JPWO2019198622A1 - 研磨組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ディフェクトの出ない砥粒を用いて機械的な摩擦効果を増加させることにより、シリカ被膜等が形成された基板を高速で研磨することができ、同時に低スクラッチ等の高い面精度を達成でき、さらには半導体基板に好適な研磨組成物を提供すること。【解決手段】I)リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース、並びにII)ミクロフィブリルセルロース及びリン酸化合物から選ばれる少なくとも1種の成分と、砥粒と、分散媒とを含むことを特徴とする研磨組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、シリカ系被膜が形成された基板等の研磨において、基板を高速に研磨でき、かつ、基板の研磨傷が少なく、しかも、基板への異物残り、例えば砥粒あるいは有機物残りが少ない研磨組成物に関する。
半導体基板、配線基板などの半導体デバイスなどにおいては、表面状態が半導体特性に影響するため、これらの部品の表面や端面を極めて高精度に研磨することが要求される。
従来、このような部材の研磨方法として、比較的粗い第1次研磨処理を行った後、精密な第2次研磨処理を行うことにより、平滑な表面あるいはスクラッチなどの傷が少ない極めて高精度の表面を得る方法が用いられている。
このような第2次研磨に用いる研磨剤に関して、例えば、四塩化珪素を熱分解等してシリカ粒子を成長させ、アンモニア等のアルカリ金属を含まないアルカリ溶液でpH調整を行って得られるコロイダルシリカ系研磨剤が知られている。しかしながら、このような研磨剤は無機絶縁膜の研磨速度が充分な速度を持たず、研磨速度が遅いという問題があった。
一方、酸化セリウム粒子は、シリカ粒子やアルミナ粒子に比べ硬度が低い割に研磨速度が速い。また、酸化セリウムは、研磨表面に傷が入り難いことから仕上げ鏡面研磨に有用である。さらに、酸化セリウムは、強い酸化剤として知られるように、化学的活性な性質を有している。この利点を活かし、絶縁膜用化学機械研磨剤への適用が有用である。しかしながら、32nmノード以降のLSI向けの一次及び二次の無機絶縁膜研磨に適用すると、1次粒子径が大きく、そのため絶縁膜表面に研磨傷が入るという問題があった。
ここで、特許文献1には、例えば、炭酸セリウム水和物を焼成した後、粉砕して得られた粒子径の中央値が100〜1500nmであり、2個以上の結晶子から構成され結晶粒界を有する酸化セリウム粒子を含む研磨剤が開示されている。
特許文献2には、硝酸第一セリウムの水溶液と塩基とを、pHが5〜10となる量比で攪拌混合し、続いて70〜100℃に急速加熱し、その温度で熟成して得られた粒子径が10〜80nmの酸化セリウム単結晶からなる酸化セリウム粒子が開示され、該酸化セリウム粒子をガラス、石英、シリコン、タングステン、無電解ニッケル・リンメッキ、超硬合金等の表面を平坦に仕上げるための研磨材、すなわち、レンズなどの光学素子の分野、ブラウン管、液晶などの表示素子を構成する電子材料の分野、フォトマスクなどの電子デバイスの製造装置を構成する部品の分野、ハードディスクなどの情報記録の部品の分野、シリコンウェハの加工や集積回路の製造途中で使う平坦化加工、即ち半導体製造の分野に利用されることが記載されている。
更に、特許文献3には、非晶質シリカを主成分とする母粒子の表面に、結晶性セリアを主成分とする子粒子が結合し、平均粒子径50〜300nmのセリア系複合微粒子を含む、セリア系複合微粒子分散液が開示されている。該セリア系複合微粒子分散液は、Siウェハや難加工材であっても高速で研磨することができ、同時に高面精度(低スクラッチ等)を達成できる。
国際公開WO99/031195号 特開平9−142840号公報 国際公開WO2016/159167号
しかしながら、特許文献1に記載の研磨剤は、粒子径が大きいため、高速研磨が可能であるが、基板に研磨傷を生じ易いという問題があった。また、この酸化セリウム粒子は、研磨に使用するパッドの孔及びパッド自体に刺さるために、パッドに残留し易い。これらの砥粒は低pHになると正電荷を持つため、負電荷を持つ基板に付着し、回路形成に問題を生じたり、あるいは研磨安定性を欠くという問題があった。更に、この酸化セリウム粒子の形状は、電子顕微鏡で観察すると断面矩形であり、砥粒の回転流動性が悪く研磨速度が安定しないという問題があった。
また、負の電荷をもつ有機物で被覆することも行われているが、添加した有機物が基板を汚染することが懸念されている。
特許文献2に記載の酸化セリウム粒子は、粒子径が小さいため、基板に研磨傷ができ難いが、研磨速度が遅いという問題があった。研磨速度を向上させるために研磨圧を高める、pHを下げる等を行うと、この酸化セリウム粒子は、基板の表面に残留し、後工程における不良が増加する等の課題が無視できないという問題があった。
特許文献3に記載のシリカ系複合粒子は、粒子径が大きいので、研磨速度が速く、また、研磨面に粒子径が小さい子粒子が接触するので、研磨傷が発生し難く、しかも、該子粒子は母粒子に結合しているので、基板に残留し難くなっている。しかも、球形であるために砥粒の流動性が良く、研磨の安定性が高い。しかしながら、更に研磨速度が速く、研磨傷が少なく、しかも、基板への砥粒残りが少ない研磨組成物が求められている。
ここで、酸化セリウムは、化学的研磨作用が大きいので、子粒子の粒子径を小さくして接触面積を増大させることで、化学的な研磨作用を増大させて研摩速度を向上させることが考えられるが、それらは母粒子から脱離しやすく、脱離した酸化セリウム子粒子は基板に残留しやすく、不具合の増加に繋がり歩留まりが低下する。
化学的な研磨作用を増加させるためにシリカと反応性の高いフッ素化合物、アミン化合物を用いると研摩速度は向上するが、エロージョンあるいはレジスト汚染等の残留汚染による電気的な問題が生じやすくなる。
一方、複合粒子を大きくすることで機械的な研磨作用を増加させて(摩擦による研磨トルクを増加させて)研磨速度を向上させることが考えられるが、このことは同時に粗大粒子の増加を招き、粗大粒子由来のスクラッチ等ディフェクトの増加につながる。
以上から、化学的研摩効果を維持しながら、砥粒の大粒子化を伴わない機械的な研磨作用の増加による研磨速度の向上が求められている。
本発明の課題は、ディフェクトの生じにくい砥粒を用いて機械的な摩擦効果を増加させることにより、シリカ被膜等が形成された基板を高速で研磨することができ、同時に低スクラッチ等の高い面精度を達成でき、さらには半導体基板に好適な研磨組成物を提供することにある。
本発明者らは、シリカ系被膜が形成された基板等の研磨組成物について鋭意検討する中で、まず、研磨パッドと砥粒の関係に着目した。すなわち、研磨パッドには、通常、研磨組成物が効率的かつ均一にパッド表面部に行きわたるよう、ドレッサーによりその表面は凹凸が形成されているが、この研磨パッド表面のテクスチュアと研磨組成物との関係が、研磨効率に影響を与えていると考えた。言い換えると、摩擦効果を向上させることで研磨効率が上がると考えた。しかし、この研磨パッド表面のテクスチュアとの関係で砥粒濃度及び/又は研磨圧を高めることができれば、研磨効率を向上させることができるが、砥粒濃度を上げると研磨傷が増大し、研磨の安定性が損なわれるという課題がある。一方、研磨圧を高めることで摩擦による研磨トルクは増大する(機械的な研磨効果が増大する)が、研磨傷も増加する。以上の結果から、砥粒濃度及び/又は研磨圧を高めることなく摩擦効果を上げることができないかと考えた。
このような考えの下、さらに鋭意研究を進めた結果、砥粒と共に、I)リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース(リン酸基を備えたミクロフィブリルセルロース)、及び/又は、II)ミクロフィブリルセルロース及びリン酸化合物を用いることで、シリカ系被膜が形成された基板等の研磨速度を飛躍的に向上させることができ、同時に高い面精度(低スクラッチ等)を実現できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
以下、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース及びミクロフィブリルセルロースの両者を意味する場合、(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースと称す。
本発明者らは、本発明の研磨特性の顕著な向上の機序を次のように推測している。
(1)砥粒表面と、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースのリン酸基等、又はリン酸化合物との親和性によって、砥粒が(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースにトラップされ、シリカ系被膜が形成された基板の研磨において、研磨パッドからの押し圧を砥粒に効果的に伝達すると共に砥粒の基板への接触効率が高くなり摩擦が上昇し、結果として研磨速度が向上する。また、砥粒がトラップされた(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースが、研磨時に研磨パッドのテクスチュアに適度に滞留する(研磨パッドに存在する凸凹部に半固定される)ことから、研磨効率が高くなる。
(2)(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースを含む研磨組成物(分散液)は、静置状態では繊維が絡まって粘度が高いが、せん断力を加えると絡まりがほどけて、粘度が極端に低下する。研磨パッド表面には凹凸が形成されているが、研磨パッドと基板の間が狭い箇所(例えば、研磨パッドが凸部で、基板が凸部)では、この分散液にせん断力が加わることから、研磨パッドと基板間の狭い隙間をスラリー(研磨組成物)が速い速度で流れることになり、研磨速度が向上する。一方、研磨パッドと基板の間が広い箇所では、せん断力が加わりにくく、スラリーの置き換わりがないことから、研磨速度が遅くなる。したがって、研磨パッドからの距離がない箇所(研磨パッドと基板の間が狭い箇所)ではせん断速度が高いために研磨速度が速く、距離がある箇所(研磨パッドと基板の間が広い箇所)ではせん断速度が低いために研磨速度が遅くなり、段差のある基板の平坦化により効果的な研磨特性が得られる。
(3)(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースは、繊維長がμmオーダーで、繊維径がnmオーダーであるため、基板を掃くように流動して、基板に残留する粗粒、基板に付着しやすい砥粒(子粒子)、及びその他の研磨屑、有機物等の残留物を除去する掃除効果(以下、スカベンジャー効果ということがある)を有する。また、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの官能基又はリン酸化合物による親和性も相まって、基板上の残留物をより効率的に除去することができる。これにより、残留物の滞留時間を短くできるので、研磨傷の発生率を低減することができ、したがって、基板の研磨傷を少なくすることができる。
(4)(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースを含む研磨組成物は、砥粒の沈降防止、凝集防止効果により、タンク内およびライン内での砥粒の粗大化が起こらない。つまり、分散効果によりスクラッチ等の発生を抑制できる効果を有している。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]下記I)及びII)から選ばれる少なくとも1種の成分と、砥粒と、分散媒とを含むことを特徴とする研磨組成物。
I) リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース
II) ミクロフィブリルセルロース及びリン酸化合物
[2]前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、リン酸基の水素原子がアンモニウムに置換されたアンモニウム型リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースであることを特徴とする[1]に記載の研磨組成物。
[3]前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、リン酸基由来の酸基含有量が、0.1〜16.8mmol/gであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の研磨組成物。
[4]前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、リン酸基由来の強酸基含有量が、0.1〜8.4mmol/gであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の研磨組成物。
[5]前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、リン酸基由来の弱酸基含有量が、0.1〜8.4mmol/gであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の研磨組成物。
[6]前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、数平均繊維径が1〜100nm、数平均繊維長が0.01〜300μm、数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)が10〜3000のセルロース繊維であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の研磨組成物。
[7]前記リン酸化合物が、リン酸、縮合リン酸、有機リン酸、及びこれらの塩であることを特徴とする[1]に記載の研磨組成物。
[8]前記リン酸化合物の含有量が10質量ppm〜5質量%であることを特徴とする[1]又は[7]に記載の研磨組成物。
[9]前記ミクロフィブリルセルロースは、数平均繊維径が1〜100nm、数平均繊維長が0.01〜300μm、数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)が10〜3000のセルロース繊維であることを特徴とする[1]、[7]又は[8]に記載の研磨組成物。
[10]前記砥粒が、酸化セリウム、酸化クロム、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化鉄の少なくとも1種を含むことを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の研磨組成物。
[11]前記砥粒が、非晶質シリカを主成分とする母粒子、及び該母粒子の表面に設けられた非晶質シリカを主成分とするシリカ層を有し、該シリカ層に結晶性セリアを主成分とする子粒子が分散している、セリア系複合微粒子であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載の研磨組成物。
[12]前記セリア系複合微粒子は、平均粒子径が50〜350nmであり、シリカとセリアとの質量比(MSiO2:MCeO2)が100:11〜316であり、セリアの平均結晶子径が10〜50nmであることを特徴とする[11]に記載の研磨組成物。
[13]シリカ系膜が形成された半導体基板の研磨に用いられることを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の研磨組成物。
[14]窒化ケイ素系膜、タンタル系膜、窒化タンタル系膜、銅系膜及びタングステン系膜から選ばれる1種の膜が形成された基板の研磨に用いられることを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の研磨組成物。
[15]サファイア、GaN、SiC、ダイヤモンド、GaAs、窒化アルミニウム、LiTaO及びLiNbOから選ばれる難研磨基板の研磨に用いられることを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の研磨組成物。
本発明の研磨組成物によれば、被膜が形成された基板を高速で研磨することができると同時に低スクラッチ等の高い面精度を達成することができる。
本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースにおけるリン酸基(強酸基及び弱酸基)の含有量の測定に用いるグラフの一例である。 (a)は、準備例1−1及び2−1において得られたセリア系複合微粒子のSEM像であり、(b)及び(c)は、準備例1−1及び2−1において得られたセリア系複合微粒子のTEM像である。 準備例1−1及び2−1において得られたセリア系複合微粒子のX線回折パターンである。
本発明の研磨組成物は、下記I)及びII)から選ばれる少なくとも1種の成分と、砥粒と、分散媒とを含むことを特徴とする。
I) リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース
II) ミクロフィブリルセルロース及びリン酸化合物
本発明の研磨組成物は、シリカ系被膜、銅系被膜、タングステン系被膜等が形成された基板(半導体基板やそれ以外の基板を含む)の研磨組成物として用いることができ、シリカ系被膜が形成された基板、及び銅系被膜が形成された基板の研磨組成物として好適に用いることができる。より具体的には、SiO系絶縁被膜(CVD成膜、熱酸化膜、低誘電率膜等)が形成された半導体基板、及び銅系被膜が形成されたCu−CMPの平坦化用として好適に用いることができる。
その他、本発明の研磨組成物の研磨対象としては、窒化ケイ素膜、タンタル膜、窒化タンタル膜等が形成された基板や、サファイア、GaN、SiC、ダイヤモンド、GaAs、窒化アルミニウム、LiTaO、LiNbOからなる難研磨基板を例示することができる。
本発明の組成物は、仕上げ研磨の前段階の粗研磨に用いられることが好ましい。例えば、本発明の研磨組成物を用いて第1次研磨を行い、砥粒と分散媒とを含む第2研磨組成物を用いて第2次研磨を行うことが好ましい。第1次研磨工程で用いる砥粒と、第2次研磨工程で用いる砥粒は、同一の微粒子を用いてもよいし、異なる微粒子を用いてもよい。同一の微粒子を用いる場合、ディフェクト低減の点から、より厳格な条件が要求される第2研磨組成物に適用可能な砥粒が好ましい。一方、異なる微粒子を用いる場合、第1研磨組成物は、研磨速度を重視した砥粒を選択することができる。
なお、本発明の研磨組成物の供給は、滴下方式が好ましい。ここで、滴下とは、断続的な液滴状の供給に限らず、液滴状とならない連続的な供給を含むものであるが、噴霧(スプレー)を含まない。噴霧(スプレー)は、乾燥後に粗大な凝集塊が生じるおそれがあるため、滴下方式が好ましい。
本発明の研磨組成物においては、砥粒と共に、I)リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース及びII)ミクロフィブリルセルロース及びリン酸化合物から選ばれる少なくとも1種の成分を用いることにより、(a)流動性の向上と圧力伝達性向上による高研磨速度、(b)流動性および分散性向上による低欠陥(スクラッチの発生抑制等)、(c)(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースの繊維形状が持つ付着砥粒、研磨屑などの掃除効果(スカベンジャー効果)による低砥粒残、および低付着物化、(d)(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースの砥粒分散効果による保存安定性、再分散性、及び研磨パッドにおける偏析抑制、(e)非プレストン効果(擬塑性流動)に基づく回路基板平坦性の改良、(f)研磨パッドに粒子が残留し難いことによる研磨パッドの使用寿命の長期化等を実現することができる。
<<砥粒>>
砥粒は、例えば平均粒子径が10〜500nm程度の微粒子であり、その材料は、被研磨基板の材質や、(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースとの相性を考慮して適宜選択することができる。具体的に、砥粒の材料は、酸化セリウム(セリア)、酸化クロム、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化鉄の少なくとも1種を含むことが好ましい。すなわち、砥粒は、これら1種の酸化物や、複合酸化物から構成されることが好ましい。これらの中でも、セリアを含む微粒子(セリア系微粒子)が好ましい。
本発明の研磨組成物中に含まれる砥粒は、0.51μm以上の粗大粒子数が砥粒粒子のドライ換算で100百万個/mL以下であることが好ましく、70万個/mL以下であることがより好ましい。これにより、スクラッチ等のディフェクトの低減を図ることができる。
粗大粒子の測定方法は、試料を純水で酸化物(例えば、セリア系微粒子の場合CeOとシリカの総和)として0.1質量%に希釈調整した後、5mlを採取し、これを従来公知の粗大粒子数測定装置に注入する。そして、0.51μm以上の粗大粒子の個数を求める。この測定を3回行い、単純平均値を求め、その値を1000倍して、0.51μm以上の粗大粒子数の値とする。セリア系微粒子の場合、具体的には、以下に示す方法により求める。
<粗大粒子数>
複合微粒子の粗大粒子数は、Particle sizing system Inc.社製Accusizer 780APSを用いて測定を行う。測定試料を純水で0.1質量%に希釈調整した後、測定装置に5mLを注入して、以下の条件にて測定を行い、3回測定した後、得られた測定データの0.51μm以上の粗大粒子数の値の平均値を算出する。さらに平均値を1000倍して、セリア系微粒子のドライ換算の粗大粒子数とする。
<System Setup>
・Stir Speed Control / Low Speed Factor 1500 / High Speed Factor 2500
<System Menu>
・Data Collection Time 60 Sec.
・Syringe Volume 2.5ml
・Sample Line Number :Sum Mode
・Initial 2nd-Stage Dilution Factor 350
・Vessel Fast Flush Time 35 Sec.
・System Flush Time / Before Measurement 60 Sec. / After Measurement 60 Sec.
・Sample Equilibration Time 30 Sec./ Sample Flow Time 30 Sec.
本発明の研磨組成物における砥粒の含有量としては、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.2〜3質量%であることがより好ましい。0.1質量%より低い濃度であると、研磨傷等には効果的ではあるが、研磨速度が低下する。また、10質量%より高い濃度であると、沈降スラリーの再分散性が悪く、研磨傷(ディフェクト)が多くなる傾向にある。
砥粒において、Na、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Al、及びZrの各元素の含有率は、10ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがより好ましく、1ppm以下であることがさらに好ましい。各元素の含有率がこの範囲にある場合、金属汚染を防止できると共に、砥粒の安定性がより増すので、研磨組成物に適用した場合に、スクラッチの発生がより抑制される。
また、U、Th、Cl、NO、SOおよびFの各含有率は1ppm以下であることが好ましい。
各元素の含有率は、後述するセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の母粒子における方法と同様の方法により求めた値をいう。
《セリア系微粒子》
セリア系微粒子は、結晶性の酸化セリウム(セリア)を含む酸化物微粒子であれば、その形態等は特に制限されない。
このようなセリア系微粒子としては、例えば、コロイダルセリア(セリア微粒子)、焼成セリア微粒子等の実質的に結晶性の酸化セリウム(セリア)からなる微粒子や、セリア−シリカ複合酸化物微粒子などを挙げることができる。
ここで、実質的に結晶性の酸化セリウム(セリア)からなる微粒子としては、炭酸セリウムなどのセリウム塩や水酸化セリウム、コロイダルセリアなどを焼成し解砕して得られる焼成型セリアや、セリウムの塩とアルカリ源との反応により合成を行ったコロイダルセリアなどが挙げられる。この実質的に結晶性の酸化セリウム(セリア)からなる微粒子の平均粒子径は、10〜500nmであることが好ましい。また、セリアの結晶子径としては10〜300nmであることが好ましい。
また、セリア−シリカ複合酸化物微粒子とは、少なくとも結晶性のセリアとシリカを含む酸化物微粒子であり、その他の金属、例えばランタン、ジルコニウム、アルミニウム、鉄などを含んでいてもよい。また、セリア中にケイ素やランタン、ジルコニウムやその他の元素が固溶していても構わない。セリア−シリカ複合酸化物微粒子としては、具体的に、次の形態のものを挙げることができる。
1)シリカ微粒子の外層にシリカ層を有し、該シリカ層中にセリア微粒子が分散してなるもの(以下、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)という)。
2)シリカ微粒子中にセリア微粒子が埋没してなるもの。
3)シリカ微粒子表面にセリア微粒子が担持してなるもの。
4)シリカ微粒子の外層にセリア層を有してなるもの。
5)シリカ成分とセリア成分が固溶してなるもの。
1)、2)、3)及び5)の形態の場合のセリア微粒子の平均結晶子径は、10〜50nmであることが好ましい。セリア微粒子の平均結晶子径の測定には、後述するセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の子粒子の測定方法を用いることができる。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子の平均粒子径は、50〜350nmであることが好ましく、70〜260nmであることがより好ましい。
平均粒子径は、電子顕微鏡による画像解析法により測定する。具体的には、後述するセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の母粒子における方法と同様の方法により求めた値をいう。
セリア系微粒子としては、上記例示した微粒子であればよく、結晶性のセリア微粒子でもよいが、特にセリア−シリカ複合酸化物微粒子が好ましく、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)が特に好ましい。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)は、最外層がシリカ層で覆われており、表面は負の電位を有するため安定性に優れている。この最外層のシリカ層は、研磨時の圧力や摩擦力により容易に脱落あるいは剥離することから、結晶性セリアが容易に露出し、シリカの共存下で、セリアの研磨効果が発現する。さらに、結晶性セリアは、シリカ母粒子上に形成されており、母粒子の大きさは焼成型セリアあるいはコロイダルセリアと同等であるため十分な研磨力(研磨速度)を示すが、粒度の揃ったシリカ母粒子をコアとすることで、粒子径分布がシャープとなるため、ディフェクトの発生を抑えることができる。
以下、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)について詳細に説明する。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)は、非晶質シリカを主成分とする母粒子、及び該母粒子の表面に設けられた非晶質シリカを主成分とするシリカ層を有し、該シリカ層に結晶性セリアを主成分とする子粒子が分散している。
このセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)は、例えば、WO2016−159167号の記載の方法により製造することができる。
<母粒子>
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)における母粒子は、非晶質シリカを主成分とする粒子である。シリカは、球形で粒子径が揃い、粒子径バリエーションが揃っているものが得やすい。
母粒子に含まれるシリカが非晶質であることは、例えば、母粒子を乳鉢を用いて粉砕し、従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気株式会社製、RINT1400)によってX線回折パターンを得ることにより確認することができる。非晶質シリカは、Cristobaliteのような結晶性シリカのピークは現れない。
また「主成分」とは、含有率が90質量%以上であることを意味する。すなわち、母粒子において、非晶質シリカの含有率は90質量%以上である。
この含有率は95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましく、99.5質量%以上であることがより好ましく、実質的に非晶質シリカからなることが更に好ましい。ここで「実質的に」とは、原料や製造過程から不可避的に含まれる不純物や破損物は含まれ得るが、それ以外は含まないことを意味する。なお、以下に示す本発明の説明において「主成分」及び「実質的に」は、このような意味で用いるものとする。
母粒子は非晶質シリカを主成分とし、その他のもの、例えば、結晶性シリカや不純物元素を含んでもよい。例えば、母粒子におけるNa、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、及びAlの各元素の含有率は、10ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがより好ましく、1ppm以下であることが更に好ましい。
また、母粒子におけるU、Th、Cl、NO、SOおよびFの各元素の含有率は1ppm以下であることが好ましい。
母粒子におけるNa、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Al、U及びThの含有率が前記含有率の範囲であれば、子粒子が母粒子に対して強固に結合する。
母粒子における上記の各元素の含有率は、以下の方法によって測定するものとする。
初めに、シリカ微粒子(母粒子)を含有するシリカゾル試料約1g(固形分20質量%)を白金皿に採取する。リン酸3ml、硝酸5ml、弗化水素酸10mlを加えて、サンドバス上で加熱する。乾固したら、少量の水と硝酸50mlを加えて溶解させて100mlのメスフラスコにおさめ、水を加えて100mlとする。この溶液でNa、Kは原子吸光分光分析装置(例えば日立製作所社製、Z−2310)で測定する。次に、100mlにおさめた溶液から分液10mlを20mlメスフラスコに採取する操作を5回繰り返し、分液10mlを5個得る。そして、これを用いて、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn、U及びThについてICPプラズマ発光分析装置(例えばSII製、SPS5520)にて標準添加法で測定を行う。ここで、同様の方法でブランクも測定して、ブランク分を差し引いて調整し、各元素における測定値とする。
以下、特に断りがない限り、本発明におけるNa、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、U及びThの成分の含有率(含有量)は、このような方法で測定して得た値を意味するものとする。
母粒子の平均粒子径は30〜350nmであることが好ましく、60〜300nmであることがより好ましい。
母粒子の平均粒子径が上記のような範囲にあると、本発明の分散液を研磨剤として用いた場合にスクラッチが少なくなり、また、分散性もよい。母粒子の平均粒子径が小さすぎると研磨レートが不足したり、粒子の安定性に問題が生じたりするので好ましくない。平均粒子径が大きすぎると、スクラッチが生じやすくなる傾向がある。
母粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡による画像解析法により測定する。
具体的には、初めにセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)へ硝酸を加え子粒子を溶解する。さらに、純水を加え撹拌したのち遠心分離で母粒子を沈降させ、上澄み液を除去する。これを繰り返すことでサンドバス上で加熱、乾固させて母粒子のみを得る。
次に透過型電子顕微鏡により、母粒子を倍率30万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、粒子の最大径を長軸とし、その長さを測定して、その値を長径(DL)とする。また、長軸上にて長軸を2等分する点を定め、それに直交する直線が粒子の外縁と交わる2点を求め、同2点間の距離を測定し短径(DS)とする。そして、長径(DL)と短径(DS)との幾何平均値を求め、これを母粒子の平均粒子径とする。
このようにして50個以上の粒子について平均粒子径を測定し、それらの個数平均値を算出する。このようにして得られた値を本発明の母粒子の平均粒子径とする。
母粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、俵状、繭型、短繊維状、四面体状(三角錐型)、六面体状、八面体状、不定形の他に表面に疣状突起を有するものや、金平糖状のものであってもよく、また、多孔質状のものであってもよいが、球状のものが好ましい。球状とは、母粒子の短径/長径比が0.8以下の粒子個数割合が10%以下のものである。母粒子は、短径/長径比が0.8以下の粒子個数割合が5%以下のものであることがより好ましく、0%のものであることが更に好ましい。
短径/長径比は、後述するセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の短径/長径比の測定方法(画像解析法)と同様の方法で測定する。
<子粒子>
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)は、上記のような母粒子の表面に設けられたシリカ層に、結晶性セリアを主成分とする子粒子が分散している。すなわち、母粒子の表面に、子粒子がシリカ層内で分散した状態で結合している。
結晶性セリアは、次のように確認することができる。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)を、乳鉢を用いて粉砕し、例えば従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気株式会社製、RINT1400)によってX線回折パターンを得ると、セリアの結晶相が検出される。特に好ましくは、セリアの結晶相のみが検出される。
セリアの結晶相としては、Cerianiteが挙げられる。
子粒子は結晶性セリア(結晶性Ce酸化物)を主成分とし、その他のもの、例えばセリウム以外の元素を含んでもよい。
ただし、上記のように、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)をX線回折に供するとセリアの結晶相のみが検出されることが好ましい。すなわち、この場合、セリア以外の結晶相を含んだとしても、その含有率は少ないか、あるいは固溶しているため、X線回折による検出範囲外となる。
なお、「主成分」の定義は前述の通りである。
子粒子について、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)をX線回折に供して測定される、結晶性セリアの最大ピーク高さ、例えば(111)面の結晶子径は10〜50nm(半価全幅が0.86〜0.17°)であり、12〜30nm(半価全幅が0.72〜0.28°)であることが好ましく、13〜22nm(半価全幅が0.66〜0.38°)であることがより好ましい。また、(100)などの他の結晶面が最大ピークであってもよい。なお、本発明におけるセリアの平均結晶子径とは、最大ピーク高さが表れる結晶面の結晶ピークの半値全幅から求めた平均結晶子径をいう。
例えば、結晶性セリアの(111)面の平均結晶子径は、次に説明する方法によって得られる。
初めに、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)を、乳鉢を用いて粉砕し、例えば従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気株式会社製、RINT1400)によってX線回折パターンを得る。そして、得られたX線回折パターンにおける2θ=28度近傍の(111)面のピークの半値全幅を測定し、下記のScherrerの式により、平均結晶子径を求める。
D=Kλ/βCosθ
D:結晶子径(オングストローム)
K:Scherrer定数(本発明ではK=0.94)
λ:X線波長(1.5419オングストローム、Cuランプ)
β:半値全幅(rad)
θ:反射角
子粒子の見かけの平均の大きさは、10〜55nmであることが好ましく、15〜30nmであることがより好ましい。子粒子の形状は、球形であっても矩形であってもよいが、高い研磨速度を実現する点からは矩形が好ましい。母粒子上のセリア粒子は、単分散状態であっても、複数個の粒子が連結した状態であってもよい。子粒子セリアの大きさが55nmより大きいと、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)同士が凝結し解砕が困難となり、スクラッチが増加する傾向にある。
子粒子の大きさは、透過型電子顕微鏡を用いて30万倍に拡大した写真投影図(例えば後述する図2(C))において、任意の50個の子粒子について平均粒子径を測定し、これらを単純平均して得た値を意味する。
<シリカ層>
母粒子の表面に設けられたシリカ層は、非晶質シリカを主成分とする。「主成分」の定義は、前述の通りである。ここで、シリカ層に、セリウム、ランタン、ジルコニウム等が含まれると母粒子との結合が強固となる。本発明のシリカ層は、セリウムが含まれる層(セリウム含有シリカ層)であることが特に好ましい。セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の製造工程においては、セリウムの金属塩を添加して結晶性セリア粒子(子粒子)を形成する工程が存在するが、この工程において、結晶性セリア粒子になりきらなかったセリウム原子が層内に残存し、セリウムを含有する層となりやすい。なお、焼成温度が高くなると、セリウムがシリカ層から拡散し、さらにセリアの結晶が成長するが、このような場合も、上記のようなプロセスを経ている限り強度は損なわれない。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)においては、母粒子と子粒子とのバインダーとなるシリカ層が母粒子の上に形成され、シリカ層内に成長したセリア粒子が分散してなるので、シリカ母粒子とセリア子粒子を強固に結合し、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の安定性がより保たれる。研磨組成物に適用した場合には、セリア粒子の脱落が少なく、セリア粒子の凝集によるスクラッチの発生がより抑制され、さらにセリア子粒子が小さいにもかかわらず基板への砥粒残りも少ない。なお、一部のシリカ層が欠落していても、母粒子上にセリア子粒子を結合させるシリカ層がセリア子粒子を十分に固定しているため、研磨機能的にはなんら問題ない。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)について透過型電子顕微鏡を用いて観察して得られる像(TEM像)では、母粒子の表面に子粒子の像が濃く現れるが、その子粒子の外側、すなわち、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の表面側には、相対的に薄い像として、シリカ層が現れる。また、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)をEDS分析に供し、元素分布を得ると、粒子の表面側にCeが濃縮した部分が現れるが、更にその外側にSiが濃縮した部分が現れる。
また、上記のように透過型電子顕微鏡によって特定した前記シリカ層の部分に電子ビームを選択的に当てたEDS測定を行って当該部分のSi原子数%およびCe原子数%を求めると、Si原子数%が非常に高いことを確認することができる。具体的には、Ce原子数%に対するSi原子数%の比(Si原子数%/Ce原子数%)が0.9以上となる。
このようなシリカ層においては、焼成過程で、当該シリカ層中に分散成長した子粒子(セリア結晶粒子)と母粒子(シリカ粒子)の結合(力)が助長されると考えられる。よって、例えば、本発明の分散液を得る工程で、焼成して得られたセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)について湿式による解砕(凝集体を元の一次粒子に解す操作)を行うことで、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)分散液が得られるが、シリカ層により、子粒子(セリア結晶粒子)が母粒子(シリカ粒子)より外れる事を防ぐ効果があるものと考えられる。この場合、局部的な子粒子の脱落は問題なく、また子粒子の表面までシリカ層で覆われていなくてもよい。子粒子が解砕工程で母粒子から外れない程度の強固さがあればよい。
このような粒子構造により、研磨組成物に用いた場合、研磨速度が高く、面精度やスクラッチの悪化が少ないと考えられる。また、一般的に、焼成セリア粒子は、結晶化しているため粒子表面の−OH基が少なく、また、セリアは、シリカや研磨基板、研磨パッドとは電位が異なり、アルカリpHから中性付近でマイナスのゼータ電位が減少して行き、弱酸性領域では逆のプラスの電位を持つ。そのため、電位の大きさの違いや極性の違いなどで研磨基材や研磨パッドにくっ付き、研磨基板や研磨パッドに残り易い。一方、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)は、最外層の電位がシリカに起因した負電荷で覆われているためマイナスの電位を維持し、研磨基材や研磨パッドへの砥粒残りが起きにくい。
なお、上記のように、前記母粒子の表面に前記子粒子が結合してなる粒子の一部または全体をシリカ層が覆っているが、必ずしもシリカ層は、前記母粒子の表面に前記子粒子が結合してなる粒子の全体を完全に覆っていなくてもよい。すなわち、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の最表面にはシリカ層が存在しているが、シリカ層が存在していても、研磨時にシリカ層が容易に脱落し、基板とセリア子粒子が反応する形態であればよい。さらに、シリカ成分の一部が砥粒分散液に遊離してもよい。それらのシリカは、主にスラリー調製時にpH4〜9とする際に、セリア粒子表面に沈着する。それらのシリカはセリア砥粒の電位を負とすることができる上に、研磨の阻害因子とならずむしろ研磨速度の向上が期待できる。
なお、この最外層のシリカ層は、易溶解性のシリカからなる層(易溶解性シリカ層)であることが好ましい。易溶解性のシリカは、基板と砥粒の凝着作用を有し、さらに研磨基板の水和層(脆弱層)形成を促進させ、その結果、研磨時の摩擦力が向上して研磨速度が向上すると推定している。
<セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)>
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)において、前記母粒子及びシリカ層と、前記子粒子との質量比(MSiO2:MCeO2)は、100:11〜316であることが好ましく、100:30〜230であることがより好ましく、100:30〜150であることが更に好ましく、100:60〜120であることが特に好ましい。母粒子に対する子粒子の量が少なすぎると、母粒子同士が結合し、粗大粒子が発生する場合がある。この場合に本発明の研磨組成物(研磨スラリー)は、研磨基板の表面に欠陥(スクラッチの増加などの面精度の低下)を発生させる可能性がある。また、母粒子に対する子粒子の量が多すぎても、コスト的に高価になるばかりでなく、資源リスクが増大する。更に、粒子同士の融着が進み、粗大化し、研磨基板の表面に欠陥(スクラッチ)を発生させる可能性がある。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)はシリカ微粒子(母粒子)の表面にシリカ層を配し、該シリカ層に粒子状の結晶性セリア(子粒子)が分散しているため、凹凸の表面形状を有している。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の粒度分布は、「粒子連結型」であっても「単分散型」であっても良いが、基板との接触面積を高く保つことができ、研磨速度が速いことから、粒子連結型が望ましい。粒子連結型とは、2以上の母粒子同士が各々一部において結合しているもので、連結は3以下が好ましい。母粒子同士は少なくとも一方(好ましくは双方)がそれらの接点において溶着し、あるいはセリアが介在することで固化した履歴を備えることで、強固に結合しているものと考えられる。ここで、母粒子同士が結合した後に、その表面にセリウム含有シリカ層が形成された場合の他、母粒子の表面にセリウム含有シリカ層が形成された後、他のものに結合した場合であっても、粒子連結型とする。
連結型であると基板との接触面積を多くとることができるため、研磨エネルギーを効率良く基板へ伝えることができる。そのため、研磨速度が高い。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)は、画像解析法で測定された短径/長径比が0.80未満(好ましくは0.67以下)である粒子の個数割合は45%以上であることが好ましい。
ここで、画像解析法で測定された短径/長径比が0.80未満である粒子は、粒子結合型のものと考えられる。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の形状は、格別に制限されるものではなく、粒子連結型粒子であっても、単粒子(非連結粒子)であってもよく、通常は両者の混合物である。
ここで、被研磨基板に対する研磨レート向上を重視する場合は、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の画像解析法で測定された短径/長径比が0.80未満(好ましくは0.67以下)である粒子の個数割合は45%以上(より好ましくは51%以上)であることが好ましい。
また、同じく被研磨基板上の表面粗さが低い水準にあることを重視する場合は、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の画像解析法で測定された短径/長径比が0.80以上(好ましくは0.9以上)である粒子の個数割合は40%以上であることが好ましく、51%以上がより好ましい。
なお、前記粒子連結型粒子とは、粒子間に再分散できない程度の化学結合が生じて粒子が連結してなるもの(凝結粒子)を意味する。また、単粒子とは、複数粒子が連結したものではなく、粒子のモルホロジーに関係なく凝集していないものを意味する。
画像解析法による短径/長径比の測定方法を説明する。透過型電子顕微鏡により、本発明の複合酸化物微粒子を倍率30万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、粒子の最大径を長軸とし、その長さを測定して、その値を長径(DL)とする。また、長軸上にて長軸を2等分する点を定め、それに直交する直線が粒子の外縁と交わる2点を求め、同2点間の距離を測定し短径(DS)とする。これより、短径/長径比(DS/DL)を求める。そして、写真投影図で観察される任意の50個の粒子において、短径/長径比が0.80未満または0.80以上である粒子の個数割合(%)を求める。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)は前述の粒子連結型であることがより好ましいが、その他の形状のもの、例えば球状粒子を含んでいてもよい。
セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)は、比表面積が4〜100m/gであることが好ましく、20〜70m/gであることがより好ましい。
ここで、比表面積(BET比表面積)の測定方法について説明する。
まず、乾燥させた試料(0.2g)を測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料の温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、試料の比表面積を測定する。
このようなBET比表面積測定法(窒素吸着法)は、例えば従来公知の表面積測定装置を用いて行うことができる。
本発明において比表面積は、特に断りがない限り、このような方法で測定して得た値を意味するものとする。
本発明のセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の平均粒子径は50〜350nmであることが好ましく、170〜260nmであることがより好ましい。セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の平均粒子径が50〜350nmの範囲にある場合、研磨組成物に適用した際に砥粒の研磨速度が高くなり好ましい。
ここで、一般に研磨用粒子は50nm以下では砥粒個数は増加するがサイズが小さすぎて個々の砥粒の研磨力が不足するため、研磨速度が遅くなる。本発明のセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)のセリアの平均結晶子径は10〜50nmと小さいが、セリアはコアのシリカ母粒子上に形成された最外層のシリカ層に分散して存在するため、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)のサイズは結晶性のセリア微粒子(焼成型のセリア微粒子)と同等となり、研磨に適した十分なサイズとなる。さらに、セリア子粒子を覆うシリカ層は研磨時の圧力や摩擦力で容易に脱落してセリアが露出するため、高い研磨速度を示す。
<<成分I>>
《リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース》
本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、セルロースユニットの水酸基の少なくとも一部がリン酸エステル化されたものである。すなわち、本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースはリン酸基を備えている。
水酸基は、酸化などの変性を受けていないセルロース固有の水酸基であり、具体的には、セルロースユニットのC2位、C3位又はC6位の水酸基を指す。リン酸基は、このセルロースユニットのC2位、C3位又はC6位の炭素原子に直接又は連結基を介して結合してなるものである。連結基としては、例えば、−CH−O−、−CH−O−CH−などを挙げることができる。
リン酸エステル化によりセルロースユニットに付加されるリン酸基(−OP(OH))は、3個の水素の全部又は一部が、アルキル基、フェニル基等の有機基に置き換わったエステルの形態であってもよく、アンモニウム塩等の塩の形態であってもよい。なお、本発明のアンモニウムには、NH の他、NH の1又は2以上の水素原子が有機基に置換された有機アンモニウムを含む。
具体的には、リン酸エステル化前のミクロフィブリルセルロースのセルロースユニットのC2位とC3位は「−COH」であるが、この「−COH」が、リン酸エステル化して「−C−O−P(OH)」となる。アンモニウム塩の場合は、HがNH4に置換して「−C−O−P(ONH」となる。同様に、C6位の「−CHOH」が、リン酸エステル化して「−CH−O−P(OH)」となり、アンモニウム塩の場合は、「−C−O−P(ONH」となる。
本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、セルロースユニットの水酸基の少なくとも一部がリン酸エステル化されたものであればよいが、リン酸基由来の酸基含有量(リン酸基由来の強酸基含有量及びリン酸基由来の弱酸基含有量の合計)が、0.1〜16.8mmol/gであることが好ましく、0.4〜12.0mmol/gであることがより好ましく、0.6〜8.0mmol/gであることがさらに好ましい。リン酸由来の酸基含有量が上記範囲にあることにより、本発明特有の研磨特性(高研磨速度、低砥粒残等)を有効に実現することができる。また、高い保存安定性、再分散性等を得ることができる。リン酸の酸乖離定数は、強酸のpKa1=2.1、弱酸のpKa2=7.2、pKa3=12.7であることと、研磨時の研磨組成物のpHが5〜6程度であることを考えると、研磨時に、強酸基部分及び弱酸基の一部が乖離して砥粒(金属粒子)に作用しており、これにより研磨性能が向上していると本発明者らは考えている。
リン酸基由来の強酸基含有量としては、0.1〜8.4mmol/gであることが好ましく、0.2〜6.0mmol/gであることがより好ましく、0.3〜4.0mmol/gであることがさらに好ましい。また、リン酸基由来の弱酸基含有量としては、0.1〜8.4mmol/gであることが好ましく、0.2〜6.0mmol/gであることがより好ましく、0.3〜4.0mmol/gであることがさらに好ましい。
なお、本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、水酸基が残存していてもよく、カルボキシ基、アルデヒド基、スルホン酸基、ケトン基等の他の官能基を有していてもよい。
ここで、リン酸基由来の強酸基含有量は、リン酸基を導入した後の微細化したリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースを含むスラリーをそのままイオン交換水で固形分濃度0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定することができる。イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%微細化リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(例えば、アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行う。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離する。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の微細化リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測する。
すなわち、図1に示すように、測定スラリーに水酸ナトリウム水溶液を加えると徐々に電気伝導度が低下していき電気伝導度曲線のクニックを経由してほぼ平坦な滴定曲線が得られる。このクニックに到達した際に用いた水酸化ナトリウム量を、滴定対象スラリー中の固形分で除した値をリン酸基由来の強酸基含有量とする。
なお、さらに水酸化ナトリウム水溶液を加えると、電気伝導度は横這いを続け、その後電気伝導度が上昇していき、その傾きが急峻になる2番目のクニックが現れる。1番目と2番目のクニックの間の滴定に使用した水酸化ナトリウム量、測定対象スラリー中の固形分で除した値を、リン酸基由来の弱酸基含有量とする。
このようなリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースを用いた本発明の研磨組成物は、高い研磨速度を示しかつ低ディフェクトな研磨面が得られる点において優れた性能を示す。また、リン酸エステル化することで、ミクロフィブリルセルロースの分散性がより向上することから、粘度が低く、ろ過性にも優れる。
本発明の研磨組成物におけるリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの含有量としては、100〜20000ppmであることが好ましく、500〜15000ppmであることがより好ましく、1000〜10000ppmであることがさらに好ましく、1000〜8000ppmであることが最も好ましい。100ppmより低いと、研磨特性が向上しないか、向上してもごく僅かとなる場合があり、20000ppmより高いと、増粘するためにハンドリング性が悪くなる傾向にある。
本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、Na及びKの各含有量が100ppm以下であり、50ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましい。さらに、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの各含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。
かかるリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの金属含有量(含有率)は、200℃での灼熱残渣量を基準にリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース重量当たりの含有量として算出する。また、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース中に含まれるNa等の個々の金属含有量(重量)の測定は、セリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の母粒子における測定に準じて行うことができる。
本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの形状としては、数平均繊維径が1〜100nm、数平均繊維長が0.01〜300μm、数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)が10〜3000の繊維状セルロースであることが好ましい。
数平均繊維径としては、上記のように、1〜100nmが好ましいが、分散安定性の点から、2〜100nmがより好ましく、3〜80nmがさらに好ましい。
数平均繊維径1nm未満のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの製造は極めて困難であり、仮に製造できたとしても、研磨速度向上に寄与しないおそれがある。逆に、上記数平均繊維径が100nmを超えると、セルロース分子当たりの酸化基量が少なくなり、砥粒との相互作用が低下するおそれがある。また、上記セルロース繊維の最大繊維径は、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましい。
また、数平均繊維長(繊維の長手方向長さ)としては、上記のように、0.01〜300μmが好ましいが、分散安定性の点から、0.03〜100μmがより好ましく、0.05〜50μmがさらに好ましい。すなわち、数平均繊維長が上記範囲未満であると、擬塑性流動的なレオロジー効果が低下するおそれがあり、逆に、数平均繊維長が上記範囲を超えると、セルロース繊維が沈降してしまい、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができないおそれがある。また、上記セルロース繊維の最大繊維長は、3000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。
数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)としては、上記のように、10〜3000が好ましいが、研磨特性および取扱いの観点から、10〜1000がより好ましく、10〜500がさらに好ましい。
数平均繊維長/数平均繊維径の値が10未満は製造が極めて困難であり、仮に製造できたとしても、研磨パッドからの押し圧を砥粒に効果的に伝達することができず、研磨速度が向上しないおそれがある。逆に、数平均繊維長/数平均繊維径の値が1000を超えると、セルロース繊維の沈降や粘度が上昇し研磨パッド上に均一に研磨組成物が広がらず、研磨組成物としての取扱いが困難になるおそれがある。
本発明の研磨組成物において、砥粒に対する前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの量(質量比)は、優れた研磨性能を示すうえで0.001〜20の範囲が好ましく、0.005〜15の範囲がより好ましく、0.01〜10の範囲がさらに好ましく、0.02〜7.5の範囲が最も好ましい。砥粒に対する前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの量が、0.001未満の場合、砥粒に対するリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース量が不足して研磨速度が上がり難い傾向がある。また、砥粒に対する前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの量が20を超える場合、砥粒個数に対してリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース量が過剰となり、研磨性能の向上が見られない傾向がある。
上記本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの数平均繊維径、数平均繊維長、最大繊維長、最大繊維径の測定は、例えば、特許5744775号の段落[0023]の記載の方法(繊維径)、及びこれに準拠した方法(繊維長)により行うことができる。
すなわち、数平均繊維径は、例えば次のようにして行うことができる。固形分率で0.05〜0.1質量%の微細セルロースの水分散体を調製し、その分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5,000倍、10,000倍あるいは50,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径のデータにより、数平均繊維径および最大繊維径を算出する。
本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、通常、I型結晶構造を有する。I型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定において、2θ=14〜17°付近及び2θ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークを示すことから同定することができる。
<製造方法>
続いて、上記説明した本発明で用いるリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの製造方法について説明する。かかるリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの製造方法としては、セルロースユニットの水酸基の少なくとも一部をリン酸エステル化できる方法であれば特に制限されるものではなく、従来公知の方法によって製造することができる。具体的には、特表平9−509694号公報、特開2010‐186124号公報、特開2011−1559号公報、国際公開第2013/073652号、特開2017−25468号公報記載の方法などを例示することができる。
例えば、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物を作用させることにより製造することができる。このとき、必要に応じて、尿素又はその誘導体を共存させる。また、いずれかの過程で、微細化処理することが好ましい。
セルロースを含む繊維原料としては、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、バガスパルプ、麦わらパルプ、竹等を例示することができる。
また、リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸アンモニウム塩、リン酸アルカリ金属塩(ナトリウム塩やカリウム塩等)を挙げることができる。ここで、アンモニウム塩には、NH の他、NH の1又は2以上の水素原子が有機基に置換された有機アンモニウム塩を含む。
リン酸アンモニウム塩としては、例えば、リン酸三アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等を例示することができる。リン酸アルカリ金属塩としても同様に、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等を例示することができる。
これらの中でも、金属汚染を防止でき、半導体基板の研磨に好適に用いることができることから、リン酸、リン酸アンモニウム塩が好ましく、リン酸アンモニウム塩が特に好ましい。
また、リン酸基の水素原子がアンモニウムに置換されたアンモニウム型リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、次のような方法によっても製造することができる。
例えば、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースを含む分散液をイオン交換樹脂を用いてイオン交換することにより、リン酸基(−OP(OH))を有するリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースを含む分散液を調製し、アンモニア又はアミンを添加する。これにより、リン酸基の水素原子がアンモニウム等に変換されたアンモニウム型リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースを得ることができる。ここで、イオン交換樹脂としては、強酸性型の陽イオン交換樹脂又は両イオン交換樹脂が好ましい。なお、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースを含む分散液のイオン交換樹脂によるイオン交換は、pH4以下になるまで行うことが望ましい。また、このイオン交換後のアンモニア又はアミンの添加は、pH8以上となるまで添加することが望ましい。
より具体的には、例えば、2.0質量%のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース分散液100gに対して、再生された陽イオン交換樹脂を用いてpH4以下となるまでイオン交換した後、pH8となるまで5%水酸化アンモニウム溶液を添加する。これにより、アンモニア型リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース分散液を得ることができる。
また、原料のセルロース繊維が微細化されていないものなどの場合には、必要に応じてセルロース繊維を微細化する(ミクロフィブリルセルロース化する)。例えば、セルロース繊維を、分散媒体中に分散(解繊)させて微細化する。分散媒としては、水や有機溶媒を用いることができる。分散装置としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高速せん断ミキサー、超音波分散処理装置、レファイナー、ビーター等を用いることができる。
さらに、必要に応じて、不純分除去処理や、遠心分離処理を行うことが好ましい。
[不純分除去工程]
半導体分野への使用を可能とするためには、アルカリ金属等を除去することが好ましい。また、アルカリ金属と同様に、アルカリ土類金属、遷移金属を除去することが好ましい。
具体的には、イオン交換法、洗浄法などが挙げられるが、効率面からイオン交換法が好ましい。イオン交換法は、少なくともアルカリ金属に対するイオン交換能を有するものを用いればよく、必要に応じて、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属に対するイオン交換能を有するイオン交換樹脂を用いることができる。アルカリ金属、アルカリ土類金属を効率的に除去するためには、強酸性型の陽イオン交換樹脂が好ましく、また遷移金属を効率的に除去するためには、キレート型イオン交換樹脂が好ましく、更にこれらを組み合わせて行うことが最も好ましい。
[遠心分離工程]
さらに、ミクロフィブリルセルロースを遠心分離することが好ましい。この工程では、繊維長の短いセルロース繊維と繊維長の長いセルロース繊維の分離を行う。本工程を設けることにより、最適な繊維長のセルロース繊維を得ることができ、これによりさらに研磨速度を向上させることができる。
遠心分離の方式は、バッチ式、連続式に分類され、連続式遠心分離機は、沈降物の自動排出式、清澄液の自動排出式や、ローター内部に分離板を備えたものや、ローターが円筒型、ボウル型など様々に分類される。十分な遠心加速度がかけられ、更に繊維長の長い成分と短い成分が十分に分離できれば、方式は特に限定されないが、これらをほぼ完全に分離するためには、バッチ式で行い、その後、水を加え、デカンテーションを行う方法が望ましい。繊維長の短いセルロース繊維を含む層(少し濁りのある上澄み層)は粘度が低く、繊維長の長いセルロース遷移を含む層(半透明の下層)は粘度が非常に高いため、デカンテーションによる分離は容易である。
[pH調整工程等]
遠心分離工程においてデカンテーションを行った後は、必要に応じて無機酸、有機酸、アンモニア、アミンなどでpHを調整することができる。セルロース繊維は概ね中性であるが、砥粒のpHと大きく異なる場合は、砥粒と混合した場合にpHショックで砥粒の凝集が生じる可能性があるため、あらかじめ砥粒のpHと合わせることができる。
またデカンテーションして得られた下層のセルロース繊維は、非常に粘度が高く取扱い難いため、イオン交換水を加えて濃度を下げて粘度調整することもできる。
<<成分II>>
《ミクロフィブリルセルロース》
本発明のミクロフィブリルセルロースとしては、例えば、天然由来のセルロース固体(パルプ)原料を機械的に解繊して微細化したもの(以下、機械的微細化ミクロフィブリルセルロースということがある)を使用することができる。セリア系複合粒子、及びこの機械的微細化ミクロフィブリルセルロースを用いた研磨組成物の効果を確認したところ、研磨速度の向上は認められなかったが、これらにリン酸化合物を併用することにより、研磨速度の向上がみられた。
具体的に、機械的微細化ミクロフィブリルセルロースとしては、スギノマシン社製WMa−10002、中越パルプ社製CeNF−1、旭化成株式会社製セオラスDF−17等を用いることができる。
本発明のミクロフィブリルセルロースとしては、上記機械的微細化ミクロフィブリルセルロース以外に、セルロースユニットの水酸基の少なくとも一部がカルボキシ基に酸化された変性ミクロフィブリル(以下、酸化変性ミクロフィブリルセルロースということがある)を用いることができる。この酸化変性ミクロフィブリルセルロースは、通常は、セルロースユニットのC2、C3、C6位の水酸基の少なくとも一部がカルボキシ基に酸化されている。
このような酸化変性ミクロフィブリルセルロースにおいては、カルボキシ基以外に所望により水酸基又はカルボキシ基以外の有機基や、イオン交換能を持つ-SOHなどの無機官能基、あるいはカルボメチル基などを有していてもよい。水酸基は、酸化などの変性を受けていないセルロース固有の水酸基を意味し、具体的には、セルロースユニットのC2位、C3位又はカルボキシ基に酸化されていないC6位の水酸基を指す。また、有機基は、セルロースユニットのC2位、C3位又はカルボキシ基に酸化されていないC6位の炭素原子に直接又は連結基を介して結合してなるものである。このような連結基の例として、−CH−O−、−CH−O−CH−を挙げることができる。さらに、変性ミクロフィブリルセルロースのカルボキシ基は、カルボキシ基の水素原子がアンモニウムに置換された構造であってもよく、本明細書におけるアンモニウムには、NH の他、NH の1又は2以上の水素原子が有機基に置換された有機アンモニウムを含む。このようなカルボキシ基(アンモニウム等の塩を含む)は、連結基を介して炭素原子と結合していてもよい。このような連結基の例として、−CH−O−、-CH-O-CH-を挙げることができる。
本発明の研磨組成物におけるミクロフィブリルセルロースの含有量としては、100〜20000ppmであることが好ましく、500〜15000ppmであることがより好ましく、1000〜10000ppmであることがさらに好ましく、1000〜8000ppmであることが最も好ましい。100ppmより低いと、研磨特性が向上しないか、向上してもごく僅かとなる場合があり、20000ppmより高いと、増粘するためにハンドリング性が悪くなる傾向にある。
本発明のミクロフィブリルセルロースは、Na及びKの各含有量が100ppm以下であり、50ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましい。さらに、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの各含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。
かかるミクロフィブリルセルロースの金属含有量(含有率)の算出及び個々の金属含有量(重量)の測定は、上記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースにおけるものと同様である。
このようなミクロフィブリルセルロースとしては、カルボキシ基の水素原子がアンモニウムに置換されたアンモニウム型酸化変性ミクロフィブリルセルロースを好適に例示することができる。すなわち、通常の酸化変性ミクロフィブリルセルロースの製造においては、Na又はKを含む試薬を用いて処理することから、カルボキシ基の水素原子がNa又はKに置換され、製造された酸化変性ミクロフィブリルには100ppm超のNa又はKを含んでいるが、これをアンモニウムに変換してNa等を除去する。ここで、アンモニウムとは、NH の他、NH の1又は2以上の水素原子が有機基に置換された有機アンモニウムを含む。これにより、金属汚染を防止できると共に、研磨速度をより向上させることができる。なお、Na及びKの除去と同時に、他の金属も同時に除去することができる。
本発明の酸化変性ミクロフィブリルセルロースは、酸化変性により、水酸基の一部がアルデヒド基やケトン基に変換されていてもよい。
本発明の酸化変性ミクロフィブリルセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されているかどうかは、例えば、13C−NMRチャートにより確認することができる。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後には消失しており、それと同時にカルボキシル基に由来するピーク(178ppm)が現れる。
本発明の酸化変性ミクロフィブリルセルロースにおけるカルボキシル基の含有量としては、0.5〜2.8mmol/gであることが好ましく、0.8〜2.8mmol/gであることがより好ましく、1.0〜2.8mmol/gであることがさらに好ましい。カルボキシル基の含有量が上記範囲にあることにより、本発明特有の研磨特性(高研磨速度、低砥粒残等)をより有効に実現することができる。また、高い保存安定性、再分散性等を得ることができる。このカルボキシ基の含有量の測定は、例えばWO2011/074301の段落[0044]に記載の方法で実施することができる。
本発明のミクロフィブリルセルロースの形状としては、数平均繊維径が1〜100nm、数平均繊維長が0.01〜300μm、数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)が10〜3000の繊維状セルロースであることが好ましい。
数平均繊維径としては、上記のように、1〜100nmが好ましいが、分散安定性の点から、2〜100nmがより好ましく、3〜80nmがさらに好ましい。
数平均繊維径1nm未満のミクロフィブリルセルロースの製造は極めて困難であり、仮に製造できたとしても、研磨速度向上に寄与しないおそれがある。逆に上記数平均繊維径が100nmを超えると、セルロース分子当たりの酸化基量が少なくなり、砥粒との相互作用が低下するおそれがある。また、上記セルロース繊維の最大繊維径は、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましい。
また、数平均繊維長(繊維の長手方向長さ)としては、上記のように、0.01〜300μmが好ましいが、分散安定性の点から、0.03〜100μmがより好ましく、0.05〜50μmがさらに好ましい。すなわち、数平均繊維長が上記範囲未満であると、擬塑性流動的なレオロジー効果が低下するおそれがあり、逆に数平均繊維長が上記範囲を超えると、セルロース繊維が沈降してしまい、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができないおそれがある。また、上記セルロース繊維の最大繊維長は、3000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。
数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)としては、上記のように、10〜3000が好ましいが、研磨特性および取扱いの観点から、10〜1000がより好ましく、10〜500がさらに好ましい。
数平均繊維長/数平均繊維径の値が10未満は製造が極めて困難であり、仮に製造できたとしても、研磨パッドからの押し圧を砥粒に効果的に伝達することができず、研磨速度が向上しないおそれがある。逆に、数平均繊維長/数平均繊維径の値が1000を超えると、セルロース繊維の沈降や粘度が上昇し研磨パッド上に均一に研磨組成物が広がらず、研磨組成物としての取扱いが困難になるおそれがある。
本発明の研磨組成物において、砥粒に対するミクロフィブリルセルロースの質量比(ミクロフィブリルセルロース/砥粒)は、優れた研磨性能を示すうえで0.001〜20の範囲が好ましく、0.005〜15の範囲がより好ましく、0.01〜10の範囲がさらに好ましく、0.02〜7.5の範囲が最も好ましい。砥粒に対する前記ミクロフィブリルセルロースの量が、0.001未満の場合、砥粒に対するミクロフィブリルセルロース量が不足して研磨速度が上がり難い傾向がある。また、砥粒に対する前記変性ミクロフィブリルセルロースの量が20を超える場合、砥粒個数に対してミクロフィブリルセルロース量が過剰となり、研磨性能の向上が見られない傾向がある。
上記本発明のミクロフィブリルセルロースの数平均繊維径、数平均繊維長、最大繊維長、最大繊維径の測定は、上記本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースにおけるものと同様である。
<製造方法>
続いて、上記説明した本発明で用いるミクロフィブリルセルロースの製造方法について説明する。
(機械的微細化ミクロフィブリルセルロースの製法)
本発明の機械的微細化ミクロフィブリルセルロースは、例えば、以下の機械的解繊工程により製造することができる。
[機械的解繊工程]
セルロースを含む繊維原料を水(分散媒体)に分散させた後、ニーダー、湿式解砕機等のせん断力の大きな解繊機でスラリー化する。天然セルロースが増粘し、分散を見定めた段階で終了とする。ここで、セルロースを含む繊維原料としては、植物由来のセルロースを挙げることができ、具体的に、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、バガスパルプ、麦わらパルプ、竹等を例示することができる。
(酸化変性ミクロフィブリルセルロースの製法)
酸化変性ミクロフィブリルセルロースの製造方法としては、セルロースユニットのC6位の水酸基の少なくとも一部を酸化できる方法であれば特に制限されるものではなく、従来公知の方法によって製造することができる。具体的には、特開2009−243014号公報記載の方法や、特開2013−181169号公報記載の方法などを例示することができる。
本発明で用いる酸化変性ミクロフィブリルセルロースは、上記機械的解繊工程に続いて、酸化反応工程、精製工程、微細化工程などを経て製造することができる。
[酸化反応工程]
上記機械的解繊工程で得た天然セルローススラリーと、N−オキシル化合物とを水(分散媒体)に分散させた後、共酸化剤を添加して、反応を開始する。反応進行に伴ってカルボキシ基が生成され、pHが低下することから、アルカリ水溶液等により、pHを9〜12、好ましくは10〜11に保ち、pHの低下がなくなるまで反応を進める。ここで、共酸化剤とは、酸化触媒として用いられるN−オキシル化合物を酸化する物質であり、例えば、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸や、それらの塩を用いることができる。これらの中でも、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等の次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩が好ましい。
なお、酸化反応工程における処理は、上記に限られたものではなく、オゾン、オゾンあるいは酸素含有マイクロナノバブルを用いることもできる。
また、上記N−オキシル化合物としては、例えば、一般に酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルを有する化合物を挙げることができる。上記N−オキシル化合物は、水溶性の化合物が好ましく、具体的に、ピペリジンニトロキシオキシラジカルが好ましく、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)が特に好ましい。
[還元工程]
酸化反応工程後、必要に応じて、還元処理を施すことができる。本工程においては、上記酸化反応処理において生成したアルデヒド基やケトン基を水酸基に還元する。具体的には、酸化反応後のセルロースを水に分散し、pHを10程度に調整して、NaBH等の各種還元剤により還元を行う。
[精製工程]
本工程では、未反応の共酸化剤等の各種副生成物等を除去する。精製方法としては、水洗等の通常の精製方法を採用することができる。
[微細化工程]
本工程では、精製したセルロース繊維を、分散媒体中に分散(解繊)させ、微細化処理されたセルロース繊維の分散体を得る。分散媒としては、水や有機溶媒を用いることができる。分散装置としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高速せん断ミキサー、超音波分散処理装置、レファイナー、ビーター等を用いることができる。この分散体を乾燥することによって、本発明で用いる酸化変性ミクロフィブリルセルロースを得ることができる。なお、分散体を乾燥することなく、そのまま分散体の状態で研磨剤組成物に用いてもよい。
[不純分除去工程]
微細化工程で得られる分散液中に含まれるアルカリ金属を除去することが好ましい。分散液は、製法上Na等のアルカリ金属を含んでいるので、半導体分野等に用いるのには好ましくない。本工程においてアルカリ金属等を除去することにより、半導体分野への使用が可能となる。また、アルカリ金属と同様に、アルカリ土類金属、遷移金属を除去することが好ましい。なお、具体的な方法は、上記本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースにおける方法と同様である。
[アンモニア変換工程]
不純分除去工程と同時若しくは後に、酸化変性ミクロフィブリルセルロースをアンモニウム型酸化変性ミクロフィブリルセルロースとすることが好ましい。例えば、酸化変性ミクロフィブリルセルロースを含む分散液を、イオン交換樹脂を用いてイオン交換した後、アンモニア又はアミンを添加することにより、カルボキシ基の水素原子がアンモニウム等に変換されたアンモニウム型酸化変性ミクロフィブリルセルロースとすることができる。ここで、イオン交換樹脂としては、強酸性型の陽イオン交換樹脂が好ましい。
なお、アンモニウム型酸化変性ミクロフィブリルセルロースを含む研磨組成物を調製する場合、砥粒の添加は、いずれの時期に行ってもよい。すなわち、砥粒は、イオン交換の前又は後に添加することができ、また、アンモニア又はアミンを添加する前又は後に行うことができる。
具体的には、酸化変性ミクロフィブリルセルロースを含む分散液を、イオン交換樹脂を用いてイオン交換した後、アンモニア又はアミンを添加し、砥粒を添加することができる。また、酸化変性ミクロフィブリルセルロースを含む分散液を、イオン交換樹脂を用いてイオン交換した後、砥粒を添加し、アンモニア又はアミンを添加することができる。さらに、酸化変性ミクロフィブリルセルロース及び砥粒を含む分散液を、イオン交換樹脂を用いてイオン交換した後、アンモニア又はアミンを添加することができる。
[遠心分離工程]
さらに、微細化工程後に、不純分を除去したセルロース繊維を遠心分離することが好ましい。この工程では、繊維長の短いセルロース繊維と繊維長の長いセルロース繊維の分離を行う。本工程を設けることにより、最適な繊維長のセルロース繊維を得ることができ、これによりさらに研磨速度を向上させることができる。なお、具体的な方法は、上記本発明のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースにおける方法と同様である。
[pH調整工程等]
遠心分離工程においてデカンテーションを行った後は、必要に応じて無機酸、有機酸、アンモニア、アミンなどでpHを調整することができる。セルロース繊維は概ね中性であるが、砥粒のpHと大きく異なる場合は、砥粒と混合した場合にpHショックで砥粒の凝集が生じる可能性があるため、あらかじめ砥粒のpHと合わせることができる。
またデカンテーションして得られた下層のセルロース繊維は、非常に粘度が高く取扱い難いため、イオン交換水を加えて濃度を下げて粘度調整することもできる。
《リン酸化合物》
本発明のリン酸化合物としては、リン酸(オルトリン酸)、縮合リン酸、有機リン酸(リン酸エステル)や、これらの塩などを用いることができる。縮合リン酸及びその塩としては、鎖状又は環状のポリリン酸及びその塩、メタリン酸(ガラス状リン酸)及びその塩、ウルトラリン酸塩等を挙げることができる。鎖状ポリリン酸としては、例えば、重合度(n)が2〜6のものを挙げることができ、具体的には、ピロリン酸(n=2)、トリポリリン酸(n=3)、テトラポリリン酸(n=4)等を例示することができる。環状のポリリン酸としては、例えば、重合度(n)が2〜8のものを挙げることができ、具体的には、三メタリン酸、四メタリン酸等を例示することができる。
また、有機リン酸は、リン酸や縮合リン酸の水素原子の全てまたは一部が有機基で置き換わった構造を持つものである。
塩としては、ナトリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができるが、金属汚染を抑制する点からアンモニウム塩が好ましい。なお、リン酸塩としては、正塩、水素塩、酸性塩が挙げられる。
本発明の研磨スラリー調製時のリン酸化合物の添加方法(混合方法)としては、本発明の効果が奏される範囲で特に制限されず、例えば、砥粒分散液及びミクロフィブリルセルロース分散を混合した後にリン酸化合物を混合してもよいし、砥粒分散液及びリン酸化合物を予め混合した後ミクロフィブリルセルロース分散液と混合してもよいし、ミクロフィブリルセルロース分散液及びリン酸化合物を予め混合した後砥粒分散液と混合してもよい。この際、リン酸化合物は、希釈せずに添加してもよいが、希釈してリン酸化合物溶液として添加することが好ましい。リン酸化合物溶液におけるリン酸化合物の濃度としては、0.1〜30%が好ましい。
なお、ミクロフィブリルセルロースを含む分散液にリン酸化合物を添加する際は、リン酸化合物がミクロフィブリルセルロース全体に行きわたるように、ミクロフィブリルセルロースを含む分散液を撹拌しながら添加することが好ましい。撹拌方法は、均一に混合できれば特に制限されず、従来公知の方法で行うことができる。この際、撹拌と同時に、加熱処理を行うことが好ましい。
研磨組成物におけるリン酸化合物の含有量としては、10質量ppm〜5質量%であることが好ましく、30質量ppm〜3質量%であることがより好ましく、50質量ppm〜1質量%であることがさらに好ましい。リン酸化合物の含有量がこの範囲にあることにより、有効に本発明の効果を発揮することができる。リン酸化合物の含有量が10質量ppm未満であるとリン酸化合物の効果を十分に発揮できないおそれがあり、また、リン酸化合物の含有量が5質量%を超えても効果の向上はみられず、過剰量となる。
<<分散媒>>
本発明の分散媒は、好ましくは水を主成分とする。なお、「主成分」の定義は、前述の通りである。分散媒としては、例えば純水、超純水、イオン交換水のような水を用いることができる。また、分散媒は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などを例示することができる。
<<研磨組成物のその他の条件等>>
<不純分含有量>
本発明の研磨組成物は、Na、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U及びThの各含有量が固形分重量当たり100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。
かかる研磨組成物の金属含有量(含有率)は、研磨組成物の200℃での灼熱残渣量(固形分量)を基準に算出する。また、研磨組成物中に含まれるNa等の個々の金属含有量(重量)の測定は、上述のセリア−シリカ複合酸化物微粒子(1)の母粒子における測定に準じて行うことができる。
上記各金属の含有量が固形分重量当たり100ppm以下であることにより、金属汚染を防止でき、半導体基板の研磨に好適に用いることができる。また、砥粒の安定性がより増すので、スクラッチの発生がより抑制される。
<本発明の研磨組成物の固形分濃度>
本発明の研磨組成物に含まれる固形分の濃度は0.1〜30質量%の範囲にあることが好ましい。この固形分濃度が低すぎると研磨速度が低下する可能性がある。逆に固形分濃度が高すぎても研磨速度が濃度に比例してはそれ以上向上しなくなるためする場合は少ないので、不経済となり得る。
研磨組成物に含まれる固形分濃度は、200℃の灼熱残渣の重量を計量することにより測定することができる。
<pH条件>
本発明の研磨組成物は、pH4〜9であることが好ましい。pHが4未満であると、本発明のセリア系複合微粒子中のセリアの溶出の可能性があり、また、酸化還元電位が変化するため、研磨速度の低下あるいは不安定化が起こるおそれがある。また、(リン酸エステル化)ミクロフィブリルセルロースの流動電位も低下する傾向にある。pHが9を超えると、セリア系複合微粒子中のシリカの溶出によるpH変化が生じやすくなる。また、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースのリン酸基におけるイオン交換や乖離等によるpH変化や、変性ミクロフィブリルセルロースの‐CO‐ONa基又は‐CO‐OH基におけるイオン交換等によるpH変化が生じやすくなり、研磨特性が変化するおそれがある。
研磨組成物をpH7以上に調整するときは、pH調整剤として、アルカリ性のものが使用される。望ましくは、アンモニア水、炭酸アンモニウム、エチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミンなどのアミンが使用される。
研磨組成物をpH7未満に調整するときは、pH調整剤として、酸性のものが使用される。例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリセリン酸などのヒドロキシ酸類の様な有機酸や、塩酸、硝酸などの鉱酸が使用される。
<pH緩衝・イオン強度条件>
本発明の研磨組成物においては、0.0001〜0.13mol/L、好ましくは0.0003〜0.1mol/Lの酢酸基又は硝酸基を含む酸成分と、0.003〜0.13mol/L、好ましくは0.01〜0.1mol/Lのアンモニウム又はアミンを含む塩基成分と含むことが好ましい。これにより、pHの安定化による研磨特性の安定化が図られると同時にイオン強度の上昇による研磨速度の向上が図られる。
酸成分としては、硝酸塩、酢酸塩などを用いることができる。塩基成分としては、アンモニウム又はアミンを含む化合物などを用いることができる。具体的には、アンモニウム、アミンを含む硝酸塩、酢酸塩などを用いることができる、一塩基酸である硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウムが特に好ましい。
本発明の研磨組成物(研磨用スラリー)のイオン強度としては、0.007以上のものであることが好ましい。研磨組成物のイオン強度が0.007以上である場合、研磨速度の改善が見られる。このイオン強度の上限は0.1程度であり、0.01〜0.04であることがより好ましい。なお、本発明の研磨組成物のイオン強度は、下式から算出される値を意味するものとする。
Figure 2019198622
ここで式中のJはイオン強度を表す。Ciは各イオンのモル濃度を表し、Ziは各イオンの価数を表す。なお、各イオンのモル濃度は、各物質の研磨組成物のpHにおいて解離する物質のイオン濃度であるため、各物質の酸解離定数pKaあるいは塩基解離定数pKbを用いて算出する。研磨組成物にAとBとに解離する塩を添加する場合は、酸AH、塩基BOHとに分け、AとH、及びBとOH各々のイオン濃度を算出する。またpH調整などで使用する酸についても同様でAHをAとHと分けて計算し、上記計算式にあてはめて算出する。
<研磨促進剤>
本発明の研磨組成物には、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の研磨促進剤を使用することができる。この様な例としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素など及びこれらの混合物を挙げることができる。このような過酸化水素等の研磨促進剤を含む研磨組成物を用いると、被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。
研磨促進剤の別の例としては、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、フッ酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩及びこれらの混合物などを挙げることができる。これらの研磨促進剤を含む研磨組成物の場合、複合成分からなる被研磨材を研磨する際に、被研磨材の特定の成分についての研磨速度を促進することにより、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
本発明の研磨組成物が研磨促進剤を含有する場合、その含有量としては、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
<界面活性剤及び/又は親水性化合物>
本発明の研磨組成物の分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤又は親水性化合物を添加することができる。界面活性剤と親水性化合物は、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。界面活性剤及び/又は親水性化合物としては、例えば、以下の群から選ばれるものを使用することができる。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキル及びアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。その他に、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤としては陰イオン界面活性剤もしくは非イオン系界面活性剤が好ましく、また、塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩及びカリウム塩が好ましい。
更に、その他の界面活性剤、親水性化合物等としては、グリセリンエステル、ソルビタンエステル及びアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマ;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等を挙げることができる。
なお、半導体集積回路用シリコン基板などの場合であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はハロゲン化物等による汚染の影響を嫌う場合にあっては、酸もしくはそのアンモニウム塩系の界面活性剤を使用することが望ましい。
本発明の研磨組成物が界面活性剤及び/又は親水性化合物を含有する場合、その含有量は、総量として、研磨用スラリーの1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが特に好ましい。
界面活性剤及び/又は親水性化合物の含有量は、充分な効果を得る上で、研磨用スラリーの1L中、0.001g以上が好ましく、研磨速度低下防止の点から10g以下が好ましい。
界面活性剤又は親水性化合物は1種のみでもよいし、2種以上を使用してもよく、異なる種類のものを併用することもできる。
<複素環化合物>
本発明の研磨組成物については、被研磨基材に金属が含まれる場合に、金属に不動態層又は溶解抑制層を形成させて、被研磨基材の侵食を抑制する目的で、複素環化合物を含有させても構わない。ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾールなどを用いることができる。より具体的には、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の研磨組成物に複素環化合物を配合する場合の含有量については、0.001〜1.0質量%であることが好ましく、0.001〜0.7質量%であることがより好ましく、0.002〜0.4質量%であることが更に好ましい。
<ナノバブル(微細気泡)>
本発明の研磨組成物は、研磨性能の向上、研磨組成物における経時での藻類、黴等の菌類及び卵菌類の発生、成長の抑制効果による基板への有機汚染防止や、製造工程あるいは製品の希釈工程において、ナノバブル水溶液を用いることによる殺藻、殺菌効果によるろ過性などの安定性、外観維持あるいは濃縮安定性の向上又は濾過性の向上を目的として、ナノバブル(微細気泡)を添加することができる。ナノバブルとしては、平均気泡径が50〜500nmの範囲のナノバブルが好適に使用される。ナノバブルに含まれる気体の種類については、ナノバブルの破裂により、組成物成分に由来するミクロゲルを解砕する効果が発揮できるものであれば特に限定されるものではないが、通常は、空気、N2、H2及びO2からなる群より選ばれる少なくとも1つから実質的になることが好ましい。ナノバブルに含まれる気体は、特には非酸化性ガスであることが好ましく、このような例としては、N2またはH2を挙げることができる。
研磨組成物へナノバブルを加える方法については、特に限定されるものではないが、例えば、研磨組成物を5〜80℃に保持しつつ、ナノバブルを含む水溶液を添加し混合する方法がとられる。ここで、ナノバブル水溶液としては、平均気泡径が50〜500nmの範囲のナノバブルが105個/mL以上含まれるナノバブル水溶液が好適に使用される。
[実施例1] 本発明の成分I)を用いる例
<準備例1−1> セリア系複合微粒子の調製
《シリカゾル(平均粒子径63nm)》の調製
エタノール12,090gと正珪酸エチル6,363.9gとを混合し、混合液a1とした。
次に、超純水6,120gと29%アンモニア水444.9gとを混合し、混合液b1とした。
次に、超純水192.9gとエタノール444.9gとを混合して敷き水とした。
そして、敷き水を撹拌しながら75℃に調整し、ここへ、混合液a1及び混合液b1を、各々10時間で添加が終了するように、同時添加を行った。添加が終了したら、液温を75℃のまま3時間保持して熟成させた後、固形分濃度を調整し、SiO固形分濃度19質量%、画像解析法により測定された平均粒子径63nmのシリカゾルを9,646.3g得た。
《シリカゾル(平均粒子径113nm)》の調製
メタノール2,733.3gと正珪酸エチル1,822.2gとを混合し、混合液a2とした。
次に、超純水1,860.7gと29%アンモニア水40.6gとを混合し、混合液b2とした。
次に、超純水59gとメタノール1,208.9gとを混合して敷き水として、前工程で得た平均粒子径60nmのシリカゾル922.1gを加えた。
そして、シリカゾルを含んだ敷き水を撹拌しながら65℃に調整し、ここへ、混合液a2及び混合液b2を、各々18時間で添加が終了するように、同時添加を行った。添加が終了したら、液温を65℃のまま3時間保持して熟成させた後、固形分濃度(SiO固形分濃度)を19質量%に調整し、3,600gの高純度シリカゾルを得た。
この高純度シリカゾルに含まれる粒子は、画像解析法により測定した平均粒子径が113nmであった。また、原子吸光分光分析またはICP測定によるアルカリ、アルカリ土類金属等やU、Th、Cl、NO、SO、Fの含有率は1ppm以下であった。
次に、この高純度シリカゾル1,053gに陽イオン交換樹脂(三菱化学社製SK−1BH)114gを徐々に添加して30分間攪拌し樹脂を分離した。この時のpHは5.1であった。
得られたシリカゾルに超純水を加えて、SiO固形分濃度3質量%のA液6,000gを得た。
<セリア系複合微粒子の調製>
次に、硝酸セリウム(III)6水和物(関東化学社製、4N高純度試薬)にイオン交換水を加え、CeO換算で2.5質量%のB液を得た。
次に、A液(6,000g)を50℃まで昇温して、強撹拌しながら、ここへB液(8,453g、SiOの100質量部に対して、CeOが117.4質量部に相当)を18時間かけて添加した。この間、液温を50℃に維持しておき、また、必要に応じて3%アンモニア水を添加して、pH7.85を維持するようにした。
そして、B液の添加が終了したら、液温を93℃へ上げて4時間熟成を行った。熟成終了後に室内に放置することで放冷し、室温まで冷却した後に、限外膜にてイオン交換水を補給しながら洗浄を行った。洗浄を終了して得られた前駆体粒子分散液は、固形分濃度が7質量%、pHが9.1(25℃にて)、電導度が67μs/cm(25℃にて)であった。
次に得られた前駆体粒子分散液に5質量%酢酸を加えてpHを7に調整して、100℃の乾燥機中で16時間乾燥させた後、1090℃のマッフル炉を用いて2時間焼成を行い、粉体を得た。
得られた粉体125gにイオン交換水375gを加え、さらに3%アンモニア水溶液を用いてpHを9に調整した後、φ0.22mmの高純度シリカビーズ(大研化学工業株式会社製)にて湿式解砕(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)を行い、固形分濃度20質量%のセリア系複合微粒子分散液540gを得た。解砕後に44メッシュの金網を通してビーズを分離し、イオン交換水で押水をした。得られた分散液の固形分濃度は3.1質量%であった。なお、解砕中にはアンモニア水を添加してpHを9.0に保った。
さらに、焼成紛体解砕分散液を遠心分離装置(日立工機株式会社製、型番「CR21G」)にて1700Gで、102秒間処理し、軽液を回収した。得られた軽液をロータリーエバポレーターで濃縮し、次いでイオン交換水で希釈して濃度を20%濃度に調整し、さらに3μmのフィルター(アドバンテック東洋社製CCP-3-D1B)でろ過して、セリア系複合微粒子分散液を得た。得られたセリア系複合微粒子の固形分濃度は20%であった。
得られたセリア系複合微粒子分散液が含むセリア系複合微粒子についてX線回折法によって測定したところ、Cerianiteの回折パターンが見られた。
また、準備例1−1で得られたセリア系複合微粒子分散液が含むセリア系複合微粒子についてSEM,TEMを用いて観察した。SEM像とTEM像(100,000倍)を図2(a)、(b)に示す。また、子粒子の粒子径を測定した透過電顕像(300,000倍)を図2(c)に示す。
さらに、準備例1−1で得られたセリア系複合微粒子分散液が含むセリア系複合微粒子のX線回折パターンを図3に示す。
図3のX線回折パターンでは、かなりシャープなCerianiteの結晶であり、TEMやSEM像から母粒子表面にセリウム含有シリカ層があり、そのセリウム含有シリカ層中にセリア子粒子が分散しているように見える。
また、図2からは、セリア系複合微粒子の最表面に、大部分が薄いシリカ被膜が覆うように存在している様子が観察された。
<準備例1−2> リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース(リン酸エステル化セルロースナノファイバー)の調製
純水180gを採取し、撹拌しながら、ミクロフィブリルセルロース(スギノマシン社製 WMa−10002、固形分濃度2.1質量%)20gを添加し、30分撹拌を続け、希釈ミクロフィブリルセルロース分散液を得た。この希釈ミクロフィブリルセルロース溶液に硫酸で再生済みの陽イオン交換樹脂(三菱ケミカル社製ダイヤイオンSK−1B)10gを添加し30分撹拌することでイオン交換を行った。イオン交換終了後は、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂を分離して陽イオン交換を行った固形分濃度0.21質量%のミクロフィブリルセルロース希釈液(A液)を得た。
次にこのA液を撹拌しながら、0.53gのリン酸三アンモニウム三水和物(関東化学社製 鹿1級 純度95質量%)を添加し、10分間撹拌を継続し、ついで温度を95℃に昇温し、95℃で1時間保った。加熱終了後に室温まで放冷し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮して2.0質量%のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース分散液を得た。なお、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの濃度は200℃の灼熱残渣より求めた。
また、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースのリン酸基量の定量は、以下の手順で行った。
2.0質量%のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース分散液11gとイオン交換水189gとを混合して、固形分濃度0.11質量%の溶液200gを調製した。ついで再生済みの強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製ダイヤイオンSK1BH)13gを添加し、pHが安定するまで撹拌を継続した。この時のpHは3.4であった。この溶液から陽イオン交換樹脂を分離することで固形分濃度0.1質量%のリン酸基測定用溶液を得た。
0.1質量%のリン酸基測定用溶液50mlを採取し、0.1M塩酸溶液を加えて、pHを2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。得られた電気伝導度と0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液添加量のグラフから、電気伝導度が急激に低下する領域(領域1)において消費された水酸化ナトリウム量(V)からリン酸基由来の強酸基量を、電気伝導度の変化が穏やかな領域(領域2)において消費された水酸化ナトリウム量(V2)から、下式よってリン酸基由来の弱酸基含有量を求めた。
リン酸基由来の強酸基含有量(mmol/gセルロース繊維)
=V(ml)×0.05/セルロース繊維(g)
リン酸基由来の弱酸基含有量(mmol/gセルロース繊維)
=V(ml)×0.05/セルロース繊維(g)
リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの物性及び不純分含有率を表1に示す。なお、表1中の長径は、数平均繊維長を表し、短径は、数平均繊維径を表し、長径/短径比は、数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)を表す。
Figure 2019198622
<準備例1−3> 焼成型セリア粒子調製
炭酸セリウムを710℃のマッフル炉を用いて2時間焼成を行い、粉状の焼成体を得た。次いで、焼成粉末100gとイオン交換水300gとを1Lの柄付ビーカーに入れ、撹拌しながら超音波浴槽中で10分間超音波を照射した。
次に、φ0.25mmの石英ビーズ(大研化学工業株式会社製)にて湿式解砕(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)を30分行った。
解砕後、44メッシュの金網を通して、イオン交換水で押水をしながらビーズを分離し、セリア微粒子前駆体分散液を得た。得られた分散液の固形分濃度は、5.6質量%であった。
次に、得られたセリア微粒子前駆体分散液を遠心分離装置(日立工機株式会社製、型番「CR21G」)にて、相対遠心加速度1700Gで102秒間遠心分離処理し、沈降成分を除去し、除去後の溶液をロータリーエバポレーターで20質量%に濃縮することで、セリア微粒子分散液を得た。
<実施例1−1>
準備例1−2で得られたリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースにイオン交換水を添加して、0.25質量%に調整した。
ついで、準備例1−1で得られたセリア系複合微粒子分散液を4.5g(dry0.9g)にイオン交換水13.5gを添加し、さらに撹拌しながら、0.25%のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース(1)120g(dry0.30g)を添加した。ついで3%硝酸を添加してpHを5.0に調整し、最後にイオン交換水を添加して10分間撹拌をすることで、pH5.0、砥粒濃度0.6質量%の研磨スラリー150gを得た。なお、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース(1)の濃度は、2000ppmであった。
得られたスラリーを用いて研磨試験を行った。具体的には、研磨試験は次のように行った(以降の実施例及び比較例においても同様)。
[研磨試験方法]
<SiO2膜の研磨>
被研磨基板として、熱酸化法により作製したSiO2絶縁膜(厚み1μm)基板を準備した。
次に、この被研磨基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ニッタハース社製「IC−1000/SUBA400同心円タイプ」)を使用し、基板荷重0.5MPa、テーブル回転速度90rpmで研磨スラリーを滴下方式にて50ml/分の速度で1分間供給して研磨を行った。
そして、研磨前後の被研磨基材の重量変化を求めて研磨速度を計算した。
また、研磨基材の表面の平滑性(表面粗さRa)を原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。平滑性と表面粗さは概ね比例関係にあるため、表4には表面粗さを記載した。
なお、研磨傷の観察は、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察することで行った。
<アルミハードディスクの研磨>
アルミハードディスク用基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ニッタハース社製「ポリテックスφ12」)を使用し、基板負荷0.05MPa、テーブル回転速度30rpmで研磨スラリーを滴下方式にて20ml/分の速度で5分間供給して研磨を行い、超微細欠陥・可視化マクロ装置(VISION PSYTEC社製、製品名:Maicro−Max)を使用し、Zoom15にて全面観察し、65.97cm2に相当する研磨処理された基板表面に存在するスクラッチ(線状痕)の個数を数えて合計し、次の基準に従って評価した。
線状痕の個数 評価
50個未満 「非常に少ない」
50個から80個未満 「少ない」
80個以上 「多い」
<実施例1−2>
準備例1−2で得られたリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースにイオン交換水を添加して、0.5質量%に調整した。
ついで、準備例1−1で得られたセリア系複合微粒子分散液を4.5g(dry0.9g)にイオン交換水13.5gを添加し、さらに撹拌しながら0.5質量%のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース(1)120g(dry0.6g)を添加した。ついで3%硝酸を添加してpHを5.0に調整し、最後にイオン交換水を添加して10分撹拌をすることで、pH5.0、砥粒濃度0.6質量%の研磨スラリー150gを得た。なお、研磨スラリー中のリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの濃度は4000ppmであった。
得られたスラリーを用いて実施例1−1と同様の分析を行い、同様に研磨試験を行った。
<実施例1−3>
実施例1−1において、研磨スラリー中の砥粒をセリア系複合微粒子の代わりに、準備例1−3で得られたセリア微粒子分散液を用いた以外は、実施例1−1と同様に行った。
<比較例1−1>
準備例1−1で得られたセリア系複合微粒子にイオン交換水を添加して、0.6質量%とし、3%の硝酸でpHを5.0に調整した研磨スラリーを用いて研磨試験を行った。
<比較例1−2>
準備例1−3で得られたセリア系複合微粒子にイオン交換水を添加して0.6質量%とし、3%の硝酸でpHを5.0に調整した研磨スラリーを用いて研磨試験を行った。
<比較例1−3>
実施例1−1において、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースの代わりに、リン酸化エステル化処理が施されていないミクロフィブリルセルロース(スギノマシン社製 WMa−10002)を用いた以外は、実施例1−1と同様に行った。
<比較例1−4>
比較例1−3において、研磨スラリー中の砥粒をセリア系複合微粒子の代わりに、準備例1−3で得られたセリア微粒子を用いた以外は、比較例1−3と同様に実施した。
<比較例1−5>
準備例1−2で得られたリン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースにイオン交換水を添加して2000ppmに調整し、3%硝酸でpHを5.0に調整した研磨スラリーを用いて研磨試験を行った。
<比較例1−6>
比較例1−5において、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースを用いる代わりに、ミクロフィブリルセルロース(スギノマシン社製 WMa―1002)を用いて研磨スラリーを調製した以外は、比較例1−5と同様に実施した。
上記製造したセリア系複合微粒子のシリカ母粒子の平均粒子径、性状、不純分を表2に示す。また、セリア系複合微粒子及び子粒子、製造条件を表3に示す。さらに、研磨試験に使用したスラリーの組成、pH、不純分含有量、砥粒濃度及び研磨評価結果を表4に示す。
Figure 2019198622
Figure 2019198622
Figure 2019198622
表4に示すように、リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースを用いた本発明の研磨組成物(実施例1−1〜1−3)は、不純分が少なく、研磨速度が向上し、スクラッチも少なく、且つ平滑性(表面粗さ)も良好であることがわかる。
[実施例2] 本発明の成分II)を用いる例
<準備例2−1> セリア系複合微粒子の調製
<準備例1−1>と同様に行った。
<準備例2−2> 高純度ミクロフィブリルセルロース(高純度セルロースナノファイバー)の調製
純水180gを採取し、撹拌しながら、ミクロフィブリルセルロース(スギノマシン社製WMa−10002、固形分濃度2.1質量%)20gを添加し、30分撹拌を続け、希釈ミクロフィブリルセルロース分散液を得た。この希釈ミクロフィブリルセルロース溶液に硫酸で再生済みの陽イオン交換樹脂(三菱ケミカル社製ダイヤイオンSK−1B)10gを添加し撹拌することでイオン交換を行った。イオン交換終了後は、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂を分離した。ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、アンモニアを添加してpHが7.0で2.0質量%の高純度ミクロフィブリルセルロースを得た。
高純度ミクロフィブリルセルロースの物性及び不純分含有量を表5に示す。なお、表5中の長径は、数平均繊維長を表し、短径は、数平均繊維径を表し、長径/短径比は、数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)を表す。
Figure 2019198622
<準備例2−3> 焼成型セリア粒子調製
<準備例1−3>と同様に行った。
<実施例2−1>
準備例2−2で得られた高純度ミクロフィブリルセルロースにイオン交換水を添加して、0.25質量%に調整した。
次に、関東化学社製鹿1級のリン酸三アンモニウム三水和物にイオン交換水を添加して、10質量%のリン酸三アンモニウム水溶液を調製した。
ついで、準備例2−1で得られたセリア系複合微粒子分散液を4.5g(dry0.9g)にイオン交換水13.5gを添加し、さらに撹拌しながら、0.25%の高純度ミクロフィブリルセルロース120g(dry0.30g)を添加し、さらに10質量%のリン酸三アンモニウム水溶液0.6gを添加した。ついで3%硝酸を添加し、最後にイオン交換水を添加し、10分間撹拌をすることで、pH5.0、砥粒濃度0.6質量%の研磨スラリー150gを得た。なお、高純度ミクロフィブリルセルロースの濃度は2000ppmで、リン酸三アンモニウムの濃度は400ppmであった。
得られた研磨スラリーの固形分重量あたりのNaおよびKの含有量は1ppm以下であった。また研磨スラリーの固形分重量あたりのAg、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの含有量は1ppm以下であった。
得られたスラリーを用いて研磨試験を行った。
<実施例2−2>
準備例2−2で得られた高純度ミクロフィブリルセルロースにイオン交換水を添加して、0.5質量%に調整した。
ついで、準備例2−1で得られたセリア系複合微粒子分散液を4.5g(dry0.9g)にイオン交換水13.5gを添加し、さらに撹拌しながら0.5質量%の高純度ミクロフィブリルセルロース120g(dry0.6g)を添加した。さらに実施例2−1と同様にして得られた10質量%のリン酸三アンモニウムを1.2g添加し、ついで3%硝酸を添加し、最後にイオン交換水を添加してpH5.0、砥粒濃度0.6質量%の研磨スラリー150gを得た。なお、研磨スラリー中の高純度ミクロフィブリルセルロースの濃度は4000ppmで、リン酸三アンモニウムの濃度は800ppmであった。
得られたスラリーを用いて実施例2−1と同様の分析を行い、同様に研磨試験を行った。
<実施例2−3>
実施例2−1において、研磨スラリー中の砥粒をセリア系複合微粒子のかわりに、準備例2−3で得られたセリア微粒子分散液を用いた以外は、実施例2−1と同様に行った。
<比較例2−1>
準備例2−1で得られたセリア系複合微粒子にイオン交換水を添加して、0.6質量%とし、3%の硝酸でpHを5.0に調整した研磨スラリーを用いて研磨試験を行った。
<比較例2−2>
準備例2−3で得られたセリア微粒子にイオン交換水を添加して0.6質量%とし、3%の硝酸でpHを5.0に調整した研磨スラリーを用いて研磨試験を行った。
<比較例2−3>
実施例2−1において、リン酸三アンモニウムを添加しないことと、高純度ミクロフィブリルセルロースの代わりにミクロフィブリルセルロース(スギノマシン社製WMa−10002)を用いた以外は、実施例2−1と同様に行った。
<比較例2−4>
比較例2−3において、研磨スラリー中の砥粒をセリア系複合微粒子の代わりに、準備例2−3で得られたセリア微粒子を用いた以外は、比較例2−3と同様に実施した。
<比較例2−5>
イオン交換水105gにミクロフィブリルセルロース(スギノマシン社製WMa−10002)14.3g(dry0.3g)を添加し、ついで10質量%のリン酸三アンモニウム0.6gを添加し、最後にイオン交換水と3%硝酸を添加して、pH5.0の研磨スラリー150gを得た。なお、研磨スラリー中のミクロフィブリルセルロースの濃度は2000ppmで、リン酸三アンモニウムの濃度は400ppmであった。
<比較例2−6>
比較例2−5において、リン酸三アンモニウムを添加しなかった以外は、比較例2−5と同様に実施した。
上記製造したセリア系複合微粒子のシリカ母粒子の平均粒子径、性状、不純分を表6に示す。また、セリア系複合微粒子及び子粒子、製造条件を表7に示す。さらに、研磨試験に使用したスラリーの組成、pH、不純分含有量、砥粒濃度及び研磨評価結果を表8に示す。
Figure 2019198622
Figure 2019198622
Figure 2019198622
表8に示すように、高純度ミクロフィブリルセルロースを用いた本発明の研磨組成物(実施例2−1〜2−3)は、不純分が少なく、研磨速度が向上し、スクラッチも少なく、且つ平滑性(表面粗さ)も良好であることがわかる。

Claims (15)

  1. 下記I)及びII)から選ばれる少なくとも1種の成分と、砥粒と、分散媒とを含むことを特徴とする研磨組成物。
    I) リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロース
    II) ミクロフィブリルセルロース及びリン酸化合物
  2. 前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、リン酸基の水素原子がアンモニウムに置換されたアンモニウム型リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースであることを特徴とする請求項1に記載の研磨組成物。
  3. 前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、リン酸基由来の酸基含有量が、0.1〜16.8mmol/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨組成物。
  4. 前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、リン酸基由来の強酸基含有量が、0.1〜8.4mmol/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨組成物。
  5. 前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、リン酸基由来の弱酸基含有量が、0.1〜8.4mmol/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の研磨組成物。
  6. 前記リン酸エステル化ミクロフィブリルセルロースは、数平均繊維径が1〜100nm、数平均繊維長が0.01〜300μm、数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)が10〜3000のセルロース繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研磨組成物。
  7. 前記リン酸化合物が、リン酸、縮合リン酸、有機リン酸、及びこれらの塩であることを特徴とする請求項1に記載の研磨組成物。
  8. 前記リン酸化合物の含有量が10質量ppm〜5質量%であることを特徴とする請求項1又は7に記載の研磨組成物。
  9. 前記ミクロフィブリルセルロースは、数平均繊維径が1〜100nm、数平均繊維長が0.01〜300μm、数平均繊維長と数平均繊維径の比(数平均繊維長/数平均繊維径)が10〜3000のセルロース繊維であることを特徴とする請求項1、7又は8に記載の研磨組成物。
  10. 前記砥粒が、酸化セリウム、酸化クロム、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化鉄の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の研磨組成物。
  11. 前記砥粒が、非晶質シリカを主成分とする母粒子、及び該母粒子の表面に設けられた非晶質シリカを主成分とするシリカ層を有し、該シリカ層に結晶性セリアを主成分とする子粒子が分散している、セリア系複合微粒子であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の研磨組成物。
  12. 前記セリア系複合微粒子は、
    平均粒子径が50〜350nmであり、
    シリカとセリアとの質量比(MSiO2:MCeO2)が100:11〜316であり、
    セリアの平均結晶子径が10〜50nmであることを特徴とする請求項11に記載の研磨組成物。
  13. シリカ系膜が形成された半導体基板の研磨に用いられることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の研磨組成物。
  14. 窒化ケイ素系膜、タンタル系膜、窒化タンタル系膜、銅系膜及びタングステン系膜から選ばれる1種の膜が形成された基板の研磨に用いられることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の研磨組成物。
  15. サファイア、GaN、SiC、ダイヤモンド、GaAs、窒化アルミニウム、LiTaO及びLiNbOから選ばれる難研磨基板の研磨に用いられることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の研磨組成物。
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