JPWO2020171065A1 - 放電ランプ用カソード部品、放電ランプ、および放電ランプ用カソード部品の製造方法 - Google Patents

放電ランプ用カソード部品、放電ランプ、および放電ランプ用カソード部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

放電ランプ用カソード部品は、線径2mm以上35mm以下の胴体部と、胴体部から先細る先端部と、を具備する。カソード部品は、ThO2換算で0.5質量%以上3質量%以下のトリウムを含有するタングステン合金を含む。胴体部の中心を通るとともに胴体部の長さ方向に沿う断面における、中心を含むとともに90μm×90μmの単位面積を有する領域の電子線後方散乱回折分析を行う場合、電子線後方散乱回折分析により得られる結晶粒マップは、タングステンを含むタングステン結晶粒とトリウムを含むトリウム結晶粒とを有する。結晶粒マップの複数のトリウム結晶粒の粒度分布の累積分布グラフにおいて、累積頻度が90%である粒径は、3.0μm以上である。

Description

実施形態は、放電ランプ用カソード部品および放電ランプに関する。
放電ランプは、低圧放電ランプと高圧放電ランプの2種類に大きく分けられる。低圧放電ランプは、一般照明、道路やトンネルなどに使われる特殊照明、塗料硬化装置、紫外線(UV)硬化装置、殺菌装置、半導体などの光洗浄装置など様々なアーク放電型の放電ランプが挙げられる。高圧放電ランプは、上下水の処理装置、一般照明、競技場などの屋外照明、UV硬化装置、半導体やプリント基板などの露光装置、ウエハ検査装置、プロジェクタなどの高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプなどが挙げられる。このように放電ランプは、照明装置、映像投影装置、製造装置などの様々な装置に用いられている。
例えば、放電ランプを用いた投射型表示装置が知られている。近年は、ホームシアターやデジタルシネマが普及。これらは、プロジェクタと呼ばれる投射型表示装置を用いる。従来の投射型表示装は、放電ランプの電極の消耗により、ランプ寿命や射出される光のちらつきに影響を及ぼす。このような問題に対処するために、放電ランプの駆動方式として、パルス幅変調(PWM)駆動を採用することが知られている。このように、放電ランプの電極消耗は、制御回路により管理できる。
放電ランプの電極を消耗すると、ランプ電圧が低下する。これにより、放電ランプから放出される光にばらつきが生じる。このような現象はフリッカー現象と呼ばれる。フリッカー現象は、映像のちらつきなどに影響を及ぼす。このため、高い耐久性を有する放電ランプ用電極が求められている。
また、放電ランプ用カソード部品の長さ方向(側面方向)の断面と線径方向(円周方向)の断面のタングステン結晶の粒径を制御する技術が知られている。上記技術を用いて製造されたカソード部品は、耐久性試験として、カソード部品に通電して加熱した状態で、電圧を印加し、10時間後のエミッション電流密度(mA/mm)と100時間後のエミッション電流密度(mA/mm)を測定することにより、優れた特性を有することが知られている。
放電ランプは、照明装置、映像投影装置、製造装置などの様々な装置に用いられている。放電ランプの電極が消耗するとランプ性能が低下する。ランプ性能が低下すると放電ランプの交換を必要とする。そのため、電極の更なる長寿命化が望まれている。従来の放電ランプ用カソード部品は、100時間程度では優れた耐久性を示すが、それを超える長時間では耐久性が低下する。
特開2011−3486号公報 特許第5800922号公報
実施形態の放電ランプ用カソード部品は、線径2mm以上35mm以下の胴体部と、胴体部から先細る先端部と、を具備する。カソード部品は、ThO換算で0.5質量%以上3質量%以下のトリウムを含有するタングステン合金を含む。胴体部の中心を通るとともに胴体部の長さ方向に沿う断面における、中心を含むとともに90μm×90μmの単位面積を有する領域の電子線後方散乱回折分析を行う場合、電子線後方散乱回折分析により得られる結晶粒マップは、タングステンを含むタングステン結晶粒とトリウムを含むトリウム結晶粒とを有する。トリウム結晶粒は、結晶粒マップにおいて、連続する2点以上の測定点の結晶方位角差のそれぞれが−5度以上+5度以下であるとともにトリウムを含むトリウム結晶領域により定義される。トリウム結晶粒の粒径は、結晶粒マップにおいて、トリウム結晶領域の円相当径により定義される。結晶粒マップの複数のトリウム結晶粒の粒度分布の累積分布グラフにおいて、累積頻度が90%である粒径は、3.0μm以上である。
放電ランプ用カソード部品の一例を示す側面図である。 胴体部の長さ方向の断面の一例を示す図である。 実施例1および比較例1のトリウム結晶粒の累積分布グラフを示す図である。 実施例1および比較例1のトリウム結晶粒の頻度分布グラフを示す図である。 放電ランプの構造例を示す図である。
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
図1は放電ランプ用カソード部品の一例を示す側面図である。放電ランプ用カソード部品1は、線径2mm以上35mm以下の胴体部2と、胴体部2から先細るように延在する先端部3と、を備えている。図1は、放電ランプ用カソード部品1と、胴体部2と、先端部3と、中心4と、胴体部2の線経Wと、胴体部2の長さTと、を示す。図2は胴体部2の中心4の長さ方向の断面の一例を示す図である。図2は、胴体部2の長さT方向(側面方向)に沿う方向aと、方向aに沿うとともに中心4を通る断面5と、断面5と垂直な方向b(胴体部2の線径W方向(円周方向))と、を示す。本明細書では、放電ランプ用カソード部品を単に「カソード部品」と示すこともある。
胴体部2は、円柱形状を有する。線径Wは円周方向断面の直径である。円周が楕円の場合、線径Wは最も大きな直径を示す。胴体部2の線径Wが2mm未満であると、放電ランプの発光が不足する可能性がある。線径Wが35mmを超えると、放電ランプの大型化を招く。そのため、線径Wは2mm以上35mm以下、さらには5mm以上20mm以下が好ましい。胴体部2の長さTは10mm以上600mm以下が好ましい。
先端部3は胴体部2から先細る形状を有する。そのため、先細り始める箇所から端部までの領域が先端部3となる。先端部3は、カソード部品1の方向aの断面において、鋭角形状を有する。カソード部品1はこのような形状に限定されず、カソード部品1の方向aの断面において、先端部3が例えばR形状、平面形状のような他の形状を有していてもよい。先端部3が先細り形状を有する場合、放電ランプの一対の電極部品間で効率よく放電できる。
カソード部品は、酸化物(ThO)換算で0.5質量%以上3質量%以下のトリウム(トリウム成分ともいう)を含有するタングステン合金からなる。含有量が0.5質量%未満では添加の効果が小さく、3質量%を超えると焼結性および加工性が低下する。そのため、トリウムの含有量は酸化物(ThO)換算で0.5質量%以上3質量%以下、さらには0.8質量%以上2.5質量%以下が好ましい。
断面5における、中心4を含むとともに90μm×90μmの単位面積を有する領域の電子線後方散乱回折(EBSD)分析を行う場合、EBSD分析により得られる結晶粒マップは、タングステンを含有する結晶粒(タングステン結晶粒)とトリウムを含有する結晶粒(トリウム結晶粒)とを有する。
EBSDは、結晶試料に電子線を照射する。電子は回折され反射電子として試料から放出される。この回折パターンを投影し、投影されたパターンから結晶方位等を測定できる。X線回折(XRD)は複数の結晶粒における結晶方位の平均値を測定する方法である。これに対し、EBSDは個々の結晶の結晶方位を測定できる。EBSDと同様の分析方法は、電子線後方散乱パターン(EBSP)分析と呼ばれることがある。
EBSD分析は、日本電子株式会社製の熱電界放射型走査電子顕微鏡(TFE−SEM)JSM−6500Fと株式会社TSLソリューション製のDigiViewIVスロースキャンCCDカメラ、OIM Data Collectionver.7.3x、OIM Analysisver.8.0を用いて行われる。
EBSD分析の測定条件は、電子線の加速電圧20kV、照射電流12nA、試料の傾斜角70度、測定領域の単位面積90μm×90μm、測定間隔0.3μm/stepを含む。断面5が測定面であり、断面5に電子線を照射し回折パターンを得る。測定試料の測定面は、表面粗さRaが0.8μm以下になるまで研磨される。また、断面5は先端部3の中心を通り、胴体部2の厚さTの中心4を通る。測定領域は中心4を含む。
タングステン結晶粒は、結晶粒マップにおいて、連続する2点以上の測定点の結晶方位角差のそれぞれが−5度以上+5度以下であるとともにタングステンを含むタングステン結晶領域により定義される。換言すると、結晶方位角差が5度以内の測定点が2点以上連続して存在するタングステン結晶領域がタングステン結晶粒と識別される。なお、タングステン結晶領域は、上記EBSD分析の装置を用いて識別可能である。
タングステン結晶粒の粒径は、結晶粒マップにおいて、タングステン結晶領域の円相当径により定義される。複数のタングステン結晶粒の平均粒径は、例えば20μm以下、さらには15μm以下であることが好ましい。これにより、複数のトリウム結晶粒の分布状態を均一にできる。つまり、所定の粒度分布を有するトリウム結晶粒を均一に分散させることができる。これにより、放電特性を向上させることができる。
平均粒径は、単位面積90μm×90μmの領域における識別された結晶粒から算出する。ここで粒径は円相当径である。単位面積90μm×90μmの領域からはみ出す結晶粒については当該領域の境界を結晶粒の端部として算出する。平均粒径は、メジアン径である。つまり、累積粒径である。
トリウム結晶粒は、結晶粒マップにおいて、連続する2点以上の測定点の結晶方位角差のそれぞれが−5度以上+5度以下であるとともにトリウムを含むトリウム結晶領域により定義される。換言すると、結晶方位角差が5度以内の測定点が2点以上連続して存在するトリウム結晶領域がトリウム結晶粒と識別される。なお、トリウム結晶領域は、上記EBSD分析の装置を用いて識別可能である。
トリウム結晶粒の粒径は、結晶粒マップにおいて、トリウム結晶領域の円相当径により定義される。また、複数のトリウム結晶粒の粒度分布は、累積分布グラフおよび頻度分布グラフにより表される。
累積分布グラフは、横軸の粒径(μm)と、縦軸の累積頻度(%)と、の関係を示す。横軸は、例えば0.125μmないし0.25μmの間隔で複数の粒径範囲に区切られる。トリウム結晶粒の累積分布グラフは、単位面積90μm×90μmの領域に存在するトリウム結晶粒の粒径と累積頻度との関係を示す。累積頻度の上限は、100%である。
頻度分布グラフは、横軸の粒径(μm)と、縦軸の頻度(%)と、の関係を示す。横軸は、例えば0.125μmないし0.25μmの間隔で複数の粒径範囲に区切られる。頻度分布グラフは、例えば結晶粒マップに存在する結晶粒の各粒径のうち、どの粒径の結晶粒が多いかを相対的に示す。
トリウム結晶粒の累積分布グラフにおいて、累積頻度が90%である粒径D90は、3.0μm以上が好ましい。粒径D90の上限は、特に限定されないが、例えば4.5μm以下である。トリウム結晶粒の粒径は、結晶粒マップにおいて、前記トリウム結晶領域の円相当径により定義される。
粒径D90が3.0μm以上であることは、トリウム結晶粒の粒径が比較的大きいことを示す。従来のカソード部品は、粒径D90が3.0μm未満である。トリウム結晶粒は、タングステン結晶粒同士の粒界に存在する。トリウム結晶粒を大きくすることにより、タングステン結晶粒の粒成長を抑制できる。
タングステン結晶粒のような母材結晶粒の粒界に、トリウム結晶粒のような粒界結晶粒を存在させることにより母材結晶粒の粒成長を抑制するという効果をピン止め効果ともいう。ピン止め効果が不均一であると、母材結晶粒を急激に成長させる原因となる。トリウム結晶粒の粒径を大きくすることによりピン止め効果を均一にできる。結果としてタングステン結晶粒を均一に成長させることができる。
トリウム結晶粒の累積分布グラフにおいて、累積頻度が100%である粒径D100は、4.8μm以下、さらには4.5μm以下が好ましい。トリウム結晶粒は、エミッションにより蒸発する。よって、粗大なトリウム結晶粒があると、トリウム結晶粒が蒸発した跡が大きな空洞を形成し、カソード部品1の耐久性を低下させる可能性がある。
累積頻度が50%である粒径D50は、1.8μm以上が好ましい。これによりピン止め効果をさらに均一にできる。粒径D50の上限は、特に限定されないが、例えば3.0μm以下である。
トリウム結晶粒の頻度分布グラフは、2μm以上3μm以下の粒径の範囲に極小点を有することが好ましい。これにより、3μm以上の粒径を有するトリウム結晶粒の割合を多くできる。
極小点は、頻度分布グラフの谷の頂点である。極大点は、頻度分布グラフの山の頂点である。頻度分布グラフの山があることは、その山の頂点に対応する粒径を有する結晶粒の数が多いことを示す。また、頻度分布グラフの谷があることは、その谷の底点に対応する粒径を有する結晶粒の数が少ないことを示す。
トリウム結晶粒の頻度分布グラフは、頻度分布グラフの2μm以上3μm以下の粒径の範囲にある極小点の頻度と、当該極小点に最も近接する極大点の頻度と、の差が10%以上である箇所を有することが好ましい。これは、頻度分布グラフが大きな谷を有することを示す。大きな谷があることにより、粒径サイズが近いトリウム結晶粒の数を増やすことができる。トリウム結晶粒の粒径を近似させることにより、ピン止め効果を均一にできる。
カソード部品1は再結晶組織を有していないことが好ましい。再結晶化前にトリウム結晶粒の粒径やタングステン結晶粒の粒径などを制御することが重要である。これにより、再結晶組織を有していても、タングステン結晶粒の異常粒成長を抑制できる。言い換えれば、実施形態のカソード部品は、再結晶化前のカソード部品である。
再結晶組織は、再結晶温度で熱処理することにより、結晶内ひずみ(内部応力)を低減した組織である。トリウムを含有するタングステン合金の再結晶温度は1300K以上2000K以下(1027℃以上1727℃以下)である。カソード部品1は、先端部3を形成するための加工を施して形成される必要がある。また、胴体部2の線径Wの調整のために加工を施して形成される必要がある。これら加工により生じる歪を再結晶化熱処理で緩和できる。1300K以上2000K以下の温度で形成される再結晶を一次再結晶という。一次再結晶は熱処理前と比べて粒成長を伴う。2000Kを超える温度で形成される再結晶を二次再結晶という。二次再結晶は、一次再結晶よりも、さらに粒成長が起きる。一般的に二次再結晶の結晶粒は熱処理前に比べて30倍以上大きくなる。このため、再結晶の有無は粒径から判断できる。放電ランプを点灯すると、カソード電極の温度は2000℃を超える温度まで上昇する。このため、カソード部品1は再結晶組織を有する。長時間使用し続けていると、高温状態が続くため、さらに粒成長しやすい使用環境である。一般的に二次再結晶した結晶粒は熱処理前に比べて30倍以上大きい。このため、再結晶組織の有無は粒径から判断できる。
実施形態のカソード部品は、再結晶前の結晶粒径などを制御するため、粒成長を抑制できる。その結果、放電ランプのフリッカー寿命を延ばすことできる。
従来の放電ランプは、放電ランプに求められる保証寿命の半分程度の時間が経過するとフリッカー現象が生じる。この原因を追究したところ、一定期間が過ぎると放電ランプ用カソード部品のタングステン結晶粒に異常粒成長が生じることがわかった。
実施形態の放電ランプ用カソード部品は、タングステン結晶粒の異常粒成長の発生を抑制できる。これにより、長寿命化を有する放電ランプ用カソード部品を提供できる。
実施形態のカソード部品は、放電ランプに適用できる。図5は放電ランプの構造例を示す図である。図5は、カソード部品1と、アノード部品6と、電極支持棒7と、ガラス管8と、を示す。
カソード部品1は一つの電極支持棒7に接続されている。アノード部品6は他の一つの電極支持棒7に接続されている。接続はろう付けなどによって行われる。カソード部品1とアノード部品6はガラス管8の中で対向して配置され、電極支持棒7の一部とともに封止されている。ガラス管8内部は真空に保たれている。
カソード部品1は低圧放電ランプ、高圧放電ランプのいずれの放電ランプにも適用できる。低圧放電ランプは、一般照明、道路やトンネルなどに使われる特殊照明、塗料硬化装置、UV硬化装置、殺菌装置、半導体などの光洗浄装置などに用いられる、様々なアーク放電型の放電ランプが挙げられる。高圧放電ランプは、上下水の処理装置、一般照明、競技場などの屋外照明、UV硬化装置、半導体やプリント基板などの露光装置、ウエハ検査装置、プロジェクタなどの高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプなどが挙げられる。このように放電ランプは、照明装置、映像投影装置、製造装置などの様々な装置に用いられている。実施形態のカソード部品は耐久性に優れているため、高圧放電ランプに適している。
放電ランプの出力は、例えば100Wないし10kWである。1000W未満の出力の放電ランプを低圧放電ランプとし、1000W以上の出力の放電ランプを高圧放電ランプとする。
放電ランプは、それぞれ用途に応じて設定された保証寿命を有する。保証寿命の一つにフリッカー寿命がある。フリッカー現象は、前述のとおり放電ランプの出力がばらつく現象であり、放電ランプの出力が100%になる電圧を印加にも関わらず、出力が低下する。
デジタルシネマ用放電ランプは、出力1kW以上7kW以下程度の放電ランプを用いて構成される。スクリーンサイズに合わせて、放電ランプの出力を選択する。スクリーンサイズが6mでは出力1.2kWである。スクリーンサイズが15mでは出力4kWである。スクリーンサイズが30mでは出力7kWである。出力1.2kWの放電ランプの定格寿命は3000時間程度に設定されている。出力4kWの放電ランプの定格寿命は1000時間程度に設定されている。出力7kWの放電ランプの定格寿命は300時間程度に設定されている。デジタルシネマ用放電ランプの寿命は出力が大きくなるに従い短い。このように、放電ランプの寿命は、用途や使用条件によって様々である。
従来の放電ランプ用カソード部品では、寿命の半分程度の期間が経過するとフリッカー現象が生じる。デジタルシネマ用放電ランプにフリッカー現象が生じると、画面のちらつきが生じ、きれいな画像を視認できないため、定格寿命の前に上記部品を交換する必要がある。実施形態のカソード部品は、放電ランプの使用中においてタングステン結晶粒の異常粒成長を抑制できる。このため、フリッカー現象の発生を抑制できる。
デジタルシネマなどの投影型表示装置は、ちらつきが生じると画質が低下する。そのため、フリッカー現象の抑制要求が厳しい。このため、実施形態のカソード部品は、デジタルシネマ用放電ランプに好適である。ここではデジタルシネマ用放電ランプを例示するが、他の用途についても同様である。
次に、実施形態のカソード部品の製造方法例について説明する。実施形態のカソード部品の製造方法は、上記構成を具備するカソード部品を形成可能であれば特に限定されないが、歩留り良くカソード部品を製造する方法として次の方法が挙げられる。
放電ランプ用カソード部品の製造方法は、タングステン源粉末とトリウム源粉末とを混合して混合粉末を形成する工程と、混合粉末を用いて成形体を形成する工程と、成形体を予備焼結により焼結して予備焼結体を形成する工程と、予備焼結体を通電焼結により焼結する工程と、を具備する。
タングステン源粉末の粒度分布の頻度分布グラフは、隣接する第1のピークと第2のピークとを含む複数のピークを有し、第1のピークと第2のピークとの間のピーク間距離は10μm以上が好ましい。これにより、大きな粉末と小さな粉末との混合粉末を形成できる。混合粉末は、大きな粉末の粒界に小さな粉末を有する。これにより、タングステン結晶粒同士の粒界サイズを均一にできる。トリウム結晶粒はタングステン結晶粒同士の粒界に存在する。タングステン結晶粒同士の粒界サイズを均一にすることにより、粒界に存在するトリウム結晶粒のサイズを調整できる。
第1のピークおよび第2のピークを含む複数のピークの頻度のそれぞれは、2%以上が好ましい。これにより、粒界サイズを均一にする効果を向上させることができる。
このようなタングステン源粉末を用意するために、頻度分布グラフが10μm未満の粒径の範囲に第1のピークを有する第1のタングステン源粉末と、頻度分布グラフが10μm以上の粒径の範囲に第2のピークを有する第2のタングステン源粉末とを混合して混合タングステン粉末を形成することが好ましい。混合タングステン粉末の30質量%以上50質量%以下は、第1のタングステン源粉末(粒径が小さいタングステン源粉末)であり、残部は第2のタングステン源粉末(粒径が大きいタングステン源粉末)であることが好ましい。
第1のタングステン源粉末の粒度分布の頻度分布グラフは、4μm以上7μm以下の粒径範囲に4%以上6%以下の頻度である第1のピークを有することが好ましい。第2のタングステン源粉末の頻度分布グラフは、20μm以上50μm以下の粒径範囲に6%以上8%以下の頻度である第2のピークを有することが好ましい。
タングステン源粉末の粒度分布は、マイクロトラック社の9320−X100を使用して測定される。本装置はレーザ回折法により粒子径を測定できる。測定で得られた粒度分布からピーク位置と頻度を読み取ることができる。
トリウム源粉末は、例えば酸化トリウム(ThO)になるトリウム成分とすることにより、タングステン合金中のトリウム量を調整できる。
トリウム源粉末およびタングステン源粉末は、例えば湿式法や乾式法を用いて混合できる。
湿式法は、例えば硝酸トリウムとタングステン粉末とを含有する溶液から液体成分を蒸発させ、大気雰囲気中で400℃以上900℃以下の温度で加熱してトリウム成分を酸化トリウムに分解する。この工程により、酸化トリウム粉末を含有するタングステン粉末を形成できる。
乾式法は、例えば酸化トリウム粉末をボールミルにて粉砕混合する。この工程により、凝集した酸化トリウム粉末をほぐすことができ、酸化トリウム粉末の凝集を低減できる。また、混合工程の際は、少量のタングステン粉末を添加してもよい。
粉砕混合された酸化トリウム粉末から、必要に応じ、篩をかけて粉砕しきれなかった凝集粉または粗大粒を取り除くことが好ましい。また、篩掛けにより、最大径10μmを超える凝集粉または粗大粒を取り除くことが好ましい。
次に、酸化トリウム粉末属タングステン粉末と混合する。最終的に目的とする酸化トリウムの濃度になるようにタングステン粉末を添加する。酸化トリウム粉末とタングステン粉末との混合粉末を混合容器に入れ、混合容器を回転させ均一に混合させる。このとき、混合容器を円筒形状とし、円周方向に回転させることにより、スムーズに混合できる。この工程により、酸化トリウム粉末を含有するタングステン粉末を調製できる。
以上のような、湿式法または乾式法により酸化トリウム粉末を含有するタングステン粉末を調製できる。湿式法と乾式法では、湿式法の方が好ましい。乾式法は混合容器を回転させながら混合するため、原料粉末と容器がこすれて不純物が混入し易い。また、酸化トリウム粉末の含有量は0.5質量%以上3質量%以下が好ましい。また、湿式法であれば、タングステン粉末の隙間に酸化トリウム粉末を侵入させやすい。これによりタングステン結晶粒やトリウム結晶粒の粒径を制御し易い。
成形体は、例えば酸化トリウム粉末を含有するタングステン粉末を用いて形成される。成形体を形成する際は、必要に応じ、バインダを使用してもよい。成形体は、例えば5mm以上50mm以下の直径を有する円柱形状を備える。成形体の長さは任意である。
予備焼結は、1250℃以上1500℃以下の温度で行うことが好ましい。
通電焼結は、2100℃以上2500℃以下の温度になるように通電することが好ましい。温度が2100℃未満では十分な緻密化ができず強度が低下する場合がある。2500℃を超えると、トリウム結晶粒およびタングステン結晶粒が、粒成長し過ぎて目的とする結晶組織を得られない場合がある。
上記製造方法により、トリウム含有タングステン合金を有する焼結体(インゴット)を得ることができる。なお、予備焼結体が円柱形状を有していれば焼結体も円柱形状を有する。以下焼結体が円柱形状を有する円柱状焼結体である例について説明する。
上記製造方法は、第一の加工工程と、第二の加工工程と、をさらに有していてもよい。
第一の加工工程は、鍛造加工、圧延加工、押出加工からなる群より選ばれる少なくとも一つの加工によりインゴットを加工して、インゴットの例えば線径Wを調整する。
これらの加工は、線径Wを小さくできる。よって、円柱状焼結体中のポアを低減できる。第一の加工工程は、鍛造加工または押出加工が好ましい。鍛造加工または押出加工は、円柱状焼結体の円周全体を加工しやすいため、ポアの低減効果が高い。
鍛造加工は、ハンマーで円柱焼結体を叩いて圧力を加える加工である。圧延加工は、2つ以上のローラーで焼結体を挟みながら加工する方法である。押出加工は、強圧してダイス孔から押し出す方法である。
鍛造加工はハンマーで叩くため結晶方位に部分的なばらつきが生じやすい。押出加工は、ダイスを通すときの応力が強いため、中央部と表面部での結晶方位に違いが生じやすい。圧延加工であると、ローラーからの応力を調整できるため、結晶方位を制御しやすい。
第一の加工工程の加工率は、例えば10%以上30%以下が好ましい。加工率が10%未満であるとポアを低減する効果が小さい。加工率が30%を超えると結晶方位の制御が困難となる。第一の加工工程は、加工率が10%以上30%以下の範囲内であれば、複数回に分けて加工を行ってもよい。
加工率は、加工前の円柱状焼結体の断面積をA、加工後の円柱状焼結体の断面積をBとする場合、加工率=[(A−B)/A]×100%、により求められる。例えば、直径25mmの円柱状焼結体を直径20mmの円柱状焼結体に加工する場合の加工率を説明する。直径25mmの円の断面積Aは460.6mm、直径20mmの円の断面積Bは314mmであるから加工率は32%=[(460.6−314)/460.6]×100%となる。
第一の加工工程の加工率が10%以上30%以下であることは、第一の加工工程の前の円柱状焼結体(インゴット)の断面積を断面積Aとして求められる。
第二の加工工程は、例えば圧延加工である。圧延加工であると結晶方位を制御しやすい。圧延加工は、複数のローラーで挟みながら断面積を小さくする方法である。圧延加工のみで加工すると結晶方位を制御できる。第二の加工工程は、第一の加工工程後に実施される。
第二の加工工程において圧延加工の加工率は30%以上70%以下、好ましくは40%以上70%以下である。第二の加工工程の加工率が30%以上70%以下であることは、第一の加工工程の後の円柱状焼結体の断面積を断面積Aとして求められる。
第一の加工工程後の断面積を断面積Aとして加工率を制御する。加工率が30%以上70%以下の範囲内であれば、1回の加工でもよいし、2回以上に分けてもよい。加工率が30%未満または70%を超えると、目的とする結晶粒が得られない。
第一の加工工程および第二の加工工程は、冷間加工であることが好ましい。冷間加工は、再結晶温度以下の温度で対象物を加工する方法である。再結晶温度以上の加熱状態で加工することを熱間加工という。熱間加工であると円柱状焼結体が再結晶化する。冷間加工であると再結晶化しない。再結晶化しない組織で結晶粒を制御することが重要である。
以上の工程により形成された線径2mm以上35mm以下の円柱状焼結体を、必要な長さに切断する。次に、先細る先端部3を形成する工程を実施する。先端部3の加工は、先端部3を所定のテーパ状に切削加工することにより行われる。必要に応じ、表面粗さRaが5μm以下になるように表面研磨加工を施す。以上の工程により実施形態のカソード部品を製造できる。
放電ランプは次のように製造できる。まず、カソード部品1を電極支持棒7に接続する。接続はろう付けなどによって行うことができる。アノード部品6が電極支持棒7に接続された部品を用意する。カソード部品1とアノード部品6はガラス管8の中で対向して配置し固定され、電極支持棒7の一部とともに封止する。ガラス管8内部は真空にする。放電ランプを製造する工程中に、必要に応じ、カソード部品の再結晶温度以上の熱処理を行ってもよい。
(実施例1〜7、比較例1)
タングステン源粉末とトリウム源粉末とを混合して混合粉末を形成した。表1は、タングステン源粉末とトリウム源粉末とを説明するための表である。タングステン源粉末は、第1のピークを有する頻度分布グラフを示す粒度分布を有する第1のタングステン粉末と、第2のピークを有する頻度分布グラフを示す粒度分布を有する第2のタングステン粉末と、の混合タングステン粉末である。表1は、混合タングステン粉末中の第1のタングステン粉末の含有量と第2のタングステン粉末の含有量と、第1および第2のタングステン粉末のピーク粒径およびピーク頻度とを示す。混合粉末は、硝酸トリウムとタングステン粉末とを含有する溶液から液体成分を蒸発させ、大気雰囲気中で400℃以上900℃以下の温度で加熱してトリウム成分を酸化トリウムに分解することにより形成した。トリウム源粉末の含有量は、ThO換算である。トリウム源粉末は、3μm以下の平均粒径を有する。
Figure 2020171065
表1から、実施例1ないし実施例7において、トリウム源粉末の含有量は、ThO換算で0.5質量%以上2.6質量%以下であり、混合タングステン粉末の第1のタングステン源粉末の含有量は、40質量%以上50質量%以下であり、第2のタングステン源粉末の含有量は、50質量%以上60質量%以下であり、タングステン源粉末の頻度分布グラフは、8μm以下の粒径範囲の第1のピークと20μm以上の粒径範囲の第2のピークと、を有し、ピーク頻度はいずれも頻度3%以上であることがわかる。
次に、混合粉末を用いて成形体を形成した。次に、成形体を予備焼結により焼結して予備焼結体を形成した。次に、予備焼結体を通電焼結により焼結して円柱状焼結体(インゴット)を作製した。表2は、予備焼結および通電焼結を説明するための表である。
Figure 2020171065
次に、円柱状焼結体(インゴット)を第一の加工工程により加工し、その後第二の加工により加工した。表3は、第一の加工工程および第二の加工工程を説明するための図である。第一の加工工程および第二の加工工程は、いずれも冷間加工である。
Figure 2020171065
次に、冷間加工された円柱状焼結体を切断加工により加工した。また、切断加工された円柱状焼結体の端部に先細る先端部を形成した。先端部のテーパ角度は60度以上80度以下である。以上の工程により、放電ランプ用カソード部品を製造した。表4は、カソード部品のサイズを説明するための表である。
Figure 2020171065
製造されたカソード部品をEBSD分析により分析してタングステン結晶粒の結晶粒マップおよびトリウム結晶粒の結晶粒マップを作成した。測定条件等は、実施形態において説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
トリウム結晶粒の結晶粒マップを用いて、トリウム結晶粒の累積分布グラフを作成するとともに頻度分布グラフを作成した。図3は、実施例1および比較例1のトリウム結晶粒の累積分布グラフを示す図である。図4は、実施例1および比較例1のトリウム結晶粒の頻度分布グラフを示す図である。図3および図4の実線は、実施例1を示し、点線は比較例1を示す。
上記累積分布グラフから、トリウム結晶粒の粒径D90および粒径D50、100を算出した。また、上記頻度分布グラフにおいて、極小点の有無、2μm以上3μm以下の粒径の範囲の極小点の有無、2μm以上3μm以下の粒径の範囲の極小点の頻度と当該極小点に最も近接する極大点の頻度との差が10%以上である箇所の有無を確認した。また、タングステン結晶粒の結晶粒マップを用いて、タングステン結晶粒の平均粒径を算出した。表5は、トリウム結晶粒およびタングステン結晶粒を説明するための表である。
Figure 2020171065
実施例1ないし実施例7のカソード部品において、トリウム結晶粒の粒径D90は3.0μm以上3.9μm以下であり、粒径D50は1.8μm以上4.0μm以下であり、粒径D100は4.8μm以下であった。また、タングステン結晶粒の平均粒径は、4μm以上7.8μm以下であった。
実施例1ないし実施例7のカソード部品において、頻度分布グラフは、2μm以上3μm以下の粒径の範囲に極小点を有する。また、2μm以上3μm以下の粒径の範囲の極小点の頻度と、当該極小点と最も近接する極大点の頻度の差は、10%以上であった。比較例1は、トリウム結晶粒の頻度分布グラフでは極小値があったものの、それ以外は範囲外であった。また、タングステン結晶粒の粒径D50はいずれも20μm以下であった。
次に、放電ランプ用カソード部品の耐久性を耐久性試験により評価した。放電ランプ用カソード部品を用いて放電ランプを作製した。耐久性試験は、点灯試験により実施し、放電ランプのフリッカー寿命を測定した。点灯時のランプ電圧は40Vであり、非点灯時のランプ電圧は20Vである。点灯状態を3時間、非点灯状態を2時間に設定し、点灯状態と非点灯状態とを交互に繰り返した。点灯状態または非点灯状態のランプ電圧のずれが1V以上になったときにフリッカーが発生したと定義した。フリッカーが発生するまでの点灯時間の合計をフリッカー寿命とした。
同条件で800時間経過後にタングステン結晶粒の平均粒径(μm)を測定した。平均粒径D50の測定は、先端部の側面方向断面を用い、先端から0.5mm入った箇所を測定した。その結果を表6に示す。
Figure 2020171065
表6からわかるとおり、実施例1ないし実施例7のカソード部品を用いた放電ランプは比較例1のカソード部品を用いた放電ランプよりも長寿命であった。これはトリウム結晶粒のピン止め効果を均一に発現させてタングステン結晶粒の粗大化を抑制できるためである。また、頻度分布グラフに複数のピークを有するタングステン源粉末を用いることにより、トリウム結晶粒の粒度分布を制御できる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範
囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施できる。

Claims (12)

  1. 線径2mm以上35mm以下の胴体部と、前記胴体部から先細る先端部と、を具備する放電ランプ用カソード部品であって、
    前記カソード部品は、ThO換算で0.5質量%以上3質量%以下のトリウムを含有するタングステン合金を含み、
    前記胴体部の中心を通るとともに前記胴体部の長さ方向に沿う断面における、前記中心を含むとともに90μm×90μmの単位面積を有する領域の電子線後方散乱回折分析を行う場合、前記電子線後方散乱回折分析により得られる結晶粒マップは、タングステンを含むタングステン結晶粒と、トリウムを含むトリウム結晶粒と、を有し、
    前記トリウム結晶粒は、前記結晶粒マップにおいて、連続する2点以上の測定点の結晶方位角差のそれぞれが−5度以上+5度以下であるとともに前記トリウムを含むトリウム結晶領域により定義され、
    前記トリウム結晶粒の粒径は、前記結晶粒マップにおいて、前記トリウム結晶領域の円相当径により定義され、
    前記結晶粒マップの複数の前記トリウム結晶粒の粒度分布の累積分布グラフにおいて、累積頻度が90%である粒径は、3.0μm以上である、放電ランプ用カソード部品。
  2. 前記累積分布グラフにおいて、累積頻度が50%である粒径は、1.8μm以上である、請求項1に記載のカソード部品。
  3. 前記トリウム結晶粒の粒度分布の頻度分布グラフは、2μm以上3μm以下の粒径の範囲に極小点を有する、請求項1に記載のカソード部品。
  4. 前記頻度分布グラフの前記極小点の頻度と、前記極小点に最も近接する極大点の頻度との差は、10%以内である、請求項3に記載の放電ランプ用カソード部品。
  5. 前記タングステン結晶粒の平均粒径は、20μm以下である、請求項1に記載の放電ランプ用カソード部品。
  6. 前記カソード部品は、再結晶組織を有していない、請求項1に記載のカソード部品。
  7. 請求項1に記載の前記カソード部品を具備する、放電ランプ。
  8. デジタルシネマ用放電ランプである、請求項7に記載の放電ランプ。
  9. 第1のピークと第2のピークとを含む頻度分布グラフを示す粒度分布を有するタングステン源粉末と、3μm以下の平均粒径を有するトリウム源粉末と、を混合して混合粉末を形成する工程と、
    前記混合粉末を用いて5mm以上50mm以下の直径を有する成形体を形成する工程と、
    前記成形体を1250℃以上1500℃以下の温度で予備焼結により焼結して予備焼結体を形成する工程と、
    前記予備焼結体を2100℃以上2500℃以下の温度で通電焼結により焼結する工程と、
    を具備する、放電ランプ用カソード部品の製造方法。
  10. 前記第1のピークと前記第2のピークとの間のピーク間距離は、10μm以上である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記第1のピークの頻度および前記第2のピークの頻度のそれぞれは、2%以上である、請求項9に記載の方法。
  12. 前記第1のピークの粒径は、10μm未満であり、
    前記第2のピークの粒径は、10μm以上である、請求項9に記載の方法。
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