JP7363227B2 - ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子とその製造方法 - Google Patents

ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子とその製造方法に関し、詳しくは、微細で且つ結晶子径/比表面積換算粒子径が1に近く、高結晶性であるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子とその製造方法に関する。
ジルコン酸バリウムやジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子は、その高い誘電率によって、誘導体として広く用いられている。特に、近年においては、マトリックス樹脂への高分散性の要求から、粒子径又は結晶子径の小さい粒子が求められている。
上記ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物の製造方法として、従来、固相法やソルボサーマル法がよく知られている。
しかし、固相法によれば、得られる反応物の結晶相を単相化するために高い焼成温度を必要とし、よって、ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物を微細な粉末として得ることは困難である。
勿論、得られたジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物を湿式粉砕に付して、微粒子化することは可能であるが、一方において、湿式粉砕の間に上記複合酸化物からAサイト元素が溶出したり、また、粉砕メディアに由来する上記複合酸化物の汚染が発生して、上記複合酸化物の電気特性が劣化するおそれがある。
また、ソルボサーマル法の例としては、例えば、バリウムやストロンチウムを含む元素Aの前駆体、TiやZrを含む元素Bの前駆体及びアミン類を、得られるペロブスカイト型複合酸化物におけるA/Bモル比が1よりも大きいように混合し、含酸素有機溶媒の存在下に100~240℃の範囲の温度で反応させ、固形分を含むスラリー状の合成液を得、これを、例えば、アクリル酸のアルコール溶液にて処理して、目的とするペロブスカイト型複合酸化物を得る方法を挙げることができる(特許文献1参照)。
しかし、ソルボサーマル法においては、微細なペロブスカイト型複合酸化物粒子を得るために、上述したように、前処理時や反応時に有機物を用いており、これによって、製造費用が嵩み、また、上記有機物を含む廃液処理費用が発生する等の問題がある。
更に、ジルコン酸バリウムの種結晶を用いる水熱法によって、平均粒子径を0.2~0.35μmの範囲に制御することができるジルコン酸バリウム粒子を得る方法も知られている(非特許文献1参照)。しかし、この方法は、ジルコニウム源として、ジルコニウム-トリエタノールアミンコンプレックスを用いることから、上述したソルボサーマル法と同様に、製造費用や廃液処理の点で問題がある。
特開2019-26542号公報
K. Kanie et al., Size-controlled hydrothermal synthesis of monodispersedBaZrO3 sphere particles by seeding, Advanced Powder Technology, 28(1), 55-60, 2017
本発明は、ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物の製造における上述した問題を解決するためになされたものであって、微細で且つ結晶子径/比表面積換算粒子径が1に近く、高結晶性であるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を、有機物を用いることなく、水熱法にて製造する方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、上述した特性を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を提供することを目的とする。
本発明によれば、組成式(I)
AB3-δ
(式中、AはBa及びSrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、BはZr元素であり、xは0.9≦x≦1.1を満たす数であり、δは酸素欠損量である。)
で表されるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法であって、
(a)元素Aの水酸化物とジルコニウム水酸化物と上記元素Aを含むジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物の種結晶を水と共に混合して、第1のスラリーを得る工程、
(b)上記第1のスラリーを湿式粉砕して、平均粒子径が2.0μm以下である粒子状固形物を含む第2のスラリーを得る工程、
(c)上記第2のスラリーに元素Aの水酸化物を追加して、第3のスラリーを得る工程、
(d)上記第3のスラリーを水熱反応させて、第4のスラリーを得る工程、及び
(e)上記第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理して、過剰の上記元素Aの水酸化物を除去する工程
を含み、
上記工程(a)において、第1のスラリーの有するA/Bモル比を0.1以上とし、
上記工程(c)において、第3のスラリーの有するA/Bモル比を1.2以上とすることを特徴とするジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法が提供される。
本発明において、A/Bモル比は、用いる元素Aの水酸化物、即ち、Ba及び/又はSrの水酸化物に応じて、(Ba及び/又はSr)/Zrモル比を意味する。
本発明によれば、前記工程(a)において、前記第1のスラリーの含むジルコニウム水酸化物中のジルコニウムのモル部数100モル部に対して前記種結晶を1~20モル部の範囲で用いることが望ましい。
また、本発明によれば、上記水熱反応は、温度120~300℃の範囲で行うことが好ましい。
更に、本発明によれば、組成式(I)
AB3-δ
(式中、AはBa及びSrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、BはZr元素であり、xは0.9≦x≦1.1を満たす数であり、δは酸素欠損量である。)
で表される、12m2/g以上の比表面積と0.7~1.3の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子が提供される。
本発明の方法によれば、微細で且つ結晶子径/比表面積換算粒子径が1に近く、高結晶性であるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることができる。
本発明によるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子は、このような特性を有するので、高い誘電率を有し、従って、特に、積層コンデンサーの小型化に寄与することができる。
また、ソルボサーマル法と相違して、有機物を用いないことから、廃液処理の必要もなく、ソルボサーマル法に比較して、製造費用を低廉に抑えることができる。
本発明によるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法は、組成式(I)
AB3-δ
(式中、AはBa及びSrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、BはZr元素であり、xは0.9≦x≦1.1を満たす数であり、δは酸素欠損量である。)
で表されるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法であって、
(a)元素Aの水酸化物とジルコニウム水酸化物と上記元素Aを含むジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物の種結晶を水と共に混合して、第1のスラリーを得る工程、
(b)上記第1のスラリーを湿式粉砕して、平均粒子径が2.0μm以下である粒子状固形物を含む第2のスラリーを得る工程、
(c)上記第2のスラリーに元素Aの水酸化物を追加して、第3のスラリーを得る工程、
(d)上記第3のスラリーを水熱反応させて、第4のスラリーを得る工程、及び
(e)上記第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理して、過剰の上記元素Aの水酸化物を除去する工程
を含み、
上記工程(a)において、第1のスラリーの有するA/Bモル比を0.1以上とし、
上記工程(c)において、第3のスラリーの有するA/Bモル比を1.2以上とすることを特徴とする。
本発明において、工程(a)及び工程(c)におけるA/Bモル比は、それぞれの工程において用いたバリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物とジルコニウム水酸化物の量、即ち、仕込み量に基づく。一方、本発明において最終的に得られたジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子におけるA/Bモル比は、後述する分析方法に基づく。
本発明によるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法においては、工程(a)及び工程(c)において、それぞれ得られるスラリーの有するA/Bモル比を所定の値に調整しつつ、工程(a)から工程(c)を経てスラリーを得、このスラリーを工程(d)において水熱反応に供することによって、目的とする微細で高結晶性であるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることができる。
本発明において、上記バリウム水酸化物としては、水酸化バリウムの無水和物、1水和物、8水和物等が挙げられる。上記ストロンチウム水酸化物としては、水酸化ストロンチウムの無水和物、8水和物等が挙げられる。
上記ジルコニウム水酸化物としては、水酸化ジルコニウムの無水和物や各種水和物の市販品を用いることができる。しかし、上記市販品は、吸水しやすく、不安定である。そこで、本発明においては、上記ジルコニウム水酸化物として、オキシ塩化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等の水溶性ジルコニウム化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリ性化合物の過剰量と水中で反応させて、ほぼ定量的にジルコニウム水酸化物を生成させ、このようにして得る湿潤ケーキとしてのジルコニウム水酸化物を用いることが好ましい。
工程(a)から工程(c)を行うことなく、バリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物、ジルコニウム水酸化物及びジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物の種結晶粒子、即ち、ジルコン酸バリウム及び/又はジルコン酸ストロンチウムの種結晶粒子を水にスラリー化し、これを工程(d)において水熱反応に供しても、本発明の目的とするジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることはできない。
以下、本発明によるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法を工程毎に説明する。
工程(a)は、バリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物と、ジルコニウム水酸化物と、ジルコン酸バリウム及び/又はジルコン酸ストロンチウムの種結晶を水と共に混合して、第1のスラリーを得る工程である。
工程(a)において用いる上記ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物の種結晶粒子は、目的とするジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物に応じて組成を選択することが好ましい。例えば、高純度のBaZrOを得る場合は、BaZrOの種結晶を用い、SrZrOを得る場合は、SrZrOの種結晶を用いることが好ましい。
種結晶の添加量としては、第1のスラリーの含むジルコニウム水酸化物中のジルコニウムのモル部数100モル部に対して1~20モル部の範囲で用いることが望ましい。添加量が第1のスラリーの含むジルコニウム水酸化物中のジルコニウムのモル部数100モル部に対して1モル部を下回るときは、12m/g以上、好ましくは、20m/g以上の比表面積を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることはできない。添加量が第1のスラリーの含むジルコニウム水酸化物中のジルコニウムのモル部数100モル部に対して20モル部を超えるときは、粉砕に長時間を要するので、工業的な製造方法として経済性に問題が生じるほか、粉砕媒体に由来する不純物が粉砕物に混入するおそれもある。
工程(a)においては、第1のスラリーの有するA/Bモル比を0.1以上とする。工程(a)において、バリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物を上記A/Bモル比が0.1よりも小さい値にて用いるときは、12m/g以上、好ましくは、20m/g以上の比表面積を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得るために、工程(b)において非常に長時間の粉砕が必要となる。その結果、得られた粉砕物に粉砕メディア由来の不純物が混入することとなり、最終的に高い品質を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることができない。
本発明によれば、工程(a)においては、第1のスラリーの有するA/Bモル比を0.1以上とすればよい。A/Bモル比に上限値は特にないが、後述する工程(c)において、バリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物を追加して、得られるスラリーの有するA/Bモル比を1.2以上とする必要があることから、工程(a)においては、第1のスラリーの有するA/Bモル比を1.2未満とすればよく、通常、1.1以下、好ましくは、1.0以下として十分である。
工程(b)は、上記第1のスラリーを湿式粉砕して、平均粒子径が2.0μm以下である粒子状固形物を含む第2のスラリーを得る工程である。
工程(b)において、得られる第2のスラリー中の粒子状固形物が2.0μmを超える平均粒子径を有するときは、目的とする微細で高結晶性のジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることができない。
工程(b)において、得られるスラリー中の粒子状固形物の平均粒子径の下限値は特に限定されるものではないが、通常、0.1μm程度が好ましい。工程(b)において、得られるスラリー中の粒子状固形物の平均粒子径を余りに小さいものとするときは、粉砕に不必要に長時間を要するので、工業的な製造方法としては経済性に問題が生じるほか、粉砕媒体に由来する不純物が粉砕物に混入するおそれもある。
工程(b)における湿式粉砕には、通常、遊星ボールミルやビーズミルが用いられる。粉砕媒体は、所要の平均粒子径を考慮して、適宜の直径、例えば、0.3~3.0mm程度の直径を有するジルコニアボール等が好ましく用いられる。
工程(c)は、上記工程(b)において得られた第2のスラリーにバリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物を追加して、過剰のバリウム及び/又はストロンチウムを有する、水熱反応のための原料混合物を含む第3のスラリーを得る工程である。
即ち、第3のスラリーは、ジルコニウム水酸化物と共に過剰のバリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物を含む。ここに、第3のスラリーが過剰のバリウム及び/又はストロンチウムを有するとは、第3のスラリーの有するジルコニウム量1モル部に対して、バリウム量及び/又はストロンチウム量が1モル部を超えるという意味である。即ち、工程(c)においては、得られる第3のスラリーの有するA/Bモル比を1.2以上とすることが好ましい。
上記モル比が1.2よりも小さいときは、次工程(d)における水熱反応において、バリウム及び/又はストロンチウムがジルコニウムと十分に反応せず、得られるジルコン酸バリウム及び/又はストロンチウムのA/Bモル比が目的の値より低くなり、また、結晶性が低くなるおそれがある。本発明において、上記モル比は、特に、1.3~2.5の範囲が好ましい。
工程(c)において、上記A/Bモル比を1.2以上として、次工程(d)において、水熱反応に関与しなかった余剰のバリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物は、工程(e)において、酸処理及び水洗処理によって反応系から除かれるので、上記A/Bモル比の上限値は特に限定されるものではない。しかし、通常、上記A/Bモル比は5.0以下が好ましく、特に、3.0以下がより好ましい。
上記モル比が5.0を超えても、目的とするジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることはできる。しかし、余りに過剰のバリウム及び/又はストロンチウムを用いても、それらは、最早、水熱反応に関与せず、次工程(e)において、水熱反応によって得られる第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理によって除去される。かくして、上記過剰のバリウム及び/又はストロンチウムは、酸処理及びその後の水洗処理にそれぞれ多量の酸及び水を用いる必要があり、製造費用が嵩むという不利益が生じる。
工程(d)は、工程(c)において得られた上記第3のスラリーを水熱反応させて、第4のスラリーを得る工程である。この水熱反応の温度は、通常、120~300℃の範囲であり、好ましくは、130~250℃の範囲であり、最も好ましくは、150~230℃の範囲である。
上記第4のスラリーは、過剰のバリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物の存在下での水熱反応によって前記原料混合物から生成したジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を含む。
そこで、工程(e)は、上記水熱反応によって得られた第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理する。即ち、工程(e)は、上記第4のスラリーに、例えば、硝酸のような酸を加え、得られたジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子から上記過剰のバリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物を、例えば、硝酸バリウム及び/又は硝酸ストロンチウムのような水溶性塩として除去する工程である。
かくして、上記第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理し、必要に応じて、ろ過、乾燥することによって、炭酸バリウム及び/又はストロンチウムを異相として含まないジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることができる。
上記酸処理に用いる酸は、無機酸、有機酸のいずれでもよいが、通常、硝酸、塩酸、酢酸等が好ましく用いられる。工程(e)において得られた上記反応混合物は、8程度のpHを有するように酸処理される。また、上記水洗処理には、イオン交換水や純水が好ましく用いられる。上記水洗処理は、ろ液の電気伝導率が5ms/m以下になるまで行うことが好ましい。
本発明によれば、このようにして、前記組成式(I)で表される単相の粒子であって、12m2/g以上の比表面積を有して、微細であると共に、0.7~1.3の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有して、結晶性にすぐれるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることができる。
好ましい態様によれば、本発明によるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子は、20m2/g以上の比表面積を有して、微細であると共に、結晶子径/比表面積換算粒子径が1に近い値である0.9~1.3の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有し、結晶性にすぐれる。一般に、粒子は、結晶子径/比表面積換算粒子径が1に近い値である程、幾何学的粒子径と単結晶の大きさが近いために、高結晶性である。
通常、粒子における比表面積相当径は結晶子径より大きい。即ち、結晶子径/比表面積換算粒子径の値は1より小さいことが多いが、比表面積相当径は各粒子が真球状であると想定して算出されているため、粒子形状が真球でない場合は、実際の粒子形状との相違が影響し、結晶子径/比表面積換算粒子径の値が1より大きくなることがある。
本発明によれば、得られたジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子のバリウム量及び/又はストロンチウム量が欠損している場合、即ち、A/Bモル比が1よりも小さい場合、上記ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物にバリウム及び/又はストロンチウムを補償して、所望のA/Bモル比を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることができる。
即ち、例えば、水熱反応の後、得られた反応混合物(固体)をろ過し、酸処理し、水洗して、反応混合物中、水に溶存しているバリウム水酸化物及び/又はストロンチウム水酸化物を除去した後、得られた反応生成物のA/Bモル比を分析し、次いで、所望のA/Bモル比になるように、上記反応生成物にバリウム化合物及び/又はストロンチウム化合物を添加剤として加えて、それぞれ所望のA/Bモル比を有せしめ、これを焼結すれば、所望のA/Bモル比を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物焼結体を得ることができる。
上記添加剤としては、水への溶解度が低く、更に、このように添加剤を加えた反応混合物を焼結した際に、その添加剤が熱分解しても、バリウム及び/又はストロンチウム以外のものが焼結体中に残存しないもの、例えば、炭酸塩、有機酸塩、酸化物等が好ましく用いられる。
上記ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物焼結体は、アルカリ金属の含有量が0.03質量%を超えないことが好ましい。アルカリ金属の含有量が0.03質量%を超えるときは、誘電率が目的値に達しなかったり、得られるコンデンサーの不良率が高くなったりするおそれがある。
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、以下において、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。また、各種の測定は以下のようにして行った。
工程(b)における第2のスラリー中の粒子状固形物の粒度分布と平均粒子径
工程(b)において得られた第2のスラリーの一部を分取して試料とし、これにヘキサメタリン酸ナトリウムを分散剤として加え、超音波ホモジナイザーで分散し、光回折・散乱法によって、即ち、レーザー回折・散乱式粒度分布計 (マイクロトラック・ベル(株))製MT-3300 EXII)を用いて、下記の条件で測定した。
計測モード:MT-3000
測定上限:1408μm
測定下限:0.021μm
粒子屈折率:2.07
粒子形状:非球形
溶媒屈折率:1.333
上記粒度分布の測定において得られた体積メジアン径(体積中位径)を平均粒子径とした。
比表面積
比表面積は、比表面積測定装置((株)マウンテック製、Macsorb HM-1220)を用いて、BET流動法により測定した。吸着ガスとして純窒素を用い、230℃で30分間保持した。
粉末X線回折パターン
粉末X線回折パターンは、粉末X線回折装置((株)リガク製、試料水平型強力X線回折装置 RINT-TTRIIIにより下記条件で測定した。
光学系:平行ビーム光学系(長尺スリット:PSA200/開口角度:0.057度)
管電圧:50kV
電流:300mA
測定方法:平行法(連続)
測定範囲(2θ):10~60度
サンプリング幅:0.04度
スキャンスピード:5度/分
結晶子径
上述した方法にて測定されたX線回折パターンにおけるジルコン酸ストロンチウムの有するペロブスカイト相(400)面又はジルコン酸バリウムの有するペロブスカイト相の(200)面に対する回折線の半価幅からシェラーの式を用いてそれぞれ結晶子径を算出した。
結晶子径=K×λ/βcosθ
但し、
K=シェラー定数(=0.94)
λ=X線の波長(Cu-Kα線 1.5418Å)
β=半価幅(ラジアン単位)
θ=ブラッグ(Bragg)角(回折角2θの1/2)
比表面積換算粒子径
上述した方法にて測定された比表面積から次の換算式を用いて比表面積換算粒子径を算出した。
S=6/(ρ×d)
S=比表面積
ρ=試料粉体の密度
d=比表面積換算粒子径
但し、ρ(試料粉体の密度)は理論密度であって、SrZrOは5.23g/cm、BaZrOは5.70g/cmである。
得られたジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子のICP発光分光分析法によるA/Bモル比分析
(前処理)
得られたペロブスカイト型複合酸化物粒子0.2gを白金坩堝に秤取し、次いで、四ホウ酸リチウム(富士フィルム和光純薬(株))1gを秤取した。ビーカーに臭化カリウム(富士フィルム和光純薬(株))25gを秤量し、イオン交換水75mLを加え、ガラス棒で攪拌して溶解し、25%臭化カリウム水溶液とした。この25%臭化カリウム水溶液をマイクロピペッターで20μL分取し、ペロブスカイト型複合酸化物粒子と四ホウ酸リチウムを秤取した白金坩堝に加えた。白金坩堝をビード&フューズサンプラ((株)アメナテック製、TK-4100型 高周波溶融装置)に取り付けて、坩堝の内容物を1000℃で加熱溶融した。加熱溶融後、白金坩堝に攪拌子と塩酸(関東化学(株)製精密分析用)10mLとイオン交換水20mLを加え、ホットスターラーで攪拌しながら、120℃に加熱し、溶解した。この後、得られた溶解物をテフロンビーカーに移し変え、再度、120℃で加熱した。溶解した試料を100mLナイロンメスフラスコに移し入れ、内標準として100ppmのスカンジウム標準液(富士フィルム和光純薬(株))10mLを加え、容量を100mLとし、試料を得た。
(測定)
上記試料をICP発光分光分析装置((株)日立ハイテクサイエンス製、SPS-3100)を用いて検量線法により各元素のモル濃度を測定し、組成比を算出した。
誘電率
1GHz空洞共振器((株)エーイーティー製)の石英管にペロブスカイト酸化物粒子を充填し、コンパクトネットワークアナライザーMS46122B(アンリツ(株)製)にて高周波誘電率を測定し、誘電率を得た。
上記の測定方法は、JIS-2565「マイクロ波用フェライト磁心試験方法」に準じて誘電率を測定した。
製造例1
(ジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキの製造)
ガラスビーカーにオキシ塩化ジルコニウム8水和物84.65g(米山薬品工業(株)製)とイオン交換水1.42Lを加え、攪拌し、溶解させて、水溶液を得た。また、ナイロン製ビーカーに水酸化ナトリウム79.98g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水4Lを加え、攪拌し、溶解させて、水溶液を得た。
イオン交換水600mLを入れた別の撹拌機を備えたビーカーに上記オキシ塩化ジルコニウム水溶液をチューブポンプを用いて45mL/分で添加すると共に、pHが8.5~9.5となるように、上記ビーカーに上記水酸化ナトリウム水溶液を別のチューブポンプを用いて添加した。
添加終了後、そのまま、1時間攪拌してスラリーを得た。その後、得られたスラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が5ms/m以下になるまで水洗して、ジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキ401g(水酸化物の濃度10.42%、収率97%)を得た。
ジルコニウム水酸化物は吸湿しやすく、得られた湿潤ケーキ中のジルコニウム水酸化物の濃度を正確に秤量することは困難であるので、上記湿潤ケーキ中のジルコニウム水酸化物の濃度は下記のようにして求めた。即ち、上記湿潤ケーキを500℃に加熱したときの酸化物残渣中のジルコニウム濃度を求め、これらを水酸化物、即ち、Zr(OH)に換算して、水酸化物の濃度と収率を求めた。上記ケーキを500℃に加熱することによって、物理吸着水と水酸基が完全に除去され、酸化物が形成されることは熱重量分析にて確認した。
製造例2
(ジルコン酸ストロンチウムの種結晶の製造)
製造例1で得たジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキ91.65gをチタン製容器に分取し、更に、これに水酸化ストロンチウム8水和物(富士フィルム和光純薬(株)製)21.21gとイオン交換水0.1Lをに加え、攪拌して、スラリーとした。
上記チタン製容器をオートクレーブに入れ、200℃で2時間加熱して、上記ジルコニウム水酸化物と水酸化ストロンチウムを水熱反応させた。得られたスラリーを撹拌機を備えたポリエチレン製ビーカーに移し、これに0.2%硝酸水溶液を加えて、pHを7に調整し、そのまま30分間撹拌した。このとき、上記スラリーのpHが上昇したので、0.2%硝酸水溶液を再度、加えて、スラリーのpHを7に再調整した。
このスラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が3ms/m以下になるまで水洗し、かくして得られたケーキを温度150℃に設定した乾燥機で10時間乾燥して、組成式SrZrOで表されるジルコン酸ストロンチウム粒子を種結晶として得た。
製造例3
(ジルコン酸バリウムの種結晶の製造)
製造例1で得たジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキ45.82gをチタン製容器に分取し、更に、これに水酸化バリウム8水和物18.93g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水0.1Lをに加え、攪拌して、スラリーとした。
上記チタン製容器をオートクレーブに入れ、200℃で2時間加熱して、上記ジルコニウム水酸化物と水酸化バリウムを水熱反応させた。得られたスラリーを撹拌機を備えたポリエチレン製ビーカーに移し、これに0.2%硝酸水溶液を加えて、pHを8に調整し、そのまま30分間撹拌した。このとき、上記スラリーのpHが上昇したので、0.2%硝酸水溶液を再度、加えて、スラリーのpHを8に再調整した。
このスラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が3ms/m以下になるまで水洗し、かくして得られたケーキを温度150℃に設定した乾燥機で10時間乾燥して、組成式BaZrOで表されるジルコン酸バリウム粒子を種結晶として得た。
実施例1
(ジルコン酸ストロンチウム粒子の製造)
工程(a)
製造例1で得たジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキ91.65gを300mL容量のプラスチック容器に分取し、更に、これに水酸化ストロンチウム8水和物9.30g(富士フィルム和光純薬(株)製)、製造例2で得たジルコン酸ストロンチウムの種結晶1.36g、イオン交換水50mL及び直径0.5mmのジルコニアビーズ30mLを入れて、第1のスラリーを得た。
工程(b)
上記プラスチック容器を遊星ボールミル(フリッチュ社製P-5)に設置し、回転数250rpmで30分間稼働して、第1のスラリーを湿式粉砕した。得られたスラリーからビーズを篩いにて除去して、スラリーを得、このスラリーをチタン製容器に移し入れた。かくして、平均粒子径0.59μmの粒子状固形物を含む第2のスラリーを得た。
工程(c)
続いて、上記チタン製容器に水酸化ストロンチウム8水和物14.62g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水0.1Lを加え、攪拌して、第3のスラリーとして水熱反応前のスラリーを得た。
工程(d)
上記水熱反応前の第3のスラリーを含むチタン製容器をそのままオートクレーブに入れ、200℃で2時間加熱し、水熱反応させて、第4のスラリーを得た。
工程(e)
上記第4のスラリーを撹拌機を備えたポリエチレンビーカーに移し入れ、0.2%硝酸水溶液を加えて、上記スラリーのpHを8に調整し、そのまま30分間撹拌した。このとき、上記スラリーのpHが上昇したので、上記スラリーに再度、0.2%硝酸水溶液を加えて、pHを8に再調整した。
この後、スラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が3ms/m以下になるまで水洗した後、温度150℃に設定した乾燥機で乾燥し、ジルコン酸ストロンチウム粒子を得た。
実施例2
(ジルコン酸バリウム粒子の製造)
工程(a)
製造例1で得たジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキ45.82gを300mL容量のプラスチック容器に分取し、更に、これに水酸化バリウム8水和物5.49g(富士フィルム和光純薬(株)製)、製造例3で得たジルコン酸バリウムの種結晶0.83g、イオン交換水50mL及び直径0.5mmのジルコニアビーズ30mLを入れて、第1のスラリーを得た。
工程(b)
上記プラスチック容器を遊星ボールミル(フリッチュ社製P-5)に設置し、回転数210rpmで30分間稼働して、第1のスラリーを湿式粉砕した。得られたスラリーからビーズを篩いにて除去して、スラリーを得、このスラリーをチタン製容器に移し入れた。かくして、平均粒子径0.28μmの粒子状固形物を含む第2のスラリーを得た。
工程(c)
続いて、上記チタン製容器に水酸化バリウム8水和物13.44g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水0.1Lを加え、攪拌して、第3のスラリーとして水熱反応前のスラリーを得た。
工程(d)
上記水熱反応前の第3のスラリーを含むチタン製容器をそのままオートクレーブに入れ、200℃で2時間加熱し、水熱反応させて、第4のスラリーを得た。
工程(e)
上記第4のスラリーを撹拌機を備えたポリエチレンビーカーに移し入れ、0.2%硝酸水溶液を加えて、上記スラリーのpHを8に調整し、そのまま30分間撹拌した。このとき、上記スラリーのpHが上昇したので、上記スラリーに再度、0.2%硝酸水溶液を加えて、pHを8に再調整した。
この後、スラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が3ms/m以下になるまで水洗した後、温度150℃に設定した乾燥機で乾燥し、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
実施例3
実施例2の工程(a)において、用いたジルコン酸バリウムの種結晶の量を0.08gに変更した以外は、実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
実施例4
実施例2の工程(a)において、用いたジルコン酸バリウムの種結晶の量を0.41gに変更した以外は、実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
実施例5
実施例2の工程(a)において、用いたジルコン酸バリウムの種結晶の量を1.24gに変更した以外は、実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
実施例6
実施例2の工程(d)において、水熱反応の温度を180℃に変更した以外は実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
実施例7
実施例2の工程(d)において、水熱反応の温度を230℃に変更した以外は実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
実施例8
実施例2の工程(a)において、水酸化バリウム8水和物0.95gを用いると共に、実施例2の工程(c)において、水酸化バリウム8水和物17.98を用いた以外は、実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
実施例9
実施例2の工程(a)において、水酸化バリウム8水和物9.46gを用いると共に、実施例2の工程(c)において、水酸化バリウム8水和物9.46gを用いた以外は、実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
実施例10
実施例2の工程(b)において、実施例2の工程(a)で得られたスラリーを遊星ボールミル(フリッチュ社製P-5)を回転数210rpmで5分間稼させて湿式粉砕した以外は実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
比較例1
工程(a)
製造例1で得たジルコニウム水酸化物の湿潤ケーキ45.82gを300mL容量のプラスチック容器に分取し、更に、これに水酸化バリウム8水和物5.49g(富士フィルム和光純薬(株)製)、イオン交換水50mL及び直径0.5mmのジルコニアビーズ30mLを入れて、第1のスラリーを得た。
工程(b)
上記プラスチック容器を遊星ボールミル(フリッチュ社製P-5)に設置し、回転数210rpmで30分間稼働して、第1のスラリーを湿式粉砕した。得られたスラリーからビーズを篩いにて除去して、スラリーを得、このスラリーをチタン製容器に移し入れた。かくして、平均粒子径0.13μmの粒子状固形物を含む第2のスラリーを得た。
工程(c)
続いて、上記チタン製容器に水酸化バリウム8水和物13.44g(富士フィルム和光純薬(株)製)とイオン交換水0.1Lを加え、攪拌して、第3のスラリーとして水熱反応前のスラリーを得た。
工程(d)
上記水熱反応前の第3のスラリーを含むチタン製容器をそのままオートクレーブに入れ、200℃で2時間加熱し、水熱反応させて、第4のスラリーを得た。
工程(e)
上記第4のスラリーを撹拌機を備えたポリエチレンビーカーに移し入れ、0.2%硝酸水溶液を加えて、上記スラリーのpHを8に調整し、そのまま30分間撹拌した。このとき、上記スラリーのpHが上昇したので、上記スラリーに再度、0.2%硝酸水溶液を加えて、pHを8に再調整した。
この後、スラリーをろ過し、得られた固形物をイオン交換水でろ液の電気伝導率が3ms/m以下になるまで水洗した後、温度150℃に設定した乾燥機で乾燥し、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
比較例2
実施例2の工程(b)において、実施例2の工程(a)で得られたスラリーを遊星ボールミル(フリッチュ社製P-5)を回転数150rpmで4分間稼させて湿式粉砕した以外は実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
比較例3
(固相法によるジルコン酸ストロンチウム粒子の製造)
炭酸ストロンチウム84.91g(富士フィルム和光純薬(株)製)と酸化ジルコニウム(富士フィルム和光純薬(株)製)70.93gとイオン交換水235mLと分散剤3gと直径0.5mmのジルコニアビーズ150mLを500mL容量のプラスチック容器に入れて、遊星ボールミル(フリッチュ社製P-5)に設置し、回転数210rpmで平均粒子径が0.6μm以下となるまで湿式粉砕し、スラリーを得た。得られたスラリーからビーズを篩いにて除去し、スラリーを温度150℃に設定した乾燥機で10時間乾燥した後、サンプルミル(協立理工(株)製、SK-10)で粉砕して、粉末を得た。得られた粉末をアルミナ製坩堝に充填し、この坩堝を電気炉(中外エンジニアリング(株)製HT16/17)に置き、大気雰囲気炉で200℃/時で1400℃まで昇温した後、1400℃で4時間保持し、その後、200℃/時で降温した。得られた焼成物を上記サンプルミルで粉砕して粉末を得た。
得られた粉末を150gとイオン交換水230mLと直径0.5mmのジルコニアビーズ150mLを500mL容量のプラスチック容器に入れて、遊星ボールミル(フリッチュ社製P-5)に設置し、回転数210rpmで30分間湿式粉砕した。ビーズを篩いにて除去し、スラリーを温度150℃に設定した乾燥機で10時間乾燥した後、サンプルミル(協立理工(株)製、SK-10)で粉砕して、ジルコン酸ストロンチウム粒子を得た。
比較例4
(固相法によるジルコン酸バリウム粒子の製造)
炭酸バリウム93.22g(富士フィルム和光純薬(株)製)と酸化ジルコニウム(富士フィルム和光純薬(株)製)58.19gとイオン交換水230mLと分散剤3gと直径0.5mmのジルコニアビーズ150mLを500mL容量のプラスチック容器に入れて、遊星ボールミル(フリッチュ社製P-5)に設置し、回転数210rpmで平均粒子径が0.6μm以下となるまで湿式粉砕し、スラリーを得た。スラリーからビーズを篩いにて除去し、得られたスラリーを温度150℃に設定した乾燥機で10時間乾燥した後、サンプルミル(協立理工(株)製、SK-10)で粉砕して、粉末を得た。
得られた粉末をアルミナ製坩堝に充填し、この坩堝を電気炉(中外エンジニアリング(株)製HT16/17)に置き、大気雰囲気炉で200℃/時で1400℃まで昇温した後、1400℃で4時間保持し、その後、200℃/時で降温した。得られた焼成物を上記サンプルミルで粉砕して粉末を得た。
得られた粉末を150gとイオン交換水230mLと直径0.5mmのジルコニアビーズ150mLを500mL容量のプラスチック容器に入れて、スラリーを得た。
上記プラスチック容器を遊星ボールミル(フリッチュ社製P-5)に設置し、回転数210rpmで30分間湿式粉砕した。ビーズを篩いにて除去し、得られたスラリーを温度150℃に設定した乾燥機で10時間乾燥した後、サンプルミル(協立理工(株)製、SK-10)で粉砕して、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
比較例5
実施例2の工程(a)において、水酸化バリウム8水和物9.46gを用いると共に、実施例2の工程(c)を省略した以外は、実施例2と同様にして、ジルコン酸バリウム粒子を得た。
表1及び表2に上記実施例及び比較例におけるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造の反応条件と、得られたジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の物性を示す。また、製造例2及び3において得られたジルコン酸ストロンチウムとジルコン酸バリウムの物性も併せて示す。更に、実施例及び比較例の一部で得られたジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の誘電率を示す。
尚、表1及び表2において、工程(a)で用いたジルコン酸バリウム又はジルコン酸ストロンチウムの種結晶の量は、それぞれ工程(a)における第1のスラリーの含むジルコニウム水酸化物中のジルコニウムのモル部数100モル部に対するモル部数である。
また、最終的に得られたジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子は種結晶を含み、従って、得られたジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子のA/Bモル比は種結晶を含む組成比である。
Figure 0007363227000001
Figure 0007363227000002
実施例1~10によれば、工程(a)において、バリウム水酸化物又はストロンチウム水酸化物とジルコニウム水酸化物とからなる原料混合物を含む第1のスラリーを調製する際に、この第1のスラリー中にジルコン酸バリウム又はジルコン酸ストロンチウムの種結晶を存在させると共に、工程(b)において、上記原料混合物を含む第1のスラリーを湿式粉砕して、予め、定めた所定の平均粒子径の粒子状固形物を含む第2のスラリーを得、工程(c)において、上記第2のスラリーにバリウム水酸化物又はストロンチウム水酸化バリウムを新たに加えて、バリウム又はストロンチウムを過剰に含む第3のスラリーを得、工程(d)において、上記第3のスラリーを水熱反応に供し、次いで、工程(e)において、上記水熱反応によって得られた第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理して、過剰のバリウム又はストロンチウムを除去することによって、比表面積が10m2/g以上であって、微細であり、結晶子径/比表面積換算粒子径が0.7~1.3の範囲にあって、1に近く、即ち、単結晶に近く、高結晶性のジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を得ることができる。
また、実施例1~10による生成物は、そのXRDパターンを(株)リガク製のX線解析ソフトウェア(PDXL2.7)を用いて定性分析して、結晶相の同定を行った結果、ジルコン酸バリウム(BaZrO)(PDF番号00-006-0399)又はジルコン酸ストロンチウム(SrZrO)(PDF番号01-074-2231)と一致したことから、単相であることを確認した。
比較例1は、工程(a)において、原料混合物の調製に際して、ジルコン酸バリウムの種結晶を用いなかったので、微細なジルコン酸バリウム粒子を得ることができず、また、得られたジルコン酸バリウム粒子は、結晶子径/比表面積換算粒子径が小さく、結晶性の低いものであった。
比較例2においては、工程(b)におけるスラリーの湿式粉砕が十分でなく、粒子状固形物の平均粒子径を所定値以下とすることができなかったので、微細なジルコン酸バリウム粒子を得ることができなかった。また、得られたジルコン酸バリウム粒子は結晶性の低いものであった。
比較例3は、固相法によって得られたジルコン酸ストロンチウム粒子の物性を示し、比較例4は、固相法によって得られたジルコン酸バリウム粒子の物性を示す。いずれも、比表面積が小さく、結晶性も低いものであった。
比較例5は、工程(c)において、第2のスラリーに元素Aの水酸化物を追加せずに、スラリーをそのA/Bモル比が1.00のまま、水熱反応に供したので、得られたジルコン酸バリウムはA/Bモル比が小さすぎるうえに、比表面積は大きいが、結晶性の低いものであった。
製造例2はジルコン酸ストロンチウムの種結晶の物性を示し、製造例3はジルコン酸バリウムの種結晶の物性を示す。




Claims (6)

  1. 組成式(I)
    AB3-δ
    (式中、AはBa及びSrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、BはZr元素であり、xは0.9≦x≦1.1を満たす数であり、δは酸素欠損量である。)
    で表されるジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法であって、
    (a)元素Aの水酸化物とジルコニウム水酸化物と上記元素Aを含むジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物の種結晶を水と共に混合して、第1のスラリーを得る工程、
    (b)上記第1のスラリーを湿式粉砕して、平均粒子径が2.0μm以下である粒子状固形物を含む第2のスラリーを得る工程、
    (c)上記第2のスラリーに元素Aの水酸化物を追加して、第3のスラリーを得る工程、
    (d)上記第3のスラリーを水熱反応させて、第4のスラリーを得る工程、及び
    (e)上記第4のスラリーを酸処理した後、水洗処理して、過剰の上記元素Aの水酸化物を除去する工程
    を含み、
    上記工程(a)において、第1のスラリーの有するA/Bモル比を0.1以上とし、
    上記工程(c)において、第3のスラリーの有するA/Bモル比を1.2以上とする、
    ことを特徴とするジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法。
  2. 前記工程(a)において、前記第1のスラリーの含むジルコニウム水酸化物中のジルコニウムのモル部数100モル部に対して前記種結晶を1~20モル部の範囲で用いる請求項1に記載のジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記水熱反応を温度120~300℃の範囲で行う請求項1に記載のジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子の製造方法。
  4. 組成式(I)
    AB3-δ
    (式中、AはBa及びSrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、BはZr元素であり、xは0.9≦x≦1.1を満たす数であり、δは酸素欠損量である。)
    で表される単相の粒子であり、且つ、12m2/g以上の比表面積と0.7~1.3の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子。
  5. ジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子(ただし、ZrO 粒子が混入しているジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子を除く)であって、
    組成式(I)
    AB3-δ
    (式中、AはBa及びSrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、BはZr元素であり、xは0.9≦x≦1.1を満たす数であり、δは酸素欠損量である。)
    で表される、12m2/g以上の比表面積と0.7~1.3の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子。
  6. 組成式(I)
    AB3-δ
    (式中、AはBa及びSrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、BはZr元素であり、xは0.9≦x≦1.1を満たす数であり、δは酸素欠損量である。)
    で表される、12m2/g以上で40.2m /g以下の比表面積と0.7~1.3の範囲の結晶子径/比表面積換算粒子径を有するジルコン酸系ペロブスカイト型複合酸化物粒子。
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