以下、実施形態に係る遮断装置及び遮断システムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の各実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施形態1)
(1.1)遮断装置
本実施形態の遮断装置1は、図1、2に示すように、ガス発生器7と、導電体2と、動作ピン8と、を備えている。遮断装置1は、内部空間SP1を有する収容部9(ハウジング)を更に備えている。内部空間SP1は、収容空間98と、駆動空間SP10と、を含んでいる。
ガス発生器7は、燃料74を含む。燃料74は、例えばニトロセルロース、アジ化鉛、黒色火薬、グリシジルアジドポリマ等の火薬である。ガス発生器7は、燃料74を燃焼させることによりガスを発生する。
導電体2は、電路の一部を構成する分離用部位21と、分離用部位21につながっており電路の一部を構成する2つの端子部22(連続部)と、2つの境界部分23と、を有する。動作ピン8が駆動される前の時点において、分離用部位21は、収容部9の内部空間SP1に配置されている。2つの境界部分23のうち一方は、2つの端子部22のうち一方と分離用部位21とを連結している。2つの境界部分23のうち他方は、2つの端子部22のうち他方と分離用部位21とを連結している。分離用部位21、2つの端子部22及び2つの境界部分23は、1つの連続した部材から構成されている。
導電体2を含む電路に過電流等の異常電流が流れると、ガス発生器7で燃料74が燃焼させられてガスが発生する。動作ピン8は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動される。すると、導電体2における分離用部位21と2つの端子部22の各々との境界部分23が動作ピン8により破断され、分離用部位21が2つの端子部22から切り離される。これにより、電路が遮断される。収容空間98は、2つの端子部22から切り離された分離用部位21を収容する。
ここでは、境界部分23は端子部22と分離用部位21との間の部位であるとして説明する。ただし、導電体2における分離用部位21と2つの端子部22の各々との境界部分23とは、導電体2のうち、分離用部位21の一部と端子部22の一部とを含む部分であってもよい。
2つの端子部22の各々は、隣接部220を含んでいる。隣接部220は、境界部分23に隣接している。すなわち、2つの端子部22は2つの境界部分23と一対一で対応し、各端子部22は隣接部220において対応する境界部分23に隣接している。
分離用部位21と2つの端子部22の各々との境界部分23の破断強度は、2つの端子部22のうち境界部分23に隣接する部位(隣接部220)の破断強度以下である。より望ましくは、分離用部位21と2つの端子部22の各々との境界部分23の破断強度は、2つの端子部22のうち境界部分23に隣接する部位(隣接部220)の破断強度よりも小さい。
さらに望ましくは、分離用部位21と2つの端子部22の各々との境界部分23の破断強度は、2つの端子部22のうち境界部分23以外の部位の破断強度以下である。さらに望ましくは、分離用部位21と2つの端子部22の各々との境界部分23の破断強度は、2つの端子部22のうち境界部分23以外の部位の破断強度よりも小さい。より詳細には、導電体2のうち収容部9の内部空間SP1に面する部位の中で、分離用部位21と2つの端子部22の各々との境界部分23の破断強度が最も弱いことが望ましい。なお、導電体2のうち収容部9の内部空間SP1に面する部位の中で、分離用部位21と2つの端子部22の各々との境界部分23の破断強度と境界部分23以外の部位(例えば、分離用部位21)の破断強度とが同じであってもよい。つまり、導電体2のうち収容部9の内部空間SP1に面する各部位の破断強度が互いに同じであってもよい。
導電体2では、分離用部位21が2つの端子部22から切り離されやすい。すなわち、遮断装置1では、境界部分23の破断強度が2つの端子部22のうち境界部分23に隣接する部位(隣接部220)の破断強度以下とすることによって、電路の遮断性能が向上している。本実施形態では、境界部分23の破断強度は、2つの端子部22のうち境界部分23以外の部位の破断強度よりも小さい。
導電体2は、板状である。より詳細には、導電体2は、長方形の板状である。導電体2は、例えば、銅により形成されている。導電体2の分離用部位21と2つの端子部22とは、一体に形成されている。分離用部位21は、2つの端子部22の間に設けられている。導電体2の長手方向において、2つの端子部22のうち一方と、分離用部位21と、2つの端子部22のうち他方とが、この順に並んでいる。
導電体2は、2つの溝24を有している。つまり、導電体2には、2つの溝24が形成されている。2つの溝24により、導電体2が分離用部位21と2つの端子部22とに区分けされている。すなわち、導電体2において、境界部分23は、溝24が形成されている部分と一致する。より詳細には、溝24は、境界部分23を底部とし隣接部220を側部とする。各境界部分23には、溝24が形成されているので、各境界部分23の破断強度が各端子部22のうち境界部分23以外の部位の破断強度よりも小さい。溝24は、導電体2の第1の面F1(図3参照)及び第1の面F1とは反対側の第2の面F2(図3参照)とのうち、第1の面F1に形成されている。第1の面F1は、動作ピン8と対向する面であり、第2の面F2は、収容空間98と対向する面である。各溝24の深さ方向は、導電体2の厚さ方向に沿っている。各溝24の断面形状は、三角形である。すなわち、各溝24の形状は、楔形である。各溝24は、導電体2の短手方向に沿って形成されている。
動作ピン8の進行方向(図3の紙面上下方向)において、隣接部220の寸法は、隣接部220に隣接する境界部分23の寸法よりも大きい。つまり、溝24の深さ方向は動作ピン8の進行方向に沿っているので、溝24の底部に相当する境界部分23よりも、溝24の側部に相当する隣接部220の方が、動作ピン8の進行方向の寸法が大きい。
収容部9は、例えば、樹脂により形成されている。収容部9は、第1ボディ91と、第2ボディ95と、を有している。第1ボディ91は、円筒状の筒状部92と、筒状部92の軸方向の一端から筒状部の径方向に突出した第1フランジ部93と、を含む。第2ボディ95は、角柱状の柱状部96と、柱状部96のうち第1ボディ91側の一端から突出した第2フランジ部97と、を含む。第1フランジ部93及び第2フランジ部97は、互いに平行な板状である。第1ボディ91と第2ボディ95とは、第1フランジ部93及び第2フランジ部97において互いに合わさっている。第1フランジ部93と第2フランジ部97との間には、導電体2が通されている。導電体2の2つの端子部22の各々の一端は、収容部9の外部へ突出している。
図3に示すように、第2ボディ95のうち、第1ボディ91に対向する表面951には、凹部952が形成されており、凹部952の内側の空間は、2つの端子部22から切り離された分離用部位21を収容する収容空間98である。第2ボディ95の表面951は、平状であって、導電体2が接している。分離用部位21と収容空間98とは、表面951の法線方向に並んでいる。表面951の法線方向から見て、分離用部位21は、収容空間98よりもわずかに小さい。
第1ボディ91の筒状部92の内側(駆動空間SP10)には、ガス発生器7及び動作ピン8が配置されている。動作ピン8の後述のベース81は、駆動空間SP10を移動する。
ガス発生器7は、燃料74に加えて、ケース71と、2つのピン電極72と、発熱素子73と、を含む。ケース71は、中空の円柱状である。遮断装置1は、ケース71の外縁と筒状部92の内面との間に介在する第1のO(オー)リング11を更に備えている。
ガス発生器7の2つのピン電極72は、ケース71に収容されている。2つのピン電極72の各々の第1端は、収容部9の外部に露出している。2つのピン電極72の各々の第2端は、発熱素子73に接続されている。発熱素子73は、ケース71のうち、燃料74が収容された空間に配置されている。
動作ピン8は、電気絶縁性を有している。動作ピン8は、例えば、樹脂により形成されている。動作ピン8は、ガス発生器7と分離用部位21との間に配置されている。動作ピン8は、ベース81と、ベース81から突出した突出部材82と、を有している。なお、動作ピン8が電気絶縁性を有していることは、必須ではない。
ベース81は、有底円筒状である。ベース81の外縁には、ベース81の周方向に沿った円環形の溝811が形成されている。遮断装置1は、溝811に嵌め込まれている第2のOリング12を更に備えている。第2のOリング12の外縁は、筒状部92の内面に接している。溝811の内面及び筒状部92の内面と、第2のOリング12との間の摩擦力により、動作ピン8が筒状部92の内側において筒状部92に保持されている。
突出部材82は、直方体状である。突出部材82は、ベース81の外底面からベース81の軸方向に突出している。突出部材82は、ベース81と一体に形成されている。突出部材82の先端86は、分離用部位21に接している。突出部材82の突出方向から見て、分離用部位21は、突出部材82と同程度の大きさである。
ガス発生器7のケース71と動作ピン8のベース81との間には、ガス発生器7で発生したガスが導入される空間である加圧室75が設けられている。
発熱素子73は、例えば、ニクロム線、又は、鉄とクロムとアルミニウムとを含む合金線等である。2つのピン電極72は、例えば、遮断装置1の動作を制御するための制御回路207(図5参照)に接続される。導電体2を含む電路EC1(図5参照)に過電流等の異常電流が流れると、制御回路207は、2つのピン電極72に通電する。ガス発生器7の2つのピン電極72を介して発熱素子73が通電されると、発熱素子73が熱を発生する。発熱素子73で発生した熱により燃料74が点火され、燃料74が燃焼してガスを発生する。ガスは、ケース71において燃料74を収容する空間の圧力を上昇させて、この空間を構成する壁を破断し(図4参照)、この破断した部分を通して加圧室75に導入されて加圧室75内の圧力を上昇させる。加圧室75内のガスの圧力により、動作ピン8には、分離用部位21を押す向きの力が作用する。動作ピン8は、第2のOリング12における摩擦力に抗して駆動され、動作ピン8の突出部材82は分離用部位21を押す。動作ピン8の進行方向は、動作ピン8の突出部材82の突出方向と一致する。分離用部位21が2つの端子部22から切り離される前の状態では、分離用部位21は、動作ピン8の進行方向において動作ピン8と収容空間98との間に位置している。分離用部位21が動作ピン8に押されることにより、図4に示すように、導電体2は、分離用部位21と2つの端子部22との境界部分23(図3参照)に形成された2つの溝24において破断され、分離用部位21が2つの端子部22から切り離される。動作ピン8から分離用部位21に作用する力は、分離用部位21を収容空間98に近づける向きに作用する。したがって、2つの端子部22から切り離された分離用部位21は、動作ピン8に押されて収容空間98に入る。
遮断装置1は、収容空間98に配置された消弧部材13を更に備えている。消弧部材13は、消弧作用を有する部材である。消弧部材13は、収容空間98における第2ボディ95の内面(内周面953)に埋め込まれている。ここで、消弧部材13は、収容空間98における第2ボディ95の内面(内周面953)に貼り付けられていてもよい。消弧部材13の具体例は、水素貯蔵合金である。水素貯蔵合金は、水素を放出することでアークを消弧する。
消弧部材13は、水素貯蔵合金に限定されない。消弧部材13は、例えばSiC、SiO2、アルミナ、PA6、PA46、PA66等のポリアミド(ナイロン)、あるいは、このポリアミドの樹脂に水酸化マグネシウム又はホウ酸マグネシウムを混合した材料を用いることができ、これらの材料を用いて形成された消弧部材13の消弧作用により、アーク電圧を高めることができる。
図4に示すように、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動された動作ピン8の外周面822は、分離用部位21が動作ピン8により2つの端子部22から切り離された後、収容部9(第2ボディ95)の収容空間98における内面(内周面953)に接する。これにより、収容部9の内周面953と動作ピン8の外周面822との間では、分離用部位21と2つの端子部22との間に発生するアークを構成する粒子が移動可能な範囲が制限される。例えば、収容部9の内周面953と動作ピン8の外周面822との間に僅かでも隙間がある場合は、アークを構成する粒子が移動可能な範囲は、この隙間に限られる。したがって、アークを構成する粒子の衝突頻度が高まるので、アーク電圧が高まり、遮断装置1の消弧性能が向上する。アークを構成する粒子とは、例えば、電子、金属蒸気及びプラズマ粒子である。
また、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動された動作ピン8は、分離用部位21が動作ピン8により2つの端子部22から切り離された後、動作ピン8の進行方向における先端86(突出部材82の先端)と、収容部9の収容空間98における内面(内底面954)との間に、分離用部位21を挟む。そのため、分離用部位21と2つの端子部22との間に発生するアークは、収容部9の内底面954と分離用部位21との間、又は、分離用部位21と動作ピン8の先端86との間で圧縮される。これにより、アークを構成する粒子の衝突頻度が高まるので、アーク電圧が高まり、遮断装置1の消弧性能が向上する。
本実施形態において、2つの溝24は、導電体2の第1の面F1ではなく第2の面F2に形成されていてもよい。また、第1の面F1と第2の面F2との各々に1つ以上の溝24が形成されていてもよい。この場合に、第1の面F1に形成された溝24と第2の面F2に形成された溝24とは、導電体2の厚さ方向に並んでいてもよいし、導電体2の厚さ方向に並んでいなくてもよい。
また、導電体2において、分離用部位21と2つの端子部22との境界部分23には、溝24に代えて、1又は複数の孔が形成されていてもよい。
また、端子部22は、少なくとも導電性を有していて電路EC1の一部を構成していればよい。端子部22は、例えば、電線を接続する機能等を有していなくてもよい。
また、ガス発生器7により動作ピン8が駆動されていないとき、動作ピン8の突出部材82の先端86は、分離用部位21と接していなくてもよく、分離用部位21から離れて分離用部位21と対向していてもよい。
また、分離用部位21が2つの端子部22の両方から切り離されることは必須ではなく、2つの端子部22のうち少なくとも一方から切り離されればよい。
(1.2)遮断システム
以下、実施形態1に係る遮断システム100について、図5を用いて説明する。
遮断システム100は、遮断装置1を複数(図5では2つ)備えている。複数の遮断装置1は、電気的に直列に接続されている。すなわち、複数の遮断装置1は、各々が備える2つの端子部22において電気的に直列に接続されている。遮断システム100において、遮断装置1は1つでもよい。
遮断システム100は、例えば、電源システム200に備えられる。電源システム200は、例えば、電動車両等の車両300に備えられる。車両300は、電源システム200と、インバータ3001と、モータ3002と、コンデンサ3003と、を備えている。モータ3002は、インバータ3001を介して電源システム200に接続される。
電源システム200、インバータ3001、及び、電源システム200とインバータ3001との間の配線等により、電路EC1が構成されている。そして、電源システム200における遮断装置1の外部の配線等により、遮断装置1の外部電路EC10が構成されている。外部電路EC10は、4つの端子208を有している。4つの端子208は、例えば、ねじ端子であってもよいし、銅線等の電線であってもよいし、コネクタ端子であってもよい。また、4つの端子208は、例えば、基板上に形成された導体の一部であってもよい。
4つの端子208のうち2つの端子208は、2つの遮断装置1のうち一方の遮断装置1の2つの端子部22に対応している。4つの端子208のうち残りの2つの端子208は、2つの遮断装置1のうち他方の遮断装置1の2つの端子部22に対応している。各遮断装置1の2つの端子部22は、対応する2つの端子208に電気的に接続されている。つまり、各遮断装置1の2つの端子部22は、2つの端子208と一対一で対応し対応する端子208に電気的に接続されている。各遮断装置1の導電体2は、2つの端子部22を介して、外部電路EC10の2つの端子208間を電気的に接続する。
電源システム200は、バッテリ201を備えている。電源システム200は、バッテリ201の直流電力をインバータ3001に供給する。インバータ3001は、電源システム200から供給される直流電力を交流電力に変換してモータ3002に供給する。これにより、モータ3002が駆動されて車両300が走行する。モータ3002は例えば、三相交流同期モータである。
コンデンサ3003は、インバータ3001の第1端子T1(高電位側の入力端子)と第2端子T2(低電位側の入力端子)との間に接続されている。
電源システム200は、遮断システム100及びバッテリ201に加えて、第1のリレー202、第2のリレー203、抵抗204、第3のリレー205、シャント抵抗206及び制御回路207を備えている。
複数の遮断装置1の直列回路の第1端における端子部22は、バッテリ201及び第2のリレー203を介してインバータ3001の第1端子T1に接続されている。複数の遮断装置1の直列回路の第2端における端子部22は、シャント抵抗206及び第1のリレー202を介してインバータ3001の第2端子T2に接続されている。
第2のリレー203と並列に、抵抗204と第3のリレー205との直列回路が接続されている。
制御回路207は、複数の遮断装置1、第1のリレー202、第2のリレー203及び第3のリレー205の動作を制御する。制御回路207は、車両300のECU(Electronic Control Unit)の一部の構成である。制御回路207は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータ(マイクロコンピュータ)により構成されている。コンピュータのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御回路207としての機能が実現される。
制御回路207は、シャント抵抗206の両端電圧が規定値以上になると、複数の遮断装置1の各々の2つのピン電極72(図2参照)に電流を供給する。すると、各遮断装置1において、ガス発生器7(図2参照)が動作ピン8(図2参照)を駆動し、遮断装置1が電路EC1を遮断する。規定値は、例えば2kAである。規定値以上の電流は、電路EC1で短絡が起きたとき等に生じる過電流に相当する。
また、制御回路207は、シャント抵抗206の両端電圧が規定値以上になると、第1のリレー202を動作させて、電路EC1を遮断させる。
電源システム200がインバータ3001を介してモータ3002への電力の供給を開始するとき、制御回路207は、第3のリレー205及び第1のリレー202を閉じて、コンデンサ3003を充電する。これにより、モータ3002への突入電流が低減される。制御回路207は、コンデンサ3003への充電の完了後、第3のリレー205を開き、第2のリレー203を閉じる。
複数の遮断装置1は、電気的に直列に接続されていることに限定されず、電気的に並列又は直並列に接続されていてもよい。
(実施形態1のまとめ)
以上説明した実施形態1から、以下の態様が開示されている。
実施形態1に係る遮断装置1において、分離用部位21と端子部22との境界部分23の破断強度は、端子部22のうち境界部分23に隣接する部位(隣接部220)の破断強度以下である。
上記の構成によれば、分離用部位21が端子部22から切り離されることにより電路EC1が遮断される。ここで、分離用部位21と端子部22との境界部分23の破断強度は、隣接部220の破断強度以下であるので、分離用部位21が端子部22から切り離されやすい。すなわち、遮断装置1では、電路EC1の遮断性能が向上する。
また、実施形態1に係る遮断装置1では、導電体2において、分離用部位21と端子部22との境界部分23には、溝24が形成されている。
上記の構成によれば、溝24に沿って分離用部位21が端子部22から切り離されることが可能なので、溝24が無い場合よりも分離用部位21が端子部22から切り離されやすい。
また、実施形態1に係る遮断装置1は、収容部9を更に備える。収容部9は、収容空間98を有する。収容空間98は、端子部22から切り離された分離用部位21を収容する。
上記の構成によれば、収容空間98が無い場合と比較して、端子部22から切り離された分離用部位21と端子部22との間の絶縁距離を延ばせるので、分離用部位21と端子部22との間に発生するアークを遮断しやすい。
また、実施形態1に係る遮断装置1は、消弧部材13を更に備える。消弧部材13は、消弧作用を有する。消弧部材13は、収容空間98に配置される。
上記の構成によれば、遮断装置1の消弧性能が高まる。
また、実施形態1に係る遮断装置1では、分離用部位21が動作ピン8により端子部22から切り離された後、動作ピン8の外周面822は、収容部9の収容空間98における内面(内周面953)に接する。
上記の構成によれば、収容部9の収容空間98における内面(内周面953)と動作ピン8の外周面822との間では、アークが分布可能な範囲が制限される。これにより、アークを構成する粒子の衝突頻度が高まるので、アーク電圧が高まり、遮断装置1の消弧性能が向上する。
また、実施形態1に係る遮断装置1では、分離用部位21が動作ピン8により端子部22から切り離された後、動作ピン8は、動作ピン8の進行方向における先端86と、収容部9の収容空間98における内面(内底面954)との間に、分離用部位21を挟む。
上記の構成によれば、分離用部位21と端子部22との間に発生するアークは、収容部9の収容空間98における内面(内底面954)と分離用部位21との間、又は、分離用部位21と動作ピン8の先端86との間で圧縮される。これにより、アークを構成する粒子の衝突頻度が高まるので、アーク電圧が高まり、遮断装置1の消弧性能が向上する。
また、実施形態1に係る遮断システム100は、遮断装置1を複数備える。複数の遮断装置1は、電気的に直列、並列又は直並列に接続されている。
上記の構成によれば、遮断装置1が1つの場合と比較して、電路EC1の遮断性能が向上する。
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る遮断装置1Aについて、図6を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の遮断装置1Aでは、導電体2Aの形状が実施形態1の導電体2の形状と異なる。動作ピン8の進行方向において、分離用部位21Aの寸法は、分離用部位21Aに隣接する2つの端子部22Aの寸法よりも小さい。つまり、分離用部位21Aの厚さは、2つの端子部22Aの厚さよりも小さい。導電体2Aの第1の面F1は、分離用部位21Aにおいて窪んでいる。したがって、分離用部位21Aと各端子部22Aとの境界部分23Aの破断強度は、端子部22Aのうち境界部分23A以外の部位の破断強度よりも小さい。
動作ピン8の進行方向において、隣接部220Aの寸法は、隣接部220Aに隣接する境界部分23Aの寸法よりも大きい。なお、動作ピン8の進行方向において、隣接部220Aの寸法は、端子部22Aのうち隣接部220A以外の部位の寸法と等しい。
本実施形態において、導電体2Aの第1の面F1ではなく第2の面F2(図3参照)が、分離用部位21Aにおいて窪んでいてもよい。あるいは、導電体2Aの第1の面F1と第2の面F2との両方が、分離用部位21Aにおいて窪んでいてもよい。
また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、導電体2Aにおいて、分離用部位21Aと各端子部22Aとの境界部分23Aには、溝24(図3参照)が形成されていてもよい。
(実施形態2のまとめ)
以上説明した実施形態2から、以下の態様が開示されている。
実施形態2に係る遮断装置1Aでは、動作ピン8の進行方向において、分離用部位21Aの寸法は、分離用部位21Aに隣接する端子部22Aの寸法よりも小さい。
上記の構成によれば、分離用部位21Aが端子部22Aから切り離されやすい。
(実施形態3)
以下、実施形態3に係る遮断装置1Bについて、図7を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の遮断装置1Bでは、導電体2Bの形状が実施形態1の導電体2の形状と異なる。動作ピン8の進行方向及び導電体2Bに流れる電流の方向と直交する方向において、分離用部位21Bの寸法は、2つの端子部22Bの寸法よりも小さい。動作ピン8の進行方向は、分離用部位21Bの厚さ方向に一致する。導電体2Bに流れる電流の方向は、導電体2Bの長手方向と一致する。以上より、本実施形態の導電体2Bでは、導電体2Bの短手方向において、分離用部位21Bの寸法は、2つの端子部22Bの寸法よりも小さい。導電体2Bは、分離用部位21Bにおいて、導電体2Bの短手方向の両側から窪んでいる。すなわち、導電体2Bは、2つの窪み230を有している。
したがって、分離用部位21Bと各端子部22Bとの境界部分23Bの破断強度は、端子部22Bのうち境界部分23B以外の部位の破断強度よりも小さい。
動作ピン8の進行方向と直交し、かつ、境界部分23Bに流れる電流の方向と交差する方向(導電体2Bの短手方向)において、境界部分23Bの寸法は、分離用部位21Bの寸法と等しい。
動作ピン8の進行方向と直交し、かつ、境界部分23Bに流れる電流の方向と交差する方向(導電体2Bの短手方向)において、隣接部220Bの寸法は、隣接部220Bに隣接する境界部分23Bの寸法よりも大きい。具体的には、隣接部220Bの寸法と境界部分23Bの寸法との差は、導電体2Bに形成された2つの窪み230の長さの和と等しい。
本実施形態において、導電体2Bは、分離用部位21Bにおいて、導電体2Bの短手方向の一方の側から窪んでいてもよい。
また、本実施形態においても、実施形態1と同様に、導電体2Bにおいて、分離用部位21Bと各端子部22Bとの境界部分23Bには、溝24(図3参照)が形成されていてもよい。
また、本実施形態においても、実施形態2と同様に、動作ピン8の進行方向において、分離用部位21Bの寸法は、2つの端子部22Bの寸法よりも小さくてもよい。
(実施形態3のまとめ)
以上説明した実施形態3から、以下の態様が開示されている。
実施形態3に係る遮断装置1Bでは、動作ピン8の進行方向及び導電体2Bに流れる電流の方向と直交する方向において、分離用部位21Bの寸法は、端子部22Bの寸法よりも小さい。
上記の構成によれば、分離用部位21Bが端子部22Bから切り離されやすい。
(実施形態4)
以下、実施形態4に係る遮断装置1Cについて、図8、9A、9Bを用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
遮断装置1Cは、複数(図8では2つ)の永久磁石61を更に備えている。実施形態1と同様に、分離用部位21Cは、動作ピン8の進行方向において動作ピン8と収容空間98Cとの間に位置している。複数の永久磁石61は、導電体2Cに流れる電流に対して導電体2Cから収容空間98Cに向かう(近づく)向きのローレンツ力が作用するように配置されている。
遮断装置1Cは、複数(図8では2つ)の位置決め部材62を更に備えている。2つの位置決め部材62の各々は、例えば、樹脂により形成されている。2つの位置決め部材62は、収容部9Cの第2ボディ95Cのうち、第1ボディ91Cに対向する表面951に取り付けられている。
各位置決め部材62には、2つの凹部621が形成されている。一方の位置決め部材62における2つの凹部621は、他方の位置決め部材62における2つの凹部621と一対一で対応している。2つの位置決め部材62は、互いに接しており、対応する凹部621同士がつながっている。
2つの永久磁石61は、2つの位置決め部材62の間に位置決めされている。より詳細には、一方の永久磁石61は、2つの位置決め部材62における互いに対応する2つの凹部621の内側に配置されており、他方の永久磁石61は、2つの位置決め部材62における別の2つの凹部621の内側に配置されている。
2つの位置決め部材62のうち一方には、導電体2Cの2つの端子部22Cのうち一方が嵌め込まれる溝622が形成されている。2つの位置決め部材62のうち他方には、導電体2Cの2つの端子部22Cのうち他方が嵌め込まれる溝622が形成されている。
各位置決め部材62には、凹部623が形成されている。各位置決め部材62における凹部623は、互いにつながっている。各位置決め部材62における凹部623の内側の空間981は、2つの端子部22Cから切り離された分離用部位21Cを収容する収容空間98Cの一部である。第2ボディ95Cのうち、各位置決め部材62における凹部623を介して分離用部位21Cと対向する部位には、空間981につながった凹部952Cが形成されており、凹部952の内側の空間982は、収容空間98Cの一部である。
各位置決め部材62における凹部623の内面には、消弧部材13が貼り付けられている。ここで、消弧部材13は、凹部623の内面に埋め込まれていてもよい。
導電体2Cには、実施形態1と同様に、2つの溝24が形成されている。導電体2Cは、分離用部位21Cにおいて、短手方向の両端が窪んでいる。
導電体2Cには、例えば、図9Aの紙面右向きに電流が流れる。2つの永久磁石61は、図9Aの紙面奥行き方向に並んでいる。図9Aの紙面奥側の永久磁石61は、例えば、N極を図9Aの紙面手前側の永久磁石61に向けており、図9Aの紙面手前側の永久磁石61は、S極を図9Aの紙面奥側の永久磁石61に向けている。2つの永久磁石61で発生する磁束により、導電体2Cに流れる電流には、収容空間98Cに近づく向きのローレンツ力が作用する。つまり、導電体2Cに流れる電流には、図9Aの紙面下向きのローレンツ力が作用する。したがって、分離用部位21Cが2つの端子部22Cから切り離された場合に、各端子部22Cの付近のアークが収容空間98Cへ引き延ばされる。
また、図9Bに太矢印で示すように、2つの端子部22Cから切り離された分離用部位21Cと2つの端子部22Cとの間に発生するアークA1には、収容空間98Cの内面に向かう向きのローレンツ力が作用する。これにより、アークA1は、収容空間98Cの内面に設けられた消弧部材13に向かって移動する。したがって、遮断装置1Cでは、消弧部材13においてアークA1を遮断しやすい。
本実施形態において、永久磁石61の個数は、2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
(実施形態4のまとめ)
以上説明した実施形態4から、以下の態様が開示されている。
実施形態4に係る遮断装置1Cは、永久磁石61を更に備える。分離用部位21Cは、動作ピン8の進行方向において動作ピン8と収容空間98Cとの間に位置する。永久磁石61は、導電体2Cに流れる電流に対して収容空間98Cに近づく向きのローレンツ力が作用するように配置されている。
上記の構成によれば、分離用部位21Cが端子部22Cから切り離されるときに発生するアークを、アークに作用するローレンツ力により、収容空間98Cへ引き延ばせる。
(実施形態5)
以下、実施形態5に係る遮断装置1Dについて、図10を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
遮断装置1Dにおいて、導電体2Dは、分離用部位21Dを複数有している。より詳細には、導電体2Dは、分離用部位21Dを2つ有している。以下では、2つの分離用部位21Dを区別して、第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212と称することがある。
導電体2Dは、2つの端子部22Dと、第1の分離用部位211と、第2の分離用部位212と、を有している。2つの端子部22Dはそれぞれ、端子部本体223と、第1の端子部221と、第2の端子部222と、を含んでいる。つまり、導電体2Dは、第1の端子部221と第2の端子部222とを2つずつ有している。第1の分離用部位211は、2つの第1の端子部221につながっている。第2の分離用部位212は、2つの第2の端子部222につながっている。第2の分離用部位212は、第1の端子部221及び第2の端子部222を介して第1の分離用部位211に対して電気的に並列に接続されている。
動作ピン8Dが駆動される前の時点において、第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212は、収容部9(ハウジング)に収容されている。2つの端子部本体223の各々の一端は、収容部9の外部へ突出しており、端子208(図5参照)に電気的に接続されている。2つの端子部本体223の各々の他端からは、第1の端子部221と第2の端子部222とが突出している。つまり、第2の端子部222は、端子部本体223を介して第1の端子部221に電気的に接続されている。各端子部本体223から突出した第1の端子部221の間に、第1の分離用部位211がつながっている。各端子部本体223から突出した第2の端子部222の間に、第2の分離用部位212がつながっている。動作ピン8Dが第1の分離用部位211を2つの第1の端子部221から切り離し、かつ、第2の分離用部位212を第2の端子部222から切り離すことで、外部電路EC10(図5参照)が遮断される。
第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212の各々は、電路の一部を構成する。より詳細には、第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212の各々は、2つの端子部22Dに直接接続されている。第1の分離用部位211は、2つの第1の端子部221を介して2つの端子部本体223に接続されている。第2の分離用部位212は、2つの第2の端子部222を介して2つの端子部本体223に接続されている。
第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212は、電気的に並列に接続されている。より詳細には、2つの第1の端子部221及びその間の第1の分離用部位211からなる第1の直列電路(導電板)と、2つの第2の端子部222及びその間の第2の分離用部位212からなる第2の直列電路(導電板)とが、2つの端子部本体223の間において電気的に並列に接続されている。
導電体2Dにおいて、第1の直列電路及び第2の直列電路の間(第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212の間)には、挿入孔213が形成されている。
動作ピン8Dの突出部材82Dは、挿入部87と、2つの押圧部88と、を備えている。挿入部87は、動作ピン8Dのベース81から突出している。挿入部87は、直方体状である。挿入部87は、導電体2Dにおける挿入孔213に挿入されている。これにより、ベース81からの挿入部87の突出方向と直交する方向において、動作ピン8Dが位置決めされている。
2つの押圧部88は、挿入部87から突出している。2つの押圧部88の突出方向は、ベース81からの挿入部87の突出方向と交差する方向である。2つの押圧部88は、互いに反対向きに突出している。2つの押圧部88は、2つの分離用部位21Dに一対一で対応している。2つの押圧部88の各々は、対応する分離用部位21Dに接している。したがって、第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212が2つの端子部22Dから切り離される前、動作ピン8Dの進行方向において、第1の分離用部位211と第1の分離用部位211に対向する動作ピン8Dとの間の距離は、第2の分離用部位212と第2の分離用部位212に対向する動作ピン8Dとの間の距離と等しい。具体的には、第1の分離用部位211と第1の分離用部位211に対向する動作ピン8Dとの間の距離も、第2の分離用部位212と第2の分離用部位212に対向する動作ピン8Dとの間の距離もゼロである。ただし、図10では図示の都合上、動作ピン8Dを第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212から離して図示している。
本明細書において、長さ又は距離に関して複数の値が「等しい」とは、複数の値が厳密に同じであることに限定されない。例えば、「等しい」とは、複数の値の各々が、複数の値のうち別の値の各々の90%以上110%以下である場合を含む。
動作ピン8Dの2つの押圧部88のうち一方は、第1の分離用部位211を押すことで第1の分離用部位211を2つの第1の端子部221(端子部22D)から切り離す。2つの押圧部88のうち他方は、第2の分離用部位212を押すことで第2の分離用部位212を2つの第2の端子部222(端子部22D)から切り離す。
ガス発生器7(図3参照)で発生したガスの圧力により動作ピン8Dが駆動されると、各押圧部88は、対応する分離用部位21Dを押す。より詳細には、各押圧部88が同時に対応する分離用部位21Dを押す。言い換えると、動作ピン8Dの2つの押圧部88のうち一方が第1の分離用部位211を押すタイミングは、2つの押圧部88のうち他方が第2の分離用部位212を押すタイミングと同じである。各押圧部88が対応する分離用部位21Dを押すことにより、各分離用部位21Dが同時に、2つの端子部22Dから切り離され始める。そして、各分離用部位21Dが2つの端子部22Dから完全に切り離される。また、各分離用部位21Dが端子部22Dから完全に切り離されるタイミングは、各分離用部位21Dにおいて同じである。
本実施形態において、導電体2Dは、分離用部位21Dを3つ以上有していてもよい。遮断装置1Dは、動作ピン8Dに代えて、実施形態1と同様の動作ピン8(図3参照)を、分離用部位21Dと同数備えていてもよい。さらに、遮断装置1Dは、ガス発生器7(図3参照)を、分離用部位21Dと同数備えていてもよい。複数の分離用部位21Dと、複数の動作ピン8とは、一対一で対応する。複数の動作ピン8は、複数のガス発生器7と一対一で対応する。各ガス発生器7が対応する1つの動作ピン8を駆動し、各動作ピン8が対応する1つの分離用部位21Dを押すように構成されていてもよい。これにより、導電体2Dの厚さ及び幅がより大きい場合であっても、各分離用部位21Dを2つの端子部22Dから切り離すことができる。
また、第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とは、電気的に直列に接続されていてもよい(実施形態7、図18参照)。
また、第1の端子部221と第2の端子部222とが1つの部位により兼用されていてもよい。
収容部9(図2参照)の収容空間98(図2参照)は、2つの端子部22Dから切り離された第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212のうち少なくとも一方を収容してもよい。
(実施形態5のまとめ)
以上説明した実施形態5から、以下の態様が開示されている。
実施形態5に係る遮断装置1Dでは、導電体2Dは、分離用部位21Dを複数有する。複数の分離用部位21Dのうちの2つを第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212とする。第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とは、電気的に直列又は並列に接続されている。動作ピン8Dは、第1の分離用部位211を押すことで第1の分離用部位211を端子部22Dから切り離し、第2の分離用部位212を押すことで第2の分離用部位212を端子部22Dから切り離す。複数の分離用部位21Dが端子部22Dから切り離される前、動作ピン8Dの進行方向において、第1の分離用部位211と第1の分離用部位211に対向する動作ピン8Dとの間の距離は、第2の分離用部位212と第2の分離用部位212に対向する動作ピン8Dとの間の距離と等しい。
上記の構成によれば、第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とが電気的に並列に接続されている場合は、電路EC1の電流が複数の分離用部位21Dに分流して流れるため、各分離用部位21Dに流れる電流が小さくなり、アークを遮断しやすくなる。第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とが電気的に直列に接続されている場合は、第1の分離用部位211と第2の分離用部位212との間に発生するアーク電圧が第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とにおいて分圧される。したがって、アーク電圧が高まるので、遮断装置1Dの消弧性能が向上する。
また、実施形態5に係る遮断装置1Dでは、導電体2Dは、分離用部位21Dを複数有する。複数の分離用部位21Dのうちの2つを第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212とする。第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とは、電気的に直列又は並列に接続されている。動作ピン8Dは、第1の分離用部位211を押すことで第1の分離用部位211を端子部22Dから切り離し、第2の分離用部位212を押すことで第2の分離用部位212を端子部22Dから切り離す。動作ピン8Dが第1の分離用部位211を押すタイミングは、動作ピン8Dが第2の分離用部位212を押すタイミングと同じである。
上記の構成によれば、第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とが電気的に並列に接続されている場合は、電路EC1の電流が複数の分離用部位21Dに分流して流れるため、各分離用部位21Dに流れる電流が小さくなり、アークを遮断しやすくなる。第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とが電気的に直列に接続されている場合は、第1の分離用部位211と第2の分離用部位212との間に発生するアーク電圧が第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とにおいて分圧される。したがって、アーク電圧が高まるので、遮断装置1Dの消弧性能が向上する。
(実施形態6)
以下、実施形態6に係る遮断装置1Eについて、図11を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
遮断装置1Eにおいて、導電体2Eは、第1部材3と、第2部材4と、を備えている。第1部材3は、第1の分離用部位31と、2つの第1の端子部32と、を有している。第2部材4は、第2の分離用部位41と、2つの第2の端子部42と、を有している。すなわち、導電体2Eは、分離用部位を複数(図11では2つ)有している。また、導電体2Eは、端子部を複数(図11では4つ)有している。
遮断装置1Eは、外部電路EC10(図5)の2つの端子208(図5)に電気的に接続されている。すなわち、2つの第1の端子部32は、上記2つの端子208と一対一で対応し対応する端子208に電気的に接続されている。同様に、2つの第2の端子部42は、上記2つの端子208と一対一で対応し対応する端子208に電気的に接続されている。第2部材4は、上記2つの端子208間において第1部材3に対して電気的に並列に接続されている。
第1の分離用部位31は、2つの第1の端子部32につながっている。第2の分離用部位41は、2つの第2の端子部42につながっている。第2の分離用部位41は、第1の分離用部位31に対して電気的に並列に接続されている。より詳細には、互いに隣接する第1の端子部32と第2の端子部42とは、接触することで電気的に接続されている。さらに、本実施形態では、互いに隣接する第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、接触することで電気的に接続されている。すなわち、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とが電気的に並列に接続されているとは、このように、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とが接触した状態で並んだ態様を含む。
2つの第1の端子部32は、第1の分離用部位31と一体に形成されている、2つの第2の端子部42は、第2の分離用部位41と一体に形成されている。第1部材3及び第2部材4の各々の形状は、実施形態1の導電体2(図2参照)の形状と同一である。すなわち、第1部材3において、第1の分離用部位31と2つの第1の端子部32との境界部分33には、溝34が形成されている。第2部材4において、第2の分離用部位41と2つの第2の端子部42との境界部分43には、溝44が形成されている。
第1の分離用部位31は、ガス発生器7(図3参照)で発生したガスの圧力により駆動された動作ピン8により2つの第1の端子部32から切り離される。第2の分離用部位41は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動された動作ピン8により第2の端子部42から切り離される。
すなわち、ガス発生器7で発生したガスの圧力により動作ピン8が駆動されると、動作ピン8により第1の分離用部位31が押され、第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32から切り離される。その後、更に移動する動作ピン8により第2の分離用部位41が押され、第2の分離用部位41が2つの第2の端子部42から切り離される。以下では、第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32から切り離され始めるタイミングを第1タイミングと称し、第2の分離用部位41が2つの第2の端子部42から切り離され始めるタイミングを第2タイミングと称す。
第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、動作ピン8の進行方向に並んでいる。また、動作ピン8が駆動される前は、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、第1の方向に並んでいる。第1の方向は、動作ピン8の移動方向(図11の紙面下方向)である。
第1部材3と第2部材4とは、溝34、44が形成されている側とは反対側の面において互いに接続されている。より詳細には、第1部材3と第2部材4とは、ろう付け等により互いに接続されている。つまり、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31は、第2の分離用部位41とろう付けにより接合している。
第1の分離用部位31及び第2の分離用部位41の各々は、電路の一部を構成する。より詳細には、第1の分離用部位31は、2つの第1の端子部32に直接接続されている。第2の分離用部位41は、2つの第2の端子部42に直接接続されている。
第1の分離用部位31及び2つの第1の端子部32は、例えば、銅により形成されている。第2の分離用部位41及び2つの第2の端子部42は、例えば、タングステンにより形成されている。第1の分離用部位31の導電率は、第2の分離用部位41の導電率よりも高い。第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31に流れる電流の方向における第1の分離用部位31の電気抵抗値は、第2の分離用部位41に流れる電流の方向における第2の分離用部位41の電気抵抗値よりも小さい。言い換えると、第2の方向における第1の分離用部位31の電気抵抗値は、第2の方向における第2の分離用部位41の電気抵抗値よりも小さい。第2の方向は、第1の方向と直交し、かつ、第1の分離用部位31及び第2の分離用部位41が延在している方向に沿った方向(図11の紙面左右方向)である。第1の分離用部位31に流れる電流(2つの第1の端子部32の間を流れる電流)の方向及び第2の分離用部位41に流れる電流(2つの第2の端子部42の間を流れる電流)の方向は、いずれも図11の紙面左右方向と一致する。第2の分離用部位41の融点は、第1の分離用部位31の融点よりも高い。
ガス発生器7(図3参照)がガスを発生していないとき、第1の分離用部位31は2つの第1の端子部32から切り離される前であり、第2の分離用部位41は2つの第2の端子部42から切り離される前である。このとき、動作ピン8の進行方向において、第1の分離用部位31と動作ピン8との間の距離は、第2の分離用部位41と動作ピン8との間の距離L1よりも短い。より詳細には、動作ピン8の突出部材82の先端86は、第1の分離用部位31に接している。つまり、動作ピン8の進行方向において、第1の分離用部位31と動作ピン8との間の距離はゼロである。第1の分離用部位31は、第2の分離用部位41と突出部材82との間に位置している。
動作ピン8は、第1の方向(図11の紙面下方向)に移動可能である。第1の分離用部位31及び第2の分離用部位41は、第1の方向と直交する第2の方向(図11の紙面左右方向)に延在している。また、第1の分離用部位31及び第2の分離用部位41には、第2の方向の電流が流れる。ここで、第1の方向と第2の方向とに直交する方向を、第3の方向(図11の紙面奥行き方向)とする。動作ピン8が駆動される前は、第3の方向から見て、動作ピン8と第2の分離用部位41との間の第1の方向の距離L1は、動作ピン8と第1の分離用部位31との間の第1の方向の距離(ゼロ)よりも大きい。
動作ピン8が第1の分離用部位31を押すタイミングは、動作ピン8が第2の分離用部位41を押すタイミングよりも早い。そのため、第1の分離用部位31が動作ピン8により2つの第1の端子部32から切り離され始める第1タイミングは、第2の分離用部位41が動作ピン8により2つの第2の端子部42から切り離され始める第2タイミングよりも早い。
ガス発生器7(図3参照)で発生したガスの圧力により動作ピン8が駆動されると、動作ピン8により第1の分離用部位31が押され、第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32から切り離される。このとき、第2の分離用部位41は2つの第2の端子部42から切り離されていない状態を維持できる場合がある。この場合、第2の分離用部位41及び2つの第2の端子部42を通る経路で電路に電流が流れ続ける。そのため、第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32から切り離されたときは、アークが発生し難い。これにより、第2部材4を備えていない遮断装置に比べて、アークの発生を抑制することが可能となる。なお、アークの発生を抑制するとは、アークを発生させなくすることに限らず、発生したアークが持続する時間を短くする、又は発生するアークのエネルギーを小さくすることも含み得る。
その後、動作ピン8により第2の分離用部位41が押され、第2の分離用部位41が2つの第2の端子部42から切り離される。このときに、第2の分離用部位41と2つの第2の端子部42との間にアークが発生することがある。第2の分離用部位41の融点は、第1の分離用部位31の融点よりも高い。したがって、第2の分離用部位41では、第1の分離用部位31よりも金属蒸気が発生しにくい。よって、第1の分離用部位31と2つの第1の端子部32との間にアークが発生した場合よりも、第2の分離用部位41と2つの第2の端子部42との間にアークが発生した場合の方が、アークが遮断されやすい。
また、第1の分離用部位31の導電率は、第2の分離用部位41の導電率よりも高い。したがって、導電体2Eが第2の分離用部位41を有しており第1の分離用部位31を有していない場合と比較して、動作ピン8が駆動される前における導電体2Eの通電性能が高い。
また、第1の分離用部位31の電気抵抗値は、第2の分離用部位41の電気抵抗値よりも低い。したがって、導電体2Eが第2の分離用部位41を有していない場合と比較して、動作ピン8が駆動される前における導電体2Eのアークの発生を抑制できる。
したがって、本実施形態の遮断装置1Eでは、実施形態1の遮断装置1と比較して、通電性能を維持しつつ、消弧性能を向上させることができる。
本実施形態において、第1部材3と第2部材4とを接合する手段は、ろう付けに限定されず、例えば、溶接、ねじ止め、又は、スナップフィット結合等の手段を用いてもよい。
本実施形態において、第1部材3と第2部材4とは、ろう付け等により接続(接合)されていなくてもよく、第1部材3に第2部材4が載せ置かれていてもよい。あるいは、第2部材4に第1部材3が載せ置かれていてもよい。すなわち、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31は、第2の分離用部位41と接続していてもよいし、第2の分離用部位41と接触していてもよい。
また、第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32の両方から切り離されることは必須ではなく、2つの第1の端子部32のうち少なくとも一方から切り離されればよい。第1タイミングは、第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32のうち少なくとも一方から切り離され始めるタイミングであってもよい。同様に、第2の分離用部位41が2つの第2の端子部42の両方から切り離されることは必須ではなく、2つの第2の端子部42のうち少なくとも一方から切り離されればよい。第2タイミングは、第2の分離用部位41が2つの第2の端子部42のうち少なくとも一方から切り離され始めるタイミングであってもよい。
また、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とのうち、少なくとも第1の分離用部位31が、2つの第1の端子部32のうち少なくとも一方から切り離されればよい。一方で、第2の分離用部位41が、2つの第2の端子部42のうち少なくとも一方から切り離されることは、必須ではない。つまり、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動された動作ピン8は、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とのうち、少なくとも第1の分離用部位31を端子部から切り離せばよい。
第1部材3と第2部材4とのうち少なくとも一方には、溝34(又は44)に代えて、1又は複数の孔が形成されていてもよい。また、第1部材3と第2部材4とのうち少なくとも一方には、溝34(又は44)に代えて、厚さ及び幅のうち少なくとも一方が周りよりも小さい部位が設けられていてもよい。
(実施形態6の変形例1)
以下、実施形態6の変形例1に係る遮断装置1Fについて、図12〜図16を用いて説明する。実施形態6と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例1において、導電体2Fの第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、動作ピン8の進行方向において互いに離れている。つまり、第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32から切り離され始める第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、動作ピン8の進行方向に間隔をあけて並んでいる。また、動作ピン8が駆動される前は、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、第1の方向に間隔をあけて並んでいる。第1の方向は、動作ピン8の移動方向(図12の紙面下方向)である。
第1の分離用部位31は、2つの第1の端子部32につながっている。第2の分離用部位41は、2つの第2の端子部42Fにつながっている。第2の分離用部位41は、第2の端子部42Fを介して第1の分離用部位31に対して電気的に並列に接続されている。
第2部材4Fは、2つの第2の端子部42(図11参照)に代えて、2つの第2の端子部42Fを有している。2つの第2の端子部42Fの各々は、屈曲している。2つの第2の端子部42Fの各々は、第2の分離用部位41につながっており電路の一部を構成する。
図12では、第2部材4Fの構成の一例を図示し、図13〜図16では、第2部材4Fの構成の別の一例を図示している。図13〜図16において、第2部材4Fの厚さは、第1部材3の厚さよりも小さい。図12では、第2部材4Fは、第2部材4Fの第2の分離用部位41と2つの第2の端子部42Fとの間に形成された2つの溝44を有し、2つの溝44は、動作ピン8の進行方向に窪んで形成されている。一方で、図13〜図16では、第2部材4Fは、4つの溝44を有し、第2部材4Fは、4つの溝44により、第1部材3の幅方向(図14の紙面奥行き方向)の両側から窪んでいる。また、図13〜図16では、第1部材3の第1の分離用部位31と各第1の端子部32との間には円弧状の溝34が形成されている。その他の構成は、図12と図13〜図16とで共通である。
第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32から切り離される前であって、第2の分離用部位41が2つの第2の端子部42Fから切り離される前であるとき(図12、図14参照)、動作ピン8の進行方向において、第1の分離用部位31と動作ピン8との間の距離は、第2の分離用部位41と動作ピン8との間の距離L2よりも短い。動作ピン8の進行方向において、第1の分離用部位31と動作ピン8との間の距離はゼロである。第2部材4Fの2つの第2の端子部42Fのうち一方は、第1部材3の2つの第1の端子部32のうち一方に接続されている。2つの第2の端子部42Fのうち他方は、第1部材3の2つの第1の端子部32のうち他方に接続されている。より詳細には、遮断装置1Fは、2つのリベット25を更に備えており、2つの第2の端子部42Fの各々は、リベット25により第1の端子部32に接続されている。このように、第2部材4Fの一端と他端とにおいて、第2の端子部42Fが第1の端子部32に固定されている。つまり、第2部材4Fの一端において、2つの第2の端子部42Fのうち一方が、2つの第1の端子部32のうち一方に固定されており、第2部材4Fの他端において、2つの第2の端子部42Fのうち他方が、2つの第1の端子部32のうち他方に固定されている。
2つの第2の端子部42Fの各々は、リベット25と第2の分離用部位41との間において、クランク状に屈曲している。これにより、第2の分離用部位41は、動作ピン8の進行方向において第1の分離用部位31から離れて位置している。動作ピン8が第1の分離用部位31を押すタイミングは、動作ピン8が第2の分離用部位41を押すタイミングよりも早い。したがって、動作ピン8により第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32から切り離されたとき(図15参照)、第2の分離用部位41は2つの第2の端子部42Fから切り離されていない状態を維持する。その後、更に移動する動作ピン8により、第2の分離用部位41は2つの第2の端子部42Fから切り離される(図16参照)。
つまり、第1の分離用部位31が動作ピン8により切り離され始めるタイミングは、第2の分離用部位41が動作ピン8により切り離され始めるタイミングより早い。
また、図16に示すように、動作ピン8が進み切ったとき、収容空間98には、動作ピン8の進行方向において隙間が存在してもよい。
以上説明したように、本変形例1では、動作ピン8の進行方向において、第2の分離用部位41が第1の分離用部位31から離れて位置している。したがって、第2の分離用部位41と2つの第2の端子部42Fとの間に発生するアークが、第1の分離用部位31と2つの第1の端子部32との間に移動する可能性が低減する。これにより、第1の分離用部位31が2つの第1の端子部32から切り離された後、第1の分離用部位31でのアークの発生が、より抑制される。
また、第1部材3及び第2部材4Fのうち第1部材3のみが破断されると、第1部材3が破断される前よりも、導電体2Fの電気抵抗が大きくなる。これにより、導電体2Fに流れる電流が小さくなるので、アークの発生を抑制できる。
また、遮断装置1Fでは、第1のタイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31に流れる電流の方向における第1の分離用部位31の電気抵抗値は、第2の分離用部位41に流れる電流の方向における第2の分離用部位41の電気抵抗値よりも小さいことが好ましい。これにより、導電体2Fでのアークの発生が、より抑制される。
(実施形態6の変形例2)
以下、実施形態6の変形例2に係る遮断装置1Mについて、図17を用いて説明する。本変形例2に係る遮断装置1Mは、実施形態5の遮断装置1Dの特徴と実施形態6の変形例1の遮断装置1Fの特徴とを組み合わせて実現されている。実施形態5と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図17は、動作ピン8Dが駆動される前の状態を示している。このとき、第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とは、動作ピン8Dの進行方向において互いに異なる位置にあり、かつ、動作ピン8Dの進行方向及び導電体2Mの長手方向と交差する方向において互いに異なる位置にある。より詳細には、本変形例2の2つの第2の端子部222は、実施形態5の2つの第2の端子部222と異なって屈曲しており、これにより、第2の分離用部位212が第1の分離用部位211よりも動作ピン8Dの進行方向の奥側に位置している。
つまり、実施形態6と同様に、動作ピン8Dが駆動される前は、第3の方向から見て、動作ピン8Dと第2の分離用部位212との間の第1の方向の距離は、動作ピン8Dと第1の分離用部位211との間の第1の方向の距離よりも大きい。第1の方向は、動作ピン8Dの移動方向である。第3の方向は、第1の方向と第2の方向(第1の方向と直交し、かつ、第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212が延在している方向に沿った方向)とに直交する方向である。
ガス発生器7で発生したガスの圧力により動作ピン8Dが駆動されると、まず、動作ピン8Dの2つの押圧部88のうち一方が、第1の分離用部位211を押す。これにより、第1の分離用部位211が2つの第1の端子部221から切り離される。動作ピン8Dが更に移動すると、2つの押圧部88のうち他方が、第2の分離用部位212を押す。これにより、第2の分離用部位212が2つの第2の端子部222から切り離される。つまり、本変形例2において、第1の分離用部位211が2つの第1の端子部221から切り離され始める第1タイミングは、第2の分離用部位212が2つの第2の端子部222から切り離され始める第2タイミングよりも早い。
本変形例2により、実施形態6の変形例1と比較して、導電体2Mの厚さを小さくすることができる。
また、導電体2Mは、例えば、電気導電性を有する1枚の板材をプレス加工することで製造され得る。すなわち、1枚の板材に対し、プレス打ち抜き加工により挿入孔213を形成し、プレス曲げ加工により2つの第2の端子部222を屈曲させることで、導電体2Mを製造できる。そのため、実施形態6の導電体2Eと比較して、導電体2Mの材料となる部材の個数を削減することができる。
本変形例2において、第2の分離用部位212の厚みを、第1の分離用部位211の厚みよりも小さくしてもよい。つまり、第1の方向における第1の分離用部位211の厚みを、第1の方向における第2の分離用部位212の厚みよりも大きくしてもよい。第1の方向は、動作ピン8Dの移動方向である。これにより、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位211に流れる電流の方向における第1の分離用部位211の電気抵抗値を、第2の分離用部位212に流れる電流の方向における第2の分離用部位212の電気抵抗値よりも小さくしてもよい。この構成により、導電体2Mでのアークの発生が、より抑制される。また、2つの第2の端子部222のうち少なくとも一方の厚みも、第1の分離用部位211の厚みよりも小さくしてもよい。例えば、第2の分離用部位212及び2つの第2の端子部222は、プレス圧縮加工により厚さ方向に圧縮されることで、第1の分離用部位211と比較して厚みが小さくされてもよい。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1でも、第1の方向における第1の分離用部位31の厚みを、第1の方向における第2の分離用部位41の厚みよりも大きくしてもよい。
(実施形態6及び実施形態6の変形例1、2のまとめ)
以上説明した実施形態6及び実施形態6の変形例1、2から、以下の態様が開示されている。
実施形態6及び実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、第1の分離用部位31(又は211)が第1の端子部32(又は221)から切り離され始める第1タイミングは、第2の分離用部位41(又は212)が第2の端子部42(又は42F、222)から切り離され始める第2タイミングよりも早い。
上記の構成によれば、導電体2E(又は2F、2M)が分離用部位を1つのみ有する場合と比較して、第1の分離用部位31(又は211)でのアークの発生を抑制することが可能となる。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、導電体2E(又は2F、2M)は、分離用部位を複数有する。複数の分離用部位のうちの2つを第1の分離用部位31(又は211)及び第2の分離用部位41とする。動作ピン8は、第1の分離用部位31(又は211)を押すことで第1の分離用部位31(又は211)を端子部(第1の端子部32又は221)から切り離し、第2の分離用部位41(又は212)を押すことで第2の分離用部位41(又は212)を端子部(第2の端子部42、42F又は222)から切り離す。複数の分離用部位が端子部から切り離される前、動作ピン8(又は8D)の進行方向において、第1の分離用部位31(又は211)と動作ピン8(又は8D)との間の距離は、第2の分離用部位41(又は212)と動作ピン8(又は8D)との間の距離L1(又はL2)よりも短い。
上記の構成によれば、第1の分離用部位31(又は211)でのアークの発生を抑制することが可能となる。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、導電体2E(又は2F、2M)は、分離用部位を複数有する。複数の分離用部位のうちの2つを第1の分離用部位31(又は211)及び第2の分離用部位41(又は212)とする。動作ピン8(又は8D)は、第1の分離用部位31(又は211)を押すことで第1の分離用部位31(又は211)を端子部(第1の端子部32又は221)から切り離し、第2の分離用部位41(又は212)を押すことで第2の分離用部位41(又は212)を端子部(第2の端子部42、42F又は222)から切り離す。動作ピン8(又は8D)が第1の分離用部位31(又は211)を押すタイミングは、動作ピン8が第2の分離用部位41(又は212)を押すタイミングよりも早い。
上記の構成によれば、第1の分離用部位31(又は211)でのアークの発生を抑制することが可能となる。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1に係る遮断装置1E(又は1F)では、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、動作ピン8の進行方向に並んでいる。
上記の構成によれば、動作ピン8により容易に第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とを端子部(第1の端子部32及び第2の端子部42)から切り離すことができる。
また、実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1F(又は1M)では、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31(又は211)と第2の分離用部位41(又は212)とは、動作ピン8(又は8D)の進行方向に間隔をあけて並んでいる。
上記の構成によれば、第1タイミングと第2タイミングとの間に時間差を付け易い。これにより、第1の分離用部位31(又は211)でのアークの発生が抑制され易い。
また、実施形態6に係る遮断装置1Eでは、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31は、第2の分離用部位41と接触又は接合している。
上記の構成によれば、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とが離れて設けられている場合と比較して、導電体2Dの設置スペースを削減できる。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31(又は211)に流れる電流の方向における第1の分離用部位31(又は211)の電気抵抗値は、第2の分離用部位41(又は212)に流れる電流の方向における第2の分離用部位41(又は212)の電気抵抗値よりも小さい。
上記の構成によれば導電体2E(又は2F、2M)が分離用部位を1つのみ有する場合と比較して、アークの発生を抑制することが可能となる。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1に係る遮断装置1E(又は1F)では、第1の分離用部位31の導電率は、第2の分離用部位41の導電率よりも高い。
上記の構成によれば、第1の分離用部位31には、より大きい電流を流せる。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1に係る遮断装置1E(又は1F)では、第2の分離用部位41の融点は、第1の分離用部位31の融点よりも高い。
上記の構成によれば、動作ピン8が、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とのうち、動作ピン8により近い第1の分離用部位31を端子部(第1の端子部32)から切り離したとき、第2の分離用部位41は端子部(第2の端子部42又は第2の端子部42F)から切り離されておらず、電路EC1(図5参照)が通電している状態を維持できる場合がある。この場合、第1の分離用部位31が端子部から切り離されるときよりも、第2の分離用部位41が端子部から切り離されるときの方がアークが発生しやすい。ここで、第2の分離用部位41の融点は第1の分離用部位31の融点よりも高いので、第2の分離用部位41においては、第1の分離用部位31においてよりも消弧されやすい。したがって、遮断装置1E(又は1F)の消弧性能が向上する。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、動作ピン8(又は8D)は第1の方向に移動可能である。第1の分離用部位31(又は211)及び第2の分離用部位41(又は212)は、第2の方向に延在している。第2の方向は、第1の方向と直交する。動作ピン8(又は8D)が駆動される前は、第3の方向から見て、動作ピン8(又は8D)と第2の分離用部位41(又は212)との間の第1の方向の距離L1(又はL2)は、動作ピン8(又は8D)と第1の分離用部位31(又は211)との間の第1の方向の距離よりも大きい。第3の方向は、第1の方向と第2の方向とに直交する。
上記の構成によれば、第1の分離用部位31(又は211)でのアークの発生を抑制することが可能となる。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1に係る遮断装置1E(又は1F)では、動作ピン8が駆動される前は、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、第1の方向に並んでいる。
上記の構成によれば、動作ピン8により容易に第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とを端子部(第1の端子部32及び第2の端子部42、42F)から切り離すことができる。
また、実施形態6の変形例1に係る遮断装置1Fでは、動作ピン8が駆動される前は、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、第1の方向に間隔をあけて並んでいる。
上記の構成によれば、第1の分離用部位31が第1の端子部32から切り離され始める第1タイミングと、第2の分離用部位41が第2の端子部42Fから切り離され始める第2タイミングとの間に時間差を付け易い。これにより、第1の分離用部位31でのアークの発生が抑制され易い。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、第2の方向における第1の分離用部位31(又は211)の電気抵抗値は、第2の方向における第2の分離用部位41(又は212)の電気抵抗値よりも小さい。
上記の構成によれば、第1の分離用部位31(又は211)でのアークの発生を更に抑制することが可能となる。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1に係る遮断装置1E(又は1F)では、第2の分離用部位41の融点は、第1の分離用部位31の融点よりも高い。
上記の構成によれば、遮断装置1E(又は1F)の消弧性能が向上する。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、第1の方向における第1の分離用部位31(又は211)の厚みは、第1の方向における第2の分離用部位41(又は212)の厚みよりも大きい。
上記の構成によれば、第1の分離用部位31でのアークの発生を更に抑制することが可能となる。
(実施形態7)
以下、実施形態7に係る遮断装置1Gについて、図18を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
遮断装置1Gにおいて、導電体2Gは、分離用部位21を複数(図18では2つ)有している。2つの分離用部位21は、電気的に直列に接続されている。より詳細には、導電体2Gは、2つの分離用部位21と、2つの端子部22と、連結部26と、を有している。2つの端子部22のうち一方、2つの分離用部位21のうち一方、連結部26、2つの分離用部位21のうち他方、及び、2つの端子部22のうち他方が、この順に直列につながっている。
第2ボディ95は、収容空間98(図2参照)を2つ有しており、2つの収容空間98は、2つの分離用部位21と一対一で対応する。各分離用部位21は、動作ピン8Gの進行方向において、対応する収容空間98と並んでいる。連結部26及び2つの端子部22は、第2ボディ95(図2参照)に接している。
各端子部22と分離用部位21との境界部分23には、溝24が形成されている。各分離用部位21と連結部26との境界部分27には、溝28が形成されている。
動作ピン8Gの突出部材82Gは、連結片891と、2つの押圧片892と、を備えている。連結片891は、動作ピン8Gのベース81につながっている。連結片891は、板状である。連結片891の厚さ方向は、動作ピン8Gの進行方向に沿っている。2つの押圧片892は、連結片891から動作ピン8Gの進行方向に突出している。2つの押圧片892の突出長さは互いに等しい。2つの押圧片892は、2つの分離用部位21と一対一で対応している。
動作ピン8Gの進行方向において、2つの分離用部位21のうち一方と動作ピン8Gとの間の距離は、2つの分離用部位21のうち他方と動作ピン8Gとの間の距離と等しい。より詳細には、動作ピン8Gの進行方向において、2つの分離用部位21のうち一方とこれに対応する押圧片892との間の距離は、2つの分離用部位21のうち他方とこれに対応する押圧片892との間の距離と等しい。更に詳細には、2つの押圧片892の各々は、対応する分離用部位21に接している。したがって、2つの分離用部位21(第1の分離用部位及び第2の分離用部位)が2つの端子部22から切り離される前、動作ピン8Gの進行方向において、第1の分離用部位と第1の分離用部位に対向する動作ピン8Gとの間の距離は、第2の分離用部位と第2の分離用部位に対向する動作ピン8Gとの間の距離と等しい。具体的には、2つの分離用部位21の各々と動作ピン8Gとの間の距離はゼロである。ただし、図18では図示の都合上、動作ピン8Gを2つの分離用部位21から離して図示している。
動作ピン8Gの2つの押圧片892のうち一方は、2つの分離用部位21のうち一方(第1の分離用部位)を押すことで第1の分離用部位を2つの端子部22から切り離す。2つの押圧片892のうち他方は、2つの分離用部位21のうち他方(第2の分離用部位)を押すことで第2の分離用部位を2つの端子部22から切り離す。
動作ピン8Gの2つの押圧片892のうち一方が第1の分離用部位を押すタイミングは、2つの押圧片892のうち他方が第2の分離用部位を押すタイミングと同じである。つまり、2つの押圧片892が2つの分離用部位21に接しているので、ガス発生器7(図3参照)で発生したガスの圧力により動作ピン8Gが駆動されると、2つの押圧片892は、2つの分離用部位21を同時に押す。これにより、導電体2Gにおいて、2つの分離用部位21が同時に、2つの端子部22及び連結部26から切り離され始める。そして、2つの分離用部位21の各々が2つの端子部22及び連結部26から完全に切り離される。また、2つの分離用部位21のうち一方が動作ピン8により完全に切り離され始めるタイミングと他方の分離用部位が動作ピン8により完全に切り離され始めるタイミングとは、同じである。
本実施形態において、分離用部位21の個数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。つまり、3つ以上の分離用部位21が電気的に直列に接続されていてもよい。
また、本実施形態の2つの端子部22に電気的に直列又は並列に、実施形態5の2つの分離用部位21D及び2つの端子部22Dの組(図10参照)、実施形態6の第1部材3及び第2部材4の組(図11参照)、並びに、実施形態6の変形例1の第1部材3及び第2部材4Fの組(図12参照)のうち少なくとも1つの組が接続されていてもよい。つまり、本実施形態では、複数の分離用部位21のうち、少なくとも2つの分離用部位21が電気的に直列に接続されていればよい。
本実施形態の遮断装置1Gによれば、2つの分離用部位21が電気的に直列に接続されているため、2つの分離用部位21の間に発生するアーク電圧が2つの分離用部位21において分圧される。したがって、アーク電圧が高まるので、遮断装置1Gの消弧性能が向上する。
(実施形態8)
以下、実施形態8に係る遮断装置1Hについて、図19、20A、20Bを用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
遮断装置1Hは、電気絶縁性のマスク14を更に備えている。マスク14は、例えば、樹脂により形成されている。マスク14は、分離用部位21における各端子部22側の端215(両端)と、各端子部22における分離用部位21側の端(隣接部220)とのうち少なくとも一方を覆っている。本実施形態では、マスク14は、導電体2のうち、分離用部位21の全体と、各端子部22における分離用部位21側の部分を覆っている。つまり、本実施形態のマスク14は、隣接部220を覆っている。
マスク14は、導電体2を導電体2の厚さ方向の両側及び幅方向の両側から覆っている。つまり、マスク14は、導電体2の第1の面F1を被覆する。第1の面F1は、動作ピン8の進行方向において動作ピン8と対向する。さらに、マスク14は、導電体2の第2の面F2を被覆する。第2の面F2は、動作ピン8の進行方向において第1の面F1とは反対側の面である。さらに、マスク14は、導電体2の2つの第3の面F3を被覆する。各第3の面F3の法線方向は、動作ピン8の進行方向及び導電体2に流れる電流の方向と直交する方向に沿っている。
実施形態1と同様に、導電体2は、分離用部位21と2つの端子部22の各々との境界部分23を有している。境界部分23に流れる電流の方向と交差する所定の方向において、隣接部220の寸法は、隣接部220に隣接する境界部分23の寸法よりも大きい。境界部分23に流れる電流の方向は、導電体2の長手方向(図20Aの紙面左右方向)と一致する。境界部分23に流れる電流の方向と交差する所定の方向は、動作ピン8の進行方向(図20Aの紙面上下方向)と一致する。
図20A、20Bに示すように、ガス発生器7(図3参照)で発生したガスの圧力により駆動された動作ピン8の突出部材82は、分離用部位21と各端子部22との境界部分23において導電体2を破断し、各端子部22の断面に接する。突出部材82は、導電体2と一緒にマスク14も破断する。突出部材82は、マスク14の断面にも接する。
導電体2が破断され、分離用部位21と各端子部22との間にアークが発生する場合に、各端子部22では、マスク14により、アークを構成する粒子の放出が制限される。アークを構成する粒子とは、例えば、電子、金属蒸気及びプラズマ粒子である。さらに、各端子部22では、動作ピン8の突出部材82により、アークを構成する粒子の放出が制限される。より詳細には、各端子部22における分離用部位21側の端(隣接部220)は、導電体2の長手方向においては突出部材82に覆われ、導電体2の厚さ方向及び幅方向においてはマスク14に覆われているので、各端子部22の隣接部220からアークを構成する粒子が放出され難い。特に、マスク14は隣接部220を覆っているので、隣接部220に隣接する境界部分23が破断されたとき、マスク14のうち隣接部220を覆う部分によりアークを構成する粒子の放出が抑制される。また、分離用部位21では、導電体2の厚さ方向及び幅方向においてはマスク14に覆われているので、アークを構成する粒子の放出が制限される。
また、マスク14は、導電体2の溝24の内面を覆っている。そのため、境界部分23が破断され分離用部位21が2つの端子部22から切り離されたとき、2つの端子部22及び分離用部位21のうち溝24の内面に相当する面が露出する可能性が低減される。これにより、アークを構成する粒子の放出が制限される。
アークを構成する粒子の放出が制限されることにより、アーク抵抗が高まり、アーク電圧が高まるので、遮断装置1Hでは、消弧性能が向上する。
(実施形態8の変形例1)
以下、実施形態8の変形例1に係る遮断装置1Nについて、図21、図22を用いて説明する。本変形例1は、実施形態3に係る遮断装置1B(図7参照)に、実施形態8のマスク14に相当するマスク14Nを更に備えさせた変形例である。実施形態3と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図22は、導電体2B及びマスク14Nの断面図である。当該断面の法線方向は、導電体2Bの厚さ方向と一致する。また、当該断面の法線方向は、動作ピン8の進行方向と一致する。
マスク14Nは、2つの端子部22Bのうち少なくとも隣接部220Bを覆っている。さらに、マスク14Nは、分離用部位21Bを覆っている。マスク14Nは、2つの端子部22Bのうち一方の端子部22Bの隣接部220Bから、他方の端子部22Bの隣接部220Bまでに亘って形成されている。マスク14Nは、隣接部220B及び分離用部位21Bを導電体2の厚さ方向の両側及び幅方向の両側から覆っている。
ガス発生器7(図3参照)で発生したガスの圧力により駆動された動作ピン8の突出部材82は、分離用部位21Bと各端子部22Bとの境界部分23Bにおいて導電体2Bを破断する。これにより、分離用部位21Bが2つの端子部22Bから分離する。突出部材82は、導電体2Bと一緒にマスク14Nも破断する。図22に2点鎖線で示すように、動作ピン8(突出部材82)は、マスク14Nのうち動作ピン8の進行方向において分離用部位21Bと重なる領域を貫くように配置される。
分離用部位21Bが2つの端子部22Bから分離した後も、隣接部220Bの周囲(例えば、端子部22Bのうち分離用部位21B側の表面226)がマスク14Nで覆われた状態が維持される。これにより、隣接部220Bの周囲においてアークを構成する粒子の放出が制限される。また、分離用部位21Bが2つの端子部22Bから分離した後も、分離用部位21Bの表面の一部がマスク14Nで覆われた状態が維持される。これにより、分離用部位21Bにおいてアークを構成する粒子の放出が制限される。
なお、マスク14Nは、動作ピン8の進行方向において分離用部位21Bと重ならない領域にのみ設けられていてもよい。つまり、マスク14Nは、動作ピン8の進行方向において分離用部位21Bを覆っていなくてもよい。マスク14Nは、例えば、隣接部220Bを導電体2の厚さ方向の両側及び幅方向の両側から覆うように設けられていてもよい。さらに、マスク14Nは、端子部22Bのうち分離用部位21B側の表面226を覆うように設けられていてもよい。
(実施形態8のその他の変形例)
以下、実施形態8の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。実施形態8と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態において、マスク14は、導電体2を導電体2の厚さ方向の両側及び幅方向の両側から覆っていることに限定されない。マスク14は、例えば、導電体2を導電体2の厚さ方向の一方の側からのみ覆っていてもよいし、導電体2の幅方向の一方の側からのみ覆っていてもよい。
また、マスク14のうち、分離用部位21と各端子部22との境界部分23を覆っている部位は、破断容易に形成されていてもよい。例えば、マスク14のうち、分離用部位21と各端子部22との境界部分23を覆っている部位には、溝が形成されていてもよいし、厚さ及び幅のうち少なくとも一方が周りよりも小さくされていてもよい。
あるいは、マスク14は、分離用部位21と各端子部22との境界部分23を避けて形成されていてもよい。
また、図23Aに示すように、マスク14Aは、2つの端子部22のみを覆い、分離用部位21を覆っていなくてもよい。あるいは、マスク14Aは、2つの端子部22のうち一方のみを覆っていてもよい。
あるいは、マスク14Aは、2つの端子部22のうち少なくとも一方の、隣接部220のみを覆っていてもよい。
また、図23Bに示すように、マスク14Bは、分離用部位21のみを覆い、2つの端子部22を覆っていなくてもよい。あるいは、マスク14Bは、分離用部位21と、2つの端子部22のうち一方とのみを覆っていてもよい。
図23A、図23Bに示すように、マスク14A(又は14B)は、溝24の内面の少なくとも一部を覆っていることが好ましい。また、マスク14Aは、2つの端子部22のうち少なくとも一方の隣接部220を覆っていることが好ましい。
(実施形態8及び実施形態8の変形例のまとめ)
以上説明した実施形態8及び実施形態8の変形例から、以下の態様が開示されている。
実施形態8及び実施形態8の変形例1に係る遮断装置1H(又は1N)では、端子部22(又は22B)は、隣接部220(又は220B)を含む。隣接部220(又は220B)は、境界部分23(又は23B)に隣接する。境界部分23(又は23B)に流れる電流の方向と交差する所定の方向において、隣接部220(又は220B)の寸法は、境界部分23(又は23B)の寸法よりも大きい。マスク14(又は14A、14B、14N)は、隣接部220(又は220B)を覆う。
上記の構成によれば、導電体2(又は2B)からのアークを構成する粒子の放出が、マスク14(又は14A、14B、14N)により制限されるので、アーク電圧が高まり、遮断装置1H(又は1N)の消弧性能が向上する。
また、実施形態8及び実施形態8の変形例1に係る遮断装置1H(又は1N)では、電気絶縁性のマスク14(又は14A、14B、14N)を更に備える。マスク14(又は14A、14B、14N)は、分離用部位21(又は21B)における端子部22(又は22B)側の端215と、端子部22(又は22B)における分離用部位21(又は21B)側の端(隣接部220又は220B)とのうち少なくとも一方を覆う。ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動された動作ピン8は、分離用部位21(又は21B)と端子部22(又は22B)との境界部分23(又は23B)において導電体2(又は2B)を破断し、端子部22(又は22B)の断面に接する。
上記の構成によれば、導電体2(又は2B)のうち電気絶縁性のマスク14(又は14A、14B、14N)に覆われている部位では、アークを構成する粒子の放出が制限される。これにより、アーク抵抗が高まり、アーク電圧が高まるので、遮断装置1H(又は1N)の消弧性能が向上する。また、動作ピン8が導電体2(又は2B)の断面に接することで、導電体2(又は2B)の断面においてアークが移動可能な範囲が制限されるので、アーク電圧が高まり、遮断装置1H(又は1N)の消弧性能が向上する。
また、実施形態8に係る遮断装置1Hでは、導電体2は、溝24を有する。溝24は、境界部分23を底部とし隣接部220を側部とする。
上記の構成によれば、溝24に沿って分離用部位21が端子部22から切り離されることが可能なので、溝24が無い場合よりも分離用部位21が端子部22から切り離されやすい。
また、実施形態8に係る遮断装置1Hでは、動作ピン8の進行方向において、隣接部220の寸法は、境界部分23の寸法よりも大きい。
上記の構成によれば、隣接部220と比較して寸法が小さい境界部分23で導電体2を破断できるので、分離用部位21が端子部22から切り離されやすい。
また、実施形態8の変形例1に係る遮断装置1Nでは、動作ピン8の進行方向と直交し、かつ、境界部分23Bに流れる電流の方向と交差する方向において、隣接部220Bの寸法は、境界部分23Bの寸法よりも大きい。
上記の構成によれば、隣接部220Bと比較して寸法が小さい境界部分23Bで導電体2Bを破断できるので、分離用部位21Bが端子部22Bから切り離されやすい。
(実施形態9)
以下、実施形態9に係る遮断装置1Jについて、図24を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
遮断装置1Jは、ストッパ15を更に備えている。ストッパ15は、例えば、樹脂により形成されている。ストッパ15は、棒状である。ストッパ15は、ストッパ15の第1端を含む第1端部153と、ストッパ15の第2端を含む第2端部154と、第1端部153と第2端部154との間の中間部155と、を有している。第1端部153及び第2端部154は、中間部155よりも細い。したがって、ストッパ15は、第1端部153及び第2端部154で破断しやすい。
動作ピン8Jの突出部材82Jには、中間部155が挿入された挿入孔827が形成されている。収容部9Jの第1ボディ91Jの内面には、ストッパ15の第1端及び第2端が挿入された2つの凹部911が形成されている。ストッパ15の第1端及び第2端が2つの凹部911に挿入されていることにより、動作ピン8Jの動きが規制されている。
ストッパ15は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動された動作ピン8Jから加えられる力により破断し、破断するまでの間、動作ピン8Jが導電体2に力を加えることを妨げる。つまり、ストッパ15は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により動作ピン8Jが駆動される前の状態のとき、動作ピン8Jが移動することを制限する。
動作ピン8Jがガス発生器7に駆動されると、初めは、ストッパ15により、動作ピン8Jの突出部材82Jが導電体2に力を加えることが妨げられる。加圧室75内の圧力が大きくなり、突出部材82Jがストッパ15を破断させると、突出部材82Jは導電体2に力を加えて破断させるので、分離用部位21が2つの端子部22から切り離される。つまり、動作ピン8Jは、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動されることによってストッパ15を破断して、分離用部位21を2つの端子部22から切り離すように移動する。
本実施形態では、ストッパ15が無い場合と比較して、加圧室75内の圧力がより大きくなってから、動作ピン8が導電体2を押す。そのため、分離用部位21がより勢いよく2つの端子部22から切り離され、分離用部位21と2つの端子部22との間に発生するアークが急速に引き延ばされる。これにより、遮断装置1Jの消弧性能が向上する。
ストッパ15は、棒状ではなく板状に形成されていてもよい。
(実施形態9の変形例1)
以下、実施形態9の変形例1に係る遮断装置1Kについて、図25を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
遮断装置1Kは、実施形態1の遮断装置1の構成に加えて、複数(図25では2つ)のストッパ15Kを更に備えている。複数のストッパ15Kは、収容部9の第1ボディ91の内面から突出している。複数のストッパ15Kは、動作ピン8のベース81に接している。複数のストッパ15Kは、ベース81の進行方向側に位置している。各ストッパ15Kにおいて、第1ボディ91と隣接する部位には、溝156が形成されている。したがって、各ストッパ15Kは、溝156が形成されている部分で破断しやすい。
動作ピン8がガス発生器7に駆動されると、初めは、ベース81が複数のストッパ15Kに当たっていることにより、動作ピン8の突出部材82が導電体2に力を加えることが妨げられる。加圧室75内の圧力が大きくなり、複数のストッパ15Kが破断すると、突出部材82は導電体2に力を加えて破断させるので、分離用部位21が2つの端子部22から切り離される。
遮断装置1Kは、複数のストッパ15Kに代えて、1つの環状のストッパを備えていてもよい。この場合に、環状のストッパは、第1ボディ91の内面から突出し第1ボディ91の内面に沿った環状に形成される。
(実施形態9の変形例2)
以下、実施形態9の変形例2に係る遮断装置1Lについて、図26を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
遮断装置1Lは、実施形態1の遮断装置1の構成に加えて、複数(図26では2つ)のストッパ15Lを更に備えている。複数のストッパ15Lは、動作ピン8のベース81から突出している。収容部9Lの第1ボディ91Lの内面には、複数のストッパ15Lが挿入された複数(図26では2つ)の凹部912が形成されている。
各ストッパ15Lにおいて、動作ピン8のベース81と隣接する部位には、溝157が形成されている。したがって、各ストッパ15Lは、溝157が形成されている部分で破断しやすい。
動作ピン8がガス発生器7に駆動されると、初めは、複数のストッパ15Lが複数の凹部912において第1ボディ91Lに移動が規制されていることにより、動作ピン8の突出部材82が導電体2に力を加えることが妨げられる。加圧室75内の圧力が大きくなり、複数のストッパ15Lが破断すると、突出部材82は導電体2に力を加えて破断させるので、分離用部位21が2つの端子部22から切り離される。
遮断装置1Lは、複数のストッパ15Lに代えて、1つの環状のストッパを備えていてもよい。この場合に、環状のストッパは、ベース81の外周面から突出しベース81の外周面に沿った環状に形成される。
(実施形態9及び実施形態9の変形例1、2のまとめ)
以上説明した実施形態9及び実施形態9の変形例1、2から、以下の態様が開示されている。
実施形態9及び実施形態9の変形例1、2に係る遮断装置1J(又は1K、1L)は、ストッパ15(又は15K、15L)を更に備える。ストッパ15(又は15K、15L)は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により動作ピン8(又は8J)が駆動される前の状態のとき、動作ピン8(又は8J)が移動することを制限する。動作ピン8(又は8J)は、ガスの圧力により駆動されることによってストッパ15(又は15K、15L)を破断して、分離用部位21を端子部22から切り離すように移動する。
上記の構成によれば、動作ピン8(又は8J)からストッパ15(又は15K、15L)に加えられる力の大きさが、ストッパ15(又は15K、15L)を破断させる力の大きさに達してから、動作ピン8(又は8J)は導電体2に力を加えて破断させる。したがって、ストッパ15(又は15K、15L)が無い場合と比較して、分離用部位21が端子部22から勢いよく切り離され、アークが急速に引き延ばされるので、遮断装置1J(又は1K、1L)の消弧性能が向上する。
上述した各実施形態は、変形例も含めて、適宜組み合わせて実現されてもよい。
(総括)
以上説明した各実施形態及び各変形例から、以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る遮断装置1E(又は1F、1M)は、ガス発生器7と、動作ピン8(又は8D)と、導電体2E(又は2F、2M)と、を備える。ガス発生器7は、燃料74を燃焼させることによりガスを発生する。動作ピン8(又は8D)は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動される。導電体2E(又は2F、2M)は、外部電路EC10の2つの端子208間を電気的に接続する。導電体2E(又は2F、2M)は、第1の端子部32(又は221)と、第1の分離用部位31(又は211)と、第2の端子部42(又は42F、222)と、第2の分離用部位41(又は212)と、を有する。第1の分離用部位31(又は211)は、第1の端子部32(又は221)につながっている。第2の端子部42(又は42F、222)は、第1の端子部32(又は221)に電気的に接続されている。第2の分離用部位41(又は212)は、第2の端子部42(又は42F、222)につながっている。第2の分離用部位41(又は212)は、第1の分離用部位31(又は211)に対して電気的に並列に接続されている。第1の分離用部位31(又は211)は、駆動された動作ピン8(又は8D)により第1の端子部32(又は221)から切り離される。第2の分離用部位41(又は212)は、駆動された動作ピン8(又は8D)により第2の端子部42(又は42F、222)から切り離される。第1の分離用部位31(又は211)が第1の端子部32(又は221)から切り離され始める第1タイミングは、第2の分離用部位41(又は212)が第2の端子部42(又は42F、222)から切り離され始める第2タイミングよりも早い。
第2の態様に係る遮断装置1E(又は1F)では、第1の態様において、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、動作ピン8の進行方向に並んでいる。
第3の態様に係る遮断装置1F(又は1M)では、第2の態様において、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31(又は211)と第2の分離用部位41(又は212)とは、動作ピン8(又は8D)の進行方向に間隔をあけて並んでいる。
第4の態様に係る遮断装置1Eでは、第2の態様において、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31は、第2の分離用部位41と接触又は接合している。
第5の態様に係る遮断装置1E(又は1F)では、第1〜4の態様のいずれか1つにおいて、第1タイミングよりも前の時点において、第1の分離用部位31に流れる電流の方向における第1の分離用部位31の電気抵抗値は、第2の分離用部位41に流れる電流の方向における第2の分離用部位41の電気抵抗値よりも小さい。
第6の態様に係る遮断装置1E(又は1F)では、第1〜5の態様のいずれか1つにおいて、第2の分離用部位41の融点は、第1の分離用部位31の融点よりも高い。
第7の態様に係る遮断装置1H(又は1N)は、ガス発生器7と、動作ピン8と、導電体2(又は2B)と、マスク14(又は14A、14B、14N)と、を備える。ガス発生器7は、燃料74を燃焼させることによりガスを発生する。動作ピン8は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動される。導電体2(又は2B)は、外部電路EC10の2つの端子208間を電気的に接続する。マスク14(又は14A、14B、14N)は、電気絶縁性を有する。導電体2(又は2B)は、端子部22(又は22B)と、分離用部位21(又は21B)と、境界部分23(又は23B)と、を有する。分離用部位21(又は21B)は、端子部22(又は22B)につながっている。境界部分23(又は23B)は、端子部22(又は22B)と分離用部位21(又は21B)とを連結する。分離用部位21(又は21B)は、駆動された動作ピン8(又は8D)により端子部22(又は22B)から切り離される。端子部22(又は22B)は、隣接部220(又は220B)を含む。隣接部220(又は220B)は、境界部分23(又は23B)に隣接する。所定の方向において、隣接部220(又は220B)の寸法は、境界部分23(又は23B)の寸法よりも大きい。上記所定の方向は、境界部分23(又は23B)に流れる電流の方向と交差する。マスク14(又は14A、14B、14N)は、隣接部220(又は220B)を覆う。
第8の態様に係る遮断装置1Hでは、第7の態様において、導電体2は、溝24を有する。溝24は、境界部分23を底部とし隣接部220を側部とする。
第9の態様に係る遮断装置1Hでは、第7又は8の態様において、動作ピン8の進行方向において、隣接部220の寸法は、境界部分23の寸法よりも大きい。
第10の態様に係る遮断装置1Nでは、第7〜9の態様のいずれか1つにおいて、動作ピン8の進行方向と直交し、かつ、境界部分23Bに流れる電流の方向と交差する方向において、隣接部220Bの寸法は、境界部分23Bの寸法よりも大きい。
第11の態様に係る遮断装置1は、ガス発生器7と、動作ピン8と、導電体2と、を備える。ガス発生器7は、燃料74を燃焼させることによりガスを発生する。動作ピン8は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動される。導電体2は、分離用部位21と、端子部22と、を有する。分離用部位21は、電路EC1の一部を構成する。端子部22は、分離用部位21につながっている。端子部22は、電路EC1の一部を構成する。分離用部位21は、駆動された動作ピン8により端子部22から切り離される。分離用部位21と端子部22との境界部分23の破断強度は、端子部22のうち境界部分23に隣接する部位(隣接部220)の破断強度以下である。
第12の態様に係る遮断装置1では、第11の態様において、導電体2において、分離用部位21と端子部22との境界部分23には、溝24が形成されている。
第13の態様に係る遮断装置1Aでは、第11又は12の態様において、動作ピン8の進行方向において、分離用部位21Aの寸法は、分離用部位21Aに隣接する端子部22Aの寸法よりも小さい。
第14の態様に係る遮断装置1Bでは、第11〜13の態様のいずれか1つにおいて、動作ピン8の進行方向及び導電体2Bに流れる電流の方向と直交する方向において、分離用部位21Bの寸法は、端子部22Bの寸法よりも小さい。
第15の態様に係る遮断装置1は、第7〜14の態様のいずれか1つにおいて、収容部9を更に備える。収容部9は、収容空間98を有する。収容空間98は、端子部22から切り離された分離用部位21を収容する。
第16の態様に係る遮断装置1Cは、第15の態様において、永久磁石61を更に備える。分離用部位21Cは、動作ピン8の進行方向において動作ピン8と収容空間98Cとの間に位置する。永久磁石61は、導電体2Cに流れる電流に対して収容空間98Cに近づく向きのローレンツ力が作用するように配置されている。
第17の態様に係る遮断装置1は、第15又は16の態様において、消弧部材13を更に備える。消弧部材13は、消弧作用を有する。消弧部材13は、収容空間98に配置される。
第18の態様に係る遮断装置1では、第15〜17の態様のいずれか1つにおいて、分離用部位21が動作ピン8により端子部22から切り離された後、動作ピン8の外周面822は、収容部9の収容空間98における内面(内周面953)に接する。
第19の態様に係る遮断装置1では、第15〜18の態様のいずれか1つにおいて、分離用部位21が動作ピン8により端子部22から切り離された後、動作ピン8は、動作ピン8の進行方向における先端86と、収容部9の収容空間98における内面(内底面954)との間に、分離用部位21を挟む。
第20の態様に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、第7〜19の態様のいずれか1つにおいて、導電体2E(又は2F、2M)は、分離用部位を複数有する。複数の分離用部位のうちの2つを第1の分離用部位31(又は211)及び第2の分離用部位41とする。動作ピン8は、第1の分離用部位31(又は211)を押すことで第1の分離用部位31(又は211)を端子部(第1の端子部32又は221)から切り離し、第2の分離用部位41(又は212)を押すことで第2の分離用部位41(又は212)を端子部(第2の端子部42、42F又は222)から切り離す。複数の分離用部位が端子部から切り離される前、動作ピン8(又は8D)の進行方向において、第1の分離用部位31(又は211)と動作ピン8(又は8D)との間の距離は、第2の分離用部位41(又は212)と動作ピン8(又は8D)との間の距離L1(又はL2)よりも短い。
第21の態様に係る遮断装置1Dでは、第7〜20の態様のいずれか1つにおいて、導電体2Dは、分離用部位21Dを複数有する。複数の分離用部位21Dのうちの2つを第1の分離用部位211及び第2の分離用部位212とする。第1の分離用部位211と第2の分離用部位212とは、電気的に直列又は並列に接続されている。動作ピン8Dは、第1の分離用部位211を押すことで第1の分離用部位211を端子部22Dから切り離し、第2の分離用部位212を押すことで第2の分離用部位212を端子部22Dから切り離す。複数の分離用部位21Dが端子部22Dから切り離される前、動作ピン8Dの進行方向において、第1の分離用部位211と第1の分離用部位211に対向する動作ピン8Dとの間の距離は、第2の分離用部位212と第2の分離用部位212に対向する動作ピン8Dとの間の距離と等しい。
第22の態様に係る遮断装置1J(又は1K、1L)は、第7〜21の態様のいずれか1つにおいて、ストッパ15(又は15K、15L)を更に備える。ストッパ15(又は15K、15L)は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により動作ピン8(又は8J)が駆動される前の状態のとき、動作ピン8(又は8J)が移動することを制限する。動作ピン8(又は8J)は、ガスの圧力により駆動されることによってストッパ15(又は15K、15L)を破断して、分離用部位21を端子部22から切り離すように移動する。
第23の態様に係る遮断システム100は、第1〜22の態様のいずれか1つに係る遮断装置1を複数備える。複数の遮断装置1は、電気的に直列、並列又は直並列に接続されている。
第24の態様に係る遮断装置1E(又は1F、1M)は、ガス発生器7と、動作ピン8(又は8D)と、導電体2E(又は2F、2M)と、を備える。ガス発生器7は、燃料74を燃焼させることによりガスを発生する。動作ピン8(又は8D)は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により駆動される。導電体2E(又は2F、2M)は、外部電路EC10の2つの端子208間を電気的に接続する。導電体2E(又は2F、2M)は、第1の端子部32(又は221)と、第1の分離用部位31(又は211)と、第2の端子部42(又は42F、222)と、第2の分離用部位41(又は212)と、を有する。第1の分離用部位31(又は211)は、第1の端子部32(又は221)につながっている。第2の端子部42(又は42F、222)は、第1の端子部32(又は221)に電気的に接続されている。第2の分離用部位41(又は212)は、第2の端子部42(又は42F、222)につながっている。第2の分離用部位41(又は212)は、第1の分離用部位31(又は211)に対して電気的に並列に接続されている。動作ピン8(又は8D)は、第1の方向に移動可能である。第1の分離用部位31(又は211)及び第2の分離用部位41(又は212)は、第2の方向に延在している。第2の方向は、第1の方向と直交する。少なくとも第1の分離用部位31(又は211)は、駆動された動作ピン8(又は8D)により第1の端子部32(又は221)から切り離される。動作ピン8(又は8D)が駆動される前は、第3の方向から見て、動作ピン8(又は8D)と第2の分離用部位41(又は212)との間の第1の方向の距離L1(又はL2)は、動作ピン8(又は8D)と第1の分離用部位31(又は211)との間の第1の方向の距離よりも大きい。第3の方向は、第1の方向と第2の方向とに直交する。
第25の態様に係る遮断装置1E(又は1F)では、動作ピン8が駆動される前は、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、第1の方向に並んでいる。
第26の態様に係る遮断装置1Fでは、動作ピン8が駆動される前は、第1の分離用部位31と第2の分離用部位41とは、第1の方向に間隔をあけて並んでいる。
第27の態様に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、第2の方向における第1の分離用部位31(又は211)の電気抵抗値は、第2の方向における第2の分離用部位41(又は212)の電気抵抗値よりも小さい。
第28の態様に係る遮断装置1E(又は1F)では、第2の分離用部位41の融点は、第1の分離用部位31の融点よりも高い。
第29の態様に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、第1の方向における第1の分離用部位31(又は211)の厚みは、第1の方向における第2の分離用部位41(又は212)の厚みよりも大きい。
各位置決め部材62には、凹部623が形成されている。各位置決め部材62における凹部623は、互いにつながっている。各位置決め部材62における凹部623の内側の空間981は、2つの端子部22Cから切り離された分離用部位21Cを収容する収容空間98Cの一部である。第2ボディ95Cのうち、各位置決め部材62における凹部623を介して分離用部位21Cと対向する部位には、空間981につながった凹部952Cが形成されており、凹部952Cの内側の空間982は、収容空間98Cの一部である。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、導電体2E(又は2F、2M)は、分離用部位を複数有する。複数の分離用部位のうちの2つを第1の分離用部位31(又は211)及び第2の分離用部位41(又は212)とする。動作ピン8は、第1の分離用部位31(又は211)を押すことで第1の分離用部位31(又は211)を端子部(第1の端子部32又は221)から切り離し、第2の分離用部位41(又は212)を押すことで第2の分離用部位41(又は212)を端子部(第2の端子部42、42F又は222)から切り離す。複数の分離用部位が端子部から切り離される前、動作ピン8(又は8D)の進行方向において、第1の分離用部位31(又は211)と動作ピン8(又は8D)との間の距離は、第2の分離用部位41(又は212)と動作ピン8(又は8D)との間の距離L1(又はL2)よりも短い。
また、実施形態6及び実施形態6の変形例1、2に係る遮断装置1E(又は1F、1M)では、導電体2E(又は2F、2M)は、分離用部位を複数有する。複数の分離用部位のうちの2つを第1の分離用部位31(又は211)及び第2の分離用部位41(又は212)とする。動作ピン8(又は8D)は、第1の分離用部位31(又は211)を押すことで第1の分離用部位31(又は211)を端子部(第1の端子部32又は221)から切り離し、第2の分離用部位41(又は212)を押すことで第2の分離用部位41(又は212)を端子部(第2の端子部42、42F又は222)から切り離す。動作ピン8(又は8D)が第1の分離用部位31(又は211)を押すタイミングは、動作ピン8(又は8D)が第2の分離用部位41(又は212)を押すタイミングよりも早い。
動作ピン8Gの2つの押圧片892のうち一方が第1の分離用部位を押すタイミングは、2つの押圧片892のうち他方が第2の分離用部位を押すタイミングと同じである。つまり、2つの押圧片892が2つの分離用部位21に接しているので、ガス発生器7(図3参照)で発生したガスの圧力により動作ピン8Gが駆動されると、2つの押圧片892は、2つの分離用部位21を同時に押す。これにより、導電体2Gにおいて、2つの分離用部位21が同時に、2つの端子部22及び連結部26から切り離され始める。そして、2つの分離用部位21の各々が2つの端子部22及び連結部26から完全に切り離される。また、2つの分離用部位21のうち一方が動作ピン8Gにより完全に切り離され始めるタイミングと他方の分離用部位が動作ピン8Gにより完全に切り離され始めるタイミングとは、同じである。