JPWO2020045290A1 - 抗体または抗体様分子の精製方法 - Google Patents

抗体または抗体様分子の精製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液からの効率的な不純物の除去を可能にする方法を提供することを目的とする。本発明に係る抗体または抗体様分子の精製方法は、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液を、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムから選択される1以上の元素を含む水不溶性無機化合物で処理する工程を含むことを特徴とする。

Description

本発明は、不純物を含む組成物から不純物を低減し、目的とする抗体または抗体様分子の純度を向上させる方法に関する。
近年、生体試料からの抽出や、遺伝子組換え技術を用いて生産される抗体などの有用タンパク質が、医薬品を始め、食品や工業用酵素、吸着剤、センサーなど多くの用途に用いられており、その効率的な高純度精製が課題となっている。不純物は、目的とする有用タンパク質の機能に影響を及ぼすことや、副作用の原因となることが多く、有用タンパク質の有効性と安全性の確保には、これら不純物を取り除き、高度に精製する必要がある。例えば、組換えタンパク質やペプチドといった有用タンパク質を主薬とするバイオ医薬品の分野においては、遺伝子組換え技術により目的の有用タンパク質を動物細胞や植物細胞、細菌細胞を宿主として組換え発現させたのちに、高純度に精製が行われる。組換え動物細胞や植物細胞、細菌細胞を培養して生産される有用タンパク質は、培養上清中に分泌されるもの、細胞内に可溶性発現するもの、細胞内に封入体として不溶性発現するものがある。培養上清中に発現した有用タンパク質は、遠心分離や膜処理により、宿主の動物細胞や植物細胞、細菌細胞やその断片や他の不溶性成分から分離され、その後、クロマトグラフィーや膜分離プロセスにより高純度精製される。細胞内に可溶性発現した有用タンパク質は、細胞を溶解または破砕する等の手法により抽出され、不溶性成分を遠心分離や膜処理により除去した後に、クロマトグラフィーや膜分離プロセスにより高純度精製される。細胞内に不溶性発現した有用タンパク質は、細胞を溶解または破砕する等の手法により抽出された後に、可溶性成分を遠心分離や膜処理により除去した残渣から可溶化抽出した不純物を含む有用タンパク質溶液からクロマトグラフィーや膜分離プロセスにより高純度精製される。
クロマトグラフィーや膜分離プロセスに供される有用タンパク質を含む溶液は宿主由来の夾雑タンパク質、核酸、細胞やオルガネラの膜断片および培地成分等の多量の不純物を含むため、クロマトグラフィーや膜分離プロセスへの負荷が大きく、クロマトグラフィー担体の吸着容量の低下、分離能の低下、背圧上昇による処理速度の低下や洗浄、再生効率の低下による担体寿命の低下に繋がる。また、膜分離プロセスにおいても、単位膜面積当たりの処理容量の低下、背圧上昇、処理速度の低下や洗浄、再生効率の低下による担体寿命の低下に繋がる。大量の不純物は、クロマトグラフィーや膜分離プロセスによる高純度精製に大きな負荷を与えることから、これらの処理前に不純物を低減することは、後段プロセスの負荷低減に重要である。
不純物を含む有用タンパク質溶液を処理し不純物を低減する技術としては、ポリアミン(非特許文献1)、キトサン(非特許文献2)、低pH下での遊離の2価陽イオン(特許文献1)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDACMAC,非特許文献3)、エンドヌクレアーゼ(非特許文献4)等の水溶性の添加剤を添加処理する方法や、pH調整(非特許文献5)や熱処理(特許文献2)により不純物を沈殿除去する手法が知られている。
抗体などの有用タンパク質の精製は通常水系で行われることから、水溶性の添加剤は後段工程での除去が課題となる。加えて添加剤やその断片自体が有用タンパク質に吸着する等、その後段での除去プロセスの構築が困難であると共に、残留物の安全性や数値管理が課題となる。例えば有用タンパク質が医薬品である場合は、安全性の観点から高度に精製しておく必要があり、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)はQ3Aガイドラインに厳しく残留不純物の管理を求めている。エンドヌクレアーゼは、他の夾雑タンパク質等の不純物除去時にクロマトグラフィーの条件設定により容易に除去できることから優れている。一方で、エンドヌクレアーゼは、DNAを断片化し無効化が可能であると共に、断片化したDNAのクロマトグラフィーや膜分離除去効率の向上には効果があるものの、夾雑タンパク質等の除去には効果が無く、不純物除去手法としては不十分である。また、pH処理や熱処理は、目的の有用タンパク質の機能を低下や変性、凝集、分解するリスクが高く、厳密な工程パラメーターの管理や処理により生じた目的物に由来する凝集体、断片および修飾体といった不純物の除去があらたな課題となっている。
特表2010−508352号公報 特開昭63−275600号公報
Peram Tら,Biotechnol Prog,26(5):1322−1331 Riske Fら,J.Biotechnol,128(4):813−823 McNerney Tら,241st ACS National Meeting&Exposition,Anaheim,CA,BIOT−302 D.W.Zabriskieら,Biotechnology and Bioengineering,Vol.32,100−104 Hjelmら,FEBS.LETT.,1972,28:73−76
上記従来技術の多くが、抗体などの有用タンパク質の精製のために水溶性の高い添加剤を用いており、目的とする有用タンパク質から、上記添加剤やその分解物を後段プロセスで除去することが困難だったり、残留物の管理などに課題がある。またpH処理や熱処理は、有用タンパク質の機能を低下や変性、凝集、分解するリスクが高く、厳密な工程パラメーターの管理や処理により生じた目的物に由来する凝集体や断片および修飾体といった不純物の除去があらたな課題を生じるため、高純度精製前の粗精製手法として問題がある。
そこで本発明は、抗体などの有用タンパク質溶液からの不純物の除去に有効で、その後の後段プロセスへの負荷も軽い添加剤とその利用方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、不純物を含む抗体または抗体様分子水溶液または懸濁液に、特定の水不溶性無機化合物を添加することで、目的の抗体または抗体様分子を水溶液側に維持したまま不純物を効果的に低減できるだけでなく、水不溶性無機化合物は自然沈降、遠心、膜分離などによって容易に系から分離できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1] 抗体または抗体様分子を精製するための方法であって、
不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液を、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムから選択される1以上の元素を含む水不溶性無機化合物で処理する工程を含むことを特徴とする方法。
[2] 前記水不溶性無機化合物が、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、および酸化アルミニウムから選択される1以上である上記[1]に記載の方法。
[3] 更に、前記水溶液または懸濁液を活性炭に接触させる工程を含む上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記水溶液または懸濁液が、抗体または抗体様分子を含む培養液である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] 前記水溶液または懸濁液が、培養液を遠心処理または膜処理して得られる培養上清である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[6] 前記培養液が、抗体または抗体様分子を生産する組換え宿主細胞の培養液である上記[4]または[5]に記載の方法。
[7] 前記水溶液または懸濁液が、組換え宿主細胞の破砕物または抽出物である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[8] 前記水溶液または懸濁液が、組換え宿主細胞の破砕物または抽出物を遠心または膜処理して得られる上清である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[9] 前記水溶液または懸濁液が、生体抽出物である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法。
[10] 前記抗体または抗体様分子がFc含有タンパク質である上記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の方法。
[11] 前記抗体または抗体様分子が低分子化抗体である上記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の方法。
[12] 更に、前記水溶液または懸濁液をフロキュラントで処理する工程を含む上記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の方法。
[13] 更に、前記水溶液または懸濁液をエンドヌクレアーゼで処理する工程を含む上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の方法。
[14] 精製された抗体または抗体様分子を、更にカラム処理又は膜ろ過処理する工程を含む上記[1]〜[13]のいずれか1項に記載の方法。
本発明によれば、特定の水不溶性無機化合物を用いることで、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液から不純物を効率的に除去することができる。本手法単独でも粗精製物の調製が可能となるだけでなく、他の高度な精製プロセスと組み合わせた場合は、後段の精製プロセスの負荷を低減可能である。
図1は、本発明と既存の手法を用いた際の不純物量の低減効果を示すグラフである。 図2は、水不溶性無機化合物である塩基性炭酸マグネシウムの添加量と、IgG濃度および不純物であるホストセルプロテイン(HCP)の残留量との関係を示すグラフである。 図3は、水不溶性無機化合物である塩基性炭酸マグネシウムの添加量と、IgG濃度および不純物であるDNAの残留量との関係を示すグラフである。 図4は、様々な水不溶性無機化合物単独または活性炭との組み合わせと、IgG濃度および不純物であるHCPの残留量との関係を示すグラフである。 図5は、様々な水不溶性無機化合物単独または活性炭との組み合わせと、IgG濃度および不純物であるDNAの残留量との関係を示すグラフである。 図6は、水不溶性無機化合物である塩基性炭酸マグネシウムおよび抗体精製用担体との組み合わせと、IgG回収率および不純物であるHCPの残留量との関係を示すグラフである。 図7は、水不溶性無機化合物である塩基性炭酸マグネシウムおよび抗体精製用担体との組み合わせと、IgG回収率および不純物であるDNAの残留量との関係を示すグラフである。 図8は、水不溶性無機化合物である塩基性炭酸マグネシウムおよび抗体精製用担体との組み合わせと、担体洗浄液における不純物であるHCPおよびDNAの量との関係を示すグラフである。 図9は、塩基性炭酸マグネシウムを充填したカラムへの通液前後における培養上清中のHCP濃度とIgG濃度を示すグラフである。 図10は、塩基性炭酸マグネシウムを充填したカラムへの通液前後における培養上清中のDNA濃度とIgG濃度を示すグラフである。
本発明は、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液を、特定の水不溶性無機化合物で処理することで、不純物を除去する、抗体または抗体様分子の精製方法に関するものである。以下、本発明方法を工程に分けて説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
1.抗体/抗体様分子含有液の調製工程
本工程では、精製対象である抗体または抗体様分子を含む水溶液または懸濁液を調製する。本工程の実施は任意であり、既にかかる水溶液または懸濁液が得られている場合などには本工程を実施する必要は無い。水溶液は、抗体または抗体様分子が溶媒である水に溶解しており且つ不溶性成分を含まない溶液をいい、懸濁液は、抗体または抗体様分子が溶媒である水に溶解している一方で、細胞、その破砕物、細胞由来成分の凝集物、凝集タンパク質などの不溶性成分を含む溶液をいう。なお、不溶性成分は、溶液中に分散していてもよく沈降していてもよい。
本発明において精製の対象となる「抗体または抗体様分子」は、産業利用上有用とされている抗体または抗体様分子であればよく、ポリペプチド構造を有する機能的タンパク質であって、αヘリックスやβシート構造等の二次構造を分子内に含むものの他に、糖鎖を有するもの、糖修飾されたもの、リン酸化やチロシン化等の修飾を受けたもの、金属配位したものを含む。また、天然に存在するタンパク質やペプチドの他に、遺伝子組換え技術により生産されたもの、その機能を改良されたもの、機能的部位のみからなる構造体、および、異なる機能部位の連結体や、同一の機能部位の連結体を含む。また、分子内のシステイン残基によるジスルフィド結合により分子内架橋されたもの、分子間のシステイン残基によるジスルフィド結合により分子間架橋されたもの、非共有結合的にサブユニット構造を含むものの他、化学修飾により連結されたタンパク質や、タンパク質の化学修飾や機能性分子の付加により機能付与されたものを含む。
本発明における、抗体または抗体様分子としては、特に限定されず、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、重鎖抗体、多価抗体、Fab、F(ab’)、F(ab’)2、Fc、Fc融合タンパク質、バイスペシフィック抗体、重鎖(H鎖)、軽鎖(L鎖)、単鎖Fv(scFv)、sc(Fv)2、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Diabody、抗体様分子標的ペプチド(マイクロ抗体)などが挙げられる。本発明においては、これら抗体または抗体様分子として、免疫グロブリン、Fc部を有するFc融合タンパク質などのFc含有タンパク質であってもよく、上記Fab、F(ab’)、F(ab’)2、Fc、重鎖(H鎖)、軽鎖(L鎖)、単鎖Fv(scFv)、sc(Fv)2、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、一本鎖抗体、重鎖抗体、多価抗体、バイスペシフィック抗体、Diabody、抗体様分子標的ペプチド(マイクロ抗体)といった低分子化抗体であっても、いずれも好ましく対象とすることが出来る。
本発明において、特定の水不溶性無機化合物で処理する、「不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液」としては特に限定されず、上記抗体または抗体様分子を含有し、それ以外の夾雑物を不純物として含む、水溶液あるいは懸濁液であれば特に限定されないが、例えば、培養液、培養上清、培養物である細胞やその破砕物を水に懸濁させたものやその抽出物、生体抽出物などが挙げられる。また水溶液や懸濁液として、共存する有機溶媒の存在を妨げるものではない。夾雑物は、精製対象である抗体または抗体様分子以外の化合物であれば特に制限されないが、例えば、宿主由来のタンパク質や核酸が挙げられる。
上記培養される細胞としては、天然由来の細胞であってもよいが、組換え宿主細胞であるのが好ましい。ここで宿主とは、抗体または抗体様分子を組換え生産するために用いられる動物、植物または細菌の細胞であって、抗体または抗体様分子をコードするDNAを含む発現ベクターや遺伝子断片により形質転換され、導入されたDNAを発現して有用タンパク質を生産することができる動植物由来の細胞あるいは微生物であれば、特に制限するものではない。本発明における遺伝子組換え体とは、目的とする抗体または抗体様分子のアミノ酸配列をコードする塩基配列、およびその塩基配列に作動可能に連結された宿主で機能しうるプロモーターを含む発現ベクターまたは遺伝子断片が導入され形質転換された宿主細胞である。抗体または抗体様分子は、一過性発現でも定常的発現でも有用タンパク質が組換え発現する限り、特に制限されない。
利用可能な動物由来の細胞(動物細胞)としては、例えば、HEK、HeLaなどの付着系の細胞;293−F、293−FT、Jurkatなどの浮遊系の細胞;CHO、MCなどのマウス由来細胞;Sf−9、Sf−21などのスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)から確立されたSf株、蚕等の昆虫細胞(Nature,315,592−594(1985))が挙げられる。このなかでもCHO細胞またはHEK細胞が好ましい。
利用可能な植物としては、菜種、トウモロコシ、ジャガイモ、バナナなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており、これら植物の細胞も好適に利用できる。
利用可能な微生物としては、例えば、エシェリヒア(Escherichia)属、バシラス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、セラチア(Serratia)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、及びラクトバシラス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系の開発されている細菌;ロドコッカス(Rhodococcus)属及びストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主ベクター系の開発されている放線菌;サッカロマイセス(Saccharomyces)属、クライベロマイセス(Kluyveromyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ピキア(Pichia)属、及びキャンディダ(Candida)属など宿主ベクター系の開発されている酵母;ノイロスポラ(Neurospora)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、セファロスポリウム(Cephalosporium)属、及びトリコデルマ(Trichoderma)属など宿主ベクター系の開発されているカビなどが挙げられる。これら微生物は、グラム陰性微生物でも、グラム陽性微生物でも特に限定されないが、グラム陰性菌としては大腸菌が、グラム陽性菌としては酵母またはブレビバチルス族細菌が好ましい例としてあげられる。
本発明においては、上記のような組換え宿主細胞の培養液、組換え宿主細胞の破砕物または抽出物、それらを遠心または膜処理して得られる培養上清を、「不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液」として好ましく使用できる。これら組換え宿主細胞の培養液、組換え宿主細胞の破砕物または抽出物、それらを遠心または膜処理して得られる培養上清、そのほか生体試料からの抽出物には、目的とする抗体または抗体様分子の他に、不必要な不純物が多く含まれている。そのような不純物としては、例えば、細胞、細胞破片、オルガネラの膜断片、夾雑タンパク質およびそのフラグメントや凝集体、タンパク質の凝集体、脂質(例えば細胞壁物質)、核酸(例えば染色体DNAもしくは染色体外DNA)、リボ核酸(t−RNAもしくはmRNA)、培地成分またはそれらの組み合わせなどが挙げられる。例えば、抗体または抗体様分子が組換えタンパク質の場合、宿主の種類により組換えタンパク質が発現する場所が異なる、例えば、細胞外に分泌発現する宿主もあれば、細胞内に発現して蓄積する宿主もある。グラム陰性菌の多くは、細胞内膜と外膜の間のペリプラズム画分に目的の抗体または抗体様分子を蓄積することができる。ペリプラズム画分あるいは細胞内に抗体または抗体様分子を発現する宿主の場合、宿主細胞の膜成分の溶解または破砕により、目的の抗体または抗体様分子を抽出する必要がある。抗体または抗体様分子が封入体等の不溶性画分として宿主内に発現する場合は、宿主細胞を遠心または膜分離により回収した後に、宿主細胞を溶解または破砕して可溶性画分を遠心または膜分離により除去した残渣から抗体または抗体様分子を抽出する必要がある。
上記水溶液および懸濁液の溶媒としては、水の他、緩衝液などの水溶液を用いても良い。緩衝液としては、例えばリン酸、クエン酸、2−(N−morpholino)ethanesulfonic acid(MES)、Bis−Tris、N−(2−Acetamido)iminodiacetic acid(ADA)、Piperazine−1,4−bis(2−ethanesulfonic acid)(PIPES)、N−(2−Acetamido)−2−aminoethanesulfonic acid(ACES)、3−(N−Morpholino)−2−hydroxypropanesulfonic acid(MOPSO)、N,N−Bis(2−hydroxyethyl)−2−aminoethanesulfonic acid(BES)、3−(N−morpholino)propanesulfonic acid(MOPS)、N−Tris(hydroxymethyl)methyl−2−aminoethanesulfonic acid(TES)、4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid(HEPES)、Triethanolamine、3−[4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazinyl]propanesulfonic acid(EPPS)、Tricine、Tris、Glycylglycine、Bicine、N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid(TAPS)を含む緩衝液、およびダルベッコリン酸緩衝生理食塩水が挙げられる。不純物を含む抗体または抗体様分子水溶液または懸濁液を水不溶性無機化合物で処理する際のpHは4以上、12以下であることが好ましく、5以上、10以下であることがより好ましい。
2.水不溶性無機化合物による処理工程
本工程では、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液を、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムから選択される1以上の元素を含む水不溶性無機化合物で処理することにより、精製対象である抗体または抗体様分子以外の不純物を選択的に水不溶性無機化合物に吸着させ、抗体または抗体様分子を精製する。なお、「精製」とは、水不溶性無機化合物に接触させる前の水溶液または懸濁液における抗体または抗体様分子に対する不純物の割合が、低減されることをいう。また、「処理」とは、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液を、水不溶性無機化合物に接触させることをいう。以下、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液を「抗体含有液」と略記する場合がある。
本開示において水不溶性とは、無機化合物の粉末を精製水に入れ、20±5℃で5分ごとに強く30秒間振り混ぜるとき、30分以内に溶ける度合をいい、具体的には無機化合物1gを溶かすに要する精製水の量が、100mL以上であることをいう。
水不溶性無機化合物は、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムから選択される1以上の元素を含むものであり、これらの不溶性炭酸塩、不溶性硫酸塩、不溶性リン酸塩、酸化物などが挙げられ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、および酸化アルミニウムから選択される1以上が好ましく、水不溶性マグネシウム塩がより好ましい。例えば、水酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムの混合物である塩基性炭酸マグネシウムも好適に用いられる。但し、リン酸カルシウムなど、リン酸マグネシウムを除くリン酸塩は、水溶性が比較的高かったり、目的の抗体または抗体様分子を吸着してしまうおそれがあり得るため、好ましくない。
特に炭酸マグネシウムは、胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)、便秘症に医療用医薬品として1日に数gの投与が行われており、安全性が確認されている他、静置沈殿、遠心や膜分離で容易に除去でき、また、微量の漏出物も膜分離やクロマトグラフィー処理により容易に目的の抗体または抗体様分子から分離除去できる点でも優れている。
水不溶性無機化合物の大きさは適宜調整すればよいが、例えば、平均粒子径を0.1μm以上、1000μm以下とすることができる。当該平均粒子径が1000μm以下であれば、水不溶性無機化合物の比表面積は十分に大きく、不純物をより効率的に吸着することができ、また、0.1μm以上であれば、粉砕のために過剰なエネルギーが必要無い。また、カラムへの充填の際などにおける取扱性の観点から、上記平均粒子径としては1μm以上が好ましい。なお、本開示において平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定するものとし、平均粒子径の基準としては、体積基準、重量基準、数基準などがあるが、体積基準が好ましい。
水不溶性無機化合物の使用量は、抗体含有液の濃度などにより調整すればよいが、例えば、抗体含有液100mLに対して0.1g以上、20g以下の水不溶性無機化合物を用いればよい。当該割合としては、15g/100mL以下が好ましい。また、抗体含有液に対して0.1質量%以上、20質量%以下の水不溶性無機化合物を用いることができ、当該割合としては1質量%以上、15質量%以下が好ましい。
一般に、抗体または抗体様分子を含む培養液などと、培養に使用した宿主細胞あるいは宿主細胞の破片を分離する方法としては、生体試料、培養液または抽出物を静置または遠心分離、デッドエンドろ過、クロスフローろ過、アコースティックウェーブセパレーションによって処理したのちに清澄化液を回収することで宿主細胞あるいは宿主細胞の破片と分離することができる(清澄化工程)。本発明の精製方法は前記清澄化工程の処理と併用してあるいは単独にて好適に用いることが出来る。なお、これらデッドエンドろ過、クロスフローろ過、アコースティックウェーブセパレーションによる処理および本発明による精製は、該培養液または抽出物を遠心分離した後に行なっても良いし、該培養液または抽出物をそのまま処理しても良い。
前記デッドエンドろ過とは、フィード溶液がメンブレンに対して垂直に移動するろ過方式であり、ろ液はメンブレンを通過する。デッドエンドろ過により、抗体または抗体様分子を含む溶液を回収する方法としては、ボトルトップフィルターや遠心式フィルターユニットを用いた精密ろ過または限外ろ過が挙げられるが、この方法に限定されるものではない。
前記クロスフローろ過とは、フィード溶液が膜表面に平行に移動するろ過方式であり、ろ液はメンブレンを通過する。クロスフローろ過により、抗体または抗体様分子を含む溶液を回収する方法としては、カセットメンブレンあるいは中空子を用いた精密ろ過または限外ろ過が挙げられるが、この方法に限定されるものではない。
前記アコースティックウェーブセパレーションによる処理とは、フィード溶液に定在波を照射することにより、定在波の節の位置に不溶物を集め、沈降させることで、フィード溶液中の不溶物と上清を分離する方法である。アコースティックウェーブセパレーションにより、抗体または抗体様分子を含む溶液を回収する方法としては、アコーステッィクウェーブセパレーターによって抗体または抗体様分子を含む溶液を処理する方法が挙げられるが、この方法に限定されるものではない。
前記デッドエンドろ過を行なう場合のボトルトップフィルターとしては、Nalgene Rapid−Flow PES 膜付き滅菌ディスポーザブルボトルトップフィルター 0.45μm(Thermo Scientific社)、Nalgene Rapid−Flow PES 膜付き滅菌ディスポーザブルボトルトップフィルター 0.2μm(Thermo Scientific社)、IWAKI ボトルトップフィルター500mL PES 0.22μm 33口径(AGCテクノグラス・IWAKI社)、Bottle top vacuum filter 0.22μm(Corning社)、Bottle top vacuum filter 0.45μm(Corning社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記デッドエンドろ過を行なう場合の遠心式フィルターユニットとしては、Vivaspin 20−3K(GE Healthcare Life Sciences社)、Vivaspin 20−5K(GE Healthcare Life Sciences社)、Vivaspin 20−10K(GE Healthcare Life Sciences社)、Vivaspin 20−30K(GE Healthcare Life Sciences社)、Vivaspin 20−50K(GE Healthcare Life Sciences社)、Vivaspin 20−100K(GE Healthcare Life Sciences社)、Amicon Ultra−15 3kDa(MERCK MILLIPORE社)、Amicon Ultra−15 10kDa(MERCK MILLIPORE社)、Amicon Ultra−15 30kDa(MERCK MILLIPORE社)、Amicon Ultra−15 50kDa(MERCK MILLIPORE社)、Amicon Ultra−15 100kDa(MERCK MILLIPORE社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記クロスフローろ過を行なう場合のカセットメンブレンとしては、PelliconXL 50 精密ろ過モジュール 0.65μm(MERCK MILLIPORE社)、PelliconXL 50 精密ろ過モジュール 0.22μm(MERCK MILLIPORE社)、PelliconXL 50 精密ろ過モジュール 0.45μm(MERCK MILLIPORE社)、PelliconXL 50 精密ろ過モジュール 0.10μm(MERCK MILLIPORE社)、Kvick Start 50cm2,5KD,PES(GE Healthcare Life Sciences社)、Kvick Start 50cm2,10KD,PES(GE Healthcare Life Sciences社)、Kvick Start 50cm2,30KD,PES(GE Healthcare Life Sciences社)、Kvick Start 50cm2,50KD,PES(GE Healthcare Life Sciences社)、Kvick Start 50cm2,100KD,PES(GE Healthcare Life Sciences社)、Pellicon2 Cassette−Biomax(R) Hydrophilic Polyethersulfone Membrane・A Screen 5kDa(MERCK MILLIPORE社)、Pellicon2 Cassette−Biomax(R) Hydrophilic Polyethersulfone Membrane・A Screen 8kDa(MERCK MILLIPORE社)、Pellicon2 Cassette−Biomax(R) Hydrophilic Polyethersulfone Membrane・A Screen 10kDa(MERCK MILLIPORE社)、Pellicon2 Cassette−Biomax(R) Hydrophilic Polyethersulfone Membrane・A Screen 30kDa(MERCK MILLIPORE社)、Pellicon2 Cassette−Biomax(R) Hydrophilic Polyethersulfone Membrane・A Screen 50kDa(MERCK MILLIPORE社)、Pellicon2 Cassette−Biomax(R) Hydrophilic Polyethersulfone Membrane・A Screen 100kDa(MERCK MILLIPORE社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記クロスフローろ過を行なう場合のホロファイバーとしては、MidGee Cartridge,0.1micron(GE Healthcare Life Sciences社)、MidGee Cartridge,0.2micron(GE Healthcare Life Sciences社)、MidGee Cartridge,0.45micron(GE Healthcare Life Sciences社)、MidGee Cartridge,0.65micron(GE Healthcare Life Sciences社)、MidGee Cartridge,1kD(GE Healthcare Life Sciences社)、MidGee Cartridge,3kD(GE Healthcare Life Sciences社)、MidGee Cartridge,10kD(GE Healthcare Life Sciences社)、MidGee Cartridge,30kD(GE Healthcare Life Sciences社)、MidGee Cartridge,50kD(GE Healthcare Life Sciences社)、MidGee Cartridge,100kD(GE Healthcare Life Sciences社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記アコースティックウェーブセパレーターとしては、ケイデンス Acoustic Separator(PALL社)などが挙げられるが、これに限定されない。
抗体含有液と水不溶性無機化合物との接触方法は、適宜選択すればよい。例えば、抗体含有液に水不溶性無機化合物を加え、振とうや攪拌すればよい。その際の温度は常温でよく、具体的には0℃以上、40℃以下とすることができる。当該温度としては、1℃以上が好ましく、10℃以上または15℃以上がより好ましく、また、30℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましい。また、接触時間としては、1秒間以上、10時間以下とすることができる。
接触後は、遠心分離や濾過などにより抗体含有液から水不溶性無機化合物を分離すればよい。この際、抗体または抗体様分子は主に液分に分散しており、それ以外の不純物の全部または一部は主に水不溶性無機化合物に吸着されている。また、抗体または抗体様分子の一部が水不溶性無機化合物に吸着され、それ以外の不純物の一部が液分に溶解していることもあるが、少なくとも液分における不純物の総量は低減することができ、液分における抗体または抗体様分子は濃縮される。
本工程により水不溶性無機化合物に吸着される不純物は、抗体または抗体様分子以外の化合物であれば特に制限されないが、例えば、凝集した抗体または凝集した抗体様分子、宿主細胞夾雑物、および細胞培養夾雑物が挙げられる。宿主細胞夾雑物としては、宿主細胞由来の核酸、プラスミド、宿主細胞由来のタンパク質が挙げられる。細胞培養夾雑物としては、培地成分、血清アルブミン、および他の血清タンパク質、トランスフェクション用のプラスミドDNAが挙げられる。
また、水不溶性無機化合物をカラムに充填し、抗体含有液を流通させることにより抗体または抗体様分子以外の不純物を水不溶性無機化合物に吸着させてもよい。この場合、不純物の吸着と、水不溶性無機化合物からの液分の分離を同時に行うことができる。カラムにおける水不溶性無機化合物の充填量や、抗体含有液の流速は、不純物が水不溶性無機化合物に十分に吸着される範囲で調整することが好ましい。
3.活性炭との接触工程
本工程では、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液を活性炭に接触させる。本工程は、前述の処理工程の前に実施してもよいし、後に実施してもよいし、或いは水不溶性無機化合物と活性炭とを併用して同時に実施してもよい。但し、本工程の実施は任意である。
活性炭とは、木炭やヤシ殻などを焼成して細孔を発達させて多孔質としたものであり、吸着性能に優れたものである。活性炭の一般的な比表面積は、800m2/g以上、2500m2/g以下程度である。
活性炭としては、鉱物系活性炭および植物系活性炭が挙げられる。鉱物系活性炭としては、例えば、石炭系活性炭や石油系活性炭が挙げられる。植物系活性炭としては、例えば、木質系活性炭およびやし殻活性炭が挙げられ、好ましくは木質系活性炭が挙げられる。
活性炭の原料は、炭素質の物質であれば特に制限されないが、例えば、おが屑、木炭、素灰、草炭、ピート若しくは木材チップ等の木質;ヤシ殻;亜炭、褐炭、無煙炭などの石炭;石油ピッチ;オイルカーボン;レーヨン、アクリロニトリル、フェノール樹脂などの有機化合物が挙げられる。
活性炭の製造方法は、特に制限されないが、例えば、原料に塩化亜鉛または燐酸などを高温で添加し、高温で炭化反応させる薬液賦活法や、炭化した原料および水蒸気、二酸化炭素、空気または燃焼ガス等のガスを高温で反応させるガス賦活法が挙げられる。好ましくは、塩化亜鉛賦活化法、燐酸を用いた酸賦活化法、および水蒸気賦活化法などが挙げられる。
活性炭の形状は特に制限されないが、例えば、粉砕炭、顆粒炭、球状炭、およびペレット炭などの粒状活性炭;ファイバー、クロス等の繊維状活性炭;シート状、成形体、およびハニカム状などの特殊成形活性炭;および粉末活性炭が挙げられる。
プラスまたはマイナスの電荷が付加された活性炭、およびポリヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)、ヘパリン、セルロース、またはポリウレタン等の表面修飾剤で修飾された活性炭も本発明の精製方法に用いられる活性炭に含まれる。更に、ゾル−ゲル法により作製したカーボンゲルも本発明の精製方法に用いられる活性炭に含まれる。ゾル−ゲル法に用いられる原料としては、例えば、フェノール、メラミン、レゾルシノール、またはホルムアルデヒド等が挙げられる。
活性炭の平均細孔径は特に限定されないが、通常は0.1nm以上、20nm以下、好ましくは0.5nm以上、5.0nm以下、より好ましくは2.0nm以上、5.0nm以下、より更に好ましくは3.0nm以上、5.0nm以下である。活性炭の平均細孔径は窒素吸着等温吸着曲線よりBJH法を用いて算出することができる。
本発明の活性炭を用いる精製方法の手段としては、特に限定されないが、例えば、バッチ法、膜処理法またはカラムクロマトグラフィー法等が挙げられ、それぞれの手段に応じて適切な活性炭の形状が選択される。必要に応じて、多孔性ポリマーまたはゲルに活性炭を封入した粒子等の形態、ポリプロピレンまたはセルロース等のサポート剤または繊維などを用いて活性炭を吸着、固定または成形した膜、またはカードリッジ等の形態にて使用することもできる。
活性炭を含む膜またはカードリッジとしては、具体的には、例えば、CUNO活性炭フィルターカードリッジ、ゼータプラス活性炭フィルターカードリッジ(住友スリーエム社製、CUNOおよびゼータプラスは登録商標);ミリスタックプラス活性炭フィルター(メルクミリポア社製、ミリスタックは登録商標);スープラAKS1フィルター、AKS1フィルター、Stax(商標) AKS1(以上、Pall社製);アドール(ユニチカ社製);Kフィルター(登録商標)、活性炭シート(以上、東洋紡社製);へマックス(クラレ社製);ヘモソーバ(登録商標)(旭化成メディカル社製);へモカラム(テルモ社製);またはへセルス(帝人社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。このうち、木質系の活性炭を含む膜またはカートリッジとしては、例えば、ゼータプラス活性炭フィルターカートリッジ(住友スリーエム社製、ゼータプラスは登録商標);スープラAKS1フィルター、AKS1フィルター、またはStax(商標) AKS1(以上、Pall社製)等が挙げられる。
用いる活性炭の充填密度、粒度、堅度、乾燥減量、強熱残分、比表面積または細孔容積などは、適宜選択することもできる。
活性炭の使用量は、抗体含有液の濃度などにより調整すればよいが、例えば、抗体含有液100mLに対して0.5g以上、5g以下の活性炭を用いればよい。
抗体含有液と活性炭との接触方法は、水不溶性無機化合物の場合と同様に、抗体含有液に活性炭を加えて振とうまたは攪拌してもよいし、カラムに活性炭を充填してもよい。本工程と上記処理工程を同時に行う場合には、水不溶性無機化合物と活性炭を混合して用いればよい。
4.フロキュラントによる処理工程
本工程では、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液をフロキュラントで処理する。本工程は、水不溶性無機化合物による処理工程および/または活性炭との接触工程の前に実施してもよいし、後に実施してもよいし、或いは水不溶性無機化合物および/または活性炭とフロキュラントとを併用して同時に実施してもよい。但し、本工程の実施は任意である。
上記フロキュラント(flocculants)としては、カプリル酸、ポリアミン、2価の陽イオン、ポリエーテルイミン、キトサン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、pDACMACなどが挙げられる。2価の陽イオンとしては、例えば、Ca2+、Mg2+、Cu2+、Co2+、Mn2+、Ni2+、Be2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+、Zn2+、Cd2+、Ag2+、Pd2+、Rh2+であり、これら2価陽イオンは遊離状態で、あるいは塩酸塩や、硫酸塩、クエン酸塩などとして使用できる。
フロキュラントの使用量は、抗体含有液の濃度などにより調整すればよいが、例えば、フロキュラントがポリアミンまたはポリエーテルイミンである場合は、0.01w/v%以上、10w/v%以下のフロキュラントを用いればよく、より好ましくは0.1w/v%以上、1w/v%以下のフロキュラントを用いればよい。フロキュラントがカプリル酸、キトサン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンである場合は、0.01w/v%以上、10w/v%以下のフロキュラントを用いればよく、より好ましくは1w/v%以上、5w/v%以下のフロキュラントを用いればよい。フロキュラントがpDACMACである場合は、0.01w/v%以上、0.1w/v%以下のフロキュラントを用いればよく、より好ましくは0.1w/v%以上、0.5w/v%以下のフロキュラントを用いればよい。フロキュラントが2価の陽イオンである場合は、2価の陽イオン濃度が1mM以上、100mM以下となる量を添加すればよく、より好ましくは2mM以上、50mM以下となる量を添加すればよい。
抗体含有液とフロキュラントとの接触方法は、水不溶性無機化合物の場合と同様に、抗体含有液にフロキュラントを加えて振とうまたは攪拌してもよいし、カラムにフロキュラントを充填してもよい。本工程と水不溶性無機化合物による処理工程および/または活性炭との接触工程を同時に行う場合には、フロキュラントと水不溶性無機化合物および/または活性炭を混合して用いればよい。
5.エンドヌクレアーゼによる処理工程
本工程では、不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液をエンドヌクレアーゼで処理する。本工程は、上記各工程の前に実施してもよいし、後に実施してもよいし、或いは水不溶性無機化合物、活性炭とフロキュラントおよびフロキュラントから選択される1以上とエンドヌクレアーゼを併用して同時に実施してもよい。但し、本工程の実施は任意である。
エンドヌクレアーゼはDNAの分解酵素の一つであり塩基配列の中心部でも分解する機能を持つ、例えば、市販品としてはベンゾナーゼ(ミリポア社製)、カネカエンドヌクレアーゼ(カネカ社製)が挙げられる。
エンドヌクレアーゼの使用量は、抗体含有液の濃度などにより調整すればよいが、例えば、抗体含有液に対して10U/mL以上が好ましく、100U/mL以上が更に好ましい。一方、上限は特に制限されないが、10,000U/mL以下が好ましい。
6.その他の精製工程
以上の工程は、以下に示す膜やカラム処理といった一般的な抗体または抗体様分子の精製工程の前段あるいは後段に限らず、好適に用いることができるが、膜やカラム処理の前段に以上の工程を行う場合に、クロマトグラフィー担体の吸着容量の低下、分離能の低下、背圧上昇による処理速度の低下や洗浄、再生効率の低下による担体寿命の低下を抑えることが期待でき、また、膜ろ過プロセスにおいても、単位膜面積当たりの処理容量の低下、背圧上昇、処理速度の低減や洗浄、再生効率の低下による担体寿命の低下を抑えることが期待できる。すなわち、以上の工程によって精製された抗体または抗体様分子を、さらにカラム処理又は膜ろ過処理することも、本発明の好ましい一態様であり、言い換えるなら、カラム処理や膜ろ過処理の前処理として、本発明の精製方法を用いることも出来る。
以上の工程、特に上記処理工程は、特に膜処理やカラム処理のための前処理法として、クロマトグラフィー担体の吸着容量の低下、分離能の低下、背圧上昇による処理速度の低下や洗浄、再生効率の低下による担体寿命の低下を抑えることが期待でき、また、膜分離プロセスにおいても、単位膜面積当たりの処理容量の低下、背圧上昇、処理速度の低下や洗浄、再生効率の低下による担体寿命の低下を抑えることが期待できる点で優れている。さらに、本発明に用いる水不溶性無機化合物は、水不溶性の添加剤であり、自然沈降、遠心または膜分離により容易に除去することが可能である他、微量に漏出した成分も膜分離プロセスやクロマトグラフィープロセスで容易に除去可能であり、さらに漏出物の副作用等の心配がなく、産業上非常に優れている。
抗体含有液は、クロマトグラフィーなどのカラム処理により精製することができる。使用するクロマトグラフィーとしては、目的とする抗体または抗体様分子を回収精製できる方法であれば特に限定されないが、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ミックスモードクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーといったクロマトグラフィーが挙げられ、これらを単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。以上の工程、特に上記処理工程は、前記クロマトグラフィー工程の前段あるいは後段においても、好適に用いることができる。
前記陰イオン交換クロマトグラフィーに用いられる陰イオン交換樹脂は、陰イオン交換作用を示すものであれば限定されない。陰イオン交換樹脂としては、Capto Q(GE Healthcare Life Sciences社)、Capto DEAE(GE Healthcare Life Sciences社)、Capto Q ImpRes(GE Healthcare Life Sciences社)、Capto Q Sepharose High Performance(GE Healthcare Life Sciences社)、RESOURCE Q(GE Healthcare Life Sciences社)、SOURCE 30Q(GE Healthcare Life Sciences社)、YMC BioPro Q(YMC社)、YMC BioPro DA(YMC社)、TOYOPEARL SuperQ−650(TOSOH社)、TOYOPEARL GigaCapQ−650(TOSOH社)、TOYOPEARL DEAE−650(TOSOH社)、TOYOPEARL GigaCap DEAE−650(TOSOH社)、Cellufine MAX Q−r(JNC社)、Cellufine MAX Q−h(JNC社)、Cellufine MAX DEAE(JNC社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記陽イオン交換クロマトグラフィーに用いられる陽イオン交換樹脂は、陽イオン交換作用を示すものであれば限定されない。陽イオン交換樹脂としては、Capto S(GE Healthcare Life Sciences社)、Capto SP ImpRes(GE Healthcare Life Sciences社)、SP Sepharose High Performance(GE Healthcare Life Sciences社)、RESOURCE S(GE Healthcare Life Sciences社)、SOURCE 30S(GE Healthcare Life Sciences社)、YMC BioPro S(YMC社)、YMC BioPro CM(YMC社)、TOYOPEARL SP−650(TOSOH社)、TOYOPEARL GigaCap S−650(TOSOH社)、TOYOPEARL CM−650(TOSOH社)、TOYOPEARL GigaCap CM−650(TOSOH社)、Cellufine MAX S−r(JNC社)、Cellufine MAX S−h(JNC社)、Cellufine MAX CM(JNC社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
前記疎水クロマトグラフィーに用いられる疎水クロマトグラフィー樹脂は、疎水相互作用を示すものであれば限定されない。疎水クロマトグラフィー樹脂としては、Phenyl Sepharose High Performance(GE Healthcare Life Sciences社)、Buthyl Sepharose High Performance(GE Healthcare Life Sciences社)、Phenyl Sepharose 6 Fast Flow(GE Healthcare Life Sciences社)、Buthyl Sepharose 6 Fast Flow(GE Healthcare Life Sciences社)、Octyl Sepharose 4 Fast Flow(GE Healthcare Life Sciences社)、Buthyl Sepharose 4 Fast Flow(GE Healthcare Life Sciences社)、Macro−Prep HIC(Bio−Rad Laboratories社)、TOYOPEARL Ethyl−650(TOSOH社)、TOYOPEARL PPG−650(TOSOH社)、TOYOPEARL Phenyl−650(TOSOH社)、TOYOPEARL Buthyl−650(TOSOH社)、Cellufine MAX Phenyl(JNC社)、Cellufine MAX Buthyl(JNC社)、Cellufine MAX Phenyl LS(JNC社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、ハイドロキシアパタイト クロマトグラフィーに用いられるハイドロキシアパタイト樹脂としては、Ceramic Hydroxyapatite(Bio−Rad Laboratories社)、Ceramic Fluoloapatite(Bio−Rad Laboratories社)、MPC Ceramic HydroxyFluoloapatite(Bio−Rad Laboratories社)、HA Ultrogel(PALL社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、ミックスモードクロマトグラフィーに用いられる樹脂は、異なる相互作用を示す2以上の混合物であれば、特に限定されない。ミックスモードクロマトグラフィー用樹脂としては、Capto MMC(GE Healthcare Life Sciences社)、Capto Adhere(GE Healthcare Life Sciences社)、Eshumuno HCX(Merck Millipore社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、アフィニティークロマトグラフィーに用いられる樹脂は、吸着対象物質に親和性を示すものであれば特に限定されない。アフィニティークロマトグラフィー用樹脂としては、KANEKA KanCapA(カネカ社)、KANEKA KanCapA 3G(カネカ社)、KANEKA KanCapG(カネカ社)、KANEKA KanCapL(カネカ社)、MabSelect(GE Healthcare Life Sciences社)、MabSelect Xtra(GE Healthcare Life Sciences社)、MabSelect SuRe(GE Healthcare Life Sciences社)、MabSelect SuRe LX(GE Healthcare Life Sciences社)、MabSelect SuRe pcc(GE Healthcare Life Sciences社)、MabSelect PrismA(GE Healthcare Life Sciences社)、Protein G Sepharose 4 Fast Flow(GE Healthcare Life Sciences社)、KappaSelect(GE Healthcare Life Sciences社)、LamdaFabSelect(GE Healthcare Life Sciences社)、Capto L(GE Healthcare Life Sciences社)、Glutathione Sepharose 4 Fast Flow(GE Healthcare Life Sciences社)、GSTrap 4B(GE Healthcare Life Sciences社)、Glutathione Sepharose 4B(GE Healthcare Life Sciences社)、IgG Sepharose 6 Fast Flow(GE Healthcare Life Sciences社)、TOYOPEARL AF−rProteinA−650F(TOSOH社)、TOYOPEARL AF−rProteinA−HC650F(TOSOH社)、TOYOPEARL AF−rProteinL−650F(TOSOH社)、TOYOPEARL AF−Red−650M(TOSOH社)、TOYOPEARL AF−Chelate−650M(TOSOH社)、Amsphere A3(JSRライフサイエンス社)などが挙げられるが、これらに限定されない。
抗体または抗体様分子が精製された後は、溶媒量を低減して抗体または抗体様分子を濃縮したり、溶媒を交換するなどすればよい。
不純物は、いずれの段階においても、吸光度分析や電気泳動法、HPLC法等を用いる他、市販のアッセイキットによって定量することが可能である。例えば、CHO HCP ELISAキット(Cygnus社製)を用いれば、CHO細胞由来の宿主由来タンパク質を定量できる。市販のアッセイキットに所望する夾雑タンパク質のアッセイキットがない場合は、夾雑タンパク質を鶏などの動物に免疫することで、所望の検出系を作成可能である。また、DNA等の不純物は、qPCR等の手法により定量することができる。
本願は、2018年8月31日に出願された日本国特許出願第2018−163228号に基づく優先権の利益を主張するものである。2018年8月31日に出願された日本国特許出願第2018−163228号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。また、本実施例で用いる試薬については特に明記しない限り、市販品を用いた。
実施例1: 塩基性炭酸マグネシウムを用いた動物細胞由来培養液の処理
0.025mol/mLのリン酸ナトリウムを含むバッファー(pH7.0)中に10wt%となるよう塩基性炭酸マグネシウムを添加し、分散させ、塩基性炭酸マグネシウム分散液を作製した。その塩基性炭酸マグネシウム分散液に、同量のモノクローナル抗体(IgG)を含む動物細胞由来培養液を加えてよく攪拌した後、25℃インキュベーター中にて1時間静置した。その後、処理した溶液を15,000rpm、15℃、10分で遠心分離し、上澄みを回収した。
比較例1: ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを用いたCHO由来培養液の処理
塩基性炭酸マグネシウムのかわりに、公知のフロキュラントである0.01%のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(pDACMAC)を加えた以外は実施例1と同様に操作を行った。
試験例1: 抗体濃度、DNA及びホストセルプロテイン(HCP)含量の測定
以下に示す手法にて、処理前の培養上清、および実施例1および比較例1の溶液中のIgGの濃度及び不純物であるDNA及びホストセルプロテイン(HCP)含量を定量した。
IgG濃度はproteinAクロマトグラフィーにより評価した。GEヘルスケア社製クロマトグラフィーシステム、AKTA explorer 10SにproteinAアフィニティーカラムとしてTOSOH社製TSKgel SuperSW mAbを取り付け、0.02mol/mLのリン酸ナトリウムおよび0.01mol/mL硫酸ナトリウムを含むバッファー(pH6.7)を用いて室温下、流速0.7ml/minでカラムに通液し、ここに評価サンプルを50μL添加し、洗浄液として0.02mol/mLのリン酸ナトリウムおよび0.01mol/mL硫酸ナトリウムを含むバッファー(pH6.7)を5Column Volume(CV)送液した後、溶出液として0.02mol/mLのリン酸ナトリウムを含むバッファー(pH2.5)を10CV送液した。溶出ピークの280nmのUV吸光度を、システムに付属のUV吸光度計により計測した。
HCP含量はシグナス社製CHO Host Cell Protein ELISA Kit,3rd Generationを用いて付属のプロトコルに従い計測した。
DNA含量はシグナス社製CHO DNA Amplification Kit in Tubesを用いて、付属のプロトコルに従い計測した。
図1と表1に処理前、および処理後のHCP量を示す。
Figure 2020045290
表1と図1に示す結果のとおり、塩基性炭酸マグネシウムを添加することで目的とするIgGを溶液中に残したまま、不純物であるHCPを効果的に低減出来ることがわかった。このように、不純物を含む抗体または抗体様分子水溶液または懸濁液を塩基性炭酸マグネシウムにて処理することで不純物を低減できることが証明された。
実施例2: 塩基性炭酸マグネシウム添加量の不純物タンパク質除去率への影響評価
モノクローナル抗体を含む動物細胞由来培養上清に塩基性炭酸マグネシウムを1w/v%、5w/v%、または10w/v%添加して、室温下ミックスローターを用いて18時間攪拌した。その後、15,000rpm、5分で遠心分離して上澄みを回収し、処理液を得た。IgG、HCPおよびDNA濃度を定量した。結果を表2、図2および図3に示す。
Figure 2020045290
評価の結果、塩基性炭酸マグネシウム1〜10w/v%の範囲では添加量が多いほど、HCP濃度が低かった。DNA濃度には差が無く、1w/v%添加で十分な不純物除去能があることが分かった。
実施例3: 水不溶性無機化合物の不純物除去効果と活性炭との組み合わせ効果
モノクローナル抗体を含む動物細胞由来培養上清に1wt%の水不溶性無機化合物および0.67wt%の活性炭をそれぞれ添加し、室温下ミックスローターを用いて18時間攪拌し、15,000rpm、5分で遠心分離して上澄みを回収し、処理液を得た。水不溶性無機化合物としては、塩基性炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、または酸化アルミニウムを用いた。IgG濃度とHCPおよびDNA含量を定量した。結果を表3、図4および図5に示す。
Figure 2020045290
評価の結果、塩基性炭酸マグネシウムだけでなく、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウムの水不溶性無機化合物にも不純物タンパク質除去効果があった。これらは、いずれも医薬品や医療用に使用されている無機化合物であり、バイオ医薬品の製造での使用に好適である。また、活性炭を組み合わせるとIgG回収率が10%程度低下するが、さらに不純物除去効果が高くなることが分かった。
実施例4: 塩基性炭酸マグネシウムの添加処理によるプロテインAキャプチャ工程の改善
モノクローナル抗体を含む動物細胞由来培養上清に1wt%の塩基性炭酸マグネシウムを添加し、室温下ミックスローターを用いて18時間攪拌した。その後、処理した溶液を、15,000rpm、5分で遠心分離した後、フィルターろ過して上澄みを回収し、モノクローナル抗体医薬製造用rProtein A担体(「Mabselect SuRe LX」GE Healthcare Life Sciences社製)(1mL)を充填したカラム、または高機能プロテインAクロマトグラフィー用担体(「KANEKA KanCapA 3Gプレパックカラム」カネカ社製)(1mL)に負荷して50mMクエン酸バッファーにて溶出し、0.1M NaOHで洗浄した。得られた負荷液、溶出液及び洗浄液中のIgG,HCPおよびDNAを測定した。結果を表4、図6,図7および図8に示す。
Figure 2020045290
評価の結果、塩基性炭酸マグネシウムで処理することで、プロテインA担体への不純物の蓄積を抑制し、抗体溶出液の品質を向上できることが分かった。
実施例5: 塩基性炭酸マグネシウム充填カラムによる不純物の除去
1mLのクロマトグラフィーカラムに塩基性炭酸マグネシウムを充填し、モノクローナル抗体を含む動物細胞由来培養上清を通液し、IgG、HCPおよびDNA含量を定量した。結果を表5、図9および図10に示す。
Figure 2020045290
評価の結果、カラムに充填しても塩基性炭酸マグネシウムはHCPやDNAといった不純物を低減できることが分かった。
実施例6: 塩基性炭酸マグネシウムによるVHH含有Pichia由来培養上清からの不純物除去
重鎖抗体(VHH)を含むPichia培養上清に0.67wt%の活性炭および/または1wt%の塩基性炭酸マグネシウムを加え、ミックスローターにて2時間攪拌した後、15,000rpm、5分で遠心分離して上澄みを回収し、処理液を得た。処理前の培養液と処理液をSDS−PAGEで分析した。得られたSDS−PAGEから、目的物であるVHHの15kDa付近のバンド、不純物である18、25kDa付近のバンド強度を読み取り、VHH回収率と不純物残存率を求めた。得られた結果を表6に示す。
Figure 2020045290
評価の結果、VHH含有Pichia培養上清に対しても塩基性炭酸マグネシウムには不純物除去効果があり、活性炭と組み合わせることで高い不純物除去効果があることがわかった。
実施例7: 塩基性炭酸マグネシウムによるscFV含有pichia由来培養上清からの不純物除去
一本鎖抗体(scFV)を含むPichia培養上清に0.67wt%の活性炭および/または1wt%または10wt%の塩基性炭酸マグネシウムを加え、ミックスローターにて2時間攪拌した後、15、000rpm、5分で遠心分離して上澄みを回収し、処理液を得た。処理前の培養液と処理液をSDS−PAGEで分析した。得られたSDS−PAGEから、目的物であるscFVの30kDa付近のバンド、不純物であるそれ以外のバンド強度を読み取り、VHH回収率と不純物残存率を求めた。得られた結果を表7に示す。
Figure 2020045290
評価の結果、scFV含有Pichia培養上清に対しても塩基性炭酸マグネシウムには不純物除去効果があり、活性炭と組み合わせることで収率を多少低下させるものの、高い不純物除去効果があることがわかった。
実施例8: 塩基性炭酸マグネシウムによるVHH含有大腸菌由来培養上清からの不純物除去
VHH含有大腸菌培養上清に1wt%または10wt%の塩基性炭酸マグネシウムを加え、ミックスローターにて2時間攪拌した後、15,000rpm、5分で遠心分離して上澄みを回収し、処理液を得た。処理前の培養液と処理液をSDS−PAGEで分析した。得られたSDS−PAGEから、目的物であるscFVの30kDa付近のバンド、不純物であるそれ以外のバンド強度を読み取り、VHH回収率と不純物残存率を求めた。得られた結果を表8に示す。
Figure 2020045290
評価の結果、scFV含有Pichia培養上清に対しても塩基性炭酸マグネシウムには不純物除去効果があることがわかった。
実施例9: 塩基性炭酸マグネシウムによるFab含有培養液からの不純物除去
Fab含有CHO培養上清に0wt%、1wt%または10wt%の塩基性炭酸マグネシウムを加え、ミックスローターにて2時間攪拌した後、15,000rpmで5分間遠心分離して、処理済液として上澄みを回収した。処理済液中のFab、HCPおよびDNAの濃度を測定した。なおFab濃度はプロテインGクロマトグラフィーにて測定した。
Figure 2020045290
評価の結果、Fab含有CHO培養上清に対しても塩基性炭酸マグネシウムには不純物除去効果があることがわかった。
実施例10: 塩基性炭酸マグネシウムによる抗体含有培養液からの凝集体除去
モノクローナル抗体含有CHO培養上清に0wt%または1wt%の塩基性炭酸マグネシウムを加え、ミックスローターにて18時間攪拌した後、15,000rpmで5分間遠心分離して、処理済液として上澄みを回収した。処理済液中のIgG濃度および凝集体含量を測定した。なお凝集体含量はゲルろ過クロマトグラフィーにより測定した。
Figure 2020045290
評価の結果、塩基性炭酸マグネシウムには凝集体除去効果があることがわかった。
実施例11: 塩基性炭酸マグネシウムとエンドヌクレアーゼの組み合わせによる不純物除去
モノクローナル抗体含有CHO培養上清に1wt%の塩基性炭酸マグネシウムおよび/または100U/mLのカネカエンドヌクレアーゼを加え、ミックスローターにて18時間攪拌した後、15,000rpmで5分間遠心分離して処理済液として上澄みを回収した。処理済液中のIgG濃度、HCP濃度およびDNA濃度を測定した。
Figure 2020045290
評価の結果、塩基性炭酸マグネシウムとエンドヌクレアーゼを組み合わせることで不純物除去能を更に高められることが分かった。
実施例12: リン酸三マグネシウムによる不純物除去
モノクローナル抗体を含む動物細胞由来培養上清に1wt%または及び10wt%のリン酸三マグネシウムおよび0.67wt%の活性炭をそれぞれ添加し、室温下ミックスローターを用いて18時間攪拌し、15,000rpmで5分間遠心分離して、処理済液として上澄みを回収した。処理済液中のIgG濃度とHCPおよびDNA含量を定量した。結果を表12に示す。
Figure 2020045290
評価の結果、リン酸三マグネシウムにも不純物除去能があり、活性炭を添加することで更に不純物除去能を高められることが分かった。

Claims (14)

  1. 抗体または抗体様分子を精製するための方法であって、
    不純物を含む抗体または抗体様分子の水溶液または懸濁液を、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムから選択される1以上の元素を含む水不溶性無機化合物で処理する工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記水不溶性無機化合物が、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、および酸化アルミニウムから選択される1以上である請求項1に記載の方法。
  3. 更に、前記水溶液または懸濁液を活性炭に接触させる工程を含む請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記水溶液または懸濁液が、抗体または抗体様分子を含む培養液である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記水溶液または懸濁液が、培養液を遠心処理または膜処理して得られる培養上清である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記培養液が、抗体または抗体様分子を生産する組換え宿主細胞の培養液である請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記水溶液または懸濁液が、組換え宿主細胞の破砕物または抽出物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記水溶液または懸濁液が、組換え宿主細胞の破砕物または抽出物を遠心または膜処理して得られる上清である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記水溶液または懸濁液が、生体抽出物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記抗体または抗体様分子がFc含有タンパク質である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記抗体または抗体様分子が低分子化抗体である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 更に、前記水溶液または懸濁液をフロキュラントで処理する工程を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 更に、前記水溶液または懸濁液をエンドヌクレアーゼで処理する工程を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 精製された抗体または抗体様分子を、更にカラム処理又は膜ろ過処理する工程を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
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