JP3180053U - 機能性歯科用補綴物 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属やセラミックを材料とし、その表面の凹凸をなくして滑沢にし、しかも殺菌機能をも備えた歯科用補綴物を提供する。
【解決手段】表面に殺菌機能を発現する殺菌層を備え、殺菌層は、傷及び空孔部を埋めて表面を平滑化している。殺菌層は、光の照射により殺菌機能を発現する光触媒材を使用した層とし、光触媒材は酸化チタンであり、窒素がドーピングされていてもよい。
【選択図】図1

Description

本考案は、表面を機能性材料でコーティングした歯科用補綴物に関する。
一部喪失した歯の機能再獲得のために、金属やセラミックス等の人工材料により置換して喪失した口腔機能を補う。このための手段としては、金属材料やセラミック材料を喪失部に埋めて補填し、歯冠が失われた場合は人口歯を歯根に埋め、完全に歯根まで喪失した場合は、健康な歯にブリッジをかけ人口歯を置く等の治療手段の他、先端的治療法の一つとして、口腔インプラント治療が実施され歯冠をアバットメントに装着して機能を獲得している。
歯牙一部が喪失する原因としては、例えば虫歯がある。エナメル質部分に齲蝕が存在すると、齲蝕を取り除くために歯牙を削り、コンポジットレジン等の充填物を、削り取った部分に充填する。
コンポジットレジンは、高い機械的強度を有するとともに、歯とほとんど同じ色であり、審美的にも優れているが、それ自身が歯質との接着性を持たないため、歯と接着するために、ボンディング材を使用する必要がある。このボンディング材は長期的には湿潤環境でのコンポジットレジンと歯質の接着力低下の問題がある。このために、湿潤下においても歯質と確実に接着しうるだけでなく、着色がより少なく、且つより高い強度と歯質との接着力を有するコンポジットレジンとして、例えば、酸性基含有ビニルモノマー、イオン溶出性フィラー、ノニオン系界面活性剤および重合開始剤を含有したコンポジットレジンがある(特許文献1参照)。
長期的に強度を維持する場合には、金属やセラミックを材料としてインレーあるいはオンレーを製作して接着する。金属材料としては、金・銀・パラジウム合金、金・銀・白金・銅合金や、チタン等が使用されている。
また、歯質が相当弱っており、充填物を保持することができない場合には、補修用補綴物、例えばクラウンを歯牙にかぶせて、天然の歯牙の解剖学的形態、機能及び審美性を修復する。さらに、完全に歯を喪失した場合は、隣接する歯牙に金属製のブリッジで人口歯を固定したり、インプラント治療により人口歯根であるフィクスチャーを埋入してアバットメントを支台とし、上部構造、即ち人口歯を固定したりする。
セラミックや金属を材料としてインレーや人口歯等の歯科用補綴物を製作するときに、最終工程で表面研磨をしなければならない。研磨が不十分であったり研磨面に大きな傷が残っていたりすると舌触りが悪く不快に感じるばかりでなく細菌やデンタルプラーク付着の原因となる。そのため研磨は研磨粒子を含む研磨材で最終的に艶出し研磨まで行い表面をできるだけ滑沢にする必要がある。表面に微細な凹凸があるとデンタルプラークが付着しやすくなるからであるが、複雑な形状をした歯科用補綴物は、ワックスを媒体とした研磨材を使用しているので使用後の水洗が非常に困難であった。
このため、セラミック,金属またはレジン製の歯科充填物や歯科用補綴物の表面研磨において、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を含まず人体に対して安全であり、水溶性で口腔内での水洗時の流れが良く、研磨時の飛散の少ないペースト状の歯科研磨用組成物が提案されている。この歯科研磨用組成物は、平均粒子径が4〜80nmの、シリカ微粉末,シリカ−アルミナ微粉末,シリカ−ジルコニア微粉末から選ばれる少なくとも1種の無機微粉末:0.5〜6重 量%、平均粒子径が0.1〜10μmの無機研磨粒子:10〜50重量%、水溶性液体:10〜60重量%水溶性のセルロース系増粘剤:0.05〜2重量%、水:5〜60重量%、から成っている(特許文献2参照)。
また、セラミックを使った歯冠修復物を製作する際に、汚れがつきにくく清掃性のよい滑沢な表面とするために、歯冠修復物表面の物理的特性を改善するセラミック材の提案がある。このセラミック材料は、築盛、焼成して歯冠修復物を製作するセラミック材において、作製する歯冠修復物の表面近くに用い、歯冠色陶材と同時に築盛、焼成して使用する歯科用表層セラミック材であって、焼成温度が歯冠色よりも20℃〜80℃低いセラミック材を使用している(特許文献3参照)。
さらに、歯、歯肉、口腔粘膜、人口歯、人口歯床、歯冠修復材料、矯正床、ワイヤー、ブリッジ等の表面に塗布して、齲蝕や歯周病などに代表される口腔内疾患の原因となる 細菌を殺菌し、これらの細菌を含むバイオフィルム、デンタルプラークの生成を抑制することができる歯科用殺菌組成物、並びに歯科用殺菌方法がある。この歯科用殺菌組成物は、二酸化チタンと、過酸化水素水または水溶液とした時に過酸化水素を発生する化合物とを含む混合物からなり、被殺菌体に塗布し、380〜500nmの波長を含む可視光線を照射する。このとき、二酸化チタンと、過酸化水素水または水溶液とした時に過酸化水素を発生する化合物とを含む混合物が非常に高い殺菌効果を示す(特許文献4参照)。
一方、審美性に着目した歯科用補綴物としては、セラミックスの審美性を損なわず,簡便に生体適合性にも優れた歯科用補綴物及びその製造方法がある。この歯科用補綴物は,歯科用補綴物本体と、歯科用補綴物本体のうち歯に面する面の少なくとも一部に発泡金属粘土を有している。発泡金属粘土は、金属色が薄く、例えば白色であり、歯冠色の材質からなる歯科用補綴物の内部に発泡金属粘土が存在しても、歯科用補綴物の審美性を損なわない(特許文献5参照)。
殺菌作用に着目した歯科用補綴物の材料として、抗菌活性を有する歯科用組成物の提案もある。微生物によって生じる、または悪化する症状の局在的/局所的処置(治療的または予防的)に有用である、抗菌活性を有する歯科用組成物であり、口腔環境において1種または複数種の微生物(ウイルス、細菌、酵母、カビ、真菌、マイコプラズマ、および原生動物を含む)に対して有効である、歯科材料および物品を製造するのに有用であるとしている(特許文献6参照)。
この抗菌活性を有する歯科用組成物は、スクロース以外の多価アルコールにおいて、エステルがモノエステルを含み、エーテルがモノエーテルを含み、かつスクロースにおいて、エステルが モノエステル、ジエステル、またはそれらの組み合わせを含み、エーテルがモノエーテル、ジエーテル、またはそれらの組み合わせを含むことを条件として、多価アルコールの(C7〜C12)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C7〜C12)飽和脂肪 酸エーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エーテル、そのアルコキシル化誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、有効量の抗菌性脂質成 分であって、そのアルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する、有効量の抗菌性脂質成分と、硬化性成分とを含んでいる。
抗菌性に優れ口腔内でも安全に使用することができる医療用補綴部材としては、窒化チタン被膜を有するチタン又はチタン合金が提案されている。窒化チタン被膜は、厚さが0.1μm以上とすることができる。また、抗菌性医療用補綴部材は、窒化チタン被膜と、その上面にオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド被膜とを有するチタン又はチタン合金からなる(特許文献7参照)。
特開平5−255035号公報 特開2007−91636号公報 特開2005−125030号公報 特開2004−323417号公報 特開2012−36136号公報 特開2008−533009号公報 特開2007−045777号公報
インレー,オンレー,ブリッジや人口歯等の歯科用補綴物は、口腔内での咀嚼機能を果たすものであり、長期的な安定性を目的として強度のほか、口腔内細菌によって歯質表面に付着したデンタルプラークを形成させず、速やかな除去が可能なことが要求されている。
歯科用補綴物の材料として使用される金属やセラミックは、安定的な強度を備えているが、デンタルプラーク形成の原因となる表面の微細な凹凸や傷を無くすための研磨は容易ではなく、形状の複雑さも相まって、歯科技工士の熟練した技術と時間が必要とされている。まして、材料そのものに微小な空孔が多数存在する場合が多く、このような場合は、表面をいくら滑沢に研磨しても、微小な空孔による凹凸は避けられない問題があった。
この歯科用補綴物の表面に存在する微小な凹凸は、デンタルプラーク付着の原因ともなる。デンタルプラークは虫歯・歯周病の原因となる細菌の凝集塊であり、従来は、歯ブラシ等によるブラッシングでの物理的除去しか方法が無かった。特許文献3で提案されているセラミック材は、汚れがつきにくく清掃性のよい滑沢な表面とすることを目的としているが、微小な凹凸の発生は避けられない。また、抗菌効果をもたらすものではない。
特許文献7で提案されているような、抗菌効果を生ずる窒化チタン被膜を有するチタン又はチタン合金は、補綴材料がチタン、あるいはチタン合金に限定されているばかりか、表面の微細な凹凸に対して滑沢な表面とする物理的な防止効果は生じない。
本考案は、金属やセラミックを材料とする歯科用補綴物において、その表面の凹凸をなくして滑沢にし、しかも殺菌機能をも備えた歯科用補綴物を提供することを目的としている。
本考案は、表面に殺菌機能を発現する殺菌層を備え、殺菌層は、傷及び空孔部を埋めて表面を平滑化していることを特徴とする歯科用補綴物である。殺菌層は、光の照射により殺菌機能を発現する光触媒材を使用した層とし、光触媒材の層をマイナス帯電とし、マイナスに帯電している細菌やプラークの付着を電気的に防止することができるようにする。
光触媒材は酸化チタンであり、窒素がドーピングされていてもよい。酸化チタンはアナターゼ型結晶が使用され、一般に紫外光により光触媒機能を発現するが、酸化チタン結晶中に窒素をドープすることで、エネルギーギャプが狭くなり、より波長の長い可視光により光触媒機能が発現する。このため、歯科用補綴物に殺菌層として酸化チタンを使用する場合においては、酸化チタン結晶中に窒素をドープする。
歯科用補綴物は、光触媒コーティング剤を使用し、歯科用補綴物の表面の凹凸を埋めるために複数回のコーティングを行った後、焼成により硬度を強化し、咀嚼による磨耗を防止する。光触媒コーティング剤は、液体状の酸化チタンコーティング剤であることが望ましく、液状であることにより、歯科用補綴物の表面にある微細な凹凸部や空孔を埋めることができるため、表面研磨作業を容易にする。
殺菌層は、光の照射が無くても殺菌機能を発現する無光触媒材の層とすることで、口腔内であっても殺菌作用を持続することができる。無光触媒材としては、リン酸チタニア化合物がある。リン酸チタニア化合物は、酸素と水分があれば、マイナスイオンを発生させて活性効果を持続し、殺菌作用が維持できる。
本考案が対象とする歯科用補綴物は、金属又はセラミック材料とするクラウン、インレー、オンレー、ブリッジ又は人工歯である。
本考案は、殺菌機能を備えた材料で歯科用補綴物の表面の微細な凹凸や空孔を埋めたコーティング層を備え、さらに、コーティング剤として殺菌機能を有する材料を使用した歯科用補綴物である。このため、補綴物を製作する過程においては、歯科技工士の熟練した技術と長時間の作業を必要としていた最終的な研磨作業を容易にし、時間を大幅に短縮できる。
クラウンやインレー等の歯科用補綴物は、金属やセラミックスを高温で型に流し込んで鋳型で製作するが、最終工程においては、審美性は勿論、補綴物の表面に傷などの凹凸や材料の自身に微細の空孔が存在し、このためにプラークが付着して細菌繁殖の温床ともなっていた。このために、補綴物の最終仕上げである研磨作業に技術と時間を要していた。
本考案によれば、補綴物の表面の微細な凹凸や空孔を埋めるコーティングをすることから、審美的な観点から外観上傷等の欠陥がなく、所望の光沢があればよいことになり、最終的な仕上げに要する研磨は、大幅な作業時間の短縮が可能となる。さらに、歯に装着して咬合調整のために部分的に研削を行っても、表面の微細な凹凸や空孔に充填されたコーティング剤は残っているために、平滑な表面状態が維持される。
従って、プラークが付着にくく、また、歯ブラシ等でのブラッシングにより、プラークを除去ずることが容易となる。
殺菌層は、光触媒機能による殺菌効果を利用しており、歯科用補綴物を患者に装着する直前に光を照射することで殺菌作用が発現する。殺菌層である酸化チタンコーティング層は、マイナスに帯電している。細菌やデンタルプラークもマイナスに帯電しているため、マイナス同士の反発力により、歯科用補綴物に細菌やプラークが付着しにくい効果がある。
また、治療後においても、光の照射により光触媒効果を発現する材料でコーティングした場合は、紫外光や可視光を照射することで繰り返し殺菌作用が機能し、無光触媒を使用した材料でコーティングした場合は、光の照射が無くても殺菌作用を維持することができる。
補綴物に殺菌機能を備えることで、口腔内に存在する細菌を原因とする虫歯や歯周病を予防する効果も大きい。
本考案による歯科用補綴物であるクラウンの断面を示す図。 酸化チタンの光触媒メカニズムを説明する図。 クラウンを装着した歯の外観を説明する図。 インレーを装着した歯の外観を説明する図。 コーティングにより殺菌層を設けた補綴物の表面を拡大した断面図。 コーティングにより殺菌層を設けた補綴物の表面を研削した場合の表面部を拡大した断面図。 クラウンの製作プロセスを示すフローチャート。 本考案によるクラウンを、治療している歯に装着した状態を説明する断面図。
歯科用補綴物は、欠損した歯牙の一部を修復する歯牙修復用の歯冠材料である。歯牙は単に食物の咀嚼、発声や顔貌など、社会生活において重要な役割を果たしている.さらに歯牙修復は、咀嚼や発声等の実利的要素に加えて、審美性(天然歯の外観再現、スマイルラインなど)が重要視されてきている。歯科用補綴物は、天然歯が持つ諸機能の再現が要求されるほか、補綴物の製作には、精度、生体調和性は勿論、合理化や省力化が出来ることが望まれている.
歯科用補綴物としては、クラウン、インレー、オンレー、ブリッジ又は人工歯等があり、その材料は、主にコンポジットレジン、金属及びセラミックスが使用されている。
コンッポジットレジンは、無機フィラーと有機高分子材料からなる複合材料であり、外観上の美しさに加え、物理的および化学的な安定性、生体安全性、レントゲン造影性等に優れた材料である。コンポジットレジンと歯牙(象牙質)を接着する接着剤も同時に開発され、使用されている。コンポジットレジン中の成分および接着剤の成分が、分子レベルで象牙質と高い親水性や接合性を示すように分子設計されている。
コンポジットレジンは、強度や対磨耗性においては金属やセラミックに劣っているが、歯牙の欠損部に直接充填して、硬化させることができる。
金属系材料は、貴金属合金と非貴金属合金が使用される。貴金属合金としては、金−銀−銅三元合金を基本とする高カラット金合金および低カラット金合金があるが、金銀パラジウム合金が8割以上使用されている。金−銀−銅三元合金の成分は、金、銀、銅と白金が主成分であり、金72wt%、銀13wt%、銅11wt%、白金4wt%で組成され、その他に亜鉛、イリジウムがわずかに含まれている。この金属合金は、金色の金属光沢を有している。また、金銀パラジウム合金の成分は、金50wt%、銀19wt%、パラジウム25wt%の他、インジウム、亜鉛、スズ、白金及びイリジウムがわずかに含まれている。この金銀パラジウム合金は、白色の金属光沢を有している。
セラミックス系材料は、金属系材料と比較して審美性が良好でありアレルギーがないことから、近年注目を集めている材料である。オールセラミックスのクラウンやインレー、人工歯として使用されるほか、陶材焼付鋳造冠として、予め作製したメタルコーピングにセラミックスを焼き付けて使用する例もある。引張強度、剪断強度、衝撃強度が劣るセラミックスを補う補綴物である。
セラミックスの強度については開発が進んでおり、イットリア系正方晶ジルコニアは強度、靱性が良好で、臼歯部やブリッジへの適用が検討されている。このセリア系正方晶ジルコニアの結晶粒内にアルミナ粒子をナノメータサイズに微粒子化して分散させたものが開発され、イットリア系と比較して同等の強度を確保したうえで三倍以上の耐衝撃性をもち、イットリア系の本質的欠点と言われている低温劣化を解消し生体内で長期安定的な材料となっている。
クラウンやインレー、人工歯等は長期的な安定を目的に、金属系材料とセラミックス系材料が使用される場合が多く、これらの材料を使用して製作される補綴物は、鋳型により高温で焼成する。鋳型によって製作された補綴物を、以下、鋳造物と言う。
歯科用補綴物の材料に要求されるのは、機械的特性、化学的特性、生物学的特性、加工特性等であるが、審美性の観点から色や天然歯との整合性が重要となってくる。さらに、完成品の精度と、プラークの付着を防ぐために、滑沢な表面となるように研磨することが必要となる。
機械的特性、化学的特性、生物学的特性、加工特性及び色は、材料の選択で決定されるが、どの材料であっても最終的な仕上げには研磨が必要であり、表面の微細な凹凸や傷、空孔の存在はプラークが付着してバイオフィルム生成の原因となり、バイオフィルムで繁殖した細菌により、虫歯や歯周病を引き起こす。口腔内には、口腔常在菌という細菌が存在し、ミュータンス菌,ラクトバチラス菌などのミュータンス連鎖球菌を中心とする虫歯の原因菌である。この他にインプラント周囲炎や口腔内の微生物の誤嚥による誤嚥性肺炎などを引き起こす多くの多様な菌がある。
これらは食べ物、特に砂糖やでん粉等の糖分から酸を作り出す。虫歯の原因菌と酸、食物残渣、唾液は結合し、デンタルプラークとなって歯に沈着する。補綴物そのものは細菌による影響は無いが、細菌は伝染性があり、歯茎に浸透して歯周病を起こしたり、天然歯に対して虫歯を生じさせたりする。このために、補綴物の表面性状は平滑な面にしなければならない。
しかしながら、歯科用補綴物は歯牙に合わせた形状、審美性を要求されるために、当然のことながら複雑な外観構造を維持しければならず、鋳造物は本質的に表面が粗くなっているために、その最終仕上げとなる研磨作業に高度な技術と時間が必要であった。
本考案は、歯科用補綴物の最終仕上げとなる研磨作業を容易にし、大幅な作業時間の短縮を図るとともに、治療完了後も殺菌機能を有する機能性歯科用補綴物である。
図1は、本考案による歯科用補綴物の一例としてクラウンの断面図を示している。クラウン10は、鋳型により鋳造したクラウン本体12に殺菌層14を被膜している。ここで示したクラウン本体12は、全部被覆冠であり、中央空間部は支台歯に装着するための支台歯挿入部16である。クラウン本体12の材料は、金属系材料でもセラミックス系材料でもよい。またこれらを組み合わせた材料でもよく、例えば、セラミックス系材料をクラウン本体に使用して、支台挿入部16に金属であるジルコニアフレームを形成して強度を向上させた構造のものでもよい。
クラウン本体12の表面には、殺菌層14がコーティングされている。コーティングする材料は、殺菌機能を有する材料であり、例えば光触媒作用を発現する酸化チタンを使用する。酸化チタンは、光の照射により電子を励起して光触媒機能を発現し、それによって殺菌効果を生ずる。この殺菌効果によって、クラウン10に付着した細菌を殺菌することができる。歯科用補綴物自身に殺菌機能を付与することは極めて有効である。
酸化チタンは、結晶構造によりアナターゼ型やルチル型があるが、光触媒機能を発現するにはアナターゼ型が適している。アナターゼ型結晶の酸化チタンは、約380nm以下の波長を有する光、即ち、紫外光を照射することで、電子が励起される。
図2は、酸化チタンの光触媒メカニズム20を説明する図である。図2において、酸化チタン32には、模式的にバンド図を示している。価電子帯24には電子28が存在しており、電子28が励起されて伝道帯26に移ると自由に移動できる。価電子帯24と伝導帯26の間にはバンドギャップ22がある。価電子帯24の電子は、紫外線34の照射により、バンドギャップ22を超えるエネルギーが与えられると、電子28が伝導帯26に励起される。
酸化チタン32に照射された紫外線34を吸収して価電子帯24の電子28が伝導帯26に励起されたとき、価電子帯24に正孔30が生成される。光触媒反応では、紫外線34によって酸化チタン32中に生じて励起された電子28と正孔30が、それぞれ還元反応と酸化反応を起こすことによって反応が開始する。
酸化チタン32の光触媒メカニズムを説明すると、アナターゼ型とルチル型のバンドギャップ22はエネルギーに換算して、それぞれ3.2eV,3.0eVであるから、アナターゼ型では387nm、ルチル型では412nm以下の波長域にある紫外線34を照射すると、電子28による還元反応と正孔30による酸化反応のいずれもが進行することになる。酸化チタン32の光触媒機能の特徴として、正孔30が結晶表面の水分やヒドロキシル基(OH基)36と反応して、ヒドロキシル基36が酸化反応に関わることが多い。
一方の電子28は酸化チタン32の表面に存在する酸素を還元して、O (スーパーオキシドイオン)38を生成し、水分と反応して過酸化水素を経てさらにヒドロキシル基36が生じる。このヒドロキシル基36はオゾンより強い酸化力を示し、あらゆる有機物のチェーンを切断したり、酸化、分解により炭素や水に変化させたりすると考えられている。このために、殺菌効果を発揮する。
また、殺菌層である酸化チタンコーティング層は、マイナスに帯電している。細菌やデンタルプラークもマイナスに帯電しているためマイナス同士の電気的な反発力が作用し、殺菌効果に加えて歯科用補綴物に細菌やプラークが付着しにくい効果もある。
可視光は波長が380nm以上の長波長側であり、可視光で電子を励起させるために、例えば酸化チタンに窒素をドーピングすることができる。また、無光触媒を使用してもよい。無光触媒としては、リン酸チタニア化合物がある。
殺菌層14の材料としては、口腔内の細菌を殺菌する作用があればよく、上記に説明した材料に限定されない。
殺菌層14は殺菌機能のほかに、表面を平滑化して機能をも兼ねている。鋳造物は、鋳型から取り出した直後は、鋳型の表面粗さそのものが鋳造物の表面に反映されており、光沢を出し、プラークの付着を防止するために研磨を行う。この研磨作業は、極めて困難な作業でありその原因は、本質的に歯科用補綴物の形状が複雑なためである。
図3はクラウン10を被覆した状態の外観図、図4はインレー42を取り付けた状態の外観図である。図3及び4ともに臼歯の例である。臼歯は、食物を噛む咀嚼機能を有し、このために咬合面は臼形状となっており、天然の形状、表面性状に適合させて補綴物を製作しなければならない。
天然歯の表面性状に影響を与えるのは、エナメル質層中のレッチウス条である。この周状は、約4μmの日周期でエナメル質の石灰化が進むことにより馬蹄状の走行を示す。このレッチウス条が歯面まで達することで、歯の表面性状は横行成長線である周波条が生じる。天然歯に近づけるために、咬合面に周波条の付与を行う場合もある。
このように、複雑な形状や表面性状を有する歯科用補綴物は、単に平滑な平面に研磨するだけでなく、高精度に咬合機能を維持し、審美性を備えなければならないため、研磨だけでは要求特性を満たすのは困難である。
図5は、図1に示した本考案による殺菌層14をコーティングしたクラウン10の表面近傍を拡大した断面図を模式的に示した図である。鋳造したクラウン本体12では、その表面は鋳型の表面粗さが反映した粗い面であるが、研磨により平滑化を図り、光沢を出している。
しかしながら、外観上は一見して光沢がある平滑な面に見えるが、拡大すると図5に示したように、傷44、空孔46や表面凹凸48が多く散在している。さらに研磨作業を繰り返して平滑な面にしようとしても、過度に研削すると咬合面の寸法的な精度が低下する。クラウン10は咀嚼機能および構音機能が十分に発揮できることが求められ、咬合接触の付与は,対合歯とバランスのとれた咬合接触としなければならない。
そこで、対合歯とバランスのとれた咬合接触となる研磨状態で、殺菌層14となるコーティングにより、鋳造物の傷44、空孔46や表面凹凸48を充填して、図5に示したような平滑な面とする。一般的にコーティング層は薄く、1回のコーティング作業では充填できない場合は、傷44、空孔46や表面凹凸48を埋めるまで、複数回繰り返して行う。コーティング材で傷44、空孔46や表面凹凸48を埋めた後、再度研磨しても、強固に付着したコーティング材は、部分的に表面のコーティング層が削られるだけで、傷44、空孔46や表面凹凸48を埋めたコーティング材は残っている。
図6は、殺菌層14のコーティング後に、再度表面を研磨した状態を示している。コーティングにより精度が低下した場合に、対合歯とバランスのとれた咬合接触となるように修復する場合や、患者の歯にセットして、咬合面の微調整をする場合にこのような作業が行われる。このような場合であっても、殺菌層14は、図6に示したように傷44、空孔46や表面凹凸48に残り、殺菌機能を維持し、平滑な表面を維持することができる。これが本考案の最も特徴とする点であり、従来提案されている技術は、コーティング層を積層することが目的であり、コーティング後の研磨作業までは考慮されていなかった。
次に、クラウン(図1においてはクラウン本体12に相当するが、以下クラウンとして説明する。)を例にした鋳造物の製作方法を示す。
図7は、クラウン製作フローチャート50である。まずステップS1で、石膏で作った歯列模型を用意する。クラウンを製作する歯列の歯型の他、相対する咬み合わせである歯列の歯型に石膏を流して二つ用意する。咬合器で咬合状態を調節するためである。ステップS2では、歯列模型の歯の位置と反対側となる面を平面となるように削る。このとき、石膏を硬くするために石膏硬化剤塗布しておく。さらに、トリマーで不要部分を削り取る。
クラウンを製作する歯の部分のみを取り外し可能とするために、ダウエルピンを植立して分割可撤式模型とするが、このために、ステップS3では、ステップS2で平面とした部分のクラウンを被せる歯の位置と、それ以外の部分に穴を開ける。開けた穴に瞬間接着剤を流し込みダウエルピンを植立・固定する。このダウエルピンは、一度取り外した部分を元の位置に正確に戻すことが出来るようにするためであり、さらに正確に元の位置に正確に戻すことが出来るように、模型に回転防止のための溝をつけておく。
この加工した石膏模型の土台となる石膏模型を製作するが、ステップS4では、土台から加工した石膏模型が取り外しできるように、ダウエルピンを植立した面に分離剤を塗布し、ダウエルピンの周囲に石膏を塗布する。土台となる石膏は、型枠に流し込んで別途用意し、ダウエルピンに石膏を塗布した歯型の石膏模型を土台となる石膏に取り付ける。次に、土台を型枠から取り外して、周囲の不要な石膏を削りとる。
ステップ5では、歯列の石膏模型から、クラウンを製作する歯の部分のみを取り外し可能とするために、両側を専用のノコギリで切り込む。クラウンを被せる歯の部分を取り外しても、ダウエルピンが立っており、土台の石膏にはダウエルピンを入れる穴があるために、元の位置に正確に戻すことが出来る。
ステップ6では、クラウンを被せる歯の模型部分を取り外し、ワックスアップがしやすいようにトリミングする。また、歯を削った部分と削っていない部分の境目をはっきりさせるために、歯肉の部分などをミクロン単位で削って、ワックスアップが行ないやすいようにする。
トリミング後、ステップ7で、上下の歯列模型を、石膏を使用して咬合器にセットする。咬合器で咬合面の適合度を調整するために模型を修正、表面を処理した後、ステップ8で、ワックスが石膏とついてしまわないように、専用の分離材を塗布し、ワックスを用いて歯の形を回復する。歯の回復は、解剖学的な形態はもちろん、歯周病の状態、相対する歯との咬合状態などを考慮して形状を回復させ、ワックスパターンを作る。
ワックスパターンから鋳型を製作するが、このために、ステップ9では、ワックスパターンを取り外して、クラウンの材料となる金属やセラミックスを流し込むための湯道を取り付ける。金属を使用した場合は、例えば金銀パラジウム合金では、金50wt%、銀19wt%、パラジウム25wt%が含まれており、溶かした金銀パラジウム合金は凝固する過程で約2%程度の収縮がある。この収縮分を補填するために、加熱すると膨張する性質のある鋳型材を使用している。そして鋳型材の膨張を妨げないように、埋没するリングの内面にクッションの役割をするセラミックスのウールなどを張る。
ステップ10では、用意したリングにワックスパターンを入れて鋳型材を流し込み、ワックスパターンと湯道の周りを鋳型材で囲う。このとき、気泡が入らないように鋳型材を流し込むが、わずかに微細な気泡が残るのは避けられない。
次に、ステップ11で、鋳型材が硬化した後、ワックスパターンを鋳型材で埋めたリングを、電気炉(ファーネス)に入れ、高温状態にしてワックスを溶かして焼却する。これにより鋳型が完成する。鋳型のワックスがあった部分は空洞となっているので、空洞部に金属、ここでは金銀パラジウム合金を溶かして流し込む。鋳造は、例えば、ヒーター加熱方式真空加圧鋳造機を使用し、約1000℃の高温で鋳込む。気泡が入らないように金銀パラジウム合金を流し込むが、この場合においても、わずかに微細な気泡が残るのは避けられない。
鋳込みが終了したら、ステップ12で、鋳型を取り出して冷却する。冷却後、鋳型から金属を取り出して、金属の表面を覆っている酸化膜や鋳型材を除去するために、酸のなかに鋳造物を入れて、超音波洗浄機で洗浄する。さらに、細かい粒子のガラスビーズを吹き付けて表面を研磨する。
その後、ステップ13で、クラウンの鋳造物から湯道をカッターで切り離し、クラウンを研磨する。クラウンの研磨は、隣の歯との接触状態もミクロン単位で調整し、咬合紙で隣接する歯との接触状態や、相対する咬合する歯との咬合面を研磨する。
この最終的な研磨は、咬合面の溝等がある複雑な形状であり、様々な研磨器具や研磨剤を使用して行われるが、熟練した技術と長時間に渡る作業を要する。
本考案は、この最終研磨での作業を容易にし、大幅な時間短縮を図るともに、鋳造物の完成後も殺菌機能を有する歯科用補綴物を提供するものであり、以下に具体的に説明する。
(実施例1)
最終研磨状態にある鋳造物の表面に、光触媒材の層である酸化チタン薄膜を形成するために、スパッタリング装置を使用した。スパッタリング装置のターゲットには、純度99%以上のチタンを用い、アノードにはインプラントを取り付けた。スパッタリング装置のチャンバー内は真空度を5×10−4Paまで排気し、アルゴンガスに酸素を40%加えた混合ガスを用いて成膜した。通常、1回の酸化チタンの膜厚は、0.5〜1μm程度であるが、スパッタリング時間を長くしたり、繰り返してスパッタリングを行ったりすることで、図5に示した例での傷44、空孔46や表面凹凸48が埋まるまで厚くする。
酸化チタンの光触媒活性化は、波長が380nm以下の光の照射が必要であり、紫外線領域の光である。このため、可視光領域でも光触媒活性化を行わせるために、酸化チタンに窒素をドーピングすることが有効である。このために、上記スパッタリング装置での混合ガスを、アルゴンガスに酸素20%の他、さらに窒素20%を加えて成膜した。窒素ドープ型酸化チタン薄膜は、についても同様に、スパッタリング時間を長くしたり、繰り返してスパッタリングを行ったりすることで、図5に示した例での傷44、空孔46や表面凹凸48が埋まるまで厚くする。
(実施例2)
光触媒機能を発現する酸化チタンのアナターゼ型結晶では、高い光触媒作用を有しており、太陽や蛍光灯の紫外線により活性酸素等を発生させ強い酸化分解作用を発揮し殺菌作用も強い。アナターゼ相を容易に形成できる方法としては、ゾルゲル法がある。ゾルは、例えばチタンテトライソプロポキシドを加水分解した後、硝酸の添加により解膠して作製した。成膜は、ゾルを鋳造物に塗布した後、常温もしくは100℃程度の低温乾燥により縮重合させてゲル化し、さらに約500℃で30分程度高温乾燥することで結晶化させることにより行った。
ゾルゲル法は鋳造物にゾルを塗布した後、ゾル成分を酸化チタンに重合させるため、低温で長時間乾燥させなければならず、さらに繰り返し行い厚くするために、その形成時間が長いのが欠点であるが、歯科技工士の直接の作業を伴うものではなく、実質的な作業工数は短縮化する。
(実施例3)
光触媒コーティング剤は市販されており、市販されている光触媒コーティング剤を鋳造物にコーティングすることにより、殺菌層を形成することもできる。例えば、テイカ株式会社製のコーティング剤である商品名TKC−303やTKC304や、株式会社鯤コーポレーションから発売されているサガンコート(登録商標)で、商品名TPX−85又はTPX−HL等が利用できる。光触媒コーティング剤は液状であり、微細な傷や空孔部分に浸透して充填される。これらの光触媒コーティング剤は常温乾燥で被膜が形成されるが、膜を厚くするために繰り返し塗布・乾燥を行い、さらに、膜を250℃以上の高温で加熱処理することで、強度を向上させることができる。
(実施例4)
光触媒を利用した殺菌層は、補綴物がセットされた直後は効果を発揮するが、口内は光が直接照射されることがないために、徐々に効果が薄れていく。このため、光照射を必要としない無光触媒材を使用した。無光触媒材としては、リン酸チタニア化合物を使用する。リン酸チタニア化合物は、光触媒酸化チタンにリン酸を反応させて、暗所において光触媒活性が得られ、酸素と水分があれば、マイナスイオンを発生させて活性効果を持続し、抗菌効果が得られる。リン酸チタニア化合物の無光触媒は、例えばYOOコーポレーションの無光触媒エコキメラ(登録商標)がある。抗菌タイプのエコキメラSシリーズ(品番:SW−50)を使用して、鋳造物にコーティングして殺菌層とした。
また、ファイラック・インターナショナル株式会社により開発されたCT触媒も光を利用しない触媒であり、殺菌層に利用できる。CT(Change Transfer)触媒は、電子供与体と電子受容体から構成され、同時進行の酸化、還元反応により、悪臭成分や細菌を分解する。この酸化、還元反応を利用した殺菌層を、鋳造物にコーティングすることにより作製した。
本考案の具体的な実施例について説明したが、この用にして製作されたクラウンは、患者の歯に装着される。
図8は、本考案によるクラウン10を装着した断面図である。図8では、虫歯が歯髄まで達して、根幹治療を行うことによりクラウンを被せた例である。
正常な歯は、歯牙の外側部分は歯冠と呼ばれるエナメル質の被覆を有している。歯牙の上側部分では、硬いエナメル質が、より軟らかい象牙質を保護し、象牙質の組織は、歯髄を包囲及び保護するコラーゲン繊維と共に散在した細管のマトリクスを含有している。歯髄は、結合組織、血管、細胞及び神経終末を含み、歯髄腔は、上側の髄室と、顎内深く、歯牙の根端部又は根尖部へ延在する根管とを含んでいる。歯槽骨に埋もれた歯根の外側部分は、歯根を周囲骨に結合させる薄い硬組織であるセメント質で覆われている。
治療により、エナメル質、歯髄及び象牙質62の一部が取り除かれ、根管70からは神経細胞が取り除かれている。クラウン10は、土台となる支台歯60に装着され、歯牙を取り巻く歯根膜66、歯槽骨68と歯肉64により支えられている。
本考案によるクラウンは、表面性状が平滑であり、さらにマイナス帯電効果によりプラークが付着しにくく、また、殺菌層を備えているので、虫歯や歯周病の原因となる細菌を殺菌し、歯肉64の内部に侵入して歯根膜66との界面を汚染する歯周病を引き起こすことが無くする。また、口腔内の他の歯に対するバイオフィルムの発生を防止できる。
以上、本考案の実施例を説明したが、本考案はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。
10 クラウン
12 クラウン本体
14 殺菌層
16 支台歯挿入部
20 酸化チタンの光触媒メカニズム
22 バンドギャップ
24 価電子帯
26 伝導帯
28 電子
30 正孔
32 酸化チタン
34 紫外線
36 ヒドロキシル基
38 スーパーオキシドイオン
40 天然歯
42 インレー
44 傷
46 空孔
48 表面凹凸
50 クラウン製作のフローチャート
60 支台歯
62 象牙質
64 歯肉
66 歯根膜
68 歯槽骨
70 根管

Claims (12)

  1. 表面に殺菌機能を発現する殺菌層を備え、
    前記殺菌層は、傷及び空孔部を埋めて表面を平滑化していること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  2. 請求項1に記載の歯科用補綴物において、
    前記殺菌層は、光の照射により殺菌機能を発現する光触媒材の層であること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  3. 請求項2に記載の歯科用補綴物において、
    前記光触媒材の層をマイナス帯電とし、マイナスに帯電している細菌やプラークの付着を防止可能とすること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  4. 請求項2に記載の歯科用補綴物において、
    前記光触媒材は、酸化チタンであること
    を特徴とする歯科用補綴物。
  5. 請求項4に記載の歯科用補綴物において、
    前記酸化チタンに、窒素がドーピングされていること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  6. 請求項2に記載の歯科用補綴物において、
    前記光触媒材は、光触媒コーティング剤であること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  7. 請求項6に記載の歯科用補綴物において、
    前記光触媒コーティング剤は、液体状の酸化チタンコーティング剤であり、1回又は複数回のコーティングを行うこと、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  8. 請求項7に記載の歯科用補綴物において、
    前記光触媒コーティング剤は、歯科用補綴物に塗布された後、高温で焼成すること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  9. 請求項1に記載の歯科用補綴物において、
    前記殺菌層は、光の照射が無くても殺菌機能を発現する無光触媒材の層であること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  10. 請求項9に記載の歯科用補綴物において、
    前記無光触媒材はリン酸チタニア化合物であること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  11. 請求項1に記載の歯科用補綴物において、
    歯科用補綴物は、金属又はセラミックであること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
  12. 請求項11に記載の歯科用補綴物において、
    歯科用補綴物は、クラウン、インレー、オンレー、ブリッジ又は人工歯であること、
    を特徴とする歯科用補綴物。
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