JPWO2020080542A1 - 鮮度保持フィルム及び鮮度保持容器 - Google Patents

鮮度保持フィルム及び鮮度保持容器 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020080542A1
JPWO2020080542A1 JP2020553362A JP2020553362A JPWO2020080542A1 JP WO2020080542 A1 JPWO2020080542 A1 JP WO2020080542A1 JP 2020553362 A JP2020553362 A JP 2020553362A JP 2020553362 A JP2020553362 A JP 2020553362A JP WO2020080542 A1 JPWO2020080542 A1 JP WO2020080542A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
freshness
layer
preserving
film
zinc oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020553362A
Other languages
English (en)
Inventor
正人 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NISHIYAMA HIROFUMI
Nissho Chemical Co Ltd
Original Assignee
NISHIYAMA HIROFUMI
Nissho Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NISHIYAMA HIROFUMI, Nissho Chemical Co Ltd filed Critical NISHIYAMA HIROFUMI
Publication of JPWO2020080542A1 publication Critical patent/JPWO2020080542A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23BPRESERVING, e.g. BY CANNING, MEAT, FISH, EGGS, FRUIT, VEGETABLES, EDIBLE SEEDS; CHEMICAL RIPENING OF FRUIT OR VEGETABLES; THE PRESERVED, RIPENED, OR CANNED PRODUCTS
    • A23B7/00Preservation or chemical ripening of fruit or vegetables
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/18Layered products comprising a layer of synthetic resin characterised by the use of special additives
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D65/00Wrappers or flexible covers; Packaging materials of special type or form
    • B65D65/02Wrappers or flexible covers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D65/00Wrappers or flexible covers; Packaging materials of special type or form
    • B65D65/38Packaging materials of special type or form
    • B65D65/40Applications of laminates for particular packaging purposes

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Packages (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)

Abstract

光条件下だけでなく暗所下においても、食物(特に生鮮食材、青果物など)及び食物以外の植物から発生したエチレンを効率よく水と二酸化炭素分子に分解することが可能な鮮度保持フィルムを提供する。本発明の鮮度保持フィルムは、第1層1と、第2層2と、第3層3と、を備え、前記第2層2は、前記第1層1と、前記第3層3との中間にあり、前記第1層1は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂中に、光触媒活性部位を被覆剤で被覆処理された酸化亜鉛を含有し、被覆剤による酸化亜鉛の被覆率が0.3〜1.2%である層であり、前記第2層2は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂中に、有機系防カビ剤を含有する層であり、前記第3層3は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂からなる。

Description

本発明は、食物(特に生鮮食材、青果物等)及び食物以外の植物の鮮度保持(植物の生育保持を含む)に用いられる鮮度保持フィルム及び鮮度保持容器に関するものである。
プラスチックフィルムは、材質、延伸方法等の製造方法、及び厚さ等の相違によって、種々の物性(水蒸気透過性、ガス透過性)を示す。例えば、一般に青果物の包装には、水蒸気透過性が低く、ガス透過性の高いフィルム(例えば、ポリエチレンフィルム)が用いられる。このようなフィルムを用いて青果物を包装する場合、包装袋又は包装容器の内部の湿度は100%に近くなる。その結果、青果物の蒸散が抑えられる。従って、プラスチックフィルム包装は青果物の蒸散作用によるしなびを完全に抑制できるので、流通中の青果物の生鮮消耗を抑えることができる。しかしながら、気温の高い時期では、青果物自体のガス障害や微生物の繁殖、及び、老化ホルモン、エチレンガス発生を促進させ、老化熟成・腐敗を引き起こす原因にもなるため、低温管理と組み合わせることが必要とされている。例えば、産地から消費地に至る青果物の各流通過程で、エチレンガス濃度がわずか0.005ppmという微量でも流通量全体の25〜46%が取り返しのつかない損害を被る恐れがある。このように、エチレンガス濃度で安全なレベルというものはない。一般的に流通センターの貯蔵室では、完熟農産物とそうでないものが混ざった状態になっており、エチレンガスによる収穫後の損失は25〜30%にも達すると算出されている。このようなエチレンガスを分解する技術は、これまでに多くの企業が光触媒により実現している(例えば特許文献1〜3参照)。
また、特許文献4では、鮮度の長期間維持のために光に不活性な無機物で部分的に被覆した被覆光触媒粒子を用いた老化防止輸送用容器が開示されている。この特許文献4では、「金平糖のように被覆したもの(金平糖型粒子)」や「マスクメロンのマスクのように被覆したもの(マスクメロン型粒子)」と記載されているように、光触媒粒子の部分的被覆が、光触媒粒子の表面に対して、一定割合の面積を覆うように被覆したものである。
特開平9−196545号公報 特開2009−35327号公報 特開2010−207223号公報 実用新案登録第3115187号公報
しかしながら、光触媒を用いる場合、光条件を必要とすること、さらに、光触媒作用により多くのヒドロキシルラジカルを発生させ、エチレンを分解すると同時に、野菜や果物など植物に障害を発生させてしまい、さらには、フィルム又は容器を構成する樹脂を分解、劣化又は変色させてしまう欠点を有している。また、脱酸素剤を併用した食品鮮度保持剤においては、アセトアルデヒドが生成することが知られており、これらの臭気は、開袋時刺戟臭・異臭として感知されるばかりでなく、食品の喫食時、食品に移行した臭気が消費者に不快感や違和感を与えるため、該臭気を除去する必要がある。
そこで、本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたもので、光条件下だけでなく暗所下においても、食物(特に生鮮食材、青果物など)及び食物以外の植物から発生したエチレンを効率よく水と二酸化炭素分子に分解することが可能な鮮度保持フィルムを提供する。また、上述の鮮度保持フィルム用いた鮮度保持容器を提供することを目的としている。
(1)本発明の鮮度保持フィルムは、第1層と、第2層と、第3層と、を備え、前記第2層は、前記第1層と、前記第3層との中間にあり、前記第1層は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂中に、光触媒活性部位を被覆剤で被覆処理された酸化亜鉛を含有し、前記被覆剤による前記酸化亜鉛の被覆率が0.3〜1.2%である層であり、前記第2層は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂中に、有機系防カビ剤を含有する層であり、前記第3層は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂からなる層であることを特徴としている。
(2)本発明の鮮度保持フィルムは、第3層の樹脂層が、前記酸化亜鉛及び前記有機系防カビ剤を含有しないことを特徴としている。
(3)本発明の鮮度保持フィルムは、前記被覆剤の被覆量が、前記酸化亜鉛の重量に対して0.2〜10重量%であることを特徴としている。
(4)本発明の鮮度保持フィルムは、前記第1層、前記第2層及び第3層の少なくとも1層における樹脂が、ポリエチレンであることを特徴とする特徴としている。
(5)本発明の鮮度保持フィルムは、有機系防カビ剤が、2−メトキシカルボニルアミノ−ベンゾイミダゾールであることを特徴としている。
(6)本発明の鮮度保持容器は、上記(1)〜(5)のいずれかの鮮度保持フィルムを、袋状構造、筒状構造、トンネル構造、層状構造、及び入れ子構造のうちいずれか1つ以上を含む構造に形成してなることを特徴としている。
上記構成によれば、光条件下だけでなく暗所下でも、食物(特に生鮮食材、青果物など)及び食物以外の植物(生花など)の鮮度を保持したまま長期間貯蔵できるプラスチック包装貯蔵を行うことが可能となる。ここで、プラスチック包装貯蔵とは、プラスチックフィルムの水蒸気とガス体との透過性の違いを利用し、食物(特に生鮮食材、青果物など)及び食物以外の植物(生花など)をプラスチックフィルムで包装することにより貯蔵中の蒸散及び呼吸作用を抑え、長期間にわたり鮮度を保持することができることをいう。なお、密封されたフィルム内のガス環境は、食物(特に生鮮食材、青果物など)及び食物以外の植物(生花など)自体の呼吸作用によってフィルム内の酸素が消費され、炭酸ガスが蓄積される。環境温度や包装資材の材質及び包装する食物(特に生鮮食材、青果物など)及び食物以外の植物(生花など)によってフィルム内のガス環境は変わり、例えば低温下(5℃以下)で葉菜類を厚さ0.03mmの低密度ポリエチレンで密封包装すると、フィルム内部のガス環境は、酸素濃度が2〜3%、炭酸ガスが5〜10%で安定する。大気中の酸素濃度は20.9%、炭酸ガスは0.1%未満なので、大気に比べると低酸素−高炭酸ガス濃度の環境になり、この環境下で貯蔵すると大気で貯蔵したものに比べ、鮮度の低下を抑える効果(CA効果)が得られる。
上述のプラスチックフィルム又はプラスチック容器による包装貯蔵は、MA貯蔵(Modified Atmosphere)とも呼ばれ、多くの食物(特に生鮮食材、青果物など)及び食物以外の植物(生花など)を流通する際の内装資材として利用されている。包装貯蔵する目的としては前述のCA効果以外にも、1.青果物等の植物又は食物自体の蒸散作用によるしおれ抑制、2.表面の機械的損傷抑制、3.温度変動による青果物表面の結露抑制、等の効果を得るためである。
また、光触媒活性部位を被覆剤で被覆処理された酸化亜鉛は、酸化亜鉛の光触媒としての活性部位を被覆剤で被覆処理することにより、光触媒の活性を抑制し、活性酸素の発生を抑えるとともに、酸化亜鉛から亜鉛イオンを溶出させて、抗菌、抗カビ、消臭等の効果を発揮させる。さらに、有機系防カビ剤を含有させた2層目の樹脂層によって、抗菌、抗カビ、消臭等の効果をさらに向上させ、肉、魚、花卉等に対しても良好な鮮度保持を実現している。
本発明の実施形態における鮮度保持フィルムの断面図である。 豚肉のAGEs値の変化を示す図である。 本発明に係る実施例における鮮度保持フィルムと比較例1及び2との鮮度保持効果の比較結果を示す図である。 本発明に係る実施例における鮮度保持フィルムと比較例1及び2との鮮度保持効果の比較結果を示す図であって図3とは異なる図である。 24時間経過後の鮮度保持効果の比較結果を示す図である。 各鮮度保持フィルムの真空処理済肉に対する鮮度保持効果を示す図である。 本発明に係る実施例における鮮度保持フィルムと比較例1及び2との鮮度保持効果の差を示す図である。 本発明に係る実施例における鮮度保持フィルムと比較例3及び4との「マグロ7日古」の鮮度保持効果の比較結果を示す図である。 本発明に係る実施例における鮮度保持フィルムと比較例3及び4との「マグロ10日新鮮」の鮮度保持効果の比較結果を示す図である。 本発明に係る実施例における酸素水ミスト処理の保存状態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図1を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態における鮮度保持フィルムの断面図である。
本発明の鮮度保持フィルムは、図1で示すように、上から第1層1と、第2層2と、第3層3と、を備える。
第1層1は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂中に、光触媒活性部位を被覆剤で被覆処理された酸化亜鉛を含有する層である。
第2層2は、第1層1と、第3層3との中間にあり、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂中に有機系防カビ剤を含有する層である。
第3層3は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂からなる層である。
まず、第1層1について詳細に説明する。
第1層1は、光触媒活性部位が被覆剤で被覆処理された酸化亜鉛を含む樹脂層である。第1層1に用いられる樹脂としては、酸素及び水蒸気を透過させにくい素材であれば特に制限されない。具体的には、LDPE:低密度ポリエチレン、HDPE:高密度ポリエチレン、OPP:延伸ポリプロピレン、CPP:無延伸ポリプロピレン、ON:延伸ナイロン(ポリアミド)、CN:無延伸ナイロン(ポリアミド)、BDR:ポリブタジェン、PMP:ポリメチルベンテン、BOV:延伸ビニロン、OV:PVDC塗布延伸ビニロン、PET:ポリエチレンテレフタレート、PVDC:ポリ塩化ビニルデン、KOP:ポリ塩化ビニルデン塗布OPP、KON:ポリ塩化ビニリデン塗布ON、EVOH:エチレン・ビニルアルコール共重合体、EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合体、PS:ポリスチレン、PT:普通セロファン、MST:ポリマータイプ防湿セロファン、ABS:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。これらは、単独又は組み合わせて使用することができる。ここで、酸素及び素性気を透過させにくいとは、通常の使用状態においては、酸素及び水蒸気が樹脂フィルムを透過しないことを意味する。酸素の透過度が高いと、被包装物が酸化してしまうといった問題を生ずる。また、水蒸気の透過度が高いと、フィルムを袋状とした際の内部の湿度が低下しすぎて植物がしおれてしまう。
被覆剤としては、具体的には、信越化学(株)製のシランカップリング剤である、KBM−403(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、及びKBM−503(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)が挙げられるが、酸化亜鉛のような無機酸化物粒子表面との反応に主として関与するのは、シランカップリング剤の加水分解性基が加水分解を受けて生成したシラノール基であり、エポキシ基やメタクリル基のような有機官能基は主として種々の樹脂と反応して結合し得ることは良く知られている。光触媒活性を抑える目的に対しては、その他のシランカップリング剤、即ち、ビニル基、メルカプト基、アミノ基等を持つシランカップリング剤を使用しても良い。
なお、シランカップリング剤による被覆処理は、無機物による被覆処理よりも何故少量で酸化亜鉛の光触媒活性を抑制し得るのかは明確ではないが、酸化亜鉛粒子表面の光触媒活性を司る活性点とシランカップリング剤との反応性は、酸化亜鉛粒子表面の光触媒活性を司る活性点と無機の表面処理剤との反応性に比較して選択性が一層高く、それ故にシランカップリング剤は少量の被覆量で無駄なく酸化亜鉛粒子表面の光触媒活性を司る活性点を殺しているのではないかと推察される。
光触媒活性部位を被覆剤であるシランカップリング剤で被覆処理された酸化亜鉛(以下、「シランカップリング酸化亜鉛」とも記す)は、所謂湿式合成法で得られたものであっても、所謂乾式合成法で得られたものであってもよい。シランカップリング剤による酸化亜鉛粉末の被覆処理方法としては、酸化亜鉛粉末のスラリーを攪拌しつつシランカップリング剤を添加する所謂湿式法でも良く、また高速回転が可能なヘンシェルミキサーやハイスピードミキサー等で酸化亜鉛粉末を高速攪拌しつつシランカップリング剤をスプレー又は滴下する所謂乾式法でも良く、また酸化亜鉛粉末を入れた反応容器内に窒素等の不活性ガスでキャリーしたシランカップリング剤を導入し、被覆処理する所謂気相法でも良い。
本発明の鮮度保持フィルムにおいては、上記のシランカップリング剤のような被覆剤による酸化亜鉛の被覆率は、0.3〜1.2%であることが必須であり、0.5〜0.6%であることがより好ましい。この酸化亜鉛の被覆率が0.3%未満であると、酸化亜鉛の光触媒活性を十分に抑制することができなくなる。一方、酸化亜鉛の被覆率が1.2%を超えると、亜鉛イオンの溶出が妨げられ、殺菌、抗菌、棒黴、脱臭等の効果が得られなくなる。
シランカップリング剤の使用量に関して、被覆処理される酸化亜鉛粉末の比表面積を考慮する必要がある。例えば、使用した酸化亜鉛粉末のBET法による比表面積は20m/gであり、これにシランカップリング剤を1重量%被覆処理することによりほぼ完全に酸化亜鉛の持つ光触媒活性を抑制できたが、これよりも大きな比表面積を持つより微細な酸化亜鉛粉末に同様の目的で被覆処理する場合には、その被覆率を目安として被覆量を増加させないと光触媒活性を充分に抑制できないことは容易に推察される。即ち、著しく大きい比表面積を持つ酸化亜鉛粉末(例えば400m/g)への被覆処理を行う場合には20%程度の被覆量が必要となり、逆に、比表面積が数m/g程度の比較的粒径の大きい酸化亜鉛粉末に被覆処理する場合には0.1%程度の被覆量でも充分な効果が期待できる。従って、被覆量の通常の範囲としては0.1〜20重量%、分散性を考慮すると好ましくは0.2〜15重量%、コスト面を考慮すると好ましくは0.1〜10重量%、総合的には好ましくは0.2〜10重量%となる。
本発明の鮮度保持フィルムに含有されるシランカップリング酸化亜鉛においては、より少量の被覆量で、即ち、酸化亜鉛の相対的含有量を極力減らさずに光触媒活性を抑制できるので、酸化亜鉛自体の紫外線吸収作用をそのまま維持しており、さらに光触媒活性が抑制されるにも係わらず、殺菌、抗菌、防黴、脱臭等の作用がそのまま維持されている。この理由については、シランカップリング酸化亜鉛に含まれる亜鉛イオンによるものである。即ち、微量金属作用によるものである。なお、本発明である鮮度保持フィルムに含有される酸化亜鉛をカップリング剤で完全被覆処理した場合、亜鉛イオンが溶出できなくなる。そのため、本発明の鮮度保持フィルムにおいて、酸化亜鉛の被覆は、光触媒活性部分のみであることが必須である。
樹脂への分散性を一層向上させるためには、使用する樹脂とシランカップリング剤の有機官能基との相性を考慮してシランカップリング剤を選定する必要がある。このことは、従来技術に基づくAl、Si、ZrあるいはSnの酸化物もしくは水酸化物といった無機物による表面被覆処理ではなし得なかった分散性向上のポイントであり、例えば、低密度ポリエチレン樹脂内で使用する場合には、信越化学(株)製シランカップリング剤KBM−503(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)で酸化亜鉛粉末を被覆処理することが好ましい。
本発明の鮮度保持フィルムに含有されるシランカップリング酸化亜鉛は、紫外線吸収、殺菌、抗菌、防黴、脱臭作用を有するが、光触媒活性の抑制されている添加剤として用いられ、例えば、樹脂組成物や油脂組成物に添加して用いることにより、紫外線吸収、殺菌、抗菌、防黴、脱臭等の効果が達成され、且つ光触媒活性が抑制されているので樹脂組成物や油脂組成物が分解したり、劣化したり、変色したりすることがない。本発明において添加剤として用いる場合にはシランカップリング酸化亜鉛粉末単独で用いても、あるいは他の成分との混合物として用いてもよい。
上記のシランカップリング酸化亜鉛を樹脂組成物に練り込み、例えばフィルム状に成形し、それを食品等の包装材料として用いた場合には、紫外線による食品の変色を防止し、且つ同時に殺菌、抗菌、防黴作用による腐敗の防止や脱臭作用による開封時の嫌な臭いも防止できる。
本発明においては、上記のシランカップリング酸化亜鉛は、粒径が40nm〜400nm程度であることが好ましく、100nm〜200nmであることがより好ましい。また、シランカップリング酸化亜鉛は、上記樹脂からなるフィルム素材に、少なくともppmオーダー又はppbオーダー(1ppb〜12ppc(0.0000001%〜12%)程度、好ましくは1ppb〜5ppc(0.0000001%〜5%)程度)の質量割合で混和(含有)、もしくは、フィルム素材表面に塗布する。なお、粒径が40nm未満又は含有量が1ppb未満であると、エチレンガスとの接触頻度が減少し、エチレン分解能が低下してしまう。一方、粒径が400nmを超える又は含有量が12ppcを超えると、鮮度保持フィルムの透明性が悪化してしまう。ここで、フィルム素材表面に塗布する場合には、上述のシランカップリング酸化亜鉛を10ppb〜10ppcの質量割合で添加した展着剤を噴霧塗布し、自然乾燥することによって行う。展着剤の基材としては、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、可溶デンプン、カゼイン溶液、豆乳汁、大豆粉、等が挙げられる。
次に、第2層2について説明する。
第2層2は、酸素及び水蒸気を透過させにくい樹脂中に、有機系防カビ剤を含有する層である。一般的に、食品包装用のフィルムには、過度に毒性の強い有機系防カビ剤を採用しにくい。しかし、上記の鮮度保持フィルムでは、第1層1と第3層3との間に挟まれた層である第2層2に有機系防カビ剤が含まれる。このため、上記の鮮度保持フィルムを用いる場合、鮮度保持フィルムが、使用者や被包装物と直接接触しないため、毒性の強弱を考慮することなく種々の有機系防カビ剤を使用することができる。このような有機系防カビ剤としては、鮮度保持製品に添加出来るもので安全性及び効力があるものが好ましい。特に、2−メトキシカルボニルアミノ−ベンゾイミダゾールが好適である。
第2層2に用いられる樹脂としては、隣接する層との密着性等に問題を生じないものであり、酸素及び水蒸気を透過させにくい素材であれば特に制限されるものではなく、上述の第1層1に用いられる樹脂を使用することができる。また、第2層2の樹脂は、第1層1と同じ材質でもあっても、異なっていてもよい。
次いで、第3層3について説明する。
本発明における第3層3は、食品添加物でもない第2層2の有機系防カビ剤を鮮度保持フィルムの使用者や被包装物に直接接触させないように、内側に留めておくためのものである。第3層3に用いられる樹脂としては、隣接する層との密着性等に問題を生じないものであり、酸素及び水蒸気を透過させにくい素材であれば特に制限されるものではなく、上述の第1層1に用いられる樹脂を使用することができる。また、第3層3の樹脂は、第1層1や第2層2と同じ材質であっても、異なっていてもよい。
次に、鮮度保持フィルムの製造方法について説明する。
本発明の鮮度保持フィルムの製造方法は、上述の第1層1、第2層2、第3層3とを、所定の順序で積層する方法であれば特に限定されない。鮮度保持フィルムの典型的な製造方法としては、ラミネート法や共押出し法等が挙げられる。具体的には、Tダイ法やインフレーション成形法等の加工方法により各層をそれぞれ作成し、これらを所定の順序で、ラミネート加工法により積層することによって各層を張り合わせることで、多層構造の鮮度保持フィルムが得られる。ラミネート加工方法としては、接着剤や粘着剤を用いる方法や、熱圧着法等を採用することができる。また、第1層1、第2層2、及び第3層3を、共押出し法により同時に押し出すことによっても、多層構造の鮮度保持フィルムが得られる。共押出しを行う方法は特に限定されず、Tダイ法やインフレーション法等の周知の方法であってよい。
鮮度保持フィルムの厚さは、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。鮮度保持フィルムの厚さは、使用しやすい柔軟性や加工性と、容易に伸びたり破断したりしない耐久性とを両立できる厚さが好ましい。また、原材料費の点で、鮮度保持フィルムの製造コストを低く抑えることが可能なことから、より薄いことが好ましい。
鮮度保持フィルムは、上述の第1層1、第2層2及び第3層3以外に、種々の機能層を備えてもよい。上述の第2層2を除く、上述の第1層1、第3層3は、それぞれ最外層であっても、最外層でなくてもよい。
鮮度保持フィルムの最外層には、例えば、鮮度保持フィルムの意匠性を高めるために、印刷法やエンボス加工等により表面に模様や図柄が付与された加飾層が設けられたり、鮮度保持フィルムの表面に物理的耐久性や化学的耐久性を付与するために、ハードコード層が設けられたりしてもよい。
また、第1層1と第2層2との間、及び第2層2と第3層3との間には、種々の機能層が設けられてもよい。かかる機能の典型例としては、接着層(粘着層)が挙げられる。
また、本発明の鮮度保持フィルムは、上記の積層フィルムの形状をさらに加工して、袋状構造、筒状構造、トンネル状構造、層状構造、又は入れ子構造とした鮮度保持容器とすることもでき、さらに、射出成形等によって例えば鮮度保持フィルムを内側に備えた蓋付きの箱型形状に固形形成された鮮度保持容器であってもよい。このような態様の製造方法としては、箱型形状など一定の形状に固形形成できる方法であれば、どのような成形方法であってもよい。また、本実施の形態の別形態に係る鮮度保持容器は、上述の光触媒活性部位をシランカップリング剤でコーティングしたシランカップリング酸化亜鉛を上記鮮度保持フィルムの場合と同様の割合で混和(含有)、もしくは、箱型形状に固形形成した後、表面に塗布させてもよい。なお、ここでの箱型形状の例としては、立方体、直方体、三角柱、円柱、三角錐等が挙げられるが、内部に物を保管できるような状態のものであれば、どのような形状のものであってもよい。また、この別形態に係る鮮度保持容器に用いられる容器素材としては、酸素及び水蒸気を透過させにくい素材であれば特に制限されるものではないが、具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)(高圧法)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)(低圧法)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、架橋ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・スチレン(AS)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート=高耐熱性のエンプラ(PCT)、飽和ポリエステル樹脂、ポリメチルペンテン(TPX)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等が挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用できる。
また、本発明の鮮度保持フィルムにおける樹脂フィルムとしては、エチレン吸着能を有するものを用いてもよい。これにより、食物(特に生鮮食材、青果物など)及び食物以外の植物からエチレンが発生した際、本発明に係る鮮度保持フィルムそのものがエチレンの吸着剤として機能することができるので、従来のエチレン吸着剤よりも、エチレンを吸着しやすくなる。また、エチレン分解により発生した水分、二酸化炭素によって誘導される呼吸の抑制と蒸散抑制効果を従来よりも向上することができ、引いては、食物(特に生鮮食材、青果物など)及び食物以外の植物の鮮度保持に寄与することができる。
また、本発明の鮮度保持フィルムの施用方法は、例えば、該鮮度保持フィルムを袋状又は容器に加工して、鮮度保持袋又は鮮度保持容器として、内部に青果物等の植物又は食物を封入し、又は、該鮮度保持フィルムで青果物等の植物又は食物を覆い、青果物等の植物又は食物に直接接種させたり、青果物等の植物又は食物を保存する段ボール、コンテナ等の内面に鮮度保持フィルムを直接貼り付けたり、青果物等の植物又は食物を保存するための貯蔵庫等の設備の内面に貼付して活用したりすることができる。また、例えば、青果物等の植物又は食物の貯蔵庫等で換気装置、吸気装置に鮮度保持フィルムを取り付け使用してもよい。さらには、冷蔵庫の内壁や引出部分に本発明の鮮度保持フィルムを貼着又は積層させることにより、あるいは、本発明の鮮度保持容器を冷蔵庫の冷蔵室に適用することにより、冷蔵庫内部に鮮度保持機能を付与することも可能である。
本実施形態における鮮度保持袋、鮮度保持容器を用いて保存する青果物については、植物の種類、育成方法、気候等に基づいて適宜決定すべきである。
なお、上述のシランカップリング酸化亜鉛は、青果物等の植物又は食物から発生するエチレンと共に、腐食の原因となるアルデヒド等の腐生ガスも分解することが可能である。保存後、エチレン分解を行いながら、腐生ガスの分解処理を同時に行うことにより、鮮度保持効果を向上させる。なお、鮮度保持の条件としては、暗所化でもほぼ光条件下と同様にエチレン分解が機能する。また、青果物等の植物又は食物の保存において重要な要素である湿度保持条件下においても低湿度条件と同様に、ガス成分を変化させても、エチレン分解性能を発揮する。具体的には、個別包装内に加湿施用したり、ガス分圧を調整することが鮮度保持に好ましく、特に植物又は食物の表面(例えば、青果物の果実部の表面)の近傍に配置するように鮮度保持シートを施用することがより好ましい。
ここで、上記鮮度保持袋は、空隙率及び比表面積の高い中空構造を有しているので、植物の呼吸に担持される最低限の酸素の補給、より呼吸を抑制する二酸化炭素をエチレン分解により提供することができる。これにより、青果物等の植物又は食物の呼吸抑制を介して鮮度保持がしやすくなり、日持ちを促進することが可能となる。鮮度保持袋及び鮮度保持容器は、表面に高い吸水力(水分を吸着する力)を有し、青果物等の植物又は食物に対して保水性、保湿性を付与することができる。
よって、青果物等の植物又は食物を保存するにあたり、鮮度保持袋又は鮮度保持容器を施用することにより、効果的にエチレンの分解及び鮮度保持フィルムが有するエチレンの二酸化炭素・水への分解のため、結果的に青果物等の植物又は食物の呼吸を抑制するとともに、青果物等の植物又は食物に湿度を付与することにより鮮度保持を促進させることを図ることができる。
以下、本発明の鮮度保持層フィルムを実施例によりさらに詳しく説明する。なお、本発明の鮮度保持フィルムは、これらの実施例に限定されない。
本発明の鮮度保持フィルム(実施例1)、第1層のみの鮮度保持フィルム(比較例1)、第3層のみのブランクフィルム(比較例2)、市販の保存用プラスチックバッグ(比較例3)及び鮮度保持抗菌パック(比較例4)を用いて、豚肉又はマグロのAGEs含量を計測することにより、本発明の鮮度保持フィルムにおける鮮度保持効果を検証した。なお、AGEsとは、終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)、即ち「タンパク質と糖が加熱されてできた物質」であり、毒性を持ち、老化を進める原因物質である。
1.鮮度保持フィルムの製造方法
<実施例1>
まず、低密度ポリエチレンに、被覆材としてシランカップリング剤で光触媒活性部位を被覆処理した酸化亜鉛(商品名:AP−MO、株式会社ニッショー化学社製)を全体の0.5%の質量割合となるように混和し、これをインフレーション成形加工によりフィルム状の第1層を作製した。なお、上記のシランカップリング酸化亜鉛は、シランカップリング剤を質量比0.5%で光触媒活性部位に被覆した酸化亜鉛粒子であった。
次に、低密度ポリエチレンに、2−メトキシカルボニルアミノ−ベンゾイミダゾール(商品名:AP−OK、株式会社ニッショー化学社製)を混和し、これをインフレーション成形加工によりフィルム状の第2層を作製した。次いで、低密度ポリエチレンをインフレーション成形加工によりフィルム状の第3層を作製した。
上記のようにして作製した第1層、第2層及び第3層を、この順序で積層し、ラミネート加工成形による熱蒸着(ヒートシール)によって張り合わせ、多層構成の本発明の実施例1の鮮度保持フィルムを製造した。
<比較例1>
実施例1の製造方法において作製された第1層のみを比較例1の鮮度保持フィルムとした。
<比較例2>
実施例1の製造方法において作製された第3層のみを比較例2の鮮度保持フィルムとした。
<比較例3>
ジップロック(登録商標)を比較例3として用いた。
<比較例4>
キーポッド(登録商標)を比較例4として用いた。
2.鮮度保持効果の評価
試験材料としては、株式会社大商金山牧場より提供を受けた、屠殺直後(屠殺35分後、計測は2時間後)の豚肉、屠殺14日後、4日間冷蔵保存の冷蔵保存豚肉1、屠殺13日後、5日間冷蔵保存の冷蔵保存豚肉2、屠殺6日後又は7日後、冷蔵保存及び出荷前真空処理の真空処理済豚肉の様々な肉部位(赤肉、サシの入った豚赤肉(脂多)、脂身、皮等)を用いた。これらのAGEs蛍光強度値をシャープ社製のAGEs計測器(プロトタイプ)を用いて計測した。次いで、各豚肉を実施例1並びに比較例1及び2の鮮度保持フィルムで包み、保冷剤で2日間冷蔵保存した後に、再び、AGEs蛍光強度値の計測を行い、保存状態の差を検証した。
豚肉のAGEs値は、図2で示すような変遷を行うことが分かった。具体的には、屠殺直後の豚肉は赤身、サシ入り赤身、脂身、皮と全ての部位において、AGEs値は一番高い値が計測され、その後、冷蔵保存されている間に数値が低下することが明らかとなった。また、出荷前の真空処理によりわずかであるがAGEs値が再び上昇する傾向にあった。このAGEs値の回復は真空処理により肉の保存状態が改善されていることが示唆された。特に、サシの入った赤肉や脂身等脂質が多く含まれている部位にAGEs値の回復傾向が高くなった。なお、冷蔵赤肉は冷蔵4日と5日のAGEs値の平均を示した。
各鮮度保持フィルムの豚肉(赤肉)の鮮度保持効果は、図3で示すように、実施例1、比較例1、次いで、比較例2の順番であった。特に、本発明の実施例1の鮮度保持フィルムにおいては、図2で示すように、屠殺直後の赤身とAGEs蛍光強度値の減少が、ほとんど変化がないことがわかった。即ち、本発明の鮮度保持フィルムでは、豚肉の鮮度保持効果が高いことが明らかとなった。
図4にAGEs蛍光強度のスペクトル解析図を示す。屠殺直後の豚赤身肉は細かい点線で示されているとおり、AGEs値(n=12)高い値を示した。その後、4から5日間の冷蔵処理によりそのAGEs値は極度に低下した。一方、比較例1(実線)及び比較例2(一点鎖線)では屠殺後2日間しか経過していないためか、ほぼ同程度の低下傾向を示した。それに対し、本発明の実施例1の鮮度保持フィルム(粗い点線)は、屠殺直後と比較しても同程度にAGEs値を高く保っていることが明らかとなった。
また、図5に示すように、24時間経過後のAGEs値の変化を比較したところ、本発明の鮮度保持フィルムで大きな鮮度保持効果が確認された。
次いで、各鮮度保持フィルムの真空処理済肉に対する鮮度保持効果は、図6で示すように、屠殺直後の豚肉と同じ鮮度保持傾向を示した。しかし、屠殺直後豚肉を用いた場合、比較例1では効果がはっきり出なかったのに対し、真空処理後の豚肉においては明瞭な差が見られた。さらに、本発明の鮮度保持フィルムでは比較例1より効果的に豚肉の鮮度保持効果が高いことが明らかとなった。
また、図7で示すように、真空処理済豚肉を用いた場合、本発明の鮮度保持フィルムを使用すると、真空処理直後の豚肉より、高いAGEs値を示すことが明らかとなった。この結果は、豚肉の加工処理により鮮度保持フィルムと組み合わせることでより高度な鮮度保持が可能であることを示唆している。なお、図7で示すように、本来であれば豚肉は、個体の死により、肉組織の死に向かってAGEs値が減少するが、本発明の鮮度保持フィルムにより、あたかも生きている肉組織のように適度な酸素、二酸化炭素分圧等を整えることで生命活動を一部復帰させていることが示唆された。また、波長ピークの違いにより、実施例1と比較例1の鮮度保持フィルムとの間に鮮度保持効果の差があることがわかる。
次に、試験材料として、3日前に柵にしたマグロ(マグロ7日古)、試験直前に柵にしたマグロ(マグロ10日新鮮)を用い、各鮮度保持フィルムに対して、マグロにおけるAGEsを基準に鮮度保持効果を検証した。なお、マグロの柵は、切り分けた後に、酸素水ミスト処理、即ち、酸化処理を実施した。ここで、上述の酸素水ミスト処理について説明する。酸素水ミスト処理を行うと初期の農作物はAGEs値が上昇し、後期の農作物はAGEs値が減少する。マグロの場合、後期の反応となり、老化が促進される。これにより、AGEs値の変化が顕著になる。
試験方法としては、図8に示すように、左からマグロ7日古を比較例3のジップロック(登録商標)で密封、酸素水ミスト処理後、比較例3のジップロック(登録商標)で密封、酸素水ミスト処理後、比較例4のキーポッド(登録商標)で密封、酸素水ミスト処理後、本発明の実施例1の鮮度保持フィルムで密封した4種類を比較した。さらに、上述の試験では、上述の処理直後(0hr)、12時間経過後(12hr)、96時間経過後(96hr)を比較した。
図8の結果から、「マグロ7日古」の鮮度保持効果について、酸素水ミスト処理及び本発明の鮮度保持フィルムで密封した実施例1では、比較例3及び4に比べて、上述の処理直後(0hr)、12時間経過後(12hr)、96時間経過後(96hr)のAGEs値の減少が少なく、鮮度保持の効果が高いことがわかった。
また、図9の結果から、「マグロ10日新鮮」の鮮度保持効果について、酸素水ミスト処理及び本発明の鮮度保持フィルムで密封した実施例1では、比較例3及び4に比べて、上述の処理直後(0hr)、12時間経過後(12hr)、96時間経過後(96hr)のAGEs値の減少が少なく、鮮度保持の効果が高いことがわかった。
よって、図8及び図9の結果から、本発明の鮮度保持フィルムで密封処理した方が、高い鮮度保持を奏することが確認された。
また、図10に示すように、本発明の鮮度保持フィルムで密封処理した場合、実施例1では、マグロの柵が一番赤身を帯びており、目視でも新鮮な状態であることが確認された。
本発明の鮮度保持フィルムを用いた場合、鮮度保持フィルムのほか、袋、トレー、タッパー等の正規層フィルムを用いた包装容器、エアキャップ、梱包材、塗料、シート状ラップ(PVC)等の用途がある。
3.酸化亜鉛の被覆率
次いで、本発明の鮮度保持フィルムにおける酸化亜鉛の被覆率について検証した。
<実施例2>
上記実施例1において、シランカップリング剤による酸化亜鉛の被覆率を0.3%とした以外は、実施例1と同様にして実施例2の鮮度保持フィルムを製造した。
<実施例3>
上記実施例1において、シランカップリング剤による酸化亜鉛の被覆率を1.2%とした以外は、実施例1と同様にして実施例3の鮮度保持フィルムを製造した。
<比較例5>
上記実施例1において、シランカップリング剤による酸化亜鉛の被覆率を0.2%とした以外は、実施例1と同様にして比較例5の鮮度保持フィルムを製造した。
<比較例6>
上記実施例1において、シランカップリング剤による酸化亜鉛の被覆率を1.3%とした以外は、実施例1と同様にして比較例6の鮮度保持フィルムを製造した。
これらの実施例2及び3並びに比較例5及び6の鮮度保持フィルムにおいては、上記と同様に、AGEs蛍光強度値の計測を行ったところ、実施例2及び3ではやや劣るものの良好なAGEs蛍光強度値が得られた。これに対し、比較例5では酸化亜鉛の被覆率が0.2%と小さすぎるため、一方、比較例6では酸化亜鉛の被覆率が1.3%と大きすぎるため、実施例のような結果は得られなかった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。例えば、トマト等の青果物はもちろん根菜類栽培、蘭等の花卉栽培、植物工場での葉物栽培、及び、きのこ類の鮮度保持等にも有効である。

Claims (6)

  1. 第1層と、第2層と、第3層と、を備え、
    前記第2層は、前記第1層と、前記第3層との中間にあり、
    前記第1層は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂中に、光触媒活性部位を被覆剤で被覆処理された酸化亜鉛を含有し、前記被覆剤による前記酸化亜鉛の被覆率が0.3〜1.2%である層であり、
    前記第2層は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂中に、有機系防カビ剤を含有する層であり、
    前記第3層は、酸素及び水蒸気を透過させにくい特性を有する樹脂からなる層であることを特徴とする鮮度保持フィルム。
  2. 前記第3層が、前記酸化亜鉛及び前記有機系防カビ剤を含有しないことを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持フィルム。
  3. 前記被覆剤の被覆量は、前記酸化亜鉛の重量に対して0.2〜10重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鮮度保持フィルム。
  4. 前記第1層、前記第2層、及び前記第3層の少なくとも1層における前記樹脂が、ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。
  5. 前記有機系防カビ剤は、2−メトキシカルボニルアミノ−ベンゾイミダゾールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルムを、袋状構造、筒状構造、トンネル構造、層状構造、及び入れ子構造のうちいずれか1つ以上を含む構造に形成してなることを特徴とする鮮度保持容器。
JP2020553362A 2018-10-19 2019-10-18 鮮度保持フィルム及び鮮度保持容器 Pending JPWO2020080542A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018197872 2018-10-19
JP2018197872 2018-10-19
PCT/JP2019/041207 WO2020080542A1 (ja) 2018-10-19 2019-10-18 鮮度保持フィルム及び鮮度保持容器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2020080542A1 true JPWO2020080542A1 (ja) 2021-11-11

Family

ID=70283900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020553362A Pending JPWO2020080542A1 (ja) 2018-10-19 2019-10-18 鮮度保持フィルム及び鮮度保持容器

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPWO2020080542A1 (ja)
CN (1) CN112969586A (ja)
WO (1) WO2020080542A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115973602A (zh) * 2022-12-20 2023-04-18 安徽靖童科技农业发展有限公司 一种食品用保鲜膜及其制备方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3485643B2 (ja) * 1994-06-16 2004-01-13 三井金属鉱業株式会社 被覆酸化亜鉛粉末及び被覆酸化亜鉛粉末含有組成物
WO2017135433A1 (ja) * 2016-02-04 2017-08-10 川上 茂樹 機能性フィルム、機能性容器、及び鮮度保持方法
JP6988185B2 (ja) * 2017-06-16 2022-01-05 住友ベークライト株式会社 防カビ剤、防カビ樹脂フィルム、防カビ積層フィルム及び防カビ包装体

Also Published As

Publication number Publication date
CN112969586A (zh) 2021-06-15
WO2020080542A1 (ja) 2020-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102165310B1 (ko) 기능성 필름, 기능성 용기, 및 선도 유지 방법
ES2412391T3 (es) Recipiente para producto que respira
CN100457573C (zh) 用于延长易变质农产品和/或食品的保质期的方法
CN102302049A (zh) 一种大樱桃复合气调保鲜方法
JPWO2020080542A1 (ja) 鮮度保持フィルム及び鮮度保持容器
JPS6094056A (ja) ブロツコリ−保存袋
WO2020080541A1 (ja) 鮮度保持フィルム及び鮮度保持容器
JP6636981B2 (ja) 青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及び青果物の鮮度保持方法
JP2003284487A (ja) 青果物の鮮度保持包装体
JP6644018B2 (ja) ダイコンを含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及び青果物の鮮度保持方法
CN107856982B (zh) 一种韭菜保鲜包装膜
KR20200034687A (ko) 청과물의 포장체, 보존 장치 및 보존 방법
JP4296817B2 (ja) ニンニクの保存方法およびニンニクの包装体
JP2003250443A (ja) 青果物の鮮度保持包装体
JP2020048419A (ja) セレウス菌増殖の抑制方法、青果物の鮮度保持用に好適な包装容器、及びそれを用いた包装体、並びに青果物の鮮度保持方法
JP2020048415A (ja) 菌増殖の抑制方法、青果物の鮮度保持用に好適な包装容器、及びそれを用いた包装体、並びに青果物の鮮度保持方法
JP6636988B2 (ja) ダイコンを含む青果物の鮮度保持に適した包装体、及び青果物の鮮度保持方法
JP2018199510A (ja) 青果物の包装体、及び青果物の鮮度保持方法
JP2018199500A (ja) 小松菜を含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体、及びその青果物の鮮度保持方法
CN113474261A (zh) 生物分解性保鲜膜及生物分解性保鲜容器
JP6577506B2 (ja) 青果物の鮮度保持に適した包装体、及び青果物の鮮度保持方法
Kalita et al. Introduction to Active Food Packaging System
WO2022032402A1 (es) Composición antimicrobiana que preserva las condiciones organolépticas de la fruta, vegetales y hortalizas
JP2020050587A (ja) 緑膿菌増殖の抑制方法、青果物の鮮度保持用に好適な包装容器、及びそれを用いた包装体、並びに青果物の鮮度保持方法
JP2020048443A (ja) セレウス菌増殖の抑制方法、青果物の鮮度保持用に好適な包装容器、及びそれを用いた包装体、並びに青果物の鮮度保持方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210427