JP7173424B1 - 積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

優れた出力特性を有する有機薄膜太陽電池が得られる積層体7を提供する。積層体7は、光透過性電極層となる部材8と、電子輸送層となる酸化亜鉛層9と、を有する。酸化亜鉛層9のZn付着量が、20.0mg/m2以上120.0mg/m2以下である。酸化亜鉛層9は、X線光電子分光法により得られる酸素1sスペクトルを3つのピークに分離し、ピークトップの結合エネルギーが529.0eV以上530.7eV未満の範囲にあるピークの面積をα、ピークトップの結合エネルギーが530.7eV以上532.2eV未満の範囲にあるピークの面積をβとしたとき、下記式(1)で表されるS値が0.90以下である。S=β/(α+β) (1)

Description

本発明は、積層体、有機薄膜太陽電池、積層体の製造方法および有機薄膜太陽電池の製造方法に関する。
従来、有機薄膜太陽電池としては、光透過性電極層、ホール輸送層、有機半導体層、電子輸送層および集電極層をこの順に有する「順型(ノーマル型)」の有機薄膜太陽電池が知られている。
また、近年、耐久性の向上等の観点から、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する「逆型」の有機薄膜太陽電池が提案されている(特許文献1を参照)。
特開2009-146981号公報
上述したように、有機薄膜太陽電池は、例えば、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する。
このような有機薄膜太陽電池には、優れた出力特性を発揮することが要求される。
そこで、本発明は、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する逆型の有機薄膜太陽電池の光透過性電極層および電子輸送層となる積層体であって、優れた出力特性を有する有機薄膜太陽電池が得られる積層体を提供することを目的とする。
更に、本発明は、上記積層体を製造する新規な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成を採用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[4]を提供する。
[1]光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池の上記光透過性電極層および上記電子輸送層となる積層体であって、上記光透過性電極層となる部材と、上記光透過性電極層となる部材の上に配置された、上記電子輸送層となる酸化亜鉛層と、を有し、上記酸化亜鉛層のZn付着量が、20.0mg/m以上120.0mg/m以下であり、上記酸化亜鉛層は、X線光電子分光法により得られる酸素1sスペクトルを3つのピークに分離し、ピークトップの結合エネルギーが529.0eV以上530.7eV未満の範囲にあるピークの面積をα、ピークトップの結合エネルギーが530.7eV以上532.2eV未満の範囲にあるピークの面積をβとしたとき、下記式(1)で表されるS値が0.90以下である、積層体。
S=β/(α+β) (1)
[2]上記[1]に記載の積層体を用いた、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池。
[3]上記[1]に記載の積層体を製造する方法であって、
Zn成分および硝酸イオン成分を含有する処理液中で、上記光透過性電極層となる部材をカソード分極することにより、上記光透過性電極層となる部材の上に、上記酸化亜鉛層を形成する、積層体の製造方法。
[4]上記[1]に記載の積層体を用いて、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池を製造する、有機薄膜太陽電池の製造方法。
本発明によれば、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池の光透過性電極層および電子輸送層となる積層体であって、優れた出力特性を有する有機薄膜太陽電池が得られる積層体を提供できる。
更に、本発明によれば、上記積層体を製造する新規な方法を提供できる。
有機薄膜太陽電池を模式的に示す断面図である。 積層体を模式的に示す断面図である。 発明例5の酸素の1s狭域光電子スペクトルである。
[有機薄膜太陽電池]
まず、図1に基づいて、有機薄膜太陽電池1を説明する。
図1は、有機薄膜太陽電池1を模式的に示す断面図である。有機薄膜太陽電池1は、例えば、光透過性電極層2、電子輸送層3、有機半導体層4、ホール輸送層5および集電極層6をこの順に有する。
光透過性電極層2の厚さは、後述する部材8(図2参照)の厚さに準ずる。
電子輸送層3の厚さは、後述する酸化亜鉛層9(図2参照)の厚さに準ずる。
有機半導体層4、ホール輸送層5および集電極層6の厚さは、適宜設定される。
光透過性電極層2としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜、FTO(Fluorine-doped Tin Oxide)膜などの導電性金属酸化物の膜が好適に挙げられる。光透過性電極層2は、ガラス基板、樹脂フィルムなどの透明性基板の上に配置されていてもよい。
電子輸送層3としては、例えば、n型半導体である酸化亜鉛(ZnO)を含有する酸化亜鉛層が挙げられる。
有機半導体層4としては、例えば、ポリチオフェン誘導体であるポリ-3-ヘキシルチオフェン(P3HT)と、フラーレン誘導体である[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)とを含有する層が挙げられる。
P3HTとPCBMとの質量比(P3HT:PCBM)は、5:3~5:6が好ましく、5:3~5:4がより好ましい。
このような有機半導体層4は、導電性材料、色素などの添加剤を更に含有してもよい。
導電性材料としては、例えば、ポリアセチレン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリパラフェニレン系、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリチエニレンビニレン系、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)系、ポリフルオレン系、ポリアニリン系、ポリアセン系の導電性材料が挙げられる(ただし、後述するPEDOT/PSSは除く)。
色素としては、例えば、シアニン系、メロシアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、キノン系、キナクリドン系、スクアリリウム系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、ポルフィリン系、ペリレン系、インジコ系の色素が挙げられる。
添加剤の含有量は、P3HTとPCBMとの合計100質量部に対して、1~100質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。
ホール輸送層5の材料としては、PEDOT/PSS、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)などが挙げられ、PEDOT/PSSが好ましい。
PEDOT/PSSは、PEDOT(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン)と、PSS(ポリスチレンスルホン酸)とが一体化した高分子化合物であり、PEDOT:PSSと表記される場合もある。
集電極層6としては、例えば、Au電極層、Ag電極層、Al電極層、Ca電極層などが挙げられ、なかでも、Au電極層が好ましい。
[積層体]
次に、図2に基づいて、有機薄膜太陽電池1(図1参照)の光透過性電極層2および電子輸送層3となる積層体7を説明する。
図2は、積層体7を模式的に示す断面図である。積層体7は、光透過性電極層2(図1参照)となる部材8と、部材8の上に配置された、電子輸送層3(図1参照)となる酸化亜鉛層9と、を有する。
〈光透過性電極層となる部材〉
光透過性電極層2(図1参照)となる部材8は、導電性を有する部材であることが好ましく、酸化インジウムまたは酸化スズを含有する部材であることがより好ましい。
部材8は、酸化インジウムを含有する部材である場合、酸化インジウムスズ(ITO)を含有する部材であることが更に好ましく、ITO膜であることが特に好ましい。
部材8は、酸化スズを含有する部材である場合、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)を含有する部材であることが更に好ましく、FTO膜であることが特に好ましい。
部材8は、ガラス基板、樹脂フィルムなどの透明性基板の上に配置されていてもよい。
例えばITO膜やFTO膜である部材8の厚さは、得られる有機薄膜太陽電池1(図1参照)に応じて適宜設定されるが、20nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましく、150nm以上が更に好ましい。一方、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、300nm以下が更に好ましい。
部材8の厚さは、集束イオンビームによって部材8の断面を形成し、形成した断面を、走査型電子顕微鏡を用いて測定することにより得られる値である。
〈酸化亜鉛層〉
酸化亜鉛層9は、酸化亜鉛を含有する層である。
酸化亜鉛層9は、有機薄膜太陽電池1の電子輸送層3(図1参照)となる。
電子輸送層3は、光吸収時に、有機半導体層4で生じた電子を引き抜き、正孔の逆流を抑制することにより、電子と正孔との再結合を抑制し、出力特性の向上に寄与する。
従来、電子輸送層3の材料としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛などが用いられているが、これらのうち、酸化亜鉛は、最適なエネルギー準位、高い電子移動度、高い透過率、環境安定性などを備える。
《Zn付着量》
酸化亜鉛層9のZn付着量は、20.0mg/m以上120.0mg/m以下である。これにより、積層体7を用いた有機薄膜太陽電池1は、出力特性に優れる。
酸化亜鉛層9のZn付着量が20.0mg/m未満では、部材8の表面に酸化亜鉛層9で被覆されていない領域が存在しやすくなる。その場合、漏れ電流が発生しやすくなり、出力特性が不十分となる。
一方、酸化亜鉛層9のZn付着量が120.0mg/mを超えると、電子輸送層3(酸化亜鉛層9)に隣接する有機半導体層4において生成する電子の移動抵抗が増大して、やはり出力の低下を招く。
ただし、これ以外のメカニズムであっても本発明の範囲内であるとする。
出力特性がより優れるという理由から、酸化亜鉛層9のZn付着量は、25.0mg/m以上が好ましく、35.0mg/m以上がより好ましい。
同様の理由から、酸化亜鉛層9のZn付着量は、105.0mg/m以下が好ましく、70.0mg/m以下がより好ましい。
酸化亜鉛層9のZn付着量は、次のように求める。
まず、酸化亜鉛層9の任意の部位について、蛍光X線分析装置(XRF装置)を用いて、下記条件で、蛍光X線分析を実施し、亜鉛(Zn)の蛍光X線強度を測定する。得られたZnの蛍光X線強度から、検量線を用いて、酸化亜鉛層9のZn付着量(単位:mg/m)を求める。
(XRF装置を用いた測定の条件)
・XRF装置:EDX-7000(島津製作所社製)
・X線管:ロジウム(Rh)ターゲット(電圧:50kV、電流:88μA)
・一次フィルタ:OPEN
・検出器:シリコンドリフト半導体検出器
・分析領域:φ5mm
・分析時間:100秒
・不感時間:30%
・スムージング計算方法:Savitzky-Gloay
・スムージング点数:5
・繰り返し回数:1
・バックグランド計算:自動
・試料形態:バルク(試料サイズ:16mm×11mm)
検量線は、例えば、下記手順で作成する。
具体的には、まず、Znの蛍光X線強度を測定した酸化亜鉛層9を有する積層体7を、(1+1)塩酸16mLとフッ化水素酸2mLとの混合液中に入れて加熱し、酸化亜鉛層9を溶解させる。その後、混合液中の亜鉛を、ICP(誘導結合プラズマ)質量分析装置(Aglient Technologies社製、Aglilent8800)で定量する。これを繰り返すことにより、検量線を作成する。
酸化亜鉛層9のZnの蛍光X線強度から、検量線を用いて、例えば、下記式に基づいて、酸化亜鉛層9のZn付着量(単位:mg/m)を求める。ただし、Zn付着量を求める式は、下記式に限定されない。
Zn付着量=13.673×(Znの蛍光X線強度)-2.284
《S値》
酸化亜鉛層9は、下記式(1)で表されるS値が0.90以下である。これにより、積層体7を用いた有機薄膜太陽電池1は、出力特性に優れる。
S=β/(α+β) (1)
S値は、酸化亜鉛層9のヒドロキシ基量や酸素欠陥量などを表す。
酸化亜鉛層9のS値が0.90を超えると、出力特性が不十分になる。これは、有機半導体層4で生成した電子が電子輸送層3(酸化亜鉛層9)中のヒドロキシ基や酸素欠陥などの欠陥構造にトラップされ、電子の移動が妨げられることで、抵抗が増大したり、正孔との再結合確率が増大したりするためと推測される。
これに対して、酸化亜鉛層9のS値が小さいほど、有機半導体層4で生成した電子が、電子輸送層3(酸化亜鉛層9)中のヒドロキシ基や酸素欠陥などの欠陥構造にトラップされにくく、電子の移動が容易になり、出力特性が優れると推察される。
ただし、これ以外のメカニズムであっても本発明の範囲内であるとする。
出力特性がより優れるという理由から、酸化亜鉛層9のS値は、0.75以下が好ましく、0.60がより好ましく、0.40が更に好ましい。
酸化亜鉛層9のS値の下限は、特に限定されず、例えば、0.00であり、0.10が好ましく、0.20がより好ましい。
酸化亜鉛層9のS値は、X線光電子分光法により得られる酸素1sスペクトル(酸素の1s狭域光電子スペクトル)を3つのピークに分離し、低結合エネルギー側の2つのピークの面積から求める。
より詳細には、次のように求める。
まず、酸化亜鉛層9の任意の部位について、X線光電子分光装置(XPS装置)を用いて、下記条件で測定を実施し、酸素の1s狭域光電子スペクトルを得る。次いで、得られた酸素の1s狭域光電子スペクトルを、3つのピークに分離する。ピーク分離では、ソフトウェアとしてIgor Pro8(Ver.8.0.4.2)を用い、関数フィッティングを実施する。バックラインには、三次関数を適用する。関数フィッティングには、ガウス関数を適用する。
(XPS装置を用いた測定の条件)
・XPS装置:Quantera SXM(ULVAC-PHI社製)
・X線源:単色化Al-Kα線(電圧:15kV、出力:25.0W)
・X線ビーム径:100μmφ
・測定領域:100μmφ
・狭域光電子スペクトル測定Pass Energy:112eV
・狭域光電子スペクトル測定Energy Step:0.1eV
・帯電中和:電子線+Ar
図3は、後述する発明例5の酸素の1s狭域光電子スペクトルである。図3には、このスペクトルから分離された3つのピークも併せて示す。
3つのピークを、結合エネルギー(Binding energy)が低い側から順に、1stピーク、2ndピークおよび3rdピークとする。1stピークは亜鉛酸素結合に起因するピーク、2ndピークはヒドロキシ基や酸素欠陥などに起因するピーク、3rdピークは表面吸着水に起因するピークであると推察される。
3つのピークは、互いにピーク位置が近接するため、各ピークのピークトップの結合エネルギーを下記範囲に設定し、3つのピークの半値幅が等しくなるように制約する。ピーク高さを可変パラメータとして、実測のスペクトルとの残差二乗和が最小となるように収束計算を実施する。
・バックライン:三次関数
・1stピーク:529.0eV以上530.7eV未満
・2ndピーク:530.7eV以上532.2eV未満
・3rdピーク:532.2eV以上534.0eV未満
得られたフィッティング結果から、1stピーク(ピークトップの結合エネルギーが529.0eV以上530.7eV未満の範囲にあるピーク)の面積、および、2ndピーク(ピークトップの結合エネルギーが530.7eV以上532.2eV未満の範囲にあるピーク)の面積を求める。
そして、1stピークの面積をα、2ndピークの面積をβとし、上記式(1)から、S値を求める。ここで、αおよびβの単位は、同じである。
なお、3rdピークは、表面吸着水に起因するピークであり、酸化亜鉛の化学状態に影響を及ぼしていないと推察される。このため、3rdピークの面積は、S値を求める上記式(1)のパラメータから除外する。
[積層体の製造方法]
上述した積層体7を製造する。
より詳細には、Zn成分および硝酸イオン成分を含有する処理液中で、部材8をカソード分極する。すなわち、部材8をカソードとして通電する。これにより、部材8の上に、酸化亜鉛層9を形成する。対極としては、白金電極などの不溶性電極が適している。
酸化亜鉛層9は、以下のように形成されると推測される。
まず、部材8の表面では、硝酸イオンから亜硝酸イオンへの還元反応に伴い、pH上昇が生じる。その結果、例えば、処理液中のZn成分が硝酸亜鉛である場合、水酸化亜鉛が生じる。この水酸化亜鉛が、部材8の表面に付着し、その後の洗浄、乾燥等による脱水縮合を経て、酸化亜鉛層9が形成される。
ただし、これ以外のメカニズムであっても本発明の範囲内であるとする。
部材8は、上述したように、導電性を有する部材であることが好ましく、例えば、ITO膜、FTO膜などの導電性金属酸化物の膜である。
部材8は、上述したように、ガラス基板、樹脂フィルムなどの透明性基板の上に配置されていてもよい。この場合、部材8付き透明性基板(例えば、ITO膜付きガラス基板)をカソード分極する。この場合、得られる積層体も、更に、この透明性基板を有する。
処理液は、Zn成分(Zn化合物)を含有する。Zn成分は、形成される酸化亜鉛層9に、Zn(亜鉛元素)を供給する。
Zn成分としては、硝酸亜鉛(Zn(NO)、フッ化亜鉛(ZnF)、塩化亜鉛(ZnCl)、臭化亜鉛(ZnBr)、硫酸亜鉛(ZnSO)および酢酸亜鉛(Zn(CH3COO))からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
処理液は、硝酸イオン成分を含有する。
硝酸イオン成分としては、硝酸亜鉛(Zn(NO)、硝酸(HNO)、硝酸ナトリウム(NaNO)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸マグネシウム(Mg(NO)、硝酸カルシウム(Ca(NO)および硝酸アンモニウム(NHNO)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
Zn成分と硝酸イオン成分とは、一方が他方を兼ねていてもよい。
例えば、Zn成分が硝酸亜鉛である場合、Zn成分は、硝酸イオン成分を兼ねる。
処理液の安定性、入手の容易性などの観点から、Zn成分および硝酸イオン成分を兼ねる成分として、硝酸亜鉛を用いることが好ましい。
処理液のZn含有量は、1.360mol/L以下が好ましく、1.000mol/L以下がより好ましく、0.400mol/L以下が更に好ましく、0.200mol/L以下が特に好ましく、0.100mol/L以下が最も好ましい。
一方、処理液のZn含有量は、0.001mol/L以上が好ましく、0.005mol/L以上がより好ましく、0.010mol/L以上が更に好ましい。
処理液の溶媒としては、水が使用される。
処理液のpHは、特に限定されず、例えば、pH2.0~5.0である。pHの調整には公知の酸成分(例えば、リン酸、硫酸など)、または、アルカリ成分(例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア水など)を使用できる。
処理液には、必要に応じて、ラウリル硫酸ナトリウム、アセチレングリコールなどの界面活性剤が含まれていてもよい。付着挙動の経時的な安定性の観点から、処理液には、ピロリン酸塩などの縮合リン酸塩が含まれていてもよい。
処理液の液温は、得られる酸化亜鉛層9のS値を小さくする観点から、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。処理液の液温が高い場合、脱水反応の活性化エネルギーを超えやすいため、形成される酸化亜鉛層9のヒドロキシ基が減少する。そのため、処理液の液温上昇により、S値が低減すると考えられる。
一方、処理液の液温の上限は、特に限定されず、例えば、90℃であり、80℃が好ましい。
処理液は、更に、伝導助剤を含有していてもよい。
伝導助剤としては、例えば、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウムなどの硝酸塩;塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどの塩化物塩;等が挙げられる。
処理液中の伝導助剤の含有量は、0.010~1.000mol/Lが好ましく、0.020~0.500mol/Lがより好ましい。
カソード分極を施す際の電流密度は、0.01A/dm以上が好ましい。
一方、カソード分極を施す際の電流密度は、5.00A/dm以下が好ましく、4.00A/dm以下がより好ましく、1.00A/dm以下が更に好ましい。電流密度がこの範囲であれば、部材8の表面を均一に被覆した酸化亜鉛層9を得やすい。
通電時間は、所望する酸化亜鉛層9のZn付着量を得るために、適宜設定される。
酸化亜鉛層9のZn付着量は、電流密度と通電時間との積である電気量密度の増加に伴い増加し、電気量密度の減少に伴い減少する。
次に、カソード分極条件によるS値の低減方法について述べる。
電流密度を低下させるとともに、通電時間を増加させることにより、得られる酸化亜鉛層9において、Zn付着量を変えずに、S値を低減できる。推定されるメカニズムは、以下のとおりである。
処理液中において、Zn成分(亜鉛イオン)には、水酸化物イオンと水分子とが配位している。水酸化物イオンの配位数は、pHの上昇に伴い、増加する。
電流密度が高い場合、硝酸イオン成分(硝酸イオン)の還元反応速度が速いため、水酸化物イオンが多量に生成して、部材8の近傍でpHが大きく上昇する。その結果、Zn成分(亜鉛イオン)に水酸化物イオンが多量に配位して脱水反応が十分に進行できず、形成される酸化亜鉛層9にヒドロキシ基が残存して、S値が上昇する。
一方、電流密度が低い場合、硝酸イオン成分(硝酸イオン)の還元反応速度が比較的遅いため、水酸化物イオンの生成が少なく、pHの上昇が少ない。その結果、Zn成分(亜鉛イオン)に対する水酸化物イオンの配位が少なく、更に、通電時間が長いため、脱水反応が十分に進行し、形成される酸化亜鉛層9のヒドロキシ基が減少し、S値が低減する。
処理液のZn含有量(例えば、硝酸亜鉛の配合量)が増加すると、硝酸イオン成分(硝酸イオン)の還元反応頻度が増加して、部材8の近傍が、水酸化物イオンの多い高pH状態となり、形成される酸化亜鉛層9にヒドロキシ基が残存して、S値が増加する。このため、処理液のZn含有量の低減が、S値の低減に有効である。
カソード分極の終了後に、処理液中に、酸化亜鉛層9が形成された部材8を保持してもよい。保持時間の増加に伴い、酸化亜鉛層9の溶解が進行すると考えられる。保持時間は、特に限定されないが、酸化亜鉛層9が全溶解しない時間が好ましく、具体的には、30秒以下が好ましく、2秒以下がより好ましい。
カソード分極の後に、水洗を施してもよい。
水洗の方法は特に限定されず、例えば、カソード分極の後に水に浸漬する方法などが挙げられる。水洗に用いる水の温度(水温)は、40~90℃が好ましい。
水洗時間は、0.5秒超が好ましく、1.0~5.0秒が好ましい。
更に、水洗に代えて、または、水洗の後に、乾燥してもよい。乾燥の際の温度および方式は特に限定されず、例えば、通常のドライヤまたは電気炉を用いた乾燥方式が適用できる。乾燥温度は、100℃以下が好ましい。
[有機薄膜太陽電池の製造方法]
上述した積層体7を用いて、光透過性電極層2、電子輸送層3、有機半導体層4、ホール輸送層5および集電極層6をこの順に有する有機薄膜太陽電池1を製造する。
例えば、積層体7における酸化亜鉛層9の上に、有機半導体層4、ホール輸送層5および集電極層6となる層を順次形成する。
有機半導体層4は、例えば、電子輸送層3となる酸化亜鉛層9の上に、P3HTおよびPCBMを溶解させた溶液をスピンコートし、乾燥することにより形成する。溶液の溶媒としては、例えば、2,6-ジクロロトルエン、クロロホルム、クロロベンゼン、これら2種以上の混合物などが挙げられる。
ホール輸送層5は、例えば、有機半導体層4の上に、PEDOT/PSSの水分散液をスピンコートし、乾燥することにより形成する。
集電極層6は、例えば、ホール輸送層5の上に、Auなどの金属を蒸着することにより形成する。
各層を形成する方法は、これらの方法に限定されず、従来公知の方法を適宜用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
〈光透過性電極層となる部材の準備〉
ガラス基板(15mm×35mm、厚さ0.7mm、無アルカリガラス)の一方の面上にスパッタリングによってITO(Indium Tin Oxide)膜が積層されたITO膜付きガラス基板(シート抵抗値:10Ω/sq、イデアルスター社製)を準備した。このITO膜付きガラス基板を、光透過性電極層となる部材付き透明性基板として用いた。
〈光透過性電極層および電子輸送層となる積層体の作製〉
準備したITO膜付きガラス基板(光透過性電極層となる部材付き透明性基板)を用いて、次のように、光透過性電極層および電子輸送層となる積層体を作製した。
まず、硝酸亜鉛(Zn(NO)を含有し、水酸化ナトリウムまたは硫酸を用いてpHを4.4に調整した処理液(以下、単に「処理液」と略記する)を調製した。
各処理液においては、下記表1に示すZn含有量(単位:mol/L)となるように、硝酸亜鉛の配合量を調整した。
次に、準備したITO膜付きガラス基板を、洗剤であるセミクリーンM4(横浜油脂工業社製)をイオン交換水で20倍希釈した洗浄液中に浸漬させて、10分間の超音波洗浄を実施した。その後、ITO膜付きガラス基板を、洗浄液から取り出し、イオン交換水に浸漬させて、10分間の超音波洗浄を実施した。
洗浄したITO膜付きガラス基板を、調製した処理液に浸漬した。処理液の温度(液温)は、下記表1に示す温度(単位:℃)とした。
ITO膜付きガラス基板を、処理液中で下記表1に示すカソード分極条件(電流密度、通電時間)でカソード分極し、カソード分極が終了したら2秒以内に処理液から取り出して、25℃の水槽に2.0秒浸漬させて水洗した後、ブロアを用いて室温で乾燥した。
これにより、ITO膜付きガラス基板のITO膜上に、電子輸送層となる酸化亜鉛層(16mm×10mm)を形成した。こうして、酸化亜鉛層が形成されたITO膜付きガラス基板(光透過性電極層および電子輸送層となる積層体)を作製した。
《Zn付着量》
作製した積層体について、上述した方法に従って、酸化亜鉛層のZn付着量を求めた。結果を下記表1に示す。
《S値》
作製した積層体について、上述した方法に従って、酸化亜鉛層の酸素の1s狭域光電子スペクトルを得て、S値を求めた。結果を下記表1に示す。
一例として、図3に、発明例5の酸素の1s狭域光電子スペクトルを、このスペクトルから分離された3つのピークと共に示す。
図3において、1stピークの面積αおよび2ndピークの面積βは、それぞれ、18350および25526であった。
〈有機薄膜太陽電池の作製〉
作製した積層体を用いて、以下のようにして、4mm×10mm、すなわち0.4cmの光電変換面積を有する有機薄膜太陽電池を作製した。
《有機半導体層の形成》
2,6-ジクロロトルエンとクロロホルムとを、体積比1:1で混合して、混合溶液を得た。この混合溶液に、P3HT(Aldrich社製)とPCBM(フロンティアカーボン社製)とを、質量比5:4で、合計濃度が3.9質量%となるように、溶解させた。
酸化亜鉛層の上に、上記混合溶液を、1500rpm、60秒の条件でスピンコートし、室温にて約10分間乾燥して、厚さ250nmの有機半導体層を形成した。
《ホール輸送層の形成》
ポリオキシエチレントリデシルエーテル(PTE:C1327(OCHCHOH)を1質量%およびキシレンを1質量%含有し、水およびイソプロパノールを溶媒とする非イオン性界面活性剤(Aldrich社製)を用意した。1.3質量%PEDOT/PSS水分散液(Aldrich社製)100質量部に対して、この非イオン性界面活性剤を0.5質量部混合して、PTE含有PEDOT/PSS水分散液を調製した。
PTE含有PEDOT/PSS水分散液を、70℃に加温し、これを有機半導体層の上に、6000rpm、60秒の条件でスピンコートし、室温にて自然乾燥して、厚さ80nmのホール輸送層を形成した。
《集電極層の形成》
ホール輸送層の上に、Au電極層(集電極層)を、厚さ約100nmになるように真空蒸着した。
より詳細には、4mm×10mmの電極形状に対応するシャドウマスクおよびホール輸送層までが形成されたガラス基板を、チャンバー内に設置した。ロータリーポンプおよびターボ分子ポンプを用いてチャンバー内を減圧とし、チャンバー内圧力を2×10-3Pa以下にした。このチャンバー内で金線を抵抗加熱し、シャドウマスクを介して、ホール輸送層の上に金を100nm成膜した。成膜速度は10~15nm/minとし、成膜時の圧力は1×10-2Pa以下であった。
このようにして得られた、一方の面上にITO膜(光透過性電極層)、酸化亜鉛層(電子輸送層)、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層が形成されたガラス基板を、150℃で5分間加熱し、更に70℃で1時間保持した。その後、大気中封止を施した。こうして、有機薄膜太陽電池を作製した。
〈有機薄膜太陽電池の評価〉
作製した有機薄膜太陽電池に対して、次の評価を実施した。
太陽擬似光源装置(SAN-EI Electric社製、XES-502S)を用いて、AM1.5G(IEC規格 60904-3)のスペクトル分布を有し、100mW/cmの光強度を有する擬似太陽光を、有機薄膜太陽電池に対してITO膜側から照射した。この状態で、リニアスイープボルタンメトリー(LSV)測定装置(Hokuto Denko社製、HZ-5000)を用いて、有機薄膜太陽電池の光電流-電圧プロフィールを測定した。
得られたプロフィールから最大出力を求め、以下の基準にて評価した。結果を下記表1に示す。最大出力の値が大きいほど、出力特性に優れると評価できる。
A:最大出力 2.00mW/cm以上
B:最大出力 1.00mW/cm以上2.00mW/cm未満
C:最大出力 1.00mW/cm未満
Figure 0007173424000001
〈評価結果まとめ〉
上記表1において、下線は、本発明の範囲外を意味する。
上記表1に示すように、酸化亜鉛層のZn付着量が20.0mg/m以上120.0mg/m以下であり、かつ、酸化亜鉛層のS値が0.90以下である発明例1~3および5~15は、出力特性が良好であった。
特に、酸化亜鉛層のZn付着量が35.0mg/m以上70.0mg/m以下であり、かつ、S値が0.75以下である発明例1~2、5、7~9および12~13は、出力特性がより良好であった。
これに対し、酸化亜鉛層のZn付着量が少なすぎる比較例1、および、酸化亜鉛層のS値が大きすぎる比較例2は、出力特性が不十分であった。
比較例2においては、処理液のZn含有量(硝酸亜鉛の配合量)が多いため、硝酸イオンの還元反応頻度が増加することで、亜鉛イオンに水酸化物イオンが多量に配位したと考えられる。水酸化物イオンが多量に存在するため、脱水反応が十分に進行できず、更に、処理液の液温が低いため、脱水反応の活性化エネルギーを超えにくく、S値が増加したと考えられる。
《Zn付着量》
Zn付着量は、電流密度と通電時間との積である電気量密度の増加に伴い、増加する。
通電時間だけが異なる発明例3、5~6、12~13および比較例1を対比すると、通電時間の増加に伴い、Zn付着量が増加した。
Zn付着量が20.0mg/cm以上になるよう通電時間を増加させることで、出力特性の評価は「B」となった。更に、Zn付着量が35.0mg/cm以上70.0mg/cm以下になるよう通電時間を増加させることで、出力特性の評価は「A」に向上した。これは、Zn付着量の増加に伴い、漏れ電流をより抑制できたためと推察される。
発明例3に示すように、通電時間を更に増加させて、Zn付着量が70mg/cmを超えた場合、出力特性の評価が「B」となった。これは、Zn付着量の増加に伴い、電子輸送層(酸化亜鉛層)に隣接する有機半導体層において、生成する電子の移動抵抗が増大したためと推察される。
また、異なる電流密度において、同程度のZn付着量を得る場合、高い電流密度では通電時間が減少し、低い電流密度では通電時間が増加する。
発明例1、5および14に示すように、電流密度を変化させても、通電時間を調整することで、同程度のZn付着量が得られた。電流密度の増加に伴い、硝酸イオンの還元反応速度が増加するため、短い通電時間で所望のZn付着量を得られたと考えられる。
《S値》
Zn付着量が同程度であり、電流密度と通電時間とが異なる発明例1、5および14に示すように、電流密度の低下および通電時間の増加に伴い、S値が低減した。
また、発明例8および15においても、電流密度の低下および通電時間の増加に伴い、S値が低減した。
特に、発明例1、5および8は、S値が0.75以下のため、出力特性の評価が「A」に向上した。
処理液のZn含有量(硝酸亜鉛の配合量)のみが異なる発明例5、8および10~11に示すように、処理液のZn含有量の減少に伴い、S値が低減した。
また、発明例14と発明例15との対比、発明例7と比較例2との対比においても、処理液のZn含有量の減少に伴い、S値が低減した。
特に、発明例5、8および7は、S値が0.75以下のため、出力特性の評価が「A」に向上した。
処理液の液温のみが異なる発明例2、5および7に示すように、処理液の液温の上昇に伴い、S値が低減した。いずれもS値が0.75以下のため、出力特性の評価は「A」であった。
また、発明例9と発明例10との対比、発明例11と比較例2との対比においても、処理液の液温の上昇に伴い、S値が低減した。特に、発明例9は、S値が0.75以下のため、出力特性の評価は「A」に向上した。
1:有機薄膜太陽電池
2:光透過性電極層
3:電子輸送層
4:有機半導体層
5:ホール輸送層
6:集電極層
7:積層体
8:光透過性電極層となる部材
9:酸化亜鉛層

Claims (4)

  1. 光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池の前記光透過性電極層および前記電子輸送層となる積層体であって、
    前記光透過性電極層となる部材と、
    前記光透過性電極層となる部材の上に配置された、前記電子輸送層となる酸化亜鉛層と、を有し、
    前記酸化亜鉛層のZn付着量が、20.0mg/m以上120.0mg/m以下であり、
    前記酸化亜鉛層は、X線光電子分光法により得られる酸素1sスペクトルを3つのピークに分離し、ピークトップの結合エネルギーが529.0eV以上530.7eV未満の範囲にあるピークの面積をα、ピークトップの結合エネルギーが530.7eV以上532.2eV未満の範囲にあるピークの面積をβとしたとき、下記式(1)で表されるS値が0.90以下である、積層体。
    S=β/(α+β) (1)
  2. 請求項1に記載の積層体を用いた、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池。
  3. 請求項1に記載の積層体を製造する方法であって、
    Zn成分および硝酸イオン成分を含有する処理液中で、前記光透過性電極層となる部材をカソード分極することにより、前記光透過性電極層となる部材の上に、前記酸化亜鉛層を形成する、積層体の製造方法。
  4. 請求項1に記載の積層体を用いて、光透過性電極層、電子輸送層、有機半導体層、ホール輸送層および集電極層をこの順に有する有機薄膜太陽電池を製造する、有機薄膜太陽電池の製造方法。
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