JP2018184334A - 成膜用材料の製造方法 - Google Patents

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誠治 森内
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Abstract

【課題】ランタン−ジルコニウム複合酸化物を含有し、半導体製造装置部材のコーティング用途に用いられる成膜用材料として好適な成膜用材料を提供する。
【解決手段】本発明の成膜用材料の製造方法は、LaZrで表されるランタン−ジルコニウム複合酸化物を含む成膜用材料の製造方法であって、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末とを含む混合粉末を得る工程を有する。BET比表面積が50m/g以上であるオキシ炭酸ジルコニウム粉末をナトリウム含量が20ppm以下になるまで洗浄し、洗浄後のオキシ炭酸ジルコニウム粉末を前記水酸化ランタン粉末と混合させることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、ランタン−ジルコニウム複合酸化物を含む成膜用材料の製造方法に関する。
従来、LaZrで表されるランタン−ジルコニウム複合酸化物を含む成膜用材料が知られている。例えば特許文献1には、ガスタービン部材の遮熱コーティングとして、AZr(式中、Aは希土類元素を表す。)粉末を溶射してセラミックス層を形成することが記載されている。同文献には、AZr粉末の製造方法として、段落0023に、「A粉とZrO粉をスラリー状態でボールミル等を使用して混合し、スラリーを乾燥した後、粉を熱処理して固相反応法によりAZrを合成し、粉砕して粉を得る」と記載されている。
また、特許文献2には、元素の周期表3A族から選択された一種以上の元素の化合物からなり、鉄族金属化合物が酸化物換算で5ppm以下である半導体製造装置部材用溶射材料が記載されている。同文献には、この化合物の多数の例の中に、LnZr等の複合化合物が挙げられている。同文献には、複合化合物はこれを生成し得る一次粒子を混合して製造できることが記載されている。例えばLnAl12(LnはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yからなる群より選ばれる希土類元素である)を製造する場合には、希土類酸化物と、アルミナとを混合する方法が挙げられている(同文献の段落0016)。
特開2011−140693号公報 特開2002−080954号公報
半導体製造装置に使用される部材のコーティングには、これらの装置で用いられるフッ素系ガスや塩素ガス等のハロゲンガス及びそれを用いたプラズマに対する耐食性が求められる。耐食性が低いと、プラズマエッチング時にエッチング作用によってコーティングが削られてパーティクルが飛散し、製造される半導体の歩留まりに影響を与えてしまうため、前記の耐食性への欲求は高まる一方である。しかし、LaZr含有成膜用材料を、特許文献1に記載のように酸化ランタン粉末と酸化ジルコニウム粉末とを混合して製造しても、高純度のLaZrを有し、且つ半導体製造装置に使用される部材のコーティング材として適した成膜用材料が得られないことを本発明者は見出した。また、特許文献2においても、複合酸化物を製造する場合に、酸化物同士を混合した原料を用いることしか記載されていない。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る成膜用材料の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、LaZrを含む成膜用材料の原料として、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末とを含む混合粉末を用いることで、得られる成膜用材料が半導体製造装置用部材のコーティングに適したものとなることを知見した。
本発明は、この知見に基づくものであり、一般式:LaZrで表されるランタン−ジルコニウム複合酸化物を含む成膜用材料の製造方法であって、
オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末とを含む混合粉末を得る工程を有する、成膜用材料の製造方法を提供するものである。
本発明の成膜用材料の製造方法によれば、ランタン−ジルコニウム複合酸化物を含有し、半導体製造装置部材のコーティング用途に用いられる成膜用材料として好適な成膜用材料を得ることができる。
実施例1で得られた成膜用材料を粉末X線回折測定に供した結果を示すチャートである。
以下本発明の成膜用材料の製造方法を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本実施形態の製造方法は、LaZrで表されるランタン−ジルコニウム複合酸化物を含む成膜用材料の製造方法であって、
オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末とを含む混合粉末を得る工程を有するものである。
本発明は、LaZrを含有する成膜用材料の原料として、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と、水酸化ランタン粉末との組み合わせを用いることを特徴の一つとする。
本発明者は、特許文献1に記載のように酸化ランタン粉末とジルコニア粉末とを混合した混合物からLaZr含有成膜用材料を製造する場合、該混合物を高温で焼成しないと、副生物が生成され高純度のLaZrが得難い一方、仮に高温で焼成すると、得られる成膜用材料が硬くなってしまうことを見出した。硬い成膜用材料は、成膜時に溶融しにくいため、得られる膜が凸部を有しやすく、また粗い膜となる。このような膜は、プラズマエッチング時に選択的にエッチングされやすく、パーティクルの原因となってしまう。このため、特許文献1に記載されているような、酸化ランタン粉末とジルコニア粉末とを混合する方法は、半導体製造装置に使用される部材のコーティング材料の製造方法としては適さない。
この点を考慮して本発明者が、低温焼成した場合も高純度にLaZrを生成できる方法を鋭意検討したところ、LaZrの原料として、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末とを組み合わせた場合にはこの課題を解決できることを見出した。オキシ炭酸ジルコニウム粉末及び水酸化ランタン粉末の混合物は、低温で焼成しても高純度にLaZrを生成できる。このように生成されたLaZrを含む成膜用材料は硬くなりにくく、このため緻密で平滑な膜が得られやすい。これらの理由から、本発明の製造方法で得られた成膜用材料を用いて形成された膜はプラズマ耐食性が高いものとなる。
オキシ炭酸ジルコニウムは一般式:ZrOCO・nHOで表される。nは0以上の整数である。オキシ炭酸ジルコニウム粉末のBET比表面積は、50m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましく、150m/g以上であることが更に好ましい。オキシ炭酸ジルコニウム粉末のBET比表面積が50m/g以上であると、水酸化ランタンと混合しやすく低温でLaZrが生成しやすい。また後述するように、オキシ炭酸ジルコニウム粉末を洗浄する際、当該洗浄によるナトリウム(Na)の低減効果が高くなるために好ましい。ナトリウム(Na)の低減効果が高いと、最終的な成膜用材料においてLaZrの純度が高くなりやすい。オキシ炭酸ジルコニウム粉末のBET比表面積の上限値は特に定めるものではないが典型的には300m/g以下であることが好ましい。
水酸化ランタンはLa(OH)で表される。水酸化ランタン粉末のBET比表面積は、1m/g以上であることが好ましく、2m/g以上であることがより好ましく、5m/g以上であることが更に好ましい。水酸化ランタン粉末のBET比表面積が1m/g以上であると、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と混合しやすく低温でLaZrが生成しやすい点から好ましい。水酸化ランタン粉末のBET比表面積の上限値は特に定めるものではないが典型的には40m/g以下であることが好ましい。なお、この水酸化ランタン粉末としては、水酸化ランタン粉末を直接用いることが好ましいが、これに限定されず、水やアルコール類などの有機溶媒等と混合することにより結果的に水酸化ランタン粉末に変化する「前駆体」としての化合物を用いてもよい。この前駆体としては、酸化ランタンを採用し得る。したがって、本発明の「水酸化ランタン粉末とオキシ炭酸ジルコニウム粉末を含む混合粉末を得る工程」には、水酸化ランタン粉末と、オキシ炭酸ジルコニウム粉末とを混合して混合粉末を得る場合のみならず、酸化ランタン粉末と、オキシ炭酸ジルコニウム粉末とを混合し、得られた混合物を水やアルコール類などの有機溶媒等と混合することにより、酸化ランタンから変化した水酸化ランタン粉末とオキシ炭酸ジルコニウム粉末との混合粉末を得る場合も含まれる。
オキシ炭酸ジルコニウム粉末は、水酸化ランタン粉末又はその前駆体粉末と混合させる前に、ナトリウム含量が20ppm以下になるまで洗浄することが好ましい。オキシ炭酸ジルコニウム粉末中のナトリウム含量が20ppm以下であると、得られる成膜用材料中の不純物量を減少できる点で好ましい。
洗浄に用いる洗浄媒体としては、水やアルコール類の有機溶媒等を用いることができる。洗浄方法は特に限定されず、洗浄媒体とオキシ炭酸ジルコニウム粉末とを適宜接触させることでオキシ炭酸ジルコニウム粉末中のナトリウムを除去できる方法であればよい。
オキシ炭酸ジルコニウム粉末におけるナトリウム含量は、洗浄後のオキシ炭酸ジルコニウム粉末を原子吸光分析法にて組成分析して得られるNaO換算のNa量及びZrO換算のオキシ炭酸ジルコニウム粉末量に基づくものである。具体的にはナトリウム含量は、前記のZrO換算のオキシ炭酸ジルコニウム粉末量に対する前記のNaO換算のNa量の質量基準での割合である。原子吸光分析法による組成分析は、具体的には、下記実施例に記載の方法で行うことができる。
洗浄後のオキシ炭酸ジルコニウム粉末を水酸化ランタン粉末又はその前駆体粉末と混合させる方法としては特に限定されない。また、混合比率は、得られる混合粉末中のオキシ炭酸ジルコニウム粉末に由来するZrと、水酸化ランタン粉末又はその前駆体粉末に由来するLaとのモル比がZr:La=1:1にできるだけ近い範囲に調整することが好ましい。具体的には、このモル比が例えば1:0.80以上1.33以下であることが好ましく、1:0.97以上1.33以下であることがより好ましい。
混合粉末は、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末との混合物そのままであってもよいが、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と、水酸化ランタン粉末若しくはその前駆体粉末との混合物を粉砕したものであることが好ましい。特に、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末との混合粉末が、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末又はその前駆体との混合物の粉砕処理を経て得られたものであると、該混合粉末においてオキシ炭酸ジルコニウムと水酸化ランタン粉末とがよく混合しており、低温での焼成においてLaZrを一層生成しやすい点で好ましい。
オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末との混合物を粉砕処理する場合、前記の粉砕処理としては、乾式粉砕及び湿式粉砕の何れを行うこともでき、両方を行ってもよい。不純物の混入を抑制する点や、粉砕効率と粒度分布の調整の容易さとのバランスの点で、湿式粉砕を含む粉砕処理が好ましい。またオキシ炭酸ジルコニウム粉末と前駆体である酸化ランタン粉末との混合物を粉砕処理する場合、前記の粉砕処理としては、湿式粉砕を含む粉砕処理が用いられる。湿式粉砕の場合、球状又は円柱状等の粉砕媒体を使用した湿式粉砕装置によって行うことが好ましい。このような粉砕装置の例としてはボールミル、振動ミル、ビーズミル及びアトライタ(登録商標)等がある。粉砕後の粒子の粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表して0.1μm以上5.0μm以下になることが好ましく、0.5μm以上3.0μm以下になることより好ましく、0.7μm以上2.0μm以下になることが更に好ましい。粉砕後の粒子のD50は、使用する粉砕媒体の大きさ、粉砕時間又は粉砕パス回数等を調整することにより制御可能である。粉砕媒体の材質としては、例えばジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化タングステン、耐摩耗鋼及びステンレス等を挙げることができる。ジルコニアは金属酸化物を添加して安定化させたものであってもよい。湿式粉砕の分散媒としては、例えば水、及びアルコール類などの有機溶媒を用いることができる。粉砕後のD50は、下記方法で測定できる。
〔粉砕後のD50
100mLのガラスビーカーに試料を0.1〜1g入れ、0.2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を約100mL入れる。株式会社日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−300T型(出力300W)に試料と0.2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液100mLの入ったビーカーをセットして15分間超音波分散処理を行い、スラリーとする。このスラリーを日機装株式会社製マイクロトラックHRAの試料循環器のチャンバーに適正濃度であると装置が判定するまで滴下する。分散媒として2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用いる。
オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末との混合粉末は、造粒工程により造粒物とすることが好ましい。特に混合粉末を造粒し、焼成することにより得られる造粒顆粒は溶射材料として好適なものとなるため好ましい。造粒顆粒とすることで溶射装置に供したときの流動性を高めることができるためである。特に混合粉末を含むスラリーを造粒することが好ましい。
造粒法としては、例えばスプレードライヤー法、転動造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、押し出し造粒法及び破砕造粒法等が挙げられる。球状の造粒顆粒を得やすい点、及び溶射材料の粒度を調整しやすい点からスプレードライヤー法を用いることが好ましい。スプレードライヤー法を用いる場合は、通常、オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末とを含むスラリーをスプレードライヤーで造粒する。
前記のスラリーとしては、オキシ炭酸ジルコニウム粉末及び水酸化ランタン粉末を分散媒に混合したものであってもよいが、好ましくは、前記の粉砕処理後のオキシ炭酸ジルコニウム粉末及び水酸化ランタン粉末を含有するスラリーを用いる。粉砕処理が湿式粉砕である場合、造粒に供するスラリーの分散媒としては湿式粉砕に用いる分散媒と同様のものが挙げられる。スラリーの分散媒は湿式粉砕に用いる分散媒と同一のものであってもよく、異なっていてもよい。
スプレードライヤー法に供するスラリー中のオキシ炭酸ジルコニウム粉末及び水酸化ランタン粉末の総量の濃度は、20g/L以上2000g/L以下にすることが好ましく、100g/L以上1500g/L以下とすることより好ましい。前記濃度に調整することで、噴霧が安定し、生産性が向上し、且つ成膜用材料の粒径制御が容易になるため好ましい。スラリー中にバインダーを含有させると、好ましい強度の造粒顆粒を一層得やすくなるので有利である。バインダーとしては、例えばポリビニルアルコール、アクリル系バインダー及びカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
スプレードライヤーを運転するときのアトマイザーの回転数は、特に制限はないが、粒径を制御する観点から2000min−1〜30000min−1とすることができる。
スプレードライヤーを運転するときの入口温度は80℃以上300℃以下とすることが好ましい。この温度範囲を採用することで、固形分の乾燥を十分に行うことができ、残存する水分が少ない顆粒を得やすくなるほか、無駄なエネルギーの消費を抑制できる点で好ましい。以上のようにして、オキシ炭酸ジルコニウム及び水酸化ランタンを含む造粒物を得ることができる。
オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末との混合粉末を焼成することによりLaZrを生成することができる。本発明では上記のようにして得られた造粒物を焼成することが好ましい。焼成雰囲気としては、大気等の酸素含有雰囲気下、真空及び不活性雰囲気下の何れであってもよい。特に大気雰囲気下で焼成することが、製造コストの観点から好ましい。
焼成温度は、1200℃以上であることが、高純度なLaZrを生成しやすい点から好ましく、1800℃以下であることが、得られる成膜用材料が硬くなることを抑制でき、当該成膜用材料により緻密且つ平滑な膜が得やすい点から好ましい。これらの観点から、焼成温度は、1300℃以上1700℃以下であることがより好ましく、1400℃以上1600℃以下であることが特に好ましい。焼成時間は1時間以上12時間以下が好ましく、4時間以上8時間以下がより好ましい。以上の工程により、LaZrを含む成膜用材料が得られる。
本製造方法によれば比較的低温の焼成であっても副生物の生成や未反応物の残留が効果的に抑制されてLaZrを高純度で含む成膜用材料が得られる。本製造方法で得られる成膜用材料は、溶射等の成膜工程に供したときにLaZrを含む粒子が溶融しやすい。このため、得られる膜は、緻密且つ平滑となりやすく、半導体装置部材コーティングに用いられた場合、プラズマエッチング時のパーティクルを効果的に抑制できる。また、本製造方法で得られる成膜用材料は、未反応物及び副生物等が少ないため、この成膜用材料を用いて得られる膜も、LaZrの純度が高いことに起因してハロゲンガス耐食性の高いものとなる。
上述したように、オキシ炭酸ジルコニウム及び水酸化ランタンを含む造粒物を焼成した場合、成膜用材料は、LaZrを含む造粒顆粒となる。顆粒の平均粒径を、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表した場合、粒径D50は5μm以上50μm以下であることが溶射材料として用いたときの溶融性及び流動性の点で好ましい。このような観点から粒径D50は10μm以上45μm以下であることがより好ましく、20μm以上40μm以下であることが更に好ましい。粒径D50は例えばレーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定できる。測定方法は以下の通りである。
〔顆粒のD50
装置としては、例えば日機装株式会社製マイクロトラックHRAを用いることができる。測定の際には、分散媒として2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に、顆粒を0.2g/L〜2g/Lの濃度で分散させる。なお、分散時に超音波の照射を行うと顆粒の破壊が起こる懸念があるので、超音波の照射は行わない。マイクロトラックHRAの試料循環器のチャンバーに試料(顆粒)を適正濃度であると装置が判定するまで添加する。
本製造方法で得られる成膜用材料を適用できる成膜方法としては、例えば溶射法、AD法(エアロゾルデポジション法)IP法(イオンプレーティング法)、スピンコート、ディップコート、塗布法及びレーザー焼結法等が挙げられる。中でも溶射法は生産性がよく、得られる皮膜のプラズマ耐食性が高い点で、本発明の効果を十分に発揮できるので好ましく、また、得られる皮膜の剥離が少ないという点でも好ましい。本製造方法で得られる成膜用材料及びそれを用いたスラリーの形態の成膜用材料を溶射する方法としては、例えばフレーム溶射、高速フレーム溶射、爆発溶射、レーザー溶射、プラズマ溶射及びレーザー・プラズマ複合溶射等が挙げられる。
本製造方法により得られた成膜用材料は、LaZr単相のものであることが、プラズマ耐食性の点から好ましい。そのため、本製造方法により得られた成膜用材料は、CuKαを線源とする粉末X線回折測定に供したときに、2θ=10°以上90°以下の範囲において、メーンピークとしてLaZrに由来するピークが観察される一方で、LaZrの副生物に由来するピークが観察されず、且つ、未反応物であるオキシ炭酸ジルコニウム及び水酸化ランタンに由来するピークも観察されないことが好ましい。なお、本製造方法により得られた成膜用材料におけるLaZrの副生物としては、ZrO及びLa等が挙げられる。特に、本製造方法により得られた成膜用材料は、前記の線源の粉末X線回折測定に供したときに、2θ=10°以上90°以下の範囲において、前記副生物及び前記未反応物に由来するピークが観察されないことに加えて、LaZr以外の化合物に由来するピークも観察されないことがより好ましい。
本製造方法で得られた成膜用材料は、その優れたプラズマ耐食性を生かし、エッチング装置における真空チャンバー及び該チャンバー内における試料台、チャック、フォーカスリング及びエッチングガス供給口といった半導体製造装置内部及びその構成部材のコーティングに用いることができる。また本製造方法で得られた成膜用材料は、半導体製造装置内部及びその構成部材以外にも、各種プラズマ処理装置及び化学プラントの構成部材の用途に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
オキシ炭酸ジルコニウム(ZrOCO・nHO)粉末(下記方法で測定したBET比表面積=200m/g)を純水で洗浄した。洗浄は、オキシ炭酸ジルコニウム粉末に、純水(オキシ炭酸ジルコニウム粉末の質量に対し10倍量)を加え、フィルタープレスにて加圧濾過することで行った。洗浄後のオキシ炭酸ジルコニウム粉末を下記の方法で原子吸光分析したときに、オキシ炭酸ジルコニウムのZrO換算量に対するNaO換算のナトリウム含量は質量基準で6.9ppmであった。
<原子吸光分析>
洗浄したオキシ炭酸ジルコニウム粉末を硝酸で溶解して測定試料を調製した。原子吸光分析は得られた測定試料についてサーモフィッシャーサイエンティフィック社製 CE3300FLを用いて行った。
洗浄後のオキシ炭酸ジルコニウム粉末を酸化ジルコニウム換算量で15kg用い、これを、水酸化ランタン(La(OH))粉末(下記方法で測定したBET比表面積=9.8m/g)23kgと混合し、原料混合粉末を得た。なお、オキシ炭酸ジルコニウムと水酸化ランタンのBET比表面積は下記方法で測定した。
<BET比表面積>
マウンテック社製全自動比表面積計Macsorb(登録商標) model―1201を用いてBET1点法にて測定した。使用ガスは、窒素ヘリウム混合ガス(窒素30vol%)とした。
得られた原料混合粉末を、純水、及び粉砕媒体であるボール(材質:ジルコニア、直径2mm)とともに、合成樹脂製のボールミルポットに入れて連続運転方式にて湿式粉砕した。純水及びボールの添加量は、原料混合粉末1.5kgに対して何れも3Lとした。粉砕は、粉砕後の原料混合粉末について、上記方法にて測定した粉砕後のD50が1.1〜1.2μmとなるように行った。
得られた湿式粉砕物に対し、純水を添加して濃度を調整したほか、アクリル系バインダーを、原料混合粉末の酸化物(ZrO及びLa)換算量100質量部に対して、1質量部添加した。このようにして、分散媒が水であり、酸化物(ZrO及びLa)換算濃度が235g/Lであるスラリーを得た。このスラリーを、スプレードライヤー(大河原化工機(株)製)を用いて造粒・乾燥し、造粒物を得た。スプレードライヤーの操作条件は以下の通りとした。
・スラリー供給速度:250mL/min
・アトマイザー回転数:14000min−1
・入口温度:250℃
得られた造粒物をアルミナ製の容器に入れ、大気雰囲気下、電気炉中で1300℃、6時間焼成して、造粒顆粒である成膜用材料を得た。得られた造粒顆粒を、下記方法のX線回折測定に供した結果を図1に示す。図1に示すように、X線回折測定にて観察されたピークは何れもLaZrに由来するものであり、副生物が生成しておらず、また未反応物の残留もなく、LaZr単相であることを確認した。また上記方法で測定した造粒顆粒の粒径D50は37μmであった。
<X線回折測定>
・装置:UltimaIV(株式会社リガク製)
・線源:CuKα線
・管電圧:40kV
・管電流:40mA
・スキャン速度:2度/min
・ステップ:0.02度
・スキャン範囲:2θ=10度〜90度
〔実施例2〕
実施例1と同様にオキシ炭酸ジルコニウム粉末の洗浄を行った。洗浄後のオキシ炭酸ジルコニウム粉末のZrO換算量に対するNaO換算のナトリウム含量は質量基準で7.1ppmであった。
その後の工程については、焼成温度を1500℃にしたこと以外は実施例1と同様にして成膜用材料を得た。
得られた造粒顆粒を、X線回折測定にて観察したところ副生物が生成しておらず、また未反応物の残留もなく、LaZr単相であることを確認した。また上記方法で測定した造粒顆粒の粒径D50は35μmであった。
〔実施例3〕
実施例1と同様にオキシ炭酸ジルコニウム粉末の洗浄を行った。洗浄後のオキシ炭酸ジルコニウム粉末のZrO換算量に対するNaO換算のナトリウム含量は質量基準で6.5ppmであった。
その後の工程については、焼成温度を1700℃にしたこと以外は実施例1と同様にして成膜用材料を得た。
得られた造粒顆粒を、X線回折測定にて観察したところ副生物が生成しておらず、また未反応物の残留もなく、LaZr単相であることを確認した。また上記方法で測定した造粒顆粒の粒径D50は34μmであった。
以下の比較例1では、特許文献1に記載の方法と同様に希土類酸化物及びジルコニア粉末を原料として成膜用材料を製造した。
〔比較例1〕
酸化ランタン(La)粉末(上記方法で測定したBET比表面積=1m/g)とジルコニア(ZrO)粉末(上記方法で測定したBET比表面積=4m/g)とをLa:ZrOのモル比で1:2となるように混合した。得られた混合粉末を、実施例3と同様の湿式粉砕工程、造粒工程、及び焼成工程に供し、造粒顆粒からなる成膜用材料を得た。
得られた造粒顆粒を、X線回折測定にて観察したところ未反応物(La(OH)、ZrO)の残留が見られた。また上記方法で測定した造粒顆粒の粒径D50は40μmであった。
実施例1〜3及び比較例1の成膜用材料について、以下の方法にて膜を製造した。
〔膜の製造〕
基材として100mm×100mmのサイズのアルミニウム合金板を使用した。この基材の表面にプラズマ溶射を行った。成膜用材料の供給装置としてプラズマテクニック製のTWIN−SYSTEM 10−Vを用いた。プラズマ溶射装置として、スルザーメテコ製のF4を用いた。撹拌回転数50%、キャリアガス流量2.5L/min、供給目盛10%、プラズマガスAr/H、出力35kW、装置−基材間距離150mmの条件にて膜厚約150〜200μmになるようにプラズマ溶射を行った。これにより溶射膜を得た。
実施例1〜3及び比較例1の成膜用材料から得られた膜について、以下の方法でパーティクルの発生数に係る評価及び、膜粗さの評価を行った。結果を表1に示す。
(パーティクルの発生数の評価方法)
上記成膜方法で成膜した膜にプラズマエッチングを行った。プラズマエッチングを行うに際しては、チャンバー内に直径3インチのシリコンウエハーを載置しておいた。エッチング作用によって削られて飛散し、シリコンウエハーの表面に付着したパーティクルのうち、粒径が0.2μm以上のものの数を、拡大鏡を用いて計測した。プラズマエッチング条件は以下の通り、フッ素系プラズマとした。
・雰囲気ガス CHF:Ar:O=80:160:100mL/min
・高周波電力:1300W
・圧力:4Pa
・温度:60℃
・エッチング時間:50時間
また、雰囲気ガスのCHFをHClに変更して塩素系プラズマとした場合についても同様の計測を実施した。
(膜の表面粗さ)
上記成膜方法で成膜した膜の表面粗さを測定した。触針式表面粗さ測定器(JIS B0651:2001)を用いて、算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ粗さ(Rz)(JIS B 0601:2001)を求めた。
Figure 2018184334
以上の結果により、本発明の製造方法で得られた成膜用材料を用いることで、得られる溶射膜のプラズマ耐食性が優れたものになることが判る。

Claims (6)

  1. LaZrで表されるランタン−ジルコニウム複合酸化物を含む成膜用材料の製造方法であって、
    オキシ炭酸ジルコニウム粉末と水酸化ランタン粉末とを含む混合粉末を得る工程を有する、成膜用材料の製造方法。
  2. BET比表面積が50m/g以上であるオキシ炭酸ジルコニウム粉末をナトリウム含量が20ppm以下になるまで洗浄し、洗浄後のオキシ炭酸ジルコニウム粉末と前記水酸化ランタン粉末とを混合する、請求項1に記載の成膜用材料の製造方法。
  3. 前記混合粉末を含むスラリーを造粒し、造粒物を得る工程を含む請求項1又は2に記載の成膜用材料の製造方法。
  4. 前記造粒物を1200℃以上1800℃以下で焼成する工程を含む請求項3に記載の成膜用材料の製造方法。
  5. 前記成膜用材料がLaZr単相からなる、請求項1〜4の何れか1項に記載の成膜用材料の製造方法。
  6. オキシ炭酸ジルコニウム粉末との混合に供する水酸化ランタン粉末のBET比表面積が、1m/g以上である、請求項1〜5の何れか1項に記載の成膜用材料の製造方法。
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