JPWO2020075577A1 - ポリオレフィン系接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 硬化剤不使用でもポリオレフィン樹脂基材とその他の異種材との良好な接着性を示し、低温での貼り合わせが可能であり、貯蔵安定性に優れる接着剤組成物を提供する。【解決手段】 酸変性ポリオレフィン(A)、応力緩和剤(B)および粘着付与剤(C)を(A)100重量部に対して1〜45重量部含有する接着剤組成物。【選択図】 なし
Description
本発明は、接着剤組成物、積層体に関する。
ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂は、安価で成形性、耐薬品性、耐水性、電気特性など多くの優れた性質を有するため、シート、フィルム、成形物等として、近年広く採用されている。
しかし、これらポリオレフィン系樹脂からなる基材(以下、ポリオレフィン系基材)は、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等の極性基材とは異なり、非極性かつ結晶性であるため、塗装や接着が困難であるという欠点を有する。
最近は、ポリオレフィン系基材同士のみならず、例えば塩化ビニル(PVC)、ポリエステルといった極性プラスチック基材や、金属など異種材料とポリオレフィン系基材との優れた付着性への要求が大きくなっている。
異種材接着剤の主成分としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケトン化物、ポリアミド樹脂、無水ポリカルボン酸、エチレンとアクリル酸エステル類との共重合体からなるもの(特許文献1)や、スチレン− エチレン− プロピレン− スチレンブロック共重合ゴムあるいはスチレン− ブタジエン− スチレンブロック共重合ゴムに、粘着付与樹脂成分およびプロセスオイルなどの液状可塑剤を添加してなるものなどが知られている(特許文献2)が、いずれも接着剤組成物とポリオレフィン系基材との極性の差が大きく親和性に乏しいため、ポリオレフィン系基材との間での剥離が生じやすく、接着性は不充分である。
そこで、ポリオレフィン系基材との親和性が高い、変性ポリオレフィン樹脂等の有機溶剤溶解物( ワニス) を接着剤としてポリオレフィン系基材に塗布することにより、接着性の向上をはかる手法(特許文献3)等が用いられている。しかし、極性基材への接着性のみであり、ポリプロピレンなどの非極性基材に対する接着性は低い。
このような状況のもと、異種材料用接着剤が種々提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。
しかし、これらポリオレフィン系樹脂からなる基材(以下、ポリオレフィン系基材)は、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等の極性基材とは異なり、非極性かつ結晶性であるため、塗装や接着が困難であるという欠点を有する。
最近は、ポリオレフィン系基材同士のみならず、例えば塩化ビニル(PVC)、ポリエステルといった極性プラスチック基材や、金属など異種材料とポリオレフィン系基材との優れた付着性への要求が大きくなっている。
異種材接着剤の主成分としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケトン化物、ポリアミド樹脂、無水ポリカルボン酸、エチレンとアクリル酸エステル類との共重合体からなるもの(特許文献1)や、スチレン− エチレン− プロピレン− スチレンブロック共重合ゴムあるいはスチレン− ブタジエン− スチレンブロック共重合ゴムに、粘着付与樹脂成分およびプロセスオイルなどの液状可塑剤を添加してなるものなどが知られている(特許文献2)が、いずれも接着剤組成物とポリオレフィン系基材との極性の差が大きく親和性に乏しいため、ポリオレフィン系基材との間での剥離が生じやすく、接着性は不充分である。
そこで、ポリオレフィン系基材との親和性が高い、変性ポリオレフィン樹脂等の有機溶剤溶解物( ワニス) を接着剤としてポリオレフィン系基材に塗布することにより、接着性の向上をはかる手法(特許文献3)等が用いられている。しかし、極性基材への接着性のみであり、ポリプロピレンなどの非極性基材に対する接着性は低い。
このような状況のもと、異種材料用接着剤が種々提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。
しかしながら、前記提案されている接着剤組成物は硬化剤を使用しない場合の接着性が不十分であり、硬化剤が必須であった。そのため、エージングが必要である点、ポットライフが短いという点でいまだ不十分であった。本発明は、硬化剤不使用でもポリオレフィン樹脂基材とその他の異種材との良好な接着性を示し、低温での貼り合わせが可能である接着剤組成物を提供するものである。
上記課題を達成するため、本発明者らは鋭意検討し、特定の応力緩和剤、粘着付与剤および酸変性ポリオレフィンの組み合わせが有効であることを見出し、以下の発明を提案するに至った。すなわち本発明は、以下の構成からなる。
酸変性ポリオレフィン(A)、応力緩和剤(B)および粘着付与剤(C)を含有し、酸変性ポリオレフィン(A)100重量部に対して、粘着付与剤を1質量部以上50重量部未満含有する接着剤組成物。
前記応力緩和剤(B)が、スチレン成分を10質量%以上含有したスチレン系エラストマーであることが好ましい。
前記応力緩和剤(B)は、デュロメータA硬さが30以上のスチレン系エラストマーであることが好ましい。
前記酸変性ポリオレフィン(A)の酸価は、2〜50mgKOH/gであることが好ましい。
前記酸変性ポリオレフィン(A)100質量部に対して、応力緩和剤(B)の質量比が、5質量部以上300質量部以下であることが好ましい。
さらに溶剤(D)を含む、前記いずれかに記載の接着剤組成物。
前記溶剤(D)が、脂環式炭化水素溶剤(D1)およびエステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)含むことが好ましい。
脂環式炭化水素溶剤(D1)とエステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)の質量比が、(D1)/(D2)=95/5〜50/50である、前記に記載の接着剤組成物。
ポリオレフィン樹脂基材とポリエステル基材との接着に用いられる前記いずれかに記載の接着剤組成物。
ポリオレフィン樹脂基材と異種基材との接着に用いられる前記いずれかに記載の接着剤組成物。
前記いずれかに記載の接着剤組成物によって接着されたポリオレフィン樹脂基材とポリエステルまたは異種基材の積層体。
本発明の接着剤組成物は、酸変性ポリオレフィン、応力緩和剤および粘着付与剤を含み、硬化剤を使用しない場合でもポリオレフィンのような非極性基材とポリエステルのような極性基材、金属などのその他異種基材の接着性に優れる。また、ドライラミネートにより塗工可能なため、設備費を削減でき、膜厚も薄くすることができる。さらに、ポリオレフィン基材の熱収縮影響が小さい90℃以下のような低温で加熱接着した場合でも優れた接着性を発現する。
本発明の接着剤組成物は、ポリオレフィン基材のみならず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル樹脂、アルミニウム等の基材とも良好な密着性を示すため、マルチ基材用接着剤として有用である。
また、本発明の接着剤組成物は硬化剤を使用しないため、接着後でも熱処理を行うことで基材から簡単に剥離することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<酸変性ポリオレフィン(A)>
本発明で用いる酸変性ポリオレフィン(A)は限定的ではないが、ポリプロピレンにα,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物の少なくとも1種をグラフトすることにより得られるものが好ましい。
本発明で用いる酸変性ポリオレフィン(A)は限定的ではないが、ポリプロピレンにα,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物の少なくとも1種をグラフトすることにより得られるものが好ましい。
ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレンが特に好ましく使用できるが、プロピレン・α−オレフィン共重合体も使用できる。プロピレン・α−オレフィン共重合体は、プロピレンを主体としてこれにα−オレフィンを共重合したものである。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニルなどを1種又は数種用いることができる。これらのα−オレフィンの中では、エチレン、1−ブテンが好ましく、1−ブテンが最も好ましい。
酸変性ポリオレフィン(A)はオレフィン成分としてプロピレンを60モル%以上含有することが好ましい。より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上である。まして好ましいのは90モル%以上である。プロピレン含有量が多いほど、プロピレン基材との接着性および応力緩和剤との相溶性が向上する。
プロピレンと1−ブテンのモル比の好ましい範囲としてはプロピレン/1−ブテン=100〜60/0〜40であり、より好ましくは98〜65/2〜35、さらに好ましくは90〜70/10〜30である。プロピレンのモル比が60%以上であることで、ポリオレフィン基材との優れた接着性を発現できる。また、1−ブテンのモル比が2%以上であれば有機溶剤への溶解性が増し、接着剤としての塗工性が向上する。
オレフィン成分として、プロピレンと1−ブテン成分の合計量は62モル%以上であることが好ましい。より好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上であり、特に好ましくは95モル%以上であり、100モル%であっても差し支えない。プロピレンと1−ブテン成分の合計量が62モル%以上であると、接着性および耐薬品性が特に良好である。
α,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物の少なくとも1種としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸及びこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも酸無水物が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。具体的には、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性プロピレン・エチレン共重合体、無水マレイン酸変性プロピレン・1−ブテン共重合体、無水マレイン酸変性プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられ、これら酸変性ポリオレフィンを1種類又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも無水マレイン酸変性プロピレンが好ましい。
酸変性ポリオレフィン(A)の酸価は、2〜50mgKOH/gの範囲であることが好ましい。より好ましくは3〜40mgKOH/g、さらに好ましくは5〜30mgKOH/g、特に好ましくは5〜16mgKOH/gの範囲である。酸価が2mgKOH/g以上では、接着力が良好に発揮される。一方、酸価が50mgKOH/g以下では、応力緩和剤(B)との相溶性が良好な傾向を示す。
酸変性ポリオレフィン(A)の融点(Tm)は、50℃以上100℃以下であることが好ましい。より好ましくは55℃以上であり、さらに好ましくは60℃以上である。また、より好ましくは90℃以下であり、さらに好ましくは90℃未満であり、それ以上に好ましいのは87℃以下、最も好ましくは85℃以下である。50℃以上では、結晶由来の凝集力が強くなり、接着性が良好である。一方、前記の値以下では、溶液安定性、流動性が良好で接着する際の操作性に優れる。
酸変性ポリオレフィン(A)の結晶化度は、12〜40%の範囲であることが好ましい。より好ましくは15〜35の範囲であり、最も好ましくは20〜28%の範囲である。前記の値以上であると、結晶由来の凝集力が強くなり、基材との接着性が優れる。一方、前記の値以下では、ゲル化しにくく、溶液安定性が良好である。
変性ポリオレフィン(A)の融解熱量は、25〜40J/gの範囲であることが好ましい。より好ましくは28〜38J/gの範囲であり、最も好ましくは30〜36J/gの範囲である。前記の値以上であると、結晶由来の凝集力が強くなり、接着性が優れる。一方、前記の値未満では、ゲル化しにくく、溶液安定性が良好である。
酸変性ポリオレフィン(A)の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜200,000の範囲であることが好ましい。より好ましくは20,000〜180,000の範囲であり、さらに好ましくは30,000〜160,000の範囲であり、特に好ましくは40,000〜140,000の範囲であり、最も好ましくは、50,000〜100,000の範囲である。前記の値以上であると、凝集力が発揮され接着性が良好となる。一方、前記の値以下では、流動性が高くなり接着する際の操作性が容易である。
酸変性ポリオレフィン(A)の製造方法としては、特に限定されず、例えばラジカルグラフト反応(すなわち主鎖となるポリマーに対してラジカル種を生成し、そのラジカル種を重合開始点として不飽和カルボン酸および酸無水物をグラフト重合させる反応)、などが挙げられる。
ラジカル発生剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物を使用することが好ましい。有機過酸化物としては、特に限定されないが、ジ−tert−ブチルパーオキシフタレート、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソプロピオニトリル等のアゾニトリル類等が挙げられる。
これらの酸変性ポリオレフィン(A)は、単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<応力緩和剤(B)>
本発明の接着剤組成物は応力緩和剤(B)を含有する。応力緩和剤を含有させることにより、接着剤を成膜した後の内部応力を軽減させ、基材との接着性を向上させることができる。
本発明の接着剤組成物は応力緩和剤(B)を含有する。応力緩和剤を含有させることにより、接着剤を成膜した後の内部応力を軽減させ、基材との接着性を向上させることができる。
本発明に用いる応力緩和剤(B)は、限定的ではないが、単量体としてスチレン成分を10質量%以上含有することが好ましい。より好ましくは12質量%以上65質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上50質量%以下、特に好ましくは18質量%以上45質量%以下、それ以上に好ましくは20質量%以上35質量%以下、最も好ましくは20質量%以上30質量%以下である。10質量%以上であると酸変性ポリオレフィン(A)との相溶性がほどよく、応力緩和効果が発現され、接着性が良好となる傾向がある。また、65質量%以下では、酸変性ポリオレフィン(A)との相溶性が著しく向上する。応力緩和剤(B)は、スチレン系エラストマーが好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーは特に限定されないが、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン樹脂、スチレン-エチレン-プロピレン樹脂が好ましい。他にも、スチレンエラストマー、スチレンブタジエン樹脂、スチレンエチレンプロピレンスチレン樹脂、スチレンイソプレンブタジエンスチレンブ樹脂、スチレンイソプレンスチレン樹脂などが挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーは酸変性物であってもよい。
本発明の応力緩和剤(B)としてはスチレン系エラストマーの他に、スチレン成分を含有するオレフィン系エラストマー、アルケン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマーなども用いることができる。
本発明に用いる応力緩和剤(B)のデュロメータA硬さは、30以上であることが好ましい。より好ましくは35以上95以下であり、さらに好ましくは40以上85以下、特に好ましくは50以上75以下、最も好ましくは56以上69未満である。30以上であると、応力緩和効果が大きくなりすぎることはなく良好に効果が発揮され、接着層が凝集破壊せず良好に接着される。デュロメータA硬さは、JIS K6253-3:2012に従って測定することができる。
応力緩和剤(B)の密度は、0.88〜0.99g/cm3の範囲であることが好ましい。より好ましくは、0.89〜0.91g/cm3の範囲である。0.88g/cm3以上であると、酸変性ポリオレフィン(A)との比重差が大きくなりすぎず、溶液安定性が良好な傾向である。また、0.99g/cm3以下では、酸変性ポリオレフィン(A)との比重差が大きくなりすぎず、溶液安定性が良好となる。
応力緩和剤(B)の引張強さは、1〜17MPaの範囲であることが好ましい。より好ましくは、3〜12MPaの範囲である。前記の範囲内であることで、良好な接着性が発現する。
これらの応力緩和剤は、単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着剤組成物中の応力緩和剤(B)の含有量は、酸変性ポリオレフィン(A)を100質量部としたとき、(B)が5質量部以上であることが好ましい。より好ましくは10質量部以上であり、さらに好ましくは20質量部以上、特に好ましくは30質量部以上、それ以上に好ましくは45質量部以上であり,最も好ましくは60質量部以上である。5質量部以上であると、ポリオレフィン基材との接着性が良好に発揮される。また、酸変性ポリオレフィン(A)100質量部としたとき、応力緩和剤(B)は300質量部以下が好ましい。より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、増して好ましくは85質量部以下、それ以上に好ましくは80質量部以下、最も好ましくは70質量部以下である。また、300質量部以下では、ポリオレフィン基材との接着性が特に良好である。
<粘着付与剤(C)>
本発明の接着剤組成物は粘着付与剤(C)を含有する。粘着付与剤を含有させることにより、接着剤を成膜した後、表面の粘着性が維持でき、基材との接着性を向上させることができる。
本発明の接着剤組成物は粘着付与剤(C)を含有する。粘着付与剤を含有させることにより、接着剤を成膜した後、表面の粘着性が維持でき、基材との接着性を向上させることができる。
本発明に用いる粘着付与剤(C)の含有量としては、酸変性ポリオレフィン(A)100重量部に対して1質量部以上50質量部未満である。より好ましくは、2質量部以上45質量部以下、さらに好ましくは3質量部以上40質量部以下、特に好ましくは4以上30質量部以下、それ以上に好ましくは5質量部以上25質量部以下、最も好ましくは6質量部以上20質量部以下である。また、1質量部以上であると、表面の接着性が優れ、接着性が良好に発揮される。一方、50質量部未満であると、溶液粘度がほどよく、溶液安定性が良好となる。
本発明に用いる粘着付与剤(C)の軟化点としては、80℃以上であることが好ましい。より好ましくは85℃以上であり、さらに好ましくは90℃以上である。また、好ましくは160℃以下であり、さらに好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下、それ以上に好ましくは130℃以下であり,最も好ましくは120℃以下である。軟化点が80℃以上であると常温での粘着付与剤が表面にブリードアウトしにくく滑らかな表面となり、接着性が良好である。また、160℃以下であると常温でのタック性が生じ、接着性が良好である。
本発明に用いる粘着付与剤(C)のとしては、種々のものがあるが、例えば、石油樹脂(脂肪族系、脂環族系、芳香族系等)、テルペン樹脂(α−ピネン、β-ピネン、リモネンなどの重合体)、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、ロジンエステル等)、テルペンフェノール樹脂などが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上をあわせて用いても良い。
<溶剤(D)>
本発明の接着剤組成物は、溶剤(D)を含むことができる。溶剤(D)は酸変性ポリオレフィン(A)、応力緩和剤(B)および粘着付与剤(C)を溶解または分散できるものであれば特に限定されないが、脂環式炭化水素溶剤(D1)、エステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)が好ましい。
例えば、脂環式炭化水素溶剤(D1)としてはシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。エステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの中ではメチルシクロヘキサン、酢酸プロピルが好ましい。これらを単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
本発明の接着剤組成物は、溶剤(D)を含むことができる。溶剤(D)は酸変性ポリオレフィン(A)、応力緩和剤(B)および粘着付与剤(C)を溶解または分散できるものであれば特に限定されないが、脂環式炭化水素溶剤(D1)、エステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)が好ましい。
例えば、脂環式炭化水素溶剤(D1)としてはシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。エステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの中ではメチルシクロヘキサン、酢酸プロピルが好ましい。これらを単独で使用しても良いし、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
本発明で使用される溶剤(D)は、脂環式炭化水素溶剤(D1)とエステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)を含む混合溶剤を用いることができる。脂環式炭化水素溶剤とエステル系溶剤またはケトン系溶剤の混合溶剤とすることで、接着剤組成物の溶解性を向上させることができる。
前記混合溶剤を用いる場合、脂環式炭化水素溶剤(D1)とエステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)の質量比は(D1)/(D2)=95/5〜50/50であることが好ましい。より好ましくは90/10〜60/40であり、特に好ましくは80/20〜70/30の範囲である。前記の範囲より脂環式炭化水素(D1)が多いと、粘度が高く塗工ムラが発生し、接着性が低下する場合がある。前記の範囲の脂環式炭化水素(D1)であると、樹脂の溶解性が良好である。
溶剤(D)は、酸変性ポリオレフィン(A)100質量部に対して、10〜2000質量部の範囲で含むことができる。好ましくは25質量部以上1500質量部以下であり、より好ましくは50質量部以上1000質量部以下、さらに好ましくは100質量部以上900質量部以下、それ以上に好ましくは100質量部以上800質量部以下である。前記範囲内であると製造コスト、輸送コストの面から有利である。
本発明にかかる接着剤組成物は、本発明の性能を損なわない範囲で、酸変性ポリオレフィン(A)、応力緩和剤(B)および粘着付与剤(C)の他に、各種の可塑剤、硬化促進剤、難燃剤、顔料、ブロッキング防止剤等の添加剤を配合して使用することができる。
<接着剤組成物>
本発明の接着剤組成物は、酸変性ポリオレフィン(A)、応力緩和剤(B)および粘着付与剤(C)を含み、必要に応じて溶剤(D)を含有する。接着剤組成物の固形分100質量部中、スチレンを0.1質量部以上含むことが好ましい。より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは1.5質量部以上、特に好ましくは3質量部以上、それ以上に好ましくは4.5質量部以上、最も好ましくは6質量部以上である。また、上限としては65質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは25質量部以下、最も好ましくは20質量部以下である。前記範囲内では酸変性ポリオレフィンとの相溶性および接着強度が良好な傾向にある。
本発明の接着剤組成物は、酸変性ポリオレフィン(A)、応力緩和剤(B)および粘着付与剤(C)を含み、必要に応じて溶剤(D)を含有する。接着剤組成物の固形分100質量部中、スチレンを0.1質量部以上含むことが好ましい。より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは1.5質量部以上、特に好ましくは3質量部以上、それ以上に好ましくは4.5質量部以上、最も好ましくは6質量部以上である。また、上限としては65質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは25質量部以下、最も好ましくは20質量部以下である。前記範囲内では酸変性ポリオレフィンとの相溶性および接着強度が良好な傾向にある。
本発明の接着剤組成物は、接着剤組成物中における酸変性ポリオレフィン(A)、応力緩和剤(B)および粘着付与剤(C)を合計5質量%以上含むことが好ましい。より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは13質量%以上である。また、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましい。さらに好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは25質量%以下である。前記範囲内では、貯蔵安定性および接着性が良好であり、また、塗工性が良好な傾向にある。
本発明の接着剤組成物は、硬化剤を実質的に含まなくてもよい。実質的に含まないとは、例えば酸変性ポリオレフィン100質量部に対して1質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下、それ以上に好ましくは0.1質量部以下であり、0質量部でも差支えがないということである。硬化剤を実質的に含有しないことで、一度作製した基材/接着剤/基材の積層体であっても加熱等の処理により容易に剥がすことが可能となる。
上記硬化剤は特に限定されず、一般的に公知のものを指す。例えば、エポキシ硬化剤や、イソシアネート硬化剤、オキサゾリン基またはカルボジイミド基を含有する化合物、シランカップリング剤などである。
<積層体>
本発明の積層体は、ポリオレフィン樹脂基材と異種基材を本発明にかかる接着剤組成物で積層したものである。前記異種基材とは、ポリオレフィン基材1とは異なる基材のことである。例えば、ポリオレフィン基材1がポリプロピレンであれば、異種基材はポリプロピレン以外のポリエステルやアルミニウム箔、ポリ塩化ビニル基材などである。
本発明の積層体は、ポリオレフィン樹脂基材と異種基材を本発明にかかる接着剤組成物で積層したものである。前記異種基材とは、ポリオレフィン基材1とは異なる基材のことである。例えば、ポリオレフィン基材1がポリプロピレンであれば、異種基材はポリプロピレン以外のポリエステルやアルミニウム箔、ポリ塩化ビニル基材などである。
上述した本発明の積層体は、例えば、バンパー、インストルメントパネル、トリム、ガーニッシュなどの自動車部品や新幹線の内装材等の乗り物用部品、テレビ、洗濯機槽、冷蔵庫部品、エアコン部品、掃除機部品などの家電機器部品、などの各種工業部品、携帯電話端末やノートパソコンなどのモバイル機器や通信機器、各種機器のタッチパネル、日用品に有用である。
積層する方法としては、従来公知のラミネート製造技術を利用することができる。例えば、特に限定されないが、基材の表面に接着剤組成物をアプリケータやバーコータ等の適当な塗布手段を用いて塗布し、乾燥させる。乾燥後、基材表面に形成された接着剤組成物の層(接着剤層)が溶融状態にある間に、その塗布面にもう片方の基材を積層接着(ラミネート接着、ヒートシール接着)して積層体を得ることができる。ラミネート接着やヒートシール接着いずれの積層体作製方法であっても、十分な接着性を確保できる。
前記接着剤組成物により形成される接着剤層の厚みは、特に限定されないが、異種基材がフィルムの場合、0.5〜15μmにすることが好ましく、1〜12μmにすることがより好ましく、2〜10μmにすることがさらに好ましい。異種基材が成型品である場合、5〜80μmにすることが好ましく、10〜60μmにすることがさらに好ましい。
前記接着剤組成物により形成される接着剤層の厚みは、特に限定されないが、異種基材がフィルムの場合、0.5〜15μmにすることが好ましく、1〜12μmにすることがより好ましく、2〜10μmにすることがさらに好ましい。異種基材が成型品である場合、5〜80μmにすることが好ましく、10〜60μmにすることがさらに好ましい。
<ポリオレフィン樹脂基材(フィルム)>
ポリオレフィン樹脂基材としては、従来から公知のポリオレフィン樹脂の中から適宜選択すればよい。例えば、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などを用いることができる。中でも、ポリプロピレンの無延伸フィルム(以下、CPPともいう。)の使用が好ましい。その厚さは、特に限定されないが、20〜100μmであることが好ましく、25〜95μmであることがより好ましく、30〜90μmであることがさらに好ましい。なお、ポリオレフィン樹脂基材には必要に応じて顔料や種々の添加物を配合してもよいし、表面処理を施してもよい。
ポリオレフィン樹脂基材としては、従来から公知のポリオレフィン樹脂の中から適宜選択すればよい。例えば、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などを用いることができる。中でも、ポリプロピレンの無延伸フィルム(以下、CPPともいう。)の使用が好ましい。その厚さは、特に限定されないが、20〜100μmであることが好ましく、25〜95μmであることがより好ましく、30〜90μmであることがさらに好ましい。なお、ポリオレフィン樹脂基材には必要に応じて顔料や種々の添加物を配合してもよいし、表面処理を施してもよい。
<ポリエステル樹脂基材(フィルム)>
ポリエステル樹脂基材としては、特に限定されない。ポリエステル樹脂基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。また、使用目的によっても異なるが、一般的には0.01〜10mm、好ましくは0.02〜5mmの厚みのシートの形で使用される。
また、これらポリエステル樹脂基材の表面を予め表面処理を施しておいてもよいし、未処理のままでもよい。いずれも場合であっても同等の効果を発揮することができる。
ポリエステル樹脂基材としては、特に限定されない。ポリエステル樹脂基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。また、使用目的によっても異なるが、一般的には0.01〜10mm、好ましくは0.02〜5mmの厚みのシートの形で使用される。
また、これらポリエステル樹脂基材の表面を予め表面処理を施しておいてもよいし、未処理のままでもよい。いずれも場合であっても同等の効果を発揮することができる。
<その他異種基材>
異種基材としては、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、Al箔等を用いることができる。特に限定されないが、市販の試験板を用いることができる。その厚さも特に限定されないが、100μm〜3mmであることが好ましく、さらに1〜2.5mmであることがより好ましい。また、これら異種基材の表面を予め表面処理を施しておいてもよいし、未処理のままでもよい。いずれも場合であっても同等の効果を発揮することができる。
異種基材としては、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、Al箔等を用いることができる。特に限定されないが、市販の試験板を用いることができる。その厚さも特に限定されないが、100μm〜3mmであることが好ましく、さらに1〜2.5mmであることがより好ましい。また、これら異種基材の表面を予め表面処理を施しておいてもよいし、未処理のままでもよい。いずれも場合であっても同等の効果を発揮することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
<酸変性ポリオレフィン(A)の製造例>
製造例1
1Lオートクレーブに、ポリプロピレン(Tm:80℃、結晶化度=23%)100質量部、トルエン150質量部及び無水マレイン酸8.5質量部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド4質量部を加え、140℃まで昇温した後、更に1時間撹拌した(ここで、1時間「反応」したという)。その後、得られた反応液を125℃まで冷却後、予め40℃に加温したメチルエチルケトン219質量部が入った容器に攪拌しながら注ぎ、40℃まで冷却し、更に30分間攪拌し、更に25℃まで冷却することで樹脂を析出させた(ここで、反応液をメチルエチルケトンなどの溶剤に攪拌しながら注ぎ込み、冷却することで樹脂を析出させる操作を「再沈」という)。その後、当該樹脂を含有するスラリー液を遠心分離することで無水マレイン酸がグラフト重合した酸変性ポリプロピレンと(ポリ)無水マレイン酸および低分子量物とを分離した。
更に、遠心分離して取り出した酸変性ポリプロピレンを、予め25℃に保温した新たな2000質量部のメチルエチルケトンが入った容器に攪拌しながら投入し、1時間攪拌を続けた。その後、スラリー液を遠心分離することで、更に酸変性ポリプロピレンと(ポリ)無水マレイン酸および低分子量物とを分離した。当該操作を2回繰り返すことで、精製した(ここで、遠心分離して取り出した酸変性ポリプロピレンをメチルエチルケトンに攪拌しながら投入し、再度遠心分離することで、精製を強化する操作を「リスラリー」とする)。
精製後、減圧下50℃で5時間乾燥させることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性ポリプロピレン(A−1、酸価12mgKOH/g-resin、重量平均分子量60,000、Tm80℃、結晶化度=25%)を得た。
製造例1
1Lオートクレーブに、ポリプロピレン(Tm:80℃、結晶化度=23%)100質量部、トルエン150質量部及び無水マレイン酸8.5質量部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド4質量部を加え、140℃まで昇温した後、更に1時間撹拌した(ここで、1時間「反応」したという)。その後、得られた反応液を125℃まで冷却後、予め40℃に加温したメチルエチルケトン219質量部が入った容器に攪拌しながら注ぎ、40℃まで冷却し、更に30分間攪拌し、更に25℃まで冷却することで樹脂を析出させた(ここで、反応液をメチルエチルケトンなどの溶剤に攪拌しながら注ぎ込み、冷却することで樹脂を析出させる操作を「再沈」という)。その後、当該樹脂を含有するスラリー液を遠心分離することで無水マレイン酸がグラフト重合した酸変性ポリプロピレンと(ポリ)無水マレイン酸および低分子量物とを分離した。
更に、遠心分離して取り出した酸変性ポリプロピレンを、予め25℃に保温した新たな2000質量部のメチルエチルケトンが入った容器に攪拌しながら投入し、1時間攪拌を続けた。その後、スラリー液を遠心分離することで、更に酸変性ポリプロピレンと(ポリ)無水マレイン酸および低分子量物とを分離した。当該操作を2回繰り返すことで、精製した(ここで、遠心分離して取り出した酸変性ポリプロピレンをメチルエチルケトンに攪拌しながら投入し、再度遠心分離することで、精製を強化する操作を「リスラリー」とする)。
精製後、減圧下50℃で5時間乾燥させることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性ポリプロピレン(A−1、酸価12mgKOH/g-resin、重量平均分子量60,000、Tm80℃、結晶化度=25%)を得た。
製造例2
製造例1で用いた無水マレイン酸の量を3.5質量部に変更した以外は製造例1と同様にすることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性ポリプロピレン(A−2、酸価6mgKOH/g-resin、重量平均分子量77,000、Tm80℃、結晶化度=25%)を得た。
製造例1で用いた無水マレイン酸の量を3.5質量部に変更した以外は製造例1と同様にすることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性ポリプロピレン(A−2、酸価6mgKOH/g-resin、重量平均分子量77,000、Tm80℃、結晶化度=25%)を得た。
製造例3
製造例1で用いたポリプロピレン(Tm:80℃)をプロピレン−ブテン共重合体(Tm:83℃、プロピレン80質量%、ブテン20質量%)に変更した以外は製造例1と同様にすることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体(A−3、酸価12mgKOH/g-resin、重量平均分子量90,000、Tm80℃、結晶化度=36%)を得た。
製造例1で用いたポリプロピレン(Tm:80℃)をプロピレン−ブテン共重合体(Tm:83℃、プロピレン80質量%、ブテン20質量%)に変更した以外は製造例1と同様にすることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体(A−3、酸価12mgKOH/g-resin、重量平均分子量90,000、Tm80℃、結晶化度=36%)を得た。
製造例4
製造例1で用いたポリプロピレン(Tm:80℃)をプロピレン−ブテン共重合体(Tm:98℃、プロピレン85質量%、ブテン15質量%)に変更した以外は製造例1と同様にすることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体(A−4、酸価17mgKOH/g-resin、重量平均分子量75,000、Tm95℃、結晶化度=40%)を得た。
製造例1で用いたポリプロピレン(Tm:80℃)をプロピレン−ブテン共重合体(Tm:98℃、プロピレン85質量%、ブテン15質量%)に変更した以外は製造例1と同様にすることにより、酸変性ポリオレフィンである無水マレイン酸変性プロピレン−ブテン共重合体(A−4、酸価17mgKOH/g-resin、重量平均分子量75,000、Tm95℃、結晶化度=40%)を得た。
実施例1
水冷還流凝縮器と撹拌機を備えた500mlの四つ口フラスコに、製造例1で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン(A−1)を54質量部、応力緩和剤(B−1)を36質量部、粘着付与剤(C-1)を10質量部、シクロヘキサンを280質量部および酢酸n-プロピルを120質量部仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温し、撹拌を1時間続けた後、冷却することで接着剤組成物1を得た。この接着剤組成物1を用いて、下記の方法で積層体を作成した。
水冷還流凝縮器と撹拌機を備えた500mlの四つ口フラスコに、製造例1で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン(A−1)を54質量部、応力緩和剤(B−1)を36質量部、粘着付与剤(C-1)を10質量部、シクロヘキサンを280質量部および酢酸n-プロピルを120質量部仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温し、撹拌を1時間続けた後、冷却することで接着剤組成物1を得た。この接着剤組成物1を用いて、下記の方法で積層体を作成した。
ポリオレフィン樹脂基材とポリエステル樹脂基材との積層体の作製(ラミネート接着)ポリエステル樹脂基材にはPETフィルム(東洋紡社製、E5101、厚さ50μm)を使用し、ポリオレフィン樹脂基材には無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製パイレン(登録商標)フィルムCT、厚さ40μm)(以下、CPPともいう。)を使用した。
得られた接着剤組成物をポリエステル樹脂基材にアプリケータを用いて乾燥後の接着剤層の膜厚が8μm程度になるように調整して塗布した。温風乾燥機を用いて塗布面を100℃雰囲気で1分間乾燥させ、膜厚8μm程度の接着剤層が積層されたポリエステル樹脂基材を得た。前記接着剤層表面にポリオレフィン樹脂基材を重ね合わせ、テスター産業社製の小型卓上テストラミネーター(SA−1010−S)を用いて、ラミネート温度80℃で、0.3MPa、1m/分にて貼り合わせ、室温で、1日間養生することで積層体を得た。得られた積層体に対して、接着性を評価した。結果を表1に示す。
得られた接着剤組成物をポリエステル樹脂基材にアプリケータを用いて乾燥後の接着剤層の膜厚が8μm程度になるように調整して塗布した。温風乾燥機を用いて塗布面を100℃雰囲気で1分間乾燥させ、膜厚8μm程度の接着剤層が積層されたポリエステル樹脂基材を得た。前記接着剤層表面にポリオレフィン樹脂基材を重ね合わせ、テスター産業社製の小型卓上テストラミネーター(SA−1010−S)を用いて、ラミネート温度80℃で、0.3MPa、1m/分にて貼り合わせ、室温で、1日間養生することで積層体を得た。得られた積層体に対して、接着性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2〜12、比較例1〜4)
酸変性ポリオレフィン、応力緩和剤および粘着付与剤を表1に示すとおりに変更し、実施例1と同様な方法で接着剤組成物2〜16を作製した。得られた接着剤組成物2〜16を用いて実施例1と同様な方法で積層体を作製し、接着性評価を実施した。評価結果を表1に示す。
酸変性ポリオレフィン、応力緩和剤および粘着付与剤を表1に示すとおりに変更し、実施例1と同様な方法で接着剤組成物2〜16を作製した。得られた接着剤組成物2〜16を用いて実施例1と同様な方法で積層体を作製し、接着性評価を実施した。評価結果を表1に示す。
表1で用いた応力緩和剤(B)は以下のものである。
B−1: 旭化成社製 タフテック(登録商標)P1083(スチレン含量20質量%、デュロメータA硬さ56、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体、密度0.89g/cm3、引張強さ9MPa)
B−2: 旭化成社製 タフテック(登録商標)H1052 (スチレン含量20質量%、デュロメータA硬さ67、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体、密度0.89g/cm3、引張強さ12MPa)
B−3: 旭化成社製 タフテック(登録商標)P1500(スチレン含量30質量%、デュロメータA硬さ69、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体、密度0.91g/cm3、引張強さ3MPa)
B−4: 旭化成社製 タフテック(登録商標)H1221(スチレン含量12質量%、デュロメータA硬さ42、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体、密度0.89g/cm3、引張強さ10MPa)
B−1: 旭化成社製 タフテック(登録商標)P1083(スチレン含量20質量%、デュロメータA硬さ56、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体、密度0.89g/cm3、引張強さ9MPa)
B−2: 旭化成社製 タフテック(登録商標)H1052 (スチレン含量20質量%、デュロメータA硬さ67、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体、密度0.89g/cm3、引張強さ12MPa)
B−3: 旭化成社製 タフテック(登録商標)P1500(スチレン含量30質量%、デュロメータA硬さ69、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体、密度0.91g/cm3、引張強さ3MPa)
B−4: 旭化成社製 タフテック(登録商標)H1221(スチレン含量12質量%、デュロメータA硬さ42、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体、密度0.89g/cm3、引張強さ10MPa)
表1で用いた粘着付与剤(C)は以下のものである。
C−1: 荒川化学工業社製 アルコン(登録商標)P90(軟化点90℃)
C−2: ヤスハラケミカル社製 YSレジン(登録商標)TO125 (軟化点125℃)
C−3: ヤスハラケミカル社製 YSレジン(登録商標)PX1250 (軟化点125℃)
C−1: 荒川化学工業社製 アルコン(登録商標)P90(軟化点90℃)
C−2: ヤスハラケミカル社製 YSレジン(登録商標)TO125 (軟化点125℃)
C−3: ヤスハラケミカル社製 YSレジン(登録商標)PX1250 (軟化点125℃)
実施例13
実施例1と同様の方法で接着剤組成物1を得た。この接着剤組成物1を用いて、下記の方法で積層体を作成した。
実施例1と同様の方法で接着剤組成物1を得た。この接着剤組成物1を用いて、下記の方法で積層体を作成した。
ポリオレフィン樹脂基材とその他異種基材との積層体の作製(ヒートシール接着)
ポリオレフィン樹脂基材には上記と同様の無延伸ポリプロピレンフィルムを使用した。得られた接着剤組成物をポリオレフィン樹脂基材にアプリケータを用いて乾燥後の接着剤層の膜厚が30μm程度になるように調整して塗布した。温風乾燥機を用いて塗布面を100℃雰囲気で5分間乾燥させ、膜厚30μm程度の接着剤層が積層されたポリオレフィン樹脂基材を得た。前記接着剤層表面にポリプロピレン(PP)試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、ABS試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、ポリ塩化ビニル(PVC)試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、アクリル(PMMA)試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、PET試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、Al箔(住軽アルミ箔社製、8079−0、厚さ40μm)を重ね合わせ、テスター産業社製のヒートシールテスター(TP−701−B)を用いて、ヒートシール温度90℃(試験板側は55℃)で、0.3MPa、15sにて貼り合わせ、室温で、1日間養生することで積層体を得た。得られた積層体に対して、接着性を評価した。結果を表2に示す。
ポリオレフィン樹脂基材には上記と同様の無延伸ポリプロピレンフィルムを使用した。得られた接着剤組成物をポリオレフィン樹脂基材にアプリケータを用いて乾燥後の接着剤層の膜厚が30μm程度になるように調整して塗布した。温風乾燥機を用いて塗布面を100℃雰囲気で5分間乾燥させ、膜厚30μm程度の接着剤層が積層されたポリオレフィン樹脂基材を得た。前記接着剤層表面にポリプロピレン(PP)試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、ABS試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、ポリ塩化ビニル(PVC)試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、アクリル(PMMA)試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、PET試験板(日本テストパネル社製、厚さ2mm)、Al箔(住軽アルミ箔社製、8079−0、厚さ40μm)を重ね合わせ、テスター産業社製のヒートシールテスター(TP−701−B)を用いて、ヒートシール温度90℃(試験板側は55℃)で、0.3MPa、15sにて貼り合わせ、室温で、1日間養生することで積層体を得た。得られた積層体に対して、接着性を評価した。結果を表2に示す。
上記のようにして得られた各酸変性ポリオレフィン、応力緩和剤、粘着付与剤、接着剤組成物および積層体に対して下記方法に基づいて分析測定および評価を行った。
<スチレン成分の含有量の測定>
応力緩和剤を重水素化クロロホルムに溶解し、その試料溶液のH−NMRスペクトルを観測幅15ppmで測定した。またあらかじめ、3種の濃度のポリスチレン/重水素化クロロホルム溶液のH−NMRスペクトルのスチレンのピーク面積と濃度から検量線を求め、この検量線を用いて、試料溶液のスチレンのピーク面積からスチレンの含有量を算出した。
<スチレン成分の含有量の測定>
応力緩和剤を重水素化クロロホルムに溶解し、その試料溶液のH−NMRスペクトルを観測幅15ppmで測定した。またあらかじめ、3種の濃度のポリスチレン/重水素化クロロホルム溶液のH−NMRスペクトルのスチレンのピーク面積と濃度から検量線を求め、この検量線を用いて、試料溶液のスチレンのピーク面積からスチレンの含有量を算出した。
<酸価の測定>
本発明における酸価(mgKOH/g-resin)は、1gの酸変性ポリオレフィン(A)を中和するのに必要とするKOH量のことであり、JIS K0070(1992)の試験方法に準じて、測定した。具体的には、100℃に温度調整したキシレン100gに、酸変性ポリオレフィン1gを溶解させた後、同温度でフェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液[商品名「0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液」、和光純薬(株)製]で滴定を行った。この際、滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価(mgKOH/g)を算出した。
本発明における酸価(mgKOH/g-resin)は、1gの酸変性ポリオレフィン(A)を中和するのに必要とするKOH量のことであり、JIS K0070(1992)の試験方法に準じて、測定した。具体的には、100℃に温度調整したキシレン100gに、酸変性ポリオレフィン1gを溶解させた後、同温度でフェノールフタレインを指示薬として、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液[商品名「0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液」、和光純薬(株)製]で滴定を行った。この際、滴定に要した水酸化カリウム量をmgに換算して酸価(mgKOH/g)を算出した。
<デュロメータA硬さの測定>
デュロメータA硬さは、JIS K6253-3:2012に従って測定した。具体的には平たんで堅固な面に試験片を置き、デュロメータの加圧板が試験片の表面に平行になるより,かつ,押針がゴムの表面に対して直角になるようにデュロメータを保持し,加圧板を試験片に接触させる。押針先端は,試験片の端から12.0 mm以上離れた位置で測定した。
デュロメータA硬さは、JIS K6253-3:2012に従って測定した。具体的には平たんで堅固な面に試験片を置き、デュロメータの加圧板が試験片の表面に平行になるより,かつ,押針がゴムの表面に対して直角になるようにデュロメータを保持し,加圧板を試験片に接触させる。押針先端は,試験片の端から12.0 mm以上離れた位置で測定した。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
本発明における重量平均分子量は、日本ウォーターズ社製ゲルパーミエーションクロマトグラフAlliance e2695(以下、GPC、標準物質:ポリスチレン樹脂、移動相:テトラヒドロフラン、カラム:Shodex KF-806 + KF-803、カラム温度:40℃、流速:1.0ml/分、検出器:フォトダイオードアレイ検出器(波長254nm = 紫外線))によって測定した。
本発明における重量平均分子量は、日本ウォーターズ社製ゲルパーミエーションクロマトグラフAlliance e2695(以下、GPC、標準物質:ポリスチレン樹脂、移動相:テトラヒドロフラン、カラム:Shodex KF-806 + KF-803、カラム温度:40℃、流速:1.0ml/分、検出器:フォトダイオードアレイ検出器(波長254nm = 紫外線))によって測定した。
<融点、融解熱量の測定>
本発明における融点、融解熱量は示差走査熱量計(以下、DSC、ティー・エー・インスツルメント・ジャパン製、Q−2000)を用いて、−50℃で5分間保持後、10℃/分の速度で昇温融解し、200℃で融解したら200℃で2分間保持し、10℃/分の速度で冷却樹脂化して、冷却樹脂化すると再度10℃/分の速度で昇温融解した際の融解ピークのトップ温度および面積から測定した。
本発明における融点、融解熱量は示差走査熱量計(以下、DSC、ティー・エー・インスツルメント・ジャパン製、Q−2000)を用いて、−50℃で5分間保持後、10℃/分の速度で昇温融解し、200℃で融解したら200℃で2分間保持し、10℃/分の速度で冷却樹脂化して、冷却樹脂化すると再度10℃/分の速度で昇温融解した際の融解ピークのトップ温度および面積から測定した。
<結晶化度の測定>
テフロン(登録商標)シートの表面に接着剤組成物をアプリケータを用いて塗布し、乾燥させた後、剥離させ、フィルム状の接着組成物を得た。その後、以下の条件でXRD測定を行った。測定機器:理学電機製X線回折装置RINT2500
ターゲット:Cu
管電圧:40kV
管電流:200mA
コリメータ:1mmφ
スリット:縦2°、横1/2°
受光部:Niフィルター、シンチレーションカウンター
走査範囲:2θ/θ
得られたXRD回折ピークから結晶化度を算出した。
テフロン(登録商標)シートの表面に接着剤組成物をアプリケータを用いて塗布し、乾燥させた後、剥離させ、フィルム状の接着組成物を得た。その後、以下の条件でXRD測定を行った。測定機器:理学電機製X線回折装置RINT2500
ターゲット:Cu
管電圧:40kV
管電流:200mA
コリメータ:1mmφ
スリット:縦2°、横1/2°
受光部:Niフィルター、シンチレーションカウンター
走査範囲:2θ/θ
得られたXRD回折ピークから結晶化度を算出した。
<接着性の評価>
積層体を15mmの短冊状に切断し、180°剥離試験により接着性を以下の基準により評価した。T型剥離試験はASTM−D1876−61の試験法に準拠し、オリエンテックコーポレーション社製のテンシロンRTM−100を用いて、25℃環境下で、引張速度50mm/分における剥離強度を測定した。異種基材/ポリオレフィン樹脂基材間の剥離強度(N/15mm)は3回の試験値の平均値とした。
積層体を15mmの短冊状に切断し、180°剥離試験により接着性を以下の基準により評価した。T型剥離試験はASTM−D1876−61の試験法に準拠し、オリエンテックコーポレーション社製のテンシロンRTM−100を用いて、25℃環境下で、引張速度50mm/分における剥離強度を測定した。異種基材/ポリオレフィン樹脂基材間の剥離強度(N/15mm)は3回の試験値の平均値とした。
本発明の接着剤組成物は、酸変性ポリオレフィン、応力緩和剤および粘着付与剤を含み、硬化剤不使用の場合でもポリオレフィンのような非極性基材と極性基材、金属などのその他異種基材の接着性に優れる。また、ドライラミネートにより塗工可能なため、設備費を削減でき、膜厚も薄くすることができる。さらに、ポリオレフィン基材の熱収縮影響が小さい90℃以下のような低温での加熱接着でも優れた接着性を発現する。そのため、本発明の接着剤組成物は、様々な種類の基材同士を貼り合わせる接着剤として幅広く利用し得るものである。
Claims (11)
- 酸変性ポリオレフィン(A)、応力緩和剤(B)および粘着付与剤(C)を含有し、酸変性ポリオレフィン(A)100重量部に対して、粘着付与剤(C)を1質量部以上50質量部未満含有する接着剤組成物。
- 前記応力緩和剤(B)が、スチレン成分を10質量%以上含有したスチレン系エラストマーである、請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記応力緩和剤(B)のデュロメータA硬さが30以上のスチレン系エラストマーである、請求項1または2に記載の接着剤組成物。
- 前記酸変性ポリオレフィン(A)の酸価が2〜50mgKOH/gである、請求項1〜3いずれかに記載の接着剤組成物。
- 前記酸変性ポリオレフィン(A)100質量部に対して、前記応力緩和剤(B)の質量比が、5質量部以上300質量部以下である、請求項1〜4いずれかに記載の接着剤組成物。
- さらに溶剤(D)を含む、請求項1〜5いずれかに記載の接着剤組成物。
- 前記溶剤(D)が、脂環式炭化水素溶剤(D1)およびエステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)を含む、請求項6に記載の接着剤組成物。
- 脂環式炭化水素溶剤(D1)とエステル系溶剤またはケトン系溶剤(D2)の質量比が、(D1)/(D2)=95/5〜50/50である、請求項7に記載の接着剤組成物。
- ポリオレフィン樹脂基材1と基材1とは異なる基材2との接着に用いられる請求項1〜8いずれかに記載の接着剤組成物。
- 基材2がポリエステル基材である請求項9に記載の接着剤組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の接着剤組成物によって接着されたポリオレフィン樹脂基材1と基材1とは異なる基材2の積層体。
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