JPWO2020116315A5 - - Google Patents
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Description
本発明の第1の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、セルロース繊維と、熱と水分に反応して自己接着又は他の繊維に接着可能な湿熱接着性バインダー繊維と、微細繊維状セルロースとを、湿式抄紙法で抄紙して、前記セルロース繊維同士を前記湿熱接着性バインダー繊維で接着させてシート状の原紙を形成する工程と、前記シート状原紙に樹脂を含浸して繊維強化樹脂シートを形成する工程とを含み、前記シート状原紙における前記セルロース繊維の含有量が、60重量%~98重量%であり、前記微細繊維状セルロースの含有量が、20重量%~1重量%である。これにより、従来困難であったセルロース繊維を用いたシート状原紙に樹脂を速やかに含浸させることが可能となる。すなわち、緻密になって樹脂を含浸できなくなる問題を、保水性を有する微細繊維状セルロースを含有させることで、湿潤性を高めて湿熱接着性バインダー繊維を反応させることが可能となる。この結果、セルロース繊維の中に樹脂を隙間なく配置して補強させ、繊維強化樹脂シート全体の強度と信頼性を高めることができる。また、湿式抄紙法でシート化する工程において微細繊維状セルロースでもって保水性を高め、湿熱接着性バインダー繊維の接着性を向上させることができる。
さらにまた、第4の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記シート状原紙の坪量を、5g/m2~100g/m2、密度を0.3g/cm3~0.7g/cm3、引張強度を1.0kN/m以上、透気抵抗度を2sec以下とすることができる。
さらにまた、第5の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記セルロース繊維の平均繊維長を、0.5mm~7.0mmとし、前記セルロース繊維の平均繊維径を、5μm~50μmとすることができる。
さらにまた、第6の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記湿熱接着性バインダー繊維を、熱水で軟化して自己接着または他の繊維に接着可能な熱可塑性繊維とすることができる。
さらにまた、第7の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記湿熱接着性バインダー繊維を、ポリビニル系繊維、セルロース系繊維、又は変性ビニル系共重合体からなる繊維とすることができる。
さらにまた、第8の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記シート状原紙における前記湿熱接着性バインダー繊維の含有量を、1重量%~20重量%とすることができる。
さらにまた、第9の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記微細繊維状セルロースを、前記セルロース繊維を解繊及び/又は微細化することで得られる長さが3μm以上、平均繊維径が0.004μm~0.500μmのセルロースで構成することができる。
さらにまた、第10の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記湿式抄紙法でシート化する工程において、定着剤、凝結剤、又は凝集剤を添加することができる。これにより、微細繊維状セルロースの歩留りを向上させることができる。
さらにまた、第11の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記シート状原紙に含浸される前記樹脂を、熱硬化性樹脂とすることができる。
さらにまた、第12の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、セルロース繊維と、熱と水分に反応して自己接着又は他の繊維に接着可能な湿熱接着性バインダー繊維と、微細繊維状セルロースとを、湿式抄紙法で抄紙して、前記セルロース繊維同士を前記湿熱接着性バインダー繊維で接着させてシート状の原紙を形成する工程と、前記シート状原紙に樹脂を含浸して繊維強化樹脂シートを形成する工程とを含み、前記シート状原紙に含浸される前記樹脂を、熱硬化性樹脂とすることができる。
さらにまた、第12の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、セルロース繊維と、熱と水分に反応して自己接着又は他の繊維に接着可能な湿熱接着性バインダー繊維と、微細繊維状セルロースとを、湿式抄紙法で抄紙して、前記セルロース繊維同士を前記湿熱接着性バインダー繊維で接着させてシート状の原紙を形成する工程と、前記シート状原紙に樹脂を含浸して繊維強化樹脂シートを形成する工程とを含み、前記シート状原紙に含浸される前記樹脂を、熱硬化性樹脂とすることができる。
さらにまた、第13の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記熱硬化性樹脂を、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂の何れかとすることができる。
さらにまた、第14の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記シート状原紙に含浸される前記樹脂を、熱可塑性樹脂とすることができる。
さらにまた、第15の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記熱可塑性樹脂を、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂及びポリオレフィン系樹脂の何れかとすることができる。
さらにまた、第16の形態に係る繊維強化樹脂シートの製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記シート状原紙に樹脂を含浸して繊維強化樹脂シートを形成する工程において、前記シート状原紙を所定形状にて配置し、型枠又はフィルムで密閉した上で、前記樹脂を含浸させることができる。
さらにまた、第17の形態に係る繊維強化樹脂成形体の製造方法によれば、上記何れかの方法で得られた繊維強化樹脂シートを複数枚積層して、繊維強化樹脂成形体を形成する工程を含むことができる。
さらにまた、第18の形態に係る繊維強化樹脂成形体の製造方法によれば、上記何れかに加えて、前記繊維強化樹脂シートに樹脂を含浸させたプラスチック成形体におけるセルロース繊維の含有量を、20重量%~70重量%とすることができる。
さらにまた、他の形態に係る繊維強化樹脂シートを構成するシート状原紙の製造方法によれば、セルロース繊維と、熱と水分に反応して自己接着又は他の繊維に接着可能な湿熱接着性バインダー繊維と、微細繊維状セルロースとを、湿式抄紙法で抄紙して、前記セルロース繊維同士を前記湿熱接着性バインダー繊維で接着させてシート状の原紙を形成する工程を含むことができる。
さらにまた、第19の形態に係る繊維強化樹脂シートによれば、セルロース繊維と、熱と水分に反応して自己接着又は他の繊維に接着可能な湿熱接着性バインダー繊維と、微細繊維状セルロースと、樹脂とを含み、前記樹脂を除いた前記セルロース繊維の含有量が、60重量%~98重量%であり、前記微細繊維状セルロースの含有量を、20重量%~1重量%とすることができる。上記構成により、従来困難であったセルロース繊維を用いたシート状原紙に容易に樹脂を含浸させることが可能となる。すなわち、緻密になって樹脂を含浸できなくなる問題を、保水性を有する微細繊維状セルロースを含有させることで、湿潤性を高めて湿熱接着性バインダー繊維を反応させることが可能となる。この結果、セルロース繊維の中に樹脂を隙間なく配置して補強させ、繊維強化樹脂シート全体の強度と信頼性を高めることができる。
さらにまた、第20の形態に係る繊維強化樹脂成形体は、上記繊維強化樹脂シートを複数枚積層して得ることができる。
さらにまた、他の形態に係る繊維強化樹脂シートを構成するためのシート状原紙によれば、セルロース繊維と、熱と水分に反応して自己接着又は他の繊維に接着可能な湿熱接着性バインダー繊維と、微細繊維状セルロースとを含むことができる。
Claims (20)
- 繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
セルロース繊維と、熱と水分に反応して自己接着又は他の繊維に接着可能な湿熱接着性バインダー繊維と、微細繊維状セルロースとを、湿式抄紙法で抄紙して、前記セルロース繊維同士を前記湿熱接着性バインダー繊維で接着させてシート状の原紙を形成する工程と、
前記シート状原紙に樹脂を含浸して繊維強化樹脂シートを形成する工程とを含み、
前記シート状原紙における
前記セルロース繊維の含有量が、60重量%~98重量%であり、
前記微細繊維状セルロースの含有量が、20重量%~1重量%である繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記セルロース繊維が、未叩解のパルプである繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項2に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記セルロース繊維が、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ、非木材パルプ、又は塩素フリーパルプである繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記シート状原紙の坪量が、5g/m2~100g/m2、密度が0.3g/cm3~0.7g/cm3、引張強度が1.0kN/m以上、透気抵抗度が2sec以下である繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記セルロース繊維の平均繊維長が、0.5mm~7.0mmであり
前記セルロース繊維の平均繊維径が、5μm~50μmである繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記湿熱接着性バインダー繊維が、熱水で軟化して自己接着または他の繊維に接着可能な熱可塑性繊維である繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項6に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記湿熱接着性バインダー繊維が、ポリビニル系繊維、セルロース系繊維、又は変性ビニル系共重合体からなる繊維である繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記シート状原紙における前記湿熱接着性バインダー繊維の含有量が、1重量%~20重量%である繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~8のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記微細繊維状セルロースが、前記セルロース繊維を解繊及び/又は微細化することで得られる長さが3μm以上、平均繊維径が0.004μm~0.500μmのセルロースで構成される微細有機繊維である繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~9のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記湿式抄紙法でシート化する工程において、定着剤、凝結剤、又は凝集剤を添加してなる繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~10のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記シート状原紙に含浸される前記樹脂が、熱硬化性樹脂である繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
セルロース繊維と、熱と水分に反応して自己接着又は他の繊維に接着可能な湿熱接着性バインダー繊維と、微細繊維状セルロースとを、湿式抄紙法で抄紙して、前記セルロース繊維同士を前記湿熱接着性バインダー繊維で接着させてシート状の原紙を形成する工程と、
前記シート状原紙に樹脂を含浸して繊維強化樹脂シートを形成する工程とを含み、
前記シート状原紙に含浸される前記樹脂が、熱硬化性樹脂である繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項11又は12に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂の何れかである繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~10のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記シート状原紙に含浸される前記樹脂が、熱可塑性樹脂である繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項14に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂及びポリオレフィン系樹脂の何れかである繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~15のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法であって、
前記シート状原紙に樹脂を含浸して繊維強化樹脂シートを形成する工程が、前記シート状原紙を所定形状にて配置し、型枠又はフィルムで密閉した上で、前記樹脂を含浸させてなる繊維強化樹脂シートの製造方法。 - 請求項1~16のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法で得られた繊維強化樹脂シートを複数枚積層して、繊維強化樹脂成形体を形成する工程を含む繊維強化樹脂成形体の製造方法。
- 請求項17に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法であって、
前記繊維強化樹脂シートに樹脂を含浸させたプラスチック成形体における前記セルロース繊維の含有量が、20重量%~70重量%である繊維強化樹脂成形体の製造方法。 - 繊維強化樹脂シートであって、
セルロース繊維と、
熱と水分に反応して自己接着又は他の繊維に接着可能な湿熱接着性バインダー繊維と、
微細繊維状セルロースと、
樹脂と
を含み、
前記樹脂を除いた
前記セルロース繊維の含有量が、60重量%~98重量%であり、
前記微細繊維状セルロースの含有量が、20重量%~1重量%である繊維強化樹脂シート。 - 請求項19に記載の繊維強化樹脂シートを複数枚積層した繊維強化樹脂成形体。
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