JPWO2020121998A1 - 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020121998A1
JPWO2020121998A1 JP2020517603A JP2020517603A JPWO2020121998A1 JP WO2020121998 A1 JPWO2020121998 A1 JP WO2020121998A1 JP 2020517603 A JP2020517603 A JP 2020517603A JP 2020517603 A JP2020517603 A JP 2020517603A JP WO2020121998 A1 JPWO2020121998 A1 JP WO2020121998A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
electrode layer
less
organic thin
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020517603A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6741187B1 (ja
Inventor
幹人 須藤
幹人 須藤
弘之 増岡
弘之 増岡
松崎 晃
晃 松崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP6741187B1 publication Critical patent/JP6741187B1/ja
Publication of JPWO2020121998A1 publication Critical patent/JPWO2020121998A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/80Constructional details
    • H10K30/81Electrodes
    • H10K30/82Transparent electrodes, e.g. indium tin oxide [ITO] electrodes
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K30/00Organic devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation
    • H10K30/80Constructional details
    • H10K30/88Passivation; Containers; Encapsulations
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K71/00Manufacture or treatment specially adapted for the organic devices covered by this subclass
    • H10K71/10Deposition of organic active material
    • H10K71/12Deposition of organic active material using liquid deposition, e.g. spin coating
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K71/00Manufacture or treatment specially adapted for the organic devices covered by this subclass
    • H10K71/60Forming conductive regions or layers, e.g. electrodes
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K2102/00Constructional details relating to the organic devices covered by this subclass
    • H10K2102/10Transparent electrodes, e.g. using graphene
    • H10K2102/101Transparent electrodes, e.g. using graphene comprising transparent conductive oxides [TCO]
    • H10K2102/102Transparent electrodes, e.g. using graphene comprising transparent conductive oxides [TCO] comprising tin oxides, e.g. fluorine-doped SnO2
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K2102/00Constructional details relating to the organic devices covered by this subclass
    • H10K2102/10Transparent electrodes, e.g. using graphene
    • H10K2102/101Transparent electrodes, e.g. using graphene comprising transparent conductive oxides [TCO]
    • H10K2102/103Transparent electrodes, e.g. using graphene comprising transparent conductive oxides [TCO] comprising indium oxides, e.g. ITO
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

LED光照射環境下においても優れた出力特性を有する有機薄膜太陽電池が得られる積層体を提供する。光透過性電極層となる部材の上に配置された、電子輸送層となる酸化チタン層は、厚さが1.0nm以上60.0nm以下で、下記条件1または条件2を満たす。条件1 金属インジウムおよび酸化インジウムを含有し、チタン元素の含有量をTi、金属インジウムの含有量をInM、酸化インジウムの含有量をInOxとしたとき、原子比(InM/Ti)が0.10以上0.25以下、原子比(InOx/Ti)が、0.50以上10.00以下である。条件2 金属スズおよび酸化スズを含有し、チタン元素の含有量をTi、金属スズの含有量をSnM、酸化スズの含有量をSnOxとしたとき、原子比(SnM/Ti)が0.05以上0.30以下、原子比(SnOx/Ti)が0.50以上10.00以下である。

Description

本発明は、積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法に関する。
従来、有機薄膜太陽電池としては、光透過性電極層、ホール輸送層、有機半導体層、電子輸送層および集電極層をこの順に有する「順型(ノーマル型)」の有機薄膜太陽電池が知られている。
また、近年、耐久性の向上等の観点から、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する「逆型」の有機薄膜太陽電池が提案されている(特許文献1を参照)。
特開2009−146981号公報
上述したように、有機薄膜太陽電池は、例えば、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する。
近年、このような有機薄膜太陽電池には、太陽光が照射される屋外などの環境(太陽光照射環境)下だけでなく、太陽光よりも低強度のLED(Light Emitting Diode)光が照射される屋内などの環境(LED光照射環境)下においても、優れた出力特性を発揮することが要求される。
そこで、本発明は、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する逆型の有機薄膜太陽電池の光透過性電極層および電子輸送層となる積層体であって、太陽光照射環境下だけでなくLED光照射環境下においても優れた出力特性を有する有機薄膜太陽電池が得られる積層体を提供することを目的とする。
更に、本発明は、上記積層体を製造する新規な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成を採用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]を提供する。
[1]光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池の上記光透過性電極層および上記電子輸送層となる積層体であって、上記光透過性電極層となる部材と、上記光透過性電極層となる部材の上に配置された、上記電子輸送層となる酸化チタン層と、を有し、上記酸化チタン層の厚さが、1.0nm以上60.0nm以下であり、上記酸化チタン層が、下記条件1または条件2を満たす、積層体。
条件1
金属インジウムおよび酸化インジウムを含有し、チタン元素の含有量をTi、金属インジウムの含有量をInM、酸化インジウムの含有量をInOxとしたとき、InM/Tiが、原子比で、0.10以上0.25以下であり、InOx/Tiが、原子比で、0.50以上10.00以下である。
条件2
金属スズおよび酸化スズを含有し、チタン元素の含有量をTi、金属スズの含有量をSnM、酸化スズの含有量をSnOxとしたとき、SnM/Tiが、原子比で、0.05以上0.30以下であり、SnOx/Tiが、原子比で、0.50以上10.00以下である。
[2]上記光透過性電極層となる部材が、酸化インジウムを含有し、上記酸化チタン層が、上記条件1を満たす、上記[1]に記載の積層体。
[3]上記光透過性電極層となる部材が、酸化スズを含有し、上記酸化チタン層が、上記条件2を満たす、上記[1]に記載の積層体。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体を用いた、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池。
[5]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体を製造する方法であって、Ti成分を含有する処理液中で、上記光透過性電極層となる部材をカソード分極することにより、上記光透過性電極層となる部材の上に、上記酸化チタン層を形成する、積層体の製造方法。
[6]上記処理液中のTi含有量が、0.004mol/L以上1.300mol/L以下である、上記[5]に記載の積層体の製造方法。
[7]上記Ti成分が、六フッ化チタン水素酸、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸ナトリウム、六フッ化チタン酸アンモニウム、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニルカリウム二水和物、硫酸チタン、および、チタンラクテートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[5]または[6]に記載の積層体の製造方法。
[8]上記光透過性電極層となる部材をカソードとして、0.01A/dm以上5.00A/dm以下の電流密度で通電する、上記[5]〜[7]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[9]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体を用いて、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池を製造する、有機薄膜太陽電池の製造方法。
本発明によれば、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池の光透過性電極層および電子輸送層となる積層体であって、太陽光照射環境下だけでなくLED光照射環境下においても優れた出力特性を有する有機薄膜太陽電池が得られる積層体を提供できる。
更に、本発明によれば、上記積層体を製造する新規な方法を提供できる。
有機薄膜太陽電池を模式的に示す断面図である。 積層体を模式的に示す断面図である。
[有機薄膜太陽電池]
まず、図1に基づいて、有機薄膜太陽電池1を説明する。
図1は、有機薄膜太陽電池1を模式的に示す断面図である。有機薄膜太陽電池1は、例えば、光透過性電極層2、電子輸送層3、有機半導体層4、ホール輸送層5および集電極層6をこの順に有する。
光透過性電極層2の厚さは、後述する部材8(図2参照)の厚さに準ずる。
電子輸送層3の厚さは、後述する酸化チタン層9(図2参照)の厚さに準ずる。
有機半導体層4、ホール輸送層5および集電極層6の厚さは、適宜設定される。
光透過性電極層2としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜、FTO(Fluorine−doped Tin Oxide)膜などの導電性金属酸化物の膜が好適に挙げられる。光透過性電極層2は、ガラス基板、樹脂フィルムなどの透明性基板の上に配置されていてもよい。
電子輸送層3としては、例えば、n型半導体である酸化チタン(TiO)を含有する酸化チタン層が挙げられる。
有機半導体層4としては、例えば、ポリチオフェン誘導体であるポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)と、フラーレン誘導体である[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBM)とを含有する層が挙げられる。
P3HTとPCBMとの質量比(P3HT:PCBM)は、5:3〜5:6が好ましく、5:3〜5:4がより好ましい。
このような有機半導体層4は、導電性材料、色素などの添加剤を更に含有してもよい。
導電性材料としては、例えば、ポリアセチレン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリパラフェニレン系、ポリパラフェニンビニレン系、ポリチエニレンビニロン系、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)系、ポリフルオレン系、ポリアニリン系、ポリアセン系の導電性材料が挙げられる(ただし、後述するPEDOT/PSSは除く)。
色素としては、例えば、シアニン系、メロシアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、キノン系、キノイシン系、キナクドリン系、スクアリリウム系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、ポルフィリン系、ペリレン系、インジコ系の色素が挙げられる。
添加剤の含有量は、P3HTとPCBMとの合計100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。
ホール輸送層5の材料としては、PEDOT/PSS、V、MoOなどが挙げられ、PEDOT/PSSが好ましい。
PEDOT/PSSは、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、PSS(ポリスチレンスルホン酸)とが一体化した高分子化合物であり、PEDOT:PSSと表記される場合もある。
集電極層6としては、例えば、Au電極層、Ag電極層、Al電極層、Ca電極層などが挙げられ、なかでも、Au電極層が好ましい。
[積層体]
次に、図2に基づいて、有機薄膜太陽電池1(図1参照)の光透過性電極層2および電子輸送層3となる積層体7を説明する。
図2は、積層体7を模式的に示す断面図である。積層体7は、光透過性電極層2(図1参照)となる部材8と、部材8の上に配置された、電子輸送層3(図1参照)となる酸化チタン層9と、を有する。
〈光透過性電極層となる部材〉
光透過性電極層2(図1参照)となる部材8は、導電性を有する部材であることが好ましく、酸化インジウムまたは酸化スズを含有する部材であることがより好ましい。
部材8は、酸化インジウムを含有する部材である場合、酸化インジウムスズ(ITO)を含有する部材であることが更に好ましく、ITO膜であることが特に好ましい。
部材8は、酸化スズを含有する部材である場合、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)を含有する部材であることが更に好ましく、FTO膜であることが特に好ましい。
部材8は、ガラス基板、樹脂フィルムなどの透明性基板の上に配置されていてもよい。
例えばITO膜やFTO膜である部材8の厚さは、得られる有機薄膜太陽電池1(図1参照)に応じて適宜設定されるが、20nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましく、150nm以上が更に好ましい。一方、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、300nm以下が更に好ましい。
部材8の厚さは、集束イオンビームによって部材8の断面を形成し、形成した断面を、走査型電子顕微鏡を用いて測定することにより得られる値である。
〈酸化チタン層〉
酸化チタン層9は、酸化チタンを含有する層である。
更に、酸化チタン層9は、後述するように、金属インジウムおよび酸化インジウム、または、金属スズおよび酸化スズを含有する。
《厚さ》
酸化チタン層9の厚さは、1.0nm以上60.0nm以下である。これにより、積層体7を用いた有機薄膜太陽電池1は、太陽光照射環境下だけでなく、LED光照射環境下においても、出力特性に優れる。
酸化チタン層9の厚さが1.0nm未満では、酸化チタン層9に欠陥が生じて、漏れ電流が発生しやすくなり、出力特性が不十分となる。
一方、酸化チタン層9の厚さが60.0nmを超えると、抵抗が増大して、やはり出力の低下を招く。
出力特性がより優れるという理由から、酸化チタン層9の厚さは、2.0nm以上が好ましく、3.0nm以上がより好ましく、4.0nm以上が更に好ましい。
同様の理由から、酸化チタン層9の厚さは、30.0nm以下が好ましく、20.0nm以下がより好ましく、15.0nm以下が更に好ましい。
酸化チタン層9の厚さは、次のように求める。
まず、酸化チタン層9の任意の部位について、X線光電子分光分析装置(XPS装置)を用いて、下記条件で、Ti3s、In3dおよびSn3dの狭域光電子スペクトルの測定と、アルゴンイオン(Ar)によるスパッタとを繰返し行なう。これにより、酸化チタン層9における、スパッタ深さ方向の元素組成比(単位:原子%)を求める。元素組成比を求める際には、相対感度係数法を用いる。狭域光電子スペクトルの各ピーク面積における相対感度係数として、Ti3s:0.150、In3d:4.530、Sn3d:4.890をそれぞれ用いる。測定開始位置である酸化チタン層9の最表面から、チタン(Ti)の元素組成比が最大値の1/10の値となる深さ位置までを、酸化チタン層9の厚さとする。
(XPS装置を用いた測定の条件)
・XPS装置:Quantera SXM(ULVAC−PHI社製)
・X線源:単色化Al−Kα線(電圧:15kV、出力:25.0W)
・X線ビーム径:100μmφ
・測定領域:100μmφ
・狭域光電子スペクトル測定Pass Energy:140eV
・狭域光電子スペクトル測定Energy Step:0.125eV
・スパッタレート:5.4nm/min(SiO換算)
・Ar加速エネルギー:1keV
・帯電中和:電子線+Ar
《条件1または条件2》
酸化チタン層9は、下記条件1または条件2を満たす。これにより、積層体7を用いた有機薄膜太陽電池1は、太陽光照射環境下だけでなく、LED光照射環境下においても、出力特性に優れる。
酸化チタン層9が下記条件1または条件2を満たす場合、酸化チタン層9の内部、および、酸化チタン層9と部材8との界面においては、金属インジウムまたは金属スズが析出すると推測される。そして、これにより、導電性が向上し、電子移動抵抗が減少することにより、出力特性に優れると推測される。ただし、これ以外のメカニズムであっても本発明の範囲内であるとする。
酸化チタン層9が下記条件1を満たす場合、部材8は酸化インジウムを含有することが好ましい。一方、酸化チタン層9が下記条件2を満たす場合、部材8は酸化スズを含有することが好ましい。
(条件1)
金属インジウムおよび酸化インジウムを含有する。
チタン元素の含有量を「Ti」、金属インジウムの含有量を「InM」、酸化インジウムの含有量を「InOx」としたとき、原子比(InM/Ti)が0.10以上0.25以下であり、原子比(InOx/Ti)が0.50以上10.00以下である。
出力特性がより優れるという理由から、原子比(InM/Ti)は、0.15以上が好ましく、0.21以上がより好ましい。一方、上限に関して、原子比(InM/Ti)は、0.24以下が好ましく、0.23以下がより好ましい。
同様に、出力特性がより優れるという理由から、原子比(InOx/Ti)は、4.00以上が好ましく、7.50以上がより好ましい。一方、上限に関して、原子比(InOx/Ti)は、9.90以下が好ましく、9.70以下がより好ましい。
(条件2)
金属スズおよび酸化スズを含有する。
チタン元素の含有量を「Ti」、金属スズの含有量を「SnM」、酸化スズの含有量を「SnOx」としたとき、原子比(SnM/Ti)が0.05以上0.30以下であり、原子比(SnOx/Ti)が0.50以上10.00以下である。
出力特性がより優れるという理由から、原子比(SnM/Ti)は、0.16以上が好ましく、0.22以上がより好ましい。一方、上限に関して、原子比(SnM/Ti)は、0.26以下が好ましく、0.28以下がより好ましい。
同様に、出力特性がより優れるという理由から、原子比(SnOx/Ti)は、4.00以上が好ましく、7.50以上がより好ましい。一方、上限に関して、原子比(SnOx/Ti)は、9.90以下が好ましく、9.70以下がより好ましい。
原子比(InM/Ti)および原子比(InOx/Ti)、または、原子比(SnM/Ti)および原子比(SnOx/Ti)は、次のように求める。
まず、酸化チタン層9について、上述した方法と同様に、XPS装置を用いた測定を行なう。次いで、得られるIn3dおよびSn3dの狭域光電子スペクトルを、金属成分と酸化物成分とにピーク分離する。より詳細には、ピーク分離では、ソフトウェアとしてMultiPak(Ver.8.2C)を用い、関数フィッティングを行なう。
金属成分に対しては、非対称関数(Tail Length:14.85±3.00、Tail Scale:0.23±0.10)を適用する。酸化物に対しては、ガウス−ローレンツ関数を適用する。
なお、金属インジウムと酸化インジウムとは、互いに、ピーク位置が近接する。このため、下記範囲に固定して、ピーク高さ、半価幅およびガウス関数比率を可変パラメータとして、実測のスペクトルとの残差二乗和が最小となるように収束計算を行なう。
・金属インジウム:443.8±0.5eV
・酸化インジウム:444.6±0.5eV
チタン(Ti)、ならびに、金属インジウム、酸化インジウム、金属スズおよび酸化スズの元素組成比(単位:原子%)を、酸化チタン層9の最表面から、チタン(Ti)の元素組成比が最大値の1/10の値となる深さ位置まで積分し、積分値を得る。
金属インジウムの積分値(InM)、酸化インジウムの積分値(InOx)、金属スズの積分値(SnM)、および、酸化スズ(SnOx)の積分値を、それぞれ、チタンの積分値(Ti)で除する。これにより、原子比(InM/Ti)、原子比(InOx/Ti)、原子比(SnM/Ti)、および、原子比(SnOx/Ti)を求める。
[積層体の製造方法]
上述した積層体7を製造する。
より詳細には、Ti成分を含有する処理液中で、部材8をカソード分極する。すなわち、部材8をカソードとして通電する。これにより、部材8の上に、酸化チタン層9を形成する。このカソード分極に伴い、酸化チタン層9の内部、および、酸化チタン層9と部材8(例えば、ITO膜、FTO膜など)との界面に、金属インジウムまたは金属スズが析出すると推測される。なお、対極としては、白金電極などの不溶性電極が適している。
酸化チタン層9は、以下のように形成されると推測される。まず、部材8の表面では、水素発生に伴うpH上昇が生じる。その結果、例えば、処理液中のTi成分が六フッ化チタン水素酸および/またはその塩である場合、処理液中の六フッ化チタン酸イオンが、脱Fしながら、水酸化チタンを生じる。この水酸化チタンが、部材8の表面に付着し、その後の洗浄、乾燥等による脱水縮合を経て、酸化チタン層9が形成されると考えられる。ただし、これ以外のメカニズムであっても本発明の範囲内であるとする。
部材8は、上述したように、導電性を有する部材であることが好ましく、例えば、ITO膜、FTO膜などの導電性金属酸化物の膜である。
部材8は、上述したように、ガラス基板、樹脂フィルムなどの透明性基板の上に配置されていてもよい。この場合、部材8付き透明性基板(例えば、ITO膜付きガラス基板)をカソード分極する。この場合、得られる積層体も、更に、この透明性基板を有する。
処理液は、形成される酸化チタン層9にTi(チタニウム元素)を供給するためのTi成分(Ti化合物)を含有する。
Ti成分としては、六フッ化チタン水素酸(HTiF)、六フッ化チタン酸カリウム(KTiF)、六フッ化チタン酸ナトリウム(NaTiF)、六フッ化チタン酸アンモニウム((NHTiF)、シュウ酸チタニルアンモニウム((NH[TiO(C])、シュウ酸チタニルカリウム二水和物(K[TiO(C]・2HO)、硫酸チタン(Ti(SO)、および、チタンラクテート(Ti(OH)[OCH(CH)COOH])からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらのうち、処理液の安定性、入手の容易性などの観点から、六フッ化チタン水素酸および/またはその塩(六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸ナトリウム、六フッ化チタン酸アンモニウム)が好ましい。
処理液中のTi含有量は、0.004mol/L以上が好ましく、0.010mol/L以上がより好ましく、0.020mol/L以上が更に好ましい。
一方、処理液中のTi含有量は、1.300mol/L以下が好ましく、1.000mol/L以下がより好ましく、0.700mol/L以下が更に好ましく、0.300mol/L以下が特に好ましく、0.150mol/L以下が最も好ましい。
処理液の溶媒としては、水が使用される。
処理液のpHは、特に限定されず、例えば、pH2.0〜5.0である。pHの調整には公知の酸成分(例えば、リン酸、硫酸など)、または、アルカリ成分(例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア水など)を使用できる。
処理液には、必要に応じて、ラウリル硫酸ナトリウム、アセチレングリコールなどの界面活性剤が含まれていてもよい。付着挙動の経時的な安定性の観点から、処理液には、ピロリン酸塩などの縮合リン酸塩が含まれていてもよい。
処理液の液温は、20〜80℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。
処理液は、更に、伝導助剤を含有していてもよい。
伝導助剤としては、例えば、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウムなどの硝酸塩;塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどの塩化物塩;等が挙げられる。
処理液中の伝導助剤の含有量は、0.010〜1.000mol/Lが好ましく、0.020〜0.500mol/Lがより好ましい。
カソード分極を施す際の電流密度は、0.01A/dm以上が好ましく、0.10A/dm以上がより好ましく、0.20A/dm以上が更に好ましい。
一方、カソード分極を施す際の電流密度は、5.00A/dm以下が好ましく、4.00A/dm以下がより好ましく、1.00A/dm以下が更に好ましい。電流密度がこの範囲であれば、部材8の表面から発生する水素ガスの影響を抑制し、所望する酸化チタン層9の厚さを得やすい。
通電時間は、所望する酸化チタン層9の厚さを得るために、適宜設定される。
カソード分極の後に、水洗を施してもよい。
水洗の方法は特に限定されず、例えば、カソード分極の後に水に浸漬する方法などが挙げられる。水洗に用いる水の温度(水温)は、40〜90℃が好ましい。
水洗時間は、0.5秒超が好ましく、1.0〜5.0秒が好ましい。
更に、水洗に代えて、または、水洗の後に、乾燥を行なってもよい。乾燥の際の温度および方式は特に限定されず、例えば、通常のドライヤまたは電気炉を用いた乾燥方式が適用できる。乾燥温度は、100℃以下が好ましい。
[有機薄膜太陽電池の製造方法]
上述した積層体7を用いて、光透過性電極層2、電子輸送層3、有機半導体層4、ホール輸送層5および集電極層6をこの順に有する有機薄膜太陽電池1を製造する。
例えば、積層体7における酸化チタン層9の上に、有機半導体層4、ホール輸送層5および集電極層6となる層を順次形成する。
有機半導体層4は、例えば、電子輸送層3となる酸化チタン層9の上に、P3HTおよびPCBMを溶解させた溶液をスピンコートし、乾燥することにより形成する。溶液の溶媒としては、例えば、2,6−ジクロロトルエン、クロロホルム、クロロベンゼン、これら2種以上の混合物などが挙げられる。
ホール輸送層5は、例えば、有機半導体層4の上に、PEDOT/PSSの水分散液をスピンコートし、乾燥することにより形成する。
集電極層6は、例えば、ホール輸送層5の上に、Auなどの金属を蒸着することにより形成する。
各層を形成する方法は、これらの方法に限定されず、従来公知の方法を適宜用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
[試験1]
〈光透過性電極層となる部材の準備〉
ガラス基板(30mm×35mm、厚さ0.7mm、無アルカリガラス)の一方の面上にスパッタリングによってITO(Indium Tin Oxide)膜が積層されたITO膜付きガラス基板(シート抵抗値:10Ω/sq、イデアルスター社製)を準備した。このITO膜付きガラス基板を、光透過性電極層となる部材付き透明性基板として用いた。
〈光透過性電極層および電子輸送層となる積層体の作製〉
準備したITO膜付きガラス基板(光透過性電極層となる部材付き透明性基板)を用いて、次のように、光透過性電極層および電子輸送層となる積層体を作製した。
まず、0.040mol/Lの六フッ化チタン酸カリウム(KTiF)および0.10mol/Lの硫酸カリウム(KSO)を含有し、水酸化カリウムにてpHを4.0に調整した処理液(以下、単に「処理液」と略記する)を調製した。
次に、準備したITO膜付きガラス基板を、セミクリーンM4(横浜油脂工業社製)をイオン交換水で20倍希釈した洗浄液中に浸漬させて、10分間の超音波洗浄を行なった。その後、ITO膜付きガラス基板を、洗浄液から取り出し、イオン交換水に浸漬させて、10分間の超音波洗浄を行なった。
洗浄したITO膜付きガラス基板を、調製した処理液(液温:50℃)に浸漬させた。処理液中で、ITO膜付きガラス基板を、電流密度0.40A/dm、通電時間20秒の条件で、カソード分極した。その後、25℃の水槽に2.0秒浸漬させて水洗した後、ブロアを用いて室温で乾燥した。これにより、ITO膜付きガラス基板のITO膜上に、電子輸送層となる酸化チタン層を、厚さ約50nmで形成した。こうして、酸化チタン層を形成したITO膜付きガラス基板(光透過性電極層および電子輸送層となる積層体)を作製した。
〈有機薄膜太陽電池の作製〉
作製した積層体を用いて、以下のようにして、4mm×25mm、すなわち1.0cmの光電変換面積を有する有機薄膜太陽電池を作製した。
《有機半導体層の形成》
2,6−ジクロロトルエンとクロロホルムとを、体積比1:1で混合して、混合溶液を得た。この混合溶液に、P3HT(Aldrich社製)とPCBM(フロンティアカーボン社製)とを、質量比5:4で、合計濃度が3.9質量%となるように、溶解させた。
酸化チタン層の上に、上記混合溶液を、1500rpm、60秒の条件でスピンコートし、室温にて約10分間乾燥して、厚さ250nmの有機半導体層を形成した。
《ホール輸送層の形成》
ポリオキシエチレントリデシルエーテル(C1327(OCHCHOH)を1質量%およびキシレンを1質量%含有し、水およびイソプロパノールを溶媒とする非イオン性界面活性剤(Aldrich社製)を用意した。1.3質量%PEDOT/PSS水分散液(Aldrich社製)100質量部に対して、この非イオン性界面活性剤を0.5質量部混合して、PTE含有PEDOT/PSS水分散液を調製した。
PTE含有PEDOT/PSS水分散液を、70℃に加温し、これを有機半導体層の上に、6000rpm、60秒の条件でスピンコートし、室温にて自然乾燥して、厚さ80nmのホール輸送層を形成した。
《集電極層の形成》
ホール輸送層の上に、Au電極層(集電極層)を、厚さ約100nmになるように真空蒸着した。
より詳細には、4mm×25mmの電極形状に対応するシャドウマスクおよびホール輸送層までが形成されたガラス基板を、チャンバー内に設置した。ロータリーポンプおよびターボ分子ポンプを用いてチャンバー内を減圧とし、チャンバー内圧力を2×10−3Pa以下にした。このチャンバー内で金線を抵抗加熱し、シャドウマスクを介して、ホール輸送層の上に金を100nm成膜した。成膜速度は10〜15nm/minとし、成膜時の圧力は1×10−2Pa以下であった。
このようにして得られた、一方の面上にITO膜(光透過性電極層)、酸化チタン層(電子輸送層)、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層が形成されたガラス基板を、150℃で5分間加熱し、更に70℃で1時間保持した。その後、大気中封止を施した。こうして、有機薄膜太陽電池を作製した。
〈有機薄膜太陽電池の評価〉
作製した有機薄膜太陽電池に対して、次の評価を行なった。
太陽擬似光源装置(SAN−EI Electric社製、XES−502S)を用いて、AM1.5G(IEC規格 60904−3)のスペクトル分布を有し、100mW/cmの光強度を有する擬似太陽光を、有機薄膜太陽電池に対してITO膜側から照射した。この状態で、リニアスイープボルタンメトリー(LSV)測定装置(Hokuto Denko社製、HZ−5000)を用いて、有機薄膜太陽電池の光電流−電圧プロフィールを測定した。
このプロフィールから、短絡電流(絶対値、Jsc):3.37mA/cm、開放電圧(Voc):0.528V、曲線因子(FF):0.52、および、エネルギー変換効率(PCE):0.91%が算出された。
[試験2]
〈光透過性電極層となる部材の準備〉
《ITO膜付ガラス基板》
試験1で用いたものと同じITO膜付ガラス基板を準備した。ITO膜の厚さは150nmであった。このITO膜付きガラス基板を、光透過性電極層となる部材付き透明性基板として用いた。
《FTO膜付ガラス基板》
ガラス基板(30mm×35mm、厚さ0.7mm、無アルカリガラス)の一方の面上にスパッタリングによってFTO(Fluorine−doped Tin Oxide)膜が積層されたFTO膜付きガラス基板(シート抵抗値:10Ω/sq、イデアルスター社製)を準備した。FTO膜の厚さは150nmであった。このFTO膜付きガラス基板を、光透過性電極層となる部材付き透明性基板として用いた。
〈光透過性電極層および電子輸送層となる積層体の作製〉
《酸化チタン層を形成したITO膜付きガラス基板》
準備したITO膜付きガラス基板(光透過性電極層となる部材付き透明性基板)を用いて、カソード分極を下記表1に示す条件で行なった。それ以外は試験1と同様にして、酸化チタン層を形成したITO膜付きガラス基板(光透過性電極層および電子輸送層となる積層体)を作製した。
このようにして作製した積層体は、後述するNo.1〜No.5およびNo.8に用いた。
《酸化チタン層を形成したFTO膜付きガラス基板》
準備したFTO膜付きガラス基板(光透過性電極層となる部材付き透明性基板)を用いて、次のように、光透過性電極層および電子輸送層となる積層体を作製した。
まず、0.040mol/Lの六フッ化チタン酸カリウム(KTiF)および0.10mol/Lの硫酸カリウム(KSO)を含有し、水酸化カリウムにてpHを4.0に調整した処理液(以下、単に「処理液」と略記する)を調製した。
次に、準備したFTO膜付きガラス基板を、セミクリーンM4(横浜油脂工業社製)をイオン交換水で20倍希釈した洗浄液中に浸漬させて、10分間の超音波洗浄を行なった。その後、FTO膜付きガラス基板を、洗浄液から取り出し、イオン交換水に浸漬させて、10分間の超音波洗浄を行なった。
洗浄したFTO膜付きガラス基板を、調製した処理液(液温:50℃)に浸漬させた。処理液中で、下記表1に示す条件で、カソード分極した。その後、25℃の水槽に2.0秒浸漬させて水洗した後、ブロアを用いて室温で乾燥した。これにより、FTO膜付きガラス基板のFTO膜上に、電子輸送層となる酸化チタン層を形成した。こうして、酸化チタン層を形成したFTO膜付きガラス基板(光透過性電極層および電子輸送層となる積層体)を作製した。
このようにして作製した積層体は、後述するNo.7に用いた。
《比較用積層体の作製》
まず、2−メトキシエタノール12.5mL中に、6.25mmolのチタニウムテトライソプロポキシドを添加し、氷浴中で10分間冷却した。次に、12.5mmolのアセチルアセトンを加えて、氷浴中で10分間撹拌し、混合溶液を得た。得られた混合溶液を、80℃で2時間加熱し、その後、1時間還流した。最後に、混合溶液を、室温まで冷却し、酸化チタン前駆体溶液を得た。各工程の雰囲気は、全て窒素雰囲気とした。
次に、洗浄したITO膜付きガラス基板のITO膜上に、酸化チタン前駆体溶液を、回転速度2000rpm、回転時間60秒の条件で、スピンコートして、塗膜を形成した。その後、空気中に放置して、塗膜中の酸化チタン前駆体を加水分解させた。次に、150℃で1時間の加熱処理をして、厚さ30.0nmの酸化チタン層を得た。
このようにして作製した積層体(比較用積層体)は、後述するNo.6に用いた。
更に、洗浄したFTO膜付きガラス基板のFTO膜上に、同様にして、厚さ30.0nmの酸化チタン層を形成し、積層体(比較用積層体)を作製した。作製した積層体は、後述するNo.9に用いた。
〈酸化チタン層の厚さおよび原子比〉
上述した方法に従って、酸化チタン層の厚さ、ならびに、原子比(InM/Ti)および原子比(InOx/Ti)、または、原子比(SnM/Ti)および原子比(SnOx/Ti)を求めた。結果を下記表1に示す。
〈有機薄膜太陽電池の作製〉
作製した積層体を用いて、試験1と同様にして、有機薄膜太陽電池を作製した。
〈有機薄膜太陽電池の評価〉
《太陽光照射環境》
作製した有機薄膜太陽電池に対して、大気中封止で次の評価を行なった。
太陽擬似光源装置(SAN−EI Electric社製、XES−502S)を用いて、AM1.5G(IEC規格 60904−3)のスペクトル分布を有し、100mW/cmの光強度を有する擬似太陽光を、有機薄膜太陽電池に対して、ITO膜側またはFTO膜側から照射した。この状態で、リニアスイープボルタンメトリー(LSV)測定装置(Hokuto Denko社製、HZ−5000)を用いて、有機薄膜太陽電池の光電流−電圧プロフィールを測定した。得られたプロフィールから最大出力を求め、以下の基準にて評価した。結果を下記表1に示す。最大出力の値が大きいほど、出力特性に優れると評価できる。
A:最大出力 2.00mW/cm以上
B:最大出力 1.00mW/cm以上2.00mW/cm未満
C:最大出力 1.00mW/cm未満
《LED光照射環境》
作製した有機薄膜太陽電池に対して、大気中封止で次の評価を行なった。
LEDスタンドライト(パナソニック社製、SQ−LD515)を用いて、10mW/cmの光強度を有するLED光を、有機薄膜太陽電池に対して、ITO膜側またはFTO膜側から照射した。この状態で、リニアスイープボルタンメトリー(LSV)測定装置(Hokuto Denko社製、HZ−5000)を用いて、有機薄膜太陽電池の光電流−電圧プロフィールを測定した。得られたプロフィールから最大出力を求め、以下の基準にて評価した。結果を下記表1に示す。最大出力の値が大きいほど、出力特性に優れると評価できる。
A:最大出力 0.14mW/cm以上
B:最大出力 0.09mW/cm以上0.14mW/cm未満
C:最大出力 0.09mW/cm未満
〈評価結果まとめ〉
上記表1に示すように、酸化チタン層が適切な厚さを有し、かつ、条件1または条件2を満たすNo.1〜No.4およびNo.7〜No.8は、太陽光照射環境下だけでなく、LED光照射環境下においても、出力特性が良好であった。
これに対して、酸化チタン層が厚すぎるNo.5は、太陽光照射環境下およびLED光照射環境下の出力特性が不十分であった。
また、条件1を満たさないNo.6および条件2を満たさないNo.9は、LED光照射環境下の出力特性が不十分であった。
1:有機薄膜太陽電池
2:光透過性電極層
3:電子輸送層
4:有機半導体層
5:ホール輸送層
6:集電極層
7:積層体
8:光透過性電極層となる部材
9:酸化チタン層

Claims (9)

  1. 光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池の前記光透過性電極層および前記電子輸送層となる積層体であって、
    前記光透過性電極層となる部材と、
    前記光透過性電極層となる部材の上に配置された、前記電子輸送層となる酸化チタン層と、を有し、
    前記酸化チタン層の厚さが、1.0nm以上60.0nm以下であり、
    前記酸化チタン層が、下記条件1または条件2を満たす、積層体。
    条件1
    金属インジウムおよび酸化インジウムを含有し、
    チタン元素の含有量をTi、金属インジウムの含有量をInM、酸化インジウムの含有量をInOxとしたとき、
    InM/Tiが、原子比で、0.10以上0.25以下であり、
    InOx/Tiが、原子比で、0.50以上10.00以下である。
    条件2
    金属スズおよび酸化スズを含有し、
    チタン元素の含有量をTi、金属スズの含有量をSnM、酸化スズの含有量をSnOxとしたとき、
    SnM/Tiが、原子比で、0.05以上0.30以下であり、
    SnOx/Tiが、原子比で、0.50以上10.00以下である。
  2. 前記光透過性電極層となる部材が、酸化インジウムを含有し、
    前記酸化チタン層が、前記条件1を満たす、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記光透過性電極層となる部材が、酸化スズを含有し、
    前記酸化チタン層が、前記条件2を満たす、請求項1に記載の積層体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体を用いた、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体を製造する方法であって、
    Ti成分を含有する処理液中で、前記光透過性電極層となる部材をカソード分極することにより、前記光透過性電極層となる部材の上に、前記酸化チタン層を形成する、積層体の製造方法。
  6. 前記処理液中のTi含有量が、0.004mol/L以上1.300mol/L以下である、請求項5に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記Ti成分が、六フッ化チタン水素酸、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸ナトリウム、六フッ化チタン酸アンモニウム、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニルカリウム二水和物、硫酸チタン、および、チタンラクテートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5または6に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記光透過性電極層となる部材をカソードとして、0.01A/dm以上5.00A/dm以下の電流密度で通電する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体を用いて、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池を製造する、有機薄膜太陽電池の製造方法。
JP2020517603A 2018-12-12 2019-12-09 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法 Active JP6741187B1 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018232244 2018-12-12
JP2018232244 2018-12-12
JP2019140474 2019-07-31
JP2019140474 2019-07-31
PCT/JP2019/048012 WO2020121998A1 (ja) 2018-12-12 2019-12-09 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6741187B1 JP6741187B1 (ja) 2020-08-19
JPWO2020121998A1 true JPWO2020121998A1 (ja) 2021-02-15

Family

ID=71075641

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020517603A Active JP6741187B1 (ja) 2018-12-12 2019-12-09 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US11621402B2 (ja)
EP (1) EP3896753A4 (ja)
JP (1) JP6741187B1 (ja)
KR (1) KR102577758B1 (ja)
CN (1) CN113169284B (ja)
TW (1) TWI717144B (ja)
WO (1) WO2020121998A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6906210B2 (ja) * 2019-10-08 2021-07-21 Jfeスチール株式会社 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4958086B2 (ja) 2007-07-17 2012-06-20 独立行政法人産業技術総合研究所 エピタキシャルナノTiO2粒子コーティング及びその作製方法
JP2009146981A (ja) 2007-12-12 2009-07-02 Kanazawa Univ 有機薄膜太陽電池及び有機薄膜太陽電池筐体封止パネル
EP2466664B1 (en) 2009-08-11 2015-03-18 Ideal Star Inc. Method for producing a hole blocking layer and method for manufacturing a photoelectric conversion element comprising the hole blocking layer
WO2013099161A1 (ja) 2011-12-26 2013-07-04 国立大学法人東京工業大学 酸化チタン積層膜、酸化チタン膜とその製造方法、酸化チタン前駆体液、及び色素増感剤型光電変換素子
US20150280019A1 (en) 2012-11-13 2015-10-01 Sekisui Chemical Co., Ltd. Solar cell
JP5617053B1 (ja) 2013-12-11 2014-10-29 積水化学工業株式会社 薄膜太陽電池及び薄膜太陽電池の製造方法
JP6641692B2 (ja) * 2015-01-05 2020-02-05 株式会社リコー 光電変換素子
JP6725221B2 (ja) * 2015-07-31 2020-07-15 積水化学工業株式会社 薄膜太陽電池
CN107359248B (zh) 2017-07-03 2019-08-02 武汉理工大学 一种稳定无光浴高效有机太阳能电池器件及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6741187B1 (ja) 2020-08-19
US11621402B2 (en) 2023-04-04
US20220029115A1 (en) 2022-01-27
TWI717144B (zh) 2021-01-21
TW202030899A (zh) 2020-08-16
KR102577758B1 (ko) 2023-09-11
CN113169284A (zh) 2021-07-23
EP3896753A1 (en) 2021-10-20
CN113169284B (zh) 2024-05-31
EP3896753A4 (en) 2022-03-16
KR20210083350A (ko) 2021-07-06
WO2020121998A1 (ja) 2020-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dong et al. Highly efficient planar perovskite solar cells via interfacial modification with fullerene derivatives
Yuan et al. Nanostructured hybrid ZnO@ CdS nanowalls grown in situ for inverted polymer solar cells
Hossain et al. Efficiency enhancement of natural dye sensitized solar cell by optimizing electrode fabrication parameters
Gu et al. Efficient planar perovskite solar cells based on low-cost spin-coated ultrathin Nb2O5 films
KR101726127B1 (ko) 블록 공중합체를 이용한 염료감응 태양전지용 상대전극 및 이를 포함하는 염료감응 태양전지
JP6741187B1 (ja) 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法
Ramos et al. Fabrication and encapsulation of perovskites sensitized solid state solar cells
CN109851571B (zh) 一种共轭有机小分子界面修饰材料、制备方法及其构成的有机太阳电池
JP6906210B2 (ja) 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法
Parkhomenko et al. Effect of mild mechanical stresses on device physics of slot-die coated flexible perovskite solar cells
JP7173424B1 (ja) 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法
WO2023026704A1 (ja) 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法
US11856807B2 (en) Method for producing laminate and method for producing perovskite solar cell
Sanni et al. THE IMPORTANCE OF FILM THICKNESS ON THE PHOTOVOLTAIC PERFORMANCE OF PEROVSKITE SOLAR CELLS
WO2020122019A1 (ja) 積層体の製造方法および色素増感太陽電池の製造方法
Vallés Pelarda Surface engineering for injection control and hysteresis reduction in Perovskite Solar Cells

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200326

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200326

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200623

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200706

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6741187

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250