JPWO2019177084A1 - ビスマス化合物、硬化性組成物、および硬化体 - Google Patents

ビスマス化合物、硬化性組成物、および硬化体 Download PDF

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Abstract

毒性が少なくモノマーに可溶で光学的用途に使用可能な、鉛化合物を代替する、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルがビスマスに結合したビスマス化合物を提供すること、および(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとを反応させて脱水することにより、前記ビスマス化合物を製造する方法を提供する。

Description

本発明は、新規なビスマス化合物、該ビスマス化合物を含む新規な硬化性組成物、および該硬化性組成物を硬化して得られる新規な硬化体に関する。
近年、X線を遮断する材料として、環境に有害な鉛を用いた材料ではなく、ビスマスを使用した材料の検討が進められている。ビスマスは、バリウム、アンチモン、錫等を含む化合物と比較して、X線遮断性能が高く、鉛代替に適した原子である。
例えば、ビスマスを使用した材料としては、ビスマス、又はビスマス化合物を樹脂材料に直接混錬する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法によれば、様々な材料にビスマスまたはビスマス化合物を配合することができる。
しかしながら、この方法は、直接混錬によるために高度に混錬しなければ、ビスマスを材料に十分に分散できないという点で改善の余地があった。
一方、有機材料中に、ビスマスを分散させ易くするため、ビスマスに有機基を配位させた化合物が知られている(特許文献2、および非特許文献1、非特許文献2参照)。これらの方法によれば、有機材料に馴染みがよくなり、直接樹脂に混錬する方法と比較して、材料中に容易に分散させることが可能となる。上記方法で有機基を導入したビスマス化合物では、該有機基はアルキル基、又はアリール基(特許文献2参照)あるいはポリエチレングリコール鎖(非特許文献1、2参照)である。
有機材料中にビスマスが分散した材料を、より簡便に効率よく得るためには、例えば、重合可能なラジカル重合性単量体と、ビスマス化合物とを混合して硬化性組成物を得、該硬化性組成物を重合して硬化体とする方法を採用することが好ましい。
しかしながら、前記方法により得られるビスマスに有機基を配位させた化合物は、ラジカル重合性単量体の重合に関与することができる重合性基を持たないため、これら化合物を使用した場合には、該硬化性組成物は十分に重合せず、硬化体が得られない場合があった。
前記のようなラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物を利用して、得られる硬化体にビスマスを分散させようとした場合、ビスマスに、(メタ)アクリル酸のような重合性基が配位した化合物を使用することが考えられる(非特許文献3、特許文献3参照)。非特許文献3に記載の錯体は、(メタ)アクリル酸の他に、ジメチルスルホキシド(DMSO)が配位しており、溶解性が向上することが知られている。
しかしながら、非特許文献3に記載の化合物は、DMSOを含むため、高度に架橋(重合)させることが難しいという点で改善の余地があった。さらに、非特許文献3で記載された重合方法では、ジメチルホルムアミド(DMF)中で、メタクリル酸メチルと共重合を行うことしか示されておらず、溶液中で重合するため、得られる硬化体中に高濃度でビスマスを含有させることが困難であった。
一方、特許文献3に記載の化合物は、(メタ)アクリル酸の他にサリチル酸が結合しており、本発明者らの検討によると、該化合物は架橋剤のような他モノマーとの溶解性が十分でなく、その結果として硬化体中に高濃度でビスマスを含有させるのが困難であることがわかった。
特開2001−83288号公報 特表平10−512877号公報 特表2017−516991号公報
Materials Chemistry and Physics, Vol. 99, 174−180(2006) American Journal of Engineering Research, Vol. 3, 162−165(2014) Chemical Communications, Vol. 47,6353−6355(2011)
したがって、本発明の目的は、有機物、特に、ラジカル重合性単量体に対する溶解度が高い、新規なビスマス化合物を提供することにある。
本発明の他の目的は、該ラジカル重合性単量体と共重合が可能であり、該ラジカル重合性単量体と組み合わせからなる硬化性組成物から得られる硬化体中に、ビスマス成分を高度に分散でき、かつ硬化体の着色を低減できる、新規なビスマス化合物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記ビスマス化合物を製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルにビスマスが結合したビスマス化合物により前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルがビスマスに結合したビスマス化合物である。
また、本発明は、以下の態様をとることができる。
(2)さらに、サリチル酸または(メタ)アクリル酸が該ビスマスに結合した前記(1)のビスマス化合物。すなわち、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルおよびサリチル酸または(メタ)アクリル酸が該ビスマスに結合したビスマス化合物である。
(3)前記(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルが、リン酸2水素2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル、およびリン酸水素ビス[2−((メタ)アクリロキシオキシ)エチル]から選ばれる少なくとも1種である前記(1)又は(2)のビスマス化合物。
(4)前記(1)〜(3)の何れかに記載のビスマス化合物、および該ビスマス化合物とは異なる他ラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物。
(5)前記ラジカル重合性単量体が、スチレン化合物を含む(4)に記載の硬化性組成物。
(6)(4)又は(5)の硬化性組成物の硬化体。
(7) (メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとを反応させて脱水することを特徴とする、前記(1)のビスマス化合物を製造する方法。
(8)前記ビスマス化合物を製造する際に、
(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマス1モルに対して、0.3〜10モルの(メタ)アクリル酸を有するリン酸エステルを使用する前記(7)に記載の方法。
(9)脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒中、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとを反応させて脱水する前記(7)又は(8)に記載の方法。
(10)減圧下、50℃以上100℃以下の温度範囲において、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとを反応させて脱水させる前記(7)〜(9)の何れかに記載の方法。
本発明は、有機物に溶解し易く、特にラジカル重合性単量体に対して溶解性の高いビスマス化合物を提供する。さらに、本発明のビスマス化合物は、ラジカル重合が可能であり、該ビスマス化合物と異なるラジカル重合性単量体と共重合することにより、得られる硬化体中に、ビスマス成分が高度に分散した硬化体を得ることができる。しかも、該硬化体の着色を低減することもできる。
その結果、本発明のビスマス化合物を使用することにより、安全であり、X線等の遮断効果に優れ、着色が少なく、透過率の高い硬化体を製造できる。そのため、得られた硬化体は、医療用途の眼鏡レンズ等に好適に使用できる。
図1は、実施例1で製造したビスマス化合物の電界放射型透過電子顕微鏡(STEM)でビスマス部分を観察した写真である。 図2は、製造例2で製造したビスマス化合物の電界放射型透過電子兼備鏡(STEM)でビスマス部分を観察した写真である。
本発明は、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルがビスマスに結合したビスマス化合物に関する。本発明において、(メタ)アクリルとは、メタクリル、及び/又はアクリルを指す。該ビスマス化合物は、ビスマスに結合しているのが(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルであるため、優れた効果を発揮する。ビスマス化合物としては、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルがビスマスに結合しているものである。その製造は、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスに、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルを結合させて、本発明のビスマス化合物を得る方法によることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスとしては、公知のものが使用できる。
先ず、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスについて説明する。
<(メタ)アクリル酸ビスマス>
本発明において、(メタ)アクリル酸ビスマスは、ビスマスに(メタ)アクリル酸が結合した化合物を含むものである。
また、該(メタ)アクリル酸ビスマスとしては、(メタ)アクリル酸がビスマスに結合している化合物以外に、その他、酸化ビスマスが(メタ)アクリル酸と複合物を形成する化合物(以下、単に「(メタ)アクリル酸酸化ビスマス由来の化合物」ともいう)が含まれていてもよい。この複合物を形成する化合物(「(メタ)アクリル酸酸化ビスマス由来の化合物」)は、その構造は明らかではないが、酸化ビスマスの表面に形成される水酸基と(メタ)アクリル酸とが縮合して結合している化合物であると考えられる。(メタ)アクリル酸酸化ビスマス由来の化合物を含むことは、その製造条件(原料物質収支)あるいは例えば、生成物の赤外分光法分析(IR)、元素分析等により推定することができる。
この(メタ)アクリル酸酸化ビスマス由来の化合物は、(メタ)アクリル酸ビスマスと分離することが非常に難しいものの、それが混在することにより本発明の効果を大きく損なわれることはない。そのため、本発明のビスマス化合物とする場合には、この(メタ)アクリル酸酸化ビスマス由来の化合物が含まれた状態であっても、そのまま反応を進めても問題はない。
本発明の該(メタ)アクリル酸ビスマスは、以下の式(1)で示されるものである。
Figure 2019177084
式中、Rは、水素原子、又はメチル基である。
該(メタ)アクリル酸ビスマスは、(メタ)アクリル酸がビスマス(Bi3+)に結合している化合物であり、ビスマス成分は、電界放射型透過電子顕微鏡(STEM)で確認できる。すなわち、該(メタ)アクリル酸ビスマスにおけるビスマスの分散状態を電界放射型透過電子顕微鏡により観察できる。電界放射型透過電子顕微鏡での観察条件は、下記の実施例で示した通りである。下記条件で測定した際、ビスマス成分は白色で観察される。
該(メタ)アクリル酸ビスマスはそれ自体の会合性の高さ、もしくは溶媒に対する溶解性の低さのために凝集すると本発明では考えられている。よってビスマス成分をSTEMにて観察した際には凝集粒子として観察される。本発明では、凝集粒子は、最も長くなる径(以下、単に「長径」とする場合もある。)が0.1〜30nmの範囲にあることが好ましく、0.1〜20nmの範囲にあることがより好ましく、0.5〜10nmの範囲にあることがさらに好ましい。つまり、本発明において、前記式(1)で示される(メタ)アクリル酸ビスマスは、STEMで観察される凝集粒子の長径(大きさ)が0.1〜30nmの範囲にあることが好ましい。該長径が0.1〜30nmの範囲になることにより、後述するビスマス化合物においても、凝集粒子が同じ長径の範囲を満足するものとなり、それとともにラジカル重合性単量体等への溶解性、分散性が高くなるものと考えられる。従来の有機基を導入したビスマス化合物では、本発明者等の検討によれば、該長径が30nmを超える凝集粒子となる。
<次サリチル酸ビスマス>
本発明において、次サリチル酸ビスマスは、ビスマスにサリチル酸が結合した化合物を含むものである。ビスマス成分は、前記した(メタ)アクリル酸ビスマスと同様な方法で確認できる。
本発明の該次サリチル酸ビスマスは、以下の式(2)で示されるものである。
Figure 2019177084
本発明において、該(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスは、特にその製造方法は制限されるものではなく、公知の方法で製造できる。また、市販の(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスを用いることもできる。
以下に(メタ)アクリル酸ビスマスを例にとって、製造方法の一例を示す。
<(メタ)アクリル酸ビスマスの製造方法>
(メタ)アクリル酸ビスマスは、酸存在下、硝酸ビスマスと(メタ)アクリル酸とを混合した後、塩基により中和して製造する。この際、硝酸ビスマス1モルに対して、過剰の(メタ)アクリル酸、例えば5〜10モルの(メタ)アクリル酸が使用される。以下、順を追って説明する。
<酸>
本発明の(メタ)アクリル酸ビスマスを製造するに際し、使用される酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸を好ましいものとして挙げることができる。中でも、不純物を低減するためには、硝酸を使用することが好ましい。
これら酸は、水溶液の状態で反応系内に存在させることができる。そのため、(メタ)アクリル酸ビスマスの製造方法においては、溶媒として水を含むことが好ましい。水溶液の状態で使用する場合、使用する酸は、市販の0.01〜16Nのものを使用することができる。
また、酸の使用量は、硝酸ビスマス1モル当たり、0.1〜1モル(例えば、硝酸の場合、HNOを0.1〜1モル)とすることが好ましい。
<硝酸ビスマス>
該(メタ)アクリル酸ビスマスを製造する際に使用する硝酸ビスマスは、市販のものを使用することができる。
<(メタ)アクリル酸>
該(メタ)アクリル酸ビスマスを製造する際に使用される(メタ)アクリル酸は、市販のものを使用することができる。
そして、本発明において、前記(メタ)アクリル酸ビスマスを製造するに際し、(メタ)アクリル酸の使用量は、硝酸ビスマス1モル当たり、5モル以上10モル以下とすることが好ましい。(メタ)アクリル酸を前記使用量とすることにより、ビスマス成分の長径が0.1〜30nmとなる前記(メタ)アクリル酸ビスマスを容易に製造できる。また着色の少ない、(メタ)アクリル酸ビスマスとして得ることができる。得られる(メタ)アクリル酸ビスマスの生産性、着色、ビスマス成分の長径調整、および反応効率と後処理の観点から、(メタ)アクリル酸の使用量は、硝酸ビスマス1モル当たり、3〜20モルとすることがより好ましく、5〜10モルとすることがさらに好ましい。
<塩基>
該(メタ)アクリル酸ビスマスの製造において、塩基は、原料となる前記(メタ)アクリル酸、および前記酸を中和するために使用するものであり、公知の塩基が使用できる。具体的には、水酸化アルカリ等の無機塩基、アミン化合物等の有機アミンが挙げられる。中でも、生産性、コスト、および後工程における除去のし易さ等を考慮すると、水酸化アルカリ等の無機塩基を使用することが好ましく、水酸化ナトリウムを使用することが特に好ましい。
塩基は、酸存在下、硝酸ビスマスと(メタ)アクリル酸とを反応させた後、過剰に存在する酸成分を中和するために使用される。そのため、使用量は、過剰に使用された(メタ)アクリル酸(硝酸ビスマス1モルに対して、3モルの(メタ)アクリル酸が使用された場合)、および前記酸合計モル数とほぼ同じモル数とすることが好ましい。例えば、硝酸ビスマス1モルに対して、0.5モルの酸、および5モルの(メタ)アクリル酸が使用された場合には、ほぼ5.5モルの塩基を使用することが好ましい。
<反応条件>
(メタ)アクリル酸ビスマスの製造方法において、上記以外の製造条件について説明する。
(メタ)アクリル酸ビスマスの製造方法においては、酸、硝酸ビスマス、および(メタ)アクリル酸を反応系内で攪拌混合する方法を採用できる。また、これら成分を攪拌混合するためには、溶媒を使用して溶媒中で各成分を混合することが好ましい。
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、THFを挙げることができる。中でも、水を使用することが好ましい。
溶媒の使用量は、各成分が十分に混合できるだけの量を使用することが好ましい。中でも、十分な混合、除去のし易さを考慮して、硝酸ビスマス1g当たり、溶媒を3〜50mlとすることが好ましく、5〜20mlとすることがより好ましく、7.5〜15mlとすることがさらに好ましい。
各成分を反応系内に導入する方法としては、例えば必要に応じて前記溶媒で希釈した酸、必要に応じて前記溶媒で希釈した硝酸ビスマス、必要に応じて前記溶媒で希釈した(メタ)アクリル酸を反応系内に一緒に添加し、撹拌混合する方法を採用できる。また、予め反応系内に溶媒を導入しておき、それに、必要に応じて前記溶媒で希釈した酸、必要に応じて前記溶媒で希釈した硝酸ビスマス、必要に応じて前記溶媒で希釈した(メタ)アクリル酸を一緒に添加し、撹拌混合する方法を採用することもできる。また、予め2成分を反応系内に導入しておき、その他1つの成分を反応系内に導入するか、或いは予め1成分を反応系内に導入しておき、他の2成分を一緒に、あるいは順次添加して攪拌混合する手段を採用することができる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸ビスマスの着色を低減し、生産性を向上するためには、以下の方法を採用することが好ましい。先ず、硝酸ビスマスに対して水を加えたもの、および硝酸(必要であれば水で希釈した希硝酸を使用する)を混合する。得られた混合溶液に、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ヒドロキノン、4−tert−ブチルピロカテコールなどの重合禁止剤を加え、最後に(メタ)アクリル酸を混合する方法を採用することが好ましい。使用する溶媒の量によっては硝酸ビスマスが固体のまま沈殿している場合もあるが、60℃程度の温度で均一に溶解する量の組成比で反応を行うことで、反応が円滑に進行するので、望ましい。
各成分を攪拌する際の温度(反応温度)は、例えば30〜80℃であることが好ましく、50〜70℃であることがさらに好ましい。
また、反応時間は、通常、例えば、20分間以上1時間以下でよい。
反応を行う際の雰囲気は、大気圧下、減圧下、および加圧下の何れの雰囲気であってもよいが、操作性を考慮すると、大気圧下で各成分の攪拌混合(反応)を実施することが好ましい。また、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、乾燥空気雰囲気下の何れであってもよく、操作性を考慮すると、空気雰囲気下で実施することが好ましい。
以上のような条件で反応を行うことにより、反応系内は一旦均一な状態(溶液が透明な状態)となる。次いで、撹拌を行って反応を継続すると、反応系内が懸濁し始める。懸濁度が高くなる前に、所望量の前記塩基を反応系内に添加して中和する。この時、中和熱により温度が上昇し溶媒の沸点を超えると中和により生成した沈殿が泡立つために、中和時の温度上昇が沸点を超えない速度で中和を行うことが望ましい。
塩基を加えた後の処理としては、以下の方法を採用することが好ましい。先ず、得られた反応溶液には、一旦部分的に生成した黄色に着色した酸化ビスマス成分と思われる、黄色に着色した成分が確認される場合がある。この黄色に着色した成分が存在する場合には、反応溶液を加熱攪拌し続けることが好ましく、それによって該成分が再分散するため、反応溶液が無色となる。この状態を反応の終点とすることが望ましい。一方、得られた反応溶液が無色の場合には、反応の終点にある状態としてよい。
中和反応を完了させた後には、水を溶媒に用いた場合、50〜70℃の熱時に生じた沈殿を濾取し、濾紙上で同程度の温度の水で該沈殿を洗浄する。このような操作を行うことにより、酸、および過剰に使用した(メタ)アクリル酸を除去することができ、着色が少なく、不純物の少ない(メタ)アクリル酸ビスマスを得ることができる。
次に、本発明のビスマス化合物について説明する。
<ビスマス化合物>
本発明のビスマス化合物は、ビスマスに(メタ)アクリル基を有するリン酸エステル(以下、単に「リン酸エステル」とする場合もある)が結合した化合物を含むものである。該化合物を含むことにより、溶解性、特に、溶液状のラジカル重合性単量体に対する溶解性が向上する。その結果、該化合物、および該ラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物を硬化して得られる硬化体が、優れた物性を有するとともに、高濃度のビスマス成分を含有することができる。このビスマス化合物は、前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスよりも、ラジカル重合性単量体への溶解性が向上できる。
なお、ビスマスと、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとの結合形態は特に限定されず、イオン結合、配位結合のいずれでもよい。
また、該ビスマス化合物は、リン酸エステルがビスマスに結合している化合物以外に、その他、酸化ビスマスが、リン酸エステル、および必要に応じて(メタ)アクリル酸またはサリチル酸と複合物を形成する化合物(以下、単に「酸化ビスマス由来の化合物」)を含んでいてもよい。この複合物を形成する化合物(酸化ビスマス由来の化合物)は、その構造は明らかではないが、酸化ビスマスの表面に形成される水酸基と、リン酸エステル、および必要に応じて(メタ)アクリル酸またはサリチル酸のカルボキシル基とが縮合して結合していると考えられる。なお、この酸化ビスマス由来の化合物は、ビスマス化合物との分離が非常に難しい。そのため、酸化ビスマス由来の化合物が副生した場合には、酸化ビスマス由来の化合物を含む状態で使用することが好ましい。該酸化ビスマス由来の化合物が副生する場合には、製造条件等を調整して、その量を(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスの溶解性を落とさない範囲にすることが望ましい。なお、酸化ビスマス由来の化合物を含むことは、その製造条件、又はIR、NMR、X線光電子分光分析法(XPS)などの方法により総合的に判断できる。
該ビスマス化合物としては、例えば、結合している、或いは複合物を形成しているリン酸エステルが、(メタ)アクリル基を1つ有するリン酸エステル(リン酸モノ(ジ)エステル)、例えば、リン酸2水素2−(メタクリロイルオキシ)エチル、リン酸水素フェニル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルから形成されるもの、又は、(メタ)アクリル基を2つ有するリン酸エステル(リン酸ジエステル)、例えば、リン酸水素ビス[2−(メタクリロキシオキシ)エチル]から形成されるものであることが好ましい。該リン酸エステルは、(メタ)アクリル基を1つ有するリン酸エステル、および(メタ)アクリル基を2つ有するリン酸エステルの何れかのみから形成されるものであってもよいし、任意の割合によって両方から形成されるものであってもよい。中でも、着色等が少ないビスマス化合物とするためには、(メタ)アクリル基を1つ有するリン酸エステル(リン酸モノエステル)のみが結合していてもよい。
また、リン酸エステルが、(メタ)アクリル基を1つ有するもの、および(メタ)アクリル基を2つ有するものとから形成される場合、ラジカル重合性単量体への溶解性を向上し、かつビスマス成分の凝集を抑制するためには、以下の割合とすることが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル基を1つ有するもの由来のリン酸エステル1モルと、(メタ)アクリル基を2つ有するもの由来のリン酸エステルが0.05〜3モルとからなることが好ましく、0.1〜2モルとからなることがより好ましく、0.15〜1モルとからなることがさらに好ましい。(メタ)アクリル基を1つ有するもの、および(メタ)アクリル基を2つ有するものの両者を含むことの利点は、ビスマスが、(メタ)アクリル基を1つ有するもの(2価のリン酸基を有するもの)、および(メタ)アクリル基を2つ有するもの(1価のリン酸基を有するもの)が結合する好適な部位を有し、その結合する好適な部位が、(メタ)アクリル基を1つ有するもの由来のリン酸エステル1モルに対して、(メタ)アクリル基を2つ有するもの由来のリン酸エステルが0.05〜3モルとなる割合で存在することによるものと考えられる。また、(メタ)アクリル基を2つ有するものが前記割合で存在することにより、ビスマス濃度が減少する傾向となるが、その反面、ラジカル重合性単量体への溶解性が向上する。その結果、バランス良く高濃度でビスマス成分を硬化体中に存在させることができる利点も生ずる。
該ビスマス化合物は、リン酸エステルが結合していれば、その他の化合物が結合していてもよい。具体的には、サリチル酸または(メタ)アクリル酸がさらに結合していてもよい。リン酸エステル、およびサリチル酸または(メタ)アクリル酸が同じビスマスに結合している場合、ビスマス化合物自体の生産性を向上し、かつラジカル重合性単量体への溶解性を向上するためには、リン酸エステルと該サリチル酸または(メタ)アクリル酸との割合は、リン酸エステル1モルに対して、サリチル酸または(メタ)アクリル酸が0.1〜10モルとなることが好ましく、0.1〜5モルとなることがより好ましく、0.1〜1モルとなることがさらに好ましく、0.1〜0.5モルとなることが特に好ましい。なお、2種類以上のリン酸エステルが存在する場合には、前記の範囲は、リン酸エステルの合計モル数が基準となる。
該ビスマス化合物は、少なくとも、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルがビスマスに結合している化合物であるが、その製造方法、又はIR、NMR(核磁気共鳴分光法)、およびエネルギー分散型X線分光器(EDS)による元素分析等により、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルが結合していることを確認できる。また、これらの方法でサリチル酸または(メタ)アクリル酸、および各リン酸エステルの結合数がわかる。
本発明の好適なビスマス化合物としては、以下の式(3)ないし式(5)で示されるものが挙げられる。
Figure 2019177084
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Figure 2019177084
式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基である。また、前記式(3)において、m+x+y+z=3になり、x、y、zおよびmは、リン酸水素2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル(x)残基、リン酸フェニル−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル(y)残基、リン酸ビス[2−((メタ)アクリロキシオキシ)エチル](z)残基、および(メタ)アクリル酸(m)残基のモル数を示す。前記式(4)において、2n+u+v+w=3になり、u、v、w、およびnは、リン酸水素2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル(u)残基、リン酸フェニル−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル(v)残基、リン酸ビス[2−((メタ)アクリロキシオキシ)エチル](w)残基、およびサリチル酸(n)残基のモル数を示す。前記式(5)において、2l+q+r+2s+t=3になり、q、r、s、t、およびlは、リン酸水素2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル(q)残基、リン酸フェニル−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル(r)残基、リン酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル(s)残基、リン酸ビス[2−((メタ)アクリロキシオキシ)エチル](t)残基、およびサリチル酸(l)残基のモル数を示す。
なお、本発明において、前記式(3)ないし(5)のビスマス化合物は、単一の化合物でなく、複数の化合物の混合物となっている場合がある。その場合、前記各残基のモル数は、混合物全体としてモル数を表すものとする。
前記式(3)において、低温で製造することができ、着色の少ないビスマス化合物とすることを勘案すると、m=0の場合、x:y:z=1:0.05〜3:0.5〜30となることが好ましく、x:y:z=1:0.1〜2:1〜20となることがより好ましく、x:y:z=1:0.15〜1:1.5〜10となることがさらに好ましい。また、着色をより少なくするという点から、m=0、およびy=0となることもできる。
なお、前記式(4)において、n=0の場合は、上記規定において、xをu、yをv、zをwに読み替えたものと同じである。
また、前記式(3)においてm=0以外の場合、m:(x+y+z)=0.1〜10:1となることが好ましく、m:(x+y+z)=0.1〜5:1となることがより好ましく、m:(x+y+z)=0.1〜1:1となることがさらに好ましい。そして、この場合であっても、x:y:z=1:0.05〜3:0.5〜30となることが好ましく、x:y:z=1:0.1〜2:1〜20となることがより好ましく、x:y:z=1:0.15〜1:1.5〜10となることがさらに好ましい。
前記式(4)においてn=0以外の場合、n:(u+v+w)=1:0.1〜1:30となることが好ましく、n:(u+v+w)=1:0.2〜1:20となることがより好ましく、n:(u+v+w)=1:0.3〜1:10となることがさらに好ましく、n:(u+v+w)=1:0.5:5となることが特に好ましい。そして、この場合であっても、u:v:w=1:20〜0.05:40〜0.1となることが好ましく、u:v:w=1:10〜0.1:20〜0.2となることがより好ましく、u:v:w=1:5〜0.2:10〜0.4となることがさらに好ましい。
その中でも、少なくとも次サリチル酸ビスマスと、リン酸水素フェニル−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルとが結合した化合物が含まれることが好ましい。前記式(5)において、l:(q+r+s+t)=1:0.1〜30となることが好ましく、l:(q+r+s+t)=1:0.2〜20となることがより好ましく、l:(q+r+s+t)=1:0.3〜10となることがさらに好ましく、l:(q+r+s+t)=1:0.5:5となることが特に好ましい。そして、この場合であっても、q:r:s:t=1:50〜0.1:20〜0.05:40〜0.1となることが好ましく、q:r:s:t=1:30〜0.3:10〜0.1:20〜0.2となることがより好ましく、q:r:s:t=1:20〜0.5:5〜0.2:10〜0.4となることがさらに好ましい。
これらの中でも、少なくとも次サリチル酸ビスマスと、リン酸2水素−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルとが2:1で結合した化合物が含まれることが好ましい。
本発明のビスマス化合物は、その凝集性の高さもしくは溶解性の低さのために、粒子状の凝集体を形成する。この時、電界放射型透過電子顕微鏡で観察した際、凝集粒子の長径が0.1〜30nmの範囲になることが好ましい。該凝集粒子の長径が0.1〜30nmの範囲にあることにより、有機物、特にラジカル重合性単量体への溶解性が高くなり、得られる硬化体中での分散性が高くなると考えられる。
該凝集粒子の長径が30nmを超えると、溶解性が低くなり、得られる硬化体中での分散性が低下する傾向にある。一方、該凝集粒子の長径が0.1nm未満のものは、製造が難しいか、ビスマスに3つの(メタ)アクリル酸が結合した錯体に近くなり、ビスマスの濃度が低下するとともに、有機物へ溶解性が低下し、得られる硬化体中での分散状態が悪化する傾向にある。
該ビスマス化合物において、該長径は、それ自体の生産性、有機物への溶解性、および得られる硬化体中での分散性を考慮すると、0.5〜20nmであることが好ましく、0.5〜10nmであることがより好ましい。
該ビスマス化合物においては、粒子状凝集体を形成する。リン酸エステル、および必要に応じて、サリチル酸または(メタ)アクリル酸がビスマスに結合している化合物、並びに必要に応じて含まれる酸化ビスマスがリン酸エステル、および必要に応じて、サリチル酸または(メタ)アクリル酸と複合物を形成する化合物(酸化ビスマス由来の化合物)における、ビスマス成分は、電界放射型透過電子顕微鏡(STEM)で確認できる。この観察されるビスマス成分の凝集粒子の長径が0.1〜30nmの範囲となることが好ましい。
次に、該ビスマス化合物の好適な製造方法について説明する。
<ビスマス化合物の製造方法>
本発明において、該ビスマス化合物は、前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとを反応させて製造することが好ましい。
具体的には、脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒中、必要に応じて重合禁止剤を加えて、前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと、メタクリル基を有するリン酸エステルとを反応させて脱水することにより、本発明のビスマス化合物を製造することが好ましい。
<(メタ)アクリル基を有するリン酸エステル(リン酸エステル);ビスマス化合物の製造方法>
該(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとしては、市販のものを使用することができる。また、該リン酸エステルは、(メタ)アクリル基を1つ有するリン酸エステル、(メタ)アクリル基を2つ有するリン酸エステル、およびこれらの混合物であってもよい。(メタ)アクリル基を1つ有するリン酸エステル(以下、「単官能リン酸エステル」とする場合もある)としては、例えば、リン酸2水素2−(メタクリロイルオキシ)エチル、リン酸水素フェニル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルが挙げられる。また、(メタ)アクリル基を2つ有するリン酸エステル(以下、単に「2官能リン酸リン酸エステル」とする場合もある)としては、例えば、リン酸水素ビス[2−(メタクリロキシオキシ)エチル]が挙げられる。そして、当然のことながら、これら単官能リン酸エステル、および2官能リン酸エステルの混合物を反応に用いてもよい。
リン酸エステルの使用量は、所望とするビスマス化合物が得られるように、その量を決定すればよい。具体的には、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマス1モルに対して、リン酸エステルの使用量を0.3〜10の範囲とすることが好ましい。
また、本発明においては、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとして、他のモノマーとの相溶性を向上させるために、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、フェニルビス〔2−(メタクリロイロキシエチル)〕フォスフェート、トリス〔2−(メタクリロイロキシエチル)〕フォスフェートのようなリン酸トリエステルをさらに加えてもよい。
その中で、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、フェニルビス〔2−(メタクリロイロキシエチル)〕フォスフェートのようにフェニル基を有するリン酸トリエステルを用いると、式(3)ないし式(5)における、(メタ)アクリル基を1個有する1価のフェニルリン酸ジエステルを導入することが可能となる。
該リン酸トリエステルの配合量は、(メタ)アクリル基を1つ有するリン酸エステルおよび/または(メタ)アクリル基を2つ有するリン酸エステル1モルに対して、0.1〜20モルが好ましく、0.2〜5モルがより好ましい。
<脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒>
本発明においては、前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと、前記リン酸エステルとを脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒中で攪拌混合して反応させることが好ましい。そしてこの時、反応系内に水が生じるので、生じた水を脱水することが好ましい。生じた水を脱水し易くするために、高沸点、具体的には、100℃以上の沸点を有する脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒を使用することが好ましい。脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒は混合溶液として使用することもできる。
脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、キシレン、ジメトキシベンゼン、およびそれらの異性体、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、アニソール、あるいは石油エーテル、石油ベンジン、ベンゾインが挙げられる。また、脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒の使用量は、前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスおよび該リン酸エステルを十分に混合できる量であれば、特に制限されるものではない。中でも、該ビスマス化合物の生産性を考慮すると、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマス1g当たり、脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒を10〜100mlとなる割合で使用することが好ましい。
<反応条件;ビスマス化合物の製造方法>
本発明において、前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマス、および前記リン酸エステルを反応系内に導入する方法は特に制限されるものではない。必要に応じて前記脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒で希釈した前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマス、および必要に応じて前記脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒で希釈した前記リン酸エステルを反応系内に一緒に添加し、撹拌混合する方法を採用できる。また、予め反応系内に、脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒を導入しておき、それに、必要に応じて前記脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒で希釈した前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマス、および必要に応じて前記脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒で希釈した前記リン酸エステルを一緒に添加し、撹拌混合する方法を採用することもできる。また、予め一方の成分を反応系内に導入しておき、他方の成分を反応系内に導入して攪拌混合する手段を採用することができる。中でも、得られるビスマス化合物の着色を低減し、生産性を向上するためには、以下の方法を採用することが好ましい。先ず、脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒中に、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスを均一にさせる。この場合、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスが溶解しない場合もあるが、この場合には、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスの塊状物等が存在しない様に、超音波装置等により、該塊状物を粉砕することが好ましい。その後、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスが分散した白濁溶液にリン酸エステルを加えて撹拌・加熱を開始する方法を採用することが好ましい。
各成分を攪拌する際の温度(反応温度)は、脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒の還流温度であってもよいが、得られるビスマス化合物の着色をより少なくするためには、好ましくは30〜110℃の温度、より好ましく、40〜100℃の温度、さらに好ましく、45〜90℃の温度で実施するのが望ましい。
また、反応温度が30〜110℃である場合、反応系内に生じた水を除去(脱水)するために、反応系内を減圧下とすることが好ましい。この脱水は、前記(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと前記リン酸エステルとを混合しながら脱水することもできるし、両者を混合した後、脱水することもできる。ただし、反応の効率化を考えると、混合しながら脱水することが好ましい。
また、反応時間は、特に制限されるものではなく、通常、20分間以上2時間以下でよい。
反応を行う際の雰囲気は、操作性を考慮すると、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、乾燥空気雰囲気下の何れであってもよく、操作性を考慮すると、空気雰囲気下で実施することが好ましい。
以上のような条件で反応した後、得られたビスマス化合物は、溶媒を留去して濃縮後、不溶の濁り成分がある場合はこれを濾過、あるいは遠心分離により分離することが望ましい。さらにこの処理により得られた濃縮反応溶液に、用いた反応溶媒に可溶で、ビスマス化合物を溶解しない溶媒を加えて再沈殿を行い精製する。高沸点溶媒が残存する場合は、上記のデカンテーション操作を繰り返し、溶媒を置換する。その後残存の溶媒を留去、真空乾燥することで、ビスマス化合物を、精製して取り出すことができる。
得られたビスマス化合物は、それ単独で重合硬化して硬化体を製造することもできる。中でも、得られた硬化体をより有益なものとするためには、他のラジカル重合性単量体と組み合せた硬化性組成物とすることが好ましい。
<硬化性組成物>
本発明は、前記ビスマス化合物、および該ビスマス化合物以外のラジカル重合性単量体(単に「ラジカル重合性単量体」とする場合もある)を含む硬化性組成物も提供する。
<ビスマス化合物以外のラジカル重合性単量体>
本発明において、前記ラジカル重合性単量体としては、通常の公知の単量体を使用することができる。具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−フェノキシエチルなどの各種市販の単官能または多官能のアクリル酸、メタクリル酸エステル、あるいはビニル化合物を挙げることができる。中でも、前記ビスマス化合物の溶解性を考慮すると、スチレン化合物を使用することができる。スチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレンおよびその構造異性体、メチルスチレンダイマー、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。また上記ラジカル重合性単量体は単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
<好適な配合割合>
該硬化性組成物において、該ビスマス化合物と、該ビスマス化合物以外のラジカル重合性単量体との配合割合は、得られる硬化体の用途に応じて適宜決定される。
該ビスマス化合物を使用した場合には、X線遮断効果、分散性、着色低減効果等を考慮すると、該ビスマス化合物100質量部当たり、ラジカル重合性単量体を1〜500質量部使用することが好ましく、5〜300質量部とすることが好ましく、10〜200質量部とすることがさらに好ましい。
<その他配合剤>
本発明の硬化性組成物には、該ビスマス化合物、およびラジカル重合性単量体の他に、ラジカル重合性硬化性組成物に配合される、公知の配合剤を配合できる。
具体的には、ラジカル重合開始剤、酸化防止剤、モールドからの離型性を上げるための離型剤、硬化体の色調を整えるための色素、重合性を制御するための連鎖移動剤等が配合できる。これら配合剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で配合できる。該ビスマス化合物、およびラジカル重合性単量体の合計100質量部当たり、各配合剤を0〜30質量部配合することが好ましく、0.01〜20質量部配合することがより好ましく、0.02〜15質量部配合することがさらに好ましい。
これら硬化性組成物は、前記ビスマス化合物、およびラジカル重合性単量体、必要に応じて配合される各種配合剤を混合することにより製造できる。
<硬化体の製造方法>
本発明において、前記硬化性組成物を硬化して硬化体を得る方法としては、公知の方法を採用できる。具体的には、光重合、熱重合、あるいは両方の重合方法を採用できる。好適な重合方法は、必要に応じて配合されるラジカル重合開始剤により決定する。
<得られる硬化体の物性>
本発明の硬化性組成物は、X線遮断能力の高いビスマス成分を高度に含みながら、透過性が高く、しかも着色の少ない硬化体とすることができる。本発明の硬化性組成物より得られる硬化体は、例えば、2mmの厚みで、波長560nmにおける透過率が80%以上、X線遮断能力が鉛箔0.02mm相当以上、黄色度が40以下のものとすることができる。
また、本発明によれば、該硬化体中に含まれるビスマス成分は、硬化体の全質量を100質量%としたとき、5〜40質量%とすることができる。
<硬化体の用途>
本発明により得られる硬化体は、可視光透過性であるにもかかわらず放射線遮断を有するため、透明な放射線シールド材に使用できる。
以下、本発明を実施例、比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<ビスマス化合物のビスマス成分の長径測定>
ビスマス化合物の観察(ビスマス成分の長径の観察)には、電界放射型透過電子顕微鏡(STEM)を用いた(FEI社製、Tecnai(登録商標) F20)。加速電圧200kVでHAADF−STEMモードで形態観察と元素マッピング(ビスマス成分のマッピング)を行った。サンプルはコロジオン膜を張った銅メッシュ上に滴下し、余分な溶液を下に敷いた濾紙に吸わせ、風乾後真空乾燥し、電界放射型透過電子顕微鏡に供した。
<ビスマス化合物の分析方法>
IR測定には、フーリエ変換赤外分光光度計を用いた(パーキンエルマー製、Spectrum One).一回反射のATR法、4回の積算により測定した。
TG−DTA測定には、示差熱熱重量同時測定装置(リガク製、TG8120)を用いた。空気気流下、室温から500℃まで、昇温速度10℃/分で走査した。
ラマン散乱測定には顕微ラマン分光装置(日本分光製、NRS−7100)を用い、サンプルの励起には532nmレーザー、対物レンズ100倍、600line/mmのグレーティング、φ25μm、φ4000μmのアパーチャーをそれぞれ用い、露光時間20秒×2で測定した。
H−、31P−NMR測定には、核磁気共鳴装置(JEOL RESONANCE製、JNM−ECA400II)を用いた。溶媒には重アセトンを用い、試料濃度1wt%で測定した。
XPS測定には、X線光電子分光装置(アルバック・ファイ製、ESCA5701ci/MC)を用いた。X線源としては単色化Al−Kα(14kV−330W)を用いた。アパーチャー径はφ800μm、光電子取出し角度、45°で行った。試料をメノウ乳鉢で粉砕し、得られた粉をカーボンテープで基板に固定して測定チャンバーに導入し測定した。
<ビスマス化合物を含む硬化体の物性測定>
実施例においては、該ビスマス化合物、ラジカル重合性単量体、必要に応じて配合される熱重合開始剤を含む硬化性組成物を熱重合して、2mm厚の硬化体(プレート)を作製した。得られた該硬化体の560nmの光の透過率は、紫外可視分光光度計(島津製作所製、UV−2550)を用いて測定した。
また、硬化体(プレート)の黄色度は、SUGA TEST INSTRUMENTS製、S&M COLOUR COMPUTER SM−Tを用いて測定した。
さらに、得られた硬化体のX線遮断能は241Amから放出される59.5eVのγ線の遮蔽率を鉛板の厚み当量として測定した。
製造例1
(メタクリル酸ビスマスの製造)
硝酸ビスマス5水和物55.9g(115ミリモル)を、撹拌子を入れた1000mlの三口フラスコに入れ、脱イオン水500mlを加えた。これに濃硝酸5.4g(HNO;71ミリモル)を加えて軽く撹拌した。これにBHT1.9gとメタクリル酸75ml(885ミリモル)を加えた。このフラスコに温度計、ジムロート冷却管、および水酸化ナトリウム37.4g(935ミリモル)を脱イオン水60mlに溶かした溶液を入れた滴下漏斗を装着し、オイルバスに入れ該フラスコ中の内容物を撹拌しながら加熱し、室温から20分で65℃まで昇温した。この時、硝酸ビスマスはほとんど溶解し、わずかにBHTが固体として溶け残った状態となった。この溶液に滴下漏斗中の水酸化ナトリウム水溶液を一時に投入した。わずかに黄変した沈殿を生じ、反応系内は不均一となった。
この時、フラスコ内の温度は85℃程度となった。フラスコ内の温度を95℃になるように加熱しながら、内容物を1時間撹拌した。沈殿の黄色がなくなり無色となった時点で反応が終了したとみなした。
反応終了後、フラスコ内の温度が50℃まで下がったところで沈殿を熱時濾過した。これを50mlの50℃の水で二度洗浄した。そのまま二日風乾した。これによりメタクリル酸ビスマス55.9gを得た。
得られたサンプルをクロロホルムに溶解した溶液についてSTEM観察を行った。その結果、直径が5nm以下の、元素としてBiを含有する粒子が確認出来た。IR測定により金属イオンに結合したメタクリル酸のスペクトルが得られた。また熱分解測定による重量減少量より、ビスマスに対して3分子のメタクリル酸が結合していることが分かった。
実施例1
製造例1で得られたメタクリル酸ビスマス10.6g(ビスマス換算22.8ミリモル)と、リン酸エステル(2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート;大八化学工業製 MR−200(リン酸モノエステルとジエステルの約1:1混合物 リン酸2水素2−(メタクリロイルオキシ)エチル30.3ミリモル、リン酸水素ビス[2−(メタクリロキシオキシ)エチル]29.1ミリモル))15.3gを1000mlナス型フラスコに入れてトルエン300mlを加えた。これをバス型ソニケーターにより超音波分散させた。
得られた白濁溶液をDean−Starkトラップを装着した1000ml四ツ口フラスコに移し、油浴で120℃で加熱撹拌しながら反応を行い、生成した水を系外に除いた。水の生成がなくなった時点を反応終点とした。均一分散溶液を得た。
これを500mlコニカルビーカーに移し、2日間静置した。わずかに白沈が生じた。この分散液を、セライトを担持した0.2μmのメンブレンフィルターにより濾過し、無色透明の溶液を得た。この溶液を50mlまでエバポレーターにより濃縮し、ヘキサン400mlを加えた。粘稠な白色沈殿が生じた。バス型ソニケーターにより分散させ、静置した。上清のヘキサンをデカンテーションにより除いた。このヘキサンによる洗浄を3度繰り返した。最後にわずかに残ったヘキサンをエバポレーターによって除去し、真空乾燥した。白色粘稠体であるビスマス化合物14.3gを得た。
得られたサンプルをトルエンに溶解した溶液についてSTEM観察を行った(図1)。その他、XPS測定からビスマス1モルに対してリンが1.4モル、XPS分析からは同1.9モル含まれていることが分かった。両測定法のリンに対する定量性の低さからばらつきはあるものの、IR,ラマン、H−,31P−NMR分析により、ビスマス1モルに対し(メタ)アクリル酸が0.2モル、リン酸エステルが合わせて1.8モル結合していることを確認した。31P−NMRのブロードニングのために二種類のリン酸エステルの存在率は不明瞭であった。
製造例2
製造例1において、メタクリル酸を30ml用いた以外は製造例1と同じ条件で反応を行った。得られたサンプルをクロロホルムに溶解し、わずかに解けた溶液についてSTEM観察を行った(図2)。図2では、直径が50nm以上の板状体がさらに凝集したものが確認された。この化合物はモノマーにはほとんど溶解しなかったため、硬化体の評価はおこなわなかった。
製造例3
市販の酸化ビスマス微粒子(CIK社製100nmBi粒子)12.1gとジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.50g、さらにMR−200(実施例1に記載)12.2gをDean−Starkトラップを装着した1000mlフラスコに入れ、トルエン500mlに分散させた。これを加熱還流撹拌し、脱水反応を行った。反応終了後不溶物を濾別し、濾液から溶媒を留去した。得られた茶褐色粘稠体をヘキサンで3度洗浄し、乾燥した。茶褐色粘稠体14.7gを得た。酸化ビスマスにリン酸エステルが結合したものであると推定される。
実施例2
実施例1において、反応層として500mlナス型フラスコを用い、これをエバポレーターに接続し、減圧下50℃で反応を行った以外は同じ条件により合成を行った。反応はトルエンを減圧留去しながら行ったが、残ったゲル状の溶液が50ml程度となったところでトルエンを再度300ml加え均一に分散させた。当初の溶液よりも透明度の上がった溶液が得られた。これを再び50℃に加熱し減圧下溶媒を留去した。濃縮後さらに400mlのトルエンを加え、均一分散溶液を得た。実施例1と同様の測定を行い、化合物の同定を行った。実施例2においては、測定の結果メタクリル酸はほとんど結合しておらず、EDS分析からビスマス1モルに対してリンが2.5モル、XPS分析からは同2.6モル含まれていることが分かった。また、31P−NMR分析からはリン酸モノエステル体のみが明瞭なピークとして観察された。すなわち、リン酸モノエステルのみが結合したビスマス化合物が製造された。
実施例3
実施例1で得られたビスマス化合物8.2gを、スチレンとベンジルメタクリレートとの質量比1:1の混合モノマー6.2gに溶かした。これにさらにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03gを加え完全に溶解させた。このモノマー溶液を真空ポンプにより減圧下に置き、溶存酸素を除いた。このモノマー溶液を2mm厚のガラスモールド中に注入し、最高温度90℃、2時間で重合を行い、硬化体を得た。得られた硬化体は、前記方法に従い、黄色度、560nm透過率、およびX線遮蔽能を測定した。結果を表1に示した。
実施例4
実施例2で得られたビスマス化合物を3.1g、実施例3で使用した混合モノマーを3.1g用いた他は実施例3と同様の方法により硬化体を得た。得られた硬化体は、前記方法に従い、黄色度、560nm透過率、およびX線遮蔽能を測定した。結果を表1に示した。
実施例5
次サリチル酸ビスマス(III)15.96g(Sigma−Aldrich社製、ビスマス換算44.08ミリモル)、硝酸ビスマス(III)3.42g(Alfa Aesar社製、ビスマス換算8.86ミリモル)と、リン酸エステル{2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート;大八化学工業製 MR−200(リン酸モノエステルとジエステルの約1:1混合物、酸価 275 KOH mg/mg、H+あたりの分子量:204.02}47.23g、さらに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT、和光純薬社製特級試薬)3.67gを500mlナス型フラスコに入れてトルエン300mlを加えた。これをバス型ソニケーターにより超音波分散させた。
得られた白濁溶液をDean−Starkトラップを装着した500ml四ツ口フラスコに移し、油浴で120℃で加熱撹拌しながら反応を行い、生成した水を系外に除いた。水の生成がなくなった時点を反応終点とした。淡黄色沈殿がわずかに生じた、弱散乱性淡黄色溶液を得た。
この溶液を、20,000×gで30分間遠心分離機にかけ、上清を0.2μmのメンブレンフィルターにより加圧濾過し、弱散乱性淡黄色溶液を得た。この溶液を50mlまでエバポレーターにより濃縮し、ヘキサン400mlを加えた。粘稠な白色沈殿が生じた。バス型ソニケーターにより分散させ、静置した。上清のヘキサンをデカンテーションにより除いた。このヘキサンによる洗浄を3度繰り返した。得られた白色粘稠体にBHTを2.54g加え、アセトン100mlに分散させた。わずかに残ったヘキサンを除去するためエバポレーターによって有機溶媒を留去し、再度全体が100mlになるようにアセトンを加え溶解して、強散乱性淡黄色溶液が得られた。この溶液を20,000×gで30分間遠心分離機にかけ、上清を0.2μmのメンブレンフィルターにより加圧濾過し、弱散乱性淡黄色溶液を得た。有機溶媒をエバポレーターにより除去し、真空乾燥した。散乱性淡黄色粘稠液体であるビスマス化合物55.04gを得た。
実施例6
実施例5で得られたビスマス化合物16.28gに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル(V−65)0.12gを加え完全に溶解させた。このモノマー溶液を真空ポンプにより減圧下に置き、溶存酸素を除いた。このモノマー溶液を2mm厚のガラスモールド中に注入し、最高温度90℃、3時間で重合を行い、硬化体を得た。得られた硬化体は、前記方法に従い、黄色度、560nm透過率、およびX線遮蔽能を測定した。結果を表1に示した。
得られた硬化体を分析した結果、XPS測定からビスマス1モルに対してリンが2.29モル含まれていることが分かった。
実施例7
次サリチル酸ビスマス(III)37.59g(Sigma−Aldrich社製、ビスマス換算103.81ミリモル)、リン酸ジエステル ビス[(2−メタクリロイルオキシエチル)]ホスフェート16.72g(Sigma−Aldrich社製、51.89ミリモル)、リン酸トリエステル ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルフォスフェート18.81g(大八化学工業製 MR−200、51.92ミリモル)、さらに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT、和光純薬社製特級試薬)18.59gを1000mlナス型フラスコに入れてトルエン700mlを加えた。これをバス型ソニケーターにより超音波分散させて白濁溶液とした。
得られた白濁溶液をDean−Starkトラップを装着した1000ml四ツ口フラスコに移し、油浴で120℃で加熱撹拌しながら反応を行い、生成した水を系外に除いた。水の生成がなくなった時点を反応終点とした。淡黄色沈殿がわずかに生じた、弱散乱性淡黄緑色溶液を得た。
この溶液を、一旦20,000×gで30分間遠心分離機にかけ、遠心上清をデカントし、これに活性炭を加えて、再度20,000×gで30分間遠心分離機にかけた。上清を0.2μmのメンブレンフィルターにより加圧濾過し、淡黄色透明溶液を得た。この溶液を50mlまでエバポレーターにより濃縮し、ヘキサン400mlを加えた。粘稠な白色沈殿が生じた。バス型ソニケーターにより分散させ、静置した。上清のヘキサンをデカンテーションにより除いた。このヘキサンによる洗浄を3度繰り返した。得られた淡黄色ガム状固体にBHTを0.50g加え、アセトン100mlに分散させた。わずかに残ったヘキサンを除去するためにエバポレーターによって有機溶媒を留去し、再度全体が100mlになるようにアセトンを加え溶解した。散乱性淡黄緑色溶液が得られた。この溶液を20,000×gで90分間遠心分離機にかけ、上清を0.2μmのメンブレンフィルターにより加圧濾過し、弱散乱性淡黄色溶液を得た。有機溶媒をエバポレーターにより除去し、真空乾燥した。淡黄色透明水あめ状流体であるビスマス化合物38.60gを得た。
実施例8
実施例7で得られたビスマス化合物15.04gにスチレン 2.47gを加えて均一に溶解した。これにさらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル(V−65)0.12gを加え完全に溶解させた。このモノマー溶液を真空ポンプにより減圧下に置き、溶存酸素を除いた。このモノマー溶液を2mm厚のガラスモールド中に注入し、最高温度90℃、3時間で重合を行い、硬化体を得た。得られた硬化体は、前記方法に従い、黄色度、560nm透過率、およびX線遮蔽能を測定した。結果を表1に示した。
得られた硬化体を分析した結果、XFR分析からビスマス1モルに対してリンが0.54モル含まれていることが分かった。
比較例1
製造例3で得られた酸化ビスマス可溶化体を7.1g、実施例3で使用した混合モノマーを1.0g用いた他は実施例3と同様の方法により硬化体を得た。得られた硬化体は、前記方法に従い、黄色度、560nm透過率、およびX線遮蔽能を測定した。結果を表1に示した。
Figure 2019177084
実施例3、4、6、8および比較例1で得られたプレートの黄色度、560nm透過率、X線遮蔽能を表1にまとめた。比較例1では酸化ビスマスの量のために高いX線遮断能を有しているが着色が大きく、光もほとんど透過しない。一方で実施例3、4、6、8はビスマス量に応じた遮蔽能を有し、光学材料として利用可能な透明性を有し、許容できる黄色度であった。

Claims (10)

  1. (メタ)アクリル基を有するリン酸エステルがビスマスに結合したビスマス化合物。
  2. さらに、サリチル酸または(メタ)アクリル酸が該ビスマスに結合した請求項1に記載のビスマス化合物。
  3. 前記(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルが、リン酸2水素2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル、およびリン酸水素ビス[2−((メタ)アクリロキシオキシ)エチル]よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のビスマス化合物。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のビスマス化合物、および該ビスマス化合物とは異なる他のラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物。
  5. 前記ラジカル重合性単量体が、スチレン化合物を含む請求項4に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項4又は5に記載の硬化性組成物の硬化体。
  7. (メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと
    、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとを反応させて脱水させることを特徴とする請求項1に記載のビスマス化合物を製造する方法。
  8. 前記ビスマス化合物を製造する際に、
    (メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマス1モルに対して、0.3〜10モルの(メタ)アクリル酸を有するリン酸エステルを使用することを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 脂肪族炭化水素溶媒、又は芳香族溶媒中、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとを反応させて脱水する請求項7又は8に記載の方法。
  10. 減圧下、50℃以上100℃以下の温度範囲において、(メタ)アクリル酸ビスマスまたは次サリチル酸ビスマスと、(メタ)アクリル基を有するリン酸エステルとを反応させて脱水させる請求項7〜9の何れかに記載の方法。
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