JPWO2020090528A1 - コールドスプレー用材料 - Google Patents

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Abstract

本発明のコールドスプレー用材料は、BET1点法による比表面積が30m2/g以上である希土類元素の化合物の粉末からなる。ガス吸着法による細孔直径3nm以上20nm以下の細孔容積が0.08cm3/g以上であることも好ましい。前記粉末の結晶子径が25nm以下であることも好ましい。安息角が10°以上60°以下であることも好ましい。L*a*b*系表色系色座標のL値が85以上であり、a値が−0.7以上0.7以下であり、b値が−1以上2.5以下であることも好ましい。

Description

本発明はコールドスプレー用材料、コールドスプレー法による膜の製造方法、コールドスプレー膜、希土類元素の酸化物粉末の製造方法、非焼成の希土類元素のフッ化物粉末の製造方法及び希土類元素のオキシフッ化物粉末の製造方法に関する。
コールドスプレー法は、原料粒子を音速近くまで加速し、固相状態のまま基材に衝突させることにより成膜するシステムである。
コールドスプレー法は溶射法の1種として分類されるコーティング技術であるが、一般的な溶射法は原材料を溶融状態或いは半溶融状態で基材に衝突させて成膜させるのに対し、コールドスプレー法は、原材料を溶融させることなく基材に固着させるという点で異なっている。
従来、コールドスプレー法では、延性に優れる金属を成膜することが一般的であり、脆性材料であるセラミックスの成膜例は極めて少なかった。
しかし近年、高比表面積を有するTiO2のナノ凝集粉を用いたコールドスプレー法による成膜例が報告されている(非特許文献1)。
一方、希土類元素を含む化合物はハロゲン系ガスに対する耐食性が高いところ、半導体デバイスの製造におけるエッチング工程ではハロゲン系ガスが用いられる。それゆえ、希土類元素を含む化合物の膜は、プラズマエッチング装置の腐食を防止するために有用である。従来、プラズマエッチング装置における耐食性の希土類化合物の膜は、希土類元素を含む化合物の粉末をプラズマ溶射などによりコーティングすることで得られている(例えば、特許文献1)。
特開2014−40634号公報
垂井洋静ら「コールドスプレー法によるセラミックス皮膜の形成」、溶接学会誌、第87巻(2018)第2号、p114-119
プラズマ溶射による成膜では、高温のガス状態により成膜材料を溶解させて、プラズマジェットで加速させて基材に衝突させてコーティングを行う。このため希土類元素の化合物粉末をプラズマ溶射するときに粉末が溶射過程で変質し、色味を含め種々の物性について所望のものが得にくいという問題があった。これに対し、コールドスプレー法は原材料を溶融させることなく基材に固着させるため、成膜材料の物性が溶射過程で変質することを防止できると期待される。しかし、特許文献1に記載された従来のプラズマ溶射用の希土類化合物粉末をそのままコールドスプレー用材料に用いても、成膜効率が低く、十分な厚さの皮膜の形成に至ることができない。
また非特許文献1に記載のようなTiO2粉末ではハロゲン系ガスへの耐食性が得られない上、本発明者はTiO2粉末ではコールドスプレー法の成膜時に膜の黄色味が大きくなり、所望の色味の膜が得難い場合があることを知見した。
したがって、本発明の課題は、ハロゲン系プラズマに対する耐食性に優れる希土類元素の化合物を用いて、成膜性に優れ原料からの物性変化の少ない膜が得られるコールドスプレー用材料を提供することにある。
また、本発明の課題は、ハロゲン系プラズマに対する耐食性に優れる希土類元素の化合物を原料粉末として用い、原料からの物性変化の少ない膜を製造すること、及び、ハロゲン系プラズマに対する耐食性に優れた希土類元素の化合物からなり、白色度等の優れた物性を有するコールドスプレー膜を提供することにある。
また、本発明の課題は、コールドスプレー法に適した希土類元素の酸化物粉末の製造方法、非焼成である希土類元素のフッ化物粉末の製造方法及び希土類元素のオキシフッ化物粉末の製造方法を提供することにある。
本発明は、BET1点法による比表面積が30m2/g以上である希土類元素の化合物の粉末からなる、コールドスプレー用材料を提供するものである。
また、本発明は、BET1点法による比表面積が30m2/g以上である希土類元素の化合物の粉末をコールドスプレー法に供する、膜の製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、BET比表面積が30m2/g以上である希土類元素の化合物の粉末をコールドスプレーしてなる、膜を提供するものである。
前記粉末は、ガス吸着法による細孔直径3nm以上20nm以下の細孔容積が0.08cm3/g以上であることが好ましい。
前記粉末は、水銀圧入法による細孔直径20nm以下の細孔容積が0.03cm3/g以上であることも好ましい。
前記粉末の結晶子径が25nm以下であることも好ましい。
前記粉末の安息角が10°以上60°以下であることも好ましい。
前記粉末のL*a*b*系表色系色座標のL値が85以上であり、a値が−0.7以上0.7以下であり、b値が−1以上2.5以下であることも好ましい。
希土類化合物が希土類化合物の酸化物、希土類化合物のフッ化物及び希土類化合物のオキシフッ化物から選ばれる少なくとも1種であることも好ましい。
希土類元素がイットリウムであることも好ましい。
本発明の別の側面は、希土類元素の化合物からなるコールドスプレー膜であり、前記の膜は希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物又は希土類元素のオキシフッ化物からなることが好ましい。
前記膜はL*a*b*系表色系色座標のL値が85以上であり、a値が−0.7以上0.7以下であり、b値が−1以上2.5以下であることが好ましい。
前記膜は結晶子径が3nm以上25nm以下であることが好ましい。
また、本発明は、希土類元素の酸化物粉末を、加温した弱酸水溶液中に溶解させた後に冷却して、希土類元素の弱酸塩を析出させ、該弱酸塩を450℃以上950℃以下で焼成する、希土類元素の酸化物粉末の製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、希土類元素の水溶性塩の水溶液とフッ化水素酸とを混合して希土類元素のフッ化物を沈殿させ、得られた沈殿物を250℃以下で乾燥させる、希土類元素のフッ化物の非焼成粉末の製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、希土類元素の酸化物又は焼成すると希土類元素の酸化物になる化合物の粉末と、フッ化水素酸とを混合して、希土類元素のオキシフッ化物の前駆体を得、得られた希土類元素のオキシフッ化物の前駆体を焼成する、希土類元素のオキシフッ化物粉末の製造方法を提供するものである。
本発明により、ハロゲン系プラズマに対する耐食性に優れる希土類元素の化合物粉末からなり、コールドスプレー法による成膜性に優れ、原料粉末と同様の物性の膜が得られる、コールドスプレー用材料を提供することができる。本発明のコールドスプレー用材料はコールドスプレー法により成膜すると、TiO2粉末を用いる場合に得難い、原料粉末の色味と同様の色味を呈する黄色味の少ない膜を得ることができる。
また、ハロゲン系プラズマに対する耐食性に優れる希土類元素の化合物を原料粉末として用い、原料からの物性変化の少ない膜の製造方法及び、ハロゲン系プラズマに対する耐食性に優れた希土類元素の化合物からなり、白色度に優れたコールドスプレー膜を提供することができる。
また、本発明の希土類元素の酸化物粉末の製造方法、希土類元素のフッ化物粉末の製造方法及び希土類元素のオキシフッ化物粉末の製造方法により、本発明のコールドスプレー用材料を工業的に有利な方法にて製造できる。
実施例における成膜時の粉末供給方法を説明する模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
1.希土類元素の化合物粉末及びそれを含むコールドスプレー用材料
以下ではまず、希土類元素の化合物粉末及びそれを含むコールドスプレー用 材料について説明する。以下、「コールドスプレー」を「CS」と略して説明する場合がある。
(1)希土類元素の化合物
本発明のCS用材料は、希土類元素(以下、「Ln」とも記載する)の化合物(以下、単に「希土類化合物」ともいう。)の粉末からなることを特徴の一つとしている。以下、CS用材料について好ましいものとして記載している事項は、全てCS用材料に含まれる希土類化合物の粉末にも当てはまる。例えば下記でCS用材料として好ましいBET比表面積の数値はいずれも希土類化合物の粉末についても好ましいものである。
希土類元素(Ln)としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)の16種類の元素を挙げることができる。本発明のCS用材料は、この16種類の希土類元素の少なくとも1種を含む。CS法により得られた膜の耐熱性、耐摩耗性及び耐食性などを更に一層高める観点から、希土類元素(Ln)は、これらの元素のうち、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)及びイッテルビウム(Yb)から選択される少なくとも1種の元素であることが好ましく、とりわけイットリウム(Y)であることが好ましい。
本発明における希土類化合物は、希土類元素(Ln)の酸化物、希土類元素のフッ化物、又は希土類元素のオキシフッ化物であることが好ましい。
希土類元素の酸化物はプラセオジム(Pr)、テルビウム(Tb)のときを除いてセスキ酸化物(Ln23、Lnは希土類元素)である。酸化プラセオジムは通常Pr611であり、酸化テルビウムは通常Tb47である。希土類元素の酸化物は、2種以上の希土類元素の複合酸化物であってもよい。
希土類元素のフッ化物はLnF3で表されることが好ましい。
希土類元素のオキシフッ化物は希土類元素(Ln)、酸素(O)、フッ素(F)からなる化合物である。希土類元素のオキシフッ化物としては、希土類元素(Ln)、酸素(O)、フッ素(F)のモル比がLn:O:F=1:1:1である化合物(LnOF)であってもよく、その他の形態の希土類元素のオキシフッ化物(Ln547、Ln769、Ln436等)であってもよい。オキシフッ化物の製造しやすさや緻密且つ均一で耐食性が高いという本発明の効果をより高く奏される観点から、希土類元素のオキシフッ化物は、LnOxy(0.3≦x≦1.7、0.1≦y≦1.9)で表されることが好ましい。特に上記の観点から、上記式において、0.35≦x≦1.65であることがより好ましく、0.4≦x≦1.6であることが更に好ましい。また0.2≦y≦1.8であることがより好ましく、0.5≦y≦1.5であることが更に好ましい。また上記式において、2.3≦2x+y≦5.3、特に2.35≦2x+y≦5.1を満たすものも好ましく、とりわけ2x+y=3を満たすものが好ましい。
本発明のCS用材料は、Cu−Kα線又はCu−Kα1線を用いたX線回折測定において、2θ=10度〜90度に観察される最大強度のピークが希土類化合物のものであることが好ましい。例えばCu−Kα線又はCu−Kα1線を用いた走査範囲が2θ=10度〜90度のX線回折測定において、酸化イットリウムの最大強度のピークは通常、20.1度〜21.0度に観察され、フッ化イットリウムの最大強度のピークは通常、27.0度〜28.0度に観察される。また、オキシフッ化イットリウムのうち、YOFの最大強度のピークは、通常、28.0度〜29.0度に観察され、Y547の最大強度のピークは、通常、28.0度〜29.0度に観察される。以下、2θ=10度〜90度に観察される最大強度のピークをメーンピークともいう。
更に好ましくは得られる膜の耐熱性、耐摩耗性及び耐食性などを更に一層高める観点から、本発明のCS用材料は、2θ=10度〜90度におけるX線回折測定において観察されるメーンピークが希土類化合物に由来する場合に、当該メーンピークに対して、希土類元素の化合物以外の成分に由来する最大強度のピークのピーク高さが10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、希土類元素の化合物以外の成分に由来するピークが観察されないことが最も好ましい。とりわけ2θ=10度〜90度におけるX線回折測定において観察されるメーンピークが希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物又は希土類元素のオキシフッ化物に由来する場合に、当該メーンピークに対して、希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物又は希土類元素のオキシフッ化物以外の成分に由来する最大強度のピークのピーク高さの比率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物又は希土類元素のオキシフッ化物以外の成分に由来するピークが観察されないことが最も好ましい。
更に、本発明のCS用材料は、2θ=10度〜90度におけるX線回折測定におけるメーンピークが希土類元素の酸化物に由来する場合に、当該メーンピークに対して、希土類元素の酸化物以外の成分に由来する最大強度のピーク高さの比率が10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。
同様に本発明のCS用材料は、2θ=10度〜90度におけるX線回折測定におけるメーンピークが希土類元素のフッ化物に由来する場合に、当該メーンピークに対して、希土類元素のフッ化物以外の成分に由来する最大強度のピークのピーク高さの比率が10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。
同様に本発明のCS用材料は、2θ=10度〜90度におけるX線回折測定におけるメーンピークが希土類元素のオキシフッ化物に由来するときに、当該メーンピークに対して、希土類元素のオキシフッ化物以外の成分に由来する最大強度のピークのピーク高さの比率が10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。
上記の事項は、Cu−Kα線及びCu−Kα1線のうちいずれか一方のみを用いたX線回折測定によって該当すればよく、Cu−Kα線及びCu−Kα1線の両方を用いたX線回折測定において該当することまでを意味しない。
(2)BET1点法による比表面積
希土類化合物の粉末はBET1点法による比表面積を30m2/g以上とすることで、これをCS法による成膜に供した場合に、一定以上の厚膜の成膜が可能となる。プラズマ溶射において、この程度に高い比表面積を有する希土類化合物粉末を用いると、基材に到達する前に材料粒子が失速又は蒸発してしまい、膜が形成しがたい。より一層安定した成膜性を有する点から、希土類化合物の粉末のBET1点法による比表面積は35m2/g以上であることがより好ましく、40m2/g以上であることがより好ましく、45m2/g以上であることが特に好ましく、48m2/g以上が更に一層好ましく、50m2/g以上が最も好ましい。BET1点法による比表面積は、350m2/g以下であることが希土類化合物の粒子が基材に容易に到達でき、皮膜形成が容易である点や基材に衝突した際に粒子を容易に扁平化させる観点から好ましく、特に325m2/g以下であることがより好ましく、300m2/g以下であることが更に好ましく、200m2/g以下であることが更に一層好ましい。
BET1点法による比表面積は、具体的には下記実施例に記載の方法にて測定できる。
BET1点法による比表面積が上記範囲内である希土類化合物の粉末は、後述する希土類化合物の粉末の好ましい製造方法により製造できる。
(3)CS用材料の結晶子径
本発明のCS用材料に用いる希土類化合物の粉末は、結晶子径が一定以下であることが、CS法により安定的に厚膜を得られる点や基材に衝突した際の粒子の扁平化を容易にする点で好ましい。この点から、希土類化合物の粉末の結晶子径は25nm以下であることが好ましく、23nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることが一層好ましい。結晶子径は1nm以上であることがCS用材料の製造しやすさ、得られたCS膜の強度を担保する点で好ましく、3nm以上であることがより好ましい。
CS用材料の結晶子径は粉末X線回折測定により測定でき、具体的には後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
結晶子径が上記範囲内である希土類化合物の粉末は、後述する希土類化合物の粉末の好ましい製造方法により製造できる。
(4)ガス吸着法による細孔直径が3nm以上20nm以下の細孔容積
本発明者は、希土類化合物の粉末が、ガス吸着法による細孔直径3nm以上20nm以下の細孔容積が0.08cm3/g以上であると、CS法による成膜に供したときに厚膜の製造が一層容易になることを知見した。
この理由は明確でないが、希土類化合物の粒子間の細孔や粒子内の細孔の容積が所定量以上であることが、高速のガスで基材へ押し付けた場合における粒子の基材への付着効率を高めていると考えられる。
ガス吸着法による細孔直径が3nm以上20nm以下の細孔容積は、ガス吸着法による吸脱着曲線をDollimore−Heal法を用いて解析し、吸着過程および脱着過程それぞれにおいて細孔直径3nm〜20nmの範囲で測定された細孔容積の累積値をいう。細孔直径が3nm以上20nm以下の細孔容積は、結晶子径のみならず、粒子形状や粒子の凝集形態に依存するパラメータであり、BET比表面積や結晶子径が同じであっても、3nm以上20nm以下の細孔直径の細孔容積が同じであるとはいえない。
本発明のCS用材料は、ガス吸着法による細孔直径が3nm以上20nm以下の細孔容積が0.08cm3/g以上であることが好ましく、0.1cm3/g以上であることがより好ましく、0.15cm3/g以上であることが特に好ましい。
CS用材料のガス吸着法による細孔直径が3nm以上20nm以下の細孔容積は、1.0cm3/g以下であることがCS用材料の製造のしやすさ及び材料の流動性を担保する点で好ましく、0.8cm3/g以下であることが更に好ましく、0.6cm3/g以下であることがより更に好ましく、0.5cm3/g以下であることが更に一層好ましい。
ガス吸着法による細孔容積は、具体的には後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
ガス吸着法による細孔直径3nm以上20nm以下の細孔容積が上記範囲内である希土類化合物の粉末は、後述する希土類化合物の粉末の好ましい製造方法により製造できる。
(5)水銀圧入法による細孔直径が20nm以下の細孔容積
ガス吸着法による細孔直径3nm以上20nm以下の細孔容積が0.08cm3/g以上であることに替えて、又は加えて、希土類化合物の粉末について、水銀圧入法による細孔直径が20nm以下の細孔容積が0.03cm3/g以上であることが、CS法による成膜に供したときに剥がれ等のない均一な厚膜の製造が一層容易になる点で好ましい。本発明者は、水銀圧入法にて測定される細孔直径が20nm以下の微細孔の容積が所定量以上であることも、高速のガスで基材へ押し付けた場合における粒子の基材への付着効率を高めているものと考えている。
水銀圧入法による細孔直径が20nm以下の細孔容積は、水銀圧入法による細孔容積分布における、細孔直径が20nm以下である細孔の累積容積をいう。細孔直径が20nm以下の細孔容積は、粉末の結晶子径が十数nmから数nmレベルに小さい場合に大きくなる傾向があるものの、結晶子径のみならず、粒子形状や粒子の凝集形態に依存するパラメータであり、BET比表面積や結晶子径が同じであっても、20nm以下の細孔直径の細孔容積が同じであるとはいえない。
本発明のCS用材料は、水銀圧入法による細孔直径が20nm以下の細孔容積が0.03cm3/g以上であることが好ましく、0.04cm3/g以上であることがより好ましく、0.05cm3/g以上であることが特に好ましい。
CS用材料の水銀圧入法による細孔直径が20nm以下の細孔容積は、0.3cm3/g以下であることがCS用材料の製造のしやすさ及び材料の流動性を担保する点で好ましく、0.25cm3/g以下であることが更に好ましい。
水銀圧入法による細孔容積は、具体的には後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
水銀圧入法による細孔直径20nm以下の細孔容積が上記範囲内である希土類化合物の粉末は、後述する希土類化合物の粉末の好ましい製造方法により製造できる。
(6)安息角
本発明のCS用材料は、安息角が一定以下であることが好ましい。安息角が小さな材料は流動性が大きいためCS装置への搬送性がよい。それゆえ、安定した成膜を行うことができ、物性の良好な膜を得やすい。CS用材料の安息角は60°以下であることが好ましく、55°以下であることが更に好ましく、50°以下であることが一層好ましい。一方、安息角が小さすぎることは、流動性が大きすぎることによる粉体の取扱いが困難になる等の欠点を有する。この観点から安息角の下限値としては、10°以上であることが好ましく、20°以上であることが特に好ましい。安息角は後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
安息角が上記範囲内である希土類化合物の粉末は、後述する希土類化合物の粉末の好ましい製造方法により製造できる。
(7)D50N
本発明のCS用材料は、当該材料の製造容易性や流動性等の点からレーザ回折・散乱式粒度分布測定法による積算体積50容量%における積算体積粒径(D50N)が1μm以上100μm以下であることが好ましく、1.5μm以上80μm以下であることがより好ましく、2μm以上60μm以下であることが特に好ましく、5μm以上60μm以下であることが更に一層好ましく、10μm以上50μm以下であることが最も好ましい。
50Nは超音波処理をせずに測定する粒径であり、実施例に記載の方法にて測定できる。
50Nが上記範囲内である希土類化合物の粉末は、後述する希土類化合物の粉末の好ましい製造方法により製造できる。
(8)D50D
本発明のCS用材料が凝集粉又は顆粒の場合には、超音波処理後のD50は、超音波処理による解砕又は解凝集を受けたものとなり、通常は、D50Nと異なる値となる。製造容易性等の点から本発明のCS用材料は、300W、15分間の超音波分散処理後に測定したレーザ回折・散乱式粒度分布測定法による積算体積50容量%における積算体積粒径(D50D)が0.3μm以上30μm以下であることが好ましく、0.5μm以上25μm以下であることがより好ましい。
50Dは実施例に記載の方法にて測定できる。
50Dが上記範囲内である希土類化合物の粉末は、後述する希土類化合物の粉末の好ましい製造方法により製造できる。
(9)L値、a値、b値
白色の膜が好まれるという観点、及び、希土類化合物の変質がない点などから、CS用材料はL*a*b*系表色系色座標のL値が85以上であることが好ましく、90以上であることが好ましい。同様の点から、CS用材料は、L*a*b*系表色系色座標のa値が−0.7以上0.7以下であることが好ましく、−0.5以上0.5以下であることがより好ましい。またCS用材料は、L*a*b*系表色系色座標のb値が−1以上2.5以下であることが好ましく、−0.5以上2.0以下であることがより好ましい。L*a*b*系表色系色座標のL値、a値、b値は実施例に記載の方法にて測定できる。なお、酸化チタンの粉末は後述する比較例5のように原料から色味の変化が比較的大きい上に、粉末自体のa値が上記下限よりも低く、所望の色調の膜が得られない場合がある。
L*a*b*系表色系色座標のL値、a値、b値が上記範囲内である希土類化合物の粉末は、後述する希土類化合物の粉末の好ましい製造方法により製造できる。
2.希土類元素化合物粉末の製造方法
次いで、本発明のCS用材料に適した希土類元素の化合物粉末の製造方法について説明する。
(1)希土類元素の酸化物の粉末の製造方法
希土類化合物が希土類元素の酸化物である場合、希土類元素の酸化物(以下、「希土類酸化物」ともいう)粉末を、以下の製造方法により製造することが好適である。
本製造方法は、希土類元素の酸化物粉末を、加温した弱酸水溶液中に溶解させた後に冷却して、希土類元素の弱酸塩を析出させ、該弱酸塩を450℃以上950℃以下で焼成するものである。
本製造方法において原料である希土類酸化物(以下、「原料希土類酸化物」ともいう。)の粉末における希土類酸化物の化合物種としては、上記で挙げたCS用材料として用いる希土類酸化物として挙げた化合物種と同様のものが挙げられる。原料希土類酸化物粉末は、BET1点法による比表面積が1m2/g以上30m2/g以下であることが、原料の溶解残および不純物を低減できる観点から好ましく、1.5m2/g以上25m2/g以下であることがより好ましい。
弱酸とは、酸解離定数の小さい酸をいい、好ましくは25℃におけるpKaが1.0以上の酸である。多塩基酸の場合、ここでいうpKaはpKa1をさす。多塩基酸の場合のpKan(nは2以上の任意の整数を示す)は3.0以上であることが好ましい。pKaが1.0以上の酸としては、酢酸、リン酸、ギ酸、酪酸、ラウリン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、リノール酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸等のカルボン酸基を有する有機酸のほか、ホウ酸、次亜塩素酸、フッ化水素及び硫化水素酸などの無機酸が挙げられる。なかでも、カルボン酸基を有する有機酸が好ましく、とりわけ、酢酸が製造原価の抑制及び所望の物性の希土類酸化物粉末を得やすい点の両方の観点から好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
弱酸水溶液中の弱酸の濃度は、20質量%以上40質量%以下であることが、原料希土類酸化物粉末が溶解しやすく所望の物性の希土類元素の酸化物の粉末が得やすい点や原料の溶解性を高める点で好ましく、25質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
原料希土類酸化物粉末の溶解に用いる弱酸水溶液の量は、原料希土類酸化物100モルに対して弱酸が120モル以上であることが弱酸水溶液中で原料希土類酸化物粉末を十分溶解させて、所望の物性の希土類酸化物粉末を得やすくする点で好ましく、150モル以上であることが好ましい。また、弱酸の量は、原料希土類酸化物100モルに対して、800モル以下であることが低原価で作成できる点で好ましい。
原料希土類酸化物粉末を弱酸水溶液に溶解させる時点で弱酸水溶液は60℃以上に加温されていることが、弱酸水溶液中で原料希土類酸化物粉末を十分溶解させて、所望の物性の希土類酸化物粉末を得やすくする点で好ましく、80℃以上に加温されていることがより好ましい。弱酸水溶液の温度の好ましい上限は大気圧下での沸点である。
原料希土類酸化物を溶解させた弱酸水溶液を冷却させることで、希土類弱酸塩が析出する。析出した希土類弱酸塩は通常水和物となっている。
析出した希土類弱酸塩を450℃以上950℃以下で焼成する。焼成雰囲気は、大気雰囲気等の酸素含有雰囲気であっても、窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気であってもよく、酸素含有雰囲気であることが弱酸由来の残留有機物量を低減できる点で好ましい。焼成温度は950℃以下であることで、比表面積、結晶子径、細孔容積が所望の範囲の希土類酸化物が得られ、925℃以下であることがより好ましく、900℃以下であることが更に好ましい。焼成温度は、450℃以上であることが所望の結晶構造の希土類酸化物粉末が得やすく、475℃以上であることが更に好ましい。上記温度範囲における焼成時間は、3時間以上48時間以下が好ましく、5時間以上40時間以下がより好ましい。
析出した希土類弱酸塩は、焼成前に洗浄、乾燥などを行ってもよい。予め乾燥させる場合は、大気雰囲気等の酸素含有雰囲気下であっても、窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気下であってもよく、室温以上250℃以下、好ましくは100℃以上200℃以下で乾燥させることが所望の物性の希土類酸化物粉末が得やすい点で好ましい。上記温度範囲における乾燥時間は、3時間以上48時間以下が好ましく、5時間以上40時間以下がより好ましい。
上記焼成により得られた希土類酸化物粉末は、そのままCS用材料として用いてもよく、或いは造粒等を施した後にCS用材料として用いてもよい。好適な造粒工程については後述する。
(2)希土類元素のフッ化物の非焼成粉末の製造方法
希土類化合物が希土類元素のフッ化物である場合、希土類元素のフッ化物(以下、「希土類フッ化物」ともいう)粉末を、以下の製造方法により製造することが好適である。以下の方法は、上記CS用材料に適した希土類化合物粉末として希土類元素のフッ化物(以下、「希土類フッ化物」ともいう。)の非焼成粉末を製造する場合に関する。
本製造方法は、希土類元素の水溶性塩の水溶液とフッ化水素酸とを混合して希土類フッ化物を沈殿させ、得られた沈殿物を250℃以下で乾燥させる、希土類フッ化物の非焼成粉末の製造方法である。
希土類元素の水溶性塩としては、例えば、希土類元素の硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、アンミン錯体塩、塩化物等が挙げられ、硝酸塩であることが入手容易性や低原価で製造できる点で好ましい。
希土類元素の水溶性塩の水溶液における希土類元素の水溶性塩の濃度は、希土類元素の酸化物換算で200g/L以上400g/L以下であることが、フッ化水素酸との反応性の点や得られた沈殿物の物性を安定化させる点で好ましく、250g/L以上350g/L以下であることが、より好ましい。
またフッ化水素酸は40質量%以上60質量%以下の濃度の水溶液として用いることが、希土類水溶性塩との反応性の点や取扱い時の安全性の確保の点で好ましく、45質量%以上55質量%以下の濃度の水溶液として用いることが好ましい。
フッ化水素酸の使用量は、希土類元素の水溶性塩中の希土類元素1モルに対して、1.05モル以上であることが、希土類元素の水溶性塩を十分反応させて、所望の物性の希土類フッ化物粉末が得やすい点で好ましく1.1モル以上であることがより好ましい。また、フッ化水素酸の使用量は、希土類元素の水溶性塩中の希土類元素1モルに対して、4.0モル以下であることが製造原価を低減できる点で好ましく3.0モル以下であることがより好ましい。
希土類元素の水溶性塩とフッ化水素酸との反応は20℃以上80℃以下で行うことが、希土類元素の水溶性塩を十分反応させて、比表面積、結晶子径、細孔容積等が所望の範囲の希土類フッ化物粉末が得やすい点で好ましく、25℃以上70℃以下で行うことがより好ましい。
希土類元素の水溶性塩とフッ化水素酸との反応により希土類フッ化物の沈殿が得られる。本製造方法では、沈殿物は水及び洗浄した後に乾燥させる。乾燥は、窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気であってもよく、酸素含有雰囲気であることが洗浄後の沈殿物を効率よく乾燥させる点で好ましい。乾燥温度は250℃以下であることで、比表面積、結晶子径、細孔容積が所望の範囲の希土類フッ化物粉末が得やすく、225℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが更に好ましい。乾燥温度は、100℃以上であることが乾燥効率や水分の残留を抑制できる点で好ましく、120℃以上であることが更に好ましい。上記温度範囲における乾燥時間は、3時間以上48時間以下が好ましく、5時間以上40時間以下がより好ましい。
本製造方法において、希土類フッ化物の非焼成粉末とは、希土類元素の水溶性塩とフッ化水素酸との反応により得られた希土類フッ化物を焼成しないとの意味である。ここでいう焼成しないとは300℃以上且つ60分間以上の加熱を行わないとの意味であることが好ましく、250℃以上且つ60分間以上の加熱を行わないとの意味であることがより好ましく、250℃以上且つ30分間以上の加熱を行わないとの意味であることが更に好ましい。
続いて、上記CS用材料に適した希土類化合物粉末として希土類元素のオキシフッ化物の粉末を製造する場合に好適な製造方法の例について説明する。
(3)希土類元素のオキシフッ化物の製造方法1
本製造方法は、希土類元素の酸化物又は焼成すると希土類元素の酸化物になる化合物の粉末と、フッ化水素酸とを混合して、希土類元素のオキシフッ化物の前駆体を得る第1工程と、得られた希土類元素のオキシフッ化物の前駆体を焼成する第2工程とを有する。
(3)の方法において第1工程にて原料とする希土類元素の酸化物粉末としてはオキシフッ化物の比表面積を高くできる点から、上記(1)の方法で得られた希土類元素の酸化物粉末を用いることが好ましい。つまり、希土類元素の酸化物粉末を加温した弱酸水溶液中に溶解させた後に冷却して、希土類元素の弱酸塩を析出させ、該弱酸塩を450℃以上950℃以下で焼成して得られた希土類元素の酸化物粉末を用いることが好ましい。上記(1)の方法に係る説明は、全て、(3)の方法にて原料として用いる希土類元素の酸化物粉末の製造方法の説明として用いることができる。
(3)の方法において第1工程にて原料とする、焼成すると希土類元素の酸化物になる化合物としては、大気中の焼成で希土類元素の酸化物になる化合物であればよい。焼成温度は、500℃から900℃程度まで挙げられる。焼成すると希土類元素の酸化物になる化合物としては、希土類元素のシュウ酸塩や炭酸塩等が微粒粉が作り易い点で好ましく挙げられる。例えば希土類元素の炭酸塩は、希土類元素の水溶性塩と炭酸水素塩とを反応させて得ることが、得られる希土類元素のオキシフッ化物の粉末の比表面積を高くできる観点から好ましい。希土類元素の水溶性塩としては、上記の(2)の方法で例示した各種の希土類元素の水溶性塩を用いることができ、取り扱いの容易性や製造原価の抑制等の点から希土類元素の硝酸塩、塩酸塩が好ましい。炭酸水素塩としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムを用いることが、取り扱いの容易性や製造原価を抑えられる等の点から好ましい。希土類元素の水溶性塩と炭酸水素塩との反応は、水性液中で行うことができ、水性液としては、水等が挙げられる。
(3)の方法において第1工程にて、希土類元素の酸化物又は焼成すると希土類元素の酸化物となる化合物の粉末と、フッ化水素酸とを混合させて、希土類元素のオキシフッ化物の前駆体を得る。CS用材料として好ましい物性の希土類元素のオキシフッ化物をもたらす前駆体を効率よく得やすい観点、及び、反応を均一に行える観点から、混合は、水中で行うことが好ましい。同様の観点から、希土類元素の酸化物又は焼成すると希土類元素の酸化物となる化合物の粉末とフッ化水素酸との混合物の温度は10℃以上80℃以下であることが好ましく、20℃以上70℃以下であることがより好ましい。フッ化水素酸との混合時、希土類元素の酸化物又は焼成すると希土類元素の酸化物となる化合物の粉末は、希土類元素の酸化物換算で、水中に30g/L以上150g/L以下の濃度で分散させることが好ましく、50g/L以上130g/L以下の濃度で分散させることがより好ましい。
フッ化水素酸の使用量は、希土類元素の酸化物又は焼成すると希土類元素の酸化物となる化合物の酸化物換算1モルに対してフッ化水素が0.1モル以上5.9モル以下であることが好ましく、0.2モル以上5.8モル以下であることがより好ましい。希土類元素の酸化物又は焼成すると希土類元素の酸化物となる化合物の粉末とフッ化水素酸との混合は撹拌しながら行うことが好ましく、目的物を首尾よく得る観点及び製造時間の短縮の点から、撹拌時間としては、例えば0.5時間以上48時間以下であることが好ましく、1時間以上36時間以下であることがより好ましい。
第2工程において、上記第1工程で得られた希土類元素のオキシフッ化物の前駆体を焼成することで、本発明のCS用材料に適した希土類元素のオキシフッ化物粉末が得られる。焼成は、大気雰囲気等の酸素含有雰囲気下であることが、希土類元素のオキシフッ化物を容易に得られるために好ましい。また焼成温度は、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。焼成温度は、600℃以下であることが、上記の高BET比表面積及び結晶子径を有する希土類元素のオキシフッ化物粉末を得やすいため好ましく、550℃以下であることがより好ましい。上記温度範囲における焼成時間は、1時間以上48時間以下が好ましく、2時間以上24時間以下がより好ましい。効率よく希土類元素のオキシフッ化物粉末を得る観点から、焼成前に希土類元素のオキシフッ化物の前駆体を乾燥させることが好ましく、例えば乾燥温度は100℃以上180℃以下が好ましく、120℃以上160℃以下がより好ましい。
上記の焼成で得られた希土類元素のオキシフッ化物の粉末は、そのままCS用材料として用いることができるが、解砕させることが基板への材料の付着を容易にする点から好ましい。解砕方法としては後述する各種の方法を用いることができる。
上記CS用材料に適した希土類化合物粉末として上記(1)〜(3)以外の方法を採用できる。例えば、希土類元素のオキシフッ化物粉末を製造する場合に好適な別の製造方法の例を以下(4)に説明する。
(4)希土類元素のオキシフッ化物の製造方法2
本製造方法は、希土類元素の酸化物の粉末と希土類元素のフッ化物の粉末を混合したのち、焼成して希土類元素のオキシフッ化物の粉末を得、得られた希土類元素のオキシフッ化物の粉末を粉砕する方法である。
原料となる希土類元素の酸化物の粉末としては、BET1点法による比表面積が1m2/g以上25m2/g以下、特に1.5m2/g以上20m2/g以下のものが入手コストの点等で好ましい。また希土類元素のフッ化物の粉末は、BET1点法による比表面積が0.1m2/g以上10m2/g以下、特に0.5m2/g以上5m2/g以下のものが入手コストの点等で好ましい。
希土類元素の酸化物の粉末と希土類元素のフッ化物の粉末とを混合して焼成する場合、焼成雰囲気は大気雰囲気等の酸素含有雰囲気を使用できるが、焼成温度が1100℃以上、特に1200℃以上の場合、酸素含有雰囲気では生成した希土類元素のオキシフッ化物が分解して希土類元素の酸化物になりやすいため、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気が好ましい。焼成温度は、400℃以上1000℃以下であることがCS用材料に適した物性の希土類元素のオキシフッ化物粉末を得やすいため好ましく、500℃以上950℃以下であることが更に好ましい。焼成時間は例えば、3時間以上48時間以下であることが好ましく、5時間以上30時間以下であることがより好ましい。
(4)の方法では、上記の焼成により得られた希土類元素のオキシフッ化物粉末を粉砕する。希土類元素のオキシフッ化物粉末の粉砕は、乾式粉砕及び湿式粉砕のいずれによって行ってもよい。乾式粉砕の場合、乾式ボールミル、乾式ビーズミル、高速回転型衝撃式ミル、ジェットミル、石臼式摩砕機、ロールミル等が使用可能である。湿式粉砕の場合、球状、円筒状等の粉砕媒体を使用した湿式粉砕装置によって行うのが好ましい。このような粉砕装置の例としてボールミル、振動ミル、ビーズミル、アトライタ(登録商標)等がある。粉砕媒体の材質としては、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化タングステン、耐摩耗鋼やステンレス等を挙げることができる。ジルコニアは金属酸化物を添加して安定化させたものであってもよい。また、湿式粉砕の分散媒としては、後述するスプレードライ法による造粒の際に用いるスラリーの分散媒の例として下記で挙げるものと同様のものを用いることができる。所望のBET比表面積を得るために、使用する粉砕媒体としては、直径が0.05mm以上2.0mm以下のものを用いることが好ましく、0.1mm以上1.0mm以下のものを用いることがより好ましい。また被処理物である希土類元素のオキシフッ化物100gに対して、分散媒の量は50mL以上500mL以下であることが好ましく、75mL以上300mL以下であることがより好ましい。粉砕媒体の量は被処理物である希土類元素のオキシフッ化物100gに対して、50mL以上1000mL以下であることが好ましく、100mL以上800mL以下であることがより好ましい。粉砕時間としては、5時間以上50時間以下であることが好ましく、10時間以上30時間以下であることがより好ましい。湿式粉砕を行った場合、湿式粉砕で得られたスラリーを乾燥させる。湿式粉砕で得られたスラリーを乾燥させて粉末を得る場合、分散媒は水でもよいが分散媒を有機溶媒としてから乾燥を行うと、乾燥後の凝集を防止しやすいため好ましい。この場合の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコールやアセトンを挙げることができる。乾燥温度は80℃以上200℃以下が好ましい。
以上のようにして、本発明のCS用材料に好適な希土類元素のオキシフッ化物粉末を得ることができる。
上記(1)〜(4)の方法で得られた希土類元素の化合物の粉末は、そのままCS用材料に用いてもよいが、造粒を施すことで流動性を高めると、安定した成膜が容易となるため好ましい。
造粒方法はスプレードライ法、押出造粒法、転動造粒法等を用いることができるが、スプレードライ法が、得られる造粒粉末の流動性がよく、また基材に高圧ガスで押し付けた場合の成膜性も高いため好ましい。
スプレードライ法では、分散媒に上記で得られた希土類フッ化物の粉末を分散させたスラリーをスプレードライヤーに供する。分散媒としては、水や各種の有機溶媒を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、水、或いは、水への溶解度が5質量%以上である有機溶媒又は該有機溶媒と水との混合物を用いることが、更に緻密且つ均一な膜が得られやすいため好ましい。ここで水への溶解度が5質量%以上である有機溶媒は、水と自由混合するものを含む。また、水への溶解度が5質量%以上である有機溶媒と水との混合物における該有機溶媒と水との混合比率は、該有機溶媒の水に対する溶解度の範囲内であることが好ましい。
水への溶解度が5質量%以上である有機溶媒(水と自由混合するものも含む)としては、アルコール、ケトン、環状エーテル、ホルムアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
アルコールとしては、メタノール(メチルアルコール)、エタノール(エチルアルコール)、1−プロパノール(n−プロピルアルコール)、2−プロパノール(iso−プロピルアルコール、IPA)、2−メチル−1−プロパノール(iso−ブチルアルコール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)、1−ブタノール(n−ブチルアルコール)、2−ブタノール(sec−ブチルアルコール)等の1価のアルコールのほか、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,2,3−プロパントリオール(グリセリン)等の多価アルコールが挙げられる。
ケトンとしては、プロパノン(アセトン)、2−ブタノン(メチルエチルケトン、MEK)等が挙げられる。環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン(THF)や、1,4−ジオキサン等が挙げられる。ホルムアミド類としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。スルホキシド類としてはジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
スラリーにおける希土類化合物粉末の含有割合は、10質量%以上50質量%以下が好ましく、12質量%以上45質量%以下がより好ましく、15質量%以上40質量%以下が更に好ましい。この濃度範囲であると、スラリーを比較的短時間で成膜できて成膜効率がよく、得られる膜の均一性がよい。
スプレードライの条件としては、スプレードライヤーの操作条件はスラリー供給速度:150mL/min以上350mL/min以下とすることが好ましく、200mL/min以上300mL/min以下とすることがより好ましい。ロータリーアトマイザー方式の場合、アトマイザー回転数5000min-1以上30000min-1以下とすることが好ましく、6000min-1以上25000min-1以下とすることがより好ましい。入口温度は200℃以上300℃以下とすることが好ましく、230℃以上270℃以下とすることがより好ましい。
なお、上記(1)〜(4)の方法で得られた希土類元素の化合物の粉末は造粒前、又は造粒せずに、解砕して、D50D、D50Nを所望の範囲に調整してもよい。
解砕は湿式粉砕及び乾式粉砕のいずれでもよいが、乾式粉砕の場合、ピンミル、擂潰器、乾式ボールミル、乾式ビーズミル、高速回転型衝撃式ミル、ジェットミル、石臼式摩砕機、ロールミル、アトマイザー等が使用可能である。湿式粉砕の場合、球状、円筒状等の粉砕媒体を使用した湿式粉砕装置によって行うのが好ましい。このような粉砕装置の例としてボールミル、振動ミル、ビーズミル、アトライタ(登録商標)等がある。
以上(1)〜(4)の工程により得られた希土類化合物粉末は、CS法による成膜に供すると、優れた成膜性を示すため、CS用材料として有用である。
3.CS法による成膜
次いで、CS法による成膜方法について説明する。
CS法とは、粉末材料を溶融またはガス化させることなく、溶融温度以下の固相状態で基材に衝突させ、衝突のエネルギーで粉末材料に塑性変形を生じさせることにより皮膜を形成する技術である。
本成膜方法は、本発明のCS用材料を原料粉末とし、加熱及び加圧されたガスにより、原料粉末を加熱及び加速し、基材上に衝突させて成膜する。
CS法の成膜に用いる成膜装置としては、高温・高圧ガスを発生させる発生部と、当該発生部から高温・高圧ガスを受け取り、ガスを加速させるガス加速部および基材を保持する基材保持部とを有し、高温・高圧ガス流中に原料粉末を投入することで基材に原料粉末を衝突させるものが挙げられる。
高温・高圧ガス発生部におけるガス温度としては150℃以上であることが希土類化合物の粒子を基材に付着しやすくする点で好ましく、800℃以下であることが、加速ノズルからの金属不純物汚染を防止する観点で好ましい。これらの観点から、ガス温度は℃160℃以上750℃以下であることがより好ましく、180℃以上700℃以下であることが特に好ましい。
高温・高圧ガス発生部におけるガス圧力としては0.1MPa以上であることが、粒子が基材に付着しやすい点で好ましく、10MPa以下であることが、基材表面近傍で発生する衝撃波によって粒子が基材に衝突し難い現象を防止しやすい点で好ましい。この観点から、ガス圧力は0.2MPa以上8MPa以下であることがより好ましく、0.3MPa以上6MPa以下であることが特に好ましい。
ガス加速部には加速ノズルを用いることができ、その形状や構造は限定されない。
基材としてはアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、炭素鋼等の金属基材、グラファイト、石英、アルミナ等のセラミックス、プラスチック等を用いることができる。
ガスとしては、圧縮空気、窒素、ヘリウム等を用いることができる。
基材保持部における基材の位置は、高温・高圧ガス流に曝される位置であれば良い。基材と基材は固定されていても良いが、基材を上下及び/又は左右に移動させて、基材全体を高温・高圧ガス流に曝し、均一成膜することが好ましい。原料粉末の噴出部と基材との距離(以下「成膜距離」ともいう)は例えば、10mm以上50mm以下であることが成膜しやすさ等の点で好ましく、15mm以上45mm以下であることがより好ましい。
4.コールドスプレー膜
次いで、本発明のCS用材料をCS法に供して得られるコールドスプレー膜について説明する。
本発明のコールドスプレー膜は、Cu−Kα線又はCu−Kα1線を用いたX線回折測定において、2θ=10度〜90度に観察される最大ピークが希土類化合物のものであることが好ましい。コールドスプレー膜は、2θ=10度〜90度のX線回折測定におけるメーンピークが希土類化合物に由来するときに、当該メーンピークに対して、希土類化合物以外の成分に由来する最大強度のピークのピーク高さの比率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、希土類化合物以外の成分に由来するピークが観察されないことが最も好ましい。とりわけ前記のメーンピークが希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物又は希土類元素のオキシフッ化物に由来する場合に、当該メーンピークに対して、希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物又は希土類元素のオキシフッ化物以外の成分に由来する最大強度のピークのピーク高さの比率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物又は希土類元素のオキシフッ化物以外の成分に由来するピークが観察されないことが最も好ましい。
更に、本発明のコールドスプレー膜は、2θ=10度〜90度におけるX線回折測定におけるメーンピークが希土類元素の酸化物に由来するときに、当該メーンピークに対して、希土類元素の酸化物以外の成分に由来する最大強度のピークのピーク高さの比率が10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。
同様に本発明のコールドスプレー膜は、2θ=10度〜90度におけるX線回折測定におけるメーンピークが希土類元素のフッ化物に由来するときに、当該メーンピークに対して、希土類元素のフッ化物以外の成分に由来する最大強度のピークのピーク高さの比率が10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。
同様に本発明のコールドスプレー膜は、2θ=10度〜90度におけるX線回折測定におけるメーンピークが希土類元素のオキシフッ化物に由来するときに、当該メーンピークに対して、希土類元素のオキシフッ化物以外の成分に由来する最大強度のピークのピーク高さの比率が10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。
コールドスプレー膜のX線回折測定は実施例に記載の方法にて行うことができる。
本発明のコールドスプレー膜の厚さは20μm以上であることが半導体製造装置の構成部材のコーティングにより、ハロゲン系プラズマ耐性を十分得られる点で好ましく、500μm以下であることが経済的な観点や用途に適した厚みという観点で好ましい。また、本発明で得られた膜はL*a*b*系表色系色座標のL値が85以上であることが好ましく、90以上であることが好ましい。同様の点から、本発明のコールドスプレー膜は、L*a*b*系表色系色座標のa値が−0.7以上0.7以下であることが好ましく、−0.5以上0.5以下であることがより好ましい。また、L*a*b*系表色系色座標のb値が−1以上2.5以下であることが好ましく、−0.5以上2.0以下であることがより好ましい。L*a*b*系表色系色座標のL値、a値、b値は実施例に記載の方法にて測定できる。
本発明のコールドスプレー膜は、緻密な膜を作成する観点で、結晶子径が25nm以下であることが好ましく、23nm以下であることがより好ましく、20nm以下であることが一層好ましい。結晶子径は1nm以上であることがコールドスプレー膜の製造しやすさ、得られたコールドスプレー膜の強度を担保する点で好ましく、3nm以上であることがより好ましい。結晶子径は後述する実施例に記載の方法で測定できる。
コールドスプレー膜は半導体製造装置の構成部材以外にも各種プラズマ処理装置、化学プラントの構成部材のコーティング用途に用いることができる。
なおコールドスプレー膜という記載は、CS法にて得られた膜という意味である。当該規定は物の状態を示すものであり、物の製造方法を特定するものではない。また仮に当該記載が物の製造方法を示すものであったとしても、CS法により製造することによる特性を全て特定することは早期出願を要する発明に関して困難であることから、本願出願時には当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情があったものである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。なお、以下に記載のBET比表面積はいずれも以下に記載の方法で測定した。
〔実施例1〕
BET比表面積3.0m2/gの酸化イットリウム粉末160gを100℃に加温した30%酢酸水溶液1kg中に溶解させた後、室温まで冷却し、酢酸イットリウム水和物を析出させた。固液分離して得られた酢酸イットリウム水和物を120℃で12時間乾燥させた後、650℃で24時間焼成することにより、酸化イットリウム粉末を得た。乾燥及び焼成はいずれも大気雰囲気中で行った。得られた酸化イットリウム粉末を下記条件において2θ=10度〜90度の走査範囲のX線回折測定に供したところ、20.1度〜21.0度に酸化イットリウムに由来するメーンピークが観察され、当該メーンピークに対して、酸化イットリウム以外の成分に由来する最大強度のピークの高さ比が5%以下であった。
〔実施例2〕
BET比表面積3.0m2/gの酸化イットリウム粉末160gを100℃に加温した30%酢酸水溶液1kg中に溶解させた後、室温まで冷却し、酢酸イットリウム水和物を析出させた。固液分離して得られた酢酸イットリウム水和物を120℃で12時間乾燥させた後、550℃で24時間焼成することにより、酸化イットリウム粉末を得た。乾燥及び焼成はいずれも大気雰囲気中で行った。得られた酸化イットリウム粉末を下記条件において2θ=10度〜90度の走査範囲のX線回折測定に供したところ、20.1度〜21.0度に酸化イットリウムに由来するメーンピークが観察され、当該メーンピークに対して、酸化イットリウム以外の成分に由来する最大強度のピークの高さ比が5%以下であった。
〔比較例1〕
BET比表面積3.0m2/gの酸化イットリウム粉末160gを100℃に加温した30%酢酸水溶液1kg中に溶解させた後、室温まで冷却し、酢酸イットリウム水和物を析出させた。固液分離して得られた酢酸イットリウム水和物を120℃で12時間乾燥させた後、1000℃で24時間焼成することにより酸化イットリウム粉末を得た。乾燥及び焼成はいずれも大気雰囲気中で行った。
〔実施例3〕
反応容器に、酸化イットリウム換算で濃度300g/Lの硝酸イットリウム水溶液2.2kgと50%フッ化水素酸0.5kgとを投入し、40℃で反応させることによりフッ化イットリウムの沈殿物を得た。得られた沈殿物を脱水及び洗浄した後、大気雰囲気中、150℃で24時間乾燥を行った。
得られた乾燥粉末を20%の濃度にて純水中に分散させた。得られた分散液について、大川原化工機製FOC−20型スプレードライヤーを用いて造粒を行った。スプレードライヤーの操作条件はスラリー供給速度:245mL/min、アトマイザー回転数:12000min-1、入口温度:250℃とした。以上の工程により、焼成を行わずにフッ化イットリウムの造粒粉末を得た。得られたフッ化イットリウム粉末を下記条件において2θ=10度〜90度の走査範囲のX線回折測定に供したところ、27.0度〜28.0度にフッ化イットリウムに由来するメーンピークが観察され、当該メーンピークに対して、フッ化イットリウム以外の成分に由来する最大強度のピークの高さ比が5%以下であった。
〔比較例2〕
反応容器に、酸化イットリウム換算で濃度300g/Lの硝酸イットリウム水溶液2.2kgと50%フッ化水素酸0.5kgとを投入し、40℃で反応させることによりフッ化イットリウムの沈殿物を得た。得られた沈殿物を脱水及び洗浄した後、大気雰囲気中、150℃で24時間乾燥を行った。
得られた乾燥粉末を20%の濃度にて純水中に分散させた。得られた分散液について、大川原化工機製FOC−20型スプレードライヤーを用いて造粒を行った。スプレードライヤーの操作条件はスラリー供給速度:245mL/min、アトマイザー回転数:12000min-1、入口温度:250℃とした。得られた造粒粉末を大気雰囲気中、400℃で24時間焼結させフッ化イットリウム造粒粉末とした。
〔比較例3〕
上記の沈殿物の乾燥粉末の代わりに、市販のフッ化イットリウム粉末(BET比表面積3.6m2/g)をスプレードライ法により造粒した。その点以外は比較例2と同様にしてフッ化イットリウム造粒粉末とした。
〔実施例4〕
BET比表面積3.0m2/gの酸化イットリウム粉末0.61kgとBET比表面積1.0m2/gのフッ化イットリウム粉末0.39kgを混合したのち、大気雰囲気中、900℃で5時間焼成し、オキシフッ化イットリウム粉末を得た。粉末の組成がY:O:Fのモル比が1:1:1のYOFであることを確認した。
得られたオキシフッ化イットリウム粉末を広島メタル&マシナリー製UAM−1を用いて50%の濃度にて変性アルコール中で湿式粉砕を15時間行った。粉砕用のビーズとしては酸化ジルコニウム製の直径0.1mmのものを用いた。ビーズの使用量は、オキシフッ化イットリウム100gに対して100mlであった。得られた湿式粉砕物を大気雰囲気中、120℃で24時間乾燥させた。
得られた乾燥粉末を35%の濃度にて純水中に分散させたのち、大川原加工機製FOC−16型スプレードライヤーを用いて造粒を行い、オキシフッ化イットリウム造粒粉末とした。スプレードライヤーの操作条件はスラリー供給速度:245mL/min、アトマイザー回転数:12000min-1、入口温度:250℃とした。
得られたオキシフッ化イットリウム粉末を下記条件において2θ=10度〜90度の走査範囲のX線回折測定に供したところ、28度〜29度にYOFに由来するメーンピークが観察され、当該メーンピークに対して、YOF以外の成分に由来する最大強度のピークの高さ比が5%以下であった。
〔実施例5〕
BET比表面積3.0m2/gの酸化イットリウム粉末160gを100℃に加温した30%酢酸水溶液1kg中に溶解させたのち、室温まで冷却し、酢酸イットリウム水和物を析出させた。固液分離した酢酸イットリウム水和物を120℃で12時間乾燥させた後、650℃で焼成することにより酸化イットリウム粉末を得た。乾燥及び焼成はいずれも大気雰囲気中で行った。
得られた酸化イットリウム粉末を70g/Lの濃度にて純水中に分散させ、そこに酸化イットリウム100gに対して、フッ化水素18gとなるように、50%フッ化水素酸を添加して25℃で24時間撹拌を行い、オキシフッ化イットリウム前駆体を得た。得られた前駆体を脱水したのち、大気雰囲気中、120℃で24時間乾燥を行った。得られた乾燥粉末を大気雰囲気中、400℃で5時間焼成を行った後、ピンミル(パウレック社製コロプレックス)にて5000rpmの回転数にて解砕を行い、オキシフッ化イットリウム粉末とした。
得られたオキシフッ化イットリウム粉末を下記条件において2θ=10度〜90度の走査範囲のX線回折測定に供し、粉末の組成がY:O:Fのモル比が1:1:1のYOFであることを確認した。当該X線回折測定によれば、28度〜29度にYOFに由来するメーンピークが観察され、当該メーンピークに対して、YOF以外の成分に由来する最大強度のピークの高さが5%以下であった。
〔実施例6〕
酸化イットリウム換算で濃度300g/Lの硝酸イットリウム水溶液1Lと250g/L炭酸水素アンモニウム水溶液0.7Lとを混合して、硝酸イットリウムと炭酸水素アンモニウムとを反応させることにより炭酸イットリウムの沈殿物を得た。得られた沈殿物を脱水及び洗浄したのち、大気雰囲気中、120℃で24時間乾燥を行った。
得られた炭酸イットリウム粉末を酸化イットリウム換算で70g/Lの濃度にて純水中に分散させ、そこに酸化イットリウム換算100gの炭酸イットリウムに対して、フッ化水素18gとなるように、50%フッ化水素酸を添加して25℃で24時間撹拌を行い、オキシフッ化イットリウム前駆体を得た。得られた前駆体を脱水したのち、大気雰囲気中、120℃で24時間乾燥を行った。得られた乾燥粉末を大気雰囲気中、400℃で5時間焼成を行ったのち、ピンミル(パウレック社製コロプレックス)にて5000rpmの回転数にて解砕を行い、オキシフッ化イットリウム粉末とした。
得られたオキシフッ化イットリウム粉末を下記条件において2θ=10度〜90度の走査範囲のX線回折測定に供したところ、粉末の組成がY:O:Fのモル比が1:1:1のYOFであることを確認した。当該X線回折測定によれば、28.0度〜29.0度にYOFに由来するメーンピークが観察され、当該メーンピークに対してYOF以外の成分に由来する最大強度のピークの高さ比が5%以下であった。
〔実施例7〕
BET比表面積3.0m2/gの酸化イットリウム粉末0.47kgとBET比表面積1.0m2/gのフッ化イットリウム粉末0.53kgを混合したのち、大気雰囲気下にて、900℃で5時間焼成し、オキシフッ化イットリウム粉末を得た。
得られたオキシフッ化イットリウム粉末を広島メタル&マシナリー製UAM−1を用いて50%の濃度にて変性アルコール中で湿式粉砕を15時間行ったのち、大気雰囲気中、120℃で24時間乾燥を行った。粉砕用のビーズとしては酸化ジルコニウム製の直径0.1mmのものを用いた。ビーズの使用量は、オキシフッ化イットリウム100gに対して0.1Lであった。
得られた乾燥粉末を35%の濃度にて純水中に分散させたのち、大川原加工機製FOC−16型スプレードライヤーを用いて造粒を行い、オキシフッ化イットリウム造粒粉末とした。スプレードライヤーの操作条件はスラリー供給速度:245mL/min、アトマイザー回転数:12000min-1、入口温度:250℃とした。
得られたオキシフッ化イットリウム粉末を下記条件において2θ=10度〜90度の走査範囲のX線回折測定に供したところ、粉末の組成がY:O:Fのモル比が5:4:7のY547であることを確認した。当該X線回折測定によれば28.0度〜29.0度にY547に由来するメーンピークが観察され、当該メーンピークに対して、Y547以外の成分に由来する最大強度のピークの高さが5%以下であった。
〔比較例4〕
上記の沈殿物の乾燥粉末の代わりに、市販のオキシフッ化イットリウム粉末(BET比表面積3.1m2/g)をスプレードライ法により造粒した。その点以外は比較例2と同様にしてオキシフッ化イットリウム造粒粉末とした。
〔比較例5〕
TiO2凝集粉(テイカ社製)を用いた。
得られた実施例及び比較例の粉末について、以下の方法で、BET比表面積、結晶子径、水銀圧入法による20nm以下の細孔直径の細孔容積、ガス吸着法による3nm以上20nm以下の細孔直径の細孔容積、安息角、D50N及びD50D並びにL値、a値及びb値を測定した。粉末の組成は、下記条件のX線回折測定により特定した。
これらの結果を下記表1に示す。
<BET比表面積の測定方法>
マウンテック社製全自動比表面積計Macsorb model―1201を用いてBET1点法にて測定した。使用ガスは、窒素ヘリウム混合ガス(窒素30vol%)とした。
<結晶子径>
結晶子径は、下記の条件のX線回折測定を行い、シェラーの式(D=Κλ/(βcosθ))を用いて評価した。式中、Dは結晶子径、λはX線の波長、βは回折線幅(半値幅)、θは回折角、Κは定数である。半値幅はKを0.94として求めた。
走査範囲2θ=10度〜90度の範囲のうち、酸化イットリウムについては(222)面のピークの半値幅を用い、フッ化イットリウムについては、(111)面のピークの半値幅を用い、オキシフッ化物については、実施例5〜7についてはYOFの(101)面のピークの半値幅を用い、実施例8及び比較例4についてはY547の(151)面のピークの半値幅を用いた。比較例5については、2θ=25.218°の(101)面のピークの半値幅を用いた。
X線回折の条件は以下の通りとした。
・装置:UltimaIV(株式会社リガク製)
・線源:CuKα線
・管電圧:40kV
・管電流:40mA
・スキャン速度:2度/min
・ステップ:0.02度
・スキャン範囲:2θ=10度〜90度
各実施例及び比較例の粉末は、50gを採取し、めのう乳鉢に入れ、粉末が完全に浸漬する量のエタノールを滴下して10分、めのう乳棒で手粉砕した後、乾燥させ、目開き250μm以下の篩下をX線回折測定に供した。
<水銀圧入法による細孔容積>
マイクロメリティクス社製オートポアIVを用い、JIS R1655:2003に準じて測定した。具体的には、0.35gの試料を用い、初気圧7kPaにて水銀の圧入を行い測定した。なお測定試料に対する水銀接触角は130度,水銀表面張力は485dynes/cmに設定した。測定結果を付属の解析ソフトウェアを使用して、細孔直径が0.001μm以上100μm以下である範囲を測定し、細孔直径が20nm以下である範囲の累積容積を細孔容積とした。
<ガス吸着法による細孔容積>
Quantachrome Instruments社製Nova2200を用いてBET多点法により測定した。吸着媒体には窒素ガスを用い、得られた吸脱着曲線をDollimore−Heal法を用いて解析し、吸着過程および脱着過程それぞれにおいて細孔直径3nm〜20nmの範囲で測定された細孔容積の累積値の平均を細孔容積とした。
<安息角>
多機能型粉体物性測定器マルチテスター MT−1001k型(株式会社セイシン企業製)を用い、JIS R 9301に準じて測定した。
<D50N、D50Dの測定方法>
50Nは粉末を、純水が入った日機装株式会社製マイクロトラック3300EXIIの試料循環器のチャンバーに、適正濃度であると装置が判定するまで投入して、測定した。
50Dは、100mLガラスビーカーに、粉末を約0.4g含む量入れ、次いで分散媒として純水を、ビーカーの100mLの線まで入れた。株式会社日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−300T型(出力300W)に、粒子と分散媒の入ったビーカーをセットして15分間超音波処理を行い、測定用スラリーとした。この測定用スラリーを、純水が入った日機装株式会社製マイクロトラック3300EXIIの試料循環器のチャンバーに、適正濃度であると装置が判定するまで滴下して、測定した。
<L値、a値、b値>
コニカミノルタ社製の分光色差計CM−700dを用いて測定した。
〔成膜評価〕
上記各実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた粉末について、以下の条件にてCS法による成膜を行った。
・成膜装置:実施例1及び2、比較例1並びに実施例4〜7の粉末の成膜は、成膜装置としてメディコ―ト社製のACGSを使用した。実施例3、比較例2〜5の粉末の成膜には、成膜装置としてロシアOCPS社製のDYMET413を使用した。
・作動ガス:実施例3、比較例2及び3では圧縮空気を用い、その他の実施例及び比較例ではN2を使用した。
・高温・高圧ガス発生部における作動ガス圧力:0.5MPa(比較例5のみ3MPa)
・作動ガス温度:550℃
・作動ガス流量:270L/分
・ノズル:ロシアOCPS社製のDYMET413付属のノズルを使用した。
・基材:50mm×50mmのアルミニウム板を用いた。
・成膜距離は20mmとした。
・ノズルへの粉末供給は図1に示す装置を用い、以下の手順により行った。まず、粉末フィーダー11に粉末0.5kgを投入し、振動によりチューブ12に供給した。チューブ12に供給された粉末は、ガス配管13からノズル14に向けて矢印方向に流れるガスに随伴されることによりノズル14まで供給され、ノズル14から基材15に向けて発射された。
・基材15は20mm/秒の速度で上下左右に動かし、基材に均一に膜を堆積させた。
上記成膜方法による成膜性について以下の評価基準で評価した。膜厚は、膜の断面をダイヤモンドスラリーで研磨した後、走査型電子顕微鏡を用いて測定した。また得られた膜について、以下の方法にて、結晶子径を評価した。
<成膜性>
◎:厚さ20μm以上の均一な厚膜が得られた。
○:厚さ20μm以上の厚膜が得られたが、一部に剥がれの発生又は成膜ができない部位があった。
×:膜形成ができなかった。
<結晶子径>
基材表面に形成された膜を下記の条件のX線回折測定に供した。
結晶子径は、シェラーの式(D=Κλ/(βcosθ))を用いて評価した。式中、Dは結晶子径、λはX線の波長、βは回折線幅(半値幅)、θは回折角、Κは定数である。半値幅はKを0.94として求めた。
走査範囲2θ=10度〜90度の範囲のうち、酸化イットリウムについては(222)面のピークの半値幅を用い、フッ化イットリウムについては、(111)面のピークの半値幅を用い、イットリウムのオキシフッ化物については、実施例4〜6についてはYOFの(101)面のピークの半値幅を用い、実施例7及び比較例4についてはY547の(151)面のピークの半値幅を用いた。比較例5については、酸化チタンの2θ=25.218°の(101)面のピークの半値幅を用いた。
X線回折の条件は以下の通りとした。
・装置:UltimaIV(株式会社リガク製)
・線源:CuKα線
・管電圧:40kV
・管電流:40mA
・スキャン速度:2度/min
・ステップ:0.02度
・スキャン範囲:2θ=10度〜90度
各実施例及び比較例の膜は、50gを採取し、めのう乳鉢に入れ、膜が完全に浸漬する量のエタノールを滴下して10分、めのう乳棒で手粉砕した後、乾燥させ、目開き250μm以下の篩下をX線回折測定に供した。
なお、CS法で得られた各実施例の膜について得られたX線回折パターンにおいて、メーンピークと他の成分の最大強度のピークの高さ比は、各実施例の粉末のX線回折パターンとそれぞれ同様であった。
<L値、a値、b値>
コニカミノルタ社製の分光色差計CM−700dを用いて測定した。
Figure 2020090528
表1に示すように、いずれの実施例においても、本発明の材料を用いることで、CS法による厚さ20μm以上の膜を得ることができた。得られた膜は、結晶子径、L値、a値、b値の値が、材料粉末と同程度となった。これに対し、比較例1〜4の粉末ではCS法による膜が得られなかった。またTiO2に係る比較例5では、成膜時におけるb値の上昇が大きく、黄色味の少ない白色の膜が得られなかった。

Claims (21)

  1. BET1点法による比表面積が30m2/g以上である希土類元素の化合物の粉末からなる、コールドスプレー用材料。
  2. ガス吸着法による細孔直径3nm以上20nm以下の細孔容積が0.08cm3/g以上である、請求項1に記載のコールドスプレー用材料。
  3. 水銀圧入法による細孔直径20nm以下の細孔容積が0.03cm3/g以上である、請求項1又は2に記載のコールドスプレー用材料。
  4. 前記粉末の結晶子径が25nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載のコールドスプレー用材料。
  5. 安息角が10°以上60°以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコールドスプレー用材料。
  6. L*a*b*系表色系色座標のL値が85以上であり、a値が−0.7以上0.7以下であり、b値が−1以上2.5以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコールドスプレー用材料。
  7. 希土類元素の化合物が希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物及び希土類元素のオキシフッ化物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコールドスプレー用材料。
  8. 希土類元素がイットリウムである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコールドスプレー用材料。
  9. BET1点法による比表面積が45m2/g以上325m2/g以下である希土類元素の化合物の粉末からなる、コールドスプレー用材料であって、
    希土類元素の化合物が、希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物及び希土類元素のオキシフッ化物から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記粉末の結晶子径が3nm以上25nm以下であり、
    ガス吸着法による細孔直径3nm以上20nm以下の細孔容積が0.08cm3/g以上1.0cm3/g以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコールドスプレー用材料。
  10. 安息角が20°以上50°以下であり、
    レーザ回折・散乱式粒度分布測定法による積算体積50容量%における積算体積粒径(D50N)が1.5μm以上80μm以下であり、
    300W、15分間の超音波分散処理後に測定したレーザ回折・散乱式粒度分布測定法による積算体積50容量%における積算体積粒径(D50D)が0.3μm以上30μm以下であり、
    L*a*b*系表色系色座標のL値が90以上であり、a値が−0.7以上0.7以下であり、b値が−1以上2.5以下である、請求項9に記載のコールドスプレー用材料。
  11. Cu−Kα線又はCu−Kα1線を用いたX線回折測定において、2θ=10度〜90度に観察される最大ピークが、YF3、Y23、YOF又はY547に由来する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のコールドスプレー用材料。
  12. BET比表面積が30m2/g以上である希土類元素の化合物の粉末をコールドスプレー法に供する、膜の製造方法。
  13. BET比表面積が30m2/g以上である希土類元素の化合物の粉末をコールドスプレーしてなる膜。
  14. L*a*b*系表色系色座標のL値が85以上であり、a値が−0.7以上0.7以下であり、b値が−1以上2.5以下である、請求項13に記載の膜。
  15. 希土類元素の酸化物、希土類元素のフッ化物又は希土類元素のオキシフッ化物からなり、結晶子径が3nm以上25nm以下であり、L*a*b*系表色系色座標のL値が85以上であり、a値が−0.7以上0.7以下であり、b値が−1以上2.5以下であり、厚さが20μm以上500μm以下のコールドスプレー膜。
  16. 希土類元素の酸化物粉末を、加温した弱酸水溶液中に溶解させた後に冷却して、希土類元素の弱酸塩を析出させ、該弱酸塩を450℃以上950℃以下で焼成する、希土類元素の酸化物粉末の製造方法。
  17. 希土類元素の水溶性塩の水溶液とフッ化水素酸とを混合して希土類元素のフッ化物を沈殿させ、得られた沈殿物を250℃以下で乾燥させた後、焼成を行わない、希土類元素のフッ化物の非焼成粉末の製造方法。
  18. 希土類元素の酸化物又は焼成すると希土類元素の酸化物になる化合物の粉末と、フッ化水素酸とを混合して、希土類元素のオキシフッ化物の前駆体を得る第1工程と、
    得られた希土類元素のオキシフッ化物の前駆体を焼成する第2工程とを有する、希土類元素のオキシフッ化物粉末の製造方法。
  19. 希土類元素の酸化物粉末を加温した弱酸水溶液中に溶解させた後、得られた溶液を冷却して希土類元素の弱酸塩を析出させ、該弱酸塩を450℃以上950℃以下で焼成して、希土類元素の酸化物粉末を得、得られた希土類元素の酸化物粉末を、第1工程における希土類元素の酸化物として用いる、請求項18に記載の希土類元素のオキシフッ化物粉末の製造方法。
  20. 第1工程において、焼成すると希土類元素の酸化物になる化合物として、希土類元素の炭酸塩を用いる、請求項18に記載の希土類元素のオキシフッ化物粉末の製造方法。
  21. 前記の希土類元素の炭酸塩が、希土類元素の硝酸塩又は塩酸塩から選ばれる希土類元素の水溶性塩と、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムから選ばれる炭酸水素塩とを反応させて得られたものである、請求項20に記載の希土類元素のオキシフッ化物粉末の製造方法。
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