本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る非常通報システムの構成図である。
非常通報システム1は、エレベーター2に適用される。エレベーター2は、建築物3に設けられる。建築物3は、管理人室4を有する。建築物3は、複数の階を有する。エレベーター2において、図示されない複数の昇降路の各々は、建築物3の各階を貫く。エレベーター2において、機械室5は、例えば複数の昇降路より上方に設けられる。エレベーター2は、複数のかご6と、制御盤7と、を備える。
複数のかご6の各々は、例えば図示されない巻上機によって、複数の昇降路の各々の内部を昇降しうるように設けられる。
制御盤7は、例えば機械室5に設けられる。制御盤7は、エレベーター2の動作を制御する装置である。エレベーター2の動作は、複数のかご6の各々の昇降を含む。制御盤7は、エレベーター2の状態を表す情報を収集しうるように、複数のかご6などに設けられる図示されないセンサーおよびスイッチなどに接続される。
非常通報システム1は、複数のインターホン子機8と、インターホン親機9と、複数の表示灯10と、モデム11と、遠隔監視装置12と、を備える。
複数のインターホン子機8の各々は、第1通話機の例である。複数のインターホン子機8の各々は、複数のかご6の各々に設けられる。複数のインターホン子機8の各々は、制御盤7に接続される。複数のインターホン子機8の各々は、通話ボタン13と、ラッチ回路14と、を備える。
通話ボタン13は、呼出装置の例である。通話ボタン13は、利用者15が押すことで操作される。通話ボタン13の操作は、利用者15が通話ボタン13を離すことで終了する。
ラッチ回路14は、状態記憶部の例である。ラッチ回路14は、複数のインターホン子機8の各々に設けられる。ラッチ回路14は、通話ボタン13が操作されるときに呼出状態を記憶する回路である。ラッチ回路14は、利用者15が通話ボタン13を離した後も呼出状態の記憶を保持する回路である。ラッチ回路14は、呼出状態の記憶を表す信号を通信しうるように、制御盤7に接続される。
インターホン親機9は、第2通話機の例である。インターホン親機9は、管理人室4に設けられる。管理人室4は、複数のかご6の外部の場所である。管理人室4は、管理人16が駐在する場所である。インターホン親機9は、制御盤7に接続される。インターホン親機9は、制御盤7の中継によって、複数のかご6の各々に設けられるインターホン子機8に接続される。インターホン親機9は、複数のかご6の各々に設けられるインターホン子機8のラッチ回路14に接続される。インターホン親機9は、複数のかご6のいずれかのインターホン子機8のラッチ回路14が呼出状態の記憶を保持している間に鳴動するスピーカーまたはベルなどを備える。インターホン親機9からの応答は、インターホン親機9が鳴動しているときに管理人16が例えば受話器をオフフックすることで開始される。
複数の表示灯10は、表示装置の例である。複数の表示灯10は、管理人室4に設けられる。複数の表示灯10の各々は、複数のかご6の各々に対応する。複数の表示灯10の各々は、対応するかご6に設けられるインターホン子機8のラッチ回路14が呼出状態の記憶を保持している間に点灯する装置である。
遠隔監視装置12は、非常通報装置の例である。遠隔監視装置12は、機械室5に設けられる。遠隔監視装置12は、制御盤7に接続される。遠隔監視装置12は、検出部17と、通信制御部18と、を備える。
検出部17は、予め定められた時間である設定時間としてN秒を記憶している。設定時間は、例えば7秒である。検出部17は、通話ボタン13が継続して押されていることを検出する部分である。
通信制御部18は、インターホン子機8からの通信を制御する部分である。
モデム11は、機械室5に設けられる。モデム11は、遠隔監視装置12に接続される。モデム11は、制御盤7が収集したエレベーター2の状態を表すデータを通信しうるように、当該データを表す信号の変調および復調を行う装置である。モデム11は、複数のインターホン子機8の各々からの呼出を通信しうるように、当該呼出を表す信号の変調および復調を行う装置である。
図1における制御盤7において、インターホン信号の制御は、行われない。すなわち、制御盤7は、インターホン子機8、インターホン親機9および遠隔監視装置12の間の通信について中継のみを行う。
非常通報システム1に対して、情報センター19は、エレベーター2の外部に設けられる。情報センター19は、モデム11を通じてエレベーター2の状態を表すデータを受信する。情報センター19は、例えば、受信したエレベーター2の状態を表すデータを蓄積する拠点である。情報センター19において、エレベーター2および他のエレベーターについてのデータが蓄積される。情報センター19において、例えばサーバーおよびクライアントが設けられる。このとき、非常通報システム1のモデム11は、情報センター19のサーバーに例えばVPN(Virtual Private Network)を経由して接続される。
非常通報システム1に対して、監視センター20は、エレベーター2の外部に設けられる。監視センター20は、モデム11を通じて複数のインターホン子機8の各々からの呼出を受信する。監視センター20は、当該インターホン子機8からの呼出に対応するオペレーター21が駐在している拠点である。監視センター20において、エレベーター2および他のエレベーターの状態が監視される。監視センター20において、例えばIP電話22(IP:Internet Protocol)が設けられる。IP電話22は、オペレーター21の対応に用いられる。このとき、非常通報システム1のモデム11は、監視センター20のIP電話22に例えばVoIP(Voice over IP)によってVPNを経由して接続される。
引き続き図1を用いて、非常通報システム1の機能を説明する。
複数のインターホン子機8の各々に設けられるラッチ回路14は、通話ボタン13が押される前において、待機状態を記憶している。
複数のかご6のいずれかに乗車している利用者15が当該かご6の外部の管理人16と連絡をするときに、利用者15は当該かご6に設けられたインターホン子機8の通話ボタン13を押す。当該インターホン子機8のラッチ回路14は、通話ボタン13が押されたことを検出する。ラッチ回路14は、呼出状態を記憶する。ラッチ回路14は、呼出状態を記憶していることを表す信号をインターホン親機9および遠隔監視装置12に制御盤7を通じて送信する。
利用者15が当該インターホン子機8の通話ボタン13を離した後も、当該インターホン子機8のラッチ回路14は呼出状態の記憶を保持している。インターホン親機9は、当該インターホン子機8のラッチ回路14が呼出状態の記憶を保持している間、鳴動を続ける。利用者15が乗車しているかご6に対応する表示灯10は、当該かご6に設けられるインターホン子機8のラッチ回路14が呼出状態の記憶を保持している間、点灯する。
インターホン親機9は、複数のかご6のいずれかにおいて通話ボタン13が押されたことを鳴動によって管理人16に報知する。複数の表示灯10は、通話ボタン13を押した利用者15が乗車しているかご6を点灯によって管理人16に報知する。
遠隔監視装置12の検出部17は、制御盤7を通じて信号を受信することで、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を検知する。検出部17は、内蔵するタイマーによる時間の計測を開始する。
通信制御部18は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を検出部17が検知してから設定時間が経過する前にインターホン親機9からの応答があるかを判定する。
管理人16がインターホン親機9の受話器をオフフックしたときに、インターホン親機9は、オフフックを表す信号を遠隔監視装置12に制御盤7を通じて送信する。このとき、通信制御部18は、インターホン親機9からの応答があると判定する。
インターホン親機9からの応答があると判定する場合に、通信制御部18は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8とインターホン親機9との間の通話を制御盤7に中継させる。当該インターホン子機8とインターホン親機9との間の通話が終了したときに、当該インターホン子機8のラッチ回路14は、待機状態を記憶する。
一方、インターホン親機9からの応答がないと通信制御部18が判定する場合に、検出部17は、通話ボタン13が継続して押されているかを判定する。検出部17による判定は、例えば次のように行われる。
検出部17は、予め定められた時間として、n秒の間待機する。nの値は、0.1程度またはこれより大きい数値である。nの値は、例えば1である。検出部17が待機している間に、インターホン親機9、インターホン子機8および制御盤7などのハードウェアまたはソフトウェアにおいて、信号の処理または通信などの律速となる動作が行われる。
検出部17は、n秒の待機を行った回数を内蔵するカウンターにより数えることで、通話ボタン13が継続して押されている時間を計測する。カウンターの初期値は、0である。検出部17は、n秒の間待機した後に、カウンターの値に1を加算する。
検出部17は、n秒の間待機した後に、インターホン親機9からのオフフック信号と電気的に等価なオフフック模擬信号をラッチ回路14に送信する。これによって、検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を解除させる。
ラッチ回路14の呼出状態の記憶が解除されたときに利用者15が通話ボタン13を押している場合に、ラッチ回路14は、呼出状態を再び記憶する。ラッチ回路14は、呼出状態を記憶していることを表す信号をインターホン親機9および遠隔監視装置12に制御盤7を通じて送信する。検出部17は、制御盤7を通じて信号を受信することで、通話ボタン13が継続して押されていることを検出する。通話ボタン13が継続して押されていると判定したときに、検出部17は、カウンターの値を保持する。
一方、ラッチ回路14の呼出状態の記憶が解除されたときに利用者15が通話ボタン13を離している場合に、ラッチ回路14の呼出状態の記憶は、解除されたままである。ラッチ回路14は、呼出状態を記憶していることを表す信号を制御盤7に送信しない。これにより、検出部17は、通話ボタン13が継続して押されていないことを検出する。通話ボタン13が継続して操作されていないと判定したときに、検出部17は、カウンターの値を0に初期化する。
検出部17は、カウンターの値が閾値M以上となったときに、設定時間にわたって通話ボタン13が継続して押されていると判定する。ここで、閾値Mは、設定時間であるN秒に対応するカウンターの値として、待機時間のnの値に基づいて設定される。より具体的には、例えば、設定時間が7秒であり、待機時間が1秒である場合に、閾値Mの値は、設定時間を待機時間で割った値の7として設定される。
設定時間にわたって通話ボタン13が継続して押されていると検出部17が判定する場合に、通信制御部18は、通報処理を行う。通信制御部18は、当該通話ボタン13が押されているインターホン子機8からの呼出を表す信号を監視センター20に送信することで通報処理を行う。監視センター20において、オペレーター21は、通報された呼出にIP電話22から応答する。オペレーター21がIP電話22から応答した場合に、通信制御部18は、当該インターホン子機8とIP電話22との間の通話を制御盤7およびモデム11を通じて中継する。当該インターホン子機8とIP電話22との間の通話が終了したときに、当該インターホン子機8のラッチ回路14は、待機状態を記憶する。
一方、設定時間にわたって通話ボタン13が継続して押されていないと判定する場合に、検出部17は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8のラッチ回路14に例えば通話ボタン13の押下と電気的に等価な模擬信号を送信する。これによって、検出部17は、ラッチ回路14に呼出状態を再び記憶させる。インターホン親機9は、管理人室4において、再び鳴動を続ける。
続いて、図2から図4を用いて、非常通報システム1の通信の例を説明する。
図2から図4は、実施の形態1に係る非常通報システムにおける通信の例を示す図である。
図2において、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を検出部17が検知してから設定時間が経過する前に通話ボタン13が離された場合の通信の例が示される。
複数のかご6のいずれかに乗車している利用者15は、当該かご6に設けられるインターホン子機8の通話ボタン13を押す。当該インターホン子機8のラッチ回路14は、通話ボタン13が押されたことを外部トリガーとして、通話ボタン13が押されたことを検出する。ラッチ回路14は、呼出状態を記憶する。ラッチ回路14は、呼出状態を記憶していることを表す信号をインターホン親機9および遠隔監視装置12に送信する。
インターホン親機9は、ラッチ回路14から受信した信号に基づいて鳴動する。このとき、管理人16は、インターホン親機9の受話器をオフフックしていない。
遠隔監視装置12の検出部17は、ラッチ回路14から受信した信号に基づいてラッチ回路14の呼出状態の記憶を検知する。検出部17は、タイマーによる時間の計測を開始する。検出部17は、カウンターの値を0に初期化する。
通信制御部18は、インターホン親機9からの応答がないと判定する。検出部17は、n秒の間待機する。その後、検出部17は、カウンターの値に1を加算する。このとき、カウンターの値は1である。検出部17は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8およびインターホン親機9にオフフック模擬信号を送信する。当該インターホン子機8のラッチ回路14は、模擬信号を受信することにより呼出状態の記憶を解除する。このとき、利用者15は通話ボタン13を継続して押している。
通話ボタン13が押されているインターホン子機8のラッチ回路14は、通話ボタン13が押されたことを外部トリガーとして、呼出状態を再び記憶する。ラッチ回路14は、呼出状態を記憶していることを表す信号を遠隔監視装置12およびインターホン親機9に送信する。
検出部17は、ラッチ回路14から受信した信号に基づいて通話ボタン13が継続して押されていると判定する。検出部17は、カウンターの値を1のまま保持する。検出部17は、カウンターの値が閾値M以上となっているかを判定する。このとき、カウンターの値はM未満の1である。
インターホン親機9は、ラッチ回路14から受信した信号に基づいて鳴動する。このとき、管理人16は、インターホン親機9の受話器をオフフックしていない。
通信制御部18は、インターホン親機9からの応答がないと判定する。検出部17は、n秒の間待機する。その後、検出部17は、カウンターの値に1を加算する。このとき、カウンターの値は2である。検出部17は、通話ボタン13が押されているインターホン子機8およびインターホン親機9にオフフック模擬信号を送信する。当該インターホン子機8のラッチ回路14は、模擬信号を受信することにより呼出状態の記憶を解除する。
ラッチ回路14の呼出状態の再度の記憶およびその解除を繰り返した後に、利用者15は、通話ボタン13を離す。
通話ボタン13が押されていたインターホン子機8のラッチ回路14の呼出状態の記憶は、解除されたままである。ラッチ回路14は、呼出状態を記憶していることを表す信号を遠隔監視装置12およびインターホン親機9に送信しない。
このとき、インターホン親機9は、鳴動しない。検出部17は、通話ボタン13が継続して押されていないと判定する。通信制御部18は、通話ボタン13が押されていたインターホン子機8からの呼出を監視センター20に通報しない。その後、遠隔監視装置12は、タイマーの停止などの終了処理を行う。
図3において、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を検出部17が検知してから設定時間が経過する前にインターホン親機9からの応答があった場合の通信の例が示される。
複数のかご6のいずれかに乗車している利用者15は、当該かご6に設けられるインターホン子機8の通話ボタン13を押す。
ラッチ回路14の呼出状態の記憶の解除および再度の記憶を繰り返した後に、管理人16は、インターホン親機9の受話器をオフフックすることで応答する。インターホン親機9は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8および遠隔監視装置12にオフフック信号を送信する。
インターホン子機8の状態は、受信した信号に基づいて、インターホン親機9との間で通話が可能な状態となる。
通信制御部18は、受信した信号に基づいて、インターホン親機9からの応答を検出する。通信制御部18は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8とインターホン親機9との間の通話を制御盤7に中継させる。検出部17は、通話ボタン13が継続して押されていることの検出を中止する。その後、遠隔監視装置12は、終了処理を行う。
図4において、設定時間にわたって通話ボタン13が継続して押されていると遠隔監視装置12が判定する場合の通信の例が示される。
複数のかご6のいずれかに乗車している利用者15は、当該かご6に設けられるインターホン子機8の通話ボタン13を押す。
ラッチ回路14の呼出状態の記憶の解除および再度の記憶を繰り返した後に、検出部17のカウンターの値は、閾値M以上となる。このとき、検出部17は、設定時間にわたって通話ボタン13が継続して押されていると判定する。その後、通信制御部18は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8からの呼出を監視センター20に通報する処理を開始する。
続いて、図5を用いて、検出部17による呼出状態の記憶の解除と、通話ボタン13が継続して押下されていることの判定との関係を説明する。
図5は、実施の形態1に係る非常通報システムにおける状態の遷移を示す図である。
図5において、紙面の右方向は、時間が進む向きである。通話ボタン13が押されている状態は、図5の上から1段目のブロックによって表される。ラッチ回路14に呼出状態が記憶されている状態は、図5の上から2段目のブロックによって表される。検出部17のタイマーが計時している状態は、図5の上から3段目のブロックによって表される。インターホン親機9がオフフックされている状態は、図5の上から4段目のブロックによって表される。実施の形態1に係る検出部17のタイマーの状態との比較のため、呼出状態の記憶の解除を行わない場合のタイマーが計時している状態は、図5の上から5段目のブロックに表される。
通話ボタン13が押下されるときに、ラッチ回路14は呼出状態を記憶する。検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を表す信号に基づいて通話ボタン13の押下の開始を検出する。その後、検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を解除させる。
通話ボタン13の押下が継続されているときに、ラッチ回路14は、呼出状態を再び記憶する。検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を表す信号に基づいて通話ボタン13の押下が継続されていることを検出する。その後、検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を解除させる。
通話ボタン13の押下が継続されていないときに、ラッチ回路14の呼出状態の記憶は、解除されたままである。検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶に基づいて通話ボタン13の押下が継続されていないことを検出する。その後、例えば検出部17からの模擬信号によって、ラッチ回路14は、呼出状態を再び記憶する。
このように、検出部17は、通話ボタン13の状態を直接表す信号を用いることなく、ラッチ回路14の状態を表す信号に基づいて通話ボタン13が継続して押下されているかを判定できる。また、通話ボタン13が一度離された場合においても、検出部17は、その後に通話ボタン13が継続して押下されているかを判定できる。このため、検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶を検知してから設定時間が経過する前にインターホン親機9からの応答があるかを判定できる。これにより、検出部17は、エレベーター2の外部の監視センター20との不要な通信の操作と必要な通信の操作とをより確実に識別できる。
これに対し、呼出状態の記憶の解除を行わない場合に、通話ボタン13の押下が継続していなくてもラッチ回路14の呼出状態の記憶は保持される。検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶に基づいて通話ボタン13が継続して押下されているかを判定できない。このため、通話ボタン13が一度離された場合に、検出部17は、その後に通話ボタン13が継続して押下されているかを判定できない。
続いて、図6を用いて、非常通報システム1の動作の例を説明する。
図6は、実施の形態1に係る非常通報システムの動作の例を示すフローチャートである。
非常通報システム1の動作は、ステップS01において、通話ボタン13が押されたことをラッチ回路14が検出することから開始する。その後、非常通報システム1の動作は、ステップS02に進む。
ステップS02において、検出部17は、タイマーによる時間の計測を開始する。検出部17は、カウンターの値を0に初期化する。その後、非常通報システム1の動作は、ステップS03に進む。
ステップS03において、通信制御部18は、インターホン親機9からの応答があるかを判定する。判定結果がYesの場合に、非常通報システム1の動作は、ステップS04に進む。判定結果がNoの場合に、非常通報システム1の動作は、ステップS05に進む。
ステップS04において、通信制御部18は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8とインターホン親機9との通話を制御盤7に中継させる。その後、遠隔監視装置12は、終了処理を行う。その後、非常通報システム1の動作は、終了する。
ステップS05において、検出部17は、インターホン親機9からの応答があるかを判定してからn秒経過したかを判定する。判定結果がNoの場合に、非常通報システム1の動作は、再びステップS05に進む。判定結果がYesの場合に、通信制御部18は、カウンターの値に1を加算する。その後、非常通報システム1の動作は、ステップS06に進む。
ステップS06において、検出部17は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8のラッチ回路14にオフフック模擬信号を送信する。その後、ラッチ回路14は、呼出状態の記憶を解除する。その後、非常通報システム1の動作は、ステップS07に進む。
ステップS07において、検出部17は、通話ボタン13が継続して押されているかを判定する。判定結果がNoの場合に、非常通報システム1の動作は、ステップS08に進む。判定結果がYesの場合に、非常通報システム1の動作は、ステップS09に進む。
ステップS08において、検出部17は、カウンターの値を0に初期化する。その後、非常通報システム1の動作は、ステップS09に進む。
ステップS09において、検出部17は、カウンターの値が閾値以上であるかを判定する。判定結果がYesの場合に、非常通報システム1の動作は、ステップS10に進む。判定結果がNoの場合に、非常通報システム1の動作は、ステップS11に進む。
ステップS10において、通信制御部18は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8からの呼出を監視センター20に通報する。その後、遠隔監視装置12は、終了処理を行う。その後、非常通報システム1の動作は、終了する。
ステップS11において、検出部17は、ラッチ回路14に呼出状態を再び記憶させる。ここで、ラッチ回路14が既に呼出状態を記憶している場合は、ラッチ回路14は呼出状態の記憶を保持する。その後、非常通報システム1の動作は、ステップS03に進む。
以上に説明したように、非常通報システム1は、ラッチ回路14と、検出部17と、を備える。ラッチ回路14は、エレベーター2のかご6の内部においてインターホン子機8の通話ボタン13が押下されるときに呼出状態を記憶する。ラッチ回路14は、通話ボタン13の押下が終了した後も呼出状態の記憶を保持する。検出部17は、予め設定された時間間隔でラッチ回路14の呼出状態の記憶を解除させる。検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の再度の記憶を検知することで通話ボタン13の押下が継続していることを検出する。
また、非常通報システム1は、インターホン子機8と、遠隔監視装置12と、を備える。インターホン子機8は、エレベーター2のかご6の内部に設けられる。インターホン子機8は、通話ボタン13が押下されるときに呼出状態を記憶する。インターホン子機8は、通話ボタン13の押下が終了した後も呼出状態の記憶を保持する。遠隔監視装置12は、予め設定された時間間隔でインターホン子機8の呼出状態の記憶を解除させる。遠隔監視装置12は、インターホン子機8の呼出状態の再度の記憶を検知することで通話ボタン13の押下が継続していることを検出する。
非常通報システム1において、呼出状態は、エレベーター2のかご6の内部においてインターホン子機8の通話ボタン13が押下されるときに記憶される。呼出状態の記憶は、通話ボタン13の押下が終了した後も保持される。通話ボタン13の押下が継続していることは、予め設定された時間間隔で記憶が解除される呼出状態の再度の記憶を検知することで検出される。これにより、通話ボタン13の押下が終了した後も保持される呼出状態に基づいて通話ボタン13の押下が継続していることを検出できる。
また、ラッチ回路14は、インターホン子機8に設けられる。
これにより、遠隔監視装置12を追加することで、既設のエレベーターに非常通報システム1を適用できる。ここで、既設のエレベーターは、インターホン子機とインターホン親機とを備えるシステムが適用されている。インターホン子機は、既設のエレベーターのかごに設けられている。インターホン子機は、ラッチ回路を備えている。インターホン親機は、既設のエレベーターのかごの外部の場所に設けられている。
検出部17は、通話ボタン13の状態を直接表す信号を用いることなく、ラッチ回路14の状態を表す信号に基づいて通話ボタン13が継続して押下されているかを判定する。このため、インターホン子機8と遠隔監視装置12との間の配線が簡単になる。
また、非常通報システム1は、通信制御部18を備える。インターホン親機9は、かご6の外部の場所において、ラッチ回路14の呼出状態の記憶が保持されている間に鳴動する。インターホン親機9からの応答が通話ボタン13の押下から予め設定された設定時間を経過する前にある場合に、通信制御部18は、インターホン子機8とインターホン親機9との間の通話をさせる。設定時間にわたって通話ボタン13が継続して押下されている場合に、通信制御部18は、インターホン子機8からの呼出をエレベーター2の外部の監視センター20に通報する。
また、非常通報システム1は、インターホン親機9を備える。インターホン親機9は、かご6の外部の場所に設けられる。インターホン親機9は、呼出状態の記憶がインターホン子機8に保持されている間に鳴動する。通話ボタン13の押下から予め設定された設定時間を経過する前にインターホン親機9からの応答がある場合に、遠隔監視装置12は、インターホン子機8とインターホン親機9との間の通話をさせる。設定時間にわたって通話ボタン13が継続して押下されている場合に、遠隔監視装置12は、インターホン子機8からの呼出をエレベーター2の外部の監視センター20に通報する。
非常通報システム1において、呼出状態は、エレベーター2のかご6の内部においてインターホン子機8の通話ボタン13が押下されるときに記憶される。呼出状態の記憶は、通話ボタン13の押下が終了した後も保持される。インターホン親機9は、呼出状態の記憶が保持されている間に鳴動する。通話ボタン13の押下から設定時間を経過する前にインターホン親機9からの応答がある場合に、インターホン子機8とインターホン親機9との間で通話がされる。設定時間にわたって通話ボタン13が継続して押下されている場合に、非常通報システム1は、インターホン子機8からの呼出をエレベーター2の外部の監視センター20に通報する。これにより、かご6の外部との通話を簡単な操作により開始することと、エレベーター2の外部の監視センター20との不要な通信を抑制することとが両立される。
ここで、エレベーター2の外部の監視センター20との不要な通信は、例えば、利用者15の誤操作またはいたずらによる通信を含む。監視センター20への通報は、通話ボタン13の押下の継続が検出された場合に行われる。このため、利用者15が誤って通話ボタン13に設定時間より短い時間触れた場合に、遠隔監視装置12は、監視センター20への通報をしない。これにより、監視センター20との不要な通信が抑制される。また、通信コストが低減される。
非常時の状況などによって、利用者15は、通話ボタン13を一度押した直後に通話ボタン13を離してしまう可能性がある。この場合においても、ラッチ回路14は呼出状態の記憶を保持する。ラッチ回路14が呼出状態の記憶を保持している間、インターホン親機9は、鳴動する。すなわち、インターホン親機9は、利用者15が通話ボタン13を離した後も鳴動する。このため、管理人16は、利用者15が通話ボタン13を離した後にインターホン親機9から応答することができる。これにより、利用者15は、その場でなされた指示に従って追加の操作をすることなく、かご6の外部との通話を簡単な操作により開始することができる。
管理人16が管理人室4に不在の時間帯などにおいて、利用者15は、通話ボタン13を継続して押すことによって、監視センター20のオペレーター21との通話を行うことができる。このため、利用者15は、非常時においてかご6の外部との連絡をする複数の経路を持つことができる。これにより、利用者15は、非常時においてかご6の外部との連絡をより確実にすることができる。
また、検出部17は、インターホン親機9からの応答を模擬する信号をラッチ回路14に送信することで呼出状態の記憶を解除させる。
これにより、インターホン子機8のインターフェイスを開発する必要がない。このため、非常通報システム1におけるインターホン子機8として、ラッチ回路14を搭載した普及品のインターホンが利用できる。非常通報システム1の設置のコストが低減される。
また、検出部17は、ラッチ回路14の呼出状態の記憶の解除を、インターホン親機9からの応答がないと通信制御部18が判定した後にさせる。
これにより、管理人室4における管理人16の応答が監視センター20におけるオペレーター21の応答より優先される。管理人室4は、エレベーター2の外部の監視センター20より、利用者15が乗車しているかご6に近い。また、管理人16は、複数のエレベーター2を監視するオペレーター21より、利用者15が利用しているエレベーター2の現地の状況を熟知している。このため、管理人16による応答が優先されることによって、利用者15への対応がより迅速かつより適切になる。また、監視センター20との通信を伴わない管理人16による応答が優先されることで、通信コストが低減される。
また、検出部17は、通話ボタン13の押下が継続していないと判定した後に、ラッチ回路14に呼出状態を再び記憶させる。
これにより、利用者15が通話ボタン13を離している場合にも、検出部17がラッチ回路14の呼出状態の記憶の解除をさせた後にインターホン親機9が継続して鳴動する。このため、管理人16がより応答しやすくなる。
また、表示灯10は、対応するかご6に設けられるインターホン子機8のラッチ回路14が呼出状態の記憶を保持している間に点灯する。これにより、管理人16は、通話ボタン13を押した利用者15が乗車しているかご6を応答の前に特定できる。
なお、エレベーター2は、かご6を一台のみ備えてもよい。非常通報システム1は、インターホン子機8を一台のみ備えてもよい。非常通報システム1は、複数のインターホン親機9を備えてもよい。
第1通話機および第2通話機は、例えば内線電話またはIP電話でもよい。
状態記憶部は、ラッチ回路14の他のハードウェアまたはソフトウェアなどであってもよい。状態記憶部は、例えば遠隔監視装置12、インターホン親機9または制御盤7に設けられてもよい。状態記憶部は、1つの通話ボタン13に対して複数設けられてもよい。
表示装置は、通話ボタン13を押した利用者15が乗車しているかご6を管理人16に報知する、複数の表示灯10の他の装置であってもよい。表示装置は、インターホン親機9に設けられてもよい。表示装置による表示は、複数のかご6の各々の内部を監視するための映像とともに表示されてもよい。
検出部17がn秒の間待機しているときにインターホン親機9からの応答があった場合に、通信制御部18は、通話ボタン13が押されたインターホン子機8とインターホン親機9との通話を制御盤7に中継させてもよい。
通話ボタン13が継続して押下されていないと判定した後に、検出部17は、通話ボタン13が押下されてから予め定められた時間が経過した場合にラッチ回路14に呼出状態を再び記憶させなくてもよい。非常通報システム1は、管理人室4においてインターホン親機9が継続して鳴動する時間に上限を設けることができる。
通話ボタン13が継続して押下されていないと判定した後に、検出部17は、ラッチ回路14に呼出状態を再び記憶させなくてもよい。通話ボタン13が誤操作またはいたずらなどによって押された場合にインターホン親機9は長い時間継続して鳴動しない。このため、管理人16の対応負担が軽くなる。
検出部17がラッチ回路14の呼出状態の記憶を解除させる時間間隔は、不等間隔でもよい。例えば、検出部17は、最初の時間間隔を次の時間間隔より長くしてもよい。利用者15が通話ボタン13を押した直後に通話ボタン13を離した場合においても、インターホン親機9が鳴動する時間が確保される。これにより、管理人16は、インターホン親機9からの応答がしやすくなる。
検出部17が記憶している設定時間は、管理人16またはオペレーター21などによって設定されてもよい。検出部17がラッチ回路14の呼出状態の記憶を解除させる時間間隔は、管理人16またはオペレーター21などによって設定されてもよい。
管理人室4は、エレベーター2が設けられる建築物3と別棟に設けられてもよい。
エレベーター2において、機械室5は設けられなくてもよい。このとき、制御盤7、遠隔監視装置12およびモデム11などは、例えば昇降路に設けられる。
制御盤7は、複数の部分を別体に備えてもよい。制御盤7は、複数のかご6の各々の動作の制御を行う部分と、複数のかご6について群管理制御を行う部分と、を備えてもよい。
遠隔監視装置12の一部または全部は、制御盤7と一体に設けられてもよい。
情報センター19および監視センター20は同一の拠点であってもよい。情報センター19および監視センター20の各々は複数の拠点からなっていてもよい。情報センター19において、ウェブサーバが設けられてもよい。監視センター20のオペレーター21は、情報センター19に蓄積された情報にウェブクライアントを介してアクセスしてもよい。情報センター19は、インターホン子機8とIP電話22との間の通話の内容を表す情報を蓄積してもよい。
実施の形態1におけるシステム、装置、機器、部分などの間の接続は、直接的または間接的な接続のいずれであってもよい。実施の形態1におけるシステム、装置、機器、部分などの間の通信は、直接的または間接的な通信のいずれであってもよい。
続いて、図7を用いて非常通報システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図7は、実施の形態1に係る非常通報システムの主要部のハードウェア構成を示す図である。
非常通報システム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ1bと少なくとも1つのメモリ1cとを備える。処理回路は、プロセッサ1bおよびメモリ1cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア1aを備えてもよい。
処理回路がプロセッサ1bとメモリ1cとを備える場合、非常通報システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ1cに格納される。プロセッサ1bは、メモリ1cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、非常通報システム1の各機能を実現する。
プロセッサ1bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ1cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等により構成される。
処理回路が専用のハードウェア1aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
非常通報システム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、非常通報システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。非常通報システム1の各機能について、一部を専用のハードウェア1aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア1a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで非常通報システム1の各機能を実現する。