JP2004256956A - 通気性ブラジャー - Google Patents

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Abstract

【課題】カップ部に良好な通気性を確保することができるとともに、繰り返しの洗濯を受けてもパッドが変形することがなく、ブラジャーが本来有する乳房の保形機能を長期間に亘って発揮させることができる通気性ブラジャーを提供すること。
【解決手段】左右のカップ部内にパッドが装着されてなるブラジャーであって、前記パッドは、多数の貫通孔が穿設された弾性素材からなる芯材と、該芯材の表裏面を被覆する通気性の生地とからなるとともに、厚み方向の圧縮率が35%以下となるように圧縮成形されており、前記芯材は開口率が1〜10%とされてなることを特徴とする通気性ブラジャー。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は通気性ブラジャーに関し、より詳しくは優れた通気性を有するとともに、繰り返しの洗濯によっても変形等が生じない耐洗濯性に優れた通気性ブラジャーに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラジャーには、乳房を保護すると同時に美しく保形する機能が要求されるため、その要求を満たすためにカップ部内に適度な硬さを有するパッドが装着されているのが一般的である。
しかしながら、パッドを装着すると、保形性には優れたものとなるがカップ部の通気性が妨げられてしまうという問題があった。
そこで、パッドを構成する芯材に多数の貫通孔を形成することによって、カップ部に通気性を確保するようにしたブラジャーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
実用新案登録第3054609号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載されたブラジャーは、カップ部に良好な通気性を付与することができる点においては確かに優れているものの、繰り返しの洗濯を受けるとパッドが大きく変形して、カップ部の形状が崩れてしまい、ブラジャーの本来の目的である乳房保形機能を発揮できなくなるという問題があった。
【0005】
本発明はかかる従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、カップ部に良好な通気性を確保することができるとともに、繰り返しの洗濯を受けてもパッドが変形することがなく、ブラジャーが本来有する乳房の保形機能を長期間に亘って発揮させることができる通気性ブラジャーを提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために以下の手段を提供する。
請求項1に係る発明は、左右のカップ部内にパッドが装着されてなるブラジャーであって、前記パッドは、多数の貫通孔が穿設された弾性素材からなる芯材と、該芯材の表裏面を被覆する通気性の生地とからなるとともに、厚み方向の圧縮率が35%以下となるように圧縮成形されており、前記芯材は開口率が1〜10%とされてなることを特徴とする通気性ブラジャーを提供する。
請求項2に係る発明は、前記芯材の開口率が1〜3%であることを特徴とする請求項1記載の通気性ブラジャーを提供する。
請求項3に係る発明は、前記芯材の貫通孔の直径が1〜2mmであって、貫通孔同士の間隔が10〜20mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の通気性ブラジャーを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る通気性ブラジャーの好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る通気性ブラジャーを示す外観図である。
本発明に係る通気性ブラジャーは、左右一対のカップ部(1)と、これらカップ部の内側端部同士を繋ぐ中央支持布(2)と、左右のカップ部の外側端部からそれぞれ横方向に延出された左右一対のバックパネル(3)と、左右のカップ部の上端部からそれぞれ上方向に延出された左右一対の肩紐(4)とから構成されている。
【0008】
左右一対のカップ部(1)の内部にはそれぞれパッド(5)が装着されている。
図2はパッド(5)の外観図、図3はその分解斜視図、図4はその断面図である。
パッド(5)は、女性のバストの形状に沿うような曲面形状を呈しており、周縁部から中央部にかけて徐々に厚みが増すように形成されている。そして、パッド(5)の下周縁部には、カップ部(1)の下周縁部と縫合される鍔状の薄肉部(6)が形成されている。
【0009】
パッド(5)は、弾性素材からなる芯材(7)と、この芯材(7)の表裏面をそれぞれ被覆するように積層一体化される通気性の表布(8)及び裏布(9)とから構成されている。
芯材(7)の素材としては、適度な弾性を有する素材であれば特に限定されないが、例えばポリウレタンスポンジ等の合成樹脂製の弾性発泡材料が好適に使用される。また、表布(8)及び裏布(9)の素材としては、適度な通気性と柔軟性を有する素材であれば特に限定されないが、例えば化学繊維の編物が好適に使用され、化学繊維の中でも特に合成繊維の編物が好適に使用される。
【0010】
芯材(7)には、多数の貫通孔(10)が所定間隔毎に略全面に亘って穿設されており、これらの貫通孔(10)によって芯材(7)、さらにはパッド(5)に良好な通気性が確保されている。
これら貫通孔(10)の形成による芯材(7)の開口率は1〜10%、好ましくは1〜5%、更に好ましくは1〜3%に設定される。
開口率を1〜10%に設定する理由は、開口率が1%未満であると充分な通気性を確保することができず、10%を超えると洗濯によって型崩れが生じやすくなるためである。すなわち、本発明においては、開口率を従来のものよりも小さい範囲に設定することによって、通気性と耐洗濯性を両立させることを可能としたものである。
【0011】
上記した作用効果は、貫通孔(10)の大きさや間隔を適当に設定することによって、より確実に発揮されることとなる。
貫通孔(10)の直径は1〜2mmとすることが好ましい。これは、貫通孔(10)の直径が1mm未満であると充分な通気性を確保することが難しく、2mmを超えると洗濯によって型崩れを生じ易くなるためである。
また、貫通孔(10)の間隔は10〜20mmの範囲で等間隔に設定することが好ましい。これは、間隔が20mmを超えるとカップ部全体に満遍なく通気性を確保することが困難となり、10mm未満とすると洗濯によって型崩れを起こし易くなるためである。
貫通孔(10)の設け方の具体例としては、図5に示す如く千鳥格子配列で貫通孔(10)を設ける構成を例示することができる。
【0012】
本発明において使用されるパッド(5)は、表布(8)と芯材(7)と裏布(9)を順に積層した状態でモールドプレス加工を施すことよって、所定の圧縮率で厚み方向に圧縮成形されている。尚、本発明においては、表布(8)、芯材(7)、裏布(9)をそれぞれ圧縮して縫製により一体化してもよい。
圧縮率は、芯材(7)の各部位によって異なり、周縁部において大きく、中心部において小さくなるように設定されているが、全ての部位を通して35%以下となるように設定されている。
すなわち、芯材(7)は1枚の均一厚みの弾性素材シートから形成されるが、その圧縮率を周縁部において大きく、中心部において小さくすることによって、周縁部から中心部にかけて徐々に厚みが増す芯材が得られる。
【0013】
尚、本明細書における「圧縮率」は、下式(1)で定義される値をいう。
(圧縮後の厚み/圧縮前の厚み)×100(%)・・・(1)
例えば10mmの厚みのものを7mmまで圧縮した場合の圧縮率は70%であり、3.5mmまで圧縮した場合の圧縮率は35%である。すなわち、圧縮率の値が小さくなるほど圧縮の度合いが大きいことを示す。
【0014】
芯材(7)の圧縮率を部位によって変化させるにあたっては、10〜35%の範囲で変化させることが好ましい。具体的には、芯材(7)の周縁部においては10〜15%程度の高い圧縮率とし、中央部付近においては30〜35%程度の低い圧縮率とし、周縁部と中央部の中間付近においては20〜30%程度の圧縮率とすればよい。
【0015】
【実施例】
以下、本発明に係る通気性ブラジャーの実施例及び比較例を示すことにより、本発明の効果をより明確にする。但し、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
1.サンプルの作成
(実施例サンプル)
ポリプロピレングリコール65%、シリコン2%、触媒1%、アミン2%、グリセリン2%、トルエン26%、ジプロピレングリコール2%(いずれも重量%)を原料として作成した厚み21mmのポリウレタンスポンジからなり、図5に示す如く配置された直径1.6mmの貫通孔を有する芯材(開口率1.71%)の表裏面を、厚み0.5mmのポリエステルスムース(編物)からなる生地で被覆し、これをモールドプレスにより圧縮一体化して、各部位の厚み及び圧縮率が表1に示す値である図2〜4に示した構造を有するパッドを得た。尚、表1のA〜Gの厚み測定位置を図6に示している。
【表1】
Figure 2004256956
【0016】
(比較例1サンプル)
厚み17mmのポリウレタンスポンジからなる芯材を使用した以外は、実施例と同じ条件で各部位の厚み及び圧縮率が表2に示す値であるパッドを作成した。尚、表2のA〜Gは図6のA〜Gの部位に対応している。
【表2】
Figure 2004256956
【0017】
(比較例2サンプル)
厚み19mmのポリウレタンスポンジからなる芯材を使用した以外は、実施例と同じ条件で各部位の厚み及び圧縮率が表3に示す値であるパッドを作成した。尚、表3のA〜Gは図6のA〜Gの部位に対応している。
【表3】
Figure 2004256956
【0018】
2.耐洗濯性試験
実施例及び比較例のサンプルをそれぞれネットに入れて、市販の合成洗剤(商品名:アタック、花王株式会社製)を使用して、洗濯機により連続して300分間洗濯した後、平干しにより自然乾燥させた。
乾燥後のサンプルの状態を目視で観察した結果を以下に示す。
・実施例・・・・変形、皺ともに全く認められなかった。
・比較例1・・・パッド全体が大きく変形した。
・比較例2・・・パッドの大きな変形はないものの、若干の皺が確認された。
【0019】
尚、洗濯前後の実施例パッドを、図1に示す如くブラジャーのカップ部内に装着して複数名の女性パネラーに試着してもらったところ、蒸れを感じることはなく通気性に問題は認められなかった。
【0020】
以上の試験結果より、通気性を確保するためにパッドの芯材に貫通孔を設けた場合、圧縮率が低いと洗濯によってパッドに変形や皺が生じてしまうが、圧縮率を35%以下とすることで洗濯による変形や皺を確実に防止できるようになることが分かった。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明は、左右のカップ部内にパッドが装着されてなるブラジャーであって、前記パッドは、多数の貫通孔が穿設された弾性素材からなる芯材と、該芯材の表裏面を被覆する通気性の生地とからなるとともに、厚み方向の圧縮率が35%以下となるように圧縮成形されており、前記芯材の開口率が1〜10%とされてなることを特徴とする通気性ブラジャーであるから、カップ部に通気性を有し着用時に蒸れることがなく快適な装着感が得られるとともに、繰り返しの洗濯によっても変形や皺が生じず、長期間に亘って優れた乳房保形機能を発揮することができるブラジャーとなる。
【0022】
請求項2に係る発明は、前記芯材の開口率が1〜3%であることを特徴とする請求項1記載の通気性ブラジャーであり、さらに請求項3に係る発明は、前記芯材の貫通孔の直径が1〜2mmであって、貫通孔同士の間隔が10〜20mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の通気性ブラジャーであるから、充分な通気性を確保しつつ、より優れた耐洗濯性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る通気性ブラジャーを示す外観図である。
【図2】パッドの外観図である。
【図3】パッドの分解斜視図である。
【図4】パッドの断面図である。
【図5】貫通孔の配置パターンの一例を示す図である。
【図6】試験例のサンプルの厚み測定位置を示す図である。
【符号の説明】
1 ブラジャーのカップ部
5 パッド
7 芯材
8 通気性生地(表布)
9 通気性生地(裏布)
10 貫通孔

Claims (3)

  1. 左右のカップ部内にパッドが装着されてなるブラジャーであって、前記パッドは、多数の貫通孔が穿設された弾性素材からなる芯材と、該芯材の表裏面を被覆する通気性の生地とからなるとともに、厚み方向の圧縮率が35%以下となるように圧縮成形されており、前記芯材は開口率が1〜10%とされてなることを特徴とする通気性ブラジャー。
  2. 前記芯材の開口率が1〜3%であることを特徴とする請求項1記載の通気性ブラジャー。
  3. 前記芯材の貫通孔の直径が1〜2mmであって、貫通孔同士の間隔が10〜20mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の通気性ブラジャー。
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