JPWO2019167101A1 - 歯科用フィラー、歯科切削加工用複合レジン材料及び歯科用組成物 - Google Patents

歯科用フィラー、歯科切削加工用複合レジン材料及び歯科用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】CAD切削も可能で、大臼歯にも使用可能な強度を有する歯科切削加工用複合レジン材料に含まれる歯科用フィラー、歯科切削加工用複合レジン材料及び歯科用組成物を提供する。【解決手段】歯科用フィラーは、一次粒子径が1〜200nmであるSiO2及びZrO2を含有する複合金属酸化物からなる平均粒子径が0.1〜5μmの無機フィラー(A)を60〜80重量%、一次粒子径が1〜200nmであるSiO2及びZrO2を含有する複合金属酸化物からなる平均粒子径が0.5μm以下であり、微構造である無機フィラー(B)を20〜40重量%で構成される。

Description

本発明は、歯科用フィラー、歯科切削加工用複合レジン材料及び歯科用組成物に関する。
近年、歯科医療の分野において、レジンとフィラーからなる複合材料に代表される歯科用組成物は、歯牙充填修復材料、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント治療における上部構造体など様々な用途に利用されている。しかしながら、歯科技工士の熟練度によって、歯科補綴物の品質にばらつきがあるという問題がある。
そこで、当該問題を解決するため、コンピューター上で歯冠等の形状を設計し、装置を用いて切削加工用材料であるブロックを削り出して歯科補綴物を作製する技術、CAD/CAM(Computer Aided Design / Computer Aided Manufacturing)技術が提案されている。当該技術によって、これまでの手作業が機械化されるため、歯科技工士の熟練度による歯科補綴物の品質のばらつきを抑えることができるようになった。また、安定した品質の歯科補綴物を短時間で供給することが可能となった。
しかし、市販されているCAD/CAM装置に対応した歯科切削加工用複合レジン材料は、強度が低く小臼歯や大臼歯に適用できない。そのため、現状の歯科切削加工用複合レジン材料は、高い強度を必要としない歯の部位やオールセラミックス製の最終補綴物が入るまでの暫定的な仮歯等として主に使用されている。これら歯科補綴材料を小臼歯や大臼歯に適用する場合、高い曲げ強度が要求されるため、現状のレジンとフィラーからなる歯科用組成物では当該要求に応えることができないという問題がある。
そこで、近年、高強度を発現するため、無機フィラーと重合性モノマーと成形用組成物とを重合硬化して形成された歯科切削加工用複合レジン材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された歯科切削加工用複合レジン材料は、SiO、Al及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる平均粒子径が1〜6μmの無機フィラーを70〜82重量パーセント、メタアクリレート系重合性モノマー及び平均粒子経0.1μm以下の超微粒子SiOフィラーを1〜10重量パーセント含有する成形用組成物を重合硬化することで形成される。
上記歯科切削加工用複合レジン材料は、気泡がなく、曲げ強度が300MPaを達成し、研磨後の光沢性に優れている。
特開2015−67543号公報
しかし、上記歯科切削加工用複合レジン材料は、曲げ強度が270MPaを達成しており、曲げ強度200MPaが要求される小臼歯にも使用することができるものの、曲げ強度300MPa以上が要求される大臼歯には使用することができないという問題があった。
本発明の目的は、CAD切削も可能で、大臼歯にも使用可能な強度を有する歯科切削加工用複合レジン材料に含まれる歯科用フィラー、歯科切削加工用複合レジン材料及び歯科用組成物を提供することにある。
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の歯科用フィラー、歯科切削加工用複合レジン材料及び歯科用組成物を提供する。
[1]一次粒子径が1〜200nmであるSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる平均粒子径が0.1〜5μmの無機フィラー(A)を60〜80重量%、
一次粒子径が1〜200nmであるSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる平均粒子径が0.5μm以下であり、微構造である無機フィラー(B)を20〜40重量%で構成される歯科用フィラー。
[2]前記歯科用フィラーは、SiO及びZrOを含有するコロイド溶液、ゾル溶液又は無機塩水溶液を噴霧熱分解して得られる前記[1]記載の歯科用フィラー。
[3]前記無機フィラー(A)及び前記無機フィラー(B)は、球状であり、微構造を有する請求項1又は前記[2]に記載の歯科用フィラー。
[4]一次粒子径が1〜200nmであるSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる第1の無機フィラーと、前記第1の無機フィラーと平均粒子径の異なる第2の無機フィラーとで構成される歯科用フィラー。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の前記歯科用フィラーを80重量%以上含有して形成される歯科切削加工用複合レジン材料。
[6]前記歯科用組成物又は前記歯科切削加工用複合レジン材料は、曲げ強度が270MPa以上である前記[5]に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
[7]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の前記歯科用フィラーを80重量%以上含有して形成される歯科用組成物。
[8]前記歯科用組成物又は前記歯科切削加工用複合レジン材料は、曲げ強度が270MPa以上である前記[5]に記載の歯科用組成物。
請求項1、4、5又は7に係る発明によれば、CAD切削も可能で、大臼歯にも使用可能な強度を達成することができる。
請求項2に係る発明によれば、歯科用フィラーを、SiO及びZrOを含有するコロイド溶液、ゾル溶液又は無機塩水溶液を噴霧熱分解して得ることができる。
請求項3に係る発明によれば、無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)は、球状であり、微構造を有するものを用いることができる。
請求項6又は8に係る発明によれば、曲げ強度が270MPa以上である歯科用組成物又は歯科切削加工用複合レジン材料を得ることができる。
図1Aは、実施例における歯科用フィラーの内部構造を示すTEM画像である。 図1Bは、実施例における歯科用フィラーの内部構造を示すTEM画像である。 図1Cは、実施例における歯科用フィラーの内部構造を示すTEM画像である。 図1Dは、実施例における歯科用フィラーの内部構造を示すTEM画像である。 図1Eは、実施例における歯科用フィラーの内部構造を示すTEM画像である。 図2Aは、実施例における歯科用フィラーの表面構造を示すFE−SEM画像である。 図2Bは、実施例における歯科用フィラーの表面構造を示すFE−SEM画像である。 図2Cは、実施例における歯科用フィラーの表面構造を示すFE−SEM画像である。 図3は、実施例における歯科用フィラーのBET比表面積を示すグラフ図である。 図4は、実施例における歯科用フィラーのX線回折による回折強度分布を示すグラフ図である。 図5は、実施例における歯科用フィラーの細孔分布を示すグラフ図である。 図6は、歯科用フィラーの製造工程を説明するための概略図である。 図7Aは、FE−SEMによるEDX分析の結果であり、FE−SEM画像である。 図7Bは、FE−SEMによるEDX分析の結果であり、Siマッピング画像である。 図7Cは、FE−SEMによるEDX分析の結果であり、Zrマッピング画像である。 図8Aは、TEMによるEDX分析の結果であり、TEM画像である。 図8Bは、TEMによるEDX分析の結果であり、Si及びZrの分布を示すグラフ図である。 図8Cは、TEMによるEDX分析の結果であり、Siマッピング画像である。 図8Dは、TEMによるEDX分析の結果であり、Zrマッピング画像である。
[実施の形態]
(歯科切削加工用複合レジン材料の成形用組成物)
本願発明の歯科用組成物、歯科切削加工用複合レジン材料は、SiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる無機フィラー(A)を60〜80重量%、及び(A)と同様にSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる無機フィラー(B)を20〜40重量%含む歯科用フィラーを80〜85重量%と、モノマーとしてウレタン ジメタクリラートを15〜20重量%含有する成形用組成物を、型内に充填後に重合硬化させて、成形体の複合レジン材料を形成することで作製される。
なお、以下において無機フィラー(A)と無機フィラー(B)とを所定の割合で含むものを「歯科用フィラー」と呼ぶ。なお、無機フィラー(A)と無機フィラー(B)を、その配合比率を特に限定しない場合はそれぞれ「第1の無機フィラー」と「第2の無機フィラー」と呼ぶ場合がある。
(歯科用フィラーの構成)
歯科用フィラーは、無機フィラー(A)を60〜80重量%、無機フィラー(B)を40〜20重量%含むよう構成される。好ましくは、歯科用フィラーは、無機フィラー(A)を60重量%、無機フィラー(B)を40重量%含むよう、又は無機フィラー(A)を70重量%、無機フィラー(B)を30重量%含むよう構成される。
(無機フィラー(A))
歯科用フィラーを構成する無機フィラー(A)は、一次粒子径が1〜200nmであるSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなり、平均粒子径が0.1〜5μm、BET比表面積が10〜500m/gである。
無機フィラー(A)は、SiO成分を10〜85重量%、ZrO成分を90〜15重量%を含有する。好ましくは、無機フィラー(A)は、SiO成分を85重量%、ZrO成分を15重量%含有する。
(無機フィラー(B))
歯科用フィラーを構成する無機フィラー(B)は、一次粒子径が1〜200nmであるSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなり、平均粒子径が0.5μm以下、BET比表面積が10〜500m/gである。
無機フィラー(B)は、SiO成分を10〜85重量%、ZrO成分を15〜90重量%を含有する。好ましくは、無機フィラー(B)は、SiO成分を85重量%、ZrO成分を15重量%含有する。
(歯科用フィラーの製造工程)
次に、本実施の形態の歯科用フィラーの製造工程について説明する。
(A)成分及び(B)成分の製造方法は、金属酸化物又は金属の微粒子、例えばナノ粒子の製造方法であって、一例として、噴霧熱分解法及び特許第5413898号に記載された金属酸化物の微粒子の製造方法を含み、これを利用するものである。詳しく以下に説明する。
図6は、歯科用フィラーの製造工程を説明するための概略図である。
歯科用フィラー製造装置100は、原料溶液からミスト10(エアロゾル)を生成する図示しないミスト発生器と、ミスト10を含むキャリアガスCGが流通する流通路101と、ミスト10を150〜140℃で加熱処理して乾燥する乾燥炉102と、乾燥したミスト13を600〜1000℃で加熱処理して熱分解する熱分解炉103と、熱分解の結果生成されたフィラー16を回収する図示しない回収器とを有する。
原料溶液としては、SiO及びZrOを含有するコロイド溶液やゾル溶液、又は無機塩水溶液が用いられる。コロイド溶液やゾル溶液は市販のものを用いることができ、無機塩水溶液は、例えば金属硝酸塩、金属酢酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物、金属脂肪酸、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナートを用いることが可能であり、単に金属を硝酸、塩酸、硫酸などで溶解した水溶液を用いることもできる。
前記工程で調製された溶液を超音波振動子や二流体ノズル等であるミスト発生器でミスト化してミスト10とする。ミスト10を構成する液滴の径は、ミスト発生方式等を変更することで調整する。
前記工程で発生させたミスト10を、流通路101のうち乾燥炉102に対応する加熱空間をキャリアガスCGによって流通させながら200℃〜400℃の温度範囲で加熱処理する。乾燥炉102の加熱空間を流通するミスト10は200℃〜400℃の温度範囲で加熱され、ミスト11、ミスト12、ミスト13と徐々に乾燥する。ミスト10〜13を流通させるキャリアガスCGには例えば空気が用いられる。空気以外に窒素ガス、アルゴンガス、アルゴン−水素混合ガス、窒素−水素混合ガスのいずれか1つを用いてもよい。
次に、流通路101のうち熱分解炉103に対応する加熱空間をキャリアガスCGによって流通させながら600℃〜1000℃の温度範囲で加熱処理する。熱分解炉103の加熱空間を流通するミスト10〜13の乾燥結果物14は600℃〜1000℃の温度範囲で加熱され、熱分解し、熱分解中の粒子15、熱分解後のフィラー16となる。当該加熱工程によって粒径が30nm〜5μmまでの球状のフィラー16が生成される。
噴霧熱分解時の温度、キャリアガスCGの流量、ミスト炉内滞留時間、原料溶液濃度等を調整することで、所望の組成、微構造、内部構造、並びに粒子径のフィラー16を得ることができる。一例として、無機フィラー(A)を生成するための条件は、噴霧熱分解時の温度800℃、キャリアガスCGの流量5L/min、ミスト炉内滞留時間8sec、原料溶液濃度0.075Mである。また、無機フィラー(B)を生成するための条件は、噴霧熱分解時の温度800℃、キャリアガスCGの流量5L/min、ミスト炉内滞留時間8sec、原料溶液濃度0.075Mである。
前記工程で得られたフィラー16を、二次焼成工程において、例えば800℃〜1500℃の温度範囲で再度熱処理(焼成)する。二次焼成工程は、電気炉などを用いて所定の雰囲気中で行なう。これによりフィラー16の結晶構造が形成され、結果物として無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)がそれぞれ得られる。
次に、前記工程で得られた無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)を所定の比で混合し、歯科用フィラーとする。なお、無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)のフィラー径の比は、好ましくは、無機フィラー(A)のフィラー径:無機フィラー(B)のフィラー径=8:1である。
無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)のBET比表面積は、フィラー製造工程及び二次焼成工程で調製し、10〜500m/gの範囲で歯科用フィラーとして最適なもの、一例として、BET比表面積18m/gを採用する。BET比表面積18m/gを採用することで、後述するように、曲げ強度300MPaが達成される。
(モノマーの構成)
歯科切削加工用複合レジン材料の成形用組成物としてのモノマーは、一例として、ウレタン系モノマーが用いられ、具体例としてウレタンジメタクリラートを使用し、可塑剤としてトリエチレングリコールジメタクリラート(2官能メタクリレート)を配合し、光重合開始剤としてカンファーキノンを配合する。
なお、モノマーは、歯科用として使用できる重合性モノマーであれば特に限定されることはなく、アクリル系モノマーを用いてもよいし、Bis−GMA系モノマー、UDMA系モノマー、Tri−EDMA系モノマー等を用いることができる。また、上記したモノマーを単一の種類で構成してもよいし、複数の種類で構成してもよい。
アクリル系モノマーとしては、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
また、重合開始剤は、光重合開始剤以外にも化学重合開始剤を用いても良い。
(歯科切削加工用複合レジン材料の製造工程)
次に、本実施の形態の歯科切削加工用複合レジン材料の製造工程を説明する。
本願発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、SiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる無機フィラー(A)を60〜80重量%と、無機フィラー(A)と同様にSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる無機フィラー(B)を20〜40重量%と、モノマーとしてウレタン ジメタクリラートを15〜20重量%含有する成形用組成物を、型内に充填後に重合硬化させて、成形体の複合レジン材料を形成することで作製される。
上記の複合レジン材料中の各成分の混合比は、使用目的によって随時増減すればよい。また、可塑剤、重合開始剤に加え、さらに必要に応じて着色顔料、オパール化材、蛍光材等を適宜配合することができる。
また、複合レジン材料の製造工程に、さらに、成形用組成物を型内に充填した後、十分に混練して均一に分散させる工程、当該ペーストを減圧下で混練して、気泡を除去させる工程を追加してもよい。
型で成形する際には、例えば、透明なシリコーン樹脂の型を用意する。型のキャビティ形状は、特に限定されるものではないが、例えば、角柱状、円柱状、角板状、円板状等の形状である。
光照射により重合硬化させる方法は、光重合開始剤の種類によって異なり、通常人体に無害である光の波長で光照射して重合硬化させる。光の波長としては、例えば、375nm〜495nmの範囲である。
光源には、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザー、蛍光灯、太陽光等の光を使用することができる。
また、光の照射によりモノマーを重合させる際の照射時間は、照射光の強さにより異なり、一般に所望の重合時間に合わせ適宜決定すればよい。好ましくは30秒から10分程度、より好ましくは1分から6分の照射を行えば十分である。
光照射によって重合硬化させる方法としては、例えば、透明なシリコーン樹脂等の型に成形用組成物を充填した後、300〜500nmの光を照射して光重合させる。さらに、重合度を高めるために、加熱処理を行ってもよい。
重合硬化によって、得られた複合レジン材料成形体の体積は特に制限されないが、例えば、0.1cm以上5cm以下の範囲で形成される。
[実施例]
上記実施の形態に基づき、詳細な条件として、噴霧熱分解時の温度800℃、キャリアガスCGの流量5L/min、ミスト炉内滞留時間8sec、原料溶液濃度0.075Mの条件下で平均粒径1.5μmの無機フィラー(A)を作製するとともに、噴霧熱分解時の温度800℃、キャリアガスCGの流量5L/min、ミスト炉内滞留時間8sec、原料溶液濃度0.075Mの条件下で平均粒径300nmの無機フィラー(B)を作製して、これらを後述する「表1」の割合で配合して歯科用フィラーを作製した。また、無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)の二次焼成工程は、1100℃で2時間行った。
以下の図1A〜図1E、図2A〜図2C、図3〜図5、図7A〜図7C、図8A〜図8Dの測定結果は、上記歯科フィラーのうち無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)を70重量%及び30重量%で配合した歯科フィラーから得たものである。
図1A〜図1Dは、実施例における歯科用フィラーの内部構造を示すTEM(透過型電子顕微鏡)画像である。
図1A〜図1Dは、それぞれ異なる倍率(5,000倍、10,000倍、30,000倍、200,000倍、800,000倍)において、歯科用フィラーを観測した透過型電子顕微鏡画像であり、歯科用フィラーの内部構造が内実粒子であることが確認された。歯科用フィラーを構成する一次粒子がSiO及びZrOの複合酸化物になっていると考えられる。なお、観察には日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡を用いた。
図2A〜図2Cは、実施例における歯科用フィラーの表面構造を示すFE−SEM(走査型電子顕微鏡)画像である。
図2A〜図2Cは、それぞれ異なる倍率(5,000倍、30,000倍、35,000倍)において、歯科用フィラーを観測した走査型電子顕微鏡画像であり、均質な表面が得られることが確認された。なお、観察には日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡を用いた。
また、図1A〜図1D及び図2A〜図2Cに加えて、図7A〜図7C及び図8A〜図8Dによれば、無機フィラーは、Si酸化物及びZr酸化物で構成されていると考えられる。
図7A〜図7Cは、FE−SEMによるEDX分析の結果であり、図7AはFE−SEM画像、図7BはSiマッピング画像、図7CはZrマッピング画像である。
図8A〜図8Dは、TEMによるEDX分析の結果であり、図8AはTEM画像、図8BはSi(黒データ)及びZr(グレーデータ)の分布を示すグラフ図、図8CはSiマッピング画像、図8DはZrマッピング画像である。
図7A〜図7C及び図8A〜図8Dによれば、無機フィラーがSi酸化物及びZr酸化物で構成されており、無機フィラー中にSi酸化物及びZr酸化物が均一に分布していることがわかる。
図3は、実施例における歯科用フィラーのBET比表面積を示すグラフ図である。
BET法により求められた比表面積は18.3m/gである。また、平均細孔直径は29.5nm、全細孔容積は0.13m/gであった。なお、測定にはマイクロトラック・ベル株式会社製のBELSORP−mini IIを用いた。
図4は、実施例における歯科用フィラーのX線回折による回折強度分布を示すグラフ図である。
図4に示すように回折強度分布が測定され、黒丸で示した位置にピークを有する。また、上記回折強度分布をフーリエ変換することで求まる幾何平均径は1.6μmであった。
図5は、実施例における歯科用フィラーの細孔分布を示すグラフ図である。
図5に示すように細孔分布が測定され、細孔容積は0.13m/g、細孔比表面積は29.5m/g、細孔半径は10.7nmであった。なお、測定にはマイクロトラック・ベル株式会社製のBELSORP−mini IIを用いた。
なお、上記した「表1」では、無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)の値が歯科用フィラーに含まれる無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)それぞれの重量%を示す。モノマーの値は複合レジン材料に含まれるモノマーの重量%を示す。つまり、モノマーの値が「19」重量%であれば、歯科用フィラーの値は「81」重量%である。
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態及び実施例によれば、特に図3〜図5から得られた結果から、歯科用フィラーの無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)は、擬似多孔質構造を有することがわかる。この様な構造を有することで、歯科切削加工用複合レジン材料を形成する重合性モノマーが、フィラー表面の擬似多孔質(細孔)に浸入し、界面に強固な三次元網目構造を生じることになるとともに、歯科用フィラーの無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)の充填量が向上するため、硬化後の歯科切削加工用複合レジン材料は曲げ強度等の機械的的強度に優れ、上記実施例においては300MPa以上の曲げ強度を達成することができた。つまり、CAD切削も可能で、大臼歯にも使用可能な強度を有する歯科切削加工用複合レジン材料及び歯科用組成物が達成される。また、当該歯科切削加工用複合レジン材料及び歯科用組成物を達成するための歯科用フィラーを提供可能となる。
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
上記実施の形態で説明した無機フィラー(A)及び無機フィラー(B)、モノマー、可塑剤、重合開始剤の組み合わせの変更、削除、追加等は本発明の要旨を変更しない範囲内で可能である。
CAD切削も可能で、大臼歯にも使用可能な強度を有する歯科切削加工用複合レジン材料に含まれる歯科用フィラー、歯科切削加工用複合レジン材料及び歯科用組成物を提供する。
10〜13 :ミスト
14 :乾燥結果物
15 :粒子
16 :フィラー
100 :歯科用フィラー製造装置
101 :流通路
102 :乾燥炉
103 :熱分解炉
CG :キャリアガス


【0011】
M(透過型電子顕微鏡)画像である。
[0052]
図1A〜図1Dは、それぞれ異なる倍率(5,000倍、10,000倍、30,000倍、200,000倍、800,000倍)において、歯科用フィラーを観測した透過型電子顕微鏡画像であり、歯科用フィラーの内部構造が内実粒子であることが確認された。歯科用フィラーを構成する一次粒子がSiO2及びZrO2の複合酸化物になっていると考えられる。なお、観察には日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡を用いた。
[0053]
図2A〜図2Cは、実施例における歯科用フィラーの表面構造を示すFE−SEM(走査型電子顕微鏡)画像である。
[0054]
図2A〜図2Cは、それぞれ異なる倍率(5,000倍、30,000倍、35,000倍)において、歯科用フィラーを観測した走査型電子顕微鏡画像であり、均質な表面が得られることが確認された。なお、観察には日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡を用いた。
[0055]
また、図1A〜図1D及び図2A〜図2Cに加えて、図7A〜図7C及び図8A〜図8Dによれば、無機フィラーは、Si酸化物及びZr酸化物で構成されていると考えられる。
[0056]
図7A〜図7Cは、FE−SEMによるEDX分析の結果であり、図7AはFE−SEM画像、図7BはSiマッピング画像、図7CはZrマッピング画像である。
[0057]
図8A〜図8Dは、無機フィラーを構成する一次粒子のTEMによるEDX分析の結果であり、図8AはTEM画像、図8BはSi(黒データ)及びZr(グレーデータ)の分布を示すグラフ図、図8CはSiマッピング画像、図8DはZrマッピング画像である。
[0058]
図7A〜図7C及び図8A〜図8Dによれば、無機フィラーがSi酸化物及びZr酸化物で構成されており、無機フィラー中の一次粒子にSi酸化物及びZr酸化物が均一に分布していることがわかる。
[0059]
図3は、実施例における歯科用フィラーのBET比表面積を示すグラフ図である。

Claims (8)

  1. 一次粒子径が1〜200nmであるSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる平均粒子径が0.1〜5μmの無機フィラー(A)を60〜80重量%、
    一次粒子径が1〜200nmであるSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる平均粒子径が0.5μm以下であり、微構造である無機フィラー(B)を20〜40重量%で構成される歯科用フィラー。
  2. 前記歯科用フィラーは、SiO及びZrOを含有するコロイド溶液、ゾル溶液又は無機塩水溶液を噴霧熱分解して得られる請求項1記載の歯科用フィラー。
  3. 前記無機フィラー(A)及び前記無機フィラー(B)は、球状であり、微構造を有する請求項1又は請求項2に記載の歯科用フィラー。
  4. 一次粒子径が1〜200nmであるSiO及びZrOを含有する複合金属酸化物からなる第1の無機フィラーと、前記第1の無機フィラーと平均粒子径の異なる第2の無機フィラーとで構成される歯科用フィラー。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の前記歯科用フィラーを80重量%以上含有して形成される歯科切削加工用複合レジン材料。
  6. 前記歯科用組成物又は前記歯科切削加工用複合レジン材料は、曲げ強度が270MPa以上である請求項5に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の前記歯科用フィラーを80重量%以上含有して形成される歯科用組成物。
  8. 前記歯科用組成物又は前記歯科切削加工用複合レジン材料は、曲げ強度が270MPa以上である請求項5に記載の歯科用組成物。

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