JPWO2020218150A1 - イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明によれば、組成式(I)BaZr1−xYbxO3−δ(式中、xは0.1≦x≦0.6を満たす数であり、δは酸素欠損量を示す。)で表されるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法であって、(a)バリウム水酸化物とジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物とイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶を水と共に混合して、第1のスラリーを得る工程、(b)上記第1のスラリーを湿式粉砕して、平均粒子径3.0μm以下の粒子状固形物を含む第2のスラリーを得る工程、(c)上記第2のスラリーにバリウム水酸化物を加えて、第3のスラリーを得る工程、(d)上記第3のスラリーを水熱反応させて、第4のスラリーを得る工程、及び(e)上記第4のスラリーを酸処理後に水洗処理して、過剰のバリウム水酸化物を除去する工程を含み、その際、上記工程(a)と工程(c)においてスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を所定の範囲とする。本発明によれば、異相を含まず、組成が均一であって、しかも、微細で高結晶性であるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を低廉で工業的な量産化に適する液相法によって得ることができる。

Description

本発明は、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子とその製造方法に関し、詳しくは、組成が均一であり、微細で結晶性にすぐれ、開気孔率が低いイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子とその製造方法に関する。
本発明によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、上述したような特性を有するので、固体酸化物形燃料電池用電解質材料として好適に用いることができる。
近年、燃料電池がクリーンなエネルギー源として注目されている。なかでも、電解質としてイオン伝導性を有する固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCということがある。)は、作動温度が700〜1000℃程度であって、発電効率が高く、炭化水素系燃料や一酸化炭素ガスを燃料として用いることができ、更に、排熱を利用することができる利点をも有しており、家庭用から大規模発電まで、幅広い活用が期待されており、一部、既に実用化されている。
このようなSOFCは、基本構造として、空気極(カソ−ド)と燃料極(アノード)との間に固体酸化物電解質層が配置されてなる燃料電池セルを有し、必要に応じて、空気極と電解質層との間に両者間の反応を防止するための反応防止層を有する。
従来、電解質層には、代表的には、例えば、イットリア安定化ジルコニアの焼結体が用いられ、空気極には、近年、SOFCを高出力化するために、電子伝導性とイオン伝導性を併せ有するABO3 構造を有するペロブスカイト型複合酸化物、例えば、(La,Sr)(Co,Fe)O3 が用いられるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来のSOFCは、上述したように、作動温度が高いので、構造材料が劣化しやすいという問題を有している。
そこで、近年に至って、ジルコン酸バリウム系ペロブスカイト型複合酸化物(BZM)粉末が700℃以下の中低温で良好なプロトン伝導性を有することから、中低温作動型のSOFCの電解質材料として期待されている。
上記ジルコン酸バリウム系ペロブスカイト型複合酸化物(BZM)は、組成式
BaZr1−x3−δ
で表され、ここに、Mはドープ元素、即ち、Y(イットリウム)又はYb(イッテルビウム)である。
例えば、イットリウム添加ジルコン酸バリウムを固体電解質として用いるSOFCについては、ランタンストロンチウムコバルト複合酸化物(LSC)からなるカソード電極層の一方側にイットリウム添加ジルコン酸バリウムを固体電解質層として積層して固体電解質積層体を構成することが提案されている。このような固体電解質積層体を備えたSOFCは600℃以下の作動温度にて高い発電性能を有するとされている(特許文献1参照)。
このようなイットリウム添加ジルコン酸バリウムは、例えば、Ba、Zr及びYの組成比が所定の比率となるようにバリウム源(例えば、炭酸バリウム)とジルコニウム源(例えば、酸化ジルコニウム)とイットリウム源(例えば、酸化イットリウム)を混合し、湿式粉砕して均一な混合物とした後、これを焼成し、再度、湿式粉砕する固相法によって得ることができる(特許文献1参照)。
しかし、このような固相法では、よく知られているように、イットリウムのようなドープ元素が偏析しやすく、また、異相も生成しやすいので、組成が均一で、しかも、微細で高結晶性である製品を得ることが困難である。
また、固相法によっても、得られた一次粒子を長時間、湿式粉砕することによって、破砕物として微細な粒子を得ることはできるが、一方において、上記粉砕物中に粉砕媒体に由来する不純物が増え、更に、粉砕時にバリウムが溶媒に溶出し、その後の乾燥において、粗大な炭酸バリウムが生成する問題がある。このように、得られるイットリウム添加ジルコン酸バリウムに不純物が混入すれば、プロトン伝導性に悪影響を及ぼす。
近年においては、上記イットリウム添加ジルコン酸バリウムに代えて、ドープ元素としてイッテルビウムを用いたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムをランタンストロンチウムコバルト複合酸化物(LSC)からなるカソード電極層の一方側に積層して固体電解質積層体を構成することによって、発電効率の一層高いSOFCを得ることが提案されている(特許文献2参照)。
このようなイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムは、例えば、硝酸バリウムとオキシ硝酸ジルコニウムと硝酸イッテルビウムの混合水溶液に錯体形成剤としてクエン酸とエチレンジアミン四酢酸を作用させ、pH調整した後、水を除去し、得られた固形物を粉砕することによって得ることができる(特許文献2参照)。
上記液相法によれば、上述した固相法に比較して、ドープ元素の偏析の少ない製品を得ることができるが、原料費用が高いので、工業的な量産に適しない。
特開2013−206703号公報 特開2017−188439号公報
本発明は、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの製造における上述した問題を解決するためになされたものであって、異相を含まず、組成が均一であって、しかも、微細で高結晶性であり、開気孔率が低いイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの工業的に有利な製造方法、即ち、固相法によるよりも組成が均一であるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの低廉で量産化に適する水熱法による製造方法を提供することを目的とし、更に、そのような方法によって得られる上述した特性を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムを提供することを目的とする。
本発明によれば、組成式(I)
BaZr1−xYb3−δ
(式中、xは0.1≦x≦0.6を満たす数であり、δは酸素欠損量を示す。)
で表されるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法であって、
(a)バリウム水酸化物とジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物とイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶を水と共に混合して、第1のスラリーを得る工程、
(b)上記第1のスラリーを湿式粉砕して、平均粒子径が3.0μm以下である粒子状固形物を含む第2のスラリーを得る工程、
(c)上記第2のスラリーにバリウム水酸化物を添加して、第3のスラリーを得る工程、
(d)上記第3のスラリーを水熱反応させて、第4のスラリーを得る工程、及び
(e)上記第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理して、過剰のバリウム水酸化物を除去する工程
を含み、
上記工程(a)において、第1のスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を0.1〜1.2の範囲とし、
上記工程(c)において、第3のスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を1.5〜5.0の範囲とする、
ことを特徴とするイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法が提供される。
本発明によれば、前記工程(a)において、前記第1のスラリーの含むジルコニウムとイッテルビウムの合計モル部数100モル部に対して1〜20モル部の範囲でイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の種結晶を用いることが好ましい。上記種結晶は、前記組成式(I)を有するものであることが望ましい。
本発明によれば、上記工程(a)において、ジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物に代えて、予め、製造したジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物を用いることができる。
本発明によれば、上記水熱反応は、温度120〜300℃の範囲で行うことが好ましい。
更に、本発明によれば、組成式(I)
BaZr1−xYb3−δ
(式中、xは0.1≦x≦0.6を満たす数であり、δは酸素欠損量を示す。)
で表される単相の粒子であって、10m/g以上の比表面積を有し、0.7〜1.5の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子が提供される。
尚、本発明において、前記組成式に記載されている「δ」は酸素欠損量を表し、組成や温度、雰囲気等によって異なる値をとり得るため、数値範囲を規定することに意味のない量である。
本発明の方法によれば、異相を含まず、組成が均一であって、微細で、結晶性にすぐれ、開気孔率が低く、従って、緻密な電解質膜を容易に形成し得るイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができる。
また、本発明の方法によって得られるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、上述したような特性を有するので、固体酸化物形燃料電池用電解質材料として好適に用いることができる。
特に、本発明によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、組成が均一であるので、固体酸化物形燃料電池用電解質材料として用いた場合、プロトン伝導特性にすぐれ、また、固相法にて得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子よりも低い温度で焼結するので、より緻密な電解質膜を得ることができ、プロトン伝導性も改善されるのみならず、電解質の製造費用を低減することができ、延いては、SOFCセルの性能の安定化や耐久性の向上に寄与することができる。
本発明の実施例1と比較例2において得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子のX線回折パターンを示す。
本発明によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法は、組成式(I)
BaZr1−xYb3−δ
(式中、xは0.1≦x≦0.6を満たす数であり、δは酸素欠損量を示す。)
で表されるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法であって、
(a)バリウム水酸化物とジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物とイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶を水と共に混合して、第1のスラリーを得る工程、
(b)上記第1のスラリーを湿式粉砕して、平均粒子径が3.0μm以下である粒子状固形物を含む第2のスラリーを得る工程、
(c)上記第2のスラリーにバリウム水酸化物を添加して、第3のスラリーを得る工程、
(d)上記第3のスラリーを水熱反応させて、第4のスラリーを得る工程、及び
(e)上記第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理して、過剰のバリウム水酸化物を除去する工程を含み、
上記工程(a)において、第1のスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を0.1〜1.2の範囲とし、
上記工程(c)において、第3のスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を1.5〜5.0の範囲とする、
ことを特徴とする。
本発明において、工程(a)及び工程(c)におけるBa/(Zr+Yb)モル比は、それぞれの工程において用いたバリウム水酸化物、ジルコニウム水酸化物及びイッテルビウム水酸化物の量、即ち、仕込み量に基づき、一方、最終的に得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子におけるBa/(Zr+Yb)モル比及びYb/(Zr+Yb)モル比は後述する分析方法に基づく。
本発明によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの製造方法においては、工程(a)及び工程(c)において、それぞれ得られるスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を所定の値に調整しつつ、工程(a)から工程(c)を経てスラリーを得、このスラリーを水熱反応に供することによって、目的とする組成が均一であって、微細で結晶性にすぐれ、開気孔率の低いイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができる。
本発明において、上記バリウム水酸化物としては、水酸化バリウムの無水和物、1水和物、8水和物等が挙げられる。
上記ジルコニウム水酸化物としては、水酸化ジルコニウムの無水和物や各種水和物の市販品を用いることができる。しかし、上記市販品は、吸水しやすく、不安定である。そこで、本発明においては、上記ジルコニウム水酸化物として、好ましくは、オキシ塩化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等の水溶性ジルコニウム化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリ性化合物の過剰量と水中で反応させて、ほぼ定量的にジルコニウム水酸化物を生成させ、このようにして得る湿潤ケーキとしてのジルコニウム水酸化物を用いる。
上記イッテルビウム水酸化物としては、水酸化イッテルビウムの無水和物や各種水和物の市販品を用いることができる。しかし、上記市販品も吸水しやすく、不安定である。そこで、本発明においては、上記イッテルビウム水酸化物として、好ましくは、硫酸イッテルビウム、塩化イッテルビウム、硝酸イッテルビウム等の水溶性イッテルビウム化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリ性化合物の過剰量と水中で反応させて、ほぼ定量的にイッテルビウム水酸化物を生成させ、このようにして得る湿潤ケーキとしてのイッテルビウム水酸化物を用いる。
工程(a)から工程(c)を行うことなく、バリウム水酸化物とジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物とイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶粒子を水にスラリー化し、これを水熱反応に供しても、目的とするイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができない。
工程(a)は、バリウム水酸化物とジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物とイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶を水と共に混合して、第1のスラリーを得る工程である。この第1のスラリーは、ジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物とイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶を含む固形物を含み、場合によっては、上記バリウム水酸化物の水不溶部分を含むことがある。
上記ジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物は、予め、製造したジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物であってもよい。
上記イッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶としては、前記一般式(I)で表されるものであれば、いずれでもよい。
工程(a)においては、第1のスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を0.1〜1.2の範囲とする。工程(a)において、バリウム水酸化物を上記モル比が0.1よりも小さい値にて用いるときは、10m/g以上の比表面積を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得るために、工程(b)において非常に長時間の粉砕が必要となる。その結果、得られた粉砕物に粉砕メディア由来の不純物が混入することとなり、最終的に高い品質を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができない。
しかし、工程(a)において、バリウム水酸化物を上記モル比が1.2よりも大きい値にて用いるときは、最終的に得られるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子が異相を含む。
更に、本発明においては、より高純度で高導電性のイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができるように、上記工程(a)において、第1のスラリーの有するYb/(Zr+Yb)モル比を0.1〜0.6の範囲とすることが好ましい。上記Yb/(Zr+Yb)モル比は、工程(a)において用いたバリウム水酸化物、ジルコニウム水酸化物及びイッテルビウム水酸化物の量、即ち、仕込み量に基づく。
工程(b)は、上記第1のスラリーを湿式粉砕して、平均粒子径が3.0μm以下である粒子状固形物を含む第2のスラリーを得る工程である。
工程(b)において、得られる第2のスラリー中の粒子状固形物が3.0μmを超える平均粒子径を有するときは、目的とする微細で結晶性にすぐれるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができない。
一方、工程(b)において、得られるスラリー中の粒子状固形物の平均粒子径の下限値は特に限定されるものではないが、通常、0.1μm程度が好ましい。工程(b)において、得られるスラリー中の粒子状固形物の平均粒子径を余りに小さいものとするときは、粉砕に不必要に長時間を要するので、工業的な製造方法としては経済性に問題が生じるほか、粉砕媒体に由来する不純物が粉砕物に混入するおそれもある。
工程(b)における湿式粉砕には、通常、遊星ボールミルやビーズミルが用いられる。粉砕媒体は、所要の平均粒子径を考慮して、適宜の直径、例えば、0.3〜3.0mm程度の直径を有するジルコニアボール等が好ましく用いられる。
工程(c)は、上記工程(b)において得られた第2のスラリーにバリウム水酸化物を加えて、第3のスラリーを得る工程である。
工程(c)においては、上記工程(b)において得られた第2のスラリーにバリウム水酸化物を加え、第3のスラリーに過剰のバリウムを有せしめて、水熱反応のための原料混合物を得る工程である。即ち、第3のスラリーは、ジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物と共に過剰のバリウム水酸化物を含む。ここに、第3のスラリーが過剰のバリウムを有するとは、第3のスラリーの有するジルコニウムとイッテルビウムの合計量1モル部に対して、バリウム量が1モル部を超えるという意味である。即ち、工程(c)においては、得られる第3のスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を1.5以上とすることが好ましい。
上記モル比が1.5よりも小さいときは、次工程である工程(d)における水熱反応において、イッテルビウムとジルコニウム、特に、イッテルビウムの一部がバリウムと十分に反応せず、得られるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムが異相としてイッテルビウム化合物(YbOOH)を含む。上記モル比の上限値は、必ずしも、固定されるものではないが、通常、5.0程度が好ましい。上記モル比が5.0を超えても、目的とするイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることはできるが、次工程(e)において、水熱反応によって得られる第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理して、過剰のバリウムを除去するために、酸処理及びその後の水洗処理にそれぞれ多量の酸及び水を用いる必要があり、製造費用が嵩むこととなる。
工程(d)は、工程(c)において得られた上記第3のスラリーを水熱反応させて、第4のスラリーを得る工程である。この水熱反応の温度は、通常、120〜300℃の範囲であり、好ましくは、130〜250℃の範囲であり、最も好ましくは、150〜200℃の範囲である。
上記第4のスラリーは、過剰のバリウム水酸化物の存在下での水熱反応によって前記原料混合物から生成したイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を含む。そこで、工程(e)は、上記水熱反応によって得られた第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理する。即ち、工程(d)は、上記第4のスラリーに、例えば、硝酸のような酸を加え、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子から上記過剰のバリウム水酸化物を、例えば、硝酸バリウムのようなバリウム塩として除去する工程である。
かくして、上記第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理し、必要に応じて、ろ過、乾燥することによって、炭酸バリウムを異相として含まないイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができる。
上記酸処理に用いる酸は、無機酸、有機酸のいずれでもよいが、通常、硝酸、塩酸、酢酸等が好ましく用いられる。工程(d)において得られた上記反応混合物は、5程度のpHを有するように酸処理される。また、上記水洗処理には、イオン交換水や純水が好ましく用いられる。上記水洗処理は、ろ液の電気伝導率が5ms/m以下になるまで行うことが好ましい。
本発明によれば、このようにして、前記組成式(I)で表される単相の粒子であって、10m/g以上の比表面積を有して、微細であると共に、0.7〜1.5の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有して、結晶性にすぐれ、更に、低い開気孔率を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができる。このようなイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、容易に緻密な電解質膜を形成することができる。
本発明によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、好ましくは、11m/g以上、特に好ましくは、12m/g以上の比表面積を有し、微細であると共に結晶子径/比表面積換算粒子径が1に近い値である0.9〜1.3の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有し、結晶性にすぐれる。一般に、粒子は結晶子径/比表面積換算粒子径が1に近い値である程、幾何学的粒子径と単結晶の大きさが近いために、高結晶性である。
通常、粒子における比表面積相当径は結晶子径より大きい。即ち、結晶子径/比表面積換算粒子径の値は1より小さいことが多いが、比表面積相当径は各粒子が真球状であると想定して算出されているため、粒子形状が真球でない場合は、実際の粒子形状との相違が影響し、結晶子径/比表面積換算粒子径の値が1より大きくなることがある。
また、本発明によれば、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムのバリウム量が欠損している場合、即ち、Ba/(Zr+Yb)モル比が1よりも小さい場合、上記イッテルビウム添加ジルコン酸バリウムにバリウムを補償して、所望のBa/(Zr+Yb)モル比を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムを得ることができる。
即ち、例えば、水熱反応の後、得られた反応混合物(固体)をろ過し、酸処理し、水洗して、反応混合物中、水に溶存しているバリウム水酸化物を除去した後、得られた反応生成物のBa/(Zr+Yb)モル比を分析し、次いで、所望のBa/(Zr+Yb)モル比になるように、上記反応生成物にバリウム化合物を添加剤として加えて、所望のBa/(Zr+Yb)モル比を有せしめ、これを焼結すれば、所望のBa/(Zr+Yb)モル比を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム焼結体を得ることができる。
ここに、上記添加剤としては、水への溶解度が低く、更に、このように添加剤を加えた反応混合物を焼結した際に、その添加剤が熱分解しても、バリウム以外のものが焼結体中に残存しないもの、例えば、炭酸塩、有機酸塩、酸化物等が好ましく用いられる。
従って、このような物性を有する発明によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、固体酸化物形燃料電池用電解質材料として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、以下において、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
また、各種の測定は以下のようにして行った。
工程(b)における第2のスラリー中の粒子状固形物の粒度分布(比較例4を除く。)と平均粒子径
工程(b)において得られた第2のスラリーの一部を分取して試料とし、これにヘキサメタリン酸ナトリウムを分散剤として加え、超音波ホモジナイザーで分散し、光回折・散乱法によって、即ち、レーザー回折・散乱式粒度分布計 (マイクロトラック・ベル(株))製MT−3300 EXII)を用いて、下記の条件で測定した。
計測モード:MT−3000
測定上限:1408μm
測定下限:0.021μm
粒子屈折率:2.07
粒子形状:非球形
溶媒屈折率:1.333
上記粒度分布の測定において得られた体積メジアン径(体積中位径)を平均粒子径とした。
比較例4においては、水熱反応前のスラリーの一部を分取して試料とした以外は、上記と同様にして、測定した。
比表面積
比表面積は、比表面積測定装置((株)マウンテック製、Macsorb HM−1220)を用いて、BET流動法により測定した。吸着ガスとして純窒素を用い、230℃で30分間保持した。
X線回折パターン
粉末X線回折パターンは、粉末X線回折装置((株)リガク製、試料水平型強力X線回折装置 RINT−TTRIIIにより下記条件で測定した。
光学系:平行ビーム光学系(長尺スリット:PSA200/開口角度:0.057度)
管電圧:50kV
電流:300mA
測定方法:平行法(連続)
測定範囲(2θ):10〜60度
サンプリング幅:0.04度
スキャンスピード:5度/分
結晶子径
上述した方法にて測定されたX線回折パターンにおけるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの有するペロブスカイト相の(200)面に対する回折線の半価幅からシェラーの式を用いて結晶子径を算出した。
結晶子径=K×λ/βcosθ
但し、
K=シェラー定数(=0.94)
λ=X線の波長(Cu−Kα線 1.5418Å)
β=半価幅(ラジアン単位)
θ=ブラッグ(Bragg)角(回折角2θの1/2)
比表面積換算粒子径
上述した方法にて測定された比表面積から次の換算式を用いて比表面積換算粒子径を算出した。
S=6/(ρ×d)
S=比表面積
ρ=試料粉体の密度
d=比表面積換算粒子径
但し、ρ(試料粉体の密度)はBaZrOの理論密度(6.17g/cm)とした。
イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の波長分散型蛍光X線分析法による組成比のモル比分析
(前処理)
白金坩堝にイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム0.6gを秤取し、次いで、四ホウ酸リチウム(富士フィルム和光純薬(株))6gを秤取した。ビーカーに臭化カリウム(富士フィルム和光純薬(株))25gを秤量し、イオン交換水75mLを加え、ガラス棒で攪拌して溶解し、25%臭化カリウム水溶液とした。この25%臭化カリウム水溶液をマイクロピペッターで40μL分取し、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウムと四ホウ酸リチウムを秤取した白金坩堝に加えた。白金坩堝をビード&フューズサンプラ((株)アメナテック製、TK−4100型 高周波溶融装置)に取り付けて、坩堝の内容物を1000℃で加熱溶融し、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウムのガラスビード試料を得た。
(測定)
上記ガラスビード試料を蛍光X線装置((株)リガク製、ZSX PrimusII)を用いて波長分散型蛍光X線分析法により各元素のモル濃度を測定し、検量線法によって、モル比を算出した。測定条件は以下のとおりである。
サンプルスピン:あり
ターゲット:Rh、50KV−60mA
開気孔率
ポリビニルアルコール(富士フィルム和光純薬(株))の10%水溶液100mLを用意した。実施例1〜3、比較例1〜5及び製造例5において得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムのそれぞれ10gを秤量し、乳鉢を用いて、上記ポリビニルアルコール水溶液1gと均一に混合して混合物を得、これを温度110℃に設定した乾燥機で1時間乾燥させた後、放冷した。次いで、得られた乾燥物を乳鉢を用いて解砕し、目開き150μmの篩いを通して、造粒粉末を得た。
上記造粒粉末2gを秤量し、20mmの円型金型に投入し、金型をプレス機(関西ロール(株)製)に置き、圧力1000kg/cmで1分間保持し、プレスして、ペレットを得た。
上記ペレットを真空包装袋に入れ、真空包装機((株)TOSEI製BMV−281)で真空包装し、真空包装袋を冷間静水圧成形機(エヌピーエーシステム(株)製CPP35−200)を用いて、190Mpaでプレスした。次いで、得られたペレットを真空包装袋より取り出し、電気炉(中外エンジニアリング(株)製HT16/17)にて大気雰囲気下、100℃/時の速度で500℃まで昇温し、500℃で1時間保持し、その後、100℃/時の速度で1700℃まで昇温した後、1700℃で5時間保持し、100℃/時の速度で降温して、焼結ペレットを得た。
上記焼結ペレットを用いて、JIS−R1634:1998「ファインセラミックスの焼結体密度・開気孔率の測定方法」に準じて開気孔率を測定した。
製造例1
(ジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物の湿潤ケーキの製造)
ガラスビーカーにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(米山薬品工業(株)製)181.47gとイオン交換水3.05Lを加え、攪拌して、オキシ塩化ジルコニウムを水に溶解させて、水溶液を得た。
別のガラスビーカーに塩化イッテルビウム6水和物54.54g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水0.70Lを加え、攪拌して、塩化イッテルビウムを水に溶解させて、水溶液を得た。上記塩化イッテルビウム水溶液とオキシ塩化ジルコニウム水溶液と混合して、混合水溶液とした。
次いで、ナイロン製ビーカーに水酸化ナトリウム79.98g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水4Lを加え、攪拌し、溶解させて、水酸化ナトリウム水溶液を得た。
イオン交換水600mLを入れた別の撹拌機を備えたビーカーにチューブポンプを用いて、上記混合水溶液を45mL/分で添加すると共に、pHが8.5〜9.5となるように、上記ビーカーに上記水酸化ナトリウム水溶液を別のチューブポンプを用いて添加した。
添加終了後、そのまま、1時間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が5ms/m以下になるまで水洗して、ジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物の湿潤ケーキ765g(水酸化ジルコニウム濃度11.72%、水酸化イッテルビウム濃度4.12%、Zr/Ybモル比4/1、水混合水酸化物の収率98%)を得た。
ジルコニウムとイッテルビウムの各水酸化物は吸湿しやすく、得られた湿潤ケーキ中の上記水酸化物の各濃度を正確に秤量することは困難であるので、上記湿潤ケーキ中のジルコニウムとイッテルビウムの各水酸化物の濃度は下記のようにして求めた。即ち、上記湿潤ケーキを500℃に加熱したときの酸化物残渣中のジルコニウムとイッテルビウムの各濃度を求め、これらを各水酸化物、即ち、Zr(OH)とYb(OH)に換算して、各水酸化物の濃度と収率を求めた。上記ケーキを500℃に加熱することによって、物理吸着水と水酸基が完全に除去され、酸化物が形成されることは熱重量分析にて確認した。
製造例2
(ジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキの製造)
ガラスビーカーにオキシ塩化ジルコニウム8水和物84.65g(米山薬品工業(株)製)とイオン交換水1.42Lを加え、攪拌し、溶解させて、水溶液を得た。また、ナイロン製ビーカーに水酸化ナトリウム79.98g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水4Lを加え、攪拌し、溶解させて、水溶液を得た。
イオン交換水600mLを入れた別の撹拌機を備えたビーカーに上記オキシ塩化ジルコニウム水溶液をチューブポンプを用いて45mL/分で添加すると共に、pHが8.5〜9.5となるように、上記ビーカーに上記水酸化ナトリウム水溶液を別のチューブポンプを用いて添加した。
添加終了後、そのまま、1時間攪拌してスラリーを得た。その後、得られたスラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が5ms/m以下になるまで水洗して、ジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキ401g(水酸化物の濃度10.42%、収率97%)を得た。水酸化物の濃度と収率は製造例1におけると同様にして求めた。
製造例3
(イッテルビウム水酸化物の湿潤ケーキの製造)
ガラス製ビーカーに塩化イッテルビウム6水和物54.54g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水0.70Lを加え、攪拌し、溶解させて、水溶液を得た。また、ナイロン製ビーカーに水酸化ナトリウム20.00g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水2Lを加え、攪拌し、溶解させて、水溶液を得た。
イオン交換水600mLを入れた別の撹拌機を備えたビーカーに上記塩化イッテルビウム水溶液をチューブポンプを用いて25mL/分で添加すると共に、pHが9となるように、上記ビーカーに上記水酸化ナトリウム水溶液を別のチューブポンプを用いて添加した。
添加終了後、そのまま、1時間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が5ms/m以下になるまで水洗して、イッテルビウム水酸化物の湿潤ケーキ155g(水酸化物の濃度20.41%、収率98%)を得た。水酸化物の濃度と収率は製造例1におけると同様にして求めた。
製造例4
(イッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶の製造)
製造例1で得たジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物の湿潤ケーキ65.93gをチタン製容器に分取し、更に、これに水酸化バリウム8水和物(富士フィルム和光純薬(株)製)37.86gとイオン交換水0.1Lをに加え、攪拌して、スラリーとした。
上記チタン製容器をオートクレーブに入れ、200℃で2時間加熱して、上記ジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物と水酸化バリウムを水熱反応させた。得られたスラリーを撹拌機を備えたポリエチレン製ビーカーに移し、これに0.2%硝酸水溶液を加えて、pHを5に調整し、そのまま30分間撹拌した。このとき、上記スラリーのpHが上昇したので、0.2%硝酸水溶液を再度、加えて、スラリーのpHを5に再調整した。
このスラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が5ms/m以下になるまで水洗し、かくして得られたケーキを温度150℃に設定した乾燥機で10時間乾燥して、組成式BaZr1−xYb3−δで表され、xが0.18である種結晶の粒子を得た。
製造例5
(固相法によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(1)の製造)
炭酸バリウム85.99g(富士フィルム和光純薬(株)製)と酸化ジルコニウム(富士フィルム和光純薬(株)製)45.05gと酸化イッテルビウム(富士フィルム和光純薬(株)製)17.89gとイオン交換水225mLと直径1.0mmのジルコニアビーズ150mLを500mL容量のプラスチック容器に入れて、スラリーを得た。
上記プラスチック容器を遊星ボールミル(フリッチュ社製P−5)に設置し、回転数180rpmで75分間稼働して、上記スラリーを湿式粉砕した。得られたスラリーからビーズを篩いにて除去し、得られたスラリーをそのまま、温度150℃に設定した乾燥機で10時間乾燥した後、サンプルミル(協立理工(株)製、SK−10)で粉砕して、粉末を得た。
得られた粉末をアルミナ製坩堝に充填し、この坩堝を電気炉(中外エンジニアリング(株)製HT16/17)に置き、大気雰囲気炉で200℃/時で1500℃まで昇温した後、1500℃で4時間保持し、その後、200℃/時で降温した。得られた焼成物を上記サンプルミルで粉砕して、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(1)を得た。
実施例1
(イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(2)の製造)
工程(a)
製造例1で得たジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物の湿潤ケーキ32.96gを300mL容量のプラスチック容器に分取し、更に、これに水酸化バリウム8水和物5.49g(富士フィルム和光純薬(株)製)、製造例4で得たイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶0.88g、イオン交換水50mL及び直径0.5mmのジルコニアビーズ50mLを入れて、第1のスラリーを得た。
工程(b)
上記プラスチック容器を遊星ボールミル(フリッチュ社製P−5)に設置し、回転数210rpmで30分間稼働して、固形物を含む第1のスラリーを湿式粉砕した。得られたスラリーからビーズを篩いにて除去して、第2のスラリーを得、この第2のスラリーをチタン製容器に移し入れた。かくして、平均粒子径0.48μmの粒子状固形物を含む第2のスラリーを得た。
工程(c)
続いて、上記チタン製容器に水酸化バリウム8水和物13.44g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水0.1Lを加え、攪拌して、第3のスラリーとして水熱反応前のスラリーを得た。
工程(d)
上記水熱反応前の第3のスラリーを含むチタン製容器をそのままオートクレーブに入れ、200℃で2時間加熱し、水熱反応させて、第4のスラリーを得た。
工程(e)
上記第4のスラリーを撹拌機を備えたポリエチレンビーカーに移し入れ、0.2%硝酸水溶液を加えて、上記スラリーのpHを5に調整し、そのまま30分間撹拌した。このとき、上記スラリーのpHが上昇したので、上記スラリーに再度、0.2%硝酸水溶液を加えて、pHを5に再調整した。
この後、スラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が5ms/m以下になるまで水洗した後、温度150℃に設定した乾燥機で乾燥し、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(2)を得た。
実施例2
実施例1の工程(c)において、水酸化バリウム8水和物の使用量を41.83gに変更した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(3)を得た。
実施例3
実施例1の工程(d)において、水熱反応の温度を150℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(4)を得た。
実施例4
実施例1の工程(a)において、水酸化バリウム8水和物の使用量を0.95gに変更すると共に、実施例1の工程(c)において、水酸化バリウム8水和物の使用量を17.98gに変更した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(5)を得た。
実施例5
実施例1の工程(a)において、水酸化バリウム8水和物の使用量を9.46gに変更すると共に、実施例1の工程(c)において、水酸化バリウム8水和物の使用量を9.46gに変更した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(6)を得た。
実施例6
実施例1の工程(a)において、ジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物の湿潤ケーキに代えて、製造例2で得たジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキ22.91gと製造例3で得たイッテルビウム水酸化物の湿潤ケーキ16.47gを分取して用いた以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(7)を得た。
実施例7
実施例1の工程(a)において、用いたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種晶の量を0.09gに変更した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(8)を得た。
実施例8
実施例1の工程(a)において、用いたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶の量を1.76gに変更した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(9)を得た。
実施例9
実施例1の工程(b)において、実施例1の工程(a)で得られたスラリーを遊星ボールミル(フリッチュ社製P−5)を回転数100rpmで2分間稼働させて湿式粉砕した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(10)を得た。
比較例1
実施例1の工程(a)において、水酸化バリウム8水和物の使用量を14.20gに変更すると共に、実施例1の工程(c)において、水酸化バリウム8水和物の使用量を4.73gに変更した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(11)を得た。
比較例2
実施例1の工程(c)において、水酸化バリウム8水和物の使用量を3.97gに変更した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(12)を得た。
比較例3
実施例1の工程(b)において、実施例1の工程(a)で得られたスラリーを遊星ボールミル(フリッチュ社製P−5)を回転数150rpmで4分間稼させて湿式粉砕した以外は、実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(13)を得た。
比較例4
(イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(14)の製造)
製造例1で得たジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物の湿潤ケーキ32.96g、水酸化バリウム8水和物(富士フィルム和光純薬(株)製)18.93g、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶0.88g及びイオン交換水0.1Lをチタン製容器に入れて、撹拌、混合して、水熱反応前のスラリーを得た。この水熱反応前のスラリー中の粒子状固形物の平均粒子径は11.0μmであった。
以下、工程(d)からは実施例1と同様にして、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(14)を得た。
比較例5
工程(a)
製造例1で得たジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物の湿潤ケーキ32.96gと水酸化バリウム8水和物18.93g(富士フィルム和光純薬株式会社製)、イオン交換水70mL及び直径0.5mmのジルコニアビーズ50mLを容量300mLのプラスチック容器に入れて、第1のスラリーを得た。
工程(b)
上記プラスチック容器を遊星ボールミル(フリッチュ社製P−5)に設置し、回転数210rpmで30分間稼働して、上記固形物を含むスラリーを湿式粉砕した。この後、得られたスラリーからビーズを篩いにて除去し、得られたスラリーをチタン製容器に入れた。かくして、平均粒子径1.32μmの粒子状固形物を含む第2のスラリーを得た。
工程(c)
続いて、上記チタン製容器にイオン交換水0.1Lを加え、攪拌して、水熱反応前の第3のスラリーを得た。
工程(d)
上記水熱反応前の第3のスラリーを含むチタン製容器をそのままオートクレーブに入れ、200℃で2時間加熱し、水熱反応させて、第4のスラリーを得た。
工程(e)
上記第4のスラリーを撹拌機を備えたポリエチレンビーカーに移し入れ、0.2%硝酸水溶液を加えて、上記スラリーをpH5に調整し、そのまま30分間撹拌した。このとき、pHが上昇したので、上記スラリーに再度、0.2%硝酸水溶液を加えて、pH5に再調整した。
このように、pHを再調整したスラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が5ms/m以下になるまで水洗した後、温度150℃に設定した乾燥機で10時間乾燥して、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子(15)を得た。
上述した実施例1〜9、比較例1〜5及び製造例5において得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造における詳細な条件(1)〜(11)と共に、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の特性(12)〜(20)を表1及び表2に示す。
(1)工程(a)において用いたバリウムの量(モル数)
(2)工程(a)において用いたジルコニウムの量(モル数)
(3)工程(a)において用いたイッテルビウムの量(モル数)
(4)工程(a)において用いたバリウムのジルコニウム及びイッテルビウムの合計量に対するモル比、即ち、Ba/(Zr+Yb)モル比
(5)工程(a)において用いたイッテルビウムのジルコニウム及びイッテルビウムの合計量に対するモル比、即ち、Yb/(Zr+Yb)モル比
(6)工程(a)において用いたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶の量(用いたジルコニウム及びイッテルビウムの合計モル部数100モル部に対する種結晶のモル部数)
(7)工程(a)で得られたスラリーを工程(b)において湿式粉砕した後の粒子状固体の平均粒子径(μm)(比較例4を除く。)
(8)工程(c)において追加したバリウムの量(モル数)
(9)工程(a)と工程(c)において用いたバリウムの合計量(モル数)
(10)工程(c)におけるバリウムの合計量のジルコニウム及びイッテルビウムの合計量に対するモル比、即ち、Ba/(Zr+Yb)モル比
(11)工程(d)における水熱反応の温度(℃)
(12)得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の比表面積(m/g)
(13)得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の結晶子径(nm)
(14)得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の比表面積換算粒子径(μm)
(15)得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の結晶子径/比表面積換算粒子径
(16)得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子のXRDパターン
(17)得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子のBa/(Zr+Yb)モル比
(18)得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子のYb/(Zr+Yb)モル比
(19)得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の組成式(I)におけるxの値
(20)得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の開気孔率(%)
尚、表1及び表2において、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は種結晶を含み、従って、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子のBa/(Zr+Yb)モル比及びYb/(Zr+Yb)モル比は種結晶を含む組成比である。
Figure 2020218150
Figure 2020218150
表1及び表2に示すように、実施例1〜8によれば、工程(a)において、バリウム水酸化物とジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物からなる原料混合物を含む第1のスラリーを調製する際に、この第1のスラリー中にイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶を存在させると共に、工程(b)において、上記原料混合物を含む第1のスラリーを湿式粉砕して、予め、定めた所定の平均粒子径の粒子状固形物を含む第2のスラリーを得、工程(c)において、上記第2のスラリーにバリウム水酸化物を加えて、バリウムを過剰に含む第3のスラリーを得、工程(d)において、上記第3のスラリーを水熱反応に供し、次いで、工程(e)において、上記水熱反応によって得られた第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理して、過剰のバリウムを除去することによって、組成が均一であって、異相を含まず、10m/g以上の比表面積を有し、微細であり、更に、結晶子径/比表面積換算粒子径が0.7〜1.5の範囲にあって、1に近く、即ち、単結晶に近く、高結晶性のイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができる。
また、実施例1〜8によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、そのXRDパターンを(株)リガク製のX線解析ソフトウェア(PDXL2.7)を用いて定性分析して、結晶相の同定を行った結果、ジルコン酸バリウム(BaZrO)(PDF番号00−006−0399)と一致したことから、単相であることを確認した。
更に、実施例1〜8によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子のXRDパターンは、上記PDF番号の00−006−0399)と比較して、低角側にシフトしていることから、イッテルビウムがジルコン酸バリウム(BaZrO)の結晶格子にドープしていることが示される。
比較例1においては、工程(a)におけるBa/(Zr+Yb)モル比が1.2を越えている。この場合、工程(b)において、微細な粉砕物を得ることができて、その結果、10m/g以上の比表面積を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができるが、しかし、そのイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、そのXRDパターンから、異相としてのイッテルビウム化合物(YbOOH)を含んでいる。
上記異相としてのYbOOHは、ジルコン酸バリウム(BaZrO)の場合と同様に、(株)Rigaku製のX線回折で測定した回折パターンを(株)Rigaku製の統合粉末X線解析ソフトウェア(PDXL2.7)を用いて定性分析して、結晶相の同定を行って、YbOOH(PDF番号00−019−1432)と一致することから確認した。
比較例2においては、工程(c)において、追加するバリウム水酸化物の量が少なく、このようなスラリーを工程(d)において水熱反応させたとき、比較例1の場合と同様に、工程(b)において、微細な粉砕物を与え、また、10m/g以上の比表面積を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を与えるが、しかし、そのイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、そのXRDパターンから、異相としてのイッテルビウム化合物(YbOOH)を含んでいる。
比較例3においては、工程(b)におけるスラリーの湿式粉砕が十分でなく、粒子状固形物の平均粒子径を所定値以下とすることができなかったので、微細なイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができなかった。また、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は結晶性の低いものであった。
比較例4は、工程(a)において得られた原料混合物のスラリーを湿式粉砕することなく、そのまま、水熱反応させたものであり、比較例3におけると同じく、微細なイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができなかった。また、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は結晶性の低いものであった。
比較例5は、工程(a)において、原料混合物の調製に際して、イッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶を用いなかったので、微細なイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子を得ることができず、そのうえ、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は、そのXRDパターンから、異相としてイッテルビウム化合物(YbOOH)を含むものであった。また、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は結晶性の低いものであった。
製造例5は、固相法によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造を示し、得られたイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子は比表面積が小さく、しかも、結晶性の低いものであった。
また、実施例1による本発明品であるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子と製造例5の固相法によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の開気孔率を比較すると、本発明品は製造例5の固相法によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子よりも開気孔率が低く、よって、本発明品は固相法によるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子よりも低温にて焼結することができることが理解される。

Claims (7)

  1. 組成式(I)
    BaZr1−xYb3−δ
    (式中、xは0.1≦x≦0.6を満たす数であり、δは酸素欠損量を示す。)
    で表されるイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法であって、
    (a)バリウム水酸化物とジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物とイッテルビウム添加ジルコン酸バリウムの種結晶を水と共に混合して、第1のスラリーを得る工程、
    (b)上記第1のスラリーを湿式粉砕して、平均粒子径が3.0μm以下である粒子状固形物を含む第2のスラリーを得る工程、
    (c)上記第2のスラリーにバリウム水酸化物を添加して、第3のスラリーを得る工程、
    (d)上記第3のスラリーを水熱反応させて、第4のスラリーを得る工程、及び
    (e)上記第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理して、過剰のバリウム水酸化物を除去する工程
    を含み、
    上記工程(a)において、第1のスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を0.1〜1.2の範囲とし、
    上記工程(c)において、第3のスラリーの有するBa/(Zr+Yb)モル比を1.5〜5.0の範囲とする、
    ことを特徴とするイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法。
  2. 前記工程(a)において、前記第1のスラリーの含むジルコニウムとイッテルビウムの合計モル部数100モル部に対して1〜20モル部の範囲で前記種結晶を用いる請求項1に記載のイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法。
  3. 前記水熱反応を温度120〜300℃の範囲で行う請求項1に記載のイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法。
  4. 前記工程(a)において、ジルコニウム水酸化物とイッテルビウム水酸化物に代えて、予め、製造したジルコニウムとイッテルビウムの混合水酸化物を用いる請求項1に記載のイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子の製造方法。
  5. 組成式(I)
    BaZr1−xYb3−δ
    (式中、xは0.1≦x≦0.6を満たす数であり、δは酸素欠損量を示す。)
    で表される単相の粒子であって、10m/g以上の比表面積を有し、0.7〜1.5の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有するイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子。
  6. 11m/g以上の比表面積を有し、0.9〜1.3の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有する請求項5に記載のイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子。
  7. 12m/g以上の比表面積を有する請求項5又は6に記載のイッテルビウム添加ジルコン酸バリウム粒子。

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