを具備したことを特徴 とする。 気密容器に接続して配設され、 処理対象物体中の第 2の金属が 選択的に気化するように気密容器内の温度と圧力とを調節したとき処理 対象物体から気化した第 2の金属を回収する第 3の回収手段とをさらに 具備するようにしてもよい。
第 1の回収手段は、 処理対象物体中の第 1および第 2の金属が実質的 に酸化しないように維持するとともに樹脂が選択的に熱分解するように 気密容器内の温度と酸素濃度とを調節したとき樹脂が分解して生成した ガスを回収するようにしてもよい。
この処理装置は前述の本発明の処理装置が、 気密容器内の温度、 圧力、 酸素濃度条件など条件の異なる複数の気密領域を備えたものであるのに 対し、 1つの気密容器内の条件を変化させる手段と、 系内の条件に応じ た複数の回収手段を備えた処理装置である。
気密容器内の温度調節手段、 すなわち処理対象物体の温度調節手段は 前述の本発明の処理装置と同様に加熱手段と温度センサなどを用いるよ うにすればよい。 加熱についても対流、 輻射など各種加熱手段を必要に 応じて選択または組合わせて用いるようにしてもよい。
圧力調節手段についても前述の本発明の処理装置と同様に、 排気手段、 加圧手段と圧力測定手段を用いるようにすればよい。 排気手段は例えば 口一タリーポンプ、 油拡散ポンプ、 ブースターポンプなど各種真空ボン プを用いるようにすればよい。 加圧手段としては例えばガスリザバーか ら気体を系内に導入するようにしてもよい。 圧力測定手段はブルドン管 やビラ二一ゲージなどを測定する真空度などに応じて用いるようにすれ ばよい。 酸素濃度調節手段についても同様に酸素濃度センサとキヤリアガス導 入系とを用いるようにすればよい。
回収手段についても前述の本発明の処理装置同様に備えるようにすれ ばよい。
すなわち、 第 1の回収手段としては例えば樹脂の分解生成ガスを凝縮 回収する油化装置を備えるようにしてもよい。 そして、 この油化装置で 得た油を加熱手段として用いるようにしてもよい。
また第 2、 第 3の回収手段としては、 例えば気密領域に排気系を有す る回収チャ ンバを接続し、 このチャ ンバ内で気化した金属を融点以下に 冷却して凝縮させ回収するようにしてもよい。 回収チヤンバ内を例えば 向流構造や螺旋構造にするようにしてもよい。 あるいは回収チヤンバと 第 2の気密領域との間、 回収チヤンバと排気系との間にバルブや開閉可 能な隔壁を設けるようにしてもよい。 すなわち処理対象物体から気化し た金属が回収チヤンバ内に導入されたら、 回収チヤンバを閉鎖して冷却 し、 金属を凝縮させて回収するようにしてもよい。
本発明の処理システムは、 鉛を構成材として有する処理対象物体を処 理する処理システムであって、 前記処理対象物体を内部に保持する気密 容器と、 前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、 前記気密容 器内の圧力を調節する圧力調節手段と、 前記処理対象物体中の鉛が選択 的に気化するように前記温度調節手段と前記圧力調節手段とを制御する 制御手段と、 前記気密容器に接続され、 前記処理対象物体から気化した 鉛を回収する回収手段とを具備したことを特徴とする。
また、 鉛と樹脂とを構成材として有する処理対象物体を内部に保持す る気密容器と、 気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、 気密容器 内の圧力を調節する圧力調節手段と、 気密容器内の温度と圧力とを処理 対象物体中の鉛が実質的に気化しないように維持するとともに樹脂が選 択的に熱分解するように温度調節手段と圧力調節手段とを制御する第 1 の制御手段と、 気密容器内の温度と圧力とを処理対象物体中の鉛が選択 的に気化するように温度調節手段と圧力調節手段とを制御する第 2の制 御手段と、 気密容器に接続した、 樹脂が分解して生じたガスを回収する 第 1の回収手段と、 気密容器に接続した、 処理対象物体から気化した鉛 を回収する第 2の回収手段とを具備するようにしてもよい。
本発明の処理システムは、 鉛と樹脂とを構成材として有する処理対象 物体を処理する処理システムであって、 前記処理対象物体を内部に保持 する気密容器と、 前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、 前 記気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、 前記気密容器内の酸素 濃度を調節する酸素濃度調節手段と、 前記樹脂が選択的に熱分解するよ うに前記温度調節手段と前記酸素濃度調節手段とを制御する第 1の制御 手段と、 前記容器内の温度と圧力を前記処理対象物体中の鉛が選択的に 気化するように前記温度調節手段と前記圧力調節手段とを制御する制御 する第 2の制御手段と、 前記気密容器に接続され、 前記樹脂の熱分解に より生じたガスを回収する第 1の回収手段と、 前記気密容器に接铳され、 前記処理対象物体から気化した鉛を回収する第 2の回収手段とを具備し たことを特徴とする。
第 1の制御手段は、 気密容器内の温度と酸素濃度を処理対象物体中の 鉛が実質的に酸化しないように維持するとともに樹脂が選択的に熱分解 するように温度調節手段と酸素澳度調節手段とを制御するようにしても よい。
本発明の処理方法は、 気密容器内に鉛を構成材として有する処理対象 物体を導入しこの気密容器を密閉する工程と、 前記処理対象物体中の鉛 が選択的に気化するように前記気密容器内の温度と圧力とを調節するェ 程と、 前記処理対象物体から気化した鉛を回収する工程とを有すること を特徴とする。
また、 鉛と樹脂とを構成材として有する処理対象物体を導入しこの気 密容器を密閉する工程と、 処理対象物体中樹脂が選択的に熱分解するよ うに気密容器内の温度と圧力を調節する第 1の制御工程と、 処理対象物 体中の鉛が選択的に気化するように気密容器内の温度と圧力とを調節す る第 2の制御工程と、 樹脂が熱分解して生じたガスを回収する第 1の回 収工程と、 処理対象物体から気化した鉛を回収する第 2の回収工程とを 有するようにしてもよい。
また、—本発明の処理方法は、 鉛と樹脂とを構成材として有する処理対 象物体を導入しこの気密容器を密閉する工程と、 前記樹脂が選択的に熱 分解するように前記気密容器内の温度と酸素濃度とを調節する第 1の制 御工程と、 前記処理対象物体中の鉛が選択的に気化するように前記気密 容器内の温度と圧力とを調節する第 2の制御工程と、 前記樹脂が熱分解 して生じたガスを回収する第 1の回収工程と、 前記処理対象物体から気 化した鉛を回収する第 2の回収工程とを有することを特徴とする。
また、 第 1の制御工程は、 処理対象物体中の鉛が実質的に酸化しない ように維持するとともに樹脂が選択的に熱分解するように気密容器内の 温度と酸素濃度とを調節するようにしてもよい。
これらの本発明の処理システムおよび処理方法は、 鉛を含む処理対象 物体から鉛を分離回収することができるものである。
第 1の制御工程は、 例えば気密容器内の酸素濃度を 1 0 V o 1 %以下 程度に調節するようにしてもよい。 酸素濃度を調節することにより、 鉛 の酸化が防止される。
また、 第 1の制御工程は、 例えば気密容器内の温度を 3 2 3〜 1 0 7 3 Kの範囲で調節するようにしてもよい。
また、 第 1の制御工程は、 例えば気密容器内の圧力を 7 6 0〜 1 0 T o r r程度に調節するようにしてもよい。 圧力を調節することにより、 より低い温度で鉛が気化される。
第 2の制御工程は、 例えば気密容器内の圧力を 7 . 6 X 1 0 2 〜 7 . 6 X 1 0 3 T o r r程度に調節するようにしてもよい。 加圧して樹脂を 選択的に熱分解することにより、 樹脂の熱分解が促進する。
また、 第 2の制御工程は、 例えば気密容器内の温度を 7 1 3〜 2 2 7 3 Kの範囲で調節するようにしてもよい。
この処理システムおよび方法の基本的特徴は、 処理対象物体を気密容 器内に導入し、 気密容器内の温度、 圧力、 酸素濃度を調節して、 処理対 象物体中の鉛を選択的に気化させて、 処理対象物体から分離、 回収する ことにある。 さらに鉛以外の金属についても、 この金属が選択的に気化 するような所定の温度、 圧力条件に気密容器内を制御して、 処理対象物 体から分離、 回収するようにしてもよい。
また、 処理対象物体が鉛と樹脂とを含む場合には、 まず、 鉛が気化し たり、 酸化したりしないような条件で処理対象物体を加熱することによ り、 樹脂部分を選択的に熱分解 (ガス化、 油化、 炭化物化) し、 ついで 鉛を選択的に気化させ、 気化した鉛を金属状態で回収するものである。 ここで樹脂は合成樹脂でもよいし天然樹脂でもよく、 またこれらの混合 物でもよい。 一般的に、 熱可塑性樹脂は加熱により多くの部分を気化、 油化させ回収することができるが、 熱硬化性樹脂は炭化、 気化する部分 が多い。 いずれにしても処理対象物体の構成樹脂を選択的に熱分解する ことにより、 鉛を積極的に回収することができる。
処理システムの装置部分には、 例えば前述したような本発明の処理装 置を用いるようにしてもよい。 すなわち、 例えば、 一つの気密容器内の 温度、 圧力、 酸素濃度などの条件を段階的に調節して樹脂の選択的な熱 分解と、 鉛の気化を行うようにしてもよい。 また、 温度、 圧力、 酸素濃 度などの条件の異なる複数の気密領域を配設し、 各気密領域間を隔てる 隔壁を開閉して処理対象物体を順次移送することにより樹脂の選択的な 熱分解と、 鉛の気化とを行うようにしてもよい。
温度調節手段としては、 加熱手段と温度測定手段を用いるようにすれ ばよい。 加熱手段としては例えばシーズヒーターなどの抵抗加熱を用い るようにしてもよいし、 重油や軽油などの油を燃焼させるようにしても よい。 さらに誘導加熱を用いるようにしてもよい。 温度測定手段として は各種温度計を用いるようにすればよい。
気密容器内の温度、 圧力、 酸素濃度を制御することにより、 処理対象 物体中の鉛が酸化したり気化しないような温度圧力条件で樹脂は選択的 に熱分解し、 気化 (油化してから気化したものも含む) あるいは炭化す る。 そして気化した樹脂の熱分解生成ガスは第 1の回収手段で回収され るが、 この回収した樹脂の分解生成物を燃焼させて加熱手段として用い るようにしてもよい。
圧力調節手段としては、 排気手段または加圧手段と圧力測定手段を用 いるようにすればよい。 排気手段は例えばロータリ一ポンプ、 油拡散ポ ンプ、 ブースターポンプなど各種真空ポンプを真空度、 排気容量など必 要に応じて備えるようにすればよい。 加圧手段としては例えばガスリザ バーから気体を系内に導入するようにしてもよい。
また、 気密容器内にキヤリアガスを導入するようにしてもよい、 そし てこのキヤリァガスを例えば排気系のバルブや導入流量を調節して加圧 手段として用いるようにしてもよい。
圧力測定手段はブルドン管ゃピラニーゲージなどを測定する真空度な どに応じて用いるようにすればよい。
本発明の処理システムにおいても、 温度調節手段と圧力調節手段とに 加えて、 気密容器内の酸素濃度を調節する酸素濃度調節手段を備えたる ようにしてもよい。
この酸素濃度調節手段を備えることにより、 気密容器内の酸素濃度は 全圧とは独立に調節される。 気密容器内の酸素濃度を調節することによ り、 気密容器内での処理の自由度が大きくなる。 例えば気密容器内の熱 伝導率を低下させることなく、 樹脂を選択的に熱分解することができる。 また、 処理対象物体の構成金属の酸化、 気化を抑制することもできる。 特に処理対象物体が構成材として樹脂を含む場合、 気密容器内の酸素 濃度を調節することにより、 鉛の状態を実質的に維持したまま、 より効 果的に樹脂を選択的に熱分解できる。 例えば気密容器内を非酸化雰囲気 で 1〜 1 0気圧程度に加圧して、 より積極的に樹脂を選択的に熱分解す ることができる。
酸素濃度調節手段は例えば酸素濃度測定手段である酸素濃度センサと キヤ リァガス導入系とを用いるようにしてもよい。
酸素'濃度センサは例えばジルコニァ (酸化ジルコニウム) を採用した いわゆるジルコニァセンサを用いるようにしてもよいし、 赤外分光法で 例えば C Oと C〇2 の吸収を測定するようにしてもよい。 さらに、 G C 一 M Sを用いるようにしてもよく、 必要に応じて選択し、 あるいは組合 わせて用いるようにすればよい。
そして本発明の処理システムは、 このような温度調節手段、 圧力調節 手段または酸素濃度調節手段を制御する制御手段を備えている。 この制 御手段は気密容器内の温度、 圧力または酸素濃度を、 樹脂が選択的に熱 分解するように、 また、 処理対象物体中の鉛が選択的に気化するように 制御するものである。 この制御手段は気密容器内の状態を、 前述した温 度センサ、 圧力センサ、 酸素濃度センサなどにより測定し、 この測定値 を加熱手段、 排気系、 加圧系、 キャ リアガス導入系などにフィー ドバッ クして気密容器内の状態を最適化するようにしてもよい。 そして、 このような制御は気密容器内の状態のパラメ一夕に応じて、 操作員が加熱手段、 排気系、 加圧系、 キヤ リアガス導入系を操作するよ うにしてもよい。
また、 測定した気密容器内の状態のパラメータを入力として、 加熱手 段、 排気系、 加圧系、 キヤ リアガス導入系などを気密容器内の条件が最 適化されるように操作する信号を出力とするような制御装置を備えるよ うにしてもよい。 この制御回路はプログラムとして、 制御装置の記憶手 段内に格納するようにしてもよい。
本発明の処理方法における第 1の工程は、 処理対象物体を加熱して樹 脂を選択的に熱分解する工程である。
プラスティ ックなどの樹脂は 3 2 3 K ( 5 0 °C) 程度から溶融などが 始まり、 4 5 3〜8 7 3 K ( 1 8 0〜6 0 0 °C) 程度で熱分解し主とし て C 1〜C 1 6の炭化水素系ガスを排出する。 これら樹脂の選択的な熱 分解によって生じた分解生成ガスは例えば油化装置などで凝縮させるな どして有価な油として回収することができる。
この樹脂の選択的な熱分解は容器内の酸素濃度を調節した状態で行う ことが好ましい。 酸素濃度は気密容器内の全圧により調節するようにし てもよいし、 N 2、 A rなどのキャ リアガスを導入して調節するように してもよい。
気密容器内の酸素濃度を調節することにより、 鉛の酸化を防止するこ とができる。 また、 酸素濃度を全圧とは別に調節することにより、 気密 容器内の熱伝導率を低下させずに鉛の酸化を防止することができ、 樹脂 の分解効率、 分解生成ガスの回収効率が向上する。 場合によっては、 N n 、 A rなどのキヤ リアガスを導入して気密容器内を加圧して、 樹脂を 選択的に熱分解するようにしてもよい。
処理対象物体中の樹脂は完全に熱分解する必要はなく、 鉛の分離、 回 収に悪影響を及ぼさない程度に分解すればよい。
鉛 (金属) が 760 mm H gの蒸気圧を示すのは 2017 Kであるが、 酸化鉛ではより低い 1 745Kで 760mmH gの蒸気圧を示す。 した がって、 気密容器内の酸素濃度を調節することにより、 金属鉛が酸化鉛 に酸化するのを抑制して鉛の飛散を防止し、 後工程でより積極的に鉛を 回収することができる。
このように処理対象物体中の樹脂を選択的に熱分解したなら、 気密容 器内の温度と圧力を鉛が選択的に気化するように制御し、 鉛を処理対象 物体中から分離、 回収する。
処理対象物体中に鉛以外の金属などが含まれている場合には、 蒸気圧 の差により鉛を選択的に気化させる。
鉛が気化する温度は気密容器内の圧力によって変化する。 大気圧下で は例えば 1673 Kに加熱した場合の鉛の蒸気圧は 84mmHgである のに対し鉄、 銅、 スズの蒸気圧は lmmHgにも達しない。
したがって、 処理対象物体を 1673 K程度に加熱することにより処 理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることができる。
また、 大気圧下では例えば 2013 Kに加熱した場合の鉛の蒸気圧は 760 mmH gであるのに対しスズの蒸気圧は 15 mmH g、 銅の蒸気 圧は 3mmH gにも達しない。 したがって、 処理対象物体を 1673 K 程度に加熱することにより処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に 発生させることができる。
また、 気密容器内を減圧することによりさらに低い温度で処理対象物 体中の鉛を気化させることができる。
気密容器内の圧力を 1 0— 0 r rに調節すれば、 ほぼ 1 1 00 K程 度に加熱することにより、 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に 発生させることができる。 また、 気密容器内の圧力を 1 0 _ T o r rに調節すれば、 ほぼ 9 0 0 K程度に加熱することにより、 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択 的に発生させることができる。
さらに、 気密容器内の圧力を 1 O ^T 0 r rに調節すれば、 ほぼ 7 0 0 K程度に加熱することにより、 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選 択的に発生させることができる。
このように選択的に発生させた鉛の蒸気は、 例えば鉛の融点以下に冷 却した回収装置などで、 金属鉛として回収する。
このように蒸気鉛を凝縮、 結晶化して回収する場合、 装置内の蒸気鉛 の滞留時間を長く設定することで鉛の回収率は高くなる。 例えば回収装 置の構造は向流構造あるいは螺旋構造にするようにしてもよい。
また、 気密容器内から回収装置へ N 2 や、 A rなどの希ガスをキヤリ ァガスとして流すことにより、 鉛蒸気をより選択的に回収することがで さる 0
樹脂を選択的に熱分解する工程と、 鉛を選択的に気化させる工程を連 続的に行うことにより、 後の工程の投入エネルギーを大きく抑制するこ とができる。
すなわち、 気体の熱伝導率は圧力低下にしたがって減少するから、 鉛 を気化する工程で気密容器内を減圧するほど大きなエネルギーを投入す る必要がある。 しかし本発明の処理システム、 処理方法では、 樹脂の熱 分解工程が鉛を気化させる工程の予備加熱段階ともなつており、 鉛を気 化する工程で投入するエネルギーを大きく節約することができる。
さらに、 処理対象物体中の水分や油分は樹脂の熱分解工程で処理対象 物体から除去されるため、 鉛を気化させる工程に悪影響を及ぼすことは ない。
また、 本発明の処理システムは、 金属で接合された第 1の物体と第 2 の物体とを有する処理対象物体を処理する処理システムであって、 前記 処理対象物体を内部に保持する気密容器と、 前記気密容器内の温度を調 節する温度調節手段と、 前記気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段 と、 前記第 1の物体と第 2の物体とを接合する前記金属が気化するよう に、 前記温度調節手段と前記圧力調節手段とを制御する制御手段とを具 備したことを特徴とする。
また、 第 1の金属と第 2の金属とを有する合金で接合された第 1の物 体と第 2の物体を内部に保持する気密容器と、 気密容器内の温度を調節 する温度調節手段と、 気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、 気 密容器内の温度と圧力とを合金が気化するように温度調節手段と圧力調 節手段とを制御する制御手段とを具備するようにしてもよい。
また、 第 1の金属と第 2の金属とからなる合金で接合された、 樹脂を 構成材として有する第 1の物体と第 2の物体を内部に保持する気密容器 と、 気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、 気密容器内の圧力を 調節する圧力調節手段と、 樹脂が選択的に熱分解するように温度調節手 段を制御する第 1の制御手段と、 気密容器内の温度と圧力とを合金の第 1の金属が選択的に気化するように温度調節手段と圧力調節手段とを制 御する第 2の制御手段と、 気密容器内の温度と圧力とを合金の第 2の金 属が気化するように温度調節手段と圧力調節手段とを制御する第 3の制 御手段と、 樹脂が選択的に熱分解して生じたガスを回収する第 1の回収 手段と、 合金から気化した第 1の金属を回収する第 2の回収手段とを具 備するようにしてもよい。 また、 第 1、 第 2の金属の酸化状態を実質的 に維持しながら樹脂を選択的に熱分解するようにしてもよい。
また、 第 1の金属と第 2の金属とからなる合金で接合された、 樹脂を 構成材として有する第 1の物体と第 2の物体を内部に保持する気密容器 と、 気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、 気密容器内の圧力を 調節する圧力調節手段と、 気密容器内の温度と圧力とを樹脂が選択的に 熱分解するように温度調節手段を制御する第 1の制御手段と、 前記気密 容器内の温度と圧力とを合金の第 1の金属が選択的に気化するように温 度調節手段と圧力調節手段とを制御する第 2の制御手段と、 気密容器内 の温度と圧力とを合金の第 2の金属が気化するように温度調節手段と圧 力調節手段とを制御する第 3の制御手段と、 樹脂が選択的に熱分解して 生じたガスを回収する第 1の回収手段と、 合金から気化した第 1の金属 を回収する第 2の回収手段とを具備するようにしてもよい。 また、 第 1、 第 2の金属の酸化状態を実質的に維持しながら樹脂を選択的に熱分解す るようにしてもよい。
また本発明の処理システムは、 第 1の金属と第 2の金属とを有する合 金で接合された、 樹脂を構成材として有する第 1の物体と第 2の物体と を有する処理対象物体を処理する処理システムであって、 内部に前記処 理対象物体を保持する気密容器と、 前記気密容器内の温度を調節する温 度調節手段と、 前記気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、 前記 気密容器内の酸素濃度を調節する酸素濃度調節手段と、 前記樹脂が選択 的に熱分解するように前記温度調節手段と前記酸素濃度調節手段とを制 御する第 Ίの制御手段と、 前記合金の第 1の金属が選択的に気化するよ うに前記温度調節手段と前記圧力調節手段とを制御する第 2の制御手段 と、 前記合金の第 2の金属が気化するように前記温度調節手段と前記圧 力調節手段とを制御する第 3の制御手段と、 前記樹脂が熱分解して生じ たガスを回収する第 1の回収手段と、 前記合金から気化した第 1の金属 を回収する第 2の回収手段とを具備したことを特徴とする。
また、 第 1の制御手段は、 気密容器内の温度と酸素濃度とを合金の第 1の金属の状態が実質的に酸化しないように維持するとともに樹脂が選 択的に熱分解するように温度調節手段と酸素濃度調節手段とを制御する ようにしてもよい。
例えば Z n、 C d、 H g、 G a、 I n、 丁 1、 S n、 P b、 S b、 B i、 A gまたは I nのうち少なく とも 1つの元素を第 1の金属として処 理対象物体から分離または回収するようにしてもよい。
また、 気密容器内の温度、 圧力、 酸素濃度を調節することにより、 こ れ以外の金属についても金属状態のまま分離、 回収することができる (図 1 3、 図 1 8、 図 1 9、 図 2 9、 図 3 0参照) 。 このことは特に述 ベない場合も、 本発明の全ての部分を通じて同様である。
また本発明の処理方法は、 金属で接合された第 1の物体と第 2の物体 とを有する処理対象物体を処理する処理方法であって、 前記処理対象物 体を気密容器内に導入しこの気密容器を密閉する工程と、 前記金属が気 化するように前記気密容器内の温度と圧力とを調節する工程とを有する ことを特徴とする。
また、 気密容器内に第 1の金属と第 2の金属とを有する合金で接合さ れた、 第 1の物体と第 2の物体を導入しこの気密容器を密閉する工程と、 前記合金が気化するように気密容器内の温度と圧力とを調節する工程と を有するようにしてもよい。
また、 気密容器内に、 第 1の金属と第 2の金属とを有する合金で接合 された、 樹脂を構成材とレて有する第 1の物体と第 2の物体とを有する 処理対象物体を導入しこの気密容器を密閉する工程と、 樹脂が選択的に 熱分解するように気密容器内の温度と圧力とを調節する第 1の工程と、 合金中の第 1の金属が選択的に気化するように気密容器内の温度と圧力 とを調節する第 2の工程と、 合金中の第 2の金属が気化するように気密 容器内の温度と圧力とを調節する第 3の工程と、 樹脂が分解して生じた ガスを回収する第 1の回収工程と、 合金から気化した第 1の金属を回収 する第 2の回収工程とを有するようにしてもよい。 また第 1の工程では、 前記合金中の第 1の金属の状態を実質的に維持 するとともに樹脂が選択的に熱分解するように気密容器内の温度と圧力 とを調節するようにしてもよい。
また本発明の処理方法は、 第 1の金属と第 2の金属とを有する合金で 接合された、 樹脂を構成材として有する第 1の物体と第 2の物体とを有 する処理対象物体を処理する処理方法であって、 気密容器内に前記処理 対象物体を導入しこの気密容器を密閉する工程と、 前記樹脂が選択的に 熱分解するように前記気密容器内の温度と酸素濃度とを調節する第 1の 制御工程と、 前記合金中の第 1の金属が選択的に気化するように前記気 密容器内の温度と圧力とを調節する第 2の制御工程と、 前記合金の第 2 の金属が気化するように前記気密容器内の温度と圧力とを調節する第 3 の制御工程と、 前記樹脂の熱分解により生じたガスを回収する第 1の回 収工程と、 前記合金から気化した第 1の金属を回収する第 2の回収工程 とを有することを特徴とする。
また第 1の制御工程は、 合金の第 1および第 2の金属が実質的に酸化 しないように維持するとともに樹脂が選択的に熱分解するように気密容 器内の温度と酸素濃度とを調節するようにしてもよい。
また、 気密容器内に、 樹脂を構成材として有する回路基板と、 この回 路基板と第 1の金属と第 2の金属とを有する合金で接合された電子部品 とからなる実装基板を導入しこの気密容器を密閉する工程と、 樹脂が選 択的に熱分解するように気密容器内の温度と酸素濃度とを調節する第 1 の制御工程と、 合金中の第 1の金属が選択的に気化するように気密容器 内の温度と圧力とを調節する第 2の制御工程と、 合金中の第 2の金属が 気化するように気密容器内の温度と圧力とを調節する第 3の制御工程と、 樹脂が選択的に熱分解して生じたガスを回収する第 1の回収工程と、 合 金から気化した第 1の金属を回収する第 2の回収工程とを有することを 特徴とする。 第 1の制御工程は、 合金の第 1および第 2の金属の状態を 実質的に維持するとともに樹脂が選択的に熱分解するように気密容器内 の温度と酸素濃度とを調節するようにしてもよい。
このような本発明の処理システムは、 金属または合金で接合された処 理対象物体の接合を解除することができる。 また本発明の処理方法は、 金属または合金で接合された処理対象物体の接合を解除することができ このような本発明の処理システム、 処理方法の基本的な考え方は、 気 密容器内に処理対象物体を導入し、 気密容器内の温度、 圧力、 酸素濃度 などを調節して、 接合している金属または合金を気化させることにより、 接合を解除するものである。 気化した金属は凝縮させるなどして回収す るようにすればよい。
処理対象物体が樹脂を構成材として有する場合には、 まず樹脂部分を 選択的に熱分解して、 気化、 油化、 炭化する。 この樹脂の選択的な熱分 解は、 気密容器内の温度、 圧力または酸素濃度を金属があまり酸化した り気化しないような条件に調節して行うようにしてもよい。 すなわち、 処理対象物体の構成金属の酸化状態、 相平衡状態をできるだけ保ちなが ら樹脂を熱分解するようにしてもよい。
ついで気密容器内の温度、 圧力を調節して処理対象物体中の接合金属 を選択的に気化させる。 複数の金属 (元素) が処理対象物体中に含まれ る場合には、 それぞれの金属に応じて気密容器内の温度、 圧力を調節し、 金属毎に選択的に気化するようにすればよい。
処理システムの処理装置部分は、 前述した本発明の処理装置を用いる ようにしてもよい。 すなわち、 例えば一つの気密容器内の温度、 圧力、 酸素濃度などの条件を段階的に調節して樹脂の選択的な熱分解と、 鉛の 気化を行うようにしてもよい。 また、 温度、 圧力、 酸素濃度などの条件 の異なる複数の気密領域を配設し、 各気密領域間を隔てる隔壁を開閉し て処理対象物体を順次移送することにより樹脂の選択的な熱分解と、 鉛 の気化を行うようにしてもよい。
また、 温度調節手段、 圧力調節手段、 酸素濃度調節手段、 制御手段、 樹脂の回収手段、 金属の回収手段なども前述同様である。
本発明の処理システム、 処理方法の処理対象物体としては、 例えばプ リ ント基板と各種電子部品とが P b— S nなどのハンダ合金などで接合 された実装基板、 このような実装基板を有する電子機器などを 1例とし てあげ-ることができる。
実装基板以外にも金属または合金で接合された処理対象物体であれば、 その接合を解除することができる。
例えば、 本発明の処理装置に実装基板を導入し、 酸素濃度を調節して 樹脂があまり酸化されない温度 (例えば 4 7 3 K程度) まで加熱し、 つ いで気密容器内を減圧し酸素澳度を調節してさらに鉛が酸化、 気化しな いような温度まで加熱 (例えば 1 0 ϋΤ ο r rでは 5 2 3〜 7 7 3 K程 度) して実装基板の構成樹脂を熱分解し、 さらに、 鉛の沸点 (例えば 1 0 "ύ Τ 0 r rではほぼ 9 0 0 K ) 以上に加熱して鉛を気化させ、 同様に スズを気化させて、 実装基板を電子部品と回路基板 (電子部品を搭載 する基板をここでは回路基板とよぶ) とに分離し、 回収するようにして もよい。
鉛などの金属が樹脂の選択的な熱分解時に気化しても、 回収系に金属 の分離手段を設けるようにすればよい。 このことは本発明のすべてにつ いて共通である。
また、 例えば、 本発明の処理装置に実装基板を導入し、 酸素濃度を調 節して樹脂があまり酸化されない温度 (例えば 4 7 3 K程度) まで加熱 し、 ついで気密容器内を減圧し酸素濃度を調節してさらに鉛が実質的に 酸化、 気化しないような温度まで加熱 (例えば 10— 3T 0 r rでは 52 3〜 773 K程度) して実装基板の構成樹脂を熱分解し、 さらに、 例え ば 973 Κ程度まで加熱して、 Z n、 S bなどを気化させ回収するよう にしてもよい。
さらに例えば 1773 K程度まで加熱して、 Au、 P t、 Pd、 Ta、 N i、 C r、 C u、 A l、 C o、 W、 Moなどを気化させ回収するよう にしてもよい。
ハンダ合金は P b— S nに限ることはなく、 例えば A g— S n、 Z n 一 S n、 I n— S n、 B i— S n、 S n - A g— B i、 S n - A g - B i一 C uなどのような、 いわゆる P bフリーハンダでもよい。 また、 こ れら以外の合金や、 金属単体により接合されていてもよい。
処理対象物体は樹脂が構成材として含まれていてもよい。 樹脂は熱可 塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、 これらの混合物でもよい。
処理対象物体が構成材として樹脂を含む場合には、 これまで述べてき たように樹脂部分は選択的に熱分解 (気化、 油化、 炭化など) するよう にすればよい。 選択的な熱分解により生成したガスなどは、 例えば油化 装置などで凝縮させ回収するようにしてもよい。 軽油、 重油など回収し た樹脂の分解生成物は処理対象物体の加熱に用いるようにしてもよい。 樹脂成分の選択的な熱分解は完全に行う必要はなく、 接合金属の分離、 回収を妨げない程度に熱分解されればよい。 また、 前述のように、 接合 金属の一部が気化しても、 回収系に気化した金属の分離回収手段を設け るようにすればよい。
プラスティ ックなどの樹脂は 323 K程度から溶融などが始まり、 4 53〜873 K程度で熱分解し主として C 1〜C 8、 C 8〜C 16など の炭化水素系ガスを排出する。 これら樹脂の選択的な熱分解によって生 じた分解生成ガスは例えば油化装置などで凝縮させるなどして有価な油 として回収することができる。 一般的に回路基板を構成する樹脂は熱硬 化性樹脂が多く、 炭化、 気化する成分が多い。
この樹脂の選択的な熱分解は容器内の酸素濃度を調節した状態で行う ことが好ましい。 酸素濃度は気密容器内の全圧により調節するようにし てもよいし、 N 2、 A rなどのキャ リアガスを導入して調節するように してもよい。
気密容器内の酸素濃度を調節することにより、 例えば鉛ゃスズなどの 接合金属の酸化を防止することができる。 また、 酸素濃度を全圧とは別 に調節することにより、 気密容器内の熱伝導率を低下させずに金属の酸 化を防止することができ、 榭脂の分解効率、 分解生成ガスの回収効率が 向上する。 場合によっては、 N 2、 A rなどのキヤリァガスを導入して 気密容器内を加圧して、 樹脂を選択的に熱分解するようにしてもよい。 処理対象物体中の樹脂は完全に熱分解する必要はなく、 金属の分離、 回収に悪影響を及ぼさない程度に分解すればよい。
例えば金属鉛が 7 6 O m m H gの蒸気圧を示すのは 2 0 1 7 Kである が、 酸化鉛ではより低い 1 Ί 4 5 Kで 7 6 O m m H gの蒸気圧を示す。
したがって、 気密容器内の酸素濃度を調節することにより、 金属が酸 化物に酸化するのを抑制して、 後工程でより積極的に回収することがで きる。 さらに、 金属として回収することにより、 利用価値が高くなる。 このように処理対象物体中の鉛の状態を実質的に維持しながら樹脂を 熱分解したなら、 気密容器内の温度と圧力を鉛が選択的に気化するよう に制御し、 鉛を処理対象物体中から分離、 回収する。
処理対象物体中に鉛以外の金属などが含まれている場合にも、 蒸気圧 の差により鉛を選択的に気化させる。
例えば、 鉛が気化する温度は気密容器内の圧力によって変化する。 大 気圧下では例えば 1 6 7 3 Kに加熱した場合の鉛の蒸気圧は 8 4 m m H gであるのに対し鉄、 銅、 スズの蒸気圧は 1 mmH gにも達しない。 し たがって、 処理対象物体を 1 6 7 3 K程度に加熱することにより処理対 象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることができる。
また、 大気圧下では例えば 2 0 1 3 Kに加熱した場合の鉛の蒸気圧は 76 0 mmH gであるのに対しスズの蒸気圧は 1 5 mmH g、 銅の蒸気 圧は 3 mmH gにも達しない。 したがって、 処理対象物体を 1 6 7 3 K 程度に加熱することにより処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に 発生させることができる。
また、 気密容器内を減圧することによりさらに低い温度で処理対象物 体中の鉛を気化させることができる。
気密容器内の圧力を 1 0_1T 0 r rに調節すれば、 1 1 0 0 K程度に 加熱することにより、 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生 させることができる。
また、 気密容器内の圧力を 1 0— 3T o r rに調節すれば、 9 0 0 K程 度に加熱することにより、 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に 発生させることができる。
さらに、 気密容器内の圧力を 1 0_4T 0 r rに調節すれば、 7 00 Κ 程度に加熱することにより処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に 発生させることができる。
このように選択的に発生させた鉛の蒸気は、 例えば鉛の融点以下に冷 却した回収装置などで、 金属鉛として回収する。
このように蒸気鉛を凝縮、 結晶化して回収する場合、 装置内の蒸気鉛 の滞留時間を長く設定することで鉛の回収率は高くなる。 例えば回収装 置の構造は向流構造あるいは螺旋構造にするようにしてもよい。
また、 気密容器内から回収装置へ Ν2 や、 A rなどの希ガスをキヤ リ ァガスとして流すことにより、 鉛蒸気をより選択的に回収することがで さる。
樹脂を熱分解する工程と、 鉛を選択的に気化させる工程を連続的に行 うことにより、 後の工程の投入エネルギーを大きく抑制することができ o
すなわち、 気体の熱伝導率は圧力低下にしたがって減少するから、 鉛 を気化する工程で気密容器内を減圧するほど大きなエネルギーを投入す る必要がある。 しかレ本発明の処理システム、 処理方法では、 樹脂の熱 分解工程が鉛を気化させる工程の予備加熱段階ともなつており、 鉛を気 化する工程で投入するエネルギーを大きく節約することができる。
さらに、 処理対象物体中の水分や油分は樹脂の選択的な熱分解工程で 処理対象物体から除去されるため、 鉛を気化させる工程に悪影響を及ぼ すことはない。
本発明の処理システムは、 樹脂と金属とが一体化した処理対象物体を 処理する処理システムであって、 前記処理対象物体を内部に保持する気 密容器と、 前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、 前記気密 容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、 前記樹脂が選択的に熱分解す るように前記気密容器内の前記温度調節手段と前記圧力調節手段とを制 御する制御手段と、 具備したことを特徴とする。
また、 気密容器内の温度調節手段と圧力調節手段とを制御する制御手 段は、 金属の状態を実質的に維持するとともに樹脂が選択的に熱分解す るように気密容器内の温度調節手段と圧力調節手段とを制御するように してもよい。
また、 本発明の処理システムは樹脂と金属とが一体化した処理対象物 体を内部に保持する気密容器と、 気密容器内の温度を調節する温度調節 手段と、 気密容器内の酸素濃度を調節する酸素濃度調節手段と、 金属の 状態を実質的に維持するとともに樹脂が選択的に熱分解するように気密 容器内の温度調節手段と酸素濃度調節手段とを制御する制御手段とを具 備するようにしてもよい。 樹脂の選択的な熱分解時には、 構成金属の状 態をできるだけ維持するように温度、 圧力または酸素濃度を調節するよ うにしてもよい。
本発明の処理システムは、 樹脂と金属とが一体化した処理対象物体を 処理する処理システムであって、 前記処理対象物体を内部に保持する気 密容器と、 前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、 前記気密 容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、 前記気密容器内の酸素濃度を 調節する酸素濃度調節手段と、 前記樹脂が選択的に熱分解するように前 記気密容器内の前記温度調節手段と前記圧力調節手段と前記酸素濃度調 節手段とを制御する制御手段とを具備したことを特徴とする。
また、 制御手段は、 金属の状態を実質的に維持するとともに樹脂が選 択的に熱分解するように気密容器内の温度調節手段と圧力調節手段と酸 素濃度調節手段とを制御するようにしてもよい。
また、 本発明の処理システムは、 樹脂と第 1の金属と第 2の金属とが 一体化した処理対象物体を内部に保持する気密容器と、 気密容器内の温 度を調節する温度調節手段と、 気密容器内の圧力を調節する圧力調節手 段と、 気密容器内の酸素濃度を調節する酸素濃度調節手段と、 樹脂が選 択的に熱分解するように気密容器内の温度調節手段と酸素濃度調節手段 とを制御する制御手段と、 第 1の金属が選択的に気化するように温度調 節手段と圧力調節手段を制御する第 2の制御手段と、 処理対象物体から 気化した第 1の金属を回収する回収手段とを具備するようにしてもよい。 制御手段は、 第 1および第 2の金属の状態を実質的に維持するとともに 樹脂が選択的に熱分解するように気密容器内の温度調節手段と酸素濃度 調節手段とを制御するようにしてもよい。
また本発明の処理方法は、 気密容器内に樹脂と金属とが一体化した処 理対象物体を導入する工程と、 前記樹脂が選択的に熱分解するように前 記気密容器内の温度と酸素濃度とを調節する工程とを有することを特徴 とする。
また、 金属の状態を実質的に維持するとともに樹脂が選択的に熱分解 するように気密容器内の温度と酸素濃度とを調節するようにしてもよい。 また本発明の処理システムは、 気密容器内に樹脂と金属とが一体化し た処理対象物体を導入する工程と、 樹脂が選択的に熱分解するように前 記気密容器内の温度と圧力とを調節する工程とを有するようにょうにし てもよい。
また本発明の処理方法は、 気密容器内に樹脂と金属とが積層された処 理対象物体を導入する工程と、 前記樹脂が選択的に熱分解するように前 記気密容器内の温度と酸素濃度とを調節する工程と、 前記処理対象物体 を金属が溶融するとともに表面積が小さくなるように前記気密容器内の 温度と圧力とを調節する工程とを有することを特徴とする。
また、 金属が実質的に酸化しないように維持するとともに樹脂が選択 的に熱分解するように気密容器内の温度と酸素濃度とを調節するように してもよい。
また、 本発明の処理方法は、 気密容器内に樹脂と銅とが積層された処 理対象物体を導入する工程と、 銅の状態を実質的に維持するとともに樹 脂が選択的に熱分解するように気密容器内の温度と酸素濃度とを調節す る工程と、 処理対象物体を銅が融解するとともに表面積が小さくなるよ うに気密容器内の温度と圧力とを調節する工程とを有するようにしても よい。
また本発明の処理方法は、 気密容器内に樹脂と金属とが一体化した処 理対象物体を導入する工程と、 金属の状態を実質的に維持するとともに 樹脂が選択的に熱分解するように気密容器内の温度と圧力と酸素濃度と を調節する工程とを有するようにしてもよい。
また本発明の処理方法は、 気密容器内に樹脂と第 1の金属と第 2の金 属とが一体化した処理対象物体を導入する工程と、 前記樹脂が選択的に 熱分解するように前記気密容器内の温度と酸素濃度とを調節する第 1の 制御工程と、 前記第 1の金属が選択的に気化するように前記気密容器内 の温度と圧力とを調節する第 2の制御工程と、 前記処理対象物体から気 化した第 1の金属を回収する工程とを有することを特徴とする。
また、 第 1の制御工程は、 第 1および第 2の金属が実質的に酸化しな いように維持するとともに樹脂が選択的に熱分解するように気密容器内 の温度と酸素濃度とを調節するようにしてもよい。
このような本発明の処理システムは、 樹脂と金属とを構成材として有 する処理対象物体を処理することができるシステムである。
また、 このような本発明の処理方法は、 樹脂と金属とを構成材として 有する処理対象物体を処理することができる方法である。
すなわち、 このような本発明の処理システムまたは処理方法の基本的 な考え方は、 気密容器内に樹脂と金属とを構成材として有する処理対象 物体を導入し、 まず樹脂部分を選択的に熱分解し、 気化、 油化、 炭化す る。 この樹脂の選択的な熱分解は、 気密容器内の温度、 圧力または酸素 濃度を金属が酸化したり気化しないような条件に調節して行うようにし てもよい。
この操作のみでは未だ処理対象物体中から金属を分離することが困難 な場合には、 ついで気密容器内の温度、 圧力を調節して処理対象物体中 の金属を選択的に気化させる。 複数の金属 (元素) が処理対象物体中に 含まれる場合には、 それぞれの金属に応じて気密容器内の温度、 圧力を 調節し、 金属毎に選択的に気化するようにすればよい。 装置については、 例えば前述のような本発明の処理装置を用いるようにしてもよい。 このような本発明の処理システムまたは処理方法の処理対象物体は、 単に樹脂と金属とを有する処理対象物体だけでなく、 樹脂と金属が一体 化した処理対象物体も処理できる。
このような樹脂と金属とを有する処理対象物体としては、 例えば、 レ トルト食品などの包装容器などのプラスティ ックフィルムでラ ミネー ト されたアルミニウム箔ゃ、 注射器、 樹脂と銅 ·ニッケルなどの金属が一 体化したプリ ント基板、 フレキシブル基板あるいは T A Bのフィルムキ ャリア、 I C、 L S I、 抵抗器、 などを 1例としてあげることができる。 また _、 例えば本発明の処理システムまたは処理方法で鉛を除去した廃 棄物を処理対象物体とするようにしてもよい。
さらに、 本発明の処理システムまたは処理方法で、 金属または合金に よる接合を解除した処理対象物体を処理対象物体とするようにしてもよ い。
例えば本発明の処理システムまたは処理方法で実装基板を基板と電子 部品とに分離し、 基板、 部品をそれぞれ処理対象物体とするようにして もよい。
さらに例えば、 請求項 4乃至 1 2に記載の処理システムまたは処理方 法と請求項 1 3乃至 1 7に記載の処理システムまたは処理方法を組合わ せるようにしてもよい。
処理対象物体の樹脂を選択的に熱分解するためには、 あるいは、 構成 金属が全体としてできるだけ酸化したり気化したりしないようにしなが ら樹脂を選択的に熱分解するには、 例えば、 気密容器内の圧力を制御し て処理対象物体を加熱するようにしてもよいし、 気密容器内の酸素濃度 を制御して処理対象物体を加熱するようにしてもよい。
酸素濃度を制御するには、 気密容器内の全圧を調節することにより酸 素分圧を調節するようにしてもよいし、 窒素ガス、 希ガスなどのガスを 気密容器内に導入して系内の酸素濃度を調節するようにしてもよい。 処 理対象物体の加熱により樹脂部分の酸化が急速に進むと、 すなわち燃え てしまうと、 樹脂部分と一体化している金属部分も酸化されて酸化物と なり利用価値が低下するので注意が必要である。
また、 処理対象物体の加熱にあたっては、 気密容器内が減圧されると 熱伝導率が低下し昇温効率が低下するので、 樹脂を所定の温度まで加熱 してから減圧し、 さらに加熱するようにしてもよい。
さらに、 気密容器内を非酸化棼囲気中で金属の酸化状態が保たれるよ うな温度まで加熱加圧することで熱伝導率を高く して昇温効率を向上さ せ、 酸化状態が保たれるような温度まで加熱してから減圧し、 さらに加 熱するようにしてもよい。 加圧加熱することにより比較的分子量の小さ い樹脂の分解成分の回収率が高くなる。
また金属部分が複数の金属からなっているような場合、 さらに加熱し、 元素ごとに選択的に蒸発させて回収するようにしてもよい。
処理対象物体の樹脂の分解生成ガスは凝縮させて回収するようにして もよく、 例えば油化装置などで回収するようにしてもよい。 また例えば
1 0 0 o °c以上の高温で改質、 熱分解してから凝縮させるようにしても よい。 1 0 0 o °c以上の高温から常温まで急冷することによりダイォキ シンの生成を抑制することができる。
また、 水素ガスは吸着させるなどして回収するようにすればよいし、 またハロゲン化炭化水素などが発生する場合には、 例えば触媒などを用 いて分解するようにしてもよい。
また、 樹脂がポリ塩化ビニル系の樹脂などをハロゲンを含む場合には、 まず最初に廃棄物の構成金属の酸化状態が保たれる範囲で常温加熱して ハロゲンガスを発生させるようにしてもよい。 発生したハロゲンガスは、 例えば高温に加熱した鉄と接触させハロゲン化鉄として回収するように してもよいし、 アンモニアと反応させハロゲン化アンモニゥムとして回 収するようにしてもよい。
廃棄物の加熱により生じたこれらのガスはマルチガス処理システムに より処理するようにしてもよい。
処理の 1例として例えば、 各種包装容器などに用いられているプラス ティ ックフィルムでラ ミネー トされたアルミニゥム箔 (樹脂披覆アルミ 二ゥム箔という、 以下、 同じ) の処理について 6 7 3 K未満では樹脂部 の炭化 ·油化などの熱分解が不十分である。 また、 9 2 3 K以上に加熱 するとアルミ二ゥムは溶融してしまうので、 6 7 3〜 9 2 3 Kの温度で 加熱することにより、 樹脂部分は選択的に熱分解 (気化、 油化、 炭化) し、 アルミニウム箔は金属状態のまま回収される。
気密容器内の圧力を 1 0 _2T o r r程度以下に減圧し、 あるいは N 2 A rなどのガスを導入して酸素濃度を調節して加熱すればさらに好適で ある。 加熱温度も 8 2 3〜8 7 3 Κにすればさらに好ましい。
また本発明の廃棄物処理システムは、 樹脂と銅とが一体化した廃棄物 を内部に保持する気密容器と、 気密容器内の温度を調節する温度調節手 段と、 銅が実質的に酸化しないようにするとともに樹脂が選択的に熱分 解するように気密容器内の温度を制御する制御手段とを具備したことを 特徴とする。
また、 本発明の廃棄物処理システムは、 樹脂と鋦とが一体化した廃棄 物を内部に保持する気密容器と、 気密容器内の温度を調節する温度調節 手段と、 気密容器内の酸素澳度を調節する酸素濃度調節手段と、 銅が実 質的に酸化しないように維持するとともに前記樹脂が選択的に熱分解す るように前記気密容器内の温度と酸素濃度とを制御する制御手段とを具 備したことを特徴とする。
6 7 3 Κ未満では樹脂部の炭化 ·油化などの熱分解が不十分である。 6 7 3〜 9 2 3 Kの温度で加熱することにより、 樹脂は気化油化炭化し、 銅は金属状態のまま回収することが可能である。
気密容器内の圧力を 1 0— o r r程度以下に減圧し、 あるいは N 2 A rなどのガスを導入して酸素濃度を調節して加熱すればさらに好適で ある。 加熱温度も 8 2 3〜 8 7 3 Kにすればさらに好ましい。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。 すな わち本発明は金属と樹脂とを構成材として有する物体を効果的、 経済的 に、 かつ安全に処理できる処理装置及び処理方法を提供することを目的 とする。
また本発明は金属と樹脂とを構成材として有する物体を効果的、経済 的に、 ダイォキシンが発生しないように処理できる処理装置及び処理方 法を提供することを目的とする。
本発明は樹脂、鉛を含む物体から鉛を分離 ·回収することができる処 理装置及び処理方法を提供することを目的とする。
また、 本発明は合金により接合された物体の接合を解除することがで きる処理方法処理方法を提供することを目的とする。
また、 本発明は鉛を含む合金により接合された樹脂を構成材として有 する物体の接合を解除するとともに、樹脂成分もリサイクルすることが できる処理装置及び処理方法を提供することを目的とする。
また、 本発明は樹脂と金属とを構成材として有する物体から、 樹脂成 分と金属とを効果的に分離、 回収することができる処理装置及び処理方 法を提供することを目的とする。
ま 、本発明は樹脂と複数の金属とが一体化した物体から樹脂 と 金属とを効果的に分離するとともに、樹脂と複数の金属とをそれぞれ分 離回収することができる処理装置及び処理方法を提供することを目的と する。
さらに本発明は、 シュレツダ一ダストなどの金属と樹脂を含有する物 体を、 ダイォキシンの発生を抑制しながら処理する処理装置および処理 方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、 電子部品などが実装された回路基板などの物体を、 ダイォキシンの発生を抑制しながら電子部品と回路基板とを分離し、鉛 などの有害金属、 銅などの金属を分離、 回収する処理装匱および処理方 法を提供することを目的とする。
このような課題を解決するために、 請求項 1に記載の本発明の処理装 置は、 樹脂と金属とを含有する物体を第 1の温度で熱分解する第 1の熱 分解手段と、 前記熱分解手段に接続して配設され、 前記物体から生じた ガス状排出物をダイォキシンが分解するような第 2の温度で改質する改 質手段と、 前記改質手段と接続して配設され、 第 2の温度で改質された 前記ガス状排出物中のダイォキシン¾¾の増加が抑制されるように、前 記ガス状排出物を第 3の¾¾まで急冷する冷却手段と、 前記物体の熱分 解により生じた残渣を、 この残渣に含まれる金属が気化するように減圧 下で加熱する減圧加熱手段と、 前記残渣から気化した金属を凝縮する凝 縮手段とを具備したことを特徴とする。
請求項 2に記載の本発明の処理装置は、 樹脂と金属とを含有する物体 を第 1の温度で熱分解する第 1の熱分解手段と、 前記熱分解手段に接続 して配設され、前記物体から生じたガス状排出物を第 1の温度より高い 第 2の温度で熱分解する第 2の熱分解手段と、前記熱分解手段と接続し て配設され、 第 2の温度で熱分解された前記ガス状排出物中のダイォキ シン澳度の増加が抑制されるように、前記ガス状排出物を第 3の ま で急冷する冷却手段と、前記物体の熱分解により生じた残渣を、 この残 渣に含まれる金属が気化するように ¾E下で加熱する減圧加熱手段と、 前記残渣から気化した金属を凝縮する凝縮手段とを具備したことを特徴 とする。
また本発明の処理装置は、 樹脂と第 1の金属と第 2の金属を含有する 物体を第 1の温度で熱分解する第 1の熱分解手段と、 第 1の熱分解手段 に接続して配設され、前記物体から生じたガス状排出物をダイォキシン が分解するような第 2の温度で改質する改質手段と、 前記改質手段と接 続して配設され、 第 2の温度で改質された前記ガス状排出物中のダイォ キシン濃度の増加が抑制されるように、 前記ガス状排出物を第 3の温度 まで急冷する冷却手段と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、 この 残渣に含まれる第 1の金属が気化するとともに第 2の金属が保持される ように減圧下で加熱する第 1の JEE加熱手段と、 第 1の減圧加熱手段に 接続して配設され、 前記残渣から気化した第 1の金属を凝縮する凝縮手 段と、 第 1の金属を気化させた前記残渣に含まれる第 2の金属が溶融す るように減圧下で加熱する第 2の減圧加熱手段とを具備するようにして もよい。
また、 本発明の処理装置の第 2の ¾E加熱手段は、 第 1の金属を気化 させた前記残渣に含まれる第 2の金属が溶融してその表面張力により凝 集するように減圧下で加熱するようにしてもよい。
また本発明の処理装置は、 樹脂と金属を構成材の一部として有し、接 合金属で接合された第 1の部分と第 2の部分とを有する物体を前記接合 金属を保持して熱分解する熱分解手段と、前記熱分解手段に接続して配 設され、 前記物体から生じたガス状排出物をダイォキシンが分解するよ うな第 2の温度で改質する改質手段と、 前記改質手段と接続して配設さ れ、 改質された前記ガス状排出物中のダイォキシン濃度の増加が抑制さ れるように、前記ガス状排出物を第 3の温度まで急冷する冷却手段と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、前記接合金属が気化するように 減圧下で加熱する減圧加熱手段とを具備するようにしてもよい。
このような本発明の処理装置の熱分解手段は酸素濃度を制御するなど し'て非酸化棼囲気ないしは還元性雰囲気中で行うようにすればよい。 また前記冷却手段は、 第 3の温度までをできるかぎり短時間で、 好ま しくは約 1 0秒以内に冷却するようにすればよい。 また、 本発明の処理装置は、 前記冷却手段と接続して配設され、 冷却 された前記ガス状排出物を中和する中和手段をさらに具備するようにし てもよい。
請求項 3に記載の本発明の処理方法は、 樹脂と金属とを含有する物体 を第 1の温度で熱分解する第 1の熱分解工程と、 前記物体から生じたガ ス状排出物をダイォキシンが分解するような第 2の温度で改質する改質 工程と、 改質された前記ガス状排出物中のダイォキシン濃度の増加が抑 制されるように前記ガス状排出物を第 3の温度まで急冷する冷却工程と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、 この残渣に含まれる金属が気化 するように ME下で加熱する減圧加 程と、前記残渣から気化した金 厲を凝縮する凝縮工程とを具備したことを特徴とする。
請求項 4に記載の本発明の処理方法は、 樹脂と金属とを含有する物体 を第 1の温度で熱分解する第 1の熱分解工程と、 前記物体から生じたガ ス状排出物を第 1の温度より高い第 2の温度で熱分解する第 2の熱分解 工程と、 第 2の温度で熱分解された前記ガス状排出物中のダイォキシン 濃度の増加が抑制されるように、前記ガス状排出物を第 3の温度まで急 冷する冷却工程と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、 この残澄に 含まれる金属が気化するように iE下で加熱する減圧加熱手段と、前記 残渣から気化した金属を凝縮する凝縮手段とを具備したことを特徴とす る。
請求項 5に記載の本発明の処理方法は、 樹脂と第 1の金属と第 2の金 属を含有する物体を第 1の温度で熱分解する第 1の熱分解工程と、前記 物体から生じたガス状排出物をダイォキシンが分解するような第 2の温 度で改質する改質工程と、 第 2の温度で改質された前記ガス状排出物中 のダイォキシン澳度の増加が抑制されるように、 前記ガス伏排出物を第 3の温度まで急冷する冷却手段と、 前記物体の熱分解により生じた残渣 を、 この残渣に含まれる第 1の金属が気化するとともに第 2の金属が保 持されるように EE下で加熱する第 1の減圧加熱工程と、 前記残渣から 気化した第 1の金属を凝縮する凝縮工程と、 第 1の金属を気化させた前 記残渣に含まれる第 2の金属が溶融するように減圧下で加熱する第 2の 減圧加熱工程とを具備したことを特徵とする。
請求項 6に記載の本発明の処理方法は、 第 2の減圧加熱工程で、 第 1 の金属を気化させた前記残渣に含まれる第 2の金属が溶融してその表面 張力により凝集するように減圧下で加熱することを特徴とする。
請求項 7に記載の本発明の処理方法は、樹脂と金属を構成材の一部と して有し、接合金属で接合された第 1の部分と第 2の部分とを有する物 体前記接合金属を保持して熱分解する熱分解工程と、 前記物体から生じ たガス状排出物をダイォキシンが分解するような第 2の温度で改質する 改質工程と、 改質された前記ガス状排出物中のダイォキシン濃度の増加 が抑制されるように、前記ガス状排出物を第 3の温度まで急冷する冷却 工程と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、 前記接合金属が気化す るように減圧下で加熱する減圧加熱工程とを具備したことを特徴とする。 また、 本発明の処理方法は、前記冷却手段で冷却された前記ガス状排 出物を中和する中和工程をさらに具備するようにしてもよい。
前記熱分解工程は酸素 ¾gを制御するなどして非酸化棼囲気ないしは 還元性棼囲気中で行うようにすればよい。
また前記冷却工程は第 3の温度までできるだけ短時間にできれば約 1 0秒以内に冷却することが好ましい。
また、 第 1の '^は約 2 5 0〜約 5 0 0 °Cに設定することが好適であ る 0
また、 第 2の温度は少なくとも約 8 0 0 °Cより高い温度、 より好まし くは少なくとも 1 0 0 0 °Cより高い 、 さらに好ましくは 1 2 0 0 °C よりも高い温度に設定することが好適である。
また、 第 3の温度は少なくとも 1 5 0 °Cより低い温度、 より好ましく は少なくとも 1 0 0 °Cより低い温度、 さらに好ましくは 3 5°Cよりも低 い^に設定することが好適である。
このように処理対象物体から排出させたガス状排出物をダイォキシン が分解するような高温で改質、 ^解し、 この状態からダイォキシンが 生成、 再合成される温度領域での滞留時間をできるだけ短くして、 ダイ ォキシンが生成、再合成されな tゝ第 3の温度まで急冷することにより、 ガス状排出物中のダイォキシン MSが大きく低減される。 また、 第 1の 熱分解、 第 2の熱分解または改質を第 1の温度と第 2の温度の 2段階で 処理すると同時にこれらを還元性棼囲気で行うことにより、 ダイォキシ ンの発生源濃度は大幅に低減される。
ここで、 第 2の温度はダイォキシンが分解するような温度であり、 ダ ィォキシンだけでなくガス状排出物に含まれる他の化合物も分解される ことになる。 したがって本発明ではダイォキシンだけでなく、 ハロゲン 化炭化水素、 P C Bなども分解し、無害化することができる。
すなわち本発明は、 樹脂と金属とを構成材として有する物体を処理す るために、 樹脂を分解する手段と、処理対象物体から生じたガス伏排出 物をさらに!^解する手段と、 このガスをダイォキシンが合成されない ように急冷する冷却手段と、 熱分解残渣から金属を減圧下で気化、 また は液化して回収する手段とを備えたものである。 ここで、 樹脂は合成樹 でもよいし天然樹脂でもよく、 またこれらの混合物でもよい。 またこ こで金属とは、 特に説明しない場合には、 処理対象物体に含有される金 属の総称であり、 ある特定の金属元素に限ることはない。
第 1の熱分解手段は、 処理対象物体が酸素濃度制御下で熱分解される ような第 1の温度で熱分解するものであり、 例えばシュレッダーダスト、 廃回路基板などからガス状排出物を抽出する。 ここでガス状排出物とは、 基本的には排出ガスからなるが、 この排出ガスに混入する固体状微粒子、 液体状微粒子などを含む場合を排除しない。
第 1の熱分解手段の第 1の温度を調節する温度調節手段としては、 加 熱手段と温度測定手段を用いるようにすればよい。 加熱手段としては、 各種対流加熱、 輻射加熱などを必要に応じて選択し、 又は組合わせて用 いるようにすればよい。 例えばシーズヒーターなどの抵抗加熱を用いる ようにしてもよいし、 ガス、 重油や軽油などをチャンバ外で燃焼させる ようにしてもよい。 さらに、処理対象物体の樹脂などから排出されるガ スを改質、 無害化、 中和したうえで燃料ガスとして、 第 1の熱分解手段 はじめとする本発明の処理装置の熱源として再利用するようにしてもよ い。 また例えば上述のようにして得たクリーンば燃料ガスをガスタービ ン発電機に導入して電力に変換し、 この電力により第 1の熱分解手段を はじめとする本発明の処理装置の運転に用いるようにしてもよい。
温度測定手段としては各種温度センサを用いるようにすればよい。 第
1の温度は、処理対象物体の樹脂が熱分解するとともに、 処理対象物体 の金虞ができるだけ酸ィヒされないように設定するようにすればよいが、 後述するように、 ダイォキシンの発生源を多段階で絶っために、 第 1の 熱分解手段を還元性条件に保つことが好適である。 例えば、塩素を含む 芳香族系炭化水素化合物を還元性条件下で熱分解することにより、 この 芳香族系炭化水素化合物の塩素は HC 1等に分解される。 したがってダ ィォキシンの発生が抑制される。
なお本発明では特に説明しないかぎり、 ポリ塩化ダイベン '、βラダイ ォ干シン (Po l y c h i o r i n a t e d d i b e n z o— p— d i ox i n s : PCCD s) 、 ポリ塩化ダイべンゾフラン (P o 1 y c h l o r i na t e d d i b e n z o f u r a n s : PCDF s) お よびこれらの塩素数および置換位置の異なる同族体を総称してダイォキ シンという。
したがって第 1の熱分解手段は、処理対象物体に含まれる金属力実質 的に酸化しないように、 より好ましくは還元性棼囲気に保つことが好ま しいから、 温度調 ίίϊ手段と酸素濃度調節手段とを備えることが好適であ る。
一般に処理対象物が複雑である場合には、 処理中に、 処理対象物体が 部分的に酸化されること力あり得るが、第 1の熱分解手段が全体として 還元性棼囲気に保持されればよ L、。
酸素濃度調節手段は例えば酸素濃度測定手段である酸素濃度センサと キヤリアガス導入系とを用いるようにしてもよい。
酸素濃度センサは例えばジルコニァ (酸ィ匕ジルコニウム) を採用した いわゆるジルコニァセンサを用いるようにしてもよいし、 赤外分光法で 例えば COと CC^ の吸収を測定するようにしてもよい。 さらに、 GC — MSを用いるようにしてもよく、 必要に応じて選択し、 あるいは組合 わせて用いるようにすればよい。
キャリアガスガスとしては例えば A rなどの希ガスを用いるようにし てもよい。 また、 このキャリアガスにより、 第 1の熱分解手段内の酸素 濃度が調節されるだけでなくガスを効率的に改質手段または第 2の熱分 解手段へ導くこともできる。 さらに、 圧力調節手段と兼ねるようにして もよい。
また、 第 1の熱分解手段の前段にシュレツダーを設けるようにしても よい。 装置外部から持ち込まれた処理対象物体をシュレッダーで破砕、 分別してから第 1の熱分解手段に導入するようにしてもよいし、 破砕せ ずに第 1の熱分解手段に導入するようにしてもよい。 処理対象物体が廃 回路基板の場合には破砕せずに第 1の熱分解手段に導入することが好適 である。
処理対象物体が導入された第 1の熱分解手段内は、 処理対象物体中の 金属の状態はできるだけ酸化されないように、 また樹脂の熱分解に際し て有機化合物と結合した塩素ができる限る無機化されるように、 '^ · 酸素濃度条件を調節するようにすればよい。 この温度、 酸素濃度条件は あらかじめ設定しておくようにしてもよいし、 温度や酸素 の測定値 を加熱手段、 酸素濃度調節手段などにフィードバックして制御するよう にしてもよい。 酸素濃度を測定する必要がある場合には例えばジルコ二 ァセンサなどを用いるようすればよい。
また第 1の熱分解手段のチャンバ内の圧力を制御するようにしてもよ い。 例えば第 1の熱分解手段内を減圧すると、酸素濃度も低下し加熱に より処理対象物体が急激に酸化されることはない。 また加熱により樹脂 から大量の分解生成ガスが発生するが、 一般的に樹脂は分解してもほと んど酸素を発生しない。 さらに、 樹脂の分解^ ¾物も容易に気化される。 一方、 減圧すると気密領域内の熱伝導率は低下する。 しかし第 1の熱 分解丰段内が非酸化雰囲気であれば、 大気圧下または加圧下でも処理対 象物体は酸化されない。 したがって第 1の熱分解手段内が非酸化雰囲気 であれば、加圧が可能であり系内の熱伝導率が向上する。
ここで、 処理対象物体から排出されたガス状排出物の処理を行うガス 状排出物処理系について説明する。
ガス状排出物処理系は、 第 1の熱分解手段で処理対象物体から排出さ れたガス状排出物を処理するものであり、 改質手段または第 2の熱分解 手段、 冷却手段からその主要部が構成されている。 冷却手段で処理した ガス状排出物は必要に応じて中和、 ろ過、 洗浄等の後処理を行うことに よりクリーンな燃料ガスとして利用される。
改質手段は、 第 1の加熱手段に接続して配設され、 第 1の熱分解手段 内で処理対象物体から排出されたガス状排出物を、 第 1の温度よりも高 い第 2の温度で改質するものである。 ここで改質とは、 処理対象物体か ら排出されたガス状排出物に含有される炭化水素系化合物を、 より低分 子の水素、 メタン、 ー酸ィ [^素などに変化させることをいう。 また、 水 素化精製処理 (k y d r o r e f o r m i n g) なども行うようにして もよい。 系内を還元性条件に保つて改質することは前述のようにダイォ キシンの発生源を断つという観点からも好適である。 また、 改質手段内 が還元性雰囲気に保たれるならば、 改質手段内に少量の空気を導入する ようにしてもよい。 改質手段としては熱改質手段だけでなく、 これに加 えて例え
ば灘を用いる接触改質手段も備えるようにしてもよい。 雌としては、 例えばシリカ ·アルミナゃゼオライト (アルミノゲイ酸塩) などの固体 酸に P t、 R eなどの金属を担持させて用いるようにしてもよい。
また、 改質手段に変えて、 第 1の熱分解手段と接続した、 ガス状排出 物を還元性雰囲気で熱分解する第 2の熱分解手段を備えるようにしても よい。'
改質手段、 第 2の熱分解手段を第 1の熱分解手段と分離することによ り、 第 1の- より高い第 2の で処理対象物体からのガス状排出物 を処理することができ、 ガス状排出物の改質、塩素の無機化が効果的に 行われる。
改質手段または第2の熱分解手段は、 処理対象物体に直接的または間 接的に由来するダイォキシンができるだけ分解するような条件を保つこ とが望ましい。 例えば第 2の温度を 8 0 0 °C程度に設定することにより かなりのダイォキシンを分解することができる。 また第 2の温度を 1 0 0 0°C以上、 より好ましくは 1 2 0 0 °C以上に設定することにより、 さ らに効果的にダイォキシンを分解することができる。 この改質手段は、 ダイォキシンが分解するような第 2の温度で行われるから、 この第 2の 温度でガス状排出物の熱分解も同時に生じることになる。
処理対象物体から排出されたガス状排出物に含有される炭化水素系化 合物は、 改質手段で改質されることにより、 また第 2の熱分解手段によ り熱分解されることにより低分子化され水素、 メタン、 一酸化炭素など に変化する。
また、 ガス状排出物にダイォキシンが含まれる場合にはこのダイォキ シンの殆どは分解される。 さらに、 有機塩素は無機化され、 ダイォキシ ンの再合成が抑制される。
改質手段または第 2の熱分解手段は、 例えばコークスを充填したチャ ンバ内に、 第 1の熱分解手段からのガス状排出物と、 少量の空気とを導 入することにより、還元性雰囲気かつダイォキシンが分解するような温 度条件を形成するようにしてもよい。
また、 前述のように燃料ガスと空気とを燃焼させてチヤンバをダイォ キシンが分解するような温度に加熱し、 このチヤンバ内に第 1の熱分解 手段がらのガス状排出物を導入するようにしてもよい。
またチャンバ内に例えば前述したような触媒などの接触分解手段を備 えるようにしてもよい。
また、 必要に応じて、 改質手段または第 2の熱分解手段に、 系内の温 度、 酸素濃度を調節するための ia¾調節手段と酸素濃度測定手段を備え るようにしてもよい。 酸素濃度調節手段としては前述のような酸素濃度 センサとキャリアガス導入系とを用いるようにしてもよい。 さらに、 水 素ガスリザバを接続するようにしてもよいし、 A rなどの不活性ガスリ ザノくを接続するようにしてもよい。 このように処理対象物体から排出されたガス状排出物に含有されるガ ス状排出物は改質手段または第 2の熱分解手段により低分子化され、 水 素、 メタン、一酸化炭素などに変ィ匕する。
第 1の熱分解手段、 改質手段または第 2の熱分解手段、 冷却手段はガ ス状排出物に塩素などが含まれるこの場合、塩素ガスによる容器、 配管 等の腐食が激しいので、 装置は必要に応じてステンレス鋼のかわりにハ ステロイやチタン合金等を使用するようにしてもよい。
本発明の処理装置においては、 改質手段または第 2の熱分解手段と接 続して配設され、第 2の で改質または熱分解されたガス状排出物を、 このガス状排出物中のダイォキシン濃度の増加が抑制されるように、 第 3の温度まで急冷する急冷手段を備えている。
すなわち、 改質手段または第 2の熱分解手段において、 第 2の温度で 改質または^解されたガス状排出物中のダイォキシン濃度は、 第 2の 温度がダイォキシンが分解するような温度であること、 この温度で分解、 あるいは改質される炭化水素系化合物の塩素は還元性棼囲気によりされ 無機化されることから極めて低いものである。 したがって、 この状態か らのダイォキシンの生成、再合成が生じないように、 ガス状排出物中の ダイォキシン濃度の増加ができるかぎり抑制されるように第 3の ¾Κま で急冷するようにするのである。 第 3の温度は、 ダイォキシンの^反 応が生じないような温度に設定すればよ^、。
例えばダイォキシンが分解している状態のガス状排出物 (改質手段ま たは第 2の熱分解手段における温度と同じでなくとも、 ダイォキシンが 分解するような ί¾¾であればよい) から 1 5 0°C以下、 好ましくは 1 0 0 °C以下、 さらに好ましくは 5 0 °C以下に急冷することによりダイォキ シンの生成、再合成が抑制される。 このときガス状排出物を第 3の温 度までできるだけ短時間で冷却することが好ましい。 これは約 2 0 0 °C 〜約 4 0 0 °Cではダイォキシンが生成、 再合成されやすいためであり、 ガス状排出物を第 3の温度まで急冷してダイォキシンが生成、 再合成さ れやす 、温度範囲に滞留する時間を短くすることにより、 より効果的に ガス状排出物中のダイォキシン濃度を抑制することができる。
したがって冷却手段におけるガス状排出物の冷却は好ましくは約 1 0 秒程度以内で急冷することが好ましい。
このような冷却手段としては、 ガス状排出物に水、 冷却油などの冷媒 を直接噴射して接触冷却するようにしてもよい。 このときガス状排出物 に石灰粉末などのアル力リ性粉末を噴射するようにすれば、 ガス状排出 物は中和される。 また例えばガス状排出物中の H C 1は、 石灰粉末と接 触して固体表面に拡散されるからダイォキシンの^ ¾、再合成を抑制す ることもできる。
上述したように第 1の熱分解手段、 改質手段または第 2の熱分解手段、 冷却手段により、処理対象物体からのガス状排出物は水素、 メタン、一 酸化炭素等に変化し、 また、 ガス状排出物中のダイォキシン濃度も大き く低減される。
本発明においては処理対象物体の分解、 処理対象物体からのガス状排 出物め分解を第 1の熱分解手段と、 改質手段または第 2の熱分解手段と いう複数段階で処理することにより、 そして、 このような分解手段を還 元性条件に保つことにより、 ダイォキシンの発生が抑制される。
冷却手段で冷却されたガス状排出物に、ハロゲン化物、 S Ox、 N O x などが含まれている場合には、 洗净手段、 脱硫手段などによりガス状 排出物の洗浄、 脱硫を行うようにしてもよい。 さらに活性炭を用いたフ ィル夕手段を備えるようにしてもよい。
また、 冷却手段で冷却されたガス状排出物を例えばバグフィルターな どの中和反応ろ過手段に導入するようにしてもよい。 冷却手段と中和反 応ろ過手段との間に、 ドライベンチユリ一などにより消石灰、 ろ過助剤 (例えばゼォライト、 活性炭などの空隙率の高い粒子) などをガス状排 出物の気流に吹き込むようにしてもよい。
このように処理した、 処理対象物体から排出されたガス状排出物は第
1の熱分解手段の加熱の熱源として用いるようにしてもよいし、 ガス夕 一ビン発電機に供給して電力を得るようにしてもよい。 さらにこの電力 を本発明の処理装置の熱源その他に用いるようにしてもよい。
つぎに、 第 1の熱分解手段で熱分解した処理対象物体の熱分解残渣の 処理について説明する。
本発明の処理装置は、樹脂と金属とを構成材の一部として有する物体 を処理するために、 前述した樹脂を分解して回収する手段と、 金属を分 離、 回収する手段とを備えたものであり、 減圧加熱手段は、 第 1の熱分 解手段で熱分解した処理対象物体の残渣から金属を分離、 回収する手段 である。
第 1の熱分解手段で処理対象物体の樹脂成分はほとんど分解し、 前述 のようにガス状排出物は処理される。 また、 第 1の熱分解手段内は酸素 濃度が制御されており、 処理対象物体中の金属は実質的に酸化されるこ となく、 またほとんど気化することなく処理対象物体に保持されて L、る。 一方、 処理対象物体の樹脂の多くは熱分解の結果炭化物として残って いる。 本発明では第 1の熱分解手段で処理した処理対象物体を第 1 の熱分解手段から減圧加熱手段へ移送する。
本発明の処理装置が備える減圧加熱手段は、 第 1の熱分解手段と開閉 可能な隔壁によって隔てられた物体中の金属を選択的に気化する^調 節手段と圧力調節手段とを備えた第 1の気密領域と、 第 1の気密領域に 接続された物体から気化した金属を回収する第 1の回収手段とを具備し ている。
ia^調節手段としては、加熱手段と温度測定手段を用いるようにすれ ばよい。 加熱手段としては、 各種対流加熱、 輻射加熱などを必要に応じ て選択し、 又は組合わせて用いるようにすればよい。 熱源はガス状排出 物を処理して得た燃料ガスやこの燃料ガスで発電した電力を熱源として 用いるようにしてもよい。 例えばシーズヒータ一などの抵抗加熱を用い るようにしてもよいし、 重油や軽油などを燃焼させるようにしてもよい c さらに誘導加熱手段を用いるようにしてもよい。 温度測定手段としては 各種温度センサを用いるようにすればよい。
第 1の熱分解手段では処理対象物体中の金属がほとんど酸化したり気 化しないような温度圧力条件で処理対象物体を熱分解し、 主として気化 (油化してから気化したものも含む) あるいは炭化する。 そしてガス状 排出物は前述のように改質手段または第 2の熱分解手段で処理される。 衡状態が変化することがあり得る。 例えばガス状排出物中に、 処酣象 物体の構成金属などが混入した場合には、 冷却工程、 バグフィルター、 あるいは経路内に必要に応じてサイク口ン分離手段などを備えて回収し、 第 1の熱分解手段の熱分解残渣とともに減圧加熱手段で処理するように すればよい。
圧力調節手段としては、排気手段または加圧手段と圧力測定手段を用 いるようにすればよい。 排気手段は例えばロータリーポンプ、 油拡散ポ ンプ、 ブースターポンプなど各種真空ポンプを用いるようにすればよい。 加圧手段としては例えばガスリザバーから気体を系内に導入するように してもよい。 圧力測定手段はブルドン管ゃピラニーゲージなどを測定す る真空度などに応じて用いるようにすればよい。
また、 第 1の!^解手段と減圧加熱手段の第 1の気密領域との間に、 第 1の気密領域と接続してパージ領域を設けるようにしてもよい。 パー ジ領域には排気系または加圧系などの圧力調節手段、 処理対象物体の予 熱または冷却のための温度調節手段を設けるようにしてもよい。 さらに、 系内のガス置換のためのキヤリァガス導入系を設けるようにしてもよく、 このキヤリアガス導入系は加圧系と兼ねるようにしてもよい。
処理対象物体は熱分解手段からパージ領域を経て第 1の気密領域に導 入される。 パージ領域を設けることにより、 第 1の気密領域への処理 対象物体の導入の際に、 第 1の気密領域は装置外部から隔離される。 ま た、 第 1の気密領域内を常に排気し減圧状態を保てるため真空ポンプの 負担が軽減される。
減圧加熱手段は複数の気密領域を備えるようにしてもよい。 例えば第
1の気密領域と接続して第 2の気密領域を備えるようにしてもよい。 また、 第 1の気密領域または第 2の気密領域に隣接してパージ領域を 設けるようにしてもよい。 処理対象物体は第 1の気密領域または第 2の 気密領域からパージ領域を経て装置外部へ取り出される。
第 2の気密領域の後段にパージ領域を設けることにより、 処理対象物 体を第 1または第 2の気密領域から取り出す際に、 第 1または第 2の気 密領域は装置外部から隔離される。 したがって、 第 1または第 2の気密 領域内を常に排気し減圧状態を保てるため真空ポンプの負担が軽減され る。 また、 加熱した処理対象物体の温度が、 大気圧下でも酸化されない 温度に冷却されるまで、 物体を外気から遮断して保持することもできる。 すなわちパージ領域は減圧加熱手段保全の観点からも処理対象物保全 の観点からも、 加熱手段外部と第 1および第 2の気密領域とのバッ ファ領域として機能する。
この減圧加熱手段が備える第 1の気密領域と第 2の気密領域とは開閉 可能な隔壁によって隔てられている。 この隔壁はそれぞれの領域の気密 性を保つとともに、 それぞれの領域の断熱性を保つものである。 例えば 気密性を保つ真空扉と、 断熱性を保つ断熱扉を組合わせて用いるように してもよい。 第 1のおよび第 2の気密領域を、 断 ^一真^一断熱扉 といつた隔壁で隔てるようにすれば、 それぞれの領域の気密性と断熱性 とが保たれる。 このように真空扉と、 この真^が隔てる領域との間に 断熱扉を配設することにより、 真空扉に大きな熱的負荷がかかる場合で あっても真空扉を熱的負荷から保護することができる。 この場合には第
1および第 2の気密領域の熱から真 ¾iSが保護される。
このような隔壁は当然ながら減圧加熱手段外部とパージ領域との間、
' 一ジ領域と第 1の気密領域との間、 第 2の気密領域とパージ領域との 間にも配設されるが、 それぞれどのような隔壁を配設するかは必要に応 じて設計するようにすればよい。
例えばパージ室の熱的負荷が小さい場合には真^を配設するように すればよい。
処理対象物体の熱分解残渣または処理対象物体のガス状排出物から分 離された固体状排出物が導入された第 1の気密領域内は、 処理対象物体 中の金属が気化するように温度圧力条件が調節される。 この温度圧力条 件はあらかじめ設定しておくようにしてもよいし、 温度や圧力の測定値 を加熱手段、 圧力調節手段などにフィ一ドバックして制御するようにし てもよい。 第 2の気密領域についても同様である。
処理対象物体が導入された第 1の気密領域内は、 処理対象物体中の金 属が気化するように温度圧力条件が調節される。 第 1の気密領域内を減 圧すると、 処理対象物体中の金属は、常圧下よりも低い温度で蒸発する。 また、 酸素濃度も低下し第 1の気密領域内は非酸化雰囲気になるから、 気化した金属の金属状態は保たれる。
例えば、 Znの 760To r rにおける沸点は 1203 Kであるが、 1 To r rでの沸点は 743 K、 10— 4To r rでの沸点は 533 で ある。
.また、 例えば Pbの 76 OTo r r (1 a tm) における沸点は 20 17Kであるが、 10-1Το r rでの沸点は 1100K、 10一3 To r rでの沸点は 900Kである。
このように第 1の気密領域内で金属は温度圧力条件にしたがって選択 的に気化する。
また、 第 1の気密領域に導入されたとき、 処理対象物体の樹脂のほと んどは炭化物となっているから、 処理対象物体から金属を気化させても 分解生成ガスはほとんど発生しな L、。 したがつて気化した金属は金属状 態のまま高 L、純度で回収され、 また真空ポンプの負荷も軽減される。 凝縮手段は、 このように第 1の気密領域で気化した金属を凝縮させて 回収するものである。
例えば第 1の気密領域に排気系を有する回収チヤンバを接続し、 この チャンバ内で気化した金属を融点以下に冷却して^ させ回収するよう にしてもよい。 回収チヤンバ内を例えば向流構造や螺旋構造にするよう にしてもよい。 あるいは回収チャンバと第 1の気密領域との間、 回収チ ャンバと 気系との間にバルブや開閉可能な隔壁を設けるようにしても よい。 すなわち処理対象物体から気化した金属が回収チヤンバ内に導入 されたら、 回収チャンバを閉鎖して冷却し、 金属を凝縮させて回収する ようにしてもよい。
気化した金属を連続的に凝縮、 回収する場合でも、 バッチ処理で凝縮、 回収する場合でも、 回収チヤンバ内の気化した金属の滞留時間が長くな れば回収効率は高まる。
また、 第 1の気密領域内に N。や希ガスをキヤリアガスとして導入す るようにしてもよい。 気化した金属はキヤリアガスにより回収チャンバ に効率的に導入される。
凝縮手段は複数系統備えるようにしてもよい。 複数の凝縮手段で同じ 金属を回収するようにしてもよいし、 第 1の気密領域内の温度と圧力を 段階的に調節して複数の金属をそれぞれ選択的に気化させ、 複数系統の 凝縮手段を切り換えて回収するようにしてもよい。
また凝縮手段は多段に接続するようにしてもよい。 このように本発明の処理装置が備える減圧加熱手段は樹脂と金属とを 構成材として有する物体を処理するものである。 本発明の処理装置が備 える減圧加熱手段は、 処理対象物体の構成樹脂を分解する第 1の熱分解 手段を、 処理対象物体の構成金属を気化する減圧加熱手段の前段に備え ることにより、 樹脂と金属とを構成材として有する物体の処理を可能に したものである。 ^分解手段内から排出される処理対象物体からのガス 状排出物は、 第 1の熱分解手段に接続した改質手段または第 2の熱分解 手段、 冷却手段により前述のようにしよりされる。 した力《つて、 加 熱手段で、金属が気化するような十分な加熱と減圧を行うことができる。 また、 第 1の熱分解手段内では、処理対象物体の金属があまり酸化し たり気ィ匕しないような条件で処 S¾象物体を分解するから、 減圧加熱手 段では金属は効果的に処理対象物体から分離回収される。
本発明の処理装置が備える減圧加熱手段は、 処理対象物体から、 この 処理対象物体に含まれる金属を気化させるする温度調節手段と圧力調節 手段とを備えた第 1の熱分解手段と、 第 1の気密領域と開閉可能な隔壁 によつて隔てられた処理対象物体中の金属を選択的に気化する温度調節 手段と圧力調節手段とを備えた第 2の気密領域と、 第 1の気密領域に接 続され、 処理対象物体から気化させた金属を凝縮させる凝縮手段と、 第 2の気密領域に接続され、処理対象物体から気化した金属を回収する第 2の回収手段とを具備するようにしてもよい。
このように減圧加熱手段は、 第 1の熱分解手段の熱分解残渣などの処 理対象物体などに含まれる金属を気化させる気密領域は複数備えるよう にしてもよい。 すなわち、 第 1の金属と第 2の金属とを構成材として有 する物体を処理する際に、 第 1の熱分解手段では第 1および第 2の金属 力あまり酸化されないように処理対象物体を熱分解する温度調節手段と 酸素濃度調節手段とを備え、 この第 1の熱分解手段と開閉可能な隔壁に よつて隔てられた処理対象物体中の第 1の金属を選択的に気化する温度 調節手段と圧力調節手段とを備えた第 1の気密領域と、 第 1の気密領域 と開閉可能な隔壁によつて隔てられた物体中の第 2の金属を選択的に気 化する温度調節手段と圧力調節手段とを備えた第 2の気密領域と、第 1 の気密領域に接続された物体から気化した第 1の金属を凝縮させる第 1 の凝縮手段と、 第 2の気密領域に接続され、 処理対象物体から気化した 第 2の金属を回収する第 2の凝縮手段とを具備しするようにしてもよい。 この減圧加 段の特徴は、 第 2の気密領域を複数備えたことにある。 第 2の気密領域を複数備えることにより、 物体中に含まれる複数の金属 はそれぞれ選択的に気化され、 凝縮回収される。
また本発明の処理装置が備える減圧加熱手段は、温度調節手段と圧力 調節手段とを備えた 1個の気密領域と、 この気密容器に接続して配設さ れた、処理対象物体中の第 1の金属が選択的に気化するように気密容器 内の温度と圧力とを調節したとき物体から気化した第 1の金属を回収す る第 1の凝縮手段と、 気密容器に接続して配設された、 物体中の第 2の 金属が選択的に気化するように気密容器内の温度と圧力とを調節したと き物伴から気化した第 2の金属を回収する第 2の凝縮手段とを具備する ようにしてもよい。 前述した減圧加熱手段が、 気密容器内の温度、圧力、 酸素濃度条件など条件の異なる複数の気密領域を備えたものであるのに 対し、 この EE加熱手段は 1つの気密容器内の条件に応じた複数の凝縮 手段を備えた処理装置が備える減圧加熱手段である。
気密容器内の温度調節手段、 すなわち処理対象物体の温度調節手段は、 前述と同様加熱手段と温度センサを用いるようにすればよい。 加熱につ いても対流、輻射など各種加熱手段を必要に応じて選択または組合わせ て用いるようにしてもよい。
圧力調節手段についても前述減圧加熱手段同様に、 排気手段、 加圧手 段と圧力測定手段を用いるようにすればよい。排気手段は例えばロータ リーポンプ、 油拡散ポンプ、 ブースターポンプなど各種真空ポンプを用 いるようにすればよい。 加圧手段としては例えばガスリザバーから気体 を系内に導入するようにしてもよい。 圧力測定手段はブルドン管ゃビラ ニーゲージなどを測定する真空度などに応じて用いるようにすればよ L、。 凝縮手段についても前述同様に備えるようにすればよい。
また第 1、 第 2の凝縮手段としては、 例えば気密領域に排気系を有す る回収チャンバを接続し、 このチャンバ内で気ィ匕した金属を融点以下に 冷却して凝縮させ回収するようにしてもよい。 回収チャンバ内を例えば 向流構造や螺旋構造にするようにしてもよい。 あるいは回収チヤンバと 第 1、 第 2の気密領域との間、 回収チャンバと排気系との間にバルブや 開閉可能な隔壁を設けるようにしてもよい。 すなわち処理対象物体から 気化した金属が回収チャンバ内に導入されたら、 回収チヤンバを閉鎖し て冷却し、 金属を凝縮させて回収するようにしてもよい。
例えば鉛が含まれる処理対象物体を減圧加熱手段に保持し、 減圧加熱 手段内の温度を調節する温度調節手段と、 減圧加熱手段の圧力を調節す る圧力調節手段と、 減圧加熱手段内の温度と圧力とを処理対象物体中の 鉛が選択的に気化するように温度調節手段と圧力調節手段とを制御する 制御手段と、減圧加熱手段に接続した、 処理対象物体から気化した鉛を 凝縮させる回収手段を具備するようにすれば、処理対象物体の熱分解残 渣 (ガス状排出物から分離された固体状、 液体状成分を含む) から鉛を 回収することができる。
この処理装置の減圧加熱手段は、 処理対象物体を気密容器内に導入し、 気密容器内の温度、 圧力あるいは酸素濃度を調節して、 処理対象物体中 の鉛を選択的に気化させて、 処理対象物体から分離、 回収することにあ る。 さらに鉛以外の金属についても、 この金属が選択的に気化するよう な所定の温度、 圧力条件に気密容器内を制御して、処理対象物体から分 離、 回収するようにしてもよい。
また、 処理対象物体が鉛と樹脂とを含む場合であっても、 第 1の熱分 解手段において、 まず、 鉛が気化したり、 あまり酸化したりしないよう な条件で処理対象物体を熱分解することにより、 樹脂部分を分解 (ガス ィ匕、 油化、 炭化物化) し、 ついで減圧加熱手段で鉛を選択的に気化させ、 気化した鉛を金属状態で回収することができる。 第 1の熱分解手段で処 理対象物体の構 S ^脂を!^解しておくことにより、処理対象物体中の 鉛を積極的に回収することができる。
そして本発明の処理装匿は、 このような温度調節手段、 圧力調節手段 または酸素濃度調節手段を制御する制御手段を備えるようにしてもよい。 この制御手段は例えば第 1の熱分解手段内の温度、 酸素濃度を、 処理対 象物体中の金属が酸化されないように保持しながら処理対象物体を熱分 解するように、 また、 減圧加熱手段中の金属力《選択的に気化するように 制御するものである。 この制御手段は気密領域の状態を、 前述した温度 センサ、 圧力センサ、 酸素濃度センサなどにより測定し、 この測定値を 加熱手段、排気系、加圧系、 キヤリァガス導入系などにフィ一ドバック して気密容器内の状態を最適化するようにしてもよい。
そして、 このような制御は減圧加熱手段の気密領域内の状態のパラメ 一夕を入力として、加熱手段、 排気系、 加圧系、 キヤリアガス導入系な どを気密容器内の条件が最適化されるように操作する信号を出力とする ような制御装置を備えるようにしてもよい。 この制御回路はプログラム として、 制御装置の記憶手段内に格納するようにしてもよい。 これらの 制御手段は、 第 1の熱分解手段、 改質手段、 第 2の熱分解手段、 冷却手 段などと統合して制御するようにしてもよい。 本発明の処理方法における熱分解工程は、 処理対象物体を酸素濃度制 御下で加熱して処理対象物体を熱分解する工程である。
プラスティックなどの樹脂は 5 0 °C程度から溶融など力始まり、 1 8 0 - 5 0 0 °C程度で分解し主として C 1〜C 1 6の炭化水素系ガスを排 出する。 これら樹脂などの熱分解によって生じたガス状排出物は前述し たようダイォキシンが発生しないように処理され、 燃料ガスとしてリサ ィクルされる。
前述のようにこの処理対象物体の熱分解はチヤンバ内の酸素濃度を調 節した状態で行うことが好ましい。酸素濃度は A rなどのキヤリァガス を導入して調節するようにしてもよいし、 第 1の熱分解手段のチャンバ 内の全圧により調節するようにしてもよい。
第 1の熱分解工程で酸素濃度を調節し、 系内を還元性棼囲気に保つこ とにより、 鉛などの金属の酸化を防止することができ、 ダイォキシンの 発生を抑制することもできる。 また、 酸素濃度を全圧とは別に調節する ことにより、 第 1の熱分解手段内の熱伝導率を低下させずに金属の酸化 を防止することができ、 処理対象物体の熱分解効率、 ガス状排出物の回 収効率が向上する。 場合によっては、 A rなどのキャリアガスを導入し て第 1の熱分解手段を加圧して、樹脂を分解するようにしてもよい。 第 1の熱分解手段では、 処理対象物体中の樹脂は完全に熱分解するこ とが好ましいが、減圧加熱手段での金属の分離、 回収に悪影響を及ぼさ ない程度に分解することができればよい。 処理対象物体中の水分や油分 は熱分解工程で処理対象物体からほとんど除去されるため、 金属を気化 させる工程に悪影響を及ぼすことはない。
例えば鉛 (金属) が 7 6 O mmH gの蒸気圧を示すのは約 1 7 4 5 °C である力《、酸化鉛ではより低い 1 4 7 2 °Cで 7 6 O mmH gの蒸気圧を 示す。 したがって、 第 1の熱分解手段の酸素濃度を制御することにより、 金属鉛が酸化鉛に酸化するのを抑制して鉛の飛散を防止し、 減圧加熱手 段でより積極的に鉛を回収することができる。
このように処理対象物体中の金属があまり酸化されないように維持し ながら処理対象物体を熱分解したなら、 この処理対象物体を、 熱分解し た処理対象物体に含まれる金属が気ィヒするように減圧下で加熱し、金属 を処理対象物体中から分離、 回収する。
処理対象物体中に複数の金属が含まれている場合には、 蒸気圧の差に より目的金属を選択的に気化させる。
例えば鉛が気化する温度はチヤンバ内の圧力によって変化する。 大気 圧下では例えば 1 4 0 0 °Cに加熱した場合の鉛の蒸気圧は 8 4 mmH g であるのに対し鉄、 鋦、 スズの蒸気圧は I mmH gにも達しない。 したがって、処理対象物体を 1 4 0 0 °C程度に加熱することにより処 理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることができる。 また、 大気圧下では例えば 1 7 4 0 °Cでの鉛の蒸気圧は 7 6 O mmH gであるのに対しスズの蒸気圧は 1 5 mmH g、 銅の蒸気圧は 3 mmH gにも達しない。 したがって、 物体を 1 7 4 0 °C程度に加熱することに より物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることができる。 また、 気密容器内を減圧することによりさらに低い温度で処理対象物 体中の金属を気化させることができる。
減圧加熱手段の気密領域内の圧力を 1 0 _1T o r rに調節すれば、 ほ ぼ 1 1 0 0 Κ程度に加熱することにより、 物体からほぼ鉛蒸気のみを選 択的に発生させることができる。
また、 気密領域内の圧力を 1 0 ύΤ ο r rに調節すれば、 ほぼ 9 0 0 K程度に加熱することにより、 物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生 させることができる。
さらに、 気密領域内の圧力を 1 0—4T o r rに調節すれば、 ほぼ 7 0 0 K程度に加熱することにより、 物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発 生させることができる。
このように選択的に発生させた鉛をはじめとする金属の蒸気は、 その 金属の融点以下に冷却した凝縮手段などで、 金属として回収する。 このように処理対象物体から気化させた金属を凝縮、 結晶化して回収 する場合、 装置内の蒸気鉛の滞留時間を長く設定することで回収率は高 くなる。 したがって凝縮手段の構造は向流構造あるいは螺旋構造にする ことが好適である。
また、 減圧加熱手段の気密領域から凝縮手段へ Ν2 や、 A rなどの希 ガスをキヤリアガスとして流すことにより、 金属蒸気をより選択的に回 収することができる。
第 1の熱分解工程と、 減圧加熱工程を連続的に行うようにすれば、 投 入エネルギーを大きく抑制することができる。
すなわち、気体の熱伝導率は圧力低下にしたがって減少するから、減 圧加熱工程で気密容器内を減圧するほど大きなエネルギ一を投入する必 要がある。
本発明の処理装置、 処理方法において、 例えば第 1の熱分解手段と減 圧加熱手段とを処理対象物体の冷却を抑制するように接続し、 第 1の熱 分解工程を金属を気化させる減圧加熱手段の予備加熱段階として用いる ようにすれば、 減圧加熱工程で投入するエネルギーを大きく節約するこ とができる。 また、 第 1の熱分解手段で加熱されている処理対象物体が 大気中で酸化、 燃焼するのを防止することもできる。 例えば第 1の熱分 解手段と減圧加熱手段の気密領域とを、 パージ室を介して接続するよう にしてもよい。
また本発明の処理装置が備える減圧加熱手段は、 金属で接合された第 1の部分と第 2の部分を有する処理対象物体を内部に保持する気密領域 と、 気密領域内の温度を調節する温度調節手段と、 気密領域内の圧力を 調節する圧力調節手段と、 気密領域内の温度と圧力とを金属が気化する ように温度調節手段と圧力調節手段とを制御する制御手段とを備えるよ うにしてもよい。
また、 第 1の金属と第 2の金属とを有する合金で接合された第 1の部 分と第 2の部分を有する処理対象物体を内部に保持する気密領域と、 気 密領域内の温度を調節する温度調節手段と、 気密領域内の圧力を調節す る圧力調節手段と、 気密領域内の温度と圧力とを合金が気化するように 温度調節手段と圧力調節手段とを制御する制御手段とを具備するように してもよい。
例えば Z n、 C d、 H g、 G a、 I n、 T l、 S n、 P b、 S b、 B i、 A gまたは I nのうち少なくとも 1つの元素を第 1の金属として処 理対象物体から分離または回収するようにしてもよい。
また、 気密領域内の温度、 圧力、 酸素濃度を調節することにより、 こ れ以外の金属についても金属状態のまま分離、 回収することができる (図 4 3、 図 4 8、 図 4 9参照) 。 このことは特に述べない場合も、 本 発明の全ての部分を通じて同様である。
第 1の熱分解手段で熱分解した第 1の部分と第 2の部分を有する処理 対象物体の 解残渣を MEE加熱手段の気密領域に導入してこの気密領 域を密閉し、 第 1の部分と第 2の部分を有する処理対象物体とを接合し ている金属が気化するように気密領域内の温度と圧力とを調節するよう にすればよい。
また接合金属が第 1の金属と第 2の金属とを有する合金である場合に は、 まず合金中の第 1の金属が選択的に気化するように気密領域内の温 度と圧力とを調節し、 つぎに、 合金中の第 2の金属が気化するように気 密領域内の温度と圧力とを調節するようにしてもよい。 例えば、 第 1の熱分解手段に、 樹脂を構成材として有する基板と、 こ の基板と第 1の金属と第 2の金属とを有する合金で接合された電子部品 とからなる実装基板を導入し、 合金の第 1および第 2の金属が気化しな いように、 力、つ樹脂が熱分解するように第 1の熱分解手段内の温度と酸 素濃度とを制御する。 そして実装基板の熱分解残渣を減圧加熱手段に導 入して、 合金中の第 1の金属が選択的に気化するように減圧加熱手段の 気密領域内の温度と圧力とを制御し、 ついで合金中の第 2の金属が気ィ匕 するように気密領域内の温度と圧力とを制御するようにしてもよい。
このように本発明によれば、 例えばプリント基板と各種電子部品とが P b— S nなどのハンダ合金などで接合された実装基板などのような、 金属または合金で接合された部分を有する処理対象物体の接合を解除す ることができ、 また、接合
合金に例えば鉛などの有害金属が含まれている場合でも、 処理対象物体 からこれら金属を分離、 回収することができる。
すなわち第 1の熱分解手段で熱分解した処理対象物体を減圧加熱手段 の気密領域内に導入し、 気密領域内の温度、 圧力、 酸素濃度などを調節 して、 接合している金属または合金を気化させることにより、 接合を解 除することができる。 気化した金属は回収するようにすればよ L、0 処理対象物体が樹脂を構成材として有する場合には、 まず樹脂部分を 第 1の熱分解手段で加熱分解し、気化、 油化、炭化する。 この樹脂の分 解は、 第 1の熱分解手段内の温度、酸素濃度を金属があまり酸化したり 気化しないような条件に調節して行うようにすればよい。 処理対象物体 から金属が気化した場合でも、 例えば冷却手段などで凝縮、 回収して減 圧加熱手段に導入するようにしてもよい。
ついで気密領域内の温度、 圧力を調節して処理対象物体中の接合金属 を選択的に気化させる。 複数の金属 (元素) が処理対象物体中に含まれ る場合には、 それぞれの金属に応じて気密領域内の温度、 圧力を調節し、 金属毎に選択的に気化するようにすればよい。
実装基板以外にも金属または合金で接合された処理対象物体であれば、 その接合を解除することができる。
例えば、 本発明の処理装置に破砕せずに実装基板を導入し、 酸素濃度 を調節しし鉛があまり酸化、 気化しないような温度で熱分解 (例えば 4 50〜500°C程度) して、 実装基板の構成樹脂を分解する。 そして熱 分解した実装基板を減圧加熱手段に導入し、 鉛が蒸発するように加熱し て鉛を気化させ (例えば 10_3To r rではほぼ 900 K)、 同様にス ズを気化させて、 実装基板を電子部品と回路基板 (電子部品を搭載する 基板をここでは回路基板とよぶ) とに分離し、 回収するようにしてもよ い o
鉛などの金属が第 1の熱分解手段で気化しても、 ガス状排出物の処理 系に金属の分離手段を設けるようにすればよい。
また、例えば、 本発明の処理装置に実装基板を導入し、 鉛を回収した 後、 さらに、 例えば 973 K程度まで加熱して、 Zn、 Sbなどを気化 させ回収するようにしてもよい。
さらに例えば 1773K程度まで加熱して、 Au、 P t、 Pd、 Ta、 N i、 C r、 Cu、 A 1、 C o、 W、 Moなどを気化させ回収するよう にしてもよい。 ハンダ合金は Pb— Snに限ることはなく、 例えば A g— Sn、 Ζιι - Sn、 I n - Sn、 B i— Sn、 Sn— Ag— B i、 S n-Ag-B i—Cuなどのような、 いわゆる P bフリーハンダでも J'い。 また、 これら以外の合金や、 金属単体により接合されていてもよ い o
また本発明によれば樹脂と金属とが一体化した処理対象物体を効果的 に処理することができる すなわち、樹脂と金属とが一体化した処理対象物体を第 1の熱分解手 段へ導入し、 まず榭脂部分を加熱分解し、 気化、 油化、 炭化する。 この 樹脂の分解は、 第 1の熱分解手段の温度、 酸素濃度あるいは圧力を金属 力《あまり酸化したり気ィ匕しないような条件に調節して行うようにすれば よい。
この操作のみでは未だ処理対象物体中から金属を分離することが困難 な場合には、 ついで減圧加熱手段に導入し、気密領域内の温度、 圧力を 調節して処^¾象物体中の金属を選択的に気化させる。 複数の金属 素) が処理対象物体中に含まれる場合には、 それぞれの金属に応じて気 密領域内の^ ¾、 圧力を調節し、 金属毎に選択的に気化するようにすれ ばよい。 このように、 本発明装置および処理方法では、 単に樹脂と金属 とを有する処理対象物体だけでなく、樹脂と金属が一体化した処理対象 物体も処理できる。 このような樹脂と金属とを有する処理対象物体とし ては、 例えば、 レトルト食品などの包装容器などのブラスティックフィ ルムでラミネートされたアルミニゥム箔や、 樹脂と銅 ·ニッケルなどの 金属が一体化したプリント基板、 フレキシブル基板あるいは T A Bのフ イルムキャリア、 I C、 L S I、抵抗器、 あるいはシュレッダーダスト などを 1例としてあげることができる。
処理対象物体の構成金属が、 全体として酸化したり気化したりしない ようにするには、 例えば、 気密領域内の圧力を制御して廃棄物を加熱す るようにしてもよいし、 気密領域内の酸素濃度を制御して処理対象物体 を加熱するようにしてもよい。 酸素濃度を制御するには、 気密領域内の 全圧を調節することにより酸素分圧を調節するようにしてもよいし、 窒 素ガス、 希ガスなどのガスを気密領域内に導入して系内の酸素濃度を調 節するようにしてもよい。 処理対象物体の加熱により樹脂部分の酸化が 急速に進むと、 すなわち燃えてしまうと、樹脂部分と一体化している金 属部分も酸化されて酸化物となり利用価値が低下するだけでなく、前述 のようにダイォキシンの発生につながるのでので注意が必要である。 また金属部分が複数の金属からなっているような場合、 さらに加熱し、 元素ごとに選択的に蒸発させて回収するようにしてもよい。
処理対象物体の樹脂の分解生成ガスは凝縮させて回収するようにして もよく、 例えば油ィ匕装置などで回収するようにしてもよい。 水素ガスは 吸着させるなどして回収するようにすればよいし、 またハロゲンィ 化 τΚ¾などが発生する場合には、例えば触媒などを用いて分解するように してもよい。
また、 樹脂がポリ塩化ビニル系の樹脂など塩素を含む場合には、 例え ば第 1の熱分解手段と、 改質手段または第 2の熱分解手段との間、 ある 、は改質手段または第 2の熱分解手段と冷却手段との間などのガス状排 出物処理系で例えば高温に加熱した鉄と接触させハロゲン化鉄として回 収するようにしてもよい。
処理の 1例として例えば、 各種包装容器などに用いられているプラス ティックフィルムでラミネートされたアルミニウム箔 (樹脂被覆アルミ 二ゥム箔という、 以下、 同じ) の処理について説明する。
第 1'の温度が 4 0 0 °C未満では樹脂部の炭化 ·油化などの分解が不十 分である。 また、 6 5 0 °C以上に加熱するとアルミニウムは溶融してし まうので、第 1の温度を約 4 0 0〜6 5 0。Cに設定して熱分解すること により、 樹脂部分は分解 (気化、油化、 炭化) し、 アルミニウム箔は金 属状態のまま回収される。
第 1の熱分解手段内の圧力を 1 0 T o r r程度以下に減圧し、 ある いは A rなどのガスを導入して酸素濃度を調節して熱分解すればさらに 好適である。 第 1の温度も 5 5 0〜6 0 0 °Cに設定すればさらに好まし い。 また本発明は、 樹脂と銅とが一体化した例えば回路基板などの処理対 象物体を処理することもできる。 例えば樹脂と鋦とが積層された回路基 板を第 1の熱分解手段で熱分解し、 樹脂成分を熱分解したのち減圧加熱 手段に導入する。 減圧下で回路基板の銅が溶融し、 その表面張力で粒状 に凝集するするように熱分解残渣をさらに加熱する。 そして、 この処理 対象物体をパ一ジ室を介して減圧加熱手段から取り出すことにより、 銅 と炭化物との分離力容易になる。
図面の簡単な説明
図 1は本発明の処理装置の 1例を概略的に示す斜視図であり ; 図 2は図 1に例示した本発明の処理装置を模式的に示す図であり ; 図 3は本発明の処理装置の別の 1例を概略的に示す図であり ; 図 4は本発明の処理装置の別の 1例を模式的に示す図であり ; 図 5本発明の処理装置の別の 1例を模式的に示す図であり ;
図 6は本発明の処理装置の別の 1例を模式的に示す図であり ; 図 7は本発明の処理装置の温度、 圧力、 酸素濃度を調節する制御系の構 成を模式的に示す図であり ;
図 8は本発明の処理装置の別の 1例を模式的に示す図であり ; 図 9は本発明の処理装置に接続した、 回収室を含む回収系を模式的に示 す図であり ;
図 1 0は回収チヤ ンバの構造の 1例を概略的に示す図であり ; 図 1 1は回収チヤ ンバの構造の 1例を概略的に示す図であり ; 図 1 2は排ガス処理装置の構成の 1例を概略的に示す図であり ; 図 1 3は鉛の沸点 (蒸気圧) の温度依存性を示すグラフであり ; 図 1 4は処理対象物体である実装基板の処理前の様子を模式的に示す図 であり ;
図 1 5は構成樹脂が熱分解された実装基板の様子を模式的に示す図であ ;
図 1 6は鉛が気化する様子を模式的に示す図であり ;
図 1 7は回路基板と電子部品とが分離した様子を模式的に示す図であり ; 図 1 8は各種金属の沸点 (蒸気圧) の圧力依存性を示すグラフであり ; 図 1 9は各種酸化物の生成自由エネルギーとその温度依存性を示すグラ フであり ; 図 2 0は本発明の処理装置の 1例を模式的に示す図であり 図 2 1は本発明の処理装置の隔壁を模式的に示す図であり
図 2 2は本発明の処理装置の 1例を模式的に示す図であり
図 2 3は処理対象物体の例である回路基板の処理前の様子を模式的に示 す図であり ;
図 2 4は構成樹脂が熱分解された回路基板の様子を模式的に示す図であ ;
図 2 5は表面張力により銅が粒状に集まる様子を模式的に示す図であり ; 図 2 6は処理対象物体である樹脂被覆アルミニゥム箔の処理前の様子を 摸式的に示した図であり ;
図 2 7は構成樹脂が熱分解された樹脂被覆アルミ二ゥム箔の様子を模式 的に示す図であり ;
図 2 8は樹脂被覆アルミニウム箔から分離されたアルミ二ゥム箔を模式 的に示す図であり ;
図 2 9および図 3 0は各種金属の蒸気圧と温度との関係を示すグラフで のる。 発明を実施するための最良の形態
(実施例 1 )
図 1は本発明の処理装置の 1例を概略的に示す斜視図である。 一部を 切り欠いて内部の様子を示した。
この処理装置 1 0 0は樹脂と金属とを構成材として有する処理対象物 体 1 5 0を処理するものであり、 パージ室 1 0 1、 第 1の気密室 1 0 2、 第 2の気密室 1 0 3、 冷却室 1 0 4から構成されている。
これら各室は開閉可能な隔壁である扉 1 0 5によって隔てられている。 すなわち、 装置外部とパージ室 1 0 1とは扉 1 0 5 aにより、 パージ室 1 0 1と第 1の気密室 1 02とは扉 1 05わにより、 第 1の気密室 1 0 2と第 2の気密室 1 03とは扉 1 05 cにより、 第 2の気密室 1 0 3と 冷却室 1 0 4とは扉 1 0 5 dにより、 そして冷却室 1 04と装置外部と は扉 1 0 5 eによりそれぞれ隔てられている。
これら各室を隔てる扉 1 05は気密保持性と断熱性とを備えており、 各室を熱的、 圧力的に隔てている。 扉 1 0 5 a、 1 0 5 bにかかる熱的 負荷は小さいので気密性が保持できればよい。
パージ室 1 0 1には排気系 1 06が接続されている。 この排気系 1 0 6は油拡散ポンプ 1 06 a、 ブースターポンプ 1 06 b、 ロータリーポ ンプ 1 06 cを備えている。 パージ室 1 0 1と排気系 1 06との間、 そ れぞれの真空ポンプ間には図示しないバルブが配設されている、 このこ とは以下特に述べない場合も同様である。
パージ室 1 0 1と排気系 1 0 6との間には、 パージ室 1 0 1内の減圧 などにより処理対象物体 1 5 0から排出される水分や水素ガスなどを除 去する トラップ 1 07が配設されている。 したがって、 パージ室内で処 理対象物体 1 5 0から水分や水素ガスなどが排出されたとしても、 排気 系 1 06に悪影響を及ぼすことはない。 このトラップ 1 0 7は必要に応 じて備えるようにすればよい。
パージ室 1 0 1内の圧力はこの排気系 1 06と、 図示しない圧力セン サである真空計により調節している。 真空計としてはブルドン管、 ビラ ニーゲージなどを必要に応じて用いるようにすればよい。
また、 パージ室 1 0 1にはパージ室 1 0 1内をガス置換するためのキ ャ リァガス導入系が接続されており、 1 08はキヤリアガス導入弁であ る。 キヤ リァガス導入系は図示しないキヤ リァガスリザバーに接続され ている。 ここではキャリアガスとして N2 を用いているが、 例えば A r などの希ガスを用いるようにしてもよい。 また、 パージ室 1 0 1に加熱手段を備えて、 処理対象物体 1 5 0を予 熱するようにしてもよい。
パージ室 1 0 1と第 1の気密室 1 0 2の圧力をほぼ等しく し、 扉 1 0 5 bを開きプッシャ— 1 3 0で処理対象物体 1 5 0を第 1の気密室 1 0 2へ移動させる。 以後特に述べない場合にも、 扉 1 0 5は両側の圧力を バランスさせて開閉するようにすればよい。
第 1の気密室 1 0 2は、 処理対象物体 1 5 0の構成金属の酸化状態を 保持しながら構成樹脂を選択的に熱分解するための処理室である。
この第 1の気密室 1 0 2は加熱手段である電熱ヒーター 1 0 9を備え ている。 加熱手段は電熱ヒーター 1 0 9に限らず、 必要に応じて選択ま たは組合わせて備えるようにすればよい。 例えばガス、 油等を燃焼させ てもよいし、 誘電加熱を行うようにしてもよい。 また、 処理対象物体 1 5 0の構成樹脂の熱分解生成物であるガスや油を燃焼させるようにして もよい。
第 1の気密室 1 0 2内の温度は、 この電熱ヒーター 1 0 9と図示しな い温度センサおよび温度センサから測定値により電熱ヒータを制御する 図示しない制御手段により調節している。 制御手段は、 例えば、 温度セ ンサからの測定値または測定電圧を入力とし、 電熱ヒータ一への投入電 力を変化させるような信号または電圧を出力とするプログラムを電子計 算機に搭載して用いるようにしてもよい。
このような制御はアナログ回路によってもよいし、 測定温度に応じて 操作員が加熱手段を操作するようにしてもよい。
図 1に例示した処理装置においては、 第 1の気密室 1 0 2内の温度は、 後述する第 1の気密室 1 0 2内の圧力、 酸素濃度とともに、 また、 パー ジ室 1 0 1、 第 2の気密室 1 0 3、 冷却室 1 0 4内の諸条件および隔壁 1 0 5の開閉、 処理対象物体 1 5 0の移送とともに、 統合的に図示しな い制御手段により制御している。 この制御手段は、 例えば制御プログラ ムを電子計算機に搭載して行うようにしてもよい。
第 1の気密室 1 0 2にも排気系 1 1 0が接続されている。 この排気系 の構成はパージ室 1 0 1の排気系 1 1 0と同様の構成となっている。 第 1の気密室 1 0 2内の圧力はこの排気系 1 1 0と、 図示しない圧力 センサである真空計により調節している。 真空計としては前述同様ブル ドン管、 ピラニーゲ一ジなどを必要に応じて用いるようにすればよい。 第 1の気密室 1 0 2には、 この室内の酸素濃度を調節するためのキヤ リァガス導入系が接続されており、 1 1 2はキヤリアガス導入弁である。 キヤリアガス導入系は図示しないキヤリアガスリザバーに接続されてい o
ここではキヤ リァガスとして N 2 を用いているが、 例えば A rなどの 希ガスを用いるようにしてもよい。
排気系 1 1 0とキヤ リァガス導入弁 1 1 2を適当に操作することによ り、 第 1の気密室内を減圧、 または加圧することができる。 この装置の 圧力調整手段は、 1 0—3 T o r rから 4 Χ ΐ Ο ΰ Τ θ Γ r程度まで系内 の圧力を調節できるようになつている。 排気系の能力、 容量を変えるこ とにより、 さらに減圧するようにしてもよい。 またキャリアガスを予圧 することによりさらに加圧するようにしてもよい。
第 1の気密室 1 0 2内の酸素濃度は、 キヤ リァガス導入弁 1 1 2と、 図示しない酸素濃度センサにより調節される。 酸素濃度センサとしては、 例えばジルコニァセンサを用いるようにしてもよい。 第 1の気密室 1 0 2内の温度がジルコニァセンサには低い場合には、 例えば第 1の気密室 1 0 2内から抽出したガスを 7 7 3 K程度に調節して測定するようにし てもよい。
ジルコニァセンサ以外にも例えば系内のガスを赤外分光して酸素濃度 を測定するようにしてもよい。
第 1の気密室 1 0 2内の酸素澳度は例えば N 2 のようなキヤ リァガス の導入ではなく、 系内の全圧により調節するようにしてもよい。
処理対象物体 1 5 0の構成樹脂の熱分解が始まると、 第 1の気密室 1 0 2内は樹脂の分解生成ガス雰囲気が卓越する。 したがって、 樹脂の熱 分解開始前に第 1の気密室 1 0 2内を減圧して酸素濃度を十分に低下さ せておけば、 処理対象物体 1 5 0の燃焼や、 処理対象物体 1 5 0の構成 金属の酸化を防ぐことができる。
前述のように、 第 1の気密室 1 0 2内の圧力、 酸素濃度についても温 度と同じように制御するようにすればよい。 例えば、 圧力センサ、 酸素 澳度センサからの測定値または測定電圧を入力とし、 排気系 1 1 0のバ ルブ、 キヤ リァガス導入弁 1 1 2を制御する信号または電圧を出力とす るプログラムを電子計算機に搭載し制御手段として用いるようにしても よい。
第 1の気密室 1 0 2と排気系 1 1 0との間に、 処理対象物体 1 5 0の 構成樹脂の分解生成ガスを回収するための油化装置 1 1 1が配設されて いる。 この油化装置 1 1 1は処理対象物体 1 5 0の選択的に熱分解によ り生じたガスを凝縮させ例えば軽油、 重油などの油やタールとして回収 するものである。 前述のように回収した油を加熱手段として用いるよう にしてもよい。
また、 処理対象物体 1 5 0の構成樹脂の分解生成ガス中にハロゲン、 ハロゲン化炭化水素などのガスが含まれる場合には、 例えば触媒などを 用いて熱分解するようにすればよい。
処理対象物体 1 5 0から排出される有害なガスを装置外に漏らさない ために、 各室に接続した排気系 1 0 6、 1 1 0、 1 1 4、 1 1 5の後段 に図示しないマルチ排ガスチヤンバを備えるようにしてもよい。 第 1の気密室 1 0 2内の温度、 圧力、 酸素濃度は上述のように制御さ れる。 したがって、 処理対象物体 1 5 0の構成金属は殆ど酸化したり気 化することなく、 構成樹脂を選択的に熱分解することができる。 そして 構成樹脂の分解生成ガスは油化装置により回収される。 第 1の気密室 1 0 2内で処理対象物体の構成樹脂を完全に炭化する必要はなく、 後段の 第 2の気密室 1 0 3で金属を分離回収する際の妨げにならない程度に選 択的に熱分解できればよい。
第 1の気密室 1 0 2での処理終了時には、 処理対象物体 1 5 0に残つ た構成樹脂のほとんどは炭化物として存在することになる。
本発明の処理装置 1 0 0では、 第 1の気密室 1 0 2で加熱した処理対 象物体 1 5 0を冷却することなく第 2の気密室 1 0 3に移送するので、 熱効率が非常に高い。
第 2の気密室 1 0 3は、 処理対象物体 1 5 0の構成金属を処理対象物 体 1 5 0から選択的に気化させ回収するための処理室である。
この第 2の気密室 1 0 3は加熱手段として第 1の気密室と同様の電熱 ヒーター 1 0 9を備えている。 加熱手段は電熱ヒーター 1 0 9に限らず、 必要に応じて選択または組合わせて備えるようにすればよい。
前述のように、 第 2の気密室 1 0 3内の温度は、 この電熱ヒーター 1 1 3と図示しない温度センサにより第 1の気密室 1 0 2内と同様に制御 している。 すなわち、 第 2の気密室 1 0 3内の温度は、 第 2の気密室 1 0 3内の圧力、 酸素濃度などとともに、 また、 パージ室 1 0 1、 第 1の 気密室 1 0 2、 冷却室 1 0 4の諸条件および隔壁 1 0 5の開閉とともに、 統合的に図示しない制御手段により制御している。
第 2の気密室 1 0 3にも排気系 1 1 4が接続されている。 この排気系 の構成はパージ室 1 0 1の排気系 1 1 4と同様の構成となっている。 第 2の気密室 1 0 3内の圧力はこの排気系 1 1 4と、 図示しない、 圧 力センサである真空計により調節している。 真空計としては前述同様ブ ルドン管、 ピラニーゲージなどを必要に応じて用いるようにすればよい。 第 2の気密室 1 0 3には、 この室内の酸素濃度を調節するためのキヤ リァガス導入系が接続されており、 1 1 2はキヤリアガス導入弁である。 キヤ リァガス導入系は図示しないキヤリァガスリザバーに接続されてい る。 ここではキャ リアガスとして N 2 を用いているが、 例えば A rなど の希ガスを用いるようにしてもよい。
排気系 1 1 4とキヤリ了ガス導入弁 1 1 2を適当に操作することによ り、 第 1の気密室内を減圧、 または加圧することができる。 この装置で は、 1 0 _3 T o r rから 4 X 1 0 3 T o r r程度まで系内の圧力を調節 できるようになつている。 排気系の能力、 容量を変えることにより、 さ らに減圧するようにしてもよい。 またキヤ リアガスを予圧することによ りさらに加圧するようにしてもよい。
第 2の気密室内 1 0 3内の減圧にともなって処理対象物体 1 5 0の構 成金属の蒸気圧 (沸点) は下がるから、 より低い温度で金属を気化させ ることができる。
したがって、 第 2の気密室 1 0 3が備える加熱手段、 排気手段の能力 は処理対象物体 1 5 0から分離、 回収する金属の種類に応じて変えるよ うにすればよい。
例えば、 第 2の気密室内 1 0 3内をより高温に加熱するのに、 誘電加 熱手段を備えるようにしてもよい。 また例えば第 2の気密室内 1 0 3内 をより高真空に減圧するのに、 より能力が高く排気量の大きい真空ボン プを備えるようにしてもよい。 第 2の気密室内 1 0 3内の容量によって は、 イオンゲッターポンプ、 ターボ分子ポンプなどを用いて、 さらに高 真空を得るようにしてもよい。
第 2の気密室 1 0 3内の酸素濃度は、 系内が十分に減圧されているた めに特に調節しなくても十分に低い。 したがって、 積極的に調節する必 要はないが、 酸素濃度調節手段を備える場合には、 第 1の気密室 1 0 2 と同様にすればよい。
また図 1に示した処理装置 1 0 0は、 第 2の気密室 1 0 3を 1室備え た構成を例示したが、 第 2の気密室 1 0 3を複数備えるようにしてもよ い。 内部の温度、 圧力条件の異なる複数の第 2の気密室 1 0 3を備える ことにより、 蒸気圧の異なる複数の金属を処理対象物体 1 5 0から気化 させ回収することができる。
また、 処理対象物体 1 5 0から金属を元素ごと分離して回収する必要 がない場合には、 処理対象物体 1 5 0から複数金属を気化させ、 回収す るようにしてもよい。 例えば、 P b— S n合金を処理対象物体から除去 する時は、 第 2の気密室 1 0 3内の圧力で、 P bおよび S nが気化する ような温度に加熱し、 P bおよび S nを回収するようにしてもよい。 も ちろん、 P bと S nとを選択的に気化して、 それぞれ回収するようにし てもよい。
第 2の気密室 1 0 3と排気系 1 1 4との間に、 処理対象物体 1 5 0か ら気化した気体状態の金属を回収するための回収チヤンバ 1 1 5が配設 されている。 この回収チャンバは、 このチャンバ内で気化した金属を融 点以下に冷却して凝縮させ回収するものである。 回収チヤンバ 1 1 5内 を例えば向流構造や螺旋構造にするようにしてもよい。 あるいは回収チ ャ ンバ 1 1 5と第 2の気密室 1 0 3との間、 回収チヤンバ 1 1 5と排気 系 1 1 4との間にバルブや開閉可能な隔壁を設けるようにしてもよい。 すなわち処理対象物体 1 5 0から気化した金属が回収チヤ ンバ 1 1 5内 に導入されたら、 回収チヤンバ 1 1 5を閉鎖して冷却し、 金属を凝縮さ せて回収するようにしてもよい。
気化した金属を連続的に凝縮、 回収する場合でも、 バッチ処理で凝縮、 回収する場合でも、 回収チヤンバ 1 1 5内の気化した金属の滞留時間が 長くなれば回収効率は高まる。
また、 第 2の気密室 1 0 3内に N 2 や希ガスをキヤ リアガスとして導 入するようにしてもよい。 気化した金属はキヤ リアガスにより回収チャ ンバに効率的に導入される。
回収チヤ ンバ 1 1 5は、 第 2の気密室 1 0 3に複数系統備えるように してもよい。 複数の回収チヤンバ 1 1 5で同じ金属を回収するようにし てもよいし、 第 2の気密室 1 0 3内の温度と圧力を段階的に調節して複 数の金属をそれぞれ選択的に気化させ、 複数系統の回収チヤンバ 1 1 5 を切り換えて回収するようにしてもよい。
第 2の気密室 1 0 3内の温度、 圧力、 酸素濃度は上述のように制御さ れる。 したがって、 処理対象物体 1 5 0の構成金属をその蒸気圧に応じ て気化させ、 回収チャンバ 1 1 5で金属状態のまま回収することができ る 0
なお、 第 1の気密室での処理対象物体 1 5 0の構成樹脂の熱分解の程 度によっては、 構成樹脂が分解生成ガス等を排出することがある。 この ような分解生成ガスは、 回収チヤンバ 1 1 5の後段を油化装置 1 1 1な いしは図示しないマルチ排ガスチヤンバなどに接続して処理するように すればよい。
このように第 2の気密室 1 0 3では処理対象物体から所定の金属を気 化させ回収することができる。
第 2の気密室 1 0 3から処理対象物体 1 5 0を直接装置 1 0 0の外部 へ取り出すと、 処理対象物体 1 5 0が急速に酸化する恐れがある。 また、 第 2の気密室 1 0 3内を大気圧に戻さねばならず、 第 2の気密室 1 0 3 内の気密性を保持するという観点からも不便である。 このために図 1に 例示した処理装置 1 0 0では、 第 2の気密室 1 0 3の後段に冷却室 1 0 4を備えている。
この冷却室はパージ室 1 0 1、 第 1の気密室 1 0 2、 第 2の気密室 1 0 3と同様の圧力調節手段と、 酸素濃度調節手段とを備えている。 すな わち、 前述同様の排気系 1 1 6と、 キヤリアガス導入弁 1 1 7とを備え ている。
第 2の気密室 1 0 3内で所定の金属を分離された処理対象物体 1 5 0 は、 冷却室 1 0 4へ移送され圧力と酸素濃度が調節された状態で冷却さ れる。 キヤ リァガスは酸素濃度の調節だけではなく処理対象物体 1 5 0 の冷却ガスと しても機能する。
冷却室 1 0 4と排気系 1 1 6との間に、 予熱により処理対象物体から 排出されるガスなどを除去するためのトラップ 1 1 8を配設するように してもよい。
冷却室内 1 0 4内で処理対象物体 1 5 0を十分冷ましたなら、 装置外 部へ取り出す。
なお、 処理装置 1 0 0への処理対象物体 1 5 0の導入と、 取出し、 ま た各室間の処理対象物体 1 5 0の移送は、 プッシャ— 1 3 0、 ドローヮ 一 1 3 1により行うようにすればよい。
プッシ 'ヤー 1 3 0およびドローヮー 1 3 1の操作は、 隔壁 1 0 5の開 閉とともに、 前述した図示しない制御手段により行うようにしてもよい。 図 2は図 1に例示した本発明の処理装置を模式的に示す図である。 図 1には図示していない、 パージ室 1 0 1内の圧力センサ 2 0 2 a、 第 1の気密室 1 0 2内の温度センサ 2 O l a , 圧力センサ 2 0 2 b、 酸 素濃度センサ 2 0 3、 第 2の気密室 1 0 3内の温度センサ 2 0 1 c、 圧 力センサ 2 0 2 c、 冷却室 1 0 4内の圧力センサ 2 0 2 dからの信号は 制御手段を構成する制御盤 2 0 0に伝達される。 制御手段は電子計算機 にプログラムを搭載して構成するようにしてもよい。 そして制御手段は装置内の各室内の状態に応じて、 加熱手段、 圧力調 節手段、 酸素濃度調節手段を制御するようにすればよい。 また、 隔壁 1 0 5の開閉、 プッ シヤー 1 3 0、 ドロ一ヮ一 1 3 1による処理対象物体 1 5 0の移送もこの制御手段により行うようにしてもよい。 2 1 0は各 室内の温度、 圧力、 酸素濃度などの状態、 隔壁 1 0 5の開閉状態などを 操作員に示すモニタである。 また 2 1 1はマルチ排ガス処理装置である。 (実施例 2 )
図 3は、 本発明の処理装置の別の 1例を概略的に示す図である。 一部 を切り欠いて内部の様子を示した。 この処理装置 3 0 0も樹脂と金属と を構成材として有する処理対象物体 3 5 0を処理するものである。
この処理装置 3 0 0はパージ室 3 0 1、 気密室 3 0 2、 冷却室 3 0 3 から構成されている。 この気密室 3 0 0は、 図 1に例示した処理装置 1 0 0の第 1の気密室 1 0 2と、 第 2の気密室 1 0 3の機能を兼ね備えて いる。 すなわち、 気密室 3 0 2内でまず処理対象物体 3 5 0の構成樹脂 を選択的に熱分解し、 ついで同じ気密室内 3 0 2で金属を分離回収する。 特に樹脂の選択的な熱分解により所望の金属が単離される状態になる場 合には、 処理対象物体 3 5 0の構成金属を気化させる必要はない。
気密室 3 0 2は温度調節手段と、 圧力調節手段と、 酸素濃度調節手段 とを備えているが、 酸素濃度は前述のように気密室 3 0 2内の全圧によ り調節するようにしてもよい。
気密室 3 0 2内の温度調節は、 電熱ヒータ 3 0 9と図示しない温度セ ンサにより行うようにすればよい。
気密室 3 0 2内の圧力調節は、 排気系 3 1 0、 3 1 4と、 キャ リアガ ス導入系と、 図示しない圧力センサにより行うようにすればよい。 3 1 2はキヤ リァガス導入弁である。
気密室 3 0 2と排気系 3 1 0 との間には、 処理対象物体 3 5 0の構成 樹脂の分解生成ガスを回収するための凝縮回収手段である油化装置 3 1 1が配設されている。
また、 気密室 3 0 2と排気系 3 1 4との間には、 処理対象物体 3 5 0 のから気化した構成金属のガスを回収するための凝縮回収手段である回 収チャンバ 3 1 5が配設されている。 処理対象物体の構成金属を気化さ せる必要がない場合には、 複数の油化装置 3 1 1を配設するようにして もよい。
パージ室 3 0 1、 冷却室 3 0 3、 隔壁 3 0 5、 キヤ リァガス導入系、 プッシャ一 3 3 0、 ドローヮー 3 3 1については図 1に例示した処理装 置 1 0 0と同様である。 また、 制御手段についても同様に備えるように すればよい。
このように本発明の処理装置は、 もっとも基本的には、 処理対象物体 の構成樹脂を構成金属をできるだけ酸化させないように選択的に熱分解 する部分からなる。 この部分に構成金属を処理対象物体から気化させて 分離、 回収する部分を組合わせることにより、 処理できる物体の範嘛が 大きく広がる。
例えば樹脂被覆アルミニウム箔などの処理は、 樹脂部分を制御された 雰囲気下で選択的に熱分解することにより、 アルミニゥムを金属状態で 回収することができる。
また基板に電子部品が搭載された実装基板などの処理は、 ハンダ合金 を気化させて回収し、 基板と電子部品とを分離すればよい。
(実施例 3 )
図 4は本発明の処理装置の別の 1例を模式的に示す図である。
この処理装置 4 0 0は第 1の気密室 4 0 1と第 2の気密室 4 0 2とを 備えている。 第 1の気密室 4 0 1は図示しない温度調節手段を備えてお り、 排気系 4 0 3と油化装置 4 0 4に接続されている。 第 2の気密室は 図示しない温度調節手段を備えており、 排気系 4 0 5と回収チヤンバ 4 0 6に接続されている。 また、 第 1の気密室 4 0 1、 第 2の気密室 4 0 2にはキヤ リァガス導入系 4 0 7が接続されており、 気密室内の酸素濃 度の調節、 加圧を行うことができる。 4 0 8はキャ リアガスリザバーで あ ·© o
すなわち樹脂と金属とを有する処理対象物体の構成樹脂を第 1の気密 室 4 0 1内で選択的に熱分解し、 分解生成ガスを油化装置 4 0 4で回収 する。 このとき、 前述した制御手段などで、 第 1の気密室 4 0 1内の温 度、 圧力、 酸素濃度を調節して処理対象物体の構成金属の状態を保持し ながら樹脂を選択的に熱分解するようにすればよい。
第 2の気密室 4 0 2では、 内部の温度、 圧力を調節して構成金属を気 化させ、 回収チヤンバ 4 0 6で回収する。 第 2の気密室 4 0 2内の温度、 圧力についても第 1の気密室 4 0 1同様の制御手段で調節するようにす ればよい。
第 1の気密室 4 0 1の前段または第 2の気密室 4 0 2の後段にパージ 室を配設するようにしてもよい。
(実施例 4 )
図 5は本発明の処理装置の別の 1例を模式的に示す図である。
この処理装置 5 0 0は樹脂と金属とを構成材として有する処理対象物 体を処理する装置であり、 パージ室 5 0 1、 第 1の気密室 5 0 2、 第 2 の気密室 5 0 3、 第 3の気密室 5 0 4、 冷却室 5 0 5を備えている。 パージ室 5 0 1はトラップ 5 0 6と排気系 5 0 7に接続されている。 第 1の気密室 5 0 2は油化装置 5 0 8と排気系 5 0 9に接続されている。 第 2の気密室 5 0 3は回収チャ ンバ 5 1 0と排気系 5 1 1に接続されて いる。 第 3の気密室 5 0 4は回収チヤ ンバ 5 1 2と排気系 5 1 3に接続 されている。 冷却室 5 0 5はトラップ 5 1 4と排気系 5 1 5に接続され ている。 第 1の気密室 5 0 2、 第 2の気密室 5 0 3、 第 3の気密室 5 0 4は図示しない温度調節手段を備えている。 5 1 6はキヤ リァガス導入 系であり、 5 1 7はキヤ リァガスリザバーである。
また、 第 1の気密室 5 0 2は図示しない酸素濃度センサを備えており、 全圧とは独立に系内の酸素濃度を調節できるようになっている。
すなわち、 処理装置 5 0 0は処理対象物体の構成金属を気化させるた めの処理室を複数備えたものである。 処理対象物体が複数の構成金属を 有する場合にも、 第 2の気密室 5 0 3と第 3の気密室 5 0 4でそれぞれ 選択的に気化させ、 回収することができる。
(実施例 5 )
図 6は本発明の処理装置の別の 1例を模式的に示す図である。
この処理装置 6 0 0は、 樹脂と金属とを構成材として有する処理対象 物体を処理する装置である。 この処理装置 6 0 0は 1つの気密容器 6 0 1に複数の回収系を接続したものであり、 気密容器 6 0 1内部の温度、 圧力、 酸素濃度に応じて回収系を切り換えて処理する。
(実施例 6 )
図 7は気密容器 6 0 1内の温度、 圧力、 酸素漉度を調節する制御系 6 1 0の構成を模式的に示す図である。 前述のように制御手段 6 1 1の全 部または一部を、 例えば制御プログラムとして電子計算機に搭載して装 置の制御を行うようにしてもよい。
気密容器 6 0 1には、 処理対象物体の構成樹脂の分解生成ガスを回収 する複数系統の油化装置 6 0 2が接続され、 それぞれの油化装置 6 0 2 は排気系 6 0 3に接続されている。 一般に樹脂の分解生成ガスは大量に 排出されるから、 このように複数の油化装置を備えることにより気密容 器内の状態制御が容易になるし、 排気系の負担も軽減される。
排気系 6 0 3の後段には、 排ガスを無害化、 無臭化、 無煙化する排ガ ス処理装匱 6 0 4を備えている。
気密容器 6 0 1には、 気密容器 6 0 1内で気化させた処理対象物体の 構成金属を回収する複数系統の回収チヤンバ 6 0 5が接続され、 それぞ れの回収チヤ ンバは排気系 6 0 6に接続されている。
気密容器 6 0 1に接続された複数系統の回収チヤンバ 6 0 5は同じ金 属を回収するようにしてもよい。 また、 気密容器 6 0 1内の温度、 圧力 条件に応じて切換えることにより、 蒸気圧 (沸点) の異なる複数の金属 をそれぞれ回収するようにしてもよい。
また、 気密容器 6 0 1にはキヤリアガス導入系が接続されている。 6 0 7はキヤリァガスリザバーである。 N 2、 A rなどのキヤリアガスの 導入により気密容器 6 0 1内の酸素濃度を全圧とは独立に調節すること ができる。 また、 予圧したキヤリアガスを導入することにより気密容器 6 0 1内を加圧するようにしてもよい。 非酸化棼囲気中で処理対象物体 を加圧することにより、 構成樹脂の分解効率が向上する。
また、 気密容器 6 0 1内の酸素濃度は全圧により調節するようにして もよい。
(実施例 7 )
図 8は本発明の処理装置の回収系の別の 1例を模式的に示す図である。 この処理装置は図 6に例示した処理装置と同様の構成であるが、 回収 系以外の部分の図示は省略している。
気密容器 6 0 1と開閉可能な隔壁 6 1 0により隔てられた回収室 6 1
1が配設されている。 この回収室 6 1 1は図示しない温度調節手段を備 えている。 回収室 6 1 1にはキヤ リアガス導入系を接続するようにして もよい。
そして、 この回収室 6 1 1には、 回収チャンバ 6 0 5と、 排気系 6 0 6が接続されている。 気密容器 6 0 1内が所定の金属が気化する温度、 圧力条件になったら、 隔壁 6 1 0を開いて処理対象物体 6 1 2を回収室 6 1 1へ導入し隔壁 6 1 0を閉じる。
そして温度圧力条件を保って、 回収チヤンバ 6 0 5により気化した金 属を凝縮させて回収するようにすればよい。
このような回収室 6 1 1を備えれば、 回収室 6 1 1で処理対象物体か ら金属を回収している間も、 気密容器 6 0 1内の温度、 圧力、 酸素濃度 などの諸条件を回収室 6 1 1と独立に制御できる。 したがって、 装置の 運用効率が向上する。
このような回収室は例えば図 1、 図 3、 図 4、 図 5に例示したような 処理装置に配設するようにしてもよい。
(実施例 8 )
図 9は例えば図 1に例示した処理装置 1 0 0に接続した回収室 9 0 1 を含む回収系を模式的に示す図である。
処理装置 1 0 0の第 2の気密室 1 0 3に回収室 9 0 1が接続されてお り、 第 2の気密室 1 0 3と回収室 9 0 1 との間は開閉可能な隔壁 9 0 2 により隔てられている。 回収室 9 0 1は図示しない温度調節手段を備え ている。 またキヤリアガス導入系を接続するようにしてもよい。 回収室 9 0 1には回収チヤンバ 1 1 5、 排気系 1 1 4が接続されている。 また、 回収室 9 0 1とは並列に回収チャンバ 1 1 5、 排気系 1 1 4を接铳する ようにしてもよい。
図 1 0および図 1 1は回収チヤンバの構造の 1例を概略的に示す図で ある。
図 1 0は向流構造の回収チヤンバを、 図 1 1はサイク口ン型の回収チ ャンバをそれぞれ示している。 回収チヤンバは処理対象物体から気化さ せた金属を凝縮できればよい。 また、 これらの回収チャンバを多段に接 続するようにしてもよい。
図 1 2は、 処理対象物体から排出され、 油化装置や回収チヤンバなど により回収されない排ガスを処理する排ガス処理装置の構成の 1例を概 略的に示す図である。 油化装置または回収チヤンバなどの回収系の後段 に、 マルチ排ガス処理フィル夕 1 2 0 1、 無煙化フィル夕 1 2 0 2、 無 臭化フィル夕 1 2 0 3が接続されている。 これ以外にも例えばハロゲン ガスなどを回収するアル力リ トラップや、 触媒などを用いたハロゲン化 炭化水素分解装置などを備えるようにしてもよい。
このように本発明の処理装置は樹脂と金属とを構成材として有する処 理対象物体を、 構成樹脂は選択的に熱分解 (気化、 油化、 炭化) し、 構 成金属は気化させて処理対象物体から分離回収することができる。
(実施例 9 )
つぎに、 鉛を構成材として有する物体から鉛を除去する処理システム について説明する。
この処理システムは構成材の少なく とも一部に鉛と樹脂が使用された 物体を処理対象としている。 例えば、 P b— S n系ハング合金など鉛を 含む合金が使用された電子機器や自動車の電子部品などから鉛を除去す ることができる。
この処理システムは、 まず樹脂部分を気化、 油化、 炭化など選択的に 熱分解し、 ついで鉛を気化させて処理対象物体から分離するものである。 気化させた鉛は回収するようにすればよい。 装置には、 これまで述べた ような本発明の処理装置を用いるようにしてもよい。
まず、 処理対象物体の鉛が実質的に酸化しないように構成樹脂を選択 的に熱分解する。
樹脂は 3 2 3 K程度から溶融等が起こり、 4 5 3〜 8 7 3 K程度に保 持すると熱分解により主として C 1〜C 8の炭化水素系ガスを排出する。 このような樹脂の分解生成ガスは油化装置などで回収するようにすれば よい。
この樹脂の選択的に熱分解工程は酸素濃度を調節した状態で行うこと が好ましい。 酸素濃度を調節することにより、 樹脂の分解生成ガスの回 収効率が向上する。 また、 鉛の酸化を防ぐことができる。 酸化鉛は鉛よ りも低い温度で蒸発するから、 酸素濃度を調節することにより鉛の飛散 を防止し、 後工程でより積極的に鉛を回収することができる。
そして、 温度と圧力とを調節して処理対象物体から鉛を気化させる。 処理対象物体が鉛以外に例えば鉄、 銅、 アルミニウム、 スズなどの金属 が含まれるときには、 蒸気圧の差によりそれぞれの金属を選択的に気化 させるようにすればよい。
鉛が気化する温度は気密容器内の圧力によって変化する。 大気圧下で は例えば 1 6 7 3 Kに加熱した場合の鉛の蒸気圧は 8 4 m m H gである のに対し鉄、 銅、 スズの蒸気圧は I mm H gにも達しない。 したがって、 物体を 1 6 7 3 K程度に加熱することにより、 物体からほぼ鉛蒸気のみ を選択的に発生させることができる。
また、 大気圧下では例えば 2 0 1 3 Kに加熱した場合の鉛の蒸気圧は 7 6 0 m m H gであるのに対しスズの蒸気圧は 1 5 m m H g、 銅の蒸気 圧は 3 m m H gにも達しない。 したがって、 物体を 1 6 7 3 K程度に加 熱することにより物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることが できる。
また、 減圧下で処理対象物体を加熱することにより、 さらに低い温度 で処理対象物体中の鉛を気化させることができる。
圧力を 1 0— 0 r rに調節すれば、 1 1 0 0 K程度に加熱すること により、 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることが できる。 また、 圧力を 1 0 _ T 0 r rに調節すれば、 9 0 0 K程度に加熱する ことにより、 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させるこ とができる。
さらに、 圧力を 1 0— 4 T 0 r rに調節すれば、 7 0 0 K程度に加熱す ることにより、 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させる ことができる。
このように選択的に発生させた鉛蒸気は、 例えば鉛の融点以下に冷却 した回収装置などで、 金属鉛として回収するようにすればよい。
図 1 3は鉛の蒸気圧と温度との関係を示すグラフである。 気密容器内 を減圧すれば鉛の沸点が下がることがわかる。
このグラフに基づいて、 例えば気密容器内の圧力に応じて加熱温度を 調節するようにすればよい。 また、 例えばこの関係をプログラムとして 電子計算機に搭載し、 前述した本発明の処理装置の制御手段として用い るようにしてもよい。
(実施例 1 0 )
ここで、 鉛と樹脂とを構成材として有する物体の 1例として、 回路基 板に各種電子部品が P bを含むハンダ合金で搭載された実装基板を処理 対象物体として処理した例を説明する。
図 1 4はこのような実装基板 1 3 0 0を模式的に示す図である。
銅箔 1 3 0 1と樹脂 1 3 0 2とが積層された回路基板 1 3 0 3に電子 部品 1 3 0 4が搭載されている。 この電子部品 1 3 0 4は樹脂 1 3 0 5 でパッケージングされている。 そして c u合金からなる電子部品の接続 端子 1 3 0 6と銅箔とが P b— S n系ハング合金 1 3 0 7で接合されて いる。 電子部品の接続端子 1 3 0 6表面がハンダ合金でメ ツキされてい ることもあるが同じように処理できる。
まず、 実装基板 1 3 0 0を気密容器内で酸素濃度を調節して加熱し、 樹脂 1 3 0 2、 1 3 0 3を選択的に熱分解する。 プリ ント基板の構成樹 脂は一般に熱硬化性樹脂で、 多くは炭化されるが、 それでも多量の分解 生成ガスを発生する。 電子部品のパッケージング樹脂 1 3 0 3も同様で ある o
図 1 5は構成樹脂が選択的に熱分解された実装基板 1 3 0 0を模式的 に示す図である。
この状態では実装基板の構成樹脂の多くは炭化している。 また、 鉛は 酸素濃度を調節することにより飛散することはない。
ついで気密容器内の温度と圧力を調節して、 処理対象物体中の鉛を選 択的に気化させる。 温度と圧力は図 1 3に基づいて決めるようにすれば よい。 気密容器内を減圧したほうが好ましい。 これは、 低い温度で鉛が 気化するから投入エネルギーが少なくすむし、 また酸素濃度が小さくな るの鉛その他の処理対象物体の構成金属が実質的に酸化されないからで ある。 処理対象物体の構成金属が酸化される恐れのある時には、 N 2、 A rなどのキヤ リアガスを導入して気密容器内の酸素濃度を調節するよ うにすればよい。
気密容器内を減圧すればするほど、 低い温度で鉛は気化する。 図 1 6 は鉛 1 3 0 8が金属状態のまま気化する様子を模式的に示す図である。 気密容器内の温度、 圧力を調節することによって、 鉛だけを選択的に 気化することができる。 処理対象物体に鉛より沸点の低い金属が含まれ る場合には、 先にそのような金属を気化させるようにすればよい。
このように、 処理対象物体である実装基板 1 3 0 0から鉛を除去する こと できる。 また、 社会が抱える大量の廃電子機器などの実装基板を 処理することにより、 一般廃棄物として処理することができ、 鉛の溶出 により環境を汚染することはない。 また、 鉛以外の構成金属の分離も容 易になり、 資源として利用できる。 構成樹脂も有価な油として、 または 炭化物として回収することができる。 この炭化物は、 肥料や、 活性炭と して利用するようにしてもよい。
ここでは、 実装基板 1300から鉛を除去するところまでを説明した が、 さらに気密容器内の温度、 圧力を調節して、 処理対象物体の鉛以外 の構成金属を気化させるようにしてもよい。
例えばハング合金を構成していたスズを気化させることにより、 回路 基板 1303と電子部品 1304とを分離することができる。
図 17は、 スズを気化させ回路基板 1 303と電子部品 1304と力く 分離した様子を模式的に示す図である。
このように、 鉛を除去したり、 回路基板 1303と電子部品 1304 とを分離することにより処理対象物体の有する複雑さが減少し、 その後 の処理が容易になる。 言い換えれば、 処理対象物体のエントロピ一が減 少し、 物体の価値を高めることができる。
さらに、 気密容器内の温度、 圧力を調節して、 回路基板 1303、 電 子部品 1304に含まれる、 例えば Au、 Ag、 P t、 B i、 I n、 T a、 N i、 C r、 C u、 A 1、 W、 Mo、 C o、 P dなどの金属を気化 させ回収するようにしてもよい。 このような回収は回路基板 1303と 電子部品 1 304とを分離してから別に行うほうが効率的である。
図 18、 図 29、 図 30は各種金属の沸点 (蒸気圧) 圧力依存性を示 す図である。 この図は回収可能な金属の 1例として示したものであり、 図示されていない金属も回収可能することができる。
図 19は酸化物の生成自由エネルギーの温度依存性を示す図である。 図 19に示した元素は 1例として示したものであり、 これ以外の元素に 関するデータも容易に計算ないしデータベースなどで得ることができる。 図 1 8、 図 19、 図 29、 図 30に示した関係を、 図 13に示したは鉛 の沸点 (蒸気圧) と圧力との関係とともに用いて、 例えば気密容器内の 温度、 圧力、 酸素濃度を制御するようにすればよい。
また、 例えばこの関係をプログラムとして電子計算機に搭載し、 前述 した本発明の処理装置の制御手段として用いるようにしてもよい。
(実施例 1 1 )
図 2 0は本発明の鉛と樹脂とを構成材として有する処理対象物体の鉛 除去に用いる装置の 1例を模式的に示す図である。 装置は図 2 0に例示 した装置に限らずこれまで述べたような本発明の処理装置を用いるよう にしてもよい。
この処理装置 2 0 0 0は第 1の気密室 2 0 0 1と第 2の気密室 2 0 0 2を備えている。 この第 1の気密室 2 0 0 1は酸素澳度制御装置 2 0 0 3と、 図示しないバーナー等の加熱装置とを備えている。 そして、 図示 を省略した制御部により所定の温度で所定時間保持されるように構成さ れている。
処理対象物体 2 0 0 4の加熱により構成樹脂から排出される炭化水素 系ガスは油化回収装置 2 0 0 5で冷却され油として回収する。 2 0 0 6 は排ガス洗浄装置であり、 この例ではアル力リ水シャヮー洗浄装置等が 接続されており、 排ガス中のハロゲンガスは環境基準以下まで低減され る。
第 2の気密室 2 0 0 2は真空加熱炉であり、 鉛回収チヤンバ 2 0 0 7 と排気装置 2 0 0 8を有している。
処理対象物体は、 コンベアなどの移送手段 2 0 0 9により第 1の気密 室 2 0 0 1、 第 2の気密室 2 0 0 2へと順に送られる。
これら処理対象物体の第 1の気密室 2 0 0 1、 第 2の気密室 2 0 0 2 における滞留時間、 加熱温度、 圧力、 酸素濃度は図示しない制御部によ りそれぞれ制御される。
なお、 第 2の気密室 2 0 0 2を通過した後は残渣受け部 2 0 1 0に送 られる。
第 1の気密室 2 0 0 1において、 処理対象物体 2 0 0 4は例えば 4 7 3 K〜 8 7 3 Κ程度の温度に昇温 ·保持され、 処理対象物体 2 0 0 4の 構成材の一部である樹脂成分は、 加熱分解して例えば C 1〜C 8、 C 8 〜C 1 6の炭化水素ガスとして排出される。
排出された樹脂の分解生成ガスは、 油化装置 2 0 0 5で凝縮回収され る。 未回収のガスは排ガス洗浄装置 2 0 0 6で除去し、 無害化、 無煙化、 無臭化される。
つぎに、 処理対象物体 2 0 0 4は、 第 2の気密室 2 0 0 2に送られ、 例えば 1 0 _a T o r r程度の圧力まで減圧し、 温度を 7 0 0 K程度にし て、 この状態を保持する。 処理対象物体中の鉛は蒸気鉛として処理対象 物体から放出される。 第 2の気密室 2 0 0 2の上部にはガス排出部が設 けられており、 処理対象物体から放出された蒸気鉛は蒸気圧の低下によ り金属鉛として凝縮させる。 結晶化した金属鉛は、 鉛回収チヤンバ 2 0 0 5内で析出させ回収する。 また、 第 2の気密室 2 0 0 2から蒸気鉛を 効率的に鉛回収チヤンバ 2 0 0 5に送り込むため、 第 2の気密室 2 0 0 2に設けたキヤ リァガス導入部から N 2 や A rなどの不活性なガスを導 入し、 蒸気鉛をキヤリアガスとともに鉛回収チヤンバ 2 0 0 5に送り込 む。
第 1の気密室の上部にはガス排出部が設けられており、 排出された樹 脂の分解生成ガスは油化装置 2 0 0 5に送られる。
油化装置 2 0 0 5は冷却温度が 5 2 3〜4 2 3 Kの場合には重油、 4 2 3〜 3 2 3 Kの場合は重油と軽質油の混合物、 3 2 3 K〜室温の場合 は軽質油が主体となる。 回収された油は図示を省略した回収夕ンクに導 かれ、 燃料あるいは原料として再利用できる。
油化装置 2 0 0 5から排出されたガスは、 ガス送出部 1 5を経て、 排 ガス洗浄装置 2 0 0 6に導かれる。 この例ではアル力リ水シャヮ一洗浄 等が接続されており、 排ガス中のハロゲンガスは環境基準以下まで低減 される。
(実施例 1 2 )
次に、 上記構成の処理装置 2 0 0 0を用いて、 処理対象物体としてハ ンダを含む電子機器を処理した例について説明する。
処理対象物体 2 0 0 4である電子機器は前処理で破砕するようにして もよい。 ここでは電子部品を 2軸型破砕機で 1 0 c m角程度に粗破砕し た。 粗破砕した電子機器は第 1の気密室に投入した。
第 1の気密室 2 0 0 1は炉内温度約 7 7 3 K程度、 酸素濃度を 5 %程 度に保持されており、 電子機器を約 3 0分間滞留させた。 電子機器の構 成比率の約 4 0 %を占める構成樹脂は第 1の気密室 2 0 0 1で選択的に 熱分解して炭化水素ガスとして排出し、 あるいは炭化した。
また構成比率の約 5 0 %を占める鉄 *鋦*アルミニウム等の金属類と、 構成比率の約 1 0 %を占める実装基板には、 第 1の気密室 2 0 0 1内で 化学的変化は起こらなかった。 すなわち酸化状態や相平衡状態は実質的 に維持された。
構成樹脂を選択的に熱分解した電子機器は、 冷却されることなく第 2 の気密室 2 0 0 2に搬送した。 第 2の気密室 2 0 0 2は圧力を約 1 0 _3 Torr程度、 温度約 9 0 0 K程度に保持し、 電子機器を約 3 0分程度滞留 させた。
電子機器の約 1 0 %を占める実装基板には、 基板重量の約 5〜1 0 % のハングが合金が使用されている。 また、 このハンダ合金の約 4 0 w t %は鉛である。
すなわち、 電子機器中には 0 . 2〜0 . 4 %の鉛が構成材の一部とし て使われている。 この鉛は第 2の気密室 2 0 0 2で蒸発鉛として気化し、 キャ リアガスとともに鉛回収チヤンバ 2 0 0 5に送り込まれ、 金属鉛と して回収した。
鉛の回収率を向上させるには、 鉛回収チヤンバ 2 0 0 5内部での鉛蒸 気の滞留時間をできるだけ長くすることが好ましい。 この例では、 鉛の 回収率は 9 8 %であった。 回収された鉛は不純物が少なく、 有価な金属 として再利用が可能であった。
第 1の気密室 2 0 0.1で熱分解して排出された炭化水素ガスは、 油化 装置 2 0 0 5に送り込み、 3 0 0 K程度の循環水で冷却した凝縮部で冷 却した。 この例では電子機器の 4 0 %が樹脂で構成される。 油化率は構 成樹脂の成分により異なるが、 重量比の約 9 0 %が油として回収され、 約 1 0 %が主として炭化物からなる残渣として残った。
回収された油は燃料あるいは原料として再利用が可能であつた。 また、 油化装置 2 0 0 5を通過したガス成分は、 排ガス洗浄装置 2 0 0 6で洗 浄することにより、 環境基準以下の排気ガスとして大気中に放出した。
また、 電子機器の約 5 0 %の構成比率を占める鉄 ·銅 · アルミニウム 等の金属は、 第 1の気密室 2 0 0 1や第 2の気密室 2 0 0 2で殆ど酸化 されることはなく、 むしろ還元されてメタルとして回収することができ るため再利用価値が高い。
この例では残渣受け部 3 0に排出された残渣は、 鉄 ·銅 ·アルミニゥ ムと榭脂の炭化物残渣が主であつた。
図 2 1は例えば図 2 0に例示した処理装置 2 0 0 0の第 1の気密室 2 0 0 1と第 2の気密室 2 0 0 2との気密性と断熱性を保つ開閉可能な隔 壁 2 1 0 1の 1例を模式的に示す図である。 隔壁 2 1 0 1はワイヤー 2 1 0 2と卷上機 2 1 0 3によって操作される。
それぞれの隔壁 2 1 0 1の位置に真空扉と断熱扉を別々に備えるよう にしてもよい。 例えば隔壁 2 1 0 1 bを真空扉としこの扉の第 1の気密 室 2 0 0 1側と第 2の気密室 2 0 0 2側に同じく開閉可能な断熱扉を配 設するようにしてもよい。
次に、 各種電子機器、 自動車、 精密機器、 文房具、 医薬品 ·食料品パ ッケージなどをはじめ、 大量に用いられている樹脂と金属を含む廃棄物 を処理対象物体として取り上げその処理システムについて説明する。 装 置については前述した本発明の処理装置を用いるようにすればよい。 (実施例 1 3 )
このような樹脂と金属を含む廃棄物は、 分離回収が困難であることか ら一般に焼却、 埋め立て処理されている。 本発明の処理システムでは、 同一装置内で、 廃棄物の構成樹脂の選択的に熱分解 (気化、 油化、 炭化) と、 構成金属を気化させ金属状態で回収するものである。 特に、 樹脂を 含む廃棄物は減圧下では加熱時の昇温が遅く実用上問題があつたが、 本 発明では酸素濃度を調節することによりこの問題を解決している。
本発明の処理システムは、 まず樹脂と金属とを含む廃棄物を気密容器 内に投入する。 そして樹脂部分の回収のために酸素濃度を調節し、 数気 圧の圧力に加圧して加熱する。 つぎに、 金属の気化、 回収のための減圧 および加熱を行う。
図 2 2はこの処理システムで用いることのできる本発明の処理装置の 1例を模式的に示す図である。
気密容器 2 2 0 1内に樹脂と金属を含む廃棄物を収容し、 気密容器内 には昇温効率がよく耐熱性の高い金属などからなる投入棚 2 2 0 2が設 けられている。 2 2 0 3は気密容器 2 2 0 1を開閉する ドアである。 気 密容器内にはシーズヒーター等の加熱装置 2 2 0 4が設けられており、 気密容器内の圧力、 酸素濃度とともに制御盤 2 2 0 5により操作する。 2 2 0 6はセンサであり、 気密容器 2 2 0 1内の温度、 圧力、 酸素濃度 を信号として制御盤 2 2 0 5に伝達する。 気密容器 2 2 0 1は排気装置 2 2 0 8に接続されている。 気密容器 2 2 0 1 と排気装置 2 2 0 8との間には、 廃棄物の構成樹脂の分解生成ガ スの回収装置である樹脂回収系 2 2 0 9と、 廃棄物の構成金属の回収装 置である金属回収系 2 2 1 0が配設されている。 樹脂回収系 2 2 0 9に は例えば油化装置などを備えるようにすればよい。 金属回収装置には例 えばサイクロン分離器を備えるようにしてもよい。
廃棄物を気密容器 2 2 0 1内に設けられた投入棚 2 2 0 2に投入し、 ドア 2 2 0 3を閉め密閉し、 最初は回収系を閉じた状態で加熱 (4 0 0 °C) と加圧 (3 a t m) を開始する。
この場合、 減圧状態での加熱よりも昇温効率がよく、 後の金属回収時 の減圧加熱の際の昇温効率に貢献する。
廃棄物の構成樹脂が熱分解して発生したガスは複数の回収装置にガス の種類に応じて回収する。 廃棄物がポリ塩化ビニル系の樹脂を含む場合 には最初に常圧で加熱して塩素ガスを発生させるようにしてもよく、 こ の塩素ガスは高温に加熱した鉄に接触させて塩化鉄として回収するか、 アンモニアを添加して塩化アンモニゥムとして回収するようにすればよ い。 この場合、 塩素ガスによる容器、 配管等の腐食が激しいので、 装置 は必要に応じてステンレス鋼のかわりにハステロィゃチタン合金等を使 用するようにすればよい。 なお、 未回収ガスなどの排ガスは高温で燃焼 させて無害化するようにしてもよい。
樹脂の一部は炭化し、 肥料、 燃料等に再利用することができる。 真空 加熱処理を行った炭化物は肥料、 燃料、 脱臭剤等の性能に優れている。 つぎに、 樹脂回収系 2 2 0 9を閉じて、 金属回収系 2 2 1 0別のパイ プの回路を開く。 気密容器 2 2 0 1内を排気装置により 1 0 _3T o r r 程度の圧力まで'减圧し、 金属の種類に応じて合金の沸点以上に加熱し、 金属を蒸発させて金属回収系 2 2 1 0の途中に配設した凝縮手段により 回収する。 この場合、 常圧より金属の蒸発温度が低くなるので比較的低 い加熱温度でよく、 また酸化されにくいので回収効率がよい。
このように本発明の処理システムによれば、 熱効率がよく処理コスト が低い。 また加熱加圧を行うことにより比較的分子量の小さい油の回収 効率がよく、 かつ真空加熱により純度の高い金属の回収率が高い。
(実施例 1 4 )
次に、 各種電子機器、 自動車、 精密機器などをはじめ、 大量に用いら れている回路基板に各種電子部品が搭載された実装基板の廃棄物を処理 対象物体として取り上げその処理システムについて説明する。 装置につ いては前述した本発明の処理装置を用いるようにすればよい。
この処理システムは I C、 L S I、 抵抗器、 コンデンサ一などの各種 電子部品が搭載された実装基板から電子部品を効率的に分離回収するも のである。 また、 回路基板、 電子部品などからなる実装基板の構成樹脂、 構成金属についても分離回収し資源化するシステムである。
このような実装基板の廃棄物は電子部品の回路基板からの分離が困難 であり、 また実装基板は異なつた材料が複雑に一体化した物体であり、 その処理が困難であった。 このため、 埋め立て処理、 焼却処理などが一 般的であった。
この処理システムは、 まず実装基板の廃棄物を気密容器に投入する。 そして昇温効率を上げるため、 常圧もしくは加圧下で樹脂があまり酸化 されない温度まで加熱し、 次に減圧する。 これは減圧下では気密容器内 の熱伝導率が小さくなるためである。
そしてこれまで前述のように榭脂を選択的に熱分解 (気化、 油化、 炭 化) し、 分解生成ガスは回収する。
実装基板の構成樹脂を処理する際には、 気密容器内の昇温効率を高め るため、 樹脂が余り酸化しない温度 (2 0 0 °C) まで加熱後、 排気系に より圧力、 酸素濃度を調節しながら処理対象物体である実装基板を加熱 する。 この場合、 真空度に応じた温度で構成樹脂は選択的に熱分解し、 真空度が高いほど低い温度で熱分解するので、 密閉減圧力容器を痛める ことはない。
電子部品のパッケージ樹脂も熱分解して、 非常に脆くなり、 パッケ一 ジ内の素子との分離が容易な状態になる。
樹脂が熱分解して発生するガスは複数の回収装置に発生ガスの種類に 応じて回収する。 例えば水素ガスはこのガスを吸着する物質により回収 し、 塩素ガスの場合は高温加熱した鉄に接触させて塩化鉄として回収す るようにしてもよい。
なお、 排ガスなどは、 高温で燃焼させ無害化するようにしてもよい。 さらに回収する金属に応じて気密容器内の温度、 圧力、 酸素濃度を調 節し (図 1 3、 図 1 8、 図 1 9、 図 2 9、 図 3 0参照) 、 回路基板と電 子部品とを接合している合金 (例えば P b— S n合金) を気化させる。 合金はそれぞれ蒸気圧により選択的に気化させ、 分離することが再資源 化の観点からも好ましい。
回路基板と電子部品とを接合している合金が気化すれば、 電子部品は 回路基板から分離する。
回路基板と電子部品とを接合している接合合金だけでなく、 実装基板 に含まれる Z n、 S b、 A u、 P t、 N i、 C r、 C u、 A l、 M o、 W、 T aなどの各種金属を気化させて分離回収するようにしてもよい。 金属は酸化物にせず金属状態で回収できるので利用価値が高い。
ハンダ合金の気化の際には、 昇温効率を上げるため、 ハンダ合金が余 り酸化しない温度 (例えば約 2 0 0 °C) まで加熱後、 排気手段により気 密容器内を減圧してさらに加熱 (例えば約 4 0 0 °C) し、 回収経路の途 中に設けた凝縮手段で凝縮するようにしてもよい。 このシステムによれば図 1 7に示すように実装基板のハンダ合金は完 全に除かれており、 I C、 L S I . 抵抗器、 コンデンサ一等のリード端 子部分のハンダも完全に除去されている。 このため、 電子部品を基板か ら分離できるだけでなく、 後の回路基板、 電子部品の再資源化を容易に して価値を高めることができる。
実装基板の構成樹脂は気化、 炭化され、 または中間生成物になり、 有 効活用が可能である。
気密容器内の真空度に応じてハンダ合金の構成金属は蒸発し、 真空度 が高いほど低い温度で蒸発するので、 処理装置の炉壁等を痛めない。 実装基板を埋め立て処理すると、 酸性雨などによりハンダ合金中の P b、 S bなどの有害金属が溶出して土壌、 河川を汚染する。 また、 樹脂 のほとんどは自然分解せず半永久的に残り処理場の不足だけでなく、 環 境保全の面からも問題がある。 本発明の処理システムによればこれらの 問題を解決することができる。
さらに回路基板や電子部品に含まれる各種金属を分離回収し資源化す ることができる。 これらの金属の中には資源枯渴の恐れのある金属、 地 殻の元素存在度が小さい希少金属も含まれている。 したがってこれらの 金属を回収することは、 大量消費社会が直面している資源、 エネルギー 問題の解決に大きく しするものである。
(実施例 1 5)
つぎに、 処理対象物体として、 銅箔と樹脂とが積層された回路基板を 取り上げてその処理システムを説明する。
回路基板はいわゆる銅張積層板でもよいし、 フレキシブ基板でも、 T A B (T a p e Au t oma t e d B o n d i n g) のフィルムキ ャ リアなどでもよい。 また、 回路基板の製造工程で生じる、 銅張積層板 の切り落とし部分を処理するようにしてもよい。 さらに、 これまで説明 してきたように、 実装基板から電子部品と接合合金とを分離した回路基 板を処理するようにしてもよい。
また、 ここでは回路基板を取り上げて説明するが、 銅と樹脂とを構成 材として有する物体であれば同様に処理することができる。
実装基板からのハンダ合金、 電子部品の分離については前述のとおり である。 実装基板の構成樹脂の熱分解についても前述のとおりである。
ここで樹脂の一部に紙が含まれていてもよい。 このことは本発明の他 の部分についても同様である。
この処理システムは、 銅箔と樹脂とを効率よく分離するため、 減圧条 件下または非酸化条件下で回路基板を加熱し、 回路基板の構成樹脂はガ ス、 油、 炭化物等に熱分解する。 銅箔はほぼ純金属として回収される。 銅に付着した炭化物などの不純物は、 必要に応じて洗浄、 振動、 微細砂 と混合回転するなどの方法を行うようにしてもよい。 装置は本発明の処 理装置を用いるようにすればよい。
図 2 3は処理対象物体である回路基板 2 3 0 0を模式的に示す図であ る。 この回路基板 2 3 0 0は 2層板であり、 銅箔 2 3 0 1と樹脂 2 3 0 2とが 1体的に積層されている。
回路基板 2 3 0 0を気密容器内に導入し、 鋦 2 3 0 1が実質的に酸化 されないように気密容器内の温度、 圧力、 酸素濃度を調節して樹脂 2 3 0 2を選択的に熱分解 (気化、 油化、 炭化) する。 樹脂 2 3 0 2の分解 生成ガスは油化装置などで回収するようにすればよい。
このとき、 樹脂 2 3 0 2があまり酸化されない温度 (例えば 2 0 0 °C) まで加熱し次に減圧または酸素濃度分圧を低下させ、 さらに昇温 (例え ば 4 0 0〜 6 5 0 °C) するようにしてもよい。 これは昇温効率をあげる ためでめる。
図 2 4は構成樹脂を熱分解した後の回路基板 2 3 0 0を模式的に示す 図である。 樹脂の多くは炭化物として存在している。
この状態で炭化した樹脂 2 3 0 2を機械的に分離するようにしてもよ い。
また、 気密容器内の圧力ないしは酸素濃度を調節しながら、 温度を鋦 の融点より数十度高い温度まで加熱すると、 液体状態の銅 2 3 0 1は表 面自由エネルギー (表面張力) により粒状の鋦 2 3 0 1 bになる (図 2 5 ) 。 この状態で冷却すれば、 銅の分離回収はさらに容易である。 例え ば 7 6 O T o r rでの銅の融点は 1 0 8 0 °Cであるが、 気密容器内の温 度を例えば 1 1 5 0 °C程度 (7 6 O T o r rの場合) に加熱することに より、 銅を粒状に集めることができる。
このように減圧下もしくは非酸化雰囲気中で回路基板を加熱す.ること により、 銅箔は殆ど酸化されることなく回収することができる。 なお、 必要に応じて表面に付着した炭化物等の不純物は、 洗浄等により除去す るようにしてもよい。
このように本発明の処理システムによれば、 樹脂と銅とが一体化した 物体から銅を金属状態で分離回収することができる。 また、 樹脂も油、 炭化物として回収することができる。
(実施例 1 6 )
つぎに、 処理対象物体として、 アルミニウム箔と樹脂とが積層された 樹脂被覆アルミニゥム箔を取り上げてその処理システムを説明する。
このような樹脂被覆アルミニウム箔は、 例えばポテトチップスの袋や カレーなどレトルト食品の包装容器をはじめ、 食品、 医薬品の包装容器、 断熱材などに幅広く用いられている。
このような樹脂被覆アルミニウム箔は樹脂とアルミニウム箔とが一体 化していることから処理が困難であり、 埋め立てや焼却により処理され ている。 焼却処理するとアルミニウムは酸化物になり、 資源としての価 値が著しく低下する。
アルミ二ゥムの精練には莫大なエネルギーが投入されており、 再資源 化しないのはエネルギーの浪費である。
本発明は、 樹脂被覆アルミニウム箔を気密容器内で酸素濃度を調節し ながら加熱することにより、 アルミ二ゥムの酸化状態を実質的に保持し たまま構成樹脂を選択的に熱分解 (気化、 油化、 炭化) するものである。 すなわち、 アルミニウム箔と榭脂とを効率よく分離するため、 減圧条 件下または非酸化条件下で樹脂被覆アルミニゥム箔を加熱し、 樹脂はガ ス、 油、 炭化物等に分解回収する。 アルミニウム箔はほぼ純金属として 回収される。 アルミニウムに付着した炭化物などの不純物は、 必要に応 じて洗浄、 振動、 微細砂と混合回転するなどの方法を行うようにしても よい。
この処理システムは、 樹脂被覆アルミニウム箔を、 昇温効率をあげる ため樹脂があまり酸化されない温度まで加熱し、 次に減圧または酸素分 圧を低下させ、 さらに昇温して樹脂部分はガス、 油、 炭化物等に分解回 収するものである。 アルミニゥ厶箔はほぼ純金属として樹脂から分離さ れる。
図 2 6は樹脂被覆アルミニウム箔 2 6 0 0を模式的に示す図である。 樹脂 2 6 0 1とアルミニウム箔 2 6 0 2とが一体化している。
まず処理対象物体である樹脂被覆アルミニウム箔 2 6 0 0を本発明の 処理装置へ導入する。
つぎに気密容器の昇温効率を高めるため、 樹脂 2 6 0 1が余り酸化さ れない温度 (例えば 2 0 0 °C) まで加熱後、 温度 ·圧力条件を制御しな がら樹脂被覆アルミニウム箔 2 6 0 0を 4 0 0〜 6 5 0。Cに加熱する (図 1 8、 図 1 9、 図 2 9、 図 3 0参照) 。
4 0 0 °Cより低温では構成樹脂の熱分解が不十分で、 6 5 0 °Cより高 温ではアルミ箔が溶融するのでこのような温度範囲を定めた。
圧力 1 0— 2Torr以下 (もしくは非酸化雰囲気) で、 加熱温度 5 5 0〜 6 5 0 °Cで樹脂を選択的に熱分解することがより好ましい。
図 2 7は構成樹脂 2 6 0 1を選択的に熱分解した後の樹脂被覆アルミ 二ゥム箔の様子を模式的に示す図であり、 金属状態のアルミニウム箔 2 6 0 1に、 樹脂の熱分解生成物である炭化物 2 6 0 2 bが付着している 状態である。 この状態では、 炭化物 2 6 0 2 bは軽く接触しただけで容 易にアルミ二ゥム箔から剥離する。 したがって容易にアルミ二ゥム箔を 金属状態 回収することができる (図 2 8参照) 。
また、 樹脂の熱分解によって発生する分解生成ガスは複数の回収装置 によりガスの種類に応じて回収する。 触媒を用いるようにしてもよい。 例えば、 水素ガスは、 例えば水素ガス吸着物質により吸着して回収す るようにすればよい。 塩素ガスは例えば N a 0 H等のアル力リ溶液でト ラップし、 中和するようにしてもよいし、 高温に加熱した鉄に接触させ て、 塩化鉄として回収するようにしてもよい。
なお、 未回収ガスなどの排ガスは高温で燃焼させ、 無害化するように してもよい。 樹脂の一部は炭化物または油として回収される。 一般的に 樹脂被覆アルミ二ゥム箔の構成樹脂は熱可塑性樹脂であり、 大くの部分 を気化、 油化して回収することができる。 構成樹脂の炭化物は容易にァ ルミ二ゥム箔と分離できた。 また、 アルミニウムはその金属性を保持し ていた。
このように樹脂被覆アルミニゥム箔を減圧下もしくは非酸化棼囲気中 で加熱することにより、 アルミニゥムは殆ど酸化されることなく回収す ることができる。 なお、 必要に応じて表面に付着した炭化物等の不純物 は、 洗浄等により除去するようにしてもよい。 以下に本発明について図を参照しながらさらに詳細に説明する。
(実施例 1 8)
図 3 1は本発明の処理装置の 1例を概略的に示す図である。
図 3 2は図 3 1に例示した本発明の処理装置の構成を模式的に示す図 である。
この処理装置 1 0は、 樹脂と金属とを含有する処理対象物体を第 1の 温度で熱分解する第 1の熱分解手段である熱分解炉 2 0と、 この熱分解 炉 2と接続して配設され、処理対象物体から生じたガス状排出物をダイ ォキシンが分解するような第 2の温度で改質または熱分解するガス分解 器 3 0と、 ガス分解器 3 0と接続して配設され、 第 2の温度で改賓され たガス状排出物中のダイォキシン濃度の増加が抑制されるように、 ガス 伏排出物を第 3の温度まで急冷する冷却手段である冷却塔 4 0と、 処理 対象物体の熱分解により生じた残渣、 ガス状排出物から分離された固形 物などを、 この残渣に含まれる金属力気化するように減圧下で加熱する 滅圧加熱炉 5 0と、 残渣から気化した金属を凝縮する回収チヤンバ 6 0 とを具備したものである。
すなわち、 本発明の処理装置は樹脂と金属とを含有する処理対象物体 を熱分解炉に導入して熱分解し、処理対象物体から排出されたガス状排 出物はガス分解器、 冷却塔から主要部力構成されるガス状排出物処理系 により処理して無害化、 クリーンガス燃料化し、 ガス状排出物を排出し た処理対象物体の熱分解残渣は减圧加熱炉に導入して金属を分離回収す るものである。
分解炉 2 0は、 処理対象物体が酸素濃度制御下で熱分解されるよう な第 1の温度で熱分解するものであり、 例えばシュレッダーダスト、 廃 回路基板などからガス状排出物を抽出する。 ここでガス状排出物とは、 基本的には排出ガスからなる力、 この排出ガスに混入する固体状微粒子、 液体状微粒子などを含む場合を排除しな L
図 3 3は、 熱分解炉 2 0の構造の 1例を模式的に示す図である。 熱分 解炉 2 0は処理対象物体を熱分解する熱分解チヤンバ 2 1と、 熱分解チ ヤンバ 2 1を加熱する燃焼チャンバ 2 2とからなっており、 燃料ガス配 管 2 3から導入した燃料ガスを燃焼室 2 4で燃焼させ、 この燃焼熱によ り熱分解チャンバ 2 1内を加熱している。
熱分解炉 2 0には図示しない温度調節手段と酸素濃度調節手段が配設 されており、熱分解チャンバ 2 1内を第 1の ¾ ^に保つとともに、 熱分 解が還元性雰囲気で行われるように酸素濃度を調節している。
熱分解炉 2 0の第 1の温度を調節する温度調節手段としては、 加熱手 段と温度測定手段を用いるようにすればよい。 加熱手段としては、 各種 対流加熱、輻射加熱などを'必要に応じて選択し、 又は組合わせて用いる ようにすればよ ^、。 例えばシーズヒーターなどの抵抗加熱を用いるよう にしてもよいし、 ガス、 重油や軽油などをチャンバ外で燃焼させるよう にしてもよい。 さらに、 処理対象物体の樹脂などから排出されるガスを 改質、 無害化、 中和したうえで燃料ガスとして、 熱分解炉 2 0はじめと する本発明の処理装置の熱源として再利用するようにしてもよい。 また 例えば上述のようにして得たクリーンば燃料ガスをガスタービン発電機 に導入して電力に変換し、 この電力により熱分解炉 2 0をはじめとする 本発明の処理装置の運転に用いるようにしてもよい。
温度測定手段としては各種温度センサを用いるようにすればよい。 第 1の温度は、 処理対象物体の樹脂が熱分解するとともに、 処理対象物体 の金属ができるだけ酸化されないように設定するようにすればよいが、 後述するように、 ダイォキシンの発生源を多段階で絶っために、 熱分解 炉 2 0を還元性条件に保つことカ'好適である。 例えば、 塩素を含む芳香 族系炭化水素化合物を還元性条件下で熱分解することにより、 この芳香 族系炭化水素化合物の塩素は H C 1等に分解される。 したがってダイォ キシンの発生が抑制される。
この熱分解炉 2 0では処理対象物体を約 2 5 0 °C〜約 6 0 0 °C程度、 より好ましくは 4 0 0〜 5 5 0 °C程度の温度範囲で熱分解するようにな つている。 この第 1の温度は、 処理対象物体の性質、 構成などにより必 要に応じて調節するようにすればよい。 熱分解炉 2 0の第 1の温度を比 較的低温に設定することにより、処理対象物体の重金属などの気化を防 ぐことができ。 後段の減圧加熱炉 5 0でより効率的に分離回収すること ができる。 また、 熱分解炉 2 0の負荷も低減され、耐用年数を長くする ことができ、 処理コストを低減することができる。
酸素濃度調節手段は例えば酸素 '濃度測定手段である酸素濃度センサと キヤリアガス導入系とを用いるようにしてもよい。
酸素濃度センサは例えばジルコニァ (酸化ジルコニウム) を採用した いわゆるジルコニァセンサを用いるようにしてもよいし、 赤外分光法で 例えば C Oと C 02 の吸収を測定するようにしてもよい。 さらに、 G C 一 M Sを用いるようにしてもよく、 必要に応じて選択し、 あるいは組合 わせて用いるようにすればよい。
キヤリアガスガスとしては例えば A rなどの希ガスを用いるようにし てもよい。 また、 このキャリアガスにより、 熱分解炉 2 0内の酸素濃度 が調節されるだけでなくガスを効率的にガス分解器 3 0へ導くこともで きる。 さらに、 圧力調節手段と兼ねるようにしてもよい。
なお熱分解炉 2 0は、 処理対象物体を酸素濃度制御下で熱分解するこ とができればよく、 例えばロータリーキルンなどを用いるようにしても よい。
また、 熱分解炉 2 0の前段にシュレッダー 2 5を設けるようにしても よい (図 4 0参照) 。 装置外部から持ち込まれた処理対象物体をシユレ
1 0 ッダ一で破碎、 分別してから熱分解炉 2 0に導入するようにしてもよい し、 破碎せずに熱分解炉 2 0に導入するようにしてもよい。 処理対象物 体が廃回路基板の場合には破砕せずに熱分解炉 2 0に導入することが好 適である。
処理対象物体が導入された熱分解炉 2 0内は、 処理対象物体中の金属 の状態はできるだけ酸化されないように、 また樹脂の熱分解に際して有 機化合物と結合した塩素ができる限る無機化されるように、 温度,酸素 濃度条件を調節するようにすればよい。 この醵、 酸素濃度条件はあら かじめ設定しておくようにしてもよいし、 温度や酸素濃度の測定値を加 熱手段、 酸素濃度調節手段などにフィードバックして制御するようにし てもよい。 酸素濃度を測定する必要がある場合には例えばジルコニァセ ンサなどを用いるようすればよい。
また、 熱分解炉 2 0の熱分解チャンバ 2 1内の圧力を制御するように してもよい。 例えば熱分解チャンバ 2 1内を すると、 酸素濃度も低 下し加熱により処理対象物体が急激に酸化されることはない。 また加熱 により樹脂から大量の分解生成ガスが発生するが、 一般的に樹脂は分解 してもほとんど酸素を発生しない。 さらに、 樹脂の分解生成物も容易に 気化される。
—方、 減圧すると熱分解チャンバ 2 1内の熱伝導率は低下する。 しか し熱分解炉 2 0内力非酸化棼囲気であれば、 圧下または加圧下でも 処理対象物体は酸化されない。 したがって熱分解チヤンバ 2 1内が非酸 化雰囲気であれば、 加圧が可能であり系内の熱伝導率が向上する。 処理対象物体から排出されるガス状排出物は、 配管を通じてガス分解 器 3 0へ導入される。 図 3 1に例示した処理装置 1 0では熱分解炉 2 0 とガス分解器 3 0との間にガス状排出物中の塵などの固体状排出物を分 離するサイク口ン分離器 2 9力《配設されているが、 このサイク口ン分離 器 2 9は必要に応じて備えるようにしてもよい。
ガス分解器 3 0は処理対象物体から排出されたガス状排出物を、 第 1 の温度よりも高い第 2の温度で熱分解または改質するものである。 ここ で熱分解または改質とは、 処理対象物体から排出されたガス状排出物に 含有される炭化水素系化合物を、 より低分子の水素、 メタン、 一酸化炭 素などに変化させることをいう。 また、 水素化精製処理 (k y d r o r e f 0 r m i n g) なども行うようにしてもよい。 系内を還元性条件に 保つて改質することは前述のようにダイォキシンの発生源を断つという 観点からも好適である。 また、 ガス分解器 3 0内が還元性棼囲気に保た れるならば、 ガス分解器 3 0内に少量の空気を導入するようにしてもよ い。 ガス分解器 3 0では熱分解だけでなく、 これに加えて例えば を. 用いる接触分解も行うようにしてもよい。 触媒としては、 例えばシリカ •アルミナゃゼオライト (アルミノゲイ酸塩) などの固体酸に P t、 R eなどの金属を担持させて用いるようにしてもよい。
ガス分解器 3 0を熱分解炉 2 0と分離して備えることにより、 第 1の 温度より高い第 2の温度で処理対象物体からのガス状排出物を処理する ことができ、 ガス状排出物の改質、 塩素の無機化が効果的に行うことが できる。
ガス分解器 3 0は、 処理対象物体に直接的または間接的に由来するダ ィォキシンができるだけ分解するような条件を保つことが望ましレ、。 例 えば第 2の温度を 8 0 0 °C程度に設定することによりかなりのダイォキ シンを分解することができる。 また第 2の温度を 1 0 0 0 °C以上、 より 好ましくは 1 2 0 0 °C以上に設定することにより、 さらに効果的にダイ ォキシンを分解することができる。 このガス分解器 3 0は、 ダイォキシ ンが分解するような第 2の温度に設定されるから、 この第 2の温度でガ ス状排出物の炭化水素の熱分解も同時に生じることになる。
1 2 処理対象物体から排出されたガス状排出物に含有される炭化水素系化 合物は、 ガス分解器 3 0で改質、 熱分解されることにより、 低分子化さ れ水素、 メタン、 一酸化炭素などに変化する。
また、 ガス状排出物にダイォキシンが含まれる場合にはこのダイォキ シンの殆どは分解される。 さらに、有機塩素は無機化され、 ダイォキシ ンの再合成が抑制される。
図 3 4はガス分解器 3 0の構造の 1例を模式的に示す図である。 図 3 4 ( a ) に例示したガス分解器は、 コークスを充填したチャンバ 内に、 熱分解炉 2 0からのガス状排出物と、少量の空気とを導入するこ とにより、 ガス状排出物を熱分解、 改質するとともに、 還元性棼囲気か つダイォキシンが分解するような温度条件を形成したものである。 図 3 4 ( b ) に例示したガス分解器は燃料ガスと空気とを燃焼させて チャンバをダイォキシンが分解するような温度に加熱し、 このチヤンバ 内に熱分解炉 2 0からのガス状排出物を導入して、 熱分解、 改質するよ うにしたものである。
ガス分解器 3 0のチヤンバ内には例えば前述したような などの接 触分解手段を備えるようにしてもよい。
また、 必要に応じてガス分解器 3 0にチャンバ内の温度、 酸素濃度を 調節するための ffl調節手段と酸素濃度測定手段を備えるようにしても よい。 酸素 調節手段としては前述のような酸素濃度センサとキヤリ ァガス導入系とを用いるようにしてもよい。 さらに、 水素ガスリザバを 接続するようにしてもよいし、 A rなどの不活性ガスリザバを接続する ようにしてもよい。
このように処理対象物体から排出されたガス状排出物に含有されるガ ス状排出物はガス分解器 3 0または第 2の熱分解手段により低分子化さ れ、 水素、 メタン、一酸 ib^素などに変化する。 ガス分解手段 3 0で熱分解、 改質されたガス状排出物は冷却塔 4 0に 導入される。
冷却塔 4 0はガス分解器 3 0と接続して配設され、 第 2の温度で改質 または熱分解されたガス状排出物を、 このガス状排出物中のダイォキシ ン濃度の増加が抑制されるように、 第 3の温度まで急冷するものである。 すなわち、 ガス分解器 3 0または第 2の熱分解手段において、 第 2の 温度で改質または熱分解されたガス状排出物中のダイォキシン濃度は、 第 2の温度がダイォキシンが分解するような mtであること、 この温度 で分解、 あるいは改質される炭化水素系化合物の塩素は還元性雰囲気に よりされ無機化されることから極めて低いものである。 したがって、 こ の状態からのダイォキシンの生成、 再合成が生じないように、 ガス状排 出物中のダイォキシン澳度の増加ができるかぎり抑制されるように第 3 の温度まで急冷するようにするのである。 第 3の S¾は、 ダイォキシン の生成反応が生じないような温度に設定すればよレ、。
例えばダイォキシンが分解している状態のガス状排出物 (ガス分解器 3 0における第 2の温度と同じでなくとも、 ダイォキシンが分解するよ うな温度より高い温度であればよい) から 1 5 0 C以下、 好ましくは 1 0 0 °C以下、 さらに好ましくは 5 (TC以下、最も好ましくは 3 5 °C以下 まで急冷することによりダイォキシンの生成、 再合成を抑制すること力 できる。
このときガス状排出物を第 3の温度までできるだけ短時間で冷却する ことが好ましい。 これは約 2 0 0。C〜約 4 0 0。Cではダイォキシン力生 成、 再合成されやすいためであり、 ガス状排出物を第 3の温度まで急冷 してダイォキシンが生成、再合成されやすい温度範囲に滞留する時間を できるだけ短くすることにより、 より効果的にガス状排出物中のダイォ
1 4 キシン濃度を抑制することができる。
したがって冷却塔 4 0におけるガス状排出物の冷却は好ましくは約 1 0秒程度以内で急冷することが好ましい。
このような冷却塔 4 0としては、 ガス状排出物に水、 冷却油などの冷 媒を直接噴射して接触冷却するようにしてもよい。 このときガス状排出 物に石灰粉末などのアル力リ性粉末を噴射するようにすれば、 ガス状排 出物は中和される。 また例えばガス状排出物中の H C 1は、 石灰粉末と 接触して固体表面に拡散されるからダイォキシンの生成、再合成を抑制 することもできる。
図 3 5は冷却塔 4 0の構造の 1例を模式的に示す図である。
図 3 5 ( a ) は分解器 3 0から導入されたガス状排出物整流して冷却 水、 冷却油などの冷媒を直接噴射し、 ガス状排出物を第 3の温度まで冷 却する構造となっている。 図 3 5 (b) では冷媒とともに石灰粉などの 中和剤を噴射して、 ガス状排出物を中和すると同時に、 ガス状排出物中 の塩素を固定してダイォキシンの発生源をガス状排出物から取り除く構 造となっている。
また、 冷却塔 4 0には図示しない温度センサがガス状排出物導入部お よび冷却ガス排出部に備えられており、 また導入されるガス状排出物の 冷却速度管理手段、 例えば冷媒の流量 ·温度調節手段が備えられており、 ガス状排出物の冷却速度はダイォキシンの生成、 再合成が抑制れるよう に制御されている。
このように熱分解炉 2 0で処理対象物体から排出されたガス状排出物 は、 ガス分解器 3 0でダイォキシンが分解するような温度で熱分解また は改質され、 冷却塔 4 0によりダイォキシンの生成、 再合成が生じない ように急冷されることにより、 水素、 メタン、 一酸化炭素等に変化し、 また、 ガス状排出物中のダイォキシン濃度も大きく低減される。
1 5 このように本発明の処理装置においては処理対象物体の分解、 処理対 象物体からのガス状排出物の分解を熱分解炉 2 0と、 ガス分解器 3 0の 複数段階で処理することにより、 そして、 このような分解手段を還元性 雰囲気に保つことにより、 ダイォキシンの発生を抑制することができる。 第 2の温度を 8 0 0 °Cに設定し、 第 3の温度を 1 5 0 °Cに設定するこ とによりガス状排出物中のダイォキシン濃度を 0. 1〜0. 5 T E Q n g/Nm3 に低減することができた。
また第 2の温度を 1 1 5 0 °Cに設定し、 第 3の温度を 5 0。Cに設定す ることによりガス状排出物中のダイォキシン濃度を 0. l T E Q n g Z Nm°以下に低減することができた。
冷却塔 4 0で冷却されたガス状排出物は、 必要に応じて洗浄、 脱硫を 行うようにしてもよい。
また、 冷却塔 4 0で冷却されたガス状排出物を例えばバグフィルター などの中和反応ろ過手段に導入するようにしてもよい。 冷却塔 4 0と中 和反応ろ過手段との間に、 ドライベンチユリ一などにより消石灰、 ろ過 助剤 (例えばゼォライト、 活性炭などの空隙率の高い粒子、 テシソープ、 シラスバル一ン) などをガス状排出物の気流に吹き込むようにしてもよ い。
図 3 6は冷却塔 4 0の後段にバグフィルター 7 0を接続したガス状排 出物処理系の構成の一部を示す図である。
冷却塔 4 0で凝縮した重金属微粒子などの固体状排出物、バグフィル ター 7 0から排出される固形物などは、 減圧加熱炉 5 0に導入して処理 することにより、 ガス状排出物中に鉛、 すず、 ひ素、 力ドミゥムなどな どの金属が含まれる場合であっても分離回収することができる。
このように処理した、 処理対象物体から排出されたガス状排出物は熱 分解炉 2 0の加熱の熱源として用いるようにしてもよいし、 ガスタービ ン発電機に供給して電力を得るようにしてもよい。 さらにこの電力を本 発明の処理装置の熱源その他に用いるようにしてもよい。
—方、 熱分解炉 2 0でガス状排出物を排出した処理対象物体の熱分解 残渣は、 減圧加熱炉 5 0に導入される。 処理対象物体の有機物成分は第 1の熱分解手段である熱分解炉 2 0でほとんど分解されるから、 熱分解 残渣は主として金属と炭化物、 あるいはガラスから構成される。
この処理対象物体である熱分解残渣から金属を分離 ·回収する MJE加 熱炉 5 0は、 パージ室 5 1、 第 1の気密室 5 2、 冷却室 5 3とから構成 されており、各室は開閉可能な隔壁 5 4により隔てられている。 また、 熱分解炉 2 0と減圧加熱炉 5 0の第 1の気密室を、パ一ジ室 5 1を介し て接続するようにしてもよい。
図 3 1に例示した処理装置の減圧加熱炉 5 0では、 処理対象物体は隔 壁 5 4 aを開いてパージ室 5 1に導入される。 隔壁 5 4 aを閉じてパー ジ室 5 1内を図示しない排気系により荒引きしたのち、 隔壁 5 4 bを開 いて処理対象物体を第 1の気密室 5 2へ移動する。
隔壁 5 4 bを閉じ、 第 1の気密室 5 2内を処理対象物体中の金属が減 圧下で気化するように圧力、 温度を制御する。処理対象物体から気化し た金属は、 回収チャンバ 6 0で凝縮させて回収する。 5 5は排気系であ る。 排気系の排気ガスを分解器 3 0に導入するようにしてもよい。 所望の金属を気化させた後、 図示しない排気系により減圧されている れきゃく室 5 3との間の隔壁 5 4 cを開いて、処理対象物体を冷却室 5 3へ移動する。
隔壁 5 4 cを閉じて処理対象物体を冷却し、処理対象物体が大気中で も安定な状態になったら、 冷却室 5 3をリークし隔壁 5 4 dを開いて処 理対象物体を取り出す。 処理対象物体中は炭化物と気化しなかった金属とからなつているが、 これらに金属は容易に炭化物から分離することができる。
以上のように本発明によれば、 樹脂と金属とを有する処理対象物体を 高度に再資源化することができ、 しかもダイォキシンの発生を防止する ことができる。
(実施例 1 9 )
図 3 7は本発明の処理装置の別の 1例を概略的に示す図である。 図 3 8は、 図 3 7に例示した本発明の処理装置の構成を模式的に示す 図である。 この処理装置では冷却塔 4 0で冷却したガス状排出物中の 酸性成分を中和洗浄塔 6 1で中和し、脱硫塔 6 2で脱硫してクリーンな 燃料ガスとして利用できるようにしている。 この燃料ガスは熱分解炉 2 0の燃焼室 2 3へ送られて熱分解炉の加熱燃料として使用され、 また、 活性炭フィルタ 6 3でろ過してからガスタービン発電機 6 4へ送られて 電力に変換される。 熱分解炉 2 0を加熱した排ガスおよびガスタービン 発電機 6 4の排ガスは G C— M Sなどで成分、澳度をモニターし、安全 を確認してから煙突 6 6より大気中へ放出される。
このような構成を採用することにより、 本発明の処理装置は、 処理対 象物体をより効率的に処理することができる。
例えば無害化されガス状排出物を中和、洗浄してクリーンな燃料ガス として熱分解炉の加熱に利用し、 さらにガス発電機で得た電力により減 圧加熱炉を稼働したり、 あるいは壳電することにより装置のランニング コストを極めて低く抑制することができる。
また第 1の熱分解手段内の第 1の温度が 6 0 0 °C以下と低温なため熱 分解炉の耐用年数が長く、 維持管理も容易にすることができる。
図 3 9は本発明の処理方法を廃棄物処理に適用した例を模式的に示す 図である。 すなわち廃棄物を熱分解し、 廃棄物から排出されるガス状
1 8 排出物はガス状排出物処理系でクリーン燃料ガス化し、 熱分解残渣は弒 圧加熱炉に導入して重金属、 有用金属、 活性炭などとして回収すること ができる。
図 4 0は本発明の処理装置の前段に備えることができるシュレツダー 装置の構成の 1例を模式的に示す図である。 ここでは廃自動車を処理す るシュレツグー装置を例示した。
廃自動車はシュレッダ一により破砕され、 磁気、風力などにより鉄類、 非 、 非金属類などが分別される。 このような分別残渣がシュレッダ 一ダストである。 シュレッダーダストには、樹脂 (繊維、 紙を含む) 、 ガラス、 重金属を含む各種金属が含まれている。 本発明は上述のような 構成を採用することにより、 従来処理技術が i iされていなかつたこの ようなシュレツダーダス卜も安全かつ効率的に処理することができる。 シュレツダーダストを熱分解炉 2 0に投入し、 4 0 0〜 5 0 0 °Cで加 熱分解して、 シュレッダーダストの榭脂成分あるいは有機物成分などか ら排出されるガス状排出物をガス分解器 3 0に導いて、 ダイォキシン等 の有害物を分解無害化するため第 2の温度を 1 1 0 0 °C以上 (より好ま しくは 1 1 5 0 °C以上) で加熱分解した。 そして、 その直後に第 3の温 度を 1 0 0 °C以下 (望ましくは 5 0 以下) に設定した冷却塔 4 0で 1 0 s e c以内に急冷することにより、 ダイォキシンの発生を 0. 1 T E Q n g /NmJ以下に抑制することができた。 このように処理した処理 対象物体からのガス状排出物をガス洗浄 (中和) 装置、 脱硫装置により シアン化物、硫化物、 窒化物などを除去して、 クリーンな燃料ガスを得 ることができた。
この燃料ガスは熱分解炉 2 0の加熱熱源として利用するとともに、 ガ スタービン発電機で発電して電力に変換し、 減圧加熱炉 5 0を稼働して いる。
また処理対象物体の熱分解残渣は減圧加熱炉 5 0に導入され、 1 0 _1 〜1 0— 3T 0 r rの減圧下で加熱して、 P b、 S b、 A s、 C d、 S n、 Z n等の金属は 9 9 %以上の収率で分離回収することができた。 減圧加 熱炉 5 0で処理した処理対象物体は P b、 S b、 A s、 C d、 S n、 Z nを 0. 1 p p mレベルまで低減することができた。
減圧加熱炉 5 0で処理した処理対象物体に残つていた鉄類は比重選考 法、 電気磁石等で分離回収し、 最終的に無害で高 の炭化物が得られ た。 この炭化物は活性炭フィルタ 6 3で利用してもよいし、 有効な土壌 改良剤等に活用することができる。
このように本発明によれば、 家庭電気製品、 自動車、 精密機器等、 あ るいはこれらの廃棄物のシュレッダーダストを、 酸素濃度を制御して熱 分解し、 ガス状排出物処理系と熱分解残渣処理系で処理することにより、 ガス状排出物はダイォキシンなどの有害物質を分解、 無害化してクリー ンなガス燃料とすることができる。 このガス燃料を熱分解炉等の燃焼室 導いて加熱熱源として用いることもできる。 さらに、 このガス燃料を用 いて発電することもできる。 渴水期には水が不足し、 コンスタントに電 力を供給することが困難な水力発電方法と比較して、 シュレツダーダス トは豊富で低価格な資源であり、 本発明の処理装置を用いて非常に効率 的に発電することができる。 また、本発明の処理装置はモジュール構成 となっているため小規模から大規模まで幅広 L、規模に応じて、 また用途 に応じて対応することができる。
一方熱分解残渣はは真空加熱により各種金属を高純度の金属状態で分 離回収することができりる。 炭化物も重金属が除去されており、 有効に 活用することができる。 また減圧加熱炉は溶融炉と比較して小型であり、 設置費用、 設置場所等が少なくてすみ、 市町村規模の廃棄物処理にも効 率的に対応することができる。
このように、 有害物質またはその原料物質を含み、 燃焼させるとダイ ォキシン類をはじめとする有害物質を生成する多量の廃棄物を、 環境中 に有害物質、 重金属などを放出することなく、再利用可能な物質を高純 度状態で回収することができる。
また本発明の処理装置、 処理方法により、 有害ガスを発生させること なく実装基板廃棄物などから、 容易に回路基板と各種 I c、抵抗器、 コ ンデンザ一等の電子部品を分離し、 同時に、 半田合金などを分離回収す ることができる。
まず、 実装基板を破砕せずに熱分解炉 2 0に導入し、 第 1の温度を 2 5 0〜5 0 0°Cに設定して熱分解する。 このとき熱分解炉内を減圧する ようにしてもよい。 実装基板の熱分解により生じるガス状排出物は、 ダイォキシン等の有害物の発生を押さえるため、 ガス分解器 3 0に導き 8 0 0°C以上で加熱分解した後、冷却塔 4 0にて 1 0 0°C以下に急冷す る。 熱分解残渣は減圧加熱炉 5 0に導入して 1 0 ύ程度まで減圧し、 3 5 0〜7 0 0 °Cに順次昇温して、 はんだ合金の構成金属
を蒸発させた。 したがって、 回路基板と各種 I C、 抵抗器、 コンデンサ —等の電子部品を分離し、 同時に、 蒸発した鉛などの金属を回収経路の 途中に設けた凝集手段で回収する。
このような方法により電子部品と回路基板とをほぼ完全に分離するこ とができた。 また、 有害な P b等の低融点金属もほぼ完全に (0. l p p mレベル) 除去された。 樹脂部から発生したガス状排出物中の有害物 質濃度も極めて低く、 例えばダイォキシンは 0. 1〜0. 5 T E Q n g /Nm3 まで低減することができた。 電子部品が実装解除され、 接合 金属が除去された回路基板は炭化されており、配線用の銅を含んだ状態 になった。 各種 I C、 抵抗器、 コンデンサ一等の電子部品からも有害な
2 1 P b、 S bなどの金属は除去され、 モールド樹脂などの樹脂部は炭化し、 一部 S i、 A u、 N i、 W、 M o等の金属を含んだ状態になった。
ついで、 鋦を含む炭化した回路基板を減圧加熱炉 5 0内で、 更に、 加 熱 (1 0 5 0〜1 2 0 0 °C) し、 銅箔を半溶融させて、 数 mmの球状に 凝集させた。
このような処理を ½すことにより銅の炭化物からの分離回収が容易に なった。 この炭化物と金属銅とからなる回路基板は、 炭酸カルシウム水 溶液などにより洗浄し、 高純度の銅を回収することができた。
このように本発明によれば実装基 ¾g|棄物を有害物質を放出させず、 かつ有害物質を除去し、 また、 人手によらず容易に回路基板と各種電子 部品とを分離することができる。 また同時に、 半田合金の構成金属をは じめとする各種金属を蒸発させて分離回収することができる。 また蒸発 しなかった鋦などの金属を高純度で回収することができる。 本発明によ れば従来有効な処理技術が確立されていなかつた実装基板などの廃棄物 を環境中に有害物質、 重金属などを放出することなく、 再利用可能な物 質を高純度状態で回収することができる。
(実施例 3 )
つぎに、 本発明の減圧加熱手段についてさらに詳しく説明する。
図 4 1は本発明の処理装置が備える減圧加熱装置の 1例を概略的に示 す斜視図である。 一部を切り欠いて内部の様子を示した。
この減圧加熱炉 1 0 0は樹脂と金属とを構成材として有する処理対象 物体 1 5 0の熱分解残渣および、 ガス状排出物から分離された固体状排 出物、 スラグなどを処理するものであり、 パージ室 1 0 1、 第 1の気密 室 1 0 2、 第 2の気密室 1 0 3、冷却室 1 0 4から構成されている。 これら各室は開閉可能な隔壁である扉 1 0 5によって隔てられている。 すなわち、装置外部とパージ室 1 0 1とは扉 1 0 5 aにより、 パージ室 1 0 1と第 1の気密室 1 0 2とは扉 1 0 5わにより、 第 1の気密室 1 0 2と第 2の気密室 1 0 3とは扉 1 0 5 cにより、 第 2の気密室 1 0 3と 冷却室 1 0 4とは扉 1 0 5 dにより、 そして冷却室 1 0 4と装置外部と は扉 1 0 5 eによりそれぞれ隔てられている。
これら各室を隔てる扉 1 0 5は気密保持性と断熱性とを備えており、 各室を熱的、 圧力的に隔てている。 扉 1 0 5 a、 1 0 5 bにかかる熱的 負荷は小さいので気密性が保持できればよい。
パージ室 1 0 1には排気系 1 0 6が接続されている。 この排気系 1 0 6は油拡散ポンプ 1 0 6 a、 ブースタ一ポンプ 1 0 6 b、 口一タリーポ ンプ 1 0 6 cを備えている。 パージ室 1 0 1と排気系 1 0 6との間、 そ れぞれの真空ポンプ間には図示しないバルブが配設されている。
パージ室 1 0 1とお ^気系 1 0 6との間には、 パージ室 1 0 1内の減圧 などにより処理対象物体 1 5 0から排出される水分や水素ガスなどを除 去するトラップ 1 0 7が配設されている。 したがって、 パージ室内で処 理対象物体 1 5 0から水分や水素ガスなどが排出されたとしても、排気 系 1 0 6に悪 響を及ぼすことはない。 このトラップ 1 0 7は必要に応
2 3 じて備えるようにすればよい。
パージ室 1 0 1内の圧力はこの排気系 1 0 6と、 図示しない圧力セン サである真空計により調節している。 真空計としてはブルドン管、 ビラ ニーゲージなどを必、要に応じて用いるようにすればよい。
また、 パージ室 1 0 1にはパージ室 1 0 1内をガス置換するためのキ ャリァガス導入系が接続されており、 1 0 8はキヤリァガス導入弁であ る。 キヤリアガス導入系は図示しないキヤリアガスリザバーに接続され ている。 ここではキャリアガスとして N2 を用いている力く、例えば A r などの希ガスを用いるようにしてもよい。
また、 パージ室 1 0 1に加熱手段を備えて、処理対象物体 1 5 0を予 熱するようにしてもよい。
パージ室 1 0 1と第 1の気密室 1 0 2の圧力をほぼ等しくし、 扉 1 0 5 bを開きプッシヤー 1 3 0で処理対象物体 1 5 0を第 1の気密室 1 0 2へ移動させる。 以後特に述べないが、 扉 1 0 5はこの扉が隔てる両側 の圧力をノ <ランスさせて開閉するようにすればよ L、。
第 1の気密室 1 0 2は、 処理対象物体 1 5 0の構成金属を処理対象物 体 1 5 0から選択的に気化させ回収するための処理室である。
こめ第 1の気密室 1 0 2は加熱手段である電熱ヒ一ター 1 0 9を備え ている。 この電熱ヒータは、 ガスタービン発電機 6 4により電力を供給 するようにしてもよい。 加熱手段は電熱ヒーター 1 0 9に限らず、 必要 に応じて選択または組合わせて備えるようにすればよい。 例えば気密領 域の外側からガス、 油等を燃焼させてもよいし、 誘電加熱を行うように してもよい。 また、 処理対象物体 1 5 0から得た燃料ガスを用いるよう にしてもよい。
第 1の気密室 1 0 2内の温度は、 この電熱ヒーター 1 0 9と図示しな 、温度センサぉよび温度センサから測定値により電熱ヒータを制御する 図示しない制御手段により調節している。 制御手段は、 例えば、 温度セ ンサからの測定値または測定電圧を入力とし、電熱ヒータ一への投入電 力を変化させるような信号または電圧を出力とするプログラムを電子計 算機に搭載して用いるようにしてもよい。
このような制御はアナ口グ回路によってもよいし、 測定温度に応じて 操作員が加熱手段を操作するようにしてもよい。
図 4 1に例示した減圧加熱装置においては、 第 1の気密室 1 0 2内の 温度は、 後述する第 1の気密室 1 0 2内の圧力とともに、 また、 パージ 室 1 0 1、 第 2の気密室 1 0 3、冷却室 1 0 4内の諸条件および隔壁 1 0 5の開閉、処理対象物体 1 5 0の移送とともに、統合的に図示しない 制御手段により制御している。 この制御手段は、 例えば制御プログラム を電子計算機に搭載して行うようにしてもよい。 第 1の気密室 1 0 2 にも排気系 1 1 0が接続されている。 この排気系の構成はパ一ジ室 1 0 1の排気系 1 1 0と同様の構成となっている。
第 1の気密室 1 0 2内の圧力はこの排気系 1 1 0と、 図示しない圧力 センサである真空計により調節している。 真空計としては前述同様ブル ドン管、 ピラニーゲ一ジなどを必要に応じて用いるようにすればよい。 第 1の気密室 1 0 2には、 この室内の酸素濃度を調節するためのキヤ リァガス導入系が接続されており、 1 1 2はキヤリァガス導入弁である。 キヤリァガス導入系は図示しないキヤリァガスリザバーに接続されてい
Q
酸素濃度調節手段は必要に応じて備えるようにすればよい。
第 1の気密室 1 0 2内を減圧すると処理対象物体の昇温効率が低下す るので、 まず比較的真空度の低 t、段階で酸素濃度を調節して処理対象物 体を加熱し、 ついでより真空度を高くするなどして処理対象物体の昇温 効率を高めるようにしてもよい。
ここではキヤリアガスとして N2 を用いている力 例えば A rなどの 希ガスを用いるようにしてもよい。
排気系 1 1 0とキヤリアガス導入弁 1 1 2を適当に操作することによ り、 第 1の気密室内を減圧、 または加圧することができる。 この装置の 圧力調整手段は、 1 0—3T o r rから 4 x l 0 ύ T o r まで系内 の圧力を調節できるようになつている。 排気系の能力、 容量を変えるこ とにより、 さらに減圧するようにしてもよい。 またキャリアガスを予圧 することによりさらに加圧するようにしてもよい。
第 1の気密室 1 0 2内の酸素濃度は、 キャリァガス導入弁 1 1 2と、 図示しな 、酸素 センサにより調節される。酸素濃度センサとしては、 例えばジルコニァセンサを用いるようにしてもよい。 第 1の気密室 1 0 2内の温度がジルコニァセンサには低い場合には、例えば第 1の気密室 1 0 2内から抽出したガスを 7 7 3 K程度に調節して測定するようにし てもよい。
ジルコニァセンサ以外にも例えば系内のガスを赤外分光して酸素濃度 を測定するようにしてもよい。
第 1の気密室 1 0 2内の酸素濃度は例えば N2 のようなキヤリアガス の導入ではなく、 系内の全圧により調節するようにしてもよい。
前述のように、 第 1の気密室 1 0 2内の圧力、 酸素濃度についても温 度と同じように制御するようにすればよい。 例えば、 圧力センサ、酸素 澳度センサからの測定値または測定電圧を入力とし、排気系 1 1 0のバ ルブ、 キヤリアガス導入弁 1 1 2を制御する信号または電圧を出力とす るプログラムを電子計算機に搭載し制御手段として用いるようにしても よい。
第 1の気密室 1 0 2と排気系 1 1 0との間に、 処理対象物体 1 5 0か ら気ィヒした気体状態の金属を回収するための回収チャンバ 1 1 1が配設 されている。 この回収チャンバ 1 1 1は、 このチャンバ内で気化した金 属を融点以下に冷却して凝縮させ回収するものである。 回収チャンバ 1 1 1内を例えば向流構造や螺旋構造にするようにしてもよい。 あるいは 回収チャンバ 1 1 1と第 1の気密室 1 0 2との間、 回収チヤンバ 1 1 1 と排気系 1 1 0との間にバルブや開閉可能な隔壁を設けるようにしても よい。
すなわち処理対象物体 1 5 0から気化した金属が回収チャンバ 1 1 1 内に導入されたら、 回収チャンバ 1 1 1を閉鎖して冷却し、 金属を凝縮 させて回収するようにしてもよい。
処理対象物体 1 5 0から有害なガスが排出される場合には、排気系の 排出ガスをガス分解装置 3 0へ導入して無害化するようにすればよい。 また、 各室に接続した排気系 1 0 6、 1 1 0、 1 1 4、 1 1 5の後段を ガス分解装置 3 0へ接続するようにしてもよい。
第 1の気密室 1 0 2内の温度、 圧力、 酸素濃度は上述のように制御さ れる。 したがって、 処理対象物体 1 5 0の構成金属を選択的に気化させ 回収するすることができる。
第 1の気密室 1 0 2での処理終了時には、 処理対象物体 1 5 0から所 定の金属が除去さえているが、 さらによりより沸点の高い金属を回収し たい場合には第 1の気密室 1 0 2と冷却室 1 0 4との間に第 2の気密室 1 0 3を備えるようにすればよい。
本発明の処理装置が備える減圧加熱装置 1 0 0では、 第 1の気密室 1 0 2で加熱した処理対象物体 1 5 0を冷却することなく第 2の気密室 1 0 3に移送するので、 熱効率力 <非常に高い。
第 2の気密室 1 0 3は、 処理対象物体 1 5 0の構成金属を処理対象物 体 1 5 0からさらに選択的に気化させ回収するための処理室である。 この第 2の気密室 1 0 3は加熱手段として第 1の気密室と同様の電熱 ヒータ一 1 0 9を備えている。 加熱手段は電熱ヒーター 1 0 9に限らず、 必要に応じて選択または組合わせて備えるようにすればよ L、0
前述のように、 第 2の気密室 1 0 3内の温度は、 この電熱ヒータ一 1 1 3と図示しない温度センサにより第 1の気密室 1 0 2内と同様に制御 している。 すなわち、 第 2の気密室 1 0 3内の温度は、 第 2の気密室 1 0 3内の圧力、 酸素濃度などとともに、 また、 パージ室 1 0 1、 第 1の 気密室 1 0 2、 冷却室 1 0 4の諸条件および隔壁 1 0 5の開閉とともに、 統合的に図示しない制御手段により制御している。
第 2の気密室 1 0 3にも排気系 1 1 4が接続されている。 この排気系 の構成はパージ室 1 0 1の排気系 1 1 4と同様の構成となっている。 第 2の気密室 1 0 3内の圧力はこの排気系 1 1 4と、 図示しない、 圧 力センサである真空計により調節している。 真空計としては前述同様ブ ルドン管、 ビラ二一ゲージなどを'必要に応じて用いるようにすればよい。 第 2の気密室 1 0 3には、 この室内の酸素濃度を調節するためのキヤ リアガス導入系力く接続されており、 1 1 2はキヤリアガス導入弁である。 キヤリアガス導入系は図示しないキヤリアガスリザバーに接続されてい る。 ここではキャリアガスとして N2を用いている力^ 例えば A rなど の希ガスを用いるようにしてもよい。
排気系 1 1 4とキヤリアガス導入弁 1 1 2を適当に操作することによ り、 第 1の気密室内を減圧、 または加圧することができる。 この装置で は、 1 0 _3T o r rから 4 X 1 03 T o r r程度まで系内の圧力を調節 できるようになつている。 排気系の能力、 容量を変えることにより、 さ らに減圧するようにしてもよい。 またキヤリァガスを予圧することによ りさらに加圧するようにしてもよい。 第 2の気密室内 1 0 3内の減圧にともなつて処理対象物体 1 5 0の構 成金属の蒸気圧 (沸点) は下がるから、 より低い温度で金属を気化させ ることができる。 したがって、 第 2の気密室 1 0 3が備える加熱手段、 排気手段の能力は処理対象物体 1 5 0から分離、 回収する金属の種類に 応じて変えるようにすればよい。 例えば、 第 2の気密室内 1 0 3内を より高温に加熱するのに、誘電加熱手段を備えるようにしてもよい。 ま た例えば第 2の気密室内 1 0 3内をより高真空に減圧するのに、 より能 カカ缟く排 の大き ^、真空ポンプを備えるようにしてもよい。 第 2の 気密室内 1 0 3内の容量によっては、 イオンゲッターポンプ、 ターボ分 子ポンプなどを用いて、 さらに高真空を得るようにしてもよい。
第 2の気密室 1 0 3内の酸素濃度は、 系内が十分に減圧されているた めに特に調節しなくても十分に低い。 したがって、積極的に調節する必 要はないが、酸素濃度調節手段を備える場合には、 第 1の気密室 1 0 2 と同様にすればよい。
また図 4 1に示した減圧加熱装置 1 0 0は、 第 2の気密室 1 0 3を 1 室備えた構成を例示したが、 第 2の気密室 1 0 3を複数備えるようにし てもよい。 内部の温度条件、 圧力条件の異なる複数の第 2の気密室 1 0 3を備えることにより、 蒸気圧の異なる複数の金属を処理対象物体 1 5 0から気^:させ回収することができる。
また、 処理対象物体 1 5 0から金属を元素ごと分離して回収する必要 カ《ない場合には、処理対象物体 1 5 0から複数金属を気化させ、 回収す るようにしてもよい。 例えば、 P b— S n合金を処理対象物体から除去 する時は、 第 2の気密室 1 0 3内の圧力で、 P bおよび S nが気化する ような温度に加熱し、 P bおよび S nを回収するようにしてもよい。 も ちろん、 P bと S nとを選択的に気化して、 それぞれ回収するようにし てもよい。 第 2の気密室 1 0 3と排気系 1 1 4との間に、 処理対象物体 1 5 0力、 ら気化した気体状態の金属を回収するための回収チャンバ 1 1 5が配設 されている。 この回収チャンバは、 このチャンバ内で気化した金属を融 点以下に冷却して凝縮させ回収するものである。 回収チャンバ 1 1 5内 を例えば向流構造や螺旋構造にするようにしてもよい。 あるいは回収チ ヤンバ 1 1 5と第 2の気密室 1 0 3との間、 回収チャンバ 1 1 5と排気 系 1 1 4との間にバルブや開閉可能な隔壁を設けるようにしてもよい。 すなわち処理対象物体 1 5 0から気化した金属が回収チヤンバ 1 1 5内 に導入されたら、 回収チャンバ 1 1 5を閉鎖して冷却し、金属を^ gさ せて回収するようにしてもよい。
気化した金属を連続的に凝縮、 回収する場合でも、 バッチ処理で凝縮、 回収する場合でも、 回収チヤンバ 1 1 5内の気化した金属の滞留時間が 長くなれば回収効率は高まる。
また、 第 2の気密室 1 0 3内に N2や希ガスをキヤリアガスとして導 入するようにしてもよい。 気ィ匕した金属はキヤリアガスにより回収チヤ ンバに効率的に導入される。
回収チヤンバ 1 1 5は、 第 2の気密室 1 0 3に複数系統備えるように してもよい。 複数の回収チャンバ 1 1 5で同じ金属を回収するようにし てもよいし、 第 2の気密室 1 0 3内の温度と圧力を段階的に調節して複 数の金属をそれぞれ選択的に気化させ、複数系統の回収チャンバ 1 1 5 を切り換えて回収するようにしてもよい。
第 2の気密室 1 0 3内の温度、 圧力、 酸素濃度は上述のように制御さ れる。 したがって、 処理対象物体 1 5 0の構成金属をその蒸気圧に応じ て気化させ、 回収チャンバ 1 1 5で金属状態のまま回収することができ る ο
なお、 第 1の熱分解手段での処理対象物体 1 5 0の構成樹脂の分解の 程度によっては、構成樹脂が分解生成ガス等を排出することがある。 こ のような分解生成ガスは、 回収チャンバ 1 1 5の後段をガス分解装置 3 0に接続するようにしてもよい。
このように第 2の気密室 1 0 3でも処理対象物体から所定の金属を気 化させ回収することができる。
第 2の気密室 1 0 3から処理対象物体 1 5 0を直接装置 1 0 0の外部 へ取り出すと、 処理対象物体 1 5 0が急速に酸化する恐れがある。 また、 第 2の気密室 1 0 3内を大気圧に戻さねばならず、 第 2の気密室 1 0 3 内の気密性を保持するという観点からも不便である。 このために図 4 1 に例示した減圧加熱装置 1 0 0では、 第 2の気密室 1 0 3の後段に冷却 室 1 0 4を備えている。
この冷却室はパージ室 1 0 1、第 1の気密室 1 0 2、 第 2の気密室 1 0 3と同様の圧力調節手段と、 酸素濃度調節手段とを備えている。 すな わち、前述同様の排気系 1 1 6と、 キャリアガス導入弁 1 1 7とを備え ている。
第 2の気密室 1 0 3内で所定の金属を分離された処理対象物体 1 5 0 は、 冷却室 1 0 4へ移送され圧力と酸素濃度が調節された状態で冷却さ れる。 キヤリアガスは酸素濃度の調節だけではなく処理対象物体 1 5 0 の冷却ガスとしても機能する。
冷却室 1 0 4と排気系 1 1 6との間に、予熱により処理対象物体から お出されるガスなどを除去するためのトラップ 1 1 8を配設するように してもよい。
' 却室内 1 0 4内で処理対象物体 1 5 0を十分冷ましたなら、 装置外 部へ取り出す。
なお、 減圧加熱装置 1 0 0への処理対象物体 1 5 0の導入と、 取出し、 また各室間の処理対象物体 1 5 0の移送は、 プッシャ一 1 3 0、 ドロー ヮー 1 3 1により行うようにすればよい。
プッシヤー 1 3 0およびドローヮ一 1 3 1の操作は、 隔壁 1 0 5の開 閉とともに、 前述した図示しない制御手段により行うようにしてもよい。 図 4 2は図 4 1に例示した本発明の処理装置が備える減圧加熱装置を 模式的に示す図である。
図 4 1には図示していない、 パージ室 1 0 1内の圧力センサ 2 0 2 a、 第 1の気密室 1 0 2内の温度センサ 2 0 1 a、圧力センサ 2 0 2 b、 酸 素濃度センサ 2 0 3、 第 2の気密室 1 0 3内の温度センサ 2 0 1 c、 圧 力センサ 2 0 2 c、 冷却室 1 0 4内の圧力センサ 2 0 2 dからの信号は 制御手段を構成する制御盤 2 0 0に fe lされる。 制御手段は電子計算機 にプログラムを搭載して構成するようにしてもよい。
そして制御手段は装置内の各室内の状態に応じて、 加熱手段、 圧力調 節手段、酸素濃度調節手段を制御するようにすればよい。 また、 隔壁 1 0 5の開閉、 プッシヤー 1 3 0、 ドローヮー 1 3 1による処理対象物体 1 5 0の移送もこの制御手段により行うようにしてもよい。 2 1 0は各 室内の温度、 圧力、 酸素濃度などの状態、 隔壁 1 0 5の開閉状態などを 操作員に示すモニタである。 また 2 1 1は前述したガス状排出物を処理 するガス状排出物処理系である。
施例 4 )
図 4 3は、 本発明の処理装置が備える減圧加熱装置の別の 1例を概略 的に示す図である。 一部を切り欠いて内部の様子を示した。 この ¾E加 熱装置 3 0 0も樹脂と金属とを構成材として有する処理対象物体 3 5 0 の熱分解残渣等を処理するものである。
この減圧加熱装置 3 0 0はパージ室 3 0 1、 気密室 3 0 2、 冷却室 3 0 3から構成されている。 この気密室 3 0 0は、 図 4 1に例示した'减圧 加熱装置 1 0 0の第 1 ©気密室 1 0 2と、 第 2の気密室 1 0 3の機能を 兼ね備えている。 すなわち、気密室 3 0 2内でまず処理対象物体 3 5 0 から所定の金属を分離回収し、 ついで同じ気密室内 3 0 2でさらに別の 金属を分離回収する。
気密室 3 0 2は温度調節手段と、圧力調節手段と、 酸素濃度調節手段 とを備えている力 酸素濃度は前述のように気密室 3 0 2内の全圧によ り調節するようにしてもよい。
室 3 0 2内の温度調節は、電熱ヒータ 3 0 9と図示しない セ ンサにより行うようにすればよい。
気密室 3 0 2内の圧力調節は、排気系 3 1 0、 3 1 4と、 キャリアガ ス導入系と、 図示しない圧力センサにより行うようにすればよい。 3 1 2はキヤリァガス導入弁である。
気密室 3 0 2と排気系 3 1 0との間には、 処理対象物体 3 5 0から気 化させた金属を回収するための凝縮回収手段である回収チャンバ 3 1 1 が配設されている。 また、 気密室 3 0 2と排気系 3 1 4との間には、 処理対象物体 3 5 0のから気化した別の構成金属のガスを回収するため の凝縮回収手段である回収チヤンバ 3 1 5が配設されている。 処理対象 物体の構成金属を気化させる必要がない場合には、複数の回収チャンバ 3 1 1を配設するようにしてもよい。
パージ室 3 0 1、 冷却室 3 0 3、 隔壁 3 0 5、 キャリアガス導入系、 プッシヤー 3 3 0、 ドローヮー 3 3 1については図 4 1に例示した減圧 加熱装置 1 0 0と同様である。 また、制御手段についても同様に備える ようにすればよい。
このように本発明の処理装置は、処理対象物体の構成樹脂を熱分解す る部分と、 樹脂を熱分解した処理対象物体から構成金属を分離回収する 部分とを組合わせることにより、処理できる物体の範畴が大きく広げる
3 3 ことができる。 例えば廃回路基板、 廃家電製品、 シュレッダーダストな ど従来処理が困難であり、 効果的で安全な処理技術が確立されていなか つた処理対象物体についても対応することができる。
例えば樹脂被覆アルミニウム箔などの処理は、 樹脂部分を制御された 雰囲気下で熱分解することにより、 アルミニウムを金属状態で回収する ことができる。
また基板に電子部品が搭載された実装基板などの処理は、 ハンダ合金 を気化させて回収し、 基板と電子部品とを分離すればよい。
(実施例 5)
図 4 4は本発明の処理装置が備える減圧加熱装置の別の 1例を模式的 に示す図である。
この減圧加熱装置 4 0 0は第 1の気密室 4 0 1と第 2の気密室 4 0 2 とを備えている。 第 1の気密室 4 0 1は図示しない温度調節手段を備え ており、 排気系 4 0 3と回収チャンバ 4 0 4に接続されている。 第 2の 気密室は図示しない温度調節手段を備えており、 排気系 4 0 5と回収チ ヤンバ 4 0 6に接続されている。 また、 第 1の気密室 4 0 1、 第 2の気 密室 4 0 2にはキヤリアガス導入系 4 0 7が接続されており、 気密室内 の酸素濃度の調節、 加圧を行うことができる。 4 0 8はキヤリァガスリ ザバーである。
すなわち樹脂と金属とを有する処理対象物体の熱分解残渣等を第 1の 気密室 4 0 1内で減圧加熱し、 気化した金属を回収チヤンバ 4 0 4で回 収する。 このとき、前述した制御手段などで、 第 1の気密室 4 0 1内の 温'' 、 圧力、 酸素濃度を調節して処理対象物体の他の構成金属の状態を 保持しながら所望の金属を気化するようにすればよい。
第 2の気密室 4 0 2では、 内部の温度、 圧力を調節してさらに別の構 成金属を気化させ、 回収チャンバ 4 0 6で回収する。 第 2の気密室 4 0
3 4 2内の温度、圧力についても第 1の気密室 4 0 1同様の制御手段で調節 するようにすればよい。
第 1の気密室 4 0 1の前段または第 2の気密室 4 0 2の後段にパージ 室を配設するようにしてもよい。
(実施例 6 )
図 4 5は本発明の処理装置が備える減圧加熱装置の別の 1例を模式的 に示す図である。
この減圧加熱装置 5 0 0は樹脂と金属とを構成材として有する処理対 象物体を処理する装置であり、 パージ室 5 0 1、 第 1の気密室 5 0 2、 第 2の気密室 5 0 3、 第 3の気密室 5 0 4、 冷却室 5 0 5を備えている。 パージ室 5 0 1はトラップ 5 0 6と排気系 5 0 7に接続されている。 第 1の気密室 5 0 2は回収チヤンバ 5 0 8と排気系 5 0 9に接続されて いる。 第 2の気密室 5 0 3は回収チャンバ 5 1 0と排気系 5 1 1に接続 されている。 第 3の気密室 5 0 4は回収チャンバ 5 1 2と排気系 5 1 3 に接続されている。 冷却室 5 0 5はトラップ 5 1 4と排気系 5 1 5に接 続されている。 第 1の気密室 5 0 2、 第 2の気密室 5 0 3、 第 3の気密 室 5 0 4は図示しない温度調節手段を備えている。 5 1 6はキヤリアガ ス導入系であり、 5 1 7はキャリアガスリザバーである。
また、第 1の気密室 5 0 2は図示しない酸素濃度センサを備えており、 全圧とは に系内の酸素濃度を調節できるようになっている。
すなわち、減圧加熱装置 5 0 0は処理対象物体の構成金属を気化させ るための処理室を複数備えたものである。 処理対象物体が複数の構成金 属を有する場合にも、 第 2の気密室 5 0 3と第 3の気密室 5 0 4でそれ ぞれ選択的に気化させ、 回収することができる。
(実施例 7 )
3 5 図 4 6は本発明の減圧加熱装置が備える減圧加熱装置の別の 1例を模 式的に示す図である。
この減圧加熱装置 6 0 0は、 樹脂と金属とを構成材として有する処理 対象物体の熱分解残渣等を処理することのできる装置である。 この減圧 加熱装置 6 0 0は 1つの気密容器 6 0 1に複数の回収系を接続したもの であり、 気密容器 6 0 1内部の温度、 圧力、 酸素濃度に応じて回収系を 切り換えて処理する。
(実施例 8 )
図 4 7は気密容器 6 0 1内の温度、圧力、酸素濃度を調節する制御系
6 1 0の構成を模式的に示す図である。 前述のように制御手段 6 1 1の 全部または一部を、 例えば制御プログラムとして電子計算機に搭載して 装置の制御を行うようにしてもよい。
気密容器 6 0 1には、処理対象物体の構成金属の気化したガスを回収 する複数系統の回収チヤンバ 6 0 2が接続され、 それぞれの回収チヤン ノく 6 0 2は排気系 6 0 3に接続されている。
気密容器 6 0 1には、 気密容器 6 0 1内で気化させた処理対象物体の 構成金属を回収する複数系統の回収チヤンバ 6 0 5が接続され、 それぞ れの回収チャンバはお気系 6 0 6に接続されている。
気密容器 6 0 1に接続された複数系統の回収チヤンバ 6 0 5は同じ金 属を回収するようにしてもよい。 また、 気密容器 6 0 1内の温度、圧力 条件に応じて切換えることにより、 蒸気圧 (沸点) の異なる複数の金属 をそれぞれ回収するようにしてもよい。
また、 気密容器 6 0 1にはキヤリアガス導入系力 <接続されている。 6 0 7はキャリアガスリザバーである。 N9 、 A rなどのキャリアガスの 導入により気密容器 6 0 1内の酸素濃度を全圧とは独立に調節すること ができる。 また、 予圧したキャリアガスを導入することにより気密容器 6 0 1内を加圧するようにしてもよい。 非酸化雰囲気中で処理対象物体 を加熱することにより、 処理対象物体の昇温効率が向上する。
また、 気密容器 6 0 1内の酸素濃度は全圧により調節するようにして もよい。 (実施例 9)
図 4 8は本発明の処理装置が備える減圧加熱装置の回収系の別の 1例 を模式的に示す図である。
この減圧加熱装置は図 4 6に例示した減圧加熱装置と同様の構成であ る力 回収系以外の部分の図示は省略している。
気密容器 6 0 1と開閉可能な隔壁 6 1 0により隔てられた回収室 6 1 1が配設されている。 この回収室 6 1 1は図示しない温度調節手段を備 えている。 回収室 6 1 1にはキヤリアガス導入系を接続するようにして もよい。
そして、 この回収室 6 1 1には、 回収チャンバ 6 0 5と、排気系 6 0 6が接続されている。
気密容器 6 0 1内が所定の金属が気化する温度、 圧力条件になったら、 隔壁 6 1 0を開いて処理対象物体 6 1 2を回収室 6 1 1へ導入し隔壁 6 1 0を閉じる。 そして温度圧力条件を保って、 回収チャンバ 6 0 5に より気化した金属を凝縮させて回収するようにすればよ t、0
このような回収室 6 1 1を備えれば、 回収室 6 1 1で処理対象物体か ら金属を回収している間も、気密容器 6 0 1内の温度、 圧力、 酸素濃度 などの諸条件を回収室 6 1 1と に制御できる。 したがって、 装置の 運用効率が向上する。
このような回収室は例えば図 4 1、 図 4 3、 図 4 4、 図 4 5に例示し たような減圧加熱装置に配設するようにしてもよい。
図 4 9は例えば図 4 1に例示した減圧加熱装置 1 0 0に接続した回収 室 9 0 1を含む回収系を模式的に示す図である。 減圧加熱装置 1 0 0の第 2の気密室 1 0 3に回収室 9 0 1が接続され ており、 第 2の気密室 1 0 3と回収室 9 0 1との間は開閉可能な隔壁 9 0 2により隔てられている。 回収室 9 0 1は図示しない温度調節手段を 備えている。 またキャリアガス導入系を接続するようにしてもよい。 回 収室 9 0 1には回収チャンバ 1 1 5、 排気系 1 1 4が接続されている。 また、 回収室 9 0 1とは並列に回収チヤンバ 1 1 5、 排気系 1 1 4を接 続するようにしてもよい。
(実施例 1 0)
図 5 0および図 5 1は回収チャンバの構造の 1例を概略的に示す図で ある O
図 5 0は向流構造の回収チヤンバを、 図 5 1はサイク口ン型の回収チ ャンバをそれぞれ示している。 回収チヤンバは処理対象物体から気化さ せた金属を凝縮できればよい。 また、 これらの回収チャンバを多段に接 続するようにしてもよい。 図 4 2は、 処理対象物体から排出され、 回 収チヤンバゃ回収チヤンバなどにより回収されない排ガスを処理する排 ガス処理装置の構成の 1例を概略的に示す図である。 回収チヤンバまた は回収チャンバなどの回収系の後段に、 マルチ排ガス処理フィルタ 1 2 0 1、 無煙ィ匕フィルタ 1 2 0 2、 無臭化フィルタ 1 2 0 3が接続されて いる。 これ以外にも例えばハロゲンガスなどを回収するアルカリトラッ プゃ、触媒などを用いたハ口ゲン化炭化水素分解装置などを備えるよう にしてもよい。
このように本発明の処理装置は樹脂と金属とを構成材として有する処 理対象物体を、 構成樹脂は分解 (気化、 油化、炭化) し、 構成金属は気 化させて処理対象物体から分離回収することができる。 (実施例 1 1 )
つぎに、 鉛と樹脂を構成材の一部として有する物体から鉛を除去する 処理について説明する。
本発明は構成材の少なくとも一部に鉛と樹脂が使用された物体を効果 的に処理することができる。 例えば、 P b— S n系ハング合金など鉛を 含む合金が使用された電子機器や自動車の電子部品などから鉛を除去す ることができる。
本発明では、 まず第 1の熱分解手段で樹脂部分を気化、 油化、炭化な ど熱分解し、 ついでこの熱分解残渣から鉛を気ィ匕させて離するものであ る。 気化させた鉛は回収するようにすればよい。 装置には、 これまで述 ベたような本発明の処理装置を用いるようにしてもよい。
まず、 処理対象物体の鉛ができるだけ酸化しないように、 かつできる だけ気化しないように処理対象物体を熱分解する。
樹脂は 5 0 °C程度から溶融等が起こり、 2 0 0〜6 0 0 °C程度に保持 すると分解により主として C 1〜C 8の炭化水素系ガスを排出する。 こ のような樹脂の分解生成ガスなどのガス状排出物は前述したガス状排出 物処理系で回収するようにすればよい。
処理対象物体の熱分解工程はこれまで述べてきたように酸素濃度を調 節して還元性雰囲気で行うことが好ましい。酸素濃度を調節することに より、 樹脂の分解生成ガスの回収効率が向上する。 また、 鉛の酸化を防 ぐことができる。 酸化鉛は鉛よりも低い温度で蒸発するから、 酸素'濃度 を調節することにより鉛の飛散を防止し、 後工程でより積極的に鉛を回 収することができる。 さらにガス状排出物処理系でのダイォキシンの発 生を抑制することができる。
このように熱分解した処理対象物体は減圧加熱手段内に導入して、 温 度と圧力とを調節して処理対象物体から鉛を気化させる。 処理対象物体 が鉛以外に例えば鉄、 錮、 アルミニウム、 スズなどの金属が含まれると きには、 蒸気圧の差によりそれぞれの金属を選択的に気化させるように すればよい。
鉛が気化する温度は気密容器内の圧力によつて変化する。 大気圧下で は例えば 1 4 0 0 °Cに加熱した場合の鉛の蒸気圧は 8 4 mm H gである のに対し鉄、鋦、 スズの蒸気圧は I mm H gにも達しない。 したがって、 物体を 1 4 0 0 °C程度に加熱することにより、 物体からほぼ銷蒸気のみ を選択的に発生させることができる。
また、 例えば 1 Ί 4 0。Cにおける鉛の蒸気圧は 7 6 O mm H gである のに対しスズの蒸気圧は 1 5 mmH g、 銅の蒸気圧は 3 mm H gにも達 しない。 したがって、 物体を 1 7 4 0 程度に加熱することによつても 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させることができる。 また、 減圧下で処理対象物体を加熱することにより、 さらに低い温度 で処理対象物体中の鉛を気化させることができる。
圧力を 1 0— 0 r rに調節すれば、 約 8 2 7 °C程度に加熱すること により、 処理対象物体からほぼ給蒸気のみを選択的に発生させることが できる。
また、 圧力を 1 0 _3T 0 r rに調節すれば、 約 6 2 7 eC程度に加熱す ることにより、処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させる ことができる。
さらに、 圧力を 1 0— 4T 0 r rに調節すれば、 約 4 2 7 °C程度に加熱 することにより、 処理対象物体からほぼ鉛蒸気のみを選択的に発生させ ることができる。 このように選択的に発生させた鉛蒸気は、 例えば鉛 の融点以下に冷却した回収装置などで、 金属鉛として回収するようにす ればよい。
4 0 図 5 2は鉛の蒸気圧と温度との関係を示すグラフである。 減圧加熱手 段の気密容器内を減圧すれば鉛の沸点力く下がることがわかる。
このグラフに基づいて、 例えば気密容器内の圧力に応じて加熱温度を 調節するようにすればよい。 また、例えばこの関係をプログラムとして 電子計算機に搭載し、 前述した本発明の処理装置の制御手段として用い るようにしてもよい。
(ϋ施例 1 2 )
ここで、 鉛と樹脂とを構成材として有する物体の 1例として、 回路基 板に各種電子部品が P bを含むハンダ合金で搭載された実装基板を処理 対象物体として処理した例を説明する。
図 5 3はこのような実装基板 1 3 0 0を模式的に示す図である。 銅箔 1 3 0 1と樹脂 1 3 0 2と力積層された回路基板 1 3 0 3に電子 部品 1 3 0 4力《搭載されている。 この電子部品 1 3 0 4は樹脂 1 3 0 5 でパッケージングされている。 そして c u合金からなる電子部品の接続 端子 1 3 0 6と銅箔とが P b— S n系ハンダ合金 1 3 0 7で接合されて いる。 電子部品の接続端子 1 3 0 6表面がハング合金でメツキされてい ることもあるが同じように処理できる。
まず、 実装基板 1 3 0 0を第 1の熱分解手段で酸素濃度を調節して加 熱し、樹脂 1 3 0 2、 1 3 0 3を熱分解する。 プリント基板の構成樹脂 は一般に熱硬化性樹脂で、 多くは炭化されるが、 それでも多量の分解生 成ガスを含むガス状排出物を発生する。 電子部品のパッケージング樹脂 1 3 0 3も同様である。 ガス状排出物は前述したガス状排出物処理系で 無害化されて、 クリーンな燃料ガスとして再利用される。
図 5 4は熱分解された実装基板 1 3 0 0を模式的に示す図である。 この状態では実装基板の構成樹脂の多くは炭化している。 また、 鉛は 酸素濃度を調節することにより飛散することはない。
4 1 ついで熱分解した処理対象物体を減圧加熱手段へ導入し、 気密容器内 の温度と圧力を調節して、 処理対象物体中の鉛を選択的に気化させる。 温度と圧力は図 5 2に基づいて決めるようにすればよい。 気密容器内を 減圧したほうが好ましい。 これは、 低い温度で鉛が気化するから投入ェ ネルギ一が少なくすむし、 また酸素 が小さくなるの鉛その他の処理 対象物体の構成金属が酸化されないからである。 処理対象物体の構成金 属が酸化される恐れのある時には、 N2、 A rなどのキャリアガスを導 入して気密容器内の酸素 を調節するようにすればよい。
気密容器内を減圧すればするほど、 低い温度で鉛は気化する。 図 5 5は 鉛 1 3 0 8が金属状態のまま気化する様子を模式的に示す図である。 気密容器内の温度、 圧力を調節することによって、 鉛だけを選択的に 気化することができる。 処理対象物体に鉛より沸点の低い金属が含まれ る場合には、先にそのような金属を気化させるようにすればよい。
このように、 処理対象物体である実装基板 1 3 0 0から鉛を除去する ことができる。 また、 社会が抱える^ *の廃電子機器などの実装基板を 処理することにより、 一般廃棄物として処理することができ、 鉛の溶出 により環境を汚染することはない。 また、 鉛以外の構成金属の分離も容 易になり、 資源として利用できる。構成樹脂も有価な油として、 または 炭化物として回収することができる。 この炭化物は、肥料や、 活^と して利用するようにしてもよい。
ここでは、 実装基板 1 3 0 0から鉛を除去するところまでを説明した 力 さらに気密容器内の温度、 圧力を調節して、 処理対象物体の鉛以外 の構成金属を気化させるようにしてもよい。
例えば鉛を除去した処理対象物体から、 さらにハンダ合金を構成して いたスズを気化させることにより、 回路基板 1 3 0 3と電子部品 1 3 0 4とを分離することができる。 図 5 6は、 スズを気化させ回路基板 1 3 0 3と電子部品 1 3 0 4とが 分離した様子を模式的に示す図である。
このように、 鉛を除去したり、 回路基板 1 3 0 3と電子部品 1 3 0 4 とを分離することにより処理対象物体の有する複雑さが減少し、 その後 の処理が容易になる。 回路基板から分離した電子部品などは、 気密容器 内の温度、 圧力を調節して、 回路基板 1 3 0 3、 電子部品 1 3 0 4に含 まれる、 例えば A u、 A g、 P t、 B i、 I n、 T a、 N i、 C r、 C u、 A l、 W、 M o、 C o、 P dなどの金属を気化させ回収するように してもよい。 このような回収は回路基板 1 3 0 3と電子部品 1 3 0 4と を分離してから別のより蒸気圧の低い金属を回収できるような減圧加熱 手段で行うほうが効率的である。
図 5 7は各種金属の沸点 (蒸気圧) 圧力依存性を示す図である。 この 図は回収可能な金属の 1例として示したものであり、 図示されていない 金属も回収可能することができる。
図 5 8は酸ィ匕物の生成自由エネルギーの温度依存性を示す図である。 図 5 8に示した元素は 1例として示したものであり、 これ以外の元素に 関するデータも容易に計算ないしデータベースなどで得ることができる。 図 5 7、 図 5 8に示した関係を、 図 5 2に示したは鉛の沸点 (蒸気圧) と圧力との関係とともに用いて、 例えば気密容器内の温度、 圧力、酸素 濃度を制御するようにすればよい。
,また、 例えばこの関係をプログラムとして電子計算機に搭載し、前述 した本発明の処理装置の制御手段として用いるようにしてもよい。
施例 1 3 )
図 5 9は本発明の鉛と樹脂とを構成材として有する処理対象物体の鉛 除去に用いる装置の 1例を模式的に示す図である。 装置は図 5 9に例示 した装置に限らずこれまで述べたような本発明の処理装置を用いるよう にしてもよい。
この処理装置 2 0 0 0は熱分解炉 2 0 0 1と減圧加熱炉 2 0 0 2とを 備えている。 この熱分解炉 2 0 0 1は酸素濃度制御装置 2 0 0 3と、 図 示しない加熱装置とを備えている。 そして、 図示を省略した制御部によ り所定の温度で所定時間保持されるように構成されている。
処理対象物体 2 0 0 4の加熱により構成樹脂から排出される炭ィ bTK素 系ガスを含むガス状排出物はガス分解器 2 0 0 5でダイォキシンが分解 するような高温 (ここでは 1 2 0 0 °C) で改質、 熱分解され、 直後に 冷却塔 2 0 0 6で 3 5 °Cまで急冷される。 ダイォキシンが生成、 再合成 されないように冷却されたガス状排出物はアルカリ水ジャワ一洗浄装置 等を用 、て中和、 洗浄し燃料ガスとして再利用することができる。
減圧加熱炉 2 0 0 2は真空加熱炉であり、 鉛回収チャンバ 2 0 0 7と 排気装置 2 0 0 8を有している。
処理対象物体は、 コンベアなどの移送手段 2 0 0 9により熱分解炉 2 0 0 1、 減圧加^ 2 0 0 2へと順に送られる。 熱分解炉 2 0 0 1と減 圧加熱炉 2 0 0 2との間には図示しないパージ室が備えられている。 これら処翻象物体の^ ·解炉 2 0 0 1、減圧加熱炉 2 0 0 2におけ る滞留時間、 加熱温度、 圧力、酸素濃度は図示しない制御部によりそれ ぞれ制御されている。
熱分解炉 2 0 0 1において、 処理対象物体 2 0 0 は例えば 2 0 0 °C 〜6 0 0 °C¾J¾の温度に昇温 ·保持され、 処理対象物体 2 0 0 4の構成 材の一部である樹脂成分は、 熱分解して C 1〜C 8の炭化水素ガスを含 むガス状排出物として排出されガス状排出物処理系へ導入される。
つぎに、 処理対象物体 2 0 0 4は、 減圧加熱炉 2 0 0 2に送られ、 例 えば 1 CT5 T o r r程度の圧力まで減圧し、 温度を 4 2 7 °C程度にして、 この状態を保持する。 処理対象物体中の鉛は蒸気船として処理対象物体 から気化する。 減圧加熱炉 2 0 0 2の上部にはガス排出部が設けられて おり、 処理対象物体から放出された蒸気鉛は蒸気圧の低下により金属鉛 として凝縮させる。 結晶化した金属鉛は、 鉛回収チャンバ 2 0 0 5内で 析出させ回収する。 また、減圧加熱炉 2 0 0 2から蒸気鉛を効率的に鉛 回収チヤンバ 2 0 0 5に送り込むため、 減圧加熱炉 2 0 0 2に設けたキ ャリアガス導入部から N。や A rなどの不活性なガスを導入し、 蒸気 をキヤリアガスとともに鉛回収チヤンバ 2 0 0 5に送り込む。
減圧加熱炉 2 0 0 2を通過し鉛が除去された処理対象物体は残渣受け 部 2 0 1 0に送られる。 処理対象物体の樹脂成分はほぼ完全に炭化して おり、 また処理対象物体中に含まれていた鉛、 亜錯などの重金属も除去 されるから、処理対象物体は無害化されており後処理は容易である。 こ の処理対象物体にさらに別の有用金属などが含まれている場合にはこれ らの金属を比重選鉱法、 電気磁石などで分別、 回収するようにしてもよ I、。 また減圧加熱手段を通過した無害で高純度の炭化物は特性の優れた 活性炭、 土壌改良剤として再利用することができる。
(ϋ施例 1 4)
次に、 上記構成の処理装置 2 0 0 0を用いて、 処理対象物体としてハ ンダを含む電子機器を処理した例について説明する。
処理対象物体 2 0 0 4である電子機器は前処理で破砕するようにして もよいが、 実装基板の処理においては破枠しないでそのまま導入するほ うが好ましい。
熱分解炉 2 0 0 1は炉内温度約 5 0 0 °C〜6 0 0°C程度、 ほぼ無酸素 状態に保持されており、 電子機器を約 6 0分間滞留させた。 電子機器の 構成比率の約 4 0 %を占める構成樹脂は熱分解炉 2 0 0 1で熱分解して 炭化水素ガスを含むガス状排出物として排出され、 あるいは炭化した。 また構成比率の約 5 0 %を占める鉄 *鋦,アルミニウム等の金属類と、 構成比率の約 1 0 %を占める実装基板の構成金属には、 熱分解炉 2 0 0 1内でほとんど気化せずまた酸化されなかつた。
構成樹脂を熱分解した電子機器は、冷却されることなくパージ室を経 て減圧加熱炉 2 0 0 2に搬送した。 減圧加熱炉 2 0 0 2は圧力を約 1 0 — 3Torr程度、温度約 6 2 7 °C程度に保持し、 電子:^を約 6 0分 滞 留させた。
電子機器の約 1 0 %を占める実装基板には、基板重量の約 5〜: L 0 % のハンダが合金が使用されている。 また、 このハンダ合金の約 4 0 w t %は鉛である。
すなわち、電子機器中には 0. 2〜0. 4 %の鉛が構成材の一部とし て使われている。 この鉛は減圧加熱炉 2 0 0 2で蒸発鉛として気化し、 キヤリアガスとともに鉛回収チャンバ 2 0 0 5に送り込まれ、 金属鉛と して回収した。
鉛の回収率を向上させるには、鉛回収チヤンバ 2 0 0 5内部での鉛蒸 気の滞留時間をできるだけ長くすることが好ましい。 この例では、鉛の 回収率は 9 8 %であった。 回収された鉛は不純物が少なく、有価な金属 として再利用が可能であった。
熱分解炉 2 0 0 1で熱分解して排出された炭ィ匕水素ガスは、前述した ガス状排出物処理系のガス分解器 2 0 0 5に送り込み、 1 2 0 0 °C程度 に ΙΠ熱されたコークス中で改質、 熱分解され、 直後に 3 5 °Cまで 8 s e cで急冷される。 冷却されたガス状排出物は、 中和反応ろ過器であるバ グフィルターで中和、 ろ過され、 さらに洗浄されて燃料ガスとして再利 用される。 この実施例では電子機器の 4 0 %が樹脂で構成されておりる。 樹脂の回収率は構成樹脂の成分により異なる力 重量比の約 9 0 %が燃 料ガスとして再利用され、 約 1 0 %力主として炭化物からなる残渣とし て つた o
また、 電子機器の約 5 0 %の構成比率を占める鉄,銅 ·アルミニウム 等の金属は、 熱分解炉 2 0 0 1や減圧加熱炉 2 0 0 2で酸化されること はなく、 メタル状態で回収することができるため再利用価値が高い。 こ の例では残渣受け部 3 0に排出された残渣は、鉄 *銅*アルミニウムと 樹脂の炭化物残渣が主であつた。
図 3 0は例えば図 5 9に例示した処理装置 2 0 0 0の熱分解炉 2 0 0 1と減圧加!^ 2 0 0 2との気密性と断熱性を保つ開閉可能な隔壁 2 1 0 1の 1例を模式的に示す図である。 隔壁 2 1 0 1はワイヤー 2 1 0 2 と巻上機 2 1 0 3によって操作される。
それぞれの隔壁 2 1 0 1の位置に真空扉と断熱扉を別々に備えるよう にしてもよい。 例えば隔壁 2 1 0 1 bを真空扉としこの扉の熱分解炉 2 0 0 1側と減圧加熱炉 2 0 0 2側に同じく開閉可能な断熱扉を配設する ようにしてもよい。
4 7 (実施例 1 5 )
次に、 各種電子機器、 自動車、 精密機器、 文房具、 医薬品 ·食料品パ ッケージなどをはじめ、 大量に用いられている樹脂と金属を含む廃棄物 (シュレツダーダストを含む) を処理対象物体として取り上げその処理 システムについて説明する。 装置については前述した本発明の処理装置 を用いるようにすればよい。
このような樹脂と金属を含む廃棄物は、 分離回収が困難であることか ら" ~¾に焼却、埋め立て処理されている。 本発明の処理システムでは、 同一装置内で、 廃棄物の構成樹脂の熱分解 (気化、 油化、 炭化) と、構 成金属を気化させ金属状態で回収するものである。
本発明の処理ではまず樹脂と金属とを含む廃棄物を熱分解炉内に導入 する。 そして樹脂部分の回収のために酸素濃度を調節して熱分解を行う。 ついで、 熱分解残渣を減圧加熱炉に導入して金属の気化回収のための減 圧および加熱を行う。
図 3 1はこの処理システムで用いることのできる本発明の減圧加熱手 段の 1例を模式的に示す図である。
気密容器 2 2 0 1内に樹脂と金属を含む廃棄物を収容し、気密容器内 には昇温効率がよく耐熱性の高い金属などからなる投入棚 2 2 0 2が設 けられている。 2 2 0 3は気密容器 2 2 0 1を開閉するドアである。 気 密容器内にはシーズヒーター等の加熱装置 2 2 0 4が設けられており、 気密容器内の圧力、 酸素濃度とともに制御盤 2 2 0 5により操作する。 2 2 0 6はセンサであり、 気密容器 2 2 0 1内の温度、 圧力、 酸素濃度 を信号として制御盤 2 2 0 5に する。
気密容器 2 2 0 1は排気装置 2 2 0 8に接続されている。 気密容器 2 2 0 1と排気装置 2 2 0 8との間には、 廃棄物の構成金属の回収装置で ある金属回収系 2 2 0 9、 2 2 1 0力く配設されている。 金属回収装置に
4 8 は例えば冷却手段を備えたサイク口ン分離器を備えるようにしてもよい。 熱分解炉で熱分解した処理対象物体である廃棄物を気密容器 2 2 0 1 内に設けられた投入棚 2 2 0 2に投入し、 ドア 2 2 0 3を閉め密閉し、 最初は回収系を閉じた状態で加熱 (4 0 0 °C) と加圧 (3 a t m) を開 始する。
この場合、減圧状態での加熱よりも昇温効率がよく、 後の金属回収時 の Mffi加熱の際の昇温効率に貢献する。
そして気密容器 2 2 0 1内を排気装置により 1 0_3丁 0 r r程度の圧 力まで減圧し、 金属の種類に応じて合金の沸点以上に加熱し、 金属を蒸 発させて金属回収系 2 2 0 9、 2 2 1 0の途中に配設した凝縮手段によ り回収する。 この場合、 常圧より金属の蒸発温度が低くなるので比較的 低い加熱温度でよく、 また酸化されにくいので回収効率がよい。
図 3 1に例示した減圧加熱炉では金属回収系を 2系統備えているが、 2系統を同時に用いるようにしてもよいし、 気密容器内の温度圧力条件 に対応して切り換えて用いることにより複数の金属を回収するようにし てもよい。
このように本発明の処理システムによれば、熱効率がよく処理コスト が低い。 また真空加熱により純度の高い金属の回収率が高い。
(実施例 1 6)
次に、 各種電子機器、 自動車、精密機器などをはじめ、 に用いら れている回路基板に各種電子部品が搭載された実装基板の廃棄物を処理 対象物体として取り上げその処理について説明する。 装置については前 述した本発明の処理装置を用いるようにすればよ L、0
図 3 2は、 本発明の処理装置を用いた実装基板の処理スキームを模式 的に示す図である。
4 9 この処理システムは I C、 L S I、 抵抗器、 コンデンサーなどの各種 電子部品が搭載された実装基板から電子部品を効率的に分離回収するも のである。 また、 回路基板、 電子部品などからなる実装基板の構成樹脂、 構成金属についても分離回収し資源化するシステムである。
このような実装基板の廃棄物は電子部品の回路基板からの分離が困難 であり、 また実装基板は異なつた材料が複雑に一体化した物体であり、 その処理が困難であった。 このため、埋め立て処理、 焼却処理などが一 般的であった。
本発明のおいては、 まず実装基板を破砕せずに熱分解炉に導入し、実 装基板を熱分解する。 実装基板を構成する基板や電子部品の樹脂成分は 熱分解されガス伏排出物を排出するとともに炭化される。 電子部品のパ ッケージ樹脂も分解して、非常に脆くなり、 パッケージ内の素子との分 離が容易な状態になる。 このとき、 熱分解炉内の温度、 酸素濃度は鉛な どの重金属が気化したり、 酸化したりしないような条件で行うようにす ればよい。
ガス状排出物は前述同様に処理すればよい。 ガス状排出物に鉛などの 重金属が含まれる場合には、 例えば冷却手段などのガス状排出物処理系 で凝縮させ、 この凝縮物を熱分解残渣とともに減圧加熱炉に導入するよ うにすればよい。 またガス状排出物中に塩素が含まれる場合には高温加 熱した鉄に接触させて塩化鉄として回収するようにしてもよい。
このように熱分解された処理対象物体である実装基板は、 減圧加熱炉 に導入して、 回収する金属に応じて気密容器内の ί¾、 圧力、 酸素濃度 を調節して所望の金属を回収する。
例えば回路基板と電子部品とを接合していた合金 (例えば P b - S n 合金) を気化させる。 合金はそれぞれ蒸気圧により選択的に気化させ、 分離することが再資源化の観点からも好ましい。
5 0 回路基板と電子部品とを接合している合金が気化すれば、電子部品は 回路基板から分離する。 また、 熱分解炉内で接合金属が溶融し、 接合が すでに解除されている場合でも、 この接合金属成分 (例えば鉛、 すずな ど) は処理対象物体中に保持されているので、 これらの金属を気化させ て処理対象物体から分離回収することができる。
回路基板と電子部品とを接合している接合合金だけでなく、 実装基板 に含まれる Z n、 S b、 A u、 P t、 N i、 C r、 C u、 A l、 M o、 W、 T aなどの各種金属を気化させて分離回収するようにしてもよい。 金属は酸化物にせず金属状態で回収できるので利用価値が高 L、。
ハンダ合金の気化の際には、 昇温効率を上げるため、 ハンダ合金が余 り酸化しない温度 (例えば約 2 0 0 °C) まで加熱後、 排気手段により気 密容器内を減圧してさらに加熱 (例えば約 4 0 0 °C) し、 回収経路の途 中に設けた凝縮手段で凝縮するようにしてもよい。
このシステムによれば図 5 6に示すように実装基板のハング合金は完 全に除かれており、 I C、 L S I、 抵抗器、 コンデンサ一等のリード端 子部分のハンダも完全に除去されている。 このため、 電子部品を基板か ら分離できるだけでなく、後の回路基板、 電子部品の再資源化を容易に して価値を高めることができる。
実装基板の構成樹脂は気化、 炭化され、 または中間生成物になり、有 効活用が可能である。
減圧加熱炉の処理残渣として例えば銅と炭化物力残つたならば、 例え ば炭酸力ルシゥム溶液などで銅と炭化物とを分離し、 ついでこの鋦を洗 浄水で洗浄するようにしてもよい。
気密容器内の真空度に応じてハンダ合金の構成金属は蒸発し、 真空度 が高いほど低 、温度で蒸発するので、 処理装置の炉壁等を痛めな 、。 実装基板を埋め立て処理すると、 酸性雨などによりハンダ合金中の P b、 S bなどの有害金属が溶出して土壌、 河川を汚染する。 また、 樹脂 のほとんどは自然分解せず半永久的に残り処理場の不足だけでなく、環 境保全の面からも問題がある。 本発明の処理システムによればこれらの 問題を解決することができる。
さらに回路基板や電子部品に含まれる各種金属を分離回収し資源化す ることができる。 これらの金属の中には資源枯渴の恐れのある金属、 地 殻の元素存在度が小さ L、希少金属も含まれている。 したがってこれらの 金属を回収することは、 大量消突社会が直面している资源、 エネルギー 問題の解決に大きくしするものである。
(実施例 1 7 )
つぎに、 処理対象物体として、 銅箔と樹脂と力《積層された回路基板を 取り上げてその処理システムを説明する。
回路基板はいわゆる銅張積層板でもよいし、 フレキシブ基板でも、 T A B (T a p e A u t o m a t e d B o n d i n g) のフィルムキ ャリアなどでもよい。 また、 回路基板の製造工程で生じる、銅張積層板 の切り落とし部分を処理するようにしてもよい。 さらに、 これまで説明 してきたように、 実装基板から電子部品と接合合金とを分離した回路基 板を処理するようにしてもよい。
また、 ここでは回路基板を取り上げて説明する力 銅と樹脂とを構成 材として有する物体であれば同様に処理することができる。
実装基板からのハング合金、 電子部品の分離については前述のとおり である。 実装基板の構成樹脂の分解についても前述のとおりである。 この処理システムは、 銅箔と樹脂とを効率よく分離するため、 非酸化 条件下で回路基板を加熱し、 回路基板の構成樹脂はガス状排出物として ガス状排出物処理対象物体理系で処理する。
銅箔はほぼ純金属として回収される。 銅に付着した炭化物などの不純 物は、 必要に応じて洗浄、 振動、 微細砂と混合回転するなどの方法を行 うようにしてもよい。 装置は本発明の処理装置を用いるようにすればよ い o
図 3 3は処理対象物体である回路基板 2 3 0 0を模式的に示す図であ る。 この回路基板 2 3 0 0は 2層板であり、 銅箔 2 3 0 1と樹脂 2 3 0 2とが 1体的に積層されている。
回路基板 2 3 0 0を熱分解炉内に導入し、 鋦 2 3 0 1が酸化されない よう 4こ熱分解炉内の温度、 酸素濃度を調節して樹脂 2 3 0 2を熱分解
(気化、 油化、炭化) する。 樹脂 2 3 0 2の分解生成ガスを含むガス状 排出物はガス状排出物処理系で処理され、無害化、 クリーンな燃料ガス 化される。
図 3 4は構成樹脂を熱分解した後の回路基板 2 3 0 0を模式的に示す 図である。 樹脂の多くは炭化物として存在している。
この状態で炭化した樹脂 2 3 0 2を機械的に分離するようにしてもよ いが、本発明においては、主として金属銅と炭化物からなる回路基板の 熱分解残渣を、 減圧加熱炉に導入し、気密容器内の圧力ないしは酸素濃 度を調節しながら、 温度を銅の融点より数十度高い温度まで加熱して、 鋦を酸化、 気化しないよう溶融させる。 液体状態の銅 2 3 0 1は表面自 由エネルギー (表面張力) により粒状の鋦 2 3 0 1 bになる (図 3 5 ) c この状態で冷却すれば、 銅の分離回収はさらに容易である。例えば 7 6 O T o r rでの銅の融点は 1 0 8 0。Cである力 <、 気密容器内の温度を例 えば 1 1 5 0°C程度 ( 7 6 O T o r rの場合) に加熱することにより、 銅を粒状に集めることができる。
このように減圧下もしくは非酸化雰囲気中で回路基板を加熱すること により、 銅箔は殆ど酸化されることなく回収することができる。 なお、 必要に応じて表面に付着した炭化物等の不純物は、 洗浄等により除去す るようにしてもよい。
このように本発明の処理システムによれば、樹脂と銅とが一体化した 物体から銅を金属状態で分離回収することができる。 また、 樹脂も油、 炭化物として回収することができる。
(実施例 1 8)
つぎに、 処理対象物体として、 アルミニウム箔と樹脂とが積層された 樹脂被覆アルミニウム箔を取り上げてその処理システムを説明する。 このような樹脂被覆アルミ二ゥム箔は、 例えばポテトチッブスの袋や カレーなどレトルト食品の包装容器をはじめ、食品、 医薬品の包装容 断熱材などに幅広く用いられている。
このような樹脂披覆ァルミニゥム箔は樹脂とアルミニウム箔とが一体 化していることから処理が困難であり、 埋め立てや焼却により処理され ている。 焼却処理するとアルミニウムは酸化物になり、 資源としての価 値が著しく低下する。
アルミニウムの精練には莫大なエネルギーが投入されており、 再資源 化しないのはエネルギーの浪費である。
本発明は、樹脂被覆アルミニウム箔を熱分解炉内で酸素濃度を調節し ながら加熱することにより、 アルミニウムの酸化状態を保持したまま構 成樹脂を熱分解するものである。
すなわち、 アルミニウム箔と樹脂とを効率よく分離するため、 条 件下または非酸化条件下で樹脂被覆アルミ二ゥム箔を加熱し、 ガス状排 出物は前述同様に処理する。 アルミニウム箔はほぼ純金属として回収さ れる。 アルミニウムに付着した炭化物などの不純物は、 必要に応じて洗 浄、 振動、 微細砂と混合回転するなどの方法を行うようにしてもよい。 また、 このアルミニゥム箔に例えば亜鉛など他の金属が含まれている 場合には、 さらに減圧加^^に導入して減圧加熱して選択的に気化させ、 分離回収するようにすればよい。
図 3 6 6は樹脂被覆アルミニウム箔 2 6 0 0を模式的に示す図である。 樹脂 2 6 0 1とアルミニウム箔 2 6 0 2とが一体化している。
まず処理対象物体である樹脂被覆アルミニウム箔 2 6 0 0を本発明の 処理装置の熱分解炉へ導入し、 温度 ·圧力条件を制御しながら樹脂被覆 アルミニウム箔 2 6 0 0を 4 0 0〜6 5 0 °Cに加熱して熱分解する。
4 0 0 °Cより低温では構成樹脂の分解が不十分で、 6 5 0。Cより高温 ではアルミ箔が溶融するのでこのような温度範囲を定めた。
図 3 7は構成樹脂 2 6 0 1を分解した後の樹脂被覆アルミニウム箔の 様子を模式的に示す図であり、 金属状態のアルミニウム箔 2 6 0 1に、 樹脂分解生成物である炭化物 2 6 0 2 bが付着している状態である。 こ の状態では、炭化物 2 6 0 2 bは触っただけで容易にアルミニウム箔か ら剥離する。 したがって容易にアルミニゥム箔を金属状態で回収するこ とができる (図 3 8参照) 。 一般的に樹脂被覆アルミニウム箔の構成樹 脂は熱可塑性樹脂であり、大くの部分をガス状排出物として処理し、燃 料ガス化することができる。 構成樹脂の炭化物は容易にアルミニウム箔 と分 できた。 また、 アルミニウムはその金属性を保持していた。
このように樹脂被覆ァルミニゥム箔を非酸化棼囲気中で加熱すること により、 アルミニウムは殆ど酸ィヒされることなく回収することができる。 なお、必要に応じて表面に付着した炭化物等の不純物は、 洗浄等により 除去するようにしてもよい。
'【発明の効果】
以上説明したように本発明の処理装置、 処理方法は、 樹脂と金属を含 む処理対象物体を安全かつ効率的に処理することができる。 本発明によ れば、 家庭電気製品、 自動車、 精密機器等を、 有害物質を環境中に放出
5 5 させず、 力、つ、 有害物質を無害化し、 または分離回収することができる。 また本発明は有害物質およびその発生源物質を含み、 燃焼させるとダイ ォキシン類の有害物質を生成する廃棄物のような処理対象物体から、 自 然環境破壊を防止し、 かつ、 再利用可能な物質を高純度状態で回収でき 。
本発明は処理対象物体から排出させたガス状排出物をダイォキシンが 分解するような高温で改質、 熱分解し、 この状態からダイォキシンが生 成、再合成される温度領域での滞留時間をできるだけ短くして、 ダイォ キシンが生成、再合成されない第 3の温度まで急冷することにより、 ガ ス状排出物中のダイォキシン濃度を大きく低減することができる。 また、 第 1の熱分解、 第 2の熱分解または改質を第 1の温度と第 2の温度の 2 段階で処理すると同時にこれらを還元性雰囲気で行うことにより、 ダイ ォキシンの発生源濃度は大幅に低減し、 ガス状排出物中のダイォキシン 濃度を大きく低減することができる。
本発明によればシュレツダーダストなどのような樹脂と金属とを含み、 また重金属、 ダイォキシンの発生源を含有する処理の困難な廃棄物から、 ダイォキシンなどの有害物質を発生させることなく樹脂成分はクリーン なガス燃料ィ匕し、 また鉛、 ひ素、 カドミウムなどの有害な重金属を環境 中に放出することなく高 で回収することができる。
本発明によれば、 実装基板のような処理の困難な廃棄物を有害物質を 放出させず、 かつ、 有害物質を除去し、 また、 人手によらず容易に回路 基板と各種 I Cや抵抗器、 コンデンサ一等の電子部品とに分離すること ができる。 同時に、 鉛などの重金属やその他の金属を気化させて高純度 の金属状態で回収することができる。 また回路基板などを構成する金属 や銅を高純度で回収できる。 樹脂部は炭化して、 活性炭、 土壌の有効成 分に活用できる等くかてきに再資源化を図ることができる。 また本発 明の処理装置、処理方法は、 鉛を含む物体から、 鉛を気化させて除去す ることができる。 また、 鉛と樹脂とを含む物体からも鉛を除去すること ができる。 樹脂は炭化物、 燃料ガス化して回収することができる。鉛を 除去することにより、 環境汚染を防止して健康への悪 響を防止するこ とができる。 また、廃棄物処理場の不足を解消することができる。 また本発明の処理装置、処理方法は樹脂と金属とを含む物体からも金 属を気化させ、 金属伏態で回収することができる。 樹脂は炭化物、燃料 ガス化して回収することができる。
また本発明の処理装置、処理方法は金属で接合された物体の接合金属 を気化させ、接合金属を除去することができる。 また合金で接合された 物体の接合合金を気化させ、 接合金属を除去することができる。 物体が 樹脂を含む場合にも、樹脂は炭化物、燃料ガス化して回収することがで きる。
また本発明の処理装置、 処理方法はハンダ合金で接合された物体のハ ンダ合金の構成金属を気化させ、接合金属を除去することができる。 ハ ンダ合金が有害な鉛を含む場合でも、鉛などの重金属を高純度、 高収率 で分離回収することができる。
まだ本発明の処理装置、処理方法は回路基板に電子部品が搭載された 実装基板を処理して、 効果的に回路基板に電子部品とを分離することが できる。 回路基板に電子部品との接合に鉛を含むハンダ合金が使用され ている場合でも、効果的に
分離するとともに、有害な鉛を回収することができる。実装基板の構成 樹脂は炭化物、 燃料ガス化して回収することができる。 。
また本発明の処理装置、処理方法は、 金属と樹脂とを構成材として有 する物体を効果的、 経済的に処理できる。 金属はほぼ金属状態のまま回 収することができる。 また樹脂は炭化物として、 またはクリーンな燃料
5 7 ガスとして利用することができる。 また、 本発明は樹脂と複数の金属と がー体化した物体から樹脂成分と金属とを効果的に分離することができ る。
また本発明の処理装置、処理システム、 処理方法は、樹脂と銅とがー 体化した物体から、 銅を金属状態で容易に回収することができる。 樹脂 は炭化物として、 またはクリーンな燃料ガスとして利用することができ る o
また本発明の処理装匿、処理システム、 処理方法は、樹脂とアルミ二 ゥムとが一体化した物体から、 アルミニウムを金属状態で容易に回収す ることができる。 樹脂から回収した燃料ガスは、処理装置の加熱手段 としても用いることができる。 またこの燃料ガスで発電し、 本発明の処 理装置を稼働したり壳電することにより処理装置の運転コストを大幅に 低減することができるまた、 炭化物は活性炭、肥料などとして優れてい また本発明の処理装置、処理方法はエネルギー効率がよいので、 より 幅広 、範畴の物体を処理して価値を高め再資源化を図ることができる。 すなわち、 本発明の処理装置、 処理方法は、樹脂と金属、基板と電子部 品、 金属と金属のように複雑に一体化した処理対象物体を安全かつ効果 的に処理して再資源化を図ることができる。
5 8 産業上の利用可能性
以上説明したように本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法は、 鉛を含む物体から、 鉛を気化させて除去することができる。 また、 鉛と 樹脂とを含む物体からも鉛を除去することができる。 樹脂は選択的に熱 分解し、 気化、 油化、 炭化して回収することができる。
鉛を除去することにより、 環境汚染を防止して健康への悪影響をなく すことができる。 また、 廃棄物処理場の不足を解消することができる。
また本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法は樹脂と金属とを含 む物体からも金属を気化させ、 金属状態で回収することができる。 樹脂 は気化、 油化、 炭化して回収することができる。
また本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法は金属で接合された 物体の接合金属を気化させ、 接合を解除することができる。 また合金で 接合された物体の接合合金を気化させ、 接合を解除することができる。 物体が樹脂を含む場合にも構成樹脂を気化、 油化、 炭化して回収するこ とができる。
また本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法はハンダ合金で接合 された物体のハンダ合金の構成金属を気化させ、 接合を解除することが できる。 ハンダ合金が有害な鉛を含む場合でも処理できる。
また本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法は回路基板に電子部 品が搭載された実装基板を処理して、 効果的に回路基板に電子部品とを 分離することができる。 回路基板に電子部品との接合に鉛を含むハンダ 合金が使用されている場合でも、 効果的に分離するとともに、 有害な鉛 を回収することができる。 実装基板の構成樹脂も気化、 油化、 炭化して 回収することができる。
また本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法は、 金属と樹脂とを 構成材として有する物体を効果的、 経済的に処理できる。 金属は金属状 態のまま回収することができる。 また樹脂は気化、 油化、 炭化して回収 することができる。 また、 本発明は樹脂と複数の金属とが一体化した物 体から樹脂成分と金属とを効果的に分離することができる。
また本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法は、 樹脂と鋦とがー 体化した物体から、 銅を金属状態で容易に回収することができる。 樹脂 も気化、 油化、 炭化レて回収することができる。
また本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法は、 樹脂とアルミ二 ゥムとが一体化した物体から、 アルミニウムを金属状態で容易に回収す ることができる。 樹脂も気化、 油化、 炭化して回収することができる。 樹脂から回収した油は燃料、 原料として利用することができる。 また、 炭化物は活性炭、 肥料などとして優れている。
また本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法は、 エネルギー効率 がよいので、 より幅広い範嘛の物体を処理して価値を高め再資源化を図 ることができる。
すなわち、 本発明の処理装置、 処理システム、 処理方法は、 樹脂と金 属、 基板と電子部品、 金属と金属のように複雑に一体化した物体から物 体のもつ複雑さを除去し、 再資源化を図ることができる。

Claims

請 求 の 範 囲
1 . 樹脂と金属とを構成材として有する処理対象物体を処理する処理装 置であつて、
前記処理対象物体の前記樹脂が選択的に熱分解するように温度と圧力 とを調節する温度調節手段および圧力調節手段とを備えた第 1の気密領 域と、
前記第 1の気密領域と開閉可能な隔壁によつて隔てられ、 前記処理対 象物体中の金属を選択的に気化するように温度と圧力とを調節する温度 調節手段と圧力調節手段とを備えた第 2の気密領域と、
前記第 1の気密領域に接続され、 前記樹脂の熱分解により生じたガス を回収する第 1の回収手段と、
前記第 2の気密領域に接続され、 前記処理対象物体から気化した金属 を回収する第 2の回収手段と
を具備したことを特徴とする処理装置。
2 . 請求項 1に記載の処理装置であって、 前記第 1の気密領域は酸素澳 度を調節する酸素濃度調節手段をさらに具備したことを特徴とする。
3 . 樹脂と金属とを構成材として有する処理対象物体を処理する処理装 置であって、
前記処理対象物体を保持する、 温度調節手段と圧力調節手段と酸素濃 度調節手段とを備えた気密容器と、
前記気密容器に接続して配設され、 前記処理対象物体の前記樹脂が熱 分解するように気密容器内の温度と酸素濃度とを調節したとき前記樹脂 の熱分解により生じたガスを回収する第 1の回収手段と、
前記気密容器に接続して配設され、 前記処理対象物体中の第 1の金属 が選択的に気化するように前記気密容器内の温度と圧力とを調節したと き前記処理対象物体から気化した金属を回収する第 2の回収手段とを具 備したことを特徴とする処理装置。
4 . 鉛を構成材として有する処理対象物体を処理する処理システムであ つて、
前記処理対象物体を内部に保持する気密容器と、
前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、
前記気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、
前記処理対象物体中の鉛が選択的に気化するように前記温度調節手段 と前記圧力調節手段とを制御する制御手段と、
前記気密容器に接続され、 前記処理対象物体から気化した鉛を回収す る回収手段と
を具備したことを特徴とする処理システム。
5 . 鉛と樹脂とを構成材としして有する処理対象物体を処理する処理シ ステムであつて、
前記処理対象物体を内部に保持する気密容器と、
前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、
前記気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、
前記気密容器内の酸素濃度を調節する酸素濃度調節手段と、 前記樹脂が選択的に熱分解するように前記温度調節手段と前記酸素澳 度調節手段とを制御する第 1の制御手段と、
前記容器内の温度と圧力を前記処理対象物体中の鉛が選択的に気化す るように前記温度調節手段と前記圧力調節手段とを制御する制御する第
2の制御手段と、
前記気密容器に接続され、 前記樹脂の熱分解により生じたガスを回収 する第 1の回収手段と、
前記気密容器に接続され、 前記処理対象物体から気化した鉛を回収す る第 2の回収手段とを具備したことを特徴とする処理システム。
6 . 気密容器内に鉛を構成材として有する処理対象物体を導入しこの気 密容器を密閉する工程と、
前記処理対象物体中の鉛が選択的に気化するように前記気密容器内の 温度と圧力とを調節する工程と、
前記処理対象物体から気化した鉛を回収する工程とを有することを特 徴とする処理方法。
7 . 鉛と樹脂とを構成材として有する処理対象物体を導入しこの気密容 器を密閉する工程と、
前記樹脂が選択的に熱分解するように前記気密容器内の温度と酸素濃 度とを調節する第 1の制御工程と、
前記処理対象物体中の鉛が選択的に気化するように前記気密容器内の 温度と圧力とを調節する第 2の制御工程と、
前記樹脂が熱分解して生じたガスを回収する第 1の回収工程と、 前記処理対象物体から気化した鉛を回収する第 2の回収工程とを有す ることを特徴とする処理方法。
8 . 金属で接合された第 1の物体と第 2の物体とを有する処理対象物体 を処理す'る処理システムであつて、
前記処理対象物体を内部に保持する気密容器と、
前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、
前記気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、
前記第 1の物体と第 2の物体とを接合する前記金属が気化するように、 前記温度調節手段と前記圧力調節手段とを制御する制御手段とを具備し たことを特徴とする処理システム。
9 . 第 1の金属と第 2の金属とを有する合金で接合された、 樹脂を構成 材として有する第 1の物体と第 2の物体とを有する処理対象物体を処理 する処理システムであって、
内部に前記処理対象物体を保持する気密容器と、
前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、
前記気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、
前記気密容器内の酸素濃度を調節する酸素濃度調節手段と、
前記樹脂が選択的に熱分解するように前記温度調節手段と前記酸素濃 度調節手段とを制御する第 1の制御手段と、
前記合金の第 1の金属が選択的に気化するように前記温度調節手段と 前記圧力調節手段とを制御する第 2の制御手段と、
前記合金の第 2の金属が気化するように前記温度調節手段と前記圧力 調節手段とを制御する第 3の制御手段と、
前記樹脂が熱分解して生じたガスを回収する第 1の回収手段と、 前記合金から気化した第 1の金属を回収する第 2の回収手段とを具備 したことを特徴とする処理システム。
1 0 . 請求項 9に記載の処理システムであって、 前記合金から気化した 第 2の金属を回収する第 3の回収手段をさらに具備したことを特徴とす る。
1 1 . 前記第 1の金属は Z n、 C d、 H g、 G a、 A s、 I n、 T l、 S n、 P b、 S b、 B i、 A gまたは I nのうち少なく とも 1つの元素 であることを特徴とする請求項 9乃至請求項 1 0のいずれかに記載の処 理システム。
1 2 . 金属で接合された第 1の物体と第 2の物体とを有する処理対象物 体を処理する処理方法であって、
前記処理対象物体を気密容器内に導入しこの気密容器を密閉する工程 と、
前記金属が気化するように前記気密容器内の温度と圧力とを調節する 工程とを有することを特徴とする処理方法。
1 3 . 第 1の金属と第 2の金属とを有する合金で接合された、 樹脂を構 成材として有する第 1の-物体と第 2の物体とを有する処理対象物体を処 理する処理方法であって、
気密容器内に前記処理対象物体を導入しこの気密容器を密閉する工程 と、
前記樹脂が選択的に熱分解するように前記気密容器内の温度と酸素濃 度とを調節する第 1の制御工程と、
前記合金中の第 1の金属が選択的に気化するように前記気密容器内の 温度と圧力とを調節する第 2の制御工程と、
前記合金の第 2の金属が気化するように前記気密容器内の温度と圧力 とを調節する第 3の制御工程と、
前記樹脂の熱分解により生じたガスを回収する第 1の回収工程と、 前記合金から気化した第 1の金属を回収する第 2の回収工程とを有す ることを特徴とする処理方法。
1 4 . 樹脂と金属とが一体化した処理対象物体を処理する処理システム であって、
前記処理対象物体を内部に保持する気密容器と、
前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、
前記気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、
前記樹脂が選択的に熱分解するように前記気密容器内の前記温度調節 手段と前記圧力調節手段とを制御する制御手段と、
を具備したことを特徴とする処理システム。
1 5 . 樹脂と金属とが一体化した処理対象物体を処理する処理システム であって、 前記処理対象物体を内部に保持する気密容器と、
前記気密容器内の温度を調節する温度調節手段と、 前記気密容器内の圧力を調節する圧力調節手段と、
前記気密容器内の酸素濃度を調節する酸素濃度調節手段と、
前記樹脂が選択的に熱分解するように前記気密容器内の前記温度調節 手段と前記圧力調節手段と前記酸素濃度調節手段とを制御する制御手段 とを具備したことを特徴とする処理システム。
1 6 . 気密容器内に樹脂と金属とが一体化した処理対象物体を導入する 工程と、
前記樹脂が選択的に熱分解するように前記気密容器内の温度と酸素濃 度とを調節する工程とを有することを特徴とする処理方法。
1 7 . 気密容器内に樹脂と金属とが積層された処理対象物体を導入する 工程と、
前記樹脂が選択的に熱分解するように前記気密容器内の温度と酸素澳 度とを調節する工程と、
前記処理対象物体を金属が溶融するとともに表面積が小さくなるよう に前記気密容器内の温度と圧力とを調節する工程とを有することを特徴 とする処理方法。
1 8 . 気密容器内に樹脂と第 1の金属と第 2の金属とが一体化した処理 対象物体を導入する工程と、
前記樹脂が選択的に熱分解するように前記気密容器内の温度と酸素濃 度とを調節する第 1の制御工程と、
前記第 1の金属が選択的に気化するように前記気密容器内の温度と圧 力とを調節する第 2の制御工程と、
前記処理対象物体から気化した第 1の金属を回収する工程とを有する ことを特徴とする処理方法。
6 6
1 9. 樹脂と金属とを含有する物体を第 1の温度で熱分解する第 1の熱分解手段と、
前記熱分解手段に接続して配設され、前記物体から生じたガス状排出 物をダイォキシンが分解するような第 2の温度で改質する改質手段と、 前記改質手段と接続して配設され、第 2の で改質された前記ガス 状排出物中のダイォキシン澳度の増加が抑制されるように、 前記ガス状 排出物を第 3の まで急冷する冷却手段と、
前記物体の熱分解により生じた残渣を、 この残渣に含まれる金属が気 化するように減圧下で加熱する減圧加熱手段と、
前記残渣から気化した金属を する凝縮手段と
を具備したことを特徴とする処 置。
2 0. 樹脂と金属とを含有する物体を第 1の温度で!^解する第 1の熱分解手段と、
前記熱分解手段に接続して配設され、 前記物体から生じたガス状排出 物を第 1の温度より高い第 2の温度で熱分解する第 2の熱分解手段と、 前記熱分解手段と接続して配設され、 第 2の温度で熱分解された前記 ガス状排出物中のダイォキシン濃度の増加が抑制されるように、前記ガ ス状排出物を第 3の温度まで急冷する冷却手段と、
前記物体の熱分解により生じた残渣を、 この残渣に含まれる金属が気 化するように減圧下で加熱する 加熱手段と、
前記残渣から気化した金属を凝縮する凝縮手段と
を具備したことを特徴とする処理装置。
2 1. 樹脂と金属とを含有する物体を第 1の温度で熱分解する第 1の熱分解工程と、
1 6 前記物体から生じたガス状排出物をダイォキシンが分解するような第
2の温度で改質する改質工程と、
改質された前記ガス状排出物中のダイォキシン濃度の増加が抑制され るように前記ガス状排出物を第 3の' ^まで急冷する冷却工程と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、 この残渣に含まれる金属が気 化するように減圧下で加熱する減圧加熱工程と、
前記残渣から気化した金属を'^!する凝縮工程と
を具備したことを特黴とする処理方法。
2 2. 樹脂と金属とを含有する物体を第 1の温度で 解する第 1の熱分解工程と、
前記物体から生じたガス状排出物を第 1の より高い第 2の S¾で 熱分解する第 2の熱分解工程と、
第 2の温度で熱分解された前記ガス状排出物中のダイォキシン澳度の 増加が抑制されるように、前記ガス状排出物を第 3の温度まで急冷する 冷却工程と、
前記物体の熱分解により生じた残渣を、 この残渣に含まれる金属が気 化するように減圧下で加熱する ME加熱手段と、
前記残渣から気化した金属を凝縮する凝縮手段と
を具備したことを特徴とする処理方法。
2 3. 樹脂と第 1の金属と第 2の金属を含有する物体を第 1の温 度で熱分解する第 1の熱分解工程と、
前記物体から生じたガス状排出物をダイォキシンが分解するような第 2の温度で改質する改質工程と、
第 2の温度で改質された前記ガス状排出物中のダイォキシン濃度の増 加が抑制されるように、 前記ガス状排出物を第 3の温度まで急冷する冷 却手段と、
6 8 前記物体の熱分解により生じた残渣を、 この残渣に含まれる第 1の金 属が気化するとともに第 2の金属が保持されるように減圧下で加熱する 第 1の減圧加熱工程と、
前記残渣から気化した第 1の金属を凝縮する凝縮工程と、
第 1の金属を気化させた前記残渣に含まれる第 2の金属が溶融するよ うに減圧下で加熱する第 2の減圧加^]:程と
を具備したことを特徴とする処理方法。
2 4. 第 2の減圧加紅程は、第 1の金属を気化させた前 渣 に含まれる第 2の金属が溶融してその表面張力により凝集するように減 圧下で加熱することを特徴とする請求項 8に記載の処理方法。
2 5. 樹脂と金属を構成材の一部として有し、接合金属で接合さ れた第 1の部分と第 2の部分とを有する物体前記接合金属を保持して熱 分解する熱分解工程と、
前記物体から生じたガス状排出物をダイォキシンが分解するような第 2の温度で改質する改質工程と、
改質された前記ガス状排出物中のダイォキシン^の増加が抑制され るように、 前記ガス状排出物を第 3の温度まで急冷する冷却工程と、 前記物体の熱分解により生じた残渣を、 前記接合金属が気化するよう に Mffi下で加熱する減圧加熱工程と
を具備したことを特徴とする処理方法。
2 6. 前記冷却工程で冷却された前記ガス状排出物を中和する中 和工程をさらに具備したことを特徴とする請求項 3乃至請求項 7のいず れ ヽに記載の処理方法。
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