JPWO2019167103A1 - 電磁アクチュエータ、開閉器およびスイッチギア - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、受配電盤内の内部アークを高速検知して高速接地することで内部アークを消滅させ内部アークによる盤の損傷を抑える内部アーク保護システムが開発されている。この内部アーク保護システムに使用される高速接地開閉器として火薬を用いた高速アクチェータが知られているが、動作が1回に限られる。
これに対し、複数回動作可能な電磁アクチュエータを用いた内部アーク保護システムが知られている(例えば特許文献1)。
特に特許文献3は、動作時とは主に遮断(開極)を意味しており、閉極動作に使用する場合、閉極時発生するチャタリングについての考慮はなされていない。
図1Aおよび図1Bは、実施の形態1に係る開閉器の構成図で、図1Aは開極状態を示したもので、図1Bは閉極状態を示したものである。
図1Aおよび図1Bにおいて、開閉器1は、固定電極11とこの固定電極11に接離して閉極および開極状態を形成する可動電極12とを真空容器の内部に具備する真空スイッチ2と、この真空スイッチを開閉するために一端に可動電極12の連結された第1の可動軸13を駆動する電磁アクチュエータ3とを有する。
なお、端子4および端子5はそれぞれ真空スイッチ2の外部に設けられ、端子4は固定電極11の固定端に接続され、端子5は第1の可動軸13に接続される。端子4および端子5は真空スイッチ2を回路の開閉に使用する時にそれぞれ高圧側端子、グランド側端子となる。
反発板21は第2の可動軸15に連結され、第2の可動軸15とともに軸方向に動作する。コイル22の中空部を挟んで可動鉄心23が第2の可動軸15に連結され、可動鉄心23も第2の可動軸15とともに軸方向に動作する。
図1Aの開極状態においては、反発板21とコイル22との距離は可動鉄心23とコイル22との距離よりも近く、図1Bの閉極状態においては、反発板21とコイル22との距離は可動鉄心23とコイル22との距離よりも遠くなるように配置されている。
まず、図1Aの開極状態において、コイル22に高周波のパルス電流を通電すると磁界が発生し、この磁界によりコイル22に近接配置された反発板21に渦電流が発生する。反発板21に発生した渦電流による磁界は、コイル22に発生した磁界を打ち消そうとする向き、すなわちコイルに発生する磁界と逆向きであるため、反発板21はコイル22から離れる方向に動く。したがって、反発板21に発生する電磁力により反発板21及び反発板21に連結された第2の可動軸15は閉極方向に動く。反発板21がコイルから離れると、反発板21の電磁力が減少する。
また、開極状態においては、皿ばね30により第2の可動軸15は固定されているが、コイル22の通電後、可動軸15が所定の距離を駆動すると、図1Bで示されるように、皿ばね30は反転し第2の可動軸15を閉極側に押すように接圧する。
一方、可動鉄心23に発生する電磁力103は反発板21に発生する電磁力102より遅れて立ち上り、ピークを迎える。そのため、閉極位置付近で可動鉄心23の電磁力103が大きくなり、すなわち第2の可動軸15を介して、可動電極12を固定電極11方向に動作させる力が大きくなり、可動電極12が固定電極11に衝突した時のチャタリングを抑制することができる。
なお、図2において、閉極位置付近とは、変位101が平坦になる時間の可動電極12の位置である。
また、可動電極12が固定電極11に衝突した時には、皿ばね30の弾性力により、可動電極12の跳ね返りを抑えるため、チャタリングの一層の抑制を図ることができる。皿ばね30は、閉極時に第2の可動軸15の動作方向に第2の可動軸15を接圧し、チャタリングの抑制に寄与している。
図2で示すように、第2の可動軸15の変位101は衝突後ほぼ振動のないよう平坦に維持される。
可動鉄心23においては、大きさは径方向ではコイルの径と同程度かそれ以内であればよく、装置としての重量、駆動性を考慮して厚さも含め設定すればよい。
固定電極11と可動電極12との間の接点間の通電が停止したことを確認後、開極動作を行う。開極を行う機構として、簡便な手動用の機構を設けてもよい。図示しないが、例えば可動軸15にネジ部を設け、このネジ部を利用して開極方向に駆動する送り機構を取りつければよい。この場合、閉極動作に影響しないように可動軸15に対して着脱可能にするのが望ましい。また、リンク機構を可動軸に取り付け手動で開極できるハンドルを取り付けてもよい。このような機構を用いて、開極状態の位置に可動軸15を移動させれば、弾性部材である皿ばね30により、開極位置で可動軸15は維持される。
また、可動鉄心23の電磁力は反発板21の電磁力に対して遅れてピークを迎えるため、第2の可動軸15が高速に所定距離を動作した近傍で電磁力を増加させることができ、電極間の跳ね返りを小さくできる。さらに、皿ばね30の弾性力により、第2の可動軸15が所定距離を動作した後、小さい跳ね返りで止まることができる。
1つのコイルで、反発板21および可動鉄心23に電磁力を発生させる小型の電磁アクチュエータを用いたので、開閉器1の小型化も可能となる。
上述の実施の形態1では可動鉄心と弾性部材である皿ばねを別々に設けていたが、本実施の形態2では、可動鉄心と弾性部材である皿ばねを接続して第2の可動軸に連結する例について説明する。
図3Aおよび図3Bにおいて、開閉器1は、固定電極11とこの固定電極11に接離して閉極および開極状態を形成する可動電極12とを内部に具備する真空スイッチ2と、この真空スイッチを開閉するために一端に可動電極12の連結された第1の可動軸13を駆動する電磁アクチュエータ3とを有する。
実施の形態1と同様に、反発板21は第2の可動軸15に連結され、第2の可動軸15とともに軸方向に動作する。コイル22の中空部を挟んで可動鉄心24が第2の可動軸15に連結され、可動鉄心24も第2の可動軸15とともに軸方向に動作する。
また、図3Aの開極状態においては、反発板21とコイル22との距離は可動鉄心24とコイル22との距離よりも近く、図3Bの閉極状態においては、反発板21とコイル22との距離は可動鉄心24とコイル22との距離よりも遠くなるように配置されている。
まず、反発板21の電磁力が立ち上がり、反発板21の動作により第2の可動軸15が駆動される。反発板21の電磁力に対して可動鉄心24の電磁力は遅れてピークを迎えるため、第2の可動軸15が高速に所定距離を動作した近傍、すなわち、可動電極12が固定電極11に接する近傍で電磁力を増加させることができ、電極間の跳ね返りを小さくできる。さらに、皿ばね30の弾性力により、第2の可動軸15を押さえ、所定距離を動作した後、小さい跳ね返りで止まることができる。
そのため、可動鉄心24の径方向の大きさ、すなわちコイル22に対向する面積は、皿ばね30が大型化しないようにかつ一定の弾性力を確保できる最大限の面積とし、可動鉄心24の厚さを調整すればよい。可動鉄心24に発生する電磁力を確保しつつ、装置、すなわち電磁アクチュエータ3あるいは開閉器1としての重量、駆動性を考慮して設定すればよい。
本実施の形態3では、実施の形態2で示した、可動鉄心と弾性部材である皿ばねを接続して第2の可動軸に連結する別の例について説明する。
図4Aおよび図4Bにおいて、開閉器1は、固定電極11とこの固定電極11に接離して閉極および開極状態を形成する可動電極12とを内部に具備する真空スイッチ2と、この真空スイッチを開閉するために一端に可動電極12の連結された第1の可動軸13を駆動する電磁アクチュエータ3とを有する。
実施の形態1と同様に、反発板21は第2の可動軸15に連結され、第2の可動軸15とともに軸方向に動作する。コイル22の中空部を挟んで可動鉄心24が第2の可動軸15に連結され、可動鉄心24も第2の可動軸15とともに軸方向に動作する。
皿ばね30の外周端は実施の形態1及び2と同様に、ばね固定部材31aに固定され、第2の可動軸15が動作しても外周端の位置は維持される。図4Aの開極状態においては、第2の可動軸15は皿ばね30により真空スイッチ2から遠ざかる位置で接圧される。図4Bの閉極状態においては、第2の可動軸15は皿ばね30により開極状態から反転して真空スイッチ2の閉極状態で接圧され、真空スイッチ2内の固定電極11と可動電極12が離れないように保持する。
まず、反発板21の電磁力が立ち上がり、反発板21の動作により第2の可動軸15が駆動される。反発板21の電磁力に対して可動鉄心24の電磁力は遅れてピークを迎えるため、第2の可動軸15が高速に所定距離を動作した近傍、すなわち、可動電極12が固定電極11に接する近傍で電磁力を増加させることができ、電極間の跳ね返りを小さくできる。さらに、皿ばね30の弾性力により、第2の可動軸15を押さえ、所定距離を動作した後、小さい跳ね返りで止まることができる。
可動鉄心に働く吸引力を増加する際には重量増加と、コイルインダクタンス増加によって応答性が低下しないように次の点に気をつける必要がある。コイルインダクタンスが増加しすぎると、図2に示したコイル電流の立ち上がりが低下するため、反発板の電磁力も低下し応答性が逆に悪くなる場合があるからである。
実施の形態1で示した可動鉄心の径はコイルの外径と同程度が望ましく、径が大きすぎると重量およびコイルインダクタンスが増加する。厚さは電磁力に対して強度を考慮する必要がある。
実施の形態2で示した可動鉄心の径はコイルの外径と同程度にすることは難しいため、厚さにより重量増加、コイルインダクタンスの増加、電磁力の強度を調整する。
本実施の形態3で示した凸部を有する可動鉄心24においては、可動鉄心凸部24bの凸部の高さは、凸部の先端が開極位置でコイルと同一面に位置する程度が望ましく、高さが大きすぎると、重量およびコイルインダクタンスが増加する。また、閉極位置において、可動鉄心凸部24bがコイル22の中空部に入り込むように可動鉄心凸部24bの外径はコイル22の内径より小さい。
さらに、可動鉄心24をコイル22の内径に対して凸となる可動鉄心凸部24bを設けたことで、装置を大型化することなく、可動鉄心24の電磁力を向上させ電磁アクチュエータ3全体の出力を向上することができる。
実施の形態1から3では、弾性部材として皿ばねを用いた例を示したが、弾性部材は他のものであってもよい。
図5Aおよび図5Bは、実施の形態4に係る開閉器の一部の構成を示した図である。実施の形態1の図1A、図1Bの弾性部材である皿ばね30とばね固定部材31a、31bに代わって、リンク機構32を用いた例を示している。図5Aは開極状態を示したもの、図5Bは閉極状態を示したものである。
例えば、ばね33が圧縮ばねの場合、開極位置では開極方向に、閉極位置では閉極方向に接圧するように第2の可動軸15にばね33の力が作用する。
図5Dおよび図5Eにおいて、可動鉄心24に、実施の形態3のように可動鉄心凸部24bを設けてよいことはいうまでもない。
図6Aおよび図6Bは、実施の形態4に係る開閉器の一部の別の構成を示した図である。実施の形態1の図1A、図1Bの弾性部材である皿ばね30とばね固定部材31a、31bに代わって、磁気ラッチ機構35を用いた例を示している。図6Aは開極状態を示したもの、図6Bは閉極状態を示したものである。
なお、吸着板36は、磁性材料からなり、抵抗率の高いものが望ましい。本実施の形態では鉄系の吸着板を使用した。
本実施の形態5では、実施の形態1から4に記載の開閉器を高速スイッチとして搭載したスイッチギアの例について説明する。
図において、上位系統との間に設けられた遮断器44と遮断器44の下流に接続された電流センサ42を有する。入力された電力は下流へと送られ、それぞれ下流の遮断器61、62を介して下位の配電盤へと接続される。
下流の遮断器61、62に並列に接続された開閉器1が設けられ、アーク発生位置40をアーク検出部41が検出すると、その信号を受けて動作する。
なお、下流の遮断器61、62は2個の例を示したが、2個に限るものではない。
図中、端子4aに開閉器1の端子4が、端子5aに開閉器1の端子5が接続され、端子4aが高圧側端子、端子5aがグランド側端子となる。開閉器1はスイッチギア51に搭載された場合、端子5aをグランド側端子とするため、第1の可動軸13と第2の可動軸15とを接続する接続ロッド14は絶縁材料でなくてもよい。
アーク発生位置40で短絡が発生し、アークが発生すると、電流センサ42は電流の変動を検知する。電流センサ42の情報をアーク検出部41が受けると開閉器1の制御系統(図示せず)に閉極の指令を送り、開閉器1は閉極する。スイッチギア51内の回路が接地され、短絡電流はグランドに流れ、アークは速やかに消弧する。
本実施の形態によれば、実施の形態1から4で示したいずれかの開閉器1を高速スイッチとして搭載しているので、アーク発生後高速に接地することができるとともに、閉極時のチャタリングが抑制されているので、高速スイッチとしての再生、複数回使用も可能となる。さらに、開閉器は盤内に設置されるので、小型化が求められているが、本実施の形態による開閉器1であれば、従来のものより小型化されており、その点でも充足する。
図8は別のスイッチギア51の構成を示した概略図である。図において、アーク検出センサ43は、短絡事故が発生すると、アーク発生位置40のアークによる光を検知し、その情報をアーク検出部41に送る。アーク検出部41は、開閉器1の制御系統(図示せず)に閉極の指令を送り、開閉器1は閉極する。短絡電流はグランドに流れ、アークは速やかに消弧する。
なお、図7の電流センサ42と図8の光を検知するアーク検出センサ43とを併用してアークの発生を検出するようにしてもよい。また、アークを検出することができれば、電流または光を検出する方法でなくてもよい。
なお、図7、8においてアーク検出部41からの信号は開閉器1に送られているが、同時に遮断器44にも送られる。高速スイッチである開閉器1により短絡電流を接地し、アークを消弧するが、その後遮断器44により上流から遮断されて、スイッチギア51は保護される。
遮断器44による遮断まで、開閉器1の可動電極12は可動鉄心の電磁力または弾性部材により閉極方向に接圧される。
さらに、アーク発生事故を速やかに鎮静化できるため、事故後の復旧時間の短縮および動作確認を可能とし、信頼性の高いスイッチギアを提供することが可能となる。
スイッチギアとしてあるいは配電盤として比較的低圧の定格電圧のもの、例えば400V程度以下であれば、真空スイッチを用いなくても、ガスまたは空気を封入したスイッチであってもよい。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1つのコイルで、反発板21および可動鉄心23に電磁力を発生させる小型の電磁アクチュエータを用いたので、開閉器1の小型化も可能となる。
Claims (7)
- コイルを貫通する可動軸に連結され、前記コイルを挟んで対向して配置された反発板および可動鉄心と、前記可動軸に一端が連結され、他端が固定された弾性部材とを有し、第一の状態において、前記反発板と前記コイルとの距離は前記可動鉄心と前記コイルとの距離よりも小さく、前記コイルに通電され、前記反発板が前記コイルに反発するように前記可動軸が動作して第二の状態となった時に、前記反発板と前記コイルとの距離は前記可動鉄心と前記コイルとの距離よりも大きくなるとともに、前記弾性部材により前記可動軸の動作方向に前記可動軸が接圧されることを特徴とする電磁アクチュエータ。
- 前記弾性部材は前記可動鉄心により前記可動軸に連結されたことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
- 前記可動鉄心は前記可動軸に沿ってコイル方向に突出した凸部を有し、前記可動鉄心の凸部の外径はコイルの内径よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の電磁アクチュエータ。
- 前記弾性部材は、皿ばねであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電磁アクチュエータ。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁アクチュエータと、前記可動軸の前記反発板側の端部に接続された可動電極と前記可動電極と接離可能な固定電極とを備えたスイッチ部とを有し、前記第一の状態が開極であり、前記第二の状態が閉極であることを特徴とする開閉器。
- スイッチ部は前記可動電極と前記固定電極とが真空容器に収納された真空スイッチであることを特徴とする請求項5に記載の開閉器。
- 請求項5または6に記載の開閉器とアーク検出部とを備え、前記アーク検出部によりアークが検出されると前記開閉器により回路を接地するスイッチギア。
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