JPWO2020090669A1 - 衣料用芯材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性をアップさせて劣化(黄変、脆化)もなく、汗、水等に対する速乾性を高め、通気性も良く、軽量化されたEVA樹脂発泡体で成る衣料用芯材及びその製造方法を提供する。【解決手段】エチレン・酢酸ビニル共重合体の樹脂材を10〜50倍に発泡した樹脂発泡体に均一にパンチング加工若しくはスリット加工を施した板状の版材の表裏両面若しくは片面に生地を積層するラミネート加工を施したシート材を90℃〜150℃程度で加熱処理し、コールドプレス成型加工し、又はシート材をパーツに裁断、縫合する。【選択図】図8

Description

本発明は、人間の肌と密着若しくは接するブラジャーを始め、バストを覆うカップ部を備えた衣類全般(ボディスーツ、オールイン型ブラジャー、ブラスリップ、水着、レオタード、スポーツ衣料等)、ヘルメット内装材、靴材、鞄材、アウター肩パットなどに対して好適に採用され得ると共に、耐候性、速乾性、通気性に優れ軽量化された、エチレン・酢酸ビニル共重合体(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer)の合成樹脂発泡体を基礎材料として加工処理された衣料用芯材及びその製造方法に関するものである。
衣料としてのブラジャーは一般的に乳房を支え、胸の形を美しく整えるための女性用の下着であり、図1及び図2に示すように女性の左右の乳房を覆うように2つのカップ部1A、1Bを有し、着用部材2として背部のベルトと肩とに回した紐で装着する。通常カップ部1A及び1Bは、同一の形状の面体対称の構造であり、カップ部1A、1Bの下側に設けるワイヤーの挿入位置を工夫したり、カップ部1A、1Bの有無又は形状を工夫したり、或いは背部のベルトと肩紐の有無又は伸縮性のバランスを工夫した様々なものに分類される。そして、ブラジャーのサイズは胸囲と乳房の大きさにより決まり、素材は綿、ナイロン、ポリエステル、スパンデックスなど、主に伸縮性のある素材が組み合わされて使用されている。これらのブラジャーのカップ部(カップ本体)の基材としてポリウレタン発泡体やバインダータイプの不織布が使用されている。ポリウレタン発泡体は洗濯後の保形性、クッション性に優れていて、一般的には乾熱プレス加工の成型タイプで使用されている。不織布は通気性があり、軽く、主に素材を裁断して縫合するカットソータイプに使用されていている。
一般的なブラジャーカップとは、左右の乳房を覆うお椀状(キャップ状)の部位に使用する素材である。図3はブラジャーのカップ1A(若しくは1B)の構造例を示す分解図であり、芯材となるカップ本体1A−1と、カップ本体1A−1の内側に積層され、バストに接する部位1A−2と、カップ本体1A−1の外側に積層される部位1A−3とで構成されている。カップ本体1A−1の芯材には、一般的にポリウレタン発泡体若しくは不織布が使用されており、部位1A−2及び1A−3の素材にはポリエステル系の生地が使用されている。カップ本体1A−1に部位1A−2,1A−3をラミネート加工する。ラミネート加工は長い連続シートの長尺で行うことができるが、加工後に所定の長さに裁断する必要がある。ポリウレタン発泡体を芯材としたブラジャーを成型カップブラジャー(モールドタイプ)と言い、カップをバストの形状にフィットするように、お椀状にするために200℃程度の高温で、乾熱プレス成型加工によって成型する。表面は凹凸がなくなだらかで、縫い目がなく、外衣に当たりがでない立体的な丸みのある綺麗なラインが特徴である。不織布を芯材としたブラジャーをカットソー(cut & saw)ブラジャー(カットソータイプ)と言い、バストの形に合わせて複数のパーツに裁断、縫合されたもので、縫い目があることが特徴である。
カップ部のカップ本体1A−1の基礎材として使用されるポリウレタンは、ウレタン(-NH・CO・O-)が介するウレタン結合を有する重合体の総称で、通常イソシアネート基と水酸基を有する化合物の重付加により生成される。ポリウレタンは抗張力や耐摩耗性に優れるが、空気中の窒素酸化物(NOx)、塩分、紫外線、熱、微生物などの影響で、徐々に分解される問題がある。分解はその素材が合成された時から始まり、耐候性の劣化は、使用回数などとは無関係に進む。
ここで、モールドタイプとカットソータイプの現状と要求項目を比較して纏めると、下記表1のようになる。〇は良好、×は不可、△は中間をそれぞれ示している。
Figure 2020090669
表1から分かるように、モールドタイプでは、劣化、水分の保持性、ラミネート生地の劣化で問題があり、カットソータイプでは、洗濯時の保形性と水分の保持性で問題がある。
ブラジャーの一般的な製造工程は、例えば図4に示すように、そのカップ部の製造方法から、モールド(成型)タイプとカットソー(縫合)タイプとに区別される。
モールド(成型)タイプは、主な芯材はポリウレタン発泡体で、その表裏層にポリエステル天竺等を使用してラミネート加工を施す(ステップS1)。表裏両面にラミネート加工を施した3層品シートを、バストの形になっている金型にセットして乾熱プレス成型加工し、カップ部を成型する(ステップS2)。成型したカップ部をバストの形に型抜きし(ステップS3)、カップ部を完成させる。
また、カットソー(縫合)タイプは、主な芯材は不織布で、その表裏層にトリコット類を使用してラミネート加工を施す(ステップS5)。表裏両面にラミネート加工を施した3層品、又は表裏どちらか一方の片面にラミネート加工を施した2層品シート又は不織布単体を数パーツに裁断し(ステップS6)、縫合して(ステップS7)、丸みのあるカップ部を完成させる。
モールド(成型)タイプ及びカットソー(縫合)タイプ共に、カップ部、背部ベルト、肩紐(有無あり)を縫合し、カップ表面にレース等の装飾を施して、商品としてのブラジャーが完成する。
特許第6387212号公報 特開2004−111056号公報 特開2006−328604号公報 特開2008−7893号公報 特開2013−87387号公報
ポリウレタン発泡体は上述のような利点を有すると共に、耐候性が悪く、黄変、劣化するなどの欠点を有しているため、添加剤を加えて製造する場合もあるが、製造コストがアップすると共に、欠点が完全に解消されるものではない。
ポリウレタンの発泡体を使用しているヘルメット内装材、靴材、鞄材、アウター肩パットなどでも同様な問題がある。日用品で経時劣化に伴うトラブルも多く、靴に使用されているポリウレタン発泡体の劣化破損では、捻挫などの怪我を負う場合もある。
また、特開2013−87387号公報(特許文献5)は、衣料用カップ部材にEVA発泡体やEVA発泡シートを使用することを示しているが、EVA発泡体及びEVA発泡シートの構造(重合率、発泡倍率等)や製造方法に関しては何の開示もない。つまり、特許文献5には、衣料用芯材として最適な材料の内容が開示されていない。特許文献5は、単にEVA発泡体、EVA発泡シートといった用語を示しているだけである。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、耐候性をアップさせて劣化(黄変、脆化)もなく、汗、水等に対する速乾性を高め、通気性も良く、軽量化されたEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)の樹脂発泡体で成る衣料用芯材、特にブラジャー要素を提供することにある。本発明に係る衣料用芯材は、ボディスーツ、オールイン型ブラジャー、ブラスリップ、水着、レオタード、スポーツ衣料等の衣類全般、ヘルメット内装材、靴材、鞄材、アウター肩パットなどに対して好適に採用可能である。
本発明は、ブラジャー要素等の衣料用芯材に関し、本発明の上記目的は、エチレン・酢酸ビニル共重合体の樹脂材を10〜50倍に発泡し、この発泡された樹脂発泡体に対して均一にパンチング加工若しくはスリット加工を施した板状の版材の表裏両面若しくは片面に生地を積層するラミネート加工を施したシート材を90℃〜150℃程度で加熱処理し、コールドプレス成型加工し、又は前記シート材をパーツに裁断、縫合することにより達成される。
本発明では、耐候性が良くて劣化(黄変、脆化)もなく、汗、水等に対する速乾性が高いEVA樹脂の発泡体にパンチング加工若しくはスリット加工を施した版材に生地をラミネート加工して、ブラジャー要素等の衣料用芯材を製造しおり、ポリウレタン発泡体を主とする従来の衣料用芯材に限らず、従来のモールドタイプ、カットソータイプの衣料用芯材の問題も同時に解消している。また、パンチング加工若しくはスリット加工をしているので通気性も良く、軽量化されている。更に、ラミネート加工後のシート材を加熱処理した後、常温のコールドプレス成型加工により加工しているので、乾熱プレス成型加工のように生地に損傷を与えることもなく、安価で高品質な衣料用芯材を提供できる。
一般的なブラジャーの構成を示す正面図である。 一般的なブラジャーの装着の様子を示す斜視図である。 一般的なブラジャーのカップ部の構成例を示す分解図である。 ブラジャーの一般的な製造工程の一例を示すフローチャートである。 耐候性試験の結果を示す色相図である。 連続気泡体と独立気泡体の相違を示す模式的組成図である。 乾熱プレス成型加工とコールドプレス成型加工による生地ダメージの違いを示す組織表面図である。 本発明に係るブラジャー要素の製造工程の一例を示すフローチャートである。 スリット加工された単体シートの外観を示す図である。 通気性に関する試験結果を示す特性図である。
本発明は、人間の肌と密着若しくは接するブラジャーを始め、ボディスーツ、オールイン型ブラジャー、ブラスリップ、水着、レオタード、スポーツ衣料等の衣類全般の芯材、ヘルメット内装材、靴材、鞄材、アウター肩パットなどに対して好適に採用可能とされ、耐候性、速乾性、通気性に優れ、軽量化されたエチレン・酢酸ビニル共重合体(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer(以下、「EVA」とする))の樹脂発泡体で成るブラジャー要素等の衣料用芯材及びその製造方法である。
本発明では、耐候性をアップさせて劣化(黄変、脆化)をさせず、汗、水等に対する速乾性を高めると共に、軽量化を図る目的で、特定配合のEVA樹脂に対する特定倍率の発泡体を提案すると共に、発泡体の版材に対する加工処理方法を工夫し、特にブラジャーに要求される項目を改善している。
以下、本発明の実施の形態を、図面及び実験データに基づいて説明する。
従来ブラジャー要素はポリウレタン発泡体を基礎材として構成されており、ポリウレタン発泡体と他の発泡体(ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、EVA)の長所と短所を纏めると、表2のようになる。
Figure 2020090669
表2から分かるように、EVA発泡体は通気性がなく、発泡倍率がポリウレタン発泡体に比べて低いといった欠点を有しているが、劣化(黄変、脆化)し難く、速乾性、柔軟性及び弾力性があり、ポリウレタン発泡体に比べて総合的な評価が高い。従来EVA発泡体がブラジャー素材として使用されていない理由は、一般的なEVA発泡体は靴底のゴムのようなイメージで、ブラジャーには不向きであると考えられていたからである。一般的なEVA発泡体は、図6(A)に示すように気泡が独立しており、通気性がないことも、ブラジャー素材として使用されていない大きな理由である。
次に、衣料用芯材の素材に必要とされる耐候性、速乾性、ソフトな風合い、生地へのダメージ(損傷)及び通気性について、実験データに基づき素材別に比較する。
耐候性について、A社使用のポリウレタン発泡体、B社使用の難黄変タイプのポリウレタン発泡体、インテリア用ポリウレタン発泡体、EVA25倍発泡品、EVA30倍発泡品に対して、メタルハライドランプを使用して40時間の光連続照射を行った結果、図5に示すようにEVA発泡体以外の材料では、試験前と試験後では色相や色合いが変化していることが分かった。EVA25倍発泡品及びEVA30倍発泡品では、試験前も試験後も”Bright White”で劣化が認められなかった。図5の実験からも、ポリウレタン発泡体よりもEVA発泡体が耐候性について優れていることが確認できる。
速乾性に関しては、ポリウレタン発泡体は図6(A)に示すように連続気泡であるため、汗水等の出入りができ水分の浸透性は良いが、速乾性が悪い。これに対して、ポリウレタン発泡体以外の発泡体は、図6(B)に示すように独立気泡なので汗水等が内部に浸透しないので、どの素材も速乾性に優れている。
速乾性を比較するために、10cmに裁断したポリウレタン発泡体試片(厚さ5mm)、EVA発泡体試片(厚さ5mm)#1、均一にパンチング加工(円形で約2mm径、開口率約20%)された本発明に係るEVA発泡体試片(厚さ5mm)#2、7mmスリット加工されたEVA発泡体試片(厚さ5mm)#3、15mmスリット加工されたEVA発泡体試片(厚さ5mm)#3の各単体試片を、100ccの水が入ったビーカーに入れ、30秒間浸し、発泡体試片をそれぞれトレイに載せ、40℃のオーブンに30分置いて加熱処理し、その後に水分の残量(g)を測定した。この試験結果は、表3である。
Figure 2020090669
EVA発泡体試片#1は図6(B)に示すように独立気泡のため、発泡体試片に水を浸透させないことにより、水は表面に付着した程度であり、30分以内で100%水分が蒸発した。また、パンチング加工されたEVA発泡体試片#2は、2mm径でパンチング加工された透過孔内に2g程度の水が付着したが、30分で約0.5gの水分が蒸発した。これに対し、ポリウレタン発泡体試片は図6(A)に示すように連続気泡のため、発泡体試片内部に約40gの水が浸透した。30分で約4gの水分が蒸発したが、蒸発率は0.09%と殆ど変化が見られなかった。EVA発泡体試片#1の1〜2gの含水量に対し、ポリウレタン発泡体試片は39gと大きな差がある。スリット加工されたEVA発泡体試片#3についても、パンチング加工されたEVA発泡体試片#2と同様な効果が得られている。パンチング加工及びスリット加工に関しては後に詳述する。
耐候性及び速乾性の他に、衣料類で要求される風合い、生地へのダメージ(損傷)及び通気性について、ポリウレタン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体(PVC)、ポリスチレン発泡体(PS)、ポリエチレン発泡体(PE)、EVA発泡体を比較して纏めると表4のようになる。
Figure 2020090669
表4では、各項目の評価について、優良を◎、良を○、可を△、不可を×で示している。耐候性はポリウレタン発泡体(PU)及びポリスチレン発泡体(PS)で悪く、EVA発泡体及びポリエチレン発泡体(PE)で耐候性が高く、劣化が起こり難い。特にEVA発泡体は複数回の洗濯を行っても明らかな状態変化は見られず、保形性に優れている。風合いに関しては、ポリスチレン発泡体(PS)及びポリエチレン発泡体(PE)の特性が悪く、EVA発泡体はゴムライクなソフトでしっとりした風合いが配合によって出すことが可能である。生地へのダメージではポリウレタン発泡体以外の発泡体は全て、コールドプレス成型が可能であるため、生地を高熱で損傷することがない。表4から、通気性を除いて、他の項目ではEVA発泡体が優れていることが分かる。
図7は、高温の乾熱プレス成型加工と常温のコールドプレス成型加工による生地のダメージの程度を試験に基づいて示しており、図7(A)は、芯材がポリウレタン発泡体で、表裏両面に生地(ポリエステル天竺)をラミネート加工されたシート材に対して、金型温度182℃の乾熱プレス成型加工で形成されたカップ本体の表面組織を画像倍率50倍で示しており、図7(B)は画像倍率100倍で示しており、高熱により生地が焼けているのが確認できる。これに対して、図7(C)は、芯材がEVA樹脂発泡体で、表裏両面に生地(ポリエステル天竺)をラミネート加工されたシート材に対して、金型温度常温のコールドプレス成型方法で成型されたカップ本体の表面組織を画像倍率50倍で示しており、図7(D)は画像倍率100倍で示しており、常温での加工により生地の損傷は見られない。実験で示す図7から、衣料用芯材の製造においては、乾熱プレス成型加工よりもコールドプレス成型加工の方が望ましいことが分かる。
表4及び図6(A)の構造から、通気性はポリウレタン発泡体がEVA発泡体よりも優れているが、EVA発泡体は透過孔の穴開けパンチング加工若しくはスリット加工をすることで抜群の通気性を確保することができ、それが軽量化にも繋がることを知見した。
上述のような実態と実情を考慮して、本発明では、従来のポリウレタンに代えてEVA樹脂を衣料用芯材の基礎材としている。以下では、衣料用芯材としてブラジャー要素(ブラジャーカップ)を例に挙げて説明する。
図8は本発明に係るブラジャー要素の製造工程を示しており、図8(A)に示すような板状のEVA樹脂シート100を用意する。EVA樹脂シート100の寸法は、例えば幅300mm×奥行き650mm×厚さ10〜35mm程度であるが、これら寸法に限定されるものではない。既存のEVA発泡体はどちらかというと風合いが硬いタイプである。そのため、ブラジャーカップに使用するためには、風合いを柔らかくすることが必要である。本発明で使用するEVA樹脂は、その風合いを柔らかくするための配合になっている。即ち、本発明で使用するEVA樹脂は酢酸ビニルの配合割合が5%(重量)〜30%(重量)であり、望ましくは10%(重量)〜25%(重量)である。酢酸ビニルの配合割合が5%(重量)より小さいと硬くなり、30%(重量)より大きくなると、発泡体にすることが困難となる。
本発明にて使用するEVA樹脂には、柔らかさ及びストレッチ性を調整するために、EPゴム、オレフィン系エラストマー、SBR系エラストマー、超低密度ポリエチレン等を、発泡性を害さない範囲内で添加することが出来る。特に、ストレッチ性を必要とするサポータ等の用途では、好ましくは、その含有量は、10%(重量)〜70%(重量)の範囲内である。
図8(B)に示すように、EVA樹脂シート100に対して発泡処理を行う。発泡処理されたEVA発泡体シートの寸法は、例えば幅100cm×奥行き200cm×厚さ3〜10cm程度である。発泡処理は、5%(重量)〜30%(重量)の発泡剤を混入すると共に、0.1%(重量)〜2.0%(重量)の架橋剤を混入して、発泡倍率10〜50倍にする。発泡剤が5%(重量)より少ないと発泡体にならず、発泡剤が30%(重量)より多い場合も発泡体にならない。また、架橋剤が0.1%(重量)より小さいと良好な発泡体にならず、架橋剤が2.0%(重量)より多い場合も良好な発泡体にならない。
前述のように通気性の試験を行ったけれども、EVA発泡体シートには通気性がない。そのため、本発明ではEVA発泡体シートにパンチング加工を施して透過孔101を均一に設けることにより、通気性の改善を図っている。スリット加工によっても、同様に通気性の改善を図ることができる。図8(C)はパンチング加工により通気性の向上を図った例(丸孔、長孔、角孔)を示しており、図9(A)は斜向交差型スリット加工によった場合を、図9(B)は長孔スリット加工によった場合をそれぞれ示している。従来の一般的なポリウレタン発泡体のモールドカップの通気性を測定したところ、いずれの場合も28cc〜67cc/cm/秒の通気があった。その数値を上回るために、直径1mm〜5mmの透過孔101を開口率5%〜25%程度でパンチング加工若しくはスリット加工により設け、従来よりも通気性を持たせている。パンチング加工の場合、直径が1mmより小さいと通気性を確保できず、5mmより大きいと機械的強度が低下し、更に縫合し難いという問題がある。スリット幅については、3mm以上で20mm以下である。スリット幅についても同様に、幅が3mmより小さいと通気性を確保できず、20mmより大きいと機械的強度が低下すると共に、縫合し難いという問題が生じる。開口率が5%より小さいと、従来よりも通気性が悪くなり、25%より大きいと機械的強度が低下する問題がある。直径2mmの円形透過孔を開口率20%でパンチング加工若しくはスリット加工し、通気試験した際は、90cc/cm/秒の結果が出た。
パンチング加工若しくはスリット加工をすることにより、通気性の確保だけでなく、シートに柔らかさとストレッチ性を持たせることもでき、ブラジャー用途として一層相応しくなる。パンチング加工による透過孔101は、図8(C)に示すように断面形状が円形の丸孔が望ましいが、楕円形状の長孔であっても、矩形の角孔であっても良い。
パンチング加工若しくはスリット加工によって通気性が向上した例を図10に示す。本例では、ポリウレタン発泡体製のA社のカップ本体の試片#1及び#2と、本発明のEVA発泡体製のパンチング加工された試片とに対して、それぞれ1cmの試片に通過する空気を測定した。その結果、A社のカップ本体の試片#1及び#2は、カップ頂部でそれぞれ67.30cc及び42.09ccであり、カップ端部でそれぞれ28.62cc及び37.61ccであるが、本発明のEVA発泡体製のパンチング加工若しくはスリット加工された試片では90.93ccと大幅に改善されている。
上述したパンチング加工後若しくはスリット加工後、図8(D)に示すように、透過孔101が開けられた板状のEVA発泡体版体102の表裏両面に薄い生地(トリコット等)103、104をラミネート加工する。ラミネート加工は表面又は裏面の片面でも良い。本発明ではEVA発泡体版体102が既に、例えば寸法100cm×200cmの版材になっているので、版毎にラミネート加工する。ラミネート加工されたシート材をオーブン等の加熱器で、90℃〜150°C程度の温度で、10秒〜120秒程度加熱処理する(図8(E))。10秒より短いと成型性が悪く、120秒より長く加熱すると発泡性が損なわれる問題が生じる。
次いで、加熱処理されたシート材を常温の金型の間に挟み、プレス加工機で圧力をかけて常温のコールドプレス成型加工し、ブラジャーのカップ部のカップ本体の形状に成型し(図8(F))、成型されたカップ本体を形どおりに切り取り、型抜き(図8(G))してブラジャー要素を完成する(図8(H))。常温でプレス加工できるので、加熱の準備も不要であり、作業も容易であると共に、製造コストを下げることができる。
以上のように製造された本発明のEVA製ブラジャー要素と従来のブラジャー要素を表にして纏めると、表5のようになる。
Figure 2020090669
本発明に係る衣料用芯材は、ブラジャーだけではなく、ボディスーツ、オールイン型ブラジャー、ブラスリップ、水着、レオタード等の衣類全般、ヘルメット内装材、靴材、鞄材、アウター肩パットなどに対して好適に採用可能である。
1A,1B カップ部
2 着用部材
100 EVA樹脂シート
101 透過孔
102 EVA発泡体版体
103、104 薄い生地

Claims (7)

  1. エチレン・酢酸ビニル共重合体の樹脂材を10〜50倍に発泡された樹脂発泡体に対して均一にパンチング加工若しくはスリット加工を施された板状の版材の表裏両面若しくは片面に生地を積層するラミネート加工を施したシート材を90℃〜150℃程度で加熱処理し、コールドプレス成型加工し、又は前記シート材をパーツに裁断、縫合して成る衣料用芯材。
  2. 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂材の酢酸ビニルの含有率が5%(重量)〜30%(重量)である請求項1に記載の衣料用芯材。
  3. 前記パンチング加工若しくはスリット加工の開口率が全表面に対して5%〜25%であり、前記パンチング加工若しくは前記スリット加工が断面円形の透過孔であり、前記パンチング加工では孔径が1mm〜5mmであり、前記スリット加工ではスリット幅が3mm〜20mmである請求項1又は2に記載の衣料用芯材。
  4. 前記生地が厚さ0.3mm〜2.0mm程度のポリエステルを基礎材とした天竺、トリコット等である請求項1乃至3のいずれかに記載の衣料用芯材。
  5. 前記加熱処理が10秒〜120秒程度である請求項1乃至4のいずれかに記載の衣料用芯材。
  6. エチレン・酢酸ビニル共重合体の樹脂材を10〜50倍に発泡処理し、
    前記発泡処理された樹脂発泡体に対して透過孔で均一にパンチング加工若しくはスリット加工を施し、
    前記パンチング加工若しくはスリット加工された板状の版材の表裏両面若しくは片面に生地を積層するラミネート加工を行い、
    前記ラミネート加工されたシート材を90℃〜150℃程度で、10秒〜120秒間程度加熱処理し、
    前記加熱処理された処理済みシート材をコールドプレス成型加工する、
    ことを特徴とする衣料用芯材の製造方法。
  7. エチレン・酢酸ビニル共重合体の樹脂材を10〜50倍に発泡処理し、
    前記発泡処理された樹脂発泡体に対して透過孔で均一にパンチング加工若しくはスリット加工を施し、
    前記パンチング加工若しくはスリット加工された板状の版材の表裏両面若しくは片面に生地を積層するラミネート加工を行い、
    前記ラミネート加工されたシート材を裁断、縫合する、
    ことを特徴とする衣料用芯材の製造方法。
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