JPWO2022113779A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、絶縁層を複数積層してなる積層基板、および積層基板の製造方法に関する。
従来、導体をパターニングした絶縁層を複数重ねてなる積層基板が知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1の積層基板は、表面のグランド導体のうち平面視して信号線路と重ならない箇所を除去し、絶縁層に凹みまたは穴を設けている。
特許文献1の積層基板は、伝送線路の電気特性を低下させることなく、可撓性を高めることが可能な樹脂積層基板である。
これに対し、本発明は、伝送線路の電気特性を向上させることができる積層基板および積層基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の積層基板は、主面に導体が形成された絶縁層を複数積層してなる積層基板であって、前記導体により構成される信号線路と、前記導体により構成され、前記信号線路に平面視して重なる部分を有するシールド導体と、を備え、前記シールド導体は、開口が設けられ、前記絶縁層は、前記開口に連通し、前記開口よりも平面視して大きな空孔が形成されている。
この様に、本発明の積層基板は、シールド導体と平面視して重なる部分に空孔が形成されていることで、シールド性の低下を防止しつつ誘電率および誘電損失を低下させることができ、伝送線路の電気特性を向上させることができる。
この発明によれば、伝送線路の電気特性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態に係る積層基板1について説明する。図1は、積層基板1の斜視図である。図2は、積層基板1の平面図である。図3は、図2中にA-Aで示す位置での積層基板1の側面断面図である。
図1に示すように、積層基板1は、一方向に長い直方体形状である。積層基板1は、不図示の実装用の端子等を備えている。
積層基板1は、上面側から順に、樹脂基材11A、樹脂基材11B、樹脂基材11Cおよび樹脂基材11Dが積層されてなる。これら樹脂基材11A、樹脂基材11B、樹脂基材11Cおよび樹脂基材11Dは、それぞれ本発明の絶縁層の一例である。なお、絶縁層の積層数は、本実施形態に示す積層数に限らない。
樹脂基材11A、樹脂基材11B、樹脂基材11C、および樹脂基材11Dは、同種の熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂は、例えば液晶ポリマ樹脂である。液晶ポリマ樹脂以外の熱可塑性樹脂は、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PPS(ポニフェニレンスルファイド)、PI(ポリイミド)等があり、液晶ポリマ樹脂に代えてこれらを用いてもよい。また、本発明の絶縁層としては、熱可塑性樹脂に限らず、例えばセラミック等を用いることも可能である。
各樹脂基材は、上面または下面に導体(例えば銅)が形成されている。例えば、樹脂基材11Aは、上面に導体パターン20が形成されている。樹脂基材11Bは、上面に導体パターン131Aが形成されている。樹脂基材11Cは、上面に導体パターン50および導体パターン131Bが形成されている。樹脂基材11Dは、下面に導体パターン30が形成されている。各導体パターンは、積層前に形成されている。
導体パターン20および導体パターン30は、基準電位(グランド電位)となり、シールド導体として機能する。導体パターン50は、信号線路として機能する。導体パターン20は、積層基板1の上面を覆い、導体パターン30は、積層基板1の下面を覆っている。導体パターン50は、平面視して積層基板1の長軸方向に沿って長い矩形状に形成されている。ただし、信号線路およびシールド導体の配置態様は、本実施形態で示す構造に限らない。本発明は、少なくとも信号線路と、該信号線路に平面視して重なる部分を有するシールド導体と、を備えていていればよい。
樹脂基材11Aには、層間接続導体13Aが設けられている。導体パターン20および導体パターン131Aは、層間接続導体13Aにより電気的に接続されている。樹脂基材11Bには、層間接続導体13Bが設けられている。導体パターン131Aおよび導体パターン131Bは、層間接続導体13Bにより電気的に接続されている。樹脂基材11Cには、層間接続導体13Cが設けられ、樹脂基材11Dには、層間接続導体13Dが設けられている。層間接続導体13Cと層間接続導体13Dとは平面視して(積層方向から視て)重なり、導体パターンを介さずに直接接触している。導体パターン131Bおよび導体パターン30は、層間接続導体13Cおよび層間接続導体13Dにより電気的に接続されている。
導体パターン20および導体パターン30は、開口10が設けられている。開口10は、平面視して円形状である。開口10の直径は、導体パターン30の幅よりも小さい。開口10の直径が導体パターン30の幅より小さいことで、ノイズ放射を抑制できる。開口10は、平面視して導体パターン30を幅方向に挟むように等ピッチで複数設けられている。図2の例では、開口10の形成されているピッチは開口10の直径の2倍である。ただし、開口10の数、形状、大きさ、およびピッチ等は、本実施形態の例に限るものではない。また、全ての開口10の形状および大きさが同じである必要もない。
樹脂基材11Aのうち、平面視して開口10に重なる位置には、空孔15が設けられている。樹脂基材11Dも同様に、平面視して開口10に重なる位置には、空孔15が設けられている。空孔15は、開口10から樹脂基材11Aおよび樹脂基材11Dをエッチングすることで形成する。樹脂基材11Aおよび樹脂基材11Dは、等方性エッチングにより、開口10の直下だけでなく導体パターン20および導体パターン30の直下も除去される。これにより、空孔15は、開口10に連通する。また、空孔15の径は、開口10の径よりも平面視して大きくなる。なお、層間接続導体13A(層間接続導体13D)と開口10の距離は、例えば、開口10の直径以上離れている方が好ましい。
シールド導体である導体パターン20および導体パターン30の直下は、絶縁層が除去されている。絶縁層が除去されている箇所は、絶縁層のある部分に比べて、誘電率および誘電損失が低下する。一方で、絶縁層が除去されている箇所は導体パターン20および導体パターン30の直下であるため、シールド性は低下しない。これにより、本実施形態の積層基板1は、シールド性の低下を防止しつつ誘電率および誘電損失を低下させることができ、伝送線路としての電気特性を向上させることができる。
図4は、積層基板の製造方法を示す図である。積層基板の製造方法は、まず絶縁層である樹脂基材を用意して導体パターンを形成し、回路を形成する回路形成工程(S11)を行う。
樹脂基材は、一方の主面全体に予め金属(例えば銅箔)が貼り付けられた状態の樹脂シートから、必要とする面積を切り出すことで用意される。樹脂基材11は、銅箔をパターニングすることで、導体パターンを形成する。パターニングの手法は、例えばフォトリソグラフィやスクリーン印刷を用いる。開口10は、導体パターン20および導体パターン30を形成する際に形成する。ただし、樹脂基材の積層後あるいは熱プレス後に形成してもよい。
次に、レーザ加工等により、積層方向に樹脂基材を貫通する貫通孔を形成し、導電ペーストを充填することで層間接続導体を形成する(S12)。導電ペーストは、スズや銅を主成分とした導電性材料からなる。
次に、各絶縁層(樹脂基材11A、樹脂基材11B、樹脂基材11Cおよび樹脂基材11D)を積層する(S13)。その後、加熱プレス機により熱プレス(S14)を行うことで、積層基板1を形成する。
その後、不図示の端子等、開口10以外に絶縁層が露出している箇所をマスキングし(S15)、積層基板1にエッチングを行うことで、空孔15を形成する(S16)。
なお、開口10および空孔15は、積層基板1の両主面に形成する必要はない。図5(A)は、変形例1に係る積層基板1Aの断面図である。図3と共通する構成は同一の符号を付し、説明を省略する。図5(A)の例は、開口10および空孔15は、導体パターン20側の主面にのみ形成されている。あるいは、開口10および空孔15は、導体パターン30側の主面にのみ形成してもよい。
図5(B)は、変形例2に係る積層基板1Bの断面図である。図3と共通する構成は同一の符号を付し、説明を省略する。変形例2に係る積層基板1Bの空孔15は、複数の絶縁層をまたいで形成されている。例えば、図5(B)の例では、空孔15は、樹脂基材11Aおよび樹脂基材11Bをまたいで形成されている。この様に、空孔15は、複数の絶縁層をまたいで形成されていてもよい。
図6は、変形例3に係る積層基板1Cの平面図である。図6に示す様に、開口10は、平面視して信号線路である導体パターン50に重なっていてもよい。この場合、導体パターン50のうち空孔15に平面視して重なる面積が大きくなるため、より誘電率および誘電損失を低下させることができる。一方で、空孔15は、必ずしも導体パターン50に平面視して重なる必要はない。導体パターン50およびシールド導体に形成される電場は、導体パターン50およびシールド導体の重なる位置に限らない。したがって、空孔15は、導体パターン50に平面視して重なっていなくても、導体パターン50の近傍に形成されていれば誘電率および誘電損失を低下させることができ、伝送線路の電気特性を向上させることができる。
図7(A)は、変形例4に係る積層基板1Dの断面図である。図3と共通する構成は同一の符号を付し、説明を省略する。変形例4に係る積層基板1Dの開口10は、平面視して導体パターン50と重なっている。また、空孔15は、導体パターン50まで達している。すなわち、開口10と導体パターン50は、空孔15を介して連通している。この場合、さらに誘電率および誘電損失を低下させるができる。
図7(B)は、変形例5に係る積層基板1Eの断面図である。積層基板1Eは、積層基板1Dに対して、導体パターン20側の主面がカバー層100で覆われている。カバー層100は、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)からなる。カバー層100により、導体パターン50は外部に露出しない。積層基板1Eはカバー層100に覆われていても、空孔15は維持されているため、積層基板1Dと同様に、さらに誘電率および誘電損失を低下させるができる。
次に、図8(A)乃至図8(C)は、開口の形状の変形例を示す平面図である。上述の様に、開口の数、形状、大きさ、およびピッチ等は、図2の平面図で示した様な例に限るものではない。本発明の開口は、図8(A)に示す様に積層基板1Fの幅方向に沿って長い開口10Aであってもよいし、図8(B)に示す様に積層基板1Gの長辺方向に沿って長い開口10Bであってもよい。また、本発明の開口は、図8(C)に示す積層基板1Hの様に、導体パターン20をメッシュ状に除去した開口10Cであってもよい。
図9は、図8(A)中にA-Aで示す位置での積層基板1Fの側面断面図である。図9に示す様に、複数の開口が近接して配置される場合、各開口に連通する空孔同士がつながる場合もある。図9の例は、複数の開口10Aにそれぞれ連通する複数の空孔がつながって構成された空孔15Aを示す。この様に、ある断面で見てシールド導体は絶縁層から浮いている場合もある。例えば、空孔15Aの深さよりも開口10Aのピッチのほうが小さい方が好ましい。この様に導体の開口率(開口10Aのピッチ)を抑え、空孔15Aを拡げることで、空孔15Aの部分にかかる電界を確保し、所望の効果(電気的特性の向上)を確保することができる。
図10は、導体パターン50Aおよび導体パターン50Bが形成されている積層基板1Gの平面図である。導体パターン50Aおよび導体パターン50Bは、差動伝送線路を構成する。図10に示す様に、開口10および空孔15は、差動伝送線路の対称軸を挟んで積層基板1Gの幅方向に並んで対称に配置されている。そのため、積層基板1Gは、導体パターン50Aおよび導体パターン50Bの電気特性の対称性を維持し、伝送線路の特性を向上させることができる。
図11(A)は、曲げ領域90を有する積層基板1Hの平面図であり、図11(B)は、曲げ領域90を有する積層基板1Iの平面図であり、図11(C)は、曲げ領域90を有する積層基板1Jの平面図である。
図11(A)の積層基板1Hは、長軸方向の中央部に曲げ領域90を有する。曲げ領域90には、開口10および空孔15が設けられていない。このため、積層基板1Hは、曲げ領域90を積層方向に沿って曲げた場合に、開口10を起点としてシールド導体が破壊されることがない。曲げ領域90には、開口10および空孔15が設けられていないため、曲げ領域90以外の領域よりも誘電率および誘電損失が大きくなっている。しかし、導体パターン50は、曲げ領域90における幅が短くなっているため、導体パターン50のインピーダンスは一様になっている。
図11(B)の積層基板1Iも、長軸方向の中央部に曲げ領域90を有する。曲げ領域90には、開口10および空孔15が設けられている。ただし、曲げ領域90における開口10および空孔15のピッチは、他の領域のピッチよりも長くなっている。このため、曲げ領域90における開口10および空孔15の開口率は、他の領域の開口10および空孔15の開口率よりも小さくなっている。これにより、積層基板1Iは、曲げ領域90を積層方向に沿って曲げた場合に、開口10を起点としてシールド導体が破壊される可能性を低減する。また、曲げ領域90は、他の領域よりも開口10および空孔15の開口率が小さいため、曲げ領域90以外の領域よりも誘電率および誘電損失が大きくなっている。しかし、導体パターン50は、曲げ領域90における幅が短くなっているため、導体パターン50のインピーダンスは一様になっている。
図11(A)および図11(B)に示す様に、曲げ領域90における開口10および空孔15の開口率が、他の領域の開口10および空孔15の開口率よりも小さい場合、曲げ領域90を積層方向に沿って曲げた場合に、開口10を起点としたシールド導体の破壊を低減することができる。このため、特にシールド導体の弾性率が高い場合に好適である。
図11(C)の積層基板1Jも、長軸方向の中央部に曲げ領域90を有する。曲げ領域90には、開口10および空孔15が設けられている。ただし、曲げ領域90における開口10および空孔15の開口率は、他の領域の開口10および空孔15の開口率よりも大きくなっている。具体的には、図11(C)に示す曲げ領域90の開口10および空孔15の数は、他の領域の数の1.5倍になっている。また、曲げ領域90の開口10および空孔15は、幅方向に3つ並んでいる。
これにより、積層基板1Jの曲げ領域90は、他の領域よりも曲げやすくなっている。曲げ領域90は、他の領域よりも開口10および空孔15の開口率が大きいため、曲げ領域90以外の領域よりも誘電率および誘電損失が小さくなっている。しかし、導体パターン50は、曲げ領域90における幅が長くなっているため、導体パターン50のインピーダンスは一様になっている。
図11(C)に示す様に、曲げ領域90における開口10および空孔15の開口率が、他の領域の開口10および空孔15の開口率よりも大きい場合、曲げ領域90を積層方向に沿って曲げやすくなる。このため、特に絶縁層の弾性率が高い場合に好適である。
図12は、接着層70A、接着層70B、および接着層70Cを備えた積層基板1Kの断面図である。積層基板1Kは、樹脂基材11A、樹脂基材11B、樹脂基材11Cおよび樹脂基材11Dが接着層を介して積層されている。接着層は、樹脂基材11A乃至樹脂基材11Dよりもエッチングレートの低い材料からなり、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる。接着層70Aは、樹脂基材11Aおよび樹脂基材11Bを接着する。接着層70Bは、樹脂基材11Bおよび樹脂基材11Cを接着する。接着層70Cは、樹脂基材11Cおよび樹脂基材11Dを接着する。
空孔15は、開口10から樹脂基材11Aおよび樹脂基材11Dをエッチングすることで形成する。しかし、接着層は、樹脂基材11Aおよび樹脂基材11Dよりもエッチングレートが低い。したがって、エッチングは、接着層70Aの上面および接着層70Cの下面で止まる。これにより、空孔15の深さが制御できる。
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、層間接続導体は、空孔15に露出しない方が好ましい。層間接続導体が空孔15に露出しないことで、導体の酸化による電気的特性の悪化を抑制できる。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J,1K…積層基板
10,10A,10B,10C…開口
11,11A,11B,11C,11D…樹脂基材
13A,13B,13C,13D…層間接続導体
15,15A…空孔
20,30,50,50A,50B,131A,131B…導体パターン
70A,70B,70C…接着層
90…曲げ領域
100…カバー層
10,10A,10B,10C…開口
11,11A,11B,11C,11D…樹脂基材
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Claims (7)
- 絶縁層を複数備える積層基板であって、
前記絶縁層の少なくとも1つの主面は導体を有し、
該積層基板は、
前記導体により構成される信号線路と、
前記導体により構成され、前記信号線路に平面視して重なる部分を有するシールド導体と、
を備え、
前記シールド導体は、開口を有し、
少なくとも1つの前記絶縁層は、前記開口に連通し、前記開口よりも平面視して大きな空孔を有する、
積層基板。 - 前記空孔は、複数の前記絶縁層をまたいでいる、
請求項1に記載の積層基板。 - 前記空孔は、平面視して前記信号線路と重なる部分を有する、
請求項1または請求項2に記載の積層基板。 - 前記積層基板は曲げ領域を有し、
前記曲げ領域と前記曲げ領域以外の領域とで、開口率が異なる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の積層基板。 - 前記開口と前記信号線路が前記空孔を介して連通している、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の積層基板。 - 前記積層基板の最外層において前記開口を覆うカバー層をさらに備えた、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の積層基板。 - 絶縁層を複数備える積層基板の製造方法であって、
前記絶縁層の少なくとも1つの主面は導体を有し、
該製造方法は、
前記導体をパターニングしてシールド導体を含む回路を構成する回路構成工程と、
前記絶縁層を積層して圧着する圧着工程と、
を行い、
前記圧着工程の後に前記シールド導体の開口から露出する少なくとも1つの前記絶縁層をエッチングすることで、前記開口に連通し、前記開口よりも平面視して大きな空孔を構成する空孔構成工程と、を行なう積層基板の製造方法。
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