JPWO2020022308A1 - 圧力リング用異形線材 - Google Patents

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Abstract

圧力リングのシール性向上に有用な異形線材を提供する。長手方向の1mの範囲で評価した、幅寸法の変動が5μm以下であり、且つ厚さ寸法の変動が5μm以下である圧力リング用異形線材であり、長手方向の1mの範囲で評価した幅方向に対する横曲がり量が10mm以下であることが好ましく、長手方向の20mmの範囲で評価した幅方向に対する横曲がり量が1.0μm以下であることがより好ましく、長手方向の各面の光沢度が150以上であることが好ましく、マルテンサイト系ステンレス鋼からなることがより好ましい。

Description

本発明は、自動車等のエンジンのピストンに組込まれる圧力リングに用いられる異形線材に関する。
近年の地球環境に対する負荷の低減を目的に、自動車等のエンジンは、低燃費化および排気ガスの清浄化が必要となり、性能の更なる向上が求められている。そして、エンジンの性能は、エンジンの構成部品の一つである、ピストンに組込まれるピストンリングの影響も大きく受ける。
ここで、ピストンリングは、ピストンの頂面側から下方に向けて、圧力リングとしてトップリングとセカンドリングが順に配置され、その下方にオイルリングが配置される。そして、シリンダ内壁面と摺動するピストンリング部材として、圧力リングは、横断面が上下・左右で異なる、すなわち中心から非対称形状の異形断面を有する。また、オイルリングは、横断面が2ピース型の場合には疑似I形の異形断面を有し、3ピース型の場合にはサイドレールと称する、角部がR面取りされ、断面が上下・左右で同じ、すなわち中心から対称形状の同形断面を有する。
圧力リングは、断面形状が中心から非対称である上、各角部にはC面やR面の面取りがそれぞれ形成されており、複雑な異形断面を有する。そして、圧力リングは、その断面形状に近似した異形断面を有する圧力リング用異形線材(以下、単に「異形線材」ともいう。)から製造される。
上記した異形線材は、特許文献1に示されるように、4方向ロールタークスヘッドを具備する成形ユニットをタンデムに複数ユニット配列し、成形ユニットの最前段と最後段に、それぞれレベラーを配置した成形装置で成形してコイル状に巻取ることが提案されている。この提案は、異形線材に生じる曲がりを低減できるという点で優れた技術である。
特開2010−201492号公報
上記した圧力リングは、未燃焼の混合ガスや排気ガスがピストンとシリンダの間隙からクランクケースに流出したり、エンジンオイルがシリンダ内に流入したりすることを抑制するといったシール性が要求される。
また、圧力リングは、その摺動特性の向上を目的に、異形線材の表面を研削した後、例えばCr系の硬質皮膜等が形成される場合がある。ここで、上記した硬質皮膜は、異形線材からなる基材の表面に、例えば、ターゲットを使用したイオンプレーティング法により形成される。中でも、アークイオンプレーティング法は、減圧した反応ガス雰囲気中において、硬質皮膜の原料となるターゲットをアーク放電で瞬時に溶解、イオン化し、負に印加した基材の表面に堆積させて硬質皮膜を形成する方法であり、圧力リング用の硬質皮膜の形成にも適用されている。この場合、硬質皮膜を形成した状態でシール性を向上する必要がある。
本発明の目的は、圧力リングのシール性向上に有用な異形線材を提供することである。
本発明者は、圧力リングに用いられる異形線材を新規な特定の表面形状にすることで、圧力リングのシール性を向上できる異形線材を提供できることを見出し、本発明に到達した。
本発明の圧力リング用異形線材は、長手方向の1mの範囲で評価した、幅寸法の変動が5μm以下であり、且つ厚さ寸法の変動が5μm以下である。
本発明の圧力リング用異形線材は、長手方向の1mの範囲で評価した、幅方向の横曲がり量が10mm以下であることが好ましい。
また、本発明の圧力リング用異形線材は、長手方向の20mmの範囲で評価した、幅方向の横曲がり量が1.0μm以下であることがより好ましい。
本発明の圧力リング用異形線材は、長手方向の各面の光沢度が150以上であることが好ましい。
本発明の圧力リング用異形線材は、マルテンサイト系ステンレス鋼からなることが好ましい。
本発明は、シール性の向上に寄与できる異形線材を提供することができ、圧力リングの製造に有用な技術となる。
異形線材の幅寸法の変動を測定した結果。 異形線材の厚さ寸法の変動を測定した結果。 異形線材の横曲がりの測定方法を示す模式図。 本発明の異形線材を製造する装置の一例を示す模式図。 本発明の異形線材を製造する装置の別の例を示す模式図。 実施例で製造した異形線材の横断面を示す模式図。
ピストンリングは、ピストンの頂面側から下方に向けて、圧力リングとしてトップリングとセカンドリングが順に配置され、その下方にオイルリングが配置されている。このため、圧力リングは、未燃焼の混合ガスや排気ガスがピストンとシリンダの間隙からクランクケースに流出したり、エンジンオイルがシリンダ内に流入したりすることを抑制するという、シール性が最も要求される部材となる。そして、圧力リングは、例えば、横断面の模式図を示す図6のような、各辺の長さがそれぞれ異なり、各角部にはC面やR面の面取りが形成されており、中心から非対称である複雑な異形断面を有する。
圧力リング用の異形線材は、通常、コイル状に巻取られている。そして、この異形線材は、圧力リングにする際に、コイルから巻出され、異形線材における幅がJIS B 8032−4で規定される圧力リングの厚さ(a1)に相当する部位になり、異形線材における厚さがJIS B 8032−4で規定される圧力リングの幅(h1)に相当する部位になるように、カーリング加工される。
ここで、本発明の異形線材は、コイルから巻出した際の横断面、すなわち圧力リングがピストンに組込まれた状態でピストンの軸方向における断面模式図を示す図6において、幅寸法は左右方向のw部の寸法のことをいい、厚さ寸法は上下方向で最も厚いt部の寸法のことをいう。そして、本発明の実施形態に係る異形線材は、幅(w)寸法が1〜5mm、厚さ(t)寸法が0.5〜3mmの範囲にある圧力リングに好適である。
本発明の異形線材は、幅方向および厚さ方向の形状を所定の形状にする。具体的には、本発明の異形線材は、長手方向の1mの範囲で評価した、幅寸法の変動が5μm以下であり、且つ厚さ寸法の変動が5μm以下である。ここで、本発明では、幅寸法および厚さ寸法の変動は、異形線材の長手方向の1mの範囲で測定される幅寸法および厚さ寸法で得られる最大値と最小値の差のことをいい、例えば、マイクロメーター等の寸法測定器を用いて、図6に示すw部およびt部を、それぞれ長手方向の20mm間隔で測定した値から算出することができる。
そして、圧力リング用の異形線材は、通常、コイル状に巻取られている。このため、幅方向および厚さ方向の形状評価は、コイルの先後端で、それぞれ長手方向の1mの範囲で評価することが好ましい。
圧力リングにおけるシール性の向上には、シリンダの内壁面と摺動する面、すなわち圧力リングの外周面の表面形状を、シリンダの内壁面の形状に沿うようにする必要がある。また、圧力リングにおけるシール性の向上には、圧力リングの上下面および内周面を、ピストンのリング溝の内壁面に沿うようにする必要もある。
上述したように、圧力リングは、その表面に、例えばCr系の硬質皮膜等が形成されて使用される場合がある。そして、硬質皮膜は、アークイオンプレーティング法等により、基材となる異形線材の表面形状に沿って硬質皮膜の原料を堆積させて形成される。
本発明の異形線材は、長手方向の1mの範囲で評価した、幅寸法の変動が5μm以下、且つ厚さ寸法の変動が5μm以下という特定の表面形状を有する。これにより、本発明の異形線材は、圧力リングの外周面となる面の寸法変動に伴う凹凸の発生が抑制され、シリンダの内壁面に沿う表面形状が得られる。このため、本発明の異形線材は、圧力リングの外周面となる面に形成される硬質皮膜に生じる凹凸も抑制され、硬質皮膜の表面をシリンダの内壁面に沿った形状にすることができ、ラッピング加工における研磨代の縮小や研磨時間の短縮に寄与できる。
また、本発明の異形線材は、圧力リングの内周面となる面と、厚さを構成する上下面となる面の寸法変動に伴う凹凸の発生も抑制され、シリンダの内壁面に沿った表面形状となる。これにより、本発明の異形線材は、硬質皮膜の有無に係らず、シリンダ軸方向および周方向におけるシール性に優れた圧力リングの製造に寄与できる。
また、本発明の異形線材は、好ましくは、その全長に亘り、幅寸法および厚さ寸法の変動が5μm以下に抑制されている。このため、本発明の異形線材は、圧力リングの成形加工工程において、圧力リングの全周に亘った寸法変動により生じる凹凸等を除去するための研削により、幅方向および厚さ方向で生じる部分的な肉厚の減少による欠肉の発生を抑制することができる。これにより、本発明の異形線材は、その全長に亘って均一なバネ定数を確保できるため、圧力リングの成形加工工程における、曲げ加工性や真円度の向上に寄与できる。
そして、本発明の実施形態に係る異形線材は、長手方向の1mの範囲で評価した、幅寸法の変動が0μm、且つ厚さ寸法の変動が0μmであることが特に好ましいところ、生産性の観点からは、現実的には、幅寸法の変動は3μm以下、且つ厚さ寸法の変動は3μm以下であることが好ましい。また、幅寸法の変動は2μm以下、且つ厚さ寸法の変動は2μm以下であることがより好ましい。
本発明の実施形態に係る異形線材は、コイルから巻出した際、図3に示す模式図において、直定規11を基準として、異形線材6の長手方向の1mの範囲で評価した、幅方向の横曲がり量が10mm以下であることが好ましい。これにより、本発明の異形線材は、圧力リングへの成形性の向上に寄与できる上、外周面となる面がシリンダの内壁面の形状に沿った形状となり、シリンダ周方向におけるシール性の向上に寄与できる。
また、長手方向の1mあたりの幅方向の横曲がり量は、0mmであることが特に好ましいところ、生産性の観点からは、現実的には、7mm以下であることがより好ましい。
本発明の実施形態に係る異形線材は、うねりと呼ばれる長手方向の20mmの範囲で評価した、連続して生じる幅方向の横曲がり量が1.0μm以下であることが好ましい。これにより、本発明の異形線材は、ピストンのリング溝の内壁面の形状に沿った断面となる上、合口部を高い精度で整合させることができ、シリンダ軸方向および周方向におけるシール性の向上に寄与できる。
また、20mmあたりの幅方向の横曲がり量は、0μmであることが特に好ましいところ、生産性の観点からは、現実的には、1.0μm未満であることがより好ましい。
本発明の実施形態に係る異形線材は、シリンダ軸方向および周方向におけるシール性を向上させるという観点から、長手方向の各面の光沢度が150以上であることが好ましく、170以上であることがより好ましい。
また、圧力リング用の異形線材は、その成分組成に応じた製造工程によっては、酸化スケールが形成される場合がある。そして、この酸化スケールは、圧力リングのシール性や硬質皮膜の密着性を阻害する。このため、酸化スケールが形成された異形線材は、圧力リングの成形加工工程において、酸化スケールを除去する研磨工程が必要になる。
本発明の実施形態に係る異形線材は、圧力リングの硬質皮膜が形成される面の光沢度が150以上であることが好ましく、これにより、酸化スケールを除去する研磨工程を省略することができる。また、本発明の実施形態に係る異形線材は、硬質皮膜の密着性を向上させる観点から、硬質皮膜が形成される面の光沢度が170以上であることがより好ましい。
尚、本発明でいう光沢度は、JIS Z 8741で規定される鏡面光沢度の測定方法にある、Gs(60°)で測定される値のことをいう。そして、この光沢度は、例えば、株式会社堀場製作所製の光沢計(IG−331)を用いて測定することができる。
ここで、圧力リング用の異形線材は、その成分組成に応じた製造工程によっては、焼入れ焼戻し等の熱処理を伴う。本発明の実施形態に係る異形線材は、焼入れ焼戻し後の圧力リングの外周面となる面の長手方向の1mの範囲で評価した表面粗さ(Rz)が0.6μm以下、および異形線材の厚さ方向の全厚の範囲で評価した表面粗さ(Rz)が0.6μm以下であることが好ましい。これにより、本発明の異形線材は、圧力リングの外周面となる面に形成される硬質皮膜に生じる凹凸が抑制され、硬質皮膜の表面をシリンダの内壁面に沿った形状にすることができ、圧力リングのシール性向上に寄与できる。
尚、本発明でいう表面粗さは、JIS B 0601で規定される最大高さ粗さ(Rz)のことをいう。そして、この表面粗さは、例えば、株式会社ミツトヨ製の輪郭形状測定機(SV−C4100)を用いて測定することができる。
本発明の実施形態に係る異形線材は、圧力リングの外周面となる面とシリンダの内壁面との摺動に伴う耐熱性や耐摩耗性を向上させる観点から、マルテンサイト系ステンレス鋼からなることが好ましい。そして、マルテンサイト系ステンレス鋼としては、例えば、JIS G 4303で規定される、Crを13質量%含有するSUS420J2相当や、Crを17質量%含有するSUS440B相当の鋼種等が適用できる。中でも、本発明の異形線材は、硬さや耐食性の向上に加え、光沢度を向上させる観点から、Crを17質量%含有するマルテンサイト系ステンレス鋼からなることがより好ましい。
本発明の異形線材は、特許文献1の図1に開示のある異形線材の成形装置を用いて、鋼素線を圧延して得ることが考えられる。しかし、上記の成形装置で圧延したままの圧延材は、得ようとする異形線材の断面が複雑な形状であるために、幅寸法および厚さ寸法の変動を小さくするのは限界があり、幅寸法の変動を5μm以下、且つ厚さ寸法の変動を5μm以下にすることは困難である。本発明の異形線材を得るためには、上記の成形装置で圧延した圧延材に、幅寸法の変動が5μm以下、且つ厚さ寸法の変動が5μm以下となるように、複数回のスキンパス仕上等の表面処理を施すことが好ましい。
本発明の異形線材は、図4または図5に示す異形線材を製造する装置を用いて、巻出機1から巻出した鋼素線2を、引抜ドラム7の張力によりダイス5で引抜いて異形線材6とし、引抜ドラム7を介して、巻取機8で巻取ることにより得ることが好ましい。このダイス引抜きで得られる伸線材は、圧延材で必要とされるスキンパス仕上等の表面処理工程を追加することなく、幅寸法の変動が5μm以下、且つ厚さ寸法の変動が5μm以下である、本発明の異形線材を得ることができる。
そして、引抜きに用いる鋼素線は、得ようとする異形線材の断面形状と相似形の線材を用いることが好ましく、このときの減面率を2%〜10%の範囲で設定することがより好ましい。また、鋼素線の引抜きは、アプローチ角度を全角で0.5°〜10.0°の範囲にあるダイスを用いて、1パスで引抜くことが好ましい。
また、伸線材からなる本発明の異形線材は、従来の圧延材に比べて、長手方向のスプリングバック量の変動を低減できるため、圧力リングの成形加工工程において、曲げ加工性の向上に寄与できる。そして、伸線材からなる本発明の異形線材は、そのスプリングバック量の変動が低減されることによる二次的な効果として、圧力リングの成形加工工程における、表面形状を調整するための研削工程の短縮や、真円度の向上にも寄与できる。
本発明の異形線材を得るためには、ダイス5の前段に潤滑皮膜形成装置4を設置して、ダイス5で引抜く前の鋼素線2の表面に潤滑皮膜を形成しておくことが好ましい。そして、潤滑皮膜形成装置4としては、生産性の観点からは、例えば、図4に示すような、潤滑油で満たされた潤滑油槽41に鋼素線2を浸漬させる方式が適用できる。また、異形線材の幅方向の横曲がりを抑制する観点からは、図5に示すような、潤滑油を含浸させた不織布42で挟みながら鋼素線2を通線させて潤滑皮膜を形成する方式がより好ましい。
そして、不織布42は、植物繊維や、熱可塑性樹脂あるいは合成樹脂製のものを適用でき、表面が洗浄された鋼素線2の左右方向および上下方向をタンデムで挟みながら、鋼素線2を通線できるように配置することがより好ましい。尚、不織布42への潤滑油の補給は、タンク(図示しない)に貯留した潤滑油に、不織布42の端部を浸漬させて、毛細管現象を利用した吸い上げ方式を用いることが好ましい。
また、鋼素線2の通線は、例えば、巻出機1の後段にアキュームダンサーロール等の張力制御装置3の設置により、引抜方向の張力を一定に維持することが好ましい。これにより、張力制御装置3の後段に配置された不織布42において、張力変動に起因した潤滑皮膜が不均一に形成されることを抑制することができる。また、張力制御装置3は、引抜ドラム7によるダイス5の入側の張力変動を抑制でき、鋼素線2の引抜きを安定させることもできる。
このほか、張力制御装置3は、引抜方向の張力変動に起因するパラメトリック励震による、引抜方向に対して上下左右方向で、鋼素線2に生じる振動を抑制でき、鋼素線2表面への均一な潤滑皮膜の形成に加え、ダイス5への鋼素線2の導入と引抜き性の向上に大きな役割を果たす。これにより、幅寸法および厚さ寸法の変動と幅方向の横曲がり量が抑制された本発明の異形線材を得ることができる点で好ましい。
そして、潤滑皮膜が形成された鋼素線2をダイス5で引抜いた後の異形線材は、上下レベラー9および左右レベラー10を通して矯正することが好ましい。これにより、本発明の異形線材は、長手方向の1mの範囲で評価した幅方向の横曲がり量が10mm以下に抑制される上、20mmの範囲で評価した幅方向の横曲がり量も1.0μm以下に抑制される。
また、伸線材は、圧力リングにしたときの、硬質皮膜の密着性やシール性の向上に有用となる表面形状を形成する、すなわち、異形線材の長手方向における各面の光沢度を150以上にする観点からも、より好ましい。
図4に示す異形線材を製造する装置を用いて、鋼素線2を巻出機1から巻出し、アキュームダンサーロールで構成される張力制御装置3に複数回巻付けた後、潤滑油槽41に鋼素線2を浸漬させて、鋼素線2の表面に均一な潤滑皮膜を形成した。そして、ダイス5の後段に配置された引抜ドラム7の張力によって、鋼素線2をダイス5で引抜き、図6に示す異形線材に成形した後、上下レベラー9および左右レベラー10で矯正してから、巻取機8によって連続的に巻取り、本発明例1となる異形線材を得た。
また、図5に示す異形線材を製造する装置を用いて、鋼素線2を巻出機1から巻出し、アキュームダンサーロールで構成される張力制御装置3に複数回巻付けた後、潤滑油を含浸させた熱可塑性樹脂製の不織布42により、鋼素線2の表面に均一な潤滑皮膜を形成した。そして、ダイス5の後段に配置された引抜ドラム7の張力によって、鋼素線2をダイス5で引抜き、図6に示す異形線材に成形した後、上下レベラー9および左右レベラー10で矯正してから、巻取機8によって連続的に巻取り、本発明例2となる異形線材を得た。このとき、不織布42への潤滑油の補給は、図示しないタンクに貯留した潤滑油に、不織布42の端部を浸漬させて、毛細管現象を利用した吸い上げ方式を用いた。
尚、潤滑油は、市販の鉱油からなる潤滑油を用いた。また、鋼素線は、図6に示す断面形状と相似形の、Crを17質量%含有するSUS440B相当の線材を用意し、鋼素線からの減面率を5%に設定した。そして、ダイスは、焼結ダイヤモンド製のアプローチ角度が全角で4.0°のダイスを用いた。また、加工速度は、いずれも、5m/minとし、1パスで引抜いた。
また、図6に示す異形線材を得るために、特許文献1の図1に開示のある異形線材の成形装置を用いて、従来例となる異形線材を作製した。
各異形線材の長手方向の1mの範囲における20mm間隔で測定した、幅寸法の結果を図1に、厚さ寸法の結果を図2に示す。従来例となる異形線材は、長手方向の1mの範囲内で、幅寸法の変動が8μm、厚さ寸法の変動が7μmであり、変動値がいずれも5μmを超えていた。
これに対し、本発明例1および本発明例2となる異形線材は、いずれも、長手方向の1mの範囲内で、幅寸法の変動が2μm、且つ厚さ寸法の変動も2μmであり、変動値がいずれも5μm以下となり、圧力リングのシール性向上に有用な異形線材であることが確認できた。
また、図3に示す模式図において、直定規11を基準として、得られた各異形線材6を巻出した際の長手方向の1mあたり、および20mmあたりで生じた幅方向の横曲がり量を測定した。その結果を表1に示す。従来例となる異形線材は、長手方向の1mあたりの幅方向の横曲がりが14mmであり、20mmあたりの幅方向の横曲がりが1.9μmであった。
これに対し、本発明例1となる異形線材は、長手方向の1mあたりの幅方向の横曲がりが6mmであり、20mmあたりの幅方向の横曲がりが1.0μmであった。また、本発明例2となる異形線材は、長手方向の1mあたりの幅方向の横曲がりが5mmであり、20mmあたりの幅方向の横曲がりが0.9μmであり、圧力リングのシール性向上に有用な異形線材であることが確認できた。
また、株式会社堀場製作所製の光沢計(IG−331)を用いて、異形線材の長手方向の各面の、JIS Z 8741で規定される鏡面光沢度Gs(60°)を測定した。その結果を表1に示す。従来例となる異形線材の光沢度は、長手方向のいずれの面も140以下であった。これに対して、本発明例1および本発明例2となる異形線材は長手方向のいずれの面も、光沢度が150以上であり、硬質皮膜の形成に有用な異形線材であることが確認できた。
また、株式会社ミツトヨ製の輪郭形状測定機(SV−C4100)を用いて、焼入れ焼戻し後の圧力リングの外周面となる面の長手方向の1mの範囲、および異形線材の厚さ方向の全厚における、JIS B 0601で規定される最大高さ粗さ(Rz)を測定した。
従来例となる異形線材のRzは、長手方向において0.7μm、幅方向において0.8μmであった。これに対して、本発明例1および本発明例2となる異形線材のRzは、長手方向において0.5μm、幅方向において0.5μmであり、圧力リングのシール性向上に有用な異形線材であることが確認できた。
Figure 2020022308
1 巻出機
2 鋼素線
3 張力制御装置
4 潤滑皮膜形成装置
41 潤滑油槽
42 不織布
5 ダイス
6 異形線材
7 引抜ドラム
8 巻取機
9 上下レベラー
10 左右レベラー
11 直定規

Claims (5)

  1. 長手方向の1mの範囲で評価した、幅寸法の変動が5μm以下であり、且つ厚さ寸法の変動が5μm以下である圧力リング用異形線材。
  2. 長手方向の1mの範囲で評価した、幅方向の横曲がり量が10mm以下である請求項1に記載の圧力リング用異形線材。
  3. 長手方向の20mmの範囲で評価した、幅方向の横曲がり量が1.0μm以下である請求項1または請求項2に記載の圧力リング用異形線材。
  4. 長手方向の各面の光沢度が150以上である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧力リング用異形線材。
  5. マルテンサイト系ステンレス鋼からなる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の圧力リング用異形線材。

JP2020532401A 2018-07-27 2019-07-23 圧力リング用異形線材 Active JP7347423B2 (ja)

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