JPWO2020175114A1 - 電極材料及びそれを用いた電極 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高電位への耐性に優れ、かつ高導電性を有する電極を形成することができる電極材料、及びこれを用いた電極、燃料電池を提供する。本発明は、粉末X線回折においてTi4O7、及び/又はTi3O5由来のピーク以外のピークが認められない亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物、およびIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物が担持された構造を有し、BET比表面積が5m2/g以上、20m2/g以下である電極材料に関する。

Description

本発明は、電極材料及びそれを用いた電極に関する。より詳しくは、燃料電池の電極の材料として好適な電極材料及びそれを用いた電極に関する。
燃料電池は、水素やアルコール等の燃料を酸素と電気化学的に反応させて電力を発生させる装置であり、電解質や作動温度等によって、固体高分子形(PEFC)、リン酸形(PAFC)、溶融炭酸塩形(MCFC)、固体酸化物形(SOFC)等に分けられる。例えば、固体高分子形燃料電池は、定置型電源や燃料電池車用途で使用されており、長期にわたって所望の発電性能を維持することが求められている。
これらの燃料電池のうち、固体高分子形燃料電池(PEFC)は、電解質としてイオン伝導性を有する高分子膜(イオン交換膜)を用いる燃料電池であり、一般に導電性材料であるカーボンに白金(Pt)を担持した電極材料が使用されている。PEFCには、燃料流路の水詰まりや水分の凍結等により水素の供給不足状態が発生することがあり、この状態になると、アノード電位が急上昇してセルの極性が反転する転極状態となる。転極状態のアノードでは、水素が酸化される反応に代わって、水分が分解される反応や、カーボンが酸化(腐食)される反応がプロトンを供給するため、即座に1.5VvsRHEを超える電位となり、カーボンの酸化(C+2HO→CO+4H++4e)による消失を引き起こし、電池性能を著しく低下させることになる。このような電池性能の低下を回避するため、カーボンの代わりに担体として酸化消失しない導電性酸化物Tiを用いてこれにPtを担持する手法(特許文献1参照)や、水電解(酸素発生)触媒としてイリジウムを添加または担持し、アノードの電位上昇を抑制する手法(非特許文献1参照)が提案されている。また、導電性酸化物Tiを主体とする担体にPt、およびIrを担持する手法が提案されている(特許文献2、3)。
国際公開第2018/096815号 独国特許出願公開第202015106071号明細書 韓国公開特許第2018−0017861号公報
第59回電池討論会 予稿集1H23(2018年11月27日発行)
上述の特許文献1に記載のPt担持Tiは、高電位に晒された場合の耐久性は従来使用されるPt担持カーボンよりも高い。しかしPt担持Tiは、粉末状態の導電性はPt担持カーボンと同等であるものの、電極化する工程において粉末と樹脂、溶媒を混合し、分散する際に粉末が酸化され、電極の性能低下につながってしまうため、粉末の耐酸化性を向上する余地があることが発明者の検討で判明した。また非特許文献1に記載されているようにイリジウムを添加または担持した場合、一時的にカーボンの酸化を抑制することはできるが、異常高電位状態が一定時間継続した場合、カーボンの酸化による発電性能低下を回避することは出来ず、効果が不十分である。更に特許文献2に示すTi担体は、粒子径が約50nm程度(比表面積に換算すると30m/g程度)であるため、粒子間の粒界抵抗の影響が大きくなり、導電率が1×10−3S/m程度(体積抵抗率に換算すると1×10Ω・cm程度)と電極材料としては導電性が不十分である。一方、Ti担体の比表面積が小さい場合には、電極化の際に均一な電極とすることができず、またPt等の貴金属を均一に担持することが出来ないため、十分な発電性能を発揮できない。更に特許文献3に示す担体は、Tiを主体としつつも、コバルト元素やTiよりも高次の亜酸化チタンであるTiを含んでおり、これらは電極材料として性能への寄与が小さい可能性があるため、電極としての性能が不十分と考えられる。
このように、従来の材料はいずれも電極材料としての性能に改善の余地があるものであった。
本発明は、上記現状に鑑み、高電位への耐性に優れ、かつ高導電性を有する電極を形成することができる電極材料、及びこれを用いた電極、燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者は、高電位への耐性に優れ、電極とした場合にも高導電性を有する材料について検討し、粉末X線回折においてTi、及び/又はTi由来のピーク以外のピークが認められない亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物と、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物とを担持したものであって、かつBET比表面積が5m/g以上、20m/g以下である材料を電極の材料として使用すると、電極化する工程で樹脂、溶媒を混合して分散を行っても酸化が抑制されるため高電位への耐性に優れ、かつ高導電性を有する電極が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、粉末X線回折においてTi、及び/又はTi由来のピーク以外のピークが認められない亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物、およびIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物が担持された構造を有し、BET比表面積が5m/g以上、20m/g以下であることを特徴とする電極材料である。
上記Pt及び/又はその酸化物、並びに、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物は、平均一次粒子径が1〜20nmであることが好ましい。
上記Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属は、Ir及び/又はRuであることが好ましい。
上記電極材料は、固体高分子形燃料電池の電極材料であることが好ましい。
本発明はまた、本発明の電極材料から構成された電極でもある。
本発明はまた、本発明の電極を備えることを特徴とする燃料電池でもある。
本発明はまた、本発明の電極材料から構成される水電解セルでもある。
本発明の電極材料は、高電位にも充分に耐えることができ、かつ高導電性を有する電極を形成することができる材料である。従って、固体高分子形燃料電池等の燃料電池や、水電解セル、太陽電池、トランジスタ、液晶等の表示装置等の電極の材料の他、帯電防止材料、熱線遮蔽材料等に使用する導電性材料として極めて有用である。中でも特に、固体高分子形燃料電池の電極の材料として有用である。
実施例1、比較例1〜4で使用した亜酸化チタン担体の粉末X線回折の測定結果を示した図である。 実施例2、4、5、6で使用した亜酸化チタン担体の粉末X線回折の測定結果を示した図である。 実施例3で使用した亜酸化チタン担体の粉末X線回折の測定結果を示した図である。 実施例1で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例2で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例3で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例4で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例5で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例6で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 比較例1で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 比較例2で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 比較例4で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 比較例6で得られた粉末の電子顕微鏡写真を示した図である。 実施例1で得られた粉末のX線回折の測定結果を示した図である。 実施例2で得られた粉末の粉末X線回折の測定結果を示した図である。 実施例3で得られた粉末の粉末X線回折の測定結果を示した図である。 実施例4で得られた粉末の粉末X線回折の測定結果を示した図である。 実施例5で得られた粉末の粉末X線回折の測定結果を示した図である。 実施例6で得られた粉末の粉末X線回折の測定結果を示した図である。 比較例1で得られた粉末の粉末X線回折の測定結果を示した図である。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1.電極材料
本発明の電極材料は、粉末X線回折においてTi、及び/又はTi由来のピーク以外のピークが認められない亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物、およびIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物が担持された構造を有し、BET比表面積が5m/g以上、20m/g以下である。なお、貴金属が担持されることで、亜酸化チタン担体のBET比表面積よりも、電極材料の比表面積の方が大きくなる。
上記亜酸化チタン担体は、結晶相がTi単相、Ti単相、またはTiとTiの混相であることが好ましい。
本明細書中、「粉末X線回折においてTi、及び/又はTi由来のピーク以外のピークが認められない亜酸化チタン担体である」電極材料とは、Pt及び/又はその酸化物、およびIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物が担持された状態で測定したX線回折(XRD)測定パターン中、Ti及び/又はTiが存在し、その他のチタン酸化物が存在しない電極材料を意味し、その他のチタン酸化物とは、アナタース型、ブルッカイト型又はルチル型の酸化チタン、Ti2n−1(nは、2又は5〜9の整数を表す)で表される化合物、及び、TiOをいう。一般にチタン酸化物は、その構造によってX線回折測定パターン上のピーク位置が異なるため、これを利用することで、Ti及び/又はTiが存在し、その他のチタン酸化物が存在しないことを判定できる。本発明では、以下の方法によって判定する。
なお、XRD測定データ全体にノイズが多い場合は、XRDに付属の解析ソフト(例えば、リガク社製X線回折装置(RINT−TTR3)付属の粉末X線回折パターン総合解析ソフトウェアJADE7J)等を用いて、スムージング、バックグランド除去を実施してから以下の判定を行ってもよい。
<Ti
パターン中、2θ=26.0〜26.6°と、2θ=20.4〜21.0°とにピークが存在すれば、Tiが存在すると判定する。
<Ti
パターン中、2θ=26.0〜26.6°と、2θ=18.6〜19.2°とにピークが存在すれば、Tiが存在すると判定する。
<Ti2n−1(nは5〜9の整数を表す)、及び、ルチル型酸化チタン>
パターン中、2θ=26.0〜26.6°に存在する最大ピークの強度を100に対し、2θ=27.6〜27.7°の強度の比が15以下であると、他のチタン酸化物のピーク及びノイズと区別がつかないため、Ti2n−1(nは5〜9の整数を表す)、及び、ルチル型酸化チタンが存在しないと判定する。
<アナタース型及びブルッカイト型酸化チタン>
パターン中、2θ=26.0〜26.6°に存在する最大ピークの強度100に対し、2θ=25.0〜25.6°に存在する最大ピークの強度の比が15以下であると、他のチタン酸化物のピーク及びノイズと区別がつかないため、アナタース型及びブルッカイト型酸化チタンが存在しないと判定する。
<Ti
パターン中、2θ=26.0〜26.6°に存在する最大ピークの強度100に対し、2θ=23.5〜24.1°に存在する最大ピークの強度の比が15以下であると、他のチタン酸化物のピーク及びノイズと区別がつかないため、Tiが存在しないと判定する。
<TiO>
パターン中、TiOに帰属されるピークは、TiまたはTiのピークと重なるが、2θ=62.1〜62.7°のピーク強度はTiまたはTiよりも低いため、2θ=26.0〜26.6°に存在する最大ピークの強度100に対し、2θ=62.1〜62.7°に存在する最大ピークの強度の比が30以下であればTiOが存在しないと判定する。
本発明の電極材料は、BET比表面積が5m/g以上、20m/g以下である。このような比表面積のものであることで電極材料の触媒活性が高くなり、電極性能に優れたものとなる。BET比表面積は、好ましくは、7m/g以上であり、より好ましくは、9m/g以上である。5m/g未満であると触媒活性が低くなり、電極性能が不十分になる可能性がある。一方、BET比表面積が20m/gより大きくなると、担体粒子同士の接触抵抗が増加する。電極材料のBET比表面積は、好ましくは15m/g以下である。
電極材料のBET比表面積は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の電極材料におけるPt及び/又はその酸化物の担持量は、1〜50重量%であることが好ましい。このような担持量であることで、電極材料がより電極性能に優れたものとなる。担持量は、より好ましくは、2〜30重量%であり、更に好ましくは、4〜20重量%である。
本発明の電極材料におけるIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物の担持量は、1〜50重量%であることが好ましい。このような担持量であることで、電極材料がより電極性能に優れたものとなる。担持量は、より好ましくは、2〜30重量%であり、更に好ましくは、6〜20重量%である。
本発明の電極材料では、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物と、上記Pt及び/又はその酸化物は同一の担体に担持されていることが必要であり、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物を担持した担体と、上記Pt及び/又はその酸化物を担持した担体を物理的に混合しても十分な効果は得られない。
本発明の電極材料における、Pt及び/又はその酸化物の担持量に対する、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物の担持量の重量比は、0.1〜10であることが好ましい。このような比率であることで、電極材料がより電極性能に優れたものとなる。重量比は、より好ましくは、0.5〜5.0であり、更に好ましくは、0.8〜3.0である。
上記Pt及び/又はその酸化物、並びに、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物は、平均一次粒子径が1〜20nmであることが好ましい。平均一次粒子径がこのような範囲であると、電極材料がより電極性能に優れたものとなる。平均一次粒子径は、より好ましくは、2〜15nmであり、更に好ましくは、3〜10nmである。
Pt及び/又はその酸化物、並びに、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物の平均一次粒子径は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
上記Pt及び/又はその酸化物、並びに、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物の平均一次粒子径は、亜酸化チタン担体の平均一次粒子径の70%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下である。
上記亜酸化チタン担体上に担持するIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物は、これらのいずれの貴金属及び/又はその酸化物であってもよいが、貴金属はIr及び/又はRuであることが好ましい。Ir及び/又はRu、若しくは、これらの酸化物を担持することで、得られる電極材料の触媒活性がより高くなり、電極材料がより電極性能に優れたものとなる。
上記Ptや、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属は、後述する製造条件次第で合金を生成するが、導電性、電気化学特性をより向上させる可能性があるため、上記貴金属粒子の一部又は全体が担体を構成するチタンとの合金になっていてもよい。
本発明の電極材料は、亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物、およびIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物が担持されたものであれば、電極性能に影響を及ぼさない範囲でその他の金属種を担持していてもよい。
2.電極材料の製造方法
本発明の電極材料は、粉末X線回折においてTi、及び/又はTi由来のピーク以外のピークが認められない亜酸化チタン担体を得る工程(1)と、工程(1)で得られた亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物、およびIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物を担持する工程(2)とを含む製造方法により製造することができる。
以下に、工程(1)、(2)について順に説明する。
1)工程(1)
工程(1)は、上記の亜酸化チタン担体を与えることのできる工程であれば特に限定されないが、酸化チタン及び/又は水酸化チタンを含む原料混合物を還元雰囲気下で焼成する工程であることが好ましい。酸化チタンや水酸化チタンを用いると、電極材料製造時に含まれる不純物が少なくなるうえ、これらは容易に入手できるため、安定供給の点で優れている。中でも、ルチル型酸化チタンを用いることが好ましい。これにより、粉末X線回折においてTi、及び/又はTi由来のピーク以外のピークが認められない亜酸化チタン担体にPt及び/又はその酸化物、およびIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物を担持して得られる、BET比表面積が5m/g以上、20m/g以下となる電極材料が効率的に得られる。より好ましくは、酸化チタンとして比表面積が20m/g以上であるルチル型酸化チタンを用いることであり、これにより、比表面積が大きく、かつ結晶相がTi単相である亜酸化チタン担体がより効率的に得られる。更に好ましくは、比表面積が50m/g以上であるルチル型酸化チタンを用いることである。
上記原料混合物には還元助剤を添加してもよい。還元助剤の例としては、金属チタン、水素化チタン、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられ、いずれも用いることができる。
還元助剤の添加量は、酸化チタン及び/又は水酸化チタン(2種以上用いる場合はその合計量)に対し、重量比で0.05〜0.5とすることが好適である。より好ましくは0.1〜0.4である。
上記原料混合物は、上述した成分を通常の混合方法で混合することで得ることができるが、その際、乾式法を採用することが好適である。すなわち上記原料混合物は乾式混合物であることが好ましい。これにより、上記組成式で表される亜酸化チタン担体がより効率的に得られる。上記原料混合物として特に好ましくは、ルチル型酸化チタンと、金属チタンまたは水素化チタンとを含む乾式混合物である。
なお、各原料はそれぞれ1種又は2種以上使用することができる。
上記原料混合物は還元雰囲気下での焼成に供されるが、その際、原料混合物をそのまま焼成してもよいし、原料混合物が溶媒を含む場合は、脱溶媒を行った後に焼成してもよい。
還元雰囲気としては特に限定されず、水素(H)雰囲気、一酸化炭素(CO)雰囲気、窒素(N)雰囲気、水素と一酸化炭素及びまたは窒素との混合ガス雰囲気、水素と不活性ガスとの混合ガス雰囲気等が挙げられ、アンモニア(NH)雰囲気等もこれに含まれる。中でも、効率よく上記亜酸化チタン担体を製造できることから、水素雰囲気、または水素と窒素との混合ガス雰囲気であることが好ましい。従って、工程(1)として特に好ましくは、原料としてルチル型酸化チタン(好ましくは、上述のとおり比表面積が所定範囲にあるルチル型酸化チタン)と還元助剤とを含む乾式混合物を、水素雰囲気、または水素と窒素との混合ガス雰囲気下で焼成する工程である。
焼成は1回だけ行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行う場合も、いずれの工程も還元雰囲気(好ましくは水素雰囲気、または水素と窒素との混合ガス雰囲気)下で行うことが好ましい。
焼成温度は、水素の濃度等の還元雰囲気の条件にもよるが、例えば、500℃〜1100℃とすることが好ましい。これにより、得られる電極材料において高比表面積と高導電性とをより両立することが可能になる。焼成温度の下限は、より好ましくは600℃以上、更に好ましくは650℃以上であり、また上限は、より好ましくは1050℃以下、更に好ましくは1000℃以下である。
本明細書中、焼成温度とは、焼成工程での最高到達温度を意味する。
焼成時間、すなわち上記焼成温度での保持時間もまた、水素の濃度等の還元雰囲気の条件にもよるが、例えば、5分〜100時間とすることが好ましい。焼成時間がこの範囲内にあると反応がより充分に進み、亜酸化チタン担体の生産性に優れる。より好ましくは30分〜24時間、更に好ましくは60分〜20時間、特に好ましくは2〜15時間である。なお、焼成終了後に降温する場合は、水素以外のガス(例えば窒素ガス)を混合又は置換して行ってもよい。
2)工程(2)
工程(2)は、工程(1)で得られた亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物、およびIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物を担持する工程である。上記工程(1)の後、工程(2)の前に、必要に応じて粉砕、水洗、分級等の1又は2以上のその他の工程を含んでもよい。その他の工程は特に限定されない。
工程(2)において、Pt及び/又はその酸化物の担持と、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物の担持とは、いずれを先に行ってもよく、また、Pt及びその酸化物と、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物とを同時に担持してもよい。
以下においては、本発明の電極材料の製造方法の一例として、工程(1)で得られた亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物を先に担持し、その後にIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物を担持させる製造方法について説明することとし、Pt及び/又はその酸化物を担持する工程を工程(2−1)、工程(2−1)の後にIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物を担持させる工程を工程(2−2)とする。
上記工程(2−1)は、工程(1)で得られた亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物が担持されることになる限り、担持させる方法は特に制限されないが、工程(1)で得た亜酸化チタン担体と、Pt及び/又はその水溶性化合物(以下、Pt化合物とも総称する)と溶媒を含むスラリーを用いて、Pt及び/又はその酸化物を担持する工程であることが好ましい。
また上記工程(2−2)についても、工程(2−1)で得られた、Pt及び/又はその酸化物を担持した亜酸化チタン担体上に、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物が担持されることになる限り、担持させる方法は特に制限されないが、工程(2−1)で得られた、Pt及び/又はその酸化物を担持した亜酸化チタン担体と、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその水溶性化合物(以下、第2の貴金属化合物とも総称する)と溶媒を含むスラリーを用いて、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物を担持する工程であることが好ましい。
上記工程(2−1)におけるスラリーは、上記工程(1)で得た亜酸化チタン担体とPt化合物とを含むが、このスラリーは、例えば、上記工程(1)で得た亜酸化チタン担体(又は亜酸化チタン担体を含むスラリー)と、Pt化合物の溶液とを混合することで得ることが好ましい。このスラリーを用いることで、Pt及び/又はその酸化物をより高分散に担持することができる。
上記工程(2−2)におけるスラリーについても、工程(2−1)で得た、Pt及び/又はその酸化物を担持した亜酸化チタン担体(又は、Pt及び/又はその酸化物を担持した亜酸化チタン担体を含むスラリー)と、第2の貴金属化合物の溶液とを混合することで得ることが好ましい。このスラリーを用いることで、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物をより高分散に担持することができる。
なお、スラリーの各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上使用することができる。
上記工程(2−1)や工程(2−2)でスラリーを得る方法、すなわち上記成分を混合する方法は特に限定されないが、例えば、亜酸化チタン担体(又はPt及び/又はその酸化物を担持した亜酸化チタン担体)と溶媒を容器内で撹拌した状態で、Pt化合物(又は第2の貴金属化合物)の溶液を添加し、撹拌混合する方法が挙げられる。添加時の温度は40℃以下とすることが好ましく、撹拌混合をしながら所定の温度(好ましくは60〜100℃、より好ましくは、70〜100℃)になるまで加熱することが好ましい。混合は撹拌子を用いてスターラーで撹拌してもよいし、プロペラ式、櫂式等の撹拌羽根を備えた撹拌機を用いてもよい。
溶媒としては特に限定されず、例えば、水、酸性溶媒、有機溶媒及びこれらの混合物が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、中でもアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価の水溶性アルコール;エチレングリコール、グリセリン等の2価以上の水溶性アルコール;等が挙げられる。溶媒として好ましくは水であり、より好ましくはイオン交換水である。
上記溶媒の含有量は特に限定されないが、例えば、工程(1)で得た亜酸化チタン担体(又は工程(2−1)で得た、Pt及び/又はその酸化物を担持した亜酸化チタン担体)の固形分量(2種以上用いる場合はその固形分総量)に対して、重量比で1〜1000とすることが好ましい。これにより、電極材料をより簡便に得ることができる。より好ましくは5〜500、更に好ましくは10〜300である。
上記工程(2−1)や工程(2−2)におけるスラリーはまた、酸、アルカリ、キレート化合物、有機分散剤、高分子分散剤等の添加剤を含んでもよい。これらの添加剤を含むことにより、スラリーに含まれる亜酸化チタン担体(又はPt及び/又はその酸化物を担持した亜酸化チタン担体)の分散性向上が期待される。
上記Pt化合物の溶液や第2の貴金属化合物の溶液は、Pt化合物や第2の貴金属化合物を含む溶液であれば特に限定されないが、例えば、Ptや第2の貴金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩等の無機塩;Ptや第2の貴金属の酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩;等の溶液、あるいは、ナノサイズのPtや第2の貴金属等の分散溶液が挙げられる。中でも、塩化物溶液、硝酸塩溶液、ジニトロジアンミン硝酸溶液、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)溶液等の溶液であることが好ましい。中でも反応性の観点から、塩化物水溶液が最も好ましい。
上記工程(2−1)におけるPtの溶液の使用量は特に限定されないが、例えば、Ptの元素換算で、上記亜酸化チタン担体の固形分総量に対し、重量比で0.01〜0.5とすることが好ましい。これにより、Pt及び/又はその酸化物をより微細に分散させることができる。より好ましくは0.01〜0.4、更に好ましくは0.01〜0.3である。
上記工程(2−2)における第2の貴金属の溶液の使用量も同様であり、例えば、第2の貴金属の元素換算で、上記Pt及び/又はその酸化物を担持した亜酸化チタン担体の固形分総量に対し、重量比で0.01〜0.5とすることが好ましい。これにより、第2の貴金属及び/又はその酸化物をより微細に分散させることができる。より好ましくは0.01〜0.4、更に好ましくは0.01〜0.3である。
工程(2−1)や工程(2−2)では、必要に応じ、上記混合液に対し還元処理及び/又は中和処理を行ってもよい。例えば、還元処理を行う場合は、混合液に還元剤を添加して、Pt化合物や第2の貴金属化合物を適度に還元することが好ましい。中和処理を行う場合は、混合液に塩基性溶液を添加して行うことが好ましい。なお、還元処理、表面処理及び中和処理のうち2以上の処理を行う場合、還元剤、界面活性剤、塩基性溶液は任意の順で別々に添加してよいし、まとめて添加してもよい。
上記還元剤は特に限定されるものではないが、例えば、塩化ヒドラジン、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、アルコール、水素、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、ホルムアルデヒド、エチレン、一酸化炭素等が挙げられ、好ましくは塩化ヒドラジンである。添加量は特に限定されるものではないが、上記混合液に含まれるPtや第2の貴金属のモル当量の0.1〜2倍量であることが好ましい。
上記塩基性溶液は特に限定されるものではないが、NaOH水溶液、NH水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられ、好ましくはNaOH水溶液である。中和工程での中和温度は、好ましくは60℃〜100℃、より好ましくは70℃〜100℃である。
上記工程(2−1)や工程(2−2)では、上記混合液(上述の通り、必要に応じて還元処理及び/又は中和処理を行ったものであってもよい)から、水分及び副生物(副生成物とも称す)を除去することが好ましい。その除去手段は特に限定されないが、例えば、濾過、水洗、乾燥、加熱下での蒸発等により水分及び副生物を除去することが好ましい。
ここで、副生成物は水洗により取り除くことが好ましい。電極材料中に副生成物が残存すると、固体高分子形燃料電池の運転中に系内に溶出するなどし、発電特性の悪化やシステムの損傷を引き起こすおそれがある。水洗の方法としては、亜酸化チタン担体に担持されていない水溶性物質を系外に除去できる方法であれば特に限定されず、ろ過水洗やデカンテーション等が挙げられる。このとき、水洗水の電導度が30μS/cm以下になるまで水洗することで副生成物を取り除くことが好ましい。より好ましくは電導度が10μS/cm以下になるまで水洗することである。
上記工程(2−1)や工程(2−2)ではまた、上記混合液から水分及び副生物を除去した後に、その粉末を焼成することがより好適である。これによって、電気化学特性が発現しにくい低結晶化度のPtや第2の貴金属又はその酸化物を、電気化学特性の発現に好適な結晶化度にすることができる。結晶化度は、XRDにおいて、Ptや第2の貴金属、それらの合金、又はその酸化物に由来するピークが確認できる程度であればよい。乾燥粉末を焼成する場合、還元雰囲気下で焼成することが好適である。還元雰囲気については上述したとおりであり、水素雰囲気が特に好ましい。焼成温度は特に限定されないが、例えば、500〜1000℃とすることが好ましい。また焼成時間も特に限定されないが、例えば、30分〜24時間とすることが好適である。これによって、Ptや第2の貴金属又はやその酸化物と亜酸化チタン担体とを、電気化学特性の発現に好適な結合状態とすることができる。好適な結合状態は、XRDにおいて、Ptや第2の貴金属又はやその酸化物に由来するピークが、還元雰囲気下で焼成しない場合よりも、高角度側又は低角度側にシフトしていることで確認することができる。好ましくは、高角度側にシフトしていることである。
上記工程(2−1)として特に好ましくは、上記工程(1)で得た亜酸化チタン担体とPt化合物とを含む混合液を還元した後、濾過、乾燥して得た粉末を焼成する工程である。
上記工程(2−2)についても同様に、工程(2−1)で得た、Pt及び/又はその酸化物を担持した亜酸化チタン担体と第2の貴金属化合物とを含む混合液を還元した後、濾過、乾燥して得た粉末を焼成する工程であることが特に好ましい。
上記では、工程(1)で得られた亜酸化チタン担体上に、Pt及び/又はその酸化物を先に担持し、その後にIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物を担持させる場合について説明したが、担持の順番を逆にする場合には、上記工程(2−1)と工程(2−2)の順番を逆にして行えばよく、これらの担持を同時に行う場合には、工程(2−1)と工程(2−2)とを合わせて行えばよい。
3.電極、燃料電池、又は水電解セル
本発明の電極材料は、高電位に対する耐性が高く、また導電性にも優れる電極を形成することができるため、燃料電池、太陽電池、トランジスタ、液晶等の表示装置の電極材料用途に好適に用いることができる。中でも、固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極や又は水電解セルの用途に好適に用いることができる。
このような、本発明の電極材料を用いて構成された電極や、該電極を備える燃料電池もまた、本発明の1つであり、本発明の電極材料から構成される水電解セルもまた、本発明の1つである。
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」とは「重量%(質量%)」を意味する。
実施例1
(1)亜酸化チタン担体の作製
ルチル型酸化チタン(堺化学工業社製、商品名「STR−100N」、比表面積100m/g)15.8gと水素化チタン(トーホーテック社製、商品名「水素化チタン粉 TCH−450」)4.2gを乾式混合した後、アルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、710℃まで68分かけて昇温し、710℃で8時間保持した後、5vol%水素/窒素を400ml/分で流通しながら室温まで自然冷却し、その後900℃まで87分かけて昇温し、900℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却して亜酸化チタン担体1を得た。
(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製
得られた亜酸化チタン担体1を7.0gと、イオン交換水778gをビーカーに計量して撹拌混合し、亜酸化チタン担体スラリー1を得た。別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(Ptとして15.343%、田中貴金属工業社製)5.2gをイオン交換水31.3gで希釈した後、塩化ヒドラジン(東京化成工業社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.2gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合Pt水溶液1」と称す)。
亜酸化チタン担体スラリー1を攪拌しながら、別のビーカーにて準備した上記の混合Pt水溶液1を36.7g添加し、その後、液温70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液31gを添加し撹拌混合して、液温70℃に1時間加熱保持した後、常法に従い、濾過、水洗、乾燥して水分を全て蒸発させて、粉末6.3gを得た。得られた粉末6.0gをアルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、900℃まで87分かけて昇温し、900℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却してPt担持亜酸化チタン粉末1を得た。
(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製
得られたPt担持亜酸化チタン粉末1を5.2gと、イオン交換水480gをビーカーに計量して撹拌混合し、Pt担持亜酸化チタンスラリー1を得た。別のビーカーにて塩化イリジウム塩酸塩水溶液(Irとして8.604%、田中貴金属工業社製)5.2gに塩化ヒドラジン(東京化成工業社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.2gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合Ir水溶液1」と称す)。
Pt担持亜酸化チタンスラリー1を攪拌しながら、別のビーカーにて準備した上記の混合Ir水溶液1を5.4g添加し、その後、液温70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液19gを添加し撹拌混合して、液温70℃に1時間加熱保持した後、常法に従い、濾過、水洗、乾燥して水分を全て蒸発させて、粉末4.7gを得た。得られた粉末を2.0gアルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、900℃まで87分かけて昇温し、900℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却してIrPt担持亜酸化チタン粉末1を得た。
(4)膜電極接合体の作製
得られたIrPt担持亜酸化チタン粉末1を0.2gと、20重量%Nafion溶液(シグマアルドリッチ社製)168μl、t−ブチルアルコール(和光純薬社製)120μl、イオン交換水24μl、2mmφZrOビーズ1.4gをスクリュー管に入れ、超音波洗浄機を用いて、150分間分散し、IrPt担持亜酸化チタンインク1を得た。
得られたIrPt担持亜酸化チタンインク1をテフロン(登録商標)シートに40μl滴下し、溝深さ10μmのバーコーターを用いて塗工後、自然乾燥させ、IrPt担持亜酸化チタンシート1を得た。
市販の50重量%Pt担持カーボン(エヌイーケムキャット社製)を0.02gと、20重量%Nafion溶液(シグマアルドリッチ社製)61μl、t−ブチルアルコール(和光純薬社製)179μl、イオン交換水89μl、2mmφZrOビーズ1.6gをスクリュー管に入れ、超音波洗浄機を用いて、150分間分散し、Pt担持カーボンインク1を得た。
得られたPt担持カーボンインク1をテフロン(登録商標)シートに40μl滴下し、溝深さ100μmのバーコーターを用いて塗工後、自然乾燥させ、Pt担持カーボンシート1を得た。
電解質膜(デュポン社製、製品名NR−212)を3cm×3cmに切り抜いた後、IrPt担持亜酸化チタンシート1と、Pt担持カーボンシート1をそれぞれ1cm×1cmに切り抜き、IrPt担持亜酸化チタンシート1、電解質膜、Pt担持カーボンシート1の順に重ね合わせ、加熱式油圧プレス機(東洋精機製作所製、製品名 ミニテストプレスMP−WNH)を用いて1MPaの設定圧力で140℃で6分間ホットプレスした。
その後、IrPt担持亜酸化チタンシート1、Pt担持カーボンシート1からテフロン(登録商標)シートを剥がし、膜電極接合体1を得た。
実施例2
(1)亜酸化チタン担体の作製
ルチル型酸化チタン(堺化学工業社製、商品名「STR−100N」、比表面積100m/g)15.8gと水素化チタン(トーホーテック社製、商品名「水素化チタン粉 TCH−450」)4.2gを乾式混合した後、アルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、710℃まで68分かけて昇温し、710℃で8時間保持した後、5vol%水素/窒素を400ml/分で流通しながら室温まで自然冷却し、その後1000℃まで87分かけて昇温し、1000℃で6時間保持した後、室温まで自然冷却して亜酸化チタン担体2を得た。
(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製
得られた亜酸化チタン担体2を7.0gと、イオン交換水を778gビーカーに計量して撹拌混合し、亜酸化チタン担体スラリー2を得た。別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(Ptとして15.343%、田中貴金属工業社製)5.2gをイオン交換水31.3gで希釈した後、塩化ヒドラジン(東京化成工業社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.2gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合Pt水溶液2」と称す)。
亜酸化チタン担体スラリー2を攪拌しながら、上記の混合Pt水溶液2を18.4g添加し、その後、液温70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液15.5gを添加し撹拌混合して、液温70℃に1時間加熱保持した後、常法に従い、濾過、水洗、乾燥して水分を全て蒸発させて、粉末6.3gを得た。得られた粉末を6.0gアルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、900℃まで87分かけて昇温し、900℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却してPt担持亜酸化チタン粉末2を得た。
(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製
得られたPt担持亜酸化チタン粉末2を5.2gと、イオン交換水を480gビーカーに計量して撹拌混合し、Pt担持亜酸化チタンスラリー2を得た。別のビーカーにて塩化イリジウム塩酸塩水溶液(Irとして8.604%、田中貴金属工業社製)5.2gに塩化ヒドラジン(東京化成工業社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.2gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合Ir水溶液2」と称す)。
Pt担持亜酸化チタンスラリー2を攪拌しながら、別のビーカーにて準備した上記の混合Ir水溶液2を5.4g添加し、その後、液温70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液19gを添加し撹拌混合して、液温70℃に1時間加熱保持した後、常法に従い、濾過、水洗、乾燥して水分を全て蒸発させて、粉末4.7gを得た。得られた粉末を2.0gアルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、900℃まで87分かけて昇温し、900℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却してIrPt担持亜酸化チタン粉末2を得た。
以降、実施例1と同様にして膜電極接合体2を得た。
実施例3
実施例2における「(1)亜酸化チタン担体の製造」の1000℃における保持時間を6時間から3時間に変更し、亜酸化チタン担体3を得たこと、「(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製」のPt担持亜酸化チタンスラリー2に添加する混合Ir水溶液2の量、および1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液の量を半分にしたこと以外は実施例2と同様に行い、IrPt担持亜酸化チタン粉末3を得た。また、得られたIrPt担持亜酸化チタン粉末3を用いて、実施例1と同様にして膜電極接合体3を得た。
実施例4
実施例2における「(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製」および「(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製」の内容を以下のように変更したこと以外は実施例2と同様に行い、IrPt担持亜酸化チタン粉末4を得た。また、得られたIrPt担持亜酸化チタン粉末4を用いて、実施例1と同様にして膜電極接合体4を得た。
(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製
得られた亜酸化チタン担体2を7.0gと、イオン交換水778gをビーカーに計量して撹拌混合し、亜酸化チタン担体スラリー2を得た。別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(Ptとして15.343%、田中貴金属工業社製)5.2gをイオン交換水31.3gで希釈した後、塩化ヒドラジン(東京化成工業社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.2gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合Pt水溶液4」と称す)。
亜酸化チタン担体スラリー2を攪拌しながら、上記の混合Pt水溶液4を36.7g添加し、その後、液温70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液31gを添加し撹拌混合して、液温70℃に1時間加熱保持した後、常法に従い、濾過、水洗、乾燥して水分を全て蒸発させて、粉末6.3gを得た。得られた粉末を6.0gアルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、900℃まで87分かけて昇温し、900℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却してPt担持亜酸化チタン粉末4を得た。
(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製
得られたPt担持亜酸化チタン粉末4を3.0gと、イオン交換水530gをビーカーに計量して撹拌混合し、Pt担持亜酸化チタンスラリー4を得た。別のビーカーにて塩化イリジウム塩酸塩水溶液(Irとして8.604%、田中貴金属工業社製)3.3gに塩化ヒドラジン(東京化成工業社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.1gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合Ir水溶液4」と称す)。
Pt担持亜酸化チタンスラリー4を攪拌しながら、別のビーカーにて準備した上記の混合Ir水溶液3.4gを添加し、その後、液温70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液12gを添加し撹拌混合して、液温70℃に1時間加熱保持した後、常法に従い、濾過、水洗、乾燥して水分を全て蒸発させて、粉末4を2.2g得た。得られた粉末4を2.0gアルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、1000℃まで97分かけて昇温し、1000℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却してIrPt担持亜酸化チタン粉末4を得た。
以降、実施例1と同様にして膜電極接合体4を得た。
実施例5
実施例4における「(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製」の内容を以下の「(3)RuPt担持亜酸化チタン粉末の作製」の内容に変更したこと以外は実施例4と同様に行い、RuPt担持亜酸化チタン粉末5を得た。また、得られたRuPt担持亜酸化チタン粉末5を用いて、実施例1と同様にして膜電極接合体5を得た。
(3)RuPt担持亜酸化チタン粉末の作製
得られたPt担持亜酸化チタン粉末4を1.5gと、イオン交換水260gをビーカーに計量して撹拌混合し、Pt担持亜酸化チタンスラリー5を得た。別のビーカーにて塩化ルテニウム水溶液(Ruとして8.455%、田中貴金属工業社製)1.28gに塩化ヒドラジン(東京化成工業社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.1gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合Ru水溶液5」と称す)。
Pt担持亜酸化チタンスラリー5を攪拌しながら、別のビーカーにて準備した上記の混合Ru水溶液1.38gを添加し、その後、液温70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液6gを添加し撹拌混合して、液温70℃に1時間加熱保持した後、常法に従い、濾過、水洗、乾燥して水分を全て蒸発させて、粉末1.3gを得た。得られた粉末を1.0gアルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、900℃まで87分かけて昇温し、900℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却してRuPt担持亜酸化チタン粉末5を得た。
以降、実施例1と同様にして膜電極接合体5を得た。
実施例6
実施例3における「(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製」の亜酸化チタン担体スラリー2に添加する混合Pt水溶液2の量、および1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液の量を3倍にし、「(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製」のPt担持亜酸化チタンスラリー2に添加する混合Ir水溶液2の量、および1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液の量を4倍にしたこと以外は実施例3と同様に行い、IrPt担持亜酸化チタン粉末を得た。さらに、得られたIrPt担持亜酸化チタン粉末を実施例5におけるPt担持亜酸化チタン粉末4の代わりに用い、IrPt担持亜酸化チタンスラリーに添加する混合Ru水溶液の量、および1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液の量を半分にしたこと以外は実施例5と同様に行い、RuIrPt担持亜酸化チタン粉末を得た。
以降、実施例1と同様にして膜電極接合体6を得た。
比較例1
実施例1「(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製」で得たPt担持亜酸化チタン粉末1を比較粉末1をとして、実施例1(4)「膜電極接合体の作製」と同様の方法で比較膜電極接合体1得た。
比較例2
実施例1の「(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製」の内容を以下のように変更し、「(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製」を行わなかったこと以外は実施例1と同様に行い、比較粉末2を得た。また、得られた比較粉末2を用いて、実施例1と同様にして比較膜電極接合体2を得た。
(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製
得られた亜酸化チタン担体7.8gと、イオン交換水980gをビーカーに計量して撹拌混合し、亜酸化チタン担体スラリーを得た。別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(白金として15.343%、田中貴金属工業社製)12.7gをイオン交換水76.4gで希釈した後、塩化ヒドラジン(東京化成工業社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.5gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合水溶液」と称す)。
亜酸化チタン担体スラリーを攪拌しながら、上記の混合水溶液89.6gを添加し、その後、液温70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液76gを添加し撹拌混合して、液温70℃に1時間加熱保持した後、常法に従い、濾過、水洗、乾燥して水分を全て蒸発させて、粉末7.0gを得た。得られた粉末を4.0gアルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、900℃まで87分かけて昇温し、900℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却して比較粉末2を得た。
比較例3
比較例1で得たPt担持亜酸化チタンの比較粉末1と、実施例1記載の「(1)亜酸化チタン担体の作製」で得た亜酸化チタン担体に対して、「(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製」に記載の方法でIrを担持したIr担持亜酸化チタンの粉末とを重量比55:45で物理混合し、比較粉末3を得た。また、得られた比較粉末3を用いて、実施例1と同様にして比較膜電極接合体3を得た。
比較例4
比較例1の「(1)亜酸化チタン担体の作製」で得た亜酸化チタン担体に対して、実施例1記載の「(3)IrPt担持亜酸化チタン粉末の作製」に記載の方法でIrを担持したIr担持亜酸化チタンの比較粉末4を得た。また、得られた比較粉末4を用いて、実施例1と同様にして比較膜電極接合体4を得た。
比較例5
比較例1の「(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製」における900℃の加熱温度を1000℃に変更したこと以外は比較例1と同様に行い、それにより得たPt担持亜酸化チタン粉末と、イリジウムブラック(Alfa Aesar社製)を重量比88:12で物理混合し、比較粉末5を得た。また、得られた比較粉末5を用いて、実施例1と同様にして比較膜電極接合体5を得た。
比較例6
(1)亜酸化チタン担体の作製
アナタース型酸化チタン(堺化学工業社製、商品名「CS−41L」、比表面積50m/g)40.0gと水素化チタン(トーホーテック社製、商品名「水素化チタン粉 TCH−450」)10.0gを乾式混合した後、アルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、800℃まで77分かけて昇温し、800℃で8時間保持した後、室温まで自然冷却し、亜酸化チタン担体を得た。
(2)Pt担持亜酸化チタン粉末の作製
得られた亜酸化チタン担体2.0gと、イオン交換水480gをビーカーに計量して撹拌混合し、亜酸化チタン担体スラリーを得た。別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(白金として15.343%、田中貴金属工業社製)6.4gをイオン交換水38.6gで希釈した後、塩化ヒドラジン(東京化成工業社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.3gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合水溶液」と称す)。
亜酸化チタン担体スラリーを攪拌しながら、別のビーカーにて準備した上記の混合水溶液45.3gを添加し、その後、液温70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液38gを添加し撹拌混合して、液温70℃に1時間加熱保持した後、常法に従い、濾過、水洗、乾燥して水分を全て蒸発させて、粉末1.8gを得た。得られた粉末1.5gをアルミナボートに入れ、雰囲気焼成炉にて100vol%水素を400ml/分で流通しながら、800℃まで77分かけて昇温し、800℃で3時間保持した後、室温まで自然冷却して比較粉末6を得た。
また、得られた比較粉末6を用いて、実施例1と同様にして比較膜電極接合体6を得た。
各種測定
実施例1〜6、比較例1〜6で得られた粉末について、以下の各種測定を行った。X線回折パターンを図1〜3および図14〜20、電子顕微鏡写真を図4〜13に示す。その他の各種測定結果を表1に示す。
<比表面積(BET−SSA)>
JIS Z8830(2013年)の規定に準じ、試料を窒素雰囲気中、200℃で60分間熱処理した後、比表面積測定装置(マウンテック社製、商品名「Macsorb HM−1220」)を用いて、比表面積(BET−SSA)を測定した。
<Pt担持量、Ir担持量、Ru担持量>
走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimusII(リガク社製)を用いて、試料中のPt含有量、Ir含有量を測定し、Pt担持量、Ir担持量、Ru担持量を算出した。
<担持されたPt、Ir、Ruの平均一次粒子径>
まず、透過型電子顕微鏡写真(TEM像又はTEM写真とも称す)において、Pt、Ir、Ru粒子の長径と短径を定規等で計測し、その長径と短径の平均値を撮影倍率で除することにより、一次粒子径を求めた。更に、TEM像中のPt、Ir、Ru粒子を80個無作為に抽出し、上記の方法により全ての粒子の一次粒子径を計測し、計測値中最大値を最大一次粒子径、計測値中最小値を最小一次粒子径とし、計測値を平均することにより、平均一次粒子径を求めた。なお、TEM像の撮影倍率は任意の倍率でよいが、好ましい範囲は20,000倍から500,000倍である。なお、Pt、Ir、RuはTEM像で互いに見分けることが出来ないため、全ての貴金属の平均粒子径として測定した。
<電子顕微鏡写真観察>
電解放出形透過電子顕微鏡JEM−2100F(日本電子社製)を用いて、観察を実施した。
<X線回折パターン(XRD測定)>
下記条件の下、X線回折装置(リガク社製、商品名「RINT−TTR3」)を用いて、粉末X線回折パターンを測定した。
X線源:Cu−Kα線
測定範囲:2θ=10〜70°
スキャンスピード:5°/min
電圧:50kV
電流:300mA
<体積抵抗率(体積固有抵抗とも称す)>
粉末の体積抵抗率の測定には、三菱化学アナリテック社製、粉体抵抗測定システム MCP−PD51型を用いた。粉体抵抗測定システムは、油圧による粉体プレス部と四探針プローブ、高抵抗測定装置(同社製 ロレスターGX MCP−T700)から構成される。
以下の手順に従い、体積抵抗率(Ω・cm)の値を求めた。
1)四探針プローブを底面に備えたプレス冶具(直径20mm)にサンプル粉末を投入し、粉体抵抗測定システムの加圧部にセットする。プローブと高抵抗測定装置とをケーブルで接続する。
2)ハンドプレスを用いて、20kNまで加圧する。粉体厚みをデジタルノギスで測定、抵抗値を高抵抗測定装置で測定する。
3)粉体の底面積、厚み、抵抗値から、下記数式に基づき体積固有抵抗(Ω・cm)を求める。
Figure 2020175114
<表面抵抗率測定>
シートの表面抵抗の測定には、三菱化学アナリテック社製、粉体抵抗測定システム MCP−PD51型を用いた。シートを1cm×2cmに切り抜き、粉体抵抗測定システム MCP−PD51型にサンプルサイズを1cm×2cmに設定し、四探針プローブをシートに直接当て、表面抵抗率(Ω/sq.)の値を求めた。
<膜電極接合体 発電試験>
実施例・比較例粉末を用いた電極をアノード側、Pt目付け0.2mgPt/cmPt担持カーボン電極をカソード側にして、膜電極接合体を単セル(ミックラボ社製、電極面積1cm×1cm、Au10μmめっきCuセパレータ ストレート流路仕様)に組み込み、PEFC単セル評価装置(東陽テクニカ社製)を用いて、セル温80℃、アノード側75℃加湿100%H2 500ml/min、カソード側75℃加湿100%O2 500ml/minに設定し、開放電圧から0.2Vまで掃引し、1.0A/cm時点の電圧とセル抵抗を測定した。
<膜電極接合体 耐久試験1>
発電試験1を実施後に、開放電圧、0.6Vを3秒毎に切り替え、これを1サイクルとして1000サイクル繰り返し、再度発電試験を行い、1.0A/cm時点の電圧を測定した。
<膜電極接合体 耐久試験2>
発電試験1を実施後に、単セルを反転させ、セル温80℃、アノード側75℃加湿100%H 500ml/min、カソード側75℃加湿100%N 500ml/minに設定し、1.7Vを4時間印加した後、単セルを反転させ、再度発電試験を行い、0.5A/cm時点の電圧を測定した。
<水電解試験>
実施例・比較例粉末を用いた電極をカソード側、Pt目付け0.2mgPt/cmPt担持カーボン電極をアノード側にして、膜電極接合体を単セル(ミックラボ社製、電極面積1cm×1cm、Au10μmめっきCuセパレータ ストレート流路仕様)に組み込み、PEFC単セル評価装置(東陽テクニカ社製)を用いて、セル温80℃、アノード側75℃加湿100%N 500ml/min、カソード側75℃加湿100%N 500ml/minに設定し、1.0Vから2.0Vまで掃引し、0.1mA/cm時点の電圧を測定した。
Figure 2020175114
図1〜3に示したXRD測定結果から、実施例1〜5で用いた亜酸化チタン担体は、Ti、Ti由来のピーク以外のピークが認められないものであることが確認された。
表1に示すとおり、このような亜酸化チタン担体上にPtとIrとを担持した実施例1、2、4の粉末、およびこのような亜酸化チタン担体上にPtとRuとを担持した実施例5の粉末は、Ptのみを担持した比較例1、2の粉末、Irのみを担持した比較例4の粉末と比較して、シートとした場合の表面抵抗率が低いことが確認され電極化工程での酸化が抑制されていると考えられた。また亜酸化チタン担体上にPtとIrとを担持した実施例1、2、4の粉末、および亜酸化チタン担体上にPtとRuとを担持した実施例5の粉末は、Ptのみを担持した比較例1、2の粉末、Pt担持亜酸化チタンとIr担持亜酸化チタンとを物理混合した比較例3の粉末、Irのみを担持した比較例4の粉末、Pt担持亜酸化チタンとイリジウムブラックとを物理混合した比較例5の粉末よりも燃料電池セルを構成した場合の電圧が高く、かつセル抵抗が低いことから、亜酸化チタン担体上にPtとIr、またはRuとを担持することに技術的意義があることがわかる。
また、実施例1、2、4の粉末は、比較例の粉末に比べて開放電圧と0.6Vを1000回切り替えた試験(耐久試験1)での電圧、1.7Vを4時間かけた試験(耐久試験2)での電圧がともに高く、通常電圧での耐久性および高電位への耐久性に共に優れることが確認された。
実施例3の粉末は、実施例1に対して、Pt担持量とIr担持量を合わせた総貴金属担持量が半分以下であるが、Ptのみが担持されており、総貴金属担持量が実施例3よりも僅かに多い比較例1よりも表面抵抗率が低く、燃料電池セルを構成した場合の開放電圧と0.6Vを1000回切り替えた試験(耐久試験1)での電圧、および1.7Vを4時間かけた試験(耐久試験2)での電圧がともに高く、通常電圧での耐久性および高電位への耐久性に共に優れることが確認された。
更に、実施例1〜5の粉末を用いて構成した水電解セルは、Ptのみを担持した比較例1の粉末を用いて構成した水電解セルに比べて低電圧で駆動しており、水電解活性に優れた粉末であることも確認された。
なお、市販の50重量%Pt担持カーボン(エヌイーケムキャット社製)の粉末を用いて、実施例と同様に燃料電池アノードを作製して1.7V、4時間後の電圧を測定すると0.37Vであり、水電解セルアノードを作製して電圧を測定すると1.56Vであった。この結果から、本発明の電極材料は、燃料電池や水電解セルの材料として、従来から使用されているカーボン系の電極材料よりも高電位への耐久性や水電解活性に優れた性能を有することも確認された。

Claims (7)

  1. 粉末X線回折においてTi、及び/又はTi由来のピーク以外のピークが認められない亜酸化チタン担体上に、
    Pt及び/又はその酸化物、
    およびIr、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物が担持された構造を有し、
    BET比表面積が5m/g以上、20m/g以下であることを特徴とする電極材料。
  2. 前記Pt及び/又はその酸化物、並びに、Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属及び/又はその酸化物は、平均一次粒子径が1〜20nmであることを特徴とする請求項1に記載の電極材料。
  3. 前記Ir、Ru、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属は、Ir及び/又はRuであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電極材料。
  4. 固体高分子形燃料電池の電極材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極材料。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電極材料から構成された電極。
  6. 請求項5に記載の電極を備えることを特徴とする燃料電池。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の電極材料から構成される水電解セル。
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