JPWO2021053759A1 - ネットワーク制御装置、通信リソース割り当て方法および通信システム - Google Patents

ネットワーク制御装置、通信リソース割り当て方法および通信システム Download PDF

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Abstract

ネットワーク制御装置は、ネットワークを分割して仮想ネットワークであるスライスを生成するとともにスライスに通信リソースを割り当てるコントローラ(4)であって、生成済みのスライスに割り当てられた通信リソースの定められた期間における最大利用率の情報を含むリソース情報を、ネットワークを構成するネットワーク装置であるOLT(1)から取得して保持するリソース管理部(41)と、新たなスライスの生成要求を受けると、要求されたスライスの生成が可能か否かをリソース管理部(41)が保持するリソース情報に基づいて判定するリソース制御部(42)と、を備える。

Description

本発明は、ネットワーク制御装置、通信リソース割り当て方法および通信システムに関する。
近年、様々な形態の通信サービスが普及してきている。これに伴い、通信に対する要求条件が異なる複数のサービス、例えば、高データレートが要求されるモバイルブロードバンドサービス、高信頼性および低遅延が要求されるミッションクリティカルサービス、高密度なデバイスの収容が要求されるセンサ情報収集サービス、など、様々な通信サービスを一つの通信ネットワークに収容して提供する技術の検討が進められている。具体的には、通信ネットワークを論理的に分割して得られる複数の仮想ネットワークのそれぞれに通信サービスを割り当て、各通信サービスでは、割り当てられた仮想ネットワークを使用してデータの送受信を行う技術の検討が進められている。なお、通信ネットワークを論理的に分割して得られる仮想ネットワークはスライスとも呼ばれ、以下の説明ではスライスという表現を用いる。
スライスは、通信ネットワークを形成する各装置を制御するコントローラによって管理される。スライスを管理するコントローラは、通信ネットワークを形成する各装置が利用可能な通信リソースから、各スライスに割り当てられた通信サービスが必要とする通信リソースを装置ごとに確保してスライスに割り当てる。
要求される通信サービスを実現するために必要な通信リソースをスライスに割り当てるために、各装置が保有する通信リソースの情報を正確に、かつ効率よく収集して管理する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の発明では、物理ネットワークを監視する網監視装置が、物理ネットワークを構成する各装置が保有する通信リソースの情報および各装置間の接続情報をテーブル形式で保持し、スライスの割当要求があると、テーブルを参照して操作者に必要な情報を提供し、操作者がスライス設定のために行った操作結果に従い、スライスが生成される通信経路の途中に存在する各装置が保有する通信リソースの情報および各装置間の接続情報を更新する。
特開2016−116184号公報
特許文献1に記載の発明では、新たにスライスの割当要求があると、網監視装置は、物理ネットワークを構成する各装置に割り当てた通信リソース情報を参照して、利用可能な通信リソースの判定を行う。しかしながら、特許文献1に記載の網監視装置は、割り当て済みのスライスにおける通信リソースの実際の使用量を把握することができない。そのため、スライスを割り当てるサービスが要求する性能を満たすことができない通信リソースを割り当てる、または、過剰な通信リソースの割り当てを行いネットワーク全体の利用効率の低下を招く、といった問題が発生することがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ネットワークの利用効率が必要以上に低下するのを防止しつつ、サービスが要求する性能を満たすことが可能な通信リソースをスライスに割り当てることが可能なネットワーク制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを分割して仮想ネットワークであるスライスを生成するとともにスライスに通信リソースを割り当てるネットワーク制御装置であって、生成済みのスライスに割り当てられた通信リソースの定められた期間における最大利用率の情報を含むリソース情報を、ネットワークを構成するネットワーク装置から取得して保持するリソース管理部を備える。また、ネットワーク制御装置は、新たなスライスの生成要求を受けると、要求されたスライスの生成が可能か否かをリソース管理部が保持するリソース情報に基づいて判定するリソース制御部を備える。
本発明にかかるネットワーク制御装置は、ネットワークの利用効率が必要以上に低下するのを防止しつつ、サービスが要求する性能を満たすことが可能な通信リソースをスライスに割り当てることができる、という効果を奏する。
本発明の実施の形態1にかかる通信システムの一例を示す図 実施の形態1にかかるOLTおよびコントローラの機能ブロック構成の一例を示す図 実施の形態1にかかるコントローラのリソース管理部が保持するリソース情報の一例を示す図 ユーザデータの送信動作の一例を説明するための図 実施の形態1にかかるOLTのリソース情報生成部の動作を説明するための図 実施の形態1にかかるOLTのリソース情報生成部がリソース情報を生成する動作を説明するための図 実施の形態1にかかるOLTのリソース情報生成部がリソース情報を生成する動作を説明するための図 実施の形態1にかかるOLTのリソース情報生成部が生成するリソース情報の一例を示す図 実施の形態1にかかるOLTのリソース情報生成部の動作の一例を示すフローチャート 実施の形態1にかかるコントローラの動作の一例を示すフローチャート 実施の形態2にかかるOLTのリソース情報生成部が生成するリソース情報の一例を示す図 実施の形態3にかかるOLTのリソース情報生成部が生成するリソース情報の第1の例を示す図 実施の形態3にかかるOLTのリソース情報生成部が生成するリソース情報の第2の例を示す図 実施の形態1〜3にかかるコントローラを実現するハードウェアの一例を示す図 実施の形態1〜3にかかるOLTを実現するハードウェアの一例を示す図
以下に、本発明の実施の形態にかかるネットワーク制御装置、通信リソース割り当て方法および通信システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる通信システムの一例を示す図である。本実施の形態にかかる通信システム200は、受動光ネットワークシステムであるPON(Passive Optical Network)システム100と、レイヤ2スイッチ(L2SW:Layer 2 Switch)3−1〜3−mと、ネットワーク制御装置であるコントローラ4と、オーケストレータ5とを含んで構成される。なお、通信システム200はPONシステム100を複数含むが、図1では記載を省略している。また、以下の説明では、レイヤ2スイッチ3−1〜3−mに共通の事項の説明など、これらを区別する必要が無い場合、レイヤ2スイッチ3−1〜3−mをまとめてレイヤ2スイッチ3と記載する。
PONシステム100は、親局装置であるOLT(Optical Line Terminal)1と、子局装置であるONU(Optical Network Unit)2−1〜2−nとで構成される。なお、以下の説明では、ONU2−1〜2−nに共通の事項の説明など、これらを区別する必要が無い場合、ONU2−1〜2−nをまとめてONU2と記載する。
OLT1は、ONU2−1〜2−nと光ファイバを介して接続される。図1に示す例では、OLT1に接続された1本の光ファイバを受動素子にて分岐してONU2−1〜2−nを接続している。また、OLT1は、レイヤ2スイッチ3−1〜3−mと、コントローラ4とに接続される。OLT1に接続されるONU2およびレイヤ2スイッチ3の数は図1に示した内容に限定されない。OLT1に接続されるONU2が1台の場合もある。OLT1に接続されるレイヤ2スイッチ3が1台の場合もある。
ONU2−1にはセンサ6が接続され、ONU2−nには基地局7が接続される。基地局7は、例えば移動通信システムの基地局である。なお、センサ6および基地局7はONU2に接続される機器の例であり、ONU2に接続される機器はこれらに限定されない。また、図1ではONU2−1にセンサ6が直接接続される構成例としているが、例えば、ONU2−1に無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントを接続し、このアクセスポイントにセンサ6が接続される構成でもよい。ONU2−1に接続されるセンサ6は複数であってもよい。同様に、ONU2−nに接続される基地局7は複数であってもよい。また、各ONU2には複数種類の機器が接続されてもよい。
レイヤ2スイッチ3は、複数のOLT1と接続され、各OLT1からの通信トラヒックを集約し、コアネットワークへ転送する。また、レイヤ2スイッチ3は、コアネットワークからの通信トラヒックの宛先を識別し、宛先の機器が接続されているONU2を収容しているOLT1へ転送する。
コントローラ4は、OLT1および各レイヤ2スイッチ3と接続され、PONシステム100を構成するOLT1および各ONU2と、各レイヤ2スイッチ3とを制御する。なお、本実施の形態では、コントローラ4と各ONU2は直接接続されておらず、コントローラ4はOLT1を介して各ONU2の制御を行うことを想定しているが、コントローラ4と各ONU2が直接接続され、コントローラ4は各ONU2を直接制御してもよい。また、コントローラ4は、レイヤ2スイッチ3を介してOLT1および各ONU2を制御してもよい。この場合、レイヤ2スイッチ3は、コントローラ4からの制御用の通信トラヒックをユーザデータトラヒックと重畳してOLT1へ転送する処理と、OLT1からの制御用の通信トラヒックをユーザデータトラヒックから分離してコントローラ4へ転送する処理を行う。
コントローラ4は、制御対象機器、すなわち、通信システム200を構成する各通信装置、具体的には、OLT1、ONU2およびレイヤ2スイッチ3から通信リソースの利用状況に関する情報を収集する。また、コントローラ4は、オーケストレータ5からスライスの生成要求があると、要求を満たすスライスの生成が可能か否かを通信リソースの利用状況に基づいて判断し、生成が可能であれば、スライスの生成と、スライスへの通信リソースの割り当てとを行う。ここでの通信リソースの割り当てとは、生成したスライスでの通信で使用される通信リソースを確保する処理を意味する。確保された通信リソースは、OLT1によって各ONU2に割り当てられ、ONU2によるユーザデータの送信で使用される。なお、以下の説明では、通信システム200を構成する各通信装置をネットワーク装置と称する場合がある。また、以下の説明では、便宜上、「通信リソース」および「帯域」という表現を用いるが、これらは同じ意味である。
オーケストレータ5は、外部のアプリケーションまたはサービス需要者からの指示に従い、サービスの提供に必要な新たなスライスの生成要求をコントローラ4に対して行う。説明の便宜上、以下の説明では、オーケストレータ5による新たなスライスの生成要求を「通信リソース要求」と記載する。
なお、コントローラ4と各ネットワーク装置とを接続する物理的なネットワークは、制御用の通信トラヒックを伝送するための専用のネットワークであってもよいし、ユーザデータの伝送も行う共有のネットワークであってもよい。また、通信システム200を構成するネットワーク装置は、図1に示すOLT1、ONU2およびレイヤ2スイッチ3に限らず、ルータ装置であってもよい。
図2は、実施の形態1にかかるOLT1およびコントローラ4の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図2に示すように、OLT1は、フレーム送信部11、フレーム受信部12、GRANT生成部13、REPORT解析部14、トラヒックモニタ部15、リソース情報生成部16および帯域制御部17を備える。コントローラ4は、リソース管理部41およびリソース制御部42を備える。なお、図2において、破線の矢印はユーザデータの流れを表し、実線の矢印は制御に使用するデータである制御データの流れを表す。また、図2では記載を省略しているが、図1に示すように、コントローラ4には、OLT1の他にレイヤ2スイッチ3が接続される。また、通信システム200が複数のPONシステム100を含む構成の場合、コントローラ4には複数のOLT1が接続される。
OLT1において、フレーム送信部11は、コアネットワーク側から入力される下り方向のユーザデータとGRANT生成部13から入力されるPONシステム100の制御データとを集約し、宛先のONU2に対して転送する機能を具備する。
フレーム受信部12は、ONU2から入力される上り方向のユーザデータとPONシステム100の制御データとを分離し、ユーザデータをコアネットワークへ転送するとともに制御データをREPORT解析部14へ転送する機能を具備する。
GRANT生成部13は、ONU2に対して送信許可を与えるタイミングと送信を許可する時間の長さとを算出し、PONシステム100の制御データとしてフレーム送信部11へ出力する機能を具備する。
REPORT解析部14は、フレーム受信部12がONU2から受信した制御データを解析して、各ONU2がOLT1への送信のために保持しているデータのデータ量の情報を取得し、ONU2ごとにデータ送信用帯域の必要量を算出する機能を具備する。
トラヒックモニタ部15は、コアネットワークへ転送されるユーザデータのフレーム数、バイト数などを観測する機能を具備する。
リソース情報生成部16は、GRANT生成部13、REPORT解析部14およびトラヒックモニタ部15から入力される各情報の一部または全てに基づいて、各種通信サービスにおける要求遅延ごとの帯域利用率を算出する機能を具備する。要求遅延とは、通信サービスにおいてユーザデータを伝送する際に許容される最大の遅延時間である。例えば、要求遅延が1msの通信サービスの場合、この通信サービスで使用されるスライスを実現する各ネットワーク装置は、ユーザデータの伝送遅延時間が1ms以下となるようにユーザデータの中継処理を行う。リソース情報生成部16は、算出した帯域利用率をリソース情報としてコントローラ4のリソース管理部41へ送信する。
帯域制御部17は、REPORT解析部14が算出したONU2ごとのデータ送信用帯域の必要量に基づいて、コントローラ4のリソース制御部42により割り当てられた通信リソースを各ONU2にどのように使用させるかを決定し、決定結果をGRANT生成部13に通知する。
コントローラ4において、リソース管理部41は、OLT1のリソース情報生成部16から入力されるリソース情報を受け取って保持する。
リソース制御部42は、オーケストレータ5から新たなスライスの生成要求、すなわち、通信リソース要求を受けた場合、リソース管理部41が保持するリソース情報に基づいて、要求を満たすスライスの生成が可能か否かの判定処理と、スライスの生成が可能な場合にスライスに割り当てる通信リソースの決定処理とを行う。
図3は、実施の形態1にかかるコントローラ4のリソース管理部41が保持するリソース情報の一例を示す図である。リソース管理部41が保持するリソース情報は、通信サービスが利用する通信経路であるパスを示すパス情報と、スライスが割り当てられた通信サービスの要求遅延を示す遅延情報と、通信サービスに割り当てられた帯域の利用率を示す帯域利用率情報とを含む。
本実施の形態では、各ネットワーク装置がユーザデータの伝送遅延量を制御できることを想定している。図3では、伝送遅延量が1msの通信では50%の帯域を利用し、伝送遅延量が4msの通信でも50%の帯域を利用している場合のリソース情報の例を示している。リソース情報は、帯域利用率の代わりに、ビット/秒で表されるデータレートを含む構成であってもよい。また、リソース情報は、帯域利用率の代わりに、利用可能な帯域量を含む構成であってもよい。なお、説明を簡単化するため、図3では、ONU2−1からレイヤ2スイッチ3−1へのパスについての要求遅延ごとの帯域利用率のみをリソース情報として記載しているが、実際には、リソース情報は、他のパス、例えば、ONU2−1からレイヤ2スイッチ3−mへのパス、ONU2−2からレイヤ2スイッチ3−1へのパスなど、通信システム200内の全てのパスについての要求遅延ごとの帯域利用率を含む。
コントローラ4は、オーケストレータ5から通信リソース要求を受信した場合、要求されたスライスの設定が可能か否かを判断し、設定が可能な場合はスライスの設定および設定したスライスへの通信リソースの割り当てを行う。具体的には、通信リソース要求を受信した場合、リソース制御部42が、スライスを設定する装置間で利用可能な通信リソース量を、リソース管理部41が保持するリソース情報に基づいて算出する。そして、リソース制御部42は、利用可能な通信リソース量が要求された通信リソース量以上の場合、スライスの設定と、スライスへの通信リソースの割り当てとを行う。
次に、ONU2によるユーザデータの送信動作の例について、図4を用いて説明する。図4は、ユーザデータの送信動作の一例を説明するための図である。図4において横軸は時間を示す。
図4では、時刻tにパケット(1)〜(3)のパケット列203がONU2に入力されることを表している。また、パケット列203が入力された後は、パケット(1)206およびこれに続くパケット(1)が間欠的にONU2に入力されることを表している。図4に記載の複数のパケット(1)は、同じ種類のパケットであり、同じスライスで送信される。パケット(2)および(3)はパケット(1)とは異なる種類のパケットである。パケット(1)、(2)および(3)はそれぞれ異なるスライスで送信される。パケット(1)〜(3)の要求遅延は1msであるものとする。
図4において、202はOLT1のGRANT生成部13がONU2へ送信許可を与える時間スロットを示す。数字の1〜4は時間スロットの番号を示す。図4に示す例では各時間スロットの長さを250msとし、1ms周期でONU2に対して送信許可が与えられる。1msの周期でONU2に対して送信許可を与える場合、1周期を構成する時間スロットに空きがあれば、ONU2に入力するパケットの伝送遅延は1ms以下となり、要求遅延を満たすことができる。以下の説明では、OLT1がONU2に送信許可を与える周期を帯域更新周期と呼ぶ。帯域更新周期は各スライスの要求遅延に基づいてスライスごとに設定される。例えば、要求遅延が1msのスライスの帯域更新周期は1msに設定され、要求遅延が2msのスライスの帯域更新周期は2msに設定される。なお、図4では説明を簡単化するために時間スロットの長さを固定としたが、帯域更新周期ごとに動的に時間スロットの長さが変更されてもよい。また、1つの帯域更新周期に含まれる時間スロットの数が変更されてもよい。
図4において、201はONU2からOLT1へ送信されるユーザデータ(パケット)の送信タイミングを示す。帯域更新周期204ではパケット(1)、(2)および(3)が先頭から3つの時間スロット(番号が1〜3の時間スロット)でOLT1へ送信される。次の帯域更新周期205ではパケット(1)206が先頭の時間スロットでOLT1へ送信される。その後の6つの帯域更新周期ではパケット(1)が合計4回送信される。その他のパケットの送信は行われない。この場合、図4に示す8つの帯域更新周期、すなわち、8msの期間では、ONU2とOLT1との間の帯域利用率は平均で25%となる。
ここで、仮に、時刻tのタイミングで、要求遅延が1msのパケット(4)および(5)がさらに入力されたとする。この場合、一方のパケット、例えばパケット(4)は帯域更新周期204の空きスロット(先頭から4番目の時間スロット)でOLT1へ送信することが可能である。しかし、残りのパケット(5)は帯域更新周期204で送信することができず、次の帯域更新周期205での送信になってしまう。つまり、パケット(5)については要求遅延の1msを満たすことができず、要求を満たす通信を実現できない。
図4に示す内容でユーザデータが送信される場合、特許文献1に記載の網監視装置などの従来のネットワーク制御装置は、要求遅延が1msの通信に25%の帯域を割り当てており、残りの通信リソースとして75%の帯域が使用可能と判断する。つまり、帯域の利用率の平均値から、使用可能な帯域の値を判断する。しかし、図4に示す例の場合、帯域利用率の平均値は25%であっても、帯域更新周期204では一つのスロットしか空いておらず、要求遅延の1msを満たせる通信リソースの残量は25%となっている。
このように、間欠的にピークが訪れるトラヒックに対して、従来のネットワーク制御装置では、通信リソースの使用量の把握が十分ではなく、新たに通信リソース要求を受けた場合に、実際は要求を満たすことが困難な状態であってもスライス生成が可能と判断してスライスを生成することになる。
これに対し、本実施の形態にかかる通信システム200では、OLT1のリソース情報生成部16が、図5に示すように、サイズの異なる複数のウインドウそれぞれにおける通信リソースの利用率を求め、各ウインドウにおける通信リソースの利用率を示すリソース情報を生成してコントローラ4へ送信する。そして、コントローラ4が、各ウインドウにおける通信リソースの利用率に基づいて、要求を満たすスライスの生成が可能か否かを判定する。このようにすることで、図4に示す例のように通信リソースの使用量のピークが間欠的に訪れる場合であっても、要求を満たすスライスの生成の可否を精度よく判定することが可能となる。図5は、実施の形態1にかかるOLT1のリソース情報生成部16の動作を説明するための図である。リソース情報生成部16は、ONU2が送信するユーザデータに割り当てられたスロットの情報を、GRANT生成部13から取得し、図5に示すように、サイズの異なる各ウインドウでの帯域利用率を求める。各ウインドウのサイズすなわち時間幅は、設定された各スライスの要求遅延に等しい。図5に示す例では、リソース情報生成部16は、サイズが1msの各ウインドウにおける帯域利用率と、サイズが4msの各ウインドウにおける帯域利用率とを求めている。なお、要求遅延が1msおよび4ms以外のスライス、例えば要求遅延が8msのスライスが存在する場合、リソース情報生成部16は、サイズが8msの各ウインドウにおける帯域利用率も求める。
リソース情報生成部16が上記の各ウインドウにおける帯域利用率を求める際にGRANT生成部13から収集する情報は、ONU2に送信許可を与えるタイミング、送信を許可する時間の長さなど、ONU2に割り当てる帯域の情報である。通常、PONシステムでは、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation)と呼ばれる帯域割当アルゴリズムで周期的に、すなわち、帯域更新周期ごとに、ONUに対して送信許可を与えており、上記のウインドウは帯域更新周期と同期する。なお、帯域更新周期は、スライスごとの要求遅延に基づいて、各スライスに個別に設定される。リソース情報生成部16は、GRANT生成部13から上記の情報をONU2ごとに収集してもよいし、論理リンクID(LLID:Logical Link IDentifier)ごとに収集してもよい。また、本実施の形態ではIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3で規定されたE−PONシステムを想定して説明を行うが、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication standardization sector)で規定されたPONシステムでもよい。
リソース情報生成部16は、各ウインドウにおける帯域利用率をもとに、図6および図7のように、各要求遅延のウインドウそれぞれについて、帯域の最大利用率(Max)と、帯域の最小利用率(Min)と、帯域の平均利用率(Avg)とを求める。そして、リソース情報生成部16は、これらの情報をもとに、図8に示すような、各パスの要求遅延ごとの帯域利用率の情報を生成し、リソース情報としてコントローラ4へ送信する。図6および図7は、実施の形態1にかかるOLT1のリソース情報生成部16がリソース情報を生成する動作を説明するための図である。図8は、実施の形態1にかかるOLT1のリソース情報生成部16が生成するリソース情報の一例を示す図である。リソース情報は、少なくとも最大利用率を含んでいればよく、最小利用率および平均利用率については含まなくてもよい。
図5に示す例の場合、要求遅延が1msの通信における帯域利用率は75%となり、要求遅延が4msの通信における帯域利用率は31.25%となる。すなわち、図5および図6に示す例の場合、要求遅延が1msのウインドウにおける最大利用率が75%であるため、リソース情報生成部16は、図8に示すように、リソース情報の要求遅延1msの帯域利用率を75%とする。また、図5および図7に示す例の場合、要求遅延が4msのウインドウにおける最大利用率が31.25%であるため、リソース情報生成部16は、図8に示すように、リソース情報の要求遅延4msの帯域利用率を31.25%とする。最大利用率を帯域利用率として判定処理を行いスライスの生成および帯域の割り当てを実施することにより、要求を継続的に満たす通信を実現できる。
なお、図5〜図7に示す例では、リソース情報生成部16は、過去の8msの期間を対象として最大利用率、最小利用率および平均利用率を求めているが、これらの利用率を求める期間の長さは8ms以上としてもよい。その場合、期間の長さは要求遅延の最大値4msの整数倍とするのが望ましい。また、最大利用率、最小利用率および平均利用率を求める期間の長さは、要求遅延の値ごとに異なっていてもよい。例えば、要求遅延1msに対応するウインドウにおける最大利用率、最小利用率および平均利用率を求める期間を過去の5msとし、要求遅延4msに対応するウインドウにおける最大利用率、最小利用率および平均利用率を求める期間を過去の8msとしてもよい。
OLT1のリソース情報生成部16が図8に示す内容のリソース情報を生成してコントローラ4へ送信した場合、コントローラ4のリソース制御部42は、リソース情報に基づいて、1msの要求遅延を満たすことができる通信リソースの利用可能量が25%、4msの要求遅延を満たすことができる通信リソースの利用可能量が68.75%と判断する。そのため、リソース制御部42は、要求遅延が1msの新たな通信リソース要求をオーケストレータ5から受けた際、25%を超える通信リソースが要求された場合は通信リソースの割り当てが不可能、すなわち、スライス生成が不可能と判断することができる。このように、本実施の形態にかかるコントローラ4は、図4に示す例のように間欠的にピークが訪れるトラヒックが存在する場合であっても、要求を満たすスライスの生成の可否を精度よく判定してスライスの生成および通信リソースの割り当てを行うことができる。
OLT1のリソース情報生成部16は、定められた周期で、例えば、1ms周期で、リソース情報を繰り返し生成し、コントローラ4へ送信する。
なお、OLT1のリソース情報生成部16は、GRANT生成部13が出力する情報の代わりに、REPORT解析部14が出力する情報またはトラヒックモニタ部15が出力する情報を用いて、図8に示すリソース情報を生成してもよい。REPORT解析部14が出力する情報またはトラヒックモニタ部15が出力する情報を用いてリソース情報生成部16がリソース情報を生成する方法については、実施の形態2以降で説明する。
図9は、実施の形態1にかかるOLT1のリソース情報生成部16の動作の一例を示すフローチャートである。リソース情報生成部16は、図9に示すフローチャートに従った動作を定められた周期で実行してリソース情報を生成する。
リソース情報生成部16は、まず、ウインドウごとの帯域利用率を算出し(ステップS11)、定められた期間における最大利用率、最小利用率および平均利用率を算出する(ステップS12)。次に、リソース情報生成部16は、算出した最大利用率、最小利用率および平均利用率に基づいてリソース情報を生成し、コントローラ4へ送信する(ステップS13)。
また、図10は、実施の形態1にかかるコントローラ4の動作の一例を示すフローチャートである。コントローラ4は、図10に示すフローチャートに従って動作し、スライスの生成およびスライスへの通信リソースの割り当てを行う。
コントローラ4において、リソース管理部41は、OLT1のリソース情報生成部16が生成したリソース情報を受信したか否かを確認する(ステップS21)。リソース情報を受信した場合(ステップS21:Yes)、リソース管理部41は、保持しているリソース情報を更新、すなわち、今回受信したリソース情報の送信元のOLT1から過去に受信して記憶しておいたリソース情報を破棄し、今回受信したリソース情報を記憶する(ステップS22)。リソース情報を受信しない場合(ステップS21:No)、リソース管理部41は、ステップS22の処理を行わない。
リソース管理部41がステップS22の処理を実行するか、ステップS21での判定が「No」の場合、リソース制御部42は、通信リソース要求をオーケストレータ5から受信したか否かを確認する(ステップS23)。通信リソース要求を受信した場合(ステップS23:Yes)、リソース制御部42は、リソース管理部41が保持しているリソース情報に基づいて、通信リソース要求で要求されたスライスの生成が可能か否かを確認する(ステップS24)。スライスの生成が可能な場合(ステップS24:Yes)、リソース制御部42は、要求されたスライスを生成するとともに、生成したスライスに通信リソースを割り当てる(ステップS25)。ステップS25の処理が終了した後はステップS21に戻る。
通信リソース要求を受信しない場合(ステップS23:No)、および、通信リソース要求を受信したがスライスを生成できない場合(ステップS24:No)、コントローラ4の動作はステップS21に戻る。なお、ステップS24でスライスを生成できないと判断した場合、コントローラ4は要求を満たすスライスを生成できないことをオーケストレータ5に通知するなどしてもよい。
以上説明したように、本実施の形態にかかる通信システム200において、PONシステム100のOLT1は、定められた期間に含まれる、サイズの異なる複数のウインドウそれぞれにおける通信リソースの利用率を算出し、算出した利用率の中の最大値を含むリソース情報をコントローラ4に通知する。コントローラ4は、スライスの生成を要求する通信リソース要求を受けた場合、サイズの異なる複数のウインドウそれぞれにおける通信リソースの利用率の最大値に基づいて、要求されたスライスの生成が可能か否かを判定する。本実施の形態によれば、コントローラ4は、各ネットワーク装置で利用可能な通信リソースを正確に把握することができる。よって、コントローラ4は、必要最小限の通信リソースを各スライスに割り当て、ネットワークの利用効率が必要以上に低下するのを防止しつつ、要求性能を満たすことが可能な通信リソースをスライスに割り当てることが可能となる。
また、コントローラ4は、ONU2に送信許可を与えるタイミング、送信を許可する時間の長さなど、OLT1がONU2に割り当てる帯域の情報を参照し、ONU2からOLT1へ送信される信号の量を把握することにより、PONの制御で使用する帯域、および、OLT1がONU2からの信号を受信するために必要なオーバーヘッドの帯域を推定することが可能になる。これにより、コントローラ4は、PONの制御オーバーヘッドを除いた正味の利用可能帯域を算出できるという効果も得られる。
また、本実施の形態では、OLT1は、ウインドウごとの最大利用率を算出し、リソース情報としてコントローラ4に通知することとしたが、ある利用率が発生する確率分布を生成し、確率分布をリソース情報として通知してもよい。この場合、コントローラ4は、非常に低い確率で発生した最大利用率を除くなど、通信リソースの割り当ての際に要求達成確率を考慮した割り当てを行い、ネットワーク全体の利用効率を向上させることが可能となる。
また、本実施の形態では、OLT1は、ウインドウごとの最大利用率を算出し、リソース情報としてコントローラ4に通知することとしたが、平均利用率も通知し、コントローラ4は、平均利用率を用いて、通信リソースの割り当てを修正してもよい。これにより、ネットワーク使用料により料金が変化する従量課金のネットワークサービス利用者の費用面の負荷を軽減できるとともに、ネットワーク全体の利用効率を向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、OLT1がリソース情報生成部16を備え、リソース情報生成部16が生成したリソース情報をコントローラ4へ送信することとしたが、コントローラ4においてリソース情報を生成してもよい。すなわち、OLT1は、リソース情報生成部16がリソース情報を生成する際に使用する情報をコントローラ4へ送信し、コントローラ4は、OLT1から受信した情報に基づいて、OLT1のリソース情報生成部16と同様の処理を行ってリソース情報を生成してもよい。
実施の形態2.
つづいて、実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる通信システム構成は実施の形態1と同様である(図1参照)。そのため、本実施の形態でも図1を用いて説明を行う。また、通信システム200を構成するOLT1およびコントローラ4の機能ブロック構成も実施の形態1と同様である(図2参照)。そのため、本実施の形態でも図2を用いて説明を行う。なお、本実施の形態では、実施の形態1と共通の部分については説明を省略する。
上述したように、実施の形態1にかかるOLT1のリソース情報生成部16では、GRANT生成部13から出力される情報を用いてウインドウごとの帯域の最大利用率を算出し、リソース情報としてコントローラ4へ送信した。これに対して、実施の形態2にかかるOLT1のリソース情報生成部16は、REPORT解析部14から出力される情報を用いて、実施の形態1で説明したウインドウごとの帯域利用率を算出し、さらに、帯域の最大利用率を求める。
OLT1のREPORT解析部14は、各ONU2から送信されてくる制御データ(REPORT)の解析を行う。ここでの制御データはREPORTフレームである。REPORTフレームにはONU2の送信待機データの量を示す情報が含まれており、また、送信待機データの優先度、データの種別など、ONU2から送信されるデータに関する情報が含まれる。REPORT解析部14は、ONU2から送信されるデータに関する情報をREPORTフレームから抽出してリソース情報生成部16に出力する。
実施の形態2にかかるリソース情報生成部16は、実施の形態1と同様に、ウインドウを設け、REPORT解析部14から入力される情報に基づいて、各ウインドウにおける送信待機データのデータ量(以下、送信待機データ量とする)を算出する。
本実施の形態では、ONU2がユーザデータの優先度に応じてバッファを持ち、優先度が異なるそれぞれのバッファの送信待機データ量をREPORTフレームでOLT1へ通知することを想定する。以下、ONU2がREPORTフレームでOLT1に通知する送信待機データ量をREPORT量と称する。リソース情報生成部16は、ONU2が有するバッファごとのREPORT量に基づいて、ウインドウ内の高優先データおよび低優先データそれぞれの、ビット/秒で表されるデータレートを算出し、データレートから帯域の最大利用率を求める。
図11は、実施の形態2にかかるOLT1のリソース情報生成部16が生成するリソース情報の一例を示す図である。図11に示す内容のリソース情報の場合、要求遅延が1msの通信では、高優先のデータの送信における帯域利用率が25%、低優先のデータの送信における帯域利用率が50%であり、トータルで75%の帯域が使用される可能性がある。図11に示すリソース情報は、要求遅延ごと、かつユーザデータの優先度ごとの帯域利用率を示す。
REPORT量は、ONU2に接続された基地局、センサなどからONU2へ入力されたデータのデータ量を示す。そのため、コントローラ4では、図11に示すようなリソース情報を用いて、各要求遅延における優先度ごとのユーザデータの発生量を推定することが可能である。例えば、コントローラ4が新たな通信リソース要求を受信し、この通信リソース要求が、1msの要求遅延で高優先のユーザデータを送信するために30%の帯域利用を要求する内容である場合を考える。この場合、図11のリソース情報は要求遅延が1msのデータ送信用に75%の帯域が割り当て済みであることを示しており、30%の帯域を割り当てることはできない。そのため、コントローラ4のリソース制御部42は、低優先のユーザデータに割り当てる帯域のピーク量を5%減らすようOLT1に指示してトータルの帯域利用率を70%まで低下させる。この結果、30%の帯域を割り当てることが可能になるため、リソース制御部42は、新たな通信リソース要求に対応するスライスを生成して30%の帯域を割り当てる。
なお、本実施の形態にかかるOLT1において、リソース情報生成部16は、REPORT解析部14から取得した情報に基づいてリソース情報を生成することとしたが、同様の情報を帯域制御部17から取得する構成とし、帯域制御部17から取得した情報に基づいてリソース情報を生成してもよい。
以上説明したように、本実施の形態にかかるOLT1のリソース情報生成部16は、ONU2から受信するREPORTフレームに含まれる、ONU2が送信するユーザデータに関する情報に基づき、リソース情報を生成する。リソース情報は、要求遅延ごと、かつユーザデータの優先度ごとの帯域利用率を示す。これにより、コントローラ4は、要求遅延に加えて優先度ごとの帯域利用率を把握でき、通信リソース要求に対して、ユーザデータの優先度を考慮して帯域利用率の調整を行った上で、優先度の高いユーザデータの送信に通信リソースを優先的に割り当てることが可能となる。
本実施の形態では、OLT1は、ユーザデータの優先度ごとに、ウインドウごとの最大利用率を算出してリソース情報としてコントローラ4に通知することとしたが、ある利用率が発生する確率分布を生成し、確率分布をリソース情報として通知してもよい。この場合、コントローラ4は、非常に低い確率で発生した最大利用率を除くなど、通信リソースの割り当ての際に要求達成確率を考慮した割り当てを行い、ネットワーク全体の利用効率を向上させることが可能となる。
実施の形態3.
つづいて、実施の形態3について説明する。実施の形態3にかかる通信システム構成は実施の形態1と同様である(図1参照)。そのため、本実施の形態でも図1を用いて説明を行う。また、通信システム200を構成するOLT1およびコントローラ4の機能ブロック構成も実施の形態1と同様である(図2参照)。そのため、本実施の形態でも図2を用いて説明を行う。なお、本実施の形態では、実施の形態1,2と共通の部分については説明を省略する。
上述したように、実施の形態2にかかるOLT1のリソース情報生成部16では、REPORT解析部14から出力される情報を用いてウインドウごとの帯域の最大利用率を算出し、リソース情報としてコントローラ4へ送信した。これに対して、実施の形態3にかかるOLT1のリソース情報生成部16は、トラヒックモニタ部15から出力される情報を用いて、実施の形態1で説明したウインドウごとの帯域利用率を算出し、さらに、帯域の最大利用率を求める。
トラヒックモニタ部15は、各ONU2から送信されてくるユーザデータのフレーム数およびバイト長の統計を取り、リソース情報生成部16へ通知する。
トラヒックモニタ部15は、ユーザデータを送信するフレームのヘッダに含まれる制御情報、具体的には、宛先情報、ToS(Type of Service)およびCoS(Class of Service)といった優先度情報、スライスごとのデータ量の情報を収集することが可能である。
本実施の形態にかかるリソース情報生成部16は、トラヒックモニタ部15で収集された各種情報に基づいて、図12または図13に示すようなトラヒック情報を生成する。図12は、実施の形態3にかかるOLT1のリソース情報生成部16が生成するリソース情報の第1の例を示す図である。図13は、実施の形態3にかかるOLT1のリソース情報生成部16が生成するリソース情報の第2の例を示す図である。リソース情報生成部16は、図12に示すように、要求遅延ごとに、各優先度の帯域利用率を算出する。または、リソース情報生成部16は、図13に示すように、要求遅延ごとに、各スライスの帯域利用率を算出する。
リソース情報生成部16が図12に示す構成のトラヒック情報を生成する場合、コントローラ4のリソース制御部42は、新たな通信リソース要求に応じて新たに生成するスライスで送信されるユーザデータの優先度と、生成済みのスライスで送信されるユーザデータの優先度とを考慮して帯域の割り当てを行う。例えば、新たに生成するスライスで送信される第1のユーザデータの優先度よりも優先度が低い第2のユーザデータが送信されるスライスが存在する場合、リソース制御部42は、OLT1に指示を行い、優先度が低い第2のユーザデータが送信されるスライスへの通信リソースの割り当て量を減少させ、新たに生成するスライスに割り当てる通信リソースを確保する。
また、リソース情報生成部16が図13に示す構成のトラヒック情報を生成する場合、コントローラ4のリソース制御部42は、各スライスの帯域利用率を考慮し、新たな通信リソース要求に応じて新たに生成するスライスの経路を決定する。例えば、スライスを設定する2つのネットワーク装置の間に複数の他のネットワーク装置が存在し、設定するスライスの経路の候補が複数存在する場合、リソース制御部42は、スライスを設定する2つのネットワーク装置の間に存在する他のネットワーク装置のそれぞれから取得したトラヒック情報に基づいて、帯域利用率が低いネットワーク装置を経由する経路でユーザデータが転送されるようにスライスを設定する。
以上説明したように、本実施の形態にかかるOLT1のリソース情報生成部16は、トラヒックモニタ部15で収集された情報、具体的には、各ONU2から送信されてくるユーザデータのフレーム数およびバイト長といった統計情報と、フレームのヘッダに含まれる制御情報とに基づいて、リソース情報を生成する。リソース情報は、要求遅延ごと、かつユーザデータの優先度ごとの帯域利用率を示す。これにより、コントローラ4は、実施の形態2と同様に、ユーザデータの優先度を考慮して帯域利用率の調整を行った上で、優先度の高いユーザデータの送信に通信リソースを優先的に割り当てることが可能となる。または、リソース情報は、要求遅延ごと、かつ設定済のスライスごとの帯域利用率を示す。これにより、コントローラ4は、スライスを設定する2つのネットワーク装置の間に存在する他のネットワーク装置それぞれにおけるスライスごとの帯域利用率を考慮して、スライスを設定する経路を決定することができる。
また、実施の形態1および2と比較し、簡易なハードウェアもしくはソフトウェアで本実施の形態にかかるOLT1を実現することが可能である。
なお、本実施の形態では、PONシステム100のOLT1とコントローラ4とを組み合わせた場合の動作について説明したが、OLT1の代わりに、レイヤ2スイッチ3、ルータなどの中継装置を組み合わせた場合にも同様の動作が実現可能である。その場合、中継装置が有するトラヒックシェーピング、レートリミットなどの機能を用いて、ユーザデータの帯域制御および経路設定を行う。
ここで、各実施の形態で説明したコントローラ4のハードウェア構成について、図14を用いて説明する。図14は、実施の形態1〜3にかかるコントローラ4を実現するハードウェアの一例を示す図である。
コントローラ4は、例えば、図14に示すCPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303および通信インタフェース304で実現される。CPU301、ROM302、RAM303および通信インタフェース304は、バスによってそれぞれ接続されている。CPU301は、コントローラ4全体の処理と制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、通信プログラム、データ解析プログラム等のプログラムを格納する。RAM303は、CPU301のワーク領域として使用される。通信インタフェース304は、OLT1、レイヤ2スイッチ3およびオーケストレータ5に接続され、接続された各装置との間で信号を送受信する。
コントローラ4のリソース管理部41およびリソース制御部42は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、ROM302に格納される。CPU301は、ROM302に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、リソース管理部41およびリソース制御部42の機能を実現する。
次に、各実施の形態で説明したOLT1のハードウェア構成について、図15を用いて説明する。図15は、実施の形態1〜3にかかるOLT1を実現するハードウェアの一例を示す図である。
OLT1は、例えば、図15に示すCPU401、ROM402、RAM403、通信インタフェース404および光トランシーバ405で実現される。CPU401、ROM402、RAM403、通信インタフェース404および光トランシーバ405は、バスによってそれぞれ接続されている。CPU401は、OLT1全体の処理と制御を司る。ROM402は、ブートプログラム、通信プログラム、データ解析プログラム等のプログラムを格納する。RAM403は、CPU401のワーク領域として使用される。通信インタフェース404は、レイヤ2スイッチ3およびコントローラ4に接続され、接続された各装置との間で信号を送受信する。
OLT1のフレーム送信部11、フレーム受信部12、GRANT生成部13、REPORT解析部14、トラヒックモニタ部15、リソース情報生成部16および帯域制御部17は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、ROM402に格納される。CPU401は、ROM402に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、フレーム送信部11、フレーム受信部12、GRANT生成部13、REPORT解析部14、トラヒックモニタ部15、リソース情報生成部16および帯域制御部17の機能を実現する。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 OLT、2−1,2−n ONU、3−1,3−m レイヤ2スイッチ、4 コントローラ、5 オーケストレータ、6 センサ、7 基地局、11 フレーム送信部、12 フレーム受信部、13 GRANT生成部、14 REPORT解析部、15 トラヒックモニタ部、16 リソース情報生成部、17 帯域制御部、41 リソース管理部、42 リソース制御部、100 PONシステム、200 通信システム。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを分割して仮想ネットワークであるスライスを生成するとともにスライスに通信リソースを割り当てるネットワーク制御装置であって、生成済みのスライスに割り当てられた通信リソースの定められた1つ以上の期間における最大利用率の情報を含むリソース情報を、ネットワークを構成するネットワーク装置から取得して保持するリソース管理部を備える。また、ネットワーク制御装置は、新たなスライスの生成要求を受けると、要求されたスライスの生成が可能か否かをリソース管理部が保持するリソース情報に基づいて判定するリソース制御部を備える。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを分割して仮想ネットワークであるスライスを生成するとともにスライスに通信リソースを割り当てるネットワーク制御装置であって、生成済みのスライスに割り当てられた通信リソースの定められた1つ以上の期間における最大利用率の情報を含むリソース情報を、ネットワークを構成するネットワーク装置から取得して保持するリソース管理部を備える。また、ネットワーク制御装置は、新たなスライスの生成要求を受けると、要求されたスライスの生成が可能か否かをリソース管理部が保持するリソース情報に基づいて判定するリソース制御部を備える。リソース情報は、生成済みの各スライスの要求遅延ごとの、各スライスに割り当てられた通信リソースの定められた期間における最大利用率の情報を含む。

Claims (15)

  1. ネットワークを分割して仮想ネットワークであるスライスを生成するとともにスライスに通信リソースを割り当てるネットワーク制御装置であって、
    生成済みのスライスに割り当てられた通信リソースの定められた期間における最大利用率の情報を含むリソース情報を、前記ネットワークを構成するネットワーク装置から取得して保持するリソース管理部と、
    新たなスライスの生成要求を受けると、要求されたスライスの生成が可能か否かを前記リソース管理部が保持するリソース情報に基づいて判定するリソース制御部と、
    を備えることを特徴とするネットワーク制御装置。
  2. 前記リソース情報は、生成済みの各スライスの要求遅延ごとの、各スライスに割り当てられた通信リソースの定められた期間における最大利用率の情報を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク制御装置。
  3. 受動光ネットワークシステムの親局装置を前記ネットワーク装置とし、
    前記リソース管理部が取得するリソース情報は、前記親局装置が前記受動光ネットワークシステムの子局装置に送信許可を与えるタイミングと送信を許可する時間の長さとに基づいて生成される、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のネットワーク制御装置。
  4. 受動光ネットワークシステムの親局装置を前記ネットワーク装置とし、
    前記リソース管理部が取得するリソース情報は、前記受動光ネットワークシステムの子局装置が保持する送信待機データのデータ量に基づいて生成される、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のネットワーク制御装置。
  5. 受動光ネットワークシステムの親局装置を前記ネットワーク装置とし、
    前記リソース管理部が取得するリソース情報は、前記受動光ネットワークシステムの子局装置から前記親局装置がユーザデータを受信したフレームに含まれる制御情報に基づいて生成される、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のネットワーク制御装置。
  6. 前記ネットワークを構成する中継装置を前記ネットワーク装置とし、
    前記リソース管理部が取得するリソース情報は、前記中継装置がユーザデータを受信したフレームに含まれる制御情報に基づいて生成される、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のネットワーク制御装置。
  7. 前記リソース制御部は、前記要求されたスライスの生成が可能と判定した場合、スライスを生成し、生成したスライスに通信リソースを割り当てる、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のネットワーク制御装置。
  8. 前記リソース情報は、通信リソースの定められた期間におけるユーザデータの優先度ごとの最大利用率の情報を含み、
    前記リソース制御部は、前記要求されたスライスに割り当てる通信リソースが不足している場合、前記要求されたスライスで送信するユーザデータよりも優先度が低いユーザデータの通信リソースの最大利用率を低下させることで前記要求されたスライスに割り当てる通信リソースが確保できるかを確認し、確保が可能な場合、前記要求されたスライスの生成が可能と判断する、
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のネットワーク制御装置。
  9. ネットワークを分割して仮想ネットワークであるスライスを生成するとともにスライスに通信リソースを割り当てるネットワーク制御装置が実行する通信リソース割り当て方法であって、
    生成済みのスライスに割り当てられた通信リソースの定められた期間における最大利用率の情報を含むリソース情報を、前記ネットワークを構成するネットワーク装置から取得するステップと、
    新たなスライスの生成要求を受けると、要求されたスライスの生成が可能か否かを、前記リソース情報に基づいて判定するステップと、
    前記要求されたスライスの生成が可能な場合に前記新たなスライスの生成要求で要求されたスライスを生成し、生成したスライスに通信リソースを割り当てるステップと、
    を含むことを特徴とする通信リソース割り当て方法。
  10. ネットワークを分割して仮想ネットワークであるスライスを生成するとともにスライスに通信リソースを割り当てるネットワーク制御装置と、
    前記ネットワークを構成するネットワーク装置と、
    を備え、
    前記ネットワーク装置は、
    生成済みのスライスに割り当てられた通信リソースの定められた期間における最大利用率の情報を含むリソース情報を生成するリソース情報生成部、
    を備え、
    前記ネットワーク制御装置は、
    前記リソース情報生成部で生成された前記リソース情報を取得して保持するリソース管理部と、
    新たなスライスの生成要求を受けると、要求されたスライスの生成が可能か否かを前記リソース管理部が保持するリソース情報に基づいて判定するリソース制御部と、
    を備えることを特徴とする通信システム。
  11. 前記リソース情報生成部は、生成済みの各スライスの要求遅延ごとに、各スライスに割り当てられた通信リソースの定められた期間における最大利用率を含む前記リソース情報を生成する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の通信システム。
  12. 前記ネットワーク装置は前記ネットワークに含まれる受動光ネットワークシステムの親局装置であり、
    前記リソース情報生成部は、前記受動光ネットワークシステムの子局装置に送信許可を与えるタイミングと送信を許可する時間の長さとに基づいて前記リソース情報を生成する、
    ことを特徴とする請求項10または11に記載の通信システム。
  13. 前記ネットワーク装置は前記ネットワークに含まれる受動光ネットワークシステムの親局装置であり、
    前記リソース情報生成部は、前記受動光ネットワークシステムの子局装置が保持する送信待機データのデータ量に基づいて前記リソース情報を生成する、
    ことを特徴とする請求項10または11に記載の通信システム。
  14. 前記ネットワーク装置は前記ネットワークに含まれる受動光ネットワークシステムの親局装置または前記ネットワークを構成する中継装置であり、
    前記リソース情報生成部は、ユーザデータを受信したフレームに含まれる制御情報に基づいて前記リソース情報を生成する、
    ことを特徴とする請求項10または11に記載の通信システム。
  15. 前記リソース情報生成部は、通信リソースの定められた期間における最大利用率の前記期間における確率分布を示す情報をさらに含む前記リソース情報を生成する、
    ことを特徴とする請求項10から14のいずれか一つに記載の通信システム。
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