JPWO2019189556A1 - 含フッ素単量体、硬化性組成物およびパターン付き部材の製造方法 - Google Patents

含フッ素単量体、硬化性組成物およびパターン付き部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、インプリント技術における微細モールドへの充填速度が大きい、インプリントに適した硬化性組成物を提供する。本発明の硬化性組成物は、式(1)で表される含フッ素単量体と、重合開始剤と、を含有する。【化14】(R1、R2はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基である。)式(1)で表される含フッ素単量体は単独重合体も形成できるが、他の重合性単量体と混合させると、共重合体を形成する。よって、前記硬化性組成物を構成する重合性単量体としては、前記含フッ素単量体単独でもよいが、種々の重合性単量体を混合したものを用いることもできる。

Description

本発明は、新規な含フッ素単量体と、該含フッ素単量体を用いて重合または共重合した含フッ素重合体、さらに、重合開始剤と前記含フッ素単量体を含む硬化性組成物に関する。また特に、前記硬化性組成物を用いてパターンを形成するインプリントに関する。
半導体集積回路等の製造に必要とされる微細加工法の1つとしてインプリントが挙げられる。インプリントとは、微細な凹凸パターンが形成されたモールドを、基板に塗布した硬化性組成物に押し付けた状態で、光、熱等で硬化性組成物を硬化し、モールドの凹凸パターンを基板上の硬化性組成物に転写することで、「基板上に、微細な凹凸パターン形状を有する硬化膜を配した部材」を製造する方法である。現在、インプリントで用いられる硬化性組成物について盛んに研究が行われている。
インプリントにおいて、ナノサイズ(1nm以上、100nm以下)の凹凸パターンの形成は、特にナノインプリントと呼ばれる。
例えば、特許文献1には、光ナノインプリント技術に適した光硬化性組成物と、それを用いたパターン形成方法が開示されている。すなわち、光硬化性組成物を構成する重合性化合物として、アクリロイル基を複数個有するモノマーのうちで特定のものを用いると、ナノインプリントによって優れた微細パターンが形成できると述べられている。具体的には、アクリロイル基が分子内に複数存在するラジカル重合性化合物のうち例えば、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが、当該用途の重合性化合物の一成分として好適に使用できるとされている。それらはモールドに接触させた状態で、紫外光を照射することによって、重合を起こして強度の大きい硬化膜を形成できる上、続けて行うモールドからの離型工程における離型性もよく、その後のエッチング工程を経て優れた微細パターンを形成できる旨が、開示されている。
特許文献2には、ナノインプリント用液体材料(典型的には、特許文献1で開示されているパターン形成用硬化性組成物)中に存在する、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数が特定の数未満であると、ナノインプリントにおいてパターンの破損や欠陥が大幅に抑制され、ナノインプリントプロセスの歩留まりの低下を有意に抑制できることが、開示されている。
一方、非特許文献1には、ナノインプリント技術の全般について記載されており、特に、ナノインプリントにおいて、型接触工程における、硬化性組成物のモールドへの充填速度(モールドの微細な凹凸部の中に硬化性組成物が充填されていく速度をいう)の向上も強く求められている旨が記載されている。
特開2016−162862号公報 特開2016−164977号公報
S.Reddy, R. T. Bonnecaze/Microelectronic Engineering, 82 (2005), P. 60-70
上記特許文献1、2で開示されている「アクリロイル基(アクリル部位)を1分子内に複数個有するラジカル重合性化合物を含有する硬化性組成物」はナノインプリント材料として優れたものであり、これらを用いることで、ナノインプリントにおいて、欠陥を抑制しつつ、微細な凹凸パターンを作製できる。
一方、ナノインプリント技術においては、「硬化性組成物のモールドへの充填速度」も重要な要素である。すなわち、モールドの凹凸パターンを硬化性組成物の膜の上に良好に転写するためには、該硬化性組成物がモールドの微細な凹凸部に隙間なく充填された後に硬化を行うことが必要であり、充填に要する時間が、ナノインプリント時の作業効率に大きく影響し得る。
その点、前述の特許文献1では、「溶剤を除く光硬化性組成物の粘度」が、モールドの凹凸部への充填速度に関連があると指摘され、当該、「溶剤を除く光硬化性組成物の粘度」を100mPa・s以下とすることによって、光ナノインプリントを高い生産性で実施することができる旨が述べられている。
特許文献1および特許文献2では、以下に示すネオペンチルグリコールジアクリレートが特に好ましく用いられている。
Figure 2019189556
しかしながら、「硬化組成物の粘度」は「モールドへの充填速度」を定める要素の一つに過ぎない。具体的には、ナノインプリントにおいて、充填速度は、キャピラリー数(Ca)の逆数に比例することが知られている(非特許文献1)。
本発明は、キャピラリー数(Ca)の小さい、インプリント用材料を提供することを目的とする。
特許文献1および特許文献2で特に好ましく用いられている、ネオペンチルグリコールジアクリレートについて、本発明者らがキャピラリー数(Ca)を測定したところ、1.57V[L/h02という結果となり、優れた材料ではあるものの、モールドへの充填速度という点においては、なお改善の余地があることが判明した(本明細書の比較例1を参照)。
なお、キャピラリー数(Ca)とは、下記式(i)により導き出される。
Figure 2019189556
(Ca:キャピラリー数、γ:表面張力、θ1:モールド接触角、θ2:基板接触角、μ:粘度、V:モールドの降下速度、Lおよびh0:インプリント装置に依存する装置定数。)
式(i)が示す様に、キャピラリー数(Ca)は粘度(μ)に比例し、表面張力(γ)に反比例する。モールド接触角(θ1)、基板接触角(θ2)も重要な要素である。キャピラリー数(Ca)が小さくなると、充填速度は大きくなる。
上記事情に鑑み、発明者らが鋭意検討を行った。その結果、式(1)で表される含フッ素単量体と、重合開始剤と、を含む、硬化性組成物によって、前記課題が解決することが見出された。
Figure 2019189556
(R1、R2はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基である。)
本明細書の実施例1に示す通り、当該含フッ素単量体は、前記ネオペンチルグリコールジアクリレートと基本骨格は共通しており、骨格の中心部位(アルキレン基部位)にトリフルオロメチル基(−CF3)を2個導入している点が主な違いである。式(1)で表される含フッ素単量体のキャピラリー数(Ca)は、ネオペンチルジアクリレートに比べて著しく小さく、モールド凹凸部への充填速度が有意に大きい材料であることが判明した。
この原因は必ずしも明らかでないが、比較材料のネオペンチルグリコールジアクリレートでは、分子骨格の中央にメチル基側鎖が2つあるものが、本発明の含フッ素単量体は、分子骨格の中央付近に、トリフルオロメチル基(−CF3)側鎖を2つ導入していることから、トリフルオロメチル基が有するフッ素原子の特異的な作用に基づくものと推測される。
なお、キャピラリー数(Ca)の値は、組成に依存して変化するため、インプリントの硬化性組成物として、式(1)の含フッ素単量体以外の単量体を混ぜれば、「硬化性組成物全体としてのCaの値」を微調整することは可能である。
加えてしかも、式(1)で表される含フッ素単量体は、入手が容易な式(2)で表されるジオールを出発物質とし、これを(メタ)アクリル化することによって、効率よく製造できる(後述)。
Figure 2019189556
さらに、本発明者は当該含フッ素単量体を成分とする硬化性組成物を使用する「基板上に、パターン形状を有する硬化膜を配した部材」の製造方法(以下、パターン形成方法と呼ぶことがある)を見出した。
すなわち本発明は、次の各発明を含む。
[発明1]
下記式(1)で表される含フッ素単量体。
Figure 2019189556
(R1、R2はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基である。)
[発明2]
発明1の含フッ素単量体と、重合開始剤と、を含む、硬化性組成物。
[発明3]
前記重合開始剤が、光重合開始剤である、発明2の硬化性組成物。
[発明4]
次の各工程を含む、基板上にパターン形状を有する硬化膜を配したパターン付き部材の製造方法。
配置工程:発明2または発明3の硬化性組成物を基板上に配置する工程。
型接触工程:前記基板上に配置された前記硬化性組成物に対し、パターン形状を有するモールドを接触させる工程。
硬化工程:前記モールドと接触した状態の前記硬化性組成物を、光または熱により硬化させて硬化膜とする工程。
離型工程:前記硬化膜から前記モールドを引き離し、前記パターン付き部材を得る工程。
[発明5]
前記型接触工程が、凝縮性ガスを含む気体の雰囲気下で行われる、発明4のパターン付き部材の製造方法。
[発明6]
前記型接触工程の凝縮性ガスが1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(E))、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(Z))、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(E))、またはシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(Z))のうち1種類以上を含む、発明5のパターン付き部材の製造方法。
[発明7]
発明1の含フッ素単量体を単独重合させてなる、または、該含フッ素単量体と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、オレフィンからなる群より選ばれた一種類以上の単量体と、を共重合させてなる含フッ素重合体。
[発明8]
発明1の含フッ素単量体を単独重合する工程、または、
該含フッ素単量体と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、オレフィンからなる群から選ばれた一種類以上の単量体と、を共重合させる工程、を含む、発明7の含フッ素重合体の製造方法。
本発明により、式(1)の含フッ素単量体が提供される。また、本発明により、キャピラリー数(Ca)が小さい式(1)の含フッ素単量体を構成成分として含む硬化性組成物を提供できる。この硬化性組成物は、インプリントにおけるモールドへの充填速度の大きいことが推測される。さらに、本発明により、前記硬化性組成物を用いた、インプリントにおけるパターン形成方法(「基板上にパターン形状を有する硬化膜を配したパターン付き部材」の製造方法)が提供される。
本発明について詳細に説明する。本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。当業者の通常の知識に基づいて本発明の趣旨を逸脱しない範囲で以下に説明する実施形態に対して適宜変更、改良等を加えたものも本発明に含まれる。
本明細書では、次の順で説明を行う。
1.式(1)で表される含フッ素単量体について
2.当該含フッ素単量体の製造方法について
3.当該含フッ素単量体を構成成分として含む硬化性組成物について
4.パターン形成方法について
なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリルを意味する。(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。また(メタ)アクリロイルは、アクリロイルおよびメタクリロイルを意味する。またEOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物とは、エチレンオキシ基を少なくとも1つ有することを意味する。またPOはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物とは、プロピレンオキシ基を少なくとも1つ有することを意味する。
1.式(1)で表される含フッ素単量体について
本発明の1つの態様は、式(1)で表される含フッ素単量体である。
Figure 2019189556
1とR2はそれぞれ独立に水素原子、またはメチル基である。該含フッ素単量体は、次の3種類のいずれかである。
「R1とR2がともに水素原子である含フッ素単量体」
「R1とR2がともにメチル基である含フッ素単量体」
「R1、R2のどちらか一方が水素原子であって、もう一方がメチル基である含フッ素単量体」
本発明においては、これら3種類の含フッ素単量体の何れも好ましく用いることができる。これらのうち、1種類のみを用いることで、本発明の目的を達成することができるが、これら3種類の含フッ素単量体のうち2種類以上を混合物として併用してもよい。
2.当該含フッ素単量体の製造方法について
式(1)で表される含フッ素単量体は新規化合物である。合成方法を以下に示す。好ましい合成方法には「第1の方法」と「第2の方法」があり、いずれも、式(2)で表されるジオール(入手が容易な含フッ素化合物である)を原料とし、これを(メタ)アクリル化反応に付するものである。
2−1.第1の方法
第1の方法は、式(2)で表されるジオールに対し、まず式(3)で表される(メタ)アクリル酸無水物を反応させて、式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルを合成する第1工程と、次いで、該(メタ)アクリル酸エステルを、式(6)で表される(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と反応させ、式(1)で表される目的物を得る第2工程と、からなる(下式参照)。
Figure 2019189556
Figure 2019189556
式(2)で表されるジオールに対し、(メタ)アクリル化剤として式(3)で表される無水物を用いた場合には、式(4)で表されるモノ(メタ)アクリル酸エステルが生成したところで反応が止まる傾向が強く、2個目の(メタ)アクリル部位は導入されにくい(第1工程)。こうして高い選択率で式(4)のモノ(メタ)アクリル酸エステルを得たあとで、第2工程として、今度は式(6)で表される(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応させると、2つめのメタ(アクリル)部位が導入され、式(1)の目的物が、高い選択率で得られる。
この「第1の方法」は、以上の理由から、式(1)の3種の化合物のうち、「R1、R2のどちらか一方が水素原子であって、もう一方がメチル基である含フッ素単量体」を合成する上で、特に好適である。
これに対し、R1とR2が同一種類の基である「R1とR2がともに水素原子である含フッ素単量体」、「R1とR2がともにメチル基である含フッ素単量体」を、第1の方法によって合成することもできるが、敢えて二段階の反応を経て合成するよりも、次の第2の方法の方が、単一反応工程で合成できるため、有利なことが多い。
2−2.第2の方法
第2の方法は、式(2)で表されるジオールに対し、式(6)と式(7)で表される(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応させ、式(1)の目的物を合成する反応(第3工程)からなる(下式参照)。
Figure 2019189556
第1の方法のところで述べた通り、第2の方法は、ただ一種類の(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を、式(2)のジオールに対して反応させて式(1)の目的物としてR1とR2が同一種類の基である「R1とR2がともに水素原子である含フッ素単量体」および「R1とR2がともにメチル基である含フッ素単量体」を合成するのに好適である。(上記第1の方法が2反応工程を要するのに対し、第2の方法の場合、単一反応工程で目的物を合成できるため)。R2がR1に等しい場合、第2の方法の反応は次のようにも表示できる。
Figure 2019189556
なお、第2の方法において、式(6)、式(7)の化合物が異種のもの(つまり一方がアクリル酸ハロゲン化物、もう一方がメタクリル酸ハロゲン化物)である場合も、実施は妨げられない。この場合、
「式(6)、式(7)の化合物を、例えば1:1のモル比で混ぜて、式(2)の化合物と同時に反応させる」、「まずアクリル酸ハロゲン化物を反応に供したのち、次にメタクリル酸ハロゲン化物を反応に供する」、
「まずメタクリル酸ハロゲン化物を反応に供したのち、次にアクリル酸ハロゲン化物を反応に供する」、
という手法の何れも採ることができる。尤もこの手法を採った場合、単一生成物は得にくく、通常「R1、R2のどちらか一方が水素原子であって、もう一方がメチル基である含フッ素単量体」、「R1とR2がともに水素原子である含フッ素単量体」、「R1とR2がともにメチル基である含フッ素単量体」が混合物の形で得られる。上記した通り、式(1)の目的物としてこのような複数化学種の混合物を用いることも本発明の範疇内であるので、目的物を当該混合物として得たい場合には、「第2の方法」をこのような手法で実施することもできる。その際の化合物の混合の手順等は、当業者の知見に基づき、最適化すればよい。
以下、各工程につき、さらに具体的に説明する
[第1工程]
第1工程は式(2)で表されるジオールと式(3)で表される(メタ)アクリル酸無水物を反応させ、式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルを製造する工程である。式(2)で表されるジオールの製造方法と、この第1工程は特許第4667035号に開示されている。例えば、1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタ−4−エン−2−オールを濃硫酸と反応させた後、水と接触させて加水分解することで、1,1−ビス(トリフルオロメチル)ブタン−1,3−ジオール(式(2)で表されるジオール)が得られる。
式(3)で表される(メタ)アクリル酸無水物の量は、式(2)で表されるジオール1.0モルに対して通常0.5モル以上、5.0モル以下であり、0.7モル以上、3.0モル以下が好ましく、1.0モル以上、2.0モル以下がより好ましい。ジオール1.0モルに対して(メタ)アクリル酸無水物の量が0.5モル未満では反応の転化率、目的物の収率が共に十分でなく、5.0モルを超えると反応に関与しない(メタ)アクリル酸無水物が増加し、廃棄の手間から経済的に好ましくない。
第1工程において、反応を促進するために添加剤を添加することができる。使用される添加剤としては、有機スルホン酸またはルイス酸を挙げることができる。有機スルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸を例示することができる。ルイス酸としては、BF3、BCl2、無水フッ化水素を例示することができる。好ましくは、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸である。本反応に使用する添加剤の量は基質の式(2)で表されるジオール1.0モルに対して0.01モル以上、2.0モル以下であり、0.02モル以上、1.8モル以下が好ましく、0.05モル以上、1.5モル以下がより好ましい。ジオール1.0モルに対して添加剤の量が0.01モル未満では反応の転化率、目的物の収率が共に低下し、2.0モルを超えると反応に関与しない添加剤の量が増加するため経済的に好ましくない。
本反応を実施する際の反応温度は、添加剤を添加しない場合は通常、80℃以上、200℃以下、好ましくは100℃以上、180℃以下、さらに好ましくは120℃以上、160℃以下で実施する。この場合、80℃未満では反応速度が極めて遅く、200℃を超えると原料の酸無水物もしくは生成物のエステルが重合することがあるため好ましくない。添加剤を添加する場合は、通常0℃以上、80℃以下、好ましくは10℃以上、70℃以下、さらに好ましくは20℃以上、60℃以下で実施する。この場合、0℃未満では反応速度が遅く実用的製造法とはならない。また、80℃を超えると副反応が進行し易くなり、目的物であるエステルの選択率が低下することがあるため好ましくない。本反応においては、添加剤を加えた方が低い温度で十分な反応性が得られ、選択率が向上するので好ましい。すなわち、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の添加剤を系内に共存させ、20℃以上、60℃以下の温度範囲で、反応を実施することは、本工程の特に好ましい態様である。
本反応は、無溶媒でも進行するが反応の均一性、反応後の操作性を考慮すると溶媒を使用するのが好ましい。使用可能な溶媒の種類に特別な制限はないが、芳香族化合物、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒を挙げることができる。
芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはメシチレンを例示することができる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、またはテトラヒドロフランを挙げることができる。ハロゲン系溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、または四塩化炭素を例示することができる。これらは単独で用いても、複数を併用してもよい。
本反応に使用する溶媒の量は式(2)で表されるジオール1gに対して通常0.1g以上、100g以下であり、0.5g以上、50g以下が好ましく、1.0g以上、20g以下がより好ましい。溶媒量がジオール1gに対して0.1g未満では溶媒を使用するメリットを十分に引き出せない。100gを超えると生産性の観点から経済的に好ましくない。
[第2工程]
第2工程は式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルと式(6)で表される(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応させ、式(1)で表される含フッ素単量体を製造する工程である。なお、(6)で表される(メタ)アクリル酸ハロゲン化物のハロゲン(X)としては、それぞれ独立に、F、Cl、Br、Iが挙げられ、Clが特に好ましい。式(4)で表されるエステルと反応させる式(6)で表される(メタ)アクリル酸ハロゲン化物の使用量は特に制限するものではないが、式(4)で表されるエステル1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、50モル以下であり、さらに好ましくは0.5モル以上、10モル以下であり、特に好ましくは0.8モル以上、1.5モル以下である。
反応は溶媒を用いなくても進行するが、用いた方が制御することが容易である。用いることのできる溶媒は、反応試剤が溶解できればよく、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジクロロエタン、トルエンを例示することができる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種類以上をともに用いてもよい。
反応温度は特に制限は無く、好ましくは−78℃以上、100℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以上、50℃以下であり、さらに好ましくは−10℃以上、30℃以下である。反応は攪拌しながら行うのが好ましい。
反応時間は反応温度にも依存するが、好ましくは1分以上、100時間以下であり、さらに好ましくは30分以上、50時間以下であり、特に好ましくは1時間以上、24時間以下である。ガスクロマトグラフィー(GC)等の分析機器を使用し、原料である式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルが消費された時点を反応の終点とすることが好ましい。
本反応においては、塩基を使用することが好ましい。用いることのできる塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンを例示することができる。これら塩基の使用量は特に制限されるものではないが、式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステル1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、50モル以下であり、さらに好ましくは0.5モル以上、10モル以下であり、特に好ましくは0.8モル以上、1.5モル以下である。
反応終了後、抽出、洗浄、蒸留またはカラムクロマトグラフィにより式(1)で表される含フッ素単量体を得ることができる。また必要により得られた含フッ素単量体を精密蒸留等によって精製することができる。
[第3工程]
第3工程は、式(2)で表されるジオールと式(6)または(7)で表される(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を反応させ、式(1)で表される含フッ素単量体を製造する工程である。該(メタ)アクリル酸ハロゲン化物のハロゲン(X)としては、F、Cl、Br、Iを挙げることができ、Clが特に好ましい。(メタ)アクリル酸ハロゲン化物の使用量は特に制限するものではないが、式(2)で表されるジオール1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、50モル以下であり、さらに好ましくは1.5モル以上、10モル以下であり、特に好ましくは1.8モル以上、3モル以下である。
反応は溶媒を用いなくても進行するが、用いた方が制御することが容易である。用いることのできる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジクロロエタン、トルエンを例示することができる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種類以上をともに用いてもよい。
反応温度は特に制限は無く、好ましくは−78℃以上、100℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以上、50℃以下であり、特に好ましくは−10℃以上、30℃以下である。反応は攪拌しながら行うのが好ましい。
反応時間は反応温度にも依存するが、好ましくは1分以上、100時間以下であり、さらに好ましくは30分以上、50時間以下であり、特に好ましくは1時間以上、24時間以下である。ガスクロマトグラフィー(GC)等の分析機器を使用し、原料である式(2)で表されるジオールが消費された時点を反応の終点とすることが好ましい。
本反応においては、塩基を使用することが好ましい。用いることのできる塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンを例示することができる。これら塩基の使用量は特に制限されるものではないが、式(2)で表されるジオール1モルに対して、好ましくは0.1モル以上、50モル以下であり、さらに好ましくは1.5モル以上、10モル以下であり、特に好ましくは1.8モル以上、3モル以下である。
反応終了後、抽出、洗浄、蒸留またはカラムクロマトグラフィにより式(1)で表される含フッ素単量体を得ることができる。また必要により得られた精密蒸留等によって精製することができる。
第1工程、第2工程、第3工程いずれにおいても、反応物や生成物が重合することを防止することを目的として重合禁止剤を共存させて行ってもよく、通常はそれが好ましい。使用する重合禁止剤として具体的には、ヒドロキノン、メトキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2,5−ビステトラメチルブチルヒドロキノン、ロイコキニザリン、フェノチアジン、テトラエチルチウラム ジスルフィド、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル、または1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジン、精工化学株式会社製、商品名、ノンフレックスF、ノンフレックスH、ノンフレックスDCD、ノンフレックスMBP、オゾノン35、富士フィルム和光純薬株式会社製、Q−1300、Q−1301を例示することができる。上記の重合禁止剤は市販されており、容易に入手可能である。
3.当該含フッ素単量体を構成成分として含む硬化性組成物について
本発明の別の態様は、式(1)で表される含フッ素単量体と、重合開始剤と、を含む硬化性組成物である。硬化性組成物は、さらに任意成分として、上記式(1)で表される含フッ素単量体以外の重合性化合物(本明細書において「その他の重合性化合物」と呼ぶことがある)、増感剤、界面活性剤、溶媒、各種添加剤、を含むことができる。
以下、各成分について説明する。なお、説明の都合上、「式(1)で表される含フッ素単量体」と「その他の重合性化合物」はまとめて、「重合性化合物」として説明する。それ以外の任意成分を「その他の添加成分」として説明する。
3−1.重合性化合物
重合性化合物とは、上記の通り、「式(1)で表される含フッ素単量体」と、「その他の重合性化合物」の総称である。重合性化合物は、インプリントの硬化性組成物の主成分である。当該硬化性組成物における重合性化合物の含量は通常50質量%以上であり、典型的には80質量%以上である。硬化性組成物が溶媒を含む場合は、これより重合性化合物の含量が少ないことも妨げられない。しかし、式(1)で表される含フッ素単量体は溶媒がなくとも十分な流動性を示し、モールドの凹凸部への充填は十分可能であるので溶媒は必須成分ではない。そうすると、硬化性組成物全体に占める重合性化合物の含量が90質量%以上であることは、特に好ましい態様の1つである。
重合性化合物としては、式(1)で表される含フッ素単量体を単独で用いてもよい(本明細書の実施例1を参照)。しかし、式(1)で表される含フッ素単量体と共に「その他の重合性化合物」を併用することができ、そうすることでより一層機械的強度に勝る硬化膜が得られることがある。「その他の重合性化合物」は、ラジカル重合性を有する化合物であれば特に限定されないが、アクリロイル基またはメタクリロイル基を1つ以上有する化合物、すなわち(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。「式(1)の含フッ素単量体」と「その他の重合性化合物」の総質量に対する、「式(1)の含フッ素単量体」と「その他の重合性化合物中の(メタ)アクリル化合物」質量の占める割合は90%以上であることが好ましい。
「その他の重合性化合物」において、その構造内にアクリロイル基またはメタクリロイル基を1つ有する化合物である単官能単量体は重合のみの作用をし、2つ以上有する化合物である多官能単量体は架橋を行う。これらの単量体の割合によって得られる硬化物の硬さ等の物性を調整することができる。硬化膜に硬さを得るために、多官能単量体にて架橋を行うことが好ましい。
重合性化合物の総質量に対する、式(1)の含フッ素単量体の占める割合の下限は特にないが、式(1)の含フッ素単量体の占める割合は通常10%以上であり、30%以上が好ましい。式(1)の含フッ素単量体の持つ、優れた充填性(充填速度)を重視する場合には、当該割合を60%以上(100%であることも含む)にすることは特に好ましい。一方、式(1)で表される含フッ素単量体の含量がこれらより少量であっても、硬化性組成物の充填性はその寄与の分だけ向上する。従って、これらより少ない量の、式(1)で表される含フッ素単量体が含まれる場合であっても、本発明の範囲から除外されることはない。
「その他の重合性化合物」のうち、アクリロイル基またはメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、またはN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
これら単官能(メタ)アクリル化合物に該当する市販品としては、商品名、アロニックスM101、M102,M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成株式会社製)、MEDOL10,MIBDOL10、CHDOL10,MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30,CHDOL30、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業株式会社製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL、PO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学株式会社製)、KAYARAD TC110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬株式会社製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業株式会社製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成株式会社製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬株式会社製)、VP(BASFジャパン株式会社製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、株式会社興人製)を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
「その他の重合性化合物」のうち、アクリロイル基またはメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、またはEO,PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパンを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
多官能(メタ)アクリル化合物に該当する市販品としては、商品名、ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱ケミカル株式会社製)、ビスコート#195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業株式会社製)、ライトアクリレート4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学株式会社製)、KAYARAD PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬株式会社製)、アロニックスM208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成株式会社製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和電工株式会社製)を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
以上に例示した「その他の重合性化合物」は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
3−2.重合開始剤
重合開始剤としては光重合開始剤および熱重合開始剤が含まれる。
[光重合開始剤]
光重合開始剤は、光刺激により、重合性化合物の重合反応を引き起こす反応種を発生させる物質である。具体的には、光刺激によりラジカルが発生する光ラジカル発生剤を挙げることができる。
光ラジカル発生剤は、光(赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等、放射線)によりラジカルを発生する重合開始剤であり、主に、重合性化合物がラジカル重合性化合物の場合に用いられる。
光ラジカル発生剤としては、置換基を有してもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン誘導体、芳香族ケトン誘導体、キノン類、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジル誘導体、アクリジン誘導体、N−フェニルグリシン誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体、チオキサントン誘導体、またはその他光ラジカル発生剤、およびこれらの市販品を挙げることができる。以下に各々を例示する。以下の光ラジカル発生剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<置換基を有してもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体>
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、あるいは2−(o−またはp−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体
<ベンゾフェノン誘導体>
ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、または4,4’−ジアミノベンゾフェノン
<芳香族ケトン誘導体>
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパノン−1−オン
<キノン類>
2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、または2,3−ジメチルアントラキノン
<ベンゾインエーテル誘導体>
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、またはベンゾインフェニルエーテル
<ベンゾイン誘導体>
ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、またはプロピルベンゾイン
<ベンジル誘導体>
ベンジルジメチルケタール
<アクリジン誘導体>
9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン
<N−フェニルグリシン誘導体>
N−フェニルグリシン
<アセトフェノン誘導体>
アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、または2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
<チオキサントン誘導体>
チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、または2−クロロチオキサントン
<その他光ラジカル発生剤>
キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、またはビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド
<市販品>
商品名、Irgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur 1116、1173(以上、チバ・ジャパン株式会社製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASFジャパン株式会社製)、ユベクリルP36(ユーシービージャパン株式会社)等が挙げられるが、これらに限定されない。
[熱重合開始剤]
熱重合開始剤は、熱刺激により、重合性化合物の重合反応を引き起こす反応種を発生させる物質である。具体的には、熱刺激によりラジカルが発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
熱ラジカル発生剤としては、アゾ化合物および有機過酸化物を挙げることができる。
<アゾ化合物>
アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)、または2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドを例示することができる。
<有機過酸化物>
ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、またはジ−t−ブチルパーオキサイドを例示することができる。
本発明の硬化性組成物において、含まれる重合開始剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。ここで硬化性組成物を硬化する工程が光による場合では、開始剤として光重合開始剤が用いられ、熱による場合では、開始剤として熱重合開始剤が用いられる。これら開始剤のうち、半導体集積回路等の微細構造体となる膜を製造する際には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤を用いると、硬化膜の製造プロセスにおいて、加熱や冷却の熱プロセスが不要となり、生産性が優れるからである。
本発明の硬化性組成物に含まれる重合開始剤の含有量は、特に制限が無いが、好ましくは、硬化性組成物の質量(総質量)に対して、0.01質量%以上、10質量%以下である。より好ましくは0.1質量%以上、7質量%以下であり、特に好ましくは、1質量%以上、5質量%以下である。この範囲であると硬化性組成物の硬化速度と膜(硬化膜)の強度(樹脂強度)が共に優れる。
3−3.その他の添加成分
本発明の硬化性組成物は、前記した成分の他に、種々の目的に応じ、発明の効果を損なわない範囲で、さらなる添加成分を含んでもよい。このような添加成分としては、界面活性剤、増感剤、水素供与体、酸化防止剤、溶媒、ポリマー成分等を挙げることができる。特に、光硬化性組成物が増感剤を含むことが好ましい。以下に説明する。
[増感剤]
増感剤を含むことにより、重合反応促進や反応転化率が向上する傾向がある。増感剤としては、水素供与体または増感色素を挙げることができる。
本発明の硬化性組成物に増感剤が含まれる場合、増感剤の含有量は、重合性化合物の質量に対して10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下である。ここで増感剤の含有量を0.1質量%以上とすると、重合促進効果をより効果的に発現することができる。また増感剤の含有量を10質量%以下とすると、溶解性や保存安定性が優れる傾向がある。
[水素供与体]
水素供与体は、重合開始剤から発生した開始ラジカルや、重合生長末端のラジカルに水素を供与して、水素供与体自身がラジカルを発生する化合物である。重合開始剤が光ラジカル発生剤である場合に添加すると、重合速度が向上する場合がある。
水素供与体としてはアミン化合物、メルカプト化合物を挙げることができる。以下に、水素供与体として作用するこれら化合物を例示するがこれらに限定されるものではない。
<アミン化合物>
N−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエタノールアミン、またはN−フェニルグリシンを例示することができ、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンの具体例としては、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを示すことができる。
<メルカプト化合物>
2−メルカプト−N−フェニルベンゾイミダゾール、メルカプトプロピオン酸エステルを例示することができる。
[増感色素]
増感色素は、特定の波長の光を吸収することにより励起され、光重合開始剤へ作用する化合物である。ここでいう作用とは、励起状態の増感色素から光重合開始剤へのエネルギー移動または電子移動等である。光重合開始剤が光ラジカル発生剤である場合に増感剤を添加すると、重合速度が向上する場合がある。
増感色素としては、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、キサントン誘導体、クマリン誘導体、フェノチアジン誘導体、カンファキノン誘導体、アクリジン系色素、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、またはピリリウム塩系色素を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
増感色素は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
[ポリマー成分]
本発明の硬化性組成物にはポリマー成分を含ませてもよい。ここでいうポリマー成分としては、前記、3−1.の段落に記載の重合性化合物に由来する繰り返し単位を構成単位として含む(メタ)アクリルポリマー(例えば、ポリメタクリル酸メチル)、およびビニルポリマー(例えば、ポリスチレン)が含まれる。尚、ポリマー成分は共重合体でもよい。
3−4.硬化性組成物の調製
[硬化性組成物の配合時の温度]
重合開始剤、重合性化合物を混合・溶解させることによって硬化性組成物を調製する際には所定の温度条件下で行う。作業性等から、好ましくは、0℃以上、100℃以下であり、より好ましくは、10℃以上、50℃以下である。
[硬化性組成物に混入しているパーティクル等の不純物]
本発明の硬化性組成物は、硬化性組成物に混入したパーティクルによって光硬化物に不用意に凹凸が生じてパターンの欠陥が発生するのを防止するために、できる限りパーティクル等の不純物を取り除くことが好ましい。具体的には、硬化性組成物に含まれる各成分を混合した後、例えば、孔径0.001μm以上、5.0μm以下のフィルタで濾過することが好ましい。フィルタを用いた濾過を行う際には、多段階で行ったり、多数回繰り返したりすることがさらに好ましい。また、濾過した液を再度濾過してもよい。濾過に使用するフィルタとしては、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、フッ素樹脂製、ナイロン樹脂製等のフィルタを使用することができるが、特に限定されるものではない。
尚、本発明の硬化性組成物を、半導体集積回路を製造するために使用する場合、製品の動作を阻害しないようにするため、組成物中に金属不純物が混入するのを極力避けることが好ましい。このため、本発明の硬化性組成物において、組成物中に含まれる金属不純物の濃度としては、10ppm以下が好ましく、100ppb以下にすることがさらに好ましい。
4.パターン形成方法について
本発明の更に別の態様は、上述の硬化性組成物を用いたインプリントによる「基板上にパターン形状を有する硬化膜を配したパターン付き部材」(D)の製造方法(以下、単に本発明のパターン形成方法ということがある)であり、次の各工程を含む。
配置工程:上述の硬化性組成物を基板上に配置し、「基板上に硬化性組成物が配置された部材」(A)を得る工程。
型接触工程:前記(A)における前記硬化性組成物に対し、パターン形状を有するモールドを接触させて、「基板・パターン形状を有する硬化性組成物・モールドがこの順で接合した部材」(B)を得る工程。
硬化工程:前記(B)中の前記硬化性組成物を、光または熱により硬化させて硬化膜とし、「基板・パターン形状を有する硬化膜・モールドがこの順で接合した部材」(C)を得る工程。
離型工程:前記(C)から前記モールドを引き離し、前記パターン付き部材(D)を得る工程。
本発明のパターン形成方法において、インプリントには、光により硬化する光インプリント、および熱により硬化する熱インプリントが含まれる。
本明細書において、インプリントとは「基板上に、好ましくは、1nm以上、100μm以下の凹凸パターン形状を有する硬化膜を配した部材」の製造方法である。その中で、ナノインプリントは、「1nm以上、100nm以下の凹凸パターン形状を有する硬化膜を配した部材」の製造方法である。本発明のパターン形成方法は、ナノインプリントに好適に用いることができる。
なお、ここで「パターン形成方法」と呼んでいるのは、インプリントにおいては、上述の[発明4]で記載した、「基板上に、パターン形状を有する硬化膜を配した部材」(D)の製造方法、と同義であり、「配置工程」、「型接触工程」、「硬化工程」、「離型工程」の4つの工程を必須のものとして含む。
以下の説明では、便宜上、「配置工程」、「型接触工程」、「硬化工程」、「離型工程」をそれぞれ工程[1]〜[4]とも称する。
図1は、本発明のパターン形成方法における実施形態の例を示す断面模式図である。図1に示されるパターン形成方法は、下記工程を含む。
[1]硬化性組成物を基板上に配置する工程(配置工程、図1(a))
[2]モールドと硬化性組成物とを接触させる工程(型接触工程、図1(b1)、(b2))
[3]硬化性組成物を光または熱により硬化して硬化膜を作製する工程(硬化工程、図1(c))
[4]硬化膜から前記モールドを引き離す工程(離型工程、図1(d))
以上[1]〜[4]に示される工程を経ることで、硬化性組成物1から硬化物5、および硬化物5を有する電子部品(電子デバイス)あるいは光学部品を得ることができる。
以下、各工程[1]〜[4]について説明する。
4−1.工程[1](配置工程;図1(a))
まず硬化性組成物1を基板2に配置(塗布)して塗布膜を形成する(図1(a))。ここでいう硬化性組成物とは、本発明の硬化性組成物である。
基板2に相当する被加工基板としては、通常、シリコンウエハが用いられるが、これに限定されるものではない。シリコンウエハ以外にも、アルミニウム、チタン−タングステン合金、アルミニウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅−ケイ素合金、酸化ケイ素、または窒化ケイ素等の半導体デバイス用基板等を挙げることができる。尚、使用される基板(被加工基板)には、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜、等の表面処理により硬化性組成物との密着性を向上させた基板を被加工基板として用いてもよい。
本発明の硬化性組成物を被加工基板上に配置する方法としては、例えば、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、またはスリットスキャン法等を挙げることができる。尚、被形状転写層(塗布膜)の膜厚は、使用する用途によっても異なるが、例えば、0.01μm以上、100μm以下である。
4−2.工程[2](型接触工程;図1(b1)、(b2))
次に、前工程(配置工程)で形成された硬化性組成物1からなる塗布膜にモールドを接触させる工程(型接触工程、図1(b1)、(b2))を行う。尚、モールド3は印章と見立てることができるので、この工程は押印工程とも呼ばれる。本工程で、硬化性組成物1(被形状転写層)にモールド3を接触させる(図1(b1))と、モールド3に形成された微細パターンの凹凸部に塗布膜(の一部)4が充填される(図1(b2))。
型接触工程で使用されるモールド3は、次の工程(硬化工程)が光による光硬化工程である場合、光透過性の材料で構成される。モールド3の構成材料として、具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜、光硬化膜、金属膜等を挙げることができる。ただしモールド3の構成材料として光透明性樹脂を使用する場合は、光硬化性組成物1に溶解しない樹脂を選択する。熱膨張係数が小さいことから、石英であることが特に好ましい。一方、硬化工程が熱硬化工程である場合、材料の透明性に制限は無く、モールド3の構成材料として上述した材料が使用できる。
モールド3には、硬化物5とモールド3の表面との剥離性を向上させるために、本工程(型接触工程)の前に表面処理を行ってもよい。表面処理の方法としては、モールドの表面に離型剤を塗布して離型剤層を形成する方法が挙げられる。ここで、モールドの表面に塗布する離型剤としては、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、またはカルナバ系離型剤等が挙げられる。例えば、ダイキン工業株式会社製の、商品名オプツールDSX等の市販の塗布型離型剤も用いることができる。尚、離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、フッ素系離型剤が特に好ましい。
型接触工程において、図1(b1)に示されるように、モールド3を硬化性組成物1に接触する際に、硬化性組成物1に加える圧力は特に限定されないが、通常、0.1MPa以上、100MPa以下である。その中でも0.1MPa以上、50MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以上、30MPa以下であることがより好ましく、0.1MPa以上、20MPa以下であることがさらに好ましい。
また、本工程においてモールド3を光硬化性組成物1に接触させる時間は、特に限定されないが、通常、0.1秒以上、600秒以下であり、0.1秒以上、300秒以下であることが好ましく、0.1秒以上、180秒以下であることがより好ましく、0.1秒以上、120秒以下であることが特に好ましい。
本工程を行う環境は、大気雰囲気下、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下が挙げられる。ここで本工程を行う際に、雰囲気の圧力については特に制限は無く、例えば1.0133×10-5MPa以上、1.0133MPa以下の範囲で適宜設定が可能である。
[不活性ガス]
不活性ガス雰囲気下で本工程を行う場合、使用される不活性ガスとして、具体的には、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、各種フロンガス等、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。ナノインプリントに用いる場合、ヘリウムが好ましい。
不活性ガスとしてヘリウムを用いた場合、本工程においてモールド3上に形成された微細パターンの凹凸部に塗布膜4の一部と一緒に雰囲気中の当該不活性ガスが充填されたときに、当該不活性ガスはモールドを透過して抜けることができる。このため、モールド3凹凸部への硬化性組成物1の充填性に優れる。
[凝縮性ガス]
また、本工程は、凝縮性ガスを含むガス雰囲気下で行ってもよい。本発明において、凝縮性ガスとは、下記(i)および(ii)の要件を満たすガスをいう。
(i)本工程において硬化性組成物1(被形状転写層)とモールド3が接触する前(図1(b1))の段階では雰囲気中に気体として存在するガス
(ii)硬化性組成物1とモールド3とが接触して、モールド3上に形成された微細パターンの凹部、およびモールドと基板との間隙に塗布膜(の一部)4と一緒に雰囲気中のガスが充填されたときに、充填時の圧力により発生する毛細管圧力で凝縮して液化するガス
ここで、凝縮性ガス雰囲気下で型接触工程を行うと、モールド3の微細パターンの凹部に充填されたガスが液化することで気泡が発生しにくくなるため、充填性が優れる。尚、凝縮性ガス(の少なくとも一部)は、硬化性組成物中に溶解してもよい。
凝縮性ガスの沸点は、本工程の環境温度以下であれば特に制限が無いが、環境温度より5℃以上、50℃以下の範囲で沸点が低いガスが好ましい。この範囲内であれば、モールド3の微細パターン凹凸部への硬化性組成物1の充填性がさらに優れる。
本工程において、凝縮性ガスを含む気体の蒸気圧は、本工程にて押印するときのモールド圧力以下であれば特に制限が無いが、0.1MPa以上、0.4MPa以下が好ましい。この範囲内であれば、モールド3の微細パターン凹凸部への硬化性組成物1の充填性がさらに優れる。ここで、環境温度での蒸気圧が0.4MPaより大きいと、気泡の消滅効果を十分に得ることができない傾向がある。一方、環境温度での蒸気圧が0.1MPaより小さいと、減圧が必要となり、装置が複雑になる傾向がある。
本工程を行う際の環境温度は、特に制限が無いが、20℃以上、50℃以下が好ましい。
凝縮性ガスとして、クロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロカーボン(FC)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)等のフロン類を挙げることができ、以下に例示する。
<クロロフルオロカーボン(CFC)>
クロロフルオロメタン
<フルオロカーボン(FC)>
<ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)>
トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(E))、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(Z))、トランス−1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223xd(E))、シス−1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223xd(Z))、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223za)、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1213xa)、トランス−1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224zb(E))、シス−1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224zb(Z))
<ハイドロフルオロオレフィン(HFO)>
トランス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz(E))、シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz(Z))、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(E))、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(Z))
<ハイドロフルオロカーボン(HFC)>
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHF2CH2CF3、HFC−245fa、PFP)
<ハイドロフルオロエーテル(HFE)>
ペンタフルオロエチルメチルエーテル(CF3CF2OCH3、HFE−245mc)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシプロパン(HFE−356mmz)
これら凝縮性ガスのうち、型接触工程の環境温度が室温(20℃〜25℃)程度である場合にモールド3の微細パターン凹凸部への硬化性組成物1の充填性が優れることから、下記に例示する化合物を用いることが好ましい。
・1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(23℃での蒸気圧0.14MPa、沸点15℃)
・トリクロロフルオロメタン(23℃での蒸気圧0.1056MPa、沸点24℃)
・トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(沸点18℃)
・シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(沸点39℃)
・トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(沸点−19℃)
・ペンタフルオロエチルメチルエーテル
これらのうち、安全性が優れることから、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンが特に好ましい。
凝縮性ガスは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。またこれら凝縮性ガスは、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の非凝縮性ガスと混合して用いてもよい。凝縮性ガスと混合する非凝縮性ガスとしては、充填性から、ヘリウムが好ましい。ヘリウムであると、凝縮性ガスと非凝縮性ガス(ヘリウム)とを混合してなる混合気体として使用しても、ヘリウムがモールドを透過するため充填性が優れる。
これら雰囲気のうち、硬化工程が光硬化工程か熱硬化工程かに拠らず、酸素や水分による硬化反応への影響を防ぐことができることから、減圧雰囲気、不活性ガス雰囲気または凝縮性ガス雰囲気が好ましい。
4−3.工程[3](硬化工程;図1(c))
次に、塗布膜を硬化する。具体的には、モールド3を介して塗布膜4に光を照射する(図1(c))、または塗布膜4を加熱する。硬化工程において、塗布膜4を、光または熱によって硬化させることで硬化膜5を形成する。
[光硬化]
光によって塗布膜4を硬化させる場合、塗布膜4を構成する硬化性組成物1に照射する光は、硬化性組成物1の感度波長に応じて選択されるが、具体的には、150nm〜400nm程度の波長の紫外光、またはX線、電子線等を適宜選択して使用することが好ましい。ここで、光重合開始剤として市販されているものは、紫外光に感度を有する化合物が多い。このことから、硬化性組成物1に照射する光(照射光6)は、紫外光が特に好ましい。ここで紫外光を発する光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、Deep−UVランプ、炭素アーク灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、またはF2エキシマレーザ等が挙げられるが、超高圧水銀灯が特に好ましい。使用する光源の数は1つでもよいし、複数であってもよい。また、光照射を行う際には、硬化性組成物1の全面に行ってもよく、一部領域にのみ行ってもよい。また、光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用する場合、光照射に加えて、加熱硬化をさらに行ってもよい。光硬化と熱硬化の順序は制限されず、光硬化の後に熱硬化を行う場合、熱硬化の後に光硬化を行う場合、光硬化と熱硬化とを同時に行う場合、が含まれる。
[熱硬化]
熱により硬化する場合、加熱雰囲気および加熱温度等は特に限定されない。例えば、不活性雰囲気下または減圧下では、40℃以上、200℃以下の範囲で硬化性組成物1を加熱することができる。また被形状転写層(塗布膜4)を加熱する際には、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を用いることができる。
4−4.工程[4](離型工程;図1(d))
次に硬化膜5からモールド3を離し、基板2上に所定のパターン形状を有する硬化膜を形成する工程(離型工程、図1(d))を行う。本工程は、硬化膜5からモールド3を剥離する工程であり、前の工程(硬化工程)において、モールド3上に形成された微細パターンの反転パターンが、硬化膜5のパターンとして得られる。
硬化膜5とモールド3とを引き離す方法としては、引き離す際に硬化膜5の一部が物理的に破損しなければ特に限定されず、各種条件等も特に限定されない。例えば、基板2(被加工基板)を固定してモールド3を基板2から遠ざかるように移動させて剥離してもよく、モールド3を固定して基板2をモールドから遠ざかるように移動させて剥離してもよく、これらの両方を正反対の方向で引っ張って剥離してもよい。
また、凝縮性ガス雰囲気下で型接触工程を行った場合、離型工程にて硬化膜とモールドとを引き離す際に、硬化膜とモールドとが接触する界面の圧力が低下することに伴って凝縮性ガスが気化することで、離型力低減効果を発現する傾向がある。
以上説明した工程[1]〜[4]までの一連の工程(製造プロセス)によって、所望の凹凸パターン形状(モールド3の凹凸形状の反転パターン形状)を有する硬化膜を得ることができる。得られた硬化膜は、例えば、フレネルレンズや回折格子等の光学部材(光学部材の一部材として用いる場合を含む。)として利用することもできる。このような場合、少なくとも、基板2と、この基板2の上に配置されたパターン形状を有する硬化膜5と、を有する光学部材とすることができる。
本発明の硬化性組成物は充填速度が優れるために生産性が高く、インプリント用として優れている。特に、ナノサイズ(1nm以上、100nm以下)のパターンを形成するナノインプリント用として優れる。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
[実施例1]
[含フッ素単量体の合成](ジアクリレート(1)の合成)
50mlの反応器にジイソプロピルエーテル6g、トリエチルアミン2.2g(0.022mol、2.5当量)、以下の式(2)に示す1,1−ビス(トリフルオロメチル)ブタン−1,3−ジオール2.0g(0.009mol、1.0当量、合成方法はJournal of Fluorine Chemistry, 128(8), 902-909; 2007に記載)を加え氷浴した。そこにアクリル酸クロライド2.0g(0.022mol、2.5当量)をゆっくりと滴下し、室温にして3時間攪拌した。反応液のろ過を行った後、得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液10gで2回洗浄し、溶媒を留去して、減圧蒸留(0.3kPa、バス100℃)により目的とする含フッ素単量体(以下、ジアクリレート(1)と言うことがある)を1.5g(4.49mmol)得た。ジアクリレート1の純度は99.7%、1,1−ビス(トリフルオロメチル)ブタン−1,3−ジオールを基準とした収率は50%であった。
Figure 2019189556
得られたNMRによる分析結果を以下に示す。
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=6.48(dd,1H),6.35(dd,1H),6.11(dd,1H),6.04−5.94(m,2H),5.79(dd,1H),5.24(m,1H),3.05(dd,1H),2.63(dd,1H),1.31(d,3H).
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:パーフルオロベンゼン);δ=−73.1(t,3F),−73.2(t,3F).
[物性測定]
得られたジアクリレート(1)について、以下に説明する方法で各物性を測定した。
(1)表面張力
懸滴法により、ジアクリレート(1)の表面張力を測定した。尚、測定は、自動接触角計(協和界面科学株式会社製、型式DMs−601)を用いて、10回測定を行い、10回の測定値の平均値を表面張力とした。
(2)粘度
キャノン・フェンスケ粘度計(柴田科学株式会社製、型式SO−5X18)を用いて、30℃におけるジアクリレート(1)の粘度を測定した。
(3)接触角
前記自動接触角計を用いてジアクリレート(1)と基板との接触角を測定した。それぞれ5回測定を行い、5回の測定値の平均値を接触角とした。
この測定で使用する基板は以下の通りである。尚、以下の説明において、モールド接触角は、モールドとジアクリレート(1)との接触角であり、基板接触角は、ジアクリレート(1)を塗布する基板とジアクリレート(1)との接触角である。
(3−1)モールド接触角測定用基板
離型剤(ダイキン工業株式会社製、品名オプツールHD−1100)による離型層を表面に形成した石英基板を使用した。
(3−2)基板接触角測定用基板
プライマー(独国マイクロレジストテクノロジー社製、品名mr−APS1)による密着層を表面に形成したシリコンウエハを使用した。
ジアクリレート(1)に対する上記測定において、表面張力は25.5mN/mであり、粘度は2.7mPa・sであり、モールド接触角は51.6°であり、基板接触角は11.5°であった。
[比較例1(ネオペンチルグリコールジアクリレート)]
実施例1のジアクリレート(1)の場合と同様に、ネオペンチルグリコールジアクリレート(東京化成工業株式会社製)の物性の測定を行った。その結果、表面張力は30.5mN/mであり、粘度は5.1mPa・sであり、モールド接触角は73.5°であり、基板接触角は7.9°であった。
Figure 2019189556
[キャピラリー数(Ca)]
実施例1のジアクリレート(1)について、Caを算出した。その結果、Caは0.79V(L/h02であった。なお、V、Lおよびh0は装置または測定条件に係る定数であり、実施例および比較例において、一定である。
また実施例1と同様に、比較例1の単量体について、Caを算出した。その結果、Caは1.57V(L/h02であった。
以上の結果を、下記表1に示す。
Figure 2019189556
表1から、実施例1に記載の本発明の式(1)で表される含フッ素単量体は、キャピラリー数(Ca)が小さい。
[実施例2]
[硬化性組成物の調製]
ジアクリレート(1)を45質量部、イソボルニルアクリレートを10質量部、ベンジルアクリレートを40質量部、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを4質量部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを1質量部混合し、硬化性組成物を調製した。
[比較例2]
[硬化性組成物の調製]
ジアクリレート(1)をネオペンチルグリコールジアクリレートに代えた以外は実施例2と同様に、硬化性組成物を調製した。
[硬化性組成物の物性測定]
実施例1と同様の方法により、実施例2および比較例2で得られた硬化性組成物の物性測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2019189556
表2から、硬化性組成物中のジアクリレート(1)の含量が、実施例1に比べ少量(45重量部)である実施例2についても、そのキャピラリー数(Ca)は比較例2に比べて有意に小さい。
[実施例3]
[含フッ素重合体−1の合成]
20mlのナス型フラスコに[実施例1]で得たジアクリレート(1)を1.5g、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.1gを仕込み、テトラヒドロフラン7.5gに溶解させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら、80℃に加熱し、5時間重合反応を行った。得られた重合液を室温まで冷却した後、n−ヘプタン22.1gを加えて析出した白色粉末を濾過にて採取した。
採取した白色粉末に、22.1gのn−ヘプタンを加えスラリー状とした後に濾過し、その後エバポレーターにて乾燥し、重合体の白色粉末1.0gを得た。得られた含フッ素重合体−1の1H−NMRを測定したところ、残存モノマーは検出されず、含フッ素重合体−1が合成されていた。
[実施例4]
[含フッ素共重合体−2の合成]
20mlのナス型フラスコに[実施例1]で得たジアクリレート(1)を2.0g、スチレン0.6g、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.3gを仕込み、テトラヒドロフラン7.8gに溶解させた。窒素雰囲気下で撹拌しながら、80℃に加熱し、5時間重合反応を行った。得られた重合液を室温まで冷却した後、n−ヘプタン25.4gを加えて析出した白色粉末を濾過にて採取した。
採取した白色粉末に、16.9gのn−ヘプタンを加えスラリー状とした後に濾過し、その後エバポレーターにて乾燥し、重合体の白色粉末2.2gを得た。得られた重合体を重クロロホルムに浸漬させ、室温にて24時間放置した。得られた抽出液を1H−NMRで測定したところ、各残存モノマーは検出されず、含フッ素共重合体−2が合成されていた。また、共重合体の13C−NMRを測定したところ、ジアクリレート(1)由来の繰り返し単位とスチレン由来の繰り返し単位の含有比はモル%で表して、47:53であった。
[実施例5]
[含フッ素共重合体−3の合成]
モノマーをスチレン0.6gからメチルメタクリレート0.6gに変更した以外は[実施例4]と同様の方法で重合反応および後処理を行い、重合体の白色粉末2.5gを得た。得られた重合体についても、各残存モノマーは検出されず、含フッ素共重合体−3が合成されていた。また、共重合体の13C−NMRを測定したところ、ジアクリレート(1)由来の繰り返し単位とメチルメタクリレート由来の繰り返し単位の含有比はモル%で表して、40:60であった。
図1は、本発明のパターン付き部材の製造方法(パターン形成方法)における実施形態の例を示す断面模式図である。
1: 硬化性組成物
2: 基板
3: モールド
4: 塗布膜
5: 硬化膜
6: 照射光
本発明によって得られる一般式(1)で表される含フッ素単量体、それを用いて重合または共重合した含フッ素重合体、さらに、重合開始剤と前記含フッ素単量体を含む硬化性組成物は、充填速度が大きい性質を有することから、半導体用の封止材やアンダーフィル材、有機EL素子や有機ELディスプレイ用の封止材、バンク材として用いることができる。

Claims (8)

  1. 式(1)で表される含フッ素単量体。
    Figure 2019189556
    (R1、R2はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基である。)
  2. 請求項1に記載の含フッ素単量体と、重合開始剤と、を含む、硬化性組成物。
  3. 前記重合開始剤が、光重合開始剤である、請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 次の各工程を含む、基板上にパターン形状を有する硬化膜を配したパターン付き部材の製造方法。
    配置工程:請求項2または請求項3に記載の硬化性組成物を基板上に配置する工程。
    型接触工程:前記基板上に配置された前記硬化性組成物に対し、パターン形状を有するモールドを接触させる工程。
    硬化工程:前記モールドと接触した状態の前記硬化性組成物を、光または熱により硬化させて硬化膜とする工程。
    離型工程:前記硬化膜から前記モールドを引き離し、前記パターン付き部材を得る工程。
  5. 前記型接触工程が、凝縮性ガスを含む気体の雰囲気下で行われる、請求項4に記載のパターン付き部材の製造方法。
  6. 前記型接触工程の凝縮性ガスが1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(E))、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(Z))、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(E))、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(Z))のうち1種類以上を含む、請求項5に記載のパターン付き部材の製造方法。
  7. 請求項1に記載の含フッ素単量体を単独重合させてなる、または、該含フッ素単量体と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、オレフィンからなる群より選ばれた一種類以上の単量体と、を共重合させてなる含フッ素重合体。
  8. 請求項1に記載の含フッ素単量体を単独重合する工程、または、
    該含フッ素単量体と、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、オレフィンからなる群から選ばれた一種類以上の単量体と、を共重合させる工程、を含む、請求項7に記載の含フッ素重合体の製造方法。
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