JP2017016853A - 電極用担体材料及びその製造方法 - Google Patents

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潤 内藤
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Abstract

【課題】高電位かつ強酸性環境にも充分に耐えることができ、高導電性で高比表面積と高いORR活性とを有する電極用担体材料及びこれを用いた電極材料を提供すること。また、このような電極用担体材料を簡便かつ容易に得るための製造方法を提供すること。
【解決手段】酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含み、細孔径のLog微分細孔容積分布から算出された、細孔径0〜190nmのピーク面積aと細孔径50nm以上の細孔のピーク面積bとの比(b/a)が、0.3以上である電極用担体材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極用担体材料及びその製造方法に関する。
燃料電池は、水素やアルコール等の燃料を酸素と電気化学的に反応させて電力を発生させる装置であり、電解質や作動温度等によって、固体高分子形(PEFC)、リン酸形(PAFC)、溶融炭酸塩形(MCFC)、固体酸化物形(SOFC)等に分けられる。このうち、例えば固体高分子形燃料電池は、電解質としてイオン伝導性を有する高分子膜(イオン交換膜)を用いる燃料電池であり、電極材料として、カーボン担体上に白金を担持した材料(Pt/C)が一般に使用されている。従来の電極材料については、例えば、特許文献1等に記載がある。
特開2012−17490号公報
上述のとおり電極材料としては、カーボン担体上に白金を担持した材料が一般に使用されている。だが、高電位で使用された場合等、白金によってカーボン担体の酸化反応(C+2HO→CO+4H+4e)が進行することがあるため、カーボン担体の腐食が課題となっている。これに加えて、電解質が高分子膜であり、電極が使用される環境がpH1以下の強酸性にあることから、担体材料には強酸性環境に対する耐性が要求される。だが、カーボンに代替可能で、かつ高電位及び強酸性環境に耐え得る担体材料は、これまでに見いだされていないのが現状である。
本発明は、上記現状に鑑み、高電位かつ強酸性環境にも充分に耐えることができ、高導電性で高比表面積と高いORR活性とを有する電極用担体材料及びこれを用いた電極材料を提供することを目的とする。本発明はまた、このような電極用担体材料を簡便かつ容易に得るための製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、電極用の担体材料について鋭意検討を進めるうち、酸化チタンは、高電位及び強酸性環境へでの耐性が高く、中でも酸素欠陥を持つ酸化チタンは、高い導電性(電子伝導性とも称す)を有するため、カーボンに代替し得る可能性があることに着目した。だが、酸素欠陥を持つ酸化チタンを得るには、酸素欠陥を持たない酸化チタンを還元焼成する必要があり、その還元焼成工程で粒子が凝集し比表面積が低下するため、白金を高分散に担持できないという課題がある他、電極の酸素還元反応活性(ORR活性ともいう)が低く、実用化されていない。
そこで、検討を重ねるうち、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含み、かつ所定の細孔分布を有する電極用担体材料であれば、高電位かつ強酸性環境にも充分に耐えることができ、高導電性、高比表面積及び高いORR活性を全て実現できることを見いだした。また、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含む電極用担体材料を得るには、酸素欠陥を持たないチタン化合物を1種以上用いて原料混合物を調製する調製工程と、該原料混合物を還元雰囲気下で焼成する焼成工程とを含むという製造方法を採用すると、容易かつ簡便に製造できることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
なお、本明細書中で述べられている「酸素欠陥を持たない酸化チタン」又は「酸素欠陥を持たないチタン化合物」とは、通常の市場で流通している酸化チタン又はチタン化合物を指すものであり、酸化チタンを例に挙げると、X線回折測定等の定性試験で「TiO」と称されるものをいう。
すなわち本発明は、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含み、細孔径のLog微分細孔容積分布から算出された、細孔径0〜190nmのピーク面積aと細孔径50〜190nmの細孔のピーク面積bとの比(b/a)が、0.3以上である電極用担体材料である。
上記酸素欠陥を持つ酸化チタンは、Ti2n−1(nは、2〜10の整数を表す。)で表される亜酸化チタンであることが好ましい。これにより、高いORR活性を有するという本発明の作用効果をより発揮することが可能になる。
上記電極用担体材料は、固体高分子形燃料電池の電極用担体材料であることが好ましい。
上記電極用担体材料は、下記の本発明の製造方法によって得られるものであることが好ましい。
本発明はまた、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含む電極用担体材料を製造する方法であって、該製造方法は、酸素欠陥を持たないチタン化合物を1種以上用いて原料混合物を調製する調製工程と、該原料混合物を還元雰囲気下で焼成する焼成工程とを含む、電極用担体材料の製造方法でもある。
上記チタン化合物の少なくとも1種は、比表面積が100m/g以上であるチタン化合物Aであることが好ましい。これにより、得られる電極用担体材料は高導電性で高比表面積と高いORR活性とを有することができる。
上記チタン化合物Aは、酸化チタン及び水酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらを用いると電極材料製造時に含まれる不純物が少なくなる他、容易に入手できるため、安定供給の点で優れている。また、酸化チタン及び水酸化チタンは、アナタース型構造を有することが好ましい。これにより、得られる電極用担体材料が高導電性でより高い比表面積を有するものとなる。
上記チタン化合物Aとして、酸化チタン及び水酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種と、溶媒とを含む分散体を用いることが好ましい。これにより、得られる電極用担体材料において、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとがより均一に分散した状態となり、導電性がより向上する。
上記チタン化合物は、上記チタン化合物Aとともに、上記チタン化合物Aとは異なるチタン化合物Bを含み、該チタン化合物Bは、酸素欠陥を持たないチタン化合物を大気雰囲気下にて400℃以上で1時間以上加熱して得られるチタン化合物であることが好ましい。
上記原料混合物は、更に、金属チタンを含むことが好ましい。金属チタンを更に含む原料混合物を焼成工程に供することで、効率よく酸素欠陥を持つ酸化チタンを与えることができるため、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含む電極用担体材料をより好適に製造することができる。
上記還元雰囲気下で行われる焼成工程は、焼成温度が400℃以上、1100℃以下であることが好ましい。これにより、得られる電極用担体材料はより導電性が向上し、高い比表面積を有するものとなる。
本発明は更に、上記電極用担体材料に白金を担持してなる電極材料でもある。
本発明の電極用担体材料は、高電位かつ強酸性環境にも充分に耐えることができ、高導電性で高比表面積と高いORR活性とを有するため、固体高分子形燃料電池、太陽電池、トランジスタ、液晶等の表示装置等の電極用担体材料として極めて有用である。本発明の製造方法は、このような電極用担体材料を容易かつ簡便に与えることができるため、工業的に極めて有利な技術といえる。また、本発明の電極用担体材料を用いた電極材料は、固体高分子形燃料電池等の燃料電池に好適に適用することができる。
図1は、試験例1で得た粉末の粉末X線回折パターンである。 図2は、試験例2で得た粉末の粉末X線回折パターンである。 図3は、試験例3で得た粉末の粉末X線回折パターンである。 図4は、試験例4で得た粉末の粉末X線回折パターンである。 図5は、試験例5で得た粉末の粉末X線回折パターンである。 図6は、体積固有抵抗の測定方法を説明するための図である。 図7は、試験例1で得た粉末のLog微分細孔容積分布グラフである。 図8は、試験例2で得た粉末のLog微分細孔容積分布グラフである。 図9は、試験例3で得た粉末のLog微分細孔容積分布グラフである。 図10は、試験例4で得た粉末のLog微分細孔容積分布グラフである。 図11は、試験例5で得た粉末のLog微分細孔容積分布グラフである。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
〔電極用担体材料〕
本発明の第一の態様である電極用担体材料についてまず説明する。
本発明の電極用担体材料は、細孔径のLog微分細孔容積分布から算出された、細孔径0〜190nmのピーク面積aと細孔径50〜190nmの細孔のピーク面積bとの比(b/a)が、0.3以上であるものである。すなわちこの比(細孔容積比とも称す)は、細孔径のLog微分細孔容積グラフにおいて、細孔径0〜190nmにおける曲線の総面積(ピーク面積)を1としたときの、細孔径50〜190nmの細孔の面積(ピーク面積)割合を意味する。この比が上記範囲にあると、高いORR活性を有するものとなる。b/aは、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.6以上、特に好ましくは0.8以上である。
本明細書中、細孔径のLog微分細孔容積分布から算出される細孔容積比(b/a)の測定方法は特に限定されず、後述の実施例に記載の手法のように、細孔径のLog微分細孔容積分布グラフを印刷し必要部分を切り取って重さを量る方法でもよいし、ピーク部分をマス目状に分割して該当する部分のマス数から算出する方法でもよい。
ここで、細孔容積比(b/a)を求めることができない材料(例えば、細孔径0〜190nmにピークがない、すなわち細孔径0〜190nmのピーク面積aが0であるために、b/aを算出できない材料等)は、本発明の電極用担体材料には該当しない。この点で、本発明の電極用担体材料は、細孔径のLog微分細孔容積分布における細孔径0〜190nmのピーク面積aが0を超えることが好ましい。
上記電極用担体材料は、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含む。これらはそれぞれ1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
なお、電極用担体材料中に含有される酸化チタンは、X線回折法にて同定することができる。詳しい同定方法は後述の実施例において説明する。
本明細書中、酸素欠陥とは、酸化物(すなわち酸化チタン)中の、酸素原子と酸素原子以外の原子とで構成される連続した結晶構造において、一部の酸素が脱離して生じた欠陥のことを意味する。
上記酸素欠陥を持つ酸化チタンは、Ti(m及びpは、同一又は異なって、0<p<2mの条件を満たす数である。)で表される亜酸化チタンであるが、中でも、Ti2n−1(nは、2〜10の整数を表す)で表される亜酸化チタンであることが好ましい。nは、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜7、更に好ましくは2〜4である。
上記酸素欠陥を持たない酸化チタンは特に限定されず、例えば、アナタース型構造、ルチル型構造又はブルッカイト型構造を有する酸化チタンが挙げられる。中でも、アナタース型構造を有する酸化チタンが好適である。これにより、電極用担体材料がより高い比表面積を有するものとなる。
上記電極用担体材料は、体積固有抵抗が10.0(Ω・cm)以下であることが好ましい。体積固有抵抗が低いほど導電性に優れることを意味する。より好ましくは5.0(Ω・cm)以下、更に好ましくは1.0(Ω・cm)以下である。
本明細書中、体積固有抵抗は、後述の実施例に記載の手法により求めることができる。
上記電極用担体材料はまた、比表面積が10m/g以上であることが好ましい。比表面積が10m/g以上であると、電極材料として実用的に使用できるレベルであるといえる。より好ましくは13m/g以上、更に好ましくは20m/g以上である。
本明細書中、比表面積(SSAとも称する)は、BET比表面積を意味する。
BET比表面積とは、比表面積の測定方法の一つであるBET法により得られた比表面積のことをいう。比表面積とは、ある物体の単位質量あたりの表面積のことをいう。
BET法は、窒素等の気体粒子を固体粒子に吸着させ、吸着した量から比表面積を測定する気体吸着法である。具体的には、圧力Pと吸着量Vとの関係からBET式によって、単分子吸着量を求めることにより、比表面積を定める。本明細書中の比表面積の詳しい測定方法は後述の実施例において説明する。
上記電極用担体材料はまた、ORR活性が、0.7Vvs.RHEで50A/gPt以上であることが好ましく、より好ましくは70A/gPt以上、更に好ましくは90A/gPt以上である。
本明細書中、ORR活性の値は、後述の実施例に記載のORR活性評価方法に従って求められる「質量活性」値に該当する。
上記電極用担体材料は、高電位かつ強酸性環境にも充分に耐えることができ、高導電性で高比表面積と高いORR活性とを有するため、燃料電池、太陽電池、トランジスタ、液晶等の表示装置の電極材料用途に好適に用いることができる。中でも、固体高分子形燃料電池(PEFC)用の電極材料用途に好適である。この場合、従来一般に使用されている電極材料(カーボン担体上に白金を担持したもの)における、カーボンの代替材料として特に有用である。
〔電極用担体材料の製造方法〕
次に本発明の第二の態様である電極用担体材料の製造方法について説明する。
本発明の電極用担体材料の製造方法は、酸素欠陥を持たないチタン化合物を1種以上用いて原料混合物を調製する調製工程と、該原料混合物を還元雰囲気下で焼成する焼成工程とを含む。このような製造方法により、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含む電極用担体材料を容易かつ簡便に製造することができる。なお、製造が容易かつ簡便である観点から、本発明の第一の態様である電極用担体材料は、このような本発明の製造方法によって得られるものであることが好適である。
以下、各工程について更に説明する。
<調製工程>
調製工程は、酸素欠陥を持たないチタン化合物を1種以上用いて原料混合物を調製する工程である。この工程では、各原料が均一状態になるように混合することが好ましい。また、調製時の温度は特に限定されないが、例えば、5〜35℃とすることが好ましい。
上記酸素欠陥を持たないチタン化合物としては、例えば、酸化チタン、水酸化チタン、炭酸チタン、炭化チタン、窒化チタン、フッ化チタン、リン化チタン、硫化チタン、珪化チタン、水素化チタン、ホウ化チタン、ヨウ化チタン(四)塩化チタン、硫酸チタン硝酸チタン等の無機チタン化合物や、酢酸チタン、テトライソプロピルチタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタニルアンモニウム等の有機チタン化合物が挙げられる。
1)チタン化合物A
上記調製工程には、酸素欠陥を持たないチタン化合物を1種以上用いる。このチタン化合物のうち少なくとも1種は、比表面積が100m/g以上であるチタン化合物(これを「チタン化合物A」とも称す。)であることが好ましい。これにより、得られる電極用担体材料は高導電性で高比表面積と高いORR活性とを有することができる。チタン化合物Aの比表面積は、好ましくは150m/g以上、より好ましくは200m/g以上、更に好ましくは250m/g以上である。また、上限は特に限定されないが、例えば、500m/g以下が好ましい。
上記チタン化合物Aは、酸化チタン及び水酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらを用いると電極材料製造時に含まれる不純物が少なくなり、また容易に入手できることから安定供給の点で優れている。酸化チタン及び水酸化チタンとしては特に限定されず、例えば、アナタース型構造、ルチル型構造又はブルッカイト型構造を有するものが挙げられる。中でも、アナタース型構造を有するものが好適である。これにより、電極用担体材料が高導電性でより高い比表面積を有するものとなる。
本発明では、上記チタン化合物Aとして、酸化チタン及び水酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種と、溶媒とを含む分散体を用いることが好適である。これにより、得られる電極用担体材料において、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとがより均一に分散した状態となり、導電性がより向上する。
上記水酸化チタンは、化学式としてTiO・rHO(0<r≦2)で表されるものが好ましい。なお、酸化チタンに結晶水としてあるいは表面付着水等としてHOが含まれるものも、前記化学式として表され得るが、本発明で使用することが好ましい水酸化チタンには該当しないものとする。
上記溶媒としては特に限定されず、水、酸性溶媒、有機溶媒及びこれらの混合物が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価の水溶性アルコール;エチレングリコール、グリセリン等の2価以上の水溶性アルコール;等が挙げられる。溶媒として好ましくは水であり、より好ましくはイオン交換水である。
上記分散体は、酸、アルカリ、キレート化合物、有機分散剤、高分子分散剤等の添加剤を含んでもよい。これらの添加剤を含むことにより、分散体に含まれる酸化チタン及び/又は水酸化チタンの分散性向上が期待される。
上記溶媒の含有量は特に限定されないが、例えば、酸化チタン及び/又は水酸化チタンの固形分量(2種以上用いる場合はその固形分総量)100重量部に対して、100〜10000重量部とすることが好ましい。これにより、電極用担体材料をより簡便に得ることができる。より好ましくは500〜9000重量部、更に好ましくは1000〜7000重量部である。
2)チタン化合物B
上記調製工程では、チタン化合物Aのみを使用することも好適であるが、チタン化合物Aに加えて、チタン化合物A以外の酸素欠陥を持たないチタン化合物を併用することも好適である。このチタン化合物のうち少なくとも1種は、酸素欠陥を持たないチタン化合物を大気雰囲気下にて400℃以上で1時間以上加熱して得られるチタン化合物(これを「チタン化合物B」とも称す。)であることが好ましい。
上記チタン化合物Bは、酸素欠陥を有さず、かつ上記条件下での加熱処理を経たものであれば特に限定されず、例えば、通常の市場で流通しているチタン化合物(すなわち酸素欠陥を持たないチタン化合物)を上記条件下で加熱して得られるものであればよい。具体的には、例えば、酸化チタン及び水酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種を大気雰囲気下にて400℃以上で1時間以上加熱して得られる化合物が好ましい。酸化チタン及び水酸化チタンは、特に限定されず、例えば、アナタース型構造、ルチル型構造又はブルッカイト型構造を有するものが挙げられる。中でも、アナタース型構造を有するものが好適である。
上記チタン化合物Aとチタン化合物Bとの重量比(A/B;固形分量)は特に限定されないが、例えば、10〜100/0〜90であることが好ましい。より好ましくは30〜100/0〜70である。
上記原料混合物には金属チタンを加えることが好ましい。すなわち上記原料混合物は、更に、金属チタンを含むことが好ましい。金属チタンを加えることによって、効率よく酸素欠陥を持つ酸化チタンを製造することができる。上記原料混合物として特に好ましくは、チタン化合物Aとチタン化合物Bと金属チタンとを含むことである。このとき、チタン化合物Aとチタン化合物Bとの総量100重量部に対し、金属チタンを5〜50重量部加えることが好ましい。
上記調製工程にはまた、本発明の効果を損なわない範囲でその他の任意成分を併用してもよい。各原料は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。例えば、周期表第1〜第15族に属する元素の、酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩等が挙げられる。
<焼成工程>
続いて、焼成工程について説明する。
焼成工程では、上記調製工程で得た原料混合物を還元雰囲気下で焼成する。焼成工程では、原料混合物をそのまま焼成してもよいし、原料混合物が溶媒を含む場合は、脱溶媒を行った後に焼成してもよい。また、後述するように、原料混合物に白金化合物を混合した後、焼成してもよい。
上記焼成工程は還元雰囲気下で行われる。還元雰囲気としては特に限定されず、水素(H)雰囲気、一酸化炭素(CO)雰囲気、水素と不活性ガスとの混合ガス雰囲気等が挙げられる。中でも、効率よく酸素欠陥を持つチタン化合物を製造できることから、水素ガス雰囲気であることが好ましい。また、還元助剤を用いてもよい。
上記焼成工程は1回だけ行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行う場合も、いずれの工程も還元雰囲気(好ましくは水素ガス雰囲気)下で行うことが好ましい。
上記焼成工程における焼成温度は、原料の反応に充分な温度であればよく、水素の濃度等の還元雰囲気の条件にもよるが、400℃以上、1100℃以下であることが好ましい。これにより、得られる電極用担体材料の比表面積と導電性がより向上する。焼成温度が400℃未満では、酸素欠陥を持つチタン化合物が充分に生成しないため導電性がより発現せず、焼成温度が1100℃を超えると、凝集が進み、比表面積を高めることができないおそれがある。焼成温度の下限は、より好ましくは500℃以上、更に好ましくは600℃以上であり、また、上限は、より好ましくは1050℃以下、更に好ましくは1000℃以下、特に好ましくは950℃以下である。
本明細書中、焼成工程における焼成温度とは、焼成工程での最高到達温度を意味する。
上記焼成温度での保持時間は、原料の反応に充分な時間であればよく、水素の濃度等の還元雰囲気の条件にもよるが、例えば、5分〜100時間であることが好ましい。保持時間がこの範囲内であると、反応がより充分に進み、生産性にも優れる。より好ましくは30分〜22時間、更に好ましくは60分〜10時間である。
特に水素雰囲気下では、600〜900℃で3〜6時間保持することが好ましい。なお、焼成終了後に降温する場合は、水素以外のガス(例えば、窒素ガス)を、混合又は置換して行ってもよい。
<他の工程>
上記製造方法では、上記調製工程及び焼成工程に加え、必要に応じて粉砕、水洗、分級等の1又は2以上のその他の工程を含んでもよい。その他の工程は特に限定されない。
上述のようにして、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含む電極用担体材料を容易かつ簡便に製造することができる。得られた電極用担体材料は、高電位かつ強酸性環境にも充分に耐えることができ、高導電性で高比表面積と高いORR活性とを有するため、固体高分子形燃料電池等の電極用担体材料として極めて有用である。
〔電極材料〕
本発明では、上述した電極用担体材料に白金を担持することが好ましい。これにより、高電位かつ強酸性環境にも充分に耐えることができ、より高導電性で高いORR活性を有する電極材料を得ることができる。このように本発明の電極用担体材料に白金を担持してなる電極材料もまた、本発明の1つである。
白金(Pt)を担持させる工程(「白金担持工程」と称す。)は、例えば、上述した本発明の製造方法を採用する場合、焼成工程の後に行ってもよいし、焼成工程の前に行ってもよい。具体的には、焼成工程の前又は後で、白金化合物を含む含浸溶液を混合させる工程を行うことが好ましい。例えば、焼成工程の前に行う場合は、上記原料混合物と白金化合物を含む含浸溶液とを混合し、該液分を加熱下で蒸発させることが好ましい。蒸発させる際の加熱温度は、50℃以上とすることが好ましい。より好ましくは90〜100℃である。焼成工程の後に行う場合は、焼成物と白金化合物を含む含浸溶液とを混合し、該液分を加熱下で蒸発させることが好ましい。この場合の好ましい温度は、前述の通りである。焼成工程の後に行う場合は、得られた乾燥粉末を、500〜900℃の還元雰囲気下で更に焼成することが好ましい。
上記白金化合物は、白金元素を含むものであれば特に限定されず、1種又は2種以上を使用することができる。例えば、白金の硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩等の無機塩、あるいは、酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩等が挙げられ、塩化物水溶液、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸水溶液等の水溶液として使用することが好ましい。より好ましくは、塩化白金酸水溶液、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液であり、更に好ましくは、反応性の観点から、塩化白金酸水溶液である。
上記白金化合物の使用量は特に限定されないが、例えば、白金元素換算で、使用される全チタン化合物の固形分総量100重量部に対して、0.01〜50重量部とすることが好ましい。これにより、白金をより微細に分散させることができる。より好ましくは0.1〜40重量部、更に好ましくは10〜30重量部である。
上記電極材料は、体積固有抵抗が10.0(Ω・cm)以下であることが好ましい。体積固有抵抗が低いほど導電性に優れることを意味する。より好ましくは5.0(Ω・cm)以下、更に好ましくは1.0(Ω・cm)以下である。
上記電極材料はまた、比表面積が10m/g以上であることが好ましい。より好ましくは13m/g以上、更に好ましくは20m/g以上である。
上記電極材料はまた、ORR活性が0.7Vvs.RHEで50A/gPt以上であることが好ましく、より好ましくは70A/gPt以上、更に好ましくは90A/gPt以上である。
〔固体高分子形燃料電池〕
本発明の電極用担体材料、及び、本発明の製造方法で得られる電極用担体材料は、燃料電池用の電極材料用途に好適に用いることができる。中でも、固体高分子形燃料電池(PEFC)用の電極材料用途に特に好適である。特に、従来一般に使用されている電極材料(カーボン担体上に白金を担持したもの)における、カーボンの代替材料として有用である。このような電極材料は、正極(空気極とも称す)、負極(燃料極とも称す)のいずれにも好適であり、また、カソード(陽極)、アノード(陰極)のいずれにも好適である。本発明の電極用担体材料、又は、本発明の製造方法で得られる電極用担体材料を用いた固体高分子形燃料電池もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」とは「重量%(質量%)」を意味する。
試験例1
SSP−25(商品名、堺化学工業社製、アナタース型酸化チタン)5.0gを、箱型焼成炉にて、大気雰囲気で700℃まで7時間かけて昇温し、700℃で3時間保持した後、室温まで冷却してチタン化合物Bである酸化チタン粉末を得た。
チタン化合物AとしてCSB(商品名、堺化学工業社製、固形分30%酸化チタンゾル、比表面積:280m/g)7.10gと、イオン交換水60gをビーカーに計量して撹拌混合した。酸化チタンスラリーを攪拌しながら、更に、酸化チタン粉末を2.13g加え、二種類の酸化チタンを含むスラリー(酸化チタンスラリー)を得た。
別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(15.134%Pt、田中貴金属工業社製)4.96gをイオン交換水80gで希釈したものを準備した。酸化チタンスラリーを攪拌しながら、塩化白金酸水溶液を室温で添加し、その後100℃に加熱して水分を全て蒸発させ、粉末5.00gを得た。
得られた粉末1.00gと、還元助剤として板状カーボン(日本るつぼ社製)4.20g、チタン粉末(和光純薬社製)0.10gをアルミナボートに入れ、開閉形管状炉SARF−50K(島津理化社製)を用いて、100%Hガスを流量200ml/min下で、700℃まで94分かけて昇温し、700℃で6時間保持した後、100%Nで室温まで冷却した。上記熱処理したアルミナボートから板状カーボンを除去して粉末1を得た。
試験例2
チタン化合物AとしてCSB(商品名、堺化学工業社製、固形分30%酸化チタンゾル、比表面積:280m/g)14.17gと、イオン交換水60gをビーカーに計量して撹拌混合し、酸化チタンスラリーを得た。
別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(15.134%Pt、田中貴金属工業社製)4.96gをイオン交換水80gで希釈したものを準備した。酸化チタンスラリーを攪拌しながら、塩化白金酸水溶液を室温で添加し、その後100℃に加熱して水分を全て蒸発させ、粉末5.00gを得た。
得られた粉末1.00gと、還元助剤としてチタン粉末(和光純薬社製)0.30gをアルミナボートに入れ、開閉形管状炉SARF−50K(島津理化社製)を用いて、100%Hガスを流量200ml/min下で、700℃まで94分かけて昇温し、700℃で6時間保持した後、100%Nガスを流量200ml/min下で室温まで冷却して粉末2を得た。
試験例3
チタン化合物としてCS−41M(商品名、堺化学工業社製、比表面積:85m/g、酸素欠陥を持たない酸化チタン)4.25gと、イオン交換水80gをビーカーに計量して攪拌混合し、酸化チタンスラリーを得た。
別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(15.134%Pt、田中貴金属工業社製)4.96gを、イオン交換水80gで希釈したものを準備した。酸化チタンスラリーを攪拌しながら、塩化白金酸水溶液を室温で添加し、その後100℃に加熱して水分を全て蒸発させ、粉末5.00gを得た。得られた粉末0.50gと、亜酸化チタン粉末(組成:Ti、Atraverda社製、比表面積:0.8m/g)0.50gを乳鉢で混合して粉末を得た。
得られた粉末1.00gと、還元助剤として板状カーボン(日本るつぼ社製)4.20gをアルミナボートに入れ、開閉形管状炉SARF−50K(島津理化社製)を用いて、50%H/Nガスを流量200ml/min下で、900℃まで2時間かけて昇温後、900℃で6時間保持した後、100%Nガスを流量200ml/min下で室温まで冷却した。冷却後、板状カーボンを除去して粉末3を得た。
試験例4
チタン化合物としてCS−41M(商品名、堺化学工業社製、比表面積:85m/g、酸素欠陥を持たない酸化チタン)4.25gと、イオン交換水80gをビーカーに計量して攪拌混合し、酸化チタンスラリーを得た。
別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(15.134%Pt、田中貴金属工業社製)4.96gを、イオン交換水80gで希釈したものを準備した。酸化チタンスラリーを攪拌しながら、塩化白金酸水溶液を室温で添加し、その後100℃に加熱して水分を全て蒸発させ、粉末5.00gを得た。
アルミナボートに、得られた粉末1.00gと、還元助剤として板状カーボン(日本るつぼ社製)4.20gを計量し、開閉形管状炉SARF−50K(島津理化社製)を用いて、50%H/Nガスを流量200ml/min下で、900℃まで2時間かけて昇温後、900℃で3時間保持した後、100%Nガスを流量200ml/min下で室温まで冷却した。冷却後アルミナボートから板状カーボンを除去して粉末4を得た。
試験例5
亜酸化チタン粉末(組成:Ti、Atraverda社製、比表面積:0.8m/g)4.25gと、イオン交換水80gをビーカーに計量して撹拌混合し、亜酸化チタンスラリーを得た。
別のビーカーにて塩化白金酸水溶液(15.134%Pt、田中貴金属工業社製)4.96gを、イオン交換水80gで希釈したものを準備した。亜酸化チタンスラリーを撹拌しながら塩化白金酸水溶液を室温で添加し、その後100℃に加熱して水分を全て蒸発させ、粉末5.00gを得た。
得られた粉末1.00gをアルミナボートに入れ、開閉形管状炉SARF−50K(島津理化社製)を用いて、50%H/Nガスを流量200ml/min下で、900℃まで2時間かけて昇温後、900℃で1時間保持した後、100%Nガスを流量200ml/min下で室温まで冷却して粉末5を得た。
<物性評価>
以下の手順により、得られた各粉末の物性等を評価した。
1、ORR(酸素還元)活性評価
白金担持チタン化合物に、5重量%パーフルオロスルホン酸樹脂溶液(アルドリッチ社製)、イソプロピルアルコール(和光純薬社製)と、イオン交換水を加え、超音波により分散させてペーストを調製した。
ペーストを回転グラッシーカーボンディスク電極に塗布し、充分に乾燥した。乾燥後の回転電極を作用極とし、可逆水素電極(RHE)を参照極として、白金電極を対極とした。0.1mol/l過塩素酸水溶液を電解液とし、その電解液に酸素を30分間バブリングした後、掃引速度5mV/s、1.2Vから0Vまで掃引して電極を回転させて電気化学測定を行った。電圧が0.7V及び0.8Vvs.RHEのときの還元電流値を求め、酸素還元活性値を電極に塗布した白金担持チタン化合物中の白金重量で除して、白金1グラムあたりの質量活性とした。
2、X線回折パターン
下記条件の下、X線回折装置(リガク社製、RINT−TTR3)を用いて、粉末X線回折パターンを測定した。結果を図1〜5に示す。
X線源:Cu−Kα線
測定範囲:2θ=10〜70℃
スキャンスピード:5℃/min
電圧:50kV
電流:300mA
図1〜5において、下に示す各化合物等のピークを参照することにより、各試験例で得た粉末(粉体とも称す)は、以下の主要構造からなることが分かった。
試験例1で得た粉末:アナタース型TiO、Ti、Ti及びTiを主に含む(図1)。
試験例2で得た粉末:アナタース型TiO及びTiを主に含む(図2)。
試験例3で得た粉末:アナタース型TiO及びTiを主に含む(図3)。
試験例4で得た粉末:アナタース型TiOを主に含み、酸素欠陥を持つ酸化チタン(マグネリ等)は確認されない(図4)。
試験例5で得た粉末:Tiを主に含み、酸素欠陥を持たない酸化チタンは確認されない(図5)。
3、比表面積(BET−SSA)
下記条件の下、比表面積測定装置(マウンテック社製、Macsorb HM−1220)を用いて、比表面積(BET−SSA)を測定した。結果を表1に示す。
比表面積はJIS Z8830(2013年)の規定に準じ、試料を窒素雰囲気中、200℃で60分間熱処理し、測定した。
4、体積固有抵抗
以下の手順に従い、体積固有抵抗(Ω・cm)の値を求めた。結果を表1に示す。
1)まず図6に示されるように、直径20mmの金型と内径20mmの塩ビケースの中に、サンプル粉末を投入する。この際、粉体面積を求める。
2)次に、ハンドプレスを用いて、9.8MPaまで加圧する。
3)加圧前後のL長の差分を、ノギスを用いて測定し、サンプルの厚さとする。
4)サンプル上下の金型間の抵抗(Ω)を、テスター(日置電機社製、RESITTANCE HiTESTER3541)で測定する。
5)上記4)で求めたテスターでの測定抵抗値、上記1)で求めた粉体面積、及び、上記3)で求めたサンプル(粉体)の厚みから、下記数式(1)に基づき、体積固有抵抗(Ω・cm)を求める。
Figure 2017016853
5、Log微分細孔分布
測定サンプル(各粉末)を200℃、1.0×10−2kPaの減圧条件にて10時間保持した後、BEL−SORP mini II(日本ベル社製)を用いて、N吸着法によって差分細孔容積分布を測定した。
測定した差分細孔容積分布から、差分細孔容積を細孔径の対数扱いの差分値で割ってLog微分細孔容積を求め、これを各区間の平均細孔径に対してプロットすることで図7〜11のとおりLog微分細孔容積分布を作成した。
上記のように作成したグラフを三菱製紙社製PPC用紙−RJ:1枚に印刷し、印刷物から必要なピーク部分を切り取って重さを量る方法で面積比(すなわち、細孔径0〜190nmのピーク面積aと細孔径50〜190nmの細孔のピーク面積bとの比(b/a))を算出した。結果を、表1中の「細孔容積比」欄に示す。
Figure 2017016853
以上の結果より、以下のことを確認した。
試験例4で得た粉末は、酸素欠陥を持つ酸化チタンを含まないものであり(図4、表1参照)、試験例5で得た粉末は、酸素欠陥を持たない酸化チタンを含まず、かつ、細孔径0〜190nmにピークがなく、細孔径0〜190nmのピーク面積aが0であるために、細孔容積比(b/a)を算出できないものである(図5、図11、表1参照)。これに対し、試験例1〜3で得た粉末は、酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含み、細孔容積比(b/a)が0.3以上となる点で、試験例4、5で得た粉末と相違する(図1〜3、表1参照)。このような相違の下、ORR活性を示す質量活性を対比すると、表1より、試験例4、5で得た粉末に対し、試験例1〜3で得た粉末は、質量活性が著しく高いことが分かる。試験例1〜3で得た粉末の中でも、試験例1、2で得た粉末は、本発明の製造方法により製造されたものであるが、試験例3で得た粉末に比較してORR活性を示す質量活性が更に飛躍的に向上されており、しかも体積固有抵抗が低い、すなわち導電性にも優れ、比表面積も充分なレベルにあることが分かる(表1参照)。
したがって、本発明の電極用担体材料及び電極材料は、高導電性、高比表面積及び高いORR活性を全て実現できること、及び、本発明の製造方法により、このような電極用担体材料及び電極材料を容易かつ簡便に製造できること、が分かった。

Claims (13)

  1. 酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含み、
    細孔径のLog微分細孔容積分布から算出された、細孔径0〜190nmのピーク面積aと細孔径50〜190nmの細孔のピーク面積bとの比(b/a)が、0.3以上であることを特徴とする電極用担体材料。
  2. 前記酸素欠陥を持つ酸化チタンは、Ti2n−1(nは、2〜10の整数を表す。)で表される亜酸化チタンであることを特徴とする請求項1に記載の電極用担体材料。
  3. 固体高分子形燃料電池の電極用担体材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電極用担体材料。
  4. 酸素欠陥を持つ酸化チタンと酸素欠陥を持たない酸化チタンとを含む電極用担体材料を製造する方法であって、
    該製造方法は、酸素欠陥を持たないチタン化合物を1種以上用いて原料混合物を調製する調製工程と、
    該原料混合物を還元雰囲気下で焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする電極用担体材料の製造方法。
  5. 前記チタン化合物の少なくとも1種は、比表面積が100m/g以上であるチタン化合物Aであることを特徴とする請求項4に記載の電極用担体材料の製造方法。
  6. 前記チタン化合物Aは、酸化チタン及び水酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の電極用担体材料の製造方法。
  7. 前記酸化チタン及び水酸化チタンは、アナタース型構造を有することを特徴とする請求項6に記載の電極用担体材料の製造方法。
  8. 前記チタン化合物Aとして、酸化チタン及び水酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種と、溶媒とを含む分散体を用いることを特徴とする請求項6又は7に記載の電極用担体材料の製造方法。
  9. 前記チタン化合物は、前記チタン化合物Aとともに、前記チタン化合物Aとは異なるチタン化合物Bを含み、
    該チタン化合物Bは、酸素欠陥を持たないチタン化合物を大気雰囲気下にて400℃以上で1時間以上加熱して得られるチタン化合物であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電極用担体材料の製造方法。
  10. 前記原料混合物は、更に、金属チタンを含む
    ことを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の電極用担体材料の製造方法。
  11. 前記還元雰囲気下で行われる焼成工程は、焼成温度が400℃以上、1100℃以下であることを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の電極用担体材料の製造方法。
  12. 請求項4〜11のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする請求項1〜3に記載の電極用担体材料。
  13. 請求項1、2、3又は12に記載の電極用担体材料に白金を担持してなることを特徴とする電極材料。
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