JPH0665613A - 噴霧ノズル装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 噴霧開始時、未粉化の金属溶湯がチャンバー
底部に流下することなく、かつ溶湯ノズルに閉塞の生じ
るおそれのない、コンファインド方式のガスアトマイズ
用噴霧ノズル装置を提供する。 【構成】 溶湯ノズルより流下した金属溶湯流にガスジ
ェットを吹き付けて金属溶湯を粉化する噴霧ノズル装置
である。該噴霧ノズル装置は、上下方向に貫通する貫通
孔４を有し、該貫通孔４の上部を形成する溶湯ノズル取
付孔４Ａに溶湯ノズル３が取付られた上ノズル本体２
と、前記溶湯ノズル３から流下する金属溶湯流を流下す
るための溶湯流下孔１６が開設された下ノズル本体１２
とを備える。前記下ノズル本体１２は前記上ノズル本体
２の下部に連設され、前記上ノズル本体２及び下ノズル
本体１２には前記ガスジェットを噴出するためのガスジ
ェットノズル１１、１５が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はガスアトマイズ法による
金属粉末の製造装置の噴霧ノズル装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ガスアトマイズ法は、耐火物製の溶湯ノ
ズルから金属溶湯を細流状に流下させ、噴霧ノズル装置
に設けられたガスジェットノズルより高速で噴出された
ガスジェットを金属溶湯流に衝突させ、金属溶湯流を連
続的に粉化して、金属粉末を大量に製造する方法であ
る。

【０００３】近年、急冷凝固による品質向上、溶射用粉
末等に対する要求から、微粉末が要望されている。微粉
化の好適な手段としては、例えば特開昭60−211002号公
報に開示されているように、いわゆるコンファインド方
式の噴霧ノズル装置を用いてアトマイズする方法があ
る。前記噴霧ノズル装置は、図２に示すように、ノズル
本体21の上面部材に貫通形成された溶湯ノズル取付孔22
に溶湯ノズル23が取付られ、該溶湯ノズル23の下部外周
面24が逆円錐面で形成されると共にその先端部25がノズ
ル本体21の下面部材よりガスジェットノズルを構成する
所定の隙間26を介して下方に突設されている。ノズル本
体21の内部にはガス室28が形成され、該ガス室28に連通
するガス導入管29が付設されている。

【０００４】かかる噴霧ノズル装置によると、溶湯ノズ
ル23の下部外周面24に沿ってガスジェットが噴出され、
溶湯ノズル23のノズル孔27から流出した金属溶湯は直ち
に粉化される。すなわち、この噴霧ノズル装置によると
ガスジェットの粉化エネルギーの伝達効率が高く微粉化
が容易に達成される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、コンフ
ァインド方式の噴霧ノズル装置を用いる場合、噴霧開始
時において、ガスジェットが溶湯ノズル23の先端部25を
冷却するため、タンディッシュから流入した溶湯は、溶
湯ノズル23のノズル孔27内で凝固し、ノズル孔27が閉塞
される場合がある。この閉塞を防止するには、ガスジェ
ットを噴出する前に、溶湯をノズル孔27より流下させ、
溶湯の熱で溶湯ノズル23全体を加熱しておく必要があっ
た。ところが、流下した溶湯は、チャンバー底部に衝突
し、笹の葉状の偏平粉末を発生させたり、最悪の場合に
はチャンバー底部を溶損させるおそれがあった。

【０００６】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、噴霧開始時、未粉化の金属溶湯をチャンバー底部に
流下させることなく、また溶湯ノズルに閉塞の生じるお
それのない、コンファインド方式の噴霧ノズル装置を提
供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の金属粉末噴霧ノ
ズル装置は、溶湯ノズルより流下した金属溶湯流にガス
ジェットを吹き付けて金属溶湯を粉化する噴霧ノズル装
置において、上下方向に貫通する貫通孔を有する上ノズ
ル本体と、該上ノズル本体の下部に連設され、金属溶湯
流を流下するための溶湯流下孔が開設された下ノズル本
体とを備え、前記貫通孔の上部を形成する溶湯ノズル取
付孔に溶湯ノズルが取付られ、前記上ノズル本体及び下
ノズル本体には前記ガスジェットを噴出するためのガス
ジェットノズルが形成されている。

【０００８】

【作用】上ノズル本体ではガスジェットの噴出を停止し
た状態とし、まず下ノズル本体のガスジェットノズルよ
りガスジェットを噴出しておく。そして、溶湯ノズルよ
り金属溶湯流を流下すると、溶湯ノズルはそのノズル孔
を通って流下する金属溶湯により加熱され、一方、該金
属溶湯流は下ノズル本体のガスジェットによって粉化さ
れ、未粉化の金属溶湯流がチャンバー底部まで落下する
ことがない。

【０００９】数秒後、すなわち溶湯ノズルが流下する溶
湯により加熱された後、上ノズル本体よりガスジェット
を噴出する。このガスジェットにより溶湯ノズル（特に
その先端部）は冷却されるが、溶湯ノズルは既に流下し
た溶湯により加熱されているため、溶湯ノズルのノズル
孔内において、溶湯の凝固ひいては凝固よる閉塞は生じ
ない。従って、溶湯ノズルから流下する金属溶湯流は、
コンファインド方式の上ノズル本体により効率よく粉化
される。一方、下ノズル本体からのガスジェットの噴出
は、上ノズル本体からのガスジェットの噴出後、停止さ
れる。

【００１０】

【実施例】図１は実施例にかかる噴霧ノズル装置を示し
ており、該噴霧ノズル装置1 は、溶湯ノズル3 が取り付
けられた上ノズル本体2 と、該上ノズル本体2 の下部に
連設される下ノズル本体12とから構成されている。上ノ
ズル本体2 の内部には環状のガス室5 を備え、該本体2
には上下方向に貫通しかつ下方に拡開した貫通孔4が開
設され、その上部を形成する溶湯ノズル取付孔4Aに溶湯
ノズル3 の下部が装着されている。前記ガス室5 には高
圧の噴霧ガスを供給するためのガス導入管6が連通して
設けられている。一方、下ノズル本体12には、上ノズル
本体2 の貫通孔4 に連通し、下方に拡開した溶湯流下孔
16が開設されており、上ノズル本体2と同様、その内部
にはガス室13が設けられ、該ガス室13に連通するガス導
入管14が付設されている。

【００１１】前記溶湯ノズル3 の先端部7 の外周側面8
は溶湯ノズル3 の中心線を対称軸とする截頭逆円錐形状
の曲面で形成され、先端面9 の中心部には溶湯ノズル孔
10が開口している。また、上ノズル本体2 の貫通孔4 の
上部内面には、前記先端部外周側面8 に沿って開口した
複数個のガスジェットノズル11が、溶湯ノズル３の中心
線を中心とする同心円上に略等間隔で開設されている。
各ガスジェットノズル11のノズル中心線は、溶湯ノズル
3 の下方において交差しており、各ノズル11から噴出す
るガスジェットにより逆円錐形のガスカーテンが形成さ
れる。一方、下ノズル本体12の溶湯流下孔16の内面に
も、交差角θで交差するガスカーテンを形成するための
多数のガスジェットノズル15が溶湯ノズル3 の中心線回
りに略等間隔で開設されている。尚、ガスジェットノズ
ル11、15は図例のようにノズル本体2 、12に直接形成さ
れる場合に限らず、管状のノズル孔を有するノズルチッ
プをノズル本体に取り付けるようにしてもよい。

【００１２】噴霧ノズル装置1 が設けられるアトマイズ
装置の他の部分の構造は従来と同様であり、溶湯ノズル
3 の上部は金属溶湯を収容するタンディッシュ底部に装
着され、噴霧ノズル装置1 の下方には金属粉末や噴霧ガ
スを回収するためのアトマイズチャンバーが気密に設け
られる。次に、前記噴霧ノズル装置1 の操作方法を説明
する。先ず、下ノズル本体12のガス導入管14よりガス室
13に噴霧ガス( 圧縮性ガス) を供給し、多数のガスジェ
ットノズル15よりガスジェットを噴出させ、逆円錐形の
ガスカーテンを形成する。次に、タンディシュに収容さ
れた金属溶湯を溶湯ノズル3 を介してそのノズル孔10よ
り流下させ、下ノズル本体12により形成されたガスカー
テンによりアトマイズを開始する。数秒後、上ノズル本
体2 にガス導入管6 から噴霧ガスを供給し、ガスジェッ
トノズル11よりガスジェットを噴出し、溶湯ノズル3 の
直下に逆円錐形のガスカーテンを形成し、これにより細
流状の金属溶湯流を粉化する。上ノズル本体2 よりガス
ジェットを噴出した後は、下ノズル本体15への噴霧ガス
の供給は停止される。

【００１３】次に、Ni基超合金粉末の製造実施例を掲げ
る。図1 の噴霧ノズル装置を用いて、Ni基超合金粉末を
ガスアトマイズした。アトマイズ条件は下記の通りであ
る。 溶湯ノズル径：φ５mm 噴霧ガス圧：上ノズル本体５０kg／cm² 、下ノズル本体
２５kg／cm² ガスジェットノズル径：上ノズル本体φ1.5 mm、下ノズ
ル本体φ1.5 mm ガスジェットノズル数：上ノズル本体３６個 (等間隔、
環状配置) 下ノズル本体３０個 (等間隔、環状配置) ガスカーテンの交差角：３０ 度 実施例として、叙上の通り、下ノズル本体によりガスカ
ーテンを形成し、金属溶湯流を流下して粉化し、３秒
後、上ノズル本体により粉化したところ、笹の葉状の偏
平粉末の発生もなく、安定な操業状態が得られた。これ
に対して、溶湯ノズルから金属溶湯を流下し、該ノズル
を加熱した後、上ノズル本体により粉化したところ、笹
の葉状の偏平粉末が発生した。また、上ノズル本体によ
りガスカーテンを形成後、溶湯ノズルから金属溶湯を流
下したところ、溶湯ノズル内で溶湯が凝固し、操業が不
可能であった。

【００１４】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明の噴霧ノズル
装置によれば、アトマイズ初期の金属溶湯流は下ノズル
本体により粉化されるため、未粉化の金属溶湯がチャン
バーの底部に落下し、偏平粉末を発生させるおそれがな
い。また、流下する溶湯は溶湯ノズルを加熱するため、
コンファインド方式の上ノズル本体により粉化する際に
は、ガスジェットが溶湯ノズルを冷却しても、溶湯ノズ
ル内での溶湯の凝固による閉塞が防止され、安定なアト
マイズ操業を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例にかかる噴霧ノズル装置の断面図であ
る。

【図２】従来の噴霧ノズル装置の断面図である。

【符号の説明】

１ 噴霧ノズル装置 ２ 上ノズル本体 ３ 溶湯ノズル ４ 貫通孔 4A 溶湯ノズル取付孔 １１、１５ ガスジェットノズル １２ 下ノズル本体 １６ 溶湯流下孔

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶湯ノズルより流下した金属溶湯流にガ
   スジェットを吹き付けて金属溶湯を粉化する噴霧ノズル
   装置において、 上下方向に貫通する貫通孔を有する上ノズル本体と、該
   上ノズル本体の下部に連設され、金属溶湯流を流下する
   ための溶湯流下孔が開設された下ノズル本体とを備え、
   前記貫通孔の上部を形成する溶湯ノズル取付孔に溶湯ノ
   ズルが取付られ、前記上ノズル本体及び下ノズル本体に
   は前記ガスジェットを噴出するためのガスジェットノズ
   ルが形成されていることを特徴とする噴霧ノズル装置。