JPWO2020039879A1 - 絶縁成形体、固体絶縁母線、絶縁成形体の製造方法、及び固体絶縁母線の製造方法 - Google Patents

絶縁成形体、固体絶縁母線、絶縁成形体の製造方法、及び固体絶縁母線の製造方法 Download PDF

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Abstract

中空状に成形された絶縁成形体であって、筒状の内部半導電層と、前記内部半導電層の外周に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の少なくとも端部の外周に設けられた外部半導電層と、前記絶縁層の第一端面と、前記外部半導電層の第一端面とを有する第一の中空端部と、を有し、前記絶縁層の第一端面は、機械加工された加工面である、絶縁成形体。

Description

本開示は、絶縁成形体、固体絶縁母線、絶縁成形体の製造方法、及び固体絶縁母線の製造方法に関する。
本出願は、2018年8月24日付の日本国出願の特願2018−157547号に基づく優先権を主張し、前記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
電力機器間の接続に固体絶縁母線が使用されている。特許文献1は、棒状導体と短尺の撚線とを組み合わせて接続した母線と、母線の両端に接続した端末金具と、母線及び端末金具の上にモールドされた内部半導電層、絶縁層、及び外部半導電層とを備えるモールド絶縁連絡母線を開示する。特許文献1に記載のモールド絶縁連絡母線は、両端に端末金具を接続した母線を金型内に設置し、その上に内部半導電層、絶縁層、及び外部半導電層を順にモールドして絶縁体を形成することにより作製する。
特開平10−233244号公報
本開示の絶縁成形体は、
中空状に成形された絶縁成形体であって、
筒状の内部半導電層と、
前記内部半導電層の外周に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層の少なくとも端部の外周に設けられた外部半導電層と、
前記絶縁層の第一端面と、前記外部半導電層の第一端面とを有する第一の中空端部と、を有し、
前記絶縁層の第一端面は、機械加工された加工面である。
本開示の固体絶縁母線は、
上記本開示の絶縁成形体と、
前記絶縁成形体の前記内部半導電層内に隙間を有して挿入される導体と、を備える。
本開示の絶縁成形体の製造方法は、
筒状の内部半導電層を成形する第一の工程と、
開口縁を有する中空の外部半導電層の端部を成形する第二の工程と、
前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを金型内に配置する第三の工程と、
前記内部半導電層及び前記外部半導電層の端部の内側に中子を挿入する第四の工程と、
前記金型内に絶縁性材料を充填して、前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを一体化する絶縁層を成形する第五の工程と、を備え、
前記第三の工程は、前記内部半導電層の少なくとも両端の外周近傍に前記外部半導電層の端部を間隔を開けるように行い、
前記第四の工程は、前記中子の外周面と前記外部半導電層における前記開口縁を含む内周面との間に隙間を形成し、
前記第五の工程は、前記隙間を上方に向けて前記絶縁性材料の充填を行い、前記絶縁性材料を前記隙間から溢れさせる。
本開示の固体絶縁母線の製造方法は、
上記本開示の絶縁成形体の製造方法により絶縁成形体を製造する工程と、
前記絶縁成形体の一端側から前記内部半導電層内に導体を挿入する工程と、を備える。
図1は、実施形態1に係る絶縁成形体を備える固体絶縁母線の概略縦断面図である。 図2は、図1のII−II線断面図である。 図3は、実施形態1に係る固体絶縁母線の接続構造の一例を示す概略構成図である。 図4は、実施形態1において、絶縁層の成形に用いる金型の一例を示す概略縦断面図である。 図5は、実施形態1において、内部半導電層と外部半導電層の端部とを絶縁層で一体化した成形体の概略縦断面図である。 図6は、実施形態2に係る絶縁成形体を備える固体絶縁母線の概略縦断面図である。 図7は、実施形態2において、絶縁層の成形に用いる金型の一例を示す概略縦断面図である。
[本開示が解決しようとする課題]
固体絶縁母線の絶縁体を金型を用いて成形した絶縁成形体とする場合、金型内に絶縁性材料を充填して絶縁層を成形する際に、金型内の空気などのガスが抜けきらずに、絶縁層にボイドが発生することがある。このようなボイドは、絶縁性材料が金型内に最後に充填される部位で発生することが多い。以下では、絶縁性材料が最後に充填される部位を「最終充填部」と呼ぶ。絶縁層にボイドが存在すると、その部分の絶縁特性が低下するなど、品質の低下を招く虞がある。したがって、絶縁層にボイドが発生し難い構造の絶縁成形体が望まれている。
本開示は、絶縁層にボイドが発生することを抑制できる絶縁成形体、及びその製造方法を提供することを目的の一つとする。また、絶縁成形体を備える固体絶縁母線及びその製造方法を提供することを別の目的の一つとする。
[本開示の効果]
本開示の絶縁成形体は、絶縁層にボイドが発生することを抑制できる。本開示の固体絶縁母線は、絶縁成形体における絶縁層の絶縁特性に優れる。本開示の絶縁成形体の製造方法は、絶縁層にボイドが発生することを抑制できる。本開示の固体絶縁母線の製造方法は、絶縁成形体における絶縁層の絶縁特性に優れる固体絶縁母線を製造できる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の実施形態に係る絶縁成形体は、
中空状に成形された絶縁成形体であって、
筒状の内部半導電層と、
前記内部半導電層の外周に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層の少なくとも端部の外周に設けられた外部半導電層と、
前記絶縁層の第一端面と、前記外部半導電層の第一端面とを有する第一の中空端部と、を有し、
前記絶縁層の第一端面は、機械加工された加工面である。
本開示の絶縁成形体は、第一の中空端部において絶縁層の第一端面が機械加工された加工面である。絶縁層の第一端面の加工面は、金型内に絶縁性材料を充填して絶縁層を成形した際に絶縁性材料を溢れさせた部分を機械加工により除去することで形成されたものである。絶縁層の第一端面は第一の中空端部の端面に露出することになるため、絶縁層の第一端面を、絶縁層の成形時における絶縁性材料が金型内に最後に充填される最終充填部に設けることができる。これにより、絶縁層の成形時に絶縁性材料の最終充填部となる第一端面の部分から絶縁性材料を溢れさせて金型内のガスを抜くことによって、絶縁層にボイドが発生し難くなる。したがって、本開示の絶縁成形体は、絶縁層にボイドが発生することを抑制できる。
(2)本開示の絶縁成形体の一形態として、
前記第一の中空端部以外の第二の中空端部を有し、
前記第二の中空端部は、前記外部半導電層の第二端面と、前記第二端面に達することなく前記外部半導電層の内周面に位置する前記絶縁層の第二端縁とを有することが挙げられる。
上記形態は、第二の中空端部において、外部半導電層の内周面に位置する絶縁層の第二端縁を有する。第二の中空端部では、絶縁層の第二端縁が外部半導電層の第二端面に達することなく内周面に位置することから、第一の中空端部とは異なり、絶縁層の端面が第二の中空端部の端面に露出していない。この場合、第二の中空端部における絶縁層の端面に対する機械加工を不要とすることができる。
(3)本開示の絶縁成形体の一形態として、
前記第一の中空端部以外の第三の中空端部を有し、
前記第三の中空端部は、前記絶縁層の第三端面と、前記外部半導電層の第三端面とを有し、
前記絶縁層の第三端面は、金型により成形された成形面であることが挙げられる。
上記形態は、第三の中空端部において絶縁層の第三端面が金型により成形された成形面であることから、第三端面に対する機械加工を省略することができる。
(4)本開示の絶縁成形体の一形態として、
前記第一の中空端部以外の全ての中空端部は、第二の中空端部及び第三の中空端部の少なくとも一方で構成され、
前記第二の中空端部は、前記外部半導電層の第二端面と、前記第二端面に達することなく前記外部半導電層の内周面に位置する前記絶縁層の第二端縁とを有し、
前記第三の中空端部は、前記絶縁層の第三端面と、前記外部半導電層の第三端面とを有し、
前記絶縁層の第三端面は、金型により成形された成形面であることが挙げられる。
上記形態は、第一の中空端部以外の全ての中空端部が、第二の中空端部及び第三の中空端部の少なくとも一方により構成されている。よって、第一の中空端部における絶縁層の第一端面が、絶縁層の成形時における絶縁製材料の最終充填部に設けられることになる。また、第二の中空端部では、絶縁層の第二端縁が外部半導電層の内周面に位置しており、第三の中空端部では、絶縁層の第三端面が成形面である。そのため、第二及び第三の中空端部において、絶縁層の端面に対する機械加工が不要である。
(5)本開示の絶縁成形体の一形態として、
前記内部半導電層、前記絶縁層及び前記外部半導電層がゴム材料で形成されていることが挙げられる。
上記形態は、絶縁成形体がゴム材料で形成されていることで、絶縁成形体の可撓性が向上する。
(6)本開示の実施形態に係る固体絶縁母線は、
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の絶縁成形体と、
前記絶縁成形体の前記内部半導電層内に隙間を有して挿入される導体と、を備える。
本開示の固体絶縁母線は、上記本開示の絶縁成形体を備える。したがって、本開示の固体絶縁母線は、絶縁成形体における絶縁層にボイドが少なく、絶縁層の絶縁特性に優れる。
(7)本開示の固体絶縁母線の一形態として、
前記導体が編組線で形成されていることが挙げられる。
上記形態は、導体が編組線で形成されていることで、固体絶縁母線が可撓性に優れる。よって、固体絶縁母線の各端部を接続対象となる各電力機器の接続箇所に位置合わせして接続し易い。電力機器間を固体絶縁母線で接続する場合、それぞれの電力機器の接続箇所の高さ位置などが異なったり、電力機器の据付精度によって接続箇所の位置がずれることがある。その場合、固体絶縁母線を屈曲させて、各端部を各接続対象に位置合わせする必要がある。編組線であれば、可撓性に優れ曲げ易いため、固体絶縁母線の可撓性が向上する。したがって、上記形態は、固体絶縁母線が曲げ易くなり、接続箇所の位置ずれに対応し易くなる。
(8)本開示の実施形態に係る絶縁成形体の製造方法は、
筒状の内部半導電層を成形する第一の工程と、
開口縁を有する中空の外部半導電層の端部を成形する第二の工程と、
前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを金型内に配置する第三の工程と、
前記内部半導電層及び前記外部半導電層の端部の内側に中子を挿入する第四の工程と、
前記金型内に絶縁性材料を充填して、前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを一体化する絶縁層を成形する第五の工程と、を備え、
前記第三の工程は、前記内部半導電層の少なくとも両端の外周近傍に前記外部半導電層の端部を間隔を開けるように行い、
前記第四の工程は、前記中子の外周面と前記外部半導電層における前記開口縁を含む内周面との間に隙間を形成し、
前記第五の工程は、前記隙間を上方に向けて前記絶縁性材料の充填を行い、前記絶縁性材料を前記隙間から溢れさせる。
本開示の絶縁成形体の製造方法は、内部半導電層及び外部半導電層の端部を金型内に配置する。更に、内部半導電層及び外部半導電層の端部の内側に中子を挿入して、外部半導電層の内側に挿入した中子の外周面と開口縁を含む内周面との間に隙間を形成する。そして、その隙間を金型の上方に向けた状態で金型内に絶縁性材料を充填し、内部半導電層と外部半導電層の端部とを一体化するように絶縁層を成形する。上記製造方法によれば、絶縁層を成形する上記第五の工程において、金型の上方に設けた隙間が最終充填部に位置することになる。そのため、絶縁性材料を隙間から溢れさせて金型内のガスを抜くことによって、絶縁層にボイドが発生し難くなる。したがって、本開示の絶縁成形体の製造方法は、絶縁層にボイドが発生することを抑制できる。
本開示の製造方法により絶縁成形体を製造した場合、中子と外部半導電層の開口縁との間に形成した隙間に絶縁性材料が充填され、絶縁層の端面が外部半導電層の開口縁から露出することになる。隙間から絶縁性材料が溢れて形成された部分は、絶縁層の成形後、機械加工により除去することで、絶縁層の端面に加工面が形成される。したがって、本開示の製造方法は、絶縁層の端面と、外部半導電層の端面とを有し、絶縁層の端面が加工面である中空端部、具体的には上述した第一の中空端部を形成することができる。
(9)本開示の実施形態に係る固体絶縁母線の製造方法は、
上記(8)に記載の絶縁成形体の製造方法により絶縁成形体を製造する工程と、
前記絶縁成形体の一端側から前記内部半導電層内に導体を挿入する工程と、を備える。
本開示の固体絶縁母線の製造方法は、上記本開示の絶縁成形体の製造方法により製造された絶縁成形体を用いる。したがって、本開示の固体絶縁母線の製造方法は、絶縁成形体における絶縁層にボイドが少なく、絶縁層の絶縁特性に優れる固体絶縁母線を製造することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る絶縁成形体、及び固体絶縁母線の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は、同一名称物を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[実施形態1]
図1〜図3を参照して、実施形態1に係る絶縁成形体20、及び固体絶縁母線1について説明する。図1は、固体絶縁母線1の中心軸に沿った縦断面図である。図2は、固体絶縁母線1の長手方向に直交し、図1に示すII−II線に沿った断面図である。固体絶縁母線1の長手方向は軸方向のことを指す。図3は、固体絶縁母線1を用いた接続構造の一例を示す。図3に例示する接続構造100は、相手機器101となるガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Switchgear)とトランスとを固体絶縁母線1を介して接続するものである。図3では、GIS及びトランスを図示していないが、GISが左側に位置し、トランスが右側に位置する。以下の説明では、固体絶縁母線1のトランスに接続される一端側をTr側、GISに接続される他端側をGIS側、と呼ぶ。
図1に示す固体絶縁母線1は、長尺な導体10と、導体10の端部に取り付けられる端子11G、11Tと、導体10及び端子11G、11Tの外周を覆う絶縁成形体20とを備える。絶縁成形体20は、中空状に成形されたものである。絶縁成形体20は、図1、図2に示すように、内側から外側に向かって順に、内部半導電層21、絶縁層22及び外部半導電層23を備える。実施形態1に係る絶縁成形体20は、図1に示すように、絶縁層22の第一端面221と、外部半導電層23の端部23egの第一端面231とを有する第一の中空端部を有することを特徴の1つとする。本例では、第一の中空端部は、作業用開口部26を有する中空端部50に相当する。絶縁層22の第一端面221は、機械加工された加工面である。
<固体絶縁母線>
固体絶縁母線1は、図1に示すように、導体10と、端子11G、11Tと、絶縁成形体20とを備える。
(導体)
導体10は、図1に示すように、絶縁成形体20の内部半導電層21内に挿入されることにより、絶縁成形体20内に配置されている。導体10は、代表的には、編組線又は撚線など、棒材に対して可撓性に優れる可撓導体で形成されている。導体10が可撓性を有する可撓導体で形成されていることで、固体絶縁母線1の可撓性を向上させることができる。特に、編組線は撚線に比較して可撓性に優れることから、導体10として好適である。導体10の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば矩形状、円形状、楕円形状など種々の形状を採用することができる。導体10の断面形状は、導体10の長手方向に直交する断面の形状である。本例では、導体10が銅の平編組線で形成されており、図2に示すように、導体10の断面形状が矩形状である。より具体的には、本例の導体10は平編組線を厚み方向に3つ重ね合わせて構成されている。導体10の寸法は仕様に応じて適宜設定される。例えば、導体10の長さは30cm以上300cm以下、図2において厚さT10×幅W10で示される導体10の断面寸法は2mm×10mm以上40mm×75mm以下である。
(端子)
導体10の端部には、端子11G、11Tが取り付けられている。本例の場合、図1、図3に示すように、端子11Gが導体10のGIS側の端部に取り付けられている。また、端子11Tが導体10のTr側の端部に取り付けられている。本例では、GIS側の端子11Gは、平板状である。具体的には、端子11Gは、導体10の端部を厚み方向から挟み込む一対の平板状の端子片を有し、ボルトなどによって取り付けられている。端子11Gには、端子片の厚み方向に貫通する貫通孔112が設けられている。この貫通孔112は、後述する図3に示す導体引出棒3Gを接続する際に導体引出棒3Gをボルト113で固定するためのものである。一方、Tr側の端子11Tは、導体10の端部を厚み方向から挟み込む一対の半円柱状の端子片を有する円柱状の基部11bと、基部11bから突出する先端部11aとを有し、ボルトなどによって取り付けられている。端子11Tの先端部11aは、基部11bよりも細く、後述する図3に示す導体引出棒3Tを接続する際に導体引出棒3Tに形成された挿入穴30に嵌め込まれる。端子11G、11Tは、例えば銅で形成されている。
(絶縁成形体)
絶縁成形体20は、図1、図5に示すように、中空状の長尺の成形体である。絶縁成形体20は、その中間部20Mが一様な内外径を有する角筒状に成形されている。絶縁成形体20のTr側の端部20Tは中間部20Mよりも太い紡錘状に成形されている。絶縁成形体20のGIS側の端部20Gは中間部20Mに略直交するハンマーヘッド状に成形されている。本例の絶縁成形体20は、Tr側の端部20Tに1つ、GIS側の端部20Gに2つ、合計3つの中空端部50を備え、各中空端部50の開口は互いに内部空間で連通されている。
絶縁成形体20は、図1に示すように、筒状の内部半導電層21と、内部半導電層21の外周に設けられた絶縁層22と、絶縁層22の少なくとも端部の外周に設けられた外部半導電層23とを備える。絶縁層22の内外に内部半導電層21及び外部半導電層23を有することで、導体10に電圧を印加したときに絶縁成形体20にかかる電界ストレスを緩和することができる。本例の絶縁成形体20は、主としてゴム材料で形成されている。絶縁成形体20がゴム材料で形成されていることで、絶縁成形体20の可撓性が向上し、固体絶縁母線1の可撓性を向上させることができる。
内部半導電層21には、挿入孔200がTr側である一端側からGIS側である他端側に向けて軸方向に沿って形成されている。この挿入孔200には、導体10の端部に端子11G、11Tが取り付けられた端子11G、11T付き導体10が全長に亘って挿入される。
内部半導電層21の内周、即ち挿入孔200のうち、導体10が配置される部分の断面形状は導体10の断面形状に対応した形状であり、その断面寸法は導体10の断面寸法よりも大きい。そのため、図2に示すように、導体10の外周面と内部半導電層21の内周面との間に隙間12が形成され、導体10が絶縁成形体20内に隙間12をあけて配置されている。つまり、本例の導体10は、内部半導電層21内に隙間12を有して挿入されている。したがって、導体10の外周面に絶縁成形体20の内部半導電層21が密着しておらず、導体10を構成する編組線などの表面に絶縁成形体20を構成するゴム材料が入り込んでいない。これにより、導体10と絶縁成形体20との独立した挙動が可能である。そのため、固体絶縁母線1を曲げる際に絶縁成形体20に対する導体10の長手方向への動きを許容することができる。内部半導電層21の内周の断面形状及び断面寸法とは、図2に示すように、導体10が挿入される挿入孔200の軸方向に直交する断面の形状及びその寸法のことである。本例の場合、図2に示すように、内部半導電層21の内周の断面形状が矩形状である。
ここで、導体10の外周面と絶縁成形体20における内部半導電層21の内周面との間に形成される隙間12は、導体10と絶縁成形体20との独立した挙動を許容するものである。隙間12の大きさは、例えば0.2mm以上1.5mm以下、更に0.5mm以上1.0mm以下である。隙間12が0.2mm以上であることで、導体10と絶縁成形体20との独立した挙動を十分に許容することができ、また、固体絶縁母線1の製造時に内部半導電層21内に導体10を挿入し易い。
内部半導電層21の内周、即ち挿入孔200のうち、端子11Gが配置される部分の断面形状は端子11Gの断面形状に対応した矩形状であり、その断面寸法は端子11Gの断面寸法よりも大きい。そのため、端子11Gの外周面と内部半導電層21の内周面との間には、隙間が存在する。一方、内部半導電層21の内周のうち、端子11Tの基部11bが配置される部分の断面形状は基部11bの断面形状に対応した円形状である。本例の場合、内部半導電層21における端子11Tが配置される部分は、端子11Tが配置される前の状態において、その断面寸法が基部11bの断面寸法よりも若干小さい。そのため、端子11Tが絶縁成形体20内に配置された状態では、絶縁成形体20の弾性力によって、端子11Tにおける基部11bの外周面と絶縁成形体20における内部半導電層21の内周面とが密着される。これにより、端子11Tが絶縁成形体20内に圧着状態で固定され、端子11G、11T付き導体10と絶縁成形体20とが一体化される。本例の場合、端子11Tの基部11bの断面寸法が導体10の断面寸法よりも大きく、端子11Gの断面寸法が導体10の断面寸法と同等以下である。
内部半導電層21及び外部半導電層23は半導電性材料で形成されている。絶縁層22は絶縁性材料で形成されている。本例では、内部半導電層21及び外部半導電層23が、例えば半導電性のシリコーンゴムなどの半導電性ゴム材料で形成されている。また、絶縁層22が、例えば絶縁性のシリコーンゴムなどの絶縁性ゴム材料で形成されている。内部半導電層21、絶縁層22及び外部半導電層23のそれぞれの厚さは、導体10に流れる電流や印加される電圧などに応じて適宜設定される。図2において、導体10を被覆する部分における内部半導電層21及び外部半導電層23の各層の厚さは、例えば2mm以上15mm以下である。また、絶縁層22の厚さは、例えば5mm以上30mm以下である。
本例では、外部半導電層23の両端部23eg、23et及び内部半導電層21が半導電性ゴム材料で成形されたものである。外部半導電層23のうち、両端部23eg、23et間を繋ぐ中間部23mは、半導電性ゴム塗料を絶縁層22上に塗布して形成されている。外部半導電層23は全長に亘って半導電性ゴム材料で成形されていてもよく、両端部23eg、23et及び中間部23mが半導電性ゴム材料で一体に成形されていてもよい。絶縁層22は、絶縁性ゴム材料で成形されたものである。
(絶縁成形体の端部)
本例における絶縁成形体20の端部の構成について、図3を適宜参照しつつ詳しく説明する。絶縁成形体20のTr側の端部20Tには、ブッシング4Tの基端側が嵌め込まれる接続用開口部25Tが設けられている。一方、絶縁成形体20のGIS側の端部20Gには、ブッシング4Gの基端側が嵌め込まれる接続用開口部25Gが設けられている。接続用開口部25G、25Tは、絶縁層22によって形成されており、絶縁層22の外周に外部半導電層23の端部23eg、23etが設けられている。接続用開口部25G、25Tの内周面は、開口側から底側に向かって縮径する円錐台形状になっている。接続用開口部25G、25Tの底側には、端子11G、11Tが露出している。各接続用開口部25G、25Tには、後述する導体引出棒3G、3Tが挿通されたブッシング4G,4Tの基端側がそれぞれ挿入され、端子11G、11Tと導体引出棒3G、3Tとが接続される。本例の場合、各接続用開口部25G、25Tにブッシング4G,4Tの基端側がそれぞれ圧入されている。
接続用開口部25G、25Tにおける外部半導電層23の端部23eg、23etには、フランジ55が取り付けられている。フランジ55は、ブッシング4G、4Tに設けられたフランジ部45に取り付けられる円環状の部材であり、例えば黄銅で形成されている。
本例では、図1に示すように、Tr側の接続用開口部25Tの形状とGIS側の接続用開口部25Gの形状とが異なる。接続用開口部25Tは、内部半導電層21の端部から軸方向に絶縁層22が突出して形成されており、内部半導電層21の軸方向の延長線上に開口している。一方、接続用開口部25Gは、内部半導電層21の端部から軸方向に交差する方向に絶縁層22が突出して形成されており、内部半導電層21の軸方向に交差する方向に開口している。本例の場合、上記軸方向に交差する方向は直交方向である。また、接続用開口部25Gとは端子11Gを挟んで反対側に作業用開口部26が設けられている。作業用開口部26も、接続用開口部25Gと同じように、絶縁層22によって形成されており、絶縁層22の外周に外部半導電層23の端部23egが設けられている。作業用開口部26の内周面も、開口側から底側に向かって縮径する円錐台形状になっている。作業用開口部26における外部半導電層23の端部23egには、フランジ56が取り付けられている。
(中空端部の形態)
絶縁成形体20の端部に設けられた接続用開口部25G、25T及び作業用開口部26はいずれも、図1、図5に示すように、中空状に形成された中空端部50に設けられている。以下、図5を主に参照し、図1を適宜参照して、中空端部50の構成を説明する。
接続用開口部25Tを有する中空端部50の構成を説明する。
内部半導電層21は、導体10のTr側の端部の近傍から端子11T側に向かって徐々に厚みを増し、基部11bの全周を略一定の厚さで覆い、更に先端部11aの途中にまで及ぶ長さを有する。但し、内部半導電層21のTr側の端部は、先端部11aに接することなく、先端部11aとは間隔を開けて重なるように形成されている。この内部半導電層21のTr側の端部は、後述する導体引出棒3Tの基端側の外周を覆う。
外部半導電層23の端部23etは、端子11Tの基部11bのTr側の端部に略対応する位置から固体絶縁母線1のTr側の端部にまで及ぶ長さを有する筒状体に形成されている。端部23etは、GIS側からTr側に向かって内径が徐々に小さくなることで、Tr側ほど厚みが増す形状である。
絶縁層22は、内部半導電層21のTr側の端部を略一定の厚さで覆い、更に外部半導電層23の端部23etの開口縁27にまで及ぶ長さを有する。絶縁層22のTr側の端部は、内部半導電層21のTr側の端部の位置から端部23etの開口縁27に向かって筒状に突出して形成されている。絶縁層22のTr側の端部は、端部23etの開口縁27に向かって厚みが薄くなる先細り形状であり、内径が徐々に大きくなる円錐状の内周面を有する。
接続用開口部25Tを有する中空端部50の内周面は、GIS側からTr側に向かって順に、内部半導電層21の内周面、絶縁層22の内周面及び外部半導電層23の内周面によって構成される。つまり、内部半導電層21のTr側の端縁及び絶縁層22のTr側の端縁は、接続用開口部25Tを有する中空端部50の端面に達していない。接続用開口部25Tを有する中空端部50の端面は、環状の外部半導電層23の端面、即ち第二端面232によって構成される。
GIS側の中空端部について説明する。GIS側の中空端部は、図5に示すように、T字状の中空端部である。GIS側の中空端部は、内部半導電層21の軸方向と同軸の軸を持つ中央内部空間と、この中央内部空間から分岐し、内部半導電層21の軸方向に直交する軸を持つ分岐内部空間を持つ。これら中央内部空間と分岐内部空間とは連通している。中央内部空間は、内部半導電層21の内周の空間、即ち挿入孔200によって構成される。GIS側の中空端部は、作業用開口部26を有する中空端部50と、接続用開口部25Gを有する中空端部50とを備える。
内部半導電層21は、Tr側から連続して端子11GのGIS側の端部まで延びる。内部半導電層21のGIS側の端部は、閉じられた先端を有し、端子11Gを略一定の厚さで覆う。但し、内部半導電層21のGIS側の端部には、上記先端から若干Tr側の位置に、軸方向に直交する方向に連通する孔211が設けられている。内部半導電層21内に端子11G、11T付き導体10が挿入された際、GIS側である他端側の端子11Gは孔211の領域が内部半導電層21で覆われず、上記分岐内部空間に露出される。
外部半導電層23の端部23egは、内部半導電層21のGIS側の端部に対して直交する筒状頭部と、筒状頭部に一体に形成されて筒状頭部の軸方向の中間位置からTr側に向かって突出する中空軸部とを有する。端部23egは、T字状の中空体に形成されている。中空軸部は、導体10のGIS側の端部の近傍までを覆う。筒状頭部と中空軸部との内部空間は連通している。端部23egの筒状頭部は、両端に開口を有し、中央側から開口縁271、272側に向かって厚みを増すように形成されている。端部23egの中空軸部は、GIS側からTr側に向かって略一定の厚さで延び、Tr側に開口縁273を有する。つまり、端部23egは、3つの開口を有し、いずれの開口からも内部空間に連通している。
絶縁層22は、内部半導電層21のGIS側の端部までを覆う長さを有する。絶縁層22のGIS側の端部は、外部半導電層23の端部23egの内周側に設けられており、内部半導電層21の孔211を塞がないように、内部半導電層21のGIS側の端部から直交する筒状に形成されている。絶縁層22のGIS側の端部は、中央側ほど厚く、端部23egの開口縁271、272に向かって厚みが薄くなる先細り形状であり、内径が徐々に大きくなる円錐状の内周面を有する。
作業用開口部26を有する中空端部50は、絶縁層22と外部半導電層23とで形成されている。作業用開口部26を有する中空端部50の内周面は、絶縁層22の内周面によって構成される。つまり、作業用開口部26の内周面は内部半導電層21を有しない。作業用開口部26を有する中空端部50の端面は、環状の絶縁層22の端面、即ち第一端面221と、その外周に設けられる外部半導電層23の端面、即ち第一端面231とで構成される。また、接続用開口部25Gを有する中空端部50は、絶縁層22と外部半導電層23とで形成されている。接続用開口部25Gを有する中空端部50の内周面は、底側から開口側に向かって順に、絶縁層22の内周面及び外部半導電層23の内周面によって構成される。つまり、接続用開口部25Gの内周面は内部半導電層21を有しない。上記外部半導電層23の内周面には、開口縁272が含まれる。接続用開口部25Gを有する中空端部50の端面は、環状の外部半導電層23の端面、即ち第二端面232によって構成される。
作業用開口部26及び接続用開口部25Gを有するGIS側の中空端部50と接続用開口部25Gを有するTr側の中空端部50とは互いに内部空間で連通している。
中空端部50の形態としては、以下に示す形態が挙げられる。
〈第一の中空端部〉
第一の形態は、絶縁層の第一端面と、外部半導電層の第一端面とを有し、絶縁層の第一端面が機械加工された加工面である第一の中空端部の形態である。
〈第二の中空端部〉
第二の形態は、外部半導電層の第二端面と、外部半導電層の第二端面に達することなく外部半導電層の内周面に位置する絶縁層の第二端縁とを有する第二の中空端部の形態である。
〈第三の中空端部〉
第三の形態は、絶縁層の第三端面と、外部半導電層の第三端面とを有し、絶縁層の第三端面が金型により成形された成形面である第三の中空端部の形態である。
中空端部50のうち必ず1つは、第一の中空端部により構成され、それ以外は、第二の中空端部及び第三の中空端部の少なくとも一方により構成されていることが挙げられる。
本例の場合、作業用開口部26を有する中空端部50が第一の中空端部により構成されている。作業用開口部26は、図1に示すように、絶縁層22の第一端面221と、外部半導電層23の端部23egの第一端面231とを有する。そして、絶縁層22の第一端面221が機械加工された加工面である。また、接続用開口部25G、25Tを有するそれぞれの中空端部50は第二の中空端部により構成されている。接続用開口部25G、25Tは、図1に示すように、外部半導電層23の端部23eg、23etの第二端面232と、第二端面232に達することなく外部半導電層23の内周面230に位置する絶縁層22の第二端縁222とを有する。本例の場合、第三の中空端部により構成されたものはない。
本例では、作業用開口部26を有する第一の中空端部50の端面に、絶縁層22の第一端面221と外部半導電層23の端部23egの第一端面231とが露出して設けられている。第一端面221と第一端面231とは略面一になっている。ここでの第一端面221は、作業用開口部26の開口縁の内周側に形成された傾斜面を除く平坦面により形成されている領域である。
詳しくは後述するが、絶縁層22の第一端面221の加工面は、金型内に絶縁性材料を充填して絶縁層22を成形した際に絶縁性材料を溢れさせた部分を機械加工により除去することで形成されたものである。絶縁層22の第一端面221は、絶縁層22の成形時における絶縁性材料が金型内に最後に充填される最終充填部に設けることとする。これにより、絶縁層22の成形時に絶縁性材料の最終充填部となる第一端面221の部分から絶縁性材料を溢れさせ、金型内のガスを抜くことによって、絶縁層22にボイドが発生し難くなる。仮に絶縁層22にボイドが発生しても、ボイドの発生場所は第一端面221近傍に偏ることになる。機械加工としては、例えば切断加工、切削加工、研削加工、研磨加工などが挙げられ、第一端面221の加工面は、例えば切断面、切削面、研削面、研磨面などである。これらの各加工面はいずれも切断痕、切削痕、研削痕又は研磨痕といった擦過痕を有する。
絶縁層22の第一端面221の幅は、例えば0.2mm以上1.5mm以下、更に0.5mm以上1.0mm以下である。上記第一端面221の幅は、第一端面221における径方向の長さである。第一端面221の幅が0.2mm以上であれば、絶縁層22の成形時に第一端面221の部分から金型内のガスが抜け易い。第一端面221の幅が1.5mm以下であれば、第一の中空端部50、即ち作業用開口部26における外部半導電層23の径方向の厚さが相対的に薄くなり過ぎることを抑制できる。
ここで、第一の中空端部50である作業用開口部26における絶縁層22のボイドの面積率は、例えば30%以下、更に10%以下であることが挙げられる。絶縁層22のボイドの面積率が30%以下であることで、絶縁特性の低下を十分に抑制することができる。また、絶縁層22のボイドの発生場所が第一端面221近傍に偏ることになるので、電気的ストレスがかかる部分へのボイドの発生を抑制でき、この点からも絶縁特性の低下を抑制できる。ボイドの面積率は、例えば次のようにして求めることができる。第一の中空端部50、即ち作業用開口部26における絶縁層22の内周面のうち、第一端面221から軸方向に沿った面積が100mm(例えば10mm×10mm)の範囲を内視鏡などを用いて観察する。そして、観察領域内におけるボイドの面積率を画像処理により求めることが挙げられる。
<絶縁成形体の製造方法>
図4、図5を参照して、図1に示す実施形態1の絶縁成形体20の製造方法を説明する。絶縁成形体20の製造方法は、以下に示す第一の工程〜第五の工程を備える。
第一の工程:内部半導電層21を成形する工程
第二の工程:外部半導電層23の端部23eg、23etを成形する工程
第三の工程:内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを金型9内に配置する工程
第四の工程:内部半導電層21及び外部半導電層23の端部23eg、23etの内側に中子95a〜95cを挿入する工程
第五の工程:金型内に絶縁性材料を充填して、図5に示す絶縁層22を成形する工程
第六の工程:図5に示す絶縁層22の所定箇所を機械加工により除去する工程
以下、各工程について詳しく説明する。
(第一の工程)
第一の工程は、筒状の内部半導電層21を成形する。内部半導電層21には、Tr側である一端側からGIS側である他端側に向けて軸方向に沿って挿入孔200を形成する。本例の場合、図2に示すように、内部半導電層21の内周、即ち挿入孔200のうち、導体10が配置される部分の断面寸法を導体10の断面寸法よりも大きくする。内部半導電層21の成形は、金型を用いて行うことができる。具体的には、挿入孔200を形成する中子を有する金型を用い、金型内に半導電性材料を充填することにより、内部半導電層21を半導電性材料で成形する。本例では、半導電性材料に半導電性ゴム材料を使用する。
(第二の工程)
第二の工程は、開口縁を有する中空の外部半導電層23の端部23eg、23etを成形する。本例の場合、GIS側の外部半導電層23の端部23egは、上述したように、T字状の中空体とし、3つの開口は内部空間で連通している。端部23egは、図5に示すように、作業用開口部26及び接続用開口部25Gが形成される箇所を筒状に成形し、内周面230を形成する。Tr側の外部半導電層23の端部23etは、筒状体とする。端部23etは、図5に示すように、接続用開口部25Tが形成される箇所を筒状に成形し、内周面230を形成する。外部半導電層23の端部23eg、23etの成形は、金型を用いて行うことができる。具体的には、内周面230を形成する中子を有する金型を用い、金型内に半導電性材料を充填することにより、外部半導電層23の端部23eg、23etを半導電性材料で成形する。本例では、半導電性材料に半導電性ゴム材料を使用する。
また、本例の場合、GIS側の外部半導電層23の端部23egでは、金型内にフランジ55、56を配置した状態で成形することにより、端面231、232にフランジ56、55をそれぞれ一体化する。Tr側の外部半導電層23の端部23etでは、金型内にフランジ55を配置した状態で成形することにより、端面232にフランジ55を一体化する。
上記第一の工程及び第二の工程の順序は特に限定されない。例えば、第一の工程の後に第二の工程を行ってもよいし、第二の工程の後に第一の工程を行ってもよい。また、第一の工程と第二の工程とを同時に行うことも可能である。
(第三の工程)
第三の工程は、図4に示すように、内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを金型9内に配置する。第三の工程では、内部半導電層21の少なくとも両端の外周近傍に外部半導電層23の端部23eg、23etを間隔を開けるように行う。内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとの間隔で形成される空間が、図5に示す絶縁層22の充填空間となる。
(第四の工程)
第四の工程は、内部半導電層21及び外部半導電層23の端部23eg、23etの内側に中子95a〜95cを挿入する。第四の工程では、中子95aの外周面と外部半導電層23における開口縁271を含む内周面230との間に隙間92を形成する。
図4に示す金型9の構成を説明する。金型9は、内部半導電層21の中心軸を通る面を分割面とし、上下方向に直交する方向に開閉可能な一対の分割型91からなる。図4では、一方の分割型91のみを図示している。一対の分割型91を紙面と直交する方向に閉じて組み合わせることで、金型9内に、図5に示す絶縁層22を成形する空間であるキャビティ90が形成される。
本例の場合、外部半導電層23の端部23eg、23etは、フランジ55、56を金型9に固定して、金型9内に配置する。GIS側の端部23egの内側には、図5に示す作業用開口部26及び接続用開口部25Gを形成する中子95a及び中子95bを挿入する。中子95aは、円錐台状で、中子95aの外周面と端部23egの開口縁271を含む内周面との間に隙間92を有するように形成されている。隙間92は、金型9の上方に向けて設けられている。中子95bは、円錐台状で、端部23egの開口縁272と密着するように形成されている。Tr側の端部23etの内側には、図5に示す接続用開口部25Tを形成する中子95cを挿入する。中子95cは、円錐台状で、端部23etの開口縁27と密着するように形成されている。また、中子95cには、内部半導電層21の内側、即ち挿入孔200に挿入される棒状部96が一体に設けられている。内部半導電層21は、中子95cの棒状部96を内部半導電層21の挿入孔200に挿入した状態で金型9内に配置する。棒状部96のGIS側の端部は、中子95cに直交する方向から両中子95a、95bの間に挟まれる。本例では、内部半導電層21及び外部半導電層23の端部23etの内側に中子95cを挿入した後、金型9内に内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを配置する。その後、外部半導電層23の端部23egの内側に中子95a及び中子95bを挿入する。
上記第三の工程及び第四の工程の順序は特に限定されない。例えば、第三の工程の後に第四の工程を行ってもよいし、第四の工程の後に第三の工程を行ってもよい。具体的には、内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを金型9内に配置した後、内部半導電層21及び外部半導電層23の端部23eg、23etの内側に中子95a〜95cを挿入してもよい。あるいは、内部半導電層21及び外部半導電層23の端部23eg、23etの内側に中子95a〜95cを挿入した後、内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを金型9内に配置してもよい。
(第五の工程)
第五の工程は、隙間92を上方に向けた金型9内に絶縁性材料を充填し、絶縁性材料を隙間92から溢れさせる。そして、図5に示すように、内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを一体化する絶縁層22を成形する。本例では、絶縁性材料に絶縁性ゴム材料を使用する。
金型9は、図4に示すように、金型9内のキャビティ90に連通し、キャビティ90内に絶縁性材料を注入するゲート部93と、隙間92に連通し、隙間92から溢れた絶縁性材料を受け入れるオーバーフロー部94とを有する。ゲート部93は、内部半導電層21の軸方向に沿って延びるフィルムゲートであってもよい。図4に示す金型9を用いて絶縁層22を成形する場合、ゲート部93からキャビティ90内に絶縁性材料を注入して充填する。キャビティ90内に絶縁性材料が満たされた後、金型9の上方に設けた隙間92から溢れさせた絶縁性材料をオーバーフロー部94へ流出させる。そのため、金型9の上方に設けた隙間92が絶縁性材料の最終充填部に位置することになり、絶縁性材料を隙間92から溢れさせてキャビティ90内のガスを抜くことができる。
絶縁層22の成形後、内部半導電層21と外部半導電層23の端部23eg、23etとを絶縁層22により一体化した図5に示す成形体を金型9から取り出す。
(第六の工程)
絶縁層22には、ゲート部93に形成された絶縁性材料の余剰部分であるバリや、隙間92から絶縁性材料を溢れさせてオーバーフロー部94に形成された余剰部分が残る。第六の工程は、絶縁層22の上記余剰部分を機械加工により除去する。
更に、絶縁層22の成形後、図5に示す成形体に対し、外部半導電層23の両端部23eg、23et間における絶縁層22が露出する部分に半導電性塗料を塗布して、外部半導電層23の中間部23mを形成する。本例では、半導電性塗料に導電性ゴム塗料を使用する。これにより、図1に示す絶縁成形体20が得られる。
本例の場合、図5に示すように、作業用開口部26を形成する箇所に隙間92を設けており、隙間92に絶縁性材料が充填されることなる。そのため、絶縁層22の成形後、図5に示すように、絶縁層22の第一端面221が外部半導電層23の開口縁271から露出することになる。また、絶縁層22の第一端面221には、上述した機械加工によりオーバーフロー部により形成された余剰部分を除去することで、加工面が形成されることになる。よって、作業用開口部26を有する中空端部50は、絶縁層22の第一端面221と、外部半導電層23の端部23egの第一端面231とを有し、第一端面221が加工面である第一の中空端部により構成されている。
図5に示す接続用開口部25Gを形成する箇所では、中子95bと外部半導電層23の開口縁272とが密着している。また、図5に示す接続用開口部25Tも同じように、中子95cと外部半導電層23の開口縁27とが密着している。そのため、絶縁層22の成形後、接続用開口部25G、25Tでは、図5に示すように、外部半導電層23の端部23eg、23etの内周面230に位置するように絶縁層22の第二端縁222が形成されることになる。よって、接続用開口部25G、25Tを有する中空端部50は、外部半導電層23の端部23eg、23etの第二端面232と、第二端面232に達することなく端部23eg、23etの内周面230に位置する絶縁層22の第二端縁222とを有する第二の中空端部により構成されている。
<固体絶縁母線の製造方法>
図1に示す実施形態1の固体絶縁母線1の製造方法を説明する。固体絶縁母線1の製造方法は、上述した絶縁成形体20の製造方法により絶縁成形体20を製造する工程と、絶縁成形体20の一端側から内部半導電層21内に導体10を挿入する工程と、を備える。
本例では、導体10の端部に端子11G、11Tを取り付けて端子11G、11T付き導体10を作製しておく。そして、絶縁成形体20のTr側である一端側から内部半導電層21内に端子11G、11T付き導体10を挿入することで、固体絶縁母線1を製造する。
本例の場合、内部半導電層21の内周、即ち挿入孔200の断面寸法が導体10の断面寸法よりも大きいことから、図2に示すように、内部半導電層21内に隙間12を有した状態で導体10を挿入することができる。そのため、導体10の外周面に内部半導電層21が密着することがなく、隙間12によって、固体絶縁母線1を曲げる際に絶縁成形体20に対する導体10の長手方向への動きが許容される。また、内部半導電層21における端子11Tの基部11bが挿入される部分の断面寸法が基部11bの断面寸法よりも若干小さくなっている。そのため、端子11Tの基部11bを内部半導電層21内に押し込んで、絶縁成形体20を弾性変形させることによって、端子11Tを絶縁成形体20内に圧着状態で固定する。これにより、端子11G、11T付き導体10と絶縁成形体20とを一体化できる。
以下、図3を参照して、固体絶縁母線1を用いた接続構造100について説明する。
図3に示す接続構造100は、相手機器101となるGISとトランスとの接続に固体絶縁母線1を使用している。固体絶縁母線1は、導体引出棒3G、3Tを介して相手機器101に接続されている。接続構造100では、相手機器101の接続箇所102の高さ位置が異なり、固体絶縁母線1を曲げて配置している。上記接続箇所102は、リード線などが挙げられる。
(導体引出棒)
導体引出棒3G、3Tは、基端側が固体絶縁母線1の端子11G、11Tにそれぞれ接続され、先端側が相手機器101であるGIS又はトランスの各接続箇所102に接続される。これにより、固体絶縁母線1の端子11G、11Tが導体引出棒3G、3Tを介して相手機器101の接続箇所102に電気的に接続され、GISとトランスとが固体絶縁母線1を介して電気的に接続される。導体引出棒3G、3Tは、例えば銅で形成されている。
本例では、Tr側の端子11Tと導体引出棒3Tとの接続は、端子11Tの先端部11aを導体引出棒3Tの基端側の端面に形成された挿入穴30に嵌め込むことで行っている。一方、GIS側の端子11Gと導体引出棒3Gとの接続は、端子11Gの面と導体引出棒3Gの基端側の端面とを接触させた状態で、作業用開口部26側から端子11Gに形成された貫通孔112にボルト113を挿通して、導体引出棒3Gをボルト113で固定することで行っている。作業用開口部26は、このボルト113の締結作業を行うために設けられている。
(ブッシング)
ブッシング4G、4Tは、導体引出棒3G、3Tの外周を覆う筒状の部材である。ブッシング4G、4Tには、その長手方向に貫通するように導体引出棒3G、3Tが挿通されている。ブッシング4G、4Tは、例えばエポキシ樹脂で形成されている。本例では、導体引出棒3G、3Tの外周にブッシング4G、4Tを構成するエポキシ樹脂などの樹脂材料をモールドして、導体引出棒3G、3Tに対してブッシング4G、4Tが一体成形されている。
ブッシング4G、4Tの基端側にはそれぞれ、固体絶縁母線1の接続用開口部25G、25Tに嵌め込まれる挿入領域が設けられている。ブッシング4G、4Tの挿入領域の外周面は、各接続用開口部25G、25Tの内周面に対応した形状であり、基端に向かって先細りする円錐台形状に形成されている。ブッシング4G、4Tの挿入領域の外径は、ブッシング4G、4Tが挿入される前の状態における各接続用開口部25G、25Tの内径よりも若干大きい。そのため、ブッシング4G、4Tの基端側を接続用開口部25G、25Tにそれぞれ挿入したとき、ブッシング4G、4Tの挿入領域が接続用開口部25G、25T内に圧着状態で固定される。
ブッシング4G、4Tには、外周面から径方向外方に突出するフランジ部45がそれぞれ設けられている。フランジ部45は、ブッシング4G、4Tの挿入領域よりも先端側に位置し、ブッシング4G、4Tの外周面に円環状に形成されている。フランジ部45の外周面は、固体絶縁母線1の端面、具体的には接続用開口部25G、25Tの端面よりも径方向外方に突出し、かつ、フランジ55の外周面よりも径方向外方に突出している。フランジ部45の基端側の端面には、フランジ55が取り付けられると共に、先端側の端面には、後述する取付フランジ8が取り付けられる。本例では、フランジ部45に対してフランジ55及び取付フランジ8をボルトで固定する。また、フランジ部45に対向するフランジ55及び取付フランジ8の各端面には、シール溝が形成されており、各シール溝にシール部材が嵌め込まれている。これにより、フランジ部45とフランジ55及び取付フランジ8との間から内部に水が浸入することを防止できる。シール部材は、例えばゴム製のOリングである。
本例では、GIS側のブッシング4GとTr側のブッシング4Tとで形状が異なっている。Tr側のブッシング4Tは、フランジ部45を挟んで挿入領域とは反対側の領域が、GIS側のブッシング4Gに比べて長く、その外周に複数の鍔部が長手方向に並んで形成されている。この鍔部により、沿面距離を確保している。
(取付フランジ)
取付フランジ8は、ブッシング4G、4Tの各フランジ部45と相手機器101の各筐体104との間に介在される円環状の部材であり、例えば黄銅で形成されている。取付フランジ8の外周面は、フランジ部45の外周面よりも径方向外方に突出している。また、筐体104に対向する取付フランジ8の端面には、シール溝が形成されており、シール溝にシール部材が嵌め込まれている。これにより、筐体104と取付フランジ8との間から内部に水が浸入することを防止できる。シール部材は、例えばゴム製のOリングである。
(その他)
固体絶縁母線1のGIS側端部1Gに形成された作業用開口部26には、絶縁栓7が嵌め込まれる。絶縁栓7は、作業用開口部26の内周面に対応した形状であり、作業用開口部26の底側に向かって先細りする円錐台形状に形成されている。絶縁栓7の外径は、絶縁栓7が挿入される前の状態における作業用開口部26の内径よりも若干大きい。そのため、絶縁栓7を作業用開口部26に挿入したとき、絶縁栓7が作業用開口部26内に圧着状態で固定される。
作業用開口部26に設けられたフランジ56には、蓋6が取り付けられ、蓋6によって作業用開口部26内が密封される。蓋6は、円板状の部材であり、例えば黄銅で形成されている。本例では、フランジ56に対して蓋6をボルトで固定する。また、蓋6に対向するフランジ56の端面には、シール溝が形成されており、シール溝にシール部材が嵌め込まれている。これにより、蓋6とフランジ56との間から内部に水が浸入することを防止できる。シール部材は、例えばゴム製のOリングである。
絶縁栓7には、端子11Gと導体引出棒3Gとを接続するボルト113の近傍、及び蓋6の近傍に、埋込電極71、72がそれぞれ埋設されている。
《効果》
上述した実施形態1に係る絶縁成形体20、固体絶縁母線1、絶縁成形体20の製造方法、及び固体絶縁母線1の製造方法は、それぞれ次の効果を奏する。
上述した実施形態の絶縁成形体20は、作業用開口部26が第一の中空端部により構成されていることで、絶縁層22の第一端面221を、絶縁層22の成形時における絶縁性材料の最終充填部に設けることができる。これにより、絶縁層22の成形時に第一端面221となる部分から絶縁性材料を溢れさせ、金型内のガスを抜くことによって、絶縁層22にボイドが発生することを抑制できる。
上述した実施形態の固体絶縁母線1は、上述した実施形態の絶縁成形体20を備えることで、絶縁成形体20における絶縁層22にボイドが少なく、絶縁層22の絶縁特性に優れる。また、絶縁成形体20の内部半導電層21内に導体10が隙間12を有して挿入されることで、導体10の外周面に絶縁成形体20が密着していない。そのため、固体絶縁母線1を曲げる際に絶縁成形体20に対する導体10の長手方向への動きが許容されることから、固体絶縁母線1が曲げ易い。
上述した実施形態の絶縁成形体20の製造方法は、外部半導電層23の端部23egの内側に挿入した中子95aと外部半導電層23の開口縁271との間に隙間92を形成し、その隙間92を上方に向けた金型9内に絶縁性材料を充填して、絶縁層22を成形する。絶縁層22を成形する上述の第五の工程において、金型9の上方に設けた隙間92が最終充填部に位置することになる。そのため、絶縁性材料を隙間92から溢れさせて金型9内のガスを抜くことによって、成形した絶縁層22にボイドが発生することを抑制できる。
上述した実施形態の固体絶縁母線1の製造方法は、上述した実施形態の絶縁成形体20の製造方法により製造された絶縁成形体20を用いることから、絶縁層22のボイドが少なく、絶縁層22の絶縁特性に優れる固体絶縁母線1を製造することができる。
[実施形態2]
実施形態1では、作業用開口部26を有する中空端部50が第一の中空端部により構成され、それ以外の接続用開口部25G、25Tを有するそれぞれの中空端部50がいずれも第二の中空端部により構成されている形態を説明した。実施形態2では、図6、図7を参照して、実施形態1におけるTr側の接続用開口部25Tを有する中空端部50を第三の中空端部の構成に変更した例を説明する。図6に示す実施形態2の絶縁成形体20は、接続用開口部25Tの構成を第三の中空端部に変更した以外は図1に示す実施形態1の絶縁成形体20と同様の構成になっており、同様の構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
本例の場合、接続用開口部25Tを有する中空端部50が第三の中空端部により構成されている。接続用開口部25Tは、図6に示すように、絶縁層22の第三端面223と、外部半導電層23における端部23etの第三端面233とを有し、絶縁層22の第三端面223が金型により成形された成形面である。本例では、接続用開口部25Tを有する第三の中空端部50の端面に、絶縁層22の第三端面223と端部23etの第三端面233とが露出して設けられている。第三端面223と第三端面233とは略面一になっている。
接続用開口部25Tを有する第三の中空端部とする場合、図7に示すように、Tr側の外部半導電層23の端部23etの内側に挿入する中子95cの外周面と端部23etの開口縁27を含む内周面230との間に隙間92を形成する。この隙間92の開放端となる軸方向端部は、金型9を構成する分割型91及び中子95cにより閉塞されている。本例の場合、図6に示す接続用開口部25Tを形成する箇所に、図7に示す隙間92が設けられており、隙間92に絶縁性材料が充填されることなる。そのため、絶縁層22の成形後、図6に示すように、絶縁層22の第三端面223が外部半導電層23の開口縁27から露出することになる。また、隙間92の開放端は、金型9を構成する分割型91の内面及び中子95c外周面により塞がれている。よって、外部半導電層23の開口縁27から露出する絶縁層22の第三端面223は、金型9により形成された成形面になる。つまり、絶縁層22の第三端面223には機械加工された擦過痕がない。
実施形態2では、実施形態1における接続用開口部25Tを有する中空端部50を第三の中空端部により構成する場合を示したが、図6に示す接続用開口部25Gを有する中空端部50を第三の中空端部により構成するようにしてもよい。この場合、接続用開口部25G及び接続用開口部25Tを有するそれぞれの中空端部50を第三の中空端部により構成してもよいし、一方のみを第三の中空端部により構成してもよい。
〈変形例〉
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。図1、図3に示す固体絶縁母線1及び接続構造100において、GIS側及びTr側の端子11G、11Tや導体引出棒3G、3Tなどの形状を変更することが可能である。例えば、固体絶縁母線1のGIS側の端部とTr側の端部とを入れ替えて、端子11Gをトランスに接続する方とし、端子11TをGISに接続する方とすることも可能である。つまり、GIS側を端子11Tと導体引出棒3Tとの組み合わせとし、トランス側を端子11Gと導体引出棒3Gとの組み合わせとする。この場合、固体絶縁母線1の端子11Tが導体引出棒3Tを介してGISの接続箇所102に接続されると共に、端子11Gが導体引出棒3Gを介してトランスの接続箇所102に接続されるように、接続構造100を構成する。
1 固体絶縁母線
10 導体
11G、11T 端子
11b 基部 11a 先端部
112 貫通孔 113 ボルト
20 絶縁成形体
20G、20T 端部 20M 中間部
200 挿入孔
21 内部半導電層 211 孔
22 絶縁層
221 第一端面 222 第二端縁 223 第三端面
23 外部半導電層
230 内周面
231 第一端面 232 第二端面 233 第三端面
23eg、23et 端部 23m 中間部
25G、25T 接続用開口部 26 作業用開口部
27、271、272、273 開口縁
12 隙間
50 中空端部
3G、3T 導体引出棒
30 挿入穴
4G、4T ブッシング
45 フランジ部
55、56 フランジ
6 蓋 7 絶縁栓
71、72 埋込電極
8 取付フランジ
9 金型
90 キャビティ
91 分割型 92 隙間
93 ゲート部 94 オーバーフロー部
95a、95b、95c 中子 96 棒状部
100 固体絶縁母線の接続構造
101 相手機器 102 接続箇所
104 筐体
10 厚さ W10

Claims (9)

  1. 中空状に成形された絶縁成形体であって、
    筒状の内部半導電層と、
    前記内部半導電層の外周に設けられた絶縁層と、
    前記絶縁層の少なくとも端部の外周に設けられた外部半導電層と、
    前記絶縁層の第一端面と、前記外部半導電層の第一端面とを有する第一の中空端部と、を有し、
    前記絶縁層の第一端面は、機械加工された加工面である、
    絶縁成形体。
  2. 前記第一の中空端部以外の第二の中空端部を有し、
    前記第二の中空端部は、前記外部半導電層の第二端面と、前記第二端面に達することなく前記外部半導電層の内周面に位置する前記絶縁層の第二端縁とを有する請求項1に記載の絶縁成形体。
  3. 前記第一の中空端部以外の第三の中空端部を有し、
    前記第三の中空端部は、前記絶縁層の第三端面と、前記外部半導電層の第三端面とを有し、
    前記絶縁層の第三端面は、金型により成形された成形面である請求項1又は請求項2に記載の絶縁成形体。
  4. 前記第一の中空端部以外の全ての中空端部は、第二の中空端部及び第三の中空端部の少なくとも一方で構成され、
    前記第二の中空端部は、前記外部半導電層の第二端面と、前記第二端面に達することなく前記外部半導電層の内周面に位置する前記絶縁層の第二端縁とを有し、
    前記第三の中空端部は、前記絶縁層の第三端面と、前記外部半導電層の第三端面とを有し、
    前記絶縁層の第三端面は、金型により成形された成形面である請求項1に記載の絶縁成形体。
  5. 前記内部半導電層、前記絶縁層及び前記外部半導電層がゴム材料で形成されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の絶縁成形体。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の絶縁成形体と、
    前記絶縁成形体の前記内部半導電層内に隙間を有して挿入される導体と、を備える、
    固体絶縁母線。
  7. 前記導体が編組線で形成されている請求項6に記載の固体絶縁母線。
  8. 筒状の内部半導電層を成形する第一の工程と、
    開口縁を有する中空の外部半導電層の端部を成形する第二の工程と、
    前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを金型内に配置する第三の工程と、
    前記内部半導電層及び前記外部半導電層の端部の内側に中子を挿入する第四の工程と、
    前記金型内に絶縁性材料を充填して、前記内部半導電層と前記外部半導電層の端部とを一体化する絶縁層を成形する第五の工程と、を備え、
    前記第三の工程は、前記内部半導電層の少なくとも両端の外周近傍に前記外部半導電層の端部を間隔を開けるように行い、
    前記第四の工程は、前記中子の外周面と前記外部半導電層における前記開口縁を含む内周面との間に隙間を形成し、
    前記第五の工程は、前記隙間を上方に向けて前記絶縁性材料の充填を行い、前記絶縁性材料を前記隙間から溢れさせる、
    絶縁成形体の製造方法。
  9. 請求項8に記載の絶縁成形体の製造方法により絶縁成形体を製造する工程と、
    前記絶縁成形体の一端側から前記内部半導電層内に導体を挿入する工程と、を備える、
    固体絶縁母線の製造方法。
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