JPWO2020059714A1 - 化粧道具およびアイラッシュカーラー - Google Patents

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Abstract

一般的な金属製の形状から大型化することなく、強度を担保して、金属製と同様の操作ができる、樹脂製の化粧道具。ヤング率が2500N/mm2〜40000N/mm2の樹脂材料で形成され、少なくとも最大応力発生箇所は断面係数が5mm3〜40mm3に構成される化粧道具(1)。

Description

本発明は、化粧道具およびアイラッシュカーラーに関する。
一般的に、アイラッシュカーラー(まつげカール器、ビューラー)は、梃子の原理を用いた構成であって、2本の指を用いるステンレス等の金属で形成されている。
しかし、一般的な梃子の原理を用いた金属製のアイラッシュカーラーでは、把持部では1本の金属棒をひねってリング状に成形され、他の部分では金属棒が2本並んで延伸しているため、把持部において金属断面が細く、ホールド性が悪かった。また、金属アレルギーの人は使用できなかった。
そこで、金属アレルギーを防いだり、肌あたりをやさしくするため、肌に接触する部分として、指が接触する把持部や、まぶたが接触する当接面等に対応する部分を、金属の上から樹脂で部分的に覆ったり、部分的に一部の部材を樹脂で構成するアイラッシュカーラーが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
また、外側に金属を使用せずに、外側全体が樹脂製のアイラッシュカーラーとして、バネを有するアイラッシュカーラーが存在する(例えば、特許文献3)。
日本国実用新案出願公開昭和59−40002号公報 日本国特開2007−68695号公報 日本国特開2004−57581号公報
しかし、特許文献1や2のように、金属製のアイラッシュカーラーの一部に樹脂部を取りつけたり、一部を樹脂で置き換えたりすると、金属単体のアイラッシュカーラーと比較して、組立てのための製造工程が多くなる分、生産性が低下してしまった。
また、一般的な金属製の形状と同じ形状で樹脂製のアイラッシュカーラーを作成しようとすると、挟み込みに強度が足りないため、特許文献3に示す、外側全体の樹脂製のアイラッシュカーラーは、挟み込みのためのバネを有し、複雑で大型な構成であって、梃子を用いる一般的な金属製のアイラッシュカーラーと比較して、外観が類似せず、操作方法が異なっていた。
そこで、本発明は上記事情に鑑み、一般的な金属製の形状よりも大型化することなく、強度を担保して、金属製と同様の操作ができる、樹脂製の化粧道具の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、
ヤング率が2500N/mm2〜40000N/mm2の樹脂材料で形成され、少なくとも最大応力発生箇所は断面係数が5mm3〜40mm3に構成される化粧道具、を提供する。
一態様によれば、樹脂製の化粧道具において、一般的な金属製の形状よりも大型化することなく、強度を担保して、金属製と同様の操作ができる。
本発明の第1実施形態のアイラッシュカーラーの全体図。 図1のアイラッシュカーラーの分解図。 比較例の金属製のアイラッシュカーラーの図。 アイラッシュカーラーを、はねだし単純梁構造に近似した場合の支点と荷重点を説明する図。 力を受ける部分である固定部材及び力点部材を構成する梁の断面形状の一例であって、一例の断面の幅(奥行)(x)及び高さ(y)の説明図。 金属製アイラッシュカーラーの使用時の人によるまつげクランプ圧を、ハンドメイド式測定器で測定した測定結果。 SUS製と、6PA+GF55%樹脂製のアイラッシュカーラーを比較する判定表。 6PA+GF55%樹脂を素材として、梁の幅x及び高さyを変化させることで断面係数を変化させた判定表。 素材別、断面係数毎の判定結果を示す表。 断面係数とヤング率で規定された本発明の素材の推奨範囲を示す図。 第1実施形態の樹脂製アイラッシュカーラーの一例の各部の断面係数を示す図。 6PA+GF55%樹脂で構成された、アイラッシュカーラー1に対する解析条件を示す図。 6PA+GF55%樹脂で構成された、図11のアイラッシュカーラー1において第2の解析条件で解析を行った際の、応力の分布を示す図。 6PA+GF55%樹脂で構成された、図11のアイラッシュカーラー1において第2の解析条件で解析を行った際の、変形量の分布を示す図。 比較例の係る金属製のアイラッシュカーラー9の各部の断面係数を示す図。 金属製のアイラッシュカーラー9と、6PA+GF55%樹脂で構成された図11のアイラッシュカーラー1の、持ち手が接触した際のクランプ圧を示す表。 装置により徐々に変化する荷重を与えてグリップ力、クランプ圧を測定するためのハンドメイド式の測定機構及び第1の測定機による荷重位置を示す図。 6PA+GF55%樹脂で構成された、図11のアイラッシュカーラー1と、金属製アイラッシュカーラー9のグリップ力を図17に示す測定環境で測定した際の測定結果の比較を示す図。 6PA+GF55%樹脂で構成された、図11のアイラッシュカーラー1と、金属製アイラッシュカーラー9のクランプ圧を図17に示す測定環境で測定した際の測定結果の比較を示す図。 6PA+GF55%樹脂で構成された、図11のアイラッシュカーラー1の使用時の人によるまつげクランプ圧を、ハンドメイド式測定器で測定した測定結果。 金属製のアイラッシュカーラー9の、使用時の人によるまつげクランプ圧を、センサーシートを用いて測定した測定結果。 6PA+GF65%樹脂で構成された、図11のアイラッシュカーラー1の使用時の人によるまつげクランプ圧を、センサーシートを用いて測定した測定結果。 本発明の第2実施形態のアイラッシュカーラー2の構成図。 図23のアイラッシュカーラー2の分解図。 第2実施形態のアイラッシュカーラー2の寸法例を示す図。 装置により徐々に変化する荷重を与えてグリップ力、クランプ圧を測定するためのセンサーシートによる測定機構及び第2の測定機による荷重位置を示す図。 金属製、6PA+GF55%樹脂で構成された第1実施形態、6PA+GF55%樹脂で構成された第2実施形態、PAMXD6+GF50%樹脂で構成された第2実施形態の、4つアイラッシュカーラーの持ち手の荷重点に加えたグリップ力(荷重)を、図26に示す測定環境で測定した際の測定結果。 金属製、6PA+GF55%樹脂で構成された第1実施形態、6PA+GF55%樹脂で構成された第2実施形態、PAMXD6+GF50%樹脂で構成された第2実施形態の、4つアイラッシュカーラーのクランプ圧を、図26に示す測定環境で測定した際の測定結果。 測定条件の変換表。 本発明の一例に係る樹脂製の部分用アイラッシュカーラーの一例を示す図。 本発明の他の例に係る樹脂製の部分用アイラッシュカーラーを示す図。 図10で示した断面係数及びヤング率を有する樹脂製の美容用ピンセントの例を示す図。 図10で示した断面係数及びヤング率を有する樹脂製の美容用はさみの例を示す図。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
本発明は、樹脂製の化粧道具、例えば、アイラッシュカーラー(まつ毛全域用アイラッシュカーラー、部分用アイラッシュカーラー)、ピンセット、美容用はさみ等に関する。
<第1実施形態>
図1は、化粧道具の一例である、本発明の第1実施形態のアイラッシュカーラーの全体図である。図2は、図1のアイラッシュカーラーの分解図である。
本実施形態のアイラッシュカーラー1は、一般的な金属製のアイラッシュカーラーと類似した構成であって、後述する樹脂によって一体的に形成される。
アイラッシュカーラー1は、固定部材10と、力点部材20と、作用部材30と、を有している。
固定部材(支持部)10は、上側プレス部11と、支柱部12A,12Bと、分岐支柱部13A,13Bと、アーム14と、持ち手16を有している。アーム14には、係合穴部15が形成されている。
上側プレス部(当接部材、上挟片、フレーム)11は、上まつ毛をカールさせる際、上まつ毛の上面と当接する部分である。
支柱部12A,12Bは、上側プレス部11の幅方向の両端部から一体的に連接して形成され、上下方向に延伸している。分岐支柱部13A,13Bは、上端が支柱部12A,12Bの下端と連接され、V字状に下側の間隔が窄まって、下端がアーム14に連接している。支柱部12A,12B及び分岐支柱部13A,13Bは、支柱として機能する。
アーム部(第1のアーム部)14は、上側プレス部11と持ち手16との間を接続する延伸部である。また、本例では、アーム14は、持ち手16の内側の部分と同じ方向に延伸している。
持ち手(ハンドル、指環、取っ手、把持部)16は、指が入る指孔が形成されたリング形状である。持ち手16の指穴には、使用者が自分でまつ毛をカールする際、使用者の親指が挿入される。あるいは、メイクアップアーティスト等の施術者によってまつ毛をカールしてもらう際は、施術者の人差し指、中指、又は薬指が持ち手16に挿入される。持ち手の内周部が指掛かり部となる。
本発明において、固定部材10は、持ち手16と、上下方向に延伸するアーム14と、該アーム14から2つに分岐して上側プレス部11の両端部を支持する一対の支柱12A,13A,12B,13Bと、上側プレス部11とが一体的に形成されている。
ここで、図1に示すように、アーム14は、分岐点から持ち手16まで一本で延伸しており、持ち手16の幅(奥行)及び高さ(厚み)は、アーム14の幅及び高さと同じ太さである。
また、アーム14に形成された係合穴部15を形成する両側の側面には幅方向に貫通する、小孔151A,151Bが形成されている。
力点部材20は、アーム部21,24と持ち手25を有している。先端側のアーム21には、第1の係合孔(先端側係合孔)22と、第2の係合孔23とが形成されている。延伸部(アーム部、第2のアーム)21,24は、先端部から連結部を超えて延伸する先端側アーム21と、先端側アームとは延伸方向が異なり、持ち手25の内側の部分同じ方向に延伸する後端側アーム24を有している。
力点部材20の先端側アーム21が、持ち手25とは反対側の先端側の端部から、固定部材10の係合穴部15に挿入され、第2の係合孔23と、係合穴部15の側面の小孔151A,151Bとが一致した状態で、第2の係合孔23及び小孔151A,151Bを貫通するように、ピン軸PS2で係止される。
この係合により、ピン軸PS2を回転軸として、力点部材20が固定部材10に対して回転することができる。
力点部材20を固定部材10に対して回転させる際に、図2に示す固定部材10のアーム14、及び力点部材20のアーム部21,24は、応力発生範囲である。応力発生範囲には、最も応力が大きくなる最大応力発生箇所を含んでいる。なお、応力発生範囲とは、応力が大きく発生する部位であって、他の部位にも、応力は発生している。最大応力発生箇所の詳細については、図13とともに後述する。
持ち手(ハンドル、指環、取っ手、把持部)25は、指が入る指孔が形成されてリング形状である。持ち手25の指穴には、使用者が自分でまつ毛をカールする際、使用者の人差し指、中指、又は薬指が挿入される。あるいは、施術者によってまつ毛をカールしてもらう際は、施術者の親指が持ち手25に挿入される。持ち手25の指孔の内周縁を規定し、アーム部24から略同一線状に延伸する部分が指掛かり部となって、実際に挟み込むように動かす際の荷重点C(図4参照)となる。
力点部材20は、持ち手25と延伸するアーム部24とが一体的に形成されており、力点部材20において、アーム部21,24は一本で形成され、持ち手25と同じ太さである。
作用部材(連動部、昇降部)30は、下側プレス部31と、リンク部32A,32Bと連結部33を有している。
上まつ毛をカールする際に、図1に示す状態でアイラッシュカーラー1は把持され、下側プレス部(下当接部材、挟圧片)31は、上側プレス部11との間に挟んだまつ毛の下面を下側から押し上げて、上まつ毛を上向きに癖付けする。
また、下まつ毛をカールする際に、アイラッシュカーラー1は図1とは上下逆さまに把持され、下側プレス部31は、上側プレス部11との間に挟んだまつ毛の上面を、上側から押し下げて、下まつ毛を下向きに癖付けする。
リンク部(昇降支柱)32A,32Bは、上端が下側プレス部と連接され、略V状に傾斜して、下端が連結部33と連接している。
連結部33は立体的なU字(コの字)状の形状である。そして、連結部33を形成する両側の側面には幅方向に貫通する、小孔331A,331Bが形成されている。
力点部材20の先端側アーム21の先端が、作用部材30の連結部33のU字の内側に挿入され、先端側係合孔22と、連結部33の側面の小孔331A,332Bとが一致した状態で、先端側係合孔22及び小孔331A,332Bを貫通するように、ピン軸PS1で係止される。
この係合により、ピン軸PS1を回転軸として、力点部材20が回転した際に、作用部材30は一緒に連動して上下に昇降することができる。
また、下側プレス部31の左右の両端には、一部を欠いた略円形状(フック形状)の係合フック(係合部)311A,311Bが設けられている。係合フック311A,311Bが、一対の支柱12A,12Bに対して係合することで、固定部材10の支柱12A,12Bに沿ってスライド移動可能になる。
なお、使用の際には、下側プレス部31の上面の溝には、弾性部材であるクリッパーゴムR(図17(a)参照)が挟まれて、セットされる。
この構成により、一端側の持ち手25を持ち手16に近づけるように移動させると、力点部材20は、第2の係合孔23及び小孔151A,151Bとの連結部であるピン軸PS2を支点(支点B)として回動することで、他端側の作用部材30との連結部33との連結する先端側係合孔22が、持ち手25の移動とは反対の方向に上下に移動し、作用部材30がピン軸PS1とともに、押し上げられる。
これより、持ち手25を移動させることで、作用部材30は、先端側係合孔22の昇降に応じて、係合フック311A,311Bが、固定部材10の支柱12A,12Bに沿ってスライドしながら、下側プレス部31を昇降させる。
また、力点部材20は、固定部材10の一部を支点として回動することで、作用部材30を上下に移動させる。
固定部材10の上側プレス部11に対して、作用部材30の下側プレス部31が接近し、弾性部材(クリッパーゴムR)と、上側プレス部11の間でまつ毛に圧力をかける(クランプする)ことで、まつ毛にくせを付ける。
アイラッシュカーラー1において、固定部材10と、力点部材20と、作用部材30は、それぞれ、樹脂で一体的に構成されているが、構成する樹脂の詳細については後述する。
なお、本実施形態において、力点部材20と作用部材30との連結部と、固定部材10と力点部材20との連結部において、それぞれの部材を連結するための連結軸であるピン軸(PS1,PS2)によって回転可能に固定されているが、ピン軸PS1,PS1を構成する素材は、樹脂や金属等、いずれの素材であってもよい。
なお、ピン軸PS1,PS2を樹脂で構成すると、アイラッシュカーラー1を構成する構成要素の全てが樹脂製になり、完全金属フリーが実現できる。
<比較例>
図3は、比較例の金属製のアイラッシュカーラー9の図である。図3に示すアイラッシュカーラー9は、一般的な金属製のアイラッシュカーラーの一例である。
金属製のアイラッシュカーラー9について、図1に示す本発明のアイラッシュカーラー1との構造面での相違点を下記説明する。
図3で示す金属製のアイラッシュカーラー9では、固定部材70は、上側プレス部(金属フレーム)11と、細い金属棒とが別々に形成された後、接着される。力点部材80は、一本の細い金属棒を変形することで成形されている。作用部材90は、下側プレス部(金属フレーム)91と、細い金属棒のフレームとが別々に形成された後、接着される。
詳しくは、固定部材70において、金属棒を加工することで、下端でリング状に捻って持ち手76を形成して、金属棒の上側の支柱72A,72Bに相当する両端部において、対向する部分には縦に長い切れ込み孔を形成しておく。この際、下端でリング状に捻られ、支柱部72A,73A,72B,73Bから持ち手76の手前までの、延伸部であるアーム74では、2本の細い金属棒(741,742)が接触した又は近接した状態で並んでいる。そして、金属棒である平行支柱72A,72Bの先端の内側面の切れ込み孔に金属フレームを挿入して溶着することで、上側プレス部71と平行支柱72A,72Bとが連結される。
力点部材80において、下端でリング状に捻って持ち手85を形成し、持ち手85から先端までの延伸部であるアーム部81,84では、2本の細い金属棒(811,812)、(841,842)が接触した状態で並んでいる。
作用部材90において、1本の金属を折り曲げて略V字形状にした金属棒の端部を、金属フレームである下側プレス部91に対して溶着することで、リンク部92A,92Bと下側プレス部91とが連結される。
また、作用部材90において、リンク部92A,92Bの略V字状の頂点が、力点部材80と連結される際、力点部材80の先端係合孔82に、細い金属棒が挿入された状態で折れ曲げられてリンク部92A,92Bの形状となった状態で、リンク部92A,92Bの上端が下側プレス部91に溶着される。このように、作用部材90の成形と、作用部材90と力点部材80との連結が同時に行われるため、製造後は作用部材90と力点部材80とは脱着しない。
この構成では、固定部材70及び力点部材80において、リングを形成する持ち手76,85では、2本にまとめられたアーム74、(81,84)に対して1本分の細さとなるため、持ち手76,85では、断面の円柱が細く、ホールド性が悪い。
これに対して、図1に示した本発明のアイラッシュカーラー1は、樹脂で構成されているため、固定部材10及び力点部材20において、アーム14(21,24)は一本で構成され、持ち手と同じ太さである。
本発明の構成では、固定部材10及び力点部材20において、持ち手16,25の断面形状をアーム部14,21,24と同じ太さにすることで、持ち手16,25を太くすることが出来、ホールド性が向上し、力をかけても指にめり込まず、痛くならないため、十分に力をかけることができる。
ここで、本発明者は、樹脂製のアイラッシュカーラーの強度検証のために、金属製のアイラッシュカーラーにおける力の掛かり方について検討し、実験を行った。
<形状の検討(はねだし単純梁の近似)>
前提として、アイラッシュカーラーは複雑な形状であるので、単純な形状に置き換えて形状算出を行った。
図4は、アイラッシュカーラーにおける力の掛かり方を近似して説明する図である。図4において、上図はアイラッシュカーラーにおける支点及び荷重点の位置を示す図、下図は、アイラッシュカーラーの支点及び荷重点をはねだし単純梁(片側集中荷重)に近似した図である。
睫毛を挟んだ瞬間はアイラッシュカーラーの回転部である力点部材20は回転を規制され、殆ど回転及び移動がないものと考えることが出来るため、アイラッシュカーラーの連結部は、支点A,Bに置き換えることが出来る。
荷重点Cは力点部材20の持ち手25とし、荷重Pは指からアイラッシュカーラーに加えられる力(グリップ力)とする。
ここで、固定部材10及び力点部材20が、はねだし単純梁の「梁」として機能し、荷重や作用について考慮する際、図5に示すように、力を受ける部分である固定部材10及び力点部材20から成る梁の断面の幅(奥行)(x)及び高さ(厚み)(y)が考慮される。
図5は、力を受ける部分である固定部材及び力点部材を構成するから成る梁の一例の断面の幅(奥行)(x)及び高さ(y)の説明図である。なお、図5に示す断面が四角形の梁の構成は一例であって、固定部材10及び力点部材20の断面形状は、図5に示す矩形に限られず、円形や、楕円形、半円形などの他の形状であってもよい。
また、図4に示した、「はねだし単純梁(片側集中荷重)」の公式では支点B周辺に発生する曲げモーメントMBが最大となる。
そこで、本発明者は、物体であるアイラッシュカーラーに外力(荷重P)が加わる場合を、金属製の既存のアイラッシュカーラーを基にした、シミュレーションにより、(図6〜図14参照)樹脂の選定を行った。
[グリップ力、クランプ圧の考察]
((実験例1))
樹脂製のアイラッシュカーラーの強度を確保するために、前提として、図3に示す比較例の金属製のアイラッシュカーラー9を用いた際のクランプ圧(クリップ圧)を調査する実験を行った。
本実験では、複数の被験者に、図3に示すアイラッシュカーラー9を用いて、通常使用時と同様に使用してもらい、その際のクランプ圧を測定した。金属製のアイラッシュカーラーは、一般的なステンレス製のものを用いた。
本実験において、6人の被験者を対象として、金属製のアイラッシュカーラーの使用時圧力であるクランプ圧を測定した。この際、まつ毛を挟む部分である、下側プレス部91の上に設置されるクリッパーゴムRの直下に圧力センサーR(図14参照)を設置したハンドメイド式の測定機構を用いて、睫毛を挟む圧力のクランプ圧を測定した。なお、クランプ圧は、自作の圧力センサーを用いて測定したため、指標であって、単位は設定していない。
図6に、金属製アイラッシュカーラー9の使用時のまつげクランプ圧を、ハンドメイド式測定機構で測定した測定結果を示す。図6の(a)〜(f)のグラフにおいて、縦軸はクランプ圧、横軸は時間(単位:秒)を示す。6人の被験者は、20代〜50代の男女であって、人物A、人物B、人物C、人物D、人物E、人物Fとする。
ここで、図6に示すように、クランプ圧の最大値は、それぞれ、328.26、498.34、380.67、318.58、238.9、257.33であった。
そこで、下記の樹脂製のアイラッシュカーラーに対するクランプ圧の最大値は、上記実験での最大値498.34に少し余裕を持たせて、クランプ圧500を目標値と設定して実験した。
(目標値に対応する圧力)
また、上述のように、実際の被験者が使用することでクリッパーゴムRに掛かる圧力は、クランプ圧として測定できるが、持ち手16,25にかかる力の人力によるクランプ圧を、持ち手への機械等で印加可能な荷重(外力)としての圧力(N)に換算するために数値について検討した。
まず、金属製のアイラッシュカーラー1でクランプ圧500となるときの荷重Pを、試験機とハンドメイド式の圧力センサー(図17(a)参照)で測定し導き出した値が、持ち手ごとに10Nである。詳しくは、クランプ圧が500(図19実線参照)の前後で、持ち手に印加する荷重であるグリップ力は17N〜21N(図18実線参照)であるため、略中央値の20Nとして、持ち手16,25両方で半分ずつに振り分けて10Nを導いた。
なお、P=10Nを用いて、上述の「はねだし単純梁(片側集中荷重)」における、支点B周辺に発生する曲げモーメントMBは、下記式で表される。
MB = P(荷重) ×b(長さ)
今回は、後述する構成例において、
a =12mm
b =50mmにより
MB = P ×b = 10(N) × 50 =500N・mmとなる。
この、持ち手への荷重10Nをカール効果が期待できる荷重値として考慮して、下記の素材の選定や、後述の耐久実験を行った。
<素材の選定>
((実験例2))
本発明者は、素材別に、固定部材10及び力点部材20である梁の幅(x)や高さ(y)を変化させて、機械的強度判定、成形性判定に基づいて、総合判定を行った。この際、外力(グリップ力)として、両方の持ち手に対して、上記で算出した10Nの荷重を印加した。
図7は、SUS製と、6PA+GF55%樹脂製のアイラッシュカーラーを比較する判定表を示す。
金属製のアイラッシュカーラー9は、一般的にステンレス製(SUS304)であることが多い。図7の6PA+GF55%樹脂のアイラッシュカーラー1は、一般的なステンレス製のアイラッシュカーラーを模して成形したものである。
ここで、ヤング率(N/mm2)は、同軸方向のひずみと応力の比例定数、縦弾性係数を示す。断面係数Z(mm3)は、部材の断面性能を表す指標であって、具体的には曲げに対する強さ・抵抗力である。
図7、図8における各条件での判定は、下記の基準で判断した。
機械的強度判定:使用時に材料に発生する応力値が材料そのものの強度以下なる場合になることで、力が加わるように剛性が確保できていることで判定した。
成形性判定:成形するに際し不良が発生しないかどうか判定した。
総合判定:機械的強度、成形性の総合的な判定である。
なお、これらの判定は、金属製アイラッシュカーラー1及び6PA+GF55%樹脂製アイラッシュカーラー1の断面係数4.5の構成を除き、CAE(Computer Aided Engineering)演算によるシミュレーション上の判定である。
図6の表に示すように、一般的なステンレス製(SUS304)の金属製のアイラッシュカーラー9は、持ち手16,25に10Nずつ荷重を掛けた際、固定部材10及び力点部材20からなる梁の幅xや、高さyが2.75mmと小さくても、引張強さ(強度)が十分に大きく、たわみ量が小さいため、すべての判定をクリアしている。
これに対して、例えばPA(ポリアミド)+GF(ガラスファイバー(ガラス繊維))55で、梁10,20の幅x、高さyが金属製と近い3mmの樹脂製のアイラッシュカーラーでは、たわみ量が大きくなるため、すべての判定が×(NG)になっている。
また、本発明者は、PA+GF55%樹脂について、梁部(固定部材10、力点部材20)の幅及び高さを徐々に変化させた場合について、図7と同様のシミュレーション上の判定を行った。
図8は、6PA+GF55%樹脂を素材として、梁の幅x及び高さyを変化させることで断面係数を変化させた判定表である。図8では、PA+GF55%の樹脂製のアイラッシュを用いて、梁の寸法(幅、高さ)を変化させて評価した結果を示す。
図8に示すように、PA+GF55%樹脂で構成した場合であっても、梁10,20の幅xや高さyを増加させることで、判定を「○」にすることができる。
上記の図8を算出した結果から射出成形時の肉厚に依る成形性、アイラッシュカーラーを使用時の操作性を考慮して、ヤング率が2500〜40000(N/mm2)の範囲の中で断面係数5〜40(mm3)が最適と思われる。その理由を下記説明する。
図9は複数の素材で、アイラッシュカーラーを形成して使用した際の評価結果であり、図10は、断面係数とヤング率で規定された本発明の素材の推奨範囲を示す図である。
詳しくは、図9は、所定の断面積と断面係数を有する素材であるSUS304(ステンレス)、ポリアミド(PA)、PAにガラスファイバー(GF)を55%加えた繊維強化樹脂、ナイロン6/10、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、GFポリアミドMXD6、CFポリアミドMXD6について、断面係数7.5〜32(mm3)を満たす寸法を有するアイラッシュカーラーを形成して使用した際の、評価結果である。
なお、ポリアミドMXD6は、メタキシリレンジアミン(MXDA)とアジピン酸とから得られる結晶性の熱可塑性ポリマーであって、ここで用いた、ガラス強化ポリアミドMXD(PAMXD6+GF50)は、ポリアミドMXD6にガラス繊維(GF)が50%配合された、市販のレニー(登録商標)1022Hを用いた。カーボン強化ポリアミドMXD6はポリアミドMXD6にカーボン繊維(CF)を40%配合された市販のレニーC408を用いた。
なお、繊維強化樹脂である「PA+GF55%」については、断面積を変化させることで、断面係数を変えて強度評価を行った。断面積を大きくすることで、断面係数が上がり、図10のグラフ上の位置が上方向に移動することになり、同じ素材であっても評価が良くなる。例えば、「PA+GF55%」の素材で、断面係数が4.5(mm3)の場合は、強度を満たさず、総合判定は「×」であったが、断面係数が15.05(mm3)の場合、及び断面係数が36(mm3)の場合、強度を満たし、総合判定は「〇」になった。
また、PBTについては、断面積を「PA+GF55%」と同様に大きくしても(断面係数=32(mm3)にしても)、強度評価を満たさなかった。
図10において、四角で囲んだ部分はシミュレーションにより設定した推奨範囲である。この推奨範囲は、ヤング率が2500〜40000(N/mm2)の素材で、断面係数5〜40(mm3)とした。
なお、この範囲において、樹脂のヤング率が大きいほど、断面係数を小さくできる。即ち、樹脂のヤング率が大きいほど、金属製のものに近づけるように細くしても、強度を確保することができる。使用者の操作性を考慮すると、断面係数は30(mm3)以下が好ましく、断面係数は20(mm3)以下であるとさらに好ましい。
逆に、ヤング率が小さく弱い樹脂であっても、断面係数を大きくすれば、シミュレーションにより強度は満たす可能性があるが、操作性を考慮して、断面積を大きくし過ぎないように、断面係数の上限値を40(mm3)に設定した。
そこで、断面積を大きくせずに、樹脂を含んだ素材の強度を上げて、図10の推奨範囲に入れるためには、アイラッシュカーラーを構成する素材は、樹脂に、ガラス繊維(GF)を配合した繊維強化樹脂によって形成すると好適である。例えば、同じ断面係数を有する樹脂にガラス繊維を加えると、ヤング率が大きくなり、図10のグラフ上の位置が右方向に移動することになる。また、ガラス繊維に加えて、あるいは、ガラス繊維に代えて、CF(カーボンファイバー、カーボン繊維)を混合してもよい。例えば、繊維強化樹脂では、ガラス繊維(GF)又はカーボン繊維(CF)を、30質量%以上、65質量%以下、配合すると好適である。
このGFやCFの添加により、樹脂材料そのもの(例えば、PA)が持つ変形や破断に対して、剛性を強化することができる。一般的なヤング率の数値は、PA:1200〜2900Mpa等であるが、ガラス繊維を添加することで、ヤング率を上昇させる(例えば、4725Mpaにする)ことができる。よって、金属に近いまつ毛を挟む圧力を得ることができる。
ガラス繊維と混合される樹脂は、ファイバーが配合可能な樹脂であれば特に制限はない。例えば、樹脂の例として、ポリアミド(PA)(様々なナイロンを含む)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドMXD6等である。
なお、図9に示さなかった樹脂のヤング率の一例として、PEEKのヤング率は3900MPa程度、ガラス繊維強化PEEKは6300MPa程度、PETのヤング率は2800〜4200MPa程度、ガラス繊維強化PETは9000〜9900MPa程度、PETG、ガラス強化PETGのそれぞれのヤング率はPET、ガラス強化PETよりも少し大きい程度、PPSは3300MPa程度、ガラス繊維強化PPSは3900MPa程度である。なお、ガラス繊維強化樹脂は、ガラス繊維の配合割合によって、ヤング率が変化する。
なお、樹脂単体で強い強度を有するもの、例えば特殊なポリアミドMXD6の単体などにおいて、ガラス繊維やカーボンで強化しなくても、5000(N/mm2)以上のヤング率を有している場合、シミュレーションにより強度が補償できれば、断面係数5〜40(mm3)の範囲のいずれの太さでも、本発明のアイラッシュカーラーの素材として採用可能である。
また、特殊な樹脂でなくても、樹脂のヤング率が2500(N/mm2)以上であれば、ナイロン6/10や、PA、PEEK、PET、PETG、PPSなどであっても、上記推奨範囲内において断面係数を大きく設定することで、ガラス繊維を混合せずに、単体でアイラッシュカーラーを形成することができる。この場合、ナイロン6/10以外のこれらの樹脂単体では、ヤング率が2500(N/mm2)〜5000(N/mm2)程度であると見込まれるため、成形において断面係数を、上記推奨範囲の下端から少し離れた、例えば10(mm3)以上に設定すれば、樹脂単体でも、所定の強度を実現可能であり、本発明のアイラッシュカーラーの素材として採用することができる。
ここで、使用者の指の力が直接かかる固定部材10及び力点部材20における、応力発生範囲については、上記推奨範囲内のヤング率及び断面係数を満たすことが好ましいが、間接的に力がかかり昇降動作を行う作用部材30のリンク部32A,32Bの断面については、上記推奨範囲のヤング率を満たせば、断面係数は推奨範囲よりも小さくてもよい。
なお、ここでは、PA+GF55%について検討したが、アイラッシュカーラーを構成する強化樹脂(グラスファイバー)において、ガラスファイバーの含有量を増やした、PA+GF65%で形成すると、さらに強度を上昇させることもできる。
さらに、本発明者は、上記で選定した素材の数値範囲に含まれる素材の一例を用いて、特定の寸法の第1実施形態のアイラッシュカーラーについて応力及び変形量の解析を行った。
<第1実施形態と解析>
((実験例3))
本発明者は、CAE(Computer Aided Engineering)によって強度を担保できる寸法として、図11に示す寸法の第1実施形態に係るアイラッシュカーラーを形成し、解析、測定実験を行った。
図11は、第1実施形態の樹脂製アイラッシュカーラー1の一例における各部の断面係数を示す図である。
後述の解析や実験で用いるアイラッシュカーラー1では、図11で示した下記寸法で形成した。これの寸法は、CAEによって、強度を担保できる寸法として算出された寸法に相当している。
この構成では、下記の断面係数に設定されている。
固定部材10の断面係数Z=14.98mm3
力点部材20の持ち手側の断面係数Z=14.98mm3
力点部材20の先端側の断面係数Z=10.92mm3
作用部材Cの支持部の断面係数Z=1.57mm3
なお、力点部材20において、支点Aと支点Bに挟まれた部分を太くし過ぎると、力点部材の回転時に、先端側アーム21の先端部の移動に際して操作性が低下するおそれがあり、また、力点部材20において、上述の図4で示したように、持ち手25側の変位量が大きいため、後端側が太くすることが望まれる。そのため、上記のように、力点部材20の先端側アーム21において、太さを2段階に設定した。
なお、上記断面係数は矩形を前提として算出しているが、断面は、円や六角形など等であってもよい。
図12は、6PA+GF55%樹脂で構成された、アイラッシュカーラー1に対する解析条件を示す図である。
図12に示すように、固定部材10の上端部である上側プレス部11の両端とXYZ軸を固定して、固定部材10と、力点部材20との交点であるヒンジ部(支点B)とを、摩擦なしで固定した。
荷重として、持ち手部16,25に、25N+25Nの力を加えた。持ち手部16,25への荷重25Nはグリップ力50Nに相当する。なお、本実験で持ち手16,25へ印加する25N+25Nの荷重は、通常使用時よりも大きい荷重(負荷)である。
これらの解析条件を用いて、本発明者は、図11のアイラッシュカーラー1における応力及び変形量についてCAE解析を行った。
図13は、6PA+GF55%樹脂で構成された、図11のアイラッシュカーラー1において第2の解析条件で解析を行った際の、応力の分布を示す図である。
図13で示すように、応力は、図4に示したはねだし単純梁(片側集中荷重))の構造から矛盾せず、固定部材10と力点部材20との連結部である支点B付近で最大応力が発生している。本構成では、力点部材20では、支点Bを挟んで高さ(y)が変化するため、支点B周辺において、高さが短くなった先端側に、応力が大きく発生する。なお、固定部材10及び力点部材20における、最大応力発生箇所は、図2で示した応力発生範囲であるアーム14及びアーム部21,24の範囲内である。
図13では、通常使用時よりも大きい荷重をかけて、力点部材20の先端側アーム21の支点B周辺に、163.6MPaの応力がかかっている例を示しているが、通常使用時においても、応力が掛かりやすい部分は、同様である。
図14は、6PA+GF55%樹脂で構成された、のアイラッシュカーラー1において第1の解析条件で解析を行った際の、変形量の分布を示す図である。
本実験では持ち手の移動量である変位量は指定しなかったが、図14に示す変形量は、両側の持ち手16,25に25Nずつ機械的な圧力を掛けても、持ち手16,25の内側同士は接触しないことがわかる。
((実験例4))
また、本発明者は、図3に示す金属製のアイラッシュカーラー9と、図11に示す樹脂製アイラッシュカーラー1を、持ち手16,26が接触し始めるまで押し込んで、クランプ圧を測定する比較実験を行った。
そのため、比較に用いた金属製のアイラッシュカーラー9の寸法について、図15に示す。図15は、図3に示す比較例の金属製アイラッシュカーラー9の寸法の一例を示す図である。
各部の断面係数は下記の通りである。
固定部材10、力点部材20の断面係数Z=2mm3
作用部材30の断面係数Z=0.33mm3
図16は、持ち手同士が接触を開始した際の、クランプ圧の測定結果を示す。本実験では、図17(a)に示すようにクリッパーゴムRの直下に圧力センサー210を設置して、クランプ圧を測定した。
それぞれのアイラッシュカーラーの寸法の違いにより、持ち手16,25(76,85)の対向する面が接触し始めるまでの・変位量(移動量)は異なる。なお、樹脂製のアイラッシュカーラー1と金属製のアイラッシュカーラー9とを比較して、変位量は、持ち手16,25の指穴の内周側の指が接触する部分の移動量に相当するため、梁の寸法が太くなると、その分変位量が少し増える。
なお、比較例に係る金属製アイラッシュカーラー9は、以後実験では、SUS304ステンレスで構成された図15の寸法例のものを用いる。また、本実験で、図18、図19を測定した際の図11の寸法のアイラッシュカーラー1は、6PA+GF55%の樹脂で構成されている。
図16に示したように、金属製のアイラッシュカーラー9の持ち手同士が接触し始めるのは23mm変位したときで、その際のクランプ圧は750である。樹脂製の図11のアイラッシュカーラー1の持ち手同士が接触し始めるのは23mm変位したときで、その際のクランプ圧は744である。
持ち手同士が接触する状態のクランプ圧は、最大クランプ圧に相当する。図16からわかるように、図11の寸法の樹脂製のアイラッシュカーラー1では、最大クランプ圧は、金属製に近い744となった。そのため、図11のアイラッシュカーラー1では、金属製と同等の最大クランプ圧が達成できる。
((実験例5))
本発明者は、図11に示した寸法の樹脂製アイラッシュカーラー1と、図15に示した寸法の金属製アイラッシュカーラー9のグリップ力とクランプ圧を測定した。
図17は、装置により徐々に変化する荷重を与えてグリップ力、クランプ圧を測定するためのハンドメイド式の測定機構及び第1の測定機による荷重位置を示す図である。図17において(a)はクランプ圧を測定するための測定機構(ハンドメイド式の圧力センサー)を示す図であり、(b)は第1の試験機によってアイラッシュカーラーを固定する位置と荷重を架ける荷重位置を示す図である
第1の測定環境では、試験機は、アイラッシュカーラー1,9に対して、図17(b)に示すように、持ち手16を下側にした状態で固定し、上側から、即ち、持ち手25の外側から荷重を加えている。
また、クランプ圧(図19)の測定の際には、アイラッシュカーラー1(9)の睫毛を挟むための、図17(a)に示すように、下側プレス部31の溝部のクリッパーゴムRの直下に、回路基板220に接続された圧力センサー210を設置した状態で、図17(b)に示す位置に荷重がかかることで、上側プレス部11が降下する。この際、図17(b)に示す荷重位置に変化する荷重を与えた際に、回路基板220に圧力センサー210の測定値を記憶させるハンドメイド式の圧力測定機構で、上側プレス部11及びクリッパーゴムRにより下側プレス部31を押す圧力(挟み込み圧力)を測定する。
なお、図17(a)に示す圧力センサー210は、図6で人の手による挟みこみを測定する際と同じものを用いた。このように、クリッパーゴムRの直下に圧力センサー210を設置して、睫毛を挟む圧力のクランプ圧を測定した。
図18,図19は、第1実施形態の図11の樹脂製アイラッシュカーラー1と金属製のアイラッシュカーラー9を図17に示す測定環境で測定した際の測定結果である。図18は、グリップ力の比較を示し、図19は、クランプ圧の比較を示す。
図18に示すように、同じ変位量となるように必要なグリップ力は、金属製アイラッシュカーラー9と、樹脂製のアイラッシュカーラー1とでほぼ等しくなる。即ち、アイラッシュカーラー1は、比較例に係る金属製のアイラッシュカーラー9と、変形しやすさが等しいことがわかる。
また、図19から、同じ変位量となるようにグリップ力を付加したときに、樹脂製のアイラッシュカーラー1のクランプ圧は、金属製のアイラッシュカーラー9のクランプ圧とほぼ等しくなる。
この実験により、図16に示したように最大クランプ圧が700以上となるアイラッシュカーラー1を用いて、図19に示すように、実使用時のクランプ圧を、目標値である500程度になるような変位量として、使用時の変位量を14mmに設定することができる。詳しくは、アイラッシュカーラー1では、図16の持ち手16,25同士が接触する位置まで変位するクランプ圧(最大クランプ圧:744)と比較して、使用時のクランプ圧を小さくすることができる(使用時クランプ圧<最大クランプ圧)ため、使用時に持ち手16,25同士を接触させる必要はない。
よって、第1実施形態のアイラッシュカーラー1では、使用時クランプ圧を、最大クランプ圧に対して変形量に余裕を持たせることが出来、部品に発生する応力を軽減できる。
このように、樹脂材料を選択して、断面係数を調整して構成することで、樹脂製でも、比較例の金属製のアイラッシュカーラーと同等のクランプ圧を実現することが可能であるとともに、そのクランプ圧を実現するためのグリップ力も金属製と近づけることができる。
((実験例6))
また、本発明者は、樹脂製のアイラッシュカーラー1を用いて、被験者による、まつ毛カール実験を行った。本実験において、3人の被験者を対象として、樹脂製のアイラッシュカーラー1の使用時圧力であるクランプ圧を測定した。
図20は、樹脂製アイラッシュカーラー1の使用時のまつげクランプ圧を、ハンドメイド式測定器で測定した測定結果である。
図20において、横軸は時間、縦軸はクランプ圧を示す。本実験においても、図6と同様に、アイラッシュカーラーの睫毛を挟む、クリッパーゴムの直下に圧力センサーを設置して、睫毛を挟む圧力のクランプ圧を測定した。
なお、図20(a)は、図6(a)に示す人物A、図20(b)は図6(b)に示す人物B,図20(c)は図6(c)に示す人物Cと同一人物である。
図6と図20を比較すると、いずれの人物も、樹脂製のアイラッシュカーラー1では、図6での金属製アイラッシュカーラー9と同等またはそれ以上のクランプ圧を達成していることがわかる。したがって、アイラッシュカーラー1では、金属製のアイラッシュカーラー9とほぼ同じ使い方で、且つ同じような力の掛け方で、微調整しながらまつ毛のカールを実現することができる。
((実験例7))
また、第1実施形態の図11の寸法のアイラッシュカーラー1と、図15に示す比較例の金属製のアイラッシュカーラー9を用いた際のクランプ圧を、異なる装置で調査する実験を行った。
本実験では、6人の被験者を対象として、図15に示す寸法の金属製のアイラッシュカーラー9を用いて、通常使用時と同様に使用してもらい、その際の使用時圧力であるクランプ圧を、後述の図26(a)に示すセンサーシート410で測定した。この際、まつ毛を挟む部分である、下側プレス部91の上に設置されるクリッパーゴムRの直下に、パソコン等の情報処理装置430と接続可能なセンサーシート410を挟んで、睫毛を挟む圧力のクランプ圧を測定した。
図21に、金属製のアイラッシュカーラー9の、使用時の人によるまつげクランプ圧を、センサーシート410で測定した測定結果を示す。図21の(a)〜(f)のグラフにおいて、縦軸はクランプ圧、横軸は時間(単位:秒)を示す。6人の被験者は、上述のA〜Fとは異なる人物であって、人物G、人物H、人物I、人物J、人物K、人物Lとした。
図21により、いずれの被験者も数回に分けてまつ毛をクランプすることがわかる。また、まつ毛のカールに要する全体の時間や回数、1回あたりのクランプ時間等は、個人差がある。
ここで、図21に示すように、各人のクランプ圧の最大値は、それぞれ、0.27、0.16、0.29、0.21、0.14、0.19(N:ニュートン)であった。
((実験例8))
図22は、6PA+GF65%樹脂で構成された第1実施形態のアイラッシュカーラー1の、使用時の人によるまつげクランプ圧を、センサーシート410で測定した測定結果である。
図22において、横軸は時間、縦軸はクランプ圧を示す。本実験においても、図21と同様に、アイラッシュカーラー1の睫毛を挟む、クリッパーゴムRの直下にセンサーシート410を挟んで、睫毛を挟む圧力のクランプ圧を測定した。
なお、図22において(a)〜(f)は、図21(a)〜(f)に示す人物G、人物H、人物I、人物J、人物K、人物Lとそれぞれ同一人物である。
ここで、図22に示すように、各人のクランプ圧の最大値は、それぞれ、0.26、023、0.24、0.19、0.14、0.25(N:ニュートン)であった。
図21と図22を比較すると、いずれの人物も、樹脂製の第2実施形態のアイラッシュカーラー1では、図21での金属製アイラッシュカーラー9と同等またはそれ以上のクランプ圧(まつげ挟み圧力)を達成していることがわかる。
したがって、第1実施形態のアイラッシュカーラー1では、金属製のアイラッシュカーラー9とほぼ同じ使い方で、且つ同じような力の掛け方で、微調整しながらまつ毛のカールを実現することができる。
<第2実施形態>
図23は、本発明の第2実施形態のアイラッシュカーラー2の構成図である。図24は、本発明の第2実施形態のアイラッシュカーラー2の分解図である。
本実施形態では、素材等は、第1実施形態で用いた樹脂と同じであるが、固定部材と力点部材との係合、及びの力点部材と作用部材との係合のヒンジ構成等が異なる。
図23に示すように、本実施形態では、力点部材50において、先端部から少し離れた部分に、ヒンジ下側が凹んだ嵌合用の溝(窪み)である嵌合溝53が形成されている。
図24に示すように、固定部材40において、アーム44に形成された係合穴部45において、幅方向に延伸する嵌合用の支点軸48が設けられている。
そして、力点部材50の先端側アーム51が、持ち手55とは反対側の先端側の端部から、固定部材40の係合穴部45に挿入された状態で、力点部材50を固定部材40に対して上から下に押し込むこと、係合穴部45内で、嵌合溝53が支点軸48に係合することで、力点部材50と固定部材40とを連結させる。
力点部材50の嵌合溝53に嵌合された、固定部材40の支点軸48を第2の支点(図4の支点B)として、力点部材50が固定部材40に対して回動自在に連結する。
なお、図24においては、支点軸48は係合穴部45の幅方向全域に延伸している例を示しているが、嵌合溝53と嵌合可能な支点軸48は、係合穴部45の内側面から突出して中央部が途切れている、両側突起形状であってもよい。
また、作用部材60は、下側プレス部61と、一端が該下側プレス部61と連結するリンク部62A,62Bが設けられている。本構成では、リンク部62A,62Bの他端がU字状に折れ曲がって一体的に形成されており、他端におけるリンク部62A,62Bの他端同士を連結する部が、筒状の嵌合筒63である。嵌合筒63は、作用部材60の係合部である。
力点部材50の先端には、上側が凹んだ嵌合用フック52が形成されている。
そして、力点部材50を、作用部材60に対して下から上に押し込むこと、嵌合用フック52が嵌合筒63に係合し、力点部材50と作用部材60とを連結させる。このように、力点部材50の嵌合用フック52と、作用部材60の嵌合筒と63が嵌合することで、作用部材60が力点部材50とが連動して移動可能になる。
このように、固定部材40と力点部材50との連結(図4の第2の支点B)、及び力点部材50と作用部材60との連結(図4の第1の支点A)を、フック形状で実現することで、連結のために構成要素を貫通させる軸部を用いることなく、取り付け、取り外し等をすることが出来る。
そのため、第1実施形態における、各部材同士を連結するための、ピン軸PS1,PS2を用いることなく、第2実施形態のアイラッシュカーラー2は、構成要素同士の係合部の完全金属フリーが実現できる。
また、フックが抜ける方向に力をかけることで、係合状態を解除できるため、使用者の手により、分解、組立てが実現できる。例えば、アイラッシュカーラー2が汚れてしまった場合に、分解洗浄が可能になることで、係合部の小さな凹凸まで洗浄することができ、その後、組み立てることができる。
さらに、例えば、化粧ポーチや荷物の中で、急激に負荷がかかった場合でも、フックが外れることで破壊が回避できる。この際、第1の支点Aと第2の支点Bでは係合の方向が反対方向であるため、一方方向に強い力が掛かった場合、第1の支点A、第2の支点Bのどちらかのみの係合状態が外れるため、不意に係合状態が脱着した場合は、簡単に復活させることができる。
また、力点部材50の、先端側アーム51の先端部には、上側が凹んだ嵌合用フック52が設けられ、先端側アーム51の持ち手55より先端部に近い部分に、下側が凹んだ嵌合溝53が形成され、延伸部(第2のアーム部)51,54は、先端から持ち手55まで一本で延伸している。
そのため、本実施形態のアイラッシュカーラー2においても、第1実施形態同様に、金属製と異なり、持ち手の部分を、延伸部(アーム部)と同じ太さに太くすることができるため、金属製よりもホールド性を向上させることができる。
力点部材50の後端側アーム54において、嵌合溝53よりも第2の持ち手55に近い部分であって、上側の面には、波打ち状に凹凸が形成されている。
この波打ち状の凹凸形状541、542により、フィット性が向上する。特に、自分でメイクする場合、固定部材40側の持ち手46の指孔には親指を入れ、力点部材50側の持ち手55の指孔には、他の指を入れる。最も力が入りやすい中指を持ち手55の指孔に入れた場合、あるいは薬指を指孔に入れた場合、凹凸形状541、542により、人差し指や中指でも力点部材50を支持することになり、動作が安定する。
また、持ち手55のさらに後端には、指掛け部56が設けられている。例えば、使用者が自分で自分のまつ毛をカールする際、力点部材50側の持ち手55の指孔には中指を入れ、指掛け部56には薬指を入れる、或いは、力点部材50側の持ち手55の指孔には人差し指を入れ、指掛け部56には中指を入れる、または、力点部材50側の持ち手55の指孔には薬指を入れ、指掛け部56には小指を入れる。
このようにいずれの指を入れるにしても、持ち手55の指穴に入れた指以外で、力点部材50を、凹凸形状541、542、及び指掛け部56でサポートするため、まつ毛をカールする際、プッシュ時の1つの指への負担を分担させるとともに、動作が安定する。
また、固定部材40の第1の持ち手46及び力点部材50の第2の持ち手55を閉じた際に対向する部分には、ヒットポイント47,57がそれぞれ設けられている。
まつ毛を押圧する際に、持ち手46,55のヒットポイント47,57の先端同士が当接することで、固定部材に対する力点部材の過剰な回転を防止する。
なお、持ち手の内側にヒットポイント47,57を設けることで回転が規制されるため、例えば、繰り返し使用によりゴムが押しつぶされて薄くなった際に、押し込んだ際のプレス部のクランプ圧が足りなくなるおそれがある。そのため、ヒットポイント47,57を設置する際は、ゴムがつぶれた場合の含めて長さ等を設定すると好適である。
<第2実施形態と解析>
((実験例9))
図25は、第2実施形態のアイラッシュカーラー2の寸法例を示す図である。構成の一例として、第2実施形態のアイラッシュカーラー2において、図25で示した下記寸法で設計した。
固定部材40の応力発生範囲の断面係数Z=16.88mm3
力点部材50の応力発生範囲であるアーム部54の断面係数Z=16.875mm3
なお、本構成では、アーム部54が外側に指を置くための凹凸を有しているため、この断面係数は、最も厚さが薄い部分の断面係数に相当する。
また、支点B周辺のアーム部51は、荷重点側の最も薄い部分よりは分厚く、その断面係数Z=17.63mm3
作用部材60の断面係数Z=1.725mm3
図26は、装置により徐々に変化する荷重を与えてグリップ力、クランプ圧を測定するためのセンサーシートによる測定機構及び第2の試験機による荷重位置を示す図である。
図26に示す第2の測定環境では、グリップ力(図27)の測定の際には、第1の試験機と異なる試験機を用いた。
第2の測定環境では、試験機は、アイラッシュカーラー1,9に対して、図26(b)に示すように、持ち手16を下側にした状態で固定し、持ち手25(55、85)の指穴の中側から荷重を加えている。
また、クランプ圧(図28)の測定の際には、図26(a)に示すように、アイラッシュカーラー1(2、9)の睫毛を挟むための、クリッパーゴムRの直下に、センサーシート410を設置して、図26(b)に示す位置に、第2の試験機により変化する荷重を与えた際の、挟む圧力を測定した。
なお、センサーシート410の他端は、センサコネクタ420を介して、情報処理装置430に接続されている。そのため、下側プレス部31(61、91)の溝部のクリッパーゴムRの直下に設置したセンサーシート410は、第2の測定機により変化する荷重を与られた際に、上側プレス部11及びクリッパーゴムRにより下側プレス部31を押す圧力(挟み込み圧力)を測定して、センサコネクタ510を介して、情報処理装置430へ自動的にデータを送信する。なお、図26(a)に示すセンサーシート410は、上述の図21、図22で人の手による挟みこみを測定する際と同じものを用いた。
図26に示す第2の測定環境では、図26(b)に示すように持ち手25(55、85)の指穴の中側から荷重を加えているため、荷重を印加する位置は、図4で示す荷重点Cにほぼ近い位置である。
この荷重の位置により、第2の測定環境では、図14に示す第1の測定環境よりも、さらに人による使用の状態に近づけて、アイラッシュカーラー1(2、9)に対して荷重を付加して、グリップ力、クランプ圧を測定することができる。
図27は、金属製、6PA+GF65%樹脂で構成された第1実施形態、6PA+GF65%樹脂で構成された第2実施形態、PAMXD6+GF50%樹脂で構成された第2実施形態の、4種類のアイラッシュカーラーの持ち手の荷重点に加えたグリップ力(荷重)を、図26に示す測定環境で測定した際の測定結果である。PAMXD6は、ポリアミドMXD6を意味する。
なお、第2実施形態については、6PA+GF65%樹脂、PAMXD6+GF50%樹脂のいずれの樹脂を用いた場合でも、図25で示す寸法例のアイラッシュカーラー2の形状を用いた。
また、第2の測定環境では、図26(b)に示すように、アイラッシュカーラー1(2、9)に対して、持ち手25(55、85)の指穴内側から荷重を加える際、測定対象の4種類のアイラッシュカーラー1(2、9)に対して、荷重点Cの位置をヒンジ部(図4の支点B)より50mmの位置に統一した。これにより、4種類のアイラッシュカーラー9,1,2において、支点Bから荷重点Cまでの距離は等しくなる。
この設定により、アイラッシュカーラー9、1、2の形状の違いによる、支点Bから荷重点Cまでの距離の違いに起因する、測定値のズレをほとんど無くすことができる。
図27に示すように、同じ変位量動かした場合、第1実施形態、6PA+GF65%樹脂で構成された第2実施形態、PAMXD6+GF50%樹脂で構成された第2実施形態のアイラッシュカーラー1,2は、金属製のアイラッシュカーラー9に対しては少し足りないが、ほぼ同じ、グリップ力を有している。
図28は、金属製、6PA+GF65%樹脂で構成された第1実施形態、6PA+GF65%樹脂で構成された第2実施形態、PAMXD6+GF50%樹脂で構成された第2実施形態の、4種類のアイラッシュカーラーのクランプ圧を、図26に示す測定環境で測定した際の測定結果である。
図28に示すように、同じ変位量動かした場合、第1実施形態、6PA+GF65%樹脂で構成された第2実施形態、PAMXD6+GF50%樹脂で構成された第2実施形態のアイラッシュカーラー1,2は、金属製に対しては少し足りないが、ほぼ同じ、クランプ圧を有している。
((実験例10))
金属製のアイラッシュカーラー9と、6PA+GF65%樹脂で構成された第1実施形態のアイラッシュカーラーのクランプ圧を、図17に示す第1の測定環境と、図26に示す測定環境との両方で、測定し、測定環境の整合性を確認した。
図17に示す第1の測定環境下で測定したクランプ圧のデータと、図26に示す第2の測定環境下で測定したクランプ圧のデータの換算について、それぞれの測定値の比をとることにより、相関性を出した。図29は、その相関表である。
第1の測定環境のデータ(旧測定値)を、第2の測定環境のデータ(新測定値)に変換するには、測定値の誤差も考慮して、旧測定値に0.03%〜0.05%の数値を乗算する。これにより、無単位の旧測定値を新測定値の圧力単位(MPa)に変換できる。
これにより、図17に示す第1の測定環境によるデータと、図26に示す第2の測定環境によるデータは相互に関連し、誤差が少ないことがわかる。
また、図21、図22の実使用時のセンサーシート410を用いたクランプ圧と、図28の測定のセンサーシート410を用いたクランプ圧とを比較すると、図21、図22の実使用時は、図28における最大値である13mm変位時と同程度、あるいは、13mm変位時よりも少し多く変位させている。これにより、第1実施形態のアイラッシュカーラー2は、13mm又は13mmより少し多く変位させることで、所望のクランプ圧を実現し、まつ毛を持ち上げることができる。
また、前述の図28に示すように、第2実施形態のアイラッシュカーラー2によるクランプ圧は第1実施形態のアイラッシュカーラー1と、同程度のクランプ圧があることから、アイラッシュカーラー2も金属と同程度のレベルと予想できる。
上記実験からわかるように、本実施形態のアイラッシュカーラー2においても、図10に示した断面係数とヤング率で規定された推奨範囲に入る樹脂を用いることで、金属製と同等のしなり及びクランプ圧により、同等の応力を実現できると予想できる。そのため、持ち手のホールド性を向上させながら、金属製の形状から大型化することなく、強度を担保して、金属製と同様の操作により、金属製と同等のまつ毛カール効果を発揮できる。
<部分用アイラッシュカーラー>
なお、上記の第1、第2実施形態では、目の幅全域に近い、まつ毛全体を挟む、全域タイプのアイラッシュカーラーを前提として説明したが、本発明の上記素材及び断面形状を有するアイラッシュカーラーは、部分用のアイラッシュカーラーであってもよい。
例えば、部分用アイラッシュカーラー3は、図30に示すように、上述の第1実施形態又は第2実施形態と類似する構成であって、まつ毛を挟む上側プレス部11P又は下側プレス部31Pの幅が短い構成であってもよい。そのため、固定部材10Pの支柱部12C,13C,12D,13Dの間隔及び、作用部材30Pのリンク部32C,32Dの間隔も、第1実施形態よりも狭い。
あるいは、図31に示すように、ピンセットタイプの部分用アイラッシュカーラー4であってもよい。
部分用アイラッシュカーラー3,4において、図10に示した断面係数とヤング率で規定された推奨範囲に入る樹脂を用いることで、金属製と同等のしなり及びクランプ圧により、同等の応力を実現できるため、金属製と同等の、まつ毛カール効果を発揮できる。
なお、図30に示す部分用アイラッシュカーラー3,4では全域タイプよりも必要な力が小さいため、素材について上記推奨範囲のヤング率を満たせば、太さを規定する断面係数は推奨範囲よりも少し小さくてもよい。
<化粧道具1(ピンセット)>
上述では、化粧道具の例としてアイラッシュカーラーについて説明したが、本樹脂を適用可能な、化粧道具は、アイラッシュカーラーに限られない。
例えば、樹脂によって構成可能な化粧道具の例として、図32に示すように、ピンセット5であってもよい。本ピンセットは、美容用であって、例えば、人体の髪、眉毛、鼻毛、体毛等の毛(人毛)や、動物の毛を抜くのに使用される。
本ピンセットにおいて、図10に示した断面係数とヤング率で規定された推奨範囲に入る樹脂を用いることで、金属製と同等のしなり及びクランプ圧により、同等の応力を実現できるため、金属製と同等の、毛抜き効果を発揮できる。
<化粧道具2(はさみ)>
また、樹脂によって構成可能な化粧道具の他の例として、図33に示すように、美容用はさみであってもよい。
美容用はさみ6は、例えば、人体の髪、眉毛、鼻毛、体毛等の毛や、動物の毛をカットするのに使用される。さらに、樹脂で構成される化粧道具は、剃刀、爪切り等であってもよい。
本はさみにおいて、上述の図10に示した断面係数とヤング率で規定された推奨範囲に入る樹脂を用いることで、金属製と同等のしなりにより、同等の応力を実現できるため、金属製と同等のしなりにより、金属製と同等の、ホールド案及び、切れ感を発揮できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本出願は、2018年9月18日に日本国特許庁に出願された特願2018−174219号に基づく優先権を主張するものであり、特願2018−174219号の全内容を本出願に援用する。
1,2 アイラッシュカーラー
3,4 部分用アイラッシュカーラー
5 ピンセット
6 美容用はさみ
10 固定部材
11 上側プレス部
12(12A,12B) 上側支柱部(支柱部)
13(13A,13B) 分岐支柱部(支柱部)
14 アーム(第1のアーム部)
15 係合穴部
151A,151B 小孔
16 持ち手
20 力点部材
21 先端側アーム(アーム部、第2のアーム部)
22 先端側係合孔(第1の係合孔)
23 第2の係合孔
24 後端側アーム(アーム部、第2のアーム部)
25 持ち手
30 作用部材
31 下側プレス部(当接部材、上挟圧片)
311A,311B 係合フック(係合部)
32A,32B リンク部
33 連結部
331A,331A 小孔
400 固定部材
41 上側プレス部
42(12A,12B) 上側支柱部(支柱部)
43(13A,13B) 分岐支柱部(支柱部)
44 アーム
45 係合穴部
46 持ち手
47 ヒットポイント
48 支点軸
50 力点部材
51 先端側アーム(アーム)
52 嵌合用フック(連結部)
53 嵌合溝(嵌合部、連結部)
54 後端側アーム(アーム)
55 持ち手
56 指掛け部
57 ヒットポイント
60 作用部材
61 下側プレス部(当接部材、上挟圧片)
611A,611B 係合フック(係合部)
A 支点
B 支点
C 荷重点
PS1 ピン軸
PS2 ピン軸
R クリッパーゴム

Claims (10)

  1. ヤング率が2500N/mm2〜40000N/mm2の樹脂材料で形成され、少なくとも最大応力発生箇所は断面係数が5mm3〜40mm3に構成される
    化粧道具。
  2. 前記樹脂材料は、ガラス繊維(GF)を含む繊維強化樹脂である
    請求項1に記載の化粧道具。
  3. 前記繊維強化樹脂は、カーボン繊維(CF)を含む
    請求項2に記載の化粧道具。
  4. 前記繊維強化樹脂に含まれる樹脂は、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、グリコール変性PET(PETG)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドMXD6のいずれかである、又はこれらのうちの2つ以上含んでいる
    請求項2又は3に記載の化粧道具。
  5. 前記繊維強化樹脂は、前記ガラス繊維(GF)を、30質量%以上、65質量%以下、配合している
    請求項2乃至4のいずれか一項に記載の化粧道具。
  6. 前記樹脂材料は、ナイロン6/10、ポリアミドMXD6、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PETG)、グリコール変性PET(PETG)、又は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)のいずれかを含む樹脂である
    請求項1に記載の化粧道具。
  7. 前記化粧道具は、まつ毛をカールさせるアイラッシュカーラーである
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化粧道具。
  8. 前記化粧道具は、人毛を挟むピンセットである
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載の化粧道具。
  9. 前記化粧道具は、はさみ、剃刀、又は爪切りである
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載の化粧道具。
  10. 請求項7に記載の化粧道具であるアイラッシュカーラーであって、
    上側プレス部が一体的に形成された固定部材と、
    下側プレス部を前記上側プレス部に対して、上下に移動可能にする作用部材と、
    前記固定部材の一部を支点として回動することで、前記作用部材を上下に移動させる力点部材と、を有しており、
    前記固定部材と、前記作用部材と、前記力点部材とは、樹脂で一体的に構成され、
    前記最大応力発生箇所は、前記固定部材及び前記力点部材に形成される
    アイラッシュカーラー。
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