JPWO2020085474A1 - メタクリル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

メタクリル樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

メタクリル酸メチル、連鎖移動剤およびラジカル重合開始剤を必須で含有する原料液を、槽型反応器に連続的に供給し、該槽型反応器内で塊状重合を行ってメタクリル樹脂を生成させながら、前記槽型反応器からメタクリル樹脂を含有する液を連続的に排出し、前記槽型反応器から排出されたメタクリル樹脂を含有する液に、滑剤に未だ接触したことのない一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤を添加し、前記リン系酸化防止剤の添加されたメタクリル樹脂を含有する液を脱揮押出機に供給して該脱揮押出機にて揮発分を除去することを含む、メタクリル樹脂組成物の製造方法。

Description

本発明は、メタクリル樹脂組成物の製造方法に関する。より詳細に、本発明は、異物が少なく、且つ光学特性に非常に優れた成形品を低不良率にて得ることができる、メタクリル樹脂組成物を製造する方法に関する。
メタクリル樹脂組成物からなる成形品は、透明性に優れ光学歪も少ないことから、光学レンズ、ディスク基板、自動車部品、看板、銘板、照明カバー、導光板などに用いられている。
メタクリル樹脂組成物の製造方法の一つとして、重合性単量体、重合開始剤などを含む原料液を槽型反応器に連続的に供給して塊状重合させ反応生成物を連続的に抜き出す方法(以下、連続塊状重合法ということがある。)が知られている。この連続塊状重合法は光学特性に優れたメタクリル樹脂組成物を大量に製造するのに適している。
連続塊状重合法の一例として、例えば、特許文献1は、(メタ)アクリル系単量体と、ラジカル重合開始剤と、連鎖移動剤とを含有する原料組成物を重合釜へ連続的に供給する工程と、該重合釜で、前記(メタ)アクリル系単量体の少なくとも一部を重合させて、前記(メタ)アクリル系単量体の少なくとも一部が重合して成る(メタ)アクリル系重合体を含む反応混合物とする工程と、該反応混合物を前記重合釜から連続的に抜き出す工程と、前記重合釜から抜き出された前記反応混合物をベント付押出装置に導入して揮発分を除去する工程と、ベント付押出装置の重合体排出口に最も近い位置に設置されたベントの位置よりも前記重合体排出口側の位置に設置された添加剤投入口から添加剤を投入する工程と、を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法を開示している。
特許文献2は、メタクリル酸メチル、連鎖移動剤およびラジカル重合開始剤を必須で含有し、アクリル酸アルキルエステルを任意で含有し、且つアクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸メチルの質量比が0/100〜20/80である原料液を、槽型反応器に連続的に供給し、該槽型反応器内で重合転化率40〜70質量%にて塊状重合して反応生成物を得、且つ前記槽型反応器から反応生成物を連続的に抜き出し、
抜き出された反応生成物を熱交換器で加熱し、加熱された反応生成物から揮発分を除去し、液状添加物をフィルターで濾し、次いで揮発分の除去が行われた反応生成物に濾された液状添加物を添加することを有する、(メタ)アクリル樹脂組成物の製造方法を開示している。
特許文献3は、塊状重合法により製造したメチルメタクリレート系重合体組成物からメチルメタクリレート系樹脂成形材料を製造するプロセスに使用されるベント押出機において、最終ベント孔と押出ダイとの間のバレルに添加剤の注入口を設け、スクリューの最終ベントゾーンと前記注入口に当る部分との間に、リングスリット若しくは溝内せきの如き逆流防止抵抗を設けたことを特徴とするベント押出機を開示している。
特開2005−112869号公報 WO 2016/21694 A 特開昭50−43166号公報
本発明の目的は、光学特性に優れた成形品などを得ることができる、メタクリル樹脂組成物を製造する方法を提供することである。
前記目的を達成するために検討した結果、以下の態様を包含する本発明を完成するに至った。
〔1〕 メタクリル酸メチル、連鎖移動剤およびラジカル重合開始剤を必須で含有し、アクリル酸アルキルエステルを任意で含有し、且つアクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸メチルの質量比が0/100〜20/80である原料液を槽型反応器に連続的に供給し、該槽型反応器内で重合転化率40〜70質量%にて塊状重合を行ってメタクリル樹脂を生成させながら、前記槽型反応器から反応生成物を連続的に抜き出すこと、
反応生成物を脱揮押出機に供給して該脱揮押出機にて揮発分を除去すること、および
滑剤に未だ接触したことのない一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤を、槽型反応器から脱揮押出機への輸送が当に行われている反応生成物および脱揮押出機にて揮発分の除去が当に行われている反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも一つに、添加することを含む、
メタクリル樹脂100質量部と一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤0.01〜0.3質量部とを含有するメタクリル樹脂組成物の製造方法。
〔2〕 前記リン系酸化防止剤の添加が、一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤のメタクリル酸メチル溶液を用いて行われる、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕 脱揮押出機にて揮発分の除去が当に行われている反応生成物への前記リン系酸化防止剤の添加が、一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤の粉末を用いて行われる、〔1〕または〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕 脱揮押出機にて揮発分の除去が当になされている反応生成物に、前記リン系酸化防止剤に未だ接触したことのない滑剤を添加することをさらに含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の製造方法。
〔5〕 脱揮押出機にて揮発分の除去が当に行われている反応生成物への、前記リン系酸化防止剤の添加と前記滑剤の添加とが、脱揮押出機の別々の導入口への供給によって行われる、〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕 前記メタクリル樹脂は、シリンダ温度300℃、金型温度68℃および成形サイクル2分間の条件で、射出成形して得られる成形体の光路長200mmのYIが7以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載の製造方法。
〔7〕 前記の〔1〕〜〔6〕のいずれかひとつに記載の製造方法により得られるメタクリル樹脂組成物。
〔8〕 前記の〔7〕に記載のメタクリル樹脂組成物からなる成形品。
本発明の製造方法によれば、異物が少なく、且つ光学特性に非常に優れた成形品を低不良率にて成形して得ることができる、メタクリル樹脂組成物を得ることができる。
本発明に係る製造方法を実施するための装置の一例を示す図である。
本発明の一実施形態に係るメタクリル樹脂組成物の製造方法は、原料液を槽型反応器に連続的に供給し、槽型反応器内で塊状重合を行ってメタクリル樹脂を生成させながら、前記槽型反応器から反応生成物を連続的に抜き出すこと、反応生成物から揮発分を除去すること、および特定のリン系酸化防止剤を反応生成物に添加することを有する。
なお、本発明においては、原料液の反応器への供給、塊状重合、反応生成物の反応器からの抜出、揮発分の除去、および特定のリン系酸化防止剤の添加を、同時並行して行うことが好ましい。
本発明に用いられる原料液(starting material liquid)は、メタクリル酸メチル、連鎖移動剤、およびラジカル重合開始剤を必須で含有し且つアクリル酸アルキルエステルを任意で含有するものである。
原料液に含有される連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどのアルキルメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー;テルピノレンなどが挙げられる。これらのうちn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどの単官能アルキルメルカプタンが好ましい。これら連鎖移動剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の量は、重合に供される全ての重合性単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜1質量部、より好ましくは0.15〜0.8質量部、さらに好ましくは0.2〜0.6質量部である。
原料液に含有されるラジカル重合開始剤は、反応性ラジカルを発生するものであれば特に限定されないが、後述する槽型反応器内の温度における半減期が、0.5〜120秒間のものが好ましく、2〜60秒間のものがより好ましい。また、該重合開始剤は、水素引抜き能が40%以下のものが好ましく、30%以下のものがより好ましい。これら重合開始剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエ−ト、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。これらのうち、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が好ましい。
なお、水素引抜き能は、重合開始剤製造業者の技術資料(例えば、非特許文献1)などによって知ることができる。また、α−メチルスチレンダイマーを使用したラジカルトラッピング法、即ちα−メチルスチレンダイマートラッピング法によって測定することができる。当該測定は、一般に、次のようにして行われる。まず、ラジカルトラッピング剤としてのα−メチルスチレンダイマーの共存下で重合開始剤を開裂させてラジカル断片を生成させる。生成したラジカル断片のうち、水素引抜き能が低いラジカル断片はα−メチルスチレンダイマーの二重結合に付加して捕捉される。一方、水素引抜き能が高いラジカル断片はシクロヘキサンから水素を引き抜き、シクロヘキシルラジカルを発生させ、該シクロヘキシルラジカルがα−メチルスチレンダイマーの二重結合に付加して捕捉され、シクロヘキサン捕捉生成物を生成する。そこで、シクロヘキサン、またはシクロヘキサン捕捉生成物を定量することで求められる、理論的なラジカル断片発生量に対する水素引抜き能が高いラジカル断片の割合(モル分率)を水素引抜き能とする。
アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。これらアクリル酸アルキルエステルは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、アクリル酸メチルが好ましい。原料液において、アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸メチルの質量比は、0/100〜20/80、好ましくは0/100〜10/90である。
原料液には、他の重合性単量体を含有させることができる。当該重合性単量体としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸アリールエステル; メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ノルボルネニル、メタクリル酸ジシクロペンタニルなどのメタクリル酸シクロアルキルエステル;アクリル酸フェニルなどのアクリル酸アリールエステル; アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ノルボルネニルなどのアクリル酸シクロアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリルアミド;メタクリルアミド;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;などの一分子中に重合性アルケニル基を一つだけ有するビニル単量体が挙げられる。他の重合性単量体の量は、重合に供される全ての重合性単量体100質量部において、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、特に好ましくは0質量部である。
原料液は、その調製方法によって特に限定されない。原料液は、原料液(C)と原料液(D)との混合によって調製されるものが好ましい。原料液(C)と原料液(D)との混合方法は特に制限されない。原料液(C)と原料液(D)との混合は、後述する連続重合反応を円滑に行う観点から、スタティックミキサー、ダイナミックミキサーなどのようなライン中にて連続混合が可能な装置等で行うのが好ましい。
原料液(C)はメタクリル酸メチルおよび連鎖移動剤を含有し且つアクリル酸アルキルエステルを任意で含有するものである。原料液(C)には、他の重合性単量体を含有させることができる。
原料液(C)におけるメタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルエステルとの質量比は、原料液(C)と原料液(D)とを混ぜたときに、アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸メチルの質量比が、好ましくは0/100〜20/80、より好ましくは0/100〜10/90になるものであれば特に限定されない。また、原料液(C)に含有されるメタクリル酸メチルと原料液(C)に任意に含有されるアクリル酸アルキルエステルとの合計量は、重合に供される全ての重合性単量体100質量部から、原料液(C)に含有させることができる他の重合性単量体および後述する原料液(D)に含有されるメタクリル酸メチルの量を差し引いた量である。
本発明で用いるメタクリル酸メチル、アクリル酸アルキルエステルおよびその他の重合性単量体は、酸素存在下での保管時の重合を防止するために、重合禁止剤を含有することが好ましい。係る重合禁止剤は、酸素存在下で重合禁止効果を発揮するものであれば特に制限はないが、不活性ガス雰囲気下での重合反応を阻害しないものが好ましい。かかる重合禁止剤としては、例えば、ブチルキシレノール、メトキノン、ハイドロキノンなどのフェノール系の重合禁止剤;フェノチアジンなどが代表的なものとして挙げられる。かかる重合禁止剤の含有量は、原料液(C)に含まれる重合性単量体の総量に対して、質量基準で、好ましくは0.1ppm〜50ppm、より好ましくは0.5ppm〜30ppmである。
原料液(C)の溶存酸素濃度は、質量基準で、好ましくは50ppm以下、より好ましくは1ppm以下である。原料液(C)の溶存酸素濃度が多いと、安定した重合が妨げられることがある。
さらに、原料液(C)は、b*が−1〜+2であることが好ましく、−0.5〜+1.5であることがより好ましい。該b*がこの範囲にあると、得られるメタクリル樹脂組成物を成形した場合に、着色が殆んどない成形品を、高い生産効率で得る上で有利となる。なお、b*は国際照明委員会(CIE)規格(1976年)またはJIS Z−8722に準拠して測定した値である。
メタクリル酸メチル、アクリル酸アルキルエステルまたは連鎖移動剤は、原料タンクから輸送されるヴァージンのもの(未だ重合反応に供されていないもの)と、後述するように重合反応に供されたが未反応物として回収されたものとを含むものであってもよい。回収された未反応物にはメタクリル酸メチル、アクリル酸アルキルエステルまたは連鎖移動剤に加え二量体や三量体が含まれていることがある。また回収時などに加えられる熱によって、未反応物はb*が高くなっていることがある。そのような場合には、公知の方法で精製して、二量体や三量体を除去し、またb*を好ましくは−1〜+2に、より好ましくは−0.5〜+1.5にすることができる。該b*がこの範囲にあると、得られる(メタ)アクリル樹脂組成物を成形した場合に、着色が殆んどない成形品を、高い生産効率で得る上で有利となる。
原料液(C)は、その調製方法によって特に限定されない。例えば、所定割合でメタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルエステルと連鎖移動剤とを混ぜ合わせ、次いで窒素ガスなどの不活性ガスと接触させて溶存酸素を追い出すことによって得ることができる。
原料液(C)と不活性ガスとの接触においては、不活性ガスの供給量(Nm3/h)に対する原料液(C)の供給量(kg/h)を0.30(kg/Nm3)未満にすることが好ましい。このような供給量比にすると、原料液(C)の溶存酸素濃度を効率的に下げることができる。不活性ガスとの接触効率を高めるために、例えば、不活性ガスを原料液(C)中でバブリングすることができる。
原料液(D)はラジカル重合開始剤およびメタクリル酸メチルを含有するものである。
ラジカル重合開始剤の供給量は、原料液(D)の供給量に比べて少ないので、ラジカル重合開始剤の供給を円滑にするためにメタクリル酸メチルにラジカル重合開始剤を溶解させて希釈したものを原料液(D)とすることが好ましい。
原料液(D)におけるラジカル重合開始剤の濃度は、好ましくは0.01質量%以上4質量%未満、より好ましくは0.1質量%以上2質量%未満である。低すぎるラジカル重合開始剤濃度の原料液(D)は反応槽に多量に供給する必要があるので、重合が不安定になる傾向がある。一方、高すぎるラジカル重合開始剤濃度の原料液(D)は、貯蔵安定性が低いので、運転の停止が長期間になると、運転再開時に不都合が生じやすい傾向がある。
原料液(D)にはメタクリル酸メチルの無用な重合を防ぐために重合禁止剤を含有させることが好ましい。原料液(D)に含有させる重合禁止剤は、酸素存在下で重合禁止効果を発揮するものであれば特に制限されないが、不活性ガス雰囲気下での重合を阻害しないものが好ましい。かかる重合禁止剤としては、例えば、ブチルキシレノール、メトキノン、ハイドロキノンなどのフェノール系の重合禁止剤;フェノチアジンなどが代表的なものとして挙げられる。かかる重合禁止剤の含有量は、原料液(D)に含まれるメタクリル酸メチルに対して、質量基準で、好ましくは0.1ppm〜50ppm、より好ましくは0.5ppm〜30ppmである。
また、原料液(D)は、それが調製されたときから反応器に供給されるまでの間、酸素存在下に、液温が0℃以下に維持されることが好ましい。酸素は、例えば、原料液(D)の調合槽に空気を吹き込むことによって溶解させて存在させることができる。原料液(D)の温度を0℃以下に維持する場合には原料液(D)の変質が抑制される。0℃より高い温度にするとラジカル重合開始剤の分解によってラジカルが発生し溶媒であるメタクリル酸メチルの重合反応が進んでしまうことがある。
塊状重合においては溶剤を原則使用しないが、粘度を調整するなどの必要がある場合には、溶剤を原料液(C)または原料液(D)に含有させることができる。溶剤としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素が好ましい。これらの溶剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。かかる溶剤の使用量は、重合に供される全ての重合性単量体100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、より好ましくは0質量部である。
本発明の方法に用いられる槽型反応器は、通常、反応槽、反応槽内の液を撹拌するための撹拌手段、原料液を反応槽に供給するための供給口、および反応槽から反応生成物を抜き出すための抜出口を有する。本発明に用いられる槽型反応器は、原料液を反応槽に供給するための供給口が、反応槽の天面に設置されていてもよいし、反応槽の側面に設置されていてもよいし、反応槽の底面に設置されていてもよい。供給口の高さは、反応槽内の液面よりも高い位置にあってもよいし、反応槽内の液面よりも低い位置にあってもよい。供給口の形状は、円管の切り口そのものの形状であってもよいし、原料液が反応槽内の液面に広く散布されるような形状であってもよい。
原料液の槽型反応器への供給方法は特に制限されない。例えば、少なくとも2個の供給口を有する槽型反応器において原料液(C)と原料液(D)とを別々の供給口を通して供給してもよいし、1個の供給口を有する槽型反応器において、供給口直前の配管または混合槽にて原料液(C)の流れと原料液(D)の流れとを合流させた後に該供給口を通して供給してもよい。合流部には動的撹拌機または静的攪拌機を備えることができる。
槽型反応器への、原料液(D)の供給量に対する原料液(C)の供給量の質量比は、好ましくは10/1〜1000/1である。原料液(C)の供給量の割合が多すぎる場合、重合反応を開始させるために原料液(D)におけるラジカル重合開始剤濃度を高くしなければならなくなる。その結果、原料液(D)の貯蔵安定性が低下する傾向がある。一方、原料液(C)の供給量の割合が少なすぎる場合、反応槽内に在る液中の溶存酸素濃度が高くなり、重合が不安定になる傾向がある。
本発明においては、槽型反応器に供給する原料液の総量と槽型反応器から抜き出す反応生成物の総量とをバランスさせて、反応槽内の液量がほぼ一定になるようにする。反応槽内の液量は、反応槽の容積に対して、好ましくは1/4以上、より好ましくは1/4〜3/4、さらに好ましくは1/3〜2/3である。本発明においては、反応槽の気相部に不活性ガスを導入するなどして、塊状重合反応を不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
反応槽内の液を撹拌するための撹拌手段としては、マックスブレンド式撹拌装置、格子翼式撹拌装置、プロペラ式撹拌装置、スクリュー式撹拌装置、ヘリカルリボン式撹拌装置、パドル式撹拌装置などが挙げられる。これらのうちでマックスブレンド式撹拌装置が均一混合性の点から好ましい。
槽型反応器内の温度、すなわち反応槽内に在る液の温度は、好ましくは100〜170℃、より好ましくは110〜160℃、さらに好ましくは115〜150℃である。液温は、ジャケットや伝熱管などの外部熱交換式調節法、原料液または反応生成物の流れる管を反応槽内に配して成る自己熱交換式調節法などで制御することができる。
槽型反応器において塊状重合を、重合転化率が40〜70質量%となるまで、好ましくは42〜65質量%となるまで行う。
本発明のメタクリル樹脂組成物の製造方法において、反応槽内に在る液中の水分は、質量基準で、1000ppm以下であることが好ましく、700ppm以下であることがより好ましく、280ppm以下であることがさらに好ましい。該水分を1000ppm以下とすることにより、数μm〜数十μmの樹脂異物が重合反応中に生成するのを抑制でき、得られたメタクリル樹脂組成物を溶融成形によってフィルムまたはシートにしたときに該樹脂異物を核とする外径数十μmの欠点の発生を大幅に低減することができる。
この樹脂異物の生成抑制機構は解明されてないが、反応槽の気相部において生成する高分子量のメタクリル樹脂が樹脂異物として混入し、それが溶融成形時に未溶融物として欠点の核になると推定している。
反応槽内に在る液中の水分を低減する方法としては、原料液を槽型反応器に供給する前に吸着脱水塔などで処理する方法や反応槽の気相部に不活性ガスを導入し、蒸気の一部を不活性ガスに同伴させてブライン冷却の凝縮器によって凝縮させて系外に抜き出す方法等が挙げられる。
槽型反応器の後段には、別の反応器が繋がっていてもよい。後段に繋ぐことができる反応器は槽型反応器であっても管型反応器であってもよい。後段に繋いだ反応器において、塊状重合をさらに進め、重合転化率をさらに高めることができる。
上記のような塊状重合によって得られる反応生成物を槽型反応器(後段に別の反応器を繋いでいる場合は、後段の反応器)から抜き出す。反応生成物の抜出量は原料液の供給量とバランスさせ、反応槽内の液量が一定になるようにすることが好ましい。
反応生成物(reactor product)は、メタクリル樹脂、および未反応の重合性単量体(メタクリル酸メチル、アクリル酸アルキルエステルなど)を含んでおり、さらに未反応の連鎖移動剤を含んでいることがある。反応生成物中のメタクリル樹脂の含有率は、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは42〜65質量%である。メタクリル樹脂の含有率が高すぎると粘度上昇のために大きな攪拌動力が必要となる傾向がある。メタクリル樹脂の含有率が低すぎると、反応生成物中の未反応物を除去する工程における未反応物の除去が不十分となり、得られるメタクリル樹脂組成物を成形した場合に、成形品にシルバーなどの外観不良を起こす傾向がある。なお、反応生成物中のメタクリル樹脂の含有率は、重合転化率とほぼ同じである。
メタクリル樹脂の重量平均分子量(以下、Mwと略称することがある。)は、好ましくは3.5万〜20万、より好ましくは4万〜15万、さらに好ましくは4.5万〜13万である。Mwが小さすぎるとメタクリル樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性や靭性が低下する傾向がある。Mwが大きすぎるとメタクリル樹脂組成物の流動性が低下し成形加工性が低下する傾向がある。
メタクリル樹脂は、重量平均分子量/数平均分子量の比(以下、この比を分子量分布と表記することがある。)が、好ましくは1.5〜2.6、より好ましくは1.6〜2.3、特に好ましくは1.7〜2.0である。分子量分布が小さいとメタクリル樹脂組成物の成形加工性が低下する傾向がある。分子量分布が大きいとメタクリル樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性が低下し、脆くなる傾向がある。なお、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定した標準ポリスチレン換算の分子量である。メタクリル樹脂の重量平均分子量や分子量分布は、重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量などを調整することによって制御できる。
前記メタクリル樹脂は、シリンダ温度300℃、金型温度68℃および成形サイクル2分間の条件で、射出成形して得られる成形体の光路長200mmのYIが、好ましくは7以下、より好ましくは4以下である。
反応生成物に含まれている未反応物などの揮発分は公知の化学工学的手段によって回収することができる。回収方法としては、例えば、加熱による揮発分除去法が好ましいものとして挙げられる。加熱による揮発分除去法としては、平衡フラッシュ蒸発法や断熱フラッシュ蒸発法が挙げられるが、断熱フラッシュ蒸発法が好ましい。
本発明においては、まず、抜き出された反応生成物を熱交換器にて加熱する。熱交換器の熱源はボイラや他の装置で発生したスチームを用いることができる。また、後述する反応生成物から蒸発した揮発分の蒸気を熱源とすることもできる。また、フラッシュ蒸発の効率を高めるために反応生成物をポンプなどによって加圧することができる。
次いで、加熱された反応生成物を減圧されたタンクなどに導入してフラッシュ蒸発させることができる。断熱フラッシュ蒸発法を実施する温度は、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220〜270℃である。断熱フラッシュ蒸発法を実施する温度が、200℃未満では、揮発分の除去に時間を要し、揮発分の除去が不十分になり、成形品にシルバーなどの外観不良を起こすことがある。一方、断熱フラッシュ蒸発法を実施する温度が、300℃を超えると、酸化、焼けなどによってメタクリル樹脂組成物が着色する傾向がある。断熱フラッシュ蒸発法を多段で行ってもよい。フラッシュ蒸発させられた未反応物の蒸気で伝熱管を流れる反応生成物を加熱し、加熱された反応生成物を低圧のフラッシュタンク内に供給してフラッシュ蒸発させることができる。
揮発分の除去をベント付押し出し機(脱揮押出機)で行うことができる。ベント付押し出し機は、一般に、重合体と揮発分とを含む反応生成物を供給可能な反応生成物供給口と、反応生成物から分離された重合体を排出可能な重合体排出口と、反応生成物から分離された揮発分を排出可能な少なくとも一つのベントと、反応生成物を反応生成物供給口から重合体排出口へと練りながら移送するためのスクリューと、を有する。反応生成物供給口より重合体排出口に近い側に在るベントをフロントベントと呼び、反応生成物供給口より重合体排出口から遠い側に在るベントをリアベントと呼ぶ。本発明に用いるベント付押し出し機においては、重合体排出口に最も近い位置に在るフロントベントよりも重合体排出口に近い側の位置に添加剤投入口が設けられている。押し出し機内は、好ましくは減圧されており、供給した反応生成物は反応生成物供給口にてフラッシュ蒸発させることが好ましい。そして、スクリューで移送されながら揮発分が蒸発される。蒸発した揮発分はベントから排出される。押し出し機は、例えば、一軸押し出し機であってもよいし、二軸押し出し機であってもよい。スクリューは、通常、フィードゾーン、コンプレッションゾーン、メータリングゾーンおよびミキシングゾーンに分かれているが、これに特に制限されない。また、ミキシングゾーンには、ダルメージ型、ローター型、フルートミキシング型などの種々の形状の凹凸や溝形状およびピン形状を付けたスクリューを適宜組み合わせて用いることができる。
上記のような揮発分除去法で回収されたばかりの揮発分には、メタクリル酸メチル、アクリル酸アルキルエステルまたは連鎖移動剤に加え、二量体または三量体が含まれていることがある。二量体または三量体は、メタクリル樹脂の特性に影響を与えるおそれがあるので、揮発分から除去することが好ましい。二量体または三量体の除去の際に連鎖移動剤の一部や溶媒も除去されることがある。
二量体または三量体の除去は、公知の化学工学的手段によって行うことができる。例えば、蒸留による方法が好ましいものとして挙げられる。本発明において用いられる蒸留塔は、特に制限されないが、段数が6〜20段程度、還流比が0.4〜2.0程度の多段式蒸留塔であることが好ましい。本発明で得られるメタクリル樹脂組成物中に残る揮発分の量は、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
本発明において反応生成物に添加する特定のリン系酸化防止剤は、滑剤に未だ接触したことのない一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤である。
一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤としては、例えば、3,9−ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(4−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノキシ]−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、酸化防止剤自身の熱安定性の観点から、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
前記リン系酸化防止剤の添加は、槽型反応器から脱揮押出機への輸送が当に行われている反応生成物、および脱揮押出機にて揮発分の除去が当に行われている反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも一つに対して行う。
前記リン系酸化防止剤の添加は、一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤のメタクリル酸メチル溶液または一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤の粉末を用いて行うことができる。
槽型反応器から脱揮押出機への輸送が当に行われている反応生成物への前記リン系酸化防止剤の添加は、一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤のメタクリル酸メチル溶液を用いて行うことが好ましい。該溶液における前記リン系酸化防止剤の濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜2.0質量%である。該リン系酸化防止剤は、水、アルコールなどのプロトン性溶媒によって分解しやすいので、該溶液には、プロトン性溶媒が入り込まないようにすることが好ましい。例えば、反応生成物に添加する前に、脂肪族アルコールまたはグリセリン脂肪酸部分エステルなどからなる滑剤は、前記リン系酸化防止剤と混ぜ合わせない方が好ましい。また、該リン系酸化防止剤は、ラジカル重合系の重合活性を阻害するので、重合反応中の槽型反応器に添加しない方が好ましい。
脱揮押出機にて揮発分の除去が当に行われている反応生成物への前記リン系酸化防止剤の添加は、一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤の粉末を用いて行うことができる。該粉末はサイドフィーダにてドライフィードすることができる。
脱揮押出機にて揮発分の除去が当になされている反応生成物に、前記リン系酸化防止剤に未だ接触したことのない滑剤を添加することができる。滑剤は、溶液、融液または粉末の状態、好ましくは溶液または融液の状態にて添加することができる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド;パラフィンワックス、ケトンワックス;オクチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの脂肪族アルコール、好ましくは炭素原子数8〜30アルコール;硬化油;ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン脂肪酸エステル、好ましくはグリセリン炭素原子数8〜30カルボン酸エステルなどが挙げられる。本発明においては、滑剤として、脂肪族アルコールとグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。脂肪族アルコールとグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、その割合は特に制限されないが、脂肪族アルコール/グリセリン脂肪酸モノエステルの質量比は、2.5/1〜3.5/1が好ましく、2.8/1〜3.2/1がより好ましい。
脱揮押出機にて揮発分の除去が当に行われている反応生成物への、前記リン系酸化防止剤の添加と滑剤の添加とは、脱揮押出機の別々の導入口への供給によって行うことが好ましい。例えば、図1に示すように、前記リン系酸化防止剤をサイドフィーダ9から供給し、滑剤を液状添加物調製槽2からフィルター5を介して供給することができる。
一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤の供給量は、メタクリル樹脂100質量部に対して、0.01〜0.3質量部、好ましくは0.02〜0.2質量部、さらに好ましくは0.03〜0.1質量部である。リン系酸化防止剤の供給量が少ないと、光学特性および熱安定性の向上効果が得られない。リン系酸化防止剤の供給量が多いと、高温での加工時にブリードアウトする等の問題が発生する。
揮発分の除去が当に行われている若しくは行われた反応生成物に液状添加物を添加してもよい。該液状添加物は、フィルターによって濾されたものであることが好ましい。用いるフィルターは、液状添加物から異物を除去できるものであれば特に制限されない。フィルターとして、樹脂製のフィルターと金属製のフィルターとがある。また、金属製フィルターには、焼結フィルターや積層フィルターなどがある。フィルターは、耐熱温度が140℃以上であるのが好ましい。またフィルターは、目開きが1μm以下であるものが好ましい。
揮発分の除去が当に行われている若しくは行われた反応生成物にフィルターで濾された液状添加物を添加する方法は、特に制限されないが、ベント付押し出し機において、液状添加物を、重合体排出口に最も近い位置に在るフロントベントよりも重合体排出口に近い側の位置に設けられている添加剤投入口から添加することが好ましい。液状添加物は定量ポンプなどで供給することができる。添加剤投入口付近は、スクリューがミキシングゾーンになっていることが好ましい。
液状添加物は、常温固体の添加剤を融解させて成るもの、または常温液体の添加剤そのものである。添加剤の溶液も使用することができる。溶媒としてメタクリル酸メチルを用いることが好ましい。トルエンなどの一般的な有機溶剤を溶媒として用いるとそれが不純物として樹脂組成物に含まれることになるので、できれば避けるべきである。融点の高い添加剤であっても、他の添加剤と混ぜ合わせることによって低い温度で融解させることができる。本発明に用いられる添加剤は、メタクリル樹脂の生産において一般に用いられ、且つ液状または液状にすることができるものであれば、特に制限されない。
添加剤としては、前述した滑剤の他に、例えば、加工助剤、光安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、耐衝撃剤、発泡剤、充填剤、着色剤、帯電防止剤、光拡散剤などが挙げられる。
常温固体の添加剤を融解させて成るものは、保管している間に、変色、分解などすることがある。そこで、常温固体の添加剤を融解させるための調製槽は、事前に、水分、酸素などを除去することが好ましい。そのための方法として窒素などの不活性ガスによるパージが挙げられる。不活性ガスの圧力、流速、パージ時間などの条件は適宜調整することができる。例えば、不活性ガスの圧力は0.1MPa以上であることが好ましい。不活性ガスの流速は添加物調製槽の体積Vにおいて0.1V/分以上であることが好ましい。不活性ガスにてパージを行う時間は他の条件によって変わるが、1分間以上であることが好ましい。
添加物調製槽は、融解に伴う熱や添加剤による腐食に耐えるものであれば、特に制限はないが、加圧または減圧を行える密閉可能な槽であることが好ましい。槽は撹拌手段を具備することが好ましい。添加剤の融解は、添加剤を加熱することによって行われる。そして、液状添加物を保存している間の温度は、130℃以下が好ましく、125℃以下がより好ましい。液状添加物の変質、分解などを防ぐことができる。
押出機の重合体排出口には、異物、炭化物、ゲル状物などを除去するために、ブレーカープレートや、スクリーンなどを取り付けることができる。ブレーカープレートは、通常、直径3〜4mmの孔が同心円状に複数開けられた円板である。またスクリーンは、用途や目的に応じて種々の目開きの金網を1枚〜数枚重ねたものである。
本発明の製造方法によると、一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤の分解が抑制されるので、前記リン系酸化防止剤の供給量とほぼ同じ量の前記リン系酸化防止剤を含有するメタクリル樹脂組成物を得ることができる。本発明の製造方法によると、メタクリル樹脂100質量部と一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤0.01〜0.3質量部とを含有するメタクリル樹脂組成物を容易に得ることができる。
本発明の製造方法によって得られるメタクリル樹脂組成物は、シリンダ温度300℃、金型温度68℃および成形サイクル2分間の条件で、射出成形して得られる成形体の光路長200mmのYIが、好ましくは7以下、より好ましくは4以下である。
本発明の製造方法によって得られるメタクリル樹脂組成物は、成形材料としての扱い易さを容易にするために、公知の方法に従って、ペレット、粉末、顆粒などにすることができる。
本発明の製造方法によって得られるメタクリル樹脂組成物を、射出成形、圧縮成形、押出成形、真空成形などの従来より知られる成形方法で成形(溶融加熱成形)することによって各種成形品を得ることができる。当該メタクリル樹脂組成物からなる成形品としては、例えば、広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、屋上看板などの看板部品; ショーケース、仕切板、店舗ディスプレイなどのディスプレイ部品; 蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、シャンデリアなどの照明部品; ペンダント、ミラーなどのインテリア部品; ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、レジャー用建築物の屋根などの建築用部品; 航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車用サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバーなどの輸送機関係部品; 音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク、自動販売機などの電子機器部品; 保育器、レントゲン部品などの医療機器部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、観察窓などの機器関係部品; 液晶保護板、導光板、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面板、拡散板などの光学関係部品; 道路標識、案内板、カーブミラー、防音壁などの交通関係部品; 偏光子保護フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、自動車内装用表面材、携帯電話の表面材、マーキングフィルムなどのフィルム部材; 洗濯機の天蓋材やコントロールパネル、炊飯ジャーの天面パネルなどの家電製品用部材; その他、温室、大型水槽、箱水槽、時計パネル、バスタブ、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、熔接時の顔面保護用マスクなどが挙げられる。
以下に実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
実施例および比較例において使用した添加剤を以下に示す。
(酸化防止剤)
PEP :3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン
Figure 2020085474

HP :2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル) 2−エチルヘキシル ホスファイト
Figure 2020085474

OEP :3,9−ビス(オクタデシルオキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン
Figure 2020085474

TBP :トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
Figure 2020085474
(滑剤)
StOH:ステアリルアルコール(酸価:0.03以下、ケン化価:0.2以下、ヨウ素価:0.1以下、水酸基価:205〜209、水分(%):0.1以下);
StMg:グリセリンステアリン酸エステル(酸価:2以下、ヨウ素価:2以下、全モノグリセライド:95%以上、遊離グリセリン:2%以下)
(紫外線吸収剤)
JF:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
Figure 2020085474
実施例1
メタクリル酸メチル5質量部にPEP0.05質量部を添加し混ぜ合わせて溶液(B)を得た。溶液(B)を20℃に保持して貯槽Bに貯留した。
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)およびメタクリル酸メチル(MMA)を混ぜ合わせて液(D)を得た。液(D)を貯槽Dに貯留した。
メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)およびn−オクチルメルカプタン(OM)を、各貯槽に、それぞれ貯留した。
質量比MMA/MA/OMが94.0/6.0/0.35であり且つAIBN濃度が質量基準で75ppmである、MMA、MA、OMおよびAIBNの混合液(E)を重合反応槽に所定の液レベルになるまで入れ、次いで140℃にて塊状重合を行った。重合転化率が60%になったところで、各貯槽から、MMA、MAおよびOMを所定の流量で供給し、それらを配管内にて混ぜ合わせて液(C)を得、貯槽Dから液(D)を所定の流量で供給して液(C)に配管内で混ぜ合わせて、質量比MMA/MA/OMが94.0/6.0/0.35であり且つAIBN濃度が質量基準で75ppmである、MMA、MA、OMおよびAIBNの混合液(E)を得、これを前記重合反応槽に平均滞留時間2時間にて連続的に供給し、140℃にて重合反応させて、同時に前記重合反応槽から重合反応槽内の液レベルが一定になるように重合反応槽内の液(F)を排出した。排出された液(F)における重合転化率は60%であった。
(重合転化率)
重合転化率は次のようにして決定した。ガスクロマトグラフ((株)島津製作所製、GC−14A)に、カラム(GLC−G−230 GL Sciences Inc.製、INERTCAP1(df=0.4μm、I.D.0.25mm、長さ60m))を繋ぎ、injection温度180℃、detector温度180℃、カラム温度を昇温速度10℃/分で60℃から200℃に昇温する条件にて分析した。
溶液(B)を重合反応槽出口から熱交換器入口の間に設けられている管の途中に定量ポンプにて供給し、溶液(B)を液(F)に配管内にて混ぜわせた。溶液(B)の供給量は、液(F)中のメタクリル樹脂100質量部に対してPEPの量が0.05質量部となるように調整した。液(F)中のメタクリル樹脂の量は重合転化率から推定した。
液(F)と溶液(B)との混合で得られる液(G)を、熱交換器にて熱して240℃にし、それをベント付押出機の反応生成物供給口に供給し、反応生成物供給口付近にてフラッシュ蒸発させた。蒸発した揮発分をリアベントから排出した。さらにスクリューによって順繰りにベント付押出機内を重合体排出口に向かって移動させ、その間に蒸発する揮発分をフロントベントから排出した。
内容積V[L]の添加物調製槽内を、流速0.5V[L/min]、圧力0.25[MPa]の窒素(露点:−70℃)で10分間パージした。該添加物調製槽に、StOHおよびStMgを所定の割合で投入した。次いで、添加物調製槽内を0.2MPaへの昇圧と大気圧への脱圧とを計4回繰り返して、添加物調製槽内の酸素および水分を除去し、酸素濃度0%にした。添加物調製槽内の温度を120℃にして2時間攪拌し、添加剤を融解させて、120℃の液状添加物を得た。該液状添加物を、目開き0.2μmの金属フィルター(PALL製:FLHF200−10M3F)で濾して、前記ベント付押出機の重合体排出口に最も近い位置に在るフロントベントよりも重合体排出口に近い側の位置に設けられている添加剤投入口Iに定量ポンプにて供給した。
液状添加物の添加剤投入口への供給量は、メタクリル樹脂100質量部に対してStOH0.075質量部およびStMg0.025質量部となるように調整した。ベント付押出機内におけるメタクリル樹脂の量は、重合転化率および揮発分の蒸発量から推定した。
ベント付押出機の重合体排出口から樹脂組成物を押し出し、カッターで切って、ペレット状樹脂組成物を得た。
<添加剤含有量>
ベント付押出機の重合体排出口からの樹脂組成物の押し出しが開始されてから6時間経過した時に得られたペレット状樹脂組成物を試料樹脂として採取した。
該試料樹脂をジクロロメタンに溶かして溶液を得、これにヘキサンを添加した。上澄み液を採取した。該上澄み液を、ガスクロマトグラフ((株)島津製作所製、GC−17A)にて、カラム(GLC−G−230 Sciences Inc.製 INERTCAP1(df=1.0μm、I.D.1.2mm、長さ40m))、injection温度270℃、detector温度270℃、カラム温度を10℃/分で70℃から270℃に昇温する条件にて分析した。並行して、前記上澄み液を、高速液体クロマトグラフ((株)島津製作所製、LC−9A、CTO−20AC、検出器HITACI、L−7400)にて、カラム(ODS GLサイエンス.製 INERTCAP1(粒子径=5.0μm、I.D.4.6mm、長さ150mm))、波長230nm、溶離液メタノール、流量2ml/minおよびサンプル注入量5μlの条件にて分析した。分析値からメタクリル樹脂(PMMA)100質量部に対する各添加剤の含有量を部数で算出した。
<MFR>
前記試料樹脂のメルトフローレートを、JIS K 7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重および10分間の条件で測定した。
<成形性>
射出成形機((株)名機製作所製、M−100C)を使用し、前記試料樹脂をシリンダ温度300℃、金型温度68℃および成形サイクル1分間で射出成形して、長さ200mm、幅50mmおよび厚さ3mmの平板を連続して110枚製造し、11ショット目から110ショット目までの平板100枚を肉眼で観察し、気泡(シルバ−)の発生した平板の枚数で評価した。
A:10枚未満
B:10枚以上
<YI>
射出成形機((株)日本製鋼所、J−100III)を使用し、前記試料樹脂をシリンダ温度300℃、金型温度68℃および成形サイクル2分間で射出成形して、長さ200mm、幅60mmおよび厚さ3mmの平板を連続して15枚製造し、11ショット目から15ショット目までの平板5枚を用いてYI値の測定を行い、平均値で評価した。なお、YI値は測色計(日立那珂精器(株)、C−2000)を用いて、JIS K 7105に準拠して測定した。
<透過率>
射出成形機((株)日本製鋼所、J−100III)を使用し、前記試料樹脂をシリンダ温度300℃、金型温度68℃および成形サイクル2分間で射出成形して、長さ200mm、幅60mmおよび厚さ3mmの平板を連続して15枚製造し、11ショット目から15ショット目までの平板5枚を用いて全光線透過率の測定を行い、平均値で評価した。なお、全光線透過率はヘイズメーター(村上色彩技術研究所、HM−150)を用いて、ISO13468に準拠して測定した。
実施例2
溶液(B)を重合反応槽出口から熱交換器入口の間に設けられている管の途中に定量ポンプにて供給する代わりに、PEP粉末をベント付押出機の重合体排出口に最も近い位置に在るフロントベントよりも重合体排出口に近い側の位置に設けられている添加剤投入口IIにサイドフィーダにて供給した以外は実施例1と同じ方法でペレット状樹脂組成物を得た。PEP粉末の供給量は、メタクリル樹脂100質量部に対してPEPの量が0.05質量部となるように調整した。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表1に示す。
実施例3
質量比MMA/MA/OMを90.4/9.6/0.385に変更した以外は実施例1と同じ方法でペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表1に示す。
実施例4
質量比MMA/MA/OMを98.9/1.1/0.257に変更し、AIBNの濃度を質量基準で60ppmに変更し、重合転化率を52%に変更し、さらに、液状添加物の調整においてStOHおよびStMgをStMgおよびJFに変更し、液状添加物の供給量がメタクリル樹脂100質量部に対してStMg0.15質量部およびJF0.020質量部になるように調整した以外は実施例1と同じ方法でペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表1に示す。
比較例1
溶液(B)を重合反応槽出口から熱交換器入口の間に設けられている管の途中にて供給せず、液状添加物の調製においてStOHおよびStMgをPEP、StOHおよびStMgに変更し、液状添加物の供給量がメタクリル樹脂100質量部に対してPEP0.05質量部、StOH0.075質量部およびStMg0.025質量部になるように調整した以外は実施例1と同じ方法でペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表1に示す。
比較例2
溶液(B)を重合反応槽出口から熱交換器入口の間に設けられている管の途中にて供給しなかった以外は、実施例1と同じ方法でペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2020085474
比較例3
比較例2で得られたペレット状樹脂組成物100質量部に、PEP0.05質量部を添加し軽く混ぜ合わせ、それを二軸押出機((株)テクノベル製、商品名:KZW20TW-45MG-NH-600)にて250℃にて溶融混錬し、次いで押出およびカットを行ってペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表2に示す。
比較例4
溶液(B)の供給量を、液(F)中のメタクリル樹脂100質量部に対してPEPの量が0.4質量部となるように調整した以外は実施例1と同じ方法で、ペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表2に示す。
比較例5
溶液(B)の供給量を、液(F)中のメタクリル樹脂100質量部に対してPEPの量が0.005質量部となるように調整した以外は実施例1と同じ方法で、ペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表2に示す。
比較例6
PEPの代わりにHPを用いた以外は実施例1と同じ方法で、ペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表2に示す。
比較例7
PEPの代わりにOEPを用いた以外は実施例1と同じ方法で、ペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表2に示す。
比較例8
PEPの代わりにTBPを用いた以外は実施例1と同じ方法で、ペレット状樹脂組成物を得た。該樹脂組成物について実施例1と同じ方法で物性を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2020085474
以上の結果が示すとおり、本発明に係る方法(実施例)は、比較例に記載の方法に比べて、シルバーが無く、光線透過率が高く且つYIが低い成形品を低不良率にて提供できる、メタクリル樹脂組成物を容易に得ることができる。
1 : 重合反応槽
2 : 液状添加物調製槽
3 : ベント付押出機
4 : 蒸留塔
5 : フィルター
6 : リアベント
7 : フロントベント
8 : 溶液(B)調整槽 (貯槽B)
9 : サイドフィーダ
MMA: メタクリル酸メチル
MA: アクリル酸メチル
OM: n−オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)
Init: 重合開始剤
Inhbt: 重合禁止剤
P: 製品(樹脂組成物)

Claims (8)

  1. メタクリル酸メチル、連鎖移動剤およびラジカル重合開始剤を必須で含有し、アクリル酸アルキルエステルを任意で含有し、且つアクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸メチルの質量比が0/100〜20/80である原料液を槽型反応器に連続的に供給し、該槽型反応器内で重合転化率40〜70質量%にて塊状重合を行ってメタクリル樹脂を生成させながら、前記槽型反応器から反応生成物を連続的に抜き出すこと、
    反応生成物を脱揮押出機に供給して該脱揮押出機にて揮発分を除去すること、および
    滑剤に未だ接触したことのない一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤を、槽型反応器から脱揮押出機への輸送が当に行われている反応生成物および脱揮押出機にて揮発分の除去が当に行われている反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも一つに、添加することを含む、
    メタクリル樹脂100質量部と一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤0.01〜0.3質量部とを含有するメタクリル樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記リン系酸化防止剤の添加が、一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤のメタクリル酸メチル溶液を用いて行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 脱揮押出機にて揮発分の除去が当に行われている反応生成物への前記リン系酸化防止剤の添加が、一分子内にスピロ構造とアリール基を有するリン系酸化防止剤の粉末を用いて行われる、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 脱揮押出機にて揮発分の除去が当になされている反応生成物に、前記リン系酸化防止剤に未だ接触したことのない滑剤を添加することをさらに含む、請求項1〜3のいずれかひとつに記載の製造方法。
  5. 脱揮押出機にて揮発分の除去が当に行われている反応生成物への、前記リン系酸化防止剤の添加と前記滑剤の添加とが、脱揮押出機の別々の導入口への供給によって行われる、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記メタクリル樹脂は、シリンダ温度300℃、金型温度68℃および成形サイクル2分間の条件で、射出成形して得られる成形体の光路長200mmのYIが7以下である、請求項1〜5のいずれかひとつに記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかひとつに記載の製造方法により得られるメタクリル樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載のメタクリル樹脂組成物からなる成形品。
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