JPWO2020021701A1 - 高速流体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

金属が溶融した金属融体45が流れる融体流路の少なくとも一部を囲む壁と、前記壁に設けられ大気圧より高い圧力のガスが流れるガス流路20と、前記ガス流路と連通し前記壁の内面に設けられ、前記融体流路に、前記金属融体を加速させる方向に前記ガスを噴射するガス噴射孔21と、を含むチャンバと、前記ガスが噴射された位置より下流の前記融体流路に、前記金属融体を凝固させる液体膜を形成する液体膜形成部と、を備える金属粉体製造装置用ユニット。

Description

本発明は、金属粉体製造装置用ユニット、金属粉体製造装置および金属粉体製造方法に関し、例えば液体膜を用いた金属粉体製造装置用ユニット、金属粉体製造装置および金属粉体製造方法に関する。
金属融体の流路に液体を噴射し、金属融体を粉砕し凝固させることで金属粉体を製造するアトマイズ法が知られている(例えば特許文献1から4)。ガスと水を用いたアトマイズ法が知られている(例えば特許文献5、非特許文献1および2)。
国際公開第00/38865号 特開2004−269956号公報 特開2007−291454号公報 特開2013−129916号公報 独国特許出願公開第4005696号明細書
Scripta Metallurgica Vol. 13, pp. 673-676 (1979) Materials Science and Engineering Vol. 62, pp. 217-230 (1984)
しかしながら、特許文献1から4のようなアトマイズ法では、金属粉体の粒度が十分に小さくならない、および/または金属粉体内のアモルファス相といった非平衡相または過飽和固溶体相等の過冷却組織等の相の割合を大きくできないことがある。このように、所望の金属粉体が収率よく製造できないことがある。特許文献5、非特許文献1および2には、ガスと水を用いたアトマイズ法が開示されているが、所望の金属粉体を収率よく製造する方法については記載されていない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、所望の金属粉体を収率よく製造することを目的とする。
本発明は、金属が溶融した金属融体が流れる融体流路の少なくとも一部を囲む壁と、前記壁に設けられ大気圧より高い圧力のガスが流れるガス流路と、前記ガス流路と連通し前記壁の内面に設けられ、前記融体流路に、前記金属融体を加速させる方向に前記ガスを噴射するガス噴射孔と、を含むチャンバと、前記ガスが噴射された位置より下流の前記融体流路に、前記金属融体を凝固させる液体膜を形成する液体膜形成部と、を備える金属粉体製造装置用ユニットである。
上記構成において、前記液体膜形成部は、前記液体膜を形成する液体を前記融体流路に向けて噴射する液体噴射部を含む構成とすることができる。
上記構成において、前記チャンバは、前記金属融体に前記ガスを噴射することにより、前記金属融体を前記金属融体が流れる方向に加速させ、前記液体膜形成部は、加速された前記金属融体が前記液体膜に接触および/または近接することにより前記金属融体が凝固されるように前記液体膜を形成する構成とすることができる。
上記構成において、前記ガス流路は前記ガス噴射孔に向けて間隔が漸減する構成とすることができる。
上記構成において、前記ガス噴射孔は、前記融体流路の中心に対し略回転対称に設けられている構成とすることができる。
上記構成において、前記ガス噴射孔は、前記金属融体が流れる方向に複数配置される構成とすることができる。
上記構成において、噴射される前のガスを加熱する加熱部を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記液体膜形成部は、前記液体膜を前記融体流路の中心に形成せず前記中心を囲み前記液体膜が前記中心の周りを回転するように形成する構成とすることができる。
前記ガス噴射孔が前記ガスを噴射する位置と前記金属融体が前記液体膜に接触または近接する位置との間において、前記壁の内面の断面の大きさは、前記金属融体が流れる方向に行くに従い漸減しその後漸増する構成とすることができる。
本発明は、上記金属粉体製造装置用ユニットと、前記金属融体を供給する供給ユニットと、を備える金属粉体製造装置である。
本発明は、金属が溶融した金属融体が流れる融体流路の少なくとも一部を囲む壁に設けられ大気圧より高い圧力のガスが流れるガス流路と連通し前記壁の内面に設けられたガス噴射孔から、前記融体流路に、前記金属融体を加速させる方向に前記ガスを噴射し、前記ガスが噴射された位置より下流の前記融体流路に、前記金属融体を凝固させる液体膜を形成することで、前記金属の粉体を形成する金属粉体製造方法である。
本発明によれば、所望の金属粉体を収率よく製造することができる。
図1は、実施形態1に係る金属粉体製造装置の断面図である。 図2は、実施形態1におけるアトマイズユニットの断面図である。 図3は、実施形態1における液体膜の別の例を示すアトマイズユニットの断面図である。 図4(a)から図4(e)は、実施形態1におけるガス流路の例を示す断面図である。 図5(a)および図5(b)は、実施形態1におけるガス流路の例を示す断面図である。 図6(a)から図6(c)は、実施形態1におけるガス流路の噴射孔の例を示す平面図である。 図7(a)から図7(c)は、実施形態1におけるガス流路の例を示す断面図である。 図8(a)および図8(b)は、実施形態1におけるガス流路および液体流路の配置例を示す断面図である。 図9(a)および図9(b)は、実施形態1におけるガス流路および液体流路の配置例を示す断面図である。 図10(a)および図10(b)は、実施形態1における液体流路の噴射孔の例を示す平面図である。 図11(a)および図11(b)は、実施形態1における液体流路の例を示す平面図である。 図12は、実施形態1における液体流路の例を示す平面図である。 図13は、実施形態1における液体流路の例を示す断面図である。 図14(a)および図14(b)は、実施形態1におけるガイド管の例を示す断面図である。 図15は、実施形態1の変形例1に係るアトマイズユニットの断面図である。 図16は、実施例に係る金属粉体製造装置の断面図である。 図17(a)は、実施例1から6のX線回折スペクトルを示す図、図17(b)は、比較例1から5のX線回折スペクトルを示す図である。 図18(a)は、実施例および比較例における粒度D50に対する非晶質化度を示す図、図18(b)は、水圧比に対する粒度D50を示す図である。
溶融した金属である金属融体から粉体を製造する装置として、ガスアトマイズ装置と液体アトマイズ装置が知られている。アトマイズ装置では、金属融体の流路またはその近傍にガスまたは液体を噴射する。これにより、金属融体に粉砕力を作用させつつ金属融体を冷却する。金属融体を急速に冷却することで、アモルファス相のような非平衡相または過飽和固溶体相等の過冷却組織を多く含む金属粉体(いわゆる過冷却粉体)を得ることができる。過冷却粉体は、耐食性、耐摩耗性および/または磁気特性等に優れることが多い。
ガスアトマイズ装置では、ガスの冷却能力が低いため、金属融体から球状の液滴を形成できる。これにより、球状で粒度の小さい金属粉体を得ることができる。しかしながら、金属粉体を高い冷却速度で冷却することが難しい。液体アトマイズ装置では、液体の冷却能力が高いため、金属融体を高い冷却速度で冷却することができる。
特許文献2には、金属融体が流れる環状ノズル内に吸引される気流に回転モーメントを与えて、環状ノズル内の気流を旋回させることが記載されている。金属融体が遠心力で分裂するため、粒度が小さく、粒度分布幅が狭く、擬球形な金属粉体を得ることができる。
しかしながら、粒径が5μm以下の金属粉体の収率は50%以下である。これは、気流の遠心力では粉砕力が不足するためと考えられる。また、金属融体と気流とが長い時間接触するため、低い速度で金属融体が冷却される。このため、金属融体が液体と接触または近接する以前に平衡相が生成しやすくなるため、過冷却粉体を収率よく製造することが難しい。
以上のように、所望の金属粉体を製造することが難しい。以下、図面を参照し所望の金属粉体を製造することができる本発明の実施形態について説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る金属粉体製造装置の断面図である。図1に示すように金属粉体製造装置は、供給ユニット40、アトマイズユニット10(金属粉体製造装置用ユニット)、回収槽50およびガイド管52を備えている。中心軸60に平行な上方向をZ方向とし、中心軸60に直交する方向をX方向およびY方向とする。−Z方向は重力の方向であることが好ましい。
供給ユニット40は、金属を加熱することで溶融させ、加圧することで金属融体をアトマイズユニット10に噴射するユニットである。金属融体の噴射方向は例えば−Z方向である。
アトマイズユニット10は、金属融体から金属粉体を生成するユニットである。アトマイズユニット10は、チャンバ11、融体流路15、ガス流路20および液体流路30を備えている。チャンバ11は中心軸60を中心とする環状であり、例えば鉄合金等の金属からなる。チャンバ11の中央に金属融体が輸送される融体流路15が設けられている。ガス流路20は、チャンバ11の壁内に設けられ噴射孔21に連通する。噴射孔21はチャンバ11の内面に設けられ、融体流路15にガスを噴射する。液体流路30は、チャンバ11の壁内に設けられ噴射孔31に連通する。噴射孔31はチャンバ11の内面に設けられ、融体流路15に液体を噴射する。アトマイズユニット10の詳細については後述する。
融体流路15はチャンバ11の壁に囲まれた金属融体が流れる空間である。ガス流路20および液体流路30は、チャンバ11の壁内に設けられた空間であり、それぞれガスおよび液体が充満している。噴射孔21および31は、チャンバ11のそれぞれガス流路20および液体流路30の空間が壁の内面に露出した孔である。ガス流路20および液体流路30内を高圧とすると、噴射孔21および31からそれぞれガスおよび液体が噴出する。
なお、チャンバ11の材質は、例えば、鉄、銅、ニッケル、アルミニウムもしくはチタン等またはこれらの合金からなり、プロセスに応じて適宜選択できる。例えば、耐食性および強度を重要視する場合には、アトマイズユニット10がステンレス鋼からなってもよい。また、例えば、耐熱性を重要視する場合には、アトマイズユニット10がニッケル合金からなってもよい。必要に応じて、金属表面が酸化被膜等の保護層を有していてもよい。
回収槽50は生成された金属粉体を回収する。回収槽50には金属粉体を含む液体が回収される。ガイド管52は液体膜35に沿って設けられ、−Z方向に向かうに従い内径が漸増する。ガイド管52は、液体膜35を外乱から保護する。例えば、回収槽50の内壁で跳ね返った金属粉体または液体が液体膜35に影響することを抑制する。
図2は、実施形態1におけるアトマイズユニットの断面図である。アトマイズユニット10は、中心軸60を中心にほぼ円対称である。チャンバ11内の融体流路15には、金属融体45が−Z方向に通過する。金属融体45は、溶融した金属であり、例えばFe(鉄)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Co(コバルト)、W(タングステン)、Sn(錫)および/またはAg(銀)等を主要成分とする金属である。チャンバ11は、上部チャンバ12と下部チャンバ13とを有する。上部チャンバ12の壁にはガス流路20が設けられ、上部チャンバ12の内面に噴射孔21が設けられている。下部チャンバ13の壁には液体流路30が設けられ、下部チャンバ13の内面に噴射孔31が設けられている。上部チャンバ12のXY断面は下部チャンバ13のXY断面より小さい。
ガス流路20は中心軸60を中心とした円対称のスリット状であり、先端部22と供給部23とを有している。大気圧より圧力の高いガスは、供給部23において水平方向に中心軸60方向に導入される。供給部23に導入されるガスは、ガス圧縮機、ボンベまたはタンク等により大気圧より高く昇圧されている。ガスの圧力は、例えば1.0MPaである。ガスは、例えば空気または不活性ガス(例えば窒素またはアルゴン等の希ガス)である。先端部22は、−Z方向に傾斜しており、噴射孔21に向けてスリットの間隔が漸減する。これにより、ガス25の噴射速度が速くなる。噴射孔21はガス25を−Z方向を含むように噴射する。金属融体45はガス25により加速される。ガス25が金属融体45に衝突することで、金属融体45の輸送方向45aは−Z方向から広がる。上部チャンバ12の径が小さいことで、噴射孔21は金属融体45の近くにガスを噴射することができる。これにより、金属融体45をより加速することができる。また、例えば、噴射孔21からのガスが断熱膨張する効果を増大させることができ、追加の冷却効果をガスに付与することができる。
液体流路30はスリット状であり、先端部32と供給部33とを有している。大気圧より圧力の高い液体は、供給部33において水平方向に中心軸60方向に導入される。液体は、溶融金属の冷却用の液体であり、例えば水である。液体として用いる水は例えば水溶液または超純水でもよく、水に特定の物質が添加されていてもよいし、特定の物質が除去されていてもよい。例えば酸化防止のため水中に溶解した酸素等を除去してもよい。液体の圧力は、例えば60MPaである。
先端部32は、−Z方向に傾斜しており、噴射孔31に向けてスリットの間隔が漸減する。噴射孔31は液体を−Z方向に噴射する。これにより、−Z方向に液体膜35を形成する。液体膜35は、例えば特許文献1に記載されているような一葉双曲面状であり、中心軸60には液体膜35は形成されず、液体膜35は中心軸60を中心に回転する。これは、液体が直線的に噴射されると、液体膜35の形状が、液体の噴射方向に仮想的に延長した線の集合体、もしくは、これら線の集合体がなす曲面、あるいは、それらを−Z方向にずらした形状となるためである。
金属融体45は領域51において液体膜35に接触または近接する。領域51において液体膜35により金属融体45が粉砕されかつ冷却される。これにより、金属融体45が急冷され金属粉体が生成される。なお、金属融体45はガス25により粉砕され、液体膜35により冷却されてもよい。
実施形態1によれば、チャンバ11の壁は、金属が溶融した金属融体45が流れる融体流路15の少なくとも一部を囲む。ガス流路20は、チャンバ11の壁に設けられ大気圧より高い圧力のガスが流れる。噴射孔21(ガス噴射孔)は、ガス流路20と連通し壁の内面に設けられており、融体流路15に、金属融体45を加速させる方向にガス25を噴射する。液体膜形成部である噴射孔31は、ガスが噴射された位置より下流の融体流路15に、金属融体45を粉砕しかつ凝固させる液体膜35を形成する。
このように、チャンバ11は、金属融体45にガスを噴射することにより、金属融体45を−Z方向(金属融体が流れる方向)に加速させる。噴射孔31は、加速された金属融体45が液体膜35に接触および/または近接することにより金属融体45が凝固されるように液体膜35を形成する。この際、金属融体45を粉砕することもできる。
噴射孔21から金属融体45に高圧のガスを噴射することで、金属融体45にせん断力等の粉砕力が加わる。これにより、ガス25が金属融体45を粉砕するため、粒度の小さい金属粉体を得ることができる。ガス25と液体膜35により金属融体45を冷却できる。さらに、ガス25により金属融体45が加速されるため、ガス25による金属融体45の冷却から液体膜35による金属融体45の冷却までの時間を短縮できる。よって、金属融体45の冷却速度を高くできる。よって、非平衡相または過飽和固溶体相等を多く含む過冷却粉体を得ることができる。ガスの圧力と液体の圧力とのバランスで、金属粉体の粒度を調整できる。これにより、所望の粒度の過冷却粉体を収率よく製造することができる。このように、所望の金属粉体を収率よく製造することができる。
噴射孔21から噴射されるガス25の圧力(すなわちガス流路20内の圧力)は0.15MPa(1.5気圧)以上が好ましく、0.20MPa(2.0気圧)以上がより好ましく、0.50MPa(5.0気圧)以上がさらに好ましい。ガスの圧力の上限は、特に限定されない。例えば、ガスの圧力は5.0MPa(50気圧)以下であってもよい。噴射孔31から噴射される液体の圧力(すなわち液体流路30内の圧力)は0.3MPa(3.0気圧)以上が好ましく、6.0MPa(60気圧)以上がより好ましく、50MPa(500気圧)以上がさらに好ましい。液体の圧力の上限は特に制限されないが、例えば150MPa(1500気圧)以下であってもよい。
また、噴射孔31は、液体膜35を融体流路15の中心に形成せず、中心を囲み液体膜35が中心の周りを回転するように形成する。液体膜35が融体流路15の中心に形成されないため、ガスが融体流路15の中心を通り−Z方向に高速に移動できる。これにより、金属融体45がより加速され、金属融体45の冷却速度をより高めることができる。液体膜35が回転しているため、液体膜35の領域51では、ガスが高速に回転する。この回転力により金属融体45がより小さく粉砕される。
融体流路15の少なくとも一部における金属融体45の周りのガスの速度は超音速であることが好ましい。これにより、超音速の衝撃波により金属融体45を粉砕できる。また、金属融体45の速度を速くできるため金属融体45の冷却速度を高くできる。領域51におけるガスの速度が超音速であることが好ましい。
金属融体45の急速冷却(すなわち着水)までの時間を短縮するため、噴射孔21と領域51との間の距離は短いことが好ましい。
[液体膜の例]
図3は、実施形態1における液体膜の別の例を示すアトマイズユニットの断面図である。図3に示すように、液体流路30は液体膜35を特許文献3および4に記載されているようなコーン形状、コニカル形状または逆円錐形状とする。液体膜35のコーン形状の頂点は例えば中心軸60に位置している。液体膜35が融体流路15の中心に形成されているため、金属融体45が、より液体膜35に接触する。これにより、金属融体45を冷却することができる。また、冷却と同時に、金属融体45を粉砕することもできる(二次粉砕)。液体膜35の形状は任意に設定できる。金属融体45をより小さく粉砕するためには、液体膜35は中心軸60を中心とする一葉双曲面形状であることが好ましい。
[ガス流路の例]
図4(a)から図5(b)は、実施形態1におけるガス流路の例を示す断面図である。図4(a)に示すように、ガス流路20の先端部22は噴射孔21に向けてスリットの間隔が漸減する。図4(b)に示すように、ガス流路20の先端部22は噴射孔21に向けてスリットの間隔が漸増する。図4(c)に示すように、ガス流路20の先端部22はスリットの間隔が略均一である。図4(d)に示すように、ガス流路20の先端部22は噴射孔21に向けてスリットの間隔が漸減した後漸増する。先端部22は例えばラバールノズルのような形状である。図4(e)に示すように、管の内面に螺旋溝24が形成されていてもよい。
図5(a)に示すように、供給部23および先端部22は、XZ平面(またはYZ平面)において中心軸60方向に行くにしたがい−Z方向に湾曲している。図5(b)に示すように、供給部23および先端部22は、XZ平面(またはYZ平面)において中心軸60方向に行くにしたがい−Z方向となるように直線的に延伸している。図4(a)から図4(e)のように、ガス流路20は、XY平面に延伸する供給部23と、−Z方向に傾斜する先端部22を有してもよい。図5(a)および図5(b)のように、ガス流路20の供給部23は−Z方向に傾斜していてもよい。
図4(a)から図4(d)のように、ガス流路20の先端部22の形状は適宜設計できる。図4(a)のように、ガス流路20の先端部22は噴射孔21に向けて間隔が漸減することが好ましい。これにより、噴射孔21からのガスの噴射速度を速くすることができる。また、図4(d)のように、先端部22は噴射孔21に向けて間隔が漸減しその後漸増することが好ましい。これにより、噴射孔21からのガスの噴射速度を速くすることができる。金属融体45を加速させる観点から、ガス25の頂角θ(図3参照)は例えば0°から100°が好ましい。
図6(a)から図6(c)は、実施形態1におけるガスの噴射孔の例を示す平面図である。図6(a)から図6(c)は、噴射孔21のXY平面形状を示している。図6(a)に示すように、噴射孔21は中心軸60を中心とする環状である円環スリット型である。図6(b)に示すように、複数の噴射孔21が中心軸60を中心とする円61に沿って設けられている多孔ペンシル型である。図6(c)に示すように、噴射孔21は、中心軸60に対し−X側のみに設けられている。
図6(a)から図6(c)のように、噴射孔21の形状は適宜設計できる。図6(a)および図6(b)のように、噴射孔21は、融体流路15の中心に対し製造誤差程度に略回転対称に設けられていることが好ましい。これにより、ガス25が金属融体45に均一に噴射される。よって、金属融体45を効率よく加速することができる。噴射孔21の幅は例えば0.1mmから5mmである。噴射孔21はガス圧が加わることで開口する構造でもよい。噴射孔21の全体の面積は例えば0.5mmから1000mmである。
図7(a)から図7(c)は、実施形態1におけるガス流路の例を示す断面図である。図7(a)に示すように、Z方向に複数のガス流路20aから20cが設けられている。噴射孔21aから21cは上部チャンバ12においてZ方向に配置されている。ガス流路20aから20cの形状は互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。噴射孔21aから21cは互いに同じ形状でもよいし、互いに異なる形状でもよい。
図7(b)に示すように、1つの供給部23から複数の先端部22aおよび22bが分岐する。上部チャンバ12の内面に複数の噴射孔21aおよび21bがZ方向に配置されている。噴射孔21aおよび21bは互いに同じ形状でもよいし、互いに異なる形状でもよい。
図7(a)および図7(b)のように、噴射孔21aから21cは、Z方向に複数配置される。これにより、金属融体45をより加速させることができる。
図7(c)に示すように、アトマイズユニット10はガスを加熱する加熱部26(例えばヒータ)を備えている。加熱部26はガス流路20内のガスを加熱する。これにより、ガスは室温より高くなる。
金属融体45の冷却速度を高くするため、ガス速度を速くし、金属融体45の速度を速くすることが好ましい。そこで、ガスを加熱する。これにより、ガスの速度を加速させることができ、金属融体の冷却速度を高くすることができる。ガスの温度は、例えば100℃以上が好ましい。
[ガス流路および液体流路の配置例]
図8(a)から図9(b)は、実施形態1におけるガス流路および液体流路の配置例を示す断面図である。図8(a)に示すように、アトマイズユニット10では、ガス流路20を有する上部チャンバ12と液体流路30を有する下部チャンバ13とが分離している。このように、アトマイズユニット10は複数に分離していてもよい。
図8(b)に示すように、上部チャンバ12の中心軸60aと下部チャンバ13の中心軸60bとは一致していない。このように、中心軸60aと60bは一致していなくてもよいが、金属融体45を均一に粉砕するためには、中心軸60aと60bとは一致していることが好ましい。
図9(a)に示すように、ガス流路20の噴射孔21は液体流路30の噴射孔31より−Z方向に設けられている。このように、噴射孔21は噴射孔31より下流側にあってもよい。金属融体45が液体膜35に接触または近接する前に金属融体45を一次粉砕するため、噴射孔21は領域51より+Z方向に配置することが好ましい。
図9(b)に示すように、チャンバ11は噴射孔21がガスを噴射する位置と金属融体45が液体膜35に接触または近接する位置との間に狭窄部14を有している。狭窄部14では、チャンバ11の壁の内面のXY断面の大きさが−Z方向に行くに従い漸減しその後漸増する。狭窄部14は例えばラバールノズル形状である。狭窄部14はラバールノズルとして機能し、狭窄部14を通過したガスを高速(例えば超音速)とする。これにより、金属融体45の冷却速度を高くできる。噴射孔31は、狭窄部14に設けてもよい。例えばチャンバ11の壁の内面のXY断面が最も小さくなるあたりに噴射孔31を設けてもよい。
[液体流路の例]
図10(a)および図10(b)は、実施形態1における液体流路の噴射孔の例を示す平面図である。図10(a)および図10(b)は、噴射孔31のXY平面形状を示している。図10(a)に示すように、噴射孔31は中心軸60を中心とする環状である。図10(b)に示すように、複数の噴射孔31が中心軸60を中心とする円61に沿って設けられている。
図10(a)および図10(b)のように、噴射孔31の形状は適宜設計できる。液体膜35を均一に形成するため、噴射孔31は中心軸60を中心に製造誤差程度に略回転対称に設けられていることが好ましい。例えば、図10(b)のように、噴射孔21および31が複数の孔の場合、先端部32の中心線を噴射孔31から中心軸60方向に延長した直線と中心軸60との距離が最小となるZ方向の位置が先端部22の中心線を噴射孔21から中心軸60方向に延長した直線と中心軸60との距離が最小となるZ方向の位置よりも+Z側にあってもよく、−Z側にあってもよい。また、例えば、図10(a)のように、噴射孔21および噴射孔31が円環スリット状である場合、中心軸60を含むXZ断面(またはYZ断面)において、先端部32の中心線の噴射孔31から中心軸60に延長した直線と中心軸60との交点(先端部32の中心線によって形成される面(錐)の頂点)が先端部22の中心線の噴射孔21から中心軸60に延長した直線と中心軸60との交点(先端部22の中心線によって形成される面(錐)の頂点)よりも+Z側にあってもよく、−Z側にあってもよい。
図11(a)、図11(b)および図12は、実施形態1における液体流路の例を示す平面図である。図11(a)に示すように、下部チャンバ13の内面に噴射孔31が設けられている。噴射孔31を囲むように先端部32が設けられている。先端部32を囲むように供給部33が設けられている。先端部32には旋回羽34が設けられている。旋回羽34は、供給部33から導入された液体39bに左回りの回転モーメントを付加する。回転モーメントを有する液体39aは噴射孔21から融体流路15に噴射される。これにより、液体39aにより形成される液体膜35は、回転し、例えば一葉双曲面形状となる。
図11(b)に示すように、旋回羽34は図11(a)に比べ短くかつ太い。旋回羽34は、供給部33から導入された液体39aに右回りの回転モーメントを付加する。
図12に示すように、液体流路30に旋回羽34が設けられていない。導入管36は、供給部33に液体39cをオフセットして導入する。導入管36は、例えば中心軸60を中心とした円の接線方向に液体39cを導入する。これにより、噴射孔31から回転モーメントを付与された液体39aが噴射される。その他の構成は図11(a)と同じである。
図11(a)、図11(b)および図12のように、旋回部は、液体膜35に回転モーメントを付与するように適宜設定できる。また、液体膜35が回転モーメントを有さないことで、図3のようなコーン形状の液体膜35を形成することができる。例えば、液体膜35に回転モーメントを付与する構成では、噴出孔31から融体流路15に噴出する液体39aの噴出方向は、XY平面において中心軸60を中心とする円の円周方向成分を含む方向を含みうる。また、例えば噴出孔31から融体流路15に噴出する液体39aの噴出方向は、XY平面において中心軸60を中心とする円の円周方向成分と中心軸60へ向かう方向成分(半径方向成分)とを含んでもよい。このような液体39aの噴出方向は、例えば、図11(a)または図11(b)の旋回羽34の壁面や導入管36の壁面(内面)によって形成することができる。
図10(a)から図12のように、液体膜形成部は、液体膜35を形成する液体を融体流路15に向けて噴射する噴射孔31(液体噴射部)を含む。これにより、液体膜35を容易に形成することができる。
図13は、実施形態1における液体流路の例を示す断面図である。図13に示すように、下部チャンバ13の壁にZ方向に複数の液体流路30aから30cが設けられている。噴射孔31aから31cは下部チャンバ13内面においてZ方向に配置されている。液体流路30aから30cの形状は互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。噴射孔31aから31cは互いに同じ形状でもよいし、互いに異なる形状でもよい。
図13のように、噴射孔31aから31cはZ方向に複数配置されていてもよい。これにより、複数の液体膜35を形成できる。金属融体45は複数の液体膜35に接触または近接するため、金属粉体をより小さく粉砕できる。また、金属融体45の冷却速度を高くすることができる。
液体膜35の温度は低い方が金属融体45を急冷できる。よって、噴射孔31から噴出される液体の温度は室温より低いことが好ましい。液体膜35の温度は室温より高くてもよい。
[ガイド管の例]
図14(a)および図14(b)は、実施形態1におけるガイド管の例を示す断面図である。図14(a)に示すように、ガイド管52の外から内部に液体54を導入する導入管53が設けられている。液体54は例えば水等の冷媒であり、ガイド管52内を冷却する。ガイド管52内の温度が上昇すると、金属融体45の冷却速度が低くなる。ガイド管52内に液体54を導入することで、ガイド管52内を冷却することができる。
図14(b)に示すように、ガイド管52の内面は−Z方向に内径が漸減しその後漸増する。ガイド管52の内面はラバールノズル形状である。これにより、ガイド管52内のガスは−Z方向に加速される。これにより、金属融体45の速度を速くできる。よって、金属融体45の冷却速度を高くできる。
ガイド管52の形状は、液体膜35を保護するように適宜設定できる。液体膜35を保護する観点からガイド管52は液体膜35に沿って設けられることが好ましい。ガイド管52の内面には螺旋溝が設けられていてもよい。
[実施形態1の変形例1]
図15は、実施形態1の変形例1に係るアトマイズユニットの断面図である。図15に示すように、アトマイズユニット10は、ガス流路20を有する上部チャンバ12と回転体37を備えている。回転体37の内面は例えば一葉双曲面形状であり、中心軸60を中心に回転する。導入管38は液体39dを回転体37の内面に導入する。これにより、回転体37の内面に回転する液体膜35が形成される。
実施形態1の変形例1のように、液体膜35は回転体37により形成してもよい。液体膜形成部は金属融体45を凝固させる液体膜35を形成すればよい。この際、金属融体45を粉砕することもできる(二次粉砕)。
実施形態1の金属粉体製造装置用ユニットは、金属が溶融した金属融体45が流れる融体流路15の少なくとも一部を囲む壁と、この壁に設けられ大気圧より高い圧力のガスが流れるガス流路20と、このガス流路20と連通し壁の内面に設けられ、融体流路15に、金属融体45を加速させる方向にガスを噴射するガス噴射孔21と、壁に設けられ大気圧より高い圧力の液体が流れる液体流路30と、この液体流路30と連通し壁の内面に設けられ、融体流路15に、液体を噴射する液体噴射部とを含むチャンバ11を備える。この金属粉体製造装置用ユニットの液体噴射部は、ガスが噴射された位置より下流の融体流路15に、金属融体45を凝固させる液体膜35を形成することができる。
実施形態1の変形例1の金属粉体製造装置用ユニットは、金属が溶融した金属融体45が流れる融体流路15の少なくとも一部を囲む壁と、この壁に設けられ大気圧より高い圧力のガスが流れるガス流路20と、このガス流路20と連通し壁の内面に設けられ、融体流路15に、金属融体45を加速させる方向にガスを噴射するガス噴射孔21と、融体流路15の中心軸60の周りに壁が回動可能な回転体37とを含むチャンバを備える。この金属粉体製造装置用ユニットの回転体の内面(壁)に液体供給部(導入管38)から液体を供給することにより、ガスが噴射された位置より下流の融体流路に、金属融体45を凝固させる液体膜35を形成することができる。
すなわち、上記の金属粉体製造装置用ユニットは、金属が溶融した金属融体45が流れる融体流路15の少なくとも一部を囲む壁と、この壁に設けられ大気圧より高い圧力のガスが流れるガス流路20と、このガス流路20と連通し上記壁の内面に設けられ、融体流路15に、金属融体45を加速させる方向にガスを噴射するガス噴射孔21と、を含むチャンバ11と、ガスが噴射された位置より下流の融体流路15に、金属融体45を凝固させる液体膜35を形成する液体膜形成部と、を備える。
小さな粒径で非晶質化度が高い金属粉体を高い歩留まりで得る場合には、次の条件が好ましい。金属粉体の累積頻度50%の粒度D50の上限については、20μm未満が好ましく、10μm以下がより好ましく、8.0μm以下がさらに好ましい。金属粉体の累積頻度50%の粒度D50の下限は、特に限定されない。例えば、後述のマイクロトラックの精度の観点から、粒度D50の下限が0.02μmであってもよい。表面酸化等の表面状態を考慮すると、例えば、粒度D50の下限が0.50μmであってもよく、1.0μmであってもよく、2.0μmであってもよい。この場合の非晶質化度の下限については、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上であるとさらに好ましい。非晶質化度の上限については、100%である。
大きな粒径で非晶質化度が高い金属粉体を高い歩留まりで得る場合には、次の条件が好ましい。金属粉体の累積頻度50%の粒度D50の上限については、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。金属粉体の累積頻度50%の粒度D50の下限は、20μm以上が好ましい。この場合の非晶質化度の下限については、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上であるとさらに好ましい。非晶質化度の上限については、100%である。
上記については、合金組成によって難易度が変動するため、特に上記効果に関する数値的な条件については限定されない。例えば、Feの量が80原子%以上の鉄合金において非晶質を得る場合には、上記効果が得られると特に好ましい。
以下、実施形態1を用いた実施例および比較例について説明する。
図16は、実施例に係る金属粉体製造装置の断面図である。図16に示すように、供給ユニット40は、加熱槽42、加熱部44および噴出孔46を有する。加熱槽42内に母合金48が導入される。加熱部44は、加熱槽42内の母合金48を誘導加熱し溶融させる。加熱槽42内の母合金48に圧力を加えることで、噴出孔46から溶融した金属が噴出する。
アトマイズユニット10はチャンバ11、融体流路15、ガス流路20および液体流路30を備えている。上部チャンバ12の内面の径は下部チャンバ13の内面の径より小さく−Z方向に漸減する。噴射孔21は上部チャンバ12の−Z端に設けられている。下部チャンバ13の内面の径は−Z方向に漸減した後漸増する。液体流路30の先端部32には旋回羽34が設けられている。下部チャンバ13の内面の径が最も小さい付近に噴射孔31が設けられている。噴射孔31から噴射される液体により中心軸60を中心に回転する液体膜35が形成される。液体膜35を保護するようにガイド管52が設けられている。その他の構成は実施形態1の図1および図2と同様であり説明を省略する。
実施例の金属粉体製造装置を用い金属粉体を生成した。Fe、Fe−Si、Fe−B、Fe−PおよびCuをFe83.3SiCu0.7の組成(原子量組成)となるように調整した。調整した原料を加熱することで、所望の組成の溶融した母合金48を作製した。母合金48を破砕して加熱槽42に充填した。加熱部44は母合金48をアルゴン雰囲気中で誘導加熱し1350℃とした。供給ユニット40から供給された金属融体45は、アトマイズユニット10により粉砕され、冷却凝固されることで金属粉体を得た。ガス流路20を流れるガスには大気圧換算で20℃の空気を用い、液体流路30を流れる液体には大気圧換算で25℃の水を用いた。金属粉体については振動フルイ器を通し異物および凝結した粒子を除去した。
株式会社リガク製のX線回折装置SmartLabIXを用い、回折角2θが20°以上90°以下の範囲で、金属粉体のX線回折スペクトルを取得した。これにより、金属粉体の構造相を同定した。マイクロトラックベル株式会社製のマイクロトラックMT3300EXを用い、金属粉体の累積頻度50%の粒度D50を測定した。
表1は、実施例1から6および比較例1から5の金属粉体の作製条件および構造相および粒度の測定結果を示す表である。
Figure 2020021701
表1において、噴射する水量は全て同じである。「ガス圧力比」は、ガス流路20内のガスの圧力を実施例1のガス圧力で規格化した値である。「ガス流量比」は、噴射孔21におけるガスの流量を実施例1のガス流量で規格化した値である。「水圧比」は、液体流路30内の水の圧力を実施例1の水圧で規格化した値である。「旋回羽」は旋回羽34の有無を示す。旋回羽が有の場合液体膜35は一葉双曲面形状となり、旋回羽が無の場合液体膜35はコーン形状となる。「相」は、X線回折(XRD:X‐ray diffraction)法により同定された相であり、Amoはアモルファス相を示しCryは結晶相を示す。「非晶質化度」はX線回折法により求めたアモルファスの割合を示す。「D50」は粒度D50である。
表1のように、実施例1から6では、噴射孔21からガスを噴射させ、融体流路15内にガスを強制導入した。実施例1から3では、液体膜35を一葉双曲面形状とし、それぞれ水圧比を変えた。実施例4から6では、液体膜35をコーン形状とし、それぞれ水圧比を変えた。
比較例1から5では、噴射孔21からガスを噴射させず、融体流路15内のガスは上部から自然に流入する空気である。比較例1および2では、液体膜35をコーン形状とし、それぞれ水圧比を変えた。比較例3から5では、液体膜35を一葉双曲面形状とし、それぞれ水圧比を変えた。
図17(a)は、実施例1から6のX線回折スペクトルを示す図、図17(b)は、比較例1から5のX線回折スペクトルを示す図である。図17(a)に示すように、実施例1から4では、結晶相によるピークは観測されない。実施例5では小さなピークが観測される。実施例6ではやや大きなピークが観測される。表1のように実施例1から3および6では構造相はアモルファス相であり非結晶化度は100%である。実施例4および5の構造相はアモルファス相と結晶相であることがわかる。また実施例4および5では、非晶質化度が72%および97%とやや小さくなる。
図17(b)に示すように、比較例1から5では、結晶相によるピークが観測される。表1のように、比較例1から5では構造相は結晶相であり、非晶質化度は50%以下である。
図18(a)は、実施例および比較例における粒度D50に対する非晶質化度を示す図、図18(b)は、水圧比に対する粒度D50を示す図である。数字は実施例1から6および比較例1から5を示す。表1および図18(a)に示すように、比較例1から5では非晶質化度が50%以下と小さい。実施例1から3では、粒度D50が小さく、かつ非晶質化度が100%である。実施例4から6では、粒度D50が大きいものの、比較例に比べると非晶質化度が高い。このように、実施例では、比較例に比べ非晶質化度を大きくできる。実施例内では、液体膜35が一葉双曲面形状の実施例1から3では、液体膜35がコーン形状の実施例4から6より粒度D50を小さくかつ非結晶化度を大きくできる。
表1および図18(b)に示すように、水圧比が大きい方が粒度D50を小さくできる。このように、水圧を変化させることで、金属粉体の粒度を制御できる。
以上のように、実施例では、比較例に比べ金属粉体の非晶質化度を大きくできる。これは、ガス流路20が噴射孔21から金属融体45にガスを噴射することにより、金属融体45が加速されるためである。金属融体45が加速されると、金属融体45は高温の状態で液体膜35に接触または近接する。これにより、金属融体45が粉砕されるときと同時あるいは直後(ほぼ同時)に同時に急冷される。このため、アモルファス状態で金属粉体が形成される。このように、実施例では、非平衡相または過飽和固溶体相等の過冷却組織を多く含む金属粉体を収率よく製造することができる。また、水圧とガス圧力との比率を制御することで、金属粉体の粒度を制御することができる。
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 アトマイズユニット
11 チャンバ
12 上部チャンバ
13 下部チャンバ
20 ガス流路
21、31 噴射孔
22、32 先端部
23、33 供給部
30 液体流路
34 旋回羽
35 液体膜
40 供給ユニット
50 回収槽
52 ガイド管

Claims (11)

  1. 金属が溶融した金属融体が流れる融体流路の少なくとも一部を囲む壁と、前記壁に設けられ大気圧より高い圧力のガスが流れるガス流路と、前記ガス流路と連通し前記壁の内面に設けられ、前記融体流路に、前記金属融体を加速させる方向に前記ガスを噴射するガス噴射孔と、を含むチャンバと、
    前記ガスが噴射された位置より下流の前記融体流路に、前記金属融体を凝固させる液体膜を形成する液体膜形成部と、
    を備える金属粉体製造装置用ユニット。
  2. 前記液体膜形成部は、前記液体膜を形成する液体を前記融体流路に向けて噴射する液体噴射部を含む請求項1に記載の金属粉体製造装置用ユニット。
  3. 前記チャンバは、前記金属融体に前記ガスを噴射することにより、前記金属融体を前記金属融体が流れる方向に加速させ、
    前記液体膜形成部は、加速された前記金属融体が前記液体膜に接触および/または近接することにより前記金属融体が凝固されるように前記液体膜を形成する請求項1または2に記載の金属粉体製造装置用ユニット。
  4. 前記ガス流路は前記ガス噴射孔に向けて間隔が漸減する請求項1から3のいずれか一項に記載の金属粉体製造装置用ユニット。
  5. 前記ガス噴射孔は、前記融体流路の中心に対し略回転対称に設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の金属粉体製造装置用ユニット。
  6. 前記ガス噴射孔は、前記金属融体が流れる方向に複数配置される請求項1から5のいずれか一項に記載の金属粉体製造装置用ユニット。
  7. 噴射される前のガスを加熱する加熱部を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の金属粉体製造装置用ユニット。
  8. 前記液体膜形成部は、前記液体膜を前記融体流路の中心に形成せず、前記中心を囲み、前記液体膜が前記中心の周りを回転するように形成する請求項1から7のいずれか一項に記載の金属粉体製造装置用ユニット。
  9. 前記ガス噴射孔が前記ガスを噴射する位置と前記金属融体が前記液体膜に接触または近接する位置との間において、前記壁の内面の断面の大きさは、前記金属融体が流れる方向に行くに従い漸減しその後漸増する請求項1から8のいずれか一項に記載の金属粉体製造装置用ユニット。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の金属粉体製造装置用ユニットと、
    前記金属融体を供給する供給ユニットと、
    を備える金属粉体製造装置。
  11. 金属が溶融した金属融体が流れる融体流路の少なくとも一部を囲む壁に設けられ大気圧より高い圧力のガスが流れるガス流路と連通し前記壁の内面に設けられたガス噴射孔から、前記融体流路に、前記金属融体を加速させる方向に前記ガスを噴射し、
    前記ガスが噴射された位置より下流の前記融体流路に、前記金属融体を凝固させる液体膜を形成することで、前記金属の粉体を形成する金属粉体製造方法。
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