JPWO2020039879A1 - 絶縁成形体、固体絶縁母線、絶縁成形体の製造方法、及び固体絶縁母線の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2018年8月24日付の日本国出願の特願2018−157547号に基づく優先権を主張し、前記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
中空状に成形された絶縁成形体であって、
筒状の内部半導電層と、
前記内部半導電層の外周に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層の少なくとも端部の外周に設けられた外部半導電層と、
前記絶縁層の第一端面と、前記外部半導電層の第一端面とを有する第一の中空端部と、を有し、
前記絶縁層の第一端面は、機械加工された加工面である。
上記本開示の絶縁成形体と、
前記絶縁成形体の前記内部半導電層内に隙間を有して挿入される導体と、を備える。
筒状の内部半導電層を成形する第一の工程と、
開口縁を有する中空の外部半導電層の端部を成形する第二の工程と、
前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを金型内に配置する第三の工程と、
前記内部半導電層及び前記外部半導電層の端部の内側に中子を挿入する第四の工程と、
前記金型内に絶縁性材料を充填して、前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを一体化する絶縁層を成形する第五の工程と、を備え、
前記第三の工程は、前記内部半導電層の少なくとも両端の外周近傍に前記外部半導電層の端部を間隔を開けるように行い、
前記第四の工程は、前記中子の外周面と前記外部半導電層における前記開口縁を含む内周面との間に隙間を形成し、
前記第五の工程は、前記隙間を上方に向けて前記絶縁性材料の充填を行い、前記絶縁性材料を前記隙間から溢れさせる。
上記本開示の絶縁成形体の製造方法により絶縁成形体を製造する工程と、
前記絶縁成形体の一端側から前記内部半導電層内に導体を挿入する工程と、を備える。
固体絶縁母線の絶縁体を金型を用いて成形した絶縁成形体とする場合、金型内に絶縁性材料を充填して絶縁層を成形する際に、金型内の空気などのガスが抜けきらずに、絶縁層にボイドが発生することがある。このようなボイドは、絶縁性材料が金型内に最後に充填される部位で発生することが多い。以下では、絶縁性材料が最後に充填される部位を「最終充填部」と呼ぶ。絶縁層にボイドが存在すると、その部分の絶縁特性が低下するなど、品質の低下を招く虞がある。したがって、絶縁層にボイドが発生し難い構造の絶縁成形体が望まれている。
本開示の絶縁成形体は、絶縁層にボイドが発生することを抑制できる。本開示の固体絶縁母線は、絶縁成形体における絶縁層の絶縁特性に優れる。本開示の絶縁成形体の製造方法は、絶縁層にボイドが発生することを抑制できる。本開示の固体絶縁母線の製造方法は、絶縁成形体における絶縁層の絶縁特性に優れる固体絶縁母線を製造できる。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
中空状に成形された絶縁成形体であって、
筒状の内部半導電層と、
前記内部半導電層の外周に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層の少なくとも端部の外周に設けられた外部半導電層と、
前記絶縁層の第一端面と、前記外部半導電層の第一端面とを有する第一の中空端部と、を有し、
前記絶縁層の第一端面は、機械加工された加工面である。
前記第一の中空端部以外の第二の中空端部を有し、
前記第二の中空端部は、前記外部半導電層の第二端面と、前記第二端面に達することなく前記外部半導電層の内周面に位置する前記絶縁層の第二端縁とを有することが挙げられる。
前記第一の中空端部以外の第三の中空端部を有し、
前記第三の中空端部は、前記絶縁層の第三端面と、前記外部半導電層の第三端面とを有し、
前記絶縁層の第三端面は、金型により成形された成形面であることが挙げられる。
前記第一の中空端部以外の全ての中空端部は、第二の中空端部及び第三の中空端部の少なくとも一方で構成され、
前記第二の中空端部は、前記外部半導電層の第二端面と、前記第二端面に達することなく前記外部半導電層の内周面に位置する前記絶縁層の第二端縁とを有し、
前記第三の中空端部は、前記絶縁層の第三端面と、前記外部半導電層の第三端面とを有し、
前記絶縁層の第三端面は、金型により成形された成形面であることが挙げられる。
前記内部半導電層、前記絶縁層及び前記外部半導電層がゴム材料で形成されていることが挙げられる。
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の絶縁成形体と、
前記絶縁成形体の前記内部半導電層内に隙間を有して挿入される導体と、を備える。
前記導体が編組線で形成されていることが挙げられる。
筒状の内部半導電層を成形する第一の工程と、
開口縁を有する中空の外部半導電層の端部を成形する第二の工程と、
前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを金型内に配置する第三の工程と、
前記内部半導電層及び前記外部半導電層の端部の内側に中子を挿入する第四の工程と、
前記金型内に絶縁性材料を充填して、前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを一体化する絶縁層を成形する第五の工程と、を備え、
前記第三の工程は、前記内部半導電層の少なくとも両端の外周近傍に前記外部半導電層の端部を間隔を開けるように行い、
前記第四の工程は、前記中子の外周面と前記外部半導電層における前記開口縁を含む内周面との間に隙間を形成し、
前記第五の工程は、前記隙間を上方に向けて前記絶縁性材料の充填を行い、前記絶縁性材料を前記隙間から溢れさせる。
上記(8)に記載の絶縁成形体の製造方法により絶縁成形体を製造する工程と、
前記絶縁成形体の一端側から前記内部半導電層内に導体を挿入する工程と、を備える。
本開示の実施形態に係る絶縁成形体、及び固体絶縁母線の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は、同一名称物を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1〜図3を参照して、実施形態1に係る絶縁成形体20、及び固体絶縁母線1について説明する。図1は、固体絶縁母線1の中心軸に沿った縦断面図である。図2は、固体絶縁母線1の長手方向に直交し、図1に示すII−II線に沿った断面図である。固体絶縁母線1の長手方向は軸方向のことを指す。図3は、固体絶縁母線1を用いた接続構造の一例を示す。図3に例示する接続構造100は、相手機器101となるガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Switchgear)とトランスとを固体絶縁母線1を介して接続するものである。図3では、GIS及びトランスを図示していないが、GISが左側に位置し、トランスが右側に位置する。以下の説明では、固体絶縁母線1のトランスに接続される一端側をTr側、GISに接続される他端側をGIS側、と呼ぶ。
固体絶縁母線1は、図1に示すように、導体10と、端子11G、11Tと、絶縁成形体20とを備える。
導体10は、図1に示すように、絶縁成形体20の内部半導電層21内に挿入されることにより、絶縁成形体20内に配置されている。導体10は、代表的には、編組線又は撚線など、棒材に対して可撓性に優れる可撓導体で形成されている。導体10が可撓性を有する可撓導体で形成されていることで、固体絶縁母線1の可撓性を向上させることができる。特に、編組線は撚線に比較して可撓性に優れることから、導体10として好適である。導体10の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば矩形状、円形状、楕円形状など種々の形状を採用することができる。導体10の断面形状は、導体10の長手方向に直交する断面の形状である。本例では、導体10が銅の平編組線で形成されており、図2に示すように、導体10の断面形状が矩形状である。より具体的には、本例の導体10は平編組線を厚み方向に3つ重ね合わせて構成されている。導体10の寸法は仕様に応じて適宜設定される。例えば、導体10の長さは30cm以上300cm以下、図2において厚さT10×幅W10で示される導体10の断面寸法は2mm×10mm以上40mm×75mm以下である。
導体10の端部には、端子11G、11Tが取り付けられている。本例の場合、図1、図3に示すように、端子11Gが導体10のGIS側の端部に取り付けられている。また、端子11Tが導体10のTr側の端部に取り付けられている。本例では、GIS側の端子11Gは、平板状である。具体的には、端子11Gは、導体10の端部を厚み方向から挟み込む一対の平板状の端子片を有し、ボルトなどによって取り付けられている。端子11Gには、端子片の厚み方向に貫通する貫通孔112が設けられている。この貫通孔112は、後述する図3に示す導体引出棒3Gを接続する際に導体引出棒3Gをボルト113で固定するためのものである。一方、Tr側の端子11Tは、導体10の端部を厚み方向から挟み込む一対の半円柱状の端子片を有する円柱状の基部11bと、基部11bから突出する先端部11aとを有し、ボルトなどによって取り付けられている。端子11Tの先端部11aは、基部11bよりも細く、後述する図3に示す導体引出棒3Tを接続する際に導体引出棒3Tに形成された挿入穴30に嵌め込まれる。端子11G、11Tは、例えば銅で形成されている。
絶縁成形体20は、図1、図5に示すように、中空状の長尺の成形体である。絶縁成形体20は、その中間部20Mが一様な内外径を有する角筒状に成形されている。絶縁成形体20のTr側の端部20Tは中間部20Mよりも太い紡錘状に成形されている。絶縁成形体20のGIS側の端部20Gは中間部20Mに略直交するハンマーヘッド状に成形されている。本例の絶縁成形体20は、Tr側の端部20Tに1つ、GIS側の端部20Gに2つ、合計3つの中空端部50を備え、各中空端部50の開口は互いに内部空間で連通されている。
本例における絶縁成形体20の端部の構成について、図3を適宜参照しつつ詳しく説明する。絶縁成形体20のTr側の端部20Tには、ブッシング4Tの基端側が嵌め込まれる接続用開口部25Tが設けられている。一方、絶縁成形体20のGIS側の端部20Gには、ブッシング4Gの基端側が嵌め込まれる接続用開口部25Gが設けられている。接続用開口部25G、25Tは、絶縁層22によって形成されており、絶縁層22の外周に外部半導電層23の端部23eg、23etが設けられている。接続用開口部25G、25Tの内周面は、開口側から底側に向かって縮径する円錐台形状になっている。接続用開口部25G、25Tの底側には、端子11G、11Tが露出している。各接続用開口部25G、25Tには、後述する導体引出棒3G、3Tが挿通されたブッシング4G,4Tの基端側がそれぞれ挿入され、端子11G、11Tと導体引出棒3G、3Tとが接続される。本例の場合、各接続用開口部25G、25Tにブッシング4G,4Tの基端側がそれぞれ圧入されている。
絶縁成形体20の端部に設けられた接続用開口部25G、25T及び作業用開口部26はいずれも、図1、図5に示すように、中空状に形成された中空端部50に設けられている。以下、図5を主に参照し、図1を適宜参照して、中空端部50の構成を説明する。
内部半導電層21は、導体10のTr側の端部の近傍から端子11T側に向かって徐々に厚みを増し、基部11bの全周を略一定の厚さで覆い、更に先端部11aの途中にまで及ぶ長さを有する。但し、内部半導電層21のTr側の端部は、先端部11aに接することなく、先端部11aとは間隔を開けて重なるように形成されている。この内部半導電層21のTr側の端部は、後述する導体引出棒3Tの基端側の外周を覆う。
外部半導電層23の端部23etは、端子11Tの基部11bのTr側の端部に略対応する位置から固体絶縁母線1のTr側の端部にまで及ぶ長さを有する筒状体に形成されている。端部23etは、GIS側からTr側に向かって内径が徐々に小さくなることで、Tr側ほど厚みが増す形状である。
絶縁層22は、内部半導電層21のTr側の端部を略一定の厚さで覆い、更に外部半導電層23の端部23etの開口縁27にまで及ぶ長さを有する。絶縁層22のTr側の端部は、内部半導電層21のTr側の端部の位置から端部23etの開口縁27に向かって筒状に突出して形成されている。絶縁層22のTr側の端部は、端部23etの開口縁27に向かって厚みが薄くなる先細り形状であり、内径が徐々に大きくなる円錐状の内周面を有する。
外部半導電層23の端部23egは、内部半導電層21のGIS側の端部に対して直交する筒状頭部と、筒状頭部に一体に形成されて筒状頭部の軸方向の中間位置からTr側に向かって突出する中空軸部とを有する。端部23egは、T字状の中空体に形成されている。中空軸部は、導体10のGIS側の端部の近傍までを覆う。筒状頭部と中空軸部との内部空間は連通している。端部23egの筒状頭部は、両端に開口を有し、中央側から開口縁271、272側に向かって厚みを増すように形成されている。端部23egの中空軸部は、GIS側からTr側に向かって略一定の厚さで延び、Tr側に開口縁273を有する。つまり、端部23egは、3つの開口を有し、いずれの開口からも内部空間に連通している。
絶縁層22は、内部半導電層21のGIS側の端部までを覆う長さを有する。絶縁層22のGIS側の端部は、外部半導電層23の端部23egの内周側に設けられており、内部半導電層21の孔211を塞がないように、内部半導電層21のGIS側の端部から直交する筒状に形成されている。絶縁層22のGIS側の端部は、中央側ほど厚く、端部23egの開口縁271、272に向かって厚みが薄くなる先細り形状であり、内径が徐々に大きくなる円錐状の内周面を有する。
第一の形態は、絶縁層の第一端面と、外部半導電層の第一端面とを有し、絶縁層の第一端面が機械加工された加工面である第一の中空端部の形態である。
〈第二の中空端部〉
第二の形態は、外部半導電層の第二端面と、外部半導電層の第二端面に達することなく外部半導電層の内周面に位置する絶縁層の第二端縁とを有する第二の中空端部の形態である。
〈第三の中空端部〉
第三の形態は、絶縁層の第三端面と、外部半導電層の第三端面とを有し、絶縁層の第三端面が金型により成形された成形面である第三の中空端部の形態である。
図4、図5を参照して、図1に示す実施形態1の絶縁成形体20の製造方法を説明する。絶縁成形体20の製造方法は、以下に示す第一の工程〜第五の工程を備える。
第一の工程:内部半導電層21を成形する工程
第二の工程:外部半導電層23の端部23eg、23etを成形する工程
第三の工程:内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを金型9内に配置する工程
第四の工程:内部半導電層21及び外部半導電層23の端部23eg、23etの内側に中子95a〜95cを挿入する工程
第五の工程:金型内に絶縁性材料を充填して、図5に示す絶縁層22を成形する工程
第六の工程:図5に示す絶縁層22の所定箇所を機械加工により除去する工程
以下、各工程について詳しく説明する。
第一の工程は、筒状の内部半導電層21を成形する。内部半導電層21には、Tr側である一端側からGIS側である他端側に向けて軸方向に沿って挿入孔200を形成する。本例の場合、図2に示すように、内部半導電層21の内周、即ち挿入孔200のうち、導体10が配置される部分の断面寸法を導体10の断面寸法よりも大きくする。内部半導電層21の成形は、金型を用いて行うことができる。具体的には、挿入孔200を形成する中子を有する金型を用い、金型内に半導電性材料を充填することにより、内部半導電層21を半導電性材料で成形する。本例では、半導電性材料に半導電性ゴム材料を使用する。
第二の工程は、開口縁を有する中空の外部半導電層23の端部23eg、23etを成形する。本例の場合、GIS側の外部半導電層23の端部23egは、上述したように、T字状の中空体とし、3つの開口は内部空間で連通している。端部23egは、図5に示すように、作業用開口部26及び接続用開口部25Gが形成される箇所を筒状に成形し、内周面230を形成する。Tr側の外部半導電層23の端部23etは、筒状体とする。端部23etは、図5に示すように、接続用開口部25Tが形成される箇所を筒状に成形し、内周面230を形成する。外部半導電層23の端部23eg、23etの成形は、金型を用いて行うことができる。具体的には、内周面230を形成する中子を有する金型を用い、金型内に半導電性材料を充填することにより、外部半導電層23の端部23eg、23etを半導電性材料で成形する。本例では、半導電性材料に半導電性ゴム材料を使用する。
第三の工程は、図4に示すように、内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを金型9内に配置する。第三の工程では、内部半導電層21の少なくとも両端の外周近傍に外部半導電層23の端部23eg、23etを間隔を開けるように行う。内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとの間隔で形成される空間が、図5に示す絶縁層22の充填空間となる。
第四の工程は、内部半導電層21及び外部半導電層23の端部23eg、23etの内側に中子95a〜95cを挿入する。第四の工程では、中子95aの外周面と外部半導電層23における開口縁271を含む内周面230との間に隙間92を形成する。
第五の工程は、隙間92を上方に向けた金型9内に絶縁性材料を充填し、絶縁性材料を隙間92から溢れさせる。そして、図5に示すように、内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを一体化する絶縁層22を成形する。本例では、絶縁性材料に絶縁性ゴム材料を使用する。
絶縁層22には、ゲート部93に形成された絶縁性材料の余剰部分であるバリや、隙間92から絶縁性材料を溢れさせてオーバーフロー部94に形成された余剰部分が残る。第六の工程は、絶縁層22の上記余剰部分を機械加工により除去する。
図1に示す実施形態1の固体絶縁母線1の製造方法を説明する。固体絶縁母線1の製造方法は、上述した絶縁成形体20の製造方法により絶縁成形体20を製造する工程と、絶縁成形体20の一端側から内部半導電層21内に導体10を挿入する工程と、を備える。
導体引出棒3G、3Tは、基端側が固体絶縁母線1の端子11G、11Tにそれぞれ接続され、先端側が相手機器101であるGIS又はトランスの各接続箇所102に接続される。これにより、固体絶縁母線1の端子11G、11Tが導体引出棒3G、3Tを介して相手機器101の接続箇所102に電気的に接続され、GISとトランスとが固体絶縁母線1を介して電気的に接続される。導体引出棒3G、3Tは、例えば銅で形成されている。
ブッシング4G、4Tは、導体引出棒3G、3Tの外周を覆う筒状の部材である。ブッシング4G、4Tには、その長手方向に貫通するように導体引出棒3G、3Tが挿通されている。ブッシング4G、4Tは、例えばエポキシ樹脂で形成されている。本例では、導体引出棒3G、3Tの外周にブッシング4G、4Tを構成するエポキシ樹脂などの樹脂材料をモールドして、導体引出棒3G、3Tに対してブッシング4G、4Tが一体成形されている。
取付フランジ8は、ブッシング4G、4Tの各フランジ部45と相手機器101の各筐体104との間に介在される円環状の部材であり、例えば黄銅で形成されている。取付フランジ8の外周面は、フランジ部45の外周面よりも径方向外方に突出している。また、筐体104に対向する取付フランジ8の端面には、シール溝が形成されており、シール溝にシール部材が嵌め込まれている。これにより、筐体104と取付フランジ8との間から内部に水が浸入することを防止できる。シール部材は、例えばゴム製のOリングである。
固体絶縁母線1のGIS側端部1Gに形成された作業用開口部26には、絶縁栓7が嵌め込まれる。絶縁栓7は、作業用開口部26の内周面に対応した形状であり、作業用開口部26の底側に向かって先細りする円錐台形状に形成されている。絶縁栓7の外径は、絶縁栓7が挿入される前の状態における作業用開口部26の内径よりも若干大きい。そのため、絶縁栓7を作業用開口部26に挿入したとき、絶縁栓7が作業用開口部26内に圧着状態で固定される。
上述した実施形態1に係る絶縁成形体20、固体絶縁母線1、絶縁成形体20の製造方法、及び固体絶縁母線1の製造方法は、それぞれ次の効果を奏する。
実施形態1では、作業用開口部26を有する中空端部50が第一の中空端部により構成され、それ以外の接続用開口部25G、25Tを有するそれぞれの中空端部50がいずれも第二の中空端部により構成されている形態を説明した。実施形態2では、図6、図7を参照して、実施形態1におけるTr側の接続用開口部25Tを有する中空端部50を第三の中空端部の構成に変更した例を説明する。図6に示す実施形態2の絶縁成形体20は、接続用開口部25Tの構成を第三の中空端部に変更した以外は図1に示す実施形態1の絶縁成形体20と同様の構成になっており、同様の構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。図1、図3に示す固体絶縁母線1及び接続構造100において、GIS側及びTr側の端子11G、11Tや導体引出棒3G、3Tなどの形状を変更することが可能である。例えば、固体絶縁母線1のGIS側の端部とTr側の端部とを入れ替えて、端子11Gをトランスに接続する方とし、端子11TをGISに接続する方とすることも可能である。つまり、GIS側を端子11Tと導体引出棒3Tとの組み合わせとし、トランス側を端子11Gと導体引出棒3Gとの組み合わせとする。この場合、固体絶縁母線1の端子11Tが導体引出棒3Tを介してGISの接続箇所102に接続されると共に、端子11Gが導体引出棒3Gを介してトランスの接続箇所102に接続されるように、接続構造100を構成する。
10 導体
11G、11T 端子
11b 基部 11a 先端部
112 貫通孔 113 ボルト
20 絶縁成形体
20G、20T 端部 20M 中間部
200 挿入孔
21 内部半導電層 211 孔
22 絶縁層
221 第一端面 222 第二端縁 223 第三端面
23 外部半導電層
230 内周面
231 第一端面 232 第二端面 233 第三端面
23eg、23et 端部 23m 中間部
25G、25T 接続用開口部 26 作業用開口部
27、271、272、273 開口縁
12 隙間
50 中空端部
3G、3T 導体引出棒
30 挿入穴
4G、4T ブッシング
45 フランジ部
55、56 フランジ
6 蓋 7 絶縁栓
71、72 埋込電極
8 取付フランジ
9 金型
90 キャビティ
91 分割型 92 隙間
93 ゲート部 94 オーバーフロー部
95a、95b、95c 中子 96 棒状部
100 固体絶縁母線の接続構造
101 相手機器 102 接続箇所
104 筐体
T10 厚さ W10 幅
Claims (9)
- 中空状に成形された絶縁成形体であって、
筒状の内部半導電層と、
前記内部半導電層の外周に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層の少なくとも端部の外周に設けられた外部半導電層と、
前記絶縁層の第一端面と、前記外部半導電層の第一端面とを有する第一の中空端部と、を有し、
前記絶縁層の第一端面は、機械加工された加工面である、
絶縁成形体。 - 前記第一の中空端部以外の第二の中空端部を有し、
前記第二の中空端部は、前記外部半導電層の第二端面と、前記第二端面に達することなく前記外部半導電層の内周面に位置する前記絶縁層の第二端縁とを有する請求項1に記載の絶縁成形体。 - 前記第一の中空端部以外の第三の中空端部を有し、
前記第三の中空端部は、前記絶縁層の第三端面と、前記外部半導電層の第三端面とを有し、
前記絶縁層の第三端面は、金型により成形された成形面である請求項1又は請求項2に記載の絶縁成形体。 - 前記第一の中空端部以外の全ての中空端部は、第二の中空端部及び第三の中空端部の少なくとも一方で構成され、
前記第二の中空端部は、前記外部半導電層の第二端面と、前記第二端面に達することなく前記外部半導電層の内周面に位置する前記絶縁層の第二端縁とを有し、
前記第三の中空端部は、前記絶縁層の第三端面と、前記外部半導電層の第三端面とを有し、
前記絶縁層の第三端面は、金型により成形された成形面である請求項1に記載の絶縁成形体。 - 前記内部半導電層、前記絶縁層及び前記外部半導電層がゴム材料で形成されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の絶縁成形体。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の絶縁成形体と、
前記絶縁成形体の前記内部半導電層内に隙間を有して挿入される導体と、を備える、
固体絶縁母線。 - 前記導体が編組線で形成されている請求項6に記載の固体絶縁母線。
- 筒状の内部半導電層を成形する第一の工程と、
開口縁を有する中空の外部半導電層の端部を成形する第二の工程と、
前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを金型内に配置する第三の工程と、
前記内部半導電層及び前記外部半導電層の端部の内側に中子を挿入する第四の工程と、
前記金型内に絶縁性材料を充填して、前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを一体化する絶縁層を成形する第五の工程と、を備え、
前記第三の工程は、前記内部半導電層の少なくとも両端の外周近傍に前記外部半導電層の端部を間隔を開けるように行い、
前記第四の工程は、前記中子の外周面と前記外部半導電層における前記開口縁を含む内周面との間に隙間を形成し、
前記第五の工程は、前記隙間を上方に向けて前記絶縁性材料の充填を行い、前記絶縁性材料を前記隙間から溢れさせる、
絶縁成形体の製造方法。 - 請求項8に記載の絶縁成形体の製造方法により絶縁成形体を製造する工程と、
前記絶縁成形体の一端側から前記内部半導電層内に導体を挿入する工程と、を備える、
固体絶縁母線の製造方法。
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