JPWO2019239574A1 - 超電導線材、積層超電導線材、超電導コイル及び超電導ケーブル - Google Patents

超電導線材、積層超電導線材、超電導コイル及び超電導ケーブル Download PDF

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Abstract

本開示の一態様に係る超電導線材は、第1部材と、第2部材とを備える。第1部材は、導電性の材料で構成される第1基板と、第1基板上に配置され、かつ導電性の材料で構成される第1中間層と、第1中間層上に配置され、かつ超電導材料で構成される第1超電導層とを有する。第2部材は、導電性の材料で構成される第2基板と、第2基板上に配置され、かつ導電性の材料で構成される第2中間層と、第2中間層上に配置され、かつ超電導材料で構成される第2超電導層とを有する。第1部材と第2部材とは、第1超電導層と第2超電導層とが対向するように超電導線材の厚さ方向に沿って重ねられる。第1超電導層は、第2超電導層と電気的に接続されている。

Description

本開示は、超電導線材、積層超電導線材、超電導コイル及び超電導ケーブルに関する。
従来から、例えば、特開2012−156048号公報(特許文献1)に記載の超電導線材が知られている。
特許文献1に記載の超電導線材は、基材と、基材上に配置される中間層と、中間層上に配置される酸化物超電導体層と、酸化物超電導体層上に配置される安定化層とを有している。中間層は、絶縁性の材料で構成されている。
特開2012−156048号公報
本開示の一態様に係る超電導線材は、第1部材と、第2部材とを備える。第1部材は、導電性の材料で構成される第1基板と、第1基板上に配置され、かつ導電性の材料で構成される第1中間層と、第1中間層上に配置され、かつ超電導材料で構成される第1超電導層とを有する。第2部材は、導電性の材料で構成される第2基板と、第2基板上に配置され、かつ導電性の材料で構成される第2中間層と、第2中間層上に配置され、かつ超電導材料で構成される第2超電導層とを有する。第1部材と第2部材とは、第1超電導層と第2超電導層とが対向するように超電導線材の厚さ方向に沿って重ねられる。第1超電導層は、第2超電導層と電気的に接続されている。
図1は、実施形態に係る超電導線材10の上面図である。 図2は、図1のII−IIにおける断面図である。 図3は、図1のIII−IIIにおける断面図である。 図4は、実施形態の第1変形例に係る超電導線材10の第1端部10aにおける長手方向に平行な断面図である。 図5は、実施形態の第2変形例に係る超電導線材10の第1端部10aにおける長手方向に平行な断面図である。 図6は、実施形態の第3変形例に係る超電導線材10の断面図である。 図7は、実施形態の第4変形例に係る超電導線材10の断面図である。 図8は、実施形態に係る積層超電導線材20の上面図である。 図9は、図8のIX−IXにおける断面図である。 図10は、実施形態の第1変形例に係る積層超電導線材20の断面図である。 図11は、実施形態の第2変形例に係る積層超電導線材20の断面図である。 図12は、実施形態の第3変形例に係る積層超電導線材20の断面図である。 図13は、実施形態に係る超電導コイル30の斜視図である。 図14は、実施形態に係る超電導コイル30の中心軸Aに直交する断面図である。 図15は、実施形態に係る超電導ケーブル40の側面図である。 図16は、図15のXVI−XVIにおける断面図である。
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載の超電導線材においては、酸化物超電導体層に局所的な特性劣化に起因するクエンチ(超電導状態から常電導状態へと移行する現象)が生じた場合に、酸化物超電導体層に流れていた電流が、安定化層にバイパスされる。すなわち、特許文献1に記載の超電導線材においては、クエンチが生じた場合に電流がバイパスされる経路は、1つしかない。そのため、特許文献1に記載の超電導線材において耐クエンチ性を確保するために安定化層を厚く形成する必要があり、コスト増を招いてしまう。このように、特許文献1に記載の超電導線材は、耐クエンチ性に関して、改善の余地がある。
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、耐クエンチ性を改善することができる超電導線材を提供する。
[本開示の効果]
本開示に係る超電導線材によると、耐クエンチ性を改善することができる。
[本開示の実施形態の説明]
まず、本開示の実施態様を列記する。
(1)本開示の一態様に係る超電導線材は、第1部材と、第2部材とを備える。第1部材は、導電性の材料で構成される第1基板と、第1基板上に配置され、かつ導電性の材料で構成される第1中間層と、第1中間層上に配置され、かつ超電導材料で構成される第1超電導層とを有する。第2部材は、導電性の材料で構成される第2基板と、第2基板上に配置され、かつ導電性の材料で構成される第2中間層と、第2中間層上に配置され、かつ超電導材料で構成される第2超電導層とを有する。第1部材と第2部材とは、第1超電導層と第2超電導層とが対向するように超電導線材の厚さ方向に沿って重ねられる。第1超電導層は、第2超電導層と電気的に接続されている。
上記(1)の超電導線材においては、第1超電導層(第2超電導層)にクエンチが生じた場合に、第1超電導層(第2超電導層)を流れていた電流は、第2超電導層(第1超電導層)及び第1基板(第2基板)に流れる。すなわち、上記(1)の超電導線材においては、クエンチが生じた場合に電流のバイパスされる経路が、2つとなる。ぞのため、上記(1)の超電導線材によると、耐クエンチ性を改善することができる。なお、上記(1)の超電導線材においては、第1超電導層及び第2超電導層が、超電導線材の中立線近くに配置されることになる。したがって、上記(1)の超電導線材によると、超電導線材に曲げが加わった際に第1超電導層及び第2超電導層に加わる曲げ応力を低減することができる。
(2)上記(1)の超電導線材において、第1超電導層は、第2超電導層と超電導接合されていてもよい。
上記(2)の超電導線材によると、第1超電導層(第2超電導層)にクエンチが生じた場合に、第1超電導層(第2超電導層)に流れていた電流を、常電導体を経由することなく、第2超電導層(第1超電導層)にバイパスさせることができる。また、上記(2)の超電導線材によると、第1超電導層と第2超電導層とが超電導接合されることにより超電導層の厚さが実質的に大きくなるため、超電導層に局所的な特性劣化が生じにくくなる。
(3)上記(1)の超電導線材において、第1部材は、第1超電導層上に配置され、かつ銀又は銀合金で構成される第1保護層をさらに有していてもよい。第2部材は、第2超電導層上に配置され、かつ銀又は銀合金で構成される第2保護層をさらに有していてもよい。第1保護層は、第2保護層と直接接合されていてもよい。
上記(3)の超電導線材によると、第1超電導層(第2超電導層)にクエンチが生じた場合に、第1超電導層(第2超電導層)に流れていた電流を、相対的に抵抗値が高い材料を経由することなく、第2超電導層(第1超電導層)にバイパスさせることができる。
(4)上記(1)の超電導線材は、接合層をさらに備えていてもよい。第1部材は、第1超電導層上に配置され、かつ導電性の材料で構成される第1保護層をさらに有していてもよい。第2部材は、第2超電導層上に配置され、かつ導電性の材料で構成される第2保護層をさらに有していてもよい。第1保護層は、接合層を介して第2保護層に接合されていてもよい。
上記(4)の超電導線材においては、クエンチが生じた場合の電流がバイパスされる経路が2つとなるため、耐クエンチ性を改善することができる。
(5)上記(4)の超電導線材において、第1保護層及び第2保護層は、銀又は銀合金で構成されていてもよい。接合層は、はんだで構成されていてもよい。
上記(5)の超電導線材によると、耐クエンチ性を改善しつつ、接合層による第1部材と第2部材との接合性を改善することができる。
(6)上記(4)又は(5)の超電導線材において、超電導線材の長手方向における端部では、第1部材及び第2部材のいずれか一方が除去されることにより接合層が露出していてもよい。
上記(6)の超電導線材によると、接合層を利用して外部電源との接続を行うことができる。
(7)上記(4)〜(6)の超電導線材において、第1保護層の厚さ及び第2保護層の厚さは、5μm以下であってもよい。
第1保護層(第2保護層)は、第1超電導層(第2超電導層)にクエンチが生じた際に電流を第2超電導層(第1超電導層)へとバイパスさせる途中に経由する層に過ぎないため、第1保護層及び第2保護層を相対的に薄く形成したとしても、耐クエンチ性に対する影響は小さい。他方で、第1保護層及び第2保護層が相対的に薄く形成されることで、第1超電導層及び第2超電導層が超電導線材の中立線のより近くに配置されるため、超電導線材に曲げが加わった際に第1超電導層及び第2超電導層に加わる曲げ応力をさらに低減することができる。以上から、上記(7)の超電導線材によると、耐クエンチ性を改善しつつ、第1超電導層及び第2超電導層に加わる曲げ応力をさらに低減することができる。
(8)上記(1)〜(7)の超電導線材において、第1基板は、第1ベース層と、第1ベース層と第1中間層との間に配置され、かつ第1ベース層を構成する材料よりも抵抗率が低い材料で構成される第1導電層とを含んでいてもよい。また、第2基板は、第2ベース層と、第2ベース層と第2中間層との間に配置され、かつ第2ベース層を構成する材料よりも抵抗率が低い材料で構成される第2導電層とを含んでいてもよい。
上記のとおり、第1超電導層(第2超電導層)にクエンチが生じた場合、第1超電導層(第2超電導層)に流れていた電流は、第1基板(第2基板)にもバイパスされる。このバイパスされた電流は、相対的に抵抗値が低い第1導電層(第2導電層)を流れることになるため、上記(8)の超電導線材によると、この電流をバイパスさせる際の抵抗値を低減することができる。
(9)上記(8)の超電導線材において、長手方向における端部では、第1ベース層が除去されることにより第1導電層が露出していてもよい。
上記(9)の超電導線材は、相対的に抵抗率が低い第1導電層を介して、外部電源と電気的に接続される。そのため、上記(9)の超電導線材によると、外部電源との接続抵抗を低減することができる。
(10)上記(8)又は(9)の超電導線材において、長手方向における端部では、第2ベース層が除去されることにより第2導電層が露出していてもよい。
上記(10)の超電導線材は、相対的に抵抗率が低い第2導電層を介して、外部電源と電気的に接続される。そのため、上記(10)の超電導線材によると、外部電源との接続抵抗を低減することができる。
(11)上記(8)〜(10)の超電導線材において、第1導電層及び第2導電層は、銅又は銅合金で構成されていてもよい。第1基板及び第2基板は、ステンレス鋼又はハステロイで構成されていてもよい。
上記(11)の超電導線材によると、この電流をバイパスさせる際の抵抗値を低減することができる。
(12)上記(1)の超電導線材において、超電導線材の長手方向における端部では、第1部材及び第2部材が互いに離間していてもよい。
上記(12)の超電導線材によると、第1部材及び第2部材の間にリードを挿入することにより、外部電源との接続を行うことができる。
(13)本開示の一態様に係る積層超電導線材は、上記(1)〜(12)の超電導線材を複数備える。超電導線材の各々は、積層超電導線材の厚さ方向に沿って重ねられる。積層超電導線材の厚さを積層超電導線材の長手方向に直交する方向での積層超電導線材の幅で除した値は、0.5以上2.0以下である。
上記(13)の積層超電導線材によると、長手方向に直交する方向での幅に対する厚さの比率が相対的に大きくなるため、線材の取り扱いが容易になる。
(14)本開示の一態様に係る超電導コイルは、上記(1)〜(12)の超電導線材と絶縁材料とを備える。超電導線材は、超電導コイルの中心軸周りに巻き回され、かつ絶縁材料に含浸される。
超電導線材には、絶縁材料との熱膨張係数の違いに起因して、超電導層を引き剥がす方向の引張応力が作用する。この引張応力は、超電導層が超電導線材から剥離する原因となる。しかしながら、上記(1)〜(12)の超電導線材においては、超電導層が第1基板及び第2基板に挟み込まれた構造となっているため、超電導層には、引張応力が作用しにくい。そのため、上記(14)の超電導コイルによると、超電導線材と絶縁材料との熱膨張係数差に起因した引張応力により超電導層(第1超電導層及び第2超電導層)が剥離することを抑制できる。
(15)上記(14)の超電導コイルにおいて、超電導線材は、超電導コイルの中心軸周りに巻き回された部分から引き出された取り回し部を有していてもよい。取り回し部における超電導線材の曲率半径の最小値は、20mm以下であってもよい。
上記のとおり、上記(1)〜(12)の超電導線材においては、第1超電導層及び第2超電導層が超電導線材の中立線近くに配置されることになり、超電導線材に曲げが加わった際に第1超電導層及び第2超電導層に加わる曲げ応力を低減することができる。そのため、上記(15)の超電導コイルによると、取り回し部における曲率半径の最小値が20mm以下となるような超電導コイルを構成することができる。
(16)本開示の一態様に係る超電導ケーブルは、上記(1)〜(12)の超電導線材と、フォーマとを備える。超電導線材は、フォーマの外周面上において、フォーマの中心軸周りのらせん状に巻き回される。超電導線材の曲率半径の最小値は、20mm以下である。
上記のとおり、上記(1)〜(12)の超電導線材においては、第1超電導層及び第2超電導層が超電導線材の中立線近くに配置されることになり、超電導線材に曲げが加わった際に第1超電導層及び第2超電導層に加わる曲げ応力を低減することができる。そのため、上記(16)の超電導ケーブルによると、曲率半径の最小値が20mm以下となるような超電導ケーブルを構成することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
(実施形態に係る超電導線材の構成)
以下に、実施形態に係る超電導線材10の構成を説明する。
図1は、実施形態に係る超電導線材10の上面図である。図1に示されるように、超電導線材10は、第1端部10aと、第2端部10bとを有している。第1端部10aは、超電導線材10の長手方向における端部である。第2端部10bは、第1端部10aとは反対側の超電導線材10の端部である。
図2は、図1のII−IIにおける断面図である。図2に示されるように、超電導線材10は、第1部材11と、第2部材12と、接合層13とを有している。
第1部材11は、第1基板11aと、第1中間層11bと、第1超電導層11cと、第1保護層11dとを有している。
第1基板11aは、導電性の材料で構成されている。第1基板11aは、第1ベース層11aaと、第1導電層11abとを有している。第1ベース層11aa及び第1導電層11abは、導電性の材料で構成されている。第1導電層11abの抵抗率は、第1ベース層11aaの抵抗率よりも低い。第1導電層11abは、第1ベース層11aa上に配置されている。
第1ベース層11aaは、例えば、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)で構成されている。第1導電層11abは、例えば、銅(Cu)、銅合金で構成されている。但し、第1ベース層11aa及び第1導電層11abを構成する材料は、これらに限られるものではない。
第1中間層11bは、第1基板11a上に配置されている。より具体的には、第1中間層11bは、第1導電層11ab上に配置されている。第1中間層11bは、導電性の材料で構成されている。第1中間層11bは、例えば、ニオブ(Nb)がドープされたチタン酸ストロンチウム(SrTiO)で構成されている。但し、第1中間層11bを構成する材料は、これに限られるものではない。
第1超電導層11cは、超電導体で構成されている。第1超電導層11cは、例えば、酸化物超電導体で構成されている。第1超電導層11cを構成する酸化物超電導体は、例えばREBaCuである(x:6以上8以下、RE:イットリウム(Y)、ガドリウム(Gd)、サマリウム(Sm)、Ho(ホルミウム)等の希土類元素)。第1超電導層11cは、第1中間層11b上に配置されている。但し、第1超電導層11cを構成する材料は、これに限られるものではない。
上記のとおり、第1中間層11bは、導電性の材料で構成されているため、第1超電導層11cと第1基板11a(第1導電層11ab)とは、電気的に接続されている。
第1保護層11dは、第1部材11の周囲を取り囲むように配置されている。より具体的には、第1保護層11dは、第1超電導層11cの上面上、第1ベース層11aa、第1導電層11ab、第1中間層11b及び第1超電導層11cの側面上、並びに第1ベース層11aaの底面上に配置されている。第1保護層11dは、導電性の材料で構成されている。第1保護層11dは、例えば、銀(Ag)又は銀合金で構成されている。但し、第1保護層11dを構成する材料は、これに限られるものではない。第1超電導層11c上にある第1保護層11dの厚さT1は、例えば、10μm以下である。厚さT1は、好ましくは、5μm以下である。厚さT1は、例えば、1μm以上である。
第2部材12は、第2基板12aと、第2中間層12bと、第2超電導層12cと、第2保護層12dとを有している。
第2基板12aは、導電性の材料で構成されている。第2基板12aは、第2ベース層12aaと、第2導電層12abとを有している。第2ベース層12aa及び第2導電層12abは、導電性の材料で構成されている。第2導電層12abの抵抗率は、第2ベース層12aaの抵抗率よりも低い。第2導電層12abは、第2ベース層12aa上に配置されている。なお、上記の例では、第1基板11aが第1ベース層11aa及び第1導電層11abを有し、第2基板12aが第2ベース層12aa及び第2導電層12abを有するものとして説明しているが、第1基板11a及び第2基板12aの少なくとも一方は、ベース層のみで構成されていてもよい。
第2ベース層12aaは、例えば、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)で構成されている。第2導電層12abは、例えば銅、銅合金で構成されている。但し、第2ベース層12aa及び第2導電層12abを構成する材料は、これらに限られるものではない。
第2中間層12bは、第2基板12a上に配置されている。より具体的には、第2中間層12bは、第2導電層12ab上に配置されている。第2中間層12bは、導電性の材料で構成されている。第2中間層12bは、例えば、ニオブがドープされたチタン酸ストロンチウムで構成されている。但し、第2中間層12bを構成する材料は、これに限られるものではない。
第2超電導層12cは、超電導体で構成されている。第2超電導層12cは、例えば、酸化物超電導体で構成されている。第2超電導層12cを構成する酸化物超電導体は、例えばREBaCuである。但し、第2超電導層12cを構成する材料は、これに限られるものではない。第2超電導層12cは、第2中間層12b上に配置されている。
上記のとおり、第2中間層12bは、導電性の材料で構成されているため、第2超電導層12cと第2基板12a(第2導電層12ab)とは、電気的に接続されている。
第2保護層12dは、第2部材12の周囲を取り囲むように配置されている。より具体的には、第2保護層12dは、第2超電導層12cの上面上、第2ベース層12aa、第2導電層12ab、第2中間層12b及び第2超電導層12cの側面上、並びに第2ベース層12aaの底面上に配置されている。第2保護層12dは、導電性の材料で構成されている。第2保護層12dは、例えば、銀又は銀合金で構成されている。但し、第2保護層12dを構成する材料は、これに限られるものではない。第2超電導層12c上にある第2保護層12dの厚さT2は、例えば10μm以下である。厚さT2は、好ましくは、5μm以下である。厚さT2は、例えば1μm以上である。
第1部材11と第2部材12とは、第1保護層11d及び第2保護層12dを介して第1超電導層11c及び第2超電導層12cが互いに対向するように、超電導線材10の厚さ方向に沿って重ねられている。
接合層13は、第1部材11と第2部材12との間に配置されている。具体的には、接合層13は、第1超電導層11c上にある第1保護層11dと第2超電導層12c上にある第2保護層12dとの間に配置されている。接合層13は、第1超電導層11c上にある第1保護層11dと第2超電導層12c上にある第2保護層12dとを接合している。接合層13は、第1部材11の側面上及び第2部材12の側面上に達するように配置されていてもよい。接合層13は、導電性の材料で構成されている。接合層13は、例えば、はんだである。接合層13の厚さT3は、例えば10μm以下である。
上記のとおり、第1保護層11d、第2保護層12d及び接合層13は、導電性の材料で構成されているため、第1超電導層11cと第2超電導層12cとは、電気的に接続されている。
図3は、図1のIII−IIIにおける断面図である。図3に示されるように、第1端部10aでは、第1ベース層11aaが除去されることにより、第1導電層11abが露出している。第1端部10aでは、第2ベース層12aaが除去されることにより、第2導電層12abが露出している。第1端部10aでは、第1ベース層11aa及び第2ベース層12aaの少なくとも一方が除去されることにより、第1導電層11ab及び第2導電層12abの少なくとも一方が露出していればよい。なお、超電導線材10は、第1端部10aにおいて、露出している第1導電層11ab及び第2導電層12abを介して外部電源と接続されている。
図示されていないが、第2端部10bにおいても、第1ベース層11aa及び第2ベース層12aaの少なくとも一方が除去されることにより、第1導電層11ab及び第2導電層12abの少なくとも一方が露出している。
図4は、実施形態の第1変形例に係る超電導線材10の第1端部10aにおける長手方向に平行な断面図である。図4に示されるように、第1端部10aにおいては、第2部材12が除去されていてもよい。これにより、第1端部10aにおいては、接合層13が露出している。なお、第1端部10aにおいては、第1部材11が除去されることにより、接合層13が露出していてもよい。第2部材12(第1部材11)が除去されることにより露出している接合層13において、超電導線材10は、外部電源に接続される。図示されていないが、第2端部10bにおいても、第1部材11及び第2部材12のいずれか一方が除去されることにより、接合層13が露出していてもよい。
図5は、実施形態の第2変形例に係る超電導線材10の第1端部10aにおける長手方向に平行な断面図である。図5に示されるように、第1端部10aにおいては、第1部材11及び第2部材12が互いに離間していてもよい。第1部材11及び第2部材12は、例えば、第1端部10aにある接合層13を溶融させることにより、互いに離間される。第1端部10aにある第1部材11及び第2部材12の間には、リード15が挟み込まれていてもよい。リード15は、例えば、銅で形成されている。超電導線材10は、リード15を介して、外部電源に接続される。
図6は、実施形態の第3変形例に係る超電導線材10の断面図である。図6に示されるように、超電導線材10は、接合層13を有していなくてもよい。すなわち、超電導線材10において、第1超電導層11c上にある第1保護層11dは、第2超電導層12c上にある第2保護層12dと直接接合されていてもよい。
この場合、第1部材11と第2部材とは(第1超電導層11c上にある第1保護層11dと第2超電導層12c上にある第2保護層12dとは)、第1部材11及び第2部材12を所定の温度に加熱するとともに、両部材を相互に加圧することで接合される。この所定の温度は、例えば500℃以上600℃以下である。
図7は、実施形態の第4変形例に係る超電導線材10の断面図である。図7に示されるように、超電導線材10は、第1保護層11d及び第2保護層12dを有しておらず、接合層13に代えて、接合層14を有していてもよい。接合層14は、第1超電導層11c及び第2超電導層12cを構成する超電導体で構成されている。すなわち、第1超電導層11cと第2超電導層12cとが、超電導接合されていてもよい。
この場合、第1超電導層11cと第2超電導層12cとの超電導接合は、以下の方法により達成される。第1に、第1超電導層11c及び第2超電導層12cのいずれか一方の上に、有機化合物膜が形成される。有機化合物膜は、接合層14を構成する超電導体の構成元素を含有している。
第2に、有機化合物膜に対する仮焼成が行われる。仮焼成により、有機化合物膜は、接合層14を構成する超電導体の前駆体となる(以下においては、仮焼成が行われた有機化合物膜を、仮焼膜という)。仮焼成は、接合層14を構成する材料の生成温度未満の温度で行われる。第3に、仮焼成の後に、仮焼膜に対する熱処理が行われる。これにより、仮焼膜に含まれる炭化物が分解されて、第1超電導層11c及び第2超電導層12cを構成する超電導体の微結晶を含む微結晶膜が形成される。
第4に、第1部材11と第2部材12とが、第1超電導層11c及び第2超電導層12cが微結晶膜を挟んで対向するように重ね合わされた状態で、加熱・加圧される。これにより、微結晶膜に含まれる第1超電導層11c及び第2超電導層12cを構成する超電導体が、第1超電導層11c上及び第2超電導層12c上にエピタキシャル成長する。以上により、第1超電導層11cと第2超電導層12cとの超電導接合が達成される。
(実施形態に係る積層超電導線材の構成)
以下に、実施形態に係る積層超電導線材20の構成を説明する。
図8は、実施形態に係る積層超電導線材20の上面図である。図9は、図8のIX−IXにおける断面図である。図8及び図9に示されるように、積層超電導線材20は、複数の超電導線材10を有している。積層超電導線材20は、複数の超電導線材10を厚さ方向に沿って重ね合わせることで形成されている。図示されていないが、各々の超電導線材10は、例えばはんだ等で構成される接合層を用いて互いに接合されている。
積層超電導線材20は、長手方向に直交する断面において、厚さT4と、幅Wとを有している。なお、厚さT4は、積層超電導線材20の厚さが最大となる部分で測定され、幅Wは、積層超電導線材20の幅が最大となる部分で測定される。厚さT4を幅Wで除した値は、0.5以上2.0以下である。厚さT4を幅Wで除した値は、0.75以上1.25以下であることが好ましい。
なお、第1ベース層11aa(第2ベース層12aa)の厚さを50μmから100μm程度とし、第1導電層11ab(第2導電層12ab)の厚さを10μmから50μm程度とし、第1中間層11b(第2中間層12b)の厚さを0.1μmから0.5μm程度とし、第1超電導層11c(第2超電導層12c)の厚さを2μmから4μmとし、第1保護層11d(第2保護層12d)の厚さを1μmから10μm程度とし、接合層13の厚さを10μm程度とした場合、厚さT4は、150μmから300μm程度の値となるため、幅Wを1mm程度である場合、超電導線材10を数枚程度積層すれば、0.5≦厚さT4/幅W≦2.0の範囲に収まる。
図10は、実施形態の第1変形例に係る積層超電導線材20の断面図である。図10に示されるように、積層超電導線材20の長手方向に直交する断面形状は、例えば、円形形状を有していてもよい。
図11は、実施形態の第2変形例に係る積層超電導線材20の断面図である。図11に示されるように、積層超電導線材20の長手方向に直交する断面形状は、例えば、菱形であってもよい。
図12は、実施形態の第3変形例に係る積層超電導線材20の断面図である。図12に示されるように、積層超電導線材20の長手方向に直交する断面形状は、例えば、正六角形形状であってもよい。
なお、積層超電導線材20の長手方向に直交する断面形状は、図10〜図12に示されるものに限定されず、その他の多角形形状や、楕円形状であってもよい。図10〜図12に示される構造の積層超電導線材20は、複数の超電導線材10を厚さ方向に沿って重ね合わせた後に切削等の機械加工を行うことで形成される。また、図10〜図12に示されるいずれの断面形状においても、0.5≦厚さT4/幅W≦2.0との関係は充足されている。
(実施形態に係る超電導コイル)
以下に、実施形態に係る超電導コイル30の構成を説明する。
図13は、実施形態に係る超電導コイル30の斜視図である。図14は、実施形態に係る超電導コイル30の中心軸Aに直交する断面図である。図13及び図14に示されるように、超電導コイル30は、例えば、パンケーキコイルである。但し、超電導コイル30は、これに限られるものではない。超電導コイル30は、例えば、ソレノイドコイルであってもよい。
超電導コイル30は、中心軸Aを有している。超電導コイル30は、中心軸A回りに超電導線材10を巻き回すことにより形成されている。なお、超電導線材10は、中心軸A周りに巻き回された状態でエポキシ樹脂等の絶縁材料31に含浸されることにより、形状が固定されている。
超電導コイル30においては、超電導線材10が、外部の電源と接続するために中心軸A周りに巻き回されている部分から引き出されている(中心軸A周りに巻き回されている部分から引き出された超電導線材10の部分を、取り回し部32という)。超電導コイル30の取り回し部32における曲率半径の最小値Rminは、例えば20mm以下である。
(実施形態に係る超電導ケーブル)
以下に、実施形態に係る超電導ケーブル40の構成を説明する。
図15は、実施形態に係る超電導ケーブル40の側面図である。図15に示されるように、超電導ケーブル40は、フォーマ41と、超電導線材10とを有している。超電導線材10は、フォーマ41の外周面上において、フォーマ41の中心軸周りのらせん状に巻き回されている。
図16は、図15のXVI−XVIにおける断面図である。図16に示すように、超電導線材10の曲率半径の最小値Rminは、フォーマ41の外周面上に巻き回された状態において、20mm以下である。
(実施形態に係る超電導線材、積層超電導線材、超電導コイル及び超電導ケーブルの効果)
以下に、実施形態に係る超電導線材10、積層超電導線材20、超電導コイル30及び超電導ケーブル40の効果を説明する。
<実施形態に係る超電導線材の効果>
まず、超電導線材10の基本的な効果を説明する。
超電導線材10において、第1超電導層11cは、導電性の材料で構成されている第1中間層11bを介して、導電性の材料で構成されている第1基板11aに電気的に接続されている。また、第1超電導層11cは、第2超電導層12cにも、電気的に接続されている。そのため、第1超電導層11cにクエンチが発生した場合、第1超電導層11cを流れていた電流は、第1基板11a及び第2超電導層12cにバイパスされる。同様にして、第2超電導層12cにクエンチが発生した場合、第2超電導層12cを流れていた電流は、第2基板12a及び第1超電導層11cにバイパスされる。
このように、超電導線材10は、第1超電導層11c(第2超電導層12c)にクエンチが発生した場合に、2つの経路によって第1超電導層11c(第2超電導層12c)を流れていた電流がバイパスされる。そのため、超電導線材10によると、耐クエンチ性が改善される。
超電導線材10においては、第1部材11及び第2部材12が、第1超電導層11c及び第2超電導層12cが対向するように厚さ方向に沿って重ね合わされているため、第1超電導層11c及び第2超電導層12cが、超電導線材10の中立線に相対的に近い位置に配置されている。
曲げ応力δ、曲げモーメントM、断面二次モーメントI及び中立線からの距離yの関係は、δ=(M/I)×yとなる。すなわち、超電導線材10の中立線に相対的に近い部分は、上記のyの値が小さくなるため、作用する曲げ応力が小さくなる。したがって、超電導線材10においては、第1超電導層11c及び第2超電導層12cに作用する曲げ応力を低減することができ、その結果として、第1超電導層11c及び第2超電導層12cの破損を抑制することができる。
次に、超電導線材10の付随的な効果を説明する。
第1超電導層11cと第2超電導層12cとが超電導接合されている場合、第1超電導層11c(第2超電導層12c)にクエンチが生じた場合に、第1超電導層11c(第2超電導層12c)に流れていた電流を、常電導体(第1保護層11d及び第2保護層12d)を経由することなく、第2超電導層12c(第1超電導層11c)にバイパスさせることができる。また、この場合には、超電導層の厚さが実質的に大きくなるため、超電導層(第1超電導層11c及び第2超電導層12c)に特性の局所的な劣化が生じにくくなる。
第1保護層11d及び第2保護層12dが銀又は銀合金で構成されている場合、第1保護層11d及び第2保護層12dが相対的に変形しやすいため、加熱・加圧を行うことで第1保護層11dと第2保護層12dとが直接接合することができる。銀又は銀合金は、接合層13を構成する材料(典型的には、スズ(Sn)合金)よりも抵抗率が低いため、この場合には、第1超電導層11c(第2超電導層12c)を流れていた電流を第2超電導層12c(第1超電導層11c)にバイパスさせる際の抵抗を低減することができる。
第1保護層11d及び第2保護層12dが銀又は銀合金で構成されている場合、銀又は銀合金は、接合層13を構成する材料(典型的には、スズ合金)と良好な接合性を示すため、第1保護層11d及び第2保護層12dと接合層13との間で良好な接合が達成される。
上記のとおり、第1保護層11d(第2保護層12d)は、第1超電導層11c(第2超電導層12c)にクエンチが生じた場合に電流を第2超電導層12c(第1超電導層11c)へとバイパスさせる途中に経由する層に過ぎない。そのため、第1保護層11d及び第2保護層12dを相対的に薄く形成したとしても、耐クエンチ性に対する影響は小さい。他方で、第1保護層11d及び第2保護層12dが相対的に薄く形成されることにより、第1超電導層11c及び第2超電導層12cが超電導線材10の中立線のより近くに配置されるため、超電導線材10に曲げが加わった際に第1超電導層11c及び第2超電導層12cに加わる曲げ応力をさらに低減することができる。
上記のとおり、第1超電導層11c(第2超電導層12c)にクエンチが生じた場合、第1超電導層11c(第2超電導層12c)に流れていた電流は、第1基板11a(第2基板12a)にもバイパスされる。第1基板11aが第1導電層11abを有している場合(第2基板12aが第2導電層12abを有している場合)、このバイパスされた電流は、相対的に抵抗値が低い第1導電層11ab(第2導電層12ab)を流れることになるため、電流をバイパスさせる際の抵抗値をさらに低減することができる。
第1端部10a(第2端部10b)において、第1ベース層11aa及び第2ベース層12aaの少なくとも一方が除去されることで第1導電層11ab及び第2導電層12abの少なくとも一方が露出している場合、相対的に抵抗率が低い第1導電層11ab、第2導電層12abを介して外部電源との接続を行うことができる。
第1端部10a(第2端部10b)において、第1ベース層11aa及び第2ベース層12aaの双方が除去されることで第1導電層11ab及び第2導電層12abの双方が露出している場合、相対的に抵抗率が低い第1導電層11ab及び第2導電層12abの双方を介して外部電源との接続を行うことができる。すなわち、この場合には、外部電源との接続抵抗をさらに低減することができる。
第1端部10a(第2端部10b)において、第1ベース層11aa及び第2ベース層12aaの一方のみが除去されることで第1導電層11ab及び第2導電層12abの一方のみが露出している場合には、相対的に抵抗率が低い第1導電層11ab(第2導電層12ab)を介して外部電源との接続を行うことができるとともに、第2ベース層12aa(第1ベース層11aa)により第1端部10a(第2端部10b)の剛性を維持することができる。その結果、超電導線材10のハンドリング性を改善できる。
<実施形態に係る積層超電導線材の効果>
通常の超電導線材において、幅が厚さの数十倍に及ぶことがある。このような超電導線材は、このような寸法に起因して、ハンドリング性に問題がある場合がある。積層超電導線材20においては、超電導線材10を厚さ方向に複数枚積層することにより、0.5≦厚さT4/幅W≦2.0となるため、ハンドリング性を改善することができる。
<実施形態に係る超電導コイルの効果>
中心軸A周りに巻き回された状態で超電導線材10が絶縁材料31に含浸されると、超電導線材10と絶縁材料31との間の熱膨張係数の違いに起因して、超電導層を引き剥がす方向の引張応力が加わる。このような引張応力は、超電導線材から超電導層が剥離する原因となりうる。
超電導線材10においては、第1超電導層11c及び第2超電導層12cが第1基板11a及び第2基板12aに挟み込まれた構造となっているため、第1超電導層11c及び第2超電導層12cに作用する引張応力が低減される。したがって、超電導コイル30によると、超電導線材10と絶縁材料31との熱膨張係数差に起因した引張応力による第1超電導層11c及び第2超電導層12cの剥離を抑制することができる。
超電導コイル30においては、取り回し部32における曲率半径が相対的に小さくなりやすい。超電導線材10においては、第1超電導層11c及び第2超電導層12cが超電導線材10の中立線近くに配置されることになるため、超電導線材10に曲げが加わった際に、第1超電導層11c及び第2超電導層12cに作用する曲げ応力を低減することができる。そのため、超電導線材10を用いることにより、取り回し部32における曲率半径の最小値Rminが20mm以下となるような超電導コイル30を構成することが可能になる。
<実施形態に係る超電導ケーブルの効果>
上記のとおり、超電導線材10においては、超電導線材10に曲げが加わった際に第1超電導層11c及び第2超電導層12cに作用する曲げ応力を低減することができる。そのため、超電導線材10を用いることにより、曲率半径の最小値Rminが20mm以下となるような超電導ケーブル40を構成することが可能となる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記の実施の形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
10 超電導線材、10a 第1端部、10b 第2端部、11 第1部材、11a 第1基板、11aa 第1ベース層、11ab 第1導電層、11b 第1中間層、11c 第1超電導層、11d 第1保護層、12 第2部材、12a 第2基板、12aa 第2ベース層、12ab 第2導電層、12b 第2中間層、12c 第2超電導層、12d 第2保護層、13 接合層、14 接合層、15 リード、Rmin 曲率半径の最小値、T1,T2,T3,T4 厚さ、W 幅、20 積層超電導線材、30 超電導コイル、31 絶縁材料、32 取り回し部、40 超電導ケーブル、41 フォーマ。
この場合、第1部材11と第2部材12とは(第1超電導層11c上にある第1保護層11dと第2超電導層12c上にある第2保護層12dとは)、第1部材11及び第2部材12を所定の温度に加熱するとともに、両部材を相互に加圧することで接合される。この所定の温度は、例えば500℃以上600℃以下である。
図10は、実施形態の第1変形例に係る積層超電導線材20の断面図である。図10に示されるように、積層超電導線材20の長手方向に直交する断面形状は、例えば、円形形状を有していてもよい

Claims (16)

  1. 第1部材と、第2部材とを備える超電導線材であって、
    前記第1部材は、導電性の材料で構成される第1基板と、前記第1基板上に配置され、かつ、導電性の材料で構成される第1中間層と、前記第1中間層上に配置され、かつ、超電導材料で構成される第1超電導層とを有し、
    前記第2部材は、導電性の材料で構成される第2基板と、前記第2基板上に配置され、かつ、導電性の材料で構成される第2中間層と、前記第2中間層上に配置され、かつ、超電導材料で構成される第2超電導層とを有し、
    前記第1部材と前記第2部材とは、前記第1超電導層と前記第2超電導層とが対向するように前記超電導線材の厚さ方向に沿って重ねられ、
    前記第1超電導層は、前記第2超電導層と電気的に接続されている、超電導線材。
  2. 前記第1超電導層は、前記第2超電導層と超電導接合されている、請求項1に記載の超電導線材。
  3. 前記第1部材は、前記第1超電導層上に配置され、かつ、銀又は銀合金で構成される第1保護層をさらに有し、
    前記第2部材は、前記第2超電導層上に配置され、かつ、銀又は銀合金で構成される第2保護層をさらに有し、
    前記第1保護層は、前記第2保護層と直接接合されている、請求項1に記載の超電導線材。
  4. 接合層をさらに備え、
    前記第1部材は、前記第1超電導層上に配置され、かつ、導電性の材料で構成される第1保護層をさらに有し、
    前記第2部材は、前記第2超電導層上に配置され、かつ、導電性の材料で構成される第2保護層をさらに有し、
    前記第1保護層は、前記接合層を介して前記第2保護層に接合されている、請求項1に記載の超電導線材。
  5. 前記第1保護層及び前記第2保護層は、銀又は銀合金で構成され、
    前記接合層は、はんだで構成される、請求項4に記載の超電導線材。
  6. 前記超電導線材の長手方向における端部では、前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方が除去されることにより前記接合層が露出している、請求項4又は請求項5に記載の超電導線材。
  7. 前記第1保護層及び前記第2保護層の厚さは、5μm以下である、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の超電導線材。
  8. 前記第1基板は、第1ベース層と、前記第1ベース層と前記第1中間層との間に配置され、かつ、前記第1ベース層を構成する材料よりも抵抗率が低い材料で構成される第1導電層とを含み、
    前記第2基板は、第2ベース層と、前記第2ベース層と前記第2中間層との間に配置され、かつ、前記第2ベース層を構成する材料よりも抵抗率が低い材料で構成される第2導電層とを含む、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の超電導線材。
  9. 前記超電導線材の長手方向における端部では、前記第1ベース層が除去されることにより前記第1導電層が露出している、請求項8に記載の超電導線材。
  10. 前記超電導線材の長手方向における端部では、前記第2ベース層が除去されることにより前記第2導電層が露出している、請求項8又は請求項9に記載の超電導線材。
  11. 前記第1導電層及び前記第2導電層は、銅又は銅合金で構成され、
    前記第1基板及び前記第2基板は、ステンレス鋼又はハステロイで構成される、請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の超電導線材。
  12. 前記超電導線材の長手方向における端部では、前記第1部材及び前記第2部材が互いに離間している、請求項1に記載の超電導線材。
  13. 複数の請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の前記超電導線材を備える積層超電導線材であって、
    前記超電導線材の各々は、前記積層超電導線材の厚さ方向に沿って重ねられ、
    前記積層超電導線材の厚さを前記積層超電導線材の長手方向に直交する方向での前記積層超電導線材の幅で除した値は、0.5以上2.0以下である、積層超電導線材。
  14. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の前記超電導線材と、絶縁材料とを備える超電導コイルであって、
    前記超電導線材は、前記超電導コイルの中心軸周りに巻き回され、かつ前記絶縁材料に含浸されている、超電導コイル。
  15. 前記超電導線材は、前記超電導コイルの中心軸周りに巻き回された部分から引き出された取り回し部を有しており、
    前記取り回し部における前記超電導線材の曲率半径の最小値は、20mm以下である、請求項14に記載の超電導コイル。
  16. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の前記超電導線材と、フォーマとを備える超電導ケーブルであって、
    前記超電導線材は、前記フォーマの外周面上において、前記フォーマの中心軸周りのらせん状に巻き回され、
    前記超電導線材の曲率半径の最小値は、20mm以下である、超電導ケーブル。
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