以下に、本発明の実施の形態にかかる遮断器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる遮断器の構成例を示す図である。図1に示すように、遮断器1は、不図示の電源に電気的に接続される固定接点4と、不図示の負荷に電気的に接続される可動接点5と、電路を開閉する機構部6とを備える。
機構部6は、可動接点5を固定接点4に接触させて電路を閉状態にする閉極動作と、可動接点5を固定接点4から開離させて電路を開状態にする開極動作とを行う開閉機構部20を備える。また、機構部6は、開閉機構部20に開極動作を実行させる開極コイル部21と、開閉機構部20に閉極動作を実行させる閉極コイル部22とを備える。開極動作および閉極動作が開閉動作である。
また、遮断器1は、電路に流れる通電電流または漏洩電流を変流する変流器11と、電路を開状態にするためのオフボタン12と、電路を閉状態にするためのオンボタン13と、機構部6を駆動する駆動部14とを備える。駆動部14は、機構部6を動作させる動作指令を出力する指令出力部40を備え、指令出力部40から出力される動作指令に基づいて、開極コイル部21または閉極コイル部22を駆動する。
例えば、駆動部14は、指令出力部40から動作指令として開極指令Doが出力された場合に、開極コイル部21のコイルに励磁電流を流す。これにより、開極コイル部21が開閉機構部20に機械的に作用して開閉機構部20に開極動作を実行させる。また、駆動部14は、指令出力部40から動作指令として閉極指令Dcが出力された場合に、閉極コイル部22のコイルに励磁電流を流す。これにより、閉極コイル部22が開閉機構部20に機械的に作用して開閉機構部20に閉極動作を実行させる。
図2は、実施の形態1にかかる駆動部の構成例を示す図である。図2に示すように、駆動部14は、上述した指令出力部40と、交流電源8からの交流電圧を全波整流し、全波整流後の電圧を出力する整流回路41と、整流回路41の出力間において、開極コイル部21と直列に接続されるスイッチング素子42とを備える。また、駆動部14は、整流回路41の出力間において、閉極コイル部22と直列に接続されるスイッチング素子43を備える。スイッチング素子42,43は、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。
指令出力部40は、開極指令出力部44と、閉極指令出力部45とを備える。開極指令出力部44は、オフボタン12が操作された場合、または通電電流または漏洩電流が予め設定された値以上である場合に、開極指令Doを出力する。通電電流が予め設定された値以上であるとは過電流である状態を意味する。閉極指令出力部45は、オンボタン13が操作された場合、閉極指令Dcを出力する。開極指令Doおよび閉極指令Dcは、例えば、予め設定された時間以上の間Highレベルであるパルス信号である。
図1に戻って遮断器1の説明を続ける。遮断器1は、動作指令に基づく機構部6の動作の完了に連動して動作するスイッチ部15と、機構部6の異常を検出する異常検出部16と、異常検出部16によって異常が検出された場合に、異常検出部16によって検出された異常を報知する報知部17とを備える。異常検出部16は、スイッチ部15から出力される信号と指令出力部40から出力される動作指令とに基づいて、機構部6の異常を検出する。
報知部17は、例えば、表示部およびスピーカを含み、表示部に異常を表示したり、スピーカからアラーム音を出力させたりすることができる。なお、表示部は、アラームランプであってもよく、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイであってもよい。また、報知部17は、異常を報知できればよく、表示部およびスピーカなどに限定されない。
スイッチ部15は、機構部6の開極動作の完了に連動して動作する第1スイッチ31と、機構部6の閉極動作の完了に連動して動作する第2スイッチ32とを備える。また、スイッチ部15は、開極コイル部21による開閉機構部20への作用の完了に連動して動作する第3スイッチ33と、閉極コイル部22による開閉機構部20への作用の完了に連動して動作する第4スイッチ34とを備える。
第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、および第4スイッチ34の各々は、例えば、小型に作られたスイッチであるマイクロスイッチである。マイクロスイッチは、微小接点間隔を有する接点機構とスナップアクション機構とを備え、接点機構は、規定された動きと規定された力で開閉動作する。かかる接点機構はケースに覆われる。また、マイクロスイッチは、接点機構の外部にアクチュエータを備える。スナップアクション機構は、アクチュエータへの操作速度および操作力とは無関係に、アクチュエータへの一定の操作位置で瞬時に接点が切り替わる機構である。
マイクロスイッチは、精密スナップアクションスイッチ(Precision Snap Action Switch)または、センシティブスイッチ(Sensitive Switch)とも呼ばれる。なお、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、および第4スイッチ34の各々は、マイクロスイッチ以外のスイッチで構成されてもよい。
異常検出部16は、指令出力部40から動作指令が出力されるタイミングとスイッチ部15が動作するタイミングとの差に基づいて、機構部6の異常を検出する。例えば、異常検出部16は、指令出力部40から開極指令Doが出力されるタイミングと第1スイッチ31が動作するタイミングとの差が第1範囲R1外である場合に、機構部6の開極動作に異常があると判定する。また、異常検出部16は、指令出力部40から開極指令Doが出力されるタイミングと第1スイッチ31が動作するタイミングとの差が第1範囲R1内である場合に、機構部6の開極動作に異常がないと判定する。
また、異常検出部16は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力されるタイミングと第2スイッチ32が動作するタイミングとの差が第2範囲R2外である場合に、機構部6の閉極動作に異常があると判定する。また、異常検出部16は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力されるタイミングと第2スイッチ32が動作するタイミングとの差が第2範囲R2内である場合に、機構部6の閉極動作に異常がないと判定する。
このように、遮断器1は、機構部6の動作の完了に連動して動作するスイッチ部15の動作と動作指令とに基づいて、機構部6の異常を検出するため、機構部6における開閉動作の途中状態を監視する場合に比べ、機構部6の異常を精度よく検出することができる。機構部6における開閉動作の途中状態を監視して機構部6の異常を検出する場合、機構部6における開閉動作の途中状態から機構部6の動作の完了までの期間は監視されないため、かかる期間での機構部6の異常を検出することができない。一方、遮断器1は、機構部6の動作の完了までの期間を監視することができるため、機構部6の異常を精度よく検出することができる。
また、異常検出部16は、指令出力部40から開極指令Doが出力されるタイミングと第3スイッチ33が動作するタイミングとの差が第3範囲R3外である場合に、開極コイル部21に異常があると判定することができる。また、異常検出部16は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力されるタイミングと第4スイッチ34が動作するタイミングとの差が第4範囲R4外である場合に、閉極コイル部22に異常があると判定することができる。このように、遮断器1は、機構部6のうち開極コイル部21および閉極コイル部22の各々の異常を個別に検出することができる。
ここで、開閉機構部20の構成について説明する。図3は、実施の形態1にかかる遮断器がチャージを完了した開状態である場合の遮断器の断面図である。図4は、実施の形態1にかかる遮断器がディスチャージを完了した閉状態である場合の遮断器の断面図である。図5は、実施の形態1にかかる遮断器がチャージを完了した閉状態である場合の遮断器の断面図である。図6は、実施の形態1にかかる遮断器がチャージを完了した閉状態からチャージを完了した開状態になった場合の遮断器の断面図である。なお、図3〜図6では、遮断器1のうち開閉機構部20の構成を主に図示し、遮断器1の一部の構成を図示していない。また、以下において、時計方向および反時計方向とは、図3〜図6を含む図面上において時計方向および反時計方向であることを意味する。
図3に示すように、遮断器1は、絶縁性の筐体7と、固定接点4が配置された電源側固定端子2と、負荷側固定端子3と、可動接点5が配置された可動接触子50とを備える。また、遮断器1は、一端が負荷側固定端子3に固定され、他端が可動接触子50に固定された可撓性を有する可撓導体51と、一端が筐体7に取り付けられ、他端が可撓導体51に取り付けられた接圧ばね52と、筐体7内に収納され電路の開閉を行う開閉機構部20とを備える。
固定接点4と可動接点5とが接触することで、可撓導体51を介して負荷側固定端子3と電源側固定端子2とが電気的に接続される。可動接点5が配置された可動接触子50は、開閉機構部20によって駆動される。
開閉機構部20は、筐体7に固定されたフレーム53と、フレーム53に回転可能に支持され、不図示のハンドルの回転に連動して反時計方向に回転するカム54を備える。また、開閉機構部20は、フレーム53に一端が取り付けられ、上方に延伸するガイド板55と、ガイド板55に取り付けられた閉極バネ56と、中途部がフレーム53に回転可能に支持されたチャージアーム57とを備える。
チャージアーム57の一端に設けられたバネ掛けピン47は、ガイド板55に形成される長孔に挿入される。閉極バネ56は、一端がバネ掛けピン47に当接し、他端がフレーム53に当接する。また、チャージアーム57の他端に設けられたアーム側ローラ57aはカム54のカム面に当接する。カム54にはカム側ローラ54aが設けられる。
また、開閉機構部20は、フレーム53に回転可能に支持された第1のクローズラッチ58と、フレーム53に回転可能に支持された第2のクローズラッチ59と、フレーム53に回転可能に支持され、一部が半円柱状に形成されたクローズバー60とを備える。第1のクローズラッチ58の先端は、カム側ローラ54aに当接する。第1のクローズラッチ58に設けられたラッチ側ローラ58aは、第2のクローズラッチ59の下端に当接する。
開閉機構部20は、リンク機構61と、フレーム53に回転可能に支持されたリンクレバー62と、フレーム53に回転可能に支持されたトリップラッチ63と、一部が半円柱状に形成され、トリップラッチ63の一端と係合するトリップバー64とを備える。リンク機構61は、第1リンク68と、第2リンク69とを含む。第1リンク68の一端と第2リンク69の一端とは不図示のピンによって連結される。
第2リンク69の他端は、ピン67により第2リンク用アーム65の他端に連結される。第2リンク用アーム65は、フレーム53に回転可能に支持されるメインシャフト66に固定される。リンクレバー62は、一端が第1リンク68の他端に不図示のピンによって連結され、一端と回転中心との間の中途部にレバー側ローラ62aが設けられる。トリップラッチ63は、側面がレバー側ローラ62aに係合する。
図7は、実施の形態1にかかるメインシャフト、絶縁リンク用アーム、および絶縁リンクの関係を示す図であり、開閉機構部20のうち一部の構成のみ図示している。図7に示すように、開閉機構部20は、メインシャフト66と、メインシャフト66に固定された絶縁リンク用アーム70と、メインシャフト66に固定され、絶縁リンク用アーム70間に配置された第2リンク用アーム65とを備える。絶縁リンク用アーム70は、メインシャフト66に延伸方向に沿って基端が等間隔で3つ配置される。絶縁リンク用アーム70と第2リンク用アーム65とは互いに同形である。絶縁リンク用アーム70は、ピン71によって図4に示す絶縁リンク72の一端に回転可能に連結される。絶縁リンク72の他端は可動接触子50に連結される。
図3に示す状態で、指令出力部40の閉極指令Dcによる閉極コイル部22の閉極動作が行われると、図4に示すように、クローズバー60が時計方向に回転し、クローズバー60による第2のクローズラッチ59のロックが解除される。ロックが解除された第2のクローズラッチ59は時計方向に回転し、第2のクローズラッチ59の下端とラッチ側ローラ58aとの係合が外れる。そのため、カム54は、カム側ローラ54aによって第1のクローズラッチ58を反時計方向に回転させながら、反時計方向に回転するため、アーム側ローラ57aがカム54のカム面の段差部に落ち込む。
チャージアーム57は、閉極バネ56の放勢力によって反時計方向に回転し、リンク機構61の中途部をはね上げる。トリップラッチ63はトリップバー64によって反時計方向へ動きがロックされているため、リンク機構61は伸張し、第2リンク用アーム65を反時計方向に回転させる。これにより、図4に示すように、遮断器1において、可動接点5と固定接点4とが接触し、電路が閉状態になる。
図4に示す状態から、不図示のハンドルが手動操作された場合または不図示の電動モータが回転した場合、カム54が反時計方向に回転する。そのため、アーム側ローラ57aがカム54のカム面に沿って回転しながら移動し、チャージアーム57が時計方向に回転する。これにより、図5に示すように、チャージアーム57の一端に設けられたバネ掛けピン47が下方に移動して閉極バネ56が蓄勢される。
次に、遮断器1を図5に示す状態から開状態へ移行するための開極動作について説明する。遮断器1は、図5に示す状態において、指令出力部40の開極指令Doによる開極コイル部21の開極動作が行われると、図6に示すように、トリップバー64が反時計方向に回転し、トリップバー64によるトリップラッチ63のロックが解除される。ロックが解除されたトリップラッチ63は反時計方向に回転し、トリップラッチ63とレバー側ローラ62aとの係合が外れる。
そのため、リンクレバー62が時計方向に回転する。リンクレバー62の時計方向の回転によって、第1リンク68の他端が引き上げられるため、第1リンク68と第2リンク69との関係が崩れ、メインシャフト66が時計方向に回転する。これにより、可動接点5と固定接点4とが開離し、電路が開状態になる。
図1に示す第1スイッチ31は、開閉機構部20の開極動作の完了に連動して動作するように遮断器1に配置される。具体的には、第1スイッチ31は、開閉機構部20が図5に示す状態から図6に示す状態になった場合に、接点同士が開離する構成であり、例えば、メインシャフト66に取り付けられた部材によってアクチュエータが動作される。なお、第1スイッチ31は、開閉機構部20が図5に示す状態から図6に示す状態になった場合に、接点同士が接触する構成であってもよい。
また、第2スイッチ32は、開閉機構部20の閉極動作の完了に連動して動作するように遮断器1に配置される。具体的には、第2スイッチ32は、開閉機構部20が図3に示す状態から図4に示す状態になった場合に、接点同士が接触する構成であり、例えば、メインシャフト66に取り付けられた部材によってアクチュエータが動作される。なお、第2スイッチ32は、開閉機構部20が図3に示す状態から図4に示す状態になった場合に、接点同士が開離する構成であってもよい。
また、第3スイッチ33は、開極コイル部21による開閉機構部20への作用の完了に連動して動作するように遮断器1に配置される。例えば、開極コイル部21が電磁ソレノイドを含む構成である場合、第3スイッチ33は、開極コイル部21のプランジャの移動位置がトリップバー64を図5に示す状態から図6に示す状態にする位置になった場合に、接点同士が開離する構成である。第3スイッチ33は、例えば、開極コイル部21のプランジャに取り付けられた部材によってアクチュエータが動作される。なお、第3スイッチ33は、開極コイル部21のプランジャの移動位置がトリップバー64を図5に示す状態から図6に示す状態にする位置になった場合に、接点同士が接触する構成であってもよい。
また、第4スイッチ34は、閉極コイル部22による開閉機構部20への作用の完了に連動して動作するように遮断器1に配置される。例えば、閉極コイル部22が電磁ソレノイドを含む構成である場合、第4スイッチ34は、閉極コイル部22のプランジャの移動位置がクローズバー60を図3に示す状態から図4に示す状態にする位置になった場合に、接点同士が接触する構成である。第4スイッチ34は、例えば、閉極コイル部22のプランジャに取り付けられた部材によってアクチュエータが動作される。なお、第4スイッチ34は、閉極コイル部22のプランジャの移動位置がクローズバー60を図3に示す状態から図4に示す状態にする位置になった場合に、接点同士が接触する構成であってもよい。
次に、図1に示す異常検出部16の構成について具体的に説明する。図8は、実施の形態1にかかる異常検出部の構成例を示す図である。図8に示すように、異常検出部16は、スイッチ部15から出力される信号と指令出力部40から出力される動作指令との差分を演算する差分演算部81と、範囲情報を記憶する記憶部82と、開閉機構部20の異常を判定する判定部83とを備える。判定部83は、差分演算部81によって演算された差分と記憶部82に記憶された範囲情報との比較結果に基づいて、開閉機構部20の異常を判定する。
差分演算部81は、第1演算部841と、第2演算部842と、第3演算部843と、第4演算部844と、第5演算部845と、第6演算部846とを備える。第1演算部841は、指令出力部40から開極指令Doが出力されるタイミングと第1スイッチ31が動作するタイミングとの差ΔTc1を演算する。第1スイッチ31が動作するタイミングは、第1スイッチ31から出力される信号So1が信号So1がHighレベルからLowレベルになるタイミングである。
第2演算部842は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力されるタイミングと第2スイッチ32が動作するタイミングとの差ΔTc2を演算する。第2スイッチ32が動作するタイミングは、第2スイッチ32から出力される信号So2がLowレベルからHighレベルになるタイミングである。
第3演算部843は、指令出力部40から開極指令Doが出力されるタイミングと第3スイッチ33が動作するタイミングとの差ΔTc3を演算する。第3スイッチ33が動作するタイミングは、第3スイッチ33から出力される信号So3がHighレベルからLowレベルになるタイミングである。
第4演算部844は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力されるタイミングと第4スイッチ34が動作するタイミングとの差ΔTc4を演算する。第4スイッチ34が動作するタイミングは、第4スイッチ34から出力される信号So4がLowレベルからHighレベルになるタイミングである。
第5演算部845は、第3スイッチ33が動作するタイミングと第1スイッチ31が動作するタイミングとの差ΔTc5を演算する。第6演算部846は、第4スイッチ34が動作するタイミングと第2スイッチ32が動作するタイミングとの差ΔTc6を演算する。
記憶部82は、第1範囲R1を示す第1範囲情報と、第2範囲R2を示す第2範囲情報と、第3範囲R3を示す第3範囲情報と、第4範囲R4を示す第4範囲情報と、第5範囲R5を示す第5範囲情報と、第6範囲R6を示す第6範囲情報とを記憶する。記憶部82に記憶される範囲情報は、不図示の入力部からの入力によって設定または更新することができる。
判定部83は、第1判定部851と、第2判定部852と、第3判定部853と、第4判定部854と、第5判定部855と、第6判定部856とを備える。かかる判定部83は、第1範囲情報、第2範囲情報、第3範囲情報、第4範囲情報、第5範囲情報、および第6範囲情報を記憶部82から読み出し、読み出した情報と差分演算部81の演算結果とに基づいて、開閉機構部20の異常を判定する。
具体的には、第1判定部851は、第1演算部841によって演算される差ΔTc1が第1範囲R1外である場合、機構部6の開極動作が異常であると判定し、差ΔTc1が第1範囲R1内である場合、機構部6の開極動作が異常ではないと判定する。第2判定部852は、第2演算部842によって演算される差ΔTc2が第2範囲R2外である場合、機構部6の閉極動作が異常であると判定し、差ΔTc2が第2範囲R2内である場合、機構部6の閉極動作が異常ではないと判定する。
第3判定部853は、第3演算部843によって演算される差ΔTc3が第3範囲R3外である場合、開極コイル部21が異常であると判定し、差ΔTc3が第3範囲R3内である場合、開極コイル部21が異常ではないと判定する。第4判定部854は、第4演算部844によって演算される差ΔTc4が第4範囲R4外である場合、閉極コイル部22が異常であると判定し、差ΔTc4が第4範囲R4内である場合、閉極コイル部22が異常ではないと判定する。
第5判定部855は、第5演算部845によって演算される差ΔTc5が第5範囲R5外である場合、開閉機構部20の開極動作が異常であると判定し、差ΔTc5が第5範囲R5内である場合、開閉機構部20の開極動作が異常ではないと判定する。第6判定部856は、第6演算部846によって演算される差ΔTc6が第6範囲R6外である場合、開閉機構部20の閉極動作が異常であると判定し、差ΔTc6が第6範囲R6内である場合、開閉機構部20の閉極動作が異常ではないと判定する。
ここで、電路に流れる電流、開閉機構部20、開極コイル部21、およびスイッチ部15の状態変化について説明する。まず、機構部6の開極動作における状態変化について説明する。図9は、実施の形態1にかかる遮断器の開極動作における電路に流れる電流、開閉機構部、開極コイル部、第1スイッチ、および第3スイッチの状態変化を示す図である。
図9に示すように、遮断器1が閉状態である場合に、時刻t1において、指令出力部40から開極指令Doが出力されると、開極コイル部21におけるプランジャが移動し、時刻t2において、プランジャの移動位置が動作完了位置になる。図9に示す「開極コイル部のストローク」は、開極コイル部21におけるプランジャの移動位置を示し、動作開始位置から動作完了位置まで変化する。時刻t2において、開極コイル部21の開極動作が完了し、プランジャの移動位置が動作完了位置になると、第3スイッチ33から出力される信号So3がHighレベルからLowレベルに変化する。
また、開極コイル部21におけるプランジャの移動位置が動作完了位置になると、開極コイル部21のプランジャによってトリップバー64が回転して開閉機構部20のラッチが解除され、時刻t2において、開閉機構部20の開極動作が開始される。開閉機構部20の開極動作が開始されると、開閉機構部20のストロークが第1位置から第2位置へ移動する。開閉機構部20のストロークは、第2リンク69の他端の移動位置を示し、第1位置から第2位置まで変化する。リンク機構61が図5に示す状態である場合に、開閉機構部20のストロークは、第1位置であり、リンク機構61が図6に示す状態である場合に、開閉機構部20のストロークは、第2位置である。
開閉機構部20のストロークが第1位置から第2位置へ変化する途中で、固定接点4と可動接点5とが開離するが、固定接点4と可動接点5との間にアークが発生する。そのため、固定接点4と可動接点5とが開離してから一定時間は、固定接点4と可動接点5との間に電流が流れ続けている。なお、かかる一定時間は、固定接点4と可動接点5との間の電圧、電流、および位相によって変動する。
そして、時刻t3において、固定接点4と可動接点5との間のアークがなくなり、電路が開状態になる。また、時刻t4において、開閉機構部20のストロークが第2位置になって開閉機構部20の開極動作が完了する。開閉機構部20のストロークが第2位置になると、第1スイッチ31から出力される信号So1がHighレベルからLowレベルに変化する。
異常検出部16の第1演算部841は、指令出力部40から開極指令Doが出力された時刻t1と、第1スイッチ31からの信号So1がHighレベルからLowレベルになった時刻t4との差である期間T1を差ΔTc1として算出する。異常検出部16の第1判定部851は、期間T1が第1範囲R1外である場合に、機構部6の開極動作が異常であると判定し、期間T1が第1範囲R1内である場合に、機構部6の開極動作が異常ではないと判定する。
このように、異常検出部16は、開極指令Doが出力されてから機構部6の開極動作が完了するまでの時間で、機構部6の開極動作の異常を判定する。そのため、機構部6における開極動作の途中状態を監視する場合に比べ、機構部6の開極動作の異常を精度よく検出することができる。異常検出部16は、開閉機構部20における静止摩擦力および動摩擦力の変化による機構部6の開極動作の異常を精度よく検出することができる。また、異常検出部16は、機構部6への異物の噛み込みによる機構部6の開極動作の異常を精度よく検出することができる。
また、異常検出部16の第3演算部843は、指令出力部40から開極指令Doが出力された時刻t1と、第3スイッチ33からの信号So3がHighレベルからLowレベルになった時刻t2との差である期間T3を差ΔTc3として算出する。異常検出部16の第3判定部853は、期間T3が第3範囲R3外である場合に、開極コイル部21が異常であると判定し、期間T3が第3範囲R3内である場合に、開極コイル部21が異常ではないと判定する。このように、遮断器1は、機構部6のうち開極コイル部21の開極動作の異常を個別に検出することができる。
また、異常検出部16の第5演算部845は、第3スイッチ33からの信号So3がHighレベルからLowレベルになった時刻t2と第1スイッチ31からの信号So1がHighレベルからLowレベルになった時刻t4の差である期間T5を差ΔTc5として算出する。異常検出部16の第5演算部845は、期間T5が第5範囲R5外である場合に、開閉機構部20の開極動作が異常であると判定し、期間T5が第5範囲R5内である場合に、開閉機構部20の開極動作が異常ではないと判定する。このように、遮断器1は、機構部6のうち開閉機構部20の開極動作の異常を個別に検出することができる。
次に、機構部6の閉極動作における電路に流れる電流、開閉機構部20、閉極コイル部22、およびスイッチ部15の状態変化について説明する。図10は、実施の形態1にかかる遮断器の閉極動作における電路に流れる電流、開閉機構部、閉極コイル部、第2スイッチ、および第4スイッチの状態変化を示す図である。
図10に示すように、遮断器1が開状態である場合に、時刻t11において、指令出力部40から閉極指令Dcが出力されると、閉極コイル部22におけるプランジャが移動し、時刻t12において、プランジャの移動位置が動作完了位置になる。図10に示す「閉極コイル部のストローク」は、閉極コイル部22におけるプランジャの移動位置を示し、動作開始位置から動作完了位置まで変化する。時刻t12において、閉極コイル部22の閉極動作が完了し、プランジャの移動位置が動作完了位置になると、第4スイッチ34から出力される信号So4がLowレベルからHighレベルに変化する。
また、閉極コイル部22におけるプランジャの移動位置が動作完了位置になると、閉極コイル部22のプランジャによってクローズバー60が回転して開閉機構部20のラッチが解除され、時刻t14において、開閉機構部20の閉極動作が開始される。
開閉機構部20の閉極動作が開始されると、開閉機構部20のストロークが第2位置から第1位置へ変化する途中の時刻t13において、固定接点4と可動接点5とが接触する前に電流が流れ始める。固定接点4と可動接点5とが接触する前に電流が流れ始めるのは、固定接点4と可動接点5との間の距離が短くなると固定接点4と可動接点5との間に印加される電圧によって固定接点4と可動接点5との間で絶縁破壊が生じるためである。
そして、時刻t12において、開閉機構部20のストロークが第1位置になって開閉機構部20の閉極動作が完了する。開閉機構部20のストロークが第1位置になると、第2スイッチ32から出力される信号So2がLowレベルからHighレベルに変化する。
異常検出部16の第2演算部842は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力された時刻t11と、第2スイッチ32からの信号So2がLowレベルからHighレベルになった時刻t14との差である期間T2を差ΔTc2として算出する。異常検出部16の第2判定部852は、期間T2が第2範囲R2外である場合に、機構部6の閉極動作が異常であると判定し、期間T2が第2範囲R2内である場合に、機構部6の閉極動作が異常ではないと判定する。
このように、異常検出部16は、閉極指令Dcが出力されてから機構部6の閉極動作が完了するまでの時間で、機構部6の閉極動作の異常を判定する。そのため、機構部6における閉極動作の途中状態を監視する場合に比べ、機構部6の閉極動作の異常を精度よく検出することができる。異常検出部16は、開閉機構部20における静止摩擦力および動摩擦力の変化による機構部6の閉極動作の異常を精度よく検出することができる。また、異常検出部16は、機構部6への異物の噛み込みによる機構部6の閉極動作の異常を精度よく検出することができる。
また、異常検出部16の第4演算部844は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力された時刻t11と、第2スイッチ32からの信号So2がLowレベルからHighレベルになった時刻t12との差である期間T4を差ΔTc4として算出する。異常検出部16の第4判定部854は、期間T4が第4範囲R4外である場合に、閉極コイル部22が異常であると判定し、期間T4が第4範囲R4内である場合に、閉極コイル部22が異常ではないと判定する。このように、遮断器1の異常検出部16は、機構部6のうち閉極コイル部22の閉極動作の異常を個別に検出することができる。
また、異常検出部16の第6演算部846は、第4スイッチ34からの信号So4がLowレベルからHighレベルになった時刻t12と第2スイッチ32からの信号So2がLowレベルからHighレベルになった時刻t14の差である期間T6を差ΔTc6として算出する。異常検出部16の第6判定部856は、期間T6が第6範囲R6外である場合に、開閉機構部20の閉極動作が異常であると判定し、期間T6が第6範囲R6内である場合に、開閉機構部20の閉極動作が異常ではないと判定する。このように、遮断器1の異常検出部16は、機構部6のうち開閉機構部20の閉極動作の異常を個別に検出することができる。
つづいて、遮断器1の異常検出部16による処理を、フローチャートを用いて説明する。図11は、実施の形態1にかかる遮断器がオン状態である場合の異常検出部による処理の一例を示すフローチャートである。なお、図11に示す処理は、遮断器1がオン状態である場合に、異常検出部16によって繰り返し実行される。
図11に示すように、異常検出部16は指令出力部40から開極指令Doが出力されたか否かを判定する(ステップS10)。異常検出部16は、開極指令Doが出力されたと判定した場合(ステップS10:Yes)、開極指令Doが出力されたタイミングと第1スイッチ31が動作したタイミングとの差ΔTc1を算出する(ステップS11)。
異常検出部16は、ステップS11で算出された差ΔTc1が第1範囲R1内であるか否かを判定する(ステップS12)。異常検出部16は、差ΔTc1が第1範囲R1内ではないと判定した場合(ステップS12:No)、機構部6の開極動作が異常であると判定し、機構部6の開極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS13)。
異常検出部16は、ステップS13の処理が終了した場合、または、差ΔTc1が第1範囲R1内であると判定した場合(ステップS12:Yes)、開極指令Doが出力されたタイミングと第3スイッチ33が動作したタイミングとの差ΔTc3を算出する(ステップS14)。異常検出部16は、ステップS14で算出された差ΔTc3が第3範囲R3内であるか否かを判定する(ステップS15)。異常検出部16は、差ΔTc3が第3範囲R3内ではないと判定した場合(ステップS15:No)、開極コイル部21が異常であると判定し、開極コイル部21の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS16)。
異常検出部16は、ステップS16の処理が終了した場合、または、差ΔTc3が第3範囲R3内であると判定した場合(ステップS15:Yes)、第3スイッチ33が動作したタイミングと第1スイッチ31が動作したタイミングとの差ΔTc5を算出する(ステップS17)。異常検出部16は、ステップS17で算出された差ΔTc5が第5範囲R5内であるか否かを判定する(ステップS18)。異常検出部16は、差ΔTc5が第5範囲R5内ではないと判定した場合(ステップS18:No)、開閉機構部20の開極動作が異常であると判定し、開閉機構部20の開極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS19)。
異常検出部16は、ステップS19の処理が終了した場合、開極指令Doが出力されないと判定した場合(ステップS10:No)、または、差ΔTc5が第5範囲R5内であると判定した場合(ステップS18:Yes)、図11に示す処理を終了する。
図12は、実施の形態1にかかる遮断器がオフ状態である場合の異常検出部による処理の一例を示すフローチャートである。なお、図12に示す処理は、遮断器1がオフ状態である場合に、異常検出部16によって繰り返し実行される。
図12に示すように、異常検出部16は指令出力部40から閉極指令Dcが出力されたか否かを判定する(ステップS20)。異常検出部16は、閉極指令Dcが出力されたと判定した場合(ステップS20:Yes)、閉極指令Dcが出力されたタイミングと第2スイッチ32が動作したタイミングとの差ΔTc2を算出する(ステップS21)。
異常検出部16は、ステップS21で算出された差ΔTc2が第2範囲R2内であるか否かを判定する(ステップS22)。異常検出部16は、差ΔTc2が第2範囲R2内ではないと判定した場合(ステップS22:No)、機構部6の閉極動作が異常であると判定し、機構部6の閉極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS23)。
異常検出部16は、ステップS23の処理が終了した場合、または、差ΔTc2が第2範囲R2内であると判定した場合(ステップS22:Yes)、閉極指令Dcが出力されたタイミングと第4スイッチ34が動作したタイミングとの差ΔTc4を算出する(ステップS24)。異常検出部16は、ステップS24で算出された差ΔTc4が第4範囲R4内であるか否かを判定する(ステップS25)。異常検出部16は、差ΔTc4が第4範囲R4内ではないと判定した場合(ステップS25:No)、閉極コイル部22が異常であると判定し、閉極コイル部22の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS26)。
異常検出部16は、ステップS26の処理が終了した場合、または、差ΔTc4が第4範囲R4内であると判定した場合(ステップS25:Yes)、第4スイッチ34が動作したタイミングと第2スイッチ32が動作したタイミングとの差ΔTc6を算出する(ステップS27)。異常検出部16は、ステップS27で算出された差ΔTc6が第6範囲R6内であるか否かを判定する(ステップS28)。異常検出部16は、差ΔTc6が第6範囲R6内ではないと判定した場合(ステップS28:No)、開閉機構部20の閉極動作が異常であると判定し、開閉機構部20の閉極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS29)。
異常検出部16は、ステップS29の処理が終了した場合、閉極指令Dcが出力されないと判定した場合(ステップS20:No)、または、差ΔTc6が第6範囲R6内であると判定した場合(ステップS28:Yes)、図12に示す処理を終了する。
図13は、実施の形態1にかかる異常検出部のハードウェア構成の一例を示す図である。図13に示すように、異常検出部16は、プロセッサ161と、メモリ162と、インタフェース回路163とを備えるコンピュータを含む。
プロセッサ161、メモリ162およびインタフェース回路163は、バス164によって互いにデータの送受信が可能である。記憶部82は、メモリ162によって実現される。プロセッサ161は、メモリ162に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、差分演算部81および判定部83の機能を実行する。プロセッサ161は、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processer)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
メモリ162は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ162は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、異常検出部16は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる遮断器は、機構部の開極動作の開始に連動して動作する第5スイッチと、機構部の閉極動作の開始に連動して動作する第6スイッチと、機構部のストロークが中間位置に到達したことに連動して動作する第7スイッチとを有する点で、実施の形態1にかかる遮断器1と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の遮断器1と異なる点を中心に説明する。
図14は、本発明の実施の形態2にかかる遮断器の構成例を示す図である。図14に示すように、実施の形態2にかかる遮断器1Aは、スイッチ部15および異常検出部16に代えて、スイッチ部15Aおよび異常検出部16Aを有する点で、遮断器1と異なる。
スイッチ部15Aは、スイッチ部15の構成に加え、開閉機構部20の開極動作の開始に連動して動作する第5スイッチ35と、開閉機構部20の閉極動作の開始に連動して動作する第6スイッチ36と、開閉機構部20のストロークが中間位置に到達したことに連動して動作する第7スイッチ37とを有する。第5スイッチ35、第6スイッチ36、および第7スイッチ37は、例えば、マイクロスイッチである。
第5スイッチ35は、開閉機構部20の開極動作の開始に連動して動作するように遮断器1Aに配置される。第5スイッチ35は、例えば、開閉機構部20の開極動作の開始に連動して接点同士が開離する構成であり、メインシャフト66に取り付けられた部材によってアクチュエータが動作される。開閉機構部20の開極動作時において、第5スイッチ35は、固定接点4と可動接点5とが開離する前に動作する。なお、第5スイッチ35は、開閉機構部20の開極動作の開始に連動して接点同士が接触する構成であってもよい。
第6スイッチ36は、開閉機構部20の閉極動作の開始に連動して動作するように遮断器1Aに配置される。第6スイッチ36は、例えば、開閉機構部20の閉極動作の開始に連動して接触する構成であり、メインシャフト66に取り付けられた部材によってアクチュエータが動作される。開閉機構部20の閉極動作時において、第6スイッチ36は、固定接点4と可動接点5とが接触する前に動作する。なお、第6スイッチ36は、開閉機構部20の閉極動作の開始に連動して接点同士が開離する構成であってもよい。
第7スイッチ37は、開閉機構部20のストロークが中間位置に到達したことに連動して動作するように遮断器1Aに配置される。第7スイッチ37は、例えば、開閉機構部20のストロークが第1位置から中間位置に到達したことに連動して接点同士が開離する構成であり、メインシャフト66に取り付けられた部材によってアクチュエータが動作される。開閉機構部20の開極動作時において、第7スイッチ37は、固定接点4と可動接点5とが開離した後に動作する。また、開閉機構部20の閉極動作時において、第7スイッチ37は、固定接点4と可動接点5とが接触する前に動作する。なお、第7スイッチ37は、開閉機構部20のストロークが第1位置から中間位置に到達したことに連動して接点同士が接触する構成であってもよい。
異常検出部16Aは、異常検出部16の機能に加え、第5スイッチ35の動作、第6スイッチ36の動作、および第7スイッチ37の動作に基づいて、開閉機構部20の異常を判定することができる。図15は、実施の形態2にかかる異常検出部の構成例を示す図である。
図15に示すように、異常検出部16Aは、差分演算部81Aと、記憶部82Aと、判定部83Aとを備える。差分演算部81Aは、差分演算部81の構成に加え、第7演算部847と、第8演算部848と、第9演算部849と、第10演算部8410とを備える。
第7演算部847は、第5スイッチ35が動作するタイミングと第1スイッチ31が動作するタイミングとの差ΔTc7を算出する。第5スイッチ35が動作するタイミングは、第5スイッチ35から出力される信号So5がHighレベルからLowレベルになるタイミングである。
第8演算部848は、第6スイッチ36が動作するタイミングと第2スイッチ32が動作するタイミングとの差ΔTc8を算出する。第6スイッチ36が動作するタイミングは、第6スイッチ36から出力される信号So6がLowレベルからHighレベルになるタイミングである。
第9演算部849は、開極動作において指令出力部40からの開極指令Doが出力されるタイミングと第7スイッチ37が動作するタイミングとの差ΔTc9を算出する。開極動作において第7スイッチ37が動作するタイミングは、第7スイッチ37から出力される信号So7がHighレベルからLowレベルになるタイミングである。
第10演算部8410は、閉極動作において指令出力部40からの閉極指令Dcが出力されるタイミングと第7スイッチ37が動作するタイミングとの差ΔTc10を算出する。閉極動作において第7スイッチ37が動作するタイミングは、第7スイッチ37から出力される信号So7がLowレベルからHighレベルになるタイミングである。
記憶部82Aは、記憶部82に記憶される情報に加え、第7範囲R7を示す第7範囲情報と、第8範囲R8を示す第8範囲情報と、第9範囲R9を示す第9範囲情報と、第10範囲R10を示す第10範囲情報とを記憶する。
判定部83Aは、判定部83の構成に加え、第7判定部857と、第8判定部858と、第9判定部859と、第10判定部8510とを備える。第7判定部857は、第7演算部847によって算出される差ΔTc7が第7範囲R7外である場合、開閉機構部20の開極動作が異常であると判定し、差ΔTc7が第7範囲R7内である場合、開閉機構部20の開極動作が異常ではないと判定する。第8判定部858は、第8演算部848によって算出される差ΔTc8が第8範囲R8外である場合、開閉機構部20の閉極動作が異常であると判定し、差ΔTc8が第8範囲R8内である場合、開閉機構部20の閉極動作が異常ではないと判定する。
第9判定部859は、第9演算部849によって算出される差ΔTc9が第9範囲R9外である場合、機構部6の開極動作が異常であると判定し、差ΔTc9が第9範囲R9内である場合、機構部6の開極動作が異常ではないと判定する。第10判定部8510は、第10演算部8410によって算出される差ΔTc10が第10範囲R10外である場合、機構部6の閉極動作が異常であると判定し、差ΔTc10が第10範囲R10内である場合、機構部6の閉極動作が異常ではないと判定する。
ここで、電路に流れる電流、開閉機構部20、開極コイル部21、およびスイッチ部15Aの状態変化について説明する。まず、機構部6の開極動作における状態変化について説明する。図16は、実施の形態2にかかる遮断器の開極動作における電路に流れる電流、開閉機構部、開極コイル部、第1スイッチ、第5スイッチ、および第7スイッチの状態変化を示す図であり、開閉機構部20および開極コイル部21の状態変化は、図9と同様である。
図16に示すように、遮断器1Aが閉状態である場合に、時刻t21において、指令出力部40から開極指令Doが出力されると、時刻t22において、開極コイル部21におけるプランジャの移動位置が動作完了位置になる。かかる開極コイル部21のプランジャによってトリップバー64が回転して開閉機構部20のラッチが解除され、時刻t22において、開閉機構部20の開極動作が開始される。開閉機構部20の開極動作が開始されると、第5スイッチ35から出力される信号So5がHighレベルからLowレベルに変化する。
その後、開閉機構部20のストロークが中間位置に到達する時刻t23において、第7スイッチ37から出力される信号So7がHighレベルからLowレベルに変化する。そして、開閉機構部20のストロークが第1位置から第2位置になる時刻t25において、第1スイッチ31から出力される信号So1がHighレベルからLowレベルに変化する。
異常検出部16Aの第7演算部847は、第5スイッチ35からの信号So5がHighレベルからLowレベルになった時刻t22と第1スイッチ31からの信号So1がHighレベルからLowレベルになった時刻t25との差である期間T7を差ΔTc7として算出する。異常検出部16Aの第7判定部857は、期間T7が第7範囲R7外である場合に、開閉機構部20の開極動作が異常であると判定し、期間T7が第7範囲R7内である場合に、開閉機構部20の開極動作が異常ではないと判定する。これにより、遮断器1Aの異常検出部16Aは、機構部6のうち開閉機構部20の開極動作の異常を個別に検出することができる。
また、異常検出部16Aの第9演算部849は、指令出力部40から開極指令Doが出力された時刻t21と、第7スイッチ37からの信号So7がHighレベルからLowレベルになった時刻t23との差である期間T9を差ΔTc9として算出する。異常検出部16Aの第9判定部859は、期間T9が第9範囲R9外である場合に、機構部6の開極動作が異常であると判定し、期間T9が第9範囲R9内である場合に、機構部6の開極動作が異常ではないと判定する。これにより、遮断器1Aの異常検出部16Aは、開閉機構部20のストロークが中間位置に到達するまでの開閉機構部20の開極動作の異常を検出することができる。
次に、機構部6の閉極動作における電路に流れる電流、開閉機構部20、閉極コイル部22、およびスイッチ部15Aの状態変化について説明する。図17は、実施の形態2にかかる遮断器の閉極動作における電路に流れる電流、開閉機構部、閉極コイル部、第2スイッチ、第6スイッチ、および第7スイッチの状態変化を示す図であり、開閉機構部20および開極コイル部21の状態変化は、図10と同様である。
図17に示すように、遮断器1Aが開状態である場合に、時刻t31において、指令出力部40から閉極指令Dcが出力されると、時刻t32において、プランジャの移動位置が動作完了位置になる。閉極コイル部22におけるプランジャの移動位置が動作完了位置になると、閉極コイル部22のプランジャによってクローズバー60が回転して開閉機構部20のラッチが解除され、開閉機構部20の閉極動作が開始される。開閉機構部20の閉極動作が開始されると、第6スイッチ36から出力される信号So6がLowレベルからHighレベルに変化する。
その後、開閉機構部20のストロークが中間位置に到達する時刻t33において、第7スイッチ37から出力される信号So7がLowレベルからHighレベルに変化する。そして、開閉機構部20のストロークが第2位置から第1位置になる時刻t35において、第2スイッチ32から出力される信号So2がLowレベルからHighレベルに変化する。
異常検出部16Aの第8演算部848は、第6スイッチ36からの信号So6がLowレベルからHighレベルになった時刻t32と第2スイッチ32からの信号So2がLowレベルからHighレベルになった時刻t35との差である期間T8を差ΔTc8として算出する。異常検出部16Aの第8判定部858は、期間T8が第8範囲R8外である場合に、開閉機構部20の閉極動作が異常であると判定し、期間T8が第8範囲R8内である場合に、開閉機構部20の閉極動作が異常ではないと判定する。これにより、遮断器1Aの異常検出部16Aは、機構部6のうち開閉機構部20の閉極動作の異常を個別に検出することができる。
また、異常検出部16Aの第10演算部8410は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力された時刻t31と、第7スイッチ37からの信号So7がLowレベルからHighレベルになった時刻t33との差である期間T10を差ΔTc10として算出する。異常検出部16Aの第10判定部8510は、期間T10が第10範囲R10外である場合に、機構部6の閉極動作が異常であると判定し、期間T10が第10範囲R10内である場合に、機構部6の閉極動作が異常ではないと判定する。これにより、遮断器1Aの異常検出部16Aは、開閉機構部20のストロークが中間位置に到達するまでの開閉機構部20の閉極動作の異常を検出することができる。
このように、遮断器1Aは、遮断器1における機構部6の異常検出に加え、異なる方法によって機構部6の異常を検出することができるため、機構部6の異常検出を精度よく行うことができる。
つづいて、遮断器1Aの異常検出部16Aによる処理を、フローチャートを用いて説明する。図18は、実施の形態2にかかる遮断器がオン状態である場合の異常検出部による処理の一例を示すフローチャートである。なお、遮断器1Aがオン状態である場合の異常検出部16Aによる処理には、図11に示すステップS11〜S19の処理が含まれるが、図18では省略している。
図18に示すように、異常検出部16Aは指令出力部40から開極指令Doが出力されたか否かを判定する(ステップS30)。異常検出部16Aは、開極指令Doが出力されたと判定した場合(ステップS30:Yes)、第5スイッチ35が動作したタイミングと第1スイッチ31が動作したタイミングとの差ΔTc7を算出する(ステップS31)。異常検出部16Aは、ステップS31で算出された差ΔTc7が第7範囲R7内であるか否かを判定する(ステップS32)。異常検出部16Aは、差ΔTc7が第7範囲R7内ではないと判定した場合(ステップS32:No)、開閉機構部20の開極動作が異常であると判定し、開閉機構部20の開極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS33)。
異常検出部16Aは、ステップS33の処理が終了した場合、または、差ΔTc7が第7範囲R7内であると判定した場合(ステップS32:Yes)、開極指令Doが出力されたタイミングと第7スイッチ37が動作したタイミングとの差ΔTc9を算出する(ステップS34)。異常検出部16Aは、ステップS34で算出された差ΔTc9が第9範囲R9内であるか否かを判定する(ステップS35)。
異常検出部16Aは、差ΔTc9が第9範囲R9内ではないと判定した場合(ステップS35:No)、機構部6の開極動作が異常であると判定し、機構部6の開極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS36)。
異常検出部16Aは、ステップS36の処理が終了した場合、開極指令Doが出力されないと判定した場合(ステップS30:No)、または、差ΔTc9が第9範囲R9内であると判定した場合(ステップS35:Yes)、図18に示す処理を終了する。
図19は、実施の形態2にかかる遮断器がオフ状態である場合の異常検出部による処理の一例を示すフローチャートである。なお、遮断器1Aがオフ状態である場合の異常検出部16Aによる処理には、図12に示すステップS21〜S29の処理が含まれるが、図19では省略している。
図19に示すように、異常検出部16Aは指令出力部40から閉極指令Dcが出力されたか否かを判定する(ステップS40)。異常検出部16Aは、閉極指令Dcが出力されたと判定した場合(ステップS40:Yes)、第6スイッチ36が動作したタイミングと第2スイッチ32が動作したタイミングとの差ΔTc8を算出する(ステップS41)。異常検出部16Aは、ステップS41で算出された差ΔTc8が第8範囲R8内であるか否かを判定する(ステップS42)。異常検出部16Aは、差ΔTc8が第8範囲R8内ではないと判定した場合(ステップS42:No)、開閉機構部20の閉極動作が異常であると判定し、開閉機構部20の閉極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS43)。
異常検出部16Aは、ステップS43の処理が終了した場合、または、差ΔTc8が第8範囲R8内であると判定した場合(ステップS42:Yes)、閉極指令Dcが出力されたタイミングと第7スイッチ37が動作したタイミングとの差ΔTc10を算出する(ステップS44)。異常検出部16Aは、ステップS44で算出された差ΔTc10が第10範囲R10内であるか否かを判定する(ステップS45)。異常検出部16Aは、差ΔTc10が第10範囲R10内ではないと判定した場合(ステップS45:No)、機構部6の閉極動作が異常であると判定し、機構部6の閉極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS46)。
異常検出部16Aは、ステップS46の処理が終了した場合、閉極指令Dcが出力されないと判定した場合(ステップS40:No)、または、差ΔTc10が第10範囲R10内であると判定した場合(ステップS45:Yes)、図19に示す処理を終了する。
異常検出部16Aのハードウェア構成は、図13に示す異常検出部16のハードウェア構成と同じである。異常検出部16Aの記憶部82Aは、メモリ162によって実現される。プロセッサ161は、メモリ162に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、差分演算部81Aおよび判定部83Aの機能を実行する。
なお、上述した例では、異常検出部16Aは、差ΔTc1〜ΔTc10を算出し、かかる差ΔTc1〜ΔTc10が正常範囲内であるか否かを判定するが、差ΔTc1〜ΔTc10のうち一部の差分を算出しない構成であってもよい。この場合、異常検出部16Aは、差ΔTc1〜ΔTc10のうち算出した差分が正常範囲内であるか否かを判定する。異常検出部16Aは、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、第4スイッチ34、第5スイッチ35、第6スイッチ36、および第7スイッチ37のうちスイッチ部15Aに配置されていないスイッチに関する差分を算出しないことができる。また、異常検出部16Aは、差ΔTc1〜ΔTc10のうち遮断器1Aのユーザが設定した差分のみを算出することができる。
実施の形態3.
実施の形態3にかかる遮断器は、機構部による固定接点と可動接点との接触および開離に連動して変化する接点信号を出力する接点信号出力部と端子間電圧を検出する電圧検出部とを有する点で、実施の形態1,2にかかる遮断器と異なる。以下においては、実施の形態2と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態2の遮断器1Aと異なる点を中心に説明する。
図20は、本発明の実施の形態3にかかる遮断器の構成例を示す図である。図20に示すように、実施の形態3にかかる遮断器1Bは、接点信号出力部18および電圧検出部19を備えると共に、異常検出部16に代えて、異常検出部16Bを有する点で、遮断器1Aと異なる。
接点信号出力部18は、機構部6による固定接点4と可動接点5との接触および開離に連動して変化する接点信号So8を出力する。かかる接点信号出力部18は、例えば、マイクロスイッチである。接点信号出力部18は、機構部6による固定接点4と可動接点5との接触および開離に連動して変化するように遮断器1Bに配置される。接点信号出力部18は、例えば、メインシャフト66に取り付けられた部材によってアクチュエータが動作される。接点信号出力部18が補助スイッチの場合、接点信号出力部18が出力する接点信号So8は、補助接点信号と呼ばれることがある。
電圧検出部19は、電源側固定端子2と負荷側固定端子3との間の電圧である端子間電圧を検出する。なお、電圧検出部19は、端子間電圧に代えて、固定接点4と可動接点5との間の電圧である接点間電圧を検出する電圧検出部であってもよい。この場合、異常検出部16Bは、端子間電圧に代えて接点間電圧を用いる。なお、アークによって生じる端子間電圧は、アークによって生じる接点間電圧よりも大きいため、アーク電圧の推定が容易である。
異常検出部16Bは、異常検出部16Aの機能に加え、接点信号出力部18からの接点信号So8と電圧検出部19によって検出される端子間電圧とに基づいて、機構部6の異常および接点消耗の異常を判定することができる。接点消耗は、固定接点4および可動接点5の少なくとも一つの消耗である。
図21は、実施の形態3にかかる異常検出部の構成例を示す図である。図21に示すように、異常検出部16Bは、差分演算部81Bと、記憶部82Bと、判定部83Bとを備える。差分演算部81Bは、差分演算部81Aの構成に加え、第11演算部8411と、第12演算部8412と、第13演算部8413とを備える。
第11演算部8411は、指令出力部40から開極指令Doが出力されるタイミングと接点信号出力部18からの接点信号So8が変化するタイミングとの差ΔTc11を算出する。第12演算部8412は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力されるタイミングと接点信号出力部18からの接点信号So8が変化するタイミングとの差ΔTc12を算出する。第13演算部8413は、接点信号出力部18からの接点信号So8が変化するタイミングと電圧検出部19で検出される端子間電圧の立下がりタイミングとの差ΔTc13を算出する。
記憶部82Bは、記憶部82Aに記憶される情報に加え、第11範囲R11を示す第11範囲情報と、第12範囲R12を示す第12範囲情報と、第13範囲R13を示す第13範囲情報とを記憶する。判定部83Bは、判定部83Aの構成に加え、第11判定部8511と、第12判定部8512と、第13判定部8513とを備える。
第11判定部8511は、第11演算部8411によって算出される差ΔTc11が第11範囲R11外である場合、機構部6の開極動作が異常であると判定し、差ΔTc11が第11範囲R11内である場合、機構部6の開極動作が異常ではないと判定する。第12判定部8512は、第12演算部8412によって算出される差ΔTc12が第12範囲R12外である場合、機構部6の閉極動作が異常であると判定し、差ΔTc12が第12範囲R12内である場合、機構部6の閉極動作が異常ではないと判定する。
第13判定部8513は、第13演算部8413によって算出される差ΔTc13が第13範囲R13外である場合、接点消耗が異常であると判定し、差ΔTc13が第13範囲R13内である場合、接点消耗が異常ではないと判定する。なお、接点消耗が異常であるとは、例えば、固定接点4および可動接点5の少なくとも一つが消耗によって交換時期になっていることを意味する。
ここで、電路に流れる電流、開閉機構部20、開極コイル部21、接点信号出力部18、および端子間電圧の状態変化について説明する。まず、機構部6の開極動作における状態変化について説明する。図22は、実施の形態3にかかる遮断器の開極動作における電路に流れる電流、開閉機構部、開極コイル部、接点信号、および端子間電圧の状態変化を示す図であり、開閉機構部20および開極コイル部21の状態変化は、図9と同様である。
図22に示すように、遮断器1Bが閉状態である場合に、時刻t51において、指令出力部40から開極指令Doが出力されると、時刻t52において、開極コイル部21におけるプランジャの移動位置が動作完了位置になり、開閉機構部20の開極動作が開始される。そして、時刻t53において、開閉機構部20の開極動作によって固定接点4と可動接点5とが開離し、接点信号出力部18からの接点信号So8がHighレベルからLowレベルになる。なお、接点信号出力部18は、固定接点4と可動接点5とが開離したタイミングで、接点信号So8をLowレベルからHighレベルへ変化させる構成であってもよい。
固定接点4と可動接点5とが開離してから一定時間は、アークによって固定接点4と可動接点5との間に電流が流れ続けており、時刻t54において、固定接点4と可動接点5との間のアークがなくなる。そして、開閉機構部20のストロークが第2位置になり、開閉機構部20の開極動作が完了する。電圧検出部19によって検出される端子間電圧は、時刻t53で立上がり、時刻t54で立ち下がる。
異常検出部16Bの第11演算部8411は、指令出力部40から開極指令Doが出力された時刻t51と接点信号出力部18からの接点信号So8がHighレベルからLowレベルになった時刻t53との差である期間T11を差ΔTc11として算出する。異常検出部16Bの第11判定部8511は、期間T11が第11範囲R11外である場合に、機構部6の開極動作が異常であると判定し、期間T11が第11範囲R11内である場合に、機構部6の開極動作が異常ではないと判定する。一般的な遮断器は、オプションとして補助スイッチを取り付けることができるため、接点信号出力部18として補助スイッチを用いることで、容易に遮断器1Bを構成することができる。
異常検出部16Bの第13演算部8413は、接点信号出力部18からの接点信号So8がHighレベルからLowレベルになった時刻t53と電圧検出部19で検出される端子間電圧が立ち下がった時刻t54との差である期間T13を差ΔTc13として算出する。異常検出部16Bの第13判定部8513は、期間T13が第13範囲R13外である場合に、接点消耗が異常であると判定し、期間T13が第13範囲R13内である場合に、接点消耗が異常ではないと判定する。
図22に示す例では、接点信号出力部18からの接点信号So8がHighレベルからLowレベルになるタイミングと電圧検出部19で検出される端子間電圧が立ち上がるタイミングとは同じである。そのため、異常検出部16Bは、電圧検出部19で検出される端子間電圧の立上がりを検出することなく、接点消耗の異常を判定することができ、端子間電圧の立上がりのタイミングを一時的に記憶する必要がない。そのため、異常検出部16Bにおいて、計算の高速化およびメモリの低容量化などを図ることができる。
次に、機構部6の閉極動作における電路に流れる電流、開閉機構部20、閉極コイル部22、および接点信号出力部18の状態変化について説明する。図23は、実施の形態3にかかる遮断器の閉極動作における電路に流れる電流、開閉機構部、閉極コイル部、および接点信号の状態変化を示す図であり、開閉機構部20および閉極コイル部22の状態変化は、図10と同様である。
図23に示すように、遮断器1Bが開状態である場合に、時刻t61において、指令出力部40から閉極指令Dcが出力されると、時刻t62において、プランジャの移動位置が動作完了位置になって開閉機構部20のラッチが解除され、開閉機構部20の閉極動作が開始される。開閉機構部20の閉極動作によって、時刻t63において、固定接点4と可動接点5とが接触し、接点信号出力部18からの接点信号So8がLowレベルからHighレベルに変化する。そして、時刻t64において、開閉機構部20の閉極動作が完了する。
異常検出部16Bの第12演算部8412は、指令出力部40から閉極指令Dcが出力された時刻t61と接点信号出力部18からの接点信号So8がLowレベルからHighレベルになった時刻t63との差である期間T12を差ΔTc12として算出する。異常検出部16Bの第12判定部8512は、期間T12が第12範囲R12外である場合に、機構部6の閉極動作が異常であると判定し、期間T12が第12範囲R12内である場合に、機構部6の閉極動作が異常ではないと判定する。上述したように、一般的な遮断器は、オプションとして補助スイッチを取り付けることができるため、接点信号出力部18として補助スイッチを用いることで、容易に遮断器1Bを構成することができる。
このように、遮断器1Bは、遮断器1Aにおける機構部6の異常検出に加え、異なる方法によって機構部6の異常を検出することができるため、機構部6の異常検出を精度よく行うことができる。
つづいて、遮断器1Bの異常検出部16Bによる処理を、フローチャートを用いて説明する。図24は、実施の形態3にかかる遮断器がオン状態である場合の異常検出部による処理の一例を示すフローチャートである。なお、遮断器1Bがオン状態である場合の異常検出部16Bによる処理には、図11に示すステップS11〜S19の処理および図18に示すステップS31〜S36の処理が含まれるが、図24では省略している。
図24に示すように、異常検出部16Bは指令出力部40から開極指令Doが出力されたか否かを判定する(ステップS50)。異常検出部16Bは、開極指令Doが出力されたと判定した場合(ステップS50:Yes)、開極指令Doが出力されたタイミングと接点信号出力部18からの接点信号So8が変化したタイミングとの差ΔTc11を算出する(ステップS51)。異常検出部16Bは、ステップS51で算出された差ΔTc11が第11範囲R11内であるか否かを判定する(ステップS52)。異常検出部16Bは、差ΔTc11が第11範囲R11内ではないと判定した場合(ステップS52:No)、機構部6の開極動作が異常であると判定し、機構部6の開極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS53)。
異常検出部16Bは、ステップS53の処理が終了した場合、または、差ΔTc11が第11範囲R11内であると判定した場合(ステップS52:Yes)、開極指令Doが出力されたタイミングと端子間電圧の立下りタイミングとの差ΔTc13を算出する(ステップS54)。異常検出部16Bは、ステップS54で算出された差ΔTc13が第13範囲R13内であるか否かを判定する(ステップS55)。
異常検出部16Bは、差ΔTc13が第13範囲R13内ではないと判定した場合(ステップS55:No)、接点消耗が異常であると判定し、接点消耗の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS56)。
異常検出部16Bは、ステップS56の処理が終了した場合、開極指令Doが出力されないと判定した場合(ステップS50:No)、または、差ΔTc13が第13範囲R13内であると判定した場合(ステップS55:Yes)、図24に示す処理を終了する。
図25は、実施の形態3にかかる遮断器がオフ状態である場合の異常検出部による処理の一例を示すフローチャートである。なお、遮断器1Bがオフ状態である場合の異常検出部16Bによる処理には、図12に示すステップS21〜S29の処理および図19に示すステップS41〜S46の処理が含まれるが、図25では省略している。
図25に示すように、異常検出部16Bは指令出力部40から閉極指令Dcが出力されたか否かを判定する(ステップS60)。異常検出部16Bは、閉極指令Dcが出力されたと判定した場合(ステップS60:Yes)、閉極指令Dcが出力されたタイミングと接点信号出力部18からの接点信号So8が変化したタイミングとの差ΔTc12を算出する(ステップS61)。異常検出部16Bは、ステップS61で算出された差ΔTc12が第12範囲R12内であるか否かを判定する(ステップS62)。異常検出部16Bは、差ΔTc12が第12範囲R12内ではないと判定した場合(ステップS62:No)、機構部6の閉極動作が異常であると判定し、機構部6の閉極動作の異常を示す情報を報知部17から出力する(ステップS63)。
異常検出部16Bは、ステップS63の処理が終了した場合、閉極指令Dcが出力されないと判定した場合(ステップS60:No)、または差ΔTc12が第12範囲R12内であると判定した場合(ステップS62:Yes)、図25に示す処理を終了する。
異常検出部16Bのハードウェア構成は、図13に示す異常検出部16のハードウェア構成と同じである。異常検出部16Bの記憶部82Bは、メモリ162によって実現される。プロセッサ161は、メモリ162に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、差分演算部81Bおよび判定部83Bの機能を実行する。
なお、上述した例では、異常検出部16Bは、差ΔTc1〜ΔTc13を算出し、かかる差ΔTc1〜ΔTc13が正常範囲内であるか否かを判定するが、差ΔTc1〜ΔTc13のうち一部の差分を算出しない構成であってもよい。この場合、異常検出部16Bは、差ΔTc1〜ΔTc13のうち算出した差分が正常範囲内であるか否かを判定する。異常検出部16Bは、遮断器1Bに配置されていないスイッチに関する差分を算出しないことができる。また、異常検出部16Bは、差ΔTc1〜ΔTc13のうち遮断器1Bのユーザが設定した差分のみを算出することができる。
なお、遮断器1,1A,1Bの開閉機構部20は、図3〜図6に示す構成に限定されない。例えば、遮断器1,1A,1Bは、ばね操作以外による機構部6を有する構成であってもよい。また、開極コイル部21の開極動作の時間が開閉機構部20の開極動作の時間に比べ十分小さい場合、開極コイル部21の開極動作の時間は無視することができる。同様に、閉極コイル部22の閉極動作の時間が開閉機構部20の閉極動作の時間に比べ十分小さい場合、閉極コイル部22の閉極動作の時間は無視することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。