次に、本発明の打込機に含まれるいくつかの実施形態のうち、代表的な打込機を図面を参照して説明する。
(実施形態1) 打込機の実施形態1を、図1乃至図7を参照して説明する。打込機10は、ハウジング11、シリンダ12、打撃部13、トリガ14、射出部15及びプッシュレバー16を有する。また、打込機10に取り付けられるマガジン17が設けられている。ハウジング11は、筒形状の胴部18と、胴部18に固定したヘッドカバー19と、胴部18に接続されたハンドル20と、を有する。
蓄圧室21が、ハンドル20の内部、胴部18の内部及びヘッドカバー19の内部に亘って形成されている。エアホースがハンドル20に接続される。圧縮気体としての圧縮空気は、エアホースを通って蓄圧室21内に供給される。シリンダ12は、一例として、胴部18及びヘッドカバー19内に設けられている。シリンダ12は、中心線A1に沿った方向に移動しないように設けられている。
ストッパ22がヘッドカバー19に取り付けられている。ストッパ22は一例として合成ゴム製である。排気路23が、ストッパ22とヘッドカバー19との間に形成されている。排気路23は、ハウジング11の外部B1につながっている。ヘッドバルブ24が、ヘッドカバー19内に設けられている。ヘッドバルブ24は、合成ゴム製であり、ヘッドバルブ24は、シリンダ12の中心線A1に沿った方向に移動可能である。ヘッドバルブ24は環状であり、ヘッドバルブ24は、シールリップ25及びスリーブ26を有する。シールリップ25は、ヘッドバルブ24の外周面に形成されている。ヘッドバルブ24とヘッドカバー19との間にヘッドバルブ室27が形成され、シールリップ25は、ヘッドバルブ室27を気密にシールしている。ヘッドバルブ24は、蓄圧室21の圧力でシリンダ12から離間する向きで付勢される。
付勢部材28が、ストッパ22とヘッドバルブ24との間に設けられている。付勢部材28は、一例として、金属製の圧縮スプリングである。付勢部材28は、中心線A1に沿った方向において、ヘッドバルブ24をシリンダ12に近付ける向きで付勢する。
打撃部13は、ピストン29と、ピストン29に固定されたドライバブレード30と、を有する。ピストン29は、シリンダ12内に配置されている。打撃部13は、中心線A1に沿って第1の向きE1及び第2の向きE2で作動可能、つまり、直動可能である。第2の向きE2は、第1の向きE1とは逆である。第1の向きE1は、図1で下降と定義可能である。第2の向きE2は、図1で上昇と定義可能である。ピストン29の外周面にシール部材31が取り付けられている。
ピストン上室32が、シリンダ12内でヘッドバルブ24とピストン29との間に形成される。ヘッドバルブ24が、図1のように付勢部材28の力でシリンダ12の端部に押し付けられて、ヘッドバルブ24が、ピストン上室32と蓄圧室21とを遮断する。また、スリーブ26がピストン上室32と排気路23とを接続する。
ヘッドバルブ24が、図3のようにシリンダ12の端部から離間すると、ヘッドバルブ24が、ピストン上室32と蓄圧室21とを接続する。また、スリーブ26がピストン上室32と排気路23とを接続する。
図2のように、射出部15は胴部18に固定されている。射出部15は、シリンダ12における中心線A1に沿った方向の端部に接触している。環状のバンパ33が、シリンダ12内に設けられている。バンパ33の一部は、射出部15に接触している。バンパ33は、合成ゴム製、または、シリコンゴム製である。バンパ33は軸孔34を有し、ドライバブレード30は軸孔34内で中心線A1に沿った方向に移動可能である。シリンダ12内において、ピストン29とバンパ33との間にピストン下室35が形成されている。シール部材31は、ピストン下室35とピストン上室32とを気密に隔てる。
隔壁36が胴部18内に設けられている。隔壁36は環状である。隔壁36は、シリンダ12の外周を囲むように配置されている。シリンダ12を径方向に貫通する通路37,38が設けられている。通路37,38は、中心線A1に沿った方向で隔壁36と射出部15との間に配置されている。通路37,38は、シリンダ12の円周方向に間隔をおいてそれぞれ複数設けられている。
通路37は、中心線A1に沿った方向で隔壁36と射出部15との間に配置されている。通路38は、中心線A1に沿った方向で、通路37と射出部15との間に配置されている。スリーブ39が胴部18内に設けられている。スリーブ39は、胴部18とシリンダ12との間に配置され、かつ、スリーブ39はシリンダ12と同心状に配置されている。スリーブ39は、胴部18及びシリンダ12に対して中心線A1に沿った方向に作動可能である。
通路40が、スリーブ39とシリンダ12との間に形成されている。通路40は、シリンダ12の径方向でシリンダ12の外に、環状に形成されている。スリーブ39とシリンダ12との間にシール部材41,42が設けられ、シール部材41,42は通路40を気密にシールする。付勢部材43が通路40に設けられている。付勢部材43は、一例として、金属製の圧縮スプリングである。付勢部材43は、中心線A1に沿った方向において、スリーブ39を射出部15に近付ける向きで付勢する。
制御室44及び制御室45が胴部18内に形成されている。制御室44は、胴部18とシリンダ12との間に形成されている。隔壁36は、制御室44と蓄圧室21とを隔てている。圧縮空気が制御室44に供給される。圧縮空気が制御室44に供給されると、スリーブ39は、中心線A1に沿った方向で射出部15に近づく向きで付勢される。
図4のように、制御室45は、胴部18とシリンダ12との間に形成されている。制御室45は、中心線A1に沿った方向で、射出部15とスリーブ39との間に配置されている。胴部18に通路46が設けられ、通路46は、蓄圧室21と制御室45とを、常時接続している。エアホースを介して蓄圧室21に供給される圧縮空気の一部は、通路46を通って制御室45に流れ込む。スリーブ39は、制御室45の圧力で射出部15から離間する向きで付勢される。
通路47がスリーブ39を径方向に貫通して設けられている。通路47は、スリーブ39の円周方向に間隔をおいて複数設けられている。排気室48が胴部18とスリーブ39との間に設けられている。排気路80が、胴部18を貫通して設けられている。排気路80は、排気室48と外部B1とを常時つないでいる。排気路80は、胴部18の全周に間隔をおいて複数設けられている。スリーブ39が中心線A1に沿った方向に作動すると、ピストン下室35が、通路40または外部B1の何れかに接続される。
シリンダ12の外周面に弁49が取り付けられている。弁49は、合成ゴム製のリングであり、シリンダ12の径方向に弾性変形可能である。弁49が、通路37の空気圧で開くと、シリンダ12内の空気は、通路37を通って通路40に流れ込む。弁49が閉じると、弁49は、通路40の空気がシリンダ12内に流れ込むことを阻止する。弁49は、逆止弁と定義可能である。
図2のように、トリガ14は、ハウジング11に取り付けられている。トリガ14は、ハウジング11に対して支持軸50を中心として、所定角度の範囲内で回転可能である。アーム51がトリガ14に取り付けられている。アーム51はトリガ14に対して支持軸52を中心として作動可能である。
図1のように、トリガバルブ53が、胴部18とハンドル20との接続箇所に設けられている。トリガバルブ53は、プランジャ54、ボディ55、弁体56及び付勢部材57を有する。ボディ55及び弁体56は、共に筒形状であり、ボディ55及び弁体56は、共に中心線A2を中心として同心状に配置されている。弁体56はボディ55内に配置され、弁体56はボディ55に対して中心線A2に沿った方向に作動可能である。
プランジャ54は、弁体56内に配置されている。ボディ55は通路58を有する。通路59が、ハウジング11に設けられている。通路58は、通路59を介してヘッドバルブ室27に接続されている。また、通路58は、制御室44に接続されている。さらに、排気路60が、ボディ55と弁体56との間に設けられている。排気路60は、外部B1につながっている。付勢部材57は、一例として圧縮スプリングであり、付勢部材57は、プランジャ54を中心線A2方向でアーム51に近付ける向きで付勢している。
射出部15は、筒部61と、筒部61の外周面に接続されたフランジ81と、を有する。フランジ81は、胴部18に対して固定要素により固定されている。筒部61は、射出路62を有する。射出路62内に中心線A1が位置し、ドライバブレード30は射出路62内で中心線A1に沿った方向に移動可能である。筒部61の内面がドライバブレード30の外周面に接触し、ピストン下室35内の空気が射出路62へ漏れることを防ぐ。
マガジン17は、射出部15に固定されている。マガジン17は釘63を収容する。マガジン17は、フィーダ64を有し、フィーダ64はマガジン17内の釘63を射出路62に送る。
プッシュレバー16は、射出部15に対して中心線A1に沿った方向に所定の範囲で作動可能である。軸部材65が、プッシュレバー16に対して動力伝達可能に接続されている。プッシュレバー16の作動力が軸部材65に伝達される。軸部材65は、付勢部材66によりアーム51から離れる向きで付勢されている。付勢部材66は、一例として圧縮スプリングである。
次に、打込機10を用いて、釘63を相手材67に打ち込む例を説明する。トリガ14に対する操作力の解除、または、プッシュレバー16が相手材67から離間していること、のうち少なくとも一方が行われている場合は、打込機10のトリガバルブ53、ヘッドバルブ24は、それぞれ初期状態にある。また、打撃部13は待機位置で停止している。
トリガバルブ53は、弁体56が蓄圧室21と通路58とを接続し、かつ、通路58と排気路60とを遮断している。蓄圧室21の圧縮空気がヘッドバルブ室27に供給されている。ヘッドバルブ24は、付勢部材28の付勢力及びヘッドバルブ室27の圧力でシリンダ12の端部に押し付けられている。ヘッドバルブ24は、ピストン上室32と蓄圧室21とを遮断している。また、ヘッドバルブ24は、ピストン上室32と外部B1とを接続している。ピストン上室32の圧力は大気圧であり、ピストン29は、ピストン下室35の圧力で付勢されてヘッドバルブ24に接触している。このため、打撃部13は待機位置、つまり、上死点で停止している。
蓄圧室21の圧縮空気の一部は、通路58を通って制御室44に供給されている。蓄圧室21の圧縮空気の一部は、通路46を通って制御室45に供給されている。スリーブ39は、図2のように、付勢部材43の付勢力、制御室44の圧力、及び制御室45の圧力を受ける。スリーブ39は、制御室44における受圧面積と、制御室45における受圧面積との差に応じた付勢力、及び付勢部材43の付勢力によってフランジ81に押し付けられ、スリーブ39は待機位置で停止している。スリーブ39が待機位置にあると、スリーブ39は、ピストン下室35と通路40とを通路38を介して接続し、かつ、ピストン下室35と外部B1とを遮断する。
次に、使用者がトリガ14に操作力を加え、かつ、プッシュレバー16を相手材77に押し付けると、トリガ14及びプッシュレバー16の作動力が、プランジャ54に伝達される。プランジャ54は、付勢部材57の付勢力に抗して作動し、トリガバルブ53は初期状態から作動状態に切り替わる。トリガバルブ53が作動状態になると、弁体56が蓄圧室21と通路58とを遮断し、かつ、弁体56が通路58と排気路60とを接続する。
このため、ヘッドバルブ室27の圧縮空気は、通路59及び排気路60を通って外部B1に排気される。ヘッドバルブ24は蓄圧室21の圧力で付勢部材28の付勢力に抗して作動する。このため、ヘッドバルブ24は、図3のようにピストン上室32と蓄圧室21とを接続し、かつ、ピストン上室32と排気路23とを遮断する。
すると、ピストン上室32の圧力が上昇し、打撃部13は、上死点から下死点に向けて中心線A1に沿って作動する。ドライバブレード30は、図4のように射出路62内の釘63を打撃する。
また、トリガバルブ53が作動状態になると、制御室44の圧縮空気は、通路58及び排気路60を通って外部B1に排出される。すると、スリーブ39は、制御室45の圧力で、付勢部材43の付勢力に抗して射出部15から離間する向きで作動する。スリーブ39は、図4に示す排気位置で停止する。スリーブ39が排気位置にあると、スリーブ39は、ピストン下室35と通路40とを遮断し、かつ、ピストン下室35と外部B1とを、通路38,47を介して接続する。また、スリーブ39の内面が弁49に押し付けられ、弁49は径方向で外側に向けて弾性変形することが阻止される。つまり、スリーブ39は、弁49が通路37を閉じた状態を保持する。
このため、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動し、ピストン下室35内の圧力が上昇すると、ピストン下室35の空気は、通路38、排気室48及び排気路80を通って外部B1へ排出される。スリーブ39は、弁49が通路37を閉じた状態に保持しており、ピストン下室35の空気が通路37を通って通路40へ流れ込むことは無い。
そして、図5のように、ドライバブレード30が釘63を相手材67に打ち込む動作が完了した後、ピストン29がバンパ33に衝突する。バンパ33は打撃部13の運動エネルギの一部を吸収し、打撃部13は下死点で停止する。打撃部13が下死点に到達した状態において、トリガバルブ53が作動状態に保持されていると、制御室44は、通58を通じて、ハウジング11の外部B1につながっている。このため、スリーブ39は、図5のように排気位置で停止している。
打撃部13が下死点に到達した後、使用者が、トリガ14に対する操作力の解除、または、プッシュレバー16を相手材67から離間させること、の少なくとも一方を行うと、トリガバルブ53は、作動状態から初期状態に切り替わる。すると、蓄圧室21の圧縮空気が、通路59を通ってヘッドバルブ室27に供給される。ヘッドバルブ24は、図6のようにシリンダ12の端部に押し付けられ、ピストン上室32と蓄圧室21とを遮断し、かつ、ピストン上室32と排気路23とを接続する。
また、トリガバルブ53が作動状態から初期状態に切り替わると、蓄圧室21の圧縮空気が通路58を通って制御室44に供給される。すると、スリーブ39は、制御室44の圧力及び付勢部材43の付勢力で射出部15に近づく向きで作動し、スリーブ39は待機位置で停止する。
スリーブ39が待機位置で停止すると、スリーブ39は、図6及び図7のように弁49の外周面から離間する。このため、弁49がピストン上室32の空気圧で通路37を開き、ピストン上室32内の空気の一部は、通路37、通路40及び通路38を通ってピストン下室35に流れ込む。通路37の開口面積は、排気路23の開口面積よりも広い。このため、ピストン上室32から通路37を通ってピストン下室35に流れ込む空気量は、ピストン上室32から排気路23を通って外部B1に排出される空気量よりも多い。
打撃部13は、ピストン下室35の圧力で下死点から上死点に向けて作動し、ピストン上室32の空気の一部は、排気路23を通って外部B1へ排出される。そして、図1のようにピストン29がヘッドバルブ24に接触すると、打撃部13が上死点で停止する。
打込機10は、打撃部13が釘63を打撃する向き、つまり、第1の向きE1で作動する行程で、図4のように、ピストン下室35内の空気は、通路38及び排気路80を通って外部B1に排出される。このため、打撃部13が第1の向きE1で作動する行程で、ピストン下室35の圧力が上昇することを抑制できる。したがって、打撃部13の作動エネルギの損失を抑制可能である。また、打撃部13の作動エネルギを目標値とするために、蓄圧室21に供給する圧縮空気の量を低減すること、または、蓄圧室21の容積を小さくすること、が可能である。
さらに、打込機10は、図6及び図7のように、ピストン上室32内の空気の一部が、通路37、通路40及び通路38を通ってピストン下室35に流れ込むことにより、打撃部13が下死点から上死点に向けて作動する。このため、通路40は、空気が通過可能な容積で済む。言い換えると、通路40は、打撃部13を下死点から上死点に向けて作動させる圧力を生じさせるような空気の貯留容積を必要としない。したがって、打込機10は、ハウジング11が、中心線A1を中心とする径方向、または、中心線A1に沿った方向に大型化することを抑制できる。さらに、打込機10は、空気消費量を低減可能である。
また、使用者が、トリガ14に対する操作力を解除する、または、プッシュレバー16を相手材67から離間する、の少なくとも一方を行うと、制御室44から圧縮空気が排出されてスリーブ39が排気位置から待機位置へ作動し、かつ、打撃部13が下死点から上死点へ作動する。
さらに、トリガ14に対する操作力が解除され、かつ、プッシュレバー16が相手材67から離間している状態で、図2のように、スリーブ39は、ピストン下室35と排気路80とを遮断した待機位置で停止している。したがって、打撃部13は、ピストン下室35の圧力により、上死点で確実に停止している。
(実施形態2) 打込機の実施形態2を、図8及び図9を参照して説明する。打込機100は、ハウジング101、射出部102、打撃部103、プッシュレバーバルブ104及びトリガバルブ105を有する。ハウジング101は、胴部106、ハンドル107、及びヘッドカバー108を有する。胴部106は筒形状あり、ハンドル107は胴部106接続されている。ヘッドカバー108は、胴部106の長手方向で第1端部に固定されている。また、射出部102は、胴部106の長手方向で第2端部に固定されている。ハンドル107にエアホースが接続される。打撃部103は、胴部106の内部に設けられている。打撃部103は、中心線C1に沿って第1の向きE1及び第2の向きE2で作動可能、つまり、直動可能である。
胴部106内にシリンダ109が設けられている。中心線C1は、シリンダ109の中心線である。シリンダ109は、ハウジング101に対して中心線C1に沿った方向に移動可能である。ハンドル107内、胴部106内、ヘッドカバー108内に亘って蓄圧室110が設けられている。圧縮空気は、エアホースを通って蓄圧室110に進入する。
マウント部115がヘッドカバー108内に設けられ、バルブシート119がマウント部115に取り付けられている。バルブシート119は通路117を有する。ヘッドカバー108は、排気路112及びエキゾーストバルブ室114を有する。排気路112は、ハウジング101の外部D1につながっている。マウント部115は、エキゾーストバルブ118を支持している。エキゾーストバルブ118は、マウント部115に対して中心線C1に沿った方向に移動可能である。エキゾーストバルブ118は、通路117を開閉する。バルブシート119がマウント部115に取り付けられている。バルブシート119は、合成ゴム製であり、かつ、環状である。
打撃部103は、ピストン121及びドライバブレード122を有する。ピストン121はシリンダ109内に設けられ、ピストン121はシリンダ109内で中心線C1に沿った方向に作動可能である。シリンダ109内において、マウント部115とピストン121との間に、ピストン上室120が形成されている。
ピストン上室120の圧力は、ピストン121に加わる。打撃部103は、ピストン上室120の圧力により、中心線C1に沿った方向でバルブシート119から離れる向きに付勢される。ピストン121の外周面にシール部材121Aが取り付けられている。シール部材121Aは、シリンダ109の内周面に接触する。
さらに、バンパ128が胴部106内に設けられている。バンパ128は、中心線C1に沿った方向で、ピストン121と射出部102との間に設けられている。バンパ128は、合成ゴム製の緩衝部材である。バンパ128は軸孔129を有する。バンパ128は射出部102に接触し、かつ、バンパ128の一部は、シリンダ109内に配置されている。シリンダ109の中心線C1に沿った方向の端部のうち、バンパ128に近い箇所に位置する端部は、バンパ128に接触及び離間可能である。
シリンダ109内における中心線C1方向で、ピストン121と射出部102との間にピストン下室123が設けられている。シール部材121Aは、ピストン上室120とピストン下室123とを気密に隔てる。
胴部106及びシリンダ109は、通路124を形成している。通路124は、胴部106の内面と、シリンダ109の外面との間に形成されている。通路124は、シリンダ109の径方向でシリンダ109の外に、環状に形成されている。
シリンダ109を径方向に貫通する通路125,126が設けられている。通路125は、中心線C1に沿った方向でバルブシート119と射出部102との間に位置する。通路125は、シリンダ109の円周方向に間隔をおいて複数設けられている。通路126は、中心線C1に沿った方向で通路125と射出部102との間に位置する。弁127が、シリンダ109の外周に取り付けられている。弁127は、一例として合成ゴム製のリングである。弁127は、シリンダ109の径方向に弾性変形可能であり、弁127は、通路125を開閉する。弁127が通路125を開くと、シリンダ109内の空気が通路125を通って通路124へ流れる。弁127が通路125を閉じると、弁127は、通路124の空気が、シリンダ109内に空気が流れ込むことを阻止する。弁127は、逆止弁と定義可能である。
さらに、収容室200が胴部106とシリンダ109との間に形成されている。収容室200は、シリンダ109の径方向でシリンダ109の外に形成されている。付勢部材130が収容室200に設けられている。収容室200は、通路124につながっている。付勢部材130は、シリンダ109を、中心線C1に沿った方向で、バルブシート119に近付ける向きで付勢している。付勢部材130は、一例として金属製の圧縮スプリングである。
胴部106は、排気路201を有する。排気路201は、胴部106を径方向に貫通している。排気路201は、胴部106の円周方向に間隔をおいて複数設けられている。排気路201は、外部D1につながっている。
射出部102は、フランジ131、筒部132及び射出路133を有する。フランジ131は、胴部106に固定されており、フランジ131は、筒部132に接続されている。射出路133は、筒部132内に形成されている。射出路133は軸孔129につながっている。ドライバブレード122は、軸孔129及び射出路133内で中心線C1に沿った方向に移動可能である。筒部132の内面がドライバブレード122の外面に接触し、ピストン下室123の空気が射出路133へ漏れることを阻止する。
プッシュレバー134が射出部102に取り付けられ、プッシュレバー134は、射出部102に対して中心線C1に沿った方向に移動可能である。プッシュレバー134は、軸部材166に接続されている。
ホルダ135が胴部106内に設けられている。ホルダ135は環状であり、ホルダ135は、シリンダ109の径方向で、シリンダ109の外側に配置されている。ホルダ135は、胴部106に対して中心線C1に沿った方向に移動しない。ホルダ135は通路136を有し、通路136は蓄圧室110に接続されている。ホルダ135は、通路124と制御室139とを隔てている。シリンダ109の外周面にフランジ137,138が設けられている。フランジ137,138は、中心線C1に沿った方向で異なる位置に配置されている。制御室139が、シリンダ109とホルダ135との間であり、かつ、フランジ137とフランジ138との間に設けられている。通路136は、制御室139と蓄圧室110とを接続している。
隔壁140が、胴部106内に設けられ、かつ、シリンダ109の外周を囲むように設けられている。隔壁140は環状であり、隔壁140とフランジ137との間に制御室141が形成されている。隔壁140は、制御室141と蓄圧室110とを隔てている。
フランジ137は、制御室141及び制御室139の圧力を受け、フランジ138は、制御室139の圧力を受ける。このため、シリンダ109は、制御室141及び制御室139の圧力で中心線C1に沿った方向に付勢される。
トリガバルブ105及びプッシュレバーバルブ104は、次のような構造を有する。プッシュレバーバルブ104は、圧力室180、プランジャ144、バルブボディ145、弁部材146、付勢部材147を有する。付勢部材147は、一例として金属製の圧縮スプリングであり、付勢部材147は弁部材146を付勢する。バルブボディ145は、通路143及び排気路161を有する。通路160が、胴部106及びヘッドカバー108に亘って設けられ、通路160は、制御室141及び通路143につながっている。排気路161は外部D1につながっている。プランジャ144を付勢する付勢部材162が設けられている。付勢部材162は、一例として金属製のスプリングである。
トリガ148が、ハウジング101に取り付けられている。トリガ148は、トリガ軸149を中心として所定角度の範囲内で回転可能である。トリガバルブ105は、筒形状のガイド部151、ボール形状の弁部材155、プランジャ157を有する。ガイド部151はハンドル107に取り付けられている。プランジャ157は、ガイド部151に対して作動可能である。
複数の釘168を収容するマガジン169が、射出部102に取り付けられている。ドライバブレード122が釘168を1本打ち込む毎に、マガジン169から次の1本の釘168が射出路133に送られる。
打込機100の使用例を説明する。トリガ148に対する操作力が解除されていること、または、プッシュレバー134が相手材170から離間していることの少なくとも一方が成立していると、トリガバルブ105及びプッシュレバーバルブ104は初期状態にある。
初期状態にあるトリガバルブ105は、蓄圧室110と圧力室180とを遮断している。初期状態にあるプッシュレバーバルブ104は、圧力室180と通路143とを遮断し、かつ、通路143と排気路161とを接続している。このため、エキゾーストバルブ室114の圧縮空気、及び制御室141の圧縮空気は、通路160,143及び排気路161から外部D1に排出されている。また、エキゾーストバルブ118は、通路117を開いている。
シリンダ109は、制御室139の圧力、付勢部材130の付勢力によって中心線C1方向でバルブシート119に接近する向きで付勢されている。シリンダ109は、図8のようにバルブシート119に押し付けられた待機位置で停止している。待機位置で停止しているシリンダ109は、蓄圧室110とピストン上室120とを遮断している。
シリンダ109が待機位置で停止していると、ピストン上室120は、通路117及び排気路112によって外部D1につながっている。また、初期状態で停止しているシリンダ109は、図9のように通路126と排気路201とを遮断している。打撃部103は、ピストン下室123の圧力でバルブシート119に接近する向きで付勢されている。ピストン121は、図8のようにバルブシート119に押し付けられ、打撃部103が上死点で停止している。
使用者がトリガ148に操作力を加え、かつ、プッシュレバー134が相手材170に押し付けると、トリガ148の作動力でトリガバルブ105が初期状態から作動状態に切り替わる。また、プッシュレバーバルブ104は、初期状態から作動状態に切り替わる。作動状態のトリガバルブ105は、蓄圧室110と圧力室180とを接続する。さらに、作動状態のプッシュレバーバルブ104は、排気路161と通路143とを遮断し、かつ、通路143と圧力室180とを接続する。
このため、蓄圧室110の圧縮空気は、圧力室180及び通路160を介してエキゾーストバルブ室114に供給される。エキゾーストバルブ118は、通路117を閉じる。つまり、ピストン上室120と排気路112とが遮断される。また、通路160の圧縮空気の一部は、通路142を介して制御室141に供給される。
すると、シリンダ109は、制御室141及び制御室139の圧力により、付勢部材130の力に抗して中心線C1に沿った方向でバルブシート119から離間する向きに作動する。このため、図10のように、蓄圧室110がピストン上室120に接続する。圧縮空気が蓄圧室110からピストン上室120に流れ込み、ピストン上室120の圧力が上昇する。さらに、バルブシート119から離間したシリンダ109は、図11に示すバンパ128に接触した排気位置で停止する。
打撃部103は、ピストン上室120の圧力でバルブシート119から離間する向きで作動する。このようにして、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動する。ドライバブレード122は、図11のように射出路133にある釘168を打撃する。
シリンダ109が排気位置で停止すると、胴部106の内面が弁127に押し付けられる。つまり、胴部106は、弁127が通路125の圧力で弾性変形することを阻止し、胴部106は、弁127が通路125を閉じた状態を保持する。また、排気位置で停止したシリンダ109は、通路126と排気路201とを接続している。このため、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動する、つまり第1の向きE1で作動する行程で、ピストン下室123の空気は、通路126及び排気路201を通って外部D1に排出される。
そして、釘168を相手材170に打ち込む動作が完了した後、図12のように、ピストン121がバンパ128に衝突し、打撃部103が下死点で停止する。バンパ128は打撃部103の運動エネルギを吸収する。
打撃部103が下死点に到達した後、使用者がトリガ148の操作力を解除すること、または、プッシュレバー134を相手材170から離間すること、の少なくとも一方を行う。すると、トリガバルブ105は、作動状態から初期状態に切り替わり、かつ、プッシュレバーバルブ104は、作動状態から初期状態に切り替わる。このため、エキゾーストバルブ室114及び制御室141の圧縮空気は、通路160及び排気路161を通って外部D1へ排出される。したがって、エキゾーストバルブ118は、図13のように通路117を開く。また、シリンダ109は、制御室139の圧力及び付勢部材130の付勢力により、バルブシート119に接近する向きで作動する。シリンダ109がバルブシート119に接触して待機位置で停止すると、シリンダ109は、図13のように、蓄圧室110とピストン上室120とを遮断する。
さらに、シリンダ109が待機位置で停止すると、シリンダ109は、図14のように通路126と収容室200とを接続し、かつ、通路126と排気路201とを遮断する。また、シリンダ109が待機位置で停止すると、図13のように、胴部106の内面は弁127から離間する。つまり、弁127は、通路125内の圧力で弾性変形して通路125を開く。複数の通路125の通気面積は、通路117の通気面積よりも広い。このため、ピストン上室120から通路125を通って通路124に排出される空気量は、ピストン上室120から通路117及び排気路112を通って外部D1に排出される空気量よりも多い。
そして、通路124に排出された空気は、収容室200及び通路126を通ってピストン下室123に流れ込む。打撃部103は、ピストン下室123の圧力で下死点から上死点に向けて作動する。ピストン121が、図8のようにバルブシート119に接触すると、打撃部103は上死点で停止する。
打込機100は、打撃部103が図10のように第1の向きE1で作動する行程で、図11のように、ピストン下室123内の空気は、通路126及び排気路201を通って外部D1に排出される。このため、打撃部103が第1の向きE1で作動する行程で、ピストン下室123の圧力が上昇することを抑制できる。したがって、打撃部103の作動エネルギの損失を抑制可能である。また、打撃部103の作動エネルギを目標値とするために、蓄圧室110に供給する圧縮空気の量を低減可能である。
さらに、打込機100は、図13及び図14のように、ピストン上室120内の空気の一部が、通路124及び通路126を通ってピストン下室123に流れ込むことにより、打撃部103が下死点から上死点に向けて作動する。このため、通路124は、空気が通過可能な容積で済む。言い換えると、通路124は、打撃部103を下死点から上死点に向けて作動させる圧力を生じさせるような空気の貯留容積を必要としない。したがって、打込機100は、ハウジング101が、中心線C1を中心とする径方向、または、中心線C1に沿った方向に大型化することを抑制できる。さらに、打込機100は、空気消費量を低減可能、または、蓄圧室110の容積を小さくすることが可能である。
また、使用者が、トリガ148に対する操作力を解除する、または、プッシュレバー134を相手材170から離間する、の少なくとも一方を行うと、制御室141から圧縮空気が排出されてシリンダ109が排気位置から待機位置へ作動し、かつ、打撃部103が下死点から上死点へ作動する。さらに、トリガ148に対する操作力が解除され、かつ、プッシュレバー134が相手材170から離間している状態で、図9のように、シリンダ109は、ピストン下室123と排気路201とを遮断した待機位置で停止している。したがって、打撃部103は、ピストン下室123の圧力により、上死点で確実に停止している。
図15は、打込機の実施形態と、打込機の比較例とを対比した線図の一例である。打込機の比較例の特性は、図15の左半分に示されている。打込機の実施形態の特性は、図15の右半分に示されている。図15に示す通路は、通路40,124に相当する。図15に示す戻り室は、打撃部を下死点から上死点に向けて戻すために、圧縮空気を蓄える空間である。
打撃部は、時刻T1で下死点に位置し、打撃部は、時刻T2で上死点に位置する。実施形態における通路の圧力の最大値は、比較例における戻り室の圧力の最大値よりも低いことが分かる。これは、打込機の実施形態において、打撃部が上死点から下死点に向けて作動する行程で、シリンダ下室の空気が通路に流れ込むことなく、ハウジングの外部に排出されるからである。
実施形態における空気消費量の最大値は、比較例における空気消費量の最大値よりも低いことが分かる。これは、打込機の実施形態において、打撃部を下死点から上死点に向けて作動させる圧力を得るような圧縮空気の貯留容積を必要としないためである。
実施形態における打撃エネルギの最大値は、比較例における打撃エネルギの最大値よりも高いことが分かる。これは、打込機の実施形態において、打撃部を上死点から下死点に向けて作動させる行程で、ピストン下室の空気を、ハウジングの外部に排出するためである。
いくつかの実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。打込機10,100は、打込機の一例である。打撃部13,103は、打撃部の一例である。トリガ14,148、及びプッシュレバー16,134は、それぞれ操作部材の一例である。プッシュレバー16,134は、それぞれ接触要素の一例である。
本実施形態において、“使用者が操作力を付加及び解除する”は、使用者が操作部材に身体の一部を触れて操作力を解除及び付加することの他、使用者が操作部材を相手材に接触または離間させること、を含む。操作部材は、ハウジングに対して直動するもの、ハウジングに対して所定角度の範囲内で回転するもの、を含む。
圧縮空気は、気体の一例である。気体は、圧縮気体であればよく、圧縮気体は、空気または不活性ガスの何れでもよい。不活性ガスは、例えば、窒素ガス、希ガスを用いることができる。圧縮気体は、空気または不活性ガスの何れでもよい。不活性ガスは、例えば、窒素ガス、希ガスを用いることができる。第1の向きE1は、第1の向きの一例である、第2の向きE2は、第2の向きの一例である。
蓄圧室21,110は、それぞれ気体収容室の一例である。気体収容室は、ハウジングの外部から供給される気体を収容する空間である。ピストン上室32,120は、第1気体室の一例である。ピストン下室35,123は、第2気体室の一例である。第1気体室及び第2気体室は、気体が出入り可能な空間である。スリーブ39、排気路80及び通路38は、排気機構の一例である。シリンダ109、排気路201及び通路126は、排気機構の一例である。ハウジング11,101は、ハウジングの一例である。ハウジングは、内部空間を有するケーシングまたはボディである。
スリーブ39、通路37,38,40、弁49、制御室44は、戻し機構の一例である。シリンダ109、通路124,125、収容室200、弁127、付勢部材130、制御室141及び制御室139は、戻し機構の一例である。通路37,38,40,124,125及び収容室200は、通路の一例である。通路37,125は、第1通路の一例である。通路40,124及び収容室200は、第2通路の一例である。制御室44,141は、それぞれ第1制御室及び第2制御室の一例である。スリーブ39及びシリンダ109は、作動部材及び開閉部材の一例である。スリーブ39及びシリンダ109は、それぞれバルブとして定義可能である。打撃部13,103の上死点は、それぞれ第1の位置の一例である。打撃部13,103の下死点は、それぞれ第2の位置の一例である。弁49,127は、逆止弁の一例である。スリーブ39及び胴部106は、保持部材の一例である。スリーブ39は、スリーブの一例である。
排気路80,201は、第1排気路の一例である。排気路23,112は、第2排気路の一例である。シリンダ12,109は、それぞれシリンダの一例である。ヘッドバルブ24は、弁体の一例である。バンパ33,128は、それぞれバンパの一例である。バルブシート119は、バルブシートの一例である。釘63,168は、留具の一例である。留具は、軸形状、アーチ形状の何れでもよい。シリンダ109は、ピストン上室120に気体を供給及び排出する経路を接続及び遮断する機能と、ピストン下室123に気体を供給及び排出する経路を接続及び遮断する機能と、を有するバルブの役割りをもつ。
打込機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。バンパは、合成ゴムの他、気体が充填された可撓性の容器でもよい。操作部材は、操作力で作動可能であればよく、操作部材は、レバー、トリガ、アーム、プランジャ等を含む。通路、第1排気路及び第2排気路は、それぞれ気体が通過可能であればよく、通路、第1排気路及び第2排気路は、それぞれ隙間、溝、空間、スリット及び孔を含む。