明 細 書 生物学的変換によるヒ ドロキシル化コレステロールの製造方法 およびジヒ ドロキンコレステロール 技術分野
本発明は、 微生物の作用によるコレステロールのヒ ドロキシル化法、 より具体的にはコレステロールからの 25—ヒ ドロキシコレステロール、 17, 25—ジヒ ドロキシコレステロールまたは 25, 26—ジヒ ドロ キシコレステロールのいずれか 1種または 2種以上の製造方法に関する。 また、 前記の新規ジヒ ドロキシコレステロールにも関する。
背景技術
生物学的方法、 特に微生物を用いるコレステロールを初めとするステ ロイ ド類のヒ ドロキシ誘導体の製造方法としては、 ス トレプト ミ セス (S t r e p t omy c e s) 属微生物を用いてコレステロールから 2 5—ヒ ドロキシコレステロールに変換する方法が特開平 7— 12399 7号に開示されている。 また、 ステロイ ド類以外の化合物の生物学的変 換で興味深いものとしては、 ビタミ ン D類の微生物、 例えば、 ノカルディ ァ ォゥ ト トロヒカ (No c a r d i a a u t o t r o p h i c a) ^ ス ト レプ トマイセス ロゼォスポラス (S t r e p t omy c e s r o s e o s p o r u s) 、 ア ミ コラータ サッノレネア (Amy c o 1 a t a s a t u r n e a) 、 アミ コラ一夕 ォゥ ト トロヒカ (Amy c o l a t a a— u_t o t r o p h i c a) 、 スフイ ンゴモナス エス ピー (S p h i n g omo n a s s p . ) を用いるヒ ドロキシル化に
よる 2 5 —ヒ ドロキシビタミ ン D類の製造方法が知られている (特開平 4 一 1 6 6 0 9 0号、 特開平 7— 2 4 1 1 9 7号) 。
—方、 コレステロールは、 例えば、 各種ビタミ ン D類の化学合成上の 中間体となりうることが知られており (有機合成化学 3 7 , 8 0 9 - 8 2 9 ( 1 9 7 9 ) 、 予めコレステロールの 1以上の特定部位をヒ ドロキ シル化した化合物は、 各種ヒ ドロキシル化ビタ ミ ン D類の合成中間体と しての使用が期待できる。 たしかに、 上記特開平 7— 1 2 3 9 9 7号公 報に記載された微生物を用いる変換方法によれば、 活性型ビタミ ン Dと の関連において好ましいコレステロールの 2 5位を選択的にヒ ドロキシ ル化できることが公表されている。
しかしながら、 該公報に記載の方法によれば、 ヒ ドロキシル化効率は 必ずしも満足できるものでない。 また、 コレステロールから誘導される 最終化合物、 例えばビタ ミ ン D類の水溶性を改善するとの観点に立てば、 モノーヒ ドロキシル化コレステロールだけでなく、 さらなるヒ ドロキシ ル化の進んだ、 例えばジヒ ドロキシル化コレステロールの提供も望まれ るであろう。
従って本発明の目的は、 モノ—ヒ ドロキンル化コレステロール、 特に 2 5—ヒ ドロキシコレステロールの効率のよい製造方法、 ならびにさら なるヒ ドロキシル化の進んだジヒ ドロキシコレステロールの製造方法お よび新規なジヒ ドロキシコレステロールそれ自体を提供することにある。 発明の開示
本発明者らは、 上記目的を達成するために鋭意研究を進めてきたとこ ろ、 上記特開平 7— 1 2 3 9 9 7号公報に記載されたス トレプトマイセ ス属以外の属の微生物が、 コレステロールの 2 5位だけでなく、 1 7位
または 26位もヒ ドロキシル化することを見い出した, 従って、 上記目的は、 本発明に従う、 式 ( I )
で表されるコ レステロールの式 (Π)
(上式中、 R1は水酸基であり、 R2および R3は、 それぞれ水酸基 および水素原子であるか、 またはそれぞれ水素原子'および水酸基で ある)
で表されるヒ ドロキンル化コレステロールへの生物学的変換方法による 式 (Π) で表されるヒ ドロキシル化コレステロールの製造方法であって.
(A) 前記生物学的変換を行いうるものであって、 かつアミ コラー夕 (Amy c 0 1 a t a ) 属およびスフイ ンゴモナス (S p h i n g o m o n a s ) 属に属する微生物から選ばれる微生物またはその培養菌体の 調製物および酸素の存在下で式 ( I ) で表されるコ レステロールをイン
キュベーシヨ ン処理する工程、 および
(B) インキュべ一ション処理液から式 (Π) で表されるヒ ドロキン ルコレステロールの少なくとも 1種を採取する工程、
を含んでなる方法、 を提供することによって達成できる。
また、 式 (Π) で表されるヒ ドロキシル化コレステロールのうち、 式 (Π— b)
(式中、 R 2および R 3は、 それぞれ水酸基および水素原子であるか- またはそれぞれ水素原子および水酸基である)
で表わされるジヒ ドロキシコレステロールは、 上記方法における出発原 料のコレステロールを 25—ヒ ドロキシコレステロールに代えて用いる 別法によっても製造できる。
さらに、 上記式 (Π— b) で表されるジヒ ドロキシコレステロール、 すなわち、 1 7, 25—ジヒ ドロキシコレステロールおよび 25, 26 ージヒ ドロキシコレステロールは、 従来技術文献未載の化合物である。 従って、 本発明によれば、 式 (Π— b) で表される新規化合物ジヒ ドロ キンコ レステロールも提供される。
発明の詳細な記述
本発明の生物学的変換では、 アミ コラ一タ (Amy c o l a t a) 属
およびスフィ ンゴモナス ( p h i n g omo n a s ) 属に属する微生 物であって、 前記式 ( I ) のコレステロールから式 (Π) のヒ ドロキシ ル化コレステロールへ変換する能力を有する微生物、 ならびにそれらの 培養菌体調製物であれば、 種および株の種類を問うことなく使用できる。
5 好ましい微生物としては、 上記変換能を有するァミ コラ一タ サツルネ ァ ( Am y c 0 1 a t a _s_a t u r n e a ) 、 特に受託番号 F E RM B P— 5544および F ERM B P— 2307の下に曰本国通商産 業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている微生物、 なら びにアミ コラー夕 オー ト トロヒカ (Amy c o l a t a a u t o t i o r o p h i c a) , 特に受託番号 AT C C 33796の下にアメ リカ 合衆国ァメ リカン · タイプ · カルチャー · コレクションに寄託されてい る菌株を挙げることができる。
また、 上記アミ コラータ属に属する微生物の変換能に比べて、 変換能 が劣るものの、 スフイ ンゴモナス (S p h i n g omo n a s ) 属に属 is す種、 マリー (ma 1 i ) I F O 15500、 ノ、。ゥチモビリス (p a u c i m o b i 1 i s ) I F 0 13935、 パラバウチモビリス ( a r a p a u c i mo b i l i s ) I FO 15 100、 ヤノイクヤエ ( y a n o i k u y a e ) I FO 15102、 ァ ドハェシバ ( a d h a e s i v a ) I FO 1 5099、 カプスラー夕 (c a p s u l a t
20 A) I F O 1 2533、 サンギス ( s a n g u i s ) I F O 1 39 37、 マクロゴルタビダス ( a c r o g o l t a b i d u s) I F 0 15033およびテラーェ ( t e r r a e) I FO 15098も使 用することができる。 なお、 I F 0は、 曰本国 発酵研究所 ( I n s t i t u t e f o r F e rm e n t a t i o n) における寄託番号で
ある。
本発明によれば、 これらのいずれかの菌株またはその培養菌体および 酸素の存在下で、 出発原料 (または基質) であるコレステロール (式 ( I ) の化合物) および Zまたは 2 5 —ヒ ドロキシコレステロール (式 ( Π - a ) の化合物) がインキュベーション処理される。 この処理は、 前記菌株を好気的条件下で培養する際に、 その培養液中に基質を添加し て行うかあるいは、 場合により前記菌株の培養菌体を、 例えばそのまま もしくはホモジェナイズした調製物の懸濁液中に基質を添加し、 酸素、 例えば空気を通気しながらィンキュベ一シヨンして行うこともできる。 培養液への基質の添加は、 培養前または培養後一定期間経過したときの いずれで行ってもよい。 上記菌体は、 上記いずれかの菌株を栄養源含有 培地に接種し、 好気的に培養することにより製造できる。
かかる培養菌体の調製物を用意するための菌株の培養または基質が添 加された状態で行われる菌株の培養は、 原則的には一般微生物の培養方 法に準じて行うことができるが、 通常は液体培養による振盪培養、 通気 撹拌培養などの好気的条件下で実地するのが好ましい。
培養に用いられる培地としては、 アミ コラ一夕 (A m y _9_ 1 a t _a ) 属およびスフィ ンゴモナス (S p h i n g o m o n a s ) 属に属する微 生物が利用できる栄養源を含有する培地であればよく、 各種の合成、 半 合成培地、 天然培地などいずれも利用可能である。 培地組成としては炭 素源としてのグルコース、 マルトース、 キシロース、 フルク トース、 シュ —クロース等を単独または組み合わせて用いることができる。 窒素源と しては、 ぺプトン、 肉エキス、 大豆粉、 カゼィン、 アミノ酸、 酵母ェキ ス、 尿素等の有機窒素源、 硝酸ナトリウム、 硫酸アンモニゥム等の無機
窒素源を、 単独または組み合わせて用いることができる。 その他、 例え ば塩化ナトリウム、 塩化カリウム、 炭酸カルシウム、 硫酸マグネシウム、 リ ン酸ナトリウム、 リ ン酸カリゥム、 塩化コバルト等の塩類、 重金属類 塩、 ビタミ ン類も必要に応じ添加使用することができる。 なお、 培養中 発泡が著しい場合には、 公知の各種消泡剤を適宜培地中に添加すること もできる。
培養条件は、 該菌株が良好に生育し得る範囲内で適宜選択することが できる。 通常、 pH6〜7. 5、 28〜30°Cで 2〜8曰程度培養する。 上述した各種の培養条件は、 使用微生物の種類や特性、 外部条件等に応 じて適宜変更でき、 当業者であれば容易に最適条件を選択できるであろ ラ o
また.、 培養菌体調製物は、 培養終了後、 遠心分離または濾過により分 離した菌体またはホモジェナイズした菌体を適当な溶液に懸濁して調製 する。 菌体の懸濁に使用できる溶液は、 前記した培地であるか、 あるい はトリス一酢酸、 トリスー塩酸、 コハク酸ナトリウム、 クェン酸ナ トリ ゥム、 リ ン酸ナトリウム、 リ ン酸カリウムなどの緩衝液を単独または混 合したものである。 緩衝液の pHは、 好ましくは 6.0〜 9.0、 さらに 好ましくは 7. 0〜8. 5を挙げることができる。
基質は、 粉末のままか、 あるいは水溶性有機溶媒、 例えばエタノール などに溶解して培養液または菌体の懸濁液に添加することができ、 その 添加量は、 例えば、 培養液の場合、 その 1 m 1当り 0. 15〜0. 60 m gが好ましい。 添加量を 0. 60mgZm lより多くすると、 変換速 度が遅くなり好ましくない。 基質添加後は、 27〜31°Cで 1~3日間- 好ましくは約 1日間、 振とうあるいは通気撹拌などの操作を行い、 好気
的条件下で反応を進行させることにより基質を目的のヒ ドロキンル化コ レステロールに変換することができる。 かかる変換反応に際し、 反応溶 液中に基質とメチル化シクロデキス トリ ン類を共存させることにより、 基質から目的のヒ ドロキシル化コレステロールへの変換率を飛躍的に増 大できる。
従って、 本発明の好ましい態様では、 上記イ ンキュベーショ ン処理が、 さらにメチル化シクロデキス トリ ン類の存在下で行われる。
本発明で使用するメチル化シクロデキストリ ン類とは、 シクロデキス ト リ ンの 2, 3または 6位の水酸基の水素原子がメチル基で置換された 化合物をいい、 2および 6位が完全にメチル化された α—シクロデキス トリ ン由来のへキサキスー (2 , 6— 0—ジメチル) 一 α—シクロデキ ス トリ ン、 /S—シクロデキストリ ン由来のへプタキスー (2, 6— 0— ジメチル) 一 β—シクロデキス トリ ンおよびァーシクロデキス トリ ン由 来のォクタキス一 (2 , 6— 0—ジメチル) 一アーシクロデキス トリ ン、 あるいは 2 , 3および 6位が完全にメチル化されたなーシクロデキス ト リ ン由来のへキサキスー (2 , 3 , 6— 0— トリメチル) 一 ーシクロ デキス ト リ ン、 S—シクロデキストリ ン由来のへプタキスー (2 , 3 , 6— 0— トリメチル) 一 β—シク Όデキストリ ンおよびアーシクロデキ ス トリ ン由来のォクタキスー (2 , 3 , 6— 0— ト リメチル) 一アーシ クロデキス ト リ ン、 あるいは 2 , 3, 6位の各 6個、 7個もしくは 8個 の水酸基が部分的にメチル化された部分メチル化シクロデキストリ ンを 挙げることができる。 本発明においては、 上記メチル化シクロデキスト リ ン類の中から任意の一種または二種以上が選択されて用いられるが、 特に /5—シクロデキス トリ ン由来の部分メチル化シクロデキス ト リ ンが
好適に用いられる。
メチル化シクロデキストリ ン類の添加量は、 反応溶液 1 m 1当り 0. 5mg以上、 好ましくは 0.5〜15mg、 より好ましくは:!〜 10 m gである。 メチル化シクロデキストリ ン類の添加量が反応溶液 1 m 1 5 当り 0. 5 m g未満の場合は、 目的とするヒ ドロキシル化コレステロ一 ルへの変換率の増大が無添加のものに比べて有意なものとならない場合 があり、 15m g付近の添加量では、 場合によって発泡が起こり、 消泡 剤等を併用する必要が生じることもある。
また本発明の方法では、 上記変換率を低下させない範囲で、 非イオン 10 界面活性剤を反応液に添加してもよい。 このような界面活性剤としては、 ボリォキシェチレン · ソルビタン脂肪酸エステル (例えば T w e e n 80 (シグマ社製) ) 、 ソルビタン脂肪酸エステル (例えば S p a n 85 (シグマ社製) ) 、 ポリオキシエチレンエーテル (例えば B r i j 96 (シグマ社製) :) や T r i t o n X— 100 (シグマ社製) 、 ノ i s ニルフエノール (例えばノニポール 45 (三洋化成工業 (株) 製) 、 酸 化工チレン一酸化プロピレンのブロック共重合物 (例えば P 1 u r 0 n i c L一 61 (旭電化工業 (株) 製) 、 および陰イオン性界面活性剤 としてダイレックス (日本油脂 (株) 製) 、 トラックス (日本油脂 (株) 製) などが挙げられる。
20 こう して生成した目的のヒ ドロキシル化コレステロールを反応混合物 から単離するには、 種々の既知精製手段を選択、 組み合わせて行うこと ができる。 例えば、 疎水性吸着樹脂への吸着、 溶出、 酢酸ェチル、 n— ブタノ一ル等を用いた溶媒抽出、 シリカゲル等によるカラム法あるいは 薄層クロマトグラフィー、 逆相カラムを用いた分取用高速液体クロマト
グラフィ一等を、 単独あるいは適宜組み合わせ、 場合により反復使用す ることにより分離精製することができる。
なお、 上記生物学的変換反応で、 特に有利に使用できる菌株の一つで あるアミ コラ一タサッノレネア (Amy c o l a t a s a t u r n e a) F ERM BP— 5544菌株は、 本発明者らが土壌中より分離し、 A 一 1246株と命名したものであって、 下記のとおり新規な菌株であり、 以下の菌学的性状を示す。
( 1 ) 形態
栄養菌糸は合成寒天培地および天然寒天培地においてよく発達し、 不 規則的に分岐する。 また隔壁は認められない。 胞子はグリセリ ン · ァス パラギン寒天培地およびスターチ無機塩寒天培地などで良好に形成され る。 顕微鏡で観察すると、 胞子形成菌糸の分岐方法は、 単純分岐で胞子 は直線状に形成される。 胞子は通常 3個以上の連鎖が認められ、 培養の 後期には長い鎖上を呈し、 表面は平滑である。 胞子の形状は円筒形で、 その大きさは 0. 5〜0. 8 x 2. 5〜4. 3 mである。 菌核、 胞子 のう、 鞭毛胞子は観察されない。
(2) 各種培地における生育状態 (30°C)
(2- 1) シユークロース ·硝酸塩寒天培地
培地上での生育状態は、 中程度であり、 コロニー裏面の色調は、 淡褐 色である。 気菌糸の形成は中程度であり、 ク リーム色を呈する。 可溶性 色素は産生しない。
(2-2) グルコース ' ァスパラギン寒天培地
培地上での生育状態は、 やや不良であり、 コロニー裏面の色調は、 ク リーム色である。 気菌糸の形成は中程度であり、 白色を呈する。 可溶性
色素は産生しない。
(2-3) グリセリ ン ' ァスパラギン寒天培地
培地上での生育状態は、 良好であり、 コロニー裏面の色調は、 淡黄色 である。 気菌糸の形成は良好であり、 白色を呈する。 可溶性色素は産生 しない。
(2-4) スターチ ·無機塩寒天培地
培地上での生育状態は、 中程度であり、 コロニー裏面の色調は、 ク リ ーム色である。 気菌糸の形成は良好であり、 白色を呈する。 可溶性色素 は産生しない。
(2-5) チロシン寒天培地
培地上での生育状態は、 中程度であり、 コロニー裏面の色調は、 赤褐 色である。 気菌糸の形成は良好であり、 クリーム色を呈する。 淡赤褐色 の可溶性色素を産生する。
(2-6) 栄養寒天培地
培地上での生育状態は、 良好であり、 コロニー裏面の色調は、 淡黄色 である。 気菌糸の形成は良好であり、 白色を呈する。 可溶性色素は産生 しない。
(2-7) ィース ト ·麦芽寒天培地
培地上での生育状態は、 良好であり、 コロニー裏面の色調は、 淡黄色 である。 気菌糸の形成はやや不良であり、 白色を呈する。 可溶性色素は 産生しない。
(2— 8) ォー ト ミール寒天培地
培地上での生育状態は、 中程度であり、 コロニー裏面の色調は、 ク リ ーム色である。 気菌糸の形成はやや不良であり、 白色を呈する。 可溶性
色素は産生しない。
(2— 9) ペプトン ' イース ト ·鉄寒天培地
培地上での生育状態は、 中程度であり、 コロニー裏面の色調は、 淡褐 色である。 気菌糸の形成は中程度であり、 ク リーム色を呈する。 可溶性 色素は産生しない。
(3) 生理的性質
(3 - 1) 生育温度範囲 : 栄養寒天培地を使用した場合、 20〜30°C の温度範囲で良好な生育が認められる。 1 0 C以下および 40°C以上で は生育しない。
(3 - 2) 好気性 ·嫌気性の区別 : 好気性である。
(3 - 3) ゼラチンの液化 : 陽性である。
(3 - 3) スターチの加水分解 : 陰性である。
(3 - 4) 脱脂牛乳の凝固、 ペプトン化: いずれも陰性である。
(3 - 5) メラニン様色素の生成 : 陰性である。
(3 - 6) 硝酸還元能 : 陰性である。
(4) 各種炭素源の利用性 : プリ ドハム · ゴ卜リーブ寒天培地上に各種 の炭素源を加え、 生育を見た場合、 D—グルコース、 シユークロース、 D—キシロース、 イノ シ トール、 D—マンニッ ト、 D—フルク トースの いずれの炭素源も利用することができる。 Lーァラ ビノース、 L—ラム ノースおよびラフィ ノースは利用できない。
(5) 細胞壁成分
細胞壁成分を全菌体の分解物を用いて調べた結果、 ルシエバリェの分 類 (インターナショナル · ジヤーナル . ォブ ' システマテイ ツク ' ノくク テリォロジ一 ( I n t e r n a t i o n a l J o u r n a l o f
S y s t e m a t i c B a c t e r i o l o g y) v o l . 20, p 435〜 443 ( 1 9 70) ) によるタイプ III細胞壁に属した。 また ミ コール酸は含まれていない。
以上の菌学的性状から本菌株が放線菌に属することは明確であり、 ィ ンターナショナル · ジャーナル ·ォブ · システマティ ック ·バクテリオ ロジ一 ( I n t e r n a t i o n a l J o u r n a l o f S y s t e m a t i c B a c t e r i o l o g y) v o l . 3 6, p 29 ~ 3 7 ( 1 98 6) に報告されている既知微生物の性状と比較したところ、 本菌株は、 アミ コラータ *サツルネア (Amy c o l a t a s a t u r n e a) とほぼ一致した。 以上の結果から、 本菌株はァミ コラー夕 · サッノレネァ (Amy c o 1 a t a s a t u r n e a) に属するものと 判断し、 アミ コラー夕 'サッルネァ (Amy c o l a t a s a t u r n e a) A— 1 24 6株と命名した。 本菌株は、 曰本国工業技術院生命 工学工業技術研究所に平成 7年 8月 7日付けで F ERM P— 1 5 0 9 8として寄託された後、 特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関す るブダペス ト条約の規定の下、 同研究所の国際寄託当局に移管され、 前 述の寄託番号 (F E RM B P— 5544) を得ているものである。 以下、 本発明について具体例を挙げてより詳細に説明するが、 本発明 をこれらの例に限定することを意図するものでない。
なお、 下記の例中の%は、 特記しない限り重量%を意味する。
例 1~9 : コ レステロ一ノレ力、ら 25—ヒ ドロキシコ レステロ一ノレへの変 換
グルコース 1. 5 %、 バク トソィ トン (ディフコ社製) 1. 5 %、 コ —ンスチープリカ一 0. 5 %、 塩化ナ トリウム 0. 4 %、 炭酸カルシゥ
ム 0. 2% (pH 7. 0) からなる種母用培地 10 Om 1を 50 Om 1 容三角フラスコに入れ、 120°C、 20分間加熱滅菌した。 これにアミ コラータ · サッノレネア (Amy c o l a t a s a t u r n e a) A 一 1246株 (FERM BP— 5544) の凍結種母 2 m〗 を接種し、 28°C、 220 r pmで 48時間振とう培養し、 種母培養液を調製した。 次にグルコース 2. 0%、 酵母エキス 0. 2%、 ペプトン 0. 5%、 大豆粉 1. 0%、 コーンスチープリカー 0. 5%、 第二リ ン酸カリウム 0. 04%、 塩化ナ ト リウム◦. 04 %、 炭酸カルシウム 0. 2% (p H 7. 4) からなる変換培養用培地 5 Om 1を 25 Om 1容三角フラス コに入れ、 120°C、 20分間加熱滅菌した。 これに先に調製した種母 培養液 lm lを接種し、 28 、 220 r p mで振とう培養し、 48時 間後、 基質であるコレステロール 15 m gおよび表 1に示す各種の化合 物を添加し、 さらに 72時間培養を継続した。
なお、 基質などの添加方法は以下のとおりである。 例 1では、 粉末状 のコレステロール 15 mgを添加した。 例 2では、 コレステロール 15 Omgをエタノール 4 m 1に懸瀕し、 超音波で分散させた懸濁液 0. 4 m 1を添加した。 例 3では、 コレステロール 150mgを Twe e n 8 0 (界面活性剤 : シグマ社製) 1 m 1とエタノール 3m 1の混液に懸濁 し、 超音波で分散させた懸濁液 0. 4m lを添加した。 例 4、 5および 6では、 コ レステロールを各 15 m g、 T w e e n 80を各 1 m 1およ びあらかじめ殺菌 ( 121 °C、 20分) しておいた 1. 5%の各シクロ デキスト リ ン水溶液をそれぞれ 5. 6m l添加した。 例 7、 8および 9 では、 コレステロールを各 15mg、 Twe e n 80を各 lm lおよび あらかじめ殺菌 (121°C、 20分) しておいた部分メチル化 ーシク
ロデキス トリ ン (メチル化率 74 % : メルシャン (株) 製) の 1. 5 % 水溶液をそれぞれ設定濃度に応じて添加した。
得られた培養液 2m 1を共栓付き遠心沈殿管にとり、 酢酸ェチル 0. 5m lを加え、 30分間撹拌し、 さらに 3000 r pm、 15分間遠心 分離し、 酢酸ェチル層を分取した。 この 5 1を TL Cプレー 卜 (シリ 力ゲル 60 F 254 : メルク社製) にスポッ トし、 クロロホルム : メタノ 一ル= 1 0 : 1で展開し、 これを硫酸により発色させた。 標品 (シグマ 社製) と同じ R f 値 (約 0. 5) を示すスポッ トをクロマ トスキャナ一 (C S- 920 : (株) 島津製作所製) で読みとり、 25—ヒ ドロキシ コレステロールを定量した。 コレステロールから 25—ヒ ドロキンコレ ステロールへの変換率は表 1にまとめて示す。
例 No. 共存物質 共存物質濃度(%) 変換率(%)
1 0.8
2 エタノール 0.80 0.7
3 T w e e n 80 0.20 0.7
4 - CD 0.15 0.7
6 r - C D 0.15 0.8
7 ? - PMC D 0.05 5.8
9 /3 - PMC D 0.15 12.1
ひ 一 CD : ひーシクロデキス トリ ン ^ - C D : ;3—シクロデキストリ ン
ァ一 CD : アーシクロデキス ト リ ン
/3 - PMC D :部分メチル化) S—シクロデキス ト リ ン 例 10〜19 : コ レステロールから 25—ヒ ドロキシコレステロールへ の変換 (反応時間の変動が及ぼす影響) 例 1〜9に示した変換培養用培地 50m 1を 25 Om 1容三角フラス コに入れ、 120°C、 20分間加熱滅菌した。 これに例 1〜9と同様に 調製した種母培養液 lm 1を接種し、 28°C、 220 r pmで 48時間 振とう培養した。 これに粉末状のコレステロールを 15 m g、 Twe e n 80を 1 m 1添加し、 さらにあらかじめ殺菌しておいた各種メチル化 ^ーシクロデキス ト リ ンの 1. 5%水溶液を最終濃度 0. 15%となる ように添加し、 培養を继続した。 コレステロールを添加して 16時間、 40時間および 64時間経過した培養液中の 25—ヒ ドロキシコレステ ロールを例 1〜9と同様の方法で定量した。 コレステロールから 25— ヒ ドロキシコレステロールへの変換率を表 2にまとめて示す。 なお、 例 17および 18は、 2, 6—ジ一 0—メチルー 3—シクロデキス ト リ ン および 2, 4 , 6— ト リー 0—メチルー /3—シクロデキストリ ンをそれ ぞれ 2 : 1および 1 : 2の比率で混合したものを使用した。
O 97/08336
17
例 共存物質 メチル化率 変換率(%)
> ) 1丄 fi ΟΠhΓr
10 0.0 0.5 0.8
11 一 PMCD 56 11.6 7.6 10.5
12 S - PMC D 62 13.1 10.3 9.6
13 yS- PMCD 68 11.3 10.4 10.7
14 β- PMC O 69 8.1 6.2 6.9
15 β- PMCO 74 13.5 7.6 10.5
16 3 -DMC D 67 10.8 8.5 7.9
17 /3-DMCD + TMCD 78 17.1 14.0 16.0
18 y5-DMCD + TMCD 89 11.6 11.4
19 yS-TMC D 100 0.0 2.9 4.3
PMC D :部分メチル化/ S—シクロデキス ト リ ン β - DM C D : 2, 6—ジー 0—メチルー β— シク Όデキストリ ン β-ΊΜΟ Ό : 2, 4, 6— 卜 リ ー 0—メチルー ?—シクロデキス ト リ ン 例 20〜 2 3 : コレステロールから 25—ヒ ドロキシコレステロールへ の変換 (コ レステロールの添加濃度の変動が及ぼす影響) 例 1〜9に示した変換培養用培地 5 Om 1 を 25 Om 1容三角フラス コに入れ、 1 20°C、 20分間加熱滅菌した。 これに例 1〜9と同様に 調製した種母培養液 l m 1 を接種し、 28°C、 220 r pmで 48時間 振とう培養した。 これに粉末状のコレステロールとあらかじめ殺菌して おいた 1. 5 %部分メチル化 3—シクロデキス ト リ ン (メチル化率 7 4 % ·· メルシャ ン (株) 製) 水溶液 5. 6 m 1 を添加し、 さらに 40時間 培養を継続した。 得られた培養液中の 25—ヒ ドロキシコレステロール を例 1〜9と同様の方法で定量した。 コレステロールから 25—ヒ ドロ
キシコレステロールへの変換率を表 3にまとめて示す c 表 3 例 C HO 250H-CH0 変換率
No. 添加濃度 生成濃度 (%)
20 0.15mg/ml 32〃g/ml 21.3
21 0.30mg/ml 55/i g/ml 18.3
22 0.60mg/ml 34^g/ml 5.6
23 1.20mg/ml 5 g/ml 0.4
C H 0 : コレステロール
250H-CHO : 25—ヒ ドロキンコレステロール 例 24〜 26 : コレステロールから 25—ヒ ドロキシコレステロ一ルへ の変換 (菌体調製物による)
例 1〜9に示した変換培養用培地 5 Om 1を 25 Om 1容三角フラス コに入れ、 120DC、 20分間加熱滅菌した。 これに例 1〜9と同様に 調製した種母培養液 lm 1を接種し、 28°C、 220 r pmで 48時間 振とう培養した。 得られた培養液を遠心分離 (3000 r pm、 10分) して菌体を集め、 下記組成の各緩衝液 5 Om 1に懸濁した。
緩衝液 A (例 24) : ト リスー酢酸 50mM、 コハク酸ナ トリウム 25 mM、 硫酸マグネシゥム◦ . 05%、 部分メチル化/?—シクロデキス ト リ ン (メチル化率 74%: メルシャン (株) 製) 0. 15%、 ダルコ一 ス 0. 5% (pH8. 0) 緩衝液 B (例 25) : ト リスー酢酸 50mM、 コハク酸ナ ト リ ウム 25 mM、 硫酸マグネシウム 0. 05%、 部分メチル化 3—シクロデキス ト
リ ン (メチル化率 74%: メルシャ ン (株) 製) 0. 15% (p H 8. 0)
緩衝液 C (例 26) : トリス—酢酸 50mM、 コハク酸ナ ト リ ウム 25 mM、 硫酸マグネシウム 0. 05% (p H 8. 0)
これに粉末状のコレステロールを各々 1 5 m g添加し、 28°C、 220 r p mで 24時間振とう した。 得られた溶液中の 25—ヒ ドロキシコレ ステロールを例 1〜9と同様の方法で定量した。 コレステロールから 2 5—ヒ ドロキシコレステロールへの変換率を表 4に示す。 表 4
例 No. 緩衝液 変換率(%)
24 緩衝液 A 13.8
25 緩衝液 B 15.4
26 緩衝液 C 0.5 例 27 : コレステロールから 25—ヒ ドロキシコ レステロールへの変換
(スケールアツプ)
グルコース 1. 5 %、 ノくク トソィ トン (ディフコ社製) 1. 5%、 コ ーンスチープリカ一 0. 5%、 塩化ナ ト リ ウム 0. 4%、 炭酸カルシゥ ム 0. 2% (p H 7. 0) からなる種母用培地 100m 1を 500 m 1 容三角フラスコに入れ、 1 20°C、 20分間加熱滅菌した。 これにアミ コラー夕 .サッノレネア (Amy c o l a t a s a t u r n e a) A 一 1 246株 (F ERM B P— 5544) の凍結種母 2 m 1を接種し. 28°C、 220 r pmで 48時間振とう培養し、 種母培養液を調製した,
次にグルコース 2. 0%、 酵母エキス 0. 2%、 ペプトン 0. 5%、 大 豆粉 1. 0%、 コーンスチープリカ一 0. 5 %、 第二リ ン酸カリウム 0. 04%、 塩化ナトリウム 0. 04%、 炭酸カルシウム 0. 2%、 シリコ ン KM 75 (消泡剤 :信越化学 (株) 製) 0. 05% (ρ Η 7· 4) 力、 らなる変換培養用培地を 3 1容ミニジャー 5基に各々 1. 5 1づっ入れ、 1 20°C、 20分間加熱滅菌した。 これに先に調製した種母培養液を 3 0m 1づっ接種し、 温度 28°C、 撹拌 400 r pm、 通気 1. 0 v vm の条件で 48時間培養した。 これにコレステロール 45 Omgをェタノ ール 1 5 m 1 に溶解して添加し、 さらにシリ コン K M 75 (消泡剤) の 10%水溶液 4 m 1および部分メチル化 3—シクロデキス トリ ン (メチ ル化率 74%: メルシャン (株) 製) の 7. 5%水溶液 30 m 1を添加 し、 さらに 72時間培養を継続した。 実施例 1と同様の方法で 25—ヒ ドロキシコレステロールを定量したところ、 コレステロールを添加して 24時間後に 1 14 gZm 1、 48時間後に 62 g Zm 1、 72時 間後に 49〃 gZm 1であった。 このようにして 5基のミニジャーから 合わせて 5. 6 1の培養液が得られた。
これにパーライ ト (濾過助剤 : 東興パーライ ト工業 (株) 製) を 3% 添加して濾過し、 濾液を得た。 酢酸ェチル 5 1および塩化ナトリウム 5 00 gを添加し、 撹拌機で 90分撹拌し、 さらにエタノール 200m l を添加して 1時間静置した。 酢酸ェチル層 (約 4. 5 1 ) を分離し、 お よそ 50 m 1 まで減圧濃縮した後、 さらに酢酸ェチル 50 m 1、 塩化ナ トリウム 5 gおよびエタノール 2 m Iを添加し、 有機層に抽出した。 酢 酸ェチル層 (約 5 Om l ) を分離し、 およそ 4m 1まで減圧濃縮した後、 :換水 50 m 1を加えた。 得られた懸濁液をクロロホルム 30 m
ύ丄
1で 2回抽出した。 クロロホルム層を無水硫酸ナトリゥムで乾燥した後、 濃縮乾固して黄色粉末 80 Omgを得た。
得られた粉末をクロ口ホルム一メタノール一水 (7 : 13 : 8) の下 層に溶解し、 この 2層系を用いた遠心液液分配クロマ トグラフィー (C PCモデル NMF, 25 OWx 12 :三鬼エンジニアリ ング (株) 製) により精製した。 すなわち、 実施例 1と同様の方法で TLC分析したと きに R f 値約 0. 5にスポッ 卜が観測される部分を集めて濃縮乾固し、 168. 2mgの白色粉末を得た。 この粉末をさらにセフアデックス L H— 20 (フアルマシア社製、 展開溶媒 : トルエン一メタノール (85 : 15) ) のカラムクロマトグラフィーに付し、 上記 T L Cで分析して 単一となった画分を集めて濃縮乾固し、 白色粉末状の 25—ヒ ドロキシ コ レステロール 133. 5mgを得た。
得られた粉末を 0. 1 m gZm 1の濃度でメタノールに溶解し、 下記 の条件で H PLC分析を行ったところ保持時間 17. 9分の単一ピーク が観測された。 この保持時間は 25—ヒ ドロキンコレステロールの標品 (シグマ社製) のものと一致した。
(HPLC条件)
カラム : YMC p a c k A— 302 (04. 6 mm x 150 mm) 移動相 : 85 %メタノール
流 速 : 0. 8 m 1 Z分
検 出 : 210 n m
また、 得られた粉末のマススぺク トル、 NMRスぺク トルも標品のも のと一致した。
( 1 ) F A Bマススぺク トル (ポジティ ブイオン、 マ ト リ ッ クス N B A)
: m/ z = 40 2 (M + )
(2) !H— NMRスペク トル (CD C 1 3 ; 内部標準 TMS) :
0. 68 (3 H, s ) , 0. 93 (3 H, d, J = 6. 2 H z ) , 1. 0 1 C3 H, s ) , 1. 22 (6 H. s ) , 3. 53 ( 1 H, m) , 5. 35 ( 1 H, m)
例 28 : コレステロールから 1 7, 25—ジヒ ドロキシコレステロール への変換
例 1〜9と同様に種母培養液を調製した。
次に、 グルコース 2. 0%、 酵母エキス 0. 2 %、 ペプトン 0. 5 %、 大豆粉 1. 0%、 コーンスチープリカー 0. 5%、 第二リ ン酸カリウム 0. 04 %、 塩化ナ ト リ ウム 0. 04%、 炭酸カルシウム 0. 2%、 シ リコン KM 75 (消泡剤 : 信越化学 (株) 製) 0. 05 % (P H 7. 4) からなる変換用培地 1. 5 1 を 3 1容ミニジャーに入れ、 1 20°C、 2 0分間加熱滅菌した。 これに先に調製した種母培養液を 3 0m 1接種し、 温度 28°C、 撹拌 4 0 0 r pm、 通気 1. 0 v vmの条件で 4 8時間培 養した。 これにコレステロール 450mgをエタノール 1 5m l に溶解 して添加し、 さらにシリコン KM 75 (消泡剤 :信越化学 (株) 製) の 1 0%水溶液 4m 1および部分メチル化; S—シクロデキストリ ン(メチ ル化率 74% : メルシャン (株) 製) の 7. 5%水溶液 3 O mlを添加 した後、 9 1時間培養を継続した。
このようにして得られた培養液にパーライ ト (濾過助剤 : 東興パーラ イ ト工業 (株) 製) を 3%添加して濾過し、 濾液 1. 2 1 を得た。 これ をアンバーライ ト XAD— 8 (ローム . アン ド . ハース社製) 1 00m 1 のカラムに通過させて生成物を吸着させた。 このカラムを 20%メタ
ノール水 200m lで洗浄した後、 90 %メタノ一ル水 500 m 1で生 成物を溶出させた。 溶出液を減圧濃縮してメタノールを留去した後、 残つ た水層約 100m lを酢酸ェチル 50m 1で 2回抽出した。 得られた酢 酸ェチル層を無水硫酸ァ 卜リゥムで乾燥した後、 濃縮乾固した。
これを 100 m 1のシリカゲル (商品名 : シリカゲル 60、 メルク社 製) のカラムに付し、 クロ口ホルムーメタノール (100 : 1) 400 m lで溶出し、 溶出液を減圧濃縮して溶媒を留去した後、 さらに調製用 薄層クロマ トグラフィー (商品名 : シリカゲル 60 A r t 11798、 メルク社製) に付し、 クロロホルムーメタノール (20 : 1) で展開し た。 17, 25—ジヒ ドロキシコレステロールに相当する部分 (R f = 0. 33) をかきとり、 クロ口ホルムーメタノール (1 : 1) で抽出し て濃縮乾固し、 白色粉末状の 17, 25—ジヒ ドロキシコレステロール 3. 3mgを得た。
以下に本発明により提供される 17, 25—ジヒ ドロキシコレステロ ールの理化学的性状を示す。
(1) 外観 : 白色粉末
(2) 分子式 : C27H 4603
(3) FA Bマススペク トル (ネガティブイオン、 マ ト リ ックス NBA) : m/ z = 417 (M- 1 ) -
(4) — NMRスペク トル (400MH z、 C D C 13) :主要な吸 収は、 下記のとおりである。
5TMS (p pm) : 0. 78 (3 H, s) , 0. 92 (3 H, d, J =6. 2 H z) , 1. 00 (3 H, s) , 1. 22 (6 H, s) , 3. 53 ( 1 H, m) , 5. 36 ( 1 H, m)
(5) 13C— NMRスペク トル (100MH z、 C D C 13) :主要な 吸収は、 下記のとおりである。
5TMS (p pm) : 14. 0 (q) , 14. 4 (q) , 19. 4 (q),
20. 9 ( t ) 22 6 (t) 23. 7 ( t ) 29. 3(q x 2), 31. 7 ( t ) 31 9 ( t ) 32. 2 (d) 32. 3 ( t ) ,
32. 7 ( t) 36 5 (s) 37. 3 (t) 38. 1 ( t ) ,
39. 7 (d) 42 3 ( t) 44. 2 (t) 47. 3 (s) ,
49. 7 (d) 51 2 (d) 71. 0 (s) 71. 8 (d) , 86. 5 (s) 121. 7 (d) , 140. 7 (s)
例 29〜 37 : 17, 25—ジヒ ドロキシコ レステロ一ルの製造 (共存 物の変動による変換率への影響)
グルコース 1. 5%、 パク トソィ トン (ディフコ社製) 1. 5%、 コ ーンスチープリカー 0. 5%、 塩化ナ ト リ ウム 0. 4%、 炭酸カルシゥ ム 0. 2% (pH7. 0) からなる種母用培地 100m Iを 500m 1 容三角フラスコに入れ、 120°C、 20分間加熱滅菌した。 これにアミ コラ—タ .サッノレネア (Amy c o l a t a s a t u r n e a) A— 1246株 (FERM BP— 5544) の凍結種母 2 m 1を接種し、 28°C、 220 r pmで 48時間振とう培養し、 種母培養液を調製した c 次にグルコース 2. 0%、 酵母エキス 0. 2%、 ペプトン 0. 5%、 大豆粉 1. 0%、 コーンスチープリカ一 0. 5%、 第二リ ン酸カリウム 0. 04%、 塩化ナ ト リウム 0. 04%、 炭酸カルシウム 0. 2% (p H 7. 4) からなる変換培養用培地 5 Om 1を 25 Om 1容三角フラス コに入れ、 120°C、 20分間加熱滅菌した。 これに先に調製した種母 培養液 lm lを接種し、 28°C、 220 r pmで振とう培養し、 48時
間後、 基質であるコレステロール 15 mgおよび表 5に示す各種の化合 物を添加し、 さらに 72時間培養を継続した。
なお、 基質などの添加方法は以下のとおりである。 例 29では、 粉末 状のコレステロール 15 mgを添加した。 例 30では、 コレステロール 15 Omgをエタノール 4 m 1に懸濁し、 超音波で分散させた懸濁液 0. 4m 1を添加した。 例 31では、 コレステロール 150mgを Twe e n 80 (界面活性剤 : シグマ社製) lm 1 とエタノール 3m 1の混液に 懸濁し、 超音波で分散させた懸濁液 0. 4m 1を添加した。 例 32、 3 3および 34では、 コレステロールを各 15 m g、 Twe e n 80を各 1 m 1およびあらかじめ殺菌 ( 121 °C、 20分) しておいた 1. 5 % の各シクロデキス トリ ン水溶液をそれぞれ 5. 6 m 1添加した。 例 35、 36および 37では、 コレステロールを各 15 m g、 Twe e n 80を 各 1 m 1およびあらかじめ殺菌 ( 121て、 20分) しておいた部分メ チル化 S—シクロデキス ト リ ン (メチル化率 74%: メルシャン (株) 製) の 1. 5 %水溶液をそれぞれ設定濃度に応じて添加した。
得られた培養液 2m 1を共栓付き遠心沈殿管にとり、 酢酸ェチル 0. 5 m 1を加え、 30分間撹拌し、 さらに 3000 r pm、 15分間遠心 分離し、 酢酸ェチル層を分取した。 この を TLCプレー ト (シリ 力ゲル 60 F 254 : メルク社製) にスポッ トし、 クロロホルム : メタノ ール = 10 : 1で展開し、 これを硫酸により発色させた。 実施例 1で得 た標品と同じ R f 値 (0. 33) を示すスポッ トをクロマ トスキャナー (C S - 920 : (株) 島津製作所製) で読みとり、 17, 25—ジヒ ドロキシコレステロールを定量した。 コレステロールから 17, 25— ジヒ ドロキシコレステロールへの変換率を表 5にまとめて示す。
表 5 例 No. 共存物質 共存物質濃度(%) 変換率(%)
29 0.3
30 エタノール 0.80 0.2
31 T w e e n 80 0.20 0.2
32 α - C D 0.15 0.3
33 β - C O 0.15 0.2
34 7 - C O 0.15 0.3
35 β - PMC O 0.05 2.0
36 yS - PMC D 0.10 2.8
37 β - ΡΜΟ Ό 0.15 3.5 α— CD : α—シクロデキス ト リ ン 8— CD : ^ーシクロデキス ト リ ン ァー CD : アーシクロデキストリ ン yS- PMC D :部分メチル化 —シクロデキス トリ ン
例 3 8〜 4 7 : 1 7, 25—ジヒ ドロキシコレステロ一ルの製造 (反応 時間の変動) 例 29〜3 7に示した変換培養用培地 5 Om 1 を 25 Om 1容三角フ ラスコに入れ、 1 20°C、 20分間加熱滅菌した。 これに実施例 2と同 様に調製した種母培養液 l m 1 を接種し、 28°C、 2 2 0 r p mで 4 8 時間振とう培養した。 これに粉末状のコ レステロールを 1 5 mg、 Tw e e n 80を l m l添加し、 さらにあらかじめ殺菌しておいた各種メチ ル化 3—シクロデキスト リ ンの 1. 5 %水溶液を最終濃度 0. 1 5%と なるように添加し、 培養を継続した。 コレステロールを添加して 1 6時 間、 40時間および 64時間経過した培養液中の 1 7, 25—ジヒ ドロ
キシコレステロールを例 29〜37と同様の方法で定量した。 コレステ ロールから 17, 25—ジヒ ドロキシコレステロールへの変換率を表 6 にまとめて示す。 なお、 例 45および例 46は、 2, 6—ジー 0—メチ ル一 /5—シクロデキス ト リ ンおよび 2, 4, 6— トリー 0—メチル一 3 ーシクロデキス トリ ンをそれぞれ 2 : 1および 1 : 2の比率で混合した ものを使用した。
例 共存物質 メチル化率 変換率(%)
No. (%) 16hr 40hr 64hr
38 0.0 0.1 0.3
39 3- PMC D 56 2.6 3.7 0.0
40 3- PMCD 62 2.9 4.2 2.5
41 ー PMC D 68 2.8 3.3 2.5
42 /3- PMCD 69 2.9 0.0 2.2
43 /3-PMCD 74 2.9 1.8 2.6
44 β-ΌΜΟΌ 67 3.2 3.1 2.1
45 yS-DMCD + TMCD 78 2.6 2.2 4.7
46 3-DMCD + TMCD 89 0.0 2.3
47 /3-TMC D 100 0.0 0.1 0.2
/3— PMC D :部分メチル化 ^—シクロデキス 卜 リ ン
/3 -DMC D : 2, 6—ジ一 0—メチル一 —シクロデキス トリ ン
/S-TMCD : 2, 4, 6— トリ一 0—メチル一 /5—シクロデキストリ ン
例 4 8〜 5 1 7, 25—ジヒ ドロキシコレステロールの製造
例
濃度の変動) 例 29〜37に示した変換培養用培地 5 Om 1を 25 Om 1容三角フ ラスコに入れ、 120°C、 20分間加熱滅菌した。 これに例 29〜 37 と同様に調製した種母培養液 1 m 1を接種し、 28°C、 220 r pmで 48時間振とう培養した。 これに粉末状のコレステロールとあらかじめ 殺菌しておいた 1. 5 %部分メチル化 —シクロデキス ト リ ン (メチル 化率 74%: メルシャン (株) 製) 水溶液 5. 6 m 1を添加し、 さらに 40時間培養を継続した。 得られた培養液中の 17, 25—ジヒ ドロキ シコレステロールを例 29〜37と同様の方法で定量した。 コレステロ l o ールから 17, 25—ジヒ ドロキシコレステロールへの変換率を表 7に まとめて示す。
表 7
C H0 D i OH- CHO 変換率
添加濃度 生成濃度 (%)
1 5
48 0.15mg/ml 28^g/ral 18.7 49 0.30mg/ml 16 / g/ral 5.3 50 0.60tng/ral 6 g/ml 1.0 51 1.20mg/ml 0 z g/ml 0.0
CHO : コ レステロール
20
D i OH- CHO : 17, 25—ジヒ ドロキンコ レステロール
例 52 : 2.5, 26—ジヒ ドロキンコレステロールの製造 例 1〜9と同様に種母培養液を調製した。 次に、 グルコース 2. 0%、 酵母エキス 0. 2%、 ペプ トン 0. 5%、
大豆粉 1. 0%、 コーンスチープリカー 0. 5%、 第二リ ン酸カリウム 0. 04%、 塩化ナトリウム 0. 04%、 炭酸カルシウム 0. 2%、 シ リコン KM 75 (消泡剤 :信越化学 (株) 製) 0. 05% (pH7. 4) からなる変換用培地 1. 5 1を 3 1容ミニジャーに入れ、 120°C、 2 0分間加熱滅菌した。 これに先に調製した種母培養液を 3 Om 1接種し、 温度 28°C、 撹拌 400 r pm、 通気 1. 0 v vmの条件で 48時間培 養した。 これにコレステロール 450mgをエタノール 15m lに溶解 して添加し、 さらにシリ コン KM75 (消泡剤 : 信越化学 (株) 製) の 10%水溶液 4 m 1および部分メチル化/?ーシクロデキス 卜リ ン (メチ ル化率 74%: メルシャ ン (株) 製) の 7. 5%水溶液 3 Om 1を添加 した後、 91時間培養を継続した。
このようにして得られた培養液にパーライ 卜 (濾過助剤 : 東興パーラ ィ ト工業 (株) 製) を 3%添加して濾過し、 濾液 1. 2 1を得た。 これ をアンバーライ ト XAD— 8 (ローム . アン ド ·ハース社製) 100 m 1のカラムに通過させて生成物を吸着させた。 このカラムを 20%メ タノ一ル永 200m lで洗浄した後、 90%メタノール水 500 m 1で 生成物を溶出させた。 溶出液を減圧濃縮してメタノールを留去した後、 残った水層約 100m lを酢酸ェチル 5 Om 1で 2回抽出した。 得られ た酢酸ェチル層を無水硫酸ァ トリゥムで乾燥した後、 濃縮乾固した。 これを 100 m 1のシリカゲル (商品名 : シリカゲル 60、 メルク社 製) のカラムに付し、 クロ口ホルムーメ夕ノール (100 : 1) 400 m lで溶出し、 溶出液を減圧濃縮して溶媒を留去した後、 さらに調製用 薄層クロマ トグラフィー (商品名 : シリカゲル 60 A r t 11798、 メルク社製) に付し、 クロロホルム一メタノール (20 : 1 ) で展開し
た。 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロールに相当する部分 (R f = 0. 26) をかきとり、 クロ口ホルム一メタノール (1 : 1) で抽出し て濃縮乾固し、 白色粉末状の 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロール 10. 2mgを得た。
以下に本発明により提供される 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロ ールの理化学的性状を示す。
(1) 外観 : 白色粉末
(2) 融点: 185〜191°C
(3) 分子式: C27H4e03
(4) FABマススぺク トル (ネガティブイオン、 マトリ ックス NBA) : m/z = 417 (M- 1 ) -
(5) 1H— NMRスペク トル (400MH z、 C D C 13) : 主要な吸 収は、 下記のとおりである。
6TMS (p p m) : 0. 69 (3H, s) , 0. 93 (3 H, d, J =6. 6H z) , 1. 01 (3 H, s ) , 1. 14 (3 H, s) , 3. 37 (1 H, d, J =11. 0H z) , 3. 43 (1H, d, J = 11. OH z) , 3. 50 (1 H, m) , 5. 34 (1 H, m)
(6) 13C— NMRスペク トル ( 10 OMH z、 C D C 13) : 吸収は、 下記のとおりである。
5TMS(p pm): 11. 9 (q) , 18. 7 (q) , 19. 4 (q) , 20. 2 (t) , 21. 1 ( t) , 23. 3 (q) , 24. 3 (t) , 28. 2 (t) , 31. 7 ( t ) , 31. 9 (t + d) , 35. 7(d), 36. 5 ( s + t ) , 37. 3 (t) , 39. 2 ( t ) , 39. 8 ( t ), 42. 3 ( t ) , 42. 3 (t) , 50. 1 (d) , 56. 1 (d) ,
丄
56. 8 (d) , 70. 0 (t) , 71. 8 (d) , 73. 0 (s) , 121. 7 (d) , 140. 8 (s)
例 53〜 61 : 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロールの製造 (添加 剤の影響)
例 1〜9と同様に種母培養液を調製した。
次に、 グルコース 2. 0%、 酵母エキス 0. 2%、 ペプトン 0. 5%、 大豆粉 1. 0%、 コーンスチープリカー 0. 5%、 第二リ ン酸カリウム 0. 04%、 塩化ナ ト リ ウム 0. 04%、 炭酸カルシウム 0. 2% (p H 7. 4) からなる変換培養用培地 50m 1を 250 m 1容三角フラス コに入れ、 120°C、 20分間加熱滅菌した。 これに先に調製した種母 培養液 lm lを接種し、 28°C、 220 r pmで振とう培養し、 48時 間後、 基質であるコレステロール 15 mgおよび表 8に示す各種の化合 物を添加し、 さらに 72時間培養を継続した。
なお、 基質などの添加方法は以下のとおりである。 例 53では、 粉末 状のコレステロール 15m gを添加した。 例 54では、 コ レステロール 15 Omgをエタノール 4 m 1に懸濁し、 超音波で分散させた懸濁液 0. 4m lを添加した。 例 55では、 コレステロール 15 Omgを Tw e e n 80 (界面活性剤 : シグマ社製) lm 1とエタノール 3m 1の混液に 懸濁し、 超音波で分散させた懸濁液 0. 4m 1を添加した。 例 56、 5 7および 58では、 コ レステロールを各 15mg、 Twe e n 80を各 lm 1およびあらかじめ殺菌 (121°C、 20分) しておいた 1. 5% の各シクロデキストリ ン水溶液をそれぞれ 5. 6 m 1添加した。 例 59- 60および 61では、 コレステロールを各 15 m g、 Twe e n 80を 各 lm 1およびあらかじめ殺菌 (121°C、 20分) しておいた部分メ
チル化 3—シクロデキストリン (メチル化率 7 4 % : メルシャン (株) 製) の 1. 5 %水溶液をそれぞれ設定濃度に応じて添加した。 得られ 培養液 2 m 1 を共栓付き遠心沈殿管にとり、 酢酸ェチル 0. 5 m 1を加え、 3 0分間撹拌し、 さらに 3 0 0 0 r p m、 1 5分間遠心 分離し、 酢酸ェチル層を分取した。 この 5 1を T L Cプレー ト (シリ 力ゲル 6 0 F 254 : メルク社製) にスポッ トし、 クロロホルム : メタノ —ル = 1 0 : 1で展開し、 これを硫酸により発色させた。 実施例 1で得 た標品と同じ R f 値 (0. 2 6) を示すスポッ トをクロマトスキャナー (C S - 9 2 0 : (株) 島津製作所製) で読みとり、 2 5, 2 6—ジヒ ドロキシコレステロールを定量した。 コレステロールから 2 5, 2 6 - ジヒ ドロキシコレステロールへの変換率を表 8にまとめて示す。 表 8
例 No. 共存物質 共存物質濃度(%) 変換率(%)
53 一一 0.1
54 エタノール 0.80 0.2
55 T w e e n 80 0.20 0.1
56 a - C D 0.15 0.3
57 β - C O 0.15 0.2
58 7— C D 0.15 0.2
59 ^一 P M C D 0.05 1.8
60 3 - PMC D 0.10 2.4
61 yS - PMC D 0.15 3.0
一 C D : α—シクロデキス トリ ン β - C O : ^ーシクロデキス トリ ン
ァー CD : ァ一シクロデキス トリ ン
/S— PMCD :部分メチル化 —シクロデキストリ ン 例 62〜71 : 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロ一ルの製造
(反応時間の影響)
例 53〜61に示した変換培養用培地 5 Om 1を 25 Om 1容三角フ ラスコに入れ、 120°C、 20分間加熱滅菌した。 これに例 53〜61 と同様に調製した種母培養液 1 m 1を接種し、 28°C、 220 r pmで 48時間振とう培養した。 これに粉末状のコレステロールを 15mg、 Twe e n 80を lm l添加し、 さらにあらかじめ殺菌しておいた各種 メチル化/?ーシクロデキス ト リ ンの 1. 5%水溶液を最終濃度 0. 15 %となるように添加し、 培養を継続した。 コレステロールを添加して 1 6時間、 40時間および 64時間経過した培養液中の 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロールを例 53〜61と同様の方法で定量した。 コレ ステロールから 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロールへの変換率を 表 9にまとめて示す。 なお、 例 69および 70は、 2, 6—ジ一 0—メ チルー —シクロデキス トリ ンおよび 2, 4, 6— トリ一 0—メチルー /3—シクロデキス トリ ンをそれぞれ 2 : 1および 1 : 2の比率で混合し たものを使用した。
例 共存物質 メチル化率 変換率(%)
No. (%) 16hr 40hr 64hr
62 0.0 0.1 0.2
63 S - PMC D 56 3.3 2.5 0.0
64 - PMC D 62 2.8 2.3 2.3
65 3 - P M C D 68 3.3 3.0 3.2
66 /3— P M C D 69 3.9 1.0 1.7
67 ー PMCD 74 2.2 2.5 2.6
68 3-DMCD 67 3.5 4.1 3.7
69 3-D CD + TMCD 78 2.5 3.1 3.4
70 ^S-DMCD + TMCD 89 0.0 1.6
i o
71 一 TMC D 100 0.0 0.1 0.2 β - PMC O : 部分メチル化 /3—シクロデキストリン
S— DM CD : 2, 6—ジー 0—メチル一 S—シクロデキストリ ン
^一 TMC D : 2, 4, 6—卜リー 0—メチルー /3—シクロデキス トリ ン 例 72〜75 : 2 5, 26—ジヒ ドロキシコレステロールの製造 (基質 濃度の影響)
15
例 5 3〜 6 1に示した変換培養用培地 50m lを 250m l容三角フ ラスコに入れ、 1 20°C、 2 0分間加熱滅菌した。 これに例 53〜6 1 と同様に調製した種母培養液 l m 1を接種し、 28°C、 220 r pmで 48時間振とう培養した。 これに粉末状のコレステロールとあらかじめ 殺菌しておいた 1. 5 %部分メチル化 S—シクロデキス ト リ ン (メチル
20
化率 7 4% : メルシャ ン (株) 製) 水溶液 5. 6 m 1 を添加し、 さらに 40時間培養を継続した。 得られた培養液中の 25, 26—ジヒ ドロキ シコレステロールを例 5 3~6 1と同様の方法で定量した。 コレステロ ールから 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロールへの変換率を表 1 0 にまとめて示す。
例
表 10
CHO D i OH- C HO 変換率 添加濃度 生成濃度 (%)
72 0.15mg/ml 30 zg/ml 20.0 73 0.30mg/ml 18〃g/ml 6.0 74 0.60mg/ml 7/zg/ml 1.2 75 1.20mg/ml 0 II g/ml 0.0
CHO: コレステロール
D i OH— CHO : 25, 26—ヒ ドロキシコ レステロール
例 76〜 88 使用菌株を表 1 1に示す各種菌株で置き換えた他、 例 1〜9と同様に 種母培養液および変換培養用培地を調製し、 部分メチル化 —シクロデ キストリ ンを最終濃度が 1.0%となるように添加した。 添加コレステロール濃度を 300 gZm 1とし、 下記表 11に示さ れる pHおよび反応時間、 培養した。 基質コレステロールおよび得られ たヒ ドロキシ化コレステロールの測定は、 上記各例に従って行った。 結 果を表 11にまとめて示す。
表 11 例 No. 株 反応時間 PH 残存 25 (OH) 17,お (OH) 25, 26 (OH) 変換率
(hr) CHO -CHO -CHO -CHO \%)
76 Streptomyces 18 8.21 168.00 15.90 0.00 0.00 5.3 比較) roseosporus 46 8.57 0.00 0.00 0.00 0.00 0.0
68 8.83 0.00 22.60 0.00 0.00 7.5
18 7.56 14.20 250.00 0.00 0.00 83.3
77 FERM BP-5544 48 7.58 0.00 290.00 23.10 28.70 96.7
68 7.97 0.00 269.00 22.10 39.30 89.7
18 7.56 15.80 261.00 0.00 0.00 87.0
78 FERM BP-2307 46 7.56 0.00 289.00 21.80 25.00 96.3
68 7.90 0.00 240.00 19.00 23.10 80.0
Amycolate 18 7.40 111.00 200.00 0.00 0.00 66.7
79 autotrophica 46 7.38 15.20 274.00 0.00 19.70 91.3
ATCC 33796 68 7.97 0.00 246.00 0.00 14.00 82.0
Sphingomonas 18 7.06 265.00 0.00 0.00 0.00 0.0
80 IFO 15500 46 7.07 316.00 26.90 3.83 0.00 9.0
68 7.05 259.00 0.00 0.00 0.00 0.0
Sphingomonas 18 4.49 246.00 0.00 0.00 0.00 0.0
81 IFO 13935 46 4.51 302.00 22.30 0.00 0.00 7.4
68 4.47 239.00 19.40 0.00 0.00 6.5
Sphingomonas 18 4.92 228.00 0.00 0.00 0.00 0.0
82 IFO 15100 46 4.76 302.00 13.40 0.00 0.00 4.5
68 4.68 244.00 28.30 0.00 0.00 9.4
Sphingomonas 18 4.92 225.00 0.00 0.00 0.00 0.0
83 IFO 15102 46 4.90 296.00 16.10 0.00 0.00 5.4
68 4.87 219.00 0.00 0.00 0.00 0.0
Sphingomonas 18 7.11 210.00 0.00 0.00 0.00 0.0
84 IFO 15099 46 5.38 274.00 0.00 0.00 0.00 0.0
68 5.05 167.00 10.90 0.00 0.00 3.6
Sphingomonas 18 7.13 245.00 0.00 0.00 0.00 0.0
85 IFO 12533 46 7.76 286.00 0.00 0.00 0.00 0.0
68 8.07 203.00 23.40 4.03 8.20 7.8
Sphingomonas 18 5.09 233.00 0.00 0.00 0.00 0.0
86 IFO 13937 46 5.13 260.00 23.00 0.00 0.00 7.7
68 5.13 199.00 0.00 0.00 0.00 0.0
Sphingomonas 18 7.41 230.00 0.00 0.00 0.00 0.0
87 IFO 15033 46 7.66 269.00 0.00 0.00 0.00 0.0
68 7.74 210.00 23.70 0.00 0.00 7.9
Sphingomonas 18 8.30 232.00 0.00 0.00 0.00 0.0
88 IFO 15098 46 8.33 270.00 13.70 0.00 0.00 4.6
68 8.41 239.00 0.00 0.00 0.00 0.0
表中、
C H 0: コレステロール
25 (OH)- C HO: 25—ヒ ドロキンコレステロール
17, 25 (OH)- CHO: 17, 25—ジヒ ドロキシコレステロール
25, 26 (OH)- CHO : 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロール 産業上の利用可能性
本発明によれば、 25—ヒ ドロキシコレステロールを初めとするヒ ド 口キシル化コレステロールが効率よく製造できるとともに、 新規なヒ ド ロキシル化コレステロールとして 17, 25—ジヒ ドロキシコレステロ ールおよび 25, 26—ジヒ ドロキシコレステロールが提供される。 こ れらの化合物は、 例えば、 ビタミ ン D類の製造用中間体として有用であ り、 医薬品製造業において利用可能であろう。