明 細 書
発明の名称
ペンゾフ ラ ン誘導体、 その製造法及びそれを有効成分と する医薬
技術分野
本発明は、 了ラキ ドン酸カスケ一ドの リ ポキシゲナ一ゼ 系代謝酵素のうち、 5-リ ポキシゲナーゼ阻害活性を有し、 この作用に基づく、 気管支喘息などのアレルギー性疾患や 各種炎症の治療や予防に有効なベンゾフ ラ ン誘導体、 その 製造法及びそれを有効成分と して含有する医薬に関する。 背景技術
気管支喘息などの了レルギ—性疾患や、 各種炎症には、 ヒスタ ミ ン、 セ ト ニン、 プ スタグラ ンジン (PG) 、 π ィ コ ト リ ェン (LT) 、 ト ϋ ンボキサン (ΤΧ) 、 血小板活性 化因子、 リ ゾレシチ ン、 各種リ ンホカ イ ンなど多数の因子 が関与しているが、 これらの因子の中で PGとし Τはその数と 生理活性の多様性から、 了レルギ一性疾患や各種炎症反応 に特別に重要な役割を果たしている。 ァラキ ドン酸代謝系 に異常が起こると、 細胞内において PG、 LT、 TXなどのァラ キ ドン酸代謝産物の産生過剰や産生不足が生じてそれらが 原因となって血管透過性亢進、 気管支収縮、 血小板凝集促 進反応などいろいろな病的状態が出現し、 各種炎症ゃ了レ ルギ一性疾患の起因となっている。 了ラキ ド ン酸代謝経路 に関与するいろいろな酵素を特異的に阻害する薬剤が抗炎 症剤と して数多く開発されている。 例えばシク ロォキシゲ
ナーゼ活性を阻害し、 その結果 PG生成を抑制することによ り抗炎症作用を示す薬剤と して、 アス ピ リ ンやイ ン ドメ タ シンなど非ステロィ ド抗炎症剤がある。 これらは PG系が闋 与する炎症には有効であるが、 LTを起因とする炎症を抑制 する作用はない。 気管支喘息の強力なケ ミカルメディ エー ターと して了ナフィ ラキシ一の遅反応性物質(s l ow
react i ng s ubstance of anaphy l ax i s ; SRS-A の存在が 明らかにされている。 この SRS-A は CTC4、 LTD4及び LTE4の 混合物である。 また、 LTB 4は強力な白血球誘引作用、 白血 球活性化作用を有し、 炎症への関与が注目されている。 従 つて、 了ラキ ドン酸からこれら LTを産生する際の初発酵素 である 5-リ ポキシゲナーゼを阻害する化合物は、 気管支喘 息などのアレルギー疾患や、 各種炎症に対する治療や予防 に有効であると予想される。
このような観点から 5-リ ポキシゲナーゼ活性を阻害する 化合物が数多く報告されており、 例えば特開平 1 —213276 号公報には 5-リ ポキシゲナーゼ阻害及び TXA2生合成阻害作 用を有するベンゾフ ラ ン誘導体が記載されている。
しかしながら、 従来 5-リ ポキシゲナーゼ阻害活性を有す ると報告されている化合物は、 その抗アレルギー作用、 抗 炎症作用及び安全性において充分満足すぺきものではなく、 未だ医薬品と して上巿されていないのが現状である。
そこで本発明者らは、 5 -リ ポキシゲナ一ゼ阻害活性を抗 炎症剤ゃ抗アレルギー剤をスク リ ーニングする指標と して、 数多く の微生物の代謝産物をスク リ ーニングしてきたとこ
ろ、 Cod i naea属に属する微生物によつて産生される新規な ベンゾフラ ン誘導体が著明な 5-リ ポキシゲナ一ゼ阻害作用 抗炎症作用及び抗アレルギー作用を有し、 医薬品と して有 用であることを見出し本発明を完成した。
発明の開示
本発明は、 次の一般式 ( I )
〔式中、 R 1及び R2は同一又は異なって、 氷素原子又は低級 了ルキル基を示し、 R3は- CH=CH-CH=CH-CH 3基又は
-(CH 2) 4 CH3基を示す〕 .
で表わされるベンゾフ ラ ン誘導体、 その製造法、 当該化合 物を有効成分と して含有する医薬及び当該化合物を産生す る微生物を提供するものである。
図面の簡単な説明
図 1 は Cod i na ea sp. MM-167 を三浦培地で生育させたと きに気菌糸先端に形成される分生子の形態を示す写真であ る。 図 2 は化合物 1 の紫外線吸収スぺク トルを示す。 図 3 は化合物 1 の赤外線吸収スぺク トルを示す。 図 4 は化合物 1 の核磁気共鳴スぺク トルを示す。 図 5 は化合物 2 のマス スぺク トルを示す。 図 6 は化合物 3 のマススぺク ト ルを示 す。 図 7 は化合物 4のマススぺク トルを示す。 図 8— 1及 び図 8— 2 は、 化合物 1 のマウス耳介浮腫抑制作用を示す 図面である。
発明を実施するための最良の形態
本発明のベ ンゾフ ラ ン誘導体 (本発明化合物) を示す一 般式 ( I ) 中、 R
1及び R
2で示される低級アルキル基として は炭素数 1 〜 3 のアルキル基が挙げられ、 具体的にはメ チ ル基、 ェチル基及び n-プロ ピル基を挙げることができる。 また、 一般式 ( I ) において R
3が- CH=CH- CH=CH- CH
3基であ る場合には、 当該 2個の二重結合に基づく 4種の幾何異性 体が存在し、 また不整炭素原子に基づく光学異性体が存在 するが、 本発明はいずれの異性体をも包含するものである, 本発明化合物のうち、 2-(1, 3 -ペンタ ジェニル) -2, 3 -ジ ヒ ドロ -4, 6-ジヒ ドロヰシベンゾフラ ン (一般式 ( I ) 中、
;£下化合物 1 ) は、 例え ば Codinaea属に属し、 化合物 1 を産生する能力を有する微 生物を培養し、 この培養液から化合物 1 を採取することに よつて製造することができる。
化合物 1 を産生する能力を有する菌株の例と しては、 神 茶川県南足柄市の土壌より分雜した Codinaea sp. MM-167
(工業技術院微生物工業技術研究所に寄託蕃号 PBRM P - 11088 と して寄託されている。 以下 MM - 167铢という) が挙 げられる。
MM - 167株の菌学的性質は以下の通りである。
(1) 各種培地における生育状態と形態
①麦芽エキス寒天培地
生育は良好で、 白色の気菌糸を形成する。 培地の裏 面には淡褐色色素を生じる。
②ポテ トデキス ト "P —ス寒天培地
生育はやや不良である。
③オー ト ミ ール寒天培地
生育はやや不良である。
④三浦培地又はェビォス培地
気菌糸先端に分生子を形成する。 分生子は半月型で 大きさは 12~16x 3 ~ 4 umであって、 両端に細毛 (長さ 4〜10 im) を有する。 分生子の形態を示す 写真を図 1 に示す。
(2) 生育温度
約 15 :〜 32 で生育し、 25で近辺で最も良く生育する。 以上の性妆から、 MM-167株は Codinaea属に属する菌であ ると同定される。
MM - 167株は、 他の菌類の菌株と同様にその性状が変化し 易く、 例えば紫外線、 X線或いは各種薬品などを用いる人 ェ的な変異手段により容易に変異株を得ることが可能であ るが、 このようにして得られた変異株も化合物 1 を産生す る限り、 本発明に使用することができる。
本発明により、 化合物 1 を製造するには、 まず前記菌株 を通常の菌類が増殖しう る栄養源を含む培地で好気的に培 養する。 栄養源と しては、 従来から菌類の培養に用いられ ている公知のものが使用できる。 培地と しては、 特に麦芽 エキス培地と して知られている麦芽エキス、 ペプ ト ン及び グルコ ースからなる培地、 或いは C4培地などの液体培地が 好適に用いられる。 培養法と しては公知の各種好気的培養
方法を用いることができるが、 液体培地による振盪培養法 が大量生産の上から最も好ま しい。 培養温度は約 15〜30で. 培地の PHは中性乃至微ァルカ リ性が好ま しい。 培養開始後 3〜 5 日経過すると培地中に化合物 1が蓄積されるので培 養を停止し、 培養液を濾別して培養上清を得る。 かく して 得られた培養上清から化合物 1を採取するには、 培養上清 を吸着カラムク αマ トグラフィ 一にかけた後、 メ タノ ール で溶出する。 5 -リ ポキシゲナーゼ阻害活性が認められる溶 出画分を減圧下で濃縮した後、 シ リ カゲルカ ラ ムにかける c 次に酢酸ェチルを 25〜 30%舍有する n-へキサンで溶出する c この溶出液を減圧下で濃縮して白色粉末を得る。 この白色 粉末を氷一エタ ノ ールで再結晶を行い、 白色板状の化合物 1を得ることができる。
本発明化合物のうち、 R3が-(CH2)4CH3基である化合物は、 例えば次の反応式に従って製造される。
(I)
(Π)
〔式中、 R1及び R2は前記と同じ意味を有する〕
すなわち、 一般式 ( Π ) の化合物を接触還元することに より、 一般式 (m) の化合物が得られる。 還元は、 パラジ ゥム活性炭に吸蔵した氷素ガスを用いて行なうのが好ま し い。
また、 本発明化合物のうち、 R1及びノ又は R2が低級アル キル基である化合物は、 例えば次の反応式に従って製造さ れる。
(IV) (V)
〔式中、 R4及び Rsのうち少なく とも一方は低級アルキル基 を示し、 R3は前記と同じ意味を有する〕
すなわち、 一般式 (IV) の化合物をアルキル化せしめる ことにより、 一般式 (V) の化合物が得られる。 了ルキル 化反応は、 通常の 0 -アルキル化反応を採用することができ. ジ了ゾメ タ ン、 ハロゲン化アルキル、 了ルキル硫酸等の了 ルキル化剤を用いて行なう ことができる。
本発明化合物は了ラキ ドン酸カスケ一ドにおける 5-リ ポ キシゲナ一ゼの著明な阻害作用 〔例えば、 化合物 1の 50% 阻害濃度 (IC50値) は 2. 0 X 10-6 〕 を示し、 その代謝産 '物である 5(S)-ヒ ドロペルォキシエイ コサテ ト ラ エ ン酸
( 5-HPBTB)、 ロイ コ ト リ ェン、 5 (S)-ヒ ドロキエィ コサテ ト ラェン酸 (5-HBTE) などの生成抑制作用を示す。 また本 発明化合物は、 ラ ッ ト におけるァラキ ド ン酸誘発足踱浮腫
を経口的に有意に抑制し、 またマ ウ スを用いたァラキ ド ン 酸誘発耳介浮腫を用量依存的に抑制する。 更に感作モルモ ッ ト肺切片より了ナフィ ラキシー反応に基づいて産生され る SRS-Aを濃度依存的に抑制する。 これらの実験結果及び 毒性試験による毒性が極めて低いことから、 本発明化合物 を有効成分と して舍有する医薬は気管支喘息などのアレル ギー性疾患ゃリ ゥマチ性疾患、 感癬その他各種炎症等の治 療 · 予防に有用である。
本発明化合物を有効成分と して含有する医薬は、 本発明 化合物をそのまま、 或いは公知の担体や賦形剤を用いて錠 剤、 カ プセル剤、 液剤、 注射剤、 坐剤等の剤型にして経口 的又は非経口的に投与することができる。 投与量はその対 象や経路、 症状などによって異なるが、 例えば成人の気管 支喘息に対して投与する場合は通常 0. 1 〜50mg Z kg体重程 度投与するのがよい。
実施例
次に実施例を挙げて本発明を詳細に說明するが、 本発明 はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例 1 (化合物 1 の製造)
ぐ培養 >
培地組成 (C4培地)
ノ ク ト ソ ィ ト ン (D i f co) 2. 5 g グルコ ース 2. 0 可溶性澱粉 (和光純薬) 1. 0 酵母エキス (D i f c o) 0. 4
肉エキス (極東製薬) 0. 1 C ^ 0. 2 2 HP 04 0. 005 精製水 100 mi H 7. 3 前記組成の C4培地 100m£を容量 500m£の三角フ ラスコ に 分注し、 121で、 20分間オー ト ク レーブ滅菌した。 この滅 菌培地に MM-167株一白金耳を接種し、 25でで毎分 250回転 の条件で 3 日間振盪培養して種培養と した。
化合物 1 を生産するために、 培地 1 リ ツ トルを容量 3 リ ッ トルの三角フ ラスコに新たに分注し、 121 :、 20分間 オー ト ク レープ滅菌して生産培地とし、 この培地に前記に よって調製した種培養液 20m£を接種し、 25 tで毎分 250回 転の条件で 3 日間振盪培養した。 このようにして得られた 培養液を吸引濾過して培養上清と菌体とに分離した。
ぐ精製〉
前記により得られた培養上清を吸着ク ロマ トグラフィ ー カ ラム HP - 20 (力 ラム長 35 αη、 力 ラ ム径 60MI ; 日本練氷社 製) にかけた後、 水、 10 %メ タ ノ 一ル、 50 %メ タノ ール、 100 %メ タノ ールの順に溶出した。 これらの各溶出画分の うち、 10 0 %メ タノ ール溶出画分のみに 5 -リ ポキシゲナ一 ゼ阻害活性が認められた。 この 5 -リ ポキシゲナーゼ阻害活 性が認められた画分を減圧下で濃縮乾固した後、 シ リ カゲ ルカ ラム (カ ラ厶長 40 cm、 力 ラ 厶径 60讓、 1 00 ~ 200 メ ッ シュ ;関東化学製) にかけた。 次に n-へキサン中の酢酸ェ
チルの濃度を段階的に上げつつ溶出を行った。 酌酸ェチル の濃度が 25〜 30%の溶出画分に 5-リ ポキシゲナ一ゼ阻害活 性が認められた。 この 5-リ ポキシゲナ一ゼ阻害活性が認め られた面分を減圧下で濃縮して白色粉末を得た。 次いでこ の白色粉末を少量のエタノ ールに溶解し、 白色粉末 lOmgZ πι2となるように水を加え、 5 でで一晩放置し、 108 mgの白 色板状の結晶を有する化合物 1を得た。
融点 125〜126 X:
比旋光度
[ 」 -ー15° ( C =2.0 、 エタ ノ ール)
D
紫外線スぺク ト ルを図 2 に示す。 ( 1 mgZ メ タ ノ ー
' ル)
赤外線吸収スペク トルを図 3 に示す。 (KBr 錠剤法) 400MHzプ ト ン核磁気共鳴スぺク トルを図 4 に示す。
(溶媒 : CDC^ 3、 内部基準物質 : (CH3)4Si)
£1上のデータよ り、 化合物 1 は 2_(1-ト ラ ンス, 3-ト ラ ンスペンタ ジェ二ル)— 2, 3-ジヒ ドロ -4, 6-ジヒ ドロキシぺ ンゾフ ラ ンと同定された。
実施例 2
パラジウム活性炭 500ingを 50m£のメタノ ールに懸濁し、 この懸濁液に氷素ガスを通気して飽和させ、 パラ ジウム活 性炭に水素ガスを吸蔵させた。 これに化合物 1 20.2 mgを 1 7 ^のメ タノ ールに溶解したものを加え、 30分間室温で攙 拌して反応させ、 2 - π -ペンチル- 2, 3-ジヒ ドロ - 4, 6-ジヒ ド Dキシベンゾフ ラ ン 〔一般式 ( I ) 中、 R^R^H, R3 =
-(CH2) 4CH3 : 化合物 2〕 を得た。 化合物 2 のマススぺク ト ルを図 5 に示す。
実施例 3
化合物 1 20.2 mgを 10» ^のメ タ ノ 一ルに溶解し、 ヱーテ ルに溶解したジ了ゾメ タ ンを加え、 室温で 12時間攪拌して 反応させ、 2-(1, 3-ぺンタ ジェニル) -2, 3 -ジヒ ド口 - 4-ヒ ドロキシ (又はメ トキシ) -6 -メ トキシ (又はヒ ドロキシ) ベンゾフ ラ ン 〔一般式 ( I ) 中、 1 =Η (又は CH3)、 R2=CH3
(又は H)、 R3=-CH=CH-CH=CH-CH3 : 化合物 3〕 を得た。 化 合物 3のマススぺク トルを図 6 に示す。
実施例 4
化合物 1 20. 2 mgをアセ ト ン 50? ^に溶解し、 ヨ ウ化メチ ル (CH3I) 3 gと炭酸カ リ ウム (K2C03) 60ingを加え、 901 で 5時間還流して 2- (1, 3 -べンタ ジェニル) - 2, 3 -ジヒ ドロ -4, 6-ジメ トキシベンゾフ ラ ン 〔一般式 ( I ) 中、 = = CH3, R3=-CH=CH-CH=CH-CH3 : 化合物 4〕 を得た。 化合物 4 のマススぺク ト ルを図 7 に示す。
実験例 1 (5-リ ポキシゲナーゼ阻害作用)
RBL- 1細胞 (rat basophil ic leukemia 、 大日本製薬よ り購入) 2. 5 X 107 細胞を、 0.1Mト リ ス ー塩酸緩衝液 (pH 7.5)で 2 回洗った後超音波で細胞を破砕する。 得られた細 胞破枠液を 100,00ϋ X gで 90分間超遠心にかけ、 その上清 を 5-リ ポキシゲナーゼ酵素液とする。 この酵素液 250 と 0.1Mト リ ス一塩酸緩衝液 (PH7.5) 1.75 i , ァラキ ドン 酸 100/i M 、 CaC^ 2 1 m£、 ATP (アデノ シ ン三燐酸) 1
及び本発明化合物 (最終濃度が 10 M、 3. 0 /ιΜ、 1. 0 xM . 0. 3 «uM 及び 0. 1 ίΜ からなる) とからなる反応液を 37t で 10分間反応させる。 反応液に 1 N - HC^ 50 ·2を加えて反 応を停止させ、 酌酸ェチル 6 m£で抽出する。 この抽出液を 減圧下で濃縮し、 この濃縮液を天野らの方法 (ビタ ミ ン、 59. 211-219 (1985) )に従って HPLCにかけ、 UV検出器で 5 - HBTBを定量する。 5-リ ポキシゲナーゼを 50%阻害する本発 明化合物の濃度 (IC5。) は、 5- HBTBの生成を、 対照群と比 較して、 50%抑制するときの本発明化合物の濃度で表され る。 結果を表 1 に示す。 本発明化合物は表 1から明らかな ように著明な 5 -リ ポキシゲナ一ゼ阻害活性を有している。 化合物 1 は特異的な 5 -リ ポキシゲナーゼ阻害作用を有する c
表 1
2 — 1 ラ ッ ト足踱浮腫抑制作用
化合物 1 の in vivo における抗炎症作用をラ ッ ト足踱浮 腫モデルを用いて実験した。 ' 体重 150~170gの 6週令の Wistar系雄性ラ ッ ト (日本チ ヤールス リバ一) を前日より絶食させ、 実験に供した。
対照 (溶媒 ; 0. 5 % ァラ ビ了ゴム) 投与群及び化合物 1 (200mgZkg体重) 投与群について各 10m£/kgの用量で経口 投与を行い、 投与後 2時間目にァラキ ド ン酸ナ ト リ ウ ム溶 液 ( 5 wg/mi 0. 1 M Carbonate buffer pH8.4) を足踱に 100 ^ずつ皮下注射し、 1時間後の足容積の増加量を求 めた。 足容積の増加は、 ァラキ ド ン酸投与 1 時間後の各.個 体足容積の測定値から、 ァラキ ド ン酸投与前 1時間の足容 積の値を差し引いて求めた。 対照投与群の足容量の増加量 (m£、 mean士 S. D. ) は 0.822 ± 0. 131 (n=10) であり、 化合 物 1投与群は 0.664± 0. 104(π= 8 ) であった。 化合物 1投 与群は対照投与群と比較して、 19.2%の浮腫抑制作用が認 められた。 前記 2群が等分散.(Snedecorの F検定、 p < 0. 05) であったので Student の t検定を行ったところ、 有 意な差が認められた ( pく 0. 05) 。
2 — 2 マ ウ ス耳介浮腫抑制作用
化合物 1 の in vivo における抗炎症作用を、 マ ウ ス耳介 浮腫モデルを用いて実験した。
ICR 系雄性マ ウ ス ( 8週令、 体重 29.9〜40.4g、 日本チ ヤ ー リレス リ ノ 一) をベ ン ト ノ ルピタ ー ルナ ト リ ウ ム (商 □ 名ネンブター ル, ダイナボッ ト一大日本製薬製) で麻酔し た後、 右耳の厚さをダイヤルシッ クネスゲージで測定した 次に化合物 1 および対照と して溶媒の了セ ト ンを
ずつ マイ ク ロ シ リ ンジで右耳内側に塗布し (塗布量は後述) 、 その 30分後にァラキ ドン酸 2 を同様に右耳内側に塗布し た。 ァラキ ドン酸塗布から 60分経過後、 右耳の厚さを測定
した。 マウスを頸椎脱臼にて致死させた後、 ィヤーパンチ で右耳の中央部を直径 7 πιπιの円形に切り取り重量を測定し た。 実験は 2回実施し、 1 回目は化合物 1 の塗布量を 4 mg 耳、 1 mg、 0. 4 ing、 0.04mg及び 0.004mgと し、 2回目は 1 mg、 0. 2 mg、 0.04mg、 0.008mg及び 0.0016mgと した。 化 合物 1、 及びァラキ ド ン酸は何れもアセ ト ンに溶解して用 結果を図 8 — 1 ( 1 回目の実験) 及び図 8— 2 ( 2 回目 の実験) に示す。 2回の実験でそれぞれの耳の厚さと重量 とはほぼ同じ結果となり、 化合物 1 は、 ァラキ ドン酸誘発 の耳介浮腫に対して用量依存的な浮腫抑制作用を示した。
2回の実験における 50%有効量の値 (50% effective dose. BDso) は非常に近接し、 0.03〜0.08mgZ耳の値を示 し
実験例 3 SRS- A産生抑制作用
SRS-Aの本態である LTC4、 LTD 4は了レルギ一性喘息など の極めて強力なケ ミ カルメディエーターである。 そこでモ ルモッ ト肺が抗原刺戟により産生する SRS-Aに対する化合 物 1 の抑制作用を生物学的に測定した。
Hartle 系雄性モルモ ッ ト の腹腔内に、 卵白了ルブ ミ ン 1 mgと完全フロイ ン ト了ジュバン ト 0. 5 ra£との乳濁液を注 入し、 更に 2〜 3週間後同様の抗原液を再度注入し感作を 行った。 感作モルモ ッ トを脱血致死させ、 タイ ロー ド液で 肺を灌流した後、 肺を細切し、 肺フ ラ グメ ン トを作成した この肺フラグメ ン ト 300mgを 2. 8 m£のタイ ロー ド液に浮遊
させ、 37 :で 20分間振盪した後、 この浮遊液に検体化合物 1を 0. 1 m£を添加し 5分間振盪した。 次に卵白アルブ ミ ン 溶液 0. 1 m£を添加 (最終抗原濃度 1 mgZrn ) し、 37^で 20 分間反応させた後、 メ タ ノ ール 12m£を添加し攪拌した。 次 いでこの反応液を遠心し、 その上清を減圧乾固し、 この乾 面物を氷 1 m£に溶解し、 その中に含まれる LT (SRS-A)を生 物学的測定に用いた。
産生される SRS - Aの測定は、 Hartley 系雄性モルモ ッ ト より摘出した回腸を用いて 10— 6M のア ト 口 ピン (Atropine) 及びピリ ラ ミ ン (Pyrilamine) 存在下、 回腸の収縮を計測 することにより行った。 標準サンプルの LTD こよる標準曲 線を作成し、 検体化合物 1 の SRS-A量を LT の量と して求 めた。 その結果、 化合物 1 による SRS-A産生阻害は濃度依 存的であり、 その 50%阻害濃度 ICs。は 4. 0 X 10— で、 5 - リ ポキシゲナーゼ阻害剤と して知られている AA-861の 1. 8 X 10"6M (Prostaglandins 26, 955-973 (1983) )と同等の作 用を有する。
実験例 4 マスゥにおける単回投与毒性試験
5週令の ICR 系雄性マ ウ ス (日本エスエルシーよ り購入) を 1群 5匹と して、 化合物 1をマ ウ スの静脈又は腹腔内へ 単回投与し、 14日間の死亡例を観察した。 静脈内投与の場 合は、 技術的に投与し得る最大投与量である 20mgZkgを投 与しても死亡例はなかった。 更に、 一般状態、 体重推移及 び剖検所見に異常は認められなかった。 マウ ス に対する化 合物 1 の静脈内単回投与による致死量は、 20mgZkg以上で
ある。 腹腔内等の場合は、 25mgZkg、 SOmgZkg及び 100 mg Zkgでは死亡例はなく、 体重推移においては、 50mgZkg及 び lOOmgZkgでは一過性の軽度の体重減少が認められたも のの、 その後の体重推移には異常が認められず、 その他の 一般状態及び剖検所見に異常は認められなかった。 化合物 1 のマウスに対する単回腹腔内投与による致死量は、 ほぼ 100 mgZkg以上であつた。
産業上の利用可能性
本発明の化合物は、 著明な 5-リ ポキシゲナーゼ阻害作用 を有し、 かつ優れた抗炎症作用及び抗アレルギー作用を有 し、 気管支喘息などのアレルギー性疾患やリ ウマチ性疾患、 乾癬その他の各種炎症などの治療 · 予防薬と して有用であ
BUDAPEST TREATY ON THE I NTERNAT 1 O-
NAL RECOGNITION OF THE DEPOS IT OF
MI CROORGANI SMS FOR THE PURPOSES OF
特許手 SLhの 生物の寄託の田際的承 ί§ ^ PATENT PROCEDURE
に関するブダペスト J
RECE I PT I N THE CASE OF AN OR ! G I NAL DEPOS I T
下 K国際寄託当局によって規則 7. 1に従い
発行される i s s ued p u r s u i Ru l e 7. 1 by t he
1 NTERNAT I ONAし ITARY AUTHOR ITY 原寄託についての受託証 i d en t i f i ed a t h e bo t t om o f t h i s a ge. (名称) 明治乳難式会社
{¾¾取«役 中山 悠
寄託者
あ て 名 © 104
東京都中央区京椟 2丁目 3 * 6号
I. ¾生物の表示
(寄託者が付した »別のための表示) (受託 *号)
Cod i na e a s p. MM- 167 ェ研条寄第 3190 ^
( FERM BP - 3190 )
Π. 科学的性?!及び分類学上の位 S
I «3の BS生物には、 次の寥項を R載した文害が添付されていた。
Ξ科学的性 R
Ξ分類学上の位 s
I. 受領及び受託
本 Ε際寄託当局は、平成 元年 10月 30曰 (原寄託日) に受領した I描の? ¾生物を受託する c
成 元年 10月 30日に寄託された JSェ研 S寄第 P- 11088 号より移管)
IV. 田 寄託当局
通 商 産 業 省 ェ 茱 技 術 院 ¾ 生 物 工 業 技 術 研 究 所 名 称
あて名: 日 本 E 茨 城 県 つ く ば 市 東 1 丁 目 1 ¾ 3 号 ( 郵 便 番 号 3 0 5 )
1-3. H I g a s h 1 1 c h ome Tsukuba-s h l I ba rak l -ken
305. JAPAN 平成 2年 (1990) 12月 6曰